カメラだけを使う低コスト短期工事の自律型リテール技術AiFiがヨーロッパ各国に展開

コンタクトレスのお店はとくにヨーロッパで伸びているが、1月に開店したアトランタのNourish + Bloom Marketのように、アメリカでもちらほらと見かけるようになった。本稿では、そんなストアがAmazon Go7-ElevenWalmartなどのテリトリーに入り込んできたことを指摘したい。

これらキャッシャーレス(レジなし)ストアの技術を支えているのは、SenseiStandard CognitionZippinGrabango、そしてTrigoなどのスタートアップで、最近は全員がベンチャー資本を導入して技術の進歩を目指している。

VCが投資をした最新の企業がAiFiで、同社はリテイラーが高いコスパで自律型ショッピングを展開しスケールできるようにする。対象は食料品店やスポーツのスタジアム、コンビニエンスストアなどで、重さを秤る棚などがなくカメラだけを使うので、稼働までの費用と時間が相当少ない、と共同創業者でCEOのSteve Gu氏は言っている。

しかもその高度な追跡アルゴリズムは900平米のスペースをカバーし、また、アプリやクレジットカード、ゲート方式、そのハイブリッドなど、いろんなショッピング方法をサポートする。

サンタクララのAiFiはシリーズBで6500万ドルを調達し、それにはリテイルのパートナーAldiやZabka、そしてVerizon Venturesが参加した。後者は、AiFiが5Gの技術を使えるようにした。

このラウンドで同社の総調達額は8000万ドルになり、今年はAiFiがステルスを脱してから4年目、Gu氏の言う「プレ・シリーズB」から2年後になる。

Gu氏によると、新たな資金の主な用途は、同社のデプロイメントのチームを強化して、お店の立ち上げをもっと速く効率的にすることだ。この、展開に要する時間に関しては、Gu氏はAiFiが従来の公式を破ったと信じている。2020年には、お店がお客を迎えられるまでに6か月を要したが、今の同社はそれを1週間足らずに縮小している。

このほかさらに、製品開発と機能の強化にも新たな資金を投じていくつもりだ。

氏は曰く、「自律型チェックアウトはまだ始まったばかりだ。弊社が得たデータを見ると、人びとは自律店の管理方式をeコマースのWebサイトと同じもののように見始めている」。

今回の資金は、AiFiが成長を経験しているときに投入された。2年前の同社には一般的に利用されるお店が一軒もなかったが、いまではZabka(ポーランドのコンビニ)の30店を含めて40店ある。初めのころ、最大のお店は300平米弱だったが、今年の1月にはロンドンにその倍の面積のAldi(ドイツのディスカウント店)のストアを開店した。

昨年の11月にはAiFiはパリに進出し、カルフール(Carrefour)のコンセプトストア10/10 Flash(10秒で買って10秒で払う)を初めて手がけた。さらにNFLのスタジアムや音楽フェスティバルにも採用され、接客に要する時間と行列の待ち時間を半減し、一人あたりの売り上げを170%増やした。

Gu氏によると、AldiとCarrefourとZabkaは、コンピュータービジョンを利用した自律店が世界でもっとも多いが、目下同社はCompass Groupとの協働で、アイルランドで初めてのフリクションレスストアMarket x Flutterを準備中だ。

この間AiFiの年商は5〜6倍に増加し、社員数も2020年の40名から全世界で115名に増えた。

一方Gu氏によると、パンデミックで多くのリテイラーと消費者の両方が自律店の重要性を理解するようになった。とくに人手不足に悩む小売店にとって、都合の良い方式だ。

また、「Great Resignation(大退職時代)」による労働力不足は実はリテイラーを苦しめる第二波で、第一波は、人びとがお店で物に触りたくないから来店が減るという現象だった、とMoor InsightsのリテールテクノロジーアナリストMelody Brue氏が言っている。

しかし、お店のチェックアウト時間が減って購入量が増えるという、AiFiのパイロット時点のデータを彼女も認める。また、小さなお店ではサプライチェーンの管理が改善されて在庫管理が精密になる、という利点もある。

Brue氏はこう言っている: 「顧客の買い物の仕方に関するデータは大量にある。中でも重要なのは、お店のどこでたくさん買い物をして、どんな商品がいちばん売れるか、というデータだ。自律店では、店長などが人力でデータを集めていたときに比べると、もっとたくさんの情報が得られる。人力のデータ収集は時間がかかり、ポテトチップは2番通路よりも4番通路がよく売れるなんてことを、見つけにくい」。

自立型リテールという分野には、今でも投資が続いている。たとえば数週間前には、フランスの新興コンビニエンスストアBoxyが2800万ドルの調達を発表し、またWalmartなどの仕事をしているFocal Systemsも、そのリテールオートメーション技術で2580万ドルを調達した。

Brue氏はさらに続けて、「今はオートメーションと人工知能とリテールに投資が集中している。またある意味では、それらのフィンテック成分があるとも言える。AiFiへの最初の投資が小さかったように、ちょっと水に足をつけてみて様子を見る、という側面もあったが、今や大きな投資になっている。過去2年のVCたちの投資は、人びとの生活に便利と効率をもたらすという、テーマに惹かれての投資だった。そして金融とリテールの視野で見れば、今やブームになりつつある」、と言っている。

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: AiFi/ワルシャワのZabkaの店の例

[原文へ]

創業百数十年の老舗食堂から生まれた飲食向けデータ分析ツール開発のEBILABがパーソルから約1億円を調達

飲食や小売向けの店舗データ分析ツール「TOUCH POINT BI」を開発するEBILABは6月1日、パーソルグループのパーソルイノベーションから約1億円を調達したことを明らかにした。

EBILABでは同じくパーソルグループでクラウド型モバイルPOSレジ「POS+」を手がけるポスタスと2020年2月に業務提携を締結済み。今後はパーソルイノベーションやポスタスとの連携を通じて販売やマーケティング面を強化するほか、飲食・小売業のデジタル変革の支援に向けた新プロダクトの開発なども検討していくという。

TOUCH POINT BIは飲食店や小売店が保有する「店舗にまつわるあらゆるデータ」を一元的に収集し、可視化するプラットフォームだ。たとえばPOSレジサービスと連携することでユーザー自身が何も入力することなく売上データを自動で収集。期間別の売上や客数のほか、顧客の年齢層、入店時間別の来客比率、メニューごとの売上比率など店舗分析に不可欠な情報をダッシュボード上に表示する。

同サービスに繋げるデータはPOSレジに限らず幅広い。天候データと紐づけることで天気や気温が店舗の状況にどのような変化をもたらしたのかを数字で把握することもできるし、店舗に設置したネットワークカメラによる「画像解析AI」機能を活用してレジシステムだけではわからなかった顧客の属性や行動を掘り下げて分析することもできる。

また過去に蓄積してきたデータを用いた「来客予測AI」もTOUCH POINT BIの1つの特徴だ。未来の来客数が予測できることによってあらかじめ発注・仕入れを最適化し食品のロスを減らせるほか、オペレーションを効率化して料理の提供時間を短縮することも可能。「45日予測」機能は早い段階でシフトや休暇を調整する際にも役立つ。

「ユーザー側で画面設計の手間がないというのが大きな特徴。これまでためてきた知見やノウハウを元に最初からベストプラクティスを提供するという考え方で、飲食や小売の現場で必要とされる項目を最初の段階で揃えている。ユーザーは導入時にポスベンダーと連携さえしておけば自動でデータが収集されるので、業務の節目に自ら入力しなくてもデータを軸とした店舗運営ができる」(EBILABでCTO兼CSOを務める常盤木龍治氏)

