クラウドベースのレコーディングプラットフォームSoundtrapがシリーズAで600万ドルを調達

23878424093_b1a60abdba_o

Soundtrapはクラウドベースの音楽や音声のレコーディングプラットフォームで、今回シリーズAで600万ドルを調達した。北欧のVC、Industrifondenがリード投資家となり、既存の投資家に加え、新規の投資家もこのラウンドに参加している。Spotifyの前CFOとCOOを務めたPeter Sterkyも参加した。Sountrapはこれまでに累計850万ドルを調達したことになる。

Soundtrapは、ユーザー同士がコラボしたり、マルチプラットフォームで使えるAppleのGarageBandのようなサービスと言えば比較しやすいだろう。Soundtrapは音楽やポッドキャスト用の音声などを録音することができ、独自の音源ソフトウェアとMIDIシーケンサーを持つサービスだ。

SoundtrapはiOS、Android、Chromebook、Mac、Windows(特に後者の3つのSoundtrapのバージョンは、技術的に見事なブラウザベースのサービスだ)で、クロスデバイスに対応している。これによりソフトウェアの強みが最大限発揮される。

全ての作業はクラウドに保存されるため、前回保存したところから、別のデバイスで作業を再開することが可能だ。そして、他のユーザーとオンラインで協力する機能もある。

SoundtrapのCEOで共同ファウンダーのPer Emanuelssonは、このような仕組みにしたことに対し、Soundtrapは単に使いやすいものを開発したのではなく、人と一緒に音楽を作った方が断然楽しいということを知ってもらうためのツールというアイデアから開発したためと話す。

Chromebook対応に伴い、Soundtrapは教師と生徒の間でも広まっている。これは当初、Emanuelssonと彼のチームを驚かせるものだった。だがこのスウェーデンのスタートアップは、今年の初めには教育業界を主要なターゲット市場に位置付け、Soundtrapの教育用ライセンスも設置した。

また、SoundtrapはGoogle for Educationの公式パートナーである。このGoogleのプログラムは、学校をターゲットとし、浸透率も高まっている。結果的に、週に200校が新たにSoundtrapを教室で使うツールキットに追加しているという。

今回の調達ラウンドには他にも、スウェーデンのプロデューサーで作曲家のAndreas Carlsson、TruecallerのファウンダーAlan MamediとNami Zarringhalam、TruecallerやPreziのアーリーインベスターMagnus Bergman、Nordic CapitalのKristoffer MelinderとJoakim KarlssonとUlf Rosberg、レコードレーベル、出版社でマネジメント会社のAristotracksのCEOで共同ファウンダーのLinus AndreenやLars Bergströmも参加している。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

OpenStackが14回目のバージョンアップ、スケーラビリティと自己回復力、ベアメタル上のコンテナに注力

openstack_planet-1-of-1

OpenStackは、企業がこれを使って自分のデータセンターにAWSのようなクラウドプラットホームを構築運用できる大規模なオープンソースプロジェクトだ。それが今日(米国時間10/6)、その14度目のメジャーバージョンアップをリリースしたNewtonと呼ばれるニューバージョンは、ここ数年間における、OpenStackのさらなる成熟を示している。そして今回は、OpenStackのコア的サービスの一部の、スケーラビリティと自己回復力の強化に力が入れられている。またそれと同時に、重要な新しい機能が二つ加わった。そのひとつは、コンテナとベアメタルサーバーのサポートの改良だ。

Newtonに寄与貢献したデベロッパーとユーザーは2500名あまりに達する。その数からもそれがビッグプロジェクトであることが分かるが、コンピュート、ストレージ、ネットワーキングといったデータセンターの中核的サービスをサポートするだけでなく、多様な小規模サービスも各種提供している。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、Newtonの力点は新しい機能よりもむしろ、新しい種類のワークロードをサポートするためのツールの充実に置かれている。

CollierとOpenStack Foundationの上級役員Jonathan Bryceが強調するのは、OpenStackの仕事はあくまでも、ユーザーが自分のワークロードを動かすために必要とするインフラストラクチャを提供することだ、という点だ。ワークロードの種類やタイプ、そのために求められるツールは、いっさい特定しない。“クラウドと仮想マシンが同一視されることは、最近ではなくなった”、とCollierは述べる。むしろ今多いのは、ベアメタルとコンテナの併用だ。OpenStackはそんなユーザーに、すべてを一元管理できるための、単一の制御インタフェイスを提供しなければならない。

しかし企業の変革の歩みは遅くて、OpenStackを使っているアーリーアダプター的企業でさえ、コンテナの採用はまだ始まったばかりだ。Bryceは曰く、“アーリーアダプターの中には、すでにコンテナをプロダクションで(本番運用で)使っているところもある。しかし私の考えでは、OpenStackである・なしを問わず、コンテナをプロダクションで使うのは時期尚早だ”。しかしそれでも、彼によると、最近ではOpenStackのさまざまなコンポーネントを活用して、コンテナの採用を早めたい、というユーザーが増えている。

networktopology

OpenStackのコア・フィーチャーであるNovaコンピュートサービスや、Horizonダッシュボード、Swiftオブジェクト/blobストアなどは、今回のアップデートでスケーラビリティが向上した。OpenStack上のコンテナ管理プロジェクトMagumuは、すでにDocker Swarm, Kubernetes, およびMesosをサポートし、オペレーターがKubernetesのクラスターをベアメタルサーバーの上で動かすこともできる。またそういうベアメタルサーバーのプロビジョニングフレームワークIronicは、Magnumとよりタイトに統合化され、マルチテナントのネットワーキングもサポートする。

今回のリリースには、そういった多様なアップデートや改善改良が含まれる。その圧倒的な全容と各プロジェクトの詳細は、ここで見られる。

OpenStackはすでに、6か月先の次のリリースにも取り組んでいる。それは、今月後半にバルセロナで行われるOpenStack Summitまでには準備段階を終えて、来年2月に一般公開されるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Apps for WorksがG Suiteに改名、主要アプリケーションをアップグレードし、Driveのチーム管理機能を導入

screen-shot-2016-09-29-at-1-46-46-pm

Googleが今日(米国時間9/29)、10年前にGoogle Apps for Your DomainからGoogle Apps for Workに改名したサービスをまたまた改名し、今度は“G Suite”にする、と発表した。おしゃれな名前、かな?どうかな? ついでにGoogleは、そのG Suiteを構成する主なアプリケーションのアップグレードを発表した。それらは、Drive, Docs, Spreadsheets, Slides, Calendar, Hangouts, などなどだ。〔関連記事。〕

ところで、: G Suiteとは?

Googleの主張によると、この名前は、人びとがどこにいても一緒に仕事をし、イノベーションを推進していけることを表しているのだそうだ。ま、いいか。

G Suiteの製品管理のトップRyan Taboneによると、この名前は、それが単に個々のアプリケーションの集合ではなくて、それら全体が一体的な集まりであることも明言しているのだそうだ。

また今後は、G Suiteの全製品にわたってマシンインテリジェンスの利用を拡大していく*。それは、Googleがこれまで10年以上一貫して投資してきた分野だ。そしてすでにこの技術は、Word Lensによるインスタント翻訳写真の画像認識などで利用されている。昨年ローンチしたInboxのSmart Replyもそうだ。〔*: マシンインテリジェンス, machine intelligence, 最近は人工知能(artificial intelligence)がやや古語になり、代わってmachine intelligenceがよく使われる。〕

今日のGoogleの発表では、今後マシンインテリジェンスをもっと多くのサービスに導入していくが、その手始めはGoogle Driveだ。

Android上のDriveに最近導入されたQuick Access機能は、通常の検索を使わないことによって、目的のファイルを見つける時間を半減する。ユーザーがファイル名をタイプする前に機械学習機能が必要なファイルを推測し、その候補を画面上部に列挙する。

dqa-final-looping

この機械学習機能は、ユーザーの過去のDrive利用履歴や、同僚との対話、会議やスプレッドシートの利用など仕事のパターン、などなどから、候補のファイルを選び出す。

同じく、すでにAndroidにあるGoogle CalendarのSmart Scheduling機能は、近くiOSにも提供され、年内にWebにもやってくる。これもやはり機械学習の能力が、ユーザーの選好などのデータに基づいて会議の時間や空いてる部屋を示唆する。

ios-gif_for-blog-and-social

そしてGoogle Sheets〔スプレッドシート〕の検索機能Exploreでは、質問に自然言語が使えるようになる。ユーザーの、自然言語による質問を自然言語処理エンジンNatural Language Processingが公式に変換して、スプレッドシートの検索機能に渡す。

