数々の予兆からシステムの問題を予知・防止するInsightFinderが約2.2億円調達

米国ノースカロライナのInsightFinderは、大学での15年の研究成果に基づいてシステムのモニタリングに機械学習を利用し、一般的によくある問題を自動的に見つけて修復する。米国時間12月31日に同社は、200万ドル(約2億1700万円)のシードラウンドを発表した。

ノースカロライナ州ダラム拠点のVCであるIDEA Fund Partnersがラウンドをリードし、Eight Roads VenturesとAcadia Woods Partnersが参加した。創業者であるノースカロライナ州立大学の 教授のHelen Gu(ヘレン・グー)氏は、これまで15年にわたってこの問題を研究し、2015年に同社をローンチした。

グー氏はまた、元Distil Networksの共同創業者でCEOのRami Essaid(ラミ・エッサイド)氏をCOOとして招聘したことを発表した。2019年に自分の会社を売ったエッサイド氏は、彼の新しい会社であるInsightFinderでプロアクティブなアプローチでアプリケーションとインフラストラクチャのモニタリングを行うと発表している。

同氏は「これらの問題には繰り返して何度も起きる性質があり、起きるときにはその兆候がある。われわれは人工知能を利用してそれを予測し、先回りして抑える」と語る。彼によると、それはテクノロジーのプロアクティブな使い方であり、現在のソフトウェアにおいては、問題のほぼ半分が、それらが問題になる以前に防止できるという。

モニタリングといえばSplunkやNew Relic、Datadogなどの名前が思い浮かぶが、しかしエッサイド氏によると、それらのプロダクトは企業のテクノロジースタックの一部分に固執し、それに対しInsightFinderはそのようなソリューションの1枚上の層(レイヤ)として働いて、ノイズにすぎないアラートを減らし、複数のアラートがあるときには問題の根源を突き止め、できるかぎり問題解決を自動化する。

エッサイド氏は「システムが発している大量の信号(兆候、予兆)を見て、それらから実際に起きている問題を判定するやり方は、我々が初めてだろう。アラートを減らして(アラートが出る前に)問題の早期発見を助けるだけでなく、すべてのデータを処理して人工知能により予測と予防を行う。そこまでやるモニタリング企業は、まだほかにないだろう」と語る。

現在の顧客はInsightFinderのソフトウェアをオンプレミスでインストールしているが、2020年にはSaaSバージョンを作って、より多くの顧客が利用できるようにするのが同社の計画だ。

同社は2015年にローンチし、今回の投資の前には米国科学財団の助成金を二度受けている。エッサイド氏によると、同社の製品は現在10社の大企業が利用しているが、まだ本格的な営業やマーケティング活動はやっていない。資金は、その活動に使う予定だ。

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CiscoがFPGAによる超高速ネットワーキングデバイスを開発するExablazeを買収

Ciscoは米国時間12月16日、オーストラリアのExablaze(エグザフレイズ)を買収したことを発表した。この企業は、FPGA(Field Programmable Gate Array)に作り込んだ高度なネットワーキングハードウェアを設計および製造している。特に強い方面は、レイテンシーが極めて低いネットワーキングを必要とする企業のためのソリューションで、主に1日中非常に高い頻度で取り引きをやってるような企業だ。Ciscoは、Exablazeの技術を自己の製品に統合していく計画だ。

Ciscoの企業開発部門のトップであるRob Salvabno(ロブ・サラヴァブノ)氏は「Exablazeのこの分野でトップの超低レイテンシーのデバイスとFPGAベースのアプリケーションが弊社のポートフォリオに加われば、金融やHFT(高頻度取引)の分野の顧客は自己の事業目的を達成しやすくなり、彼らの顧客価値提案を実現できるようになります」と語る。

2013年創業のExablazeは、オフィスがシドニーとニューヨークとロンドンと上海にある。金融取引は同社のソリューションの真っ先に思い浮かぶ用途だが、同社によるとビッグデータの分析やハイパフォーマンスコンピューティング、そして通信の業界にもユーザーがいる。

Ciscoの計画では、Exablazeは同社のデータセンター用スイッチであるNexusのポートフォリオに加わる。また同社によると、Exablazeを現在のポートフォリオに統合することに加え、両社共同で次世代のスイッチの開発に取り組む。そこでは特に、AIやML方面の用途を重視し、新しい需要を開拓する。

Exablazeの共同創業者で会長Greg Robinson「グレッグ・ロビンソン)氏は「この買収によってCiscoのグローバルなリーチと営業力、サポートチーム、幅広い技術と生産ベースに、さらにExablazeの最先端の低レイテンシーネットワーキングとレイヤ1スイッチング、タイミングとタイム同期化技術、そして低レイテンシーのFPGA専門技術が加わることになるのだ」と説明する。

いつも買収を狙っているCiscoは、これで今年の6つめの買収になる。多くはソフトウェア企業だが、Acacia Communicationsの場合は、光相互接続方面のファブレス半導体企業の買収意図を示した。

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Microsoft TeamsのLinux版が公開プレビューがダウンロード可能に

米国時間12月10日、Microsoft(マイクロソフト)は、Microsoft Teams for Linuxの公開プレビューを発表した。このオープンソースのオペレーティングシステム上で可利用になる初めてのOffice 365ツールだ。

プレビューの目的は言うまでもなく、一般公開の前にフィードバックをもらって製品を改良すること。リリースを発表する同社のブログ記事には「本日よりMicrosoft TeamsをLinuxユーザーは公開プレビューで利用できる。オープンソースコミュニティの職場や教育機関などで、高品質なコラボレーション体験が可能になる」と記載されている。

目標は実働プラットホームを増やして顧客を増やすことだ。ブログ記事には「顧客の多くがWindows 10とLinuxなど、複数種類のプラットホームの上で動く複数のデバイスを使っている。マイクロソフトは、同社のクラウドにおいても、生産性ソフトウェアにおいても、混成環境をサポートすることにコミットしており、今回の発表によりTeamsの使用体験をLinuxユーザーに広げられることは、とても喜ばしい」とコメントしている。

この発表は、2つの点で重要だ。まずMicrosoftは、CEOがSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏になってからオープンソースを受け入れるようになったとはいえ、その前までの長年はオープンソースとの仲が単純ではなかった。しかしこれからは、必要とするユーザーがいる限り、プラットホームやオペレーティングシステムの違いを超えてそのツールを積極的に提供する姿勢に変わったのだ。

第2に、これがLinux上の最初のOffice 365アプリケーションだから、フィードバックが良好なら今後ほかのアプリケーションにも門戸を開くかもしれない。

この発表の背景にはまた、エンタープライズ向けのコラボレーションプラットホームのユーザーをSlackと取り合いしているという事情がある。7月にマイクロソフトはTeamsの1日のアクティブユーザー数(DAU)を1300万人と発表したが、SlackのDAUは1200万人だ。Linux上ではすでに2年近く前からSlackを利用できる

関連記事:Slack comes to Linux as a snap(SlackがLinuxのアプリストアSnapに登場、未訳)

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D-WaveとNECがハイパフォーマンスコンピュータと量子システムのハイブリッドアプリを開発

D-Wave Systemsは米国時間12月10日、NECとのパートナーシップを発表した。NECのハイパフォーマンスコンピューター(HPC)とD-Waveの量子システムを組み合わせて「ハイブリッドアプリケーションとサービス」の開発を目的としている。

また、両社はNECがD-Waveへ1000万ドル(約10億900万円)を投資することも発表した。Crunchbaseのデータによると、D-Waveがこれまで獲得した資金調達総額は2億400万ドル(約222億)だ。

今週、1月1日付けで同社のCEOに就任すると発表されたD-Waveのプロダクト最高責任者でR&D担当執行副社長Alan Baratz(アラン・バラツ)氏によると、同社はすでに日本で多くのビジネスを行っており、今回の大きな契約によってその技術をさらに広めることができるという。声明中で彼は、「世界的にもパイオニアであるNECとのコラボレーションは、商用の量子アプリケーション研究における大きな節目だ」と述べている。

同社によると今回の契約は、量子ベンダーとNECほどの人員/業域規模の多国籍IT企業との協働、その最初期における例の1つだという。両社が最初に取り組むのは、NECのスーパーコンピューターやそのほかの伝統的システムと、D-Waveの量子技術を組み合わせたハイブリッドサービスの共同開発だ。古典的システムと量子システムを組み合わせることで、古典的システムだけだった場合よりも低いコストで高いパフォーマンスが得られるのではないかと期待されている。

また、両社はNECの顧客と共同で、このハイブリッド方式を活かせるアプリケーションを作る。さらにNECは、D-Waveが提供するクラウドサービスの公認再販業者になる。

1999年に世界で初めて量子ビットデバイスのデモをしたと主張するNECにとって、今回のパートナーシップは、商用の量子コンピューティングを前進させるための道を見つける努力のひとつだ。NEC Corporationの執行副社長でCTOの西原基夫氏は、「現在の最も複雑な問題の解決に取り組んでいるあらゆる業界の未来で、量子コンピューティングの開発は重要である。ハイブリッドアプリケーションと、量子システムへのアクセス増大により、真に商用利用できる量子ソリューションの実現が可能になるだろう」と述べている。

この度のパートナーシップ契約は、両社をそんな目標に向けて前進させるものになるだろう。

関連記事: D-Wave sticks with its approach to quantum computing(D-Waveは量子コンピューティングのアプローチを固持、未訳)

画像クレジット: D-Wave Systems

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GitHubのリポジトリー上に機密情報や脆弱性を見つけるGitGuardianにDocker創業者らが投資

データ侵犯は、被害額が大きければ多くの企業の命取りになる。対策は、大量のリアルタイムモニタリングだ。しかし監視する要素が多いとそれは非常に複雑な仕事になる。SANS Instituteの調査では、企業のデータ侵犯の約半数は、アカウントや認証情報のハッキングだった。

GitGuardianは、あくまでもデベロッパー中心のサイバーセキュリティにより、この問題に対応しようとしている。それが今やメジャーな投資家たちの関心を招き、Balderton CapitalがリードするシリーズAで総額1200万ドル(約13億円)の資金を獲得した。GitHubの共同創業者であるScott Chacon(スコット・チャコ)氏とDockerの創業者Solomon Hykes(ソロモン・ハイクス)が、このラウンドに参加した。同社はこの資金で、現在は大多数が米国である顧客ベースの拡大を計画している。現状では顧客の75%が米国、残りがヨーロッパだが、資金は現在まで続いている成長に拍車をかけるだろう。

オンラインのリポジトリーに隠れている企業の機密情報を掘り出すGitGuardianは、リアルタイムのモニタリングによってデータリークに対抗する。現在のエンタープライズソフトウェアのデベロッパーは、複数の社内的およびサードパーティのサービスを統合しなければならない。そのことによって彼らは、ログイン情報やAPIのキー、機密システムを保護するための暗号鍵など、多くの機密情報を抱え込む。

GitGuardianのシステムは1日あたり数千の認証情報のリークを検出する。同社は当初、一般公開プラットホームであるGitHub上に立ち上げるつもりだったが、しかしGitGuardianは本来プライベートなソリューションとして、機密情報の不適切な拡散を社内システムも含めてモニターし通知しなければならない。社内システムにはプライベートなコードリポジトリーやメッセージングシステムなども含まれる。

GitGuardianに投資したDockerの創業者であるハイクス氏は 「システムのセキュリティはソフトウェア開発工程のセキュリティから始まる。GitGuardianはこのことをよく理解している。彼らは深刻なセキュリティ問題に対する実践的なソリューションを作った。彼らの認証情報モニタリングシステムは、重要企業の必須のツールだ」と語る。

競合他社について共同創業者のJérémy Thomas(ジェレミー・トーマス)氏は「直接の競合他社は、まだいない。市場がまだ存在しないか、または小さすぎるからだ。でも我々の場合は、資金調達の状況を見てもおわかりのように何か大きなものを掴んでいる。だから競合他社がいない理由は、一見して問題が難しいからだろう。デベロッパーなら誰もが、自分は公開されるソースコード中に機密情報を書いたことなどないと言う。でも人間がやることには必ずミスがあるし、いったんミスが起きれば影響は深刻だ。たった一人の認証情報が漏れただけで企業全体が危機に瀕することもある。だから、あえて言うなら、我々の本当の競合者はブラックハット(悪事を働く)のハッカーだ。ブラックハットはGitHubにもいる。これまでの2年間モニターした中には、GitHub上で見つけた機密情報を交換している組織的なハッカーグループもいた。我々は彼らと競合して、彼らが悪事を働くよりも早く脆弱性を見つける」と語る。

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AWSが機械学習を利用する企業向け検索ツール「Kendra」を発表

12月3日に開催されたのre:InventでAWSは、Kendra(ケンドラ)と呼ばれる新しい検索ツールを発表した。機械学習を利用してコンテンツのさまざまなリポジトリーを自然言語で検索する。

AWSの人工知能担当副社長であるMatt Wood(マット・ウッド)氏によると、この検索ツールは機械学習を使うけど、ユーザーは機械学習の専門知識をまったく必要としない。その部分は、ボンネットの下に隠されたままだ。

ユーザーはまず、コンテンツのリポジトリーを指定する。それはS3のストレージでもOneDriveでもSalesforceでも何でもいい。AWSは既製のコネクターをいろいろ提供しているので、ユーザーは自分の認証情報でAWSにアクセスし、これらのさまざまなツールに接続できる。

Kendraは自分が接続されたリポジトリーに見つけたコンテンツのインデックスを作り、ユーザーは自然言語のクエリを使ってこの検索ツールとの対話を開始できる。このツールは時間などの概念を理解するので「When is the IT Help Desk is open」(ITのヘルプデスクはいつオープンしているか)と質問すると時間であることを理解し、正しい情報をユーザーに渡す。

この検索ツールがすごいのは、機械学習を使っているだけでなく、ユーザーのフィードバックから自動的に学習して、良い回答と改良を要する回答を見分けられることだ。フィードバックは、笑顔や悲しい顔などの絵文字でもいい。

この検索ツールをセットアップしたら、会社のイントラネットに検索機能を持たせたり、アプリケーションの中で使ったりできる。タイプアヘッド(先行入力、候補文字をユーザー入力よりも前に表示する能力)など、検索ツールにあるべき機能はほぼそろっている。

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冷却能力と太陽光発電に優れる軌道上データセンターの実現に向けHPEがスタートアップと協業

宇宙でできるビジネスって何だろうか?あなたの答の中にはなかったかもしれないが、データセンターもその1つだ。宇宙はデータセンターにとって、なかなか興味深い環境だ。特に、高度なアナリティクスや人工知能には向いているだろう。冷却能力は優れているし、太陽光という再生可能エネルギーにリーズナブルにアクセスできる。でもそこには課題もあり、フロリダの宇宙スタートアップOrbitsEdge(オービットエッジ)にHewlett Packard Enterprises(HPE)とのパートナーシップには十分な意義がある。

このパートナーシップでは、HPEのEdgeline Converged Edge SystemsにOrbitsEdgeがハードウェアを提供し、外宇宙で使われるHPEのスタンダードなマイクロデータセンターの強化を同社がすべて担当する。強化(Hardening)とは、何かを宇宙で使用する場合の標準的なプロセスで、特に機械装置類を大量の放射線や高温など、宇宙の過酷な条件に耐えられるようにする。

今年前半に創業したOrbitsEdgeは、同社が特許を持つハードウェアのSatFrameにより、宇宙のストレスから機器類を守り、今回のHPE Edgelineのような一般市販品を使った地球上の装置を宇宙で使えるようにする。そして、装置のユーザー自身が独自に大量の対策作業をしなくてもよくなる。

とくにこのHPEのエッジシステムの場合は、OrbitsEdgeとのパートナーシップによって、軌道上で小さなデータセンターをセットアップすることがとりあえず実現可能になり、宇宙に由来するデータの処理の少なくとも一部を、地球にデータを送らずにその場で実行できるようになる。その処理を地球でしたら、そもそもそれをやってくれる企業やインフラストラクチャを見つけること自体が難しく、あっても非常に高価につくだろう。宇宙内製造のように処理や工程を宇宙ローカルでできれば、大量のオーバヘッドを減らして、とても多くのポテンシャルに道を開くだろう。

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CircleCIの継続的統合とデリバリーサービスがAWSのサポートを拡充

継続的インテグレーションとデリバリーのサービスを提供するCircleCIは1年ほど前から、そのコマンドやインテグレーションをサードパーティのサービスで容易に再利用するための方法としてOrbsを提供してきた。当然ながら、Orbsが最も多く使われるサービスといえばAWSであり、同社のデベロッパーもコードのテストやデプロイをAWSで行っている。米国時間12月2日、ラスベガスで行われているAWSの例年のデベロッパーカンファレンスre:Inventと日を合わせたかのように、同社はOrbsにAWSのServerless Application Model(SAM)のサポートを加えたことを発表した。これにより、AWS Lambdaのテストとデプロイを行う自動化CI/CDプラットホームのセットアップがとても容易になる。

同社によると、1年前にローンチしたOrbsを今では1万1000社あまりが利用している。OrbsのAWS用の利用の中で特に多いのは、例えばAmazon Elastic Container ServicesとElastic Container Service for Kubernetes(EKS)のイメージの構築とアップデートや、AWS CodeDeployのサポート、AWSのコマンドラインインタフェイスをインストールし構成するためのOrbs、S3ストレージサービスで利用するOrbsなどだ。

CircleCIの事業開発担当副社長Tom Trahan(トム・トラハン)氏は「最近ではますます多くの企業がLambdaやECS、EKSなどのマネージドサービスを使うようになっている。サーバーレスのエコシステムを管理しているAWSのプロダクトチームと協力して、LambdaにCI/CDのワークフローを加えたいユーザーのための出来合いのサービスを作ることはタイミングとしても理想的だ。Lambdaも最初の頃は、従来のソフトウェアのパターンとデリバリーのフローに従わないデベロッパーが多かった。しかしその後は徐々にLambdaの利用機会が増えて、それを最も有効利用するためには、プロダクション品質のコードを作るべきという風潮になってきた。そしてLambdaでも同じソフトウェアデリバリーの能力と規律を持つべきという理解が定着してきた」と語る。

トラハン氏が強調するのは、今はまだアーリーアダプターが多いし、最初からクラウドネイティブでやってるような企業が顧客として多いことだ。しかし最近では、そういう顧客の中にも従来型の企業が多くなっており、彼ら独自のデジタル革命が急速に進行しているという。

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アプリモニタリングのCoralogixがセキュリティロギングに事業を拡大

ロギングに自動化と知能を与えるスタートアップであるCoralogixが米国時間11月26日、シリーズAのラウンドによる1000万ドル(約10億8000万円)の資金調達を発表した。

このラウンドはAlephがリードし、StageOne VenturesとJanvest Capital Partners、および2B Angelsが参加した。同社によると、今回の資金調達によって総調達額は1620万ドル(約17億6800万円)になるとのこと。

CEOで共同創業者のAriel Assara(アリエル・アッサラ)氏によると、同社はロギングと分析にフォーカスしている。これまでの主なサービスは、従来からあるようなアプリケーションのパフォーマンスのモニタリングだったが、本日同社は、セキュリティのロギングも手がけると発表した。すなわち、ログを調べて異変を見つけたらその情報をセキュリティ情報とイベント管理(Security Information and Event Management、SEIM)のツールとシェアする。

アッサラ氏は、自社のサービスについて「Coralogixはスタンダードなログ分析により、ログデータの取り込みと解析、視覚化、警報、および検索を、大規模で安全なインフラストラクチャを用いて行う」と語る。同社はデータを分析するための各種アルゴリズムを独自開発し、ログデータを正常時のパターンと比較して、問題の認識と解決を自動的に行う。

「顧客のシステムの全体を自動的にモニタし、データを詳細に調べ、その動的状態を理解し、目の前にある問題の原因が分かるツールを顧客に提供している」とアッサラ氏。

例えばそのツールは、ユーザーのログイン、認証、アプリケーションやウェブサイトへのアクセスといった一連のイベント列を認識できる。そんなイベントは常に発生しているから、何かいつもと違うことがあれば、システムはそれを認識してその情報をDevOpsのチームと共有し、何かがおかしいと告げる。

同社のオフィスは、テルアビブとサンフランシスコ、キエフにあり、2015年の創業だ。すでに1500社の顧客企業があり、その中にはPostman、Fiverr、KFC、Caesars Palaceなどが含まれる。現在の社員数は30名だが、今後は営業とマーケティングを充実して顧客をさらに拡大したいとしている。今度の資金は、主にその方面に行く予定だ。

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Google CloudがBare Metal Solutionで顧客機によるベアメタルサービスを提供

Google Cloudは米国時間11月20日、Bare Metal Solutionと名付けたベアメタル(物理サーバー)サービスを発表した。ただしそれは、Google Cloudが直接提供するベアメタルサービスではなく、Googleが認定したハードウェアを企業がGoogleのデータセンターに置き、そこでそれら専用のワークロードを動かし、Google Cloudの一連のサービスにも直接接続できるというものだ。このようなセットアップがふさわしいワークロードはデータベースだとGoogleは表明している。具体的にはOracle Databaseだ。

Bare Metal Solutionは、その名が示すとおり、この種のインフラストラクチャをセットアップするための完全に統合された、そして完全な管理を伴うソリューションだ。ハードウェアのインフラストラクチャも、サーバーだけでなく電源や冷房までも含むその全体が完全に管理される。Google Cloudとのサポート契約や課金はGoogleのシステムが扱いSLAもある。それらのマシンにデプロイされるソフトウェアは、Googleではなく顧客が管理する。

全体としての考え方は、特殊なワークロードを抱えた企業が容易にクラウドへ移行できるようにし、それによって、クラウドからのサービスがこれらのシステムのデータに便利にアクセスできるようにすることだ。機械学習がそんなワークロードの典型的な例だが、Googleの考えではこれによって企業が徐々に自己の技術的インフラストラクチャを現代化していける。ここで現代化とは、クラウドへの移行という意味だ。

Googleは「そういう特殊なワークロードは認定されたハードウェアと、ライセンスやサポートに関する複雑な協定を必要とする場合が多い。今回のソリューションはアプリケーションのインフラストラクチャの全体構造を現代化する経路を与え、それと同時に既存の投資とアーキテクチャを保全できる。またBare Metal Solutionで特殊なワークロードをGoogle Cloudに持ち込むことができ、各種のGCPサービスに最小のレイテンシーでアクセスおよび統合できる」と説明する。

このサービスはGoogle Cloudと同じ場所にあるので、同じリージョンのBare Metal SolutionとGoogle Cloudの間のデータの出入りは課金されない。

このソリューションで使うサーバーは、Oracle Databaseをはじめさまざまなアプリケーションの実行に関して認定され、構成は最小でも2ソケット16コアでメモリー384GB、最大は112コアでメモリー3072GBの4ソケットサーバーとなる。料金は月額制で、推奨契約期間は36か月だ。

もちろんこれは、完全に自力で用意するシステムではないから、その料金なども含めて、Googleの営業と話し合うことが第一歩になる。今、いろんな手段やサービスでエンタープライズ対応を手厚く進めているGoogle Cloudにとって、当然予想できたサービスだが。

関連記事:Google makes converting VMs to containers easier with the GA of Migrate for Anthos(GoogleはMigrate for AnthosでVMのコンテナ変換をサポート、未訳)

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カオスエンジニアリングの対象をKubernetesクラスターに拡張したGremlin

10年前にAmazonとNetflixがカオスエンジニアリングを開発した。これは両社のようなネット企業に起きるかもしれないワーストケースを、実際に起きる前にテストする方法だ。両社の社員だったある人物がその実装としてGremlinを立ち上げ、Site Reliability Engineers(SREs)のチームがいなくても大規模プラットホームのテストを実行できるようにした。そしてGremlinは米国時間11月18日、Kubernetesのクラスターに対してもカオスエンジニアリング的なテストをサポートすると発表した。

同社はその発表を今週サンディエゴで行われているKubernetesのカンファレンスKubeConの冒頭で行った。

Gremlinの共同創業者でCEOのKolton Andrus(コルトン・アンドラス)氏によると、そのサービスはKubernetesのクラスターを、エラーを起こさないようにあるいはその可能性を下げるためにテストし構成することが目標だ。彼によると、Kubernetesのクラスターであろうとなかろうと、ライブの環境でミッションクリティカルなシステムを極端に過酷な状況に置いてテストするカオステストが重要とのこと。しかし、しかしそのようなテストには危険も伴う。そこでリスクを最小限に抑えるためのベストプラクティスとして、重要な情報が確実に得られる範囲内でテストの規模を最小にする。

アンドラス氏は「必要最小限のクラスターだけをテストする。そしてそれらの部分にエラーがあったらKubernetesに何が起きるか、実際にエラーを起こして理解する。例えば、スケジューラーが休止したら何が起きるだろうか。目標は人々がいわゆる爆発半径を知ることだ。そして実験を安全に行えるようガイドしていく」と語る。

さらにGremlinは、Kubernetesのクラスターに一連のベストプラクティスで焼きを入れて頑丈にし、エラー耐性を増す。「Gremlinには、この種のテストを実行するために必要なツールはあるが、これまでにとても多くの顧客との対話や彼らの実験から学んだのは、クラスターを本当にフォールトトレラント(エラー許容性)にしレジリエント(エラー耐性)にするためには、クラスターのチューニングや正しい構成が必要なことだ」とアンドラス氏。

Gremlinのインターフェイスは、このようにターゲットに合わせた実験ができるようになっている。テストをしたい部分を指定すると、どこをテストしているかを視覚的に表示する。そして、制御不能の状況になったら、キルスイッチでテストを停止できる。

GremlinがKubernetesをテストしている(スクリーンショット提供: Gremlin)

Gremlinは、2016年にローンチした。本社はサンノゼにある。プロダクトは、フリーミアムと有料制の両方がある。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで2700万ドルを調達している。

関連記事:How you react when your systems fail may define your business(ビジネスの生死を握るのは危機管理だ、未訳)

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AtlassianがJira Service Deskの多部門利用に応えてテンプレートとワークフローを専用化

Atlassian(アトラシアン)が今日(米国時間11/1)、HR(人事)や法務、ファシリティーズなど、企業内の各チームの目的別に構築したJira Service Deskの一連のテンプレートとワークフローを発表した。6年前にJiraのバージョンとしてスタートしたService Deskは、主にIT部門が対象だった。しかしAtlassianはTwitterやAirbnbなどで、企業内のほかのチームがそれを採用し使い始めていることに気づいた。今日のアップデートで同社は、そういうチームが自分でカスタマイズしなくてもJira Service Desk容易に使えるようにした。当面の対象チームは法務と人事とファシリティーズ関連だ。

同社のITプロダクトのトップEdwin Wongは次のように述べる。「最近の6年で分かってきたのは、特定の部門にとらわれない本当に良質なサービスを提供しなければならないということだ。企業の社員たちの役に立つ優れたサービスをうちなら提供できる、という感触がますます強くなってきた。以前は、社員がサービスに期待するものにそれほど本気で対応しなかった面があるけど、今の消費者向けサービスの質の高さを見ると、職場でもこれぐらいのものが必要だし、求められていると思わざるをえない」。

しかし彼によると、サービスチームの多くがそんな体験を提供できるだけのツールを持っていない。そして、にもかかわらず彼らは、自分たちのワークフローを効率化するためのツールを求めている。人事では、新人教育がその典型的な例だろう。手作業から、もっと自動化された現代的なやり方に移行したい。Jiraには彼らがそれをできるための十分な柔軟性がすでにあるが、今度の新しいテンプレートはそのプロセスを体系化している。

Wongが強調するのは、仕事の流れを追跡し記録するだけでなく、チーム全体を管理して彼らに一箇所にすべてがある集中的な情報ハブを提供することが重要だ。Wongは曰く: 「顧客が抱えている大きなチャレンジは、これが欲しい、これをやりたい、と思ったときに、どこにそのための情報があるかを知ることだ。新人社員が入社したとき、新しいラップトップを与えなければならないけど、どこにそれを要請するのか? バスルームに問題が起きたときと同じく、ファシリティーズに言えばいいのか?」

Atlassianが上記3部門から始めるのは、それらがいちばん、緊急のニーズを抱えているからだ。でもいずれ、他の部門でも同じことが必要になってくるだろう。

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GitHubにプロジェクトのロードマップ追跡管理を統合したZenHub

GitHubを統合した人気の高いプロジェクト管理ツールであるZenHubは米国時間11月6日、新しいプロダクトとしてRoadmapsを発表した。その名のとおりロードマップを作成して管理する機能で、チームがプロジェクトを前もって良質に計画し、そのステータスを視覚化する。そしてそのすべてを、GitHubの中から操作できる。

ZenHubの共同創業者であるAaron Upright(アーロン・アップライト)氏は「これはまったく新しいカテゴリーのプロダクトだから超エキサイティングだった。従来のように、ソフトウェアの開発チームが将来のことを考えながらプロジェクトを管理するのではなくて、具体的にいつ何をするかを前もって計画するんだ。これをZenHubを進化させる機会として生かし、プロダクトのロードマッピングという新しい世界への入り口を提供したい」と語る。

このプロダクトそのものは、かなり単純明快だ。デフォルトでは、チームがすでに定義している既存のプロジェクトや作品を対象とし、タイムラインに沿ってそれらを視覚化する。そこには、まだ残っている未解決の問題に関するデータも含める。このツールの現在のバージョンはかなり基本的なものしかないが、将来はブロッキングなどの高度な機能も入れる予定だ。アップライト氏が言ったように、目標がチームの計画を助けることだから現状で十分役に立つが、ZenHubが望むのは「プロジェクトのステートの概要が30000フィートと超長くても、GitHubやJiraの中で個々の問題をクリックしまくらなくてもいい」という理想的な計画管理の状態だ。

アップライト氏によると、既存のソリューションはチームが本当に必要とすることに対応していない。彼によると「しかもそれらのツールは高すぎて10名から20数名程度のチームには手が出せない。またロードマップを追跡するのにExcelのファイルやGoogleのスプレッドシートを使っているところが多い。スプレッドシートは、その毎日毎時間のアップデートが大変で、それ専門のフルタイムの人間を必要とする」とのこと。

手ごろな価格のツールでは、そのツールとGitHubの間で同期できないので、肝心のGitHubの最新状態を維持できない。ZenHubはGitHubの中にいるから、そんな問題はそもそもない。

ZenHub Roadmapsはすでにすべてのユーザーが利用できる。

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マイクロソフトが共同編集ツール「Fluid Framework」の公開プレビューを開始

今年前半にMicrosoft(マイクロソフト)が開催したデベロッパーカンファレンスのBuildで、最も興味深く、そして最もわかりづらかったニュースのひとつが、同社のFluid Frameworkの初めての一般公開のデモだった。Fluidは複数のデベロッパーがリアルタイムでコードを共同編集するツールだ。しかし同社はそれをOfficeやOutlookのような自社のツールにも入れてしまった。そのため、単なるコーディングエディターというより、ドキュメントのルック&フィールの形を変えてしまうものだった。

米国時間11月4日、フロリダ州オーランドで行われた同社のクラウドテクノロジーのためのカンファレンスであるIgniteでは、そのFluid Frameworkのエンドユーザー体験の初めての公開プレビューと、デベロッパーのための非公開プレビューが提供された。

マイクロソフトが言うには、Fluidのメインの能力は3つある。ひとつは複数の人が共同でドキュメントを編集できること。そしてドキュメントモデルをコンポーネントに分割できること。それから、テキストのリアルタイム翻訳とか語句の提案などさまざまな機能を持ったインテリジェントエージェントを組み込めることだ。

これらは、あるところまではGoogle Docsとあまり変わらないし、Officeにあるマイクロソフト自身のコラボレーション機能にも似ている。新しいのは、マイクロソフトがこれをデベロッパーに公開し、Fluid Frameworkをドキュメントを解体してコンポーネントに分割する新しい方法と見なしていることだ。そのようなドキュメントを、いろんなアプリケーションで利用できる。

マイクロソフトの計画ではFluid FrameworkをMicrosoft 365全体の、さまざまなユーザー体験に組み込んでいく。具体的には、Teams、Outlook、SharePoint、OneNote、Officeなどいろいろだ。関心のある方は、公開プレビューを見て試してみればドキュメントの編集方法がどんな感じかわかるだろう。

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未来のERPを志向するWorkdayが調達プラットホームのScout RFPを買収

企業の財務と人事管理をクラウドサービス(SaaS)で助けるWorkdayは米国時間11月4日、オンラインの調達プラットホームであるScout RFPを5億4000万ドル(約587億円)で買収する合意に達したと発表した。PitchBookのデータによると、同社はこれまでに6000万ドル(約65億円)あまりを、調達前の評価額1億8450万ドル(約200億円)で調達している。

この買収以前にWorkdayには既存の調達ソリューションとしてWorkday ProcurementとWorkday Inventoryがあるが、Workdayのプロダクト最高責任者(CPO)であるPetros Dermetzis(ペトロス・デルメツィス)氏はブログで「Scoutは同社に顧客のためのより完全なソリューションを与える」と表明している。

彼によると「サプライヤーと戦略的優位性の重要性が増している中で、Scout RFPの買収によりこのクラス最良の戦略的ソースによる総合的な調達サービス(Source-to-Payソリューション)を提供できる。これにより企業の調達部門の戦略的重要性を上げ、調達機能の変化を促進する」とのこと。

Constellation Researchの創業者で主席アナリストのRay Wang(レイ・ワン)氏によると、Workdayはクラウド上のエンドツーエンドのバックオフィスプレーヤーを目指してきたが、「大きな欠落の1つが調達だった」という。

ワン氏によると、Workdayはしばらくその欠落を埋めるための投資をしてきた。それどころか、2018年以来Workday VentureはScout RFPの投資家であり、同社は公式にWorkdayのパートナーだった。

「Workdayの投資対象の多くは、未来のクラウドERPという同社の大きなビジョンの欠落を補う企業だ。今日的なERPの定義には、財務、人事管理、プロジェクト、調達、サプライチェーン、そして資産管理が含まれる」とワン氏。

Scout RFPの創業者は本日の発表に関するブログ記事で「両社は良好な協力関係にあり、今回の買収はたいへん有意義だ」と述べている。そのブログ記事には「Workdayのチームとの密接な協働を通じて、両社の信念や企業価値の類似性を悟った。両社はユーザー体験をプロダクトのフォーカスの中心に置き、顧客の満足と社員のエンゲージメント、および事業への全体的なインパクトを重視している。両社の協働が容易であったことは意外ではなく、また、営業やマーケティングにおけるパートナーシップでも迅速な成功を見てきた。企業文化という観点から見ても、明らかに成功だ」と書かれている。つまり、これまでの両社の関係がすでに密接で良好だったということだ。

Scout RFPは現在、155か国に240社の顧客がいて強健な企業である。同社によると、現在のユーザー総数は30万人に達する。同社の160名の社員は買収の完了と共にWorkdayに移る。規制当局の審査が終わるのは、1月の終わりごろだろう。

関連記事: Scout RFP raises $15.5 million to help companies manage purchases(企業の購買管理を助けるScout FRPが1550万ドルを調達、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

モニタリング大手のNew RelicがサーバーレスモニタリングのIOpipeを買収

仮想マシンが支配している世界からサーバーレスの世界へ移行すると、モニタリングの性質も変わってくる。New Relicのような伝統的なモニタリングのベンダーもそのことをよく知っていて、米国時間11月1日にサーバーレスのモニタリングを行うシアトルの新進スタートアップであるIOpipeの買収を発表した。もちろん、同社のサーバーレスのモニタリング能力をアップするためだ。買収額などは公表されていない。

New RelicはIOpipeをチームの重要メンバーと呼び、それには少なくともIOpipeの技術と共同創業者のErica Windisch(エリカ・ウィンディッシュ)氏とAdam Johnson(アダム・ジョンソン)氏が含まれる。社員もシアトルからNew Relicのポートランドのオフィスに移る。

買収を発表するブログ記事でNew Relicは「この買収への投資によって我々には、サーバーレスの機能とNew Relicを迅速かつ簡単に統合する能力をただちに得られる。そして顧客はNew Relicの計測方法とUIをそのまま使って、アプリケーションスタック全体の複雑な問題をトラブルシューティングできる」。

このブログ記事によると、IOpipeのチームはLambda LayersのようなAWS Lambdaの機能をNew Relicのプラットホームへ移すことに注力する。そしてその後チームは、サーバーレス機能のモニタリングという今後増大するサポートワークを担当する。New RelicはIOpipeのチームとソリューションを導入したことによって、サーバーレスのモニタリングを効率化できると期待している。

2018年にIOpipeの200万ドルのシードラウンドをリードしたBold Startの投資家であるEliot Durbin(
エリオット・ダービン)氏は、今回の買収は両社にとってウィンウィンだと言う。「Ner Relicは今やサーバーレスに本気だから、マーケットリーダーとしての同社の大きな顧客ベースにIOpipeのプロダクトを導入することは、どちらにとっても魅力的だ」。

IOpipeはAWS Lambdaを使っている企業のサーバーレスオペレーションのモニタリングを支援してきた。サーバーレスはサーバーがないという意味ではなく、AWSのようなクラウドベンダーが完全なオペレーションのためのリソースを適切に提供するため、サーバーなどのリソースの手配や確保をデベロッパー側はやらないという意味だ。たったそれだけのことである。

IOpipe co-founders Erica Windisch and Adam Johnson

写真提供: New Relic

そしてオペレーションが終了したら、リソースはほかへ回される。しかしモニタリングをする側にとっては、そんな短命なリソースは厄介だ。New Relic自身もこの問題に挑戦していて、今年初めにはNew Relic Serverless for AWS Lambdaをリリースした。

TechCrunchのライターであるFrederic Lardinois(フレデリック・ラルディーノア)が、IOpipeの2017年の250万ドルのシードラウンドに関する記事で指摘しているように、ジョンソン氏とウィンディッシュ氏の経歴は立派だ。

IOpipeの共同創業者であるCEOのAdam Johnson(アダム・ジョンソン)氏とCTOのErica Windisch(エリカ・ウィンディッシュ)氏はこの分野のベテランで、以前はDockerやMidokuraにいた。AdamはMidokuraの最初の社員、EricaはDockerのセキュリティチームを作った。両者は最近、Techstarsのニューヨークの育成事業を卒業した。

IOpipeは2015年の創業で、AmazonがLambdaを発表した時期とほぼ一致する。シードラウンドの時点では社員が8名だった。PitchBookのデータによると、現在の社員数は1名と10名の間だ。これまでの調達総額は707万ドル(約7億6500万円)である。

New Relicは2008年の創業で、Crunchbaseによると2014年の上場前までの調達総額は2億1400万ドル(231億5587億円)あまりだ。現在の株価は65.42ドルで前日から1.40ドル上がった。

関連記事
サーバーレス環境で動くアプリのインサイトを提供するIOpipe
New Relic launches platform for developers to build custom apps(New Relicがアプリケーション開発プラットホームをローンチ、未訳)

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43億円超を調達してHadoopから大ピボットを敢行したDatameerに投資家たちが期待

Datameerは、オープンソースのHadoop(ハドゥープ)プロジェクトに乗っかってデータ準備サービスを提供するスタートアップとして誕生したが、このほど4000万ドル(約43億5200億円)の投資を発表してHadoopからの大ピボットを敢行した。ただしこれまでと同じくビッグデータの仕事をしていくことには変わりない。

この投資は、同社の従来からの投資家であるST Telemediaがリードした。ほかにも既存の投資家Redpoint VenturesやKleiner Perkins、Nextworld Capital、Citi Ventures、およびTop Tier Capital Partnersらがこのラウンドに参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の調達総額はこれで1億4000万ドル(152億3100万円)近くになる。

CEOのChristian Rodatus(クリスチャン・ロダトゥス)氏によると、同社の最初のミッションはHadoopをデータサイエンティストやビジネスアナリスト、それにエンジニアなどの人々にとって容易に利用できるようにすることだった。しかし昨年は、最大のHadoopベンダーである3社、ClouderaとHortonworksとMapRを不運が見舞った。その結果ClouderaとHortonworksは合併し、そしてMapRはHPEに安値で売られた

2年近く前に誕生したDatameerはこの状況を見て、自分も変わるべき潮時だと悟った。そこでまず、2つの新しいプロダクトの開発を始めた。これまでの顧客を失いたくはないので、同社のHadoopプロダクトの改造に着手し、それを今ではDatameer Xと呼んでいる。それは現代的なクラウドネィティブのプロダクトで、人気の高いオープンソースのコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesの上で動く。HadoopではなくApache Sparkを使う。このピボットの3分の2は完了しており、すでに顧客の手に渡っている。

同社は、まったく新しいSaaSツールであるNeeboも発表した。これはデータサイエンティストに、どこから得たデータであっても処理できる能力を与える。ロダトゥス氏によると、これからはますます雑多なデータを相手にしなければならない。普通のデータもあれば、データアナリストやデータサイエンティストがPythonで書いたコードもある。SaaSのベンダーのダッシュボードにもデータがある。Neeboはこれらすべてをマネージドサービスの中でまとめて、データサイエンティストがインサイトを得られるようにする。TableauやLookerのようなデータ視覚化ツールも使える。数週間以内に一般公開できる予定だ。

このピボットをやり終えるためにも、今度の資金は重要だ。技術者を増員して工程を継続し、マーケティングと営業を充実して新製品を売っていきたい。楽にできるピボットというものはないけれども、でも投資家たちは同社が既存の顧客をベースに成長できる、と期待している。それに一般的にも、データサイエンスのためのツールにはこれからますますニーズがあるはずだ。同社の今後を見守りたい。

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オープンソースプロダクトをより使いやすくするツール開発のGrafana Labsが26億円超を調達

オープンソースのデータ可視化・グラフ化ソフトウェアであるGrafana(グラファナ)の商用利用をサポートするGrafana Labsが、シリーズAで2400万ドル(約26億円)の巨額を調達した。Lightspeed Venture Partnersがラウンドをリードし、Lead Edge Capitalが参加した。

CEOで共同創業者のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏によると、同社はオープンソースのGrafanaツールに商用のレイヤーを提供するスタートアップとしてスタートしたが、今ではオープンソースのモニタリングツールであるLokiなど、そのほかのプロジェクトもサポートしている。LokiはPrometheusに似ているが、Grafana Labsの自作ソフトウェアだ。

同社はこれらのサービスを動員してデータソースに接続し、データをモニタしている。ダット氏は「Grafanaは、データがどこにあってもそれらに接続する。独自のデータベースであっても、オンプレミスのデータベースであっても、あるいはクラウド上のデータベースでもだ。Grafanaが同時に接続できるデータソースは42種類以上ある」と説明する。

でも同社は、それ以上のものに成長した。同社によるとそのプロダクトセットは「さまざまなプロダクトを単一の提供物へと統一している。それは、世界初のユーザーが自由に編成できるオープンソースの観測プラットホームであり、Grafanaを主軸としてメトリックスやログ、トレースなどのデータを一元的に扱える」。

実は、モニタリングとロギングの伝統的なツールであるElasticやNew Relic、Splunkなども、今年はそんな一元的な方向へ進もうとしている。メトリックスやロギング、トレーシングなどを一体化したデータ分析や可視化のことを観測ないし観測性(Observability)という言葉で呼んでいる。

Grafana Labsはオープンソースプロジェクトの商用部門で、その上に構築した2つのプロダクトがある。まずGrafana Enterpriseにはエンタープライズにフォーカスしたデータコネクターと、強化された認証とセキュリティ、そしてオープンソースよりも充実したエンタープライズクラスのサポートがある。

GrafanaのSaaSバージョンもあり、それは完全な管理を伴い、オープンソースのダウンロードやインストール、管理、アップデート、パッチなどに伴う面倒がない。面倒はすべて月額料金でSaaS側が見てくれる。

ダット氏によると、最初の5年間では外部資金を400万ドルを導入しただけだが、社員数100人、顧客数500社にまで成長できた。彼の自慢はキャッシュフローが現状でとんとんであることだ。

そして近年Grafana Labsは、そろそろ大きな資金を得て成長を加速すべき段階だ、資金がなくてできなかったこともできる、と決意した。ダット氏は「オープンソースのコミュニティとそのマインドシェアにより、企業価値創成の善循環ができている。それは、持続可能なビジネスを築けた、ということだ。今後はその循環を加速していきたいので、思い切った資金調達を行なった」と語る。

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Microsoft 365への移行促進のためマイクロソフトがMoverを買収

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月21日に、カナダのMoverを買収したことを発表した。買収金額は公表されていない。Microsoft 365への移行をできるかぎり容易するる目的でMoverを手に入れたようだ。

Microsoft 365は、Office 365やMicrosoft Teams、セキュリティツール、ワークフローなどを収めたバンドルソフトだ。その考え方は、前菜からデザートまでフルコースの生産性パッケージを顧客にクラウドから提供することだ。Moverは、別のサービスのファイルをMicrosoft 365に容易に持ち込めるようにする。

Office担当のコーポレートバイスプレジデントであるJeff Tepper(ジェフ・テッペ)氏が、買収を発表するMicrosoftの公式ブログで「顧客にできるだけ迅速かつ円滑にマイクロソフトのクラウドへ移行していただくことが目的だ」と言っている。彼は「MoverはBoxやDropbox、Egnyte、Google Driveなど10あまりのクラウドサービスプロバイダーからOneDriveやSharePointへの移行をサポートし、 OfficeやMicrosoft TeamsなどMicrosoft 365のすべてのアプリケーションとサービスの上でのシームレスなコラボレーションを可能にしている」と語る。

テッペ氏によると、Moverには優れたマイグレーションツールがすでにあるだけでなく、同社チームの専門的技術力もマイクロソフトが活用できるようになるという。

Real Story Groupの創業者で主席アナリストのTony Byrne(トニー・バーン)氏によると、異なるシステム間のファイルの移行は、どんなやり方にせよ極めて困難なこともある。ファイル転送のメカニズムもその困難の一部だ。「オンプレミスのシステムや競合するクラウドサプライヤーから365への移行は『移行』という単純な言葉では言い表せない。むしろそれは再構築であり、UXもアドミンのかたちも各種のサービスもオペレーションの構造も、すべてをマイクロソフトのクラウドに合わせて変えなければならない」とバーン氏は説明する。

Moverはカナダのエドモントンにあり、創業は2012年で、Crunchbaseのデータによるとこれまで100万ドルを調達している。顧客には、AutoDesk、Symantec、BuzzFeedなどの著名企業もいる。

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AWS Nitroの競合技術を有するPensandoが脱ステルス

元Cisco(シスコ)の技術者たちが創業したエッジコンピューティングのスタートアップであるPensando(ペンサンド)がシリーズCで1億4500万ドル(約157億7000万円)を調達し、ステルス状態を終えた。同社のソフトウェアとハードウェアはデータセンターにおけるクラウドコンピューティングサーバーの柔軟性を拡大し、Amazon Web ServicesのNitroと競合する技術と位置づけられる。

今回のラウンドはHewlett Packard EnterpriseとLightspeed Venture Partnersがリードし、これによりPensandoの調達総額は2億7800万ドル(約303億円)になる。HPEのCTOであるMark Potter(マーク・ポッター)氏とLightspeed VentureのパートナーであるBarry Eggers(バリー・エッガース)氏が、Pensandoの取締役会に加わる。同社の会長は元CiscoのCEO John Chambers(ジョン・チェンバース)氏で、彼はJC2 Venturesを介してPensandoの投資者の一人でもある。

Pensandoは2017年に、Mario Mazzola(マリオ・マッゾラ)氏、Prem Jain(プレム・ジャイン)氏、Luca Cafiero(ルカ・カフィエロ)氏、およびSoni Jiandani(ソニ・ジャンダニ)氏によって創業された。この技術者チームはCiscoの重要な技術開発のいくつかを先頭に立って推進した人々であり、その前にはInsieme Networksなど4つのスタートアップを創業して、それらはいずれもCiscoが買収している。

ロイターのインタビューで、前にCiscoの執行副社長だったPensandoのCFOを務めるRandy Pond(ランディ・ポンド)氏は、CiscoがPensandoの買収に関心があるかは明らかでないが、「現時点でうちはIPOを志向している。でもお金に関しては常にほかの可能性もある」と述べた。

同社によると、そのエッジコンピューティングプラットホームのパフォーマンスは生産性とスケールで比較するとAWS Nitroの5倍から9倍だ。Pensandoは、エッジコンピューティングのためのデータセンターインフラストラクチャを5Gからのデータや人工知能、そして物のインターネット(IoT)アプリケーションに対し最適化して用意する。ステルスの間に同社は、HPE、Goldman Sachs、NetApp、Equinixなどの顧客を獲得した。

プレス向けの声明でポッター氏は「現在のような変化が激しく、超稠密に接続された世界では、以前にも増して柔軟性と選択肢の幅の大きい操業環境を企業は必要とする。HPEとPensando Systemsとの関係が拡大しているのは、エンタープライズとクラウドの理解を互いに共有しているからだ。我々はPensandoへの投資とソリューションレベルのパートナーシップを誇らしく感じており、顧客のニーズを前もって把握したソリューションを今後とも推進していきたい」と語っている。

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