社員の能力開発が急務な知識経済の時代には教育のNetflixが必要だ

[筆者: Rob Harles, Karl Mehta]

・Rob HarlesはAccenture Interactiveのマネージングディレクター。

・Karl MehtaはEdCast, Inc.のファウンダーでCEO、Code For IndiaのCEOでもある。

毎日46億点の新しいコンテンツが生産されているのだから、私たちの知識への飢えはとっくに満たされている、と思えるかもしれないが、しかし情報の生産と流通は消費の機会や分布とパラレルではなく、それは情報をただそこへ置けば解決する問題でもない。

私たちは情報の中で溺れ死のうとしているが、しかし同時に、私たちの生産性を本当に高め、コラボレーションとイノベーションを促進してくれる知識には飢えている。

役に立つ知識が必要になると、私たちは広くWebを検索したり、口コミでエキスパートを見つけたり、設計のお粗末な会社の文書共有システムを探しまくったりする。どの方法も、効率が悪い。

必要な知識を見つけるための、もっと良い方法があるべきだ。そのような方法はユーザーのニーズに適応し、真の対話と強力な学習体験を通じて、継続的に知識の適切な推奨や提案ができるソリューションでなければならない。

エンターテイメント産業に倣って学習をもっと容易にする

NetflixSpotifyRedditのような、人力または自動化されたキュレーターのいるコンテンツアプリケーションが登場するまでは、視たい/聴きたい番組や音楽、ニュースなどのメディアを見つけるために、いくつものソースを訪ねる必要があった。しかし今では、自分が消費したいエンターテイメントやメディアを容易に発見でき、それらはユーザーの関心に基づいて個人化(パーソナライズ)されている。

多くの点で今のエンターテイメントサービスのやり方は、知識管理や学習開発のアプリケーションにも適した方式だ。

学習と知識の発達を支援する産業は、教育のアクセス性と適切性を高めるプラットホームであるべきだ。それは、知識の吸収と普及拡散が円滑にシームレスに行える場でなければならない。Netflixが、求めるエンターテイメントをすぐ届けてくれるように、私たちが必要とする知識と学習は、必要なところへ、必要なときに、簡単迅速に届くべきだ。

幸いにも、それを実現するテクノロジーが育ちつつある。人工知能(AI)と機械学習を利用するそれらのソリューションは、学習の過程とそのためのコンテンツを、集積、キュレート、そして個人化できる。

企業の成功は優れた学習文化を持つことにかかっている

“学習する能力と、学習を迅速にアクションに翻訳する能力は、企業に最強の競争力をもたらす”、GEの元CEO Jack Welchはそう言った。

データを見ると、Welchが正しいことが分かる。Institute of Corporate Productivity (I4CP)のCEO Kevin Oakesによると、業績の良い企業では、そうでない企業に比べて、社員たちが自分の獲得した知識を4倍多く同僚と共有している

重要なのは、雇用者が学習の文化を作ることだ。学習の文化(learning culture)とは、その中で知識がもっと自由に獲得され、吸収され、交換される社風だ。それを実現するためには、いくつかの障害を克服しなければならない:

  • 社内的には、いろんな物事のエキスパート(subject matter experts, SMEs)がいて、その人たちの心の中に知識がある。そんなエキスパートは、日頃の評判や担当業務から容易に見つけることができる。そして、そんな社内的エキスパートが持つ重要な知識を素早く明快に公開し、社内でその知識を必要とする者全員が共有できるための、場や方法が必要である。
  • 会社の外には、コンテンツが至るところにあるが、どのコンテンツが良質で、権威があり、適切であるか分からない場合がある。したがって、適切で有益な(そして安全な)外部コンテンツを集めて、社員たちがそれを消費できるための仕組みを作る必要がある。

これらの社内的および社外的なソリューションでとくに重要なのは、ただ単に学習のためのコンテンツを集めて、キュレートして、カスタマイズするだけのテクノロジーを採用するのではなく、それはまた、学習と共有のためのコンテンツを手早く作れるテクノロジーでなければならない。効率的な学習文化の構築のためには、それが重要だ。

これが知識のNetflixだ

AIを用いる新しいプラットホームは、知識労働者が必要とするコンテンツを、適切なタイミングで届ける。そういう理想的な学習と知識開発のためのソリューションは、とくに次の項目を重視する:

  • 集積: 適切な情報を一箇所に集めること。企業の学習管理システム(Learning Management System, LMS)やイントラネット、そして外部のリソースなどなどから。
  • キュレーション: AIと機械学習を利用して、そのときの状況に合った適切なコンテンツを適切なタイミングでチームにもたらすこと。
  • 個人化: 学習用コンテンツのリコメンデーションを、さまざまな要素の分析に基づいて、個人の特性やニーズに合った形で行うこと。
  • 創造: 多くの中小企業が持っている言葉にならない知識を、解放すること。そのための最良の方法は、社内にコンテンツライブラリを作ってコンテンツを迅速かつ便利に供給することだ。

次の10〜12年間で、人間の今の仕事の半分はなくなる、と言われている。だからこそ、学習の機会とその消化しやすい方法や仕組みを、すべての社員に提供することが、きわめて重要なのだ。

それはいわば、社内における知識の民主化だ。個々の学習機会が十分に個人化され、また社内的および社外的なコンテンツのアクセス性を増し、そして社員たちに成長のためのスキルと知識を与える取り組みを、強化しよう。それは、これまでの企業では、時間がない、人がいない、とかいって、おろそかにされていた分野だ。でも今や、どの企業でも、社員の能力開発は最重要の課題だ。

時間がなくても、人がいなくても、今ではAIと機械学習が助けてくれる。社員を入れ替えるのではなく、今いる社員の学習を前進させ、彼らの明日のキャリアパスを築いていける。

参考記事

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Samsungがスマートスピーカー競争に参入(WSJ報道)

Samsungは独自のスマートスピーカーを開発中で、AmazonのEchoなどに対抗しようとしていると、WSJが報じた。

しかし発売のタイミングはまだわからない。Samsungは、数か月前に発売したGalaxy S8の音声スマートアシスタント、Bixbyの開発に多くの問題を抱えている。また報道によるとBixby搭載のスマートスピーカー ―― コードネーム “Vega” ―― はほとんどの機能がまだ完成していないらしい。

Appleは、iPhoneベースのスマートアシスタントであるSiriを優先してこの分野への関心を示していなかったが、先日のデベロッパーカンファレンスでHomePodを披露した。AI能力の限界のためか、同社はHomePodを常時オンの音声アシスタントではなく、音声制御付きの高級スピーカーとして売り出そうとしているが、349ドルという価格は、Amazonの49ドルのEcho DotやGoogleの129ドルのHomeとは明らかに違う市場に位置づけられる。

Samsungは後追いと批判されるであろうデバイスを投入しようとしているが、内容次第ではいい位置を取れるかもしれない。スマートスピーカーにとって重要な分野のひとつはユーザーのスマートフォンとの密な連携を強化していくことだ。

GoogleはAndroidエコシステムのおかげで膨大な力を持っているが、完全に制御できるデバイスはPixelだけだ。もしSmasungが、”Vega”とGalaxyやNote等のデバイスとの間に、通知やハンドオーバーの機能を提供してチャンスを生かすことができれば、差別化できるシステムを作れるだろう。

Samsungは音声入力インターフェースの競争に追いつくだけでなく、それ以外の秘策を持っているのかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramはユーザーのフィルター設定を保存させるべきだ

世界がInstagramのSnapchatライクな位置情報共有機能を待っている間に、それよりずっと簡単でわかりやすい機能について考えてみる価値があるだろう:ユーザーのフィルター設定だ。

Instagramでは、お気に入りのフィルターをリストの先頭に並べ、あまり使わないものを後ろに回せるようになった。しかし、Instagramのスタイルはユーザーごとに異なり、一つのフィルターだけでそれを表現することはできない。そして、まったく同じ設定をほぼ全部の写真に適用するために、ユーザーは多大なエネルギーを消費させられている。

私は多くの場合、同じタイプの写真には、同じエフェクトやフィルターを使っている。自撮りなら6割方はNashvilleを使う。風景なら、もっと活気のある例えばLofiかX-Pro IIなどだ。さらに私は、Instagramのほとんどの写真に独自のカラートーンやフォトエフェクト(vignette、saturation等)を加えている。

好みのエフェクトやカラートーン、フィルター、レベルなどを組み合わせた自分専用のフィルターが作れたらどうだろうか。独自に作ったフィルターを友達と共有することもできるだろう。これはユーザーにとって便利な機能になるだけでなく、Instagramにとっても新たな収益モデルにもなる。

プロのフォトグラファーやトップレベルのInstagrammerは、すべての写真にまったく同じPhotoshopエフェクトを使用することが多い。そうすることでユニークな特徴が生まれ、個性的でファンにわかりやすい写真になる。

多くのInstagram著名人が使っているVSCOは、プリセットされたユーザーフィルターをすでに提供しているが、インターフェースがわかりにくい。Instagrammerのビッグネームであれ平均的ユーザーであれ、個人の好みにあわせてアプリをカスタマイズできるようにすることは、Instagramにとってもメリットでしかないはずだ。

加えて、 Cubbygrahamなどのプロ写真家は、こうしたフィルターをアプリ内課金で販売することで、自分たちとInstagramの収益モデルを構築できるかもしれない。

もちろんこれはSnapchatの完全コピーではないので、現実離れした望みなのかもしれない。それでも夢は持っていたい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SaaS株好調の中、ついにDropboxがIPO準備中との噂――年内上場の可能性も

【編集部注】執筆者のAlex WilhelmはCrunchbase Newsの編集長で、VCに関するTechCrunchのポッドキャストEquityの共同司会者でもある。

設立からかなりの時間が経ち、その間にエンタープライズ向けサービスへのピボット、そして2つの新たな信用枠の獲得を果たし、これまでに大金を調達しながらも再度コスト削減に努めているDropboxが、ようやくIPOに向けて動き始めたかもしれない。

ロイターによれば、クラウドストレージサービス(恐らくDropboxは「エンタープライズ向けプロダクティビティソフト」という情報も追加してほしいと考えているのだろうが)を提供する同社は、「年内のIPOに向けて、引受人を探している」ようだ。

さらに同記事は、DropboxのIPOが「Snap Inc以来、アメリカのテック企業としては最大級」になる可能性があり、情報源については「本件に詳しい情報筋」としている。私たちはロイターの報道内容の中でも、特に引用した箇所に注目している。というのも、ここにはタイミングと規模という、IPOに関して私たちがもっとも気にかけている情報が含まれているのだ。

もっと簡単に言うと、私たちはいつ今年が終わるか知っているし、SnapのIPOについても知っているので、もし全てがロイターの記事通りだとすれば、DropboxのIPOのタイミングは実質的にどちらかに絞られたことになる。

だが、恐らく人々の関心は収益と評価額に向いているだろうから、まずはその話をしよう。

収益、キャッシュフロー、上辺の利益、本当の損失

TechCrunchでは、Dropboxが今年の春に発表した業績に関連して「Dropbox really wants us to know its finances are healthy(Dropboxは健全な経営状況をかなりアピールしたいようだ)」と題された記事を公開した。

会社が健全な状態にあるというのは素晴らしいことだし、特に何か言うべきこともない。ちょうどいいので、去年から今までに発表(自主的かどうかは別として)されたDropboxのマイルストーンを確認してみよう。

そして今月に入って、DropboxはIPOに向かって動き出したと言われている。

各マイルストーンを確認したのは、読者の皆さん(そしてこの記事を書いた私自身)を退屈させるためではなく、他の企業と比較する上で重要な点を洗い出すためだ。その結果、良くも悪くもBoxが上場企業の中ではDropboxのベンチマークとしてふさわしいことがわかった。次は収益や評価額を比較するため、収益の質について考えたい。

企業価値はどのくらいなのか?