Taboneによれば、これはきわめてベーシックなビジネスインテリジェンスシステムのカーネルでもあるが、しかしさらにもっとベーシックなレベルでは、Sheetsのユーザーの1/3は、スプレッドシートの公式というものを正しく理解していない。そこで、こういう自然言語機能があれば、ユーザーは公式のことを忘れてSheetsをより有意義に利用できる。

de-sheets-final

Explore機能はSheetsだけでなくDocsにも実装され、作成編集中の文書に役立つと思われる関連記事や画像などを推奨する。Drive中の関連文書も、その対象になる。

またGoogle Slidesは、レイアウトの提案をする。画像をスライドにドロップするだけで、提案が得られる。まだ画像の内容の分析はできないが、色や解像度を手がかりにレイアウトを判断する。

Team DrivesがチームのDrive利用を管理

以上のような、既存のアプリケーションの機能拡大に加えて、Team Drivesと呼ばれる新しいプロダクトが発足する。

このアプリケーションはGoogle Driveに貼りついて、コンテンツの所有権や共有をチームのレベルで管理する。チームといっても、これまでよりも小さな粒度での管理が可能だ。このアプリケーションをベースに、チームはクラウドストレージのスペースを共有する。このような新しいチーム管理機能のために、Google Driveのコードも一部書き換えられた。

共有とその管理機能がこれまでDriveになかった方が不思議だが、でもTaboneによると全般的に業界の傾向として、これまでは個人々々の生産性アップに力を入れてきたといえる。チームワークを意識するようになったのは、ごく最近だ*。〔*: Microsoft Officeなども。〕

現状では、Team DrivesはEarly Adopter Programからしか利用できない。さらにそのあとには、少数のユーザーを対象とするプレビューで提供される。

g-suite-product-launch-2

Google Hangoutsのアップグレードバージョンも、ある種のEarly Adopterプログラムから、企業のリクエストに応じて提供される。そのニューバージョンは、ダウンロードもプラグインも不要になり、アカウントやデータ接続のない者でも、どんなデバイスからでも参加できる。ビデオの参加者は、最大50名だ。Calendarを統合し、インスタントな画面共有や録画ができる。

ニューバージョン用にこれまで開発してきたHangoutsのそのほかの新機能も、今後少しずつ導入されていく。Taboneはそれらを具体的には言わなかったが、自動書き起こしや入呼分析などは当然、提供されるだろう。

gsuite-product-launch-3

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google、クラウドサービスをすべてGoogle Cloudブランドに統一

2016-09-30-google-cloud

Google for Workや Googleのクラウド・プラットフォーム、その他同社のすべてのクラウド・ベースのサービスはGoogle Cloudというブランド名に統一された。これは今朝(米国時間9/29)、サンフランシスコで開催された招待オンリーの小規模なプレスイベントでGoogleの上級副社長、Diane Greeneによって発表された

事情に詳しい読者にはこのニュースは必ずしも驚きではないだろう。The Informationはすでにこの情報をつかんでおりGoogleは改編を準備中だと報じていた

紛らわしい話だが、 Googleは同時にGoogle Apps for Workの名称も変更した。これはまずすべてGoogle Cloud傘下に入る。同時にGoogle Apps for WorkはG Suite〔Gスイート〕という名称になる(微妙な名前だが、やがて慣れれば気にならなくなるのだろう)。

google_cloud_1

Google for Work/Google Cloudのブランドがカバーする範囲は広い。Googleの生産性プロダクトの中心であるGmail、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライド、ビジネス用のMaps for WorkからSearch for Workなどのハードウェア製品まで非常に多様だ。さらにクラウド・コンピューティング・プラットフォーム、 Chromebook、エンタープライズ・モバイル・サービスなどが加わる。

今朝のキーノートでGreene上級副社長は「Googleは当初、Google Enterpriseという名称を考えていた」と述べた。実際Googleではこの名称を会社の内外でしばらく使っていた。今年初めにGreeneがGoogleに加わった頃は〔GreeneはVMWareの共同ファウンダー〕、Googleがクラウド事業に本腰を入れるつもりなのかどうか懸念を抱いている企業ユーザーもあったという。そのため当時はエンタープライズという名称が適切と思われた。しかし、その後、潜在的顧客もGoogleがクラウド事業に真剣であることを理解したので今回Google Cloudというブランドに変更したのだという。

「エンタープライズ、というのは6月の話」とグリーンは言う。「クラウド事業にはGoogleのフルパワーが注がれる。そういうわけでGoogle Cloudとなった。これはいかにもGoogleらしい―きわめて広い範囲にわたるテクノロジー、ソリューション、プロダクトを統合したものになる」ということだ。

dsc06882

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、クラウド・プラットフォームで機械学習サービスをベータ公開―衛星写真修正にも活用

2016-09-30-google-ai-urs-hoelzle

今朝(米国時間9/29)、サンフランシスコで開催された小さなイベントでGoogleはクラウド・コンピューティング・サービスを新しいプラットフォームに移行させることを発表した。このアップデートにはデータベース、アナリティクスに加えて機械学習サービスも含まれている。

今日の発表でGoogleが力を入れていたのは明らかに機械学習関係だ。機械学習は数ヶ月前から非公開のアルファ版としてテストされてきたが、Googleの機械学習インフラのボス、Urs Hoelzleは「今日からCloud Machine Learningは公開ベータ版としてすべての企業、教育機関から利用できるようになった」と発表した。

ml-lead-1

このサービスではユーザーは機械学習モデルを独自のデータ訓練できる。データセットがテラバイト級のサイズであっても訓練には数時間しかかからないという。

Googleのクラウド機械学習には2つのサービスが含まれる。困難な問題に遭遇したユーザーはGoogleのMachine Learning Advanced Solutions Lab〔機械学習先進ソリューション・ラボ〕に解決法を尋ねることができる。またクラウド・スタート・プログラムは独自の課題の解決法を求める企業に対し、機械学習の基礎を学べるワークショップを提供する。

またGoogleはクラウドの各種専門家の認定制度もスタートさせており、 Googleが社内のエンジニア向けに開発したものをベースとした教育を受け、所定の基準を満たせばその証明を得ることができる。対象はGoogleのパートナー、ビジネス・ユーザー、データ・サイエンティストだ(ただし認定には誰でも応募できる)。

こうした仕組みを見れば、Googleは機械学習に触れる機会を広げることによって一般への普及を加速させようとしていることが明らかだ。もちろんGoogleのライバル、MicrosoftやAmazonなども同様の試みを行っている。しかし現在のところ機械学習でGoogleのような高い評価を得ている企業は他にほとんどない。

今朝のキーノートでHoelzleは「たとえベータ版であっても Google機械学習は信じられないほどの効果を発揮する」と述べた。このカンファレンスでGoogleは長い時間をかけてAirbusのようなパートナーがGoogle MLシステムを利用していかにプロダクトの改善に成功しているかを説明した。

同社のマネージド・データウェアハウスであるGoogle BigQueryもアップデートを受けた。たとえばユーザーは今後は標準的なSQLクエリーを用いてデータ検索を行うことができる。BigQueryを利用すれば、ユーザーは自社のビッグデータへのアクセスが容易になる。またGoogleは月額定額制のシンプルな料金制度を発表した。これには無制限のクエリー発行とサポートが含まれる。データの保存料金は別途サイズに応じて決定される。

サービス自体のアップデートの他に、Googleはユーザーへのサポートも改良している。ユーザー企業はGoogleのCustomer Reliability Engineering〔顧客信頼性エンジニアリング〕チーム(クラウド・プラットフォーム・グループ中の新組織)を利用できるようになった。これによりユーザー企業はGoogleのエンジニアと直接に共同作業を行うことができ、「クリティカルなクラウド・ソフトにおいて信頼性と運営の責任をGoogleと共有することができる」という。例えばGoogleのエンジニアはPokémon GOのローンチ時にNianticを直接サポートしたという。

google-cloud-cre

〔日本版〕Googleのブログによれば、記事中のパートナーはAirbusの子会社のAirbus Defense and Spaceで、雲などの衛星写真の欠陥を発見し、修正する作業の精度と効率を機械学習が大幅にアップさせたという。なおGoogleのクラウド・サービスの日本語ページはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Cloud FoundryがDocker互換のコンテナ管理システムDiegoを立ち上げ、DEAを廃棄へ

steel foundry in Redcar clouds billowing

PivotalとVMwareから孵化したオープンソースのPaaS企業Cloud Foundryが今、新製品のコンテナ管理システムDiegoに力を入れている。同社はこれまで、コンテナの管理にDroplet Execution Agents(DEA)と呼ばれるものを使ってきたが、しばらく両者を並行して使ってみた結果、これからはDiego一本に絞ることにした。この管理システムにより、一つのクラスターの中で最大25万までのコンテナを動かすことができる。