TOUCH POINT BIがユニークなのは、なんと言ってもこのサービスが三重県伊勢市にある創業百数十年の老舗食堂「伊勢ゑびや大食堂」の“自社ツール”として生まれたものである点だろう。長い歴史を持つ同店舗ではデータ解析の力で勘に頼らない店舗経営への移行を目指すべく、TOUCH POINT BIの前身となるツールを自社で開発した。

これが1つのきっかけとなり2012年に1億円だった売り上げは2018年に5倍近くの4.8億円まで拡大し、利益ベースでは約10倍増加。現場では来客予測システムの効果によって米の廃棄を70%ほど削減することに成功したほか、人員の稼働をうまく調整することでスタッフが休暇を取りやすい体制を実現することにも繋がった。

「多くの飲食店ではそもそもデータを使った分析などをしていないか、やっていてもエクセルなどを使って特定の人に依存する形になっているところが多かった。後者の場合、担当者が変わってしまうとまたゼロから仕組みを構築しなければならない。結果的にデータではなく勘や経験頼りでしかビジネスが回らない状態に陥ってしまい、ロスも発生するし販促も成果に繋がらないという状況が様々な店舗で起きている。もし数字を基にして根拠を持って考えられるような仕組みが作れれば、もっと確度の高い形で経営ができるのではないか。そんな思想から生まれたプロダクトだ」(ゑびや代表取締役でEBILABの代表も務める小田島春樹氏)

2018年6月にはゑびやのシステム部門をEBILABとして分社化。同時にTOUCH POINT BIという形で正式にプロダクト化し、飲食店を中心とした小売事業者へサービス提供を始めた。現在もEBILABはゑびやと同じく伊勢市に本社を置き、沖縄市に構える同社のInnovationLabのメンバー達とリモート環境でプロダクトの開発に取り組む。

飲食店向けのシステムを開発しているIT企業はいくつもあるが、実際に飲食店を運営しているところは稀だろう。TOUCH POINT BIにはドッグフーディングの形で「実際にゑびやで試してみてハマった機能」が散りばめられていて、もしかしたらこの開発体制こそがEBILAB最大の強みと言えるかもしれない。

同サービスの利用料金はデータを分析するための「店舗分析BI」が1店舗あたり月額1万9800円、そこに来客予測AIも加えた上位プランが月額2万9600円(導入費用は別途必要)。地方のSMBなどでも導入しやすいように「多くの店舗が毎月かけているWeb販促費などの範囲内で使えて、実際に効果が実感できるサービス」を目指したという。

現在は約160社が導入しているが今の所は大手デベロッパーの案件なども多いそう。今後は当初のターゲットとしていた全国のSMBへの展開を進めるべく、スマホベースで来店予測や日々の進捗管理ができるサービスの開発や販売・マーケティングの強化を進める。

冒頭でも触れた通り、パーソルイノベーションおよびポスタスともその方向で連携を強めていく計画。ポスタスと共同で2月より提供をスタートしている「POS+BI powered by EBILAB」を2022年までに1万店舗へ展開することを目指すほか、中長期的には双方のアセットを活用しながら新サービスや飲食・小売事業者のためのデジタルソリューションの企画開発などを共同で行なっていく計画だという。

D2Cや小規模ブランドが簡単に実店舗で商品を売れる「SpaceEngine」が約1億円調達

ブランドと店舗をつなぐ卸・小売のプラットフォーム「SpaceEngine」を展開するスペースエンジンは2月3日、CoralCapital、KVP、Plug and Play Japan、数名の個人投資家よりシードラウンドで総額約1億円を調達したことを明らかにした。

SpaceEngineはD2Cブランドやオンラインで商品を扱っているメーカー(サプライヤー)の“オフライン進出”を支援するプラットフォームだ。最近では成長中のD2Cスタートアップが実店舗を開設する例も増えてきているけれど、同サービスはさまざまな店舗とマッチングすることで、サプライヤーがより手軽に自分たちの商品を店頭で販売できる点が特徴だ。

サプライヤーはSpaceEngine上に登録されている多様な店舗から、自分たちの商品を売って欲しいところを検索。商品の価格や納品数、販売期間を指定した上で委託販売形式にて商品の販売依頼を送る。店舗側が承諾すればマッチング成立となり、実際に商品を送って店頭で販売してもらえる。

ブランドにとっては自社店舗やポップアップを構えるのに比べてハードルが低いのがメリット。このサービスを使えばECで商品を売るように、手軽に実店舗にチャレンジできる。継続的に店頭販売に取り組むために活用するのはもちろん、テストマーケティング感覚で単発利用するのもありだ。一方の店舗側は委託形式なので、仕入れのリスクなしでユニークな商品を扱える。

実際に商品が売れた場合には35%が店舗の収益、15%がSpaceEngineの利用料となり、残りの50%がブランドの元に入る仕組みだ。

SpaceEngineには2019年5月のリリースから8ヶ月で3600のサプライヤーと800店のリアル店舗が集まり、登録商品も6万4000点を突破した。サプライヤー側は個人のクリエイターや小規模なブランドに加えて大企業のD2CやスタートアップのD2Cブランドなども参加。昨年10月にBASEと連携したことも登録数の増加に繋がったという。

「最近ではプロユーザーが増えてきた。たとえば化粧品や飲料、家電といったジャンルの大企業のD2Cブランドに使っていただいたり、食品や化粧品などを手がけるD2Cスタートアップだったり。先日Allbirdsが日本に進出して話題になったが、成長中の海外D2Cブランドが日本で商品を売る目的で問い合わせをしてくるケースもある」(野口氏)

登録店舗は紀伊國屋書店、メガネスーパーなど大手チェーン店から、アパレルや雑貨屋、美容室、ネイルサロン、カフェなど幅広い。最近ではシンガポールやタイに店舗を持つユーザーも出てきているそうで、これが増えてくると「ブランドが自分たちの商品を海外の実店舗で売ってもらう」といった体験もできるようになる。

すでに海外では同様のマーケットプレイスを展開するFaireが急成長中。2017年設立の同社は昨年1.5億ドルを調達し早々とユニコーン企業リストに名を連ねた。日本だとラクーンホールディングスが運営する「スーパーデリバリー」が近しいが、既製品を中心に様々な商品を揃え、安く仕入れられる場所という色が強い。

スペースエンジンとしてはFaireと同じく、オンラインブランドを中心にユニークな商品を扱うメーカーやクリエイターを集め、そういった商品を扱いたい店舗とマッチングすることで事業を拡大していく考えだ。

サプライヤー側に関してはBASEと同様、他のECプラットフォームとの連携を進めながら良質なブランドを獲得する計画。店舗側もPOSレジサービスや店舗インフラ系企業との提携を増やし、店舗数の拡大を目指す(既にスマレジと提携済み)。

スペースエンジンのメンバーと投資家陣

今回の資金調達はそれに向けた組織基盤の強化や人材採用への投資が主な目的。春頃を目処に、店舗からサプライヤーの商品を検索して仕入れられる「卸売マッチング機能」の追加などを含めたアップデートも予定しているという。

「これまではサプライヤーから店舗へ委託販売のオファーが出せるサービスだったので、店舗側は申し込みが来なければ登録しても商品を販売できず、一方通行になっていた部分もあった。既存ユーザーから『自分たちから商品を仕入れて販売したい』という声もたくさん頂く中で、店舗が自ら積極的にアクションできるような仕組みを取り入れ、卸・仕入れのマーケットプレイスとしてさらに進化させていきたい」(野口氏)

スペースエンジンは2018年5月の設立。これまでエンジェル投資家からの出資や金融機関からの融資により数千万円規模の資金調達を実施しているが、VCからの調達は今回が初めてとなる。

なお同社はTechCrunch Tokyo 2019 スタートアップバトルのファイナリストの1社だ。

“PriceTech”の空が電通とのタッグでリテール業界進出へ、実証実験店舗を募集開始

ホテルの料金設定サービス「MagicPrice」を提供するは11月26日、電通と共同で、リテールAI研究会流通部会に「ダイナミックプライシング分科会」を立ち上げたことを明らかにした。小売店舗へのダイナミックプライシング適用の可能性を検討するため、同会に参加する会員企業の中から、実証実験に参加する企業の募集を開始する。

空が2016年から提供しているMagicPriceは、ホテル・旅館業を対象にしたダイナミックプライシング、すなわち動的に変動するリアルタイムな適正価格による値付けの支援サービスだ。ホテルが客室料金を検討する際に必要な予約状況などのデータを自動収集・分析し、AIが適切な販売価格を提案。ホテルの担当者は簡単な操作で客室料金設定ができ、旅行予約サイトへの料金反映も自動で行える。

実は同社は、かなり早い段階からダイナミックプライシングを、ホテル業界だけでなく他業界にも適用することを目指してきた。2017年開催のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルで最優秀賞を受賞した際のピッチでも、空代表取締役の松村大貴氏が「あらゆる価格を最適化し、売り手も買い手も嬉しい世界を作りたい」とプレゼンを行っている。今回のリテール業界進出は、空にとっては満を持してのホテル業界外への展開となる。

リテールAI研究会には流通関連商材のメーカー、卸とその関連企業が中心に参加する「正会員」「賛助会員」と、スーパー、家電量販店、ドラッグストア、アパレルなど、小売り販売を行うさまざまな業界の流通企業が参加する「流通会員」の3組織があるが、ダイナミックプライシング分科会は流通会員が属する流通部会内に設立された。

空と電通では、分科会を通じて小売店舗におけるダイナミックプライシング導入を目的とした実証実験への参加企業を募る。空によれば、今のところ具体的に参加を表明している企業はいないそうだが、今後進める実証実験の中で、空はホテル業界支援で培った価格データ分析に関する知見を、電通は流通業界に関する知見を提供し、小売でのダイナミックプライシング適用の可能性を検討していく。

ホテルと、スーパーやドラッグストアなど多品目を扱うリテールとでは、データ収集の大変さやプライシングの難易度も違ってくるのではないかと思われる。空では、こうしたリテールならではの課題について「小売事業者とのディスカッションを通し、難易度やデータ量の差、対応しなければならない事項については明らかになっている」として、対応策についても検討、ディスカッションは行われていると説明。ただし「当社サービスを小売で実装した例はまだないため、今回の実証実験のなかでさまざまな手法の有効性を検証していく」と述べ、実証を実用化へ向けてのステップと位置付けている。

また、リアル店舗での販売が多いことから、店頭でのリアルタイムな価格変更に必要となるであろう「電子棚札」については、電通テックの支援を受けて導入することも可能にしている、とのことだった。

商品をECのように簡単に店舗で売れる「SpaceEngine」公開、ブランドとリアル店舗をマッチング

最近TechCrunch JapanでもD2Cブランドを展開するスタートアップを紹介する機会が増えてきた。

グローバルで見るとD2Cスタートアップが乱立するアメリカなどでは、オンラインを主戦場としていたプレイヤーが自社店舗やポップアップストアなどを通じて、オフラインでも顧客との接点を作ろうとする動きが目立つ。

たとえばマットレスのD2CブランドCasperは全米に200箇所以上の常設店舗を構える。

この流れは国内でも同様だ。先日丸井グループから大型の資金調達を実施した「FABRIC TOKYO」やメガネのD2C「Oh My Glasses」などは都内を中心に数カ所で自社店舗を運営。常設店を持つスタートアップはまだ限られるものの、百貨店などで一時的にポップアップストアを開設する例を耳にすることが多くなった。

ただ、D2Cブランドを含めてこれまでオンラインのみで顧客と接していたプレイヤーが、誰でも簡単にオフライン展開をできるかというとそうでもない。自社店舗にしろ、ポップアップストアにしろ、卸にしろ、資金面や人材面でそれなりの障壁がある。

本日5月30日に公開された「SpaceEngine」はそこに新たな選択肢をもたらすプロダクトと言えるだろう。オフラインで商品を売りたいブランドとリアルな拠点を持つ店舗をマッチングし「ECのような感覚で、簡単に店頭で自社商品を販売できる体験」を提供する。

アプリから簡単に店頭で自社商品を販売

SpaceEngineは商品をオフラインで展開したいブランド(サプライヤー)と、その商品を扱いたい店舗を委託販売形式でマッチングするサービスだ。

大まかな流れとしては店舗側がサービス内にあらかじめ登録した店舗情報を基に、サプライヤー側のユーザーが自分たちの商品を売って欲しい店舗を探し、販売を申請。店舗がそのリクエストを受け付けた場合にマッチングが成立する。

サプライヤーは申請時に「売りたい商品」「個数」「期間」を設定しているため、マッチング後は該当する商品を店舗に送れば、それが店頭に並ぶ。商品が実際に売れた場合は35%が店舗の収益、15%がSpaceEngineの利用料となり、残りの50%がブランドの元に入る仕組みだ。

販売代金の50%が持っていかれるというのはブランド的にどうなのか気になるところ。同サービスを運営するスペースエンジン代表取締役の野口寛士氏によると「一部(手数料が)高いという声もあるが、1000件あればそのうちの10〜15件くらい。実際に店舗を構えた際の人件費、什器や内装代なども踏まえると、物を送るだけで手間もかからないので妥当な料金だと納得してもらえているケースが多い」という。

SpaceEngineは2018年12月にβ版をスタート。昨年12月時点で15箇所だった店舗数は約半年で600箇所まで増加し、サプライヤー数も現在は2200を超えた。

サプライヤー側はD2Cブランドを始めこれまでオンラインでのみ商品を扱っていたような企業や、海外ブランドなどが主なユーザー層。「minne」や「BASE」で活動しているようなクリエイターも含まれるが、スモールビジネスを展開する企業の利用が中心だ。

一方で店舗側は商業施設内のショップや大型書店、映画館、カフェ、美容院、クリニックなど幅広い。メガネスーパーや紀伊国屋書店など大型チェーン店の導入事例もあり、メガネスーパーについては全国にある約360店舗全店で採用されたことが本日発表されている。

「ブランドとしてはプレイヤーの増加に伴い、ネット単体ではなくオフラインも含めて顧客との接点を持ちたいというニーズがある。ただ自社店舗もポップアップもいきなり始めるにはハードルが高く、そこに明確なペインがあった」

「店舗としても、1店あたりの売上を上げるために何か今までと違う商品を取り入れたいという考えは常にある。従来はゼロから商品を探す手間に加えて、売れるかわからない状態で在庫を仕入れるリスクがあった。SpaceEngineの場合は魅力的なブランドをお金をかけずに誘致でき、料金も無料。その点に1番価値を感じてもらえている」(野口氏)

農家で作ったお菓子が大阪の英会話スクールで40個売れる事例も

典型的なユースケースとしてはD2Cブランドや海外ブランドがテストマーケティング的な意味も含めて活用するような事例。たとえばスウェーデン発の鞄ブランド「ガストン・ルーガ」はSpaceEngine経由で約70万円の売上を記録したそうだが、台湾や韓国などの海外ブランドが複数利用しているという。