Dropboxの10億ドルという収益額は直近12ヶ月のものではない。彼らの正式なコメントは次の通りだ。「Dropbox is proud to announce that our business has surpassed $1 billion in revenue run rate(Dropboxのランレートがこの度10億ドルを突破したことをお知らせします)」

同社のコメントには、通常SaaS企業が収益を表すときに使う言葉が入っていない。それは月間ランレート(MRR)と年間ランレート(ARR)だ。

しかしDropboxは、コメントを発表したブログポストの中で、自分たちの業績を数十億ドルのARRを誇るSalesforceなどのSaaS企業と直接比較していたため、この10億ドルという数字をARRと解釈しても問題ないだろう。

それでは、今年の第1四半期にDropboxが10億ドルのARRを達成したと仮定しよう。つまり、私の脳がきちんと動いていれば、第1四半期のランレートは2億5000ドルだったということになる(非公開企業の情報は限られているので、ここではかなり大雑把に計算している。しかし、少なくともDropboxは真実を伝えているとしよう)。

これでDropboxの指標が揃った。四半期収益が2億5000万ドルでフリーキャッシュフローはポジティブ、さらにEBITDAベースで黒字、というのが同社の現状だ。

次は直近の四半期(2017年4月30日締め)における、Boxの業績を見てみよう。

  • 収益:1億1700万ドル
  • 営業・フリーキャッシュフロー:共にポジティブ
  • EBITDA:ネガティブ

Dropboxよりも規模の小さなBoxだが、フリーキャッシュフローはDropboxよりも早いタイミングでポジティブになり、前年比での成長率は30%を記録している。Dropboxの成長率に関する情報は手元にないが、同社の数字の多くはBoxのものに近いため、成長率も同じくらいの水準と考えることにする。

では、Boxの収益の質はどうなのか? 直近12か月の収益をもとにした同社の株価売上高倍率は5.73だ。また、今年の第1四半期の収益を4倍にしたものを年間収益と仮定した場合、株価売上高倍率は5.2となる。将来的な収益を割り引いて現在価値を求めると、この数字はさらに下がるが、そこまではしないでおこう。

いずれにしろ、これでかなり比較しやすくなった。先述の通りDropboxの成長率はBoxとほぼ同じだと仮定し、Boxの株価売上高倍率である5.2と、Dropboxの10億ドルという(仮定上の)年間収益を使ってDropboxの評価額を算出すると……約52億ドルということになる。

さらに、DropboxはBoxと違ってEBITDAベースで黒字のため、Dropboxの評価額はここから上がる可能性がある。また、もしもDropboxがBoxを上回るスピードで成長すれば、投資家はさらにDropboxの評価額を吊り上げるだろう。そして最後に、Dropboxは長らくフリーキャッシュフローをポジティブに保ってきたため、バランスシート上もBoxを凌駕しているかもしれず、これはIPO時の時価総額に良い影響を与えるだろう。

実際どうなるかはこれからの様子を見守っていくしかないが、一部のテック株が史上最高額に近い値をつけている中でDropboxが上場を狙っているということは注目に値する。まさにブームといったところか。その一方で、結局直近のラウンドよりも低い評価額がつくという可能性ももちろんある。

ここで冒頭の問いをもう一度見てみよう。

さらに同記事は、DropboxのIPOが「Snap Inc以来、アメリカのテック企業としては最大級」になる可能性があり、情報源については「本件に詳しい情報筋」としている。私たちはロイターの報道内容の中でも、特に引用した箇所に注目している。というのも、ここにはタイミングと規模というIPOに関して私たちがもっとも気にする情報が含まれているのだ。

そしてSnapのIPOの規模については、Forbesが以下のように報じている。

Snap Inc.は売り出し価格17ドルで水曜日に上場し、時価総額は236億ドルに達した。人気メッセージングアプリSnapchatの開発元である同社は、2億株を発行し、2014年以来最高額となるIPOで34億ドルを調達したと言われている。

SnapのIPOは規模が大きすぎるため、Dropboxの上場のシグナルとなる評価額の上限値はハッキリと見えないが、現時点の情報でできることはこのくらいだ。情報量が増えてくれば、さらに細かな分析ができるようになるだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ベテラン女性VCから女性ファウンダーへのアドバイス

5月にニューヨークで行われたTechCrunchのイベントDisruptには、Harvard Business Reviewのリサーチャーが観客として参加し、イベントの様子をノートにとっていた。その際に気づいた事項と、VCとファウンダーが参加したQ&Aセッションの書き起こし内容の解析結果から、彼らは興味深くも気がかりな結論を導き出した。

イベントに参加した投資家(40%が女性)は、男性のファウンダーには成功の可能性について尋ねることが多かったのに対し、女性のファウンダーには失敗の可能性について尋ねることが多かったということが彼らの調査からわかったのだ。

ベテランVCのAileen Leeにとって、この結果は驚くほどのことではなかったようだ。彼女はKleinerやPerkins、Caufield & Byersで合計13年近い経験を積んでから、2012年にCowboy VenturesというシードVCを立ち上げた。これまでに女性のファウンダー(TextioBrit & Co.Accompany)だけでなく男性のファウンダー(AugustDollar Shave ClubPhilz Coffee)にも投資してきた彼女は、投資先企業へのアドバイスや、追加資金の調達に関する議論を男性VCに囲まれながら何度も行ってきた。

先週サンフランシスコで行われた、第四回目となるY CombinatorのFemale Founders Conferenceで、LeeはHBRの研究や彼女が毎日目にしているバイアスについて語った。さらに彼女は資金調達を考えている女性のファウンダーに向けて、以下のとても具体的なアドバイスを送った。

1)良い語り手であれ。そして、自分は話がうまくないと思っていても心配するな。「もしも現時点で話すのが下手でも、良い語り手になることはできる。必要なのはフィードバックと練習のみ」

2)どのプレゼンにも欠かせない、基本的だが重要な要素がある。以下を必ず盛り込むこと。

a)自分の会社のミッションとビジョン

b)狙っている市場の規模

c)解決しようとしている問題

d)チームメンバーの情報とその人たちを選んだ理由

e)プロダクトもしくはそのワイヤーフレーム

f)トラクションやユーザーからのフィードバック

g)ビジネスモデルの概要

h)調達資金の使途

3)これまでの自分の経歴や、なぜ自分が今そのビジネスを始める上で最適な人間なのかという情報を忘れずに入れておく。

4)自信を持ちつつも、背伸びはしない。「ちょっと横柄な態度を見せたり、何かを誇張したりすると、(男性投資家は)あなたのことを大げさな人だと考え攻撃的になる」

5)遠慮し”すぎない”。使い古された言葉に鳥肌が立つかもしれないが、この点について女性は微妙なバランスを維持しなければならない。「男性は(遠慮がちでも)『あぁ、彼は内気なんだな』で済む」が、残念ながら女性の場合、後々大きな問題につながる可能性がある。

6)数字をしっかりと把握する。いら立たしいことだが、女性が力を認めてもらうためには、男性の2倍働かなければいけない。「もしも誰かが『あなたの会社のCAGR(年平均成長率)は? LTV(顧客生涯価値)は? マージンは? 来年の売上収益額は?』と聞いてきたら、すぐに答えられなければいけない。これも練習あるのみ」

7)フォローアップをしっかり行う。「誰かが(プレゼン中に)質問したらノートをとって、翌日には『以下が昨日話し合った内容で、この点について追加でご連絡します』という内容のフォローアップメールを送り、きちんと自分のビジネスを管理できているということ、そして誠実さをアピールする」

8)コネクション作りに力を入れる。特に女性のファウンダーや投資家とのコネクションは重要。

参加者のほとんどが女性だったこのイベントで、Leeはどうすれば女性のファウンダーが、日常的に発生するマイクロアグレッションを乗り越えて、テック業界で前進していけるかというテーマを中心に話を組み立てていた(最近目にすることの多い、女性ファウンダーに対する男性VCの不適切な行為については「かなりいら立っている」とも語った)。

また、女性差別に対する建設的な解決策についても話していた彼女。そのうちのひとつは、男性ばかりがジェネラルパートナーの座についているVCへ警鐘を鳴らすことになるだろう。

前の週に、他のVCでパートナーを務める女性たちと朝食をとっていたLeeは、どうすればもっと女性のジェネラルパートナーを増やすことができるかについて彼女たちと議論していた。Lee曰く、その場にいた人たちが在籍するVC(Cowboy Venturesを含む)は、特に将来が期待されているポートフォリオ企業に対して「女性や有色人種の人たちが投資判断のできるポジションに就いている現代的なVC」から資金を調達するよう勧めているというのだ。

その背景には個人的な考えも関係していると彼女は認めたものの、Cowboy Venturesが投資している企業のCEOも同じような考えを持っており、「ポートフォリオ企業のファウンダーたちも、もし選べるのならば、現代的な考えを持つVCを選ぶだろう」と付け加えた。

その考え方は次の極めてシンプルな問いに詰まっている。「なぜ、ろくでなしのためにお金を稼がなければいけないのか?」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Apple、3Dスキャンによる顔認証をテストとの情報――次世代iPhoneで指紋認証はどうなる?

