フリマアプリ「メルカリ」で匿名配送が可能に——配送事故や模倣品の補償プログラムも発表

匿名配送機能のイメージ

匿名配送機能のイメージ

 

ヤマト運輸と連携し、4月から全国一律料金の配送サービス「らくらくメルカリ便」を開始したフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリは9月10日、そのらくらくメルカリ便において、出品者、購入者が互いの住所や氏名を相手に伝えることなく商品を送付できる匿名配送機能を提供することをTechCrunchに明かした。9月中旬より、希望者を抽選して試験的にサービスを開始。ユーザーの反応などを見て数カ月以内にも正式にサービスを開始する。

らくらくメルカリ便は、出品者がヤマト運輸の直営店に配送する商品を持ち込み、直営店にある端末「ネコピット」にQRコード(メルカリで契約成立した際にアプリ上で生成される)をかざすことで送り状が印刷され、サイズ・重さにより全国一律で195円から商品を送付できるというサービス。利用数などは非公開だが、「想定より多い。料金が全国一律で分かりやすく、しかも安い。ヤマト運輸でも新商品を提供するのと同じタイミングでスタートしたこともあって、ヤマト側としても一緒にやりやすかった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)のだそう。

今回の匿名配送機能を利用する際も出品者のとるフローは同じだが、ネコピットで印刷される送り状は宛先欄・送付欄が空白のままになる。もちろんただ空白のままではヤマト運輸のドライバーが配送できないのだが、バックグラウンドでメルカリのデータベースとヤマト運輸のデータベースが連携しており、商品にはそれぞれドライバーだけが閲覧できるデータが紙で添付されるが、ドライバー以外が送付先の住所などの個人情報を知ることはないという。

またメルカリでは、この匿名配送機能と合わせて、補償サービス「あんしんメルカリケア」の提供も開始する。

これはらくらくメルカリ便利用時に限り、配送事故により商品が破損・紛失した際の商品代金を全額補償するほか、らくらくメルカリ便の使用に限らず、届いた商品が模倣品だと判明した場合に取引について調査し、その上で商品代金を全額補償するというもの。

メルカリいわく、こういった補償自体はカスタマーセンター(現在仙台約80人、東京約30人が24時間365日稼働し、問い合わせおよび規約違反への対応を行っている)への問い合わせベースで個別対応していたのだそうだ。だが「実質やっているのであればよりサービスへの安心感を持ってもらおうとなった。 2年サービスをやってきた中で財務的なノウハウもたまってきた」(小泉氏)ということで今回正式に発表することになったのだという。

メルカリのアプリダウンロード数は国内外2200万件以上(米国だけで400万ダウンロード以上)。月間の流通総額は数十億円で1日の出品数は数十万件と大きく成長した。そうなるとウェブサービスに不慣れなユーザーの割合も増え、「サービスが難しそう」「何かトラブルがあるんじゃないか」という不安が生まれることになる。前者に対してはアプリ自体の改善を進めるが、後者に対しては今回発表したような安心・安全に向けた取り組みをアピールしていくことで、さらなるサービスの利用に繋げる考えだ。

 

DeNAが個人間カーシェア「Anyca」を開始、1日3000円の低料金も「痛車」もある

所有するクルマを個人間で貸し借りできるC2Cカーシェアリングサービス「Anyca」(エニカ)を今日、DeNAが開始した。すでにテストマーケティング的にサービス自体は2、3カ月前から開始していて、登録済みのクルマの台数は約200台。当面の注力エリアは東京ではあるものの、全国で利用可能だ。1台を1日借りると車種によって3000〜5000円となる。5人乗りのプリウスという乗用車で比べると、Anycaで5500円(うち保険料が1000円)のところ、レンタカーだと1万2000円、B2Cカーシェアだと8300円というのが1日の利用料の相場だ。タイムズカープラスなどのカーシェアは6時間という短時間で4000円とか夜間のみ2000円といった柔軟性もあるので単純な比較はできないものの、1日出かける、ということならAnycaはレンタカーやカーシェアよりも価格競争力を持ちそうだ。

もっとも料金はクルマを提供する所有者が決めることができ、高級車やスポーツカーだと7000円とか1万円というのもある。この料金にはドライバーがかける1日限定の保険料も含まれる。保険は東京海上日動とのシステム接続で実現していて、マッチングが成立した契約時に保険も同時購入となる。サービスを提供するDeNAは手数料10%を取り、残り90%をクルマの提供者であるオーナーが受け取る。

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実際の貸し借りはオーナーがクルマをサービスに登録し、それを借り手がカレンダーから予約。カギの受け渡しは対面で行うというもの。現在、物理的なカギの受け渡しを不要とするためにODB2ポート(クルマのメンテ用のデータ通信ポートでハンドル下部にあるのが一般的)経由で開錠・施錠コマンドを車載システムに発行して、スマートキーが実現できるデバイスを準備中という。

DeNAのAnyca責任者で立ち上げを担当するオートモーティブ事業部の大見周平氏(カーシェアリンググループグループマネージャー)によれば、今回のサービスは法的な分類上は道路運送法でいう「共同使用」となっていて、「有償貸渡業」と呼ばれるレンタカーの規制対象となるサービスではないそうだ。この共同使用という枠組みは2006年までは許可制だったが、2007年に撤廃されている。

中国やアメリカでも伸びるC2Cカーシェアサービス

法規制上は違う分類とはいえ、C2CカーシェアのAnycaはマーケットとしてはレンタカー、B2Cカーシェアリングなどと近い領域のサービスだ。東京や大阪といった都市部でクルマの保有率が下がるなか、これらの市場は近年大きく伸びていて、レンタカー市場は矢野経済研究所が8月末に発表した資料によれば2014年は前年比4.1%増の6350億円となっていて、まだ今後も同様のペースで伸びるとの予想だ。カーシェア市場も右肩上がりを続けていて、2011年に50億円規模だったものが2014年には約154億円規模に成長、2015年は200億円を突破するとしている。

DeNA自身の調査によれば、日本の自家用車の台数は6000万台。これは、レンタカーの28万台やB2Cカーシェアリングの1.5万台に比べて圧倒的に規模が大きい。そのうえ自家用車の稼働率は低く、DeNAによれば1年で10日間(約3%)というレベルだそうだ。

これは日本に限った話ではなく、海外でもC2Cカーシェアリングのサービスが立ち上がっている。米国ではRelayRidesGetaroundが、中国ではAtzuche.com、シンガポールからはiCarsclubというスタートアップが登場している。この辺の市場調査をした大見氏によれば、特に中国の立ち上がりの勢いが「意味が分からない」というレベルで、Atzuche.comは2014年5月に上海でローンチして1年で100万ユーザー、3万台の登録というハイペースでの普及を見せているという。

当初は尖ったクルマを集めて「乗ってみたい」出会える楽しさを

今日の正式サービススタート時点で、Anycaに登録されている200台のクルマのうち、約半分が一般車で、残り100台は「尖ったクルマ」だ。

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Anyca責任者のDeNA 大見周平氏

「始まりは(ユーザー規模が)小さいので、多種多様なクルマというのでサービスを尖らせています。C2Cサービスは、ある程度密度が高まらないとサービスの利便性が上がりません。最初のうちは近所の駅に登録されてるクルマは1台にしかならない。だから、2、3駅ぐらい出向いて取りに行っていいと思えるような、そういうクルマを集めています。クルマっていいよねという体験を提供していきたいですね」

確かに、アプリでクルマをブラウズすると、特にクルマ好きでもないぼくでも1度くらいは乗ってみたいと思うようなスポーツカーや、ネタとして借りてみたい「痛車」、パンダの顔のスクールバスみたいものが目に付く。以下のような感じだ。

