アメリカン航空がGoogle Nest Hubの通訳機能を試験導入

米国時間1月7日、デルタ航空はCESでの講演でデジタルサービスに関する最新情報を多数発表した。もちろん競合各社も後れを取るわけにはいかない。だから同日にアメリカン航空がちょっとした、でも実用的な発表をしたのは驚くにはあたらないだろう。アメリカン航空はGoogleと連携し、まず今週、ロサンゼルス国際空港を皮切りに、空港のラウンジでGoogle Nest HubとGoogleアシスタントの通訳モードの試験運用を始める。

これにより、カスタマーサービスチームに複数言語を話せる担当者がいないときでも、顧客に合わせたサービスができるようになる。通訳モードはアラビア語、フランス語、ドイツ語、日本語、ロシア語、スペイン語、ベトナム語など29言語に対応しているので、ほとんどのケースでGoogleアシスタントを利用できるはずだ。

アメリカン航空の最高情報責任者、Maya Leibman(マヤ・リーブマン)氏は次のように語る。「SFの多言語通訳が現実になった。Googleアシスタントの通訳モードのようなテクノロジーを取り入れることにより、私たちは障壁をなくし、安心できる移動のエクスペリエンスを提供し、誰にとっても移動しやくすることができる」。

これは航空会社のエクスペリエンスとして画期的に新しい取り組みではないが、航空業界がテクノロジーを差別化の手段として取り入れ始めていると見ることができる。顧客が搭乗してからできることは限られている(良い座席と食事、そして親切なサービスは有効だろうが)。航空会社は、モバイルアプリなどのタッチポイントを通じたもっと積極的なサービスで、予約や飛行中のエクスペリエンスにとどまらない顧客との関係を望んでいる。このことは今回のデルタ航空の発表からも明らかだし、航空業界各社とも同じ方向へ進んでいる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Eargoがバンド幅とノイキャン機能を改善した新しい補聴器を発売

ベイエリアを拠点とする医療用デバイスのスタートアップ「Eargo」が、同社の補聴器としては第4世代となるNeo HiFiをCESで発表した。創立以来の6年間で同社が学んだことを活かして作られた製品だ。改善されたのは主に音質に関することで、バンド幅が広くなり、風切り音の低減とハウリングのキャンセル機能も向上している。Eargoは、これらの改善がすべて組み合わされて「これまで以上に豊かなサウンドで、さらに自然なリスニング体験」を提供すると説明している。

ほかには、同社の補聴器製品ラインの特徴である「Flexi Palmデザイン」も改善されている。これは補聴器を装着する位置を安定させるために付けられている小さなとげのようなもののことだ。アプリもアップデートされ、さまざまな環境に合わせるための調整が簡単になった。現在はiOS版のみだが、Android版も1月中にはリリースされる予定だ。

この新製品はEargoのサイトからすでに購入できる。2650ドル(約28万8000円)と安価ではないが、月々の分割払いにも対応している。3月からは2950ドル(約32万円)になる。

Eargoは2017年に最初の製品をリリースし、これまでに多額の資金を調達している。2019年3月にはシリーズDで5200万ドル(約56億5000万円)を調達し、これまでの調達金額の合計は1億3560万ドル(約147億円)になった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

BMWは自動運転車をラウンジに変える

CESでBMWは米国時間1月7日、今後の車に関する多くの新技術を発表した。それに加え、自動運転が普及する際に、それに見合った快適な乗車体験を創造するための仕事についても紹介している。それはつまるところ、(ロボットの)運転手が高速道路を飛ばしている間、あなたは「豪華なZeroG Lounger」でくつろいでください、というもの。そして、あなたの車のインテリアは、ほとんど「ブティックホテルのリラックスした雰囲気」そのものです、ということになる。

すべてのプロトタイプと同様、BMWはそのコンセプトについて、かなり真剣に考えている。同社が求めているのは正しいものであり、過去数年間にわたって熟考してきたところだ。自分の車が自分のために運転してくれるようになれば、結局のところ、乗客としての体験をゼロから考え直すしかない。

ラウンジャーシートは、後ろに最大60度まで傾くので、景色(あるいは本や映画)を楽しみながらリラックスできる

ただし、ここでの本当のハイライトは、BMW i3 Urban Suiteだ。基本的には、標準的なi3電気自動車に、モダンなホテルのロビーの見た目と雰囲気を持ち込んだもの。ラウンジャーシートを備え、隣にはランプとテーブル、前方には折り畳み式のスクリーンを設置している。それなりのスペースが必要なので、助手席はない。快適な後部座席だけのラウンジャーなのだ。車の世界では、今でも本革素材を使うことで、豪華さを演出することが多い。BMWはそれを廃止し、代わりにファブリックと木材を使っている。また、洋服ハンガー、充電ポート、さらに飲み物を温めたり、逆に冷やしたりもできる温度調整機能付きのカップホルダーも備える。可能なことは何でも実現する精神だ。

ああ、それから、車内の画面だが、これはAmazonが担当し、Fire TVプラットフォームを搭載している。

実は私自身は、こうした考え方にはやや懐疑的だった。しかし、昨日実際に改造された車に乗せてもらったところ、非常に快適だった。ふんぞり返って足を投げ出し、誰かにラスベガスの街を運転してもらうのは、かなり愉快な体験だとわかった。フットレストを動かすコントロールは、横にある木製テーブルに組み込まれている。夜にランプを灯せば、なんとも言えない雰囲気が味わえる。実は私自身は、慣れないスクリーンを見ていたら、ちょっと気持ち悪くなった。それでも、これでテレビや映画を見たいという人がいるのも理解できる。いずれにしても、これはちょっとやみつきになりそうなものではある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クアルコムが自動車用クラウドサービスでアップデートや遠隔測定をネット化

Qualcomm(クアルコム)が米国時間1月6日、同社のCar-to-Cloud(カーツークラウド)サービスを発表した。その名のとおり、クルマをクラウドに接続するこのサービスは、同社初となる自動車のコックピットプラットフォームとSnapdragon自動車プラットフォームを、4Gと5Gサポートで統合する製品だ。

