Google Cloudが機械学習の工程パイプラインを作るツールを提供

Google Cloudは米国時間3月11日、Cloud AI Platform Pipelinesのベータローンチを発表した。このエンタープライズ向けのサービスによりデベロッパーは、単一のツールで機械学習のパイプラインをデプロイできるようになり、そこにはモニタリングや監査のツールも備わっている。

Googleは 「機械学習のモデルをノートブックでプロトタイピングするとき、それはかなり単純明快に思える。しかし機械学習のワークフローを持続可能でスケーラブルにするための、そのほかの部分にも配慮するようになると、急に難解になってくる」と説明する。そうやってワークフローが複雑になると、反復できて監査も可能なプロセスの構築が一層困難になる。

そこで、このPipelinesが登場する。Pipelinesはデベロッパーに反復可能なプロセスを構築する能力を与える。Googleによると、このサービスには、ワークフローをデプロイして動かすためのインフラストラクチャ、パイプラインを構築してデバッグするためのツールの2つの部分がある。

このサービスは、Kubernetes Engineのクラスターとストレージのセットアップや、マニュアルによるKubeflow Pipelineの構成などのプロセスを自動化する。それはまたTensorFlow Extendedを使ってTensorFlowベースのワークフローを構築し、Argoワークフローエンジンを使ってパイプラインを動かす。これはインフラストラクチャサービスであると同時に、パイプラインの構築やバージョニング、アーチファクト(人工物混入)トラッキングなどができるビジュアルツールでもある。

「これだけの機能をわずか数クリックで始動できる」とGoogleは約束しているが、パイプラインの実際の構成はもちろん簡単ではない。Google Cloud自身にも複雑性(見方によっては柔軟性)があるし、しかもKubeflow Pipelines SDKとTensorFlow Extended SDKの両方を使いこなしてパイプラインのオーサリングをしなければならない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

企業間のデータ共有を図るBackboneAIが約5億円を調達

米国時間3月10日、アーリーステージのスタートアップのBackboneAIが470万ドル(約5億円)のシード資金を調達したと発表した。同社は、大量のデータ、特にさまざまな外部ソースから取得するデータを扱う企業の支援を目指している。

このラウンドを主導したのはFika Venturesで、ほかにBoldstart Ventures、Dynamo Ventures、GGV Capital、MetaProp、Spider VCと、匿名の複数の投資家も参加した。

BackboneAIの創業者のRob Bailey(ロブ・ベイリー)氏は、これまでのキャリアにおいていくつかの組織でデータのフローをたくさん見てきたという。組織間のデータの移動には課題がまだまだたくさんあり、BackboneAIはそれを解決しようとしている。同氏は「BackboneAIは、社内、そして企業間のデータのフローを自動化するためのAIプラットフォームだ」と述べた。

大規模で複雑なデータカタログを最新の状態に維持することから、建築資材企業間の入り組んだフローを調整すること、あるいはエンターテインメント業界のコンテンツの権利管理まで、利用場面は多岐にわたると考えられる。

ベイリー氏は、1年半にわたってさまざまな企業と話をしてから、プロダクトを構築したという。「我々が話をした企業はいずれも、あらゆるアプリから、そして連携している外部の企業からもたらされるおびただしい量のデータについて、何かしら懸念していた」(ベイリー氏)。

BackboneAIのプラットフォームは、こうした多くの問題の解決を目指している。まずは、納入業者、顧客、監督機関といった他者からのデータの取得を自動化する。その後、データを取り込み、最後に外部ソースからのデータを自社のERPシステムにマッピングするといった多くの処理を実行する。

ベイリー氏は、数十の部門で100万種類もの品目を扱う工業用品会社を例に挙げる。手動でも古いシステムでも、追跡管理は難しい。同氏は次のように説明する。「この会社では外部の納入業者から製品のデータを取得し、その情報を自社の製品カタログで処理し、最終的に製品データを膨大な数の顧客に提示する。このデータ処理はきわめて大規模で困難だ。とてつもない数の品目と注文を処理し、常にデータを最新の状態にしておかなくてはならないからだ」。

BackboneAIはまだスタートしたばかりだ。2019年はBoldstart Venturesの内部で準備をしていた。現在はニューヨーク市に20人近くの社員がいて、Fortune 500に入っている企業の1社と初めて契約した。さらにあと15社のFortune 500企業との交渉が進行中だとベイリー氏は語る。シード資金で、この最初の取り組みを成功させたい考えだ。

画像:Yuichiro Chino / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

インスタ投稿からユーザー属性を分析するAIQが11億円を資金調達

InstagramなどのSNS投稿を分析するプロファイリングAIを開発し、サービスを提供するAIQ(アイキュー)は3月9日、シリーズBラウンドで総額約11億円の資金調達を実施したことを明らかにした。2019年7月に発表した総額約2億円の資金調達に続くもので、創業からの累計調達額は約13億円となる。

インスタ投稿からユーザー属性が見えるプロファイリングAI

AIQが開発するプロファイリングAIは、画像解析エンジンとSNSに特化した自然言語処理エンジンを組み合わせることで、SNSに投稿された写真や動画、テキストなどの情報から、投稿者の性別・年代・地域・趣味嗜好などの属性を、高い精度で分析できるというものだ。

このプロファイリングAIを活用し、AIQでは以前の記事でも紹介したInstagramアカウント運用ツール「AILINK(アイリンク)」のほか、2019年8月にはInstagramへの投稿ごとに効果測定ができ、ハッシュタグ提案などの機能も持つ「AISIGHT(アイサイト)」をローンチしている。

AILINKの上位プロダクトとも言えるAISIGHTは、Instagram版のプロファイル分析サービスで、ハッシュタグレコメンドと流入効果の可視化が主な機能だ。時系列のフォロワー増減がひと目で分かるほか、男女比や属性などを分析した上でのアカウント運用・育成が可能となっている。

特にAIQが注力するのが、2019年12月に追加されたハッシュタグレコメンド機能。この機能では、従来のInstagramアカウントでは捉えづらいユーザーの年代や属性を、AIが投稿などの行動から推論。フォロワーの動向に合わせてハッシュタグ傾向をレポートし、投稿ごとにおすすめのハッシュタグを提案してくれる。

「投稿したいハッシュタグから共起ワードをリストアップするだけなら、他社サービスにも同様の機能はあるが、アカウント特性から関連性を見てレコメンドをする点が、AISIGHTの特徴」とAIQは説明する。

操作は、投稿したいハッシュタグをAISIGHTの画面に入力するだけ。入力してしばらく待っていると、Instagramでハッシュタグ検索をした際の「人気投稿」9枚に掲載される確率、掲載時間、インプレッション数をリアルタイムで予測し、アカウントの特性に合った関連ハッシュタグが、ランキング形式で提案される。この際、アカウント特性に沿わず、掲載確率を下げるようなワードには警告も表示される。

AISIGHTは投稿ごとの効果測定、分析も行う。フォロワーだけでなく、フォロー外ユーザーのエンゲージメントも可視化されるので、新規ユーザー獲得時の投稿と、既存ユーザーを満足させる投稿を使い分ける、といった利用も可能だ。

またAIQでは2019年9月、Instagram/Twitter上のUGC(User Generated Contents)分析に、投稿者の属性情報を掛け合わせて可視化するマーケティングサービス「SOCIAL PROFILING(ソーシャルプロファイリング)」の提供も開始している。

コンサルティング領域のサービスとして提供されているSOCIAL PROFILINGは、画像×自然言語分析により、UGCのハッシュタグやテキスト情報だけでなく、「期間限定商品のパッケージ写真が、ユーザーにどう取り上げられているかを見る」といったコンテンツ抽出が可能となっている。

さらに、プロファイリングAIを活用することで、「ライフステージが色濃く出るUGC分析が可能」とAIQでは述べている。例えば20代女性をターゲットにしたある製品では、UGC分析により「小さな子どもを持つお母さん」がユーザーに多く見られたことから、プロモーション手法を変えたケースもあるという。

また「インターネットでのアンケート調査だけでは毎年結果に変化がなく、気付きが得られない」としてSOCIAL PROFILINGを利用した、ある宝飾品ブランドの例では、UGC抽出・分析により「プロポーズ用途には、指輪ではなくネックレスが買い求められている」というリアルな状況が分かったという。「婚約指輪はプロポーズにOKがもらえて、サイズが分かってから2人で一緒に買いに行くもの」という実情が分かり、このブランドでは分析結果を店頭での接客などに生かすことにしたそうだ。

SOCIAL PROFILINGにより抽出されたUGCは、コンテンツデータそのものが提供されるパターンのほか、プロファイリングデータやレポーティングまで実施して提出されるパターンも選択できる。ポイント制度を運営する企業など、データを保有する企業と連携して、分析実施などを進める予定もあるという。

博報堂G傘下のスパイスボックスと資本業務提携 、新規事業開発も

今回の資金調達では、博報堂グループ傘下のスパイスボックスをリード投資家として、SMBCベンチャーキャピタル、and factory、みずほキャピタル、北海道ベンチャーキャピタル、東京大学松尾豊研究室発のVCであるDeep30と、個人投資家らなどが引受先に加わっている。また商工組合中央金庫とコミットメント型タームローンによる金銭消費貸借契約を締結し、事業規模の拡大に応じて資金供給を受ける。

スパイスボックスはもともと、代理店としてAIQのプロダクトを取り扱っており、事業の親和性が高いことから、今回、資本業務提携を行うことになったという。AIQが持つAI技術、データ資産と博報堂グループ傘下のスパイスボックスが有するノウハウを融合し、新規プロダクトを共同で開発していく。

またDeep30の資本参加により、今後AIQでは、松尾豊教授からAI分野で助言を得て、技術レベルの向上、新規事業・プロダクト開発に生かしたい考えだ。

調達資金についてAIQでは、既存プロダクト強化のための人材への投資、採用強化と、スパイスボックスとの協業も含めた新規事業開発に投資していくとしている。

イスラエルのAIチップメーカーHailoがNECなどから約64億円調達

イスラエルのAIチップメーカーであるHailo(ハイロ)は3月5日、既存投資家がリードするシリーズBラウンドで6000万ドル(約64億円)を調達したと発表した。本ラウンドには新規の戦略投資家としてスイスを拠点とする多国籍企業ABBのベンチャー部門であるABB Technology Venturesや、日本電気(NEC)、英国ロンドンのLatitude Venturesも参加した。調達した資金はHailo-8ディープラーニングチップの展開と新たなマーケットや産業の開拓に使われる見込みだ。

「既存の投資家ならびに新たな戦略投資家から寄せられた多大な信頼は、弊社の画期的なイノベーションとマーケットに秘められた可能性を示している」とCEOで共同創業者のOrr Danon(オア・ダノン)氏は話した。そして「調達した資金で、モビリティ、スマートシティ、産業オートメーション、スマート小売などの分野を含む世界中のスマートデバイスや知能産業において新たなレベルのエッジコンピューティング能力の展開を促進できる」と続ける。

筆者が最後にHailoのチームに会ったのは1月のCESだ。そのとき、同社はかなりの回数の素晴らしいデモを披露していた。その多くはリアルタイム画像認識のものだ。Hailoチップで素晴らしいのは、画期的なアーキテクチャ。ユーザーのカスタムニュートラルネットワークをベストな状態にするためにリソースに自動的に対応することができる。この能力ゆえに、Hailoチップは単に速いだけでなく、かなり省エネだ。同社はこのチップのパフォーマンスとして1秒あたり26兆オペレーションを約束し、「小ささ、高パフォーマンス、低エネルギー消費でもって他のエッジプロセッサーをしのぐ」と話す。

今回の投資ラウンドで、Hailoの累計調達額は8800万ドル(約93億円)となった。投資家がHailoに向けている熱い眼差しは、部分的には他のイスラエルのチップスタートアップの成功からきている。Mobileye(モービルアイ)はIntel(インテル)に153億ドル(約1兆6000億円)で買収され、Intelはつい最近Habana Labs(ハバナ・ラボ)も買収した。もちろん、AI/MLテクノロジーが急速に必須のものになりつつあるなかで、先端のディープラーニングチップにとって機は熟している。

「急速に台頭しているAIプロセッサーの市場でHailoは際立ったプレイヤーになる準備ができている」とLatitude VenturesのパートナーであるJulian Rowe(ジュリアン・ロウ)氏は話した。「彼らのディープラーニングエッジチップは多くの部門とってディスラプティブなものとなり得る。一方でHailoのチップが切り開く革新的なユースケースは出始めたばかりだ。今後の展開を考えたとき、チームに加わるのが楽しみだ」

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(翻訳:Mizoguchi

Nvidiaが高速コンピューティングのためのデータストレージと管理プラットホーム開発のSwiftStackを買収

Nvidiaは米国時間3月5日、SwiftStackを買収したことを発表した。同社はソフトウェアを中心にデータを保存し管理するプラットホームで、パブリッククラウドとオンプレミス、そしてエッジへのデプロイをサポートしている。

その最新のバージョンはAIとハイパフォーマンスコンピューティングおよびGPUなどによる) 高速コンピューティングのワークロードをサポートしており、Nvidiaの関心はもっぱらそこにあると思われる。

SwiftStackの共同創業者でCPOのJoe Arnold(ジョー・アーノルド)氏は、本日の発表声明で「SwiftStackのチームはAIコンピューティングの構築に傾注してきた。Nvidiaの有能な人びとと共に仕事をすることは、そんな我々にとって最高に素晴らしいことだ。同社の世界最高の高速コンピューティングのソリューションに貢献できる日が、待ち遠しい」と述べている。

買収の価額は公表されていないが、SwiftStackはこれまでシリーズAとBのラウンドで約2360万ドル(約25億円)を調達している。それらのラウンドをリードしたのはMayfield FundとOpenView Venture Partners、ほかにStorm VenturesとUMC Capitalが参加した。

2011年設立のSwiftStackは、ごく初期のOpenStack企業でもある。その大規模なオープンソースプロジェクトは、企業のデータセンターにAWSのようなプラットホーム管理能力を与えた。SwiftStackはOpenStackの中でもとくにオブジェクトストレージSwiftの最大のコントリビューターで、そのさまざまな関連サービスを提供した。しかし近年ではOpenStackの人気の衰えと共に、その関係も薄れていた。

現在のSwiftStackは、PayPalやRogers、データセンターのプロバイダーDC Blox、Snapfish、TechCrunchの親会社Verizonなどが主な顧客だ。Nvidiaも顧客である。

SwiftStackによると、今後もSwiftやProxyFS、1space、およびControllerのような既存のオープンソースツールのメンテナンスは継続する。

アーノルド氏は「SwiftStackの技術はすでにNvidiaのGPUによるAIインフラストラクチャの重要な部分であり、買収によってさらにその関係が強まるだろう」と説明した。

関連記事:OpenStackのストレージプラットホームSwiftによるオブジェクトストレージサービスSwiftStack1600万ドルを調達

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AndroidのGoogleアシスタントにページ全体の読み上げ、翻訳機能が加わる

数週間前にCESでGoogleは、Androidでウェブページ全体を読み上げられるようにする機能をデモしてみせた。指定した記事を全部を読み上げてくれるので読みたいが手がふさがっていてスクロールできないときやスマホの画面をずっと見ていたくないとき、運転中などに理想的だ。Androidデバイスに 「OK, Google, read this page」(このページを読んで)と命ずると、Googleアシスタントのニューラルネットワークが起動し、即座に読み上げてくれる。

ページまるごと読み上げ機能は米国時間3月4日、Androidの全ユーザーに公開された。

注目点

  • 読み上げているテキストが強調表示され、ページが自動スクロールされる。記事のどこを読み上げているのかがひと目で分かる。以前Googleはこういう機能を追加する可能性があると言っていたが一般公開の時期などは不明だった。さいわい準備が整ったようだ。
  • 読み上げ速度を調整できる。ポッドキャストを3倍速で聴きたいといったせっかちな人間には便利な機能だろう。
  • 翻訳機能もある。Googleアシスタントのデフォルト以外の言語を読み上げさせようとする場合、ユーザーが選択した40以上の言語に翻訳が可能。
  • ページの管理者はGoogleアシスタントが読み上げないよう設定できる。なんらかの理由でGoogleアシスタントに音声でページを読み上げられたくない場合(個人情報などが含まれていて、読み上げ機能が誤って起動されると困るような場合)、HTMLメタタグで無効化できる。これはページ単位で設定しておく必要がある。

Googleによれば近年公開されたAndroid(Android 5、Lollipop以降)が作動するほとんどのスマートフォンで利用可能だという。

【Japan編集部追記】速度調整は読み上げ画面の下部をタップする。0.5倍から3倍まで調整できる。現在の訳者の環境(Android 10)では「OK, Google, read this page」でTechCrunch Japanの記事を日本語で読み上げたが、日本語で「OK Google、このページを読んで」では読み上げは実行されなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ベンチャー支援のNew Labと新聞社のThe Boston GlobeがAIツールのスタートアップのローンチで協力

Applied XLabsは、ジャーナリスト、そしてゆくゆくはさまざまな業界のナレッジワーカー向けデータ収集自動化ツールを構築する、新しいスタートアップだ。

画像:New Lab

同社は、ニューヨークのブルックリンを拠点としてスタートアップを支援するNew Labから生まれ、The Boston Globe(ボストンで発行されている新聞)がローンチパートナーとなっている。Applied XLabsを率いるのは、ウォール・ストリート・ジャーナルのR&D部門やAP通信のAI戦略部門でトップを務めてきたFrancesco Marconi(フランチェスコ・マルコーニ)氏だ(写真上)。

マルコーニ氏は筆者に対し、上場企業の財務諸表などの書類にしても気候変動に関する学術研究にしても、ジャーナリストの役に立ちそうなデータは膨大にあると語った。しかしデータドリブンのジャーナリズムは業界ではまだまだ小さい存在だ。「データを扱うツールを作って分析するための内部リソースを持っている組織はごくわずか」だからだ。

Applied XLabsは、まずはThe Boston Globeのニュース編集部とともに、自動でデータを収集し発見を得るプロダクトを開発する計画だ。

The Boston Globeのプレジデントを務めるVinay Mehra(ビナイ・メーラ)氏は、Globeのジャーナリストがさまざまなコミュニティに対して提供する情報をAIを活用して向上させたいと述べた。

例としてメーラ氏は、The Boston Globeは地元の新聞がないために「ニュースの空白地帯」になっているロードアイランド州での報道を増やしていることを挙げた。どんな記事を読みたいかを地元のコミュニティに聞いたところ、レストランの開店や閉店など多くの要望が出てきた。ちなみに、ニュースのスタートアップのHoodlineも、このようなデータと自動化に取り組んでいる。Extra Crunchのマネージングエディター、Eric Eldon(エリック・エルドン)はHoodlineの共同創業者である。

しかし対象エリアを広くカバーするのは、小さい編集チームには難しい。メーラ氏は「このことにジャーナリストを投入し続けることはできない」と言う。そこで「データをマイニング」し、ジャーナリストが効果的に動けるようにしようというわけだ。

同時にメーラ氏は、ジャーナリストをAIで置き換えたり、AIによって編集部の人員削減を正当化したりしようとしているのではないと強調し、The Boston Globeは引き続きジャーナリストを雇用すると述べた。

メーラ氏は次のように語る。「我々は日々登場するテクノロジーを手をこまねいて見ていたり、無視したりするわけにはいかない。AIで何ができるかを再定義し、現在のジャーナリズムのあり方やコミュニティへの貢献について思考や視野を広げるチャンスだ」。

マルコーニ氏は、ゆくゆくはこうしたツールをさまざまな業界のナレッジワーカーに販売する可能性があることにも言及した。

「Salesforceでセールスのプロセスを管理するのと同じように、我々はナレッジワーカーのためのプラットフォームを構築している。なぜニュースから始めることに意味があるのか、なぜ我々がジャーナリストと組んだのか、その理由は要求がきわめて高いからだ。編集者にとって使いものになるプロダクトやシードを作ることができれば、ほかの業界にもすぐ展開できる」(マルコーニ氏)。

Applied XLabsは、New Labのベンチャースタジオプログラムから生まれた最初のスタートアップだ。2016年に筆者らが初めてNew Labを訪ねたとき、ここはロボティクスやAIなどに携わる企業のためのワークスペースだった。現在では「多様なステークホルダー」をとりまとめ、フロンティアテックの新しい企業を作るスタジオモデルが構築されている。

マルコーニ氏は「New Labは多額の投資をしており、資金に加えてバックオフィスのあらゆるサービスも提供している。私は、以前からある企業のような安定性と、新しいベンチャーの自由さ、柔軟さ、創造性を手にしている」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルがClearview AIのiPhoneアプリをルール違反でブロック

論争の渦中にある顔認識技術のスタートアップClearview AIが作ったiPhoneアプリをApple(アップル)がブロックし、そのアプリの利用を実質的に禁じた。

AppleはTechCrunchに、そのスタートアップがAppleのディベロッパーエンタープライズプログラムの規約に違反していたことを確認した。

そのアプリは同社(Clearview AI)が、法執行機関の職員だけに提供していると主張しているものだが、iPhoneのユーザーなら誰でも、iPhoneのカメラや画像から写真をアップロードして、同社の30億の写真を収めたデータベースを検索できる。しかしBuzzFeed Newsの記事によると、同社が法執行機関のユーザーだけに提供していると主張するそのアプリのユーザーには、、Macy’sやWalmart、Wells Fargoなど、多くの民間企業が含まれている。

Clearview AIは1月に、The New York Timesの記事で一般に知られるようになって以来、メディアと法廷の嵐に巻き込まれた。同社はソーシャルメディアのサイトから写真をかき集めていたので、大手テクノロジー企業の怒りを買った。そしてハッカーの注目されるようになり、米国時間2月26日に同社は、データ侵害により顧客リストを盗まれたと認めた。

Amazon S3の公開ページにそのiPhoneアプリがある(画像提供:TechCrunch)

TechCrunchは、Clearview AIのiPhoneアプリがAmazon S3の公開ストレージ上にあることを米国時間2月27日に発見した。ただしそのページには「一般人と共有してはならない」という警告があった。

さらにそのページには「このページはiPhoneで開いて」インストールし、同社のエンタープライズ証明を許可した上でアプリの実行を許されると書いてある。

しかしAppleのポリシーでは、アプリのユーザーがClearview AIという組織すなわちエンタープライズの外にいる場合、それは許されない。

Clearview AIはiPhone上でエンタープライズ証明を使っている(画像提供:TechCrunch)

Appleが発行するエンタープライズ証明は、企業が社内でのみ使うiPhoneやiPadアプリをAppleが認可した証明になる。たとえばアプリをアプリストアで公開する前に、社内でテスト的に使う場合によく使われる証明だ。Appleはエンタープライズ証明の使用について厳しい規則を定めており、一般ユーザーがそれを使うことはできない。今回のように一般ユーザーにも使わせれば、それは乱用であり誤用だ。

2019年、TechCrunchはその独占記事で、FacebookGoogleの両社が、消費者向けアプリに彼らのエンタープライズ証明を使って、Appleのアプリストアをバイパスしていることを報じた。Appleはこれらテクノロジー大手のエンタープライズ証明を取り消して、違反アプリを無効にした。そしてケータリングやランチメニューアプリなど、その証明に依存しているそのほかのアプリも無効にされた。

Clearview AIのアプリは、リリース前やテストバージョンでよく使われるように、「ベータ」のラベルが付いていた。しかしそんなラベルは、アプリをClearview AIの顧客が使っていないことの証拠にはならない。

Clearview AIのCEO Hoan Ton-That(ホアン・トンタート)氏はTechCrunchに対して「現在、利用規約のコンプライアンスに関してAppleと折衝中だ」と語った。

そのアプリは、ネットワークトラフィックツールと逆アセンブラでざっと分析してみると、米国時間2月27日にGizmodoが見つけたClearview AIのAndroidアプリの動作と同じようだ。

Androidアプリと同じく、使用するにはClearview AIが認めたユーザー名とパスワードが必要だ。

関連記事: 米移民局や検察局などが採用中の顔認識技術が一般企業にも売られていた

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米移民局や検察局などが採用中の顔認識技術が一般企業にも売られていた

激しい論争のさなかにある顔認識技術を、法執行機関にしか売らないと宣言した米国ニューヨークのClearview AIは、最近の報道によると顧客ベースにはっきりしない点がある。すなわちBuzzFeed Newsによると、この小さな謎の企業は、その技術を相当広範囲に買われているらしい。Clearviewが挙げる有料顧客は移民関税執行局(移民局)やニューヨーク南部地区検察局、リテール大手のMacy’s(メーシーズ)などだが、30日間の無料試用期間を利用してその技術をテストしている企業はもっと多い。Clearviewの顧客リストに載っている法執行機関でない企業や団体は、Walmart(ウォルマート)、オンラインチケットサービスのEventbrite(イベントブライト)、NBA(全米バスケットボール協会)、Coinbase、Equinoxなどとても多い。

その記事によると、Clearviewにユーザーとして登録していない企業や団体でも、社員や職員が個人的にテストしていることはありえる。BuzzFeed Newsの記事から引用すると「そういう企業や団体が、社員や職員の個人的利用を知らなかったり、あるいは顔認識技術を試していることを否定する場合もある」そうだ。

一例として、ニューヨーク市警察はClearviewとの関係を否定しているが、しかし署のログによると、実際には30人もの警察官が、そのソフトウェアで1万1000回も検索している。

1週間前にClearviewのCEOであるHoan Ton(ホアン・トン)氏は、Fox Business誌上の引用の中で、同社の技術は「法執行機関にしか提供していない」とコメントしている。でも同社の最近の顧客リストと彼のその言葉は矛盾しているようだ。

米国自由人権協会(ACLU)のスタッフで弁護士のNathan Freed Wessler(ネイサン・フリード・ウェスラー)氏によると、「そのリストが正確なものであるならば、それはプライバシーとセキュリティと市民的自由にとっての悪夢だ。政府機関が国民の顔を、いかがわしいデータベースで検索すべきではない。その何十億という写真は本人に無断で使われており乱用を防ぐ手段もない」という。

顔認識技術は、侵襲的なテクノロジーであるという評判以上に論者たちの主張では、重大な結果をもたらすような状況で使ってよいほど十分に正確ではない。特に顔認識技術は、非白人で非男性の顔を正確に同定できないとして悪名を買っている。それは、現実世界では甚大な被害をもたらすという顔認識技術に対する批判を裏打ちするような結果だ。

Clearviewのソフトウェアが使っているアルゴリズムについては、ほとんど何も知られていない。そしてその精度を知る手がかりは、インターネット上に公開されている大量の画像を使ったマッチングのデモのみだ。Clearviewがソーシャルネットワーク上の画像をそのために使っていることに対し、FacebookとYouTubeとTwitterは、利用規約に違反しているとしてそれぞれ停止命令書簡を送っている。

Clearviewの初期の投資家の小さなプールの中には、プライベート・エクイティ企業のKirenaga Partnersと、高名な投資家で、強い影響力のある保守派のPeter Thiel氏がいる。同氏はFacebookの取締役でPalantirの共同創業者だが、後者は法執行機関お気に入りのデータ分析企業だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

テスラも含め高度なAI開発は規制すべきとイーロン・マスク氏が提言

Tesla(テスラ)とSpaceXのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、人工知能の開発に対してまたしても警告を発した。これらの企業の経営トップであり創設者でもあるマスク氏は、2月17日の夕方、「高度なAIを開発しているすべての組織は規制されるべきだ。テスラも含め」とツイートした。

これは、2015年に、Sam Altman(サム・オルトマン)氏、Ilya Sutskever(イリヤ・サッツケバー)氏、Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏、Wojciech Zaremba(ウォジェック・ザレンバ)氏、John Schulman(ジョン・シュルマン)氏とともにマスク氏が設立した団体OpenAIに関するMIT Technology Reviewの新しい記事へのマスク氏の返答だ。当初、OpenAIは初期の投資家たちから調達した10億ドル(約1100億円)を元手に非営利団体としてスタートし、高度なAI開発を一部の狭量な利益を追求する人たち(営利目的のハイテク企業など)の手に渡してしまわないよう、社会的利益のためのオープンな研究を可能にすることを目指していた。

イーロン・マスク「OpenAIはもっとオープンになるべきだと思う」
イーロン・マスク「高度なAIを開発するすべての組織は規制されるべきだ。テスラも含め」

2015年に設立された当時、OpenAIの理念は「傍観者でいる」や「規制当局の監視強化を求める」といった考えに対抗するものとして合意されているとマスク氏は信じていた。2017年には、AI開発を管理するためには規制を導入すべきだが、ルールを提案する前に、業界を研究し見識を高めるための何らかの監視機関を組織する必要があるとの考えを示している

そうした年月の間に、いろいろな変化が起きた。OpenAIもそのひとつだ。2019年には非営利法人が所有する営利部門として公式に再編された。そして、Microsoftから10億ドル(約1100億円)の投資を受け、幅広い提携関係を結んだ。設立当初の原則と矛盾する動きだ。

MITの記事に対してマスク氏が今週発表したコメントでは、理想そしてより現実的な役割のために共同創設者として設立に協力したOpenAIから、彼自身がずいぶん離れてしまったと話している。さらにSpaceXの創設者でもある彼は、Microsoftとの提携が発表された際にOpenAIの使命に対して「根拠のある」懸念を「認めざるを得ない」と述べ、「OpenAIはもっとオープンになるべき」と主張した。またマスク氏は、「OpenAIにはまったく手が出せず、どうなっているかもごく限定的にしかわからない」と話し、AIの安全な開発が保証できるかという点に関して、OpenAIの研究ディレクターDario Amodei(ダリオ・アモデイ)氏への彼の「信頼」も「高くない」と言っている。

高度なAI開発を規制せよという全体的な主張の中にテスラも含めるというマスク氏の姿勢は大変な驚きに感じられるだろうが、それは人工知能開発全般に対する彼の立場と矛盾しない。マスク氏は、孤立した環境で高度なAIが生み出されることへの危険性を繰り返し警告してきた。それは「人類文明の存続を根底から脅かすリスク」と主張するまでに至っている。

また彼は、2月17日にフォロワーからの明言を求める質問に対して、高度なAIの開発は個々の国で規制すると同時に、国連などの国際的な管理機構でも規制すべきだという考えを明らかにした。AIの潜在的脅威に関しては、マスク氏の信念は時が経ってもまったく鈍っていない。おそらくそれが、彼の力となって、対等に活躍できる場を人類にもたらすというNeuralink(ニューラリンク)との共同研究を促進させることになるのだろう。

画像クレジット:Chris Carlson / AP

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(翻訳:金井哲夫)

アフリカのZindiは、同地の複雑な諸問題をAIと機械学習で解決する

アフリカでAIと機械学習を使ってクラウドソーシングで複雑な問題を解決するケープタウンのZindiにはデータサイエンティストが1万人登録している。

2018年に創業されたまだ若いスタートアップである同社を利用して、企業やNGO、政府機関などが、ネット上でデータ指向の課題のコンペを主催できる。

Zindiはコンペに参加するアフリカのデータサイエンティストに対して、同社サイト上でコンテンツをオープンにしている。彼らはソリューションを提出し、スコアボードを這い上がり、優勝すると賞金を獲得する。

Zindiの共同創業者Celina Lee(セリーナ・リー)氏によると、これまでの賞金の最高額は1万2000ドル(約130万円)だった。コンペの主催者には入賞作の所有権が生じ、それらを新製品開発や既存システムへの統合に利用できる。

データサイエンティストは同社のサイト上に無料でプロフィールを作れるが、コンペの出資者はZindiに料金を払う。これがZindiの収益源になる。すでにアフリカ以外の有名企業も関心を示し、これまでMicrosoft(マイクロソフト)やIBM、Liquid Telecomなどもコンペを主催した。

南アフリカ国立道路庁は2019年に、同国の交通事故死亡者を減らすという課題でコンペを行なった。その目的は「次にいつどこで交通事故が起きるかを正確に予測する機械学習のモデルを作り、関連政府機関の交通安全対策の効果を数量化してより確実な政策にすること」だった。

リー氏によると、現状の1万名というデータサイエンティストの登録者数は、2019年に比べて100%の増加、すなわち倍増しているという。同社は今シリーズAの資金調達を準備しており、今後は人材を増やして新しい企画にも取り組みたいという。例えば現在温めている大学を対象とするハックコンペ、UmojoHack Africaは10カ国を対象として3月に開催する。

リー氏は「社内にハッカソン専門のセクションを作りたい。企業や大学がサービスを利用して学生やチームのスキルアップを図れるようにしたい」という。

サンフランシスコ出身のリー氏は、南アフリカ人のMegan Yates(ミーガン・イェーツ)氏やガーナ人のEkow Duker(エコウ・デューカー)氏らとともにZindiを立ち上げた。チームのオフィスはケープタウンにある。リー氏によると、同社は彼女のこれまで体験したことの2つの側面を合体させたものだという。「私の学歴は数学やテクノロジーが主だけど、非営利団体やソフトウェア開発の仕事をした経験がある。いつも、この2つの世界を合体させたいと考えていた」と彼女は語っている。

Zindi

その願いがZindiで実現した。同社は完全な営利企業だが、スタートアップの競争のほぼ80%には、社会に何らかのインパクトをもたらす側面があるとリー氏は言う。「特にアフリカでは、営利企業のための問題解決でも、必ず社会的なインパクトがある」のだそうだ。

アフリカでは多くのVCがフィンテックとeコマースにフォーカスしているが、Zindiを支援するAndelaやGebeyaはかなりユニークで、データサイエンティストやソフトウェアエンジニアなどテクノロジー方面の人材をアフリカで育てようとしている。

Zindiに集まるデータサイエンティストが取り組む問題とソリューションに全アフリカ的な普遍性があるなら、同社の市場は一気に拡大するだろう。しかも南アフリカやナイジェリアやケニアなど、アフリカの経済大国では特に、スタートアップが提供するソリューションは多くのプロジェクトにおいて、高価なコンサルティング企業を利用するやり方の代替手段になる可能性がある。

関連記事: Africa-focused Andela cuts 400 staff as it confirms $50M in revenue…売上5000万ドルを稼いだAndelaが人材需要の高度化で400名をレイオフ(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

書評:映画『メッセージ』原作者テッド・チャンが問いかける自由意志の意味

今回のTechCrunchブッククラブは、テッド・チャンの『予期される未来』(What’s Expected of Us)を取り上げる

今回の非公式TechCrunchブッククラブ(ニュースサイクルのおかげで現在1週間のお休み中だ。すぐに追いつくことができるだろうか!?)は、とても短いストーリーである『予期される未来』(What’s Expected of Us)を取り上げる。これはテッド・チャンの短編集『息吹』(Exhalation)所収の3番目の作品だ。ブッククラブに遅れをとっていた1人だったとしても、焦る必要はない。たったの4ページしかないからだ。この記事を読み終わるより早く、その短編を読み終わることができるだろう。

そしてまだ読んでいないとしたら、ブッククラブの1つ前の記事もぜひ読んで欲しい、そこでは最初の(やや長めの)短編2つ(宿命を巡る美しい物語の『商人と錬金術師の門』、ならびに気候変動や人びとと社会のつながりなどについて語る重要で繊細な物語である『息吹』)について取り上げている。

本記事の後半では、より長いストーリー『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』(ヒューゴー賞、ローカス賞、星雲賞受賞)も取り上げる —— この記事では読み進める中で生じたいくつかの疑問を挙げている。

いくつかの簡単なメモ

  • 話に参加したい場合は、気軽に読者の感想をdanny+bookclub@techcrunch.com宛にメールを送って欲しい。あるいはRedditまたはTwitterのディスカッションに参加してもらうのもいい。
  • こちらにある非公式ブッククラブの記事をのぞいて欲しい。このページには、書評カテゴリ専用のRSSフィードも組み込まれている(投稿量はとても少ない)。
  • 本記事のコメントセクションへの投稿も歓迎だ。

『予期される未来』(What’s Expected of Us)

私たちはまだ作品集『息吹』(Exhalation)の3つの物語を取り上げたに過ぎないが、これらの異なる物語を繋ぐものが見え始めている、技術的決定論で徐々に満たされつつある人生における運命の意味以上に、重要なものはないというテーマだ。

チャンは、私たちの運命がすでに決まっていることを証明するような、新しい技術たちを前提に置いて書くことが大好きだ。 『商人と錬金術師の門』(The Merchant and the Alchemist’s Gate)では、そこを通るものが時間を前後に旅することができるテレポートゲートを登場させたが、一方で『予期される未来』の中では、ボタンが押された時点での1秒過去に向けて光信号を送る「予言機」というデバイスが登場する。これよって利用者はデバイスのLEDが明るく輝いたときには未来がもう決まっているという事実に向き合うことになる。

この2つのストーリーにはある種の対称性があるが、私にとって興味深いのは、それらの結論が互いにどのように異なっているかだ。 『商人と錬金術師の門』でチェンは、運命は決まっているかもしれないし、タイムマシンがもしあったとしても過去を変えて未来に影響を与えることはできないかもしれないが、本質的には旅そのものに意味があるのだと主張している。過去は確かに不変かもしれないが、過去の理解には高い順応性があり、自身と他人の以前の行動の文脈を理解することが、多くの点で存在における肝心なポイントなのだ。

しかし『予期される未来』が描くのは、予言機が生み出す、人びとの無気力が広がるディストピアだ。ここに描かれているのは、わずかな時間を遡って信号を送るシンプルなデバイスに過ぎないが、自由意志が本質的に神話に過ぎないという圧倒的な証拠を示しているのだ。これは多くの人、少なくとも一部の人にとっては、カタレプシー(強硬症、自発的な動きが行えなくなること)となり完全に食欲をなくしてしまうのに十分なことなのだ。

Extra Crunch寄稿者のEliot Peper(エリオット・ペパー)は時折寄せるフィクションレビューに、チャンの解決策の中に示された、彼のお気に入りの一節を取り上げている。

「自由意志を持っているふりをしろ。たとえそうではないとことを知っていても、自分の決断に意味があるかのようにふるまうことがもっとも重要だ。現実がどうなのかは重要じゃない。重要なのはなにを信じるかだ。そして、目覚めたコーマを避ける唯一の方法は、うそを信じることだ。いまや文明の存続は、自己欺瞞にかかっている。いやもしかしたら、昔からずっとそうだったのかもしれないが」(早川書房刊『息吹』(大森望訳)所収『予期される未来』より引用)。

現実のベールの背後にある緻密な決定論を科学が明らかにして行く中で、より良い未来を築くためには、その反対を信じることがますます重要になる。自由意志への信念は、参政権を持つことと同じだ。それは私たちの人生をかたちづくる目に見えないシステムに立ち向かうために、変化の機会を生み出し、私たちを刺激する希望の火花なのだ。

ペパーはこの物語の核心的なメッセージを捉えているが、率直に言って、自己欺瞞を続けるのは簡単ではない(自分の製品について投資家を説得しようとしたことがある、完璧に自信がないスタートアップ創業者なら、そのことを教えてくれるだろう)。「すべてが重要なものではないというふりをする」と言うのは1つのやり方だが、もちろん実際には重要なことはあるし、誰もが本質的にその欺瞞を認め理解している。それは物事を成し遂げるために人為的な締め切りを設定するような、まやかし的自助努力のようなものだが、まさにその非常に人為的な点であることこそが、効果が出ない理由なのだ。チャンが「予言機」について書いているように「その後、予言機に対する関心を失ったように見えたとしても、それが保つ意味を忘れてしまえる人間はいない。それからの数週間で、未来が変更不可能であるということの持つ意味がだんだん身にしみてくる」のだ(上記書籍から引用)。運命は私たちの魂の中に閉じ込められている。

しかしチェンは、人によってこの認識に対して、異なる反応を示すことを指摘している。カタレプシーになるものもいるが、物語の中には他の経過をたどるものもいることが暗示されている。もちろん、そうした他の経過もすべて、予言機がやってくる前に定まっているものなのだ ―― 運命や運命自体の知識にどのように立ち向かうかについても、自分の運命を選べる者はいない。

だが、そうした選択の自由が与えられていないとしても、私たちは先に進まなければならない。構造的には、物語は過去に遡るかたちで語られる(これも『商人と錬金術師の門』に似ている)。未来のエージェントが予言機の未来についての警告を、時を遡って送ってくるのだ。そしたメッセージで何かを変えられるのかという疑問に、未来のエージェントは「いいえ」と答える。だが最後にこう付け加えるのだ「なのにどうしてわたしはこんなことをしたのか?なぜなら、そうするよりほかに選択の余地がなかったからだ」(上記書籍から引用)と。

つまり、実際にすべてが事前に決定されていた可能性があるのだ。人生のすべてを変えることはできないのかもしれない。それでも、私たちは生きている限り前進するつもりだし、すでに決められている行動であったとしてもそれを行うつもりだ。おそらくそのためには、自己欺瞞となんとか折り合っていく必要があるだろう。あるいは、そもそも行為を選択できるかどうかに関係なく、目の前のアクションにひたすら一所懸命に取り組めばよいだけなのかもしれない。

『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』(The Lifecycle of Software Objects)

短編集所収の次の作品は、もう少し広範に渡っている。仮想世界や、その中で私たちが育成する実体、そしてそれが人間としての私たちにどのような意味を持っているかに関して触れている内容だ。この物語を読んでいく中で、考えることを迫る問いかけについて挙げておくことにする。

  • 何かを愛するとはどういう意味なのだろうか? (人間の)子どもだということで私たちは愛を理解しているが、AIを愛することはできるだろうか? 彫像のような無生物を愛することはできるか? 私たちの愛がそれ以上は及ばなくなる境界線はあるのだろうか?
  • 実体を感じさせるものは何か? 他者から与えられた経験が必要だろうか、それともその感覚はどこからともなく生み出すことができるのだろうか?
  • チャンは、さまざまな状況で時間を早送りする。AI学習を促進するための特別な場所を使ったり、プロットにおける人間のキャラクター自身の時間も進める場合がある。この物語の文脈における時間の意味は何だろう? 時間と経験の概念はどのように相互作用しているのだろうか?
  • 著者は、知的な存在としての文脈におけるAIの「人権」をめぐる法的問題に関して、触れてはいるものの深くは掘り下げていない。これらの「実体」(AI)がどのような権利を持っているかを、私たちはどのように考えるべきなのだろうか? 読者の意見を最もよく代表しているのは、どのキャラクターだろうか?
  • 意識、感覚、独立などの概念は、どのように定義できるのだろうか? チャンがこれらの定義の境界を示しているように見えるのは、物語のどの要素だろうか?
  • プロットの中心的な主題の1つは、AIの金銭と収益性への挑戦だ。AIが判断される観点は、人間に提供する有益性だろうか、あるいはAIが独自の世界と文化を作る能力の観点からだろうか? これらのコンピュータープログラムができることの文脈の中で「成功」(非常に広く考えて)について私たちはどう考えるのだろう?
  • 私たちが「不気味の谷」を超えて、ますます多くの技術が私たちの感情的な心と結びつくにつれて、人間による共感は今後数年間でどのように変わっていくのだろう? これは最終的には人類の進化なのだろうか、それとも今後数年間で克服すべき課題というだけなのだろうか?

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(翻訳:sako)

トランプ政権は基礎科学研究の予算を大幅削減、宇宙・AI・量子技術の予算は増額

トランプ政権の2021年新会計年度(2020年10月〜2021年9月)の予算案は、研究開発助成金を前年度予算より1420億ドル(約15兆6000億円)増やすが、それでも下院の代替案における科学技術向け支出全体からは削減となる。基礎科学向け予算は、トランプ政権が掲げる優先事項の影で大きな打撃を受けそうだ。

政府予算の下で削減されるプログラムをScience Magazineが要約した。

  • 国立衛生研究所:7%または29億4200万ドル(約3230億円)減の369億9650万ドル(約4兆1000億円)
  • 国立科学財団:6%または4億2400万ドル(約470億円)減の63億2800万ドル(約6960億円)
  • エネルギー省科学局:17%または11億6400万ドル(約1280億円)減の57億6000万ドル(約6340億円)
  • NASA:11%または7億5800万ドル(約830億円)減の62億6100万ドル(約6890億円)
  • エネルギー省先端研究プロジェクト庁:173%の削減。これは4億2500万ドル(約470億円)分のプロジェクトがなくなるだけでなく、3億1100万ドル(約340億円)を財務省に返還することになる。
  • 農務省農業研究局:12%または1億9000万ドル(約210億円)減の14億3500万ドル(約1580億円)
  • 標準技術研究所:19%または1億5400万ドル(約170億円)減の6億5300万ドル(約720億円)
  • 海洋大気庁:31%または3億ドル(約330億円)減の6億7800万ドル(約750億円)
  • 環境保護庁の科学技術:37%または1億7400万ドル(約190億円)減の3億1800万ドル(約350億円)
  • 国土安全保障省の科学技術予算:15%または6500万ドル(約72億円)減の3億5700万ドル(約410億円)
  • 地質調査所:30%または2億ドル(約220億円)減の4億6000万ドル(約510億円)

ただし、多くのベンチャー投資家やスタートアップが時間を費やす特定の分野では予算が増額されるはずだ。例えば、機械学習や量子コンピューティング技術を開発する分野の研究開発予算などだ。

国立科学財団、エネルギー省科学局、国防高等研究計画局、国防総省の共同AIセンターに対する人工知能関連予算の割り当ては、合計で17億2400万ドル(約1890億円)に達し、また農務省と国立衛生研究所のAI研究には1億5000万ドル(約170億円)が割り当てられる。

量子情報科学は、トランプ政権の予算案の下で棚ぼた的に予算が設定された分野の1つだ。全米科学財団は量子研究のために2億1000万ドル(約230億円)、エネルギー省は2億3700万ドル(約260億円)の増加のほか、全国規模の量子インターネット開発向けに追加で2500万ドル(約28億円)を受け取る。

「量子コンピューティング、ネットワーキング、センシング技術は、信じられないほど可能性にあふれた分野だ」と、エネルギー省科学担当長官であるPaul Dabbar(ポール・ダバー)氏は述べた。この分野で進行中の開発の一例としてダバー氏は、アルゴンヌ国立研究所、フェルミ研究所、シカゴ大学などが取り組んでいる52マイルの量子通信ループを挙げた。

中西部に6つの量子インターネットノードを、またニューヨークに近いロングアイランドにもノードを作成して、北東部に量子ネットワークハブを作成する計画も進行中だ。「これは、東海岸から西海岸へ、南の国境から北の国境へと全米に広がる量子インターネットのバックボーンになる」とダバー氏は述べた。「我々がやらなければ、誰かがやる。中国とEUはこの分野への投資計画を発表した」。

宇宙分野はトランプ政権の予算で支出が増える領域の1つだ。今回のパッケージの重要な部分は、2024年までに宇宙飛行士を再び月面に向かわせようと、航空宇宙局の予算を12%増やすことだ。NASAには有人着陸船などの技術開発向けに30億ドル(約3300億円)の予算を追加し、宇宙が持つ潜在的価値と戦略的重要性の活用を目指す。全体として、NASAは252億ドル(約2兆7700億円)を受け取る一方、新設する宇宙軍には新予算で154億ドル(約1兆6900億円)が配分される。

政府の声明によると、予算では2022年度までに量子情報科学と非国防分野の人工知能の研究開発費を2倍にする予定だ。政権の予算の多くは、米国が技術的優位性を失いつつある分野で、それを取り戻すための支出に集中しているようだ。中国はすでに量子コンピューティングと人工知能の両方の研究に数百億ドル(数兆円)を費やしている。

量子コンピューティングと人工知能の進歩に資金を費やす一方で、トランプ政権は科学研究に依存する他の分野で予算を削減し続けている。それは、科学コミュニティによる発見とそれが生み出す知見が、大統領の政治的願望と矛盾する分野でもある。

例えば環境保護庁がそうだ。同庁の来年度予算は合計で26.5%削減される。保健社会福祉省の予算配分は9%縮小するが、政権は実際には疾病管理予防センターを通じて感染症と闘うのに必要な予算の削減は回避する予定だ。

民主党が下院を支配しているため、実際には提案された予算配分のほとんどは議会の予算プロセスを通過しないものと予想される。政権の予算案の最も厳しい削減部分については共和党が支配する上院も通過しない可能性がある。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アルゴリズム化されたインボックスでメッセージングやメール、カレンダーを一元管理する‘nflow

いわゆる「Slackたたき」(Slack-lash)については、今や多くの記事が書かれており、今やってる仕事から注意を奪ってしまうDMの妨害への対応に、職場の人びとは困り果てている。象徴的に悪玉に挙げられているのがSlackだが、それでもここ数年VCは、Slackに代表されるような、チャットを区分けしてコメントできる、職場のワーカーたちの足元をぐらつかせる、数多くのコラボレーションツールに積極的に投資してきた。

コラボレーションに対するVCの関心はそろそろピークに達したのではないか、とも思うが、それでもVCたちは、その成長の鈍化を補うために、今度はおしゃれなインタフェイスのメッセージングツールの多様な機能を、わかりやすくそして使いやすくするためのツールに、さらに熱心に投資している。彼らの最新の投資対象である’nuffsaidも、そんな生産性スタートアップのひとつだが、でもこいつは、2020年におけるメッセージングの利用を、少しは我慢できるものにしてくれるかもしれない。

ユタ州出身の同社は今日(米国時間2/11)ステルスを脱し、同社の生産性プラットホームの最初の成分をアーリーアクセスで公開した。そして同時に同社は、430万ドルのシード資金を、General CatalystとGoogleのGradient Ventures、Global Founders Capital、Work Life Ventures、SV Angel、そしてWasabi Venturesから調達した。

’nuffsaidという奇妙な社名の同社がアーリーアクセスでリリースした、同じく奇妙な名前のプロダクトが‘nflowだ。それは、複数のコラボレーションプラットホームとカレンダーを一つのインボックスへまとめる。アルゴリズム化されたタイムライン(algorithmic timeline)がソーシャルメディアのコンテンツのファイヤホーズ(firehose、全ストリーム)を理解可能に消化してくれるように、同社のアルゴリズム化されたインボックス(algorithmic inboxes)はスラックたたきのソリューションかもしれない。そして’nuffsaidは、アルゴリズムによってSlackのメッセージやメール、テキストメッセージ、Zoomのメッセージなどに優先順を付け、検索可能な一元化されたインボックスを作る。それにより、ユーザーのすべてのメッセージが単一のアプリの下に置かれ、緊急なものと、今の仕事が終わってからのものなどに分類できる。

CEOで共同創業者のChris Hicken氏は、次のように語る: 「既存のワークフローにAIを加えることは、それ自体が今やひとつのカテゴリーだと思う。‘nflowは、そんな未来へ送り出した、最初のささやかな製品だ」。Hicken氏はそれまで、UserTestingのCOOだった。

‘nflowのすごいところは、カレンダーをコミュニケーションハブの中へ持ち込んだことだ。Google Calendarは未だに、生産性ワークフローの中のよそ者だ。メッセージやメールをカレンダーイベントのベースにすることは、つねに要望のレベルにとどまっていた。これまで、十分にタイトな統合が為されたことはない。’nuffsaidはドラッグ&ドロップでカレンダーのイベントを作るが、そのときチームメンバーの名前のタグを付けたり、そのほかの情報を加えられるのが魅力的だ。私自身まだ、読者に100%お勧めできるほど、使い込んではいないのだけど。

’nuffsaidによると、‘nflowの商用化バージョンは月額使用料が25ドルとやや高いが、今のアーリーアクセスに登録したユーザーは、いつまでも月額10ドルで使える。

‘nflowが、メッセージングの過剰に悩む一般ユーザー向けのプロダクトだとすると、今後同社が作ろうとしているのは、個々の企業のワークフローの特殊性に沿った、十分なカスタマイズのできるメッセージ管理ツールだ。

そして今年の夏には、さまざまなアプリに統合できる、顧客の成功を支えるAIモジュールを予定している。それによって仕事の優先順付けや、CR(カスタマーリレーション)機能を各アプリが持てるようになる。一般的なモジュールではなく、エンジニアリング用、プロダクト用、マーケティング用など、部門別にモジュールが提供される。

投資家を代表してGeneral CatalystのマネージングディレクターNiko Bonatsos氏は次のように語る。「コラボレーションツールは多すぎるほどあるが、’nuffsaidの良いところは、仕事の現場で使えることと、ユーザーに手順等の変更を求めないことだ。ユーザーにとっては、メールを初め、顧客とのコンタクトは以前のままだ。ツールがユーザーに、慣れない新しいことを強制しない」。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米国のスマートスピーカー利用者の約7割がAmazon Echoを使っている

アナリスト会社eMarketer(イーマーケター)が2月11日に発表によると、米国のスマートスピーカー市場は、Amazon Echoのシェアに対してライバルのGoogleとAppleは伸び悩み、2020年、2021年もAmazonが独占的な地位を維持するという。eMarketerは、Amazonは2021年末までそのトップの座を悠々と維持し、米国のスマートスピーカー・ユーザー全体の70%近い人たちが、今後もAmazon Echoを使い続けると予測している。

正確にいえば、米国のスマートスピーカー・ユーザーの69.7%が2020年を通してEchoを利用するということとなる。2019年の72.9%からわずかに減少した。2021年にはさらに微減し、その時点で米国のスマートスピーカー・ユーザーの68.2%がEchoを使っていると予測される。一方、2020年には、スマートスピーカー・ユーザーの31.7%はGoogleブランドの機器を使い、他のブランドの製品、例えばApple HomePod、Sonos One、Harman Kardonなどを使う人はわずか18.4%に留まる(合計が100%を超えるのは、別ブランドの製品を同時に所有している人も含まれるからだと報告書は説明している)。

ブランド別2017年から2021年の米国のスマートスピーカー・ユーザー数(ユーザーの割合)
赤:Amazon、黒:Google、グレー:その他
1カ月にスマートスピーカーを少なくとも1回利用したすべての年齢層の個人を対象とする。別ブランドの製品を同時に所有している場合を含む
eMarketer 2019年12月

この数字は、米国のスマートスピーカー市場で大きなシェアを狙うApple HomePodやGoogle Home、その他の製品の目前に立ちはだかる高い壁を表している。

つまり消費者は一度、機器を購入すると、次に買うときに別ブランドへの乗り換えを滅多にしないということだ。最初に買った製品は、その企業(例えばAmazon)が、スマートスピーカーの便利さを証明する足がかりとなる。ユーザーが、寝室やキッチンにもスマートスピーカーを増設したいと考えたとき、通常は、家中で整合がとれるよう同じブランドの製品を買う。

必ずとは言えないが、そうすることのほうが多い。

Amazonはこのユーザー傾向を鋭く見抜き、エントリーレベルの製品を無料に近い価格で提供した。それがEcho Dotだ。このローエンドの製品は、小売りサイトでは29.99ドル(約3300円)で販売され、さらに値引きされていることもある。Amazonのプライムデーでは、Alexa製品はさらに安く販売される。そのおかげでここ数年、Echo Dotはプライムデーのベストセラーになっている

その一方で、Amazon Echoが米国以外では同等の躍進を遂げていないこともあると報告書は述べている。

Google Homeなどの強力なライバルに比べて英語以外の言語への対応が弱いEchoは、一部の市場では競争力が低下する。

とはいえ、スマートスピーカーの普及にとって米国は依然として重要な市場であるため、米国でのAmazonの力をあなどってはいけない。

「Amazonが初めてEchoを発売したとき、米国で確実な主導権を握りました。それ以来、迫る競合他社を突き放し続けてきています」と、eMarketerの主任アナリストのVictoria Petrock(ビクトリア・ペトロック)氏は話す。「当初私たちは、GoogleとAppleがこの市場にもっと食い込んでくるだろうと予測していました。しかし、Amazonの積極性は衰えませんでした。安価な製品を提供し、大量のAlexaスキルを作り、AmazonはEchoの魅力を維持してきたのです」と彼女は言い足した。

米国のスマートスピーカー・ユーザーの数は、今後数年間は増え続けるが、その伸び率は下がるとeMarketerは予想している。現在は28.9%のインターネットユーザーがスマートスピーカーを利用しているが、2021年には、その数は30.5%に達すると見られる。

2020年に米国のスマートスピーカーのユーザー数は13.7%伸びて8310万人に達する。しかし、2021年には伸び率は一桁に落ちるとeMarketerは予測している。

しかしこれは、残りのインターネットユーザーが音声アシスタントを使わないことを意味するものではない。スマートスピーカーは、音声でテクノロジーを利用するための手段のひとつに過ぎない。いずれ人々は、自動車や家電製品や他のスマートホーム機器など、他のデバイスに組み込まれた音声アシスタントも使うようになる。それに、GoogleもAppleもスマートフォンで音声アシスタントを提供していることを忘れずにおくべきだ。GoogleアシスタントとSiriを使っている人の数はEchoの比ではない。

Siri対応デバイスは5億台ほど普及している。Googleアシスタントのユーザーも5億人いる。つまり今日、音声アシスタントを使っている人は、Alexaよりも、iOSやAndroidのスマートフォンに話しかけている人のほうが多い可能性があるとも言うことができる。裏を返せば、音声アシスタントでライバルに大きく差をつけられた中で、AmazonがEchoスピーカーの市場を切り拓いたことは大変な偉業だ。

Amazonがスマートスピーカー市場で70%のシェアを獲得したことを伝えたのは、eMarketerが初めてではない。2019年のCIRP(国際生産工学アカデミー)の報告書にも同様の内容が書かれていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookが英国のAIスタートアップを密かに買収

ここ数年、FacebookはAI機能の開発に注力しており、コンピュータービジョン、自然言語処理(NLP)、「ディープラーニング」などの分野で将来有望なスタートアップの買収も行ってきた。

米国のソーシャルネットワーク巨人がAI人材を求めて英国に目を向けたのは当然であり、NLPスタートアップのBloosbury AIを2018年に人材とともに買収、最近ではコンピュータービジョンを利用して拡張現実向けに正確な位置情報を提供する英国企業、Scape Technologiesを買収した。

今回TechCrunchは、2019年12月に3回目の英国企業買収が密かに行われたという情報を得た。Facebookが買収したDeeptide Ltd.はAtlas MLを運営する企業で、機械学習の論文とコードの無料オープンソースである「Papers With Code」の管理人でもある。

Deeptideの公式申請書類によると、Facebookは2019年12月13日に同社の過半数株主になっている。同日、Atlas MLの共同ファウンダー、Robert Stojnic(ロバート・ストイニック)氏はPapers with CodeはFacebook AIに合流するという投稿をMediumにポストしたが、機械学習研究コミュニティー以外で気づいた人はほとんどいなかった。

買収条件、いや、そもそも実際に買収があったかどうかすらも、その当時、ストイニック氏の投稿以上の情報は、Facebookから出ていなかった。しかし、ロンドンIT業界の情報筋によると、買収金額は4000万ドル(約44億円)程度だったと考えられている。

2018年にストイニック氏とRos Tayler(ロス・テイラー)氏が設立したAtlas MLの目標は、「ディープラーニング研究の発見と適用を簡単にする」ことだ。若きスタートアップはEntrepreneur First(EF)の卒業生で、その後Episode1およびKindred Capitalからシード資金を調達した。

Facebookに問い合わせをしている。返答があり次第本稿を更新する予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ホワイトハウスが2021年にAI研究予算を倍増、2年間で約2200億円に

ホワイトハウスが人工知能研究資金として10億ドル(約1100億円)増額するべく動いており、予算はほぼ2倍になる。ロイターが27、予算案について説明を受けた関係者の話として報じた。金額には国防省の予算は含まれない。量子コンピューティングへの投資も大幅に増額される見込みだ。

2021年の予算案では、今後2年間でAIの研究開発資金を約20億ドル(約2200億円)に、量子コンピューティングは約86000万ドル(約950億円)に増額するとのことだ。

米国は、AI分野で中国との「レース」を争っているが、ほとんどのレースと違い、このレースには実際のゴールはない。ただ、十分にリードできれば、ビジネスや軍事用途での機会が生まれ、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)のような次の世界的な独占企業に成長する可能性がある。そうした独占企業は、国家に準ずる存在として、自身の目的のためにこの分野に大きく投資する。

単純に予算を2倍にしても、誰もがその規模の予算を持てるなら、先頭を走るための魔法の弾丸にならない。もちろんAIを新しい分野に展開するのにコストがかからないわけではなく、補助金やもっと直接的な資金供給が実行されれば、確実により広く応用される。機械学習が非常に幅広い目的に役立つことは明らかなため、当然多くの研究者や研究所にとっての次の一歩になるが、専門知識や処理能力を備えるには資金が必要だ。

資金がどう供給されるかははっきりしない。このトピックを念頭に置いて連邦中小企業革新研究報奨金のような既存のプログラムを拡張するか、国立研究所のような研究センターへの直接的な資金供給を増やすこともできる。

量子コンピューティング関連分野の研究も同様に金がかかる。Googleが秋に達成した、あるいはそう主張している「量子超越性」という一つの節目はこの分野の科学の始まりに過ぎず、関連するハードウェアもソフトウェアも先例のようなものはまだ多くない。

さらに、現在および近い将来の量子コンピューターに使えるアプリケーションはまだほとんどないため、この分野で何かを追求することは、投資とは言っても最も楽観的な意味になる。ただし、既存の制度を介した政府からの資金提供や助成金は、まさにこの種の研究のリスクを軽減する意図がある。

NASAの予算もアルテミス計画におけるさまざまな試みを加速および強化するために大幅増加が予想される。ただ、資金がどのように調達、再配分されるかは、現状明らかではない。

画像クレジット: DrAfter123 / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

FacebookがGPS以上の位置情報精度技術を持つの英国スタートアップを買収

英国ロンドン拠点のコンピュータービジョンスタートアップであるScape Technologies(スケープテクノロジーズ)は、GPS以上の位置情報の精度をもつ技術の開発に取り組んでいる。当局への書類によると同社はFacebook(フェイスブック)に買収された。

会社登記所の情報更新で、FacebookがScape Technologiesの過半数株(75%以上)を保有していることが明らかになったが、買収の条件などは不明だ。ただ、提出された他の書類を見ると、買収額は4000万ドル(約44億円)ほどのようだ。

また別の書類では、ベンチャーキャピタルの代表がScapeの役員を辞任し、代わりにFacebookから2人が役員会に加わったことが明らかになった。Scapeの投資家には、Entrepreneur First(EF)、 LocalGlobe、Mosaic Ventures、Fly Venturesが名を連ねていた。このように、Bloomsbury AIがソーシャルネットワーク巨大企業のFacebookに主に従業員獲得目的で買収されたときに、EFとFly Venturesは共同離脱していたというのは特筆すべきだろう。

2017年創業のScape Technologiesは、コンピュータービジョンに基づく「ビジュアル・ポジショニング・サービス」の開発を手がけていた。この技術では、デベロッパーがGPS単体以上の精度の位置情報を必要とするアプリを開発することができる。

当初は拡張現実のアプリをターゲットにしていたが、モビリティやロジスティック、ロボティクスのアプリケーションをパワーアップするのに使える可能性を秘めていた。さらに範囲を広げ、Scapeはカメラを搭載するあらゆるマシーンが周囲を認識できるようにしたいと考えていた。

ScapeのCEOで共同創業者のEdward Miller(エドワード・ミラー)氏は以前、同社の「Vision Engine」(ビジョンエンジン)を通常の画像やビデオから3Dマップを作る大規模なマッピングパイプラインと表現していた。カメラを通じて、同社のビジュアルポジショニングサービスのAPIを使ったVision Engineに、GPSが提供している以上の精度の位置情報を把握させることができる。同サービスはScapeのSDKを通じて一部のデベロッパーに提供されている。

買収がどのような形態であれ、VRやARを含む次世代プラットフォームへのFacebookの投資を考えたとき、今回の買収は同社にとってぴったりくるものだったようだ。しかし同時に、米国のテック企業が英国の機械学習やAIの人材を“刈り取ろうとしている「新たな憂慮すべき例」ともいえる。

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(翻訳:Mizoguchi

音楽レーベルのSnafu Recordsは次なる大物アーティストをアルゴリズムで発掘

Snafu Records(スナフー・レコーズ)は、音楽界の才能発掘に新しいアプローチを導入しつつある。米国ロサンゼルスに本社を置くスタートアップの創設者でCEOのAnkit Desai(アンキット・デサイ)氏は、同社を「初の完全サービスのAI対応レコードレーベル」と表現している。

過去5年間、キャピトル・レコードとユニバーサル・ミュージック・グループでデジタルおよびストリーミング戦略に携わってきたデサイ氏は、この業界に詳しい。世の中には、今でも才能あるアーティストは大勢いるが、レコードレーベルはそれを引き出す手段に乏しいと彼は指摘する。

「世界中が死ぬほど聞きたい音楽を生み出す女の子がインドネシアにいたとしても、その娘にチャンスはありません」と彼は言う。「彼女を世界と結ぶ架け橋は、今の世の中には存在していません。音楽業界は、非常に旧式のやり方に凝り固まっていて、アーティストの発掘は口コミが頼りです」。

レーベルの新人発掘を手伝うソフトウェアの開発を行うChartmetric(チャートメトリック)のような企業もある。しかし、デサイ氏は「私もそうしたサービスを使ったことがあります。しかしいつだって、21世紀のテクノロジーを20世紀の機械に持ち込むという結果に終わるのです」と話す。

その機械とは、つまりレコードレーベルそのものだ。そこで彼は、自分のレーベルを立ち上げることにした。Snafu Recordsだ。米国時間2月6日に正式に設立された。

このスタートアップは、シード投資290万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表している。主導したのはTrueSight Ventures。これに、Day One Ventures、ABBAのAgnetha Fältskog、SpotifyのJohn Bonten、William MorrisのSamanta Hegedus Stewart、Soundboksの創設者Jesper Theil Thomsen、Headstart.ioの創設者Nicholas Shekerdemianなどが参加している。

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デサイ氏によると「Sunafuのアプローチはテクノロジーを使って『基本的にあらゆる人たちが、我々に代わって音楽を聞いて才能発掘を行う』ものだ」という。

同社のアルゴリズムは、YouTube、Instagram、SoundCloudなどのサービスで、毎週、まだどことも契約していないアーティストの作品を15万曲ほど聞き、リスナーのエンゲージメント、リスナーの感想、音楽そのものを基準に評価するという。同氏は、Spotifyのトップ200リストに70〜75%の類似性があるものが狙い目だという。そのため、どこかで聞いたような曲で、そこそこ「型破り」なものとなる。

この分析結果は点数化され、それをもとにSnafuは「この膨大な音楽データから、毎週15から20の曲を抽出して、そこから人間(チーム)が関与する」という。

目標は、Snafuのアーティストとして、そのミュージシャンと契約を交わすことだ。するとアーティストは、同社の音楽業界の専門知識を活用できるようになる。これには、同レーベルのクリエイティブ責任者で、Madonn(マドンナ)、One Direction(ワン・ダイレクション)、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)らに楽曲の提供も行っているCarl Falk(カール・ファルク)氏のアドバイス、ストリーミングの収益の一部を支払ってマーケティングの支援を受けるといった内容も含まれる。Snafuは、通常のレーベルに比べてアーティストの分け前が多く、拘束期間も短いとデサイ氏は話している。

ストリーミングで(ツアーやグッズ販売と比較して)、大きなビジネスを支えるだけの収益が得られるのかを尋ねると、デサイ氏はこう答えた。「経済的な面で、ストリーミングは不当に悪く思われがちです。そこには誤解があります。ストリーミングで本当に素晴らしい数字を出すアーティストは、まだまだたくさんいます。ただジャンルが違うだけなのです」

Snafuは、本日正式に設立されたばかりだが、すでに16組のアーティストと契約している。その中にはアーカンソー州リトルロックで活動するデュオのJoan(ジョアン)やジャズミュージシャンMishcatt(ミシュキャット)がいるが、Mishcattの「Fade Away」は、リリース5週間目で500万回もストリーミングされた。

「アンキットとSnafuチームには、テクノロジーと音楽業界の深い専門知識の交差点で、新しく画期的で永続的な音楽レーベルを構築できる大きなチャンスがあります」と、TrueSight Venturesの創設パートナー、Hampus Monthan Nordenskjöld(ハンパス・モーサン・ノルデンシュルド)氏は声明の中で述べている。「音楽業界は構造的転換期にあり、21世紀の音楽レーベルはどうあるべきかを再定義するSnafuと仕事ができることを、大変うれしく思っています」。

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画像クレジット:Snafu Records

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(翻訳:金井哲夫)

機械学習を自動化するPecan.aiが約12億円を調達

米国時間1月28日、ビジネスアナリストが自動で機械学習モデルを構築できるようにするスタートアップとして突如姿を現したPecan.aiは、シリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達したと発表した。

画像:Stuart Kinlough / Getty Images

このラウンドを主導したのはDell Technologies CapitalとS Capital。非公開だったシードラウンドの400万ドル(約4億3000万円)と合わせて、ここまでの合計で1500万ドル(約16億3000万円)を調達した。

CEOのZohar Bronfman(ゾーハ・ブロンフマン)氏は、10年来の知り合いである共同創業者のNoam Brezis(ノーム・ブレジス)氏とともに、機械学習の自動化プラットフォームの構築を目指してこの会社を始めた。機械学習モデルの構築に関わる作業の多くはアルゴリズムが使える形のデータを取得することであると見て、こうした作業をPecanで自動化した。

ブロンフマン氏は「Pecanの革新的なところは、データの準備、エンジニアリング、処理、そしてテクニカルなさまざまなステップを(ユーザーに代わってすべて)実行することだ」と説明する。

ターゲットとなるユーザーはBIや分析ツールを使うビジネスアナリストだ。このようなユーザーはデータ分析に機械学習を活用したいと思っているが、そのスキルが不足している。「ビジネスアナリストは、データのこともビジネスの課題もよく知っていて、経営者にその問題を直接提起する。そして現在は基本的な分析をしている」とブロンフマン氏は語る。

Pecanにはビジネスによくある問題に答えるテンプレートが用意されている。テンプレートには2つのカテゴリーがある。ひとつはどの程度のチャーン(解約)があるかといった顧客の問題に関するもので、もうひとつはリスクや不正手段といったビジネス運営の問題に関するものだ。どちらにも属さない問題の場合はオリジナルのテンプレートを作ることができるが、この方法は相当高度なユーザー向けだとブロンフマン氏は言う。

Pecanのテンプレートカタログと、さまざまなデータソースからチャーンのデータを取得する画面(図:Pecan.ai)

テンプレートを選択し、データベースやデータレイク、CRMのリポジトリといったデータソースを指定すると、Pecanはデータソースに接続し、データをダッシュボードに表示する。アルゴリズムを書き出して外部サービスやアプリケーションで使うこともできる。またPecanが自動で、たとえばチャーンレートなどアルゴリズムが計算したデータでデータリポジトリを更新することもできる。

共同創業者の2人は、創業した2016年からこのプラットフォームを作り、ここ1年半ほどは顧客にベータ版を提供してきた。そしてこのたび姿を現し、本格的に市場に参入した。

ブレジス氏は現在の拠点であるテルアビブに残ってエンジニアリングを担当する一方、ブロンフマン氏はニューヨークに移って米国にセールスとマーケティングのためのオフィスを開設する計画だ。初期段階のスタートアップながら約12億円の資金を得て製品を市場に投入し、成り行きを見ていく。

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(翻訳:Kaori Koyama)