これは古くはAirbnbが当初にインパクトのあるお城の写真やジャングルの中のツリーハウスの写真を掲載して「泊まってみたい」と思うようなアイテムを揃えたのと同じで、サービス初期の立ち上げ時にトラクションを作る方法の定石となってきた感もある。日本だとB2Bの場所貸しサービス「スペースマーケット」が球場やお寺などをトップページで見せているが、実際のビジネスのボリュームゾーンは退屈な空き会議室だろう。

同様に、Anycaも「乗ってみたい」を当初は強調するのだろうし、これはこれでまた違ったニーズとニッチ市場があるのは間違いない。軽自動車ばかりが売れ、クルマが経済合理性だけで選ばれる傾向が強まる一方で、クルマ好きのファンたちは個性派のクルマの維持費用を正当化できずに頭を抱えている。だから、大見氏らはこれまでAnycaでクルマ好きのコミュニティーに事前登録を依頼するようなことをしてきたのだという。

レンタカーやB2Cカーシェアサービスではコストダウンのために車種を絞る力が強く働く。大見氏によればレンタカーで稼働率が70%、カーシェアリングでも稼働率30%あたりがブレイクイーブンではないかといい、たとえ高級車などを一部に取り入れても、これを下回るようだと「銀色のプリウス」に置き換えざるを得ない事情がある。C2Cの場合は、すでに市中にあるクルマ好きの多種多様な車種を扱えるのが強みとなる。

普及した先にはC2C売買や横展開、新しい所有モデルの提供も

「初年度は一定地域で密度を高めて利便性を検証していく計画です。これが都内で2000台とか3000台になってくると、だいぶ密度が高くなってくる。23区で数千台、3年後に数万あるいは数十万というのが目標です」

「ある程度普及してCPAやLTVが見えてきたら、横展開していくことも考えています。所有とシェアは近づいてくるはずと考えているので、第二ステップとしては、例えば、新車を買うときにシェア前提で共同所有するオーナーたちのために新しいオートローンを作るというのもあり得ます」

サービス提供で集まってくるデータを使った事業の展開というのはDeNAのようなネット企業の得意とするところ。「例えば、われわれには車検がいつ切れるのが分かります。珍しいクルマを持っている人をディーラーに送客するとか、C2Cの売買を導入することも考えられます」

「スタートアップの再生工房になる」家入氏の新会社キメラがHRサービス開発のハッチを買収

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paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真氏、そしてそのpaperboy&co.のブランド戦略を担当した佐野一機氏による新会社キメラ。

8月にはEast Ventures、あすかホールディングス取締役会長の谷家衛氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏など複数の個人投資家、リブセンスを引受先とした総額約1億円の第三者割当増資を実施したと発表。自社でタレントマネジメントシステム「LEAN」を開発するとしていたが、新しい動きがあった。同社は9月9日、同じくタレントマネジメントシステムを開発するハッチを買収したことを明らかにした。買収額やスキームは非公開としている。

ハッチは2013年設立のスタートアップ。昨年ANRIおよびサイバーエージェント・ベンチャーズより資金調達した際に紹介したが、タレントマネジメントシステム「Talentio(タレンティオ)」を開発していた。2014年中にはプロトタイプが完成し、複数の企業に試験導入していたものの、代表取締役の二宮明仁氏と他の取締役および従業員で経営や事業の方針が折り合わず、文字通り組織が崩壊してしまったという。僕はこの件については複数関係者を取材しており、2015年春時点で代表を除く十数人の役員・社員がほぼ同時期に会社を去るという危機的な事態に陥っていたことを把握している。

はっきり言ってマネジメントという観点ではどうしようもない状態になってしまったハッチだが、導入企業や元役員・従業員、関係者などに聞く限りTalentioのプロダクト自体の評価は高かった(とは言えさらに開発できるような状況でもなかったが)。今回キメラは同社を買収することで、LEANの開発をストップ。すでにプロトタイプを提供する段階になっていたTalentioを自社サービスとして開発・展開していくという。なおハッチの代表だった二宮氏はキメラの執行役員となり、引き続きTalentioの事業を担当する。

キメラは「スタートアップの再生工房」になる

「マネジメントが弱いがプロダクトがいい、そんなことでビジネスに困っているスタートアップをどんどん買収する。我々はベンチャーの再生工房になる」——キメラの佐野氏はこう語る。

前回の記事でも紹介したが、キメラはその社名の元になったギリシャ神話に登場する怪物「キメラ」が獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つように、独立した複数のサービスを持つ組織になるとしていた。それは、自らがプロダクトを立ち上げるだけでなく、企業・サービスを買収し(もしくは数カ月でのターンアラウンドを行う)、「経営」と「開発」の機能を提供して成長させるという意味なのだという。

こういうことができるのは、キメラの経営陣やアドバイザー、株主などが、それぞれ起業や経営の経験を持つ“大人”で構成されているからだと佐野氏は語る。

経営という点で言えば、佐野氏はコンサルとして活動した後、美容系スタートアップのファウンデーションズを立ち上げ、事業を売却した実績がある。また家入氏も上場経験のある起業家だ。開発という点では、今後家入氏が中心となり、エンジニアのネットワーク(ないし開発会社)を作り、キメラの傘下のサービスを開発していくのだという。2月にマザーズに上場したイードは、複数のメディアを買収してグロースさせるというビジネスを行っているが、イメージとしてはそれに近いだろうか。

「狭い業界なので『あのスタートアップはもうだめだよね』という話をよく聞くが、そういう話はもう聞きたくない。それをどうにか良くしようと考えたのがこの(再生)構想。起業家に対する敬意を最後まで崩さずにサービスを育て、IPOやバイアウトというイグジットを目指す」(佐野氏)

キメラでは今後、教育や金融、ヘルスケア領域のスタートアップの買収を検討する。またこの事業をさらに進めるため、2016年始にも大型の資金調達を行う計画だという。

後付け型スマートロック「Akerun」のフォトシンスが4.5億円を資金調達

昨年のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルのファイナリストでスマートロック「Akerun」を開発・提供するフォトシンスが、ジャフコ、YJキャピタル、ガイアックス、ベータカタリストの4社からの第三者割当増資による合計4.5億円の資金調達を実施したとTechCrunch Japanに明かした。フォトシンスはTechCrunch Tokyo 2014のファイナリストとして昨年デビューして、今年4月に製品販売を開始。サムターンと呼ばれる指で回すマンションやオフィスなどのロックに対して後付けするIoTデバイスによりスマートロック化する仕組みを提供する。

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フォトシンス共同創業者でCEOの河瀬航大氏によれば、すでにアーリーアダプター層など個人での導入も進んでいるが、「法人で予想以上に反響をいただいている」という。中でも第三者へのカギの受け渡しが多いコワーキングスペースやAirbnb、オフィスで売れているそうだ。

導入する側はITリテラシーが高いケースが多いが、逆に利用側はそうとは限らない。「肝心のスマホを使うゲスト側のリテラシーがまちまちである点が課題かと感じています。特に不動産内覧の実証実験では顕著でした。仲介会社さんは意外とガラケーだったり、スマホであってもアプリの操作が苦手だったりする」(河瀬CEO)こうしたことから、この7月にはガラケー対応もしていて、特に「多くの方が出入りするエリアではフィーチャーフォン対応が必須」と考えているそうだ。Akerunによる解錠が必要な利用者でも、1度きりの場合はアプリのインストールや初期登録をするのは手間だという課題もある。この辺りも7月に発表したAkerun RemoteでURLによるワンタイムの鍵の払い出しなどで対応していくことができそうだ。

国内スマートロック市場では、ソニーとWiLが共同出資する「Qrio Smart Lock」(キュリオ スマートロック)のほか、2014年末に創業して不動産に特化したシステム開発を行うライナフの「Ninja Lock」、海外プロダクトの輸入販売としてM2モビリティーが販売する「danalock」などがある。

スマートトイのMoffがバンダイナムコなどから1.6億円の資金調達——新領域と米国展開を強化

ウェアラブルデバイス「Moff Band」を2014年にリリースしたMoff。同社は9月7日、バンダイナムコエンターテインメント、ORSO、TomyK(既存株主でACCESS共同創業者である鎌田富久氏の会社だ)、個人投資家を引受先として、総額1億6000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

Moffは2013年10月の設立。大阪市主催のハッカソン「ものアプリハッカソン」をきっかけに、ウェアラブルデバイスの開発を目指すことになった(当時の話はこちらをご参考頂きたい)。2014年秋に日米で一般発売を開始したMoff Bandは、Amazon電子玩具カテゴリーで国内最高1位、米国最高2位を記録。販売台数に関しては明らかにしていないが、Moff代表取締役の高萩昭範氏いわく手応えは好調だという。

「Moff Band」

「Moff Band」

Moff Bandは内蔵する加速度センサーとジャイロセンサーによって人の動きを感知。Bluetoothで各種デバイスと連携する。例えば手を上下に振ることで、その動作に合わせて疑似的に楽器を演奏したりできる。

プロダクトは当初“スマートトイ”という触れ込みで製品を提供してきた。その先の構想はあったが、「いきなり(機能を)てんこ盛りにしても売れない。まずはベーシックなモノをと考えた」という。そしてトイというアプローチを通じて、「『体を動かす』ということはゲーム体験として通用するということが分かった」(高萩氏)という。そのため今後は低年齢層向けのトイにとどまらないプロダクトの展開を進める。

Moff Bandで取得した動作や姿勢の情報や独自のデータ解析技術を活用し、フィットネスやヘルスケアの分野でのゲーミフィケーション化を可能にするプラットフォーム「アクティブ・ゲーミフィケーション・プラットフォーム」を構築する。またパートナーとの事業開発も強化する。株主となったバンダイナムコエンターテイメントやORSOとのサービスの共同開発をすすめるほか、米国では10月以降大手玩具チェーン店と組んでの商品展開も予定している。

なおMoffは、米国展開の強化に向けて100%子会社の米国法人である「Moff USA」を設立したことも発表している。CEOには、米AppleやAT&T、ACCESS等で事業開発・アライアンス分野のVice Presidentを歴任したAlbert B. Chu氏が就任する。

左からMoff USA CEOのAlbert B. Chu氏、Moff代表取締役の高萩昭範氏

左からMoff USA CEOのAlbert B. Chu氏、Moff代表取締役の高萩昭範氏

BASEがオンライン決済サービス「PAY.JP」を開始、EC事業者をメインターゲットに

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASE。同社は今年の2月、オンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを買収し、自社で決済事業を行う発表していた。当初今春にもリリース予定としていたそのサービスがいよいよスタートした。同社は9月7日、決済サービス「PAY.JP」を公開した。

PAY.JPは、ウェブサイトやネットショップがクレジットカード決済機能を無料で簡単に導入できる開発者向けのサービス。審査の後、サイト上にコードを加えることで導入が可能。

世界でサービスを展開する米PayPalや今秋にも日本で正式にサービスを開始する予定のStripeのほかGMOペイメントゲートウェイをはじめとする国内の大手事業者、さらにはメタップスのSpikeなどがいる領域だが、PAY.JPのウリはサービスの使いやすさ、審査の速さ、導入の手軽さなどだという。初期費用および月額手数料は無料。決済手数料はVISAおよびMasterCardが3.0%、AMEX、JCB、Diners Club、Discover Cardは3.6%。2016年5月末までにサービスを導入した個人および法人を対象にした決済手数料無料キャンペーンも実施する。2月の発表以降、ウェブサービスを中心にしてすでに2000店舗の申し込みがあった。

PAY.JPのトップページ

PAY.JPのトップページ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、立ち上げたときから一貫してBASEについて「(ITリテラシーが低いという意味で)お母さんでも使えるサービス」をコンセプトにしていると語っていた。BASEのショップ開設数は2年半で17万店舗。現在も毎月1万件ペースで店舗が増えているという。この成長はそれはそれですごいと思うが、決済は「BASEというプラットフォームの規模に適さない(より大きな)ウェブサービスをやっていく人に向けて提供するサービス」なのだそう。「BASEはネットもままならない人に『商売』のサービスを提供するというものだが、PAYではよりモノを簡単に買えるようにする。ずっとやりたかったサービス」(鶴岡氏)

鶴岡氏いわく、Stripeは自らもプログラムに参加していたY Combinator発のスタートアップが手がけるサービスをはじめとして、ウェブサービスでの決済で成長してきた。しかし日本ではスタートアップが手がけるウェブサービスの課金というのは米国ほど大きいとも言えない。さらには既存の決済事業者も居る状況。そういう状況もあって、PAY.JPでは当面はウェブサービスよりはECの事業者をターゲットにするという。「大手事業者のクライアントを(PAY.JPに)ひっくり返していくのでなく、例えば5年後に『ZOZOTOWN』のように成長しているような新興ECサイトへの導入をいかにできるか。料率だけでもPAY.JPはいいと思うが、料率だけならば(競合と)たたき合おうと思えばたたき合える。どうユーザーをサポートしていくかが重要」(鶴岡氏)

PAY.JPの事業は2〜3年後の黒字化を目指す。同社はBASE事業の売上について詳細を公開していないが、「BASEも売上を意識するフェーズになってきた。PAY.JPは当面コストがかかるので、それを支えるサービスにしたい」(鶴岡氏)としている。

動画広告とテレビCMの効果を統合的に分析、メタップスが新サービス

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8月28日に上場したメタップスが、上場後初となる新サービス「Metaps Video Analytics」を発表した。

Metaps Video Analyticsは動画広告のアナリティクスサービスだ。最大の特徴は動画広告の効果測定と、テレビCMの効果測定を統合して分析できる点。メタップスでは広告代理店からテレビ視聴率データの提供を受けており、これとスマートフォン向け動画広告の効果分析を統合的に分析することで、例えばスマホ向けの動画広告とテレビCMの効果を比較したり、その相乗効果を調べたりということが可能になるという。

Metaps Video Analyticsではこの動画広告とテレビCMの統合分析の機能のほか、主要動画メディアへの広告配信データの管理、主要動画メディアでの人気動画の統計データの閲覧、動画広告配信後のソーシャルメディア上でのクチコミデータの可視化といった機能を備える。料金は利用条件により異なるため応相談となっている。

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先日、元DeNA執行役員で同社のテレビCM制作にも携わっていた彌野泰弘氏による「『ハイパフォーマンスなテレビCM』がスタートアップの成長を加速させる」という寄稿を掲載したとおりで、スマートフォンアプリやウェブサービスのグロースにおいてテレビCMは無視できない存在になっている。だが莫大な費用のかかるテレビCMの効果を正確に、かつ1つのツールでウェブにおける広告効果と比較するようなことは難しい。メタップスはこういった課題を解決すべくこのサービスを開発したという。

「ツール上でアプリ、広告、動画広告、テレビCMが一元管理できるようになるので、効果測定がシャープになり、投資対効果が測れるようになるので、『次の一手』が打ちやすくなる。大きなタイトル持ってるアプリデベロッパーや海外アプリデベロッパーにも求められるツール」(メタップス)

 

広島県尾道市・猫の視界のストリートビューマップ、Google Street Viewのスタッフが制作

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ドローンのおかげで、まわりの世界を鳥瞰するのは簡単になったが、それはものごとを見るための視野として、正しくないのかもしれない。日本の広島県が観光宣伝のために作った猫のストリートビューマップを見ると、街(まち)のありふれた視界が、とても新鮮に見える(下図)。しかもそれは、我らが愛すべき、お猫様の視界だ。

このマップの対象地域は尾道市のメインの商店街で、そこは人によく慣れたストリートキャット多いことで知られ、観光客の人気にもなり、奥の細道ならぬ猫の細道と名付けられた路地があったり、前足で幸運を招く招き猫の博物館があったりする。

この、猫のストリートビューマップは今のところ日本語だけだが、ミャーオタグと呼ばれるタグをクリックすると、さまざまな観光スポットを教えてくれる。

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この猫のストリートビュー(Cat Street View)は、単なる観光マーケティングの仕掛けであることを超えて、テクノロジの進歩でついに、われわれを翻弄してやまないお猫様たちの視界を、人間も見られるようになった、という感動を与える。Webカメラやカラー(襟)カメラ、それにGoProのようなアクションカメラのおかげで猫達は、彼らの愛すべきキャトマ(catma…ドグマ(dogma)の反対、猫独自の世界)を平和裡に広げることができる。

このマップはまた、ドローン市場の急速な拡大に対する、警報でもある。ドローン企業は2015年に1億7200万ドルの資金を調達したと言われ、それは過去3年の合計よりも多いが、でも広島の猫のストリートビューは、ベンチャーキャピタリストたちに、世界を上空から鳥の目で見るだけでなく、目と耳を大地に接近して見ることも重要だ、と警告する。そう、地上20センチぐらいの高さからね。

広島県がWall Street Journalで語っているところによると、このマップはGoogleのStreet Viewを作った人たちが作り、それと同じ機材を使用した。次のバージョンでは、猫達が、トイレにふさわしい植木鉢や、ベッドとして使える段ボール箱がたくさんある倉庫、とってもおいしそうな食べ残しのあるセレブ猫のお宅などを、見つけられるとよいね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3500万曲聴き放題の定額制音楽配信サービス「Google Play Music」が日本でもスタート

国産サービスの「AWA」や「LINE MUSIC」に続き、Appleが「Apple Music」を日本で開始するなど、サブスクリプション(定額)型音楽配信サービスのローンチが相次いでいるが、グーグルもここにきてその流れに乗ったようだ。同社は9月3日、音楽サービス「Google Play Music」を日本で提供開始した。Android端末のほか、iPhoneやiPadといったiOS端末(いずれもアプリで提供)、PC(ブラウザで提供)でサービスを利用できる。

Google Play Musicのトップ画面。おすすめのプレイリストや最近聴いた楽曲が並ぶ

Google Play Musicのトップ画面。おすすめのプレイリストや最近聴いた楽曲が並ぶ

Google Play Musicは、月額980円、3500万曲以上をラインアップするサブスクリプションサービスに加えて、1曲単位・アルバム単位で購入可能なストア、ユーザーが所有したり、購入したりしたデジタル音源5万曲を無料でクラウド上に保存できる無料のクラウドロッカーで構成する。

楽曲はソニー・ミュージックエンタテインメントやエイベックス・ミュージック・クリエイティブ、ユニバーサルミュージックをはじめとして国内外200レーベル以上が参加。なおサービス開始から1カ月間無料となるほか、10月18日までに契約したユーザーに対しては月額780円でサービスを提供する。

サブスクリプションサービスでは、ユーザーの好みに合わせて自動的に楽曲リストを作成する「ラジオ」や、サービスを担当するコンシェルジュが特定のシチュエーションに合わせて作成した「プレイリスト」などの機能を提供。アルゴリズム、そして人力を組み合わせてユーザーに最適な楽曲を提案していくという。また、各種のプレイリストや購入楽曲、ロッカーにアップロードした楽曲は「マイライブラリ」と呼ぶ機能で一括管理できる。

もちろんGoogleらしく検索機能も充実。例えば「ジュディマリ」の愛称で知られるアーティスト「JUDY AND MARY」であれば、「じゅでぃまり」とひらがなで検索できるし。「げすきわ」で「ゲスの極み乙女。」も検索できる。Googleらしく「I’m feeling lucky」の機能も用意。今まさにオススメという楽曲を表示してくれる。

レコメンドや検索はパーソナライズされているとのことで、ユーザーが使えば使うほどにユーザーの好みに合ったサービスになるのだそう。また、オフラインでの再生機能も用意。プレイリストから楽曲をダウンロードしておけば、オフラインでも楽曲を再生できる。

グーグルではこれまで世界59カ国でGoogle Play Musicのサービスを展開しており、日本が60カ国目となる。

Google Play Musicのパートナー

Google Play Musicのパートナー

1行でWebサイトを多言語化する「WOVN.io」が1.3億円をオプト、ニッセイから資金調達

すでにTechCrunch Japanで何度か紹介しているが、1行でWebサイトを多言語化する「WOVN.io」を運営するミニマル・テクノロジーズが今日、オプトベンチャーズ、ニッセイ・キャピタルを引受先とした1.3億円の第三者割当増資を実施したたことを明らかにした。同社は2014年3月設立で、これまでインキュベイトファンドから計約3000万円のシード投資を受けて、サービス開発を進めていた。

サービスを提供していく中で、大規模サイトでの利用ニーズが大きかったことから、これまでもエンタープライズ向けサービスを開始しているが、今回の資金調達によりセールス、開発とも加速すると林CEOは話している。

特に中国から日本への流入というインバウンド需要に対応するために、BaiduやNAVERのクローラー対応によるSEO対策など機能拡張を続けていたが、今後はWebサイトをローカライズするだけにとどまらず、海外ユーザーを獲得するためののプラットフォームと位置づけて、機能開発を行っていく予定という。

ちなみに、ミニマル・テクノロジーズはTechCrunch Tokyo 2014のスタートアップバトルのファイナリスト。今年11月のTechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルについては現在、参加企業を募集中だ。

“リアルなモノのDropbox”目指す——サマリーと寺田倉庫が組んだトランクルームサービス「Sumally Pocket」

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ファッションアイテムなどの「モノ」を軸にしたSNS「Sumally」を提供するサマリー。

Sumallyは”モノの百科事典”をうたうSNSだ。ユーザーは世の中にあるさまざまなアイテムから、欲しいものに「want」、持っているアイテムに「have」のタグを付けてリストを作ることができる。気になったアイテムはSumally上で購入したり、個人間で売買をしたりできる。

現在のユーザーは約60万人。登録されているアイテムは200万点に上る。将来的にはユーザーのwantやhaveを集めることで、「アイテムグラフ」と呼ぶようなユーザーとアイテムとの関連データベースを作り、さまざまな商品の購入にレコメンドを付けられるような世界観を目指しているという。

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そんなSumallyが今回リリースしたのは、アニメ「ドラえもん」に登場する、何でも収納し、取り出せるひみつ道具「四次元ポケット」がライバルだというトランクルームサービス「Sumally Pocket」だ。アプリは当初iOSでのみ提供。App Storeより無料でダウンロードできる。今後はAndroid版のリリースも予定する。

Sumally Pocketの使い方は次の通りだ。まずアプリ上で、書籍や衣類など、預けるアイテムの種類に合わせて段ボールを3種類から選択し、送付を依頼。専用の段ボール箱(このデザインが結構かわいい)にアイテムを詰め、アプリ上で日付を指定して集荷を依頼。配送業者に段ボールを手渡せばユーザー側の作業は完了だ。

倉庫に届いたアイテムは、スタッフが1点1点写真で撮影。撮影が完了し次第、アプリ上で閲覧・管理可能になる。必要になったアイテムは段ボール箱ごと、もしくはアイテム1点単位で取り出し(指定住所への送付)が可能だ。Sumallyとも連携しており、アイテムを公開することも可能。