Cloud Foundryのユーザー企業でそれほど大規模にコンテナを使っているところは、まだ少ない。しかし最近のエンタープライズデベロッパーたちは口を揃えて、企業におけるコンテナの採用は多くの人が想像する以上に急成長している、と言う。Cloud Foundry自身の調査でも、今や多くの企業がコンテナを評価中だ。ここ数か月の動向を見ると、実装数はまだそれほど多くはないけれども。

unnamed

Cloud Foundryが目をつけているのは、良質なコンテナ管理サービスにより大規模な展開が容易になれば、企業ユーザーの今後のコンテナの需要とデプロイメントも増え、Cloud Foundry自身の顧客ベースも安定拡大することだ。

しかし、GoogleのKubernetesやDockerのツールなど、既存の(そして比較的よく使われている)コンテナ管理サービスがすでにいくつかある中で、なぜCloud Foundryは、自社製に踏み切ったのだろうか。

Cloud FoundryのCEO Sam Ramjiによると、重要なのは、Dockerによってコンテナが人気者になる以前から同社は、DEAによりコンテナを使ってきた。“しかしそれは標準技術が登場する以前のことなので、かなり癖の強いシステムだった”、とRamjiは語る。たとえば、DEAが前提するコンテナのフォーマットは、独自のものだ。しかしDiegoは、Docker互換だ。つまりそれは、既存のリッチなコンテナエコシステムに、そのまま入っていける。そしてCloud Foundryは、ここ3年ぐらいの間に急速に勃興してきた新しいコンテナ技術の数々を、利用できる。

同社は、DEAの寿命を2017年まで、としている。CloudFoundryの公認ベンダは、それ以降DEAを使ってはならない。しかしこのことは、デベロッパーにはほとんど無関係だろう。Cloud Foundry上でアプリケーションをデプロイするために使うコマンドは、すべて前と同じだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

タスクマネジメントアプリのAsanaが、手軽で便利なカスタムフィールド機能を追加

asana

Facebookの共同創業者のと、Facebookの初期の従業員によって創業されたエンタープライズSaaSのAsanaは、チームが何を行えば良いかの明確化を簡単にし、より生産的になる手助けをしてくれるワークフローとタスク管理アプリとして有名だ。しかし、本日、同社は新しいサービスを公開した。何をすればよいかをはっきりさせるだけではなく、実際にそれを行う手助けもしてくれるサービスだ。

Asanaが公開する新しいプロダクトの名前は「カスタムフィールド」だ。Asanaの情報管理機能に様々なデータ構造の視点をカスタマイズを通して取り込むことのできる、インターフェイスとアーキテクチャの名称だ。

これは正確にはどういう意味だろう?Asanaの説明によれば、たとえばこれまで運転手の採用を行ってきた企業は、これからはAsanaを使って実際の候補者に関するより詳細を追跡するためのフォームを作ること可能になる;マーケティングチームはより多くなプランから特定のキャンペーンへドリルダウンを行うことできる;エンジニアリングチームはカスタムフィールドを使ってバグの記録と追跡を行うことができ;そしてデザインチームはそれを使って大きなプロジェクトのより詳細な様子と進捗状況を見ることができるようになる。

アーサナ-バグ追跡

インタフェースの目的は、ユーザーが情報を集めて統合し、それに対して構造的な問い合わせを行うことを助けることだが、新しいアーキテクチャの導入は、Asanaが利用者のより大きな活動の中心になろうと挑戦していることの証でもある。生産性をカバーするだけではなく、情報の収集と管理を提供すること、すなわち今日の基本的なスプレッドシートの利用法を越えた、本質的に情報を見るための動的でより優れた方法を提供することである。

カスタムフィールドは、本日Asanaのプレミアムサービスの一部として発表された、そして来月には様々な業務と業種をカバーする数多くのテンプレートを投入する予定だ。(ただし有料のプレミアムサービスとして。Asanaの基本機能は15人までのチームでは無料で利用することができる、それ以上の場合には月額1人あたり8.33ドルからスタートしてスケールに応じて支払うことになる)。

同社はまた、そのAPIにカスタムフィールドを統合する予定だ。個人的には、これはこのニュースのより興味深い側面の1つだと思う:これが意味することは、理論的には、Asanaの情報にアクセスする新しいアプリケーションを作ることができることを意味する、簡単に情報を集めて構造化することのできる顧客向けのツールでも、Google Formsのような既存のプロダクトから、Asanaのリッチなデータを利用することができる。

本日発表されたばかりの新機能は、これまでAsanaが行った最大のアップデートである。ビジネスを次のレベルへ持ち上げるために、3月に同社が行った6億ドルの評価を受け5000万ドルを調達した重要なラウンドの直後に、このアップデートは行われた。興味深いことに、同社はその時でも既にこの新しいサービスに関わる観点をずっとテストしていたのだ。

皮肉なことに、Asanaが2009年頃からカスタムフォームなしでやってきたことを考えると、今週Asanaのサンフランシスコオフィスで会ったRosensteinから聞いたことは興味深い。それは顧客から「最も多く寄せられた要望」だったということだ。「彼らはみな、作成した特定のものを追跡する能力を求めて来ました」。

彼は説明の中で、これは「当初からのビジョンの一部だった」が、追加するのには時間がかかってしまったと述べた。なぜなら良いタスクマネジメントツールを作るためのより基本的な挑戦は、想像以上に大変なことだったからだ。

カスタムフィールドの導入は、このスタートアップにとって重大な拡張である一方、Salesforce、Microsoft、Googleその他の、様々な階層をカバーするクラウドベースのエンタープライズインフォメーションマネジメント製品の企業に対する、挑戦状ともなる。

カスタムフィールドは(少なくとも当初は)有料ユーザーのみに提供されるが、それはAsanaがビジネスユーザーの多くから収益を挙げたいとの考えからである。(今日では、Asanaは有料顧客として13000アカウントを数えるが、何千もの利用者も無料で使っている)。

同社はまた、異なるクラスのユーザを視野にいれたトレーニングを施している。今日では、プロジェクトを管理するためにAsanaのプラットフォームを利用している、沢山の小さいチームと、中小企業が存在している。しかし同社は、もっと大きな企業に採用されることを望んでいる、数十人ではなく数千人を扱う規模のビジネスが対象だ。1000人を超える規模の採用数が過去6ヶ月で倍増したということに触れただけで、Asanaはどれだけの数の大企業が、現在利用しているかに関しては開示しなかった。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

退屈するのは創造性を十分発揮していないから、BoxのCEOは語る

aaron-levie21

BoxのCEOのAaron Levieは、その役割を10年以上務めている。かろうじて30歳を過ぎたばかり、それが意味することは、これが彼が大人になってプロフェッショナルに行ったことの全てであるということだ。もし彼が他のチャレンジを考えていたとしても無理も無いと思うことだろう。しかしこれだけの期間が過ぎても、Levieの情熱ははっきりと燃え盛っている。

今週BoxWorksで対面インタビューを行った際に、ひょっとして退屈しているのではと尋ねたとき、彼はUberのCEOであるTravis Kalanick(彼はBoxの顧客でもある)の言葉を言い換えながら、こう言った「もし退屈だと言うならば、創造性を十分に発揮していないのですよ」。

Levieがその若いスタートアップに注目を集めようと努力していた2009年から、私は彼と定期的に話を続けて来た。公開会社であること、それに必然的に伴う一切の責任に対して、まだ彼はそれを掴みとる最中のように私には思えた。彼は自らの企業を、この分野で最大のソフトウェア企業となれるような強大なものにして行きたいと願っている。