このプラットフォームにより、自動車メーカーは自分のクルマをアップトゥデートに保ち、クラウド上のインフォテインメントプラットフォームも最新状態を維持できる。さらにまた、このサービスを使って自動車とその使われ方のアナリティクスを集められる。Qualcommによると、自動車メーカーはクラウドを介してさまざまな有料サービスを提供できるため、売上機会も増やせるという。

クルマの所有という概念が変わりつつあり、またドライバーが期待するものも変わってきた。今ではアップデートできるインフォテインメントシステムが新車の標準装備になりつつあるが、そのアップデートはディーラーのWi-Fiで行われている。Qualcommは、自分たちのCar-to-Cloudサービスを使えばアップデートは確実になり、また、そのデプロイも迅速になり、アップデートのコスト効率が良くなるとも主張している。さらに、こんなクラウドチャネルがあれば、カーシェアリングやCar-as-a-Service(CaaS)などのコネクテッドサービスやオンデマンドサービスといった分野で新しいプロダクトがどんどん登場してくる、とQualcommはこのクラウドプラットフォームを売り込んでいる。

ドライバーには、もっと個人化された体験が提供できるようになる。高級車には今でもパーソナライズ機能はあるが、今後は大衆車にも浸透してくる。さらにQualcommの売り込みでは、自動車メーカーやディーラーなどが独自のコンテンツやアプリやサービスを販売できるようになり、ここでも売上機会が増える。

Qualcomm Technologiesの製品管理担当上級副社長のNakul Duggal(ナクル・ダガル)氏は「Qualcomm Car-to-CloudServiceを、Snapdragon Automotive 4G and 5G PlatformsとSnapdragon Automotive Cockpit Platformsに結びつければ、自動車メーカーとティア1のサプライヤーに力を与えて、今日の見識あるクルマのオーナーの期待に応えることができる。現代の自動車保有者はテクノロジーの柔軟で継続的なアップデートに慣れており、車の生涯時間の間にさまざまな新しい機能を自ら進んで経験する」と語る。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

BMWがドライバーが見ているモノを認識する注視検出システムを発表

BMWは米国時間1月8日、CES会場で開いた記者会見で、新しい注視検出システムを発表した。このシステムは、ドライバーがクルマの外の何を見ているかを検知して、関連する情報を提示するというものだ。

ドイツの自動車メーカーは、2019年10月に発表したコンセプトカー「i Interaction EASE」を会場に持ち込んでいた。この車両が提案している機能は、クルマのシステムへのドライバーの関わり方を簡略化するというコンセプトに基づいている。具体的にはタッチコントロール、ジェスチャー、音声認識といった内容だが、特に自動運転が実現した際の環境に焦点があてられている。

「BMW i Interaction EASEは、自動運転が当たり前になった未来のクルマでの移動がどのようなものになるかを示しています。それは贅沢で、人間的で、直感的なものです」と、BMW Group Design(BMWグループ・デザイン)の上級副社長Adrian van Hooydonk(アドリアン・フォン・ホイドンク)氏は説明する。「同乗者は、すでに到着したかのような気分で旅を始められます」

BMWは、ドライバーが見ているものを追跡するこのシステムを、EASEを初公開した際、すでにほのめかしていた。このクルマの車載システムは、独自のAIツールを利用しており、ドライバーが見ているものを観察して解釈できる。例えば、クルマで通り過ぎたレストランの詳しい情報や、映画館で何が上映されているかといった情報を知ることができる。

これらの機能はすべて、BMWの「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」と連動する。そのため、今見ている場所に関する会話を始めることもできる。しかも、EASEにはフロントガラスの全面をカバーするヘッドアップ・ディスプレイがあるため、走る大きな拡張現実画面として使うことも可能なのだ。

ちなみにこの画面には次の3つのモードがある。探索モード(explore)は、窓の外のモノに重点が置かれる。娯楽モード(entertain)では、映画を観ることができる。安楽モード(ease)を選ぶと、車内が「落ち着いたリラックスできる場所」に変わる。

ジェスチャーと自然言語認識と注視検出を組み合わせれば、クルマの中でのあらゆる操作が、非常に自然なマンマシン・インターフェイスで可能になる。

「BMWには、車内の自然言語認識に関してすでに長い歴史があり、現在、実際に走っているクルマにおいて最上級の音声検出技術を有しています」と、BMW Group Electronics(BMWグループ・エレクトロニクス)の上級副社長Christoph Grote(クリストフ・ゴルテ)氏は、本日の発表に先立ち、記者会見で述べていた。「iNEXTとBMWによって、自然なインタラクションは新しいレベルに達します。iNextは、音声によるコマンド、ジェスチャー、さらには視線の方向を複合的に分析します。それは、人間同士がコミュニケーションをとるときと、ほとんど同じやり方です。またこれにより、特別な状況でドライバーが何を求めているかを、クルマがより正確に理解できるようになります」

EASEは、かなり先の将来を見据えたプロトタイプなので、5G接続に対応させてシステムにパワーを与えることも想定されている(しかし、この使用事例では5Gでなければならないほどの回線容量は必要なく、遅延もそれほど心配することはないと私は思う)。BMWは記者会見で、BMW iNextは2021年のどこかで発売される際には、車載システムは5G対応になっているとも話していた。

EASEから生まれた最初のアイデアのうち、そのいくつかは2020年の後半にはBMWの次世代電気自動車iNextに採用されていく。どの機能が搭載されるかはまだ不明だが、注視検出が最初ということは、まずないと思っていい。

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(翻訳:金井哲夫)

クアルコムは全レベルの自動運転車に対応するSnapdragon Rideを発表

画像クレジット:Frederic Lardinois

Qualcomm(クアルコム)は、米国時間1月6日、Snapdragon Rideと呼ばれる新しい自動車用プラットフォームを発表した。このプラットフォームは、あらゆるレベルの自動運転車に対応するように設計されたものだ。現在の乗用車のアクティブセーフティシステムから、やがて街中を定期運行することになるはずのロボタクシーまで対応できる。

このプラットフォームは拡張性があり、Snapdragon Ride SOC(システム・オン・チップ)、アクセラレーター、自動運転用スタックによって構成されている。

