お気に入りのアーティストと”共演”―、合成動画作成アプリのBlin.gy

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クロマキー合成(またはブルーバック/グリーンバック合成)は昔からある技術だ。この技術は1930年代に初めてハリウッドで導入されて以降、現在でも映画やスポーツ報道、そしておなじみの天気予報などで利用されている。一方で、クロマキー合成を実現するには、緑色の幕や固定されたカメラ、さらにスタジオで使われているような照明機器を準備しなければいけないため、コンシューマー向けの技術とは言えない。

しかし、もしもバックグラウンドが動く動画を作れて、それをソーシャルメディア上で友だちとシェアできたらきっと楽しいだろう。

そんな思いを実現するために誕生したBlin.gyというアプリを使えば、スタジオ機材なしで「モバイルクロマキー合成」を再現できる。

Blin.gyのチームは、以前Chosenと呼ばれるアメリカン・アイドル風のアプリを開発していた。ユーザーが自分の才能を披露するために、短い動画を作成・シェアできるようになっているこのアプリは、The Ellen Show(2001~2002年にかけてアメリカで放映されていたコメディ番組)とのパートナーシップを通じてトラクションを獲得していったが、しばらくすると、彼らのメインターゲットであるティーンエイジャーは、Musical.lyのように音楽が中心のコンテンツを好むということがわかった。screenshot_20170215-205645

そこで彼らは一歩下がって、若者がこれまで体験したことがないような表現ができるコンテンツを作るためのツールを開発することにした。

彼らの狙いは、Blin.gyにしかできないような、ユニークで新しいタイプのコンテンツを作ることだった。Musical.lyなら音楽に合わせて早送りしたような映像を作ることができ、SnapchatにはフィルターやAR風のエフェクトがあり、そしてInstagramにはBoomerangがあるように、Blin.gyも独自の「っぽさ」を見つけようとしていたのだ。

最終的にBlin.gyのチームは、モバイルクロマキー合成を使ってユーザーを音楽ビデオに登場させるというアイディアを思いついた。今日のテクノロジーを使えば、昔からあるクロマキー合成の技術をモバイル化するのなんて簡単なはずだと思う人もいるかもしれないが、実はこれはかなり複雑なプロセスだ。

特許出願中のBlin.gyのアルゴリズム(詳細はこちらの白書参照)は、昔ながらのクロマキー合成と物体検出や輪郭検出、色操作といったコンピュータビジョンのテクノロジーから構成されている。つまりBlin.gyは、動画が撮影されている環境に合わせて、複数の技術をダイナミックに使い分けたり併用したりできるのだ。

そのため、AppleのPhoto Boothではカメラが動くとエフェクトも崩れて(しまいには背景まで歪んで)しまうが、Blin.gyであれば、撮影中にカメラが動いてしまっても問題なく合成されるようになっている。

もちろん、コンピュータビジョンのテクノロジーはまだ誕生して間もない(かつ動画を撮影している携帯電話の処理能力に左右される)ため、Blin.gyのチームは、アプリの効果を最大限発揮するために、「撮影時は後ろに何も置かないようにする」といったアドバイスを提供している。

実際にBlin.gy上の動画を見てみると、「本物の」緑色の幕を使って撮影されたような素晴らしい出来のものから、ほとんど合成が上手くいっていないものまであり、全ての動画が完璧なクオリティというわけではないことがわかる。

しかしBlin.gyのチームは、アップされている動画の中には、アプリの機能を完全に発揮できないような処理能力の低いAndroid携帯によって撮影されたものもあると説明する。さらに、アプリを初めて開いたときには、撮影時の背景の選び方やライティングについての説明文が表示されるが、Blin.gyの主なユーザーである若者が、全ての説明文を読んでいるとは思えず、それが原因で一部の動画は合成が上手くいっていない可能性もある。

現在アプリ上には何万という数の音楽ビデオが準備されており、長さは全て15秒に設定されている。最終的にはレコード会社と協力し、例えばDrakeの横にユーザーが入れるスペースを空けた動画のような、独自のコンテンツを作っていきたいとBlin.gyは考えている。実は同社は既にこのアイディアを試しており、ユーザーはMigosのBad and Boujeeに「出演」できるようになっている。この動画の中にはジャンプカットがなく、ユーザーが入るスペースも空けてあるため、ユーザーはなかなかリアルな映像をつくることができる。

アプリはiOS版Android版があり、どちらも現在公開中だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Operaがデスクトップブラウザをリデザイン中

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Operaがデスクトップブラウザの新しいビルドを開発者向けにリリースした。そして、新プロジェクトReborn(再誕生)を発表した同社にとって、これは興味深いビルドだ。このプロジェクトは全てのプラットホーム上でユーザーインターフェイスを完全にリデザインしようとするものだ。

私はこれまで数年の間、Operaをメインのブラウザとして使用してきた。ちょうど今新しいバージョンを試みたばかりだが、何よりもまずビジュアルのアップデートであるように見える。見かけは異なっているものの、中で実行される機能は同じものだ。

ボタンやタブには、新しいデザインが採用されている。それらはすべてのプラットフォーム上で同様の見え方になる。私がこの変更を気にいるかどうかはわからない、何故ならこれらの新しいタブは、macOSの上でさえWindows10のものの様に見えるからだ。ネイティブ感はない。

スピードダイアルは、目立つ影と微妙なアニメーションでリデザインされている。これは良くなった点だ。また、スピードダイアル用の新しいディフォルトの壁紙もいくつか用意されている。

あなたが私と同様にmacOS上で暗いテーマを使っている場合には、ユーザーインターフェイスのための新しい暗いテーマがあることを知って嬉しくなるだろう。それによって全てのボタンとアドレスバーが黒と濃い灰色となる。

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そして、最も興味深い変更はサイドバーだ。どういうわけか、Operaはサイドバーが好きだ。常にすべてのOperaのバージョンに、ある種のサイドバーがあった。今回は、Opera自身の実験的ブラウザであるOpera Neonから機能を借用している。

サイドバーをアクティブにして、それを常時表示しておくことができる。ブックマーク、履歴、スピードダイアルなどの通常のショートカットがそこにはあるが、簡易バージョンのMessenger.comを開くこともできる。

これは一例に過ぎず、更に多くの拡張機能があると思うが、このやり方は、ちょっとだけメッセージをチェックしたり、書き込んだりしてすぐにブラウジングに戻るためのエレガントな方法だ。長いメッセージを書く必要がある場合は、ブラウザとの間でスクリーンを分割する形でMessengerパネルを開くことができる。

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現在のOperaにもサイドバー拡張機能は入っているが、それが多くの人に使われているかどうかを私は知らない。このデザインにより、サイドバーはより目立ち役立つようになるだろう。

Operaは新機能をまず、開発者向けストリームにリリースする。このことが意味するのは、まだ不安定でベータ状態のままだということだ。しかし数ヶ月のうちに、そうした変更は一般向けOperaとして姿を表す。よってあと数ヶ月で完全なリデザインを見ることができるようになるだろう。

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(翻訳:Sako)

MakeTrumpTweetsEightAgainは、政治的ツイートを8歳児の落書きに変える拡張機能

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あの男の政策に賛成であろうとなかろうと、一つはっきりしていることがある。誰かのツイートを小三が書いたように見せるのは実に楽しい。Daily Showの面々がChrome/Firefox用プラグイン、MakeTrumpTweetsEightAgainで証明した。

この拡張機能は実にシンプル。緊急な地政学的問題に対する冷静に熟考された回答等トランプのどんなツイートも、「フォースの覚醒」にハマっている8歳の甥っ子ウォーカーの落書きに変えてしまう。ChromeとFirefoxのみで動く(Safariユーザーは運がなかった)。万一政治をテーマに深刻な話がしたくなったときは、いつでもオフにできる。

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政治にまつわるChrome機能拡張はこれが初めてではなく、最後でもないだろう。オバマ前大統領のバージョンもあったし、政治の話題をブラウザーから完全に排除するフィルターさえある。テクノロジーは膨大なデータをまき散らすだけでなく、フィルターする能力にも長けているようだ。

結局のところChrome機能拡張は大衆の意見をどちらの方向にも揺さぶらない。読者の中には、この国の大統領は(Amazon配信のドラマ)Just Add Magic[邦題:まほうのレシピ]を真に受けて見ている視聴者の心を持っていると私に言いたくてうずうずしている人もいることだろう。私のアドバイス? Twitterを完全に見えなくするChrome機能拡張を作るくこと。全員ずっと気分が良くなることうけあいだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが反対を押してでも音声を自動再生する7つの理由

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Facebookがビデオの自動再生で音声オンを標準にすることに恐れをなしている人へ。少なくともSpotify等のアプリで聞いている音楽を止めたり被せて音を鳴らすことはないので安心されたい。Facebookは今日(米国時間2/15) 、自動再生ビデオの音声はユーザーが別のアプリで音楽を聞いているときには鳴らないことをTechCrunchに正式に伝えた。音楽再生中にFacebookビデオの音声を聞くためには、サウンドアイコンをタップするか、ビデオをフルスクリーンにする必要があり、いずれの場合も他の音楽アプリは一時停止する。

昨日Facebookが発表した音声自動再生の仕様変更に不満を持つ人がいることは間違いない。スマホが人前でうっかり大音響を鳴らしかねないからだ。職場や教室やディナーや会話中にこっそりFacebookを覗こうとしたのがバレて恥かしい思いをすることになる。幸い、それが嫌な人はFacebookの設定で音声の自動再生をオフにすればよい。

しかしFacebookがこうしたいのにはいくつか理由があり、その中心となるテーマはこれだ:ビデオはFacebookの未来なので、このコンテンツがもっと見られるためにはあらゆる障壁を取り除く。

  1. スイッチはシンプルに1つだけ – Facebookは実質的に、音声コントロールを端末の物理的ミュートスイッチに委ねた。これは、スイッチとビデオ毎のオンオフの両方を正しく設定するより、音声の制御がわかりやすくなると言える。音を鳴らせない場所に来たら、端末自体をマナーモードにすればいい、ということだ。
  2. テスト結果は上々 – Facebookは、初期テストの結果は好意的だったと言っている。アプリの利用が減るようなら音声を標準でオンにする意味がないので、この変更による実際の体験は、見た目ほど悪くないのかもしれない。
  3. Snapchatはやっている – Facebookの最大のライバルであるSnapchatは、すでに標準で音声をオンにしており、ビデオを見るユーザーにとっても、ビデオ広告を買う企業にとってもお気に入りの場となっている。
  4. ビデオ広告主 – ビデオ広告ついて言えば、広告に対する感情的反応を促すために音声は必須だ。Snapchatによると、同サービスのビデオ広告は60%以上が音声オンの状態で見られている。ビデオ広告はFacebook最大の収入源として急速に伸びているが、現在広告スペースは限界に達している。これ以上広告枠を増やすことはできないので、ビデオ広告の1本1本を印象深くする必要がある。
  5. 巧妙な技術は不要に – プロフェッショナルな制作者は往々にして、Facebookビデオに派手な工夫をこらしてサウンドがなくても理解できる作品を作る。しかしそれはビジュアルに悪影響を与えるだけでなく、一般ユーザーにできることではない。その結果ユーザー作成ビデオが二流扱いされることは、「友達と家族が第一」というFacebookのゴールと相容れない。
  6. ビデオサウンドトラックの可能性 – Facebook はレコード会社との交渉を進めており、ユーザーが自作ビデオのサウンドトラックとして著作権付き音楽を利用できるよう契約を結ぼうとしている。実現すれば面倒な著作権侵害による削除の心配がなくなり、スマホで撮っただけの退屈なビデオを壮大なミュージックビデオのように仕上げることができる。
  7. ワイヤレスイヤホンへの適応 – AppleのAirPodsはすばらしい。そして1日中つけっぱなしでいられるワイヤレスイヤホンの人気は高まるばかりだろう。そうなればたとえ人前でもFacebookヒデオを音声付きで見る人が増えるはずだ。

頭にくるユーザーがいるだろうって? その通り。しかしFacebookは、口うるさい少数派の苦情を上回る利益があるはずだという計算高い賭けに出ようとしている。導入当初ユーザーが激しく抗議したニュースフィードが、Facebook最大の人気サービスになったことを思い出してほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「日本人に最適化したプロダクティビティツールを」 ― BHIがニュースアプリSwingnewsをリリース

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メールアプリのSwingmail、タスク管理アプリのSwingdoなどを展開する日本のBHIは2月16日、新たにニュースアプリのSwingnewsをリリースすると発表した。これまでのアプリと連携してパーソナライズされたニュースを配信できることを武器に、多くの競合が存在するニュースアプリ市場に参入する。また、これまでLINEのみだったボットプラットフォームも拡大し、新たにFacebook Messenger版、Slack版をリリースする。

連携が特徴のSwingアプリ

従来からBHIが提供していたのは、メールアプリのSwingmailとタスク管理アプリのSwingdoだ。

メールアプリのSwingmailでは、メールとTwitterのDM、アプリ経由でかけたFaceTimeなどの通話履歴を全部まとめて見ることができる。他のメールアプリとの違いは、コミュニケーションする相手ごとにアプリ横断的にすべての履歴を管理することができるという点だ。もう1つのSwingdoはタスクと位置情報が自動でひも付けされるタスクアプリで、他のSwingアプリとも連携することが可能だ。Swingmailについては過去にTechCrunch Japanでも紹介している

そしてもう1つ。同社はSwingmailやSwingdoをサポートする立ち位置となるLINEボットのSwingbotもリリースしている。このボットでは、他のSwingアプリと連動させることによって、重要度の高いメールだけをボットが通知する機能や、現在の位置情報をもとに重要度の高いタスクをボットが教えてくれる機能などを利用することができる。BHIはボットを提供するプラットフォームも拡大中で、2月2日にはSlack版の提供を開始。そして近日中にはFacebook Messenger版をリリースするという。

そして、ここまでSwingブランドのアプリを立て続けにリリースしてきたBHIが次に狙うのが、ニュースアプリ市場だ。Swingnewsはキーワード型のニュースアプリで、ユーザーが指定したワードに関連するニュースを配信することでパーソナライズを実現している。

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しかし、TechCrunch Japanの読者であればご存知のように、日本のニュースアプリ市場にはたくさんのプレイヤーがいて、それぞれが凌ぎを削っている。KDDIなどが提供するNewsPassや、AntennaスマートニュースGunosyNewsPicksカメリオなどがその例だ。しかも、これらのアプリがすべて順風満帆というわけではなく、苦戦を強いられているものもある。

そのような市場環境のなか、なぜBHIがニュースアプリなのか。そして、彼らはどのような武器をもってこの市場を戦っていくのだろうか。CEOの日昔靖裕氏に話を聞いた。

「Swingnewsの強みは、これまでのアプリと連携することによって、高度にパーソナライズされた『自分だけの専門誌』をつくれることです。例えば、Swingdoとの連携で取得したスケジュールデータを利用すれば、『翌週に北海道旅行を予定しているユーザーには、現地のニュースを集中的に届ける』ことが可能になります」。

これまでのSwingアプリは、他のアプリと連携してはじめてその真価を発揮するように設計されている。今回リリースするSwingnewsもその例外ではないということだ。

目指すはYahoo Japanのような統合プラットフォーム

ところで、Swing〇〇というように統一されたアプリ名や、Swingアカウントと呼ばれる単一アカウントですべてのサービスを利用できるあたりを考えると、BHIが目指すのは、アメリカ発祥の企業でありながら「Yahoo!BB」など日本独自のサービスを展開するYahoo Japanのような企業なのだろうかと感じる。

日昔氏はその点について、「プロダクティビティツールは米国大手が強いが、日本人に最適化する形が作れると思っているし、BHIはそこを目指している。日本の大手が提供するいくつかのツールは、GoogleやMicrosoftとは異なり、日本の生活管理に適していると感じるし、実際に支持されている」と語る。

この話を聞くと、僕はふと母親のことを思い出した。50代前半の母親は、あまりITリテラシーが高い方ではないのだが、それでもパソコンを開くと必ずYahoo Japanのトップページに行ってニュースなどを眺めている。トップページで新しい「Eメール(彼女の発音に従えば、えーめーる)」がないかチェックもしている。あくまで一個人の例でしかないことは重々承知のうえで言うと、彼女にとってのパーソナルな統合プラットフォームがそこにはある。

日昔氏によれば、BHIが今年目指すのも、その統合プラットフォームだという。「今年は、統合プラットフォームのWeb版を目指している。旧来型のメールやタスク、ニュースを新しいまとめ方で一覧で見れるイメージ」と日昔氏は話す。「ラップトップ、モバイル、Botなど、それぞれに表示する内容の量やまとめ方、通知のタイミングを最適化することで生活管理はまだまだ進化できる」。

SwingmailやSwingdoは、どちらかと言えばフリーランスなどのユーザーに利用されることを意識してつくられたアプリだった。しかし、同社はSwingbotのリリースによってLINEをよく使う主婦層をユーザーとして獲得。同社がこれまでに獲得した15万のSwingアカウントのうち、主婦ユーザーの割合は半分だそうだ。LINEボットと「友だち」になったユーザーは約1万人だという。

もしかすると、日本のスタートアップであるBHIが広範なユーザーに使われる統合プラットフォームを実現する土壌はできつつあるのかもしれない。

2013年創業のBHIには現在10名のチームがいる。創業計画をまとめた日昔氏は、2012年にサムライインキュベートから430万円の出資を受けた。また、昨年10月にはMVNOのmineoが展開するmeneoメールとの連携を発表。日昔氏は今後もMVNO各社との連携を進めていきたいと語っている。

暗号化コミュニケーションのSignalにビデオ通話機能が加わる

After subsequent leaks of emails by WikiLeaks and suspected Russian hacks of the Democratic National Convention (DNC) the Clinton campaign is said to advise campaign members to use a messaging app approved by Edward Snowden called Signal. The app uses data encryption to send messages only readable by the designated receiver. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

暗号化コミュニケーションプラットフォームのSignalを開発するOpen Whisper Systemsは現地時間14日、同アプリで暗号化ビデオ通話のオープンβを公開すると発表した。Signalはこれまでにも、完全に暗号化されたend-to-endのチャットと音声通話機能を提供していた。しかし、今回そこにビデオ通話機能が伝わったことで、情報漏えいを避けたコミュニケーションがより簡単になった。また、Open Whisper Systemsは同時に既存の音声通話機能のアップデートも発表している。

Edward Snowden氏から全面的な支持を受けるSignalは、これまでに幅広いユーザーを獲得している。情報漏えいの危険性がある地域にいるユーザーは、このアプリのセキュリティ機能を利用することで、より安全でセキュアなコミュニケーションが可能となる。しかし、Signalを利用するユーザーはアクティビストやジャーナリストだけではない。セキュリティ志向の高い一般のユーザーは、Signalを使ってよりカジュアルなコミュニケーションを楽しんでいる ― そこでは、GIFなど比較的センシティブではないコンテンツがやり取りされているのだ。

このビデオ通話機能が、SignalほどセキュアでないAppleのFaceTimeやGoogleのHangoutsと同程度のパフォーマンスをもつのであれば、広範なユーザーのニーズを満たすことになるだろう。そこに到達するまでに、Open Whisper Systemsは開発者がSignalをプロダクトに組み込みやすくするようなアプリのアップデートを続けていくという。

iOS10に搭載されたCallKitでは、ユーザーはロック画面から直接かかってきた電話を受け取ることができる。iPhoneでは、Signalによる通話も同様にネイティブなかたちで受け取ることが可能だ。しかし不幸にも、この統合機能によって脆弱性が生まれる可能性もある。iPhoneでは通話時間や通話先がiCloudと同期されるようになっているからだ。ただし、利便性よりセキュリティを重視するユーザーは、iPhoneの設定からこの機能を無効にすることもできる。

Open Whisper Systems創業者のMoxie Marlinspike氏は、ビデオ通話の暗号化は技術的にはそこまで困難ではないと話す。この新機能を実現するために必要だったのは、Signalがこれまで培ってきたセキュリティ技術を単に有効活用することだけだったという。

「ある意味では、リアルタイムな暗号化はとても単純な技術でもあります」とMarlinspike氏は説明する。「通話は、言うなればわずかな時間だけ継続する同期コミュニケーションであり、その特徴によって通話の暗号化はより簡単なものとなるのです」。

今回のアップデートから追加された暗号化ビデオ通話のβ版を試すには、Signalの詳細設定で「video calling beta」を有効化すればいい。ただし、相手もこの機能を有効化していないと通話することができないので、注意が必要だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

小学生から金利や為替を学ぶ、三井住友カードのおこづかい管理アプリ「ハロまね」

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子どもの頃、親に預けたお年玉はどこに行ったのか、本当に預かってくれているだけなのか疑ったことがあるかもしれない。これからは、おこづかい管理もアプリで透明化が図られることになるようだ。本日、三井住友カードは小学生向けの金融教育アプリ「ハロまね ~親子で学ぶ、こどものお金管理~」をローンチした。このアプリは小学生の金融教育を促進し、お金の計画的な使い方を学ぶことを目的としている。

ハロまねは実際の銀行口座に紐付いているのではなく、あくまでアプリ上の仮想口座で、入金時には親がお金を預かり、出金時に子どもにお金を渡す仕組みだ。ファミリーアカウントを開設すると、親用のアカウントと子ども用のアカウントが作成できるようになる。子ども用のアカウントは2人まで作成可能だ。子どもが自分の端末を持っていない場合は親のスマホやタブレットを共有でき、持っている場合はアプリを連携させて使う。

ハロまね

子ども側のハロまねの画面

アプリの主な機能は3つある。1つは、子どもがもらったおこづかいを登録し、管理する「おこづかい帳機能」だ。ここでは収入と支出を登録し、月ごとに何にどれくらいのお金を使ったかが一覧とグラフで確認できる。

2つ目は、預けているお金に金利が付いたり、外貨に交換できる「銀行機能」だ。通常、銀行にお金を預けると金利が付くが、それをハロまね銀行でも再現している。この金利は親が自由に設定できる。また、円をドルに替えて預金しておく機能もある。ドル円レートは1日1回更新されるので、現実世界に近い為替の動きを学ぶことができるものだ。

3つ目は、家のお手伝いをしたことを記録できる「お手伝い機能」だ。子どもが家事を手伝った際に、おこづかいを渡している家庭も多いだろう。子どもはお手伝いをした内容をアプリに登録することができる。親は登録内容を承認して、おこづかいを支払う。親のアカウントからはお手伝いの内容ごとにおこづかいの価格を設定することも可能だ。

親側のハロまねの画面

ハロまねのリリースにあたり、三井住友カードは「子供の頃から親と一緒にお金に触れ、お金について考えてもらうことで、将来必要となるお金の収支管理を早期に身に付けることを目的としております」とコメントしている。三井住友カードは、小、中学校向けにマネー教育を行っているイー・カンパニーが運営する『キッズ・マネー・ステーション』の協力をもと、ハロまねを作成した。

早速筆者も試してみたが、機能が盛りだくさんで、使い方を理解するのに少し時間がかかった。大手銀行のモバイルバンキングアプリに似ている印象も受ける。ただ、私自身、アルバイトをするまでお金を管理するという意識はなかった。ましてや金利や為替の仕組みについて小学生や中学生の時に知る機会なんてほぼなかったように思う。そう考えると、このようなアプリであれば、早い段階からお金や銀行業務に親しみ、一生使える金融知識の基本が身に付きそうだ。ゆくゆくは、投資や他の金融サービスを活用することへのハードルも下がるかもしれない。

ゲーム感覚で楽しめるオンライン学習アプリのSmartUpが550万ドルを調達

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2015年、私たちは新しいオンライン学習サービスに興味をそそられた。それはモバイル中心のサービスで、ユーザーを学習という「遊びに誘い込む」ものだった。それこそがSmartUp.ioのアイデアだ。SmartUpは、ポイント制のゲームで学習のインセンティブを引き出すモバイルアプリだ。彼らの初期のプロダクトは、控えめに言っても、優雅さを欠き、コンテンツが「軽い」と言わざるを得ないものだった。しかし、それでも彼らは前進するのを止めなかった。

同社は現地時間14日、Notion CapitalとHong Leong Group(東南アジア最大の金融グループ)がリードする調達ラウンドで合計550万ドルを調達したと発表した。本調達ラウンドにはその他にも、Michael Birch氏(Bebo創業者)、Luke Johnson氏、Barry Smith氏(Skyscanner)、Alex Asseily氏(Jawbone)、Ed Wray氏(betfair)、Simon Patterson氏(Silverlake)などの個人投資家が参加している。

共同創業者のFrank Meehan氏は、私にこう話してくれた:「私たちに声をかけてくれた企業は、私たちのマイクロ学習フォーマットに興味を持ってくれました ― しかし同時に、そこに自分たち独自のコンテンツを組み込むことはできないかという要望もありました。そこで、新しいP2Pマイクロ学習プラットフォームを開発することにしたのです。そこでは、参加者の誰もがみずからコミュニティを創設することができるだけでなく、インタラクティブなコンテンツのチャンネルをつくることが可能です。テキスト形式、クイズ形式、動画形式、投票形式など、その種類はさまざまです。私たちがつくった無料かつオープンなコンテンツコミュニティもある一方で、ユーザーである企業も、みずからプライベートなコミュニティをつくることができます」。

彼らの新しいアプリはここからダウンロードできる。その中から「Browse Communities」という項目を選べば、彼らが顧客として獲得した企業をいくつか見ることができるだろう。「Launch」を選べば、スタートアップ向けのオープンコミュニティの中身を見て、このアプリがどのようなものか体験することができる。

企業はこのアプリを利用して、社内教育プログラム、プロダクト教育プログラム、新入社員教育プログラム、セールス資料、コンプライアンス教育プログラムなどを作成することができる。また、SmartUpを社外用の「アカデミー」として利用する企業もある。SmartUpの顧客企業は、そのアカデミーを利用してプロダクトの詳細を顧客に教えているのだ。つまり、これまでのブログやPDFというプロダクト教育のフォーマットから、顧客からフィードバックを受け取ることも可能な、SmartUpが呼ぶところの「マイクロ学習フォーマット」に移行することができる。

Lesson.lyGrovoEdCastなどの企業が注目を集め、オンライン学習分野がもう一度ホットな分野になるなかで今回の資金調達が実現した。Lesson.lyは、SmartUpと同じように「マイクロ学習」技術を採用するトレーニングシステムを開発する企業だ。また、Grovoも同様のマイクロ学習システムを開発しており、独自コンテンツを製作できる機能に特化している。

「Dropbox Paperも将来的に競合サービスとなりうるでしょう。もし彼らのサービスに教育プラットフォームが加わることになれば、それは確実です。私は彼らがそうするのではないかと予測しています」とMeehan氏は語る。

オンライン学習がいま注目を浴びているのには、企業がフェイストゥフェイスのトレーニングからデジタルなプラットフォームに急速に移行しつつあるという背景がある。巨大なPowerPointファイルによって行う社員教育ではなく、彼らはマイクロ学習を望んでいるのだ。教育を受ける者にとってマイクロ学習は本質的に分かりやすいものであり、気軽なコンテンツに慣れた若い社員にはこの方が受け入れられやすい。

SmartUpへの出資者「Founders Forum」による起業に関する教育プログラムのような、ハイクオリティなコンテンツが同社のサービスに存在するという事実も、おそらく彼らを後押しすることになるだろう。他のプラットフォームはこの分野に目を向けていないことが多いからだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Yelpが特定の場所に特化したQ&Aサービスを開始

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Yelpは、その名前からも内容が自明な「Questions and Answers」という新機能をリリースする。

まあ、 ほとんど自明ということだが。この機能は、Yelpユーザーたちが驚くほど様々な質問をできるTalkとは区別されるものだ(私がこれを書いているときにも、Talkのニューヨークのページには空港への所要時間や、ルームメイトを追い出すための合法的条件や、The Bachelorette(アメリカのリアリティTV)に関する質問が挙がっている)。

そうしたものの代わりに、これは特定の場所についてのQ&Aに特化したものだ。このことによって他のQ&Aプロダクトとは一線を画している。例えば、ケネディ宇宙センターの標準滞在時間や、犬が許可されているバーか否か、あるいはタトゥーパーラーの価格などを尋ねて、他のユーザーやビジネスオーナーから回答を得ることができる。

ユーザーたちは回答を有益さに応じて評価することが可能で(「良い」、「悪い」の投票が可能)、また特定の質問に回答が寄せられたときに通知を受けるような設定を行うことも可能だ。

Yelpの公開質問

プロダクトマネージャーのBrian Boshesはこの新機能を、それぞれの人が大切な情報を見つけること助けてくれる「素晴らしい、Yelpらしいコンテンツです」と説明した(そうした情報は、色々なレビューの中に分散して書かれているかもしれないが、一般には見つけるのが難しい)。また彼はこれが、あるビジネスのサポーターやファンにとって、Yelpページとの連携の方法を「潜在的には無限に提供」できることも指摘した。レビューは投稿し続けることはできないが、質問に答え続けることはできるからだ。

最後にBoshesは、これはユーザーが探しているものについての貴重なデータをYelpに与えてくれるものだと述べた。もし人びとが特定の何かについて質問し続けたとすると(例えばレストランの子供に対する対応とか)、それはおそらくYelpがその情報を全ての場所のプロファイルに追加するチャンスとなる。

Yelpは、この機能を昨年末から限定的に運用していたが、今やiPhone、Android、そしてデスクトップで全国的な展開を開始した。Yelpプロファイルのレビューセクションの上に、Q&Aセクションを見つけることができる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

2016年、最もユーザー数を伸ばしたアプリは「AbemaTV」——アプリ分析のApp Apeが発表

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アプリ分析プラットフォーム「App Ape(アップ・エイプ)」を展開するフラーは2月15日、2016年の1年間における月間利用者数の成長率をもとに、2016年を代表するアプリを決める「App Ape Award 2016」を発表した。

App Ape Award 2016はApp Apeのデータをもとに、2016年1月〜12月の1年間においてGoogle Play、App Storeのカテゴリや独自のジャンル毎にMAU(月間利用者数)の成長率が高かった、2016年を代表する100アプリ(ゲーム、非ゲームそれぞれ50アプリ)を選出するというもの。

選出された100アプリからより際立った功績を残したアプリを「アプリ・オブ・ザ・イヤー2016」として選出。それをアプリ・オブ・ザ・イヤー2016(アプリ部門およびゲーム部門)、ブランドアプリ部門および、新人アプリ部門、ローカライズ部門、社会貢献部門、スタートアップ部門、特別賞部門、一般投票部門に分けて表彰した。

一体どのアプリが受賞したのか? 発表の内容を見ていこう。(※表はいずれもアプリ名、開発企業名の順に掲載)

アプリ・オブ・ザ・イヤー2016アプリ部門

大賞 AbemaTV AbemaTV
優秀賞 メルカリ メルカリ
優秀賞 Amazonショッピングアプリ アマゾンジャパン合同会社
優秀賞 C Channel C Channel

アプリ・オブ・ザ・イヤー2016ゲーム部門

大賞 実況パワフルサッカー実況パワフルプロ野球 コナミデジタルエンタテインメント
優秀賞 キャンディクラッシュゼリー King Japan
優秀賞 シャドウバース Cygames
優秀賞 白猫テニス コロプラ

ブランドアプリ部門

大賞 ジーユー ジーユー
優秀賞 スシロー あきんどスシロー
優秀賞 Coke ON 日本コカ・コーラ
優秀賞 Round1 ラウンンドワン

新人アプリ部門

新人ゲーム大賞 Pokémon GO Niantic
新人アプリ大賞 トクバイ トクバイ
新人アプリ賞 GANMA! コミックスマート

ローカライズ部門

ローカライズ賞 Spotify スポティファイジャパン
ローカライズ賞 SNOW SNOW Corporation

社会貢献部門

社会貢献賞 ゼクシィ恋結び リクルートマーケティングパートナーズ
ローカライズ賞 NHK ニュース・防災 日本放送協会

スタートアップ部門

スタートアップアプリ賞 KURASHIRU dely
スタートアップゲーム賞 さわって!ぐでたま ~しょうゆましまし~ グッドラックスリー

特別賞部門

企画賞 丸亀製麺 トリドール
Forbes Japan賞 Uber EATS Uber Japan

一般投票部門

一般投票賞 GANMA! コミックスマート

お馴染みのアプリからニッチなアプリまで、さまざまなアプリが表彰されたアプリ・オブ・ザ・イヤー2016。あなたのスマートフォンに入っているアプリはどれくらいあっただろうか?

Googleマップ、「お気に入り」や「行きたい場所」などをリスト化/共有する機能を実装

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iOSおよびAndroid版のGoogleマップに新しい機能が加わった。お気に入りの場所を登録して保存しておいたり、他の人と共有したりすることができるようになったのだ。初期状態では、「お気に入り」、「行きたい場所」、「スター付きの場所」の3つのカテゴリーで保存しておくことができるようになっている。「バケツリスト」(死ぬまでにやりたいことリスト)を作っておくようなこともできるわけだ。自分で独自カテゴリーのリストを追加することもできるようになっている。

この機能は昨年の秋から、パワーユーザーやローカルガイド向けに公開してテストを重ねてきたものだ。なお、スターをつける機能については、5年以上前から追加されてはいた。

リストを作成して共有できるようにすることにより、Googleマップはソーシャルな要素を持つようになる。GoogleマップのプロダクトマネージャーであるZach Maierも、ソーシャルな要素を持つようにしていきたいとしている。

なおZach Maierは、これまでのGoogleマップは道を見失わないためのツールであった、というようなことも話している。新しい機能を追加したGoogleマップは、決まった道を意図的にはずれ、新しい発見をするためのツールとしても進化させたいと述べている。

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この新機能を使うには、マップ上に表示されたピンをタップして、「保存」を選ぶことで実行することができる。レストランやバーなどでもよいし、公園や駅などの場所でも保存しておくことができる。また、自ら配置したピンの場所を保存しておくこともできる。Maier曰く「大きな公園の中の特定の場所などを示したい時にも便利です」とのこと。

「お気に入り」と「スター付きの場所」の違いがよくわからないという人もいることだろう。べつにこだわる必要もないとは思う。一般的には「お気に入り」というほどではないものの、頻繁に参照する必要のある場所を保存するのに「スター付きの場所」を利用するのだろう。たとえば病院やオフィスなどが「スター付きの場所」になるのだと思う。

テスト中から、独自のリストを作る機能が実装されていたが、一般公開にともなって共有したり、特定のリストをフォローしたりすることもできるようになった。

たとえば近所の「ベストレストラン」をリストにまとめれば、リストを公開して他の人と共有することもできるのだ。もちろん特定の個人や友だちだけと共有数rこともできる。

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リンクを共有したリストでは、リンクをクリックすればリストが表示される。Googleにログインしていれば、リストの内容を確認したり、更新状況をチェックしたりすることができるわけだ。

今のところは、この新機能について他企業と提携して情報を提供するようなことは行なっていない。しかし将来については、他企業と連携していく可能性もあるようだ。たとえばNYT、USA Today、Michelin、あるいはGoogleの保有するZagatなどと、検索結果にさまざまな付加情報を追加するようなサービスについて話を進めているところであるそうだ。

ちなみにこの新機能は、もちろんFoursquareなどと直接に競合することとなる。他にもSoonSpotなど、バケツリスト作成アプリケーションとも競合していくこととなろう。

Googleが実装するリストは、今のところ検索結果に反映されていないようだ(Foursquareは検索できる)。今のところは検索ボックスに文字を入力したさいに、自分のリストがポップアップされるに留まっている様子だ。今後はおそらく検索に対応するようになるのだろう。ちなみに自分のリストおよびフォローしているリストは、オフラインでも参照することができるよういなっている。

Googleによれば、新機能はiOSおよびAndroidアプリケーションにて順次公開しているところだとのこと。ウェブ版でもリンクをたどることで公開されたリストを見られるようにしていくらしい。遠からず、ウェブ版などでもリストに関するすべての機能を公開していく予定であるそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

モバイルアプリの脅威に対処せよ

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【編集部注】著者のRobbie ForkishAppthorityの技術担当副社長である。

好みのアプリを無料で入手する。引き換えに迷惑な広告の表示を受け入れる。これは公平な取引のように思える。

しかし引き換えにしているのは、広告の表示が全てではない。実際には、この取引は相当量の個人情報を引き渡しているのだ。あなたの居る場所、オンライン履歴、連絡先、スケジュール、あなたのアイデンティティ、その他…モバイルアプリは、膨大な量の個人データを収集している。そして、そうしたすべてのデータがモバイル広告ネットの中で瞬時に共有されている。どのような人にでも、その場所とタイミングに合わせて、最も適した広告を表示できるようにするためだ。

ということで、「トレードオフ」は実はアプリの広告ではない。アプリによる厚かましいモバイル監視なのだ。無料で広告付きのモバイルアプリを承認することによって、継続的かつ包括的な個人情報監視をもたらす経済モデルに同意したことになる。それはアル・ゴアがストーカー経済という名で正確に特徴付けたものだ。

なぜ私たちの個人的所在や行動データが、マーケティング担当者によって切望されるのだろうか?なぜなら消費者としての私たちは、スマートフォンを何処に行くにも持ち歩いていて、恒常的に様々な種類の情報を撒き散らしているからだ。もし広告主たちが、私たちが誰で、私たちが何をしているのかを知ることができれば、もっと効果的な広告を配信することが可能になる。これは近接マーケティング(proximity marketing)と呼ばれるものだ。例えばRite Aid(米国の薬局チェーン)の店内通路を歩いていると「マウスウォッシュが今なら10%引き」という広告を電話機に送りつけてくるのが、そうしたものの1つだ。

まあこの程度なら迷惑には感じるものの、実害があるようには思えない。しかし、実際には見えないところで様々なことが行われている。例えば、大手小売店なら、あるティーンエイジャーの行動、検索、そして購買データを単純に相関付けるだけで、両親が気が付くより早く彼女の妊娠に気が付くことができるようなシステムを構築できる。そうすればその小売業者は、DMまたは電子メールを介して、あるいは彼女がPOS端末に近近付いた時に携帯電話にメッセージを入れることができるというわけだ。こうした私たちのプライバシーへの立ち入りを無くすことは(もし可能だとしても)容易ではない。アプリ開発者と広告主に対する経済的インセンティブが大きすぎるためだ。

不正侵入されたスマートフォンは、対象の従業員だけではなく、会社全体に対して脅威を与える。

まあ、こうした消費者への監視が、侵入的で不気味なものであることには合意できるだろう。しかし、それが企業のセキュリティを、どのように脅かすのだろうか?単純だ。パーソナルモバイル機器がビジネスの世界に浸透するにつれて、そうした機器からの漏洩が、企業のハッキング、業務データの盗難、重大なサイバー攻撃への扉を開いている。

例えば、ある会社が、その従業員たちに会社のカレンダーと電子メールのアカウントを個人のモバイルデバイスに同期させていたとすれば、そこにはあらゆるリスクが発生する。従業員たちの電話機が一斉に、組織全員の連絡先情報にアクセスできるようになるのだ。また、従業員たちの連絡先やカレンダーへのアクセスを要求する別のモバイルアプリは、企業の他の従業員の名前や肩書にアクセスしたり、全てのプライベートなカンファレンスコールのダイアルインコードにアクセスすることができる。こうした情報は、スピアフィッシング攻撃(特定対象を狙ったフィッシング攻撃)のために、悪質なアプリやハッカーによって、簡単に活用されてしまう。

さらに悪いことに、多くのアプリがそのユーザー情報を広告ネットワークと共有し、そのデータを他のネットワークのものと組み合わせている。このためデータが正確に何処へ流れていくのかを知ることはできず、そのデータにアクセスする数多くの組織によって、果たしてセキュアな方法で扱われているのかも不明なのだ。こうした共有が意味することは、悪意あるハッカーが、ある企業を攻撃するためには、特定の従業員の電話を直接アクセスする必要すらないということなのだ。彼は、何百万人ものユーザーの情報を持っている広告ネットワークをハックして、そこから始めることができる。

盗まれた情報はまた、水飲み場型攻撃(watering-hole)を介して企業の攻撃に利用することができる。例えば、ある企業の小さな幹部グループが、地元のレストランで定期的に昼食を持っているとしよう。彼らのジオロケーションデータへのアクセスが可能な攻撃者なら、この事実を容易に知ることができる。攻撃者にとって、この幹部のうちの誰かがランチの前にレストランのウェブサイトにアクセスして、メニューをみたり予約したりするだろうと想像することは容易だ。防御が厳しくないサイトにマルウェアを配置することにより、攻撃者は、1人または複数人の企業幹部のオフィスのコンピュータあるいはモバイル機器に不正侵入することができる。そしてそこが侵入の起点となるのだ。

不正侵入されたスマートフォンは、対象の従業員だけではなく、会社全体に対して脅威を与える。仕事とそれ以外の従業員のアクティビティに関する情報が、会社の電子メール、そしてドキュメントや機密情報と組み合わさり、悪意ある者の手に落ちることで、組織に対して壊滅的な影響が生じる可能性がある。

企業は脅威に対抗するために何をすべきか?

まずモバイル環境の可視性を高めるのが第1歩だ。組織は、従業員たちがどのようなアプリを利用しているか、それらのアプリが何をしていて、企業のセキュリティポリシーに合致しているか否かを知る必要がある。例えば、従業員に使用して欲しくない、特に危険なファイル共有アプリは無いだろうか?それは既に利用されてはいないだろうか?もし従業員が仕事に使っているアプリを知らないとしたら、盲目の飛行を行うことで巨大なリスクに晒されているということだ。

企業はその全体的なセキュリティ戦略の一環として、モバイル脅威への対策を含めることが不可欠だ。

第2歩として、モバイル機器利用を管理するポリシーが必要だ。ほとんどの組織は、既にファイアーウォールを管理したり、パートナーとデータを共有する場合などの、他のプラットフォーム向けのポリシーを持っている。モバイルのためにも、こうしたポリシーを作成することが同様に重要だ。例えば、もし従業員が、会社の承認の下に広告入り無料アプリを使っているのなら、従業員に対して、有料バージョンへの切り替えを求めるポリシーを作成する。これによって、完全には排除できなくても、承認されていないデータが広告の形で従業員に送られることを最小化できる。とはいえこれは個人的なプライベートデータの執拗な収集を排除することはできない。

次に、従業員たちに対して、ダウンロードしたアプリの危険性について、組織として教育しなければならない。ユーザーたちがどのアプリをダウンロードすべきかを決定する際に、より良い判断ができるように、ツールとトレーニングで彼らを強化することが最大の関心事だ。例えば、許可を求めるアプリに対しては疑惑の目を向けるように、従業員を導こう。場所や、連絡先、そしてカメラへのアクセスを求めるアプリは沢山存在する。しかし従業員たちが、それらに盲目的に「はい」と言う必要はない。大部分のアプリはその許可を与えなくても正常に動作して、本当に必要となった場合に改めてユーザーへ許可を求めて来る。もしアプリが何故そのアクセスを必要としているかを言わないなら、それは大きな危険信号だ。

最後に、これらの領域の全てが、優れたモバイルセキュリティソリューションで対応することが可能だ。モバイル脅威保護ソリューションを採用しないあらゆる企業は、どのような情報がどこから漏洩しているのかを知ることができず、その環境に存在する危険に対処することができない。だから、従業員のプライバシーと企業のデータを、増え続けるモバイル監視とデータ収集の脅威から守るために、モバイル脅威への保護を全体セキュリティ戦略の一部に含めることが、企業にとって必須の条件となるのだ。

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(翻訳:Sako)

大統領がツイートで上場企業の名を言ったら株の売り買いのタイミングを教えてくれるTrump2Cashアプリ

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株の売買は今やアルゴリズムトレードの全盛期だから、人間の心と頭による戦略的な売買はますます難しくなっている。でも、今では、トランプのはちゃめちゃなツイートの中に、企業の名前が一度あるだけで、上げ下げが生じるのだから、人間であるあなたが、ポジティブな、あるいはネガティブなセンチメントの逆張りをしてちょいと稼ぐことも、容易になった!

そこで、Trump2Cashという思わせぶりな名前のアプリが、おもしろそうだ。このPythonで書かれているボットはトランプのツイートフィードをウォッチして、そこに出てくる上場企業の名前に対するセンチメントを分析する。トランプがトヨタにNO WAY(ありえない)と言ったって? 特定株を空売りしよう! Fordが700名の雇用をメキシコからアメリカへ移すって?(ほんとはそうではないが)。買いだ!買いだ!買い買い!

プログラマーのMax Braunがこのアプリを試行のために作り、今ではTwitter上で、売りや買いを勧めている。彼は曰く:

ベンチマークの結果を見てもらいたい。これはあくまでもテストランであり、彼のツイートとマーケットのデータでアルゴリズムがどう振る舞うかを調べている。ご覧のように、ときどき企業を間違えたりセンチメントの判断を誤っている。しかし、正しい場合の方がずっと多い。その売り買いの戦略はときどき、ユーザーを戸惑わせるだろう。

しかし全体としてアルゴリズムは、二回に一度以上は成功している。下図のシミュレーションによると、アプリの立ち上げ以来、年額換算のリターンは全体で約59%だ。シミュレーションと使用したデータには制約があるから、ある程度眉に唾をつけてご覧いただきたい。

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アプリはここでダウンロードできるし、動かすのは簡単だ。毎日じっと見ていれば、トランプの言葉に反応してアルゴリズムが売り買いを決める様子を、ご覧になれるだろう。Mike Tyson’s Punch OutでGlass Joeが敵の弱点を電報で知らせたときのように、新しく雇ったこの資産運用ロボットは、あなたのポートフォリオをデータに応じてリッチにしてくれるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アプリでママ友探しーPeanutが考える新しい母親同士の交流のかたち

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親になるというのは、ときに孤独なプロセスだ。ハッピーアワーよりも子どもの遊びの約束を優先しなければならず、スケジュールや物事の優先順位が違う友だちと過ごす時間が減ってしまうこともある。新たにローンチされたPeanutというiOSアプリは、そんな新米ママをサポートしようとしている。このアプリを使えば、近くに住む趣味趣向が似たママ友を見つけることができるのだ。

これは、母親のためのTinderといっても間違いではないだろう。

Peanutの共同ファウンダーであるMichelle Kennedyがこれまでデーティングサービスに関わっていたことを考えると、Tinderとの比較はむしろふさわしいものだと言える。

Kennedyはオンラインデーティング企業のBadooに、法務顧問(後にCEO代理)として6年間勤務していた。さらに彼女は、Badooを大株主に持つデーティングアプリBumbleの開発にも携わっており、BumbleファウンダーのWhitney Wolfeのアドバイザー、そして取締役を務めていた。

もう一人の共同ファウンダー(兼Peanutの生みの親)であるGreg Orlowskiも、Deliverooの共同ファウンダー兼CTOとしての経験から、スタートアップ界をよく知る人物だ。彼は昨年Deliverooを去り、現在はシカゴで働いている。一方Kennedyはロンドン在住で、Peanutにはニューヨークで働くスタッフもいる。

友だち探しのためのアプリ

アプリを使った友だち探しというのは、現在大手デーティングアプリが進出しようとしている分野で、BumbleにはBFF、TinderにはSocialと呼ばれる機能が備わっている。

Peanutも一般的なデーティングアプリのように、友だち候補を見つけるのにスワイプメカニズムを採用しており、友だちになりたいと思う人は上に、その人のプロフィールをスキップしたければ下にスワイプするだけでいい。しかし、Tinderのように見た目だけで判断するのではなく、Peanutは共通点を持った友だち探しにフォーカスしている。そのためユーザーは、相手が話せる言語やフルタイムで仕事をしているか、アウトドアタイプかといったポイントを確認しながらスワイプしていく。

さらに子どもの年齢も表示されるので、子どもの遊び相手を見つけるのにもぴったりだ。

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各ユーザーの特徴は、登録時に選ぶシンプルなステッカー上に、「mom boss(活発なママ)」「firness friend(フィットネス好き)」「fashion killa(ファッション大好き)」といった短い言葉で表現されているので、自己紹介文を読み込まなくてすむ。ステッカーはプロフィール設定から追加・削除することも可能だ。

一見すると、この共通点にもとづいた友だち探しというのは、上手く機能するように思える。もしも、ハイキングやダンスより、ショッピングやリラックスするのが好きな人であれば、自分と趣味が似通った人と友だちになりたいと思うだろう。さらに、もしもフルタイムで働いていて、いつも忙しい人であれば、お手製のベビーフードを作るような専業主婦とは上手く仲良くなれないかもしれない。

しかし逆を言えば、この共通点にもとづいた友だち探しの結果、ある一定の社会経済的な輪にユーザーを閉じ込めてしまい、彼女たちの友人関係が多様性に欠けてしまう恐れもある。特に今の時代、人との違いを理解するというのは重要なことだ。現在の政治の様子を見ても、私たちがこれを上手くできているとは言えない。

考え方の違う人と友だちになるのは難しいことだが、新しいことを学ぶチャンスでもある。しかしKennedyは、むしろ自分と似た人と友だちになる方が重要だと考えているようだ。

michelle-kennedy-headshot「政情を見ていると、私は考え方の似た、同じ価値観を共有できるような女性同士を結びつけることが、これまで以上に重要になってきていると感じています」と彼女は話す。「そして、Peanutでその手助けができればいいなと思っているんです」

数年前に息子が誕生したKennedyは、母親になった女性の友だちづくりの難しさをよく理解している。

多くのママコミュニティが、少し「古風な」形をとって、アプリよりもウェブサイトやオンライン掲示板を利用しているということに彼女は気付いた。最近母親のユーザーが増えているFacebookグループでさえ、現代版オンライン掲示板のようなもので、友だちを作る場には適していない。

イギリスのMushやサンフランシスコのWinnieなど、Peanutに近いサービスを提供している企業も存在する。しかしMushは依然アメリカへは進出しておらず、Winnieはどちらかというと、母親向けYelpのようなサービスを提供している。つまり、まだまだPeanutのようなサービスには、市場開拓の余地が残されているのだ。

スッキリとした現代的なデザインのPeanutアプリは、とても使いやすく、登録、スワイプ、ママ友との約束設定まで、全て片手で行うことができる。

目的の見えないチャットが続きがちなデーティングアプリとは違い、Peanutのゴールは母親同士を実際に会わせることにある。そのため、ユーザーが誰かとマッチしたら、マッチスクリーンからそのままチャットを開始できるようにつくられている。

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さらにPeanutにはグループチャットも備わっており、みんなでやりたいことを相談したり、投票機能を使って会う日を決めたりすることもできる。日程が決まったら、投票を開催したユーザーは画面をタップするだけでインビテーションを作成でき、他のユーザーは自分のカレンダーに約束を追加できる。

既に公開中のPeanutだが、同社の課題はどのくらいユーザー数を伸ばせるかということだろう。大都市でない限りは、主に口コミに頼ってアプリを広めていくしかないし、新しいアプリをインストールしたくないという不満の声も忙しい人からよく聞く。ここがPeanutの頑張りどころだ。

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一方で、NEAやFelix Capital、Partech、エンジェル投資家らが参加したシードラウンドで、予想よりも多額の資金(まだ調達額は開示されていない)を調達できた同社の手元には、まだまだ資金が残っているのも事実で、まだ時間は残されている。

Peanutは今日からiOS向けに公開されており、無料でダウンロードできる。現状ベータ版だが、来週水曜日にはバージョン1.0の公開が予定されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebook Lite、2億ユーザーを突破。低帯域幅世界で急成長中

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Facebookの機能を絞ってスピーディーにしたLite版アプリが急成長中で、対応する国も増えて多くの人々をつなぐことが可能になった。低帯域幅の世界でも同社のビジネスは順調で、今年は売上を52%伸ばした。

facebook-lite2015年6月に公開されたFacebook Liteは、2016年3月には月間ユーザー数が1億人へと急増し、このたび2倍の2億人に達したとMark Zuckerbergは書いている。しかもこれは限られた国々だけでの数字であり、今日からイスラエル、イタリア、アラブ首長国連邦、および韓国でも利用できるようになった。

またCOOのSheryl Sandbergによると、企業はFacebookペーシをLiteアプリでも管理できるようになった。

Facebook Liteは、ソーシャルの巨人が世界の他の国々でビジネスの拡大に成功している理由の一つだ。1ユーザー当たりの平均売上は昨年の1.10ドルから28%増えて1.41ドルになった。この四半期の同地域の売上は52%増の8.39億ドルだった。電波の弱いところでもFacebookに登録し、楽しく時間を過せるようにすることで、Facebookは他のアプリにはできなかった場所で稼ぎ始めている。

例えばSnapchatの帯域を食うビデオファーストのアプリが世界の他の国々地域で稼いだのは年間わずか7800万ドルで、1日当たりユーザーは3900万人だった。しかもFacebookと異なりSnapの世界の他の国々はアジア太平洋を含んでいる。

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しかしFacebookは、途上国のネットワークインフラが帯域を広げるのを待つのではなく、自社アプリを軽量化してLiteバージョンを作る道を選んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HuluのVRアプリがアップデート、友人と映画を楽しめるソーシャル機能を追加

コンシューマーが利用できるVRはまだそれほど発展していない。HuluはVR熱を絶やさないためにも今回 VRアプリのアップデートを行った。ユーザーは簡単に仮想空間上で友人とコンテンツを楽しむことができるようになる。

本日HuluはGear VRとRift向けのアプリをアップデートし、最新のOculusのソーシャル機能に対応した。Gear VRのユーザーは、Oculus AvatarとRooms機能を利用できるようになる。誰でも無料でHuluの360度動画コンテンツを友人と楽しむことができ、有料サブスクライバーは仮想空間の大きな画面で2Dコンテンツを視聴できる。

一方Riftのアプリでは、Oculus Touchのコントローラーにも対応した。ユーザーはコマーシャルが流れている間、仮装空間内でコントローラーを動かして時間を潰せるだろう。

SonyとGoogleはまだ仮装空間上で集まれるソーシャル機能などを発表していないので、HuluのPSVRとDaydream向けアプリにはこのような新機機能はない。こちらでは、もうしばらく1人ぼっちでコンテンツを楽しむしかなさそうだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Sympleは「B2B版のVenmo」を目指す

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VenmoやSquare Cash、そしてSnapcashなどのサービスが存在するいま、友人への送金が難しすぎるなんてことは言えなくなった。

しかし、かつてそれは面倒な作業だった。ひと昔前のデファクトスタンダードは紙の小切手だったのだ ― それは複雑な作業で、時間がかかり、即時送金なんて夢の話だった。小切手を書いてからその資金が相手に到着するまでに1ヶ月かかるなんてこともあった。小切手を書いたことすら忘れてしまった頃、引き落としにビックリしてしまうなんてこともあった。

しかし驚くべきことに、アメリカの多くの小規模ビジネスは今でも他社への送金手段として紙の小切手を使っているのだという。例えば、アメリカの典型的なレストランでは、複数のベンダーへの送金のために、1ヶ月に100枚以上の小切手を切ることもある ― そして、そのベンダーが銀行に持ち込む小切手の枚数を想像してみてほしい!

そこでSympleの出番だ。2017年冬のY Combinatorバッチにも参加した同社は、彼ら自身のことを「ビジネス向けのVenmo」と呼ぶ ― 確かにその通りのサービスだ。

使い方は以下の通り:

小規模ビジネスは受け取ったインボイスの写真を撮って、それをSympleに送信する(Eメールでインボイスが送られてきた場合、そのメールをSympleに転送すればいい)。Sympleはそのインボイスに表記されている金額や締め切り日をパースする ― そして、支払い担当者にそれを通知するという仕組みだ。

その後、支払い担当者はSympleを利用してワンクリックでベンダーの銀行口座に振り込みをすることが可能だ。

もちろん、ベンダーがSympleの会員となって口座情報を登録しておくことは必要だ。しかし、Symple共同創業者のSteve Abrahamによれば、ベンダーたちはこの会員登録の作業を受け入れる傾向にあるという。なぜなら、それによって長期的には売掛金を回収するスピードが上がることになるし、資金回収の安心感も増すからだ。

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Sympleには基本的な分析ツールも備わっている。同社が提供するダッシュボードでは、支払いのトラッキング機能、支払期限の通知機能などが利用できる。また、自分たちのビジネスがどこにお金を費やしているのかを確認することも可能だ。

現在、Sympleの主なターゲットはレストランやバーなどの外食ビジネスだという。外食ビジネスは週ごとに送るインボイスの数が多いからだ。しかしSympleは他の産業にもビジネスを拡大していく予定で、最終的にはすべての産業に利用されるプラットフォームを目指すという。

今のところSympleは無料で利用することができる。しかし同社は今後、プレミアム会員の導入も予定しているようだ。プレミアム会員では、QuickBooksなどの会計サービスとの統合機能など、より高機能なサービスを提供していく。プレミアム会員の料金は最大で月額150ドルで、ユーザー数や処理するインボイスの数によって料金が変動する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

楽天傘下のViberが写真とビデオの消滅機能を追加

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メッセージングアプリは、多くのユーザーデータを蓄積していく。プライベートな写真やビデオから誰と一番多く話したか、どこにいたか、どんなネット金融サービスを使っているか等、様々な情報が残される。ここ数年にかけて、多くのメッセージングアプリが端末間暗号化を導入し、プライバシーを求めるユーザーに対して、友達を驚かせたいユーザーと同程度には配慮するようになった。

今日(米国時間2/5)、暗号化チャットアプリとして人気の高いViber(Rakuten Inc.傘下)は、”secret message” という新機能を公開し、ユーザーが自分たちの会話をこれまで以上に制御できるようにした。ユーザーは写真やビデオをチャット履歴に残すかどうかを「送信」ボタンを押す前に設定できる。これまでにもViberは、会話の記録を自分と相手の端末両方から削除する機能を提供している。

新たに追加されたsecret message 機能では、シェアしたいけれどもアーカイブには残したくない画像にタイマーを設定することができる。Snapchatと似たやり方だ。受信者が写真を見られる時間は1、3、7、10秒の中から選ぶ。この時間が過ぎると、受信者履歴には何かがシェアされた記録は残るが写真は見られなくなる。

ビデオは受信者が1回だけ見たらアーカイブから消えるように設定できる。secret messagesは1対1チャット、グループチャットのどちらでも有効で、iOSおよびAndroid端末で使用できる。

先月Viberは、登録ユーザー8億人、月間アクティブユーザー2.6億人を突破したと報じられた。暗号化チャットプラットフォームには、エドワード・スノーデン推奨のSignalをはじめ、WhatsApp、Line、Kakao Talk等ライバルがひしめいている。

Viberのsecret messagesは、便利な機能ではあるが画期的というわけではない。例えばLineとKakao Talkも同様の機能を提供している。LineのタイマーはViberの静止画像の機能によく似ている。Kakao Talkは読み終ったメッセージを削除できる。そしてもちろん、刹那的メッセージングを主流にしたのはSnapchatだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhoneのGoogle Chromeに、QRコードスキャナーとバーコードスキャナーがビルトイン

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iPhoneから削除できるアプリがまた1つ増えた。今はたまに使われるだけのQRコードならびにバーコードスキャナーだ。米国時間2日に行われたアップデートで、Google Chromeにそれらの機能が備わったからだ。このビルトインスキャン機能は、アプリのアイコンを3Dタッチして呼び出すか、そうでなければスポットライト検索で「QR」を指定することで見つけることができる。

これらのショートカットには、単に「Scan QR Code(QRコードをスキャンします)」というラベルがついているだけだが、実際には従来の製品バーコードをスキャンすることもできる。そうすれば対象のアイテムのGoogle検索結果が表示されて、価格やレビューなどをチェックすることが可能だ。

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噂にかかわらず、QRコードは完全に死滅したという訳ではない。それどころか、Snapchat 、Kik、およびMessangerといった人気のアプリケーションや、食品ラベルが採用することで、復活を遂げつつある。Amazonさえ、そのプライベートブランドであるベビー用品のElements brandなどに、QRコードを採用している。

とはいえ、それはまだバーコードスキャンアプリを、携帯の中に入れ続けておきたくなるほど頻繁なものではない。

QRコードの普及が限られているため、スマートフォンメーカーたちは、カメラか検索ユーティリティの簡単なアドオンとして実現できる筈のQRコードスキャン機能を、OSへ本格的に統合することに対して躊躇っている。例えばiPhoneのQRコードリーダーは、クーポンや、搭乗券、あるいは入場券などのようなものをスキャンするために、Walletアプリの内側に取り込まれてしまった。それらがQRコードの主要な利用目的として想定されているせいだが、実際には、それらはQRコードの利用方法のサブセットでしかない。

Chromeにスキャン機能をバンドルすることで、他のアプリを使わなくても、より機能的なバーコードスキャナーを手にすることができる。iPhone用アップデートは、既に利用可能だ。

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(翻訳:Sako)

友人や家族にリアルタイムな現在地をシェア ― WhatsAppがロケーション・シェアリング機能をテスト中

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Facebookの本家アプリからはロケーション・シェアリング機能がなくなるかもしれないが、Facebookが所有するWhatsAppにはそれと同じような機能が加わるようだ。その新機能はWhatsAppのベータ版で発見された。この機能は、アプリに友達として登録されている人たちとリアルタイムにロケーションを共有できる機能だ。

新機能は今週、Fortune@WABetaInfo(Twitterアカウント)によって発見された。

この新機能はベータ版の中で「Live Location Tracking」と呼ばれており、現在のところAndroid(Ver. 1.16.399)とiOS版(ver. 2.17.3.28)のアプリで提供されている。現状、ユーザー自身が指定した時間分だけLive Location Trackingを有効化する仕様になっている。時間指定のオプションとして、1、2、5分間が用意されている。その時間のあいだ、指定された相手はこの機能を利用するユーザーの現在地をリアルタイムでトラッキングできるようになっている。

「Enabled Indefinitely(無期限に有効)」というオプションも利用可能だ。

混雑する場所で複数の友人と待ち合わせをする場合は、このオプションを利用してもいいだろう。もしくは、家族でこの機能を有効にしておいて、有料で提供されている家族向けのロケーション追跡サービスの代わりに利用してもいいだろう。

このローケーション・シェアリング機能は、ユーザーのプライバシーを保護しながら利用できるようにデザインされている。当然のことながら、デフォルトではこの機能は無効化されており、ユーザーは現在地をシェアする時間をみずから指定することができる。

iMessageにも「Share My Location」という名前のロケーション・シェアリング機能が用意されている。しかし、指定できる時間のオプションはわずかに異なっており、1時間、1日間、無期限が選択できる。

ベータ版の機能が必ずしも正式に採用されるとは限らない。しかし、WhatsAppがロケーション・シェアリング機能を複数のプラットフォーム上でテスト中だという事実は、同社がこの機能の正式採用に動いていることを表しているだろう。

先日、WhatsAppに「バックドア」が見つかったとのニュースが伝えられるという騒動があったが、それによって同アプリへのプライバシーに対する懸念が高まっていた。その状況のなかでWhatsAppが同機能のテストに踏み切ったことは注目に値する。しかし、このニュースは誤報だった。同社は、ある安全性に関する決断、しかし最悪の場合アプリの脆弱性につながるトーレドオフをする決断をした。WhatsAppは政府にバックドアを提供しなかったのだ。また同社は、バックドアを求める政府とこれからも闘っていくという声明も出している。

しかしこの種の話で問題なのは、たとえその話が真実でなくとも、いったん噂が出回ってしまうと企業はプライバシーに関わる機能を追加しにくくなってしまうという点だ。なぜなら、ユーザーは噂が出回った時点でWhatsAppのプライバシー保全性に疑いの目を向けてしまうからである。

また、この新機能の追加は、Facebookが「Nearby Friends」を通して提供していたロケーション・シェアリング機能を廃止したタイミングと重なっている。Nearby Friendsとは、自分の現在地を一時的に、または恒久的にマップ上に表示できる機能だった。しかし現在では、同機能は友人がいる場所と自分がいる場所のあいだのおおよその距離を表示するだけにとどまっている。

この機能がFacebookに導入された当時、このSNSはどこか「気持ち悪い」ものになってしまった。無期限のシェア機能を無効化するのを忘れていた場合はなおさらだ。だからこそ、詳細な現在地を表示するこの機能が、Facebook傘下のWhatsAppに追加されたのは奇妙な話ではある。おそらく、巨大でオープンなFacebookと比べてクローズドなWhatsAppでは、プライバシーが保護されやすいだろうということだろうか?

ロケーション・シェアリング機能はWhatsAppがテスト中の新機能の1つにすぎない。この他にも、未読のメッセージを編集したり削除したりする機能、ユーザーのステータスにコメントをする機能、そしてスマートフォンを「シェイク」することでWhatsAppのサポートチームにアプリの不具合を知らせる機能などがテストされている最中だ。

「将来的なプロダクトに関するコメントは控えさせていただきます」という言葉を除いて、WhatsAppから新機能についてのコメントを得ることはできなかった。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter