世界でもっともキモ悪いロボットを作ったBoston Dynamicsが久々に新製品

Boston Dynamicsは、Googleの不調なロボット部門からお金持ちのSoftBankに移籍して以降、あまり音沙汰なかったが、その間この最先端のロボット企業は何をやっていたのか。それが分かるのが、同社がこのほどリリースした24秒の予告編的ビデオだ。ここでは、同社のこれまでの製品にくらべるとずっとすっきりしたデザインの電動式ロボットSpotMiniを見ることができる。

本誌は同社にこのプロジェクトの詳しい情報を求めたが、いつものように、あまり喋らないことで同社らしさを固持している。そして同社の得意手としては、いつものように、とことん、ビデオが口コミで広まることに賭けるのだ。でも、今のところわれわれに与えられたのは、このアップデートされたロボットが刈ったばかりの芝生の上でお馴染みのしぐさを繰り返し、一瞬カメラを見つめ、そして壁の向こうへのろのろと消えていく、短いビデオだけだ。

ざっと見たところ、そのハードウェア本体は同社の初期の完全電動四足ロボットとほとんど同じようだ。しかし外見は相当改造され、これまでの同社の製品の中ではずば抜けて洗練されている。それは、Pepperで掲げたロボットの商用化というSoftBankの目標に合わせた形だ。けっこう可愛くなったSpotちゃんだが、でもWalMartの店頭でお客さんにご挨拶するのはまだ早いかな。

このロボットの胴体と上腕は、蜂のお腹(なか)のような色に塗られている。メカを覆うプラスチックのコーティングは、Kill BillのUma Thurmanをおもわせる。そしてカメラを一瞬凝視する様子からは、Kinectのような3Dカメラをペアで装備していることが伺われる。同社の最近の求人リストには、ステレオカメラとLIDARの経験のある“Senior Perception Software Engineer”があった。もちろん、このロボットの自動走行を目指しているのだろう。

でも、このビデオのキャプションは情報量が貧しい。Stay tuned(今後にご注目ください)というメッセージがあるだけだ。つまり、じっと待つしかないのである。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Elemental PathのAI恐竜おもちゃ、予約開始――ステモサウルスで子供たちがSTEMを体験

Elemental Pathが最初の人工知能おもちゃ、CogniToyをデビューさせたのは2016年のTechCrunchがCES 2016の一環で開催したStartup Battlefieldだった。このときKickstarterで予約を行ったCogiToyは恐竜のおもちゃでIBM Watsonを利用し話しかけられた言葉を認識する能力があった。

今回開発されたのは新しい世代の恐竜ロボットで、その名もSTEMosaur(ステモサウルス)という。デザインはlementalの最初のロボットに似ているが、サイズが小さく、半透明なグリーンで子どもたちが組み立ててプログラミングも行うようになっている。

もうひとつ重要な変更点は、ステモサウルスはWatsonではなくElementalの独自のAIソフトを利用することだ。

ファウンダーのDonald Coolidgeはわれわれのインタビューに答えて、「Watsonはエンタープライズ業務、ことに製薬会社の業務に適したソフトで、もともと子供向けではない。マーケットにできるだけ速くプロダクトを出すためにWatsonは大いに役立ったが、第一世代のロボットを通じて十分にデータも集まったので、これをベースに独自の子供向けソフトを開発した」と説明した。

新しいステモサウルスはIndiegogoで予約受け付け中だが、 Coolidgeは「途中で立ち消えになったり、出荷されるまでに3年も待つようなプロジェクトではい」と請け合った。ロボットはすでに製造中であり、今年のクリスマスには十分に間に合うという。

Coolidgeの前回の恐竜おもちゃは大好評で、当初のKickstarterのキャンペーンで予定した数の5倍も売れた。これによりCoolidgeは新製品開発のための資金400万ドルを得たという。またAmazonを含むいくつかの販売チャンネルも確保した。

Elementalでは前回同様のヒットを期待しているようだが、そうなる可能性は十分にある。Indiegogoはキャンペーン締め切りまで15日あるが、すでに当初の目標の2万5000ドルの2倍以上の予約を集めている。

今度のクリスマスのプレゼントにグリーンの恐竜おもちゃを考えている向きに注意しておくと、このロボットの対象年齢は7歳以上だ。またIndiegogoでは119ドルで基本ユニットが入手できる。その後の小売価格は139ドルとなる。

〔日本版〕STEMはScience, Technology, Engineering and Mathematicsの頭文字でアメリカにおける科学技術教育の強化を図ろうとしてアメリカ国立科学財団が21世紀初頭に造語したとされる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

フォードのロボット尻があなたの尻を守る

MIT Technology Reviewによれば、フォードは、「Robutt」という名前のロボット尻を所有していて、それを自動車のシートのテストに利用している。いや嘘ではない本当だ。自動車の長い寿命を通して、数限りない臀部衝突に耐えぬけるだけの強さをシートに持たせられるようにするためだ。そのこと自体は別に驚くようなことではない。自動車メーカーたちは、自動車部品が長持ちするように、自動車部品に繰り返しストレスを与え続ける多数のロボットを使っている。それにしても…Robuttとは。

フォードのロボット尻は、人間によるシートへ座ったり離れたりのシミュレーション動作を約2万5000回繰り返す。およそ10年分の実際の使用を素早く再現できる勘定だ。そしてその結果によってシートのデザインの合否が判定され、実際に生産されるか再調整されるかが決定される。