Qualcommは、おそらく携帯電話用のチップメーカーとして最もよく知られているが、クルマ向けのテレマティクスシステム用半導体を含む、自動車用製品のファミリーも持っている。Snapdragon Rideは、すでに競合の多いADAS(先進的運転補助システム)や自動運転車の業界で、より多くの市場シェアを獲得するための、最新かつおそらくこれまでで最も注目すべき取り組みと言える。また、この結果Qualcommは、再びNVIDIA(エヌビディア)や、Intelの子会社、Mobileye(モービルアイ)などと競合することになる。

Snapdragon Rideプラットフォームは、自動運転に関する上位3つの業界セグメントをサポートするように設計されていると、Qualcommの製品管理担当上級副社長であるNakul Duggal(ナクル・ドゥッガル)氏は、最近のTechCruchによるインタビューで語っている。このプラットフォームは、現在の乗用車に搭載されるような、アクティブセーフティを実現する先進的な運転補助システムのハードウェアの要求を満たすことが可能。例えば車線維持、交通標識認識、自動緊急ブレーキなどにも対応できる可能としている。ドゥッガル氏によれば、高速道路の自動運転や自動駐車など、いわゆるレベル2+システムをサポートするための、より厳しいハードウェア要件にも対応可能という。さらに、ロボタクシーなどを実現する、都市部での自動運転機能として指定されるレベル4にも対応できるとしている。

このプラットフォームは、モジュラー型のマルチコアCPU、消費電力の少ないAIおよびコンピュータービジョンエンジンそしてGPUによって構成される、と同社は述べている。発熱も少なく、低レベルのアクティブセーフティシステム用には、30テラオペレーション/秒(TOPS)、自動運転用なら、最大700TOPS以上を、130Wの消費電力で実現できる。これは、水冷システムなどを追加しなくても、さまざまなレベルに対応して動作できることを意味している。ドゥッガル氏によれば、コストを下げつつ信頼性を向上させることが可能で、とりわけ電気自動車には最適だという。

Snapdragon Rideは、2020年の前半には開発の前段階用として、各自動車メーカーと一次部品メーカーに対して供給されるものと予想される。2023年には、Snapdragon Rideを搭載したクルマも生産されることになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

日本のFPV Roboticsが水陸空のインフラ検査用ドローン「Waver」を発表

日本のスタートアップFPV Robotics は、ドローンテクノロジーを活用して世界中で増大するインフラ検査ニーズに対応する。予期せぬ橋の崩壊などの重大な問題を回避するため、老朽化し​​たインフラを検査するニーズが増えている。FPV RoboticsのCEO兼創業者である駒形政樹氏は、同社のドローン「Waver」を筆者に見せてくれた。WaverはラスベガスのCES 2020でデビューする。

水空両用ドローンであるWaverは、8つのローターを使ってフライトし、フロートを使用して水面上での移動速度を上げることもできる。この二面性が、限定された特定の問題の解決にとても適している。駒形氏は、JR(Japan Railways)が特定の問題を抱えていることに気づき、これを解決すべきだと考えた。

特定の問題とは、鉄道橋の崩壊だ。2011年に只見川の洪水で新潟と福島の複数の橋梁が損傷・崩壊した。JRの新幹線やローカル線を支える鉄道施設の大部分は古く、老朽化が進んでいる。気候変動の結果として頻度を増す自然災害により、損耗がさらに進む可能性がある。

FPV Roboticsは、老朽化したインフラを魔法のように修復したり、自然災害を防止したりすることはできないが、既存の方法に比べてコストを大幅に削減し、オンデマンドで柔軟なモニタリングと検査を可能にする。駒形氏は、JRそしてセンサー企業のOKIと提携してWaverを開発し、カスタム設計として水空両用能力とマルチビームセンサーアレイを加えた。

OKI提供のマルチビームテクノロジーはWaverの底部に設置され、ドローンが水面から川や海底を正確にマッピングできるソナーイメージング機能を提供する。得られた情報は、損傷や崩壊に至る前に、橋や道路などのインフラの交換・補強すべき時期の予測に役立つと駒形氏は言う。

Waverは、河床の所定領域を自律的にマッピングし、水を横切ってルンバのように移動しながら領域ごとの情報をつなげて全体像を構築する。また、平均的なVTOL(垂直離着陸型)ドローンより多い8つのローターが装備されているが、一度に複数のローターへの電力が失われても動作し続けることができるように、余裕を持たせていると駒形は述べた。

Waverは海と河床の検査に加え、地面に足場を伸ばして従来型カメラで橋自体を近距離から視覚的に検査できる。駒形氏は、このような複数の種類の検査には、専門のボート、何時間もの訓練を受けた人員、接近して目を近づけるための一時的な足場などが必要になると指摘する。同氏は、自社の研究に基づき、無人機によって検査コストを従来の方法のわずか20分の1まで削減できると推定する。コスト削減により、従来の方法では人間の検査官を危険にさらすような現場でも、より頻繁にモニターすることが可能になる。

FPVは、橋梁だけで年間約2500万ドル(約27億円)の市場規模と見込んでおり、2020年にはその約4%(約100万ドル=約1億900万円の売上高)を獲得し、翌2事業年度にわたり毎年約200万ドル(約2億2000万円)の増加を目指している。現在、ほとんど外部資金なしで運営されており、既存のシード資金である3070万円(30万ドル)の90%は駒形氏自身が拠出した。この資金で、同社はすでにプロトタイプ(この投稿に貼り付けた画像)から、CESでお披露目する洗練された製品バージョンに移行した。

ドローン開発を得意とするエンジニアである駒形氏は、Waverが日本だけでなく世界中の老朽化したインフラの課題に対応できると見込んでいるが、FPVの最初の焦点は日本の市場機会になると考えている。究極的に同氏が望むのは、FPV Roboticsが世に出すWaverなどのドローン技術が「世界をより良くする」ことに役に立つことだ。インフラ検査のような課題への取り組みは、その手始めとして申し分ない。