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料金は月額保管料が1ボックスごとに300円。段ボール箱などのキット代金が1ボックス300円。取り出し送料が1ボックス(一辺38cmの段ボール箱)800円となっている。首都圏近郊であれば翌営業日の取り出しが可能。将来的には地域にもよるが、当日の取り出しにも対応するという。決済には事前に登録したクレジットカードを利用する。

現在は段ボール箱のサイズを固定しているが、将来的にはスノーボードをはじめとしたアウトドアグッズなど、大型の荷物にも対応することを検討する。また預けたアイテムを売買する機能なども提供する考えだ。

サービスは寺田倉庫と協業で提供する。寺田倉庫ではこれまでもトランクルームサービス「ミニクラ」を展開しており、すでに配送、保管のノウハウが豊富なのだそう。これにスマートフォン1つで完結するインターフェースを用意することで、トランクルームを超える新しい体験を提供したいとサマリー代表取締役の山本憲資氏は語る。

「これまでもオンライントランクルームサービスはあったが、モノを保存するだけでなく、(アプリ上で手軽に取り扱えるよう)データとして保存する。いわばリアルなアイテムのDropbox。ライバルはドラえもんの四次元ポケットだと思っている」(山本氏)

山本氏によると、トランクルーム市場は米国で約2兆円ある一方、日本では500億円規模。しかし年間20%で成長しているそう。今後は引っ越し業者や不動産業者との連携も進めつつ、早期に取り扱い10万箱を目指す。

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わずか1万DLのアプリが月商1000万円を達成する事例も——アプリ制作ツール「Yappli」運営元が3.3億円を調達

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「1年目は本当に大苦戦、月の売上は数十万円で毎月微増を繰り返すだけ。『いいプロダクトを作ったから来て使ってよ』というのでは全然ダメだった」——ノンプログラミングでアプリを制作できるツール「Yappli」を手がけるファストメディアの取材は、代表取締役の庵原保文氏のこんな重たい言葉から始まった。

同社は9月1日付けでグロービス・キャピタル・パートナーズ、Salesforce Ventures(米Salesforce.comグループのコーポレートベンチャー事業部)、YJキャピタル(既存株主でもある)、個人投資家の川田尚吾氏を引受先とした総額約3億3000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにしている。出資比率やバリュエーションは非公開。

ファストメディアは、ヤフーで同僚として働いていた庵原氏と共同創業者で取締役の佐野将史氏、取締役の黒田真澄氏の3人が2011年に立ち上げた個人プロジェクトからスタート。2013年にYappliを正式公開した。

Yappliはブラウザ上で機能をドラッグアンドドロップで配置し、クリエイティブをアップロードしていくことで、ノンプログラミングでスマートフォンアプリ(iOS/Android)を作成できるサービスだ。詳細は以下の動画を見てもらえばと思う。

ジオプッシュ(スマートフォンが特定のエリアにある際にプッシュ通知を送る機能)を含むプッシュ通知にも対応し、広告配信も可能、アプリの申請も代行する。冒頭で庵原氏が語るように、プロダクト自体は——初めてデモを見たリリース時から——イケていると思った。価格も月額9800円からと比較的安価で中小規模の会社でも使いやすい。だが、クラウドサービスとしてサイト上で販売していたところで有料ユーザーはほとんど増えなかったという。

同社はYJキャピタルからシードマネーを調達していたが、サービスインから1年経たずで売上は数十万円。さすがに「これでは危ない」となって方針を転換。大手企業をターゲットに営業を始めたところ、今度は驚くように案件が取れ始めた。新生銀行や日本ロレアル、女性アパレルのアダストリアホールディングスなどが次々と自社アプリの制作にYappliを導入。3人というスモールチームだったこともあって、サービスインから1年半経たずして単月黒字を達成した。

「革新的なサービスを作って数万円で手軽にスモールビジネスに提供しようとしたが、結局市場のニーズを見ていなかった。自社アプリを求めていたのはすでに顧客を抱えている大手企業。だがいざ制作会社に相談すると1000万円単位の見積もりが来るので、容易にアプリを制作できないという課題があった」(庵原氏)。そんな大手企業にこそプロダクトが刺さったのだという。「制作会社と比べれば10分の1程度で導入が可能。またノンプログラミングでアプリを作れるというのは、ITリテラシーの低いEC担当者であっても運用できるということ。そこも評価されている」(庵原氏)

サービスに登録する法人は、無料も含めて5000社。有料ユーザー(社数非公開)の7割はアパレル関連の自社アプリやブランドアプリだという。アプリはそのブランドのファンがダウンロードすることもあって、アクティブ率が高く、売上への貢献度も大きいケースが多いという。

「ブランドアプリであれば、アプリのプッシュ通知はメールマガジンよりも効果がある。ECサイトの売上全体のうち10%程度がアプリ経由というブランドも複数ある。1社だけだが、1万ダウンロードのアプリだけで月商1000万円を達成するという事例もある」(庵原氏)。プッシュ通知の開封率(通知が来て、そのアプリを起動すること)は約30%、通知から5分以内での開封率が5〜10%あるため、タイムセールなどを積極的に行うブランドも多いという。

同社では今回の調達を契機にサイト上で提供していた低価格帯のサービスの新規募集をいったん終了する。今後は人員を拡大し、サービス開発および法人営業に注力するとしている。

スマホの画面をそのままリアルタイムに配信、DeNAの新アプリ「Mirrativ」

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国産サービスのツイキャスやTwitterが買収したPeriscopeをはじめ、スマートフォン1つで動画のリアルタイム配信を実現するサービスに注目が集まっているが、本日ディー・エヌ・エー(DeNA)がリリースした「Mirrativ(ミラティブ)」が面白い。このサービスは、スマートフォンの画面をそのまま配信できるのだ。

Mirrativの配信用アプリはAndroidでのみ提供しており、利用は無料。iOSアプリも「Coming Soon」となっているが、アップルの開発者向け規約の関係からAndroidとまったく同じ機能を提供するというのは難しいかもしれない。ただし閲覧についてはウェブブラウザでも可能なため、AndroidだけでなくiOS端末でも閲覧可能だ。ただしPCからの閲覧は現時点では許可していない。またサービス開始当初は、配信時間を20時〜24時に限定するという。

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動画の配信者は、アプリを立ち上げて3タップで画面の配信が可能。音声のオン・オフ設定のほか、インカメラの映像も同時に配信可能(テレビの中継などにある「ワイプ」を思い浮かべて欲しい)。また一時的に動画を表示せずに音声だけで配信するといった機能も備える。

閲覧者は配信を見ながらコメントを投稿できるほか、画面をタップして、星のようなキラキラとしたエフェクトのついた「スタンプ」を飛ばすこともできる。画面は配信する内容に合わせて縦横どちらでも閲覧可能。リアルタイム配信の内容は、Mobageでのサービス監視を行ってきた新潟のカスタマーサポートセンターが担当するという。

サービスのデモを見せてもらった際はゲームのプレイ実況を配信をしていたのだけれども、それ以外にも用途はいろいろありそうだ。

DeNAでもプレスリリースで「ゲームアプリで遊びながらの実況やEコマースのサイトで視聴者のアドバイスをもらいながらの買い物、さらには新しいアプリの使い方解説など」と提案している。事業を手がけるDeNAの赤川隼一氏も「ニコ生やUstreamとは少し使い方が違って、よりパーソナルなところを見せられるのではないか。ただ最終的にはユーザーに使い方を提案してもらえばいい」と語っていた。

どんなゲームでもアプリでもライブストリーミングできるDeNAのMirrativ、Androidにまず登場

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ゲームなどのアプリをライブストリーミングするサービスを今週開始したのは、YouTubeだけじゃなかった。YouTube Gamingが公開されてから、ほんの数日後に、日本のゲーム多産企業DeNAが、Mirrativという名前で同様のサービスを開始した。

当初はAndroidのみだが、そのアプリを使うと、ユーザの画面に映るものなら何でもライブでストリーミング(ブロードキャスト)できる。話がDeNAだから、まっさきに心に浮かぶのはゲームだが(同社はNintendoのモバイルゲームの制作も担当する)、でも同社によれば、Mirrativはどんなアプリでもサポートする。だから、いろんな使い方がありそうだ。

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このアプリは、ライブストリーミングから面倒で難しい部分をほとんど取り去り、TwitchなどではブロードキャストするためにPC用のケーブルやアタッチメントが要るところを、Mirrativならスマホ本体だけで、わずか3クリックでブロードキャストが始まる。

しかも、ブロードキャストするときに、ストリームに自分の声や顔を含めるオプションもある。しかし基本的にはこのアプリはバックグラウンドで動き、今ユーザのスマートフォンの上で(画面上で)行われていることを何でも放送する。ゲームだけでなく、今読んでるニュース、今やってるショッピングなども、友だちなどに見せることができる。これまでの画面ブロードキャストアプリよりも、ずっと多様な用途がありえるだろう。

Android上のゲームのライブストリーミングでは、Kamcordが良くできているが、現時点では一定の高度なゲーマーしか使えない。Mirrativは、Android機を持ってる人なら誰でも使える。

一般大衆用のライブストリーミングといえば、自撮りビデオの放送で人気を高めたPeriscope(Twitter傘下)やMeerkatが先輩だが、Mirrativeはそれらの大衆的気軽さをユーザインタフェイスや使い勝手に引き継いでいる。ストリームはユーザのフォロワーとシェアされるし、見ている人はコメントしたりお気に入りのスターをつけたりできる。今んところブロードキャストの保存ができなくて残念(一回見終わったら再度は見れない)だが、 きっとそのうち…(この件DeNAには未確認)。

DeNAに確認したところ、iOSバージョンももうすぐ出るが、ストリームを見るだけでブロードキャストはできない。KamcordもやはりiOSはだめだから、iOSでライブストリーミングをサポートすることには、何か、克服困難な問題があるのだ。でもiOS 9ではデベロッパがネイティブのリプレイ機能を実装できるためのSDK、ReplayKitが提供されるから、ライブストリーミングのサポートも可能になるかもしれない。

Mirrativは今はまだベータで、本番ローンチは来月だ。今ベータをダウンロードして使ってもよいが、同社は日替わりのライブストリーミングのデモを提供している。Twitterの@mirrativをフォローすると、各ブロードキャストの詳細が分かる。

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Netflixに続いてAmazon Prime Videoも日本展開へ…レースの勝者はどこだ?

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日本に住んでる人は、アメリカのビデオストリーミングサービスは、まるでバスみたいに次から次にやってくる、と感じるだろう。来週Netflixがこの東アジアの国に上陸する、というニュースが流れたと思ったら、それに続いてすぐさまAmazonが、同社のPrime Videoサービスを日出ずる国に飛来させる、と発表した。

Netflixの日本デビューは9月2日と予定されているが、Amazon Prime Videoの飛来は9月中、となっていて、日付はまだ発表されていない。

Amazonの発表声明は、こう言ってる: “Prime Videoは日本と合衆国の何千もの人気映画やテレビ番組、連続アニメ、音楽のコンサート、バラエティ番組、そして賞まで取ったAmazonのオリジナル作品や日本でのオリジナル作品を提供する”。

このサービスは、年会費3900円(月額換算325円)を払っているPrime会員には無料だ。会員にはもちろん、ショッピング関連のそのほかの特典もある。一方、ビデオサービスでしかないNetflixは、税前の月額会費が650円からだ。毎月HDのストリームを二本見られるプランが950円、ストリーム四本のプレミアムプランが1450円。

料金的にはAmazonが有利だし、しかも既存のユーザベースが大きい。日本でもPrimeサービスはすでに10年前からあるが、Netflixは影響力のある有名人を抱え込もうとしている。またNetflixはSoftBankとパートナーしてキャリア課金と、デバイスへのアプリの事前ロードを10月から開始する。

さあこれから、日本でもストリーミングの勝ち馬を決めるレースが始まるのだ!

おっと、「たけし城」なんかでごめんなさい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「食料需給のミスマッチを解決する」肉や野菜の直接取引プラットフォーム「SEND」が正式オープン

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

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6月に紹介したプラネット・テーブルの食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」。これまで試験的に一部ユーザーにげんていして提供してきたこのサービスが8月25日に正式オープンした。今後は広く利用希望の生産者や飲食店を募集。承認制で順次サービスを提供していく。

SENDは特長やこだわりのある食材を持つ生産者と、そんな食材を使いたい飲食店のシェフをつなぎ、オンライン上で直接取引を行うプラットフォームだ。取引だけでなく、トラック(現在は1台。間もなく2台目を導入予定)による配送や倉庫での保管についても同社が担当する。当初は広尾や恵比寿、六本木などを中心に、客単価5000円以上で食材にこだわる飲食店をターゲットにサービスを展開する。試験運用時には約30件の生産者と約60店舗の飲食店らがサービスを利用している。取り扱うのはおもに肉と野菜。今後はラインアップを拡充する予定だが、鮮魚については扱う予定がないという。

前回の記事でも紹介したが、SENDはもともとプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏が「食料需給のミスマッチを解決する」という考えのもとにスタートしていることもあり、取引される食材にも特徴があるという。

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通常であれば野菜などは色やサイズなどの規格を分けて梱包し、発送するのが一般的だが、生産者はそれをまとめてSENDに送れば、同社の倉庫(オフィス内に業務用冷蔵庫が並んでいる)にてサイズ等を振り分け、需要に合わせて最適なかたちで飲食店に配送するといった仕組みをとっている。

また生産者は自身のプロフィールや商品をSENDに登録できるだけでなく、SENDが飲食店サイドからの要望をヒアリングし、「こんな野菜が欲しい」といったリクエスト情報を知ることができる。

飲食店サイドは、あらかじめ住所等を登録しておけば、生産者が登録した食材を選択し、発注量の個数を入力するだけで商品を注文できる。「これまでは紙に数量を書いてFAXで発注していた。同じように個数を入れるだけ。シェフは『電話、FAXより楽でないと嫌』と言っていたが、SENDなら冷蔵庫の前で食材を見ながらスマホで発注できる」(菊池氏)

冒頭では「直接取引」と紹介したのだが、厳密に言うと少し違うところがある。実はSENDでは、プラットフォーム上の流通データを分析して直近の発注量などを予測しており、事前に生産者に発注を行っている。そのため、現在サービスを提供している都心エリアであれば、シェフが注文した食材を当日、もしくは翌日の指定時間に届けることが可能だという。

なおSENDはポケットコンシェルジュやCyta、Rettyなどのサービス開発経験があるStartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏が“社外CTO”として開発を担当している。「 スタートアップの我々には、この難しいテーマに取り組めるエンジニアチームを雇うコストはなかった。 それであれば サービス要件定義までは我々が担当し、その先はただの外注ではなく、フェアな関係でトップクラスのエンジニアやチームに開発をお願いしようとなった。エンジニアを社内で1から教育していれば時間はかかったが、テストを含めて2カ月でサービスを提供できるまでになった」(菊池氏)

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

左からプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏、StartupTechnology代表取締役社長の菊本久寿氏

 

商品よりも“作品”を、売り方の話よりも作家とファンの接点を——23歳CTOとマンガ編集者の挑戦

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

漫画は、「商品」なのか、「作品」なのか。

Amazon.co.jpを筆頭にして、ネット上で漫画を売る場所は増え、同時に売り方やマーケティングに関する話も増えている。ただ、それではあくまで商品としての話であり、「作品」としてのではない。漫画を作品として出していくには、作家とファンが1対1で直接つながる関係性が求められるのではないか。

そのような考えから、イーブックイニシアティブジャパンのグループ会社であるマグネットは、漫画作品の公開・販売プラットフォーム「マグネット Publishing」を提供している。1年以上のベータ版運用の末、8月20日にサービスを正式オープンした。このサービスは一体なにを解決するのか。今回、同社CTOの草野翔氏と、代表を務める佐渡島庸平氏に話を聞いた。

 

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

左からマグネット代表取締役の佐渡島庸平氏、CTOの草野翔氏

“インターネット印刷所”を作る

もともとの出会いは2年ほど前。元講談社の編集者であり、現在は作家エージェントのコルク代表も務める佐渡島氏が、クックパッド代表執行役・穐田誉輝氏に出版業界の課題を説明していたところ、“すごいエンジニア”として紹介されたのが草野氏だったという。2人の出会いががきっかけとなり、1992年生まれの草野氏と1979年生まれの佐渡島氏で会社を立ち上げ、サービスを作ることになった。

草野氏は「電子書籍サービスというと少し違ってくるんですが……」と前置きしながら、「”インターネット印刷所”のようなものを作っています」と、マグネット Publishingを紹介する。このプラットフォームでは、作家は作品の発表や販売(売り上げの7割が作家に還元)、読者は作品の購入やSNSにおける埋め込みでの拡散などができる。

「もともとは電子書籍サービスをやりたい、ということで出発しました。でも、いまさら本屋さん(売り場)をやるのは少し違うと感じました。それよりも、作家の原稿をそのまま作品として見せたい場所がインターネット上にはないと思ったんです」(草野氏)。

マグネット設立前にはプロトタイプを作り、議論のたたき台にした。草野氏は以前から「単純な画像をシームレスに、ダウンロードを待つことなく読みたい」と思っていたそうだが、それを実現できるサービスがなかったため、自身で開発してみたのだという。また、電子書籍を出す際に、作家や出版社側がわざわざ自分たちでePubファイルを作るということにも疑問を持ちはじめた。Kindle出版のハウツーや、ePub ファイルの解説を主眼にしたKindle本が何冊も販売されているような状態で、はたしてそういったものは出版サービスなのだろうか。それはプラットフォーム側がやるべきではないか。

草野氏をはじめ4名のエンジニアで開発するマグネット Publishingでは、作家が画像ファイルをアップロードするだけで作品が発表できる。さらには大きな画像サイズ(たとえば横1万ピクセル)でも入稿可能だ。このプラットフォームでは、それらの元画像がディスプレイサイズに合わせて自動でリサイズされるなど作家の作業や負担を減らす細かな工夫もある。

ネットの強みは人と人を瞬間的につなぐこと

一方の佐渡島氏は、出版業界はいいシステムだったが課題もあると振り返る。

「出版社、印刷所、取次、書店など全員で出版という大きなシステムを作り上げていました。ぼくが出版社にいた10年でも、見せ方や売り方をめぐる議論がなされ、技術も進歩してきました。ただ、たくさんの人が関わることで、作者の思いや作品の質が劣化してきた側面があると思うんです。端的に言えば、作家と読者の距離が遠かった」(佐渡島氏)

では、オンラインではどうか。「インターネットの一番の強みは人と人を瞬間的につなぐところ」と佐渡島氏。作家とファンが1対1の関係でつながれるとしたら、コンテンツの価格は上がるのではないかという。

「売り場に並べて勝負するのではなく、ファンと直接つながり、手渡しするような関係で売る。でも、そういうコンテンツの発表の場や売り場がないから、マグネットが作るのです。ぼくが代表を務めている『コルク』の社名の由来は、ワインのコルクのように、(作品を)世界に運び、後世に残すこと。ワインって、『だれ』が『いつ』つくったのかという中身によって値段が決まるんです。同じように、コンテンツの値段も、『だれ』が『いつ』作ったのかによって、決まるようにしたい」(佐渡島氏)

だから、マグネットは「作家と読者をつなぐ漫画のネットワーク」という言葉を掲げる。オンラインでファンとつながる絶好の機会をつかむことは、作家と出版社のためにもなるだろう。直接つながったファンが、YouTubeやSlideShareのように埋め込み機能を用いて作品の認知を広げることもマグネットでならできる。SNSや作者自身のブログ上などさまざまな場で漫画の試し読みが可能になるのだ。

しかし、これまでネット上に漫画などのコンテンツが出てくると、それをどこでいかに売るのかという話だらけになってしまっていた。つまり、作家のつくったものが商品として扱われている状態だ。対照的にマグネットは作家の思いや原稿をそのまま伝える“作品”を発表(し販売)できる場を作っている。

「デジタル化で便利になりましたが、無機質な電子書籍では作家の思いや考えは全然伝わりません。草野さんとであれば、作家のこだわりを紙以上に再現できて、作家の思いを誰にも邪魔されずに、読者に直接届けていくものが作れるのではないかと思いました。ネットではコンテンツが無料でお金にならないからといって、みんなマネタイズの話にすぐ行きがちですが、ぼくらは収益があとからついてくると考えています。なぜなら、商品ではなく作品が求められていると思うから」(佐渡島氏)

技術ばかりを意識しすぎない

ベータ版では50名以上の作家が利用、読者を含めると1000人程度が登録をした。コルク所属の作家も利用し、SNSへの埋め込み機能のほか、さまざまな利用や感触を試している。今回の正式リリースでは、作家だけでなく、出版社も利用できるオープンなプラットフォームとなった。マグネットは、本質にこだわる。ビジネスのことは当分考えず、よりよい電子書籍のあり方を考え、実現していくことが最優先事項なのだ。

草野氏はCTOとして、「技術ばかりを意識しすぎないようにしている」という。「マグネットは、誰のために、なんのためにあるのかを繰り返し考えています。たとえば、作品の値段が時限的に変更できる機能を付けるのは、本質的に作家さんのためになるのかどうか。そのために意識的に技術研究をしています。よりよいリサイズ、よりよいページの扱いとはなんだろう。人工知能を活用ができないだろうか。そういうことを考え、試しています」

たとえばマグネット Publishingでは、画面サイズに応じて作品の画像サイズが変わるが、その際、きれいな画像が表示されるまで待つのではなく、一瞬粗い(ファイルサイズの小さい)画像が表示され、その後きれいになるようになっている。エンジニアとしては、粗い画面を一瞬ですら見せたくなった。でも読者は多少粗くても、作品を読みたいのだから、なるべく高速に表示できる方法を選んだ。そういったディスカッションを交わしながら、マグネットは少しずつ作られている。佐渡島氏は「コンテンツのための本気の仕組みがまだない」と指摘する。

「世界的にみて、純粋にコンテンツのためのプラットフォームはほとんどありません。アップルもグーグルもコンテンツで儲けようとしていないから、仕組みが本気ではないように思います。そして、売り場だけが増え、売り方だけが先行しすぎると、ランキング至上主義になり、作家に対して売り場の方が立場が強くなりすぎてしまうんです。だから、便利なツールをつくり、作家の要望を叶えたいんです。

一方、リアルな売り場においてニッチな作品は多くの数は売れません。だから、大衆受けする商品にしないといけない。つまり、商品にするには芸術のレベルを下げないといけないんですね。だから、作品を作品のまま出して、大きな商売にしていくための仕組みを作ることがマグネットの挑戦なんです」(佐渡島)

業界の先の姿を見据えたサービスを

ところで、マグネットに資本参加しているクックパッドは今年4月、イーブックイニシアティブジャパンの筆頭株主となった。今後、マグネットとイーブックイニシアティブジャパンが業務提携を進めるなかで、マグネットが開発するシステムを電子書籍販売サイト「eBookJapan」に一部転用するプランもあるという。

このような漫画・電子書籍周辺の動きの1つの大きな流れとして、DeNAの「マンガボックス」やNHN Playartの「comico」などマンガアプリが活況を呈しているという状況がある。それについてはどう思っているのか。

「戦い方が異なる」——佐渡島氏はこう語る。「有力なマンガアプリは資金力があるので、まずはいまと地続きのほうがいいんです。つまり、みんな雑誌や漫画本を読んでいるから、それをスマホに置き換えるというのはイメージできるでしょう。でも、マグネットの場合は、資金力がないからこそ、現在の出版ビジネスの仕組みを置き換えるような事業をやるのはむずかしい。だから、変容していく業界の先の姿を見据え、そのときに便利に使えるツールを開発しているのです」

草野氏も「なにも食い合っていない」とスタンスの違いを強調する。「ぼくらはインターネット上で作品をよりよく発表・購買するにはどういうツールやプラットフォームが必要なのか、というのをずっと考えています。だから、マグネットのツールをマンガアプリなどのプレイヤーが利用することも十分にありえると思います」

ベンチャーキャピタルなど外部の資本を入れていないマグネットには、事業計画のようなものはないのだという。「本質的なこと、世間に役に立つことをやればお金が付いてくると考えています。そもそもクックパッドも、耐えて耐えて成長してきた。だから、マグネットはものづくりをする作家や出版社が使いやすいツールを作り、提供するだけです」(佐渡島氏)。

作家が作品として発表でき、ファンと直接つながり、ファンは埋め込みなどで作家を応援する。ベータ版での課題としては、なかなか購買まではつながらなかったことがある。この新しい購買体験をどれだけ当たり前にしていけるのかがカギになるのかもしれない。「売り方」や「売り場」ばかりが語られ、「プラットフォーム」が力を持ちすぎていたネット上のコンテンツを取り巻く環境のなかで、はたして、ネット上に“作品”がどれだけ増えていくのか――ビジネスよりも本質を見続けるマグネットの挑戦がスタートを切った。

BuzzFeedがYahoo Japanとパートナーして日本進出

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BuzzFeedYahoo Japanとのジョイントベンチャーにサインした。Yahoo Japanは、最近Googleにわずかに抜かれるまでは、日本でトップの検索ポータルだった

BuzzFeedはこれまで、合衆国に加え、イギリス、フランス、オーストラリア、インド、ドイツ、メキシコ、カナダの計8か国でローカライズしたニューズフィードを提供してきたが、同社によると(7月の場合)全トラフィックの45%が合衆国以外だ。しかし国際展開にあたってご当地にローカルパートナーを設けるのは、今回のYahoo Japanの例が初めてである。

Yahoo Japanは、BuzzFeedの日本語と日本文化への適応を助けるが、それは多くの外国企業にとって難題であり、また今回は日本人オーディエンスの心を一瞬でつかむ見出し作り、という課題もある。Yahoo Japanは、日本のインターネットユーザの88%が同社のユーザであり、月間ページビューは560億に達する、と主張している。ユーザの約半分は年齢層が20歳から39歳で、それはBuzzFeedのターゲットとほぼ一致する。

Yahoo Japan自身もアメリカの企業(Yahoo!)と日本企業(SoftBank)のジョイントベンチャーだ。BuzzFeedによると同社はYahoo Japanに同社のブランド力と独自の技術プラットホームとネイティブ広告を提供し、ただし“編集と創造の独立性”は維持する。

BuzzFeedはこれまで5回のラウンドで計9630万ドルを調達している。最近のシリーズEはAndreessen Horowitzのリードによる5000万ドルで、発表は2014年8月に行われた。

BuzzFeed参考記事(日本語)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スクーとエン・ジャパンが業務提携、転職希望者のスキル育成支援で特別カリキュラムを提供

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オンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」を運営するスクーと総合求人・転職支援サービス「エン転職」などを展開するエン・ジャパンが8月18日、業務提携を発表した。

今回の提携はウェブ・IT業界の人材不足の解消に向けた新しい人材の創出と企業から求められる人材の育成を目指すもの。スキルを持った人材を育成すべく、まず最初の取り組みとして、エン転職のユーザーに「schoo WEB-campus」の「Webデザイナー」(3コース:14授業、計12時間)、「Webプログラマー」(4コース:13授業、計13時間)「Webマーケター」(2コース:12授業、計12時間)の講座を無料で配信する。

これだけであれば、schooのコンテンツの配信先が1つ増えたというだけの話だが、9月からは人材の育成、転職についてより具体的な支援をしていくのだという。具体的には、スクーがエン転職のユーザーに対して、プログラミングやウェブデザインなどの特別カリキュラムを提供し、すべてを受講したユーザーに対して修了認定を行う。終了認定されたユーザーに対してはエン・ジャパンが転職サポートを行うほか、入社後の活躍・定着に向けたフォローを行うとしている。

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ペパボ創業者の家入氏の新会社キメラが始動、East Venturesや個人投資家から1億円の資金調達

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paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真氏。29歳の最年少でJASDAQ上場(当時)を果たしたのち、飲食店経営や投資活動、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」運営のハイパーインターネッツやネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEなどの共同創業、果てには都知事選への立候補など——時に騒ぎを起こしつつも活動してきた同氏の新会社キメラがいよいよ本格的に動き出した。

キメラは8月18日、East Ventures、あすかホールディングス取締役会長の谷家衛氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏など複数の個人投資家、リブセンスを引受先とする総額1億円超の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。資金の調達に合わせて谷家氏が同社の取締役に就任する。キメラでは今回の資金調達をもとに人材の拡充やマーケティング強化、開発環境の整備を進めるとしている。

キメラでは、「新しい働き方の提案や雇用力を強化するサービスを開発する」としており、第1弾のプロダクトとして、タレントマネジメントシステム「LEAN」を開発中だ。キメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏(paperboy&co.のブランド戦略などを担当したコンサルタントであり、その後自身でも起業。コスメ事業を立ち上げて売却し、現在サティス製薬取締役も務める)によると、クローズドベータ版サービスの運用はすでに開始しており、9月にも正式にサービスを開始する予定だという。

「最近ではリファラル採用(人材会社を利用しない、人づてでの採用のこと)という言葉も出てきているが、企業のHRに必要なインフロー(採用)、インターフロー(教育、配置)、アウトフロー(輩出)にそれぞれモジュールを提供していきたいと考えている。LEANはその採用のモジュール」(佐野氏)

機能の詳細については聞けなかったが、LEANは採用に向けた情報発信に加えて、入社した人材の属性を一元管理。さらにデータを蓄積していくことで、自社に求められるのがどのような人材であるかを確認できるようなプロダクトだという。海外ではすでにLeverのようなサービスが登場しているし。国内で言えばWantedlyなどが近いだろうか(同様のサービスを提供予定だったハッチは現在活動をストップしていると聞いている)。

キメラのコーポレートサイトでは、社名の由来である「キメラ」について「同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。またそのような状態の個体のこと」という説明があるほか、その語源でもあるギリシャ神話の怪物「キメラ」を例に「獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つ怪物キメラの様に、わたしたちはひとりひとりが独立した特徴を持つモンスターでありたい」というメッセージが書かれている。このメッセージどおりで、同社では今後LEANに加えて複数のサービスを展開していく予定だという。