SpaceEngineの場合は複数のエリアで同時に販売することもできるので、反応がいいエリアが見つかれば次のステップとしてポップアップストアや常設店舗を開設するといった使い方もできるだろう。

「(ガストン・ルーガのように)コアなファンを抱えているようなブランドの商品を扱うと、そのファンが店舗に足を運んでくれることもある。店舗側としても新しい層の顧客と接点を持つきっかけになるので、双方にメリットがある」(野口氏)

少し面白い事例だと、大阪の茨木市にある英会話スクールで熊本県の農家が作った生姜のお菓子が2週間で40個完売したそう。実は自分たちが作った商品がものすごくフィットする可能性のある「隠れた売り先」を発見できるのも、SpaceEngineのユニークなポイントかもしれない。

ちなみにこれまでSpaceEngine経由で販売した商品数は1000個を超えるとのこと。ブランドからのリクエスト通過率は約30%で、全ての商品が店頭に並ぶということはもちろんないが、全く承認されないということもないようだ。

誰もがリアルな世界で商品を売れる体験の実現へ

創業者の野口氏にとって、スペースエンジンは2社目の起業だ。

大学在学中の2013年に名刺管理アプリを手がけるコーフェイムを大阪とアメリカで創業。昨年退任後、次のチャレンジとしてスペースエンジンを立ち上げた。同社ではこれまでシナジーマーケティング創業者の谷井等氏らから4200万円の資金調達も実施している。

アメリカで暮らしていた際には1年半近く家や車を所有せずシェアリングサービスを活用していたそう。その際にシェアリングのパワーを感じたこと、当時シリコンバレーを中心にAmazonやECスタートアップがオフラインへの展開を強める状況を目の当たりにしたことが、現在の事業にも繋がっている。

「一部のプレイヤーだけでなく誰もがリアルな世界で商品を売れる体験」をシェアリングとオフラインの組み合わせで実現できるような事業を検討。実際に自社でもポップアップストアを展開するなど仮説検証を進める中で、現在のモデルに落ち着いたという。

スペースエンジンでは今後データを活用して、ブランドと店舗の効果的なマッチングをサポートする仕組みなども開発していく計画だ。

「テナント系はかなりレガシーで重い契約、業界だった。自分たちは『すべてのひとに自由なリテールを』というテーマの下、ネットで商品を販売するのと同じくらい簡単に、誰でもオフラインで商品を売れる体験を広げていきたい」(野口氏)

 

ウォルマートがAI活用大型スーパーをオープン、Amazon Goとは別戦略

米国時間4月25日、Walmart(ウォルマート)はニューヨーク州レビットタウンに「スーパーマーケットの未来形」をオープンした。この店舗はAIカメラ、対話的商品陳列など次世代テクノロジーの実験場となる。コンセプトはインテリジェントリテールラボ、頭文字でIRLだという。

このスーパーはWalmartが展開する生鮮食品、日用品に特化したネイバーフッドマーケットの1つで、取り扱うアイテムは3万点と発表されている。新テクノロジーを現実の店舗環境でテストできる規模だ。

Amazonの次世代コンビニと同様、Walmart IRL店も天井に多数のカメラが設置されている。Amazonの新コンビニの目玉はキャッシャーレスチェックアウトで、ユーザーは欲しいものを棚から取り出して店を出れば購入が完了する。一方、新しいWalmart IRL店は売り場面積4645平方メートル、スタッフも100人以上の大型スーパーだ。

またWalmart店舗の天井のAIカメラは、Amazon Goのように消費者が何を購入したかをモニターするためではない。IRLには従来どおり支払いのためのチェックアウトカウンターがある。IRLのカメラは在庫管理の効率化が目的だ。例えば肉が売り切れそうだったら冷蔵室から補充しなければならない。一部の生鮮食品は一定時間を過ぎれば売り場から回収する必要がある。

いつ、どこで、どんなアイテムを補充ないし回収しなければならないかを正確に知ってこのプロセスの効率化することがAI利用の狙いだ。食品の鮮度管理の徹底やアイテムの欠品の防止は同時に消費者にも大きなメリットとなる。

しかしこれを実現するのは簡単ではなかった。Walmartによれば、IRLでは非常に高度なAIテクノロジーが用いられているという。まずシステムは棚のアイテムを正しく認識しなければならない(牛ひき肉500gと合い挽き1kgを確実に見分ける必要がある)。次に陳列棚の商品量と季節、時間帯によって予想される需要量を比較する。

現在売り場スタッフは担当の棚を常に見回ってアイテムの残量を監視し、補充のタイミングを見極めている。これに対してAIストアでは、朝、売り場のドアが開く前に補充のタイミングと量を知ることができる。

カメラその他のセンサーは毎秒1.6TBのデータを吐き出す。2TBのハードディスクが1秒ちょっとでフルになってしまうほどの量だ。つまりデータの処理はローカルで実行しなければならない。
カメラとサーバーの列というのは一般ユーザーを気後れさせる組み合わせだが、Walmartでは「データは1週間以内に消去される」としている。

上の写真はIRLストアのデータセンターだ。青い照明に照らされたサーバー群は消費者から見える場所にレイアウトされている。店内のインフォメーションセンターなどのコーナーでは消費者にAIを説明している。

あるコーナーではAIがユーザーを撮影して姿勢を推測してみせる。これらはすべて新テクノロジーを少しでも親しみしやすいものにしようという努力だ。

IRLのCEOであるMike Hanrahan氏は「IRLの新テクノロジーとWalmartの50年以上の店舗運営経験を組み合わせれば、カスマーにも店舗側にも非常に有益な非常に改善が得られる」という。

WalmartはAIを効率化のために用いることに力を入れており、CEOは(遠回しに)Amazon Goとの重点の違いを語った。

「ピカピカの要素をならべて人目を引こうとするのはわれわれの目的ではない。そういう人目を引く要素は長期的な視点から役に立たず、顧客にも我々にも有益とは言えない場合が多い」という。

Walmart IRLストアが店舗のキャッシャーレス化ではなく、ひき肉パックの在庫補充や欠品の防止というような地味な分野にAIテクノロジーを利用する理由はここにあるようだ。効率化によって浮いた人員をチェックアウトカウンターの稼働の拡大に回せば消費者にとって大きなメリットとなる。

 WalmartではBosa Nova Roboticsの他のロボットを大量に導入したときと同様、「新テクノロジーは人間を代替するものではなく、機械ができる仕事から従業員を解放して顧客との対話に振り向けるものだ」としている。しかし長期的に見れば、効率的な店舗運営に必要な人員は減っていくはずだ。

IRLのコンセプトはグループ内の先進テクノロジー開発インキュベーター、 Store No8によるものだ。このチームは店舗運営に新テクノロジーを適用する試みをいくつか実行してきた。2017年には個人向けショッピングサービス、Code Eightをニューヨークで実験した。今年に入ってからはショッピング体験を強化するVRツアーをスタートさせている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Microsoftが社内チーム+パートナー数社で独自のレジ無し小売店技術を開発中か

今朝(米国時間6/14)のReuters(ロイター通信)の記事によると、Amazonの話題を喚(よ)んだ物理店におけるレジ不要(cashierless)技術に、Microsoftが挑戦するようだ。その記事によると、Microsoftはお客がショッピングカートに入れた物を調べる技術を開発中だが、その技術的詳細や他社製品との違いについては触れていない。

でもそれは、Amazonなどの既存のシステムと似たものになるのではないか。たぶん。

AmazonのコンビニエンスストアAmazon Goは、商品棚に取り付けたセンサーやカメラ、そしてAIの複雑なネットワークを使って、お客が自分のバッグに入れた物を追跡する。またStandard Cognition, AiFi, AVA Retailなどの類似システムは、それぞれ独自の機械視覚技術によりレジ代替システムを作っている。AVAを含む6社は、MicrosoftのパートナーとしてMicrosoftのクラウド上で、それぞれ独自の店頭技術を作っている。

Microsoftの社内にも10〜15名のチームがBusiness AIグループの一員として小売店技術を研究開発している。上述の記事によると、その中にはAmazon Goからスカウトしたコンピュータービジョンのスペシャリストもいるそうだ。そのチームは、ショッピングカートにカメラを付けたり、スマートフォンを使うさまざまな決済方法をすでにテストしたそうだ。

これらの開発努力の焦点は、技術それ自体だけでなく、資金力のない零細小売店でも採用できる安価な技術を目指さなくてはならない。

Microsoftはすでにリテイラーに対するマーケティング活動を開始しており、彼らにサンプル的な技術を見せている。WalmartもMicrosoftの見込み客に含まれているようだ。ただし店舗側はReutersの記事に対しコメントを提供していない。

この分野でMicrosoftがAmazonに勝つ気なら、新しい独自のレジ無し店でますます既存小売店をいためつけようとしているAmazonに、彼らが対抗できるための技術を提供すべきだろう。そう、金持ちの巨大テクノロジー企業Amazon vs. 貧乏小売店の味方Microsoft、という構図だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Samsungがリテール網を持たない弱みをパートナーシップで解決、主な修理は2時間以内に

Appleが大規模なリテール部門を持っていることは、消費者対応におけるありとあらゆるアドバンテージを同社に与えている。Genius Barがどれだけ、いらつきむかつく体験であっても、修理が早いことは百難隠す。それと同じような物理店のないSamsungは、外部パートナーの力を借りて、デバイスが壊れてしまったユーザーへの対応を、早めようとしている。

同社はすでに、Best Buyの一部の店舗でサービスを提供しているが、この世界最大のスマートフォンメーカーは今日(米国時間3/14)、uBreakiFixと提携して、その300あまりの修理チェーン店をユーザーが利用できるようにした。

扱う機種は同社の主な旗艦製品、Note 5とGalaxy S6から(今週発売されたばかりの)S9までだ。そのSamsung Careと呼ばれるお店では、スクリーンとバッテリーの交換、カメラやポートの修理など、主な修理を2時間以内に完了する、と同社は言っている。店舗の場所と対応機種の一覧はこのページにあるが、利用するためには最初に予約が必要だ。

その店舗網はアメリカの大都市のほとんどをカバーしており、年内にあと200店増やすそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

立ち遅れている地域小売業をテクノロジーで底上げするRubikloudが$37Mを調達してグローバル化へ

小売業界はテクノロジーによる改革が著しく後れている。AmazonやWalmartなどの巨大企業の影で、小売店はレガシーシステムにしがみつき、最新のツールを生かして連中に対抗することができない。今日(米国時間1/3)3700万ドルの資金調達を発表したRubikloudは、人工知能を使ったクラウドツールで、小売店の現代化への取り組みを助ける。

この資金調達ラウンドをリードしたのはIntel Capitalで、Inovia CapitalとOTEAF、それに既存の投資家Horizons VenturesとAccess Industriesが参加した。これにより同社の調達総額は4700万ドルに達した、と同社は言っている。

Intelが小売業界に足場を築きたいのは、同社のIoT技術にとってそこが広大な未開の大陸だからだ。同社は、そのIoT技術とRubikloudのインテリジェントなオートメーションやデータ処理を組み合わせることで、強力なパートナーシップが生まれると信じている。小売業界に関して、同社がとくに攻めたい領域が三つある: それらは、サプライチェーン、企業の購買需要、そして店内の販促だ。

Rubikloudは、お店の販売促進ツールや、顧客への売り込みを個人化する顧客ライフサイクル管理などのための、SaaSツールを提供している。そのほかに、たとえばRubiCoreは、既存のシステムからデータを取り込み、選んだデータをRubikloudのプロプライエタリなデータモデルへ入れる。またRubiOneは、Rubikloudのデータセットをベースに小売店が独自の機械学習アプリケーションを作るためのツールとライブラリだ。

小売店は同社のアプリケーションを使ってより効果的な販促プランを作り、顧客を理解し、またお店独自のアプリケーションも作れるようになる。

それは堅実なアプローチのように見えるが競合他社も多く、Adobeのような巨大企業すら小売店支援をメニューに持っている。しかしそれでも、投資家たちはRubikloudに将来性を感じており、だからこそ数千万ドル単位の資金を投じているのだ。

今回得た資金は、ヨーロッパとアジアにオフィスを開き、グローバルな拡張をしていくために使われる予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米モール最大手Simon Malls、EC企業向けポップアップスペースをローンチ

EC業界では現在さまざまな変化が起きている。多くの小売企業が実店舗からオンラインショップへの移行を画策するなか、逆にほとんどのECスタートアップは、できるだけコストを抑えながら、実店舗で消費者が商品を手にとって試せるような方法を模索している。そして、スタートアップとはあまり縁がないように思われる企業が、彼らに救いの手を差し伸べようとしている。その企業とは、アメリカで300店舗以上のショッピングモールを運営するモール界最大手のSimon Mallsだ。

同社は『The Edit』と呼ばれる「スケーラブルな小売プラットフォーム」をローンチ。これは簡単に言えば、ECスタートアップが自分たちの商品を陳列できるポップアップスペースのようなものだ。

創業間もないECスタートアップのための手頃でフレキシブルなポップアップスペース、ときいてショッピングモールを思い浮かべる人はほぼいないだろう。通常ショッピングモールに出店するには、長期契約を結び、高額な賃料を支払わなければならないため、スタートアップが出店するのはほぼ不可能だ。さらに各テナントのスペースは予め決まっているため、一旦契約を交わした後にスペースを拡大・縮小することもできない。

  1. the-editc2a9-appear-here1

  2. the-editc2a9-appear-here3

  3. the-editc2a9-appear-here11

  4. the-editc2a9-appear-here13

  5. the-editc2a9-appear-here25

しかしSimonは、ECスタートアップ用の共有スペースを作ることで、これらの問題すべてを解決しようとしている。彼らのサービスを利用すれば、スタートアップは従来のショッピングモールよりも大幅に低い賃料で、ネットショップだけではリーチできないような消費者ともつながりを持てる。またThe Editのサービスには、什器やディスプレイはもちろん、セキュリティやマーケティングサービス、さらには店舗内のBGMまで含まれており、利用料も1番安いプランが月額500ドルとなっている。

契約期間は1〜6ヶ月に設定されており、従来のショピングモールとの標準契約期間である10年に比べるとかなり短い。

もしもこの試みが成功すれば、Simonはアメリカ中のショッピングモールに同じようなスペースを構えるようになるだろう。テナントが決まらず空いたままになっているスペースの有効活用という狙いもあるのかもしれない。また、代わり映えしない地元のモールに飽きてしまい、何か新しいものを求めている消費者にとっても、The Editは魅力的な存在として映るだろう。

先週には、ニューヨークで2番目に大きいショッピングモールRoosevelt Fields(市内から車で45分ほど)に、トライアル用のスペースがオープンした。ファッションや食品、テクノロジーなど、多彩な出店企業の顔ぶれは、こちらから確認できる。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Walmartが店内の商品棚の在庫チェックを行うロボットを50店でテスト、人間社員を駆逐しない