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(翻訳:Mizoguchi

Mobileyeが大邱でのロボタクシー運行で韓国と契約

Mobileye(モービルアイ)は米国時間1月7日、韓国の大邱市でロボタクシーサービスのテストを行い最終的に運行を目指す契約を結んだ。これまで同社は自動車メーカーに運転支援システム向けコンピュータービジョン技術を提供してきたが、今回の契約はそこから一歩前進しようとする戦略の一環だ。

CES 2020で発表されたこの契約で、Mobileyeは同社の自動運転システム(視覚、センサーフュージョン、 REMマッピングシステム、ソフトウェアアルゴリズム、運転ポリシーなど一式)を統合し、自動運転による「サービスとしてのモビリティ(MaaS)」を韓国で提供する計画だ。同システムの運転ポリシー、すなわち自動車の意思決定方式は、2017年にMobileyeが白書で発表した数学モデル、「Responsibility Sensitive Safety(RSS)」に基づいている。

Intelの子会社であるMobileyeは、衝突を防ぐコンピュータービジョンセンサーの開発元として、自動車業界の特定分野を長年支配している。同社はこのビジネスで10億ドル(約1100億円)近い売上げがあり、2019年に1750万台の自動車にこの技術が使われていると、Mobileyeの社長兼CEOでIntelの上級副社長、Amnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が本誌のインタビューで語った。

しかしここ数年、同社はマッピングおよび高レベルの自動運転のための完全自動運転スタックの開発に注力し始めた。MobileyeのREMマッピングシステムは、同社の技術を搭載した数百万台のクルマから情報集める一種のクラウドソーシングで、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムで利用できるデータを提供する。

2018年、Mobileyeは単なるサプライヤーからロボタクシーサービスの運行にも焦点を当て始めた。IntelとMobileyeは2018年5月にエルサレムで自動運転の試験を開始。それ以来同社は、Volkswagen(フォルクスワーゲン)とChampion Motors(チャンピオン・モーターズ)と提携した。3社はNew Mobilityjlaジョイントベンチャーをイスラエルで結成し、現地での自動運転ライドシェアリングの運用を計画している。

その後MobileyeはRATP(パリ交通公団)とも提携を行い、フランスへのロボタクシー進出を目指している。さらに同社は中国の電気自動車スタートアップ、Nioとも消費者が購入可能な自動運転車の開発に向けて2019年後半に契約を結んだ。この契約でNioは、中国およびその他の市場でMobileyeに車両を提供する。

米国時間1月7日、Mobileyeは中国の上海汽車集団(SAIC)が、レベル2+システム向けのマップを中国で作るためにREMマッピング技術を使用することを発表した。レベル2+は最新の業界標準で、幹線道路の走行が可能だが、特定の条件下では人間のドライバーが介入する必要がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サムスンのロボット・シェフは2020年も一発芸

2019年、私たちはSamsung(サムスン)がロボティクスに本気かどうかを問う記事を書いた。1年が過ぎ、今もその質問の答えに近づいていない。2020年の記者会見もロボティクスに関しては昨年とほぼ同じで、見せびらかすだけで商品化されそうなものはなかった。

関連記事:Meet Ballie, Samsung’s rolling personal assistant that does…stuff

これまでのサムスンによるロボティクスへのアプローチは、他の大手電機メーカーのモデルになっているように感じる。ステージやブースでちょっとした見せ物になるようなテクノロジーを垣間見せるだけ。その代表例がBot Chefだ。今週、私はサムスンのブースでこのロボットシェフのプレビューを見た。「キッチンに新しい両手を」がキャッチフレーズだ。

もちろん、現時点で商品レベルでないことを責めることはできない。まだそこがポイントではない。問題はサムスンがどれほど本気で、世界のキッチンに豆腐ソテーを作り白チャーソースを自由にふりかけるロボットハンドを持ち込もうとしているかだ。私は「すごく本気」と言いたいし、一連のデモは同社がこの種の製品を出すことに積極的に取り組んでいることを表してはいる。

しかし、1月7日夜のキーノートスピーチの未来的テーマは、未来がどうなるか、ではなく、「どうなりうるか」の仮説を言っているだけのように感じた。同社のスマートホーム戦略の中では比較的現実的だと思われるスマートロボットのBallieでさえ、まだコンセプト段階だ。

2019年のロボットデモと同じく、ロボットの機能のどこまでが本物でどこまでが演出なのか、その答えを聞くことはできなかった。魅力的なデモではあった。しかし、本気なのかどうか。

いつの日か、サムスンがこの分野で本気になってくれることを私は期待している。この会社には膨大なリソースがあり、優秀な人材も豊富だ。本気で飛び立とうと思えば、ロボティクスを消費者の間で主流にする上で主役を演じられるはずだ。しかし、現時点において私はまだ確信が持てない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転レベル3に欠かせない500mの遠距離計測が可能な3D-LiDARセンサーをパイオニア子会社が発表

パイオニアスマートセンシングイノベーションズは1月8日、500mの遠距離計測が可能な3D-LiDARセンサーの試作機を米国ラスベガスで開催されているコンシューマー・エレクトロニクス・ショー「CES2020」に出品したことを明らかにした。同社は自動運転関連事業を承継する新会社として2019年10月に設立された、パイオニアの連結子会社。

同社は、キヤノンと条件付き自動運転である自動運転レベル3以上の実現に不可欠とされる「3D-LiDARセンサー」を共同開発しており、CESにはパイオニアのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)ミラーを用いたスキャン技術とキヤノンの光学技術を用いた波長905nm量産モデルも展示、。3D-LiDARセンサーは、両社のコア技術をベースに韓国SK Telecom(SKテレコム)の送受信技術を加えることで、計測距離を大幅に伸長させた波長1550nmのモデルとなり、500mの遠距離かつ高解像度な計測が可能とのこと。具体的には、SKテレコムが開発した、1550nm波長レーザー送信モジュールと単一光子検出器を利用する。

2020年秋から量産を開始する、準広角短距離用、中距離用、長距離用、広角タイプのモデルに、今回の遠距離モデルを加えることで、セキュリティ、交通監視用途や、路側センサーなどのモニタリング用途、自動運転車両における遠距離計測など、さまざまな市場、お客様のニーズに対応することが可能なるという。各LiDARセンサーを使用して、物体検知や自車位置推定などを高精度に行えるソフトウェアも開発・提供する。