彼は、Boxの周りで大企業が買収に動いているという噂に関してはコメントしなかったが、まだ独立企業であることに注力していると答えた。

「もしここ3-6ヶ月を振り返って、M&A市場を眺めれば、破壊的成長を遂げつつあるテクノロジー企業に対する嗜好は旺盛だったと思います。私たちは3億9600万ドルの収益を今年の目標として動いています。私たちが挑んでいるのは300から400億ドルの市場です。私たちは、達成したい場所へのおそらく1パーセントの位置にいるのです。私たちは10年以上これを行って来ましたが、このミッションと旅は、まだ始まったばかりです。独立であることと、会社の構築を自分たちで成し遂げることに、重点を置いています」。

もし価値を株価で計るなら辛い気持ちになるでしょうけど、私たちの価値を認めてくれるお客さまの声は届いています。

— Box CEO Aaron Levie

問題の一部は、これだけの時間を費やしたあとでも、多くの人々がまだBoxが何をするためのものかを理解していないということのように思える。とはいえLevieはそのことではイライラはしていないようだ。彼はただコツコツと努力しこう語る、一般の人やウォール街は彼がやろうとしているものをまだうまく認識できていないようだが、そのことが彼の最終的なミッションに影響を与えることはない、と。

 「私たちは長期的視野において、とても一貫して来ました」とLevieは私に語った。「もし価値を株価で計るなら辛い気持ちになるでしょうけど、私たちの価値を認めてくれるお客さまの声は届いています。それが私たちがテクノロジーを開発する理由です」。

人々の働き方が変化していることを見ているので、同社は変化し成長し進化し続けているのだと彼は言う。そしてそれこそが彼の興味を惹き続けているのだ。「私たちは何年も前から変革側にいました、同時に次の10年に世の中の企業がどのように動くかを考えてみると、今日のトレンドがより広くそして重要なものになるでしょう ‐ ビッグデータ、機械学習、分析 – 2005年にBoxに求められていたものよりも、はるかに大きいトレンドが生まれています。私たちは、未来のためのプロダクトを構築する必要があるのです」と彼は言った。

彼は、そのビジョンに伴うものと、同社がどうやってそこへ辿り着く計画をしているのかを、ウォールストリートと既存顧客を越えた広い世界へ説明するのが、彼自身の仕事であることを理解している。もし彼らが理解していないのなら、より明確にするために彼のメッセージを改良する必要がある。とはいえ、成長と変化の余地は沢山あり、それが彼を突き動かしているように見える。

「これの何が素晴らしいかと言えば、いつでも何らかのワクワクさせるものがあるということなのです。変化は退屈することを許してくれません。私たちはエキサイティングで変革的である事に注力しようとしています」と彼は言った。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Google、API開発の上場企業、Apigeeを6億2500万ドルで買収へ

2016-09-09-apigee-goes-public

今日(米国時間9/8)、Googleは上場企業でAPIの開発と管理のプラットフォームを提供しているApigeeを買収することを発表した。Apigeeは昨年上場された会社で、買収価格は1株あたり17.40ドル、総額6億2500万ドルだ。

ApigeeはオープンAPIでユーザーがデジタル・サービスを構築することを助けている。

Apigeeのユーザーには薬局チェーンのWalgreensを始め、AT&T、Bechtel、Burberry、First Data、Live Nationといった有力企業が含まれる。

買収を発表した公式ブログで、Googleのエンタープライズ・クラウド・コンピューティング担当上級副社長のDiane GreeneはApigeeについてWalgreensの場合を例にして次のように説明した。

たとえばWalgreensはApigeeを利用してデベロッパーや提携企業がWalgreensのエコシステムを助けるアプリを簡単に開発できるようにしている。デベロッパーはApigeeのプラットフォームで開発された独自のAPIを用いて、たとえば各店舗で写真を出力するモバイルアプリ、処方箋で買った薬を簡単に再購入できるモバイル・アプリなどを開発することができる。

GreeneはAPIの開発、管理ツールがGoogleのビジネスに与える影響を正しく理解しているようだ。Greeneは「ApigeeのAPIソリューションは企業ユーザーが顧客との間で高品質な双方向のやりとりを可能にし、Googleのクラウド・コンピューティングを加速する。Apigeeはユーザーが洗練された独自のAPIセットを開発し、公開するのを助ける」と書いている。

Apigeeの買収は同社のテクノロジーと顧客ベースを入手できるだけでなく、AWSの顧客の一部もボーナスとして手に入れることになる。

GoogleはApigeeの買収によって大手企業が並ぶ顧客リストとともにAPIビジネスにおける有力メンバーの地位を入手することは間違いない。Apigee買収はユーザー企業がデジタル化というきわめて変化が速く、広汎におよぶプロセスを遂行するために役立つだろう。また今回のタイミングも興味深い。昨日DellはEMCを670億ドルで買収する手続きを完了させたばかりだ。またエンタープライズ・クラウド・コンピューティング・プラットフォームのスタートアップ、Pivotalが調達したベンチャー資金の出所がEMCだったことも判明している。今やどの会社も急速なデジタル化を必要としており、Dell、Google、AWS、Microsoftといったビッグ・プレイヤーはこのプロセスを加速することに全力を挙げている。

上場企業のApigeeにとって、この1年はジェットコースターに乗っているような株価状況だった。昨年。Apigeeは1株17ドルで上場したが、株価は公開初日に1.9%ダウンした。その後も状況は悪化し、2月12日には5.45ドルまで落ち込んだ。しかしそこからは着実に値を戻し、昨日は16.34ドルで取引を終えた。

ApigeeのGoogleへの売値が上場当初の株価とほとんど同額なのは偶然ではないだろう。同社の時価総額は昨日は4億9893万ドルだったが、今日のGoogleの買値、6億2500万ドルは上場時の時価総額にほぼ等しかった。

Featured Image: Apigee

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ローカルホストの退場―クラウド移行でIT部門とデベロッパー部門の対立は解消する

2016-09-05-codenvy

〔編集部〕この記事はCRUNCH NETWORKのメンバーでCodenvyのCEO、Tyler Jewellの寄稿

5年前にマーク・アンドリーセンがソフトウェアが世界を食い尽くすと言ったときにはまだその言葉を疑うものもいた。しかし今やほとんどすべてのビジネスがオンラインで提供されるソフトウェアの上で動いている。

こうしてクラウド・コンピューティングは小売から運輸、通信、メディアまであらゆる産業を支える事実上の標準となった。ところがクラウドの進出を拒む基本的な領域がまだ存在する。皮肉にもそれはソフトウェア開発ビジネスだ。クラウドのすべてはソフトウェアで可能になった。ところがそのソフトウェア自体は大部分がオフラインで開発されている。

しかしこの状態も近く変わるだろう。Amazon Web Serviceが最近Cloud9を買収したことでも明らかなように、デベロッパーはクラウドベースのIDE(統合開発環境)に殺到している。クラウド開発はすでにソフトウェア開発の重要部分となりつつあり、非常に控え目な推計によっても60億ドルの産業だ。AmazonからMicrosoft、Googleまでこのことに気付いている。そこでローカルホストからクラウドへのシフトという流れの原動力は何なのか、どんなチャンスが隠されているのか考えてみようと思う。

IT部門とデベロッパー部門の深い溝

ソフトウェア開発がクラウドに移行する原因はIT部門に古くから内在する根本的な対立から生じた。つまりIT部門と開発部門の対立だ。IT部門は安定性、セキュリティー、統制可能性を何よりも重視する。それに対してStephen O’Gradyが「新たなキング・メーカー」 と呼んだ開発部門は、言語、フレームワーク、プロセスを自由に選択することを要求する。この対立は、開発のためのサーバーや新たなソフトウェアに用いられるプログラミングの規格を誰が支配するのかをめぐって強い緊張状態を生む。開発部門がどんな作業にも効率的なマイクロサービスの採用を主張するのに対して、IT部門は長年にわたって試され安定しているが固定的なテンプレートを維持しようとする。

この問題は誰がシステムのルート権限を持つのかというところから発している。開発がオンプレミスで、つまりローカルホスト上で実行される場合、デベロッパーが言語、コンフィグレーション、フレームワークの選択の権限を持っている。しかしローカルホストの能力は規模の拡大や共有の面で限定的だ。そのため大規模なチームや全社的なシステムの構築には適さない。

これまでポピュラーだった代替策は、IT部門が管理する中央集権的なVM(virtual machine)サーバーの利用だ。代表的な例はVDI(Citrix)、Vagrant(HashiCorp)、Skytapなどだろう。しかしVMは高価で大規模な設備となりがちで、共有が難しく共同作業に向かない。誰でもいいがデベロッパーに共有環境の2GBのメモリしかないVMイメージで開発するのはどれほど楽しいか尋ねてみるとよい。

デベロッパーは簡単に拡張できないような環境に置かれるとコンピューターであれコードであれ開発資産を必要以上に貯めこむ傾向がある。しかし現在は 簡単に共同作業の環境を得て生産性をアップさせる方法がある。クラウド・ソリューションの普及により開発作業、資産、プロセスを共有することが以前よりはるかに簡単になった。

われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。

GitHubは共有コードのデファクトの発表先となっている。開発したコードを秘密に保管しておくのではなく、オープンにしてすべてのデベロッパーからのフィードバックを待つことが推奨されるようになった。
プロジェクト管理に問題が起きた場合、AtlassianのJIRAはプロジェクトを共有化することによって解決を図る。【略】

クラウド開発が普及しつつある

Dockerを代表とするようなコンテナ・テクノロジーの発達がバックエンドの開発をアジャイル化に適合させ、大幅に加速している。ワークスペースやランタイムを含めて、今やすべてがクラウド上にある。開発環境のすべてがデスクトップにあったこれまでとはまったく違う。

AWSの最近の動向を見るまでもなく、主戦場はクラウド IDEだ。この分野は延べ数百万のユーザーと莫大な資金を惹きつけている。コンテナをベースにエンベッドされたブラウザ・ツールとホストされたランタイムが利用可能となり、IT部門がコンピューティングのルート権限を維持すると同時にデベロッパーがDockerその他の開発ツールを用いて必要に応じて自由に開発環境を構築することを可能にする。つまりIT部門とデベロッパー部門の理想的な形での分離が実現する。【略】

さらにこうしたトレンドの存在はオープンソースのクラウド開発の普及によっても証拠だてられる。 AmazonはCloud9を通じてAWSで独自のクラウド開発環境を提供する。Google、Microsoft、 Red Hat、SAP、Samsungなどのソフトウェアの巨人は既存の硬直的な開発環境をEclipse CheEclipse Orionを通じて柔軟なオープンソースに置き換えることを検討している。

Red HatはOpenShiftに、SAPはHANA に、SamsungはARTIKにクラウド開発環境をそれぞれ標準として組み込んだ。一方、クラウド開発をさらに柔軟なものにするためにMicrosoftとRed Hatは共同して.netとASP.Netのコアをオープンソース化し、あらゆるプログラマーがプログラミング言語とそのIDEに自由にアクセスできるようにした。こうした有力ソフトメーカーは一見したところではパートナー関係を結びそうに見えなかったが、結局のところカスタマイズ可能な統合された低価格の開発環境が得られる利益の方が競争よりも利益が大きいと悟ったもののようだ。

こうした活動はアジャイル開発という新しい時代の到来を示すものだ。これによって IT部門とデベロッパー部門の長く続いた矛盾が解消され、双方の利益になる。コンテナ化とオープンソース化が開発とテストの効率をアップさせ、共同作業を強力なものにする。

そろそろlocalhostに死亡を宣告していいころだ。 われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。.

画像: Thomas Cole – Clouds, ca. 1838 (modified)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サーバーレスは新しいマルチテナンシーだ…高度なコンピューティングの低価格化を実現

Dataplace, Alblasserdam

[筆者: Anshu Sharma](Storm Venturesのパートナー)

マルチテナンシーは、SaaSにおける最大の技術的突破口だった。こんな状況を考えてみよう: 顧客が10万あまりいると、Salesforceのような企業は、彼らのニーズに奉仕するために、10万あまりのサーバーとデータベースを必要とし、利益は消えてしまう。

マルチテナンシーは、高い粗利率を可能にするだけでなく、高度なソフトウェアを中小企業に低料金でサーブしても利益を上げられるようになる。それは単に新しいアーキテクチャであっただけでなく、エンタープライズソフトウェアの費用に関するわれわれの考え方を変えた。CPUやサーバーの数ではなく、ソフトウェアのユーザーと使い方が費用計算のベースになる。同様にサーバーレスコンピュートも、アプリケーションの作り方と、その消費と支払い方法の、両方における新しいやり方だ。

サーバーレスは、マルチテナンシーのメリットを、より高いレベルに上げる。サーバーレスコンピュートは、プラットホームが起動しそして停止するとき、専用のサーバーやVMが動いていなくてもよい、という計算モデルで、スケーリングが必要に応じて自動的に行われる。課金は、必要とした処理時間に対して行われる〔下図: AWS Lambdaのケース〕。

unnamed (1)

マルチテナンシーの一人勝ち — 他は全員敗者

SaaSの最初の10年は、SalesforceNetSuiteのような企業が熱心なマルチテナンシー賛成派で、レガシーのベンダーたちはそれを弱体化と呼び、複数の顧客データの混在は危険だ、とけなした。

エンタープライズアプリケーションソフトのトップ企業だったSAPは独自のアーキテクチャを発明してそれをメガテナンシーと呼び、データベースベンダーのトップOracleは、マルチテナンシーに代わるものとして仮想化プライベートデータベースなどのイノベーションを売り込もうとした。今日では、これらの企業もAribaConcur、NetSuiteなどの企業を数百億ドルを投じて買収し、勝者のアーキテクチャ、マルチテナンシーにコミットしている。

サーバーレスアーキテクチャ

サーバーレスアーキテクチャにより、まったく新しい種類のアプリケーションが生まれようとしている。とりわけこのアーキテクチャは、IoTやモバイルアプリ、リアルタイムビッグデータなどに大きなアドバンテージをもたらすだろう。

Amazon Lambdaは、この分野の明確なリーダーと見られる。またPubNub BlocksやAzure Functionsなども、同じアイデアがベースだ。数年後にはすべてのクラウドプラットホームが、何らかの形でサーバーレスアーキテクチャをサポートすることになるだろう。

マルチテナンシーへの移行の場合と同じく、既存のコードを簡単にサーバーレスにすることはできない。アプリケーションを根底から考えなおし、新しいフレームワークを使うためにリライトする必要がある。

不可能を可能にし、そして安価にする

マルチテナンシーにより中小企業が、CRMや会計経理、マーケティング、人事雇用などの分野で、エンタープライズ級のアプリケーションを、手頃な料金で利用できるようになる。それらのアプリケーションは今ならたとえば、Salesforce(CRM)、NetSuite(会計経理)、Marketo(マーケティング)、SmartRecruiters(人事雇用)などだ。

大量のデータを継続的にリアルタイムで処理して経営に生かすユースケースは、コストが膨大だから、とても手を出せない企業が多い。しかしサーバーレスのコンピューティングならファンクションを動かすわずかな時間に課金されるだけだから、それがずっと安上がりになる。

この新しいアーキテクチャとビジネスモデルによる新しいアプリケーションが、これからの10年でどんどん台頭してくるのが、私は待ち遠しい。SalesforceやNetSuiteぐらいのサイズの企業がこの新しいアーキテクチャを採用したら、一体どんなことが可能になるだろうか?

お断り: Anshu SharmaはPubNubの投資家で、元Salesforceの役員、そしてパブリッククラウドに対する絶対的な楽観主義者だ。彼の意見には、これらの立場による偏りがある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VMwareが仮想デスクトップ製品の現代化のために多様なアップデート、低コスト化と顧客の自由度向上

E-COMMERCE, COMPUTERS AND CITY SKYLINE

VMwareが今日(米国時間8/29)、ラスベガスで行われたVMworldで、同社の仮想デスクトップ(virtual desktop, VDI)製品群の一連のアップデートを発表した。

その発表は、同社の仮想デスクトップの現代化のために、顧客にクラウドやオンプレミスやハイブリッドの環境で、さまざまなオプションを提供することをねらっている。また、HPやDell、それに超低コストのRaspberry Piさえも含めた、さまざまなハードウェアベンダとのパートナーシップによって、費用を下げようとしている。さらにIBMとのパートナーシップにより、仮想デスクトップのクラウドバージョンをIBMのインフラストラクチャサービスSoftlayerからも提供する。

同社によると、今回のアップデートでデプロイのスピードの問題が解決し、そのためにより効率的なリソースプールを仮想デスクトップに供給できることになった。これによりデプロイメントがより迅速になり、安定感のあるデスクトップが提供され、朝の最初のタスクのようなピーク時にも安定的な利用ができるようになった。

VMwareはさらに、システムをタブレットでも十分使えるようにチューンナップした。これにより社員たちは、iPadなどから仮想シェル上の自分の仕事にアクセスできる。

仮想デスクトップは前から、容易な管理と強力なセキュリティが売りだったが、その謳い文句に対する市場の乗りは、未だにいまいちである。それは、社員たちにリソース満載のPCを与えることをやめて、安価なダムターミナルを与え、仕事に必要なツールとリソースだけをそこに載せる、という考え方だ。

それはメインフレームとダムターミナルという構造の再来だが、ただし高価なメインフレームではなく、一般市販の安価な、そして使いやすい、PCのネットワークにリソースのプールを設ける。

しかしこの方式では、朝の8時半に全社員がコンピューターの電源を入れると、ネットワークとリソースプールの負荷が急増する。身軽なPCをエンドユーザーが使うという点ではクラウドも仮想デスクトップの同じ利点を提供するが、クラウドの方がVDIsのコントロールとセキュリティが強化される、という説がある。デスクトップはシフトが替わる夜になると空になり、社員はもはやオープンなインターネット上にいない(会社のクラウドにアクセスしていない)からだ。

仮想デスクトップはエンタープライズのPCデプロイメントの8%に達している、という数字がある。5年前に言われた30%より、ずっと低い。今仮想デスクトップは、金融や教育など、コンピューティング環境に対するより堅固なコントロールを求める分野で、ニッチ的に利用されている。

この市場に最初に参入したのが、VMwareとCitrix(およびその他)だ。ほかに、Microsoft, HP, Dell, Red Hatや、そのほかの伝統的なエンタープライズコンピューティング企業も主要な選手たちだ。AWSもネイティブのクラウドバージョンAmazon WorkSpacesを提供しており、最近はその、時間制の課金方式を発表した

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホ対応クラウド経費精算サービス「Dr.経費精算」、税制改正に対応したタイムスタンプ版を公開

screenshot_618

経費精算に悩まされるビジネスマンや経理担当者にとっては、2016年度の税制改正は朗報と言える。領収書保管に関する規制が緩和され、早ければ2017年の1月1日から、スマホのカメラで撮影した領収書が税務書類として認められるようになるからだ。これにより、各従業員が領収書を受け取って社外でスマホで撮影したデータが経費精算に使えるようになる。領収書の原本を従業員から集め、台紙に貼ってとじ、7年間物理的に保管するといった手間や空間コストの削減にもつながる。

ただし、保管する領収書データには解像度や色階調などのほかに「領収書の受領後3日以内に“タイムスタンプ”を付与すること」という要件がある。タイムスタンプは、電子文書がその時点で存在していたこと、その時刻以降に改ざんされていないことを電子的に証明するものだ。この要件を企業が個別に満たすためには、日本データ通信協会が認定する時刻認証サービス事業者と契約し、事業者の提供するAPIなどを利用したタイムスタンプシステムを自社で構築しなければならず、いささかハードルが高い。

この動きにいち早く対応したのが、クラウド経費精算サービス「Dr.経費精算」を提供するBearTailだ。BearTailではスマホアプリに対応した国産の経費精算システムでは国内初となるタイムスタンプ付与機能がついた「Dr.経費精算タイムスタンプ版」を8月29日に発表。同日から利用申し込みを開始した

Dr.経費精算タイムスタンプ版は、Dr.経費精算コーポレートプランをベースに、タイムスタンプ機能を追加。タイムスタンプには、セイコーソリューションズの時刻認証サービスを利用する。Dr.経費精算ですでに提供している2000人のオペレーターによる領収書入力代行、クレジットカードや交通系ICカードの利用明細自動取得といった機能との組み合わせにより、一連の経費精算業務を自動で、かつモバイルで完結することができる。領収書をはじめとするデータはすべてクラウド上に保管される。

スマホで撮影した領収書データを税務書類として利用するためには税務署への申請が必要だが、BearTailでは申請書類や添付資料、備え付け資料などのテンプレート提供も予定。また、導入に当たってのコンサルティングサービスで、企業の希望に応じて申請代行なども実施するという。

BearTail代表取締役の黒﨑賢一氏は「無駄な時間を省き、豊かな時間を作るという我々のミッションを、当面は“領収書の管理”という軸で突き詰めていく。世界的に見ればSAPの一員となったConcur(コンカー)が経費精算サービスの分野でNo.1だが、日本では我々のサービスを経費精算のスタンダードとなるようにしていきたい」と話す。

Dr.経費精算タイムスタンプ版の料金は、ユーザー1人あたり月額1080円から。2017年5月までにコーポレートプランとタイムスタンプ版の合計で1000社の利用を目指す。

AppFormixの総合クラウド監視最適化サービスが監視対象として仮想化ネットワークをサポート

gettyimages-476365440

AppFormixは、Rackspaceなどのクラウドプラットホームを利用する企業の、OpenStackおよびコンテナベースのクラウド上のシステム監視し最適化する。その同社が今日、そのサービスにvirtualized network functions(VNF, 仮想化ネットワーク機能)*のサポートを加えた、と発表した。〔*: 日本では言葉として、NFV(Network Function Virtualization, ネットワーク機能の仮想化)の方がよく使われるようだ。〕

これまでのネットワーキングは、高度な専用ハードウェアを駆使するシステムだったが、しかし最近では徐々に、ありふれた日用品のようなコンピューターの上でソフトウェアを動かしてネットワークを実現するようになった。ハードウェアに要する費用は激落した。ただしネットワーキングという機能は、とくに通信業界などではレイテンシー(遅延)に敏感だ。しかもこの業界はVNFの主要ユーザーのひとつであり、またOpenStackのユーザー企業がとても多い。しかし、厳しくチューニングされた専用ハードウェアではなく、安価な日用品的コンピューターを使うと(そのままでは)、遅れやジターといった問題に悩まされがちだ。

AppFormixの協同ファウンダーでCEOのSumeet Singhによると、同社のサービスを利用するとジターを最大70%減らせる。彼は述べる: “VNFはまだ新しい技術だが、通信企業はこれによりネットワーキングをハードウェアからソフトウェアへ移行させようとしている。そして問題にぶつかる。弊社のサービスは一種のリアルタイムシステムで、これら仮想化ネットワークの状態…あらゆる性能要素…を常時監視し、分析し、その結果に基づいて最適化する”。

VNFの場合、最適化とは、ワークロードの構成やリソースの割り当てを変えることだ。AppFormix自身の調査によると、CPUの割り当てはジターにあまり影響しない。むしろ、問題の原因は多くの場合、キャッシュやメモリの使い方にある。たとえばAppformixのサービスがキャッシュの割り当てを適正化すると、ジターは減少する。

Singhが強調するのは、仮想化ネットワーキングの常時監視と最適化が重要なのは通信企業だけでなく、ユーザーを満足させる迅速なネットワーキングサービスをコンスタントに提供しなければならないeコマースなどでも重要、という点だ。

AppFormixの総合的なクラウド最適化サービスにVNFのサポートが加わったことにより、OpenStack(によるクラウド)とKubernetes(によるコンテナ管理)をベースとするクラウドシステムのユーザー企業はより安心して、ネットワーキングのソフトウェア化に取り組めるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesに時間制課金が導入、パートタイマーなど向けか

amazon_workspaces

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesはこれまで、料金が実際の使用時間とは関係なく月額制だったが、今度から、時間単位の従量制が併せて導入される。この新しい課金方式は、パートタイムや出張の多い社員、プロジェクトに一時的に参加している非社員、などにとって有利かと思われる。

AWSのre:Inventカンファレンスで発表され、2014年に一般公開されたAmazon WorkSpacesは、AWSのクラウド上で動くセキュアな(とAmazonが称する)デスクトップコンピューティングサービスだ。ユーザーはまるで自分の机上のデスクトップ機と同じ感覚で文書やアプリケーションにアクセスできるが、Webアプリケーションではないので、Amazonがクライアントアプリケーションを提供している環境でしか利用できない(Mac OS X, iPad, Windows, Androidタブレット, Chromebook, Amazon Fireタブレット)。もちろん、これらに該当するデバイスなら、どこからでも利用できる。

企業はあらかじめアプリケーションやファイル、もろもろのアクセス権などを構成したうえでWorkSpacesを社員にデプロイする。またActive Directoryを統合してユーザーの認証やWorkSpaceの管理ができる。

amazon-workspaces

料金は、ユーザーのリージョンやハードウェアリソースの要件、プレロードすべきアプリケーション(Microsoft Officeなど)などによって異なる。その月額基本料金はアメリカの場合、21ドルから60ドルぐらいだ。

この月額制の利用形式が“AlwaysOn”(常時on)と呼ばれるのに対し、今度の時間制の利用形式〜課金方式は“AutoStop”と呼ばれる。AutoStop方式では、課金はユーザーがログインして利用を開始したときに始まり、ユーザーがログオフしたとき自動的に料金の加算はストップする。そこで、AutoStopなのだ。ただしユーザーが指定できる連続利用時間は、1時間以上48時間まで、となっている。

WorkSpacesは、ユーザー企業のアドミンが強制的にストップすることもできる。その場合、ユーザーが利用を再開したときにはストップされたときの状態が完全に保全されている。再開に要する時間は、90秒以内だ。

またAmazon Work Spacesはこのほど、ユーザーからのフィードバックに応えてrootボリュームのサイズが80GBに拡大された。言うまでもなく、これまでよりも多いアプリケーションやデータを載せておける。ただし既存のユーザーが80GBに拡張するためには、WorkSpacesの再構築が必要である。

今回始まった時間制課金にも、小額の月額料金が伴う。その“Value”プランは1時間$0.22から始まり、“BYOL”(Bring Your Own License)プランは1時間$0.17だが、それ以外に7ドル25セントの月額料金を払う。その仮想ワークスペースの仕様(一人あたり)は、仮想CPU 1、メモリ 2GB、ストレージ10GBだ。“AlwaysOn”の平均月額料金はわずか25ドルだから、この新しい時間制の課金は、フルタイムではなくハーフタイム未満の社員、ないし契約労働者に向いているだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesに時間制課金が導入、パートタイマーなど向けか

amazon_workspaces

Amazonの仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesはこれまで、料金が実際の使用時間とは関係なく月額制だったが、今度から、時間単位の従量制が併せて導入される。この新しい課金方式は、パートタイムや出張の多い社員、プロジェクトに一時的に参加している非社員、などにとって有利かと思われる。

AWSのre:Inventカンファレンスで発表され、2014年に一般公開されたAmazon WorkSpacesは、AWSのクラウド上で動くセキュアな(とAmazonが称する)デスクトップコンピューティングサービスだ。ユーザーはまるで自分の机上のデスクトップ機と同じ感覚で文書やアプリケーションにアクセスできるが、Webアプリケーションではないので、Amazonがクライアントアプリケーションを提供している環境でしか利用できない(Mac OS X, iPad, Windows, Androidタブレット, Chromebook, Amazon Fireタブレット)。もちろん、これらに該当するデバイスなら、どこからでも利用できる。

企業はあらかじめアプリケーションやファイル、もろもろのアクセス権などを構成したうえでWorkSpacesを社員にデプロイする。またActive Directoryを統合してユーザーの認証やWorkSpaceの管理ができる。

amazon-workspaces

料金は、ユーザーのリージョンやハードウェアリソースの要件、プレロードすべきアプリケーション(Microsoft Officeなど)などによって異なる。その月額基本料金はアメリカの場合、21ドルから60ドルぐらいだ。

この月額制の利用形式が“AlwaysOn”(常時on)と呼ばれるのに対し、今度の時間制の利用形式〜課金方式は“AutoStop”と呼ばれる。AutoStop方式では、課金はユーザーがログインして利用を開始したときに始まり、ユーザーがログオフしたとき自動的に料金の加算はストップする。そこで、AutoStopなのだ。ただしユーザーが指定できる連続利用時間は、1時間以上48時間まで、となっている。

WorkSpacesは、ユーザー企業のアドミンが強制的にストップすることもできる。その場合、ユーザーが利用を再開したときにはストップされたときの状態が完全に保全されている。再開に要する時間は、90秒以内だ。

またAmazon Work Spacesはこのほど、ユーザーからのフィードバックに応えてrootボリュームのサイズが80GBに拡大された。言うまでもなく、これまでよりも多いアプリケーションやデータを載せておける。ただし既存のユーザーが80GBに拡張するためには、WorkSpacesの再構築が必要である。

今回始まった時間制課金にも、小額の月額料金が伴う。その“Value”プランは1時間$0.22から始まり、“BYOL”(Bring Your Own License)プランは1時間$0.17だが、それ以外に7ドル25セントの月額料金を払う。その仮想ワークスペースの仕様(一人あたり)は、仮想CPU 1、メモリ 2GB、ストレージ10GBだ。“AlwaysOn”の平均月額料金はわずか25ドルだから、この新しい時間制の課金は、フルタイムではなくハーフタイム未満の社員、ないし契約労働者に向いているだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleのクラウドデータベースサービスのすべてがベータを終了、SLA完備、関連ストレージサービスも高速化

cbf_009

Googleが今日、同社のCloud Platformに関するいくつかの発表を行った。その多くは各種のクラウドデータベースに関するものだが、同時に、コールドデータのための安価なクラウドストレージサービスNearlineのアップデートや、ディスクボリュームの高速化、Cloud Storageでユーザー自身の暗号鍵が使えること、などに関する発表も行われた。

全体としてGoogleが訴えたいのは、同社のクラウドコンピューティングサービスが、プロダクション用途に十分使えるほど成熟している、ということだ。

データベースに関するビッグニュースは、Googleのクラウドデータベースサービスのすべてが今やベータを終えたことだ。たとえばクラウド上で容易に利用でき管理もできるMySQLデータベースCloud SQL第二世代バージョンも、9か月のベータを終了して一般公開される。

NoSQLデータベースのCloud Bigtableは、非常に大規模なデータ分析と実動負荷を誇っているが、これもやはり、今日から一般供用される。

datacenter_google

またWebアプリケーションやモバイルアプリから便利に使えるNoSQLデータベースGoogle Cloud DatastoreのAPIも、ベータを終えた。データベース本体はかなり前から一般供用されていたが、デベロッパーはそれを、Google App Engineの一部としてしか使えなかった。でもAPIが使えるようになると、App Engineの外のアプリケーションでもこのデータベースを使える。同社によると、今ではSnapchatなども使っているCloud Datastoreは、毎月1兆リクエストを処理している。

Googleによれば、これらのデータベースサービスにはベータの期間中にいろんな機能を加えてきたが、今現在でユーザーにとって一番重要なのはSLAが提供されたことだろう。たとえばCloud Datastoreは、SLAにより99.95%の月間アップタイムを保証している。

Microsoftの旗艦的データベースサーバーをGoogle Cloudで使いたい人のために、同社はライセンス込みのSQL Serverイメージを提供している(今ベータ中)。既存のライセンスを、そのまま使うこともできる。ただしSQL Serverのイメージを動かすとGoogleの通常のインスタンス使用以上の費用が発生する。それはSQL Server Standardでは1コア1時間あたり$0.1645、SQL Server Webでは$0.011だが、SQL Server Expressは無料だ。

SQL Serverをクラウドで使うならMicrosoftのクラウドを使うのがベスト、という話になりそうだが、しかしGoogleとしては、エンタープライズユーザーを既存のアプリケーションとワークロード込みで同陣営に鞍替えさせるために、このオプションが欠かせないのだ。しかも今や、エンタープライズ顧客のあいだでは、GoogleのクラウドよりもMicrosoftのクラウドサービスの方が人気がある。

なお、ストレージに関する今日の発表では、コールドデータ用の安価なストレージサービスNearlineが速くなった。NearlineはAmazonのGlacier〔氷河!〕ストレージなどと競合するが、低価格と引き換えに可利用性の保証が低い。これまでのNearlineユーザーは、データアクセスにおいて3〜5秒のレイテンシー(遅れ)を我慢しなければならなかったが、これからは、(Googleのスポークスパーソンによると)“ほとんどリアルタイムだ”そうだ。

GoogleのPersistent Diskボリュームも速くなり、最大リード/ライト(IOPS
)が15000から25000にアップした。データベースアプリケーションだけでなく、そのほかのデータの保存にも便利である。