オートメーションの福音を説き回る人なら誰もが、産業用ロボットの目標は“単調で汚くて危険な”仕事を人間に代わってやることだ、と言うだろう。小売業で相当な数のパートやバイトをやった経験者として言わせてもらえば、店頭の在庫管理はずばり、最初のカテゴリー…単調で退屈…に当てはまる。Walmartはこのほど、全米の50あまりの店でシェルフスキャンロボット(shelf-scanning robots, 商品棚の陳列状態を走査して調べるロボット)を使い始めたが、それを見た同社の社員たちはあらためて、そのことに思い至っただろう。

その身長2フィート(約60センチ)のロボット(上図右)は、一見、人畜無害に見える。要するにそれはキャスターを転がして移動するグレーのボックスで、煙突のように上へ高く伸びたアームの先端にはカメラがある。そのアームが棚をスキャンして、売り切れの品目や、欠品、誤配置などの品目を探す。プライスの正不正もチェックできる。情報は人間の同僚へ送られ、彼/彼女が陳列量や価格を調整し、必要なら発注もする。

同社のアメリカのCTO Jeremy Kingがロイターに語っているところによると、同社は人間社員をロボットでリプレースすることはやっていない。各店舗の頭数は前と同じである。ロボットはブルーのベストを着た人間社員を補助するだけだ。Kingによると、ロボットの自分にできる仕事の生産性は人間がやるより50%高い。またロボットはその仕事を毎日でもできるが、既存の社員はほぼ1週間に2回が限度だ。

もちろん、専用ロボット(単機能ロボット)が、雑多な仕事もこなす人間を完全にリプレースすることはありえない。でもWalmartは今後もっと大々的にテクノロジーを導入することによって、ネット上の巨大ゴリラAmazonに対抗していくつもりだ。本誌も報じてきたように、同社は次々とスタートアップを買収してきた。AmazonもKiva Systemsを買収して、倉庫内作業ロボットのAmazon Roboticsに生まれ変わらせたのだから、Walmartもうかうかしていられない。

Amazonのロボットは今のところ倉庫内と発送作業専門だ。Walmartの新人ロボットたちは最初、カリフォルニアとアーカンソーとペンシルベニアの3州でテストされ、人間とロボットが問題なく協働する姿を、広く一般大衆にも見せていくことになる。

関連記事

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftがリージェント・ストリートのAppleストアの側に、旗艦店をオープンする計画を発表

オンラインショッピングやアプリを通じて買い物をする人たちが増えていく中で、ショッピングはますます仮想体験になりつつある。しかし物理的な店舗体験の力を否定するものはいない。それがMicrosoftが心に刻んだレッスンだ。本日(米国時間9月21日)Microsoftは、新しい旗艦店をロンドンのオックスフォード・サーカスにほど近いリージェント・ストリートにオープンすることを発表した。これは1年前に大規模な改装を行ったAppleの旗艦店に、石(あるいはiPhoneを)を投げれば届く距離の場所だ。

オックスフォード・ストリートとリージェント・ストリートが交差する、オックスフォード・サーカス周辺の地域は、世界で最も注目されるショッピングエリアの1つだ。なので、そこにプレゼンスを持つことは、小売に注力するMicrosoftの戦略を強調する。

「世界で最も象徴的なショッピングストリートの2つが出会う、ロンドン中心部のオックスフォード・サーカスに、旗艦店を開店できることは、これ以上ない喜びです」と、英国Microsoftの責任者Cindy Roseは語る。「私たちは、ロンドンまたは英国内からいらっしゃるお客さまたちからも、あるいは、たまたま通りかかった方々からも、皆私たちの店舗の大胆なプランを気に入って貰えると思っています。ここは、Microsoftの製品を使ってできることの全てを体験できる、素晴らしい場所というだけではありません。人びとがその創造性を、野心的なワークショップやトレーニングプログラムを通して探究することを、私たちがお手伝いすることのできる、コミュニティのためのハブでもあるのです。それぞれのプログラムではコミュニティの結束を高める素晴らしい瞬間が共有されることでしょう」。

この発表は、新しい店舗についての噂が流れた翌日に行われたものだ。しかしそれはまた、Microsoft自身とそのロンドンにおける小売プランの、何年にも渡る迷走を経て行われたものでもある。

2012年には、Microsoftが英国に、小売ビジネスを扱う独立した会社を設立したことが明らかになり、同社がその小売店をロンドンに、2013年3月にオープンする計画だというレポートが流された。しかし、2013年3月のオープンは行われなかった。

その後、2015年にはさらにレポートが発表された。このときは2012年に設立された組織の解体を受けて、Microsoftは小売店舗の計画を結局あきらめたのだろうという論調だった。

しかし、この話はそこでは終わらなかった。2015年後半には、ロンドンにおけるMicrosoftの小売計画のさらなる噂が出てきた。しかし結局は、また何も実現されることはなかった。

ある意味、この迷走はそれほど意外なものではなかった。消費者ビジネスの主要な部分と見なされていた同社のモバイルへ取り組みは、問題を抱えていた。Appleが小売を何年もうまくやっていた一方で、その成功を真似しようとした他社の試みはことごとく失敗していた。目立つ例としては、Samsungのロンドンからの物理店舗撤退が挙げられる。この店舗はリージェント・ストリート地区ではなく、ショッピングモールの中に置かれていたものだ。

今回XboxとWindowsのメーカーにとっては3度目の正直かもしれない。今日の発表のように、同社が正式に計画を直接認めたのは初めてのことだ。

Microsoftの発表にタイムスケールは記載されていない。明らかなことは、これはMaicrosoft製品を買うことができる場所を作るというだけではなく、このAppleストアの目の前の象徴的な場所に、Microsoft製品のショーケースを設置することが目的であるということだ。

「英国は私たちの最も熱心なファンたちが住む場所の1つです」と、Microsoft Storesの責任者David Porterは、ニュースを告げるブログポストの中で書いている。「私たちはすでにデジタルストアではパートナーの皆さまとつながることができています、そしてこの地区に物理店舗をオープンすることで、Microsoftの最高のテクノロジーをお客さまに体験していただける機会を増やせることを楽しみにしています」。

現在世界には75の Microsoftストアがある。そのうちの2つは旗艦店で1つはニューヨーク(上の写真。これもAppleの「キューブ」ストアのすぐそばである)、もう1つはシドニーにある。

現在Microsoftがその小売店舗からどれ位の収益を得ているのかは明らかではないが、それは儲かるビジネスであるということは立派なお手本が示している:CoStarの調査によれば、現在のAppleは世界で最も儲かっている小売業者だ。報告によればこのMacとiPhoneの会社は昨年1平方フィートあたり5546ドル(1平方メートルあたり5万9697ドル)の売上を達成した。比較対象としてあげるが、平均値は1平方フィート当たりわずか325ドル(1平方メートルあたり3498ドル)なのである。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

複数のブランドで店舗をシェア―、Bulletinが提案する小売店の新形態

16640741_10100692058675733_5726711796193353357_n

スタートアップの世界にいると、物理的な店舗を設けるというのは少し古臭い感じがする。都市部で人気の地域に出店するためにバカ高い賃貸料を払って、ましてや長期間の契約を結ぶなど考えたくもないほどだ。

しかしY Combinatorの投資先であるBulletinは、実店舗で商品を販売したいと考えているブランドのために柔軟に使えるスペースを提供しようとしている。COOのAli Kriegsman(CEOのAlana Branstonと共に下の写真に写っている)は、自分たちのアプローチを「小売のためのWeWork」と表現する。