パイオニアスマートセンシングイノベーションズは、今後も3D-LiDARセンサーの高性能化、小型化、ソフトウェアの開発を進め、2021年以降の実用・商用化を目指す。

参考資料:2020年秋より量産を開始する「3D-LiDARセンサー」‟2020モデル”について

オープンソースハードウェアのArduinoが中小企業向けIoT開発モジュール提供

オープンソースのハードウェアプラットホームのArduinoが米国時間1月7日、IoT開発のための新しいローコードプラットホームとモジュール構造のハードウェアシステムを立ち上げた。中小企業が専門の技術者にお金を使わなくてもIoTを開発できるツールを提供することが、その目的だ。

新しいハードウェアはArduino Portenta H7と名付けられ、IoTのハードウェアプラットホームに必要なものがすべて揃っている。それらは暗号認証チップ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、LTE)、そしてナローバンドのIoTもサポートしている。CPUは32ビットのARMマイコンCortex-M7またはM4だ。これらの低電力消費のモジュールは、各種産業向けアプリケーションのほかに、エッジプロセッシングやロボティクスも視野に入れている。ARMのMbed OSが動き、Arduinoのコードをサポートするほか、PythonとJavaScriptのアプリケーションも使える。

ARMのIoTサービスグループの戦略担当副社長Charlene Marini(シャーリーン・マリーニ)氏は 「中小企業は安全な開発ツールとソフトウェアおよびハードウェアによる単純な開発を必要としており、IoTのユースケースを経済的に実現したいと願っている。新しいArduino Portenta FamilyにおけるMbed OSとCortex-M IPの組み合わせで、何百万人ものArduinoのデベロッパーが安全かつ容易に、IoTデバイスをプロトタイプからプロダクションへデプロイできる」と述べている。

現在、H7モジュールはベータテスターたちに提供されていて、一般公開は2020年2月の予定だ。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドローンが監視しながら飛び回る、Sunflowerのホームセキュリティシステム

2020年のCESで目を引く製品のひとつに、新しいタイプのホームセキュリティシステムがある。ドローンを使って家屋を見守り、ガーデンライトを模したセンサーと中央処理装置を合体させたものだ。

Sunflower Labs は、新製品のSunflower Home Awareness Systemを発表した。システムは、社名を冠したSunflower(ひまわり:移動・振動センサーで一見ふつうのガーデンライトだが近くに存在するクルマ、人間、動物などをリアルタイムでマップに表示する)、Bee(蜂:自身で発着する完全自動ドローンで、搭載カメラでライブストリーミングビデオを撮影する)、Hive(蜂の巣:Beeの充電ステーションで、コンポーネントが集めたデータをすべて処理する頭脳を格納している)の3つからなる。

空飛ぶロボットが所有地を監視しながら飛び回る様子は、少々ディストピア風で、複数のカメラとセンサーを配置すればもっと安く簡潔に同じことができるだろう。それでも、Sunflower Labは自社のセキュリティシステムを、「周囲に反応して学習」することで時間とともに改善されていくため、標準的なシステムの進化形だと考えている。

Beeは、従来型の受動的監視システムを補完するように作られており、所有地内で不審な行動が見つかったとき、必要に応じて出動して詳細情報とライブビデオを提供する。つまり、夜どこかでへんな音が聞こえた時、調べに行くための人を待機させておくのと似ている。

Sunflower Labsは2016年に設立され、General Catalystなどから資金提供を受け、サンフランシスコとスイス・チューリッヒにオフィスがある。システムは安くはないが、仕様を見れば驚きではない。価格は9950ドル(約110万円)からで、顧客のニーズに応じて変わる。現在予約受付中で、999ドル(約11万円)の前金が必要。最初の受注分が届けられるのは今年の中頃の予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

航空会社もCES参入、デルタは新アプリやエクソスケルトンなどをお披露目

この数年、CESには新しい業界からの参入が目立っている。例えば自動車メーカーは、今やCESでもモバイルのイベントであるMWCでも重要な地位を占めている。2020年の新顔は航空会社だ。Delta航空のCEO、Ed Bastian(エド・バスティアン)氏がエアラインのトップとして初めて基調講演を担当し、旅客を助ける同社の最新テクノロジーを紹介した。

バスティアン氏はまた、Fly Deltaアプリなどを通じて同社の方向性を示した。このアプリはデルタ航空と利用客をつなぐ最も重要なチャンネルだ。デルタでは「Fly Deltaカスタマーのニーズを事前に予測できるデジタル・コンシェルジュにしていく」という。

同社は近く、予約したフライトの搭乗開始時間を知らせるといった機能をアプリに追加する。もちろん、旅客は事前に搭乗時間をさまざまな方法で知らされているわけだが、2020年2月から利用できるようになる新機能は搭乗グループ(デルタでは9グループある)ごとに時刻を表示するというので便利だろう。またどのセキュリティゲートを選ぶのと早く通過できるのか、などを教えてくれる。

またバスティアン氏によれば、アプリはARを利用して座席を選んだり、予約したフライトに気象状況が与える影響をいち早く通知したりするようになる(気象の影響については、最近ユナイテッドが同種のサービスを開始しているのに気づいた)。

Lyftのタクシーを利用するとDeltaのマイルが付与されるようにするなど、デルタはLyftとの提携を強化し、アプリに表示されるようにした。いくつかの空港ではDelta-Lyft提携によるプレミアム・トラベルの体験ができるという(場所や具体的内容については今後明かされる)。

「現在、空路を使うユーザーは、そこまでのナビアプリを開き、空港の駐車場でスペースを探すのに別のアプリを開き、セキュリティチェックでまた時間を食われるといった体験をしている。デルタはライドシェアから機内エンタテインメント、到着先でのホテル予約まで、ひとつのアプリで簡単にできるようにしようと努力中だ」とバスティアン氏は述べた。

また、デルタはMisapplied Sciencesのパラレル・リアリティ・ディスプレイのデモも行った。これは同一のディスプレイが複数のユーザーに対してそれぞれ個別にカスタマイズされた内容を表示するというSF的なテクノロジーだ。空港の壁面に設置された大型ディスプレイが、それぞれの乗客に対して英語、日本語、ロシア語など異なる言語で搭乗ゲートや位置を表示するようになっている。