(訳注:buttは臀部を表すbuttockの略で「ケツ」という語感の俗語。Robuttはロボットの発音と似ている)


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(翻訳:sako)

小学生のためのプログラマブルロボットで成功しているWonder WorkshopがシリーズCで$41Mを獲得

ベイエリアのWonder Workshopが今日(米国時間10/30)、4100万ドルのシリーズCラウンドによる資金調達の完了を発表した。同社は、子どもたちが自分のスマートフォンの上でプログラミングでき、コンピューターサイエンスの基礎もある程度習得できる、かわいいロボットをいろいろ作っている。

このラウンドには同社の既存の投資家たちの一部のほか、Tencent Holdings, Softbank Korea, TAL Education Group, MindWorks Ventures, Madrona Venture Group, VTRON Groupなどが新たに参加した。同社は2016年7月にも2000万ドルを調達しており、これまでの累積調達額は78万ドルあまりとなる(出典: Crunchbase)。

何らかのハードウェアを使って、実際に触ったり操作したりできる形で、プログラミングの基礎を子どもたちに教える企業はほかにもいくつかあるが、Wonder WorkshopのCEO Vokas Guptanによると、同社はロボティクスを、子どもたちをさまざまな指示や説明の“サイロ”に閉じ込めるのではなく、それによって友だちの輪を広げられる。

“ロボットだと、複数の人間が自然にコラボレーションできる”、とGuptaは語る。

Wonder Workshopのプログラマブルロボットは全米で12000の小学校が利用している。また同社自身も、子どもたちにSTEMの基礎を教えるためのロボットコンペを主催している。

今後はいくつかの新製品により、同社は対象年齢を今の8-10歳だけでなく、11歳以上のティーンにも拡大しようとしている。

先月200ドルで発売されたCueは、対象を11歳以上と想定している。センサーが多くて、ユーザーはいろんなデータを収集したり、コントロールへの反応を得たりできる。また、さまざまな“アバター”によってロボットの性格や特徴をカスタマイズできる。

Guptaによると新たに得た資金は世界進出の継続および拡大と、今後の新製品開発に充てられる。

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Walmartが店内の商品棚の在庫チェックを行うロボットを50店でテスト、人間社員を駆逐しない

オートメーションの福音を説き回る人なら誰もが、産業用ロボットの目標は“単調で汚くて危険な”仕事を人間に代わってやることだ、と言うだろう。小売業で相当な数のパートやバイトをやった経験者として言わせてもらえば、店頭の在庫管理はずばり、最初のカテゴリー…単調で退屈…に当てはまる。Walmartはこのほど、全米の50あまりの店でシェルフスキャンロボット(shelf-scanning robots, 商品棚の陳列状態を走査して調べるロボット)を使い始めたが、それを見た同社の社員たちはあらためて、そのことに思い至っただろう。

その身長2フィート(約60センチ)のロボット(上図右)は、一見、人畜無害に見える。要するにそれはキャスターを転がして移動するグレーのボックスで、煙突のように上へ高く伸びたアームの先端にはカメラがある。そのアームが棚をスキャンして、売り切れの品目や、欠品、誤配置などの品目を探す。プライスの正不正もチェックできる。情報は人間の同僚へ送られ、彼/彼女が陳列量や価格を調整し、必要なら発注もする。

同社のアメリカのCTO Jeremy Kingがロイターに語っているところによると、同社は人間社員をロボットでリプレースすることはやっていない。各店舗の頭数は前と同じである。ロボットはブルーのベストを着た人間社員を補助するだけだ。Kingによると、ロボットの自分にできる仕事の生産性は人間がやるより50%高い。またロボットはその仕事を毎日でもできるが、既存の社員はほぼ1週間に2回が限度だ。

もちろん、専用ロボット(単機能ロボット)が、雑多な仕事もこなす人間を完全にリプレースすることはありえない。でもWalmartは今後もっと大々的にテクノロジーを導入することによって、ネット上の巨大ゴリラAmazonに対抗していくつもりだ。本誌も報じてきたように、同社は次々とスタートアップを買収してきた。AmazonもKiva Systemsを買収して、倉庫内作業ロボットのAmazon Roboticsに生まれ変わらせたのだから、Walmartもうかうかしていられない。

Amazonのロボットは今のところ倉庫内と発送作業専門だ。Walmartの新人ロボットたちは最初、カリフォルニアとアーカンソーとペンシルベニアの3州でテストされ、人間とロボットが問題なく協働する姿を、広く一般大衆にも見せていくことになる。

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米ウォルマート、スーパーの棚管理ロボットを50店舗以上に導入。「店員を置き換えるのでなく作業を軽減」

eng-logo-2015米スーパー大手のウォルマートが、全米50以上の店舗に陳列棚管理ロボットを導入し、試験運用を開始しました。このロボットは店内を練り歩き、在庫数量、価格、商品の配置まちがいをチェックしてまわります。

Bossa Nova Roboticsが開発したこの棚管理ロボット。本体は約60cmほどの高さですが、そこから煙突のように上へとそびえるスキャナー部分が、棚の各段の状況を読み取ります。

3Dイメージングによる周囲認識機能を備え、積まれたダンボールや臨時に置かれたワゴンといった障害物を自動的に避けることが可能。さらに障害物で通路が通れない場合はいったん引き返して別の通路を選択する機能も搭載します。