Bulltinは店舗となる場所をおさえ、さまざまなサイズ(少し棚が置いてある程度のものから、もっと大きいものまで)のセクションに区切ることで、顧客企業に販売スペースを提供しており、顧客は気に入ったセクションを1ヶ月単位で借りられるようになっている。

店を訪れるお客さんは、小規模で独立したさまざまなブランドの商品を、ひとつの店舗でまとめて見ることができる。恐らくブランドの入れ替わりのスピードも速いので、店を訪れる度に違った雰囲気を味わうこともできるかもしれない。

しかも通常の小売店と違い、ブランド側は「大きなスペースにある各ブランドの店舗」とKriegsmanが表現する各セクションを、自分たちの好きなように形作ることができる。具体的には、どの商品がどこに陳列されるかや商品の価格もブランドが決められるほか、陳列されていない商品をiPadでお客さんに見せたり、メールアドレスなどの顧客情報を集めたりと、自分たちがやりたいことを何でもできるようになっている(店内の販売員はBulletinのスタッフだが、各ブランドは販売員を教育することも可能)。

ブランドの中には、Bulletinのサービスを小売販売モデルのテストに使うところもあれば、新商品のローンチ時に1、2ヶ月だけスペースを借りるところもある。解約の1ヶ月前に連絡さえすれば、顧客は好きなタイミングで好きなようにBulletinのスペースを使えるとKriegsmanは話す(賃貸契約と準備には5日ほどしかかからないと彼女は付け加える)。

Ali Kriegsman, Alana Branston

実はBulletinは、YCの2017年冬期アクセラレータープログラムに参加する前に、昨年の助成金プログラムにも参加していた。Branstonによれば、当初ふたりは「素晴らしい新進気鋭のブランドを扱っていて、実際に商品を購入できるウェブマガジン」をつくろうとしていたが、その流れでニューヨークシティ周辺にポップアップストアをオープンしたところ、ポップアップストアの方が儲かることがわかったという。

「顧客は別に新しいオンライン販売のチャンネルを必要としていないことに、私たちはすぐに気が付きました」とBranstonは話す。ブランドが実際に必要としていたのは、人がたくさん訪れて「すぐに商品を販売できる」小売スペースだったのだ。

Bulletinはまだオンラインストアも続けているが、今はポップアップ戦略を続けつつ、そのノウハウを応用して長期的に店舗を構えることに注力している。同社は、昨年11月にニューヨークのウィリアムズバーグに初めての店舗をオープンし、現在各スペースは「キャンセル待ちの状態」だとKriegsmanは言う。

本日(米国時間2月21日)Bulletinは2つめとなる店舗をソーホーにオープンした。ウィリアムズバーグの店舗は家財を中心に扱っているが、ソーホーの新店舗は女性向けの商品を集中的に扱っていく(核となるテナントにはシャワーキャップのShhhowercapや、キャンドルのKeapなどが含まれている)。そのほかにもBulletin Pantry(食料品)、Bulletin Baby(子供用品)、Bulletin Wellness(健康用品)といった新しい店舗を現在計画中だ。

彼女たちの計画から考えると、今後はもちろん店舗を増やしていくことになるが、当面の間全ての店舗はニューヨーク内でオープンし、将来的にはロサンゼルスを皮切りに他の街にも進出していきたいとBranstonは話す。

さらにBulletinは、スペースの予約や売上情報の確認が簡単にできるソフトの初期バージョンを既にローンチしており、今後もソフトの改良を続けていくとKriegsmanは付け加える。

YCに加え、BulletinはこれまでにNotation Capital、Halogen Ventures、Jesse Draperからも資金を調達している。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Square Retailは、小売店オーナーの要求に応える先進ソリューションを狙う

square-retailpos-01

本日(米国時間8日)Squareは、小売業の顧客に対する新しいアプローチを開始した。新しいSquare Retailアプリは、在庫管理、CRM、従業員用ツールなどを完全に含む包括的バックエンドツールを補完的に提供する。

新製品は、単なるSquare Readerと基本的なSquareモバイルアプリ以上のものを必要とする商店や店主たちに、1段上の小売ソリューションを実際に提供できるようにデザインされている。SquareのPOS責任者であるMatthew O’Connorは、このソリューションが顧客の必要に応じてスケールを実現できるものであると説明してくれた。1店舗だけの運営から、複数の店舗を持つ商店の多くの在庫を追跡するなど、あらゆる顧客をサポートすることが可能だ。

「私たちは主に、私たちが『オーナー主導型』と呼んでいるビジネスをターゲットにしています、よって彼らのビジネスをどう展開するかに関する意思決定者は、通常は1人だけ存在しています。数百の拠点へとスケールすることもできますし、数十万点のSKUやアイテムに対応することも可能です」。

Squareの新製品が、現時点で主たるターゲットとしている小売業者のタイプは、「最終製品」を扱う顧客たちだ。すなわちワインやゲーム同様に、パッケージされた製品やシャツや服のようにバーコードを付けられたものを扱う顧客たちだ。そうした業態は、O’ConnorとSquareがデモを見せてくれた在庫管理システムにベストマッチする。それはスマートでスッキリとしたデザインを備え、簡潔で直感的なインターフェイスを誇っている。

平方retailpos-02

新しいSquare Retailアプリは検索に重点を置いている。例えば顧客プロフィールや、在庫の中の任意のアイテムを、トップにある統一された検索バーを用いて、素早く簡単に見つけることができる。アプリは、チェックアウト時に、ショッピングカートの商品を素早く処理するバーコードスキャニング機能も提供し、さらにこうした全ての機能が新しい拡張可能なバックエンドにプラグインされている。このバックエンドもインターフェイス同様にシンプルで、クリーン、そして容易に使えるものだ。

Squareの新しいダッシュボードツールを使えば、店のオーナーと小売スタッフは、新しい顧客情報を保守・参照できる。これにより、販売記録が追跡され、買い物客のプロファイルが構築される。またどのスタッフが買い物客の対応を行ったのかに関するメモも含めることができる。システムはまた、買い物客を購買習慣に基づいて自動的にグルーピングする機能を提供する。これは特にあなたが小さな店を運営していて、熱心な顧客たちを抱えており、しかしCRM自身にはあまり焦点を当てていないような場合には便利な機能だ。

在庫管理も同様に巧妙だ。もし複数の拠点を持っている場合でも、それらにまたがるリアルタイム管理が可能だ。このシステムはまた、ある場所から別の場所へユニットを転送することを要求することが可能だ。そして、注文書の入力と追跡を行い、受け取った荷物を自動的に新しいアイテムとして在庫に追加する機能もサポートしている。

平方retailpos-03

最後に紹介する従業員管理ツールは、個人あるいはグループ単位でのアクセスレベルの設定を可能にする。このことで複数の店舗に跨った運営をスムースに行うことができる。

Squareはシステム全体を、大部分の人が触りながら、最小限の努力で使い方を自ら学べるようにデザインしたと言っている。これは個人業者に自身の携帯電話を使って集金させるという、元々のビジネスモデルでも採用されたアプローチと同じものだ。ここでのアイデアは、軽量でありながら完全な機能を、最低限の費用で提供するというものである。Square for Retailの全パッケージにアクセスするための費用は、レジ1台あたり月に60ドルになる。

小売業オーナーたちが、競合相手のSopifyやRevelを差し置いて、Square Retailを選ぶ理由は何かと尋ねると、O’Connorはこう答えた「統合的な支払い方法を提供していますし、Capital(米国の大手クレジットカードイシュア)へもアクセスできます。クレジット会社からの支払い拒否に対する補償もありますし、私たちが提供する分析データもあります」。「顧客からの声として、とても大切だと思っているのは、顧客はワンストップを本当に求めているのです。自分たちのビジネスを助けてくれるように思える、ただ1つの場所に行きたいのです。複数のベンダーや複数の担当者を相手にしなければならないことは、普通厄介な事だと思われています。ですので、最終的にはSquareが全てを提供できると思っています。実際全てが連携して動き、バックエンドに統合されているのです」。

Squareはそのエコシステムの効果に期待している。言い換えれば、対象とする顧客のグループに対する魅力的な先進性に期待しているということだ。そうした顧客はしばしば大きな責任を自らの肩に負っている人びとだ。そうした人びとが外部のベンダーに依存する必要がある場合、一般的には1つのベンダー、1つのコンタクトを相手にしたがるのは理に叶っている。Squareによる小売業に対するアプローチの再考は、よりターゲットを絞り徹底的に考え抜かれた計画のように見える。そしてそれはこの領域に対する良い予兆を感じさせるものだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Googleはデバイスの売り方をGoogle Shopで再考中

google-shop13

Googleは、自らデザインし製造を手掛けた新しいPixelとPixel XLスマートフォンで、そのハードウェアに対するアプローチを大幅に再考した。またそのデバイスの売り方も、同時に新しいGoogle Shopで再考中だ。

この秋にはGoogleはPixel、Chromecast Ultra、Daydream View VRヘッドセットを発表し、顧客にそれらのデバイスで何ができるかを見せて販売を促進するために、同社は北米カナダのBest Buy店内に、ストア内ストアをオープンした。

イベントでPixelを発表したとき、Googleは同時にGoogle Wifi、Google Home、Daydream Viewの初お披露目も行った。Googleはその際にその新しい機器を試すことができるようにニューヨークに一時的なExperience Store(体験店舗)を用意することも発表した。だがカナダにオープンしたGoogle Shopは一時的なものとしてはデザインされていない;Googleはそこを現行のそして将来のデバイスのためのショウケースとして期待しているだけはなく、デバイスのユーザーたちのためにコミュニテイのような役割を果たす場所にしようとしているのだ。

どこかで聞いたような話だって?それはそうだろう – Google Shopは一般に解放された様々なアクティビティを用意している、これはAppleが運営しているインストアプログラムと類似したものだ。内装も似通っているが、明らかに審美的にはGoogleテイストである。明るい木目調とグレーの布地が遊び心のヒントに満ちた(Google調の)明るい色と組み合わされている。ここはショップ内ショップであるため、空間は貴重である、しかしGoogleはこの限られた空間を特製のモジュラー家具を使って活用している。立つ場所が少ない時には重ねられ、例えば学生たちの小さなグループが詰めて座ったりするときには簡単に並べられるようなものだ。

プロダクトはグループごとにまとめられているが、組み合わせたときに意味があるもののために特別な場所も用意されている、例えば;ChromecastとPixel、あるいはPixelとDaydream Viewといった具合だ。ダイヤルで制御できるマルチスクリーンがスペースの一角を占めていて、来場者たちは大画面でGoogle Earthを楽しむことができるし、ホリデイシーズンのスペシャルイベントではサンタを追跡したりHangoutをすることもできる。

「人びとがやってきて、発見し、遊び、楽しむのを見るのが大好きです。それがたまたまテクノロジーを使っているというだけで」と話すのは、GoogleのリテールマーケティングディレクターのJanell Fischerだ。「なので私たちは本当に、色々な没入型の体験を重ねようとしています、プロダクトやプロダクト機能の直接的なデモもありますが、より探求的で楽しいものも用意しているのですよ」。

と言いながら、Fischerは「Portal」を紹介した。上で述べたインタラクティブマルチスクリーンを使って、顧客をGoogle Earth上で飛行させたり、太陽系への旅へ誘ったりするものだ。GoogleはまたYouTuberたちを招いて特別ワークショップやセッションを行っている、その中には、クリスマスをテーマにした不格好なセーター(ugly sweater)を自作するTheSorryGirlsによるデビューイベントなども含まれている。

Googleの店は、YouTubeユーザーTheSorryGirlsから就任の1を含むワークショップやイベントを開催します。

Google Shopはワークショップやイベントも主催する。その中にはYouTuberであるTheSorryGirlsの初公開イベントも含まれている。

Fischerは、この空間をこうしたイベントや「グーグルガイド」が行うプロダクトチュートリアルに向けて「超プログラマブル」に仕上げたと語った。なおグーグルガイドとはGoogleと提携したフルタイムスタッフで、Best Buyのスタッフではない。例えば「Google Assistantを使って行うホリディシーズン旅行計画」などがチュートリアルの例として挙げられる。そしてガイドは同時にもっと日常的なタスクに関する手助けを行うこともできる、例えば基本的なデバイス操作などだ。

Googleはまた英国にDixonと協力して3店舗を出店していたが、Fischerによれば、Google自身のハードウェアデバイスの発売を受けて、エクスペリエンスの全てを再デザインしたということだ。Dixonの店舗は、ソフトウェアとサービスに焦点が当てられていた、とFischerは語る、しかしハードウェアの登場により、それらをどのように組み合わせて利用すれば良いのかを紹介するという点に焦点が当たり、促進されるようになったのだ。ここでも、これはAppleのアプローチに似たやり方に聞こえる – 実際Fischerも3年前にGoogleに入社する前はAppleのリテール部門で働いていたのだ。Googleによる物理的な小売へのアプローチはしかし、増加し進化するハイパーローカル要素(小さなコミュニティや地域の特性に考慮した要素)を取り込むもののように思える。

「このスペースの素晴らしいところは、新しいプロダクトが発表されたらすぐにアップデートを行うことができるところです、デジタルコンテンツも素早くアップデートすることが可能なので、このスペースに特化したPortal向けの新しいアプリも作っていきます」とFischerは説明した。「私たちはここに来店する皆さんから多くのことを学んでいます、そして彼らにコンテンツが受け入れられるところを見たいのです」。

グーグル-shop2

ローカルな企画を超えて、Best BuyのそれぞれのGoogle Shopは、それぞれの店舗が存在する街にむけて、カスタマイズされたデジタルコンテンツを提供することができる – たとえばここでは、店舗が存在するトロントの郊外を示す「Mississauga」という大きなデジタルサインがPortalを飾っている。

小売店の存在は、プレミアムモバイルデバイスの大きくて忠実な顧客ベースを構築するためのキーとして大切なものだ。そしてそれは以前のNexusプログラムの際にはGoogleが持っていなかったものである。Google Shopは、そうした活動へのよいスタートを切ったように見える。なぜなら明らかに着手細部へのこだわりがたくさんあり、今後小売を前に進めるためのアプローチを進化させるためにフィードバックから学ぼうという意志を持っているからだ。

アプローチは有望だが、少なくとも今のところ、これは英国とカナダに限定されているようだ。「私たちは、現在米国では何もする予定がありません」とFischerは私に語った。しかし、この投資と彼らの気の回し方は、これがより大きな小売計画のプロトタイプであることを示唆している。

  1. google-shop110.jpg

  2. google-shop51.jpg

  3. google-shop41.jpg

  4. google-shop31.jpg

  5. google-shop101.jpg

  6. google-shop91.jpg

  7. google-shop81.jpg

  8. google-shop71.jpg

  9. google-shop61.jpg

  10. google-shop151.jpg

  11. google-shop191.jpg

  12. google-shop231.jpg

  13. google-shop20.jpg

  14. google-shop211.jpg

  15. google-shop221.jpg

  16. google-shop26.jpg

  17. google-shop181.jpg

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)