デルタは2020年中に、デトロイト空港でMisapplied Sciencesのパラレル・リアリティ・ディスプレイのテストを開始するという。100人前後の利用者がそれぞれのフライト情報やアップグレードの可能性といった重要情報を見ることができる。もちろんこれはオプトインが必要だとデルタでは念を押している。また、利用者の情報は収集、記録されない(もちろん座席を予約した時点でデルタは顧客情報を保持することなるが、それ以外、という意味だ)。【略】

エクソスケルトン(外骨格)は、残念ながらゲートからゲートへ重い荷物を引きずって歩かねばならない乗客向けではなく、重量物を扱うデルタの職員向けだという。Sarcos Roboticsのエクソスケルトンを利用すれば、 90kgもの重量物を持ち上げる作業を8時間続けても疲れずにすむという(私なら疲れなくても飽きてしまいそうだが)。

エクソスケルトン装着の職員がバゲージを積み込み、無事にシートに収まった乗客がアプリを開くとBinge(一気見)ボタンが表示される。タップすると機内エンタメで連続ドラマを1シーズン分連続して見ることができる。また「邪魔しないでください」や「食事のときには起こしてください」などと依頼する設定もできるようになるという。

シートの間隔をあと2、3cm広げてくれるほうがよほど助かるという不平も聞こえてきそうだが、予定されているアプリのアップデートはそれぞれ便利だろう。実際、デルタでは最近、食事のバリエーションの追加を含め、飛行を快適するアップデートがいろいろ実行されている。

画像:Getty Images

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滑川海彦@Facebook

CES 2020のGoogle発表は昨年同様、スマートアシスタント中心

CESが開幕した。Googleのスマートアシスタントもニュースを伝えるのにおおいそがしだ。そのGoogleは、2020年もやはり目立っていた。2019年のように遊園地をまるごと作るほどの派手な登場ではなかったものの、ラスベガス・コンベンション・センターの正面に巨大な2階建てのブースを設けており、ご覧のとおりすべり台もついている。

2019年と同様に、2020年もGoogleがCESで力を入れているのはAI利用のスマート音声デバイス、つまりGoogleアシスタントまわりだった。

それでは新しいプロダクトをみていこう。

  • ウェブページ読み上げ: 重要な記事を読まねばならないが、一日中スマートフォンとにらめっこしているヒマはないということがよくある。Androidデバイスのユーザーは「OK Google、このページを読み上げて」と命じることができるようになる。アシスタントはたちどころにニューラルネットワークで自然な音声を生成し、人間のような自然さで記事を読み上げてくれる。ページに無数に散らばっている「なんとかで共有」や「トップに戻る」といったボタンにわずらわされることはない。Googleによれば、やがてアシスタントは読んでいる箇所をハイライトし、自動的に表示のスクロールもするようになるという。ただしこの機能が実装されるのは読み上げ機能より後になるかもしれない。
        • 動作の予約: 1回限りの操作を予約できるようになる。「OK Google、午後6時に明かりを点けて」などと命じることができるとのことだが、、今までこれができなったのが驚きという気もする。
        • ふせん: ポストイットに何かメモして、手帳や冷蔵庫などの頻繁に目にする場所に貼ることは誰もやっているだろう。Googleはこれをスマートディスプレイでもできるようにする。「OK Google、 『荷造りを忘れるな』とメモを貼って」などと命じると、ロックスクリーンにそのメモがずっと表示される。

        • 短縮ダイヤル: こちらはベビーシッター向けにポストイットに重要な電話番号を書いて冷蔵庫に貼っておく、といった作業の代用を目指している。 スマートディスプレイに電話番号を登録し、ロックスクリーンに表示させておくことができる。誰でも番号をタップし、あるいは音声コマンドでその番号に電話ができる。
        • 通訳モード: 2019年のCESで発表された通訳モードだが、いよいよスマートディスプレイでも利用できるようになる。スマートディスプレイの前に2人の人物がそれぞれ異なった言語で話すとスマートアシスタントが音声で通訳してくれる。Googleは多くの企業がこの機能を利用するようになると期待しており、事実、HSBC銀行やその他の機関が利用を始めている。ラスベガス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、日本、カタールにあるいくつかのホテルが利用を始めたということだ。我々もAmerican Airlinesの例を紹介している。こちらは英・西・中・日・独・韓・仏語を話すNestをラウンジで稼働させるためトレーニング中だ。
        • おっと、それからプライバシーだが、 Googleアシスタントは「OK Google」、「Hey Google」などのセンテンスで始まるコマンド類を除いて言われたことを一切記憶しないことになっているが、テレビから聞こえてくる会話などがアシスタントの録音機能を起動してしまうケースがたまにある。なにか会話していて突然アシスタントに「すみません、お役に立てそうもありません」と言われて驚いたことがある読者もいるだろう。これは会話中の何かがアシスタントの注意を引いたものだ。何か録音されていると感じたら「OK Google、今言ったことは忘れて」などと命じればよい(音声コマンドでアクティビティを削除する方法はこちら)。
        • 以上、いずれも便利そうな機能だが、Googleはロールアウトの正確なタイミングを発表しておらず、「近く」使えるようになるという。

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          滑川海彦@Facebook

PlayStation 5が2020年のホリデーシーズンに発売

ソニーにはまだ、CESでの記者会見に1つや2つのサプライズを用意する力がある。そのひとつが、PlayStation 5が2020年のホリデーシーズンに登場するという発表だ。

次世代コンソールについての詳細な話はなかったが、基本的な機能として、ソニーだから当然3Dオーディオを搭載し、触覚的でアダプティブなトリガーや超高速SDD、ハードウェアによるレイトレーシング、そしてブルーレイ(物理メディア)に対応する。

[^ロゴは新しくない。グラフィクスのクオリティーに対する反省もない。]

発表の1カ月近く前には、PS5に対抗するXbox Series Xが発表された。発売時期はほぼ同じだから、2020年の年末には、また激しいコンソール戦争が勃発するだろう。

発売まで1年を切っているにも関わらず、PS5とXbox Series Xの両方とも、わからないことが多すぎる。CESよりもクレージーなE3やGamescomなどの数カ月後に行われるゲーム専門のカンファレンスを待つことにしよう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「アレクサ、ガソリン代払って」コマンドが米国の1万カ所以上のGSで利用可能に

車にガソリンを入れるのは、それほど難しいことではない。しかしAmazon(アマゾン)は、ボイスコマンドを利用することで、それがもっと簡単になると考えている。ガソリンスタンドの計量器の横に車を止めたら、「アレクサ、ガソリン代払って」と言えばいいのだ。米国時間の1月7日、Amazonは、ExxonMobil(エクソンモービル)、Fiserv(ファイサーブ)と連名で、音声指示によるガソリン給油について発表した。今年の後半には、米国の1万1500以上のExxon(エクソン)とモービル(Mobile)のガソリンスタンドで利用可能になる。

Amazonによると、Alexa(アレクサ)を利用してガソリン代を支払う機能は、まずはAlexa対応の車、Echo AutoやAlexa対応のモバイルデバイスを持っている顧客から利用可能になるという。

顧客は計量器の横に着いたら「アレクサ、ガソリン代払って」と言うだけで使い始めることができる。するとAlexaは、ガソリンスタンドの位置と計量器の番号を確認する。

支払い自体は、Amazon Payを使って処理される。その支払情報も、顧客の通常のAmazonアカウントに保存される。Fiservの電子商取引の技術によって、ガソリンの計量器を稼働させ、安全な支払いが実行されるよう、トークンの生成も円滑に進行する。

このような、Alexaを利用した給油体験が、支払カードを計量器に直接セットするより、大幅に早くて簡単かどうかは定かではない。どちらかと言うと、ちょっと回りくどいような感じもする。しかし、これは便利だと感じる人もいるだろう。計量器が認証されて給油可能になるまで、車の外で処理の進行を待つ代わり、車の中に居ることができるのだから。

特に寒い冬の日には、ありがたいものに感じられるかもしれない。また、女性など、計量器の横に一人でいるのが心配だという人には歓迎されるだろう。夜間やよく知らない場所など、安心できないような状況でガソリンを入れる場合には特にそうかもしれない。

「私たちは、ガソリンスタンドに新しいテクノロジーと、素晴らしい体験をもたらすことにワクワクしています」と、エクソンモービルの米国燃料マーケティングマネージャーであるEric Carmichael(エリック・カーマイケル)氏は声明で述べた。「私たちは、消費者をあっと言わせるような、使いやすさと安全性を両立させるテクノロジーを開発し、探求してまいります」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

CESで披露されたDellのコンセプトPC、発売予定なしだが欲しい

コンセプトPCはコンセプトカーみたいなもので、まともな企業のまともな製品ではあるご、ほとんど見る人の気分を害するためにのみ存在する。自分のささやかなマシンが、みすぼらしく見えてしまうのだ。それは、人生の比喩でもある。いや、まったく。

その精神に則ってDell(デル)は、今週のCESで3種のコンセプトPCを披露した。しかし、どれもやりすぎのような奇抜な製品ではない。見た目には今の製品と変わらないようなのがあり、あとの2つは競合他社が最近発表した製品に似ている。3つとも、実際に市販される製品ではなさそうだが、人生とは日に日にがっかり度が大きくなるがっかりの連続であり、それが最後の最大のがっかりまで続くのだ。

最初のは、エイリアンが作ったUFOがコンセプトで、 AlienwareブランドのPCだ。今のPCみたいなのが1つあると前述したが、それがこれだ。AlienwareはNintendo Switchの真似をしている。というより一般的に、ポータブルゲーム機のようなPCだ。実際に市販されるとしたら、もっと山盛りのスペックになるのだろう。

Switchと同じく、このゲーム用ポータブルはコントローラーが本機から離れている。キックスタンドがあるので、飛行機の座席のテーブルでも使える。ただし、あれは飛行機の中でも最も不衛生な場所だから、使用前によく拭くこと。このコンセプト(でしかない)製品は、Intel(インテル)の第10世代のチップが8インチで1900×1200ドットのディスプレイを駆動する。

一方Concept Duetは、これまでにもいくつかの他社がトライしたことのあるようなコンセプトで、13.4インチのディスプレイが2つの面にある。このようなフォームファクタの利点は、誰が見てもわかるだろうし、またLenovo(レノボ)の製品のように着脱式のキーボードがあるから、タッチ画面をタイプしなくてもいい。

Concept Oriは、米国時間1月6日朝に発表されたレノボのThinkPad X1 Foldと横並びだ。13インチの画面は、折り畳むと相当ポータブルなフォームファクタになる。CTOのGlen Robson【グレン・ロブソン)氏はブログで「今年のCESの新しいやり方は嬉しい。私たちのラボを覗き見することを、楽しんでほしい。今回お見せするのは、ごく一部のアイデアでしかないが、評判が良かったら、私たちのこんな初期的な仕事を今後もっとお見せしたい」と語っている。


  1. Concept-Duet_01

  2. Concept-Duet_02

  3. Concept-Duet_03-1

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  5. Concept-Ori_01

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  11. Concept-UFO_002

  12. Concept-UFO_03

  13. Concept-UFO_04-1

  14. Concept-UFO_05

  15. Concept-UFO_1133

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

より良い睡眠を約束するURGONightの脳トレヘッドバンド

CES 2020はスリープテックの年だ。何カ月か前にそう宣言したが、忘れかけられている気がするので、再度主張したい。筆者の睡眠サイクルを完全に破壊するにあたり、テクノロジーは重要な役割を果たしてきた。しかし現在は、睡眠サイクルを取り戻すために、テクノロジーは筆者にとって唯一の希望なのではないかと思っている。

URGONightは、この分野における興味深い取り組みだと思う。文字どおり今まさに発表されたばかりのMuse Sのヘッドバンドともかなり被る(その話ついてはここで書いた)。ニューロフィードバックヘッドバンドの特徴(2020年のどこかで使うことになるだろうと思っていたフレーズ)は、睡眠トレーニングが目的だが昼間使用する設計になっているという点だ。

ヘッドバンドは、1日20分、週3日使用する設計だ。脳の活動を検出する2つの電極がある。着用者はAndroidやiOSアプリで脳からのフィードバックをリアルタイムで見ることができる。木の葉の成長やパターンの描画など、さまざまなエクササイズがある。基本的には、よく眠れるように脳を訓練するということだ。

「体を鍛えれば、もっと速く走れるし、もっと高くジャンプできるし、もっと長く泳げるし、もっと柔らかくなれる。同じようにニューロフィードバック療法によって睡眠の質を改善する方法を学ぶことができる、というのが臨床研究の示すところだ」と創業者のGuirec Le Louis(ギレク・ル・ルー)氏は声明で述べた。「この技術は何十年も世界中の臨床睡眠センターで使用されている。URGONightはその技術を身近で楽しめるようなものにし、また家庭で快適に使用できるようにする」

確かに非常に興味深い。筆者は製品の有効性や科学的なことについて確かなことは言えない(筆者がさっとGoogleで検索してみたところ「睡眠紡錘波」というのは本当にある)。だが、現時点では何でも試してみたいと思っている。第2四半期にはあなたも試せる。500ドル(約5万4000円)かかってしまうが。

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(翻訳:Mizoguchi

AmazonのFire TVが月間アクティブ4000万人突破でRokuをリード

Amazonは米国時間1月6日、同社のFire TVプラットフォームに現在、4000万人以上ものユーザーがいることを発表した。2019年5月に発表した3400万人から増加しており、Rokuが昨年11月に2019年Q3決算で報告したアクティブ・アカウント3230万人を上回っている。

Rokuの「アクティブ・アカウント」は、過去30日間に一度でもストリーミングしたユーザーを指すが、1つのアカウントは同じ世帯で複数の人数が共有している場合もあるとRokuは言う。しかし同じことはFire TVにも言える。Fire TVもRokuも、異なるアカウントに切り替えてパーソナライズされたホーム画面やウォッチリストを作ることは容易ではない。

2019年にFire TVが3400万ユーザーを喧伝したとき、Rokuをアクティブ・アカウントで500万人リードしていた。月間4000万アクティブとなった現在、その差は770万人へと広がった。しかし両社は常に僅差でユーザー数を争っており、Rokuの決算が発表されるとAmazonのリードは縮まる。おそらくその時点でRokuは数百万ユーザー上乗せしてくると思われ、両プラットフォームの激しい戦いは続く。

RokuとFire TVのライバル関係は激しく、Rokuが無料の映画とTVハブのThe Rock Channelを出せば、Amazonは子会社のIMDbが無料のストリーミングサービス、IMDb TVをFire TVの機能として提供している。Rokuは独自のボイスコントロールプラットフォームを開発中であり、Fire TVがバーチャルアシスタント、Alexaを使ってつながるTVを制御できるというAmazonの優位性に対抗しようとしている。

また、Rokuがどのストリーミングサービスにもアクセスできる中立プラットフォームとして好評を得ているのに対して、Amazonもライバルのストリーミングサービスのサポートを充実しつつあり、最近ではYouTubeYouTube TVApple TVアプリが加わった。

Fire TVの月間アクティブユーザー4000万人は、新しいニュースだったが、Amazonが米国時間1月6日に発表したAlexaの利用状況はそうではなかった。現在10万個以上のAlexa互換スマートホーム製品があり、9500ものブランドから発売されている。Alexaデベロッパーの作ったスキルは10万件を超え、何百という製品がAlexaを内蔵している。こうしたデータは毎年恒例となっている2019年秋に行われたAmazonのAlexaイベントで詳しく発表された。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonが支援するEVメーカーRivianがピックアップトラックとSUVにAlexawo搭載

Rivian(リビアン)はAmazon(アマゾン)の音声アシスタントAlexa(アレクサ)をピックアップトラックのR1TとSUVのR1Sに搭載する。R1TとR1Sは同社初の電気自動車で、2020年末のデビューが予定されている。

また、Rivianは1月6日の月曜日に、Alexaの搭載をAmazonから受注した配送トラック10万台にも広げることを明らかにした。この配送トラックは2021年から顧客への荷物配達に使用される見込みだ。

R1TとR1SへのAlexa搭載では、音楽再生や電話、ナビといったAlexaのスタンダード機能に加えて空調やトランク開閉、その他の操作がコントロールできる。

R1TとR1S専用の特殊操作もできるようにする予定だ、とRivianは話した。例えば、R1T内にどんなギアが隠されているのかをチェックするために、車内に設置したカメラをAmazonのEcho ShowやFire TVからリモートで操作できる、といったものだ。またAlexaを搭載することで車両がオフラインのときでも一部のAlexa機能にアクセスできるようになるが、実際にそのように設定するかどうかはこの車両をどのように使うかにもよる。

「Rivianは、妥協することなく探検できる未来像を描いている。そして、オーナーがどこで乗ろうともこの車両でいつでも最良のデジタル体験ができるようにする」と Rivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)氏は述べた。「我々は車両へのAlexa搭載をマーケットで最も包括的でシームレスなものにしたい」

CES 2020の前に発表された今回のAlexa搭載は、Amazonが自動車業界にも足を踏みこみ進めているという最新の動きを表している。Lamborghini(ランボルギーニ)もまた同社のスポーツカーHuracán EVOにAlexaを搭載する計画を発表した。

AmazonがAlexaの搭載、クルマへの配達サービス、Rivianへの直接投資を通じて自動車業界に触手を伸ばして数年が経つ。eコマースのAmazonはまた、顧客がドアのキーパッドとスマートセキュリティカメラを使って配達中のドライバーが家の中に入れるようにするAmazon Keyサービスも立ち上げた。2018年にこのサービスはKey by Amazon In-Car配達サービスとしてクルマにも拡大した。

GM(ゼネラルモーターズ)とVolvo(ボルボ)が最初にこのKey by Amazon In-Car配達サービスを導入し、2019年4月にFord(フォード)も続いた。

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(翻訳:Mizoguchi