Bloombergが報じた最新の噂によれば、Appleは現行iPhoneの指紋認証システムを廃止する可能性があるという。その代わりにユーザーの顔を認識する新しいアンロック・テクノロジーが採用されるのだという。これが事実であれば、2013後半以来、Appleのテクノロジーの重要な柱の一つなってきたTouch IDから離れるという方向への動きとなる。

今年後半に発表されると見られているiPhone 8をめぐる推測の重要な部分がTouch IDとホームボタンがどうなるかだ。これまでの噂ではAppleはSamsungが今年Galaxy S8で採用したものに似たハプティック・テクノロジー〔触覚技術〕を応用したボタンをテスト中だされていた。これについてはAppleが関連する特許を取得していたことが最近明らかにされている。ただし特許取得と現実の製品の機能の間には相当の隔たりがあるのも事実だ。

台湾のKGIのアナリストでこれまでもApple製品に関する優れた情報をたびたび提供してきたMing-Chi Kuo〔郭明錤〕は「顔を3Dスキャンするユーザー認証」も追加される可能性があると、この3月のレポートで述べていた。これはAppleが組み込み用3Dカメラを大量に買い付けているという情報に合致するものだ。一方でAppleは3Dセンサーの企業、PrimeSenseを2013年に買収している。

もちろん3Dセンサーに注力しているのはAppleが全社を挙げてAR〔拡張現実〕化を図っていることの一環でもある。 しばらく前からティム・クックはARテクノロジーに関して強気の発言を繰り返している(ARに強気なあまりVR〔仮想現実〕が棚上げぎみという感もある)。いずれにせよ、WWDCでAppleは華々しくARKitのデモを行った。この開発プラットフォームを利用する3Dハードウェアが追加されることはAR化へのさらなる追い風となるだろう。顔認証というのもこのテクノロジー非常に大きな応用となる。

次期モデルがiPhone登場以来10年の節目に当たることからAppleでは何か大きな新機能を用意しているはずだ。iPhone 7が感圧センサーとハプティック・テクノロジーを応用したホームボタンを採用したのよりずっと大きい変化が期待されている。最近の情報ではベゼルをほとんどなくした全面ディスプレイの採用とか指紋センサーの追放とかがあるのではないかと推測されている。

たしかに3Dセンサー・テクノロジーは現在のいろいろな問題を解決するのにも役立つ。またAppleが赤外線センサーをiPhoneに採用するという噂もかなり前から流れている。可視光線だけに頼らずに周囲を認識できるようになれば、現在Appleを悩ませている多くの問題が解決されるかもしれない。

しかし「顔認証は依然テスト中であり次期アップデートでは採用されない」という情報もある。新テクノロジーの構成要素はこれまでも部分的に採用されてきたものの、「全面的に製品化するには時期尚早」だという。Appleはこれまでのアンテナゲート〔無線接続が途切れる〕やベンドゲート〔本体が曲がる〕などの問題で苦労してきた―もっとも去年SamsungがNote 7のバッテリー問題で直面したような深刻な事態ではなかったが。

3Dスキャンによる顔認証は2Dベースのテクノロジーと比較すれば偽造などによるハッキングは困難だろう。 しかしAppleがコマースその他金銭の支払いに直接関連するような分野への応用を急ぐことは当分ないはずだ。新認証方式の問題点が洗い出され、修正されるまでAppleは相当期間にわたってTouch IDも保持し続けるものと思われる。

この件に関してわれわれはAppleにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2人で手を握りあって入れる「MRお化け屋敷」が夏にデビュー、日本のTyffonが1億円調達

VR市場はB向けのバーティカル市場の立ち上がりが早いようだが、B2B2Cのエンタメ方面も盛り上がりそうだ。AR/VR/MR時代にホーンテッド・マンションを作り直すとしたら、こんな感じになるだろうという独特の世界観と、それを可能にする先進的なMR技術を作っている日本のスタートアップ企業がある。 今日インキュベイトファンドから1億円の資金調達を発表した「Tyffon」(ティフォン)は、この夏にも商業施設などで体験できるMRコンテンツ展開を始める。早速ぼくは東京・三田にある同社で以下のような何とも空疎な空間を歩くことで、ひと足早くこの未来感のある「21世紀のホーンテッドマンション」ともいえる「Magic-Reality: Corridor」を体験してきた。

上の写真を見ればわかる通り、体験者は何もない空間を歩く。ぐるぐる歩く。だけど、体験者がみているのは、以下のようなおどろおどろしい怪物が徘徊し、死体がうめく呪われた洋館の世界だ。

上の動画をよく見るとお分かりいただけると思うが、これは単なる360度動画ではない。体験者は自分の腕や、自分が手に持つランタンをVR中の画像上で見ることができるが、これは自明のことではない。VRヘッドマウントディスプレイとして利用するHTC Viveのカメラから取り込んだ映像をリアルタイムに3次元空間に再度落とし込み、仮想空間内の光などを反映した上で体験者に見せているのだ。だからこれはVRではなく、MR(Mixed Reality)と呼ばれる。

足元を見ると自分の足が見えるし、隣に立っている同伴者も見える。つまりドキドキしながら館に足を踏み込んだ2人が一緒に仮想空間に「入った」ような感覚を作り出す。そんな現実と仮想が混じる世界を作り上げようとしている。VRコンテンツは長尺になると体験者が感じる「孤独」が問題と言われることもあるが、こうした複数人で入れる仮想世界のMRには大きな可能性を感じるところだ。

やろうと思えば、際限なく怖くできてしまう

今回のTyffonへの出資を決めたインキュベイトファンドの投資家、赤浦徹氏は、取材に訪れたぼくに対して「事前にトイレに行ってください」と念を押した。初めはお決まりの冗談なのかと思ったが、必ずしも誇張ということではなかったようだ。これは、かなり怖い。

暗がりから襲いかかってくる化け物は、本当に……、襲ってくるし、うめき声を上げるゾンビだか死体だか分からない何かが目の前の毛布の下でうごめく。仮想空間内で壁に当たらないように廊下を進んでいくと、上にあるクロマキー処理のための単色カーテンで区切られた狭い空間をぐるぐる歩くことになる。だが、実際には館の中は小部屋に分かれて、次々と背後で嫌な音を立てて扉がしまったりする。ある時はエレベーターに入ったと思えば、ものすごい速度で落下するような映像に包まれる。

「床を振動させたり、体験者に風を当てるとか、そうしたこともやっていきたいですね」

そう語るのはTyffon創業者で代表取締役の深澤研氏だ。4D映画のように冷気や匂いなど、まだまだ体験をリアルにするためにやれることはあるという。ただ、商業施設で導入するとした場合、あまり利用者が怖がりすぎないよう安全面の配慮が必要そうではある。実際、ぼくが体験した10分ほどのコンテンツは怖さを抑え気味にしていたものだそう。本当は化け物に食べられてしまって腸内を歩くコンテンツとか、後ろから大きな口が追いかけてくるようなものもあるそうだ。ぼくが体験したコンテンツは初心者向け。同じ方向にぐるぐる回るものだったので方向感覚も保てたが、コンテンツによっては迷宮の中を歩くようなものにできるし、どんな長大なコンテンツも原理的には可能という。当然こうしたコンテンツには年齢制限が課されることになる。

HTC ViveのようにカメラがあるVRヘッドマウントディスプレイを使って撮影した映像を、仮想空間内に再現して合成するコンテンツというのは今のところ多くない。撮影した腕を3次元空間内に再現するのは自明の処理ではなく、普通にやると単に平面にカメラ映像を貼った感じになってしまう。これを曲面のようにするのは特殊な処理で、ほかにも撮影した人物などを館の中の照明の方向や色に合わせる処理をすることで没入感を作り出しているそうだ。

ぼくがやったデモでは2万匹のイナゴにわっと囲まれるという、実に嫌なシーンもあった。そろそろと廊下を歩いていると壁に何かがいる。何だろうとランタンを近寄せて照らすと、赤いイナゴがぞわぞわうごめいている。もっとランタンを近づけるとイナゴがサッと散る。かと思えば背後でドアがバタンと閉まり、狭い空間に閉じ込められる。そして大量のイナゴがどこからともなく沸いてきて、イナゴの大群に襲われる。頭でCGと分かっていても、これは本当に気味が悪いものだった。と、同時にいくら背中にそれなりの処理性能のPCを背負っているとはいえ、高度なCG処理だなとも思えた。聞けば、3万匹程度は実用的な速さで動かせるという。

ホラーの世界観に魅せられた少年

Tyffonの深澤氏は、2011年11月の創業以来、アプリ開発を手がけてきた。撮影した顔写真がソンビになり動き出すという一種のセルフィーアプリ「ゾンビブース」は2012年のリリース以来、バージョン2の続編も含めて3500万DLという大きなヒット作品となり、アイテム課金で黒字化していたそうだ。

zombiebooth

深澤氏はゾンビブースやMacig-Reality Corridorを作るべき経歴と嗜好をもっている。

photo01

Tyffon創業者の深澤研氏

「これが中学2年生のときに描いた絵なんです」。そういって指差したオフィスに置かれた油絵をみると、立派なホラーテイストの頭蓋骨。14歳の息子が描いたとしたら親が将来を心配してギョッとしそうな絵ではある。聞けば、5歳の頃に体験したディズニーランドのホーンテッドマンションの影響を強く受けているのだとか。テクノロジーとアートの融合する領域で何か作りたかった、という深澤氏は、3DのCGアニメーションを作って海外の映画祭で上映するなどアート方面の活動もしていた。大学では情報科学の1領域としてフェイシャル・アニメーションを研究していたし、Tyffon創業に前後して顔写真から表情の動くアニメーションを作る技術を持つ、モーションポートレートにも参画していた経緯もあるという。

2014年にディズニーのアクセラレーターの第1回プログラムに選ばれて渡米。参加8社のうち1社のみが日本のスタートアップだったといい、このときディズニーからシード投資も受けている。実は同じプログラムに参加していたのが、スターウォーズの丸いキャラ「BB-8」で知られるスフィロだ。BB-8が生まれたキッカケはまさにこのディズニーのプログラムで、ディズニーCEOのロバート・A・アイガーがアクセラレターの初日、2日目とやってきて、そこでスフィロと話をしたところから、あの愛嬌のあるBB-8は生まれたそうだ。

グローバルにみれば、似た領域で取り組んでいるスタートアップとしてThe VOIDZero Latencyがある。どちらも、お化け屋敷やホーンテッド・マンションといったジャンルと異なるシューティングゲームを作っている。