このロボットを導入することで、人間の店員が棚の在庫管理をして回る手間がなくなり、その分業務の効率化がはかれます。ただ、ウォルマートはこのロボットが人間の業務を助けるものであり、店員を置き換えるのが目的ではないとしました。実際、補充作業は大小だけでなく硬さなどが多種多様な商品を、1つ1つつカンで棚へ配置する作業となりますが、これは現在のロボットの能力では難しいもの。まだまだ人の手が必要です。

しかし、それでも陳列棚の在庫管理という面倒な業務をロボットが引き受けることで、店員の仕事量を減らし、さらに経費も節減できるのは間違いありません。Bossa Nova Roboticsのライバル企業Simbe Roboticsが示したデータによれば、米国の主要な小売業者では棚管理業務だけで年間数億ドルがかかっているとのこと。つまり棚管理ロボットは少しばかり高価だったとしても、導入すればすぐにもとは取れるということです。

試験は始まったばかりですが、とりあえずの導入段階では満足の行く成果があがっている模様。ウォルマートはこうした業務の自動化に熱心な企業はよく知られたところ。今回の棚管理ロボット以外にも、商品配送のためにドローンをテストしたり、オンラインで注文した商品を受け取りに来た客に、商品をコンベア式に自動で取り出してくる機構を備えたピックアップタワーと呼ばれるシステムを複数の店舗に展開するなど、自身の省力化や業務効率化だけでなく買い物の際の利便性を向上させることで、顧客の呼び込みを強化しています。

ちなみに、棚管理ロボットというジャンルは最近出てきたものではなく、少なくとも2012年にはマイクロソフトの3D空間認識センサー Kinectを利用した棚管理ロボットがすでに開発されていました。

Engadget 日本版からの転載。

RoboBeeが水面から飛び立つ技を手に入れた

HarvardのWyss研究所が開発する、1ミリメートル幅の飛行ロボットプラットフォームであるRoboBeeは、何年もの間改良されて来た。この小さなロボットの最新機能は、水に飛び込んだあと、奇妙で巧妙な仕掛けを使って自力で浮上し空中に飛び上がり、近くに安全に着陸するというものだ。

空を飛ぶロボットや、(これまでのRoboBeeのように)水中を泳ぐロボットを作ることは可能でも、空中と水中を行き来することは困難な課題だった。このサイズでは、下部に対する水の抵抗は無視できず、離陸が妨げられる可能性がある(なおロボットは、翼が壊れる可能性があるため、水面下ではあまりにも速く羽ばたかないように注意を払っている)。

まずロボットは、一般的に私たちのサイズでは心配する必要のない、表面張力を越えて水面に出る必要がある。このためチームはロボットに4つの小さな「突き出したフロート」を装着した。これらは水面に浮かび上がらせることを助ける。

しかし浮かび上がったとしても、その小さな翼から得られるパワーはとても限られているので、RoboBeeはとても簡単に立ち往生してしまうだろう。どのようにすれば、効率的な羽ばたきを再開できるような自由な場所へ、移動できるだけの上向きの強力な力を、瞬間的にでも得ることができるだろうか?

大学院生であるElizabeth Farrell Helbling、Yufeng Chen、そしてその他のチームメンバーたちが見出した解は、ガスを使用するというものだった。もちろん、極小サイズのロボットに多くのガスを搭載することはできない。それならば途中で作ってしまうというのはどうだろう?

小さな翼に加えて、RoboBeeは水を水素と酸素に分解し、それらを一緒に混ぜて可燃性の混合ガスを作り出すための、電解プレートを搭載している。十分な量のガスが溜まった後、小さなスパークプラグによってガスに点火され、ロボットは空中に飛び上がるのだ!

一旦水から離れれば、翼が役目を引き継ぎ、近くの場所に安全に着陸することが可能だ。

一方、全体の重量は合計175ミリグラムで、これは従来のデザインの2倍の重量である(フロートなどがかなりの重量を追加する)が、それでも信じられないほど小さなものだ。しかし、プラットフォームの再設計によって、潜在的なペイロードが増量されたため、これらの水中対応装備に使用された部分を使って、代わりにセンサーを搭載したり、有線から自由にするためのバッテリーの搭載に使ったりすることも可能だ。

ハーバードのニュースでChenは「重量と表面張力のトレードオフなどを調べる私たちの研究が、複雑な地形を移動し様々なタスクをこなす、未来の多機能マイクロロボットのための刺激になることを望んでいます」と語っている。

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(翻訳:Sako)

MegaBotsと水道橋重工の巨大ロボットが来週対決――Twitchで中継、YouTubeにもアップ

巨大ロボットが戦うリーグ戦をビデオ放映しようというベイエリアのロボット企業、MegaBotsが発案した計画は実現までに長い時間がかかっている。当然だが、こうしたプロジェクトには資金が必要だし、その他のハードルも高い。MegaBotsは、準備期間中、ビデオのシリーズを発表して進捗状況を伝えてきた。MegaBotsは去年のTechCrunch Disruptppeared SFにも登場してこの「ボットバトル」計画を語っている。

MegaBotsが対決の最初の相手として日本の水道橋重工を選んだのは2015年にさかのぼる。日本のロボット・スタートアップは1週間後に挑戦に応じることを発表した。それから2年経つ。今年の8月にはあとすこしで対決が実現しそうだったが、MagaBotsによれば「ロジスティクス上の問題」で延期となっている。