Googleの今日の発表声明文によると、“Google Cloud Platformをみなさまのエンタープライズデータベースワークロードのための最良のパブリッククラウドにしていくための、従来からの弊社の一貫して多大なる献身の継続において、本日は特別に大きな里程標が刻まれたことになります”、だそうだ。Googleが同社のCloud Platformに関してきわめて真剣であることの、証拠はすでに出揃っていると思うが、それでもまだ不満な人は、今日の発表の内容を見るべきかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ERP/HCMの大手Workdayが一部のワークロードを7年契約でAWSからIBM Softlayerへ移す

139521507_4037d1c26d_b

人事管理サービスの大手Workdayが、今後7年間という長期契約で、IBMのクラウドインフラプラットホームIBM Softlayerの上で同社の開発および試験サービスを提供していく、と発表した。IBMにとって、それは大きな勝利だ。

Wall Street Journalが最初にこのことを報道した

それはいろんな点で大きな契約だ。まず何よりも、7年は長い。第二に、SaaSの大手ベンダがそのワークロードの大きな部分をIBMのクラウドに移し、GoogleやMicrosoftを無視しただけでなく、AWS一辺倒をやめたことだ。

Workdayは事業のさまざまな部分をAWSで動かしているが、この部分に関してはIBMを選んだ。Constellation ResearchのアナリストR Ray Wangは、そのほかの事業も移すのではないか、と推理している。

“今回のはプロダクションワークロード(メインのワークロード)ではないが、今後もAmazonからIBMへのシフトが起きるのか、それを注目する必要がある。試験と開発を移して結果が良ければ、プロダクションも移すかもしれない”、と彼は語る。

主に人事管理中心のERPをクラウドから提供しているWorkdayは、最初HPを検討したが、しかしHPがクラウド事業から下りたため、別を探した、とWangは語る。彼によると、GoogleとMicrosoftは、最初から対象外だった。なぜならMicrosoftにはすでにクラウドとオンプレミスの両方でERPサービスDynamics ERPがあり、GoogleもいずれERPの提供を始めるかもしれない。Workdayは、将来の競合相手になりそうなところを、最初から避けたのだ、とWangは言う。

彼によると、“Workdayは競合他社の傘の下に入ることを、望まなかったのだ。しかしIBMなら、将来的にもその不安がない”。

IBMにとっては、大手のクラウドクライアントを顧客として捕まえたことは、AWSやGoogle、Microsoftなどとの競合に勝ったことを意味する。Synergy Researchの調査によると、クラウドインフラストラクチャ市場においてIBMは、Googleをわずかに凌ぎ、業界第三位である(下図…第五位は“これらに次ぐ20社計”)。

しかしGartnerの最近の調査報告によると、IBMはこんな良い位置にはつけていない。が、いずれにしても、今回の契約がIBMにとって良いニュースであることは、確かだ。

Workdayはプレスリリースで今回の契約を発表しただけで、それ以上のコメントはない。IBMも、本誌からのコメントのリクエストに応えていない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウドベースの人事管理プラットフォームHeavenHRが600万ユーロを調達

management-team-ceo-johannes-roggendorf-cto-raphael-kirsch-cpo-florian-sauter-cdo-maurizio-bellemo

中小企業(small and medium enterprises = SMEs)のためのクラウドベースの人事管理プラットフォームであるHeavenHRは、シリーズAの資金調達を600万ユーロで締めくくった。ベルリンを拠点とするこのスタートアップのラウンドを主導したのは、Target GlobalとOpen Oceanだ 。

設立してまだ10ヶ月のHeavenHRは、新たに調達された資金を、製品開発と成長の加速のために使う。同社は現在、ドイツ、オーストリア、フランス、そしてスイスで活動している。

システムは、巧妙なフリーミアムモデルで運営される。人事管理プラットフォームの中核機能、たとえばデジタル契約書、電子人事ファイル、欠勤管理そして勤務時間管理などは無償だが(ロンドンのCharlieHRと似ている)、HeavenHRは給与、福利厚生、年金そして健康保険管理などの追加サービスに対して課金を行うのだ。

年金を扱う点は、ロンドン/テルアビブを拠点とするHibobを彷彿とさせる(シリコンバレーのVCであるBessemer Venture Partnersの主導したラウンドからの最近750万ドルの調達を支えに、最近設立された)。

年金ブローカーとして効率的に職場の年金加入を取り扱うことにより、多額の収入を得ることが可能なのだ。新世代の人事管理スタートアップは年金と、同様に保険も引き受けているのだ。クラウドベースの人事管理ツールへ来たれ、年金と保険もお任せを、というのがお題目のように響く。

「私たちは極めて包括的な製品を提供しているので、様々なフィールドに多くの競合他社がいます」と語るのはHeavenHRの取締役Johannes Roggendorfだ。

「紙のフォームやExcelを利用する競合他社に加えて、旧来のスタイルの給与計算だけを提供する会社、伝統等的な人事管理ソフトウェアを提供するものの、そのプロダクトは機能や使いやすさが欠けている会社、そしてモダンな人事管理ソフトェアを提供するものの機能がしばしば限られてものであるような会社などと競合しています」。

そして保険や年金の面でHeavenHRはオフラインとオンライン両方のブローカーと競合するものの、そのプラットフォームは様々な人事プロセスを統合しているために優位にあるとRoggendorfは語っている。

「私たちのプラットフォームを使えば、新しい従業員を4分で雇えます。また新入社員をわずか数回のクリックで、給与、年金、保険プランに自動的に登録するオプションもあります」と彼は続けた。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

AWSの新サービスKinesis AnalyticsはリアルタイムストリーミングデータをSQLで分析できる

aws_logo

AmazonのクラウドコンピューティングプラットホームAWSが今日(米国時間8/11)、リアルタイムのストリーミングデータをSQLのクェリで容易に分析できるツール、Kinesis Analyticsを立ち上げた。Kinesis Analyticsは、AWSのリアルタイムストリーミングデータプラットホームKinesisを利用するユーザー向けだ。デベロッパーは、Kinesisを使ってストリーミングデータを取り込み、それを自分たちのアプリケーションで使用する。

Kinesis Analyticsを使えば、入ってくるデータを継続的なSQLクェリでフィルタしたり操作することによって、データをアプリケーションがすぐにでも使える形にできる。

AWSのチーフエヴァンジェリストJeff Barrが今日書いているところによると、通常のデータベースクェリは基本的に静的なデータを見る。しかしストリーミングデータに対してKinesis Analyticsでクェリするようになると、このモデルは二義的になる。“クェリは長期にわたって行われ、その間にデータは、新しいレコードや観察結果、ログのエントリーなどとして毎秒何度も々々々変わる。データをそんな動的なものとしてとらえるようになると、クェリによるそれらの処理がとても理解しやすいことが、分かるだろう。パーシステントな(持続的な)クェリを作って、次々と到着するレコードを処理するのだ”、と彼は語る。

2016-08-11_0907

Kinesis Analyticsの主な対象はリアルタイムデータだが、ときには、ちょっとした遅れを挿入したり、到着したデータを集めてバッチ処理した方が、その集まったデータに見られるトレンドを見つけやすくなる。そんなユースケースのためにKinesis Analyticsでは、“ウィンドウ(窓)”をセットできる。窓には三種類あり、周期的なレポート用にはタンブリングウィンドウ、モニタしてトレンドを見つける用途にはスライディングウィンドウ、この二つでだめなときには、時間間隔を任意に設定できるカスタムウィンドウを作れる(何らかの対話性に基づく間隔でもよい)。

Kinesis Analyticsは、AWS Lambdaのように、サーバーレスで処理を行うAWSのプロジェクトの一環だ。このサービスの標準的なユースケースはIoTのアプリケーションだと思われるが、そのほかに、オーディエンス追跡システムや、広告の取り替え処理、リアルタイムのログ分析などにも好適だ。しかもSQLがそのまま使えるので、特殊なSDKをインストールしたり、新しい言語を勉強する必要はない。

このサービスは現在、AmazonのEU(アイルランド)、US East(ノース・ヴァージニア)、US West(オレゴン)の各リージョンで使える。料金は処理量に応じての従量制だ。処理量の単位は、仮想コア一つ、メモリ4GBの仮想マシン一台相当とする。それは、アメリカのリージョンでは1時間あたり11セント、アイルランドのデータセンターでは12セントだ。ただし料金は可変であり、たとえば追加のデータをバーストで処理するような場合には変わる。デフォルトの料金は、毎秒1000レコードというデータ取り込み量を想定している。サービスのスケールアップ/ダウンは、必要に応じて自動的に行われる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))