IPv6エンジニア育成を推進する「IPv6基礎検定」が2023年3月より通年実施、小川晃通氏著「プロフェッショナルIPv6第二版」が主教材

IPv6エンジニア育成を推進する「IPv6基礎検定」が2023年3月より通年で実施

ネットワーク技術者のための検定試験やネットワーク製品のマーケティング支援などを行う一般社団法人日本ネットワーク技術者協会は3月23日、全国300カ所において「IPv6検定基礎試験」と「IPv6検定応用試験」を2023年3月より通年で実施すると発表した。また同協会は、IPv6アドバイザーとして小川晃通氏を迎え入れた。

インターネットの通信規約であるIP(インターネットプロトコル)は、これまでIPv4が主流だったが、IPアドレスの数が不足し始めたことから次の世代のIPv6に切り替わろうとしている。IPv4はアドレスが32bitなのに対してIPv6は128bitであり、その他、IPヘッダのフォーマットやアドレス体系など仕様が大きく異なるため、それらの間に互換性がない。

また現在、日本でのIPv6の普及率は約45%され、さらなる普及が急がれるなか、セキュリティーの確保も問題になっている。特にセキュリティー面で強化されているわけではないIPv6について、IETF(インターネット技術タスクフォース)が発表した「RFC 7381」(RFC 7381 – エンタープライズIPv6導入ガイドライン)では、「IPv6ネットワークを安全に運用するために必要な運用セキュリティの専門知識を持っている人がほとんどいない(中略)この運用上の専門知識の欠如は、IPv6を展開する際の最大の脅威」といった旨が記されている。そのため、IPv6をよく理解した技術者を増やすことが緊急の課題であり、それに対応すべく日本ネットワーク技術者協会は、技術者の育成を支援するこの検定試験を立ち上げた。

「IPv6基礎検定」概要

  • 対象:インフラエンジニアとしてネットワークの基礎知識を持つ初級ネットワークエンジニアと、ネットワークの運用管理者
  • 設問数:40問
  • 受験時間:60分
  • 合格基準:70%正解
  • 受験機関:通年
  • 受験料金:1万円(税別)
  • 試験会場:全国300カ所のCBT-Solutionsテストセンター

問題は、主教材に指定された小川晃通氏著「プロフェッショナルIPv6第二版」から出題される(出題比率は調整中)。この教材を使った学習時間は約40時間と想定されている。価格は5500円(税込)。無償版および著者直接支援版にあたるPDF単体のバージョンも用意されている。

IoTシステム構築・デバイス開発・通信回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」を提供開始

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらインターネットは3月24日、「技術・ビジネス・人・物をひとつにつなげるIoTの道具箱」をコンセプトに掲げる、IoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」(モノプラ)の提供開始を発表した。

また同社は、「【さくらのモノプラットフォーム】正式サービス説明会」をオンライン開催(Zoom)する。開催日時は3月31日16時30分から18時30分。対象は、同サービスのベータテスターユーザー、また同サービスに興味がある方(先着順で30名)としている。参加費は無料。

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらのモノプラットフォームは、「IoTシステムの構築を楽にするプラットフォーム」「IoTデバイス開発のための設計情報」「マルチキャリア対応通信回線」の3つの機能・環境を提供するPaaS(Platform as a Service)。1デバイスあたり220円の基本利用料に加え、通信データ内容に合わせたオプション料金、さくらのセキュアモバイルコネクトの利用料金を追加することで利用可能。利用実績がない月は課金されず、在庫時の課金停止などの面倒な管理を簡素化できるという。また、利用開始に関する事務手数料や解約に関する違約金は一切発生しないそうだ。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTシステムの開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減

「IoTデバイスの管理」や「データの中継」などIoTシステムの構築・運用に広く求められる機能について、ウェブブラウザー経由でIoTデバイスを管理できるコントロールパネル、またシステムから大量実行および自動化が可能なAPIを通じて提供。これにより、開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減すると同時に、拡張性に優れたシステムの構築を実現する。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTデバイス開発のための設計情報をMITライセンスで公開

IoTデバイスの開発に必要なハードウェアやソフトウェアの設計情報は、従来開発に携わる企業や開発者によってそれぞれ独自に管理されることが多く、新たなシステムの設計時には多くの時間や人などのリソースを用いて基礎的な技術検討を行う必要があった。

この課題を解決するため、さくらのモノプラットフォームでは、IoTデバイスの電気設計に役立つDIP型LTEモジュール基板やM5Stack向け変換基板などのサンプル基板、デバイスの組み込みソフトウェアやクラウドアプリケーションの設計に役立つ開発キット(SDK)を提供する。これらの設計情報はMITライセンスの基で公開するため、商用利用も含め、ライセンスの範囲内で自由に複製・変更・掲載・頒布することが可能。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

マルチキャリア対応通信回線

さくらのモノプラットフォームでは、高セキュアな閉域型ネットワークを提供するIoT/M2M向けのSIMサービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」を通信回線として提供する。将来的には、さくらのセキュアモバイルコネクト以外の通信回線を経由した利用にも対応する予定。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

クラウド受付のRECEPTIONISTがスマートロックのRemoteLOCKと連携、受付から入館・入室まで非対面化しセキュリティも向上

クラウド受付のRECEPTIONISTがスマートロックのRemoteLOCKと連携、受付から入館・入室まで非対面化しセキュリティも向上

クラウド受付システム「RECEPTIONIST」を提供するRECEPTIONISTは3月23日、構造計画研究所が提供するクラウド管理機能を備えた入退室管理システムの「RemoteLOCK」(リモートロック)と連携を開始したことを発表した。今回の連携によって、来訪者の受付から入館・入室までの非対面化を実現し、受付運営の効率化とセキュリティ向上が促進される。

RECEPTIONISTは、オフィスなどの入口の受付端末(iPad)で来訪者がチェックインを行なうと、社内担当者にメールやビジネスチャットなどで自動通知されるクラウド受付システム。来客履歴は自動で保存され、QRコードを用いた非接触の受付も可能。サービス開始からオフィスを中心に5000社以上に導入され、受付の無人化・省人化、受付業務の効率化を支援している。

RemoteLOCKは、鍵の発行から受け渡しまでをクラウド上で管理できるスマートロックシステム。施設を遠隔・リアルタイムで監視でき、ICカード認証・PINコード認証・顔認証など様々な認証方式に対応、APIによるシステム拡張も可能で、既存施設に後付け導入することができる。クラウド受付のRECEPTIONISTがスマートロックのRemoteLOCKと連携、受付から入館・入室まで非対面化しセキュリティも向上

受付対応からゲストの入室までを自動化するRECEPTIONISTとRemoteLOCKの連携

クラウド受付のRECEPTIONISTがスマートロックのRemoteLOCKと連携、受付から入館・入室まで非対面化しセキュリティも向上

  1. RECEPTIONISTにゲストの来訪予定を登録。発行された受付QRコードをメールなどでゲストに送付
  2. ゲストが受付端末でチェックインを行なうと、メールなどで社内担当者にゲストの来訪が自動通知される
  3. ゲストが、チェックイン端末で発行された入館用のQRコードを受け取る。アクセスが許可されたスペースのRemoteLOCKにQRコードを読み取らせることで、非接触で解錠・入室できる

今回の連携により、オフィスの受付窓口対応から社内担当者への来館者通知、ゲストの入館権限付与までが自動化された。RECEPTIONISTおよびRemoteLOCKは、オフィスにおける受付業務の効率化・セキュリティの向上、従業員がより業務に集中できる環境を創出することで、今後も働きやすい職場づくりに貢献していきたいとしている。

米アリゾナ州がApple Walletに運転免許証と州IDを登録できる最初の州に

米国時間3月23日、Apple(アップル)はアリゾナ州が、運転免許証や州IDをApple Walletアプリにデジタル保存できる機能を住民に提供する米国初の州となることを発表した。同社はすでに2021年秋に、この新機能を最初に提供する州を確定したと発表していた。今回のサービス開始により、Appleデバイスの所有者は、フェニックス・スカイハーバー国際空港の一部のTSAセキュリティチェックポイントから、iPhoneまたはApple WatchをタップしてIDを提示できるようになる。

Appleの説明によると、この機能を使い始めるには、アリゾナ州在住の人は、iPhoneのWalletアプリの画面上部にあるプラス「+」ボタンをタップし「運転免許証または州ID」を選択し、画面の指示に従ってセットアップと認証プロセスを開始する。本人はカメラで自撮りした後、既存の運転免許証または州IDの裏と表の両方をスキャンすることで認証を受ける(つまり、これはそもそも陸運局でIDや免許を取得することの代替にはならないということだ)。

また、セットアップの過程で、顔や頭の一連の動作を行うようユーザーに求める不正防止ステップも追加されている。このアプリでは、ユーザーがカメラに写真をかざすなどして不正を行っていないことを確認する手段として、頭を横に向ける必要があるカメラ映像が表示される。

これらのスキャン画像とユーザーの写真は、発行州に安全に提供され、確認される。さらにAppleは、IDを提示した人がそのIDの所有者であることを確認するための数値コードも送信する。なお、認証の際に要求された、提示者が頭を動かしている映像は送信されない。

承認プロセスは通常数分で完了し、クレジットカードを追加するときと同様に、IDがWalletで利用可能になるとユーザーに通知される。

画像クレジット:Apple

IDや免許証がWalletに追加されると、ユーザーは対応するTSAチェックポイントでIDや免許証にアクセスすることができるようになる。ユーザーは、どのような情報が要求されているかを確認し、Face IDまたはTouch IDで情報を提供することに同意することができる。これはApple Payと同様の仕組みで、ユーザーはこの機能を使うためにiPhoneのロックを解除する必要もない。そして、同意を得た情報は暗号化された通信でIDリーダーに送信されることになる。

情報はデジタルで共有されるため、ユーザーは物理的なIDカードを渡す必要はなく、デバイスを渡す必要もないとAppleは述べている。TSAのリーダーは、さらなる確認のために旅行者の写真も撮影する(これは、TSAの職員が免許証を見てから、顔を見てその人物が本人かどうかを判断するのと同じことだ)。

画像クレジット:Apple

Appleによると、まもなくコロラド州、ハワイ州、ミシシッピ州、オハイオ州、プエルトリコの領土などでもこの機能が提供されるようになるという。そしてアリゾナ州に加え、コネチカット州、ジョージア州、アイオワ州、ケンタッキー州、メリーランド州、オクラホマ州、ユタ州の7州が搭載予定であることを以前から発表していた。

Appleは2021年の開発者会議で、Apple Walletで運転免許証やIDをサポートする計画を初めて紹介していた。しかし、11月にiOS 15のウェブサイトで公開されたアップデートで、Appleはこの機能が2022初頭まで延期されることを静かに明かしている。同社はもちろん、ユーザーのIDを確認しなければならないことを考えると、州政府の意向もこのような機能の実現に影響する。

画像クレジット:Apple

この機能を利用するには、ユーザーはApple Walletの利用規約と、州が要求する可能性のある追加の利用規約に同意する必要がある。ただし、それらの条件が何であるかは、州レベルで決定される。

スマートフォンにIDを保存することを警戒する人もいるかもしれないが、AppleはIDデータを検証のためにアリゾナ州に送る際に暗号化し、Appleのサーバーに一時的にでも保存することはないと顧客に保証している。IDがデバイスに追加されると、そこでも暗号化されている。

つまり、デバイスのSecure Enclaveプロセッサに関連付けられたハードウェアキーによって暗号化され、保護されているのだ。Face IDやTouch IDを使っている顧客、またはその顧客のパスコードを持ってWalletにアクセスできる人だけが、IDの詳細を見ることができる。

また、セキュアエレメントにはハードウェアキーが関連付けられており、ユーザーがAppleデバイスを介してTSAにIDを提示する際に使用される。そして、デバイスが運転免許証やIDのデータに署名し、依拠当事者(TSA)はデバイスの署名だけでなく州の署名も調べることで、これが有効な州のIDであることを暗号的に検証することができる。これは、もし誰かがユーザーのデバイスからID情報を取得できたとしても、デバイスのハードウェアと結びついているため、提示できないことを意味している。

この新機能は、iOS 15.4を搭載したiPhone 8以降のデバイスと、watchOS 8.4以降を搭載したApple Watch Series 4以降でサポートされている。当面は、フェニックス空港を皮切りに、一部のTSAチェックポイントのみがこの機能をサポートし、順次追加していく予定だ。Appleは、法執行機関との提携を含め、将来的には他のユースケースにも取り組んでいくとしている。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

韓国LG Energyが約1700億円を投資し米国でのバッテリー生産を拡大

Tesla(テスラ)、Lucid Motors(ルシッドモーターズ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Proterra(プロテラ)に電気自動車用バッテリーを供給する韓国のLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)が、米国時間3月11日、14億ドル(約1697億円)を投じてアリゾナ州クイーンクリークに円筒形バッテリーの工場を建設することを発表した。

このことは、LG Energyが米国での存在感を高めていることを改めて明確にした。1月には、21億ドル(約2546億円)を投じてゼネラルモーターズと共同で、米国3番目のEV用バッテリー工場を建設する計画だと発表した。また2021年には、Stellantis(ステランティス)がLGとバッテリーセルとモジュールを北米で生産する契約を締結している。

今回のLGのアリゾナでの出資は、北米市場において、瞬発力を必要とする電動工具やEV・電動自転車などのモビリティ機械などに対する、円筒型セルや円筒型電池の応用需要が高まっている時期に行われる。需要が高まる理由は、LGの広報担当者によると、この種のバッテリーが比較的小さくエネルギー密度が高いからだという。

11ギガワット時規模の工場建設は、2022年第2四半期に開始され、2024年には量産が開始される予定だ。

LG Energyによると、同工場はEVメーカーに供給される円筒形バッテリーの、北米で初めての製造工場となる。ロイターの報道によると、Tesla、Lucid、ProterraなどのEVメーカーがその潜在的な顧客となる可能性があるという。LGは、契約手続きは進行中だと語ったが、アリゾナ工場がどの企業に供給するのかは明言を避けた。

LG Energyは、米国での生産能力の追加を検討しているという。1月には、LG Energyは新規株式公開により100億ドル(約1兆2145億円)以上を調達した

バッテリー製品をTeslaにも供給している日本のパナソニックは、オクラホマ州かカンザス州に工場建設用地を探していると、2月にNHKが報じている。また、トヨタは米国にバッテリー工場を建設し、2025年の生産開始を目指している。

米国でバッテリーを開発する海外バッテリー企業の流入は、ジョー・バイデン大統領が国家的なバッテリーサプライチェーンの確立のために数十億ドル(数千億円)の資金を確保するインフラ法案の産物なのかもしれない。

LGは、このようなサプライチェーン構築のために米国から提供される資金の受給資格があるかどうかの問い合わせには、締切までには回答しなかった。

関連記事:GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:sako)

バックオフィス向けクラウド「ジンジャー」を提供するjinjerが51億円調達、開発・マーケティング・採用を強化

バックオフィス向けクラウド「ジンジャー」を提供するjinjerが51億円調達、開発・マーケティング・採用を強化

バックオフィス業務の効率化を図るクラウドサービス「ジンジャー」を開発・提供するjinjerは3月23日、第三者割当増資による総額51億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターの香港Tybourne Capital Management(タイボーン・キャピタル・マネジメント)、SBIグループ、事業会社1社、VC1社。調達した資金は、ジンジャーシリーズのプロダクト開発とマーケティング投資、エンジニアやセールスなどの採用活動への強化へあてる。

ジンジャーは、人事労務・勤怠管理・給与計算・ワークフロー・経費精算・電子契約・ウェブ会議などのバックオフィス業務の効率化を支援するクラウドサービス。「ジンジャー勤怠」「ジンジャー人事」などをシリーズとして提供している。バックオフィスに関わるすべてのデータをジンジャーシリーズに集約し、1つのデータベースで管理することで、各システムにおける情報の登録や変更手順の手間を削減する。

2021年10月設立のjinjerは、「世の中のすべてを『as a Service』へ」をミッションとして掲げ、ジンジャーシリーズを開発・提供。世界が直面する少子高齢化という社会課題に対して、テクノロジーにより様々なサービスを進化させ、課題解決と顧客の発展へ貢献するという。

 

柔軟なレイアウト機能を備えたスライドデッキ制作ツール「Tome」が一般公開

Tome(トウム)の共同設立者、Keith Peiris(キース・ピーリス)氏とHenri Liriani(ヘンリ・リリアニ)氏は、元Instagram(インスタグラム)とFacebook(フェイスブック)のプロダクトリーダーを務めていた。彼らはその独創的なひねりを、忌まわしいスライドデッキに注ぎ込むことにした。

スライドデッキを、より簡単に作れて、より楽しく座って見ていられるものにようにしようと、9Slides(ナインスライズ)やSwipe(スワイプ)、そして最近ではGamma(ガンマ)やPitch(ピッチ)など、多くのスタートアップが長年にわたって挑戦してきたものの、過去30年間、スライドデッキがそれほど改良されていないことは事実だ。

ピーリス氏とリリアニ氏がTomeを作ろうと思った理由は、ステッカーや拡張現実、レイヤーなどを使った表現ツールを作るのに時間を費やしても、それがPowerPoint(パワーポイント)のプレゼンテーションのような分野には反映されるのを見たことがなかったからだ。

また、彼らが見たところ、デザインされたパッケージは見た目の美しさにばかり力が注がれていて、その人が伝えようとしているストーリーにはあまり力が注がれていなかった。

「私にはいつもそれが不満でした。制作者に否応なく素晴らしいストーリーを語らせ、非の打ちどころのないものが出来上がるまで、仕組みにとらわれることがないツールがあればいいのにと思っていたからです」と、ピーリス氏はTechCrunchに語った。「ツールが行動を誘発するのです。Google Slides(グーグル・スライド)やPowerPointを初めて開いた人には、それがまるでデザインツールのように見えます。私たちは、それとは正反対のものを作りたかったのです」。

Tome共同設立者のKeith Peiris氏とHenri Liriani氏 画像クレジット:Tome

Tomeの魔法は、数時間ではなく数分で作れることだと、ピーリス氏は信じている。ユーザーは、デスクトップまたはモバイルのアプリを使って、Figma(フィグマ)のプロトタイプや、スプレッドシート、動画、ツイート、GIFなど、インターネット上のあらゆるものを簡単に埋め込み、これらに3Dモデルや自動的に更新されるライブデータ表を組み合わせることができる。しかも、Tomeのページは追加したいものに合わせて流動的に変化するので、言いたいことややりたいことをページに合わせて調整する必要がない。このようなプロセスの中で、いつでもユーザーはTomeを同僚と共有し、編集やコメントを得ることができる。

Tomeは、米国時間3月23日に一般公開された。それに併せて、同社はGreylock Partners(グレイロック・パートナーズ)とCoatue Management(コーチュー・マネジメント)、およびZoom(ズーム)、Airtable(エアテーブル)、Adobe(アドビ)などの企業の幹部であるエンジェル投資家グループから3230万ドル(約39億1700万円)の資金を調達したことを発表した。

この資金は、昨年12月にGreylockのReid Hoffman(レイド・ホフマン)氏が主導した630万ドル(約7億6400万円)のシードキャピタルと、シリーズA資金調達の2600万ドル(約31億5300万円)を合わせたものだ。追加の資金調達は、より強固なチャネル製品と、モバイル編集・描画機能を開発するために行われた。

ピーリス氏は、Tomeがこれらすべてに取り組み、成功させるための時間とチームを確保したいと考えている。そのため、今回の資金は「製品開発のみ」に使用する計画で、特にモバイルアプリの構築を継続するために使われる。製品の完成度が高まったら、次は市場参入チームにさらに投資するつもりだという。

同社は23日にステルス状態から脱したばかりなので、成長指標について話すことはあまりなかったが、ピーリス氏は「Tomeをたくさん使って、うまくいっているチームがたくさんある」と語っている。

「私たちは皆、大企業で素晴らしいアイディアがあっても、うまく表現できる人がいなかったり、アイディアが適切な方法で構築されていなかったために、失敗する例を見てきました」と、ピーリス氏は続けた。「アイディアをうまくスライドデッキに転換する方法を学ぶ必要があるのです。しかし、私たちはそのような学習や作業をすべて取り除き、どんなアイデアでも楽に伝えることができ、誰もが優れたストーリーテラーになれるようにしたいと考えているのです」。

画像クレジット:Tome
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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snapがマインドコントロールヘッドバンドのメーカー「NextMind」を買収

Snapは米国時間3月23日朝、NextMindを買収したことを確認した(買収額非公開)。パリに本拠を置く同スタートアップは、脳の信号を利用してPCのインターフェイス上で画像を動かす、自らの名前を冠したコントローラーで知られている。CESで399ドル(約4万8000円)の開発キットを発表した後、2020年第2四半期に出荷を開始している。TechCrunchは同年末に試す機会があり、このハードウェアを「稀にみる『すごい』もの」と評した。

「NextMindは、Snap Lab内で長期的な拡張現実の研究活動を推進するためにSnapに参加しました。Spectaclesは進化し、反復する研究開発プロジェクトであり、最新世代は、拡張現実の技術的限界を探る開発者を支援するように設計されています」と同社はブログで述べている。

このニュースは、同社がソーシャルメディア企業のハードウェア研究部門Snap Labに統合されたことを示している。また、NextMindの開発キットのスタンドアローン版も終了する。この技術の一部は「Camera」や「Spectacles」といったAR機能を含む、将来のSnapの製品に搭載されることはほぼ確実だ。

神経科学者とハードウェアエンジニアのチームによって2017年に設立されたNextMindの技術は、脳波計を内蔵したウェアラブルヘッドバンドを利用して、大脳皮質の神経活動を検出して読み取れる。装着者がディスプレイ上の画像を見ているときに、ヘッドセットがそれを動かしたいかどうかを判断することが可能だ。このようなマインドコントロールのインターフェースは、拡張現実にとって非常に理に適ったものだ。特にヘッドマウントディスプレイは、長い間コントローラーの問題に悩まされてきたが、このような技術はその解決への道筋をつけることができるだろう。

「この技術は、神経活動をモニターして、コンピューティングインターフェイスと対話するときのユーザーの意図を理解し、それに集中するだけで仮想ボタンを押すことができます。この技術は、思考を『読む』ことも、脳に向けて信号を送ることもありません」とSnapは付け加えた。

NextMindは、2018年半ばに460万ドル(約5億6000万円)のシードラウンドを調達している。引き続きチームはパリで活動し、その従業員のうち20人(主に技術系)がSnap Labsに加わり、より長期的な研究開発に注力する予定となっている。2021年5月、SnapはARヘッドセットに使用される部品を製造するWaveOpticsを買収した。同月、同社は第4世代のSpectaclesを披露し「拡張現実を実現する初のメガネ 」と称している。

画像クレジット:NextMind

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ツイッターがTweetDeckを有料化か

Twitter(ツイッター)は、TweetDeck(ツイートデック)を同社のサブスクリプションサービスであるTwitter Blue(ツイッター・ブルー)のプレミアム機能にしようとしているらしい。モバイルアプリのコードを探索して開発中の新機能や変更を見つけているリバース・アプリ・エンジニアのJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によると、現在、ソーシャルメディア巨人はTwitterのプレミアム商品を開発中で、同社のAndroid(アンドロイド)アプリでTwitter Blueに追加しようとしている。

最近ウォン氏は、Twitterが同社のAndroidアプリのTwitter Blue機能リストに、TweetDeckへの参照を追加していることを発見した。先週ウォン氏は、アプリのコードに、TweetDeckのアクセスをTwitter Blueのサブスクリプション・ユーザーに限定し、購読していない人を登録画面に誘導する部分を見つけた。

彼女はまた、もしTwitterがTweetDeckをTwitter Blueの有料機能にする計画を進めれば、サブスクリプションを利用できない地域にいる数百万人のユーザーを締め出すことなると指摘した。Twitter Blueは米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドでしか提供されていない。現在TweetDeckは無料で広告も入っていないため、Twitterのウェブインターフェースを使いたくない人にとって人気のサービスになっている。

この変更の可能性についてTwitter広報担当者に尋ねたところ、現時点で公表できることはない、とTechCrunchに話した。

2021年Twitter Blueが正式公開されたとき、Bloomberg(ブルームバーグ)は、Twitterが今後のサブスクリプション機能でTweetDeckの利用者に課金する可能性を報じた。しかし、実際にTwitter Blueが公開された時、TweetDeckへの言及はなく、ブックマークの整理やスレッドをすっきりした形で読んだり、「Undo Tweet(ツイート取り消し)」機能などのツールがあるだけだった。

TwitterがTweetDeckを有料にすることを考えたのはこれが初めてではなく、同社は今を遡る2017年にアプリを有料化する方法を模索していた。当時一部のTwitterユーザーは、TweetDeckにどんな機能が欲しいか、上位バージョンにお金を払うつもりがあるかなどを尋ねるアンケートに答えるよう求められたが、そのコンセプトが実際にテストされることはなかった。

Twitter Blueはオーストラリアとカナダで2021年6月にまず公開され、11月に米国とニュージーランドが続いた。提供地域の拡大とともに、Twitter Blueは最近公開されたTwitter Labs(ラボ)を通じて新機能をいち早くアクセスできる仕組みを追加したほか、Twitterが2021年春に買収したScroll(スクロール)経由で、数百種類のパブリッシャーのニュース記事を広告なしで提供開始した。米国でのサブスクリプションサービス料金は月額2.99ドル(約362円)。

TweetDeckは、サードパーティーアプリとして出発したが、2011年にTwitterが4000万ドル(約48億5000万円)で買収した。このサービスは、Twitterの投稿やアカウント管理を容易にし、複数のタイムラインとフィードを1カ所で見る便利な手段を提供している。

関連記事:さまざまな便利機能が使えるツイッターの有料サブスク「Blue」が米国とニュージーランドでも提供開始

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Playがサードパーティによる課金オプションを試験的に導入、まずはSpotifyから

アプリストアとその手数料の仕組みをめぐってグローバルで規制が強化されつつある中、Google(グーグル)は米国時間3月23日、同社が「user billing choice(ユーザーの課金選択)」と呼ぶ機能を検討するためのパイロット事業のローンチを発表した。このパイロットでは、Spotifyを皮切りに、参加した少数の開発者が、Google Play自体の課金システムに加えて、独自の課金方式を提供できる。Googleはすでに韓国において、新たな法令に従って同様のシステムを提供しているが、複数の市場で試すのはこれが初めてだ。

SpotifyによるとこのパイロットはSpotify Premiumが利用できるすべての市場で展開し、全世界で184の市場になるという。しかしGoogleは、パイロットは選ばれた市場で行い、その後の結果に基づいて作り上げていく、どの地域から始めるかまだ決めていないとしている。

Spotifyはパイロットのスタートパートナーとして、開始時には独自の課金システムとGoogle Play自身のシステムの両方を導入する。Googleは今後の参加開発者をまだ発表していないが、Spotifyは「グローバルな実績を持つ世界最大のサブスクリプション開発者であり、多様なフォームファクタのデバイスに統合されている点」でも、この取り組みの「最初のパートナーになって当然」だという。

もちろんSpotifyは、アプリストアの既存の課金システムと構造に対する規制の変更を望む大手開発者の1つであり、この問題について議会で証言し、ロビー活動にも参加そしてAppleやGoogleなどの企業に既存のアプリストアに代わるものを求めるOpen App Markets Act(オープンなアプリの市場法)など、アプリストアの関連法案を支持した。

この争いは、顧客とのより直接的な関係を求めるためだけでなく、大半はお金の問題でもある。今日のアプリストアはサブスクリプションやアプリ内購入を自分のプラットフォーム上で提供しているアプリに対し、15〜30%の手数料を課している。Googleが代替課金システムの許可を要求されている韓国の例でも、自らの課金システムにユーザーを誘導した開発者は、手数料が4%低くなるだけだ。

コメントを求められたSpotifyは、今度のパイロットでGoogleに支払う手数料について明かさず、合意事項は秘密だという。しかし同社の広報担当者は、その商業的条件がSpotifyの「公正規準」を満たすとほのめかしている。

Googleも手数料の詳細を明かさなかった。しかし同社によると、韓国のようなユーザー選択課金でも、ユーザーがどの課金システムを選んだかに関係なくサービス料金は課金されるという。

この新しいシステムは発表の時点ではまだ利用できず、Googleのプロダクトのチームとエンジニアリmグのチームが今後数カ月かけて新しいユーザー体験を作っていくものだ。本稼働後、ユーザーはSpotifyで2種類の課金オプションが並んでいるのを目にするだろう。ユーザーがSpotifyの決済方法を選んだら、Spotify自身の課金システムとそのユーザーインターフェースでチェックアウトを続ける。Google Play Billingを選んだら、Google Play BillingのUXへ進むことになる。

Spotifyのサブスクリプションに関するユーザーとのコミュニケーションは、変わらずSpotifyの責任だが、Google Play Billingを選んだユーザーは自分のSpotifyのサブスクを、以前と同じくGoogle Play Store Subscription Centerの中で見ることができる。

Spotifyによると、同社はパイロットの開始を2022年後半と予想している。同社としてはそれを、SpotifyのPremiumサブスクリプションが利用できるすべての市場で提供したいという。

Spotifyのフリーミアム事業担当チーフであるAlex Norström(アレックス・ノルストレム)氏は声明で次のように述べている。「Spotifyは今、アプリのデベロッパーにイノベーションの自由を保証し、公正な条件で競合できるための数年におよぶ計画に取り組んでいます。今回、Googleと提携して決済の選択制と、開発者およびユーザーとインターネットのエコシステム全体の自由を探求できることに興奮しています。私たちが共同で行う事業で、業界全体の利益となる道を照らすことに期待したい」。

Googleによると、このパイロットはまだ初期的な段階であり、Spotifyとの今後の経験を通じて細部をつめていきたいという。Spotify以外のパートナーはまだ明かさないが、Googleによると、その目標は国や開発者のタイプが変わっても共通して利用できる課金選択の方式を完成させることだという。多様な国や開発者のタイプという言葉には、今後は小企業もパイロットのテスターになることが含まれているだろう。同社によると、パイロットは数カ国で一定数の開発者からスタートして、国も開発者も増やしていくという。

すでにGoogleはこの変更以前にGoolge Playの課金システムを利用する開発者の年商が100万ドル(約1億2000万円)以下の企業に対して、Appleにならって手数料を、30%から15%に下げている。同社によると、これによって開発者の99%が、15%以下のサービス料金になったという。

Googleのプロダクト管理担当副社長Sameer Samat(サミール・サマット)氏は、次のように述べている。「Androidは常に、オープンであることとユーザーの選択を重視してきました。今回のステップはモバイルのアプリストアにとって重要な節目であり、Spotifyよりも優れた最初のパートナーは思い浮かびません。同社は、私たちと同じく選択を重視し、エコシステム全体の健全さのためにAndroidとGoogle Playへの投資の継続が重要であることを理解しています。これはエキサイティングな最初の一歩であり、今後、新たなパートナーを加えて学びを深め、最初のモデルをAndroidのプラットフォーム全体に向けて拡張していきたい」。

画像クレジット:SOPA Images/Contributor/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Web3のデジタルIDスタートアップ、Unstoppable Domainsが約1211億円のユニコーン評価額で資金調達を交渉中

ブロックチェーンのネーミングシステムプロバイダーとして人気のUnstoppable Domainsが、10億ドル(約1211億円)の評価額で資金調達ラウンドを実施する交渉をまとめていると、この件に詳しい3人の関係者がTechCrunchに語った。

同スタートアップは、Draper Associates、Coinbase Ventures、Protocol Labs、Naval Ravikantを含む多くの新規および既存投資家と、新たな資金調達ラウンドで約6000万ドル(約72億6300万円)を調達すべく交渉していると、検討中かつ非公開であるため匿名を希望した情報筋は語った。

このラウンドはまだクローズしていないので条件が変わる可能性がある、と彼らは注意を促している。同社は米国時間3月22日にはコメントを控えた。

Unstoppable Domainsは、人々が暗号のためのユーザー名を作成し、分散型デジタルIDを構築するためのサービスを提供している。同社は、特定のTLDを持つドメインを5ドル(約605円)という低価格で販売しており、これまでに210万以上のドメインを登録する手助けをしてきたと、そのウェブサイトで述べている。提供する人気のTLDには、.crypto、.coin、.bitcoin、.x、.888、.nft、.daoなどがある。

Amazon(アマゾン)のAWS、Uber(ウーバー)、Slack(スラック)などの企業で働いたメンバーを含むUnstoppable Domainsは、分散化された各ドメイン名をEthereumブロックチェーン上のNFTとして鋳造し、オーナーにより広範なコントロールと所有権を与えている。

ドメイン名を持つことで、ユーザーは無意味に長いウォレットアドレスを友人や企業とわざわざ共有する煩わしさから解放される。

Unstoppable Domainsはまた、OpenSea(オープンシー)、Coinbase Wallet(コインベースウォレット)、Rainbow Wallet、Chainlink、Brave browser、ETHMailなど140以上のアプリケーションと統合されている。90以上のDAppsが、EthereumとPolygonのためのシングルサインオンサービスである同社の製品「Login with Unstoppable」をサポートしており、暗号コミュニティを苦しめる経験の1つに対処している。

投資家へのピッチデッキで、同スタートアップは「分散WebのCoinbase」を構築しようとしていると述べた。その幅広いサービスのおかげで現在では、ENS、Solana Bonfida、Tezos、Handshakeと競合している。

同社は24万人以上の顧客を集め、2021年は5300万ドル(約64億1800万円)の収益を計上したと、2人の情報筋が語っている。また、利益も出ているという。TechCrunchが入手したピッチデッキによると、同社は2022年、企業と提携して自社のTLDを立ち上げる予定だという。

画像クレジット:Unstoppable Domains

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

ロボットアームを使った高層ビル窓ガラス掃除のSkylineが7.9億円調達

自動化する意義がある仕事のリストで、筆者は窓掃除をかなり上位に入れたい。実際、この仕事は汚くて危険なものだ。そして驚くことに、危険手当がそれほど支払われない。何百フィートもの高さで空中にぶら下がるような仕事には、当然支払われるべきものだと思うのだが。

Skyline(スカイライン)は2021年に、高層ビルの側面にある手の届きにくい場所を清掃する(ファサードメンテナンスと呼ばれる)ロボットシステムOzmo(オズモ)を納入して話題になった。このシステムでは、Kukaの産業用ロボットアーム2本が吊り下げられたプラットフォームに据えられている。

清掃するガラスの位置を確認するのにLiDARを使い、作業中はガラスを割らないよう力センサーに頼っている。また、アルゴリズムが組み込まれているため、風が強い状況でも安定したロボットハンドを実現し、最適な清掃経路を1分間に数百回再計算することが可能だという。

ニューヨークを拠点とするSkylineは3月23日「プレシリーズA」と称するラウンドで650万ドル(約7億9000万円)の調達を発表した(正直なところ、こうした資金調達ラウンドのラベルは、これまで持っていた意味を失いつつある)。Skyline Standard Holdingsがこのラウンドをリードし、Skylineの資金調達総額は900万ドル(約10億9000万円)に達した。

「このラウンドと初のOzmo展開の成功は、我々の製品とサービスに対する需要が目に見えて投資家に伝わっているだけでなく、Skylineの前に大きなビジネスチャンスがあることを示しています」とCEOのMichael Brown(マイケル・ブラウン)氏は話した。「私たちのチームの信念は、投資家のみなさんのものと一致しています」。

確かに、ニューヨーク市だけでも数千万枚の窓ガラスが清掃を必要としており、そこにはチャンスがたっぷりある。

画像クレジット:Skyline Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードはCiscoと提携して電気自動車をビデオ会議の空間に

Ford(フォード)のEVピックアップトラック「F-150ライトニング」には最近、双方向充電機能が搭載され、万一のときに家庭用バックアップ電源として使えるようになった。今度は会議ソフトウェア「Webex」のメーカーであるCisco(シスコ)との新たな提携で、EVをオフィスのバックアップにしようとしている。

FordのJim Farley(ジム・ファーリー)CEOは米国時間3月22日「我々は全力で、スタートアップのスピードと限りないイノベーションをもたらす、お互いに独立しつつ補完するビジネスを構築しています」と発表した。同社がここ数カ月で発表した計画としては、EVとICE(内燃機関)事業の分離、2023年末までに年間60万台のEV生産、今後数年間でヨーロッパ市場に7種類の新型EV投入がある。

Fordがアメリカ人ドライバーの心をつかむには、2020年3月以来インターネットで最も頻繁に使われている用途であるオンライン会議を電気自動車に装備する以上に良い方法はないだろう。Fordの電気自動車プログラム担当バイスプレジデントであるDarren Palmer(ダレン・パーマー)氏は報道発表で「我々は人と人とがつながる方法を検討しています。人々が自動車を高品質のオフィスとして活用しコラボレーションをしない理由は見当たりません」と述べた。

そのためにFordとCiscoは提携して「SYNC4A(Fordのインフォテインメントシステム)のブラウザエクスペリエンスを開放」し、現在はHTML5セントリックのOS上でネイティブに動作するWebexアプリを開発中だ。パーマー氏は「Fordは電気自動車の次世代エクスペリエンスに向けてWebex by Ciscoで連携することに期待しています。Webexはセキュアで没入できるコラボレーションのエクスペリエンスを提供すると我々は考えています」と述べた。

家からビデオ会議に参加しているときに猫がウェブカメラの前に飛び出してくるのは、まあまあかわいいかもしれない。子どもが後部座席で誰が触ったとか触っていないとか大声で騒いでいるのは、あまりかわいくはない。このように大音量で妨害されることを防ぐために、将来のFordのEVにはWebexの「Optimize for My Voice(自分の声に最適化)」機能が搭載される。これは車内にいて会議に参加していない人はすべて自動でミュートする機能だ。ドライバーが注意散漫にならないように「Webexなどのコラボレーション機能は車が止まっているときだけ動作し、運転中はオーディオのみにします」とパーマー氏は述べた。両社はアプリの最終的なリリースのスケジュールを明らかにしていない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Kaori Koyama)

NASAがSpaceXと並んで有人月着陸船を開発する第2の企業を募集

NASAは、企業に月着陸船を送り込む新たなチャンスを与える計画を発表した。SpaceXがBlue Origin、Boeing(ボーイング)らのライバルを破ってから1年近く後のことだ。

新しい計画の下、NASAは着陸システムの2度目の競争入札を、SpaceXを除く全米国企業に開放する。第2の着陸船の打ち上げは2026年または2027年を目標にしている。Sustaining Lunar Development(持続的月開発)契約と呼ばれるこの2回目の競争の勝者は、SpaceXとともに「月面に立つ宇宙飛行士のための将来の繰り返し可能な月輸送サービスへの道を開く」とNASAは言っている。

これは競争参加者にとって良いニュースであるだけではない。同局はさらに、既存のSpaceXとの契約を拡大し、もう1機の着陸船を製作する計画も発表した。2020年代後半に、無人および友人のデモンストレーション飛行ミッションを実施する。

NASAの3月23日の発表は、アポロ計画以来初めて人類を月に送り出す同局による一連のミッションであるArtemis(アルテミス)プログラムの大がかりな拡張だ。

これは、大きな方向転換でもある。NASAは2021年4月にSpaceXと28億9000万ドル(約3500億円)の単独契約を結んだ後、民間産業、議会の両方から集中砲火を浴び、Blue Originが連邦裁判所でNASAを訴えるところまできている(これは、Blue Originと防衛契約業者のDynetics[ダイネティクス]が、政府説明責任局とともに、異議を唱え、後に棄却されたあとのことだ)。しかし今回、NASAのBill Nelson(ビル・ネルソン)長官は、同局が重視するのは競争を育てることだけだと発言した。

「NASAそして議会も、競争はより優れたより信頼性の高い結果と全員にとっての利益を生むと考えています」と同氏は述べた。「それはNASAの利益であり、米国民の利益です。これは間違いなく、競争が生み出す利益です」。

同局は3月末に暫定提案依頼を公開する、と月着陸プログラム責任者のLisa Watson-Morgan(リサ・ワトソン=モーガン)氏が23日に記者団に語った。これには今春末の最終提案依頼が続き、SpaceXを除くすべての米国企業に参加資格がある。

これまでNASAは、費用がいくらになるのかについて、固定金額契約になること以外は口をつぐんでいる。これは重要であり、なぜなら同局は2021年の月着陸システムの契約に1社のみを選んだ理由の1つは予算の制約のためだとしているからだ。契約金額の詳細は、来週バイデン大統領が会計2023年度予算を発表したあと明らかにされる、とネルソン長官は付け加えた。

「私たちは議会およびバイデン政権両方の支持を得られることを期待しています」と同氏は語った。

更新:Blue Originの広報担当者はTechCrunchに次のように語った「Blue Originは競争に参加する準備が整っており、今後もArtemis計画の成功に全力を注いでいきます。当社はNASAと協力して、できるだけ早い月への帰還という米国の目標を達成するために努力していきます」。

画像クレジット:

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロLEDを埋め込んだ極薄フィルムで脳を覆う光遺伝学用デバイスを開発、脳神経の包括的な理解に道

マイクロLEDを埋め込んだ極薄フィルムで脳を覆う光遺伝学用デバイスを開発、脳神経の包括的な理解に道

開発したマイクロLEDアレイ。写真左:マイクロLEDアレイ中空構造。写真右:マイクロLEDアレイ極薄フィルムの発光像

豊橋技術科学大学(関口寛人准教授)、獨協医科大学(大川宜昭准教授)、沖縄科学技術大学院大学(福永泉美准教授)は3月18日、脳を覆って神経細胞を光で操作する、柔軟で極薄の生体適合性フィルムに多数のマイクロLEDを埋め込んだ光遺伝学用デバイスを開発したと発表した。

近年、特定波長の光で活性化するタンパク質を使って神経細胞の活動をコントロールする「光遺伝学的手法」が注目されている。特に、複雑な脳の神経ネットワークの包括的な理解に役立つことが期待されているが、それには広範囲に分布する特定の神経細胞の部位を自在に制御できる光刺激技術が必要となる。従来の光ファイバーや顕微鏡を用いる方法では、複数の部位に同時に光をあてることが難しく、また自由に行動する動物への適用も限られる。そこで、生体に埋め込めるLEDデバイスに期待が集まっているのだが、通常のLEDでは大きすぎてこの目的にはそぐわない。

そこで研究グループは、サイズが100μm(マイクロメートル)以下、厚さが数μmというマイクロLEDを、生体適合材料である極薄のパリレンフィルムの上に格子状に配置する手法を編み出した。化学薬品で半導体結晶の特定方向だけを溶かす「異方性ウェットエッチング」という技術を使い、シリコン基板の上に形成されたマイクロLED層の下側を溶かして浮かせ、マイクロLED層だけを剥がした後、パリレンフィルムに転写した。こうすることで、曲げても光照射特性が劣化しないフィルムができあがった。これをマウスの脳の表面に貼り付けたところ、明るい青い光を放った。

マイクロLEDを埋め込んだ極薄フィルムで脳を覆う光遺伝学用デバイスを開発、脳神経の包括的な理解に道

マイクロLEDを埋め込んだ極薄フィルムで脳を覆う光遺伝学用デバイスを開発、脳神経の包括的な理解に道

マウス脳に密着したマイクロLEDアレイ極薄フィルムにおいて、3点の狙ったLEDを点灯させた光照射の様子

脳の広い範囲を覆うことができるこのデバイスを使えば、光を使った複雑な脳活動の制御が可能になる。計測技術を組み合わせれば、脳の活動と、行動や疾患との関係が包括的に理解できるようになり、新しい神経科学研究の道が拓かれることも期待される。さらに、光に反応する生体内機能分子の開発が進めば、光をあてることで薬剤を狙った部位に好きなタイミングで効かせることができる生体埋め込みデバイスによる光治療技術への応用も期待できるということだ。

KickstarterのCEOが4月に辞任

KickstarterのCEOであるAziz Hasan(アジズ・ハサン)氏は、米国時間3月21日に「Moving Forward, With Gratitude(感謝を込めて、前へ進む)」と題したブログで、クラウドファンディングプラットフォームのトップの座から退くことを発表した。3年間務めた同氏の最高経営責任者としての任期は、この4月4日が最後となる。取締役会が後任を探す間、同社のCOOであるSean Leow(ショーン・レウ)氏が暫定的にCEOを担う。

「私たちが一緒にやってきたことを、とても誇らしく思います。これほど情熱的で有能で献身的なチームを、変化と大きな節目と勝利と複雑なチャレンジの厳しい時期に率いたことは、身も縮むほど厳しく、そして得られるものの大きい体験でした」とハサン氏はいう。

CEOはその決定をFast Companyに打ち明け「個人的な反省」と、若い家族と過ごす時間を増やしたいことを動機として挙げた。ハサン氏がいうように彼の任期はこのサービスの強力な成長の時期となったが、最後の数年は相応の論争も経験した。

2020年にKickstarterのスタッフは組合結成を票決した。それをハサン氏はスタッフ宛の書簡で「本質的に敵対的である」と呼び、こう付け加えた、

その動きは会社としての私たちを反映していない。あるべき対話や決定の方法、あるいは進むべき進路を示していない。むしろ多くの点でそれは私たちを後退させるでしょう。しかも、私たちと彼らという対立ならすでにあります」。

さらに最近では、サービスをブロックチェーンへ移行する計画でクリエイターたちの反発を受けた。激しい批判の渦中で、Kickstarterは「心配にもっと応えることができるように」と、ユーザーからのフィードバックに耳を傾けることを約束した

レウ氏は声明で、ハサン氏の業績を強調している。

アジズは過去3年間、Kickstarterに対してCEOとして彼のクリエイティブな精神と体験を多く注いできました。彼の貢献に深く感謝するとともに、その後を継ぐ者として、すでに生まれている数々のクリエイティブなプロジェクトを育てていきたいと思います。クリエイティブなプロジェクトの力を固く信じる者として、私は次のリーダーを探す間、Kickstarterを正しい方向に進めることに専念したい」。

共同創業者で前CEOのPerry Chen(ペリー・チェン)氏も、同じ気持ちを述べている。

アジズ・ハサンは会社の危機的な時期にKickstarterのリーダーの座を引き受け、彼の任期全体を通じて思慮深く堅実な手腕を発揮しました。それには、クリエイティブなプロジェクトに対する歴史的で画期的な投資方式や、パンデミックの間のさまざまなチャレンジへの対応もありました。Kickstarterの未来のCEOを探す間、ショーン・レウが会社を率いてくれることは、非常な幸運である。彼はその長いKickstarterの任期において、会社の最も重要な企画のほとんどを一緒になって引っ張り、彼の深い経験と情熱を注いで、クリエイティブなプロジェクトに命を吹き込んできました」。

Kickstarterに参加する前、レウ氏はFacebookに勤務し、ソーシャルメディアアートサイトNeochaを共同設立していた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【3月24日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はテスラ事業拡大計画、2位はChrome OSでSteam利用可能に

【3月24日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はテスラ事業拡大計画、2位はChrome OSでSteam利用可能に

掲載記事のうち、3月24日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす


イーロン・マスク氏は、Tesla初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

第2位:Chrome OSにSteamが(正式に)やってきた


数日前にGoogle自体がこの発表を誤ってリークしたため、デジャヴのように感じるかもしれないが、同社は本日、米国時間3月22日、Chrome OS上でのSteamOSの提供開始を正式にアナウンスした。

第3位:Zoomの新3Dアバター機能で、ちょっと不気味な動物としてミーティングに参加できるように


百聞は一見にしかず、というが、このZoomの新機能のイメージは次のひと言で言い表せる。「はぁ?」。Zoomは米国時間3月22日、ウサギ(または犬、キツネ、パンダ、馬など)の姿でミーティングに参加できる機能を発表した。

第4位:欧米の制裁でロシアから逃げ出すテック人材、この波は数十年続く慢性的な頭脳流出の最後かもしれない


欧米の制裁と政情不安により、ロシアでは国際的な事業を展開することが不可能になり、起業家やコンピュータープログラマー、その他教育を受けた中産階級の人々が国から脱出している。

第5位:ポルシェが、独自のEV充電ステーション網を構築すると発表


Porscheは、2023年より独自に世界的な専用充電ステーションのネットワークの構築を開始すると発表した。これは他社との提携に依存するとしていた当初の戦略から逸れることを意味する。

画像クレジット:Brands&People on Unsplash
ROBYN BECK/AFP / GETTY IMAGES
GOOGLE
ZOOM
PEOPLE LINE UP TO WITHDRAW U.S. DOLLARS AT A TINKOFF ATM IN A SUPERMARKET ON TVERSKAYA STREET IN MOSCOW. GETTY IMAGES
PORSCHE

Instagramが商品のタグ付け機能を米国の全ユーザーに拡大

Instagram(インスタグラム)は米国時間3月22日、今後数カ月間で商品のタグ付け機能を米国の全ユーザーに拡大すると発表した。これまでは投稿に含まれる商品にタグ付けできるのはInstagramのクリエイターだけだった。今後は米国の全ユーザーがInstagramショップに対応している企業の商品にタグ付けできるようになる。同社は、この拡大によりタグ付けした人のフォロワーは紹介されている商品を見つけやすくなり、企業にとってはInstagram上のオーディエンスを増やすことにつながると説明している。

誰かがInstagramで商品にタグを付けると、その企業に通知が届く。企業は自社のプロフィールからタグ付けされたコンテンツをすべて見ることもできる。さらに、企業がタグ付けできる人を制御する設定もある。

自分の投稿で商品にタグを付けるには、写真またはビデオを選択し、キャプションを追加してから「次へ」ボタンを選択する。投稿中のブランドをまずタグ付けすると、商品にタグ付けするオプションが表示される。そこから「Tag Products(商品にタグ付け)」をタップして企業を検索し、タグを付けたい商品を見つけて自分の投稿に追加する。1件の投稿で複数の商品にタグを付けられる。

InstagramはTechCrunch宛のメールで「お気に入りの小さい会社から新しいイヤリングを手に入れたら、フィードの投稿でその商品にタグ付けすると、あなたの友人やフォロワーはそのイヤリングについて詳しく知り、購入できます。人々はトレンドやインスピレーションを共有し、発見するためにInstagramを利用しています。商品のタグ付けにより誰もがお気に入りの小さい会社を応援し、使用した商品とともに自分のスタイルを共有できるようになります」と説明した。

画像クレジット:Instagram

Instagramによれば、アプリ上で平均して160万人が週に1つ以上のブランドにタグ付けをしているという。同社はここ数年、アプリでのショッピングをスムーズにすることに取り組んできた。

2021年に同社は新機能として米国でアプリの「ショップ」タブ上部に「ドロップ」を追加し、オンラインで買い物をする人と商品を結びつけようとした。消費者はドロップで最新の商品を見つけ、ブラウズし、購入できるほか、近日発売の商品も見られる。興味のある商品のリマインダーを受け取れるように登録したり、Instagramで公開された他のドロップから商品やコレクションを見る機能もある。

2020年には「ショップ」タブが再設計された。Instagramショップは好きなブランドやクリエイターの商品をブラウズできる場所と説明されている。「ショップ」タブでは例えば「ビューティー」や「ホーム」といったカテゴリーで絞り込んでから、アプリ内で直接商品をチェックできる。

画像クレジット:Instagram

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

米証券取引委員会が企業に気候変動に関する目標や温室効果ガス排出量の開示を義務づける新規則を提案

米証券取引委員会(SEC)が提案した新しい規則は、上場企業に自社が排出する温室効果ガスの開示を義務づける。これはバイデン政権が、気候変動リスクを特定し、2030年までに排出量を52%も削減するという目標を達成するための取り組みの一部だ。SECの3人の民主党委員はこの提案を承認したが、共和党委員のHester M. Peirce(ヘスター・M・パース)氏は反対票を投じた

「私は本日の提案を喜んで支持します。なぜなら、この案が採用されたら、投資家が投資判断をする際に、一貫性があり、比較可能で、意思決定に有用な情報を提供できるようになり、そして上場企業にも一貫性があり、明確な報告義務を与えることになるからです」と、SECのGary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)委員長は述べている。

この新規則の下では、企業は気候変動リスクが自社の事業や戦略にどのような影響を与えるかを説明しなければならなくなる。企業が排出するCO2を公表することが求められ、大企業はその数値を独立したコンサルティング会社に確認させる必要がある。また、仕入先や顧客からの間接排出が、自社の気候目標にとって「重要」な場合は、その排出量を開示する必要もある。

さらに、カーボンフットプリントの削減を公約している企業は、その目標を達成するための計画を説明する必要がある。これには植林などのカーボンオフセットの利用も含まれるが、Greenpeace(グリーンピース)が最近の報告書で述べているように、実際の排出量削減の代用にはならないとの批判もある。

SECはすでに自主的な排出量ガイダンスを考慮しているが、新規則はこれを義務化するものだ。Ford(フォード)などの多くの企業はすでに、工場の生産過程における排出ガスから、販売した自動車の燃料消費量まで、排出量データを公開している。しかし「義務化されないとやらない企業もたくさんある」と、気候関連財務情報開示タスクフォースのチーフを務めるMary Schapiro(メアリー・シャピロ)氏は、報告書の発表に先立ち、The Washington Post(ワシントン・ポスト紙)に語っている。

この規則案がSECのウェブサイトで公開された後、一般市民は60日の間にコメントを出すことができる。最終的な規則は数カ月後に投票で採用が決まると、数年かけて段階的に導入されることになりそうだ。これに対し、ウェストバージニア州などの共和党員は、企業団体とともに、近い将来において気候変動は投資家にとって重要な問題ではないとして、法廷で争うことになる可能性がある。

しかしながら、専門家たちは時間が非常に重要であると警告している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は最近、地球温暖化の影響の多くは「不可逆的」であり、最悪の事態を回避するための時間はわずかしかないとする報告書を発表した。Antonio Guterres(アントニオ・グテーレス)国連事務総長は、この報告書を「気候変動に関するリーダーシップの失敗を痛烈に非難するもの」と呼んだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve Dent(スティーブ・デント)は、Engadgetの共同編集者。

画像クレジット:Luke Sharrett/Bloomberg / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

BYDとLucidがNVIDIAの自動運転プラットフォームを採用する最新のEVメーカーに

NVIDIA(エヌビディア)は、同社のDrive Hyperion(ドライブ・ハイペリオン)プラットフォームを採用する自動車企業に、新たに2社の電気自動車メーカーが加わったことを発表した。Drive Hyperionは、自家用乗用車からロボットタクシー、自律走行トラックまで、あらゆるクルマの自動運転機能を強化するコンピューターおよびセンサーツールキットである。

その2社とは、中国のBYD(バイド、比亜迪汽車)と米国のLucid Group(ルシード・グループ)だ。両社は、インテリジェントパーキングや先進運転支援システム(ADAS)など、ソフトウェア定義機能を自社の電気自動車に提供しているが、米国時間3月22日に開催されたNVIDIAの「GTC 2022」AI開発者会議で、NVIDIAのハードウェア、ソフトウェア、コンピュートソリューションに依存する自動車メーカーの仲間入りを果たすことを発表した。他にもJiDU(ジドゥ)、Polestar(ポールスター)、Li Auto(リーオート、理想汽車)、Nio(ニオ、上海蔚来汽車)、Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)、Volvo(ボルボ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Jaguar Land Rover(ジャガーランドローバー)などが、NVIDIAのテクノロジーを採用している。

自動車メーカーは、運転をアクションではなくスポーツ観戦に近づけるような機能を約束することで、潜在顧客となる人々の注目を得ようと競い合っている。問題は、多くの企業が「ソフトウェア定義」のアプローチで実現すると豪語しているものの、実際には低レベルの自律走行を実現するためのリソースさえ、自社で持っていないことだ。

なぜなら、クルマに自律走行機能を組み込むためには、機械学習アルゴリズムを訓練するための何百万キロメートルもの走行データ、センサーからデータを取り込んでリアルタイムに判断できる高度なソフトウェア、そしてそのすべてを動かすのに必要な計算能力を持つコンピューターが必要だからだ。このような技術は、一般的な自動車メーカーの手に負えないため、自動車会社がIntel(インテル)やQualcomm(クアルコム)、そしてNVIDIAなどの企業に、現在の自動車市場に対応するために必要なツールの開発と統合を依頼することが増えているのだ。

その結果、少なくともNVIDIAにとっては、今後6年間で110億ドル(約1兆3300億円)を超える自動車関連企業とのパイプラインができた。わずか1年前の80億ドル(約9700億円)からそれだけ増加したと、NVIDIAの自動車担当バイスプレジデントのDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏は述べている。DeepRoute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)やWeRide(ウィーライド)など、自動運転関連のスタートアップ企業も、NVIDIAのDrive Hyperionエコシステムに参加することを発表しており、NVIDIAのリーチはさらに拡大している。

BYDは、現在提供されている「DRIVE Hyperion 8」アーキテクチャを使って、次世代の「新エネルギー車」を2023年初頭から製造開始すると、3月22日に開催されたNVIDIAのカンファレンスで発表した。BYDによれば、同社は自動運転とインテリジェントなコックピット機能のための中央演算とAIエンジンとして、NVIDIAの「Drive Orin(ドライブ・オーリン)」車載用システムオンチップ(SoC)のみを使用するという。Orinは1秒間に最大254兆回の演算を可能とし、自動運転車で同時に実行される大量のアプリケーションとディープニューラルネットワークを処理できるように設計されている。BYDは、Hyperion 8が提供するソフトウェアやセンサー類を使用するかどうかなど、さらなる詳細についてはまだ明らかにしていない。

Lucid Groupは同じカンファレンスで、同社の先進運転支援システムである「DreamDrive Pro(ドリームドライブ・プロ)」がNVIDIAのDRIVEプラットフォーム上で構築されていることを明らかにした。現在路上を走っているすべての電気自動車セダン「Lucid Air(ルシード・エア)」には、LucidのADASに統合されたNVIDIAのSoCが搭載されているが、この自動車メーカーは現在も自社製のソフトウェアスタックを使用しており、自動運転とインテリジェント・コックピット機能のために、14台のカメラと1基のLiDAR、5基のレーダー、12個の超音波センサーからなるセンサー群に頼っている。Lucidは、将来の製品についてNVIDIAとさらに協業することを計画しているが、現時点では詳細を公表していない。

NVIDIAのハードウェアとアーキテクチャでシステムを構築することで、これらの自動車メーカーは、NVIDIAが将来的に性能を向上させた際には、Over-the-Air(無線経由)ソフトウェアアップデートで車載機能を強化することが可能になると、NVIDIAは述べている。

「Lucid Airにプログラマブルで高性能なコンピュート・アーキテクチャを採用することで、この自動車メーカーはNVIDIA DRIVEのスケーラビリティを活用でき、モデル数の増加にともなって常に最新のAI技術を取り込むことができます」と、NVIDIAは声明で述べている。

次世代のNVIDIA DRIVE:Hyperion 9

2021年11月、NVIDIAの秋のGTCイベントで、創業者兼CEOのJensen Huang(ジェンスン フアン)氏は、2024年型の車両向けにHyperion 8の提供を開始すると発表した。そして3月22日、フアン氏は2026年に出荷を開始する車両向けとなる新世代アーキテクチャ「Hyperion 9」を発表した。

Hyperion 9はセンサー群の一部として、14台のカメラ、9基のレーダー、3基のLiDAR、20個の超音波センサーを備えるという。先代の12台のカメラ、9基のレーダー、1基のLiDAR、12個の超音波センサーからさらに増えていることがわかる。

「クルマの周りで起こっているすべてのことについて、実に多様で冗長性のある視点を得ることができます」と、シャピロ氏はTechCrunchによるインタビューで語っている。「また、これにはAtlan(アトラン)が採用されます。我々のロードマップではOrinの後継として求められているため、Atlanは追加されたセンサーから入ってくるすべてのデータを処理できる、より高性能なSoCになるでしょう」。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)