しかしこのロボット対戦の日付がついに決まった。5日後の10月17日だ。このスケジュールでは両者とも後に引くには時間がないはず。しかし上記のように寸前で延期されたこともあるので、実際に放映されるまで確実なことは分からない。高価、複雑、巨大なロボットが戦うことになれば何が起きるか分からない。

MegaBotのEagle Primeは5メートル弱、12トンのヘビー級ロボットだ。水道橋のクラタスはこれよりやや軽量級で4メートル、6.5トンだという。合計20トン近いロボットが死闘を繰り広げる模様は Twitchでライブ配信される。時刻は西海岸時間で10月17日午後7時だ〔日本時間10/18 AM11:00〕。ビデオは配信後、MegaBotsのYouTubeチャンネルととFacebookページにアップロードされる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

マテル、実際の昆虫から発想した折り紙風昆虫ロボットをリリース

人気ブランドを抱えるマテル(Mattel)も、ネットワーク時代の子供たちに向けた新製品を生み出すのには苦労している。先月にはOsmoと組んで、人気があるホットウィール(Hot Wheel)のiPad版をリリースした。そしてこの度は、Dash Robotsとのコラボレーションによるプロダクトを生み出した。自分で組み立てた「ロボット昆虫」で遊ぶためのもので、名前を「Kamigami」という。

Targetでの販売が開始されたこの6本足ロボットは、キットの状態で得られており、1時間程度で組み立てられるようになっている。身体は、折り曲げて使うプラスチックシートでできている。プラスチックシートはカマキリ、てんとう虫、およびサソリなどの種類が用意されている。

DashおよびDash開発のロボットプロダクトは、U.C. BerkeleyのBiomimetic Millisystems Labから生まれたものだ。自然から学んだ効率性の高いロボットを実現しようとしている。

「私たちのロボットを、学校や各種イベントでデモ展示しました。ロボティクスとは何かを示すために行ったものでした」と、Dashの共同ファウンダーであるNick Kohutは述べる。「子供たちは夢中になり、保護者たちは製品の購入法を尋ねてくるのでした。それで販売を開始したのですが、なかなかの売れ行きを示すことになりました」。

研究室から生まれたロボットを販売するためにDashが生まれ(価格は65ドル)、そしてこのたびマテルと組んで販路拡大を目指すこととなったわけだ。より低価格でキッドフレンドリーなプロダクトとするため、KamigamiはDashのオリジナルロボットほどには複雑な作りになっていない。しかし実際の昆虫を元にしたものとはなっている。移動する様子などをみれば、バイオロジーの観点をDashから受け継いでいることがわかる。

Kamigamiの単価は50ドルで、加速度計、ジャイロスコープ、IR受発信装置などを備えている。これにより外部環境を認識し、他のKamigamiロボットとのバトルゲームを行ったりすることができるようになっているのだ。Kamigamiロボットはモバイルアプリケーションからコントロールしたり、あるいは簡単なコーディングツールを使って作成したプログラムで動かすこともできる。

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(翻訳:Maeda, H

ソニー、人工知能を搭載したAibo復活へ――Amazon Echo風AIロボット犬になる?

エレクトロニクスの巨人は引退したプロダクトを復活させて新たな仕事をさせる。Nikkei Asian Reviewなどの報道によれば、ソニーは愛され、惜しまれていたロボット犬の開発を再開するという。新しいAiboは時代に合わせて人工知能アシスタントを搭載することになる見込みだ。

スマートAiboはソニーの消費者向けスマート製品の最初の一つとなる。ソニーはAIプロダクト市場でAmazon、Google、Appleなどの先行組に追いつく努力を本格化させるようだ。

ソニーの人工知能搭載ロボットがAibo製品になるかどうかは発表されていないが、Aiboは時代に大きく先駆け、広く知られたブランドだ。しかし7年間の歴史でメインストリームの消費者製品となることはなかった。

Aiboが再開されるという噂ははるか以前にも出ていたが実現はしなかった。しかしその後10年もたち、Aiboブランドはノスタルジーの中からフルに復活することになる。

ソニーはロボット・テクノロジーを主として産業用分野で追求していたが、今回の動きは消費者向けロボット製品に戻ってくることを意味する。また消費者向け製品で再び大ヒットを狙うのだろう。Amazon Echoや Google Homeの急成長を見れば、スマート・アシスタント製品が有望分野であることはあまりにも明らかだ。

情報によれば新しいプロダクトはAiboのハードにAmazon Echoのようなスマート・ホーム機器の能力を組み込んだものになるようだ。本物の犬のように歩き回って家の中を監視し、音声でコントロールできるという。

過去のソニーのスマート・アシスタントに関する取り組みは中途半端なものだった。ソニーはAssistantと名付けたスマート機能を開発しXperia Ear Bluetoothなどのウェアラブル製品に 組み込んだものの欠点が多く、今年の1月のIFAでデモされたHome Podのライバルを目指す製品などでAlexaやGoogle Assistantと連係していた。

今回の報道によれば、Aibo風のロボット犬はソニー独自のAIを搭載することになり、サードパーティーも機能を追加できるという。このAIがAssistantの改良版になるのか、まったく新しいプロダクトとなるのかは不明だ。いずれにせよソニーは人工知能分野でGoogleやAmazonにキャッチアップすべく大規模な研究を開始しているという。

われわれはソニーにコメントを求めている。

画像: Getty Images

〔日本版〕先月、ソニーは傘下のベンチャーキャピタル、Sony Innovation Fundを通じてロボティクスのスタートアップ、Acutronic Roboticsに出資している。TechCrunch記事によれば、ソニーはロボット事業にAcutronicのプラットフォームを採用するという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AIが王様を収穫したりオレンジを解錠しないためには常識の装備が必要だ

ぼくがあなたにリンゴを手渡したら、あなたは自分の経験から、それが運転できるものではない、とわかるだろう。そして、それが採れた木で織物を織れないことや、その種(たね)でテニスはできないことも、わかるだろう。人間なら、それがナンセンスだと分かるが、でもAIには、現実世界で何年も過ごしたという優位性がない。だから、何で何ができる・できないという知識もない。彼らに常識を持たせることも、できないのだろうか。

ブリガムヤング大学の研究者たちは、現実世界と対話する未来のアンドロイドやAI製品が、身の回りのいろんなものが、それぞれ何であり、何をするものかわかっているようにしたい、と考えた。

その研究のペーパーを書いた研究者の一人Ben Murdochは、ニュースリリースの中でこう述べている: “機械学習の研究者がロボットや人工知能のエージェントを、乱雑な環境に放置したら、ありとあらゆるクレージーなことをするだろう。いろんな物に対する、それで何ができるのか、という常識が完全に欠けているので、ロボットはテーブルを食べようとして何千時間も努力するだろう”。

そんな極端な例が頻繁に起きるわけではないけれども、話の主旨はそういうことだ。必要なものは、いろんな物と、それらと結びついている一般的なアクション〔ボール→投げる〕や属性〔レモン→黄色い〕を列挙したデータベースだ。それがあればロボットは、ダンベルが持ち上げる物であり、押す物ではないこと、重くて軽くないことを知るだろう。ロボットにそれを持ってくることや動かすことを命じたら、そのデータベースを参照して自分の行動を決める。

そんなデータベースや、少なくともプロトタイプを作るためには、まず手作業でデータを集めて整理しなければならない。…実際にそれをやると、途方もない時間がかかるだろう。そこで研究者たちは英語版のWikipediaのコーパスをコンピューターに食べさせ、何百万もの語彙をそれらのコンテキスト(文脈)と共に咀嚼(そしゃく)させた。そうすると簡単な数学的処理とクェリによって、リンゴは一般的に噛むものであり、椅子は座るものであり、木は登ったり揺すったりするものである、とわかるようになる。

AIがこれらのオブジェクトを対話的に操作しなければならないときには、これが上出来のカンニングペーパーになる。また、誰かがそれに対して/関してやってることや、話してることを、理解できるようになる。研究者たちはこのシステムを、テキストだけの短いアドベンチャーゲームで試してみた。カンニングペーパーあり、の方が、断然好成績だった。

常識は、最初に取り組むべき課題だ。ロボットを作るたびに、いろんなオブジェクトについて、して良いことといけないことを毎回教えるなんて、たいへんだからね。

チームはこの研究をInternational Joint Conference on Artificial Intelligenceで発表した。

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人の感情に反応して動く3Dプリントで作ったソフトロボットのマスク、でも一体何のため?

この奇妙奇天烈なマスクは、キティーちゃんと人の顔に貼り付いて血を吸うエイリアン(face-hugger)のあいの子みたいだが、ソフトな電子回路と着色した液体でできている。これはSirou Peng, Adi Meyer, そしてSilvia Ruedaらの修士論文のプロジェクトがベースで、ハーバード大学のSoft Robotics Toolkitを使用している。

マスクは着用者の顔の各部に対応し、筋肉センサーMyowareを使って、笑ったり、眉をひそめたり、心配したりしたときのパターンを判別する。そしてマスクが感知した感情に応じて、毛細管から液体を射出したり吸ったりする。それによって、マスクの装着者が今何を感じているかを、非常に奇妙な形で表す。

なんでこんなものを? うーん、Burning Manはもう終わっちゃったから、次はハロウィーンで使えるかな。それ以外では、自分の感情を多くのオーディエンスにブロードキャストすることに使えるだろう。 そう、世界は3Dプリントされたソフトロボットのシリコン製マスクだ、ということわざもあったよね。

自分で作ってみたい人は、ここへどうぞ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ソニー、Acutronic Roboticsに投資――同社のハードウェア・ロボットOSを採用へ

ソニーは傘下のベンチャーキャピタル、Sony Innovation Fundを通じてAcutronic RoboticsのシリーズAラウンドに参加した。またソニーはAcutronicのハードウェア・ロボットOS(H-ROS)をロボット事業部で採用するとしている。今回の投資はDARPAの投資に引き続いて行われた。Acutronicのプラットフォームはハード、ソフトを通じてロボット業界の標準となることを目標としている。

Acutronicは2016年に設立されたスタートアップでロボットを構成するハードウェアとソフトウェアを標準化し、目的に応じて組み合わせることによってさまざまな現場に適合する新たなロボット・システムを容易に開発できるようにする。同社では標準化された汎用部品を多数開発し、LINUXベースのソフトウェアと組み合わせることで業種、現場のニーズに合わせたロボット・システムを開発している。これらのプロダクトはアプリケーションに合わせて再利用可能であり、新しい目的に応じて再構成ができる。

AcutronicのシリーズAラウンドの規模、ソニーの投資額などは発表されていない。しかしソニーが自社のロボット事業部でAcutronicのプラットフォームを採用すること、またDARPAも出資していることなどから考えると、現在、細分化されているロボット関連市場を再編、統合することに対する関心は大きいものと考えられる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

顕微鏡で観察する‘微小ロボット’のモジュールが、形をさまざまに変えてたった一つの細胞を捉える

ノースカロライナ州立大学とデューク大学が発表したビデオでは、顕微鏡の下で5つの小さなキューブが自由に浮遊している。突然、二つのペアがくっつき合い、最後には5つすべてが一体化する。いったんくっつくと、彼らは蝶番のように折れ曲がり、パックマンのあごのように密着し合う。キューブたちは小さな円形のオブジェクト…一つのイースト菌の細胞…に接近し、蝶番の開閉を利用して前進していく。やがて彼らは閉じた形状になり、そこにイースト菌を閉じ込め、その後また開いて、菌を自由にしてやる。

研究者たちはこれらのポリマーのキューブを“microbot origami”(微小ロボットの折り紙)と呼び、その小さなモジュール的なオブジェクトは、さまざまな形に構成変えできる。各キューブは一面のみが金属でコーティングされ、彼らの周りに置かれた一連の電磁石によって形や動きを操作される。このデバイスは、自然界に見られるタンパク質ストランドの折りたたみ現象を模倣するために設計され、タンパク質の場合と同じく、微小ロボットの形状でその折りが決まる。

短期的には、この微小ロボットは研究用のツールとして利用できる。顕微鏡の下のオブジェクトと対話することによって、これらのブロックは未知の物質の性質を明らかにする。“今のところこれは、素材を微小レベルで調べるためのツールだ”、とペーパーの共著者Orlin Velevは説明する。“大きな素材や物質に対してありとあらゆる機械的な試験をするのはきわめて容易だが、小さな小胞(ないしベシクル)一つだけをつまむのは、すごく難しい”。

このような小さな折り紙的ロボットはMITなどでも開発され、どれもよく似た性質を持つ。もっと小さな、マイクロメートルサイズの研究に利用されているものもある。そしてそれらのプロジェクトと同様、この微小ロボットも、今後の医療方面の用途が展望される。医師がオブジェクトを小さなスケールで操作したり、テスト目的で一つの細胞を隔離したりできるだろう。

研究者たちはさらに、人工筋肉のようなバイオメディカルのデバイスに応用され、細胞レベルの動きが必要なケースで使われることもありえる、と考えている。

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MITの‘生きているジュエリー’は、衣類にしがみつく小さなロボットのアシスタント

Project Kinoは、“生きているジュエリー”からヒントを得た。それは、世界各地で装飾品として着用されている、極彩色の大型甲虫やそのほかの昆虫類だ。MIT Media Labのバージョンは、それらに比べるとずっと人間的で、手のひらサイズのロボットを磁石で衣類にくっつける。チームがデモをしたのは約1年前だが、今回は車輪のついた小さなロボットにさまざまな機能を持たせた。

とは言え、今のところこのロボットのメインのお仕事は衣類の装飾だ。プロジェクトの名前は“kinetic”(運動的)という言葉に由来していて、動きのパターンをいろいろ変えられることを指している。いわばその衣類のデザインが、刻々変化するのだ。一方そのロボットの下面は、動きながら衣類の柄、色、形などを読み取る。

デザインとは関係ない機能も探究中で、最終バージョンではモジュール構造になり、ユーザーがいろんなセンサーを付け替えてさまざまな機能を楽しむ。たとえばレインコートなら、温度センサーとフードの紐の上げ下げを連動するだろう。

電話機モジュールを装着したロボットは、電話がかかってくると着用者の口元へ這い上がってくる。通知を受信すると、ユーザーの手首をタップして知らせるかもしれない。

チームのCindy Hsin-Liu Kaoはこう述べる: “ウェアラブルがパーソナルアシスタントであってもいいわよね。将来的には、ユーザーの習慣や職業を認識して、それらに合った動作をさせられる。着るものとアシスタントが一体化するのよ”。

実用化するためには、ロボットのサイズが当面の問題だ。もっともっと小さくしなければならない。また、今デモで使っている大きなやつでも、バッテリーの寿命が制約になる…充電後45分しか動かせない。今、ワイヤレス充電などの方法を検討中だ、そのシナリオでは、ロボットが自分で充電器のそばまで歩いて行き、充電が終わったらご主人の服へ戻ってくる。

昨年は、初期のバージョンを詳説したペーパーを公開した。その後は開発にデザイナーも参加し、一部のアプリケーションを強調できるようにした。Hsin-Liu Kaoによると、“気味が悪い!って言う人がとっても多かったからよ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

パシフィック・リム2の予告編がクール――イェーガー・パイロットの募集CM風

怪獣をやっつけるために巨大戦闘ロボットのパイロットに応募するチャンスだ!  というのが近く公開される映画『パシフィック・リム2』(Pacific Rim: Uprising)のメッセージのようだ。これは 2013年のギレルモ・デル・トロ監督の怪獣ムービーの続編で、前作の主要キャストに加えスター・ウォーズでブレークしたジョン・ボイエガも出演する。アメリカ公開は来年2月となる。

今回のティーザービデオは通常の予告編とは異なり、イェーガー・パイロットの募集CMの体裁を取っている。したがってイェーガーのハードウェアのクローズアップが多用されて、ナレーションも力強い一言だ。高級スポーツカーのCMに雰囲気が似ている。

私もさっそくイェーガー・パイロットに応募したいところだが、来年2月に新作を見ることで我慢しなけれならないようだ。私は前作の大ファンだが、ボイエガが主役を務める新作はさらにおもしろくなっているに違いない。

〔日本版〕日本での公開日時などについてはまだ情報がない。千葉真一の息子のアクション俳優、真剣佑が出演しているという。下は前作の予告編

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ディズニーがその驚異的なアバターロボットの中身を公開した

5月の終わりにディズニーはフロリダ州ディズニーワールドのアニマルキングダム内にアバターをテーマにしたエリア(パンドラ:ワールドオブアバター)をオープンした。まだオープンからほんの数週間しか経っていないために、まだ訪れた人は多くはないが、もし訪れたならナヴィ・リバー・ジャーニーに行く時間を是非とって欲しい。アトラクションの終点には、アニマトロニクス(生き物のように見えるロボット)のナヴィ(アバターに登場する青いヒューマノイド種)が居るが、これまでに作られたアニマトロニクスの最も素晴らしい例の1つだ。

今日(米国時間7月17日)の午後に、ボストンで開催された、TechCrunch主催のロボットイベントで、私たちはその中で何が起きているのかを見ることができた。

そして外部がきちんと覆われたナヴィ・シャーマンは、次のようなものになる:

しかし、マスクを引き戻してみると、信じられないほど美しく複雑なロボット機構がその下に横たわっている:

ディズニーはこれまで何十年もの間アニマトロニクスに新しい地平を切り拓いてきた(それぞれ1963年と1964年にさかのぼる、ティキルームの鳥と”Great Moments with Mr. Lincoln”にちなんだロボットプレジデント)。しかし、このナヴィ・シャーマンは表現力、動きの滑らかさ、そして観るものの心を吹き飛ばす力で、全く新しいレベルに到達したと言える。

さて、すべてが完成形となって、アトラクションに乗ったときに、全体がどのように見えるのかに興味はあるだろうか?これがそれだ:

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(翻訳:Sako)

高齢者のお友だちロボットを作るIntuition RoboticsがToyota Research Instituteから$14Mを調達、早くもメリットあり

高齢者ケアのためのアシスタントロボットElliQを作っているIntuition Roboticsが、サンフランシスコにオフィスを開いた。スタッフの増員と製品テストの充実を図りたい同社は、新たに1400万ドルを調達した。今回は、Toyota Research Institute(TRI)からだ。

ElliQを同社は“活動的な老後のためのお友だち(active aging companion)”と呼び、それはタブレットと併用する対話的ロボットで、高齢者が簡単にすぐ使えることを目指している。このロボットは高齢者が自分以外のものに積極的に関心を持ち、日常生活が活動的で、外部世界とのつながりを維持できることを目指している。そのために家族や親戚や介護者とビデオチャットができ、コンパニオンとして活動の提案ができ、また薬の服用を思い出させたりする。

最近ベイエリアのユーザーによるテストを始めたばかりだが、チームの増員も目指している。そのためには資金がもっと必要だし、またハードウェアのエキスパートも見つけたい。なんといっても、ハードウェアは難しいからね。

Toyota Research Instituteが投資をすれば、その二つが手に入る。Intuition RoboticsのCEO Dor Skulerによれば、同社にアプローチしてきたToyotaは、すぐにそれらしさの片鱗を見せた。ElliQのプロトタイプを見て、モーターの交換を提案したのだ。さすが、ハードウェアのエキスパートである。

“製品開発の現段階では、ヘルプが必要だから、その道に詳しくて専門家もいる投資家にアプローチされたことは、とっても嬉しかった”、とSkulerは語る。

同社のこの前の資金調達は600万ドルで、iRobotのRoombaやTerra Venture Partners, Bloomberg Beta, Maniv Mobilityなどが投資家だった。クラウドファンディングのプラットホームOurCrowdからも、資金を調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

カーネギーメロン大、6脚ロボットを開発――動物の移動の仕組みはロボットの重要なヒントに

カーネギー・メロン大学ロボット・ラボが開発したスネークは迫力の点でロボットのデモの王座を占めてきた。聖書に出てくるヘビをモチーフにしたということだが、細長く柔軟な動作が可能で、頭部に設置されたカメラで誘導されて狭いスペースに潜り込むには最適の形態だ。このロボットはとぐろを巻ける。柱などに上って視界を確保することができる。全体としてエンジニアリングの傑作だ。

スネーク・ロボットは故郷のピッツバーグを離れ遠くギザのピラミッドやオーストリアの廃発電所などを探るのに活躍してきた。

CMUのバイオロボティクス・ラボは10年前ほどからプロジェクトをスタートさせている。2年後には早くも最初のスネーク・ロボットを発表している。以来、複数の民間企業がヘビ型ロボットの商用化に取り組んできた。大部分は人間の進入が困難あるいは不可能な場所での捜索・救難が主目的だった。一方CMUではロボティクスを次世代に進めるための研究が続けられた。

最近のバージョンではスネーク・ロボットに感圧センサーが加わり、締め付ける力をリアルタイムで調整できるようになった。これにより事前に締め付け力をプログラムしておく必要がなくなり運用の柔軟性が飛躍的に増した。開発チームはまたロボットのモジュール化をさらに進めた。全長を必要に応じて変えることができるよう中間セグメントを後から増減できるようにした。.

モジュール化かはロボティクスにおける大きなトレンドの一つで、その目的はロボットの多機能化にある。いわばロボットのレゴ化だ。実際、CMUののテクノロジーをベースにHEBI〔ヘビ〕がスピンオフしている。このスタートアップはスネーク・ロボットに用いられたアクチュエータをプラグ&プレイ化して普及を図っている。

われわれが最近ピッツバーグのCMUのラボを訪問したところ、スネーク・モデルとはまったく異なる原理の6脚ロボットに出迎えられた。みたところは昆虫か甲殻類に見える。ただしサイズは小型犬くらいある。四角い胴体から爬虫類的な頭部が横倒しの潜望鏡のように突き出していた。動作を仔細に観察すると昆虫的ロボットもスネーク・ロボットのDNAを受け継いでいるらしい。開発チームはスネーク・モンスターと呼んでいた。

スネーク・モンスターの脚と頭部のジョイントは先行するスネーク・ロボットに用いられたものと同じだが、構造が異なるためにフランケンシュタインの怪物的な印象を与える。新しくボディーが設けられことでバッテリーその他の機器を収めるスペースが生まれた。この6脚ロボットは電源供給等のテザリングなしで、自立して長時間歩きまわれる。スネーク・ロボット同様感圧センサーを装備しているため足場の不安定な瓦礫の上なども動き回れるという。

「このロボットは地表がどこにあるのか視覚的に確かめることが難しいランダムな凹凸の上であっても脚の感覚を頼りに自由に歩くことができる」と博士課程の大学院生、Julian Whitmanは説明した。【略】

スネーク・ロボットと同様、新しい多脚ロボットも動物が環境に適応して動き回るようすにヒントを得ているという。このスネーク・モンスター・ロボの場合、センサーで地表を感知できるのが特長だ。スネーク・ロボット同様、不安定な表面を動き回ったり柱に上ったりするために事前のプログラミングは必要ない。またカメラによる視覚情報がなくても行動できる。ロボットの脚に用いられている柔軟性のあるアクチュエーターがさまざまな障害物の上を動くのに大きな役割を果たしており、たとえばロボットがバランスを取るのにも役立っているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ロボットの皮膚に触覚能力があり柔らかいフルーツでもつぶさない…CMUのFingervisionシステム

Fingervisionは、見ておもしろいものではない。最初ちょっと見るとそれは、誰かが食べ物のラップとわずかなプラスチックから取り出したアクションカメラGoProのケースをマクガイバーして、その作品を25000ドルもする産業用ロボットに取り付けたものに見える。しかも実は、それは真実からそれほど遠くない。そのシステムは安っぽいデザインで、だからかえって、それにできることがすごいと思える。ありあわせの一般市販のパーツを組み合わせてカーネギーメロン大学(CMU)で作られたその装置は、ロボットに触覚らしきものを与えるのだ。

ロボット工学で博士課程を終了したAkihiko Yamaguchiが投稿した一連のビデオには、産業ロボットBaxterが、二本の腕の先端にこのFingervisionシステムを装着して、さまざまな仕事を上手にこなす様子が映っている。その産業用ロボットは、(ちょっとぎごちないが)バナナの皮を剥き、ピンク色の羽毛で触られるたびに反応する

CMUの研究室でYamaguchiは、Baxterの手が慎重に花に接近して、それをCoronaビールの瓶から持ち上げる様子や、折り紙で作った脆(もろ)い箱を持ち上げるところを見せてくれた。いずれもこのシステムの、ソフトタッチ能力のデモだ。(ふむ、彼は大学の研究室でビールを飲んでいるのか)。

このシステムは昨年発行されたペーパーに概要が書かれている。3Dプリントで作られたロボットの握り部分に透明なシリコンのラップをかぶせて、黒い斑点で装飾している。その中に50ドルで買った小さなカメラがある。Yamaguchiによると、スマートフォンのカメラが一般化したおかげで、ここ数年、小型カメラは超安いパーツになったのだそうだ。そして黒い斑点は実は装飾ではなくて、そのカメラを使った視覚系が、点の動きを見て、ロボットの安物の透明な皮膚が物に触ったときの“歪(ゆが)み”を検出する。

ロボット工学の相当な難問なのに、その解は超簡単だ。Fingervisionを使うと、重さ300ポンド(140キログラム)のロボットが、バナナや折り紙のような脆弱な物を扱えるようになり、手の中で何かが滑ったらそのことが分かり、物をしっかり握り直すこともできる。今後はこのような皮膚的能力を、ロボットの手以外のものに応用したい、とチームは考えている。

Yamaguchiは説明する: “本当は全身をこのようなセンサーで覆いたいんだけど、もうちょっとパーツが安くならないとね”。彼によると、全身を触覚能力のある皮膚でおおわれたロボットは、もっと安全に人間との共同作業ができるだろう、と。

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CMUはいずれこのFingervisionをオープンソースにするつもりだ。だから、あなたが自宅の地下室で自作するロボットも、皮膚感覚を持てるようになるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))