すでにTyffonは大手メディア企業と組んで都内で体験スペースを設けることが決まっているほか、テーマパークや大手小売店舗からの引き合いがあるという。設置面積が小さくて済むメリットから都市型アミューズメント施設を中心に導入が進みそうだ。Tyffonは米ディズニーからも投資を受けているので、海外展開にも期待したいところだ。

Einrideが自動運転EVトラックを開発――スウェーデンからT-Podのプロトタイプ登場

スウェーデンのテクノロジー・スタートアップ、EinrideはT-Podのフルスケールのプロトタイプを発表した。これは自動運転の電気自動車で、Einrideでは小型のパレットを運送するトラックの役割を果たすことを狙っている。エネルギー容量は200kWhで航続距離は200km、遠隔操作で積荷の処理が可能だ。

T-Podは写真でわかるとおりたいへんユニークなデザインだ。Einrideでは自動運転と積荷の遠隔操作のためにゼロからデザインしたという。つまり荷物を取扱うためのクルーが乗車する必要はない。この車両は積荷を無人で効率的に運送するために最適化されている。T-Podは2020年までにスウェーデンの2都市、イエテボリ〔ヨーテボリ〕とヘルシンボリを結ぶルートに200台のT-Podを投入する考えだ。同時に充電ステーションも建設される。

  1. tpod_material10.jpg

  2. tpod_material9.jpg

  3. tpod_material6.jpg

  4. tpod_material5.jpg

  5. tpod_material4.jpg

  6. tpod_material3.jpg

  7. tpod_material1.jpg

  8. tpod_material2.jpg

T-Podのネットワークは年間で200万個の荷物パレットを運送することを目指している。Einrideによれば、これはCO2の排出に換算して40万台の自家用車が同じ距離を走った場合に相当するという。Einrideでは需要さえあればネットワークを予定より早く拡大することは可能だとしている。

現在、トラックに関しては既存のセミトレーラーに自動運転機能を後付する方法が主流だが、T-Podのように自動運転電気トラックをゼロから開発するというのは興味ある方向だ。積荷のリモコン処理について、Einrideでは「人間の柔軟な判断力が自動運転を補う」としている。一人のオペレーターが複数のT-Podを同時にコントロールできるという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Tesla、Q2の出荷台数は2万2000台、2017年前半では4万7000台

Teslaは、2017年第2四半期に2万2000台の乗用車を出荷したことを本日発表した。このうち1万2000台がModel S、1万台がModel X SUVで、2016年同期の出荷台数から53%増えた。

2017年Q1とQ2の合計では4万7100台となり、2016年全体で7万6000台という目標を上回る勢いだ。Teslaの第2四半期の出荷台数は100kWhバッテリーの品不足が足かせになったと同社は言っている。このバッテリーは新しい技術の生産ラインを使って製造しているもので、同社の新たな課題となっている。Teslaによると生産量は6月初めの段階で約40%需要を下回っていたが、その後は会社史上最高の実績(受注、出荷共)をあげている。

Teslaは2017年後半のModel SとModel Xの出荷台数は、前半を越えると予測している。なおQ2の生産台数は2万5708台だった。さらにTeslaはModel X車の展示および試乗用車両を大幅に増やしたと言っている。一部のショウルームに車がなかったことを受けたものだ。同社は、Model Xの生産能力が劇的に向上し、生産ラインの「初期品質問題」は「ごく稀」にしか起きていないことにも言及した。

Teslaの出荷台数は、車両が物理的に顧客の手に届き、書類手続きもすべて完了しているものを数えている。 また同社は7月28日からModel 3を最初の購入者30人に出荷すると発表した。最初の正式量産車は今週金曜日に完成する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、インテルサット35e打ち上げを発射10秒前に中止

アップデート 8:35 PM EDT:打ち上げは再び発射10秒前に中止された。これは昨日の発射中止と同じタイミングだ。このことから今回もコンピューターによる自動遮断によって中止されたことが示唆されるが、SpaceXは昨日の問題は間違いなく修正されたと打ち上げ時のアナウンスで発表した。

昨日の中止の原因は、ロケットのガイダンスシステムがオフになっていると表示されたためとされていたが、後の検査の結果同システムに異常はなく、コンピューター自身が原因だったことがわかった。SpaceXは今日の中止の原因を今も調査中だが、代わりの打ち上げ日は明日7月4日に設定された。

アップデート 7:06 PM EDT: SpaceXの2回目の変更により、打ち上げ時刻は8:35 PM EDT(5:35 PM PDT)に再設定された。発射時限は8:36 PM EDTなので、これ以上延期されれば本日の発射は中止するほかない。

アップデート 6:50 PM EDT:SpaceXは発射予定時刻を8:07 PM EDT(5:07 PM PDT)に変更した。今日のミッションの発射時限は7:37 PM EDTから約1時間後までなので、状況によっては再変更もありうる。ライブフィードは7:52 PM EDT(4:52 PM PDT)開始の予定。

SpaceXの静止衛星Intelsat 35eの打ち上げ時刻は月曜日(米国時間7/3)7:37 PM EDT(4:37 PM PDT)に再設定された。これは、前日カウントダウン10秒を残してコンピューターにより打ち上げが中止されたことによる、バックアップ用打ち上げ時間帯だ。

Intelsat 35eの打ち上げでは、宇宙への推進に使われるFalcon 9ロケット第一段目の回収は行わない。これには正当な理由がある。今回の積載物はSpaceXによるFalcon 9打ち上げの中で最も重いため、ロケットは第一段目の回収が不可能な形態で構成されているからだ。

この打ち上げはSpaceXにとってわずか10日間で3回目の試みになる。先々週の金曜と先週の日曜日にそれぞれミッションを実行した。7月3日、SpaceXは同社が打ち上げたISS補給ミッションのDragonカプセルの回収にも成功している。これは、ISS訪問後に地球に帰還後、改修して再利用された最初のDragonカプセルだ。

SpaceXの打ち上げライブストリーム中継は、発射約15分前から始まる予定で、7:22 PM EDT(4:22 PM PDT)頃に始まる予定だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

無名のユニコーンたち:資金がない状態から始まった35の大企業ーーVCは起業に必須ではない

【編集部注】著者のJoe FlahertyはFounder CollectiveのContent & Communityディレクターである。

ベンチャーキャピタルは麻薬だ、そしてVCでクスリ漬けになる可能性もある。しかしほとんどの創業者たちにとってそれは贅沢な悩みだ。より頻繁に投資家たちが耳にする質問は「私のスタートアップを支えてくれるVCを見つけるにはどうすればいいですか?」というものだ。こうした創業者たちは、過剰資本が彼らのIPOをどれほど厄介なものにするのかを心配してはいない。とにかく彼らは最初の条件規定書(term sheet)に署名してくれる誰かを(誰でもいいから)得ようと躍起になっている。

世の中の創業者たちの間で広く信じられているものの1つに、ベンチャーキャピタルは成功の前兆だというものがある。VCは多くの成功したテクノロジーベンチャーに見られる共通点だが、必須の条件というわけではない。特に初期段階では。

起業家は、ほとんどまたはまったく資本のない状態で、かなりのことを成し遂げることができる。資本によって洞察に富んだ会社になるわけではない。創造的に1ドルを10ドルを変えられないのに、何故100万ドルを1000万ドルにできると思えるのか?

スタートアップが進むことのできる方法を説明するために、以下に数千ドルあるいは額の汗だけを資本に始まった35社の例を示す。これらはみな私が「効率的な起業家精神」と呼ぶもののお手本となったものたちだ。

これらの企業の多くは、その後10億ドルの評価額を得ている、その中には10億ドルの収益を上げているものもある。しかしいずれもシードラウンドとみなされるもの以外で始まった企業はない。これらのスタートアップのほとんどは後にVCから資金を調達したものの、それはもう投資家からの資金調達の有無に関わらず成功できるという事実を確立したあとに過ぎない。現在でも、彼らの多くは広くは知られていない。彼らは、ハイテク業界の目に見えないユニコーンなのだ。

なので、投資家たちとのミーティングを慌てて予定する前に、これらのストーリーを読んで欲しい。これらは多くの創業者たちが抱いているVC中心の見方に対する釣り合いを取らせるものであり、資金調達について考える際に別の方法を提供するものだ。

以下に続くのは、こうした企業たちの簡単で簡潔な説明(彼らがとったアプローチ別に分類されている)と、それらの詳細を読むことができるストーリーへのリンクだ。忘れないで欲しい。ベンチャーキャピタルを受け入れることは、強制ではなく選択でなければならないのだ。これらの会社は、その方法を見せてくれる。

何かを生み出し、その後お金を調達する

ほとんどの業界で、もし顧客の本当の問題を解決してその費用を求めることができるなら、始めるためにベンチャーキャピタルは必要ではない。これについて考える際には3つの方法がある:

ワークフローの自動化

有益なプロダクトを生み出す最も簡単な方法は、日々のワークフローの一部を自動化することだ。これにより、構築しているものへの需要が証明され、プロジェクトのための資金調達源が確実に得られる。

MailChimp :共同創業者/CEOのBen Chestnutが、2000年にデザインコンサルティング事業を経営していたときに、電子メールニュースレターを発行したいという顧客が連続してやって来た。唯一の問題は、彼がそれらをデザインすることを面倒だと思っていたことだった。そこで、チームを退屈させないために、彼はプロセスを合理化するツールを作ることにした。 年商4億ドルのビジネスMailChimpは、このようにして生まれた。

Lynda:Lynda Weinmanは、1990年代後半に、ウェブデザイナー向けのツールの教師としてスタートした。書店でのセミナーは退屈だったので、彼女はやがて生徒たちをより良く指導できるトレーニング動画の作成を始めた。次々に作られたチュートリアルによって、彼女の会社はソフトウェア開発者とデザイナーたちのスキル向上を手助けして来た。彼女はコンテンツライブラリの構築を20年続け、その技術資産の蓄積はLinkedInが15億ドルで買収するまでに成長することができた。

資本効率の高い製品から始める

多くの起業家は業界リーダーに真正面から挑み、通常は失敗に終わることになる。これは特にハードウェアの場合に当てはまる。Appleのような会社と競争しようとする代わりに、こうした向こう意気の強いスタートアップたちはRadioShackによって残されたギャップを埋め、敬意を受け見習われる価値のあるビジネスを生み出した。

AdaFruit Industries:Limor Friedは、MITの学生の時代に、既製の部品で構成されたDIYキットを提供することで、彼女のDIY eコーマス帝国を開始した。Friedはエレクトロニクス商店で見られるものと同じビルディングブロックを商品化したものの、同時にユニークなコンテンツも用意して、スペースインベーダー筐体のレプリカを、ハンダ付けしたくなるような気にさせた。現在、彼女は85人の従業員を抱え、年間3300万ドルを稼いでいる。

SparkFunAdaFruitと同様に、Nathan Seidleが大学寮の部屋で、エレクトロニクスキットや奇妙な部品を、エキゾチックな新しいセンサーやシステムを試したいエンジニア仲間向けに売り始めたのが、SparkFunの始まりだ。現在、彼のeコマース帝国は154人を雇用しており、年間収益は3200万ドルだ。

既存の問題を解決し、既存のビジネスモデルを活用する

スタートアップはビジネスモデルの面で特に革新的である必要はない。より現代的な技術プラットフォーム、またはUXレイヤーの上に優れた製品を構築すれば十分だ。ここで見る企業は、どれも車輪の再発明を行なってはおらず、全てが真のバリューを生み出している。

Braintree Payments :オンラインで詐欺師に騙されることなく、お金を交換することは、ウェブ上での最も古い問題の1つだ。取引に関わる全ての当事者たちは、素晴らしい体験のためなら、公平な「税金」を支払うことには喜んで同意する。Braintreeはより良い技術ソリューションを構築し、8億ドルの買収に先行する、2回のVCラウンドで6900万ドルを調達する前に、4年間に渡ってそうした取引からの収益で生き延びていた。

Shopify:Shopifyの創業者は、スノーボーダーのためのeコマースサイトを開始したときに、ショッピングカートのソリューションを探していた 。しかし適当なものを見つけることができなかった彼らは、自分たちの痒みは自分たちで掻くことを決め、当時ホットだったRuby on Railsフレームワーク上に特注ソリューションを構築した。これは、より多くの人々にとっても完璧な解決策であることが判明し、創業者たちはそれが生み出す収入によって、6年の間独立したビジネスを運営していた。彼らは最終的にVCから資金を調達し、その後IPOを行い10億ドルの評価を受けた。

自立ルール

多くの起業家は「CEOを務める」という時間を無駄にしながら、戦略を策定しビジネスがどのように成長するのかの夢の組織図を描きがちだ。それをしてはならない。その代わり、自分が持っているリソースだけを使って、持っているアイデアを前進させるために、今日できることを見つけよう。

Ipsy:一般女性向けに、化粧品の詰め合わせボックスを、毎月サブスクリプションベースで送るサービスは、Birchboxのような先駆者のおかげで成長産業となっている。YouTubeスターのMichelle Phanは、先行者としての優位性は持っていなかったが、オンライン有名人(800万人以上のYouTubeフォロワー)としての地位、化粧品ブランドとのコネ、そして50万ドル以下のシード資金を活用して、化粧品サブスクリプションスタートアップを開始した。その後VCから1億ドルを調達する前に売り上げは1億5000万ドルに達している。

資本によって洞察に富んだ会社になるわけではない。

ShutterStock:Jon Oringerはプロのソフトウェア開発者で、アマチュア写真家でもあった。彼はこのスキルを組み合わせて、個人フォトライブラリから3万枚写真を使いフォトストックサービスを開始した。現在の価値は20億ドルである。資本効率が報われて、ついには彼を本当に自力で辿り着いた億万長者に変えた。

SimpliSafe:人々はハードウェアビジネスをブートストラップしようとする考えを嘲笑するが、SimpliSafeのChad Lauransはそれを実行した。彼は友人や家族から少額の資金を調達し、その後8年間に渡って家庭用セキュリティビジネスを構築して来た。お金を節約するために、最初のプロトタイプは文字通り自分でハンダ付けを行った。8年後、ビジネスは数十万の顧客を獲得し、数億ドルの収入を上げ、Sequoiaから5700万ドルのVC資金を手に入れた

どこから集めてもお金はお金 … (誰のお金も緑色)

資金調達は、数百万ドルが一度にやってくるとは限らない。創業者たちは助成金、インキュベーター、エンジェル、あるいはプリセールスなどからお金をかき集めることが可能だ。もっともやり手の起業家たちは、プロダクトを提供する前から支払いを集めることのできるビジネスモデルをデザインし、顧客を成長資金の源泉にする。

Tough Mudder:陸上競技起業家のWill Deanは貯金の7000ドルを使って、年商1億ドル以上の会社を生み出した。その秘密は、レースへの事前登録を販売し、そこで集まった売上を運転資金として、Tough Mudderを有名にした電化障害物コースを建設したのだ。

CoolMiniOrNot:CoolMiniOrNotは、マニア同士がDungeons&Dragonsのフィギュアをペイントする能力を自慢し合うウェブサイトとして始まった。最終的にサイトの創設者たちは、Kickstarterをチャネルとして活用して、独自のゲームをデザインして配布することを決めた。彼らは27回のKickstarterキャンペーンを実施し、3594万3270ドルの非希釈的(non-dilutive)資金を調達した。ゲームは続く。

売れ!売れ!売れ!

通常、最良の資金源は顧客だ。売ることには2つの利点がある。まず、まず直ぐにキャッシュレジスタを鳴らすことができること。第2に、顧客と共感するものをすばやく学び、それらの洞察を使って商品を洗練することができることだ。

ScentsyDNVB(Digitally-Native Vertical Brands)は大流行りだが、そうしたものは妙に凝った紹介ビデオやFacebookでの広告に過度に依存して売上を上げている。Scentsyは広告を買う余裕がなかった時代には、不要物交換会でロウソクを売っていた。それは格好良いものではなかったが、創業者たちは買い手と共鳴するための確かなメッセージを受け取っていた。今では年間収入は5億4500万ドルを超えている。

CarGurus:このアプリは、データ分析を活用して、顧客が中古車に関する最良の取引を見つけるのに役立つものだ。しかし同社のCEOは、年間5000万ドルの収益と利益率の高さの理由を、同社がライフサイクルの早い段階で営業チームを雇用したからだと言う。同社の350人近くの従業員のほぼ半数が、ソフトウェアを作成するのではなく、セールス電話をかけている。

LootCrate:LootCrate(毎月ギーク商品詰め合わせが届く定期便サービス)は制度的な資金調達を行なう以前に、既に60万人以上の顧客と1億ドルの以上の収入があった。彼らが非常に効率的だった理由の一部は、同社が設立した最初の週末から、顧客に課金を開始したことだ。創業者たちはハッカソンでランディングページをセットアップし、注文を集め、その資金を使ってパッケージを埋めるギークな商品を購入した。

マーケティングをケチる

スタートアップのマーケティング担当者は、無計画なブランドマーケティングで時間を無駄にしたくないだろう。効率的な起業家たちは、即座に付加価値のあるキャンペーンを必要としている。

Wayfair:この家庭用品のeコマース会社は、ブランド広告をスキップし、一般的な検索用語に完全に一致する何百ものドメイン名を購入したおかげで、最初の営業月から利益を上げることができた。このモデルは、最終的には同社が公開直前にシリーズAで1億6500万ドルを調達し、40億ドルの時価総額となるまで、10年に渡る利益性の高い成長を支えた。

創造的に1ドルを10ドルを変えられないのに、何故100万ドルを1000万ドルにできると思えるのか?

Cards Against Humanity:Kickstarterからのわずか1万5700ドルの資金で、Cards Against Humanityチームは最初の年に合計1200万ドルとなるビジネスを作り上げた。彼らはまた、一連の抜け目ないマーケティング上の妙技を披露した。牛の糞ピカソ作品の断片トランプ後のアメリカの虚無感を表現する大きな穴、 そしてトランプからの「緊急避難」バッグを販売し、さらに何の見返りもなしにお金を送ることを募った。これらのプロモーションは安く実行することはできないが、支払ったコストに見合う収入を得ることができて、一方沢山のフリーメディアに掲載して貰うこともできる。

GoFundMe:バイラルマーケティングはビジネスモデルのおまけとして扱われる場合には、当然ながら真面目に取り扱われることはないが、ビジネスモデルにきちんと統合された場合には非常にパワフルな道具となる。超効率的なコンバージョン率最適化手法(CRO:conversion rate optimization)と組み合わせることで、それは無敵なものになる可能性がある。GoFundMeの創業者たちは、このペアの力を使って、ビジネスを約6億ドルで評価される時点までブートストラップすることができた。

効率 > 資金

スタートアップは、しばしば彼らが調達した資金によって評価される。しかし、もっと重要なことは、それらの企業がいかに効率的に資金を使用しているかを尋ねることだ。効率性とは、ひたすら倹約するという意味ではない。その代わり、本質的に資本を組み合わせることでより効率的になる、テクノロジーもしくはビジネスモデルを中心にしたビジネスを指向する起業家たちを見つけることだ。

PaintNite:画家のモネとメルローの赤ワインを組み合わせるという考えはしばらく存在していたが、PaintNiteの創始者はこのモデルをより費用対効果の高いものにしたいと考えた。他の競合相手が、動きが遅く高価なフランチャイズセールスモデルに頼っていたのに対して、PaintNiteはアート教師たちと平日にワインを売りたいと思っていたバーにペアを組ませて、ベンチャーキャピタルから調達を行なう前年には3000万ドルの収益を上げるビジネスを作り上げた。

Plenty of Fish:2003年に設立されたこの出会い系サイトは機能も見かけも10年間ほとんど変化しなかった。他のサイトには、より多くの機能、鮮やかなグラフィックス、豊富なベンチャー資金が注ぎ込まれていたが、Plenty of Fishは無料で、そのリソースの大部分をスパムアカウントとの戦いに費やしていた。Craigslistと共に、Plenty of Fishの最大の資産は、「良質の魚がいる池だ」という評判だ。同社は時間の経過とともにサイトを改良したが、大量の資本注入は必要としなかった。最終的に同社は、5億7500万ドルで売却された。

Mojang:Minecraftの背後にいるレンガ職人たちは決してベンチャーキャピタルの資金調達を行わなかった。たった50人の従業員で、Microsoftに買収される前には、利益で10億ドル近くを稼いでいた。このスウェーデンのスタジオは、Zyngaにインスパイアされたソーシャルスパミングや略奪的な小規模取引のような流行には決して巻き込まれることはなかった。Minecraftはユーザーに定額料金を請求することで成長し、その結果25億ドルの買収が行われた。

幸運は”退屈”を好む

退屈は価値判断ではない。資本なしでなんとか成長できた、最も印象的で成功した企業の多くが、差し迫ってはいるものの、ある意味つまらない問題を解決することで繁栄してきた。もし難しい問題を解決すれば、顧客はそれに喜んで資金を提供する。

  • SurveyMonkeyは90年代のドットコムバブルで設立されて、同類のKosmoのような破壊力は持っていないと思われていたが、会社としてはより耐久性があった。同社はドットコムのクラッシュを生きのび、着実に9桁のランレートになるまでに成長した。開始から11年経って、やっと1億ドルを調達しただけだ。
  • ProtolabsはVistaprintが名刺作成に使っている、プラスチック射出成形を行なっている。現在の評価額は12億ドルである。
  • 13億ドルの価値を持つCventは、イベント管理ツールを開発し、 建設管理を行うTexturaは、6億63300万ドルで買収された。どちらのマーケットもホットで流行っているものとは思われていない。
  • Grasshopperは、15万の顧客と3000万ドル以上の年間収入を持つ電話ネットワーク会社だが、VCに関わったことはなく、最終的にはCitrixに買収された。
  • EpicはJudith Faulknerによって1979年に設立された。ウィスコンシン州に拠点を置くこの電子カルテプロバイダは、おそらく今日稼働している自己資金だけで大きくなった最大のソフトウェア会社である可能性がある。
  • eClinicalWorksは、世の中が「速く成長しよう」と声を揃えていた1999年に設立された。同時代の企業の多くがクラッシュし燃え尽きている。臨床データを管理するという、退屈だが利益を生む作業に力を注ぐことで、会社は生き残り、現在は4000人以上の従業員を抱え、年に3億2000万ドルの収益を生み出している。
  • Unityは、ゲーム開発のなかの(クロスプラットフォームや「バンプマッピング」などの)あらゆる退屈な部分にフォーカスすることで、モバイルゲーム産業のバックボーンとなることができた。彼らは資金調達をすることなく、何年も過ごして来たが、現在は15億ドル以上の評価を与えられており、他の多くのブランドゲームよりも成功している。
  • GitHubは、バージョン管理から苦痛を取り除き、資金調達前に既に、ハイテクエコシステムの重要な一部となっていた。
  • Qualtricsは、学校や企業の調査を管理するためのツールとして、ユタ州の地下室でスタートし、今では1000人の従業員を抱え、年に1億ドルの利益を掻き集める。

ファウンディングを受けられないものは幸いである

資本調達がほとんど不可能なときもある。私たちは数千万ドルの収益を上げ、3桁の成長率を達成し、その他の利点を持ちながら、少額の資金調達にさえ苦労している企業を見てきている。幸いなことに、このようなスタートアップは、このような明らかな不利な条件にも関わらず、最終的には勝つ傾向がある。

Atlassian:シリコンバレー、ニューヨーク、ロスアンゼルス、ボストンの外でスタートアップを始める利点の1つは、VCがあまりないことだ。これは呪い言葉のように聞こえるかもしれない。だが結局のところ、資金のアクセスが得られないのなら、それが何の役に立つというのだろう。それは変装した祝福かもしれないのだ。

このような孤立は、調達した何百万ドルで何をしようかと考える空想からあなたを守り、あなたの目の前にいる、実際にお金を払ってくれる顧客を幸せにするように強制する。オーストラリアに拠点を置くAtlassianは、自力で40億ドルの時価総額へと上った。もし同社がより安易な資金調達を行なうことができていたら、低品質の成長を追いかけ、いかに効率的に成長するかを見出す前に沈んでいた可能性がある。

スタートアップを始めて規模を拡大するのに、資金提供者たちからの許可は必要ない。

Campaign Monitor:資本効率の高い企業の奇妙な特徴の1つは、資金調達の最初のラウンドが、IPOからの収益に近いような、目立った金額になる傾向があることだ。Campaign Monitorの場合、最初の資金調達ラウンドの金額は、2億5000万ドルだった。 シドニーに拠点を置くCampaign Monitorは、ベンチャーキャピタルへのアクセスが容易ではなかったため、ビジネスを自力で始めて、ユニークなテクノロジーを構築した。そのテクノロジーは、Disney、Coca-Cola、そしてBuzzfeedなどへ優れた電子メール解析機能を提供するのものだった。2億5000万ドルの資金調達が、会社を助けるのか傷つけるのかは、やがてはっきりすることだろう。しかしそれは彼らのこれまでの成長に対する確かな評価の1つなのだ。

The Trade Desk:創業者のJeff Greenはプログラム広告業界を発展させるために独自の見解を持っていたが、現代的なアドテックの資金調達サイクルの終盤になってThe Trade Deskを開始した。この市場の過剰資本化は、投資家が悪いパフォーマーによって燃え尽きることと相まって、企業がそのライフサイクルを通した資金調達のあらゆるラウンドで苦労することになった。Greenは、申し分のないスタートアップCEOであり、同社の最初の6年間でベンチャーキャピタルから2640万ドルだけを調達し、ナスダックで取引される10億ドルの事業へと転換した。でもどうやって?より少ない資金を持つという制約を受け入れることで、最高のリターン活動に焦点を当て、資金の注入よりもむしろアイデアで動くイノベーションの文化を構築したのだ(情報開示:Founder CollectiveはThe Trade Deskの投資者の1つである)。

VCは完璧ではないし、最善のVCでも確かに思えるアイデアを見逃してしまうこともある。創業者たちがかつて、投資家たちに対して、やがて10億ドルのビジネスに育ったビジネスを売り込むことができなかった話を耳にすることは驚くほど普通のことなのだ。AppLovinの創業者Adam Foroughiは、その事業を14億ドルで売却したが、収益が多くてもベンチャーキャピタルから資金調達をすることは困難だった。「合理的な評価額(おそらく400万から500万ドル)だと思った金額では投資家を見つけることができませんでした。1年目の終わりまでに、私たちは利益を上げるようになっていて、月の収益は100万ドルを超えていました」。残りは、彼らが言うように、歴史だ。

覚えておくこと:VCを中心としたビジネスのデザインは避ける

あまりにも多くの創業者たちが、創業1日目からその事業をベンチャーキャピタル中心に考えて始める。かつてスタートアップは、何かを形作ったあと、お金の調達を考えたものだ。しかし今日では、彼らは何かを形作るためにお金を調達しようとする。創薬や航空機開発をしようとしているのでなければ、これは通常間違った判断だ。実際、リソースを使わずに前進することは、VCがあなたの会社に関心を持つようにするための最良の方法だ。上記で述べた企業たちは長期間資金を調達しないことを選択したが、彼らがそうしたときには、投資家に対する選択肢が生まれ、条件を設定することができた。

私たちのアドバイスは、ビジネスを未来永劫、自己資金だけでブートストラップせよというものではない。ベンチャーキャピタルは、AppleからZapposに至るまで、ほぼすべての大手テック企業に資金を供給してきた。単に、始めるためにはお金はいらないのだ、ということだけを覚えていて欲しい。スタートアップを始めて規模を拡大するのに、資金提供者たちからの許可は必要ない。したがって、VCが次にあなたに「合格です」と言ったときには、次の3つの原則を覚えていて欲しい。

  • 最初に資金がなくても、テクノロジーを武器にしたビジネスを離陸させることは可能だ。
  • 僅かな資金でテクノロジービジネスを迅速に拡張することは可能だ。
  • 彼らが取る資本の量を制限することが、創業者の最大の関心事であることがよくある。

自己資金で並外れた成果を出しつつある企業をご存知なら、是非お知らせ願いたい。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ファーウェイがMacBookそっくりの「MateBook X」を7月7日に国内発売――価格は14万6800円から

eng-logo-2015

ファーウェイは、12インチMacBookそっくりのWindows 10 PC「HUAWEI MateBook X」を7月7日に国内発売します。

主な特徴は、13インチ 2160 x 1440解像度(アスペクト比3:2)の液晶ディスプレイ。Core i7搭載なのにファンレスな静音性、薄さ12.5mm・重さ1.05kgのコンパクトな筐体など。

実機を前にして、まず目を惹くのはディスプレイの鮮やかさです。サイズは13インチで、解像度は2160 x 1440。12インチMacBook(第3世代)と見比べても鮮やかさは一目瞭然です。タッチ操作には非対応です。

左からMateBook X、12インチMacBook(2017)

左から12インチMacBook(2017)、MateBook X

スマートフォンやタブレットも開発するファーウェイらしく、ディスプレイの表面は凹凸のないフラットな仕上がり。また、ブルーライトカットモードにより、目への負担を軽減する機能も備えます。

プロセッサにはIntelのKabyLake Uシリーズを採用。Core i7 7200U搭載でファンレスを実現します。これは、航空宇宙の領域で使われる冷却素材の採用で実現したとのこと。ファンレスの意義について担当者は「ベンチマークを回すと当然熱くなります」とする一方、「重い作業をする際、ファン付きだとキーンという音がしてうるさいが、ファンレスなら無音なので集中できます」と説明します。

サウンドにも力を入れたといいます。ファーウェイいわく、ドルビーアトモスサウンドシステムをPCとして初搭載。「スピーカーの音響設定もドルビーと共同で行い、アトモスサウンドとして聞こえるようにチューニングした」と担当者は語ります。

実際にサウンドを聞いてみたところ、12.5mmの薄型ノートPCとは思えないほどの迫力。YouTubeのようなドルビーアトモス向けに特別にチューニングされていない音源でも高クオリティでした。

本体はフルアルミボディ。液晶回りのダイヤモンドカット。そして金属筐体の表面のサンドブラスト加工など、ファーウェイのスマートフォンやタブレットと一貫したデザインコンセプトです。カラーはプレステージゴールド、ローズゴールド、スペースグレーの3色展開。本体サイズは286 x 211mm x 12.5mm、重さは1.05kgです。

キーボードの右上には、電源ボタンと一体化した指紋センサーを搭載。ファーウェイのP9シリーズと同じく、リング状のデザインです。電源オフの状態からボタンを押した時点で指紋認証がスタート。ワンアクションで直接Windowsアカウントにログインしてくれます。

指紋は最大10個まで登録可能。例えば家族で使用すれば、お父さんが押せばお父さんのアカウント、子どもが押せば子どものアカウントと行った具合に、自動的にアカウントを切り替えてくれる利便性もあります。

本体の左右にUSB-Cを1つづつ搭載。USB-PD対応ですが、本体の充電は片側のポートしか使えません。USB-A端子やHDMI、SDカードスロットなどは非搭載。別売りですが、ファーウェイ純正のUSB-Cハブを用意します。なおヘッドホンジャックは搭載します。

バッテリーは、標準的な利用状況で10時間の持続をアピールします。

本体価格はOffice付きとOffice無しバージョンを用意。Core i5 / 256GBのOffice無しが税別14万4800円。Core i7 / 512GBのOffice付きは20万1800円となります。

Engadget 日本版からの転載。

高級飲食店の予約サービス「ポケットコンシェルジュ」運営元が三越伊勢丹HDから資金調達、業務提携も検討

ポケットメニューは、厳選したレストランの予約から決済までできるサービス「ポケットコンシェルジュ」を運営している。本日、ポケットメニューは三越伊勢丹イノベーションズを引受先とする第三者割当増資を実施した。金額は非公開だ。今後は業務提携も検討するという。

ポケットコンシェルジュは全国の名店を掲載していて、ユーザーはお店の予約やキャンセル待ちができる。店の予約は事前決済を行う仕組みで、店舗にとっては予約客が予約日時の直前にキャンセルしたり、来店しないというリスクを減らすことができる。他にも予約時に会食や記念日といった利用目的の詳細やアレルギー食品を店側に伝える機能などを実装している。

ポケットコンシェルジュの会員数は現在17万人を超え、レストランは約480店掲載しているという。「インバウンドの会員及び予約は急成長しており、月次で15-20%程度伸びている月も多い」とポケットメニューのCFOを務める小山達郎氏は説明する。

ただ、今回の三越伊勢丹イノベーションズからの出資と業務提携は、主に国内でサービスを訴求することを念頭に置いているという。

三越伊勢丹HDが提供するエムアイカードには約270万人の会員が登録しているが、ポケットコンシェルジュはそうしたカード会員向けのサービスの提供や、サービスの利用に応じてエムアイカードのポイントを還元するといった連携を検討しているという。他にも新商品やサービスの共同開発なども行う考えだ。ゆくゆくは、インバウンドにおいても協働していきたいと小山氏は話す。

ポケットメニューの代表取締役社長を務める戸門慶氏は、プレスリリースで以下のようにコメントしている。

「高級消費がモノからコトに移行していく中、我が国で最も良質なユーザーを抱える三越伊勢丹HDと新商品・サービスを共同開発・提供出来ることを光栄に思います。今後の展望としては、三越伊勢丹HDとの協働を通じて、日本の素晴らしい食文化を日本及び世界に発信し、日本の飲食業界、ひいてはサービス業界が輝く世界を創って参ります」

ポケットメニューは2011年に創業し、2013年からポケットコンシェルジュを展開している。2013年9月にフジ・スタートアップ・ベンチャーズと日本ベンチャーキャピタルらから約6000万円を調達した。2015年2月にはLINEから資金調達を実施し、2016年4月にもアイ・マーキュリーキャピタル、アドウェイズ、マネックスベンチャーズ、アライドアーキテクツ、500 Startups Japanらから数億円を調達している。

Nintendo Switch効果で国内家庭用ゲームの市場規模が3年ぶりにプラス

ゲーム総合情報メディアの「ファミ通」は7月4日、2017年上半期の国内家庭用ゲーム市場についての調査レポートを発表した。集計期間は2016年12月26日〜2017年6月25日。

ファミ通の調べによれば、2017年上半期の国内家庭用ゲーム市場(ハード+ソフト)の市場規模は1532億円。昨年の1334.9億円と比べると、約14.8%上昇していることになる。

前年比で市場規模が増加したのはこれが3年ぶりだ。

内訳を見ると、ソフトの市場規模は昨年の803.7億円から766.9億円に小幅に下落した一方、ハードは昨年比44%上昇の765.1億円となっている。2017年3月に発売開始したNintendo Switchが貢献した結果だろう。

2017年6月25日までのNintendo Switchの推定累計販売台数は約100万台だ(ファミ通調べ)。任天堂の公式発表では、2017年3月末時点(発売から1ヶ月あまり)での販売台数は世界累計で274万台、国内では60万台だった。世界全体でも日本と同じスピードで販売台数が上昇していると仮定すれば、もしかすると世界累計では400〜450万台ほどの販売実績があるのかもしれない。

Switchを発売して以来、任天堂の株価は上昇しつづけている。

2017年3月1日の終値は2万3285円だったのに対し、本日の終値は3万5090円。この約3ヶ月で約50%の株価上昇率だ。同じ期間で計測した日経平均の上昇率は約3.3%だった(1万9393円から2万32円へ上昇)。

ファミ通が発表した2017年上半期の家庭用ゲームソフト推定販売本数ランキングは以下の通り:

  1. モンスターハンターダブルクロス(3DS):約164万本
  2. ポケットモンスター サン・ムーン(3DS):約53万本
  3. マリオカート8 デラックス(Nintendo Switch):約50万本
  4. ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(Nintendo Switch):約46万本
  5. スーパーマリオメーカー for ニンテンドー3DS(3DS):約40万本

ファミ通はレポートの中で、「2017年下半期は、ゲーム業界を代表する人気シリーズの最新作『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』(スクウェア・エニックス/2017年7月29日販売予定/3DS・PS4)が登場します。また、『スプラトゥーン2』(任天堂/2017年7月21日発売予定/Switch)の発売により、Nitendo Switch本体の売上がどこまで伸びるのか注目が集まります」とコメントしている。

レポート本文はこちらからダウンロードできる。

履歴書を廃止しテストの結果でAIが求職者の適性を判定するHarverがシリーズAで$8.1Mを調達

人を雇うときには、履歴書という厄介物を相手にしなければならない。方法はいろいろあるし、履歴書の篩い分けを代行してくれるサービス企業もある。でも、大量の履歴書を読むことから、そうやって逃げるための努力も、忌まわしい仕事だ。

しかし人間リクルーターを起用する代わりに、自分で自分を訓練し最適化した機械学習のプラットホームを使えるとしたら、どうだろう。

実はそれが、Harverのやり方だ。同社は今回、Insight Venture PartnersがリードするシリーズAのラウンドで810万ドルを調達して、AIによる予選(初期的選別)プラットホームTalentPitchのユーザー拡大を目指している。

これは、企業の既存のHRプロセスやシステムを統合して履歴書をリプレースするプラットホームだ。予測分析によって、雇用の過程を改良する。

今回の資金調達で同社の調達総額は1140万ドルになり、今ではBooking.com, Netflix, Zappos, OpenTable, Casper, Adeccoなどがユーザー企業だ。顧客は13か国に分散し、求職者の予選を42の言語で行い、今日(米国時間6/30)ついに、アメリカに上陸した。

Harverの仕事は、履歴書をリプレースすることだ。

求職者は履歴書を書く代わりに、選別のための質問に答えていく。これで最初から、適材を選べる。その過程で、その会社や会社の企業文化を紹介したビデオを見たり、現実的な判断を試されたり、人格のテスト、知力のテスト、言語能力のテスト、求職者のスキルを判定するためのゲーム、などなどがある。これらのテストの結果を総合して、Harverのアルゴリズムが、その求職者の適性を判断する。

HarverのCEOでファウンダーのBarend Raaffは曰く: “今の仕事の多くは、それらへの求職者の適性を予見するために、履歴書はほとんど役に立たない。Harverの完全に自動化された人選ソリューションはビッグデータに基づいているから、きわめて客観的に求職者の資質を判定できる”。

このシステムには、リクルート業界も注目すべきかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

たった15分で顔検知アプリが作れる――映像解析システム開発基盤「SCORER」が2.1億円調達

映像解析システムの開発プラットフォーム「SCORER」などを提供するフューチャースタンダードは7月4日、スパイラルベンチャーズテックアクセルベンチャーズ、および既存投資家を引受先とした第三者割当増資を実施し、総額2.1億円を調達したと発表した。

フューチャースタンダードが手がけるSCORERは、映像解析技術を使ったプロダクト/サービスの開発を簡易化する開発プラットフォーム。SCORERの特徴は、映像データの生成、クラウド上での映像データの保存、映像解析技術の利用、解析データの分析・保存などの機能群を一元的に管理できる点だ。

「すでにある機能を仕入れて、使い易くする」

実装済みの機能の例として、オムロンの年齢推定、NECの表情認識、SENSETIMEの人流解析などがある。SOCRERではこれらの機能がモジュールとして用意されていて、ユーザーはそれらの映像解析技術を利用したサービスをスピーディーに構築することができる。また、同社が提供しているRaspberry Pi 3用の「SCORER SDK」を利用すれば、ブラウザで完結する開発環境を整えることが可能だ。

SCORERで提供される基本機能は無料で利用できる。同社は今後、一部のオプション解析や一定期間以上のデータの保存に課金することでマネタイズしていく。

フューチャースタンダード代表の鳥海哲史氏は、「カメラで顔を検知するとLINEで通知するというようなアプリであれば、15分程度の時間で作ることができる」と話す。

「私たちがやらないことは、解析アルゴリズムを自分たちでつくること。人の検知などのアルゴリズムは世の中にたくさん存在していて、ある意味ではコモディティ化している。そのため、私たちが提供する価値は、すでに存在するものを仕入れて、それを使い易くするということだと思っている」(鳥海氏)

映像解析技術を自製せず、他社がすでにつくりあげたものを使う。だからこそ、ある技術が陳腐化したとしても、SCORERは新しく生まれた技術を”仕入れる”だけでいい。

しかし一方で、そのようなビジネスモデルの参入障壁は低くなってしまうことも事実だろう。それについて鳥海氏は、「私たちは2年かけて映像解析アルゴリズムを集めてきた。他社が同じことをやろうとしても、同程度の時間がかかるだろう」と語る。「どれだけ早くエコシステムを構築するかが鍵となるでしょう」(鳥海氏)

他社との共同開発

もう1つのマネタイズ手段、およびプラットフォームの認知度向上の手段として、フューチャースタンダードは他社と共同のプロダクト/サービス開発も行っている。

その例が、カメラ映像を利用した屋外広告の効果測定だ。表示回数やクリック回数で簡単に効果測定できるWeb広告とは違い、これまでの屋外広告の効果測定では、最寄り駅の乗降人数、広告を視認できる高速道路の流入量、広告周辺の交通量調査などのアナログなデータを利用するしかなかった。

そこで、フューチャースタンダードは看板・ディスプレイ施工大手のクレストと手を組み、カメラ映像を解析してデジタルサイネージや屋外広告の効果測定を行う「Esasy(エサシー)」を2016年2月に発表した。

たとえば、屋外広告の効果測定を行う場合、屋上に設置したカメラの映像を解析し、横断歩道で待っている人数、彼らの顔の向きなどを解析する。これにより、従来の方法よりも精度の高い効果測定を行うことが可能だという。

この他にも、フューチャースタンダードは以下のような共同プロダクト/サービス開発を行っている:

  • TISとの協業で、工場向け導線解析ツールの開発・導入支援を実施
  • スパリゾートハワイヤンズにおける、プール内安全確認映像解析システムの開発
  • 東京大学との共同研究として、空家物件の各種情報(騒音レベルや日当たりなど)を可視化するデバイスを提供

フューチャースタンダードはこのような共同プロジェクトを通してSCORERの利便性や開発スピードの速さをアピールすることで、プラットフォームの認知度の向上を図るという。

2014年創業のフューチャースタンダードは、これまでにインキュベイトファンドなどから1.3億円を調達している。

建設業のための写真管理アプリ「Photoruction」を運営するコンコアーズが1億円を調達

CONCORE’S(コンコアーズ)は、建設現場向けの業務改善プラットフォーム「Photoruction(フォトラクション)」を提供しているスタートアップだ。コンコアーズは本日、総額1億円となる第三者割当増資を実施した。引受先は、ジェネシア・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、個人投資家、既存株主のプライマルキャピタルだ。また、調達と同時にフォトラクションの正式版リリースも発表している。

フォトラクションは専用アプリから建設現場の状況をスマホで撮影し、管理できるようにするサービスだ。撮影した写真には工種や種別などの情報を登録する。撮影場所は予め取り込んでおいた図面の場所をプロットして登録する。

Photoructionアプリ

フォトラクションでは写真を撮影者、場所、日時、工事内容などの項目別にフィルタリングすることが可能だ。また、写真はアルバムにまとめ、印刷用にPDFやエクセルでダウンロードしたり、他のユーザーと共有したりすることができる。

建設現場では現場監督らが建設途中の様子を撮影し、記録を取っているとコンコアーズの代表取締役CEOを務める中島貴春氏は説明する。施工が完了すると内部の構造などがどうなっているか分からなくなるため、記録と報告のための写真を残すのだ。例えば、渋谷ヒカリエのような大型の建設現場では、建物が完成するまでに15万枚以上の写真を撮影するという。

これまで現場監督は黒板にチョークで必要事項を書き込み、デジカメで撮影した後、パソコンに取り込んで報告書を作成したり、職人に変更や指示を伝える書類を作成したりしていた。フォトラクションは現場監督がすでに持っているスマホから現場を撮影し、簡単に写真を整理できるようにすることで、こうした作業の非効率を解消する。

中島氏は前職で大手建設会社に勤めていたそうだ。「現場の業務が分かるので、求められている機能を先回りして作ることができます」と中島氏は話す。例えば、建設現場には電波が届かない場所もあるので、アプリはオフラインでも使えるようにした。また、建設現場の写真には機密情報も含まれている。端末を紛失した場合でも情報漏洩を防ぐため、遠隔からアプリ内のデータを消す機能も実装しているそうだ。

今回の資金調達はサービス開発に充てる予定だ。フォトラクションは建設現場での写真整理を切り口としたサービスだが、今後は図面や工程表管理といった建設現場の他の業務にも対応していく予定だという。また、手で入力しなくとも写真の撮影場所を正確に特定したり、図面をより賢く理解できるAIの開発も進めると中島氏は話している。

コンコアーズは2016年3月に創業し、2016年12月にはプライマルキャピタルから1500万円を調達している。

今年に入ってから建設現場向けのチャットアプリ「stacc」小柳建設がマイクロソフトのAR端末「Microsoft HoloLens」の活用を進めるといった建設業でのITニュースを紹介した。建設業界でも少しつづテクノロジーが浸透し、人々の働き方を変えつつあるのかもしれない。

メルカリがCtoCに特化した出資を加速、「メルカリファンド」を立ち上げ

7月2日に設立4周年を迎えたメルカリ。同社が発表したインフォグラフィックスによると、フリマアプリ「メルカリ」のダウンロード数は7500万件(日本5000万件:米国2500万件)まで拡大している。そんな同社がCtoC事業やその周辺事業を行う企業への出資を加速するため、7月4日に「メルカリファンド」の開始を発表した。

メルカリファンドはいわゆるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や子会社による投資ではなく、あくまでメルカリ本体でのプロジェクトを指している。

このプロジェクトでは、商材やサービスなど、特定の分野に特化したCtoC事業を行う企業や、マーケットプレイスの活性化を促進する事業を行う企業等を対象として投資を行う。メルカリはこれまでもネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEや家電・カメラ等のレンタルサービス「Rentio」運営のレンティオ、スマートフォンアプリ向け語学レッスンサービス「flamingo」運営のフラミンゴに出資している。このうちフラミンゴに関しては、メルカリファンドからの出資という扱いだという。

メルカリファンドの出資金額については特に上限を設定せず、個別案件ごとに検討するという。また出資する事業に関しては、メルカリやメルカリ アッテなどのサービスとの連携も検討する。メルカリは2月にフリマアプリ「スマオク」を手がけるザワットを買収しているが、「投資検討をする中で買収という選択肢をとることも視野に入れる」(メルカリ)としている。問い合わせはメールアドレス「mercari-fund@mercari.com」宛てとなっている。

目的はCtoCプラットフォームの拡大

ただメルカリが今回の取り組みで狙うのは、買収ありきというものではなく、あくまで特化型CtoCサービスや周辺サービスの支援によるCtoCプラットフォームの拡大だという。

この構造は、今やゲームの会社となったミクシィが、SNSの会社だった頃に取り組んだ「ミクシィファンド」に近いものを僕は感じる。ミクシィファンドもCVCではなくあくまでプロジェクトとして、ミクシィのSNSプラットフォーム向けにサービスを提供する事業者に出資し、プラットフォーム拡充を進めるというモノだった。実はこのミクシィファンドの立ち上げにも関わっているのが、当時ミクシィにいた、現・メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏。そしてそのミクシィファンドの第1号案件がコミュニティファクトリー。同社は現在メルカリ アッテを提供しているソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏が立ち上げたスタートアップだ。

7500万のユーザーを抱えるメルカリはいよいよプラットフォームとなった。であれば自分たちでCtoC領域の事業を展開するだけでなく、パートナーを募ってより大きなサービス群を立ち上げていく。その手段として、今回のメルカリファンドがあるというわけだ。

Amazon Alexaのスキルが15000を突破、わずか半年で倍増、競合製品を圧倒

【抄訳】
Amazonの音声プラットホームAlexaの‘スキル’が、15000を超えた。それらが、EchoスピーカーやEcho Dot、Echo Showなどのデバイスの上で、多彩な‘芸’を披露する。Amazonの2月の発表では10000だったが、それ自体は昨年9月に比べて3倍増だった。

15000という数を最初に報じたのはサードパーティの分析企業Voicebotだったが、本誌の問い合わせに対してAmazonもその数字を確認した。

Voicebotが分析したのはアメリカのスキルのみだが、15000に達したのが6月30日だった。6月の前月比増加率が23%で、それまでの3か月の各月の増加率は10%未満だった。

Voicebotの年初の記事では7000だったから、半年で倍増だ。7000という数はAmazonもCESで公式に確認している。

Voicebotによると、Alexa Skill Storeで一番人気のスキルは、Flash Briefingsだ。これは朝の忙しいときなどに、Wall St. Journal, NPR, Washington Post, それに本誌(!)TechCrunchなど主なメディアが、主要記事を教えてくれる。

Flash Briefingsは開発も易しいスキルだから、今や全スキルの約20%を占める。詳しい数字はAlexa Skills Storeへ行けば分かるが、今現在2891のニューススキルがある、となっている。

なにしろ、スキルの数がこれだけ多いのは、Amazonが音声コンピューティングの世界で大成功、という意味だ。

【中略】

Voicebotによると、6月30日現在でGoogle Homeの音声アプリはわずか378、MicrosoftのCortanaは65だ。AppleのHomePodは、スキルのようなアプリをサードパーティが作れるのか、まだ明らかでない

【後略】

画像クレジット – トップ: Adobe; チャート: Voicebot

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

多様な広告キャンペーンとそのパフォーマンスを一元管理できるAdHawkがベータを脱して一般供用へ

1年あまりのベータテストを終えたAdHawkが、ついに一般公開され、すべてのアドバタイザーズが利用できるようになった。

同社のサービスを利用して企業は、FacebookやGoogle上の広告キャンペーンを管理できる。協同ファウンダーのTodd Saunders(AdHawkのCEO)とDan Pratt(同社のCOO)は、二人ともGoogleのAdWordsのチームにいたので、広告の世界をよく知っている。

AdHawkは、さまざまな広告キャンペーンのデータを一つのダッシュボード上に表示してくれる。Saundersによると、その際重要なのは、“高度なテクノロジー”を“分かりやすい分析ダッシュボード”から利用できることだ。AdHawkはデータを時系列で分析し、パフォーマンス改善のためのリコメンデーションをする。

AdHawkのわずか20名のチームが、どこまで‘高度なテクノロジー’なのか。Saundersによると同社は、小売業や製造業など、対象業種を絞っている。大手のコンペティターたちが“古い”とか、“退屈”と言って無視しがちな業種だ。

“とくに力を入れたのは、各業種固有のデータやキーワードを重視したことだ”、とSaundersは語る。そこでAdHawkの顧客は、ほとんどがeコマースをやっているが、しかしたとえば、“保険代理店の方がうちに来たら、残念ですがお役に立てません、と言うだろう”。

AdHawk dashboard

最近の経験では、AdHawkは集団訴訟でも役に立つそうだ。非常に多くの人たちに賠償金の支払いについて通知するとき、従来はメールや新聞広告に頼ってきたが、AdHawkの一部の顧客たちによると、正しくターゲティングされたオンライン広告が、いちばん効率的かつ効果的だそうだ。

今日(米国時間7/3)やっとベータを終えたAdHawkだが、Saundersによると、ユーザー登録待ちの企業がすでに7000社以上いるそうだ。

Techstars Boulderを卒業した同社は、ユーザーの月間の広告費支出の額に応じた会費が収益源だ。いちばん多いのは、月額の広告費が5000から75000ドル程度の企業、つまり広告のパフォーマンス分析を自力でやるのが難しい中小企業だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))