Toyotaが人助けロボットの北米地区初の現用試験を完了、重度障害の復員兵が協力

Toyotaが最近、同社の人助けロボット(Human Support Robot)の、北米地区における初めての現用試験を完了した。このロボットはHSRと呼ばれ、同社の移動支援ロボットの一環として開発されている。その製品コンセプトは、人間の日常生活の質的向上、とされている。

今のToyotaには、何らかの制約や障害を抱えたユーザーの移動性を支援する一連のプロジェクトがある。HSRのほかには、下半身麻痺の人の歩行を助けるウェアラブルの脚部ブレースや、視力に問題を抱える人たちのための環境認識技術、要介護者をベッドから椅子へ移動するロボットなどを開発している。また、同社のホームビジネスに近いものとして、歩行の不自由な人の車への乗り降りを助ける器具も開発中だ。

Toyotaが北米地区で完了したHSRの現用テストは、アフガニスタンで負った戦傷で首から下が麻痺した復員兵Romy Camargoと共に行われた。ロボットには車輪と視覚センサーと関節で動く腕があり、ドアの開閉や飲み物の持参など、家の中の日常的な作業でCamargoとその家族を助けた。

HyundaiやHondaなど、多くの自動車メーカーが移動介助の分野で研究開発を進めている。中でもラストマイルのソリューションと家庭内ロボットは、将来の大きなビジネス機会だ。ToyotaのToyota Research Instituteは、移動支援ソリューションのためのAIとロボットを専門に研究している。今後もこのような現用試験を重ねることによって、家庭内ロボットの本格的な商用化のための道が、拓けるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボットたちに、触れることを通して世界を学ぶことを教える

ゆっくりと、しかし、確実に、ロボットのBaxterは学んでいる。それは一連のランダムな「掴み」から始まる。大きくて赤いロボットが、あまり器用とはいえない手つきで、目の前のテーブル上の物体を押したり突いたりしている。この、1日8時間かけて1ヶ月に5万回もの掴みを繰り返すプロセスは、私たち人間にとっては極めてうんざりするような代物だ。ロボットは触覚フィードバックと試行錯誤を経て学習している。あるいはプロジェクトの背後にいるカーネギーメロン大学のコンピュータサイエンスチームが言うように、それは世界に関して赤ん坊のように学習しているのだ。

チームは、“The Curious Robot: Learning Visual Representations via Physical Interactions,”(好奇心旺盛なロボット:身体的な相互作用を介した視覚的表現の学習)という論文の中で、人工知能はオブジェクトと反復的に相互作用を行なうことで、どのように学ぶことができるのかを示している。「例えば」とCMUの学生は書く「赤ん坊はオブジェクトを押したり、突いたり、口の中に入れたり、投げたりして、ものの有りよう(representations)を学ぶ。この目標を達成するために、われわれは、オブジェクトをテーブル上で、押したり、突いたり、掴んだり、観察したりする最初のシステムの1つをBaxter上に構築した」。

私たちがCMUキャンパスに到着するまでに、Baxterはありがたいことに、既に何度も何度もこのプロセスを繰り返した後だった。研究室の助手であるDhiraj Gandhiが、私たち向けにデモを行ってくれた。ロボットはテーブルの向こう側に立っていて、Gandhiはオブジェクトをテーブルの上に並べた。鉛筆ケース、ノーブランドのPower Ranger、いくつかの車のおもちゃ、ミーアキャットのぬいぐるみなどがあり、多様で複雑な形状のために選ばれた100均アイテムのような小間物も入っている。

このデモは、よく知られているオブジェクトと馴染みのないオブジェクトの組み合わせで行われていて、その違いはすぐに明らかになった。ロボットはオブジェクトを認識すると、タブレットで作られた顔を笑顔にしながら、しっかりと対象を掴み、それを適切な箱に入れる。もし良く知らないオブジェクトの場合には、顔を赤らめ困惑の表情を浮かべる … とはいえ更に5万回の掴みを繰り返せば、解決することはできる。

この研究は従来のコンピュータービジョン学習に大きな変化をもたらすものだ。従来のシステムは、ラベルの入力を伴う「スーパーバイザー」プロセスを通してオブジェクトの認識を教えられていた。CMUのロボットはすべてを自分自身で学習する。「現時点では、コンピュータビジョンで起こっていることは、受動的なデータが与えられるということです」とGanshiは説明する。「画像とラベルの取得方法との間には相互作用はありません。私たちが望んでいることは、オブジェクトと相互作用しながら、能動的にデータを取得することです。そうしたデータを通じて、他のビジョンタスクに役立つ機能を学びたいと思っています」と語った。

触れることの重要性を説明するために、Ganshiは70年代半ばの実験を引用した。この実験では英国のある研究者が2匹の仔猫の発達を研究した。1匹は普通に世界と触れ合うことができたが、もう1匹はオブジェクトを見ることだけが許され、実際に触れることは許されなかった。その結果、正常な仔猫たちがするようなことを出来ない、哀れな仔猫が1匹残されることになった。「環境とやりとりを行った方は、どのように足を付けば良いかを学ぶことができました」と彼は説明した。「しかし観察しか許されなかった方はそれができなかったのです」。

このシステムは、Kinectと同様の3Dカメラを使用している。Baxterが収集した視覚的および触覚的な情報は、ディープニューラルネットワークに送られ、ImageNetの中の画像と相互参照される。タッチデータが追加されることによって、ロボットの認識精度は、画像データのみで訓練されたロボットに比べて10%以上良いものになった。「これは非常に励みになる結果である」と、チームはその論文に書いている「なぜならロボットタスクと意味的分類タスクの相関関係は、何十年にもわたり想定されていたものの、決して実証されたことはなかったからだ」。

研究はまだ初期段階だが、この先有望だ。将来的には、ZenRoboticsが開発したゴミをリサイクル品から取り除く、分類ロボットのような用途にタッチと視覚が使われることになるかもしれない。「実際の環境にシステムを投入するまでには、まだまだ大きな課題を解決していかなければなりません」とGanshiは言う。「私たちはその課題を解決したいと考えていますが、今はそこへ向かって赤ん坊のように進んでいるところなのです」。

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(翻訳:Sako)

デリバリピザのニューモデルZume Pizzaは製造を完全にロボット化、窯を乗せたトラックが地域に出張

Zume Pizzaは、ロボットを使ってスピードと品質を上げ、Pizza HutやDominoなど宅配ピザの老舗たちに勝とうとしている。これまでの2年間、ファウンダーのJulia Collinsは彼女のピザ製造ラインに次々と新しいマシンを導入して、味を犠牲にする小細工に依存することなく、一貫して合理化に努めてきた。

