小さく切って折り曲げられる画期的マルチタッチセンサーを開発中

MITのメディアラボとドイツのマックス・プランク研究所のチームが小さく切ったり、折り曲げたりできるマルチタッチセンサーを開発中だ。このセンサーはどんなに小さく切ってもマルチタッチ機能を発揮する。またさまざまな形状の表面に貼り付けることができる。

現在のデザインではセンサーの縦端と横端に設置された出力コネクタにタッチを感知する素子が格子状に結線されている。そのため端の部分が損傷すると広い範囲のタッチ情報が読み出せなくなる。この新しいセンサーでは素子がスター状に結線され、コネクタは中央に配置されている(ビデオ参照)。つまり端を切り取っても内側の素子の読み出し情報が失われることはない。たとえば長方形のセンサーの周囲を切り取って円形にしても作動するわけだ。

研究チームのSimon Olberding、Nan-Wei Gong、John Tiab、Joseph A. Paradiso、 JürgenSteimleは次のように書いている

このように切り落として自由に形状を変えることができれば、エンドユーザーがさまざまな物体、たとえばプロトタイプやペーパークラフトにさえ容易にマルチタッチ・センサーによる対話機能を与えることが可能になる。われわれは切断、破損その他の障害に対するセンサーの耐久性を向上させることができる新しいプリント配線のトポロジーおよびエラー訂正に関するテクノロジーを提案している。

研究報告書はこちら。布や紙にもマルチタッチ機能を組み込めるということだから、バンドにマルチタッチを組み込んだスマートウォッチや、それどころか、袖にマルチタッチ機能を組み込んだシャツが現れるかもしれない。

といっても今すぐに実用化されるわけではなさそうだ。今のところごく初期のプロトタイプ段階のようだが、大いに期待のもてるテクノロジーだ。

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手作りロボットのための汎用コンポーネントとしてのスマートモーターMoti, Kickstarterで苦戦

ロボットを、まるで子どもの遊びのように簡単にDIYしよう、というプロジェクトは、前にもあった。今回ご紹介するMotiは、スマートフォンでコントロールするスマートモーターで、今Kickstarterで資金を募集している。このモーターを、ボール紙で作った箱や、3Dプリントで作ったオブジェクトなどにくっつけると、スマートフォンでコントロールできるロボットを子どもにでも(あるいは大きな子どもにでも)作れる。SpheroをDIYする、と考えてもよい。

Motiを作っているトロントの企業は、こう説明している: “Arduino互換のマイクロコントローラや多くのセンサ、プログラムによる制御、拡張のためのI/Oピン、Web API、Moti同士のネットワーキング、Bluetoothインタフェイスなどを内蔵しているので、サーボとして理想的だ”。

Motiのコントロールは粒度が細かいので、ユーザはたとえば、回転する回数や、急停止命令などを指示できるという。この細かい粒度があるために、相当細かい自由な動きをスマートフォン側のAndroidアプリにプログラミングできる。

またプログラムからではなく、ライブで動きを制御するためのグラフィカルなインタフェイスもあるから、ユーザはタッチスクリーン上のホィールやスライダーを使ってモーターの回転を制御できる。このように、ソフトウェアのアクションとハードウェアの動きとのあいだに、直接的な連係があるので、作者たちは、Motiは子どもたちの想像力をかきたて、遊びが仕事のおチビさんたちを小さなハードウェアハッカーにしてしまう、と言っている。

複数のMotiをデイジーチェーンして、大きなロボットプロジェクトを作れる。あるいは、一つのMotiで個々のオブジェクトをコントロールしてもよい。後者のこれまでの作例としては、窓のブラインドの角度をリモートコントロールする、カメラを乗せた移動車をコントロールしてストップモーション撮影をする、などがある。

ほかの電子回路や電子装置をMotiにつないで、より高度なロボットにできる。MotiにはArduino互換のマイクロコントローラがあるので新たなセンサやシールドを加えて、それらも含めたプログラミングができる。

それに、Web-APIがあるから、WebアプリケーションやWebサイトからMotiで動くロボットをコントロールすることも可能だ。“新しい種類のビデオゲームを作れるだろう。それに、視覚化やチュートリアルなどを、機器や装置などの実物と連動させることも可能だ”、と彼らは言っている。

Kickstarterの目標額は16万5000ドルとやや大きい。最初の生産量を2000基としているが、投資家たちの理解は得られるだろうか。今は総額12000ドルしか集まってないし、期限まであと12日しかない。〔日本時間10月9日18時で14000ドル弱。なかなか厳しい。〕

60ドルを出資(約束)するとMotiを一つもらえる(電源などのアクセサリはなし)。90ドルなら、Bluetoothシールドつきだから、無線でコントロールできる。発売は、2014年の7月となっている。

〔参考記事: 機能型ブロック玩具

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速報:Appleが10月22日にプレスイベント開催―新iPad、OS X Mavericksを発表へ

Appleは10月22日に招待のみのプレスイベントを開催する。All Things DiのJohn Paczkowskiによれば、Pad、Mac Proのニューモデル、OS X Mavericksの発表が行われるという。

iPadの発表に関してはジャストのタイミングだ。昨年のイベントは10月23日だった。またAppleはOS X Mavericksを秋にリリースするとしている。またMac proのアップデートも秋に行われるはず。今回のプレスイベントで出荷の予定日も明らかになるとよいのだが。

発表されるiPadはフルサイズ版とiPad miniの両方だろう。今回、miniにRetinaディスプレイが採用されるかどうかまだはっきりしないが、採用される可能性が高そうだ。大型iPadはベゼル部分が削られて多少小型化し、厚さもスリムになるものとみられる。チップにはA7が採用されるだろう。Current EditorialのMicah SingletonはiPad miniにはA7プロセッサーは採用されない、現在iPhone 5Cに使われているA6が細葉されると予想した。今回のAll Things Dの記事はminiにA7が採用されるとしている。一方iPadにもTouchID指紋認証が導入されるというリーク情報もある(カット写真はそれに基づいたイメージ)。もちろんまだ確認されたわけではない。

iPhone 5Sの例にならうのであればiPadもスペースグレー、ゴールド、シルバーのカラーバリエーションになるかもしれない。

10月22日前後には他のIT系イベントがいくつかある。MicrosoftのSurface 2の出荷が21日で、22日にはNokiaの秋のイベントが予定されており、タブレットを含む新モデル6機種が発表されるはずだ。.

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Raspberry Piの世界総売上が175万台に到達, 内100万がMade In U.K.

Raspberry Piマイクロコンピュータは25/35ドルと安く、多くのDIYハードウェアプロジェクトを育て、全世界で売上175万台に達した、と同製品をイギリスで作っているRaspberry Pi Foundation(RPF)が今日(米国時間10/8)発表した。最初のPiは2012年3月に発売され、イギリスのメーカーたちは当時、最初の年(2012)は1000台ぐらい売れるかな、と想像していた。しかし結局は100万台近く売れ、2年目の今年は200万に近づいている。

またイギリスにとって有意義なのは、製造をイギリスに移して以来、100万台のPiが作られたことだ。その工場はウェールズにあるSonyのPencoed工場で、100万台のPiはそこで生まれた。

最初は、安価な電子製品の常としてPiも中国で作られていた。しかしRPFはイギリスのスタートアップであり、製造過程を頻繁に気楽に見回れるためにも国内で作りたかった。また、イギリスの製造業を育てたいという意図もある。そこでSonyが選ばれ、そのPencoed工場が今日、100万台めのPiを世に送った。

つまり175万台のうち75万台が中国で作られたことになる。PiのメインのディストリビュータであるPremier Farnell/element 14が製造をすべてウェールズに移したのは今年の3月だったが、今でも一部はイギリス以外で作られている。

この太陽光発電で動くFTPサーバのように、Raspberry PiはDIYハードウェアのプロジェクトに使われてコミュニティを活発化しているが、それと同時にPiは、学童たちのプログラミング入門を助けている〔Piの最初のねらいがそれ〕。今年の年初には、Googleがイギリスの学童に15000台のPiを寄付するための100万ドルの基金を立ち上げた。またアフリカでも、学校のコンピュータ教室の基本装備として採用されている。

今年の4月の、出荷台数120万台の時点でRPFは、出荷先の国別分類を発表した。およそ98%がイギリスやアメリカなどの西欧諸国だ。PiのファウンダEben Uptonによると、途上国への普及がこれからの大きな課題だという。

具体的にはたとえば、ディストリビュータのRS Componentsは今では南アフリカに在庫を置いている。アフリカ南部の諸国に、迅速に出荷できるのだ。“一つ一つイギリスから送ることに比べると配送コストも安いし、確実な配達ができる。どんな物でも、ヨーロッパからアフリカに直接送るのは問題が多い”、とEbenは語る。

“南米市場も開拓したいが、輸入関税の高い国が多いから、上手なやり方を今研究中だ。まだ発表の段階ではないが、重視している市場であることは確かだ”、と彼は言う。

さらにこのところ、アジア向けの出荷が伸びている。“国別で言うと、総台数で最大は合衆国、人口一人当たり台数で最大はイギリスだが、今ではアジア市場、とくに日本と韓国とフィリピンが対前月比の伸びでは最大だ”、とUptonは言う。

今日の100万台めのPiは、どこへも行かない。“Sonyが、保存用の金貼りのケースを作ってくれた。ケンブリッジのPi Towersに展示して自慢したい”、ということだ。

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FiLIPは音声通話もできる子供向けスマートウォッチ―クリスマス・ショッピングで迷子にならずにすむ

ホリデーシーズンが近づいてきた。クリスマスの買い物でショッピングモールを家族で駆けまわる季節だ。ウェアラブル・デバイスのメーカー、Filip Technologiesはこの季節に間に合うようGPSと携帯電話機能を内蔵した子供向けスマートウォッチを発売する。これで両親は子供が迷子になるのを心配せずにすむ。Filip Technologiesはこの製品の開発に3年をかけたということだが、今回AT&Tと提携することに成功した。販売と課金はAT&Tが行う。

Filip TechnologiesのCEO Jonathan Peacheyは「本体価格とサービス料金は数週間後に発表される予定だ。 ただしFiLIPスマートウォッチの価格は200ドルは超えないだろう。音声とデータ通信料金も家族に負担とならないレベルに低く抑えられる」と説明する。

スマートウォッチの本体はボタンが2個ついており、カラフルで明るいデザインだ。両親のスマートフォンにインストールしたアプリと連動するようになっている。両親は子供と音声で通話できる他、GPS、無線中継塔とWiFiの三角測量によって子供の現在位置が正確に表示される。スマートウォッチの非常ボタンを押すとただちに周囲の音が録音され、あらかじめ設定した非常の際の通信先に接続される。このデバイスが腕時計タイプなのはスマートウォッチのブームを当て込んだというよりも、子供は身につけたもの以外は失くしやすいからという理由が大きい。

FiLIPウォッチの対象は11歳以下の子供だ。親が子供に携帯を持たせる年齢は12歳以上になってからが多い。GPSを内蔵した迷子札や子ども向けの機能限定のスマートフォンなども市場に出ているが、FilipTechnologiesではこの製品の特長に自信を持っているという。

「ロケーション情報と音声通話の両方ができる。しかも子どもが失くさないウェアラブル・デバイスだ。こういう製品は他にない」とPeacheyは言う。

FiLIPにとってこの夏は多忙だった。FCCの認証を得たのが7月で、完全な双方向の音声通話が可能なウェアラブル・デバイスyだったという。Peacheyは7月にFilIPのCEOに就任する前はVirginグループでVirgin Management USAのCEO、サー・リチャード・ブランソンの顧問などを勤めていた。

Peacheyによれば「FCCの認証テストに提出できるプロトタイプを開発するのに2年かかり、プロトタイプを現在のサイズにま小型化するのに9ヶ月かかったという。

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Google Glassに乗り換え案内機能が追加―これを着けてバスに乗るのはまだちょっと目立つ

今日(米国時間10/7)、Google GlassにXE10アップデートで乗り換え案内が追加された。ただしこの機能を利用するにはAndroidデバイスとペアリングする必要がある。これまでGlassには徒歩とカーナビの機能はあったが、公共交通機関はカバーしていなかった。

今回のアップデートで、バス、路面電車その他の交通機関が案内されるようになった。目的地を告げるとGlassが望みの交通手段による正確な経路と所要時間を教えてくれる。ナビゲーション・システム事態は接続されたAndroidデバイスにインストールされているのでGlass単独、あるいはiOSとの接続では機能しない。現在のところAndroid版のMyGlassアプリだけがGlassに位置情報サービスを提供できる。

Glassの開発チームによれば使い方はこうだ。ホームスクリーンから“Ok glass, get directions to…”と音声で命じる。Glassはユーザーが前回利用した交通手段による経路案内を表示する。乗り換え案内を見るにはカードをタップし、スワイプしTransitを表示させればよい。

なるほど操作は簡単だ。しかし私としてはいささか気がかりな点ががある。サンフランシスコのような新しもの好きの都会でもGlassはまだ物珍しい。Glassを着用して公共交通機関に乗るのはまだいささか周囲の視線が気になる。私は町中と郊外の両方でGlassを着けて電車やバスに乗ってみたが、居心地がいいとはいえなかった。なにしろ1500ドルもする製品だから盗られやしないかと心配だった。

もっともそんなことでGlassチームが開発の手を緩めることはない。Google I/Oでの約束のとおり、毎月1回のアップデートを続けるに違いない。

今回のアップデートではその他に2つの機能が追加された。一つはカードをタップしてツイートやメールの中のリンク先を開く機能だ。もう一つは、メッセージを送信するときに相手のプロフィール画像が表示される機能だ。テキストは画像の上にスーパーインポーズされる。

まだお気に入りのアプリが見つからない? 最近公開されたGDK (Glass Developer Kit)を使えば、現在のウェブベースのアプリではなく、ネーティブのGlassアプリが開発できる。その登場を期待しよう。

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目の前の様子を30秒毎に撮影し続けるライフロギングカメラのMemoto、名前をNarrativeに変更して世界にうって出る準備は完了

スウェーデンのMemotoにとって、Kickstarterの活用は大成功だった。調達目標額の11倍にものぼる額(55万ドル)を調達して、無事、ライフロギング用カメラの生産を開始した。このカメラは身につけて使うことを想定している小さなデバイスだ。カメラ本体にボタンはなく、身につけている間、目の前の写真を撮り続ける。但しこのカメラ、これまでのMemotoの名前を捨て、新たにNarrativeとして世に出て行くことにしたようだ。調達した300万ドルの資金で運営を行っていく。資金を調達して、そして名前を変えて、新たな気持ちで世界に打って出る、という心づもりなのだそうだ。

実のところを言えば、同一ジャンルのサービスで、既にMemotoという名前が使われていることが判明したようなのだ。商標絡みの争いに巻き込まれることを避け、Narrativeという名前に変更することにしたというわけだ。潜在的な危機を回避したことで、今後は大手を振ってプロモーションも行えるようになった。また名前を変えることで、カメラ以外のプロダクトにもサービスを広げやすくなったと、肯定的にとらえておいて良いのではないかと思う。

カメラの名前は変わったが、しかし外見は以前から変わらない。プレオーダーをしている人も、ちゃんとイメージ通りのものが届くので心配はいらない。プロダクトは予定通り、そして会社にはKickstarterで獲得した資金以外にも資金が注入された。サンフランシスコのTrue Ventures主導による300万ドルのラウンドが完了したのだ。True Venturesはこれまでにも、MakerBotやFitbitなどのハードウェアスタートアップに資金を提供してきた。そういえばNarrativeはフィットネス部分以外について「データ化」(quantifying)する目的があるわけで、Fitbitに似ていると言えるかもしれない。ちなみに今回のラウンドにはLDV CapitalおよびロンドンのPassion Capitalも参加している。Passion CapitalはこれまでにEyeEmやLoopcamにも出資した経験を持っている。

Narrative Clipは、11月から予約購入者に向けて出荷される。また、初期ロット版もグレイ、ホワイト、オレンジに関してはまだオーダー可能となっている。このカメラは30秒毎に写真を撮り続ける。そして位置情報や時刻情報と一緒にネットワーク上にデータを送る。後にサイト上から閲覧したり共有することができるようになっている。写真は5メガピクセルで、バッテリーは充電式で2日間動作するようになっている。

Kickstarterで人気を集めたプロダクトの名前を変更するというのは、確かにある面ではマイナスであったかもしれない。しかしライフロギング用のカメラというのは、まだまだ新しい存在だ。おまけにまだ出荷すらしていない状態だった。そういうことを鑑みるに、名前の変更がマイナスの要因となるようなことはないと言っても良いだろう。ワーキングプロトタイプで撮影した写真を見ると、こうした「自動撮影」によるソーシャルフォトというのもなかなか面白いものとなるケースが多そうだ。きっとあらゆるケースで使ってみようとするであろう最初のユーザーたちが、どのように使うのかを楽しみに見てみたいと思う。

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(翻訳:Maeda, H


NTT Docomo、ついにiPhoneの取り扱いも開始するも(在庫不足もあり)加入者流出が止まらず

日本の通信キャリアであるNTT Docomoは、9月に加入者が大幅に減少したことを発表した。NTT Docomoは、これまで日本のメジャーキャリアの中では唯一iPhoneを提供していなかった。しかし今回のiPhone 5sおよびiPhone 5cにあわせて、9月からのiPhoneの提供を開始した。iPhoneを求める利用者の流出を防ぐ狙いもあったはずだが、どうやら奏功しなかった形だ。NTT Docomoは、むしろiPhoneこそが顧客流出の原因になった可能性があるとしている。つまりiPhoneの取り扱いを決定したことで顧客層の心に火がついたものの、販売店では品薄が続き、それにより待ちきれなくなった顧客が流出してしまった面もあるようだ。

ロイターのレポートによれば、DocomoはiPhoneの在庫不足により66,800名の加入者を失ってしまうことになったそうだ。ライバルのKDDIやSoftbankと明暗がわかれてしまったかっこうだ。両者ともに新しいiPhoneの登場を受けて、加入者数を伸ばしているのだ。こうした状況をみてDocomoは、両者については十分なiPhoneを供給されていたのではないかとしている。

スタートダッシュには完全に失敗したように見えるDocomoの状態ではあるが、しかし結局のところはiPhoneを扱うことにしたのは成功と出るのではないだろうか。アメリカの状況を見てみても、当初はiPhoneの販売を独占していたAT&Tのライバルたちが、利用者を取り戻し始めたのはしばらくたってからのことだった。在庫については、あるいは今回の初期販売台数については、既存取り扱い2社に対して優先割り当てがあったのかもしれない。あるいはDocomo側の見積もりに甘さがあったのかもしれない。iPhoneの吸引力を理解するにも、やはりそれなりの時間がかかることだろう。

ともかく、この日本の動きを見て、世界の携帯キャリアは、iPhoneの「力」を再認識することになったのではないだろうか。iPhoneを使うためにキャリアを乗り換え、そして手に入れられるとわかっていても、待ちきれなくなってしまう。これまでのデバイスを、馴れたキャリアで使い続けて数週間待つことよりも、すぐに他のキャリアで使い始めたいという気持ちになってしまうものなのだ。各国のキャリアは寺社サービスの「土管化」(dumb pipe)を危惧している。しかし、日本のマーケットを見ると、まさにそうした事態になりつつあることがよくわかる。

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(翻訳:Maeda, H


MIT研究者グループ、外部動作部なしに自己組換を行うモジュラーロボットを開発

自分で構造を変えることのできるロボキューブ(robo-cubes)の登場だ。外部に動作部を持たずに自力で動きまわるようなものが出来るわけがないという意見もあった中、MITのリサーチサイエンティストがついに作り上げた。これでついに完璧版なリアルテトリスが楽しめるようになる(もちろん開発の目的なそのような用途ではない)。バラバラに散らばった状態から、自動的に秩序ある構造に組変わる。ドクター・フーに登場したダーレク(Dalek)の軍隊をつくって、他の惑星に送り込むようなことができるようになるかもしれない。

このロボキューブはM-Blockと名付けられている(上のビデオに動作の様子あり)。ひとつひとつのキューブを「モジュール」に見立てている(今のところは実用性はない)わけだが、外部に動作部がないのがとても面白い。動きの秘密は内蔵しているフライホイールにある(毎分2万回の速度で回転する)。これにより、他のブロックの上にのぼったり、ジャンプしたり、あるいは回転したりという動作が行えるようになっている。動作部どころか出っ張りも何もないキューブが自在に動くのは不思議な感じだ。動作部が存在しないことで、キューブがどちらを向いていても動作可能であるというのも大切なポイントだそうだ。

キューブには磁石も入っていて、それにより移動の方向を定めたり、他のブロックとぴったりと重なりあうように制御することになる。M-Blockの小さな一歩が、何かのきっかけで大きすぎるジャンプとなり、机の下に転がりこんでしまうようなことを防いでいるわけだ。もちろん、そうしてどこかに隠れることが目的であるのなら、そのように動かすこともできはする。ブロックの端の方は、回転運動中に磁石の力が届かなくなってしまわないように、面取りもしてある。

ロボットのモジュール化を進めるにあたって、外部の動作部を持たせないでおくというのは長年の目標だった。聖杯(Holy Grail)であったと言っても良い。エレクトリカル・エンジニアリングおよびコンピューターサイエンスの教授であり、かつCSAILのディレクターであるDaniela Rus曰く「モジュラーロボットを研究するコミュニティで、ずっと実現が夢見られていた技術です」とのこと。インタビューの様子も上のビデオで御覧いただける。「新たな仕組みを考えだす力と、諦めない忍耐力が今回の発明に繋がったと思います」。

「モジュラーロボットで目指しているのは、目的に応じて自身を組み立てたりあるいは組み替えたりすることのできるロボットを実現することです。行うべき作業に応じて自らの姿を全く異なるものに変えることができるのです。ロボットというのは一般的にひとつの作業を行うのに特化して作られています。その特定の作業では素晴らしいパフォーマンスを発揮するものの、他の作業はからっきし駄目だという状態でした。こうした状況を変えることができるわけです」と、インタビューの中でも述べている。

長期的な話としては、たとえばモジュラーロボットを小さなマイクロボット(あるいはさらに小さくナノボット化でもいい)化して、作業現場で必要な応じた形式ないし大きさに変化するようなロボットの実現を目指しているのだそうだ。モジュールの組み合わせによって、多様な作業を行うことができる。但し、これは今のところ遠い将来の話、ないしはSF的な話ではある。

もちろん、現在のサイズのままでもモジュラーロボットにはさまざまな可能性があるのだと、M-Blocksの研究者たちは言っている。たとえば緊急時に、建物や橋などの構造物として機能させることもできる。あるいは用途に応じて組み替える家具や、あるいは大型機械としての用途もあるかもしれない。それぞれのキューブにカメラ、ライト、バッテリーなどのモジュールを搭載して、ほぼ無限の用途に利用することができるようになる。

現在は100のキューブを使って、それぞれが自在に移動して各種のテストを行っているところだ。それぞれのキューブの移動を制御する効率的アルゴリズムも開発中だ。将来的には全くランダムに配置された状態から、キューブ同士がお互いを認識して、自律的に必要とされる形(たとえば椅子やハシゴなど)に組み替えることができるようにと考えている。

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Kickstarterに登場した299ドルのオイル缶ギターがばか売れ…独特の共鳴音が魅力

おもしろい記事ネタに慢性的に飢えているわれわれは、Kickstarter詣での常連だ。もちろん、人気と宣伝につられてライターが自分のポケットマネーを投ずることも多い。この前見つけたおもしろいKickstarterプロジェクトは、Bohemian Guitar Companyの“オイル缶”ギターで、目標額32000ドルを大きく上回る54000ドルを集めた。ジョージア州の同社から今日、その巧妙なデザインのギターが送られてきたので、早速試してみた。

そのギターは、ピックアップが一つ、それをボリュームとトーンのダイヤルでコントロールする。底に木製のブリッジがあり、メープルウッド製の上質なネックが缶の底まで達している。ボディーは、いかにもリサイクル品に上塗りしました、という風情だが、人がピックした弦に優れた共鳴音(ビヨォ~~~ン)を加える。ヘッドはよくできているが、ぼくのはややきつかった。ピックアップは、シンプルだが最良の共鳴と音質が得られる場所にある。

音はこんな音だが、ぼくのギターのヘタクソは我慢していただきたい:

音は共鳴倍音の多いビヨンビヨンだが、そのため、アコースチックのスチールギターとしても通用する。名人のギタリストなら、これを最高に効果的に使えるだろう。Iron City JazzのCharlie Appicellaに見せたら、軽くて弾きやすいがプロのジャズギタリストが使うには、ちょっとかわいいすぎる、と言った。でも。サーフバンドやカントリーの人なら、逆にステージ映えするだろうし、Bo Diddleyっぽくすらなるだろう。

お値段は299ドルだが、一部は子どもたちを音楽好きにするためのボランティア活動に寄付される。それは立派な目標だし、作者のAdamとShaun Lee兄弟はKickstarterで見事にビジネスを作り上げた。今はどのモデルも売り切れだが、現在はヒップスター的なデザインの缶を使ってBohoファッションに挑戦している。なにしろ、写真を見ただけでも強い説得力のある、そして意外にもクールなプロジェクトだ。ビジネスとして好調なことも、おもしろい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、HTCのAndroid Phoneを使ってWindows Phoneとのデュアルブートを画策中?!

AndroidフォンのセカンドOSとしてWindowsを搭載するというのはどうだろう。そんなアイデアを持って、MicrosoftがHTCにアプローチしているのだそうだ。報じているのはBloombergだ。2つのOSをどのような形で共存させるのかは定かでない。デュアルブートを行うのか、それともハードウェアが共通というだけで、どちらかのOSが搭載されている端末を選択するということなのだろうか。いずれにせよ、Microsoftは、自社製モバイルOSの普及に向けて、できることはなんでもやろうと考えて、そして動き出したのかもしれない。

Bloombergの情報源によれば、話はまだまだ始まったばかりなのだそうだ。HTCの気持ちを動かすために、Windows Phoneのライセンス価格を低く、あるいはなしにするという提案も行っているらしい。この話の相手がHTCであるのは、既にMicrosoftのパートナーとしてWindows搭載のスマートフォンを出したこともあり、Androidを含めた双方に経験を持っているからだ(Windows Phoneに肩入れしていたというわけではないが、それは置いておくことにしたようだ)。MicrosoftのOS部門トップのTerry MyersonがHTCとの話を進めるために台湾を訪問するのだとBloombergは報じている。

あり得ない話だと思う人もいるかもしれないが、真実かもしれないと思わせる要素もある。もともとHTCはMicrosoftから頼まれてWindows Phoneを世に出しているというような雰囲気もあったが、それがMicrosoftによるNokiaの買収で、少々話が変わってきているということもある。またHTCが、なかなか売り上げを伸ばせずにいる状況もある。すなわちHTCとしても、利用者に対するアピールのためには、少々変わったデバイスを出してでも、注目を集めたいと考えている関係者もいるはずなのだ。

またMicrosoft内にもAndroidとのうまい関係を築きたいと考えているグループがあるようなのだ。情報筋によればMicrosoftの若いエンジニアでSurfaceタブレットでもAndroidとのデュアルブートにすべきだと考えている人がいるらしいのだ。そういう人たちならば、HTCのデバイスを使って、デュアルOSのスマートフォンを実現したいと考えていても不思議ではない。ちなみに、TechCrunchに入った情報によると、若手には賛同する人も多いが、管理職層のウケがあまりよくないらしい。

しかし、時代は動きつつある。CEOのバルマーは来年中に退陣する予定であると、8月にアナウンスした。エグゼクティブ層にもさまざまな動きが見られる。たとえばXbox部門のヘッドであったDon MattrickやWindows部門のSteven SinofskyはMicrosoftを去った。そうした大きな動きの中では、おそらくより良い未来を目指したラディカルな動きも認められるようになるに違いない。HTCのデバイスに、2つのOSをのせてみようというのも、そうした流れの中では当然に出てきそうなアイデアであると言えるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


初めての一般消費者向け3Dプリンタを目指すZimがKickstarterの資金募集で好調

3Dプリンタの市場は、これから先急成長するようだ。3Dプリントの魅力が一般に知れ渡り、“メーカー”呼ばれる人たちやホビイスト、それに本誌のJohn Biggsのような人たちの専有品ではなくなり、一般消費者や企業ユーザが気軽に手を出せるものになってきた。でも3Dプリンタがその広い市場に入っていくためには、使いやすさが重要だ。そこらのおじさんおばさんたちを、びびらせない雰囲気も必要。

消費者向けを意識した製品の例が、タッチ画面で操作するZeusのオールインワンコピー機で、今Kickstarterで資金を募集している。そして今回ご紹介する自称“消費者指向の3Dプリンタ”は、そこら中にプラスチック原液を吐き散らかすようには見えないプリンタを売り出すべく、同じくクラウドファンディングを求めている。そのZimと呼ばれる製品は、Zeusと違って機能は3Dプリントだけだ。3Dオブジェクトブのためのスキャナーやコピー機能はない。でも一般大衆に新しい技術を売り込むためには、できるだけシンプルであるべきかもしれない。

“今売られている3Dプリンタは、かなり技術や知識のある人でないと使えないものが多い。しかも実際に最初の3Dオブジェクトのプリントを開始するまでに、組み立てや調整で数時間もかかる”、Zimを作っているコネチカット州StamfordのZeepro社は、Kickstarterのページでこう主張している。“私たちが作りたいのは、買って箱から出したらすぐに使えるパーソナル3Dプリンタだ”。

Zimは、消費者製品に必要な、完全なプラグ&プレイを目指している。プリント工程に余計なものがなく、プリンタをインターネットに接続→モデルをダウンロード→Zimのアプリケーションを開く→プリントする、…それだけだ。すっきりとしたアルミ製の筐体、プリンタに付いているカメラが撮影するプリントの進捗状況を、スマートフォンのアプリで見られる(長時間プリンタのそばにいなくてもよい)、フィラメントの色はカートリッジ方式で簡単に変えられる(カートリッジはユーザが充填可能)、などなど、消費者向けの配慮が行き届いている。

ネット接続はEthernetとWiFiの両方を提供、Zimのアプリからだけでなく、Webブラウザからリモートでも操作できる。プリントヘッドがデュアルエクストルーダなので、同時に2色プリントができる。また、ワンエクストルーダ方式で素材に水溶性のPVAを使うと、下のビデオのように、複雑なオブジェクトを単純な工程でプリントできる。

Zimのプリント精度は1レイヤが50ミクロン、最大体積は205立方インチ(5.9”x5.9”x5.9”)だ。そしてプリントの最大速度は110 mm/s。

しかし3Dプリンタは、お値段も普及を阻んでいる要因だが? Gartnerの予想では、今後大型の多国籍小売り企業が扱うようになり、需要が増えると価格は大幅に下がるというけど。

ZimのKickstarter支援者特別価格は599ドル、発売予定は2014年3月だ。一般小売価格は、これより高いだろう…899ドルぐらいか。今Kickstarter上では目標額30万ドルの約2/3が集まり、締切りまであと20日を残している。

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Gartner曰く、家庭用3Dプリンターの出荷台数は昨年比49%増。来年再来年は倍々で伸びる

アナリストによる分析が常に正しいというわけではない。ただ、やはり大手の予測は気になるところだ。今回紹介するのは3Dプリンターに関するGartnerのものだ。レポートによれば、2013年には1万ドル未満の3Dプリンターが56,000台以上出荷されるだろうとのこと。これは昨年比で49%のジャンプアップということになる。さらに2014年には出荷台数が9万8000台以上になるとも予測しており、2015年にはそれがさらに倍になるのだそうだ。

眉唾な感じがしないでもない。だが注目すべきは具体的な数字ではない。3DプリンターというものがGartnerのレーダーに捕捉されるようになり、そして市場が拡大する見込みであると予測されている点に着目しておくべきだ。

もちろん予測事態も「ありえない」というほどのものではない。市場には安価な3Dプリンターが続々と登場し、個々人でもDIYを楽しむことができるレベルとなってきている。個人的にも、2016年までには10万台の出荷が見込めるのではないかと思っている。ホビイストや学生は大いに興味を持つことになるだろうし、価格も入門モデルならば500ドル程度で手に入るようになっている。学校の工作室には当然に備えられるようになるだろうし、家庭でDIYを楽しんでいる人も所持を考えるようになるに違いない。従来のプリンターに続いて、3Dプリンターの所有率も高まっていくに違いない。

さらにGartnerは、自らの予測を裏付けるデータをいろいろと示そうとしている。3Dersの記事を見ておこう。

「3Dプリンターは一気に進化して、研究レベルないしプロダクト開発あるいは製造の場面においても、その有用性が広く認識されつつある」とGartnerのBasiliere氏は述べる。「今後18ヵ月のうちに、アプリケーションや機能がさらに進化することとなるでしょう。するとこれまで見守っていた層も購入に向けて動き出すこととなるはずです」とのこと。

ガートナーも興味を持つようになる中、業界的には投資規模も大きくなることを期待しているところだ。Makerbotなどのスキャナメーカーは、3Dプリンターが、利益の上がる手堅い商売であることを証明しつつある。さまざまな関連企業も、事業案内に「3Dプリンター」の文字を踊らせている。キーワードとして「オープン」、「ポピュラー」、「イノベーティブ」、そしてもちろん「プロフィッタブル」などという言葉を散りばめ、事業の拡大を狙っている。

果たして3Dプリンター市場は、Gartnerの言うように「3億ドル弱の市場規模から、2017年には57億ドルの市場規模に」成長するものだろうか。可能性は十分にある話だ。既にアジアでは、PCケースを製造していたようなメーカーが、簡単な3Dプリンターを市場に送り出しつつある。入門レベルの3Dプリンターというのは、実はかくも簡単な仕組みになっているのだ。ノズルが動く仕組みと、そして整形押出機を備えていれば3Dプリンターとして動作する。ただ、大手企業が3Dプリンター関連事業に乗り出してくるかは、まだ判断のつかないところだ。たとえば、Dellが3Dプリンターを作るようなことはあり得るだろうか。それはないのではないかとも思える。OEMを受けてDellブランドの3Dプリンターを売り出すということはあるかもしれない。しかしこれまでのDellラインに、3Dプリンターというのは馴染みそうにないとも感じる。

いろいろと文句を言っているように見えるかもしれないが、3Dプリンターに注目を集めるという意味で、Gartnerが3Dプリンターを取り上げてくれたのは喜ばしいことだ。アナリストの分析に基いて、投資家の金が動き始めるということも多くある。家庭内3Dプリントというのが、どういう未来をもたらすのか、注目していきたいと思う。

via 3Ders

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(翻訳:Maeda, H


ロイター報道:レティナ版iPad miniは歳末商戦向けに投入ながら、年明けまで安定供給ならず

Appleが、ホリデーシーズンに向けて新しいiPadを準備中だとの噂がある。レティナ版iPad miniなど、複数の機種を準備中だとの話だ。但しロイターの報道によれば、レティナ版miniは年明けまでは品薄の状態になりそうだとのこと。

この話の情報元はAppleのサプライチェーンのひとつであるらしい。それによると、Retina版miniの生産台数をなんとか増やそうと試みているところながら、ホリデーシーズンにはほとんど入手できない状態になりそうだという話らしい。但し、新機種の発表自体は今月中に行いたい考えなのだそうだ。

生産が遅れそうだと見られている理由は明らかではない。但し、使用するディスプレイパネル部の消費電力について、Appleがかなり厳しい要求をしているという話もある。モバイルデバイスにおいては、ディスプレイの電力消費は常に頭の痛い問題となる。しかもAppleは新機種を出すときには前機種比で同等以上のバッテリー駆動時間を提供することを心掛けている。たとえ消費電力が間違いなく増える高解像度モデルにおいても譲れないところと考えている様子。Retina版となったからといって、バッテリーのもちを犠牲にするようなことがあってはならないと考えているらしい。確かにそれは、遅れの原因のひとつとなり得るだろう。

ロイターの情報源は、ともかくAppleのRetina版miniは少なくとも年明けにならなければまとまった台数を確保できないだろうと言っているそうだ。そうした状況を受けて、レティナ版miniの発売を来年に伸ばすか、それともともかく製造出来るだけの台数を年内に売り出すつもりなのか、それも含めて今のところは検討中であるとのこと。

尚、価格面についてもAppleはサプライヤーに圧力をかけている最中らしい(これもApple絡みではよくある話ではある)。Appleとしては、アジアマーケット等コストが大きく影響する市場を意識して、エントリー機(非レティナ)はKindle Fireなど安価なAndroidデバイスと同じ価格帯で出したい考えを持っているらしい。こうした戦略にもとづき、iPad miniの最安値モデルでは、価格を抑えるために8GBストレージモデルを用意しようとしているという噂もある。

しかし、そうは言ってもAppleのデバイスが200ドルあたりの額になることはないのではないかと思わる。それであれば、わざわざ8GBモデルなどを用意する必要はないのかもしれない。供給が追いつかないというのはAppleの新製品ではありがちのことだ。iPhone 5sもそのせいでバックオーダーがたまってしまっている。というか、新製品のリリース前には、ほぼ必ず供給状況の遅れが報道されると言っても良いくらいだ。

結局のところレティナ版iPadはホリデーシーズンに向けて売りだされるのではないかと思う。供給が間に合わなくても、在庫がなくても、ともかく売り出すのではないかと思っている。つまりは消費者がオーダーしてから入手するまでにかなり待つことになるというわけだ。今回出てきた情報は、消費者への覚悟を促す目的であるのかもしれない。実際にはそれほど待たずに製品を入手できるということも、十分にあり得るのではないかと思うのだ。どのようなスペックのものが、どういった価格帯で出てくるのかは、もちろん現時点ではわかっていない。

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(翻訳:Maeda, H


遊びながらハードウェア製作を学べるブロック玩具littleBits, もうLEGOは古い?

全世界がLEGOとK’NexとMeccanoと子どもたちの無限の想像力でできていた。でも、世界は変わり、そして玩具も変わる。ニューヨークの意欲的なハードウェアスタートアップlittleBitsも、その変化の波に乗って、LEGOに代わる新世代の組み立て玩具(ブロック玩具)を作ろうとしている。

同社が最近ローンチしたニューモデルのExploration Kitsは、子どもたちが遊びながらハードウェアを勉強できる知育組み立て玩具だ。今日はファウンダでCEOのAyah Bdeirが本誌のスタジオに来てくれて、その‘遊び方’を見せてくれた。

そもそも、littleBitsとは何かというと、色分けされた部品の集まりだ。モーターがあり、ライトがあり、ブザー、センサ、電池などなどがある。それらを積み木のように組み立てると、回路やシステムができあがる(表面が磁石になっているので互いにくっつく)。電気/電子回路に関する事前の専門知識は要らないし、めくらめっぽうにいろんな実験をしてもよい。ぼくも、上のビデオを撮ってるとき、いろんなものを組み立ててみたが、たぶん一日中やってても飽きないだろう。

たとえば、電池とライトをくっつけるとどうなるかな? モーターと車輪を組み合わせて、自動車のようなものを作り、それに光センサをつけるとどうなるか? どんなことでも、素朴なデザインの部品ブロックを互いにくっつけたり、組み合わせるだけでできる。しかもオープンソース派の彼らは、すべての部品ブロックの回路図をGithub上で公開しているから、変更も自由にできる。

部品ブロック(“bits”と呼ぶ)の種類は、いまどんどん増えている。昨年シリーズAで365万ドルを獲得した同社は、新しいキットの開発にも熱心だ。Bdeirは、現在開発中のものの一部も、ちらっと見せてくれた。その中には、無線通信のためのブロックもある。

本誌のJohn Biggsが、うんと初期のlittleBits kitで遊んでみたとき言っていたように、お値段があまり安くない。最小セットの10ブロックのExploration Kitが99ドル、14ブロックのが149ドル、その上に199ドルのデラックスセット(18ブロック)がある。でも、遊びながら実際のハードウェアについて学べるのだから、高いとは言えないかもしれない(各ブロックが専用の…オリジナル開発の…プリント基板を使っていたりして、かなり本格的)。

〔余計な訳注: LEGOまでの“形状実現組み立て玩具”に対して、これからは、このような“機能実現組み立て玩具”が重要だと思う。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ロジテックのiPhone用ゲームパッドの写真がリーク―任天堂に脅威?

今日(米国時間10/1)、Twitterで@evleaksがLogitechのiPhone向けの新しいゲームパッドのリーク写真を公表した。evleaksはSamsungやNokiaなどの新製品のリーク情報をいち早くツイートした実績が何度もある。

今回の写真は今年始めにリークしたプロトタイプの写真によく似ているだけでなく、6月のAppleのWWDCカンファレンスでデベロッパーに紹介されたデザインにも似ている。このゲームコントローラーには右側に4つのボタン、左側に十字ボタン、さらにトップの左右に一つずつボタンがある。

AppleはiOS 7で新たにゲームパッドのサポートを開始したが、ゲームパッド自体はまだ製品が出ていない。Logitechは先月からっぽの両手とiPhoneの写真をフィーチャーしたティーザー広告を公開している。

iOS 7のプレスイベントでAppleは3種類のゲームコントローラー・デザインを紹介した。2つはiPhoneをはめ込むケースタイプで、1つはBluetoothでiPhoneに接続するスタンドアローン・ユニットだった。こうしたコントローラーはiPhone本体のタッチスクリーンでは困難な正確なゲーム・コントロールを可能にする。

その中にはサムスティックを2組備えたものがあったが、Logitecのデザインはこれと違う。LogitechはMFi(Made for iPod)のメンバーだから、今回のゲームパッドもおそらくAppleとの提携プログラムの下で開発されたのだろう。

iOS 7以前は、アクセセリーのデベロッパーはBluetoothキーボードをカスタマイズしてボタン入力をシミュレーションする機能貧弱なコントローラーしか作れなかった。iOS7ではLightningで直結できるだけでなく、ボタン動作もネーティブでサポートされており、正確性、反応速度とも格段に向上すると期待されている。

AppleのゲームパッドのサポートはAndroidとiOSのゲーム関連収入が任天堂などゲーム専用機大手のライバルになろうとするタイミングで行われた点が興味深い。この種のゲームパッドが普及するようなら(それにはアナログ・スティックのサポートが必要だろうが)、Nintendo DSのような製品にとって深刻な脅威になるかもしれない。

トップ画像:Marco Crocoli/ Flickr CC

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


常に正確な時間を知りたいと思うなら、腕時計も「原子時計」にしてみよう

ほとんどの人には馬鹿げたものに見えることだろう。しかし歴史的な優れものだと感動してしまう人もいるのではなかろうか。1000年に1秒しか狂わない(電池がもつなら、という話ではある)原子時計が、ついに腕時計として登場してきたのだ。製造したのはハワイの小さなBathysという企業(注:リンク先ページでは音が出るのでご注意を)で、時計の名前をCesium 133という。

Symmetricon SA.45s CASCという原子時計チップを使って、アナログ時計を組み上げている。設計はDr. John Pattersonだが、現在のところはテスト目的で文字盤とストラップのついた荒っぽい金属ケースに原子時計チップを詰め込んで、取り敢えずの形にしたという段階だ。製品段階ではまた違った形になるそうだ。ABlogToWatchの記事を引用しておこう。

Cesium 133の製品版はLEDによるステータスライトを備えて、より洗練されたものになるようだ。現在のプロトタイプは幅60mm、奥行きが50mmで厚さも23mmとなっている。製品版ではムーンフェイズは採用したまま、サイズを大幅に小さくする予定だとのこと。

サイトに掲載されている他のBathys製品を見てみたが、スタイルや高級感はアメリカ製品としては最高の部類に入るものと言えそうだ。ここからするに、今回のCesium 133も製品段階では相当に気合の入った製品となりそうだ。

ウォズニアックがNixie Tubeウォッチのファンであることを考えれば、やはりこうした新規性のあるプロダクトはテッキーたちの人気を集める可能性があるのかもしれない。Bathysは2014年中に20個を製造予定であるそうで、価格は1個1万2000ドルとなっている。正確な時刻を知るために払う額としては少々高額すぎるようにも思える。但しこれほどの投資をするのであれば、今後は予定時刻に一切遅れなくなるというメリットもあるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Glass Development Kitのリリース間近。ついにGoogle Glassがその真価を発揮!

今年初めから、一部のひとたちに向けてGoogle Glassの頒布が行われている。大いに話題になったし、いろいろな意見も出てきた。しかし今のところはまだ、Google Glassの本領を発揮することができずにいる。能力の全てを引き出すための、開発環境がまだ用意されていないためだ。Mirror APIを使ってメッセージを送ったり、写真や動画、ないしオーディオを再生することができる。しかし他にできることがほとんどないのだ。

GlassはもちろんAndroidが走っているのだが、複雑なアプリケーションを作るのに必要なGlass Developer Kit(GDK)は、アナウンスこそされているものの、まだ世の中に出てきていない。Googleは昨年リリースしたデモビデオの中で、Glassのさまざまな魅力をアピールしていたので、制限の多いMirror APIがリリースされた際には大いに失望の声があがったものだった。どう頑張ったところで、デモビデオにあるようなエクスペリエンスを提供するアプリケーションなど開発できないのだ。しかし、どうやら真のGlassアプリケーションを制作できるGDKのリリースも、どうやら間近に迫っているようだ。

これまでのところ、GoogleはI/Oカンファレンスなどでは標準のAndroid SDKでのアプリケーション開発を行うようにと要請していた。これによってAndroidの標準的機能を実現するアプリケーションを開発してみて欲しいとしていたわけだ。

それがこの度の本格的なGDKのリリースで、これまでは不可能であったか、あるいは1500ドルのデバイスを壊すことになってもかまわないと考えてハッキングするなどしてしか実現できなかった機能が利用できるようになる。例を挙げれば、GDKによりコンパス、ジャイロスコープ、加速度計などの搭載ハードウェアに直接アクセスすることができるようになるわけだ。さらに、開発者が自前でOpenGLベースのグラフィックをGoogle Glassに直接描画できるようにもなる。こちらの方が開発者に与えるインパクトは大きいかもしれない。現在のところは、HTMLベースのカードインタフェースを利用する以外の方法は提供されていない。しかしGDKの提供開始により、リアルタイムで動作するAR(拡張現実)アプリケーションやゲームなど、Glassのインタフェースをフルに活用するアプリケーションを作ることができるようになる。

これまでにも、公式APIを経由せずに直接制御するようなアプリケーションはあった。それらはMirror APIを利用するものとは全く違う世界を実現するものだ。GDKでいったい何ができるようになるのかについてはGlassを使ったナビゲーション実験の動画などを見てみて欲しい。Glass内蔵のセンサー類とグラフィック能力をフルに活用したアプリケーションとなっている。また既にご覧になった方が多いだろうが、Glassチームを見せてくれる隠し機能(イースターエッグ)も、GDKのポテンシャルを感じさせてくれるものだと思う。

GDKがリリースされれば、またGoogle Glass周りの動きが活発になってくることだろう。公式のAPI経由でリアルタイム顔認識なども行えるようになるわけだ。ネイティブAPIなしでは、Google Glassは「アプリケーションが少し使える、ウェアラブルなGoogle Nowクライアント」と位置づけられてしまうようなこともあった。APIの発表により、ついに本物のコンピューティングデバイスとしての魅力を解き放つことになるのだ。

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(翻訳:Maeda, H)


簡単な構造で大きな(背の高い)物でも3Dプリントできる学内研究プロジェクトDeltaprintr

毎日、3Dプリンタの話題が最低一つは載る、という今日この頃。今回のは、SUNY(ニューヨーク州立大学)Purchase Collegeで研究開発されているコンパクトな3Dプリンタで、簡単な部品交換により相当背の高い物でもプリントできる。なお、プリンタを構成する部品の切り出しには刃物でなくレーザーを使用している。

このプリンタはプラスチックを100ミクロン幅で押し出すが、とりあえず精度としては十分だ。しかも、可動部品がとても少ない。プリントヘッドが3つのレールに乗っている*ことに、お気づきと思うが、そのために、もっと長いバーを使ったり、大きな物をプリントするための拡張部品を使える。〔*: その三角形が、Deltaという名前の由来。〕

学生のShai SchechterとAndrey KovalevとYasick NemenovとEugene Sokolovが始めたこのプロジェクトは今プリベータ(ベータ前)の段階で、11月にはKickstarterで資金募集を開始する予定だ。今後のアップデートを追いたい人は、ここで登録を

チームはこのプロダクトを完全にオープンソースにしたい、と願っている。高価な部品はほとんど使っていないから、価格を激安にできる。ぼくもこのプロジェクトを好きになったが、気になるのはソフトだ。ソフトこそ、3Dプリンタの脳であり心臓だ。ソフトがしっかりしてれば、ぼくも完全なファンになるだろう。


[↓長いバージョン(75分)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


充電に「電気」が使えないのなら「火」を使ったらどうなの?! 炎の力で充電を行うFlameStower

ついにガジェットの充電にも火力を用いる時代がやってきた。Stanford’s StartX Summer 2013クラス発のスタートアップであるFlameStowerがKickstarterにて「火」のを用いた充電器のクラウドファンディングを開始したのだ。

この仕掛けを使えば、キャンプファイア、ガスコンロ、あるいは焚き火の熱をエネルギーに、スマートフォンなどのUSB充電デバイスにエネルギーを送り込むことができる。最大出力は3Wで、平均では2Wとなっている。大雑把に換算すると1分辺りで2分ないし4分程度の通話時間分をチャージすることができる。

FlameStowerは主要用途をアウトドアに想定しているが、もちろん停電時や嵐などに襲われたときのためのバックアップとしても利用できるだろう。

キャンプ用品と一緒に持ち運べるように、FlameStowerは非常にコンパクトな形状となっている。バックパックに簡単に収められるはずだ。

アウトドアで充電するなら太陽光方式の方が便利だと思う人もいるかもしれない。しかし太陽光方式は、当然ながら昼間しか利用できない。火力方式ならばいつ何時でも利用できるわけだ。

動作の仕組みはどうなっているのだろうか。Thermoelectric Generatorを使って、温度差を利用して電気を生み出すようになっている。金属製のブレードを火で熱し、もう一方のブレードを水を入れたタンクに入れて冷やす。つまり、正確にいえば発電するのには火だけではなく、水も必要だということになる。もちろん火を燃やすには空気も必要だ。火、水、そして空気。四大基本元素のうちの3つを利用するわけだ。

火の温度が高くなればなるほど、多くの電力を生み出すことができるようになっている。但し、コンセントから得られるようなレベルでの充電能力は期待しないで欲しい。FlameStowerは、自らの仕組みをラップトップのUSBから行う充電に例えている。すなわち充電にかなりの時間がかかるということだ。電子デバイスに関わらず自然を楽しむ時間ができるわけで、もしかするとそれも狙いかもしれない。

Kickstarterでの調達希望額は1万5000ドルだ。この資金でぜひとも充電装置を製品化したい考えだ。期限まで28日ほどを残した現在、半分ほどの額が集まっている。

尚、今ならまだ初期割引の70ドル(通常よりも10ドル安い)でFlameStowerを入手することができる。出荷予定は12月となっている。

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(翻訳:Maeda, H)