今日同社は、生地回し(dough spinner)〔参考動画〕を機械化する“Doughbot”を導入したことを発表した。この部分の機械化を機に、パロアルトにも進出し、当地でも、窯を搭載したトラック軍団と配達用スクーターによる分散デリバリ方式を試す気だ。

Doughbotは、ピザの製造工程を36秒短縮する。Collinsによると、装置自身は一般市販品だが、生地を傷めないためと、添加剤不要にするために、相当お金をつぎ込んだそうだ。

ピザは、生地を延ばすとき、生地が縮むのを防ぐために。特殊なオイルや化学製品を使うことが多い。しかし超強力なDoughbotを使えば、ふつうのオリーブオイルを塗るだけで十分だ。化学物質は使わない。

ピザ1枚につき数秒節約しても、たいしたことない、と思えてしまうが、Zumeのビジネスモデルにとってはとても重要だ。同社は、既存の大手チェーンのピザデリバリを完全に打ち負かしたいのだ。Zumaの場合、製造拠点は1都市1箇所、そして、ピザの入ったバッグ(複数)をティーンエイジャーが運転する1998年型Toyotaの後ろに積み込む方式ではなく、窯を搭載したトラックのきめ細かいネットワークを張りめぐらし、モペット(原付き自転車)で配達する(下図右)。トラックへのピザの補充は、それ専用のバンが担当する。

この分散型のピザデリバリは需要の変化に素早く対応できるし、また需要予測を有利に生かせる、とZumeは期待している。従来のピザデリバリは、新たな出店に際して、需要に対する‘賭け’をする。そしていったん出店したら、需要の変動に機敏に対応できない。製造能力は、つねに一定だ。

これに対してZumeは、窯を乗せたトラックの配置を変えることで、需要の変動に即座に対応できる。このやり方の欠点は、需要が急増したとき、ピザを作る拠点店のロボットたちが、ボトルネックになることだ。そして、そうならないためには、ピザの製造時間を短縮してスループットを上げるしかない。

かつてゼネラルマネージャーとしてUberEATSを指揮したSusan AlbanがこのほどZumeに加わり、その複雑なロジスティクスを担当することになった。今現在、ピザを焼くトラックは6台だが、パロアルト進出に備えて近く4台を増車する(現在はマウンテンビューのみ)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

米国空軍がRE2に従来型飛行機のためのロボットパイロット製作を依頼

自律飛行システムと航空機は既に米国空軍(USAF)やその他の防衛機関たちが試験中だ。だが今回更に、人間によって操縦される旧来の飛行機を、簡単に自律型飛行機に転換することができるようなロボットパイロットの製造のために、RE2 RoboticsがUSAFによって選ばれた。

RE2は、その実現のために米国空軍から資金を調達する。そしてそのプログラムには、同社のドロップインシステムが、機械的に飛行機に対して用いることができることを、テストを通して披露することも含まれている。そして制御装置の操作、視覚による計測器の読み取りと意思決定能力が、飛行機側には一切の手を加えることなく、飛行機を自律的に操縦する機能として統合される。

この「飛行機側には一切の手を加えない」という点が、全ての努力の鍵となる部分だ。RE2のロボットパイロットは純粋にプラグアンドプレイ型派生産業ソリューションであり、本質的にはロボットをパイロットの代役として利用しようとするものである。もちろん制御装置のインターフェースや情報読み取り装置は人間向けのものをそのまま使うということだ。通常自律的飛行テクノロジーは、直接的な統合を必要とし、高価で一般的には他に転用不可能なカスタム航空機または制御システムさえも必要とする。

これに対し、ドロップインロボットパイロットは柔軟な改造を可能にし、必要ならば航空機を人間の制御するものへと戻すことができる。現場における自律飛行機能の配備作業を簡単に行うことも可能になる。ロボットを出荷してパイロットシートに座らせるだけなら、飛行機を回収して改造したり、オンサイトで改造することよりも遥かに簡単だ。

RE2は、最終的には航空機だけでなく、地上の車両や水中作業用のドロップインパイロットを作成したいと考えている。これらのすべてが現在人間による操作を前提にデザインされているので、すべての状況に対処できる1つのタイプのロボットを構築することも可能であり、効率とコスト削減の点でもさらに有益なのだ。

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(翻訳:Sako)

ホームロボットKuriはペットを認識して人間相手とは違うことができる

この、ディズニーのWall-E(ウォーリー)の別バージョンみたいな家庭用ロボットは、今年のCESでデビューし、2017年のクリスマス年末商戦をねらっている。そのMayfield RoboticsのKuriちゃんは、表現力のあるボウリングのピンだけど、あなたの心を盗み、家族の一員に収まろうとしている。最新のアップデートではビデオカメラの性能が上がり、毛むくじゃらのお友だちを認識でき、そして自由に歩き回れるようになった。

Kuriが新たに持った能力は、まず、犬や猫などのペットを見つけて認識すること。それまでは、家族の認識はできた。今度からは、ペットを見たときの振る舞いが、人間家族を見たときのそれと違うようになる。

ビデオの性能もアップし、1080pのHDカメラを搭載、しかもそれはシステムに完全に統合されている。これからはKuriの目がストリーミングするライブの映像はとても高品質になる。また何かの記念のために家族を撮影するときなど、スチルとビデオの同時撮影ができる。

Kuriの動力系もアップデートされ、最初は車輪の予定だったが、実際には接地型ベルトになった。その方がよりスムーズに動けるし、ノイズも少なく、空回りもしない。そして室内のいろんな床面に対応できる。ふわふわのカーペットでもね。

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縫製を完全に自動化したロボットのSoftWear Automationが$4.5Mを調達、海外低賃金労働への依存から脱却へ

漫画の主人公のロボット玩具が流行った時代があった。あなたが子どものころは、Transformers(トランスフォーマー)だったかな、それともMicrobots(マイクロボット)か。とても運が良かった人は、ミニ・トランスフォーマーのSewbots〔sew==‘縫う’〕を体験しただろう。

運が良かった人はSewbots Command Centerに入れただろうし、今現在本当に運が良い人は、枕でもパンツでもマットレスでもタオルでも何でも縫えるSoftWear Automation Sewbotを手に入れられる。5年前に同社はDARPAの補助金をもらって、最初の本物の縫うロボット(sewing robots, ソウイングロボット)の製造に成功し、さらに450万ドルを調達してその改良に取り組んだ。

ジョージア工科大学の教授たちが創ったその企業は、“衣料製品の製造をオフショア化したことがアメリカの経済にもたらした効果への答”だ、とCEOのPalaniswamy “Raj” Rajanが言っている。同社はWalmart Foundationから200万ドル、CTW Venture PartnersからのシリーズAで300万ドルを獲得した。後者は分割シリーズAのうちのA1だ。

同社のSewbotsは2015年以降、200万の家庭用品を生産した。そのロボットは布などの素材の上に置かれ、それらの表面を“マッピング”しながら縫っていく。一般的に縫製はこれまでの何十年間もロボット化が難しくて、Sewbotsの時代になってやっと、素材を掴んで強く引っ張らなくても縫える縫製ロボットがいくつか登場したきた。

“衣料品生産のオートメーションは、一部の工程だけ、というものが多い。しかもマシンへの素材の供給や管理は人間がやっている”、とRajanは語る。“特許を取った独自のコンピュータービジョン技術を使っているSoftWearの*完全自動縫製ロボットSewbotsは、人間オペレーターが要らないし、素材に対する前処理も要らない”。〔*: SoftWear, ‘SoftWare’ではない!〕

バスマットを縫えるロボットは昔のCy-KillやSpay-CやLeader-1ほどクールではないが、でも今の世代の子どもたちは、これまで長年、工業化時代の惨めな落ちこぼれ劣等生だった労働集約的な工程を、完全に変えることができるのだ。

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【ポッドキャスト】Future of Sexの作者Bryony Coleがセックスロボットの未来と初めてのセックステック・ハッカソンについて語る

ポッドキャストFuture of Sex(セックスの未来)を作ったBryony Coleが、未来のセックスや、リモートセックス(teledilonics)、セックスロボットなどについて語る今回のTechnotopiaポッドキャストは、意外にもNSFWではなく立派なSFWになった。世間やメディアがセックスロボットという話題をタブー視していることに飽きたらないColeは、2047年には私たちの多くがロボットとセックスしており、子どもたちの多くもロボットとセックスの初体験をしてから人とセックスするだろう、と言う。

Coleは6月10日にニューヨークで、初めてのセックステック・ハッカソンを開催する。会場はThoughtWorks office, 99 Madison Ave, 15階だ。登録はここで

セックスとテクノロジーについて公平率直に語ることは困難だが、Bryonyはそれを楽しいものにしている。ぜひ、彼女の話を聴いてみるべきだ。

TechnotopiaはJohn Biggsによる、より良き未来に関するポッドキャストだ。StitcheriTunesで会員になってもよいし、あるいはMP3をここでダウンロードできる

原文末尾にこのポッドキャストへのリンクがあります。〕

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SoftbankがAlphabetのロボット企業Boston DynamicsとSchaftを買収

【抄訳】
意外な展開になってきた。あの仲良しロボットPepperを作っているSoftbankがさきほど、Googleの持株会社Alphabetのロボット企業2社の買収を発表して、いよいよロボットに本気であることを示した。その2社とは、Big Dog(上図)を開発しているBoston Dynamicsと、二足歩行ロボットのSchaftだ。買収の価額等は公表されていないが、分かり次第お伝えしよう。

Alphabetにとってはこれは、Google時代に大量にやってきた買収や戦略的投資を整理する努力の一環だ。買収はしたけどその後、本体のビジネスにあまり貢献しなかった、という企業が整理の対象になる。

SoftBank Group Corp.の会長兼CEO Masayoshi Sonは、声明文の中でこう述べている: “今日なお、人間の力では解決できない問題が数多くある。知能化ロボットは情報革命の次の段階を推し進める重要な力となる。MarcとBoston Dynamicsの彼のチームは、先進的な動的ロボットにおける、誰もが認める技術的リーダーだ。彼らをSoftBank家に迎えて、その今後の前進をサポートできることは、きわめて喜ばしい。彼らはロボットという分野をさらに継続的に前進させ、人類の幸福に資する数々のアプリケーションを探求してくれるだろう”。

それは、人材引き抜きではなく全社的な買収のようだ。Boston DynamicsのファウンダーでCEOのMarc Raibertは、こう声明している: “Boston Dynamicsの全員が、SoftBankの大胆なビジョンと、同社が作り出しているテクノロジーの次の革命に参加できることに、感激している。そして、技術の進歩は人類の利益のためであるべき、というSoftBankの信念を、われわれも共有する。SoftBankと共にロボットにできることの限界を打破し、より知能的でより接続された世界にふさわしい、有益なアプリケーションを作っていける日を、待ち望んでいる”。

【後略】

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Googleの無人ドローンによる自動配達プロジェクトProject Wingが第一段階のテストを完了

Googleの実験的部門Google Xの、ドローンを使った無人配達のプロジェクトProject Wingが今日(米国時間6/7)、その取り組みの重要なアップデートを一般に共有した。同社は、無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems, UAS)の航行管理に関する、FAAとNASAが制定した一連のテストを完了した。それは、人間操縦者のいない機がある地点まで到達して、荷物やそのほかの品物を、大規模に自動化されているネットワークの一部として配達できるために、欠かせない要件だ。

Project Wingは、未来のための準備だ。その未来には、同社やそのほかの企業が、数千機から成るドローンの編隊を運用し、荷物の配達などの機能を実行している。そしてその飛行は、建物や悪天候やそのほかのUASに遭遇する環境で安全にインテリジェントに行われる。さまざまな要素が楽器のように加わるその交響曲は、有能な指揮者を要するが、バージニア工科大学のテストサイトで火曜日(米国時間6/6)にWingが行ったテストは、まさにその存在を示した。一人の地上操縦士が3台のWingドローンを同時にコントロールし、それぞれに、別々の集荷と配達ミッションをやらせた。そしてそのとき、同じ空域に、Intelのドローン2機とDJI Inspire 1機を飛ばせて、全員が同時に航行した。

そのデモでは、Wingの航行管理プラットホームが実際の野外環境で、それら全機の航路を自動的に計算把握し、それらを避ける自分の航路を飛行中にリアルタイムで見つけていった。このプラットホームを作るときとくに力を入れたのが、同じ空域を複数のドローンが飛んでいるときの航路計画、リモートの操縦者やその空域の各種警報によって予期せぬ変化が起きたときの通知と対応、そして山火事などの事変に対応する自動的な航路修正だった。

次は、もっと多い台数による同時飛行と、もっと複雑な環境に挑戦する。今回のテストは、あたりにほとんど何もない、都市部の複雑過密な空域とは大違いの環境で行われた。まだまだ初期的なテストだが、自動化ドローンによる自動配達の実現のためには絶対に必要な過程だ。規制当局を満足させ、都市の住民の安全を確保するためには。

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創刊1ヶ月で売上10億円――鉄腕アトム型のロボットキットが売れるワケ

©TEZUKA PRO/KODANSHA

1960年代に一躍お茶の間の人気者となった「鉄腕アトム」。そんな彼が2017年、家庭用のコミュニケーションロボットとして僕たちの元にもう一度帰ってきた。

2017年2月、鉄腕アトムをAIを搭載した小型のロボットとして復活させる「ATOMプロジェクト」が始動した。このプロジェクト参加企業は全部で5社。講談社手塚プロダクションNTTドコモ富士ソフトVAIOだ。

ATOMプロジェクトでは、読者が全70号の分冊百科(パートワーク、週刊や隔週刊で特定のテーマについて刊行する出版物)「週刊鉄腕アトムを作ろう!」に付属するパーツを組み立て、AIを搭載した鉄腕アトム型の家庭用コミュニケーションロボット(以下、アトム)を完成させる。最新号となる第6号の価格は1843円だ。

TechCrunch Japanでは、プロジェクトの全体プロデュースを担当する講談社に取材。実機を前に、開発背景やビジネス観点から捉えたATOMプロジェクトについて話を聞いた。

40以上の機能、顔認識も

アトムには、VAIOが開発したメインボードが積み込まれ、その中に富士ソフトが製作したAI(フロントエンド。バックエンドのクラウドAIはドコモが担当)が搭載されている。メインボードは機体の動作を担当していて、いわゆる頭脳の役割を果たすのはRaspberry Piのようだ。富士ソフトはこれまでにも、高齢者施設などで実績のあるコミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」を開発していて、そこで培ったAI技術をアトムに応用している。

アトムがもつコミュニケーション機能は40種類以上。その中でも面白そうなものを以下に紹介しよう。

  1. スケジュールを伝える:Googleカレンダーと連携してスケジュールを伝える
  2. 個人登録:12人までの顔と名前を覚えて”友だち”として認識する
  3. 伝言を伝える:顔認識システムで”友だち”として認識されたユーザー間で、伝言を伝える
  4. アニメを再生する:胸部に搭載された液晶ディスプレイでアニメ「鉄腕アトム」を観ることができる
  5. 年齢当てゲーム:目の前にいるユーザーの年齢を当てる
  6. レシピを教えてくれる:レシピメディア「Spooonn!」と連携。液晶ディスプレイでおすすめレシピ動画を見られる。

今回の取材では「年齢当てゲーム」を実際にやってみた。会話にかかる時間だとか、アトムと実際にコミュニケーションしている様子を観察してみてほしい。

僕は26歳なのだけれど、アトムには35歳と言われてしまった(女性がいる飲み会などにはちょっと連れて行きづらいよね)。

アトムをプラットフォームに

前述したように、ATOMプロジェクトでは完成品のロボットを販売するのではなく、毎週パーツを組み立てるパートワーク方式が採用されている。デアゴスティーニでお馴染みの販売方法だ。この理由として、講談社でATOMプロジェクトリーダーを務める奈良原敦子氏は、「ATOMプロジェクトでは、単にロボットを販売するだけでなく、ロボットを読者との接点として捉えた事業構築までを目標としている。そのため、一定規模のユーザーをいち早く獲得できるパートワーク方式を取り入れた」と話している。

創刊から1ヶ月が経過した現在、売上ベースで10億円を突破しているというから、この選択は正しかったのかもしれない。奈良原氏によれば、読者の大半は「50代以上で、可処分所得が高く、AIなどに対する知的好奇心が高い人々」だそうだ。本格的なコミュニケーションロボットになると価格が20万円〜30万円のものもあるが、このアトムの場合、ロボットを”70回の分割払い”で買えることも読者を惹きつけた要因の1つなのかもしれない。

でも、パートワーク方式の一番の問題といえば、読者が途中で飽きてしまって最後まで購読を継続できないこと。僕自身、過去に3回ほどデアゴスティーニにトライして、そのいずれも失敗している。

奈良原氏によれば、ATOMプロジェクトでは読者を飽きさせないための対策として、「全国のドコモショップなどで、実際にロボットと触れ合えるスペースを増やしていく。このようなプロダクトは実際に触れ合ってもらうことが重要だ」と話している。

その一環として、「ドコモスマートフォンラウンジ名古屋」では4月3日から体験型のブースが設けられており、このような展示スペースは今後首都圏にも拡大していく予定だという。また、同じく講談社でATOMプロジェクトチームに所属する伊藤穰氏は、「3ヶ月ごとに興味のピークをつくるイメージで、イベントなども定期的に開催していきたい」と語る。

すべてのパーツを読者に届け、アトムが完成したあとは、アトムを一種のプラットフォームとして事業を深堀していく計画だと奈良原氏は話す。オンラインで機能のアップデートを重ね月額利用料金でマネタイズしていくほか、完成品の販売も予定しているという。このアトムは空を飛ぶわけではないけれど、彼がこれからどう進化していくのかは興味深いところだ。

3Dプリントで作ったソフトな脚でロボットが凸凹道を安定的に歩ける、ヒントは蛸などの生物から

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の工学部の連中が、生物からヒントを得たソフトロボットの原理により、石ころや砂などの凸凹道をふつうに歩けるロボットを開発した

柔らかい積層材で作ったロボットの四本の脚は、環境に適応できる。だからセンサーで地表の正確な像を把握する必要がない。平滑でないところに来たら、歩き方をそれに適応させるだけだ。

そのロボットの四つの脚は、3Dプリントした硬い材と柔らかい材から成り、ゴム製の空気袋の伸縮が前進運動を支える。ハーバード大学のGeorge Whitesidesのロボット工学研究室をはじめとして、同様のソフトロボットプロジェクトは過去にもあった。それらにも助けられて、蛸や烏賊のような海の生物にヒントを得たロボットが試作されてきた。

実はこの研究を率いたUCSDの助教授Mike Tolleyは、ハーバードの研究室出身だ。そこで彼は昔、著名なプロジェクトのひとつ、ほぼ全体的にソフトな身体を縮めて狭いところへ入り込める、完全ワイヤレスのX型ロボットを作った。

Tolleyはこう語る: “歩く、と言いたいところだけど、終始すり足だから、歩くと言えば誇大宣伝になる。しかも、起動したら一つの方向へ進むだけだ。でもそれが、おもしろい足並みを作り出す。まるで虫のように、くねくねと波うつ足並みなんだ”。

この研究から、すでに実用製品も作られている。たとえばSoft Roboticsが設計した工業用のグリッパーだ。蛸をヒントにした手だから、ロボット工学に基づく精密な視力がなくても、いろんな形やサイズの物を持ち上げることができる。そしてその脚は、四本ではなく二本で、くねくねした歩みではなく、実際に脚を上げたり下ろしたりしながら動きまわる。

ハーバートのロボットと同じく、圧力を利用する空気袋を使っているが、細かいところはもっと繊細になっている。

Tolleyは話を続ける: “以前は、膨らますと脚がどっちかへ曲がる、という方式だった。でもちゃんとコントロールできるためには、いろんな方向へ曲がれる脚が必要だ。でもそれは、積層材だけでは無理だった。複雑な空気袋を3Dプリントできるようになって、やっと、同じ動きを素早く繰り返すことのできる方法が見つかった”。

最新のシステムでは3Dプリントした空気袋が複数並んでいて、どれとどれを膨らますかで動きのコントロールができる。Tolley曰く、“一つだけ膨らますと、どっちかへ曲がるんだ。さらにもうひとつ膨らますと、360度の曲がり方もできる”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

RoboWaiterはIBM Watsonを利用したウェイターロボット

ディベロッパー、デザイナー、そしてロボティスク専門家の3人によって構成されたRoboWaiterのチームが、昨晩(米国時間5月13日)開催されたDisrupt NY hackathonに登場した。人間の店員よりも機敏で賢いウェイターロボットを披露するためだ。このロボットにはIBM Watsonが利用されている。

ディベロッパーのNina Yang氏がこのアイデアを思いついたのはハッカソン前日のことだった。その日の夜に立ち寄ったレストランのウェイターが、注文を取るのにすごく時間がかかったことがきっかけだったと彼女は話す。人間はいつも忙しく、すべてのタスクを上手く処理することができないとYang氏は語る。注文したものと違う料理が出てきてしまうこともある。しかし、バグが発生することを除けば、ロボットが間違えることはない。

RoboWaiterはIBM Watsonを利用したアプリによって動作する。Watsonはバックグラウンドの注文プラットフォームに接続されており、ロボットを操作して料理を運ぶ。レストランの利用客はアプリをダウンロードし、席番号を入力し、メニューから好きな料理を声で注文する。するとシステムが受けた注文をキッチンに伝えるという仕組みだ。ロボットは頭の上に出来上がった料理を乗せ、それを利用客の席まで運ぶ。

もしあなたがウェイターだったとしたら、RoboWaiterによって自分の職が奪われるのではないかと不安に感じることだろう。この数年間、多くのアメリカ人はこの問題を深刻に受け止めているのだ。ニューヨークにいる失業中の俳優たちも心配しているはずだ。

しかし、チームメンバーのSharon Gai氏は、「ロボットに仕事を与えることで偉大なアメリカを取り戻します」と語り、RoboWaiterの誕生はアメリカ人にとって明るいニュースだと主張する。

もちろん、人間に仕えるロボットが誕生したのはこれが初めてのことではない。カリフォルニア州のEatsaは、人間をまったく必要としないレストランを展開している。元TechCrunchライターのAlex Wilhelmがロボットにお酒をどんどん勧められ、危うく酔っ払いそうになったというエピソードもある。

Gai氏、Yang氏、そしてもう1人のメンバーであるIrvin Cardenas氏はかねてからの友人同士だった。実際、彼ら3人は去年のDisruptハッカソンにも参加し、プロモーター・プラットフォームのCrowdBuilderを披露していた。このプロダクトは鳴かず飛ばずだったが、彼らはこのRoboWaiterで何らかの実績を残したいと願っている。

Cardenas氏はロボットスタートアップのRobotica.aiの創業者でもあり、今回のDisruptでも別のロボットを披露している。彼の2つのチャレンジが上手くいくことを私たちは願っている。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ふつうの人間がロボットに教えた作業を、今度はロボットが他のロボットに教えられる…MITの研究より

MITのコンピューター科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab, CSAIL)が、ロボットの新しい芸をもうじき披露する。人間がロボットに教えたことを、そのロボットが他のロボットに教えられるようになるのだ。研究者たちは、ロボット工学とは無縁なふつうの人が、ドアを開ける、物の位置を移動するなど、人間の規準では“単純な”行為を、ロボットに教えるシステムを考案した。ただしそのシステムのキモは、最初のロボットがその同じ作業を他のロボットに教えられることにある。

そう、ロボットに教えるロボットだ。この、CSAILの研究者たちがC-LEARNと呼ぶプロジェクトは、事前知識と、何らかの特定の仕事に関する単純なインストラクションを、人間教師がロボットに提供する。ロボットのそのスキルは他のロボットへ転送可能で、だから理論的には、たった一人の、専門家ではないふつうの人が提供した初歩的なインストラクションが、ロボットの一大軍団を教育してしまえるのだ。

教えられる側のロボットは、教師役のロボットと同型でなくてもよい。研究段階では、上のビデオに登場する先生役のOptimusロボットが、自分より大きいAtlasロボットに、学んだアクションを伝えることができた。

このシステムの成功の鍵は、実演に、教育訓練以前の既存の知識ベースを結びつけたことだ。それによって、仕事の達成の正確さが上がり、そしてそれを、その後の他のロボットに伝えていく。

ただしC-LEARNシステムは完全にはほど遠い。箱を持ち上げるという単純な仕事を教えるのに30分もかかり、衝突を避ける、などの複雑な仕事はまだこのシステムでは教えられない。でも、あとすこし頑張れば、トラックや輸送機に荷物を積むとか、簡単なメンテナンス作業ぐらいは、ロボットがロボットに十分、教えることができるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GEの小さなロボットたちは、ガスタービン検査の大きな課題を解決してくれるかもしれない

稼働中のガスタービンを検査することの困難さを想像して欲しい。高熱であるだけでなく、ブレードは常に回転している。このためカメラを内部に入れてタービンを観察することは極めて困難である。ニューヨークのニスカユナにあるGEグローバル研究センターのチームは、こうした課題を解決するためにデザインされる、小さな実験的ロボットたちに取り組んでいる。

従来エンジニアたちは、内部で回転するタービンブレードの様子を観察するために、タービンシェルに予め開けられた穴に、ボアスコープと呼ばれるカメラを差し込んでいた。しかしこの手法には多くの制限がある。「従来の方法では、各コンポーネントを検査するためにカメラを正しい方向に保ちながら、タービンのすべてのポイントにナビゲートしていくことは困難です」とGEグローバル研究センターのロボットエンジニア、Kori MacdonaldはTechCrunchに対して説明した。

さらに、エンジニアがブレードの保護コーティングの傷などの問題をボアスコープで特定できたとしても、タービンを開かずにそれを修理する方法はない。つまり、タービンを停止し、それを開けて、問題のブレードを見つけて修理を行うことを意味する。この作業には最大12時間ほどの時間が必要で、その間タービンは停止したままだ。

より良い方法を見つける

科学者たちとエンジニアたちのチームがこの問題に取り組み、その「タービン外科医(The Turbine Surgeon)」プロジェクトの一部として幾つかの創造的解決策を見出した。彼らはまず、回転中のブレード間を移動するように設計された小型で柔軟なロボットのプロトタイプを開発し、エンジニアたちが、タービン内部で起きていることのビューを、ボアスコープよりも包括的に取得できるようにした。

彼らが私たちに示したプロトタイプは、PCカードほどの大きさで、きわめて明るいLEDライトと様々な方向を向く小さな高解像度カメラを備えていた。オペレーターは、プロジェクトの一部として開発したソフトウェアを使用して、カメラを操作しながらロボットをブレード間で移動させることができる。このアプローチによって、さまざまな画像を取得し、特定のブレード上の問題をよりよく理解することができるようになる。

このデザインが可能になった理由の一部は、小さなチップで利用できるコンピューティングパワーを伴う各コンポーネントの小型化だ。より効率的なLEDライトと高解像度カメラを組み合わせることで、チームは電池を使い切ることなく完全な検査を行うことができるロボットを作り出すことができた。

問題の再考

携帯電話のアプリ上の仮想ジョイスティックで、Crawlerロボットを制御することができる。写真: Veanne Cao/TechCrunch

これによって、起きていることに関するよりよい観察を行なうことができるようになったが、それでもまだ軽微な修理に対してもタービンを止める必要性に直面していた。この問題を解決するため、さらに同様のロボットが作成されたが、これには小型修理キットが付属していた。ソフトウェアでロボットを制御している人は、遠隔で修理モジュールを開け、破損したコーティングの上にチューブから材料を射出し、修理キットに付属した小さなパドルを使ってそれを滑らかにすることができる。このアプローチによって、ブレード上のコーティングをより積極的にメンテナンスすることが可能になる。

「タービンケースを開かずにタービンのメンテナンスを行うツールを開発することもできます。時間を節約できることは勿論ですが、発見次第修理を行うことができることで、部品に対する更なる損傷を減らすことが可能になります。これは喩えて言えば、歯のエナメル質にちょっとした問題を発見した際に、後で大きな虫歯の穴を治療するのではなく、その場でフッ素化合物を使って治療してしまうことに似ています」とMacdonald氏は説明した。

彼らはまた私たちに、”The Crawler”(這うもの)と呼ばれる小さなロボットを見せた。これはタービンブレードに自身を固定するための磁石のタイヤをはいた、マッチボックスのトラックのようにみえる。他のタービン外科医ロボットたちと同様に、これもLEDライトとカメラを搭載している。しかし回転するタービンの間を移動するようにデザインされた他のロボットたちとは異なり、これはブレードの上を自走するようにデザインされている。

オペレータは、スマートフォンアプリ、または仮想ジョイスティックのように動作するラップトップのアプリケーションを介してロボットを制御し、ブレード 上を移動することができる。修理キットロボットの場合と同様に、このロボットにも修理や他の仕事を行なうためのモジュールを装着することが可能だ。

これらのロボットはまだ試作段階のものに過ぎず、私達にはまだその柔軟な検査や修理を行なうロボットの写真は撮影させてくれなかったが、このプロジェクトはタービン検査の課題に異なる視点を取り入れようとするものだ。ボアスコープは単にこれまでのやり方で、誰もそのアプローチに関して再考することを思いつかなかったのだ ― このチームが検査問題に新しい視点で取り組み始めるまでは。

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(翻訳:Sako)

Made In Spaceが、自律型ロボットによる宇宙空間工場を実現するArchinaut構想を公開

Made In Space社は、国際宇宙ステーション(International Space Station)に搭載されている3Dプリンターの製造会社として知られている。宇宙飛行士たちは、このAMF(製造補助装置:Additive Manufacturing Facility)を用いて、指の添え木から道具や彫刻そしてプリンターの他の部品に至るまで様々なものを作り出した。

このたび同社は、より大規模なArchinautシステムを描いたビデオを公開した。これは自律ロボットによって操業される空中工場だ。Archinautは、人工衛星や宇宙船全体などの大型機械を、軌道上で製造し組み立てることが可能である。

Made In Spaceの社長兼CEOであるAndrew Rushは「真の商業宇宙空間利用の時代を先導する製造技術を開発するというのが、私たちの野望なのです」と語る。文字どおり彼は、他の惑星への移民を可能にして、何百万人もの人びとが美しい微小重力環境で生活し働くことができるようにしたいと願っている。

彼は「宇宙で製造することで、打ち上げに耐えるようにデザインするときには不可能だったものを、可能にできる筈だと我が社は信じているのです」と言う。打ち上げの最中には、もちろん巨大な力が宇宙船と内部の人にかかってくる。Rushは付け加えて「より効率的な梱包を行ったり、重量を節約したりできれば、新しいミッションが可能になったり、現在のミッションのコスト効率が良くなったりします」と言った。

Archinautを開発する際に直面した、最大の科学的および工学的課題の中には、材料の選択やハードウェアに関するものがあった。同社は、システム自身によって宇宙空間内で成形され、組み立てられ利用されるものと同時に、システム自身の部品に使われる材料を決定しなければならなかった。

「どのような材料がこの先も生き残り、良好な強度と寿命を与えてくれるのかを決めなければなりませんでした、同時に極端な温度差、放射線、そして部品に損傷を与える酸素原子環境にも耐える必要がありました」とRush。

ハードウェア面では、地球上ではうまく動作する3Dプリンタのデザインを、同社は単純に模倣することはできなかった。そうした3Dプリンターたちは、通常その構築エリアよりも小さなものを生み出すための箱として作られている。「ですが、20メートルの人工衛星反射板をプリントするために、50メートルの立方体を宇宙空間に打ち上げることなどは、あり得ません」とRush。

その代わりに同社は、ESAMM(”extended structure AMF”:拡張構造製造補助装置)と呼ばれる機械を考案した。本質的には、それは吹きガラス工房でのチームのように機能する。操作対象物の回りを移動しながら柔軟性を失わず、組み立てを行い、ときには大きな部品同士の溶接やボルト締めを行なう。Rushはそれを、ビルドエリアの大きさに制限を持たない「インサイドアウトプリンター(内から外へプリントする)」の1種であると表現した。

プリンター(ここに紹介したビデオに登場している)は子供の学校用バックパック程度の大きさで、もし材料を追加し続ければ、長さ数メートル以上にも及ぶトラス構造を製造することができる。同社は材料供給をどこから行なうかに関しては、特に言及していない。そのシステムは、小惑星から採掘された材料やリサイクルされた宇宙デブリのようなその場の資源を利用することができる。

NASAが資金を提供するArchinaut Development Programプロジェクトには、Northrop GrummanとOceaneering Space Systemsもサブコントラクターとして参加している。現在同社は、商用顧客向けのArchinautシステムを構築しているが、この正体を明かすことはまだ許されていない。近い将来には、より多くのミッションを飛ばして、より多くのArchinautシステムを構築するという野望がある。

40人のフルタイム従業員を雇用し、カリフォルニア州サンノゼのNASA Ames Research Centerを拠点とするMade In Spaceは、これまでベンチャーファンドを受け入れたことはない。しかし、同社は2010年の創業以来毎年黒字を計上している。このことは現在資金調達を続ける新しい宇宙スタートアップたちにとっては驚きだろう。

なぜ株式を用いた資金調達を行わないのか?「始めようとしているときに、私たちは人びとは宇宙で生活し働くことを助けるための、本当に大きなミッションに携わっているのだと分かりました」とRush。「これは長期的なビジョンだと考えました。これが必要とする作業の複雑さと範囲を考えれば、従来の時間枠に沿ってVCに対する投資収益率を約束することは、難しいと思います」。

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(翻訳:Sako)

SoftBankのPepperロボットがあいさつや返事の言葉をWebアプリケーションから設定できるようになった

これまで、SoftBankのロボットPepperは、コントロールするためにプログラミングの知識を必要としたため、大衆的な普及が困難だった(しかもアメリカでは小売チャネルが限られていた)。しかし今朝(米国時間5/1)同社が発表したPromoterというブラウザー上のツールを使えば、ロボットの動きを誰もがカスタマイズできる。残念ながら、まだごく一部の動きだけだけど。

WebアプリケーションPromoterについて同社は、今後続々と発表していくいろんなツールの最初のものだ、と言っている。Promoterを使ってユーザーは、いろんな返事の中からどれかを選んだり、あるいは応答の言葉を文章を書いて指定できる。また店頭で自分の前に人が立ったら注意を向けるとか、住所氏名などマーケティングに必要な情報を書いてもらうなどの、対話的アクションもできる。

同社によると、このアプリケーションを使うにはユーザーに、“Facebookを利用するときぐらいのスキルが要る”。デモを体験して、ぼくもそう思った。ユーザーにできることといえば、ロボットの返事や応答を指定するだけだから、それは、いろんな入力に対する応答/返事を選ぶ作業だ。でも、ロボットのシステムにユーザーの年齢層・性別・感情などを推察させて、それに合わせた返事をさせるなど、おもしろい仕掛けもいくつかある。

これを既成品のロボットに対するプログラミングと呼ぶなら、ちょっと簡単すぎるかもしれない。SoftBankは、今後もっといろんなツールを出していく、と約束しているが、この最初のソリューションを見たかぎりでは、同社がこのロボットに何を期待しているかが明らかだ。それは、物珍しさやおもしろさでお店などに来たお客を惹きつけ、彼らから今後のマーケティングに役立ちそうな情報を得ることだ。

でもPepperに込められているはずの高度な技術が、“店頭の呼び込み”にしか役に立っていないのは、少々残念だ。それに25000円というお値段では、相当大量に売れないと開発費を回収できないのではないだろうか。

Pepperの前のNaoは、高度な研究用ロボットとしてデモされた。さらに高度なRomeoも、そうだった。それから何年も経って発売されたPepperは、明らかに、大衆向けの用途をねらっていた。研究室やロボット同士の対戦ではなくて、この人型ロボットはショッピングモールや空港で人びとにあいさつすることが仕事だった。

同社は、今後のこのようなアプリケーションでPepperの使い勝手を拡大する、と約束している。SoftBankは、初期にはこのロボットのいろんな用途を宣伝していたが、でも今のところは、関節のある高度なモバイルのキオスク、的な用途に限定されている。7月にアメリカでローンチするまでには、もっといろんなものが見られると良いのだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

手のひらサイズのパーソナルアシスタントロボット「PLEN Cube」日本語版が登場

Amazon Echo」や「Google Home」といったアシスタントロボット。海外では一般家庭での利用も進み盛り上がりを見せているが、日本は日常生活に浸透するまでには至っていない。現在、ロボットの活用が進んでいるのは医療、介護現場や商業施設などがメインになっている。

そんな中で、“1人が1台利用するロボット”をコンセプトにしたアシスタントロボットが登場した。それが「PLEN Cube」だ。同プロダクトの開発を手がけるPLENGoer Roboticsは4月27日、サイバーエージェントが運営するクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを開始した。

PLEN Cubeは2月21日から米クラウドファンディングサイト「KickStarter」でプロジェクトを開始し、3日間で目標金額を達成しているが、こちらは“英語版”。今回Makuakeでプロジェクトを開始したものは“日本語版”になる。

日本語版の価格は5万7000円(Makuakeでは早期割引で3万9900円から販売)。製品の発送は2018年6月を目指すという。

手のひらサイズのハコ型ロボット「PLEN Cube」

PLEN Cubeは、一辺が約7.5cmの直方体で、手のひらに乗るサイズのハコ型ロボット。カメラ、ディスプレイ、スピーカー、マイクといった基本的な機能に加え、フェイストラッキング、音声認識、ジェスチャー認識の機能も搭載されている。

一体、どんなことができるのか。主な特徴は下記の3つだ。

1.フェイストラッキング機能付きのカメラ
2.あらゆる IoT 家電を操作するスマート・リモートコントローラー
3.Webサービスと連結するインターネット・コミュニケーター

1.フェイストラッキング機能付きのカメラ
左右に360度回転するヘッドによってパノラマ撮影が行えるほか、搭載されているフェイストラッキング機能のよってカメラが被写体を認識し、自動で追跡して写真や動画を撮影してくれる。また、撮影された写真や動画は保存、インターネット配信も可能となっている。

2.あらゆる IoT 家電を操作するスマート・リモートコントローラー
Wi-Fi、Bluetooth、赤外線によってテレビや照明、エアコンなどのIoT家電を遠隔操作できる。複雑な入力操作は必要なく、声とジェスチャーで指示するだけでいい。

3.Webサービスと連結するインターネット・コミュニケーター
また、IFTTTやヤフーのmyThingsを介してさまざまな Web サービスを連結させることで、ディスプレイに天気情報を表示させたり、音楽を流したりすることができる。

二足歩行ロボット「PLEN」のノウハウを活かしながら開発

PLENGoerRobotics CEO 赤澤夏郎氏

PLENGoer Roboticsの設立は2016年3月。日本で10年間小型ロボットを開発してきたプレンプロジェクトと、中国でトップクラスの生産技術をもつGoerTekが共同で立ち上げた合弁会社だ。これまでに二足歩行ロボット「PLEN」を開発した実績があり、今回のPLEN CubeにはPLENの開発で培ったノウハウが活かされているという。

「メカ設計と小さい筐体にコンポーネントを収めること、また愛くるしい動きをする。このノウハウを活用してPLE Cubeの開発を進めていきました。我々は『持ち歩きたいロボット』を目指しているので、デザインも溶け込みやすいシンプルなものにしてあります」(PLENGoer Robotics 代表取締役社長 赤澤夏郎氏)

今後、PLENGoer Roboticsは2018年6月の発送に向けて、PLEN Cubeの音声認識精度の向上など、さらなる改善を進めていく予定だという。

魚群撮影などにも有益な海中ドローンのPowerRay

卵型ドローンのPowerEggの開発社が、新しいプロダクトの注文受付を開始した。新たなプロダクトとは、趣味で利用する水中ドローンだ。名前をPowerRayという。防水メカで、海の中の魚を見つけたり、追いかけたり、あるいはビデオにおさめることができる。水深30mで4時間まで動作することができる。川でも海でも、あるいはプールでも問題なく動作することができる。

PowerRayが最初に発表されたのは2017年1月のCESにおいてだった。もちろんこの時点では、テックおたくを喜ばせるためのギミックとしてのデビューではあった。しかしマリン系の人たちが興味をもつものかどうかをうかがう意味もあったのだ。

基本パッケージには、ベースステーションと繋ぐ50mのケーブルも同梱されている。水の流れに流されてしまうのを防ぐとともに、電源ケーブルおよびビデオケーブルとしても機能するようになっている。PowerRayでは、すべてのモデルで4Kカメラを搭載している。光学パーツはZEISS製だ。

ミッドレベルのパッケージとなるPowerRay Anglerには、魚を捉えるためのツールも付属している。すなわちPowerseeker Fishfinderがライトを照らして魚の注意をひき、Bait Drop Lineを使って餌をまくこともできるようになっている。

Wizardエディションになると、VRヘッドセットも付属している。これを使えばウェットスーツなしに水の中を散歩する気分を味わうことができる。PowerRayの最も安いモデルは1,715ドルで、もっとも高価なモデルが2,250ドルとなっている。まずはヨーロッパでの販売が開始されることとなっている。

ちなみに、海中で動作するドローンはPowerRayのみというわけではない。スタートアップのOpenROVが扱うTridentというモデルもある。

PowerRayがサンフランシスコ湾にて撮影した海洋写真

PowerVisionのアメリカ支部におけるCEOであるChih-Che Tsaiは、PowerVisionは趣味にとどまることなく、実用にも使えるものだとしている。これまでもソナーを使えば地形や魚群を探知することができたが、船に固定するのではなく、自在に動きまわる装置にセンサーを装着することで、新たな可能性を開くことができるのだとのこと。

PowerRayのCEOから話を聞いたのは、サンフランシスコのAquarium of the Bayで行われたローンチパーティーでのことだ。お披露目の行われた水族館では、鮫の遊泳は禁止となっていた。それはすなわち、鮫などがドローンを食べようとするのを防ぐためのことだ。

それでもパーチやバスは泳いでいて、ドローンが近くまで接近する様子を見ることができた。ドローンは流れの中でもきちんと制御されていた。なお、魚たちはドローンから逃げようとはしていなかった。きっと、魚の世界でもドローンなどの人工物が一般化しているということなのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

AppleフェローのRich Pageがサラダ調理ロボットと「自動化による失業」について語る

最初に私たちがChowboticsのサラダ調理ロボットについて書いたとき、それはまだ単なるプロトタイプで、ちょっとした議論を巻き起こした。同社は、大きな食堂を持っておらず、フルタイムの調理人を雇う予算のない事業所へ、栄養価の高い食事を提供することを約束している。しかし、他の食品自動化技術と同様に、彼らのロボットSallyは、もしレストランの下働きコックを置き換えるなら、大勢の人びとを失業の危機に追い込むだろう。

今週、私たちはChowbotics会長のRich Pageにインタビューを行った。彼はSteve Jobsと一緒に働き、Appleでパーソナルコンピューターのデザインを開拓し、NeXT Computerの共同創業者にもなった人物だ。彼と、ChowboticsのCEOであるDeepak Sekarが、完成したロボットをTechCrunchに見せてくれた。Sallyはほどなく、コワーキングスペースから病院に至る様々な場所に設置され、サラダの提供を始める。

Sallyを自動販売機以上のものにしているのは、内部で使われているセンサーと様々な動くパーツだ、とPageが説明する。「自動販売機は単に物を落とすだけですが」とPage。「Sallyの中では重要な働きが行われています。プライマリー重量センサーによってSallyは各材料の使用量を調整します。どの材料が使われるかは、ユーザーの指示次第です」。

切り整えられたり、丸ごとだったり、あるいは液状になった材料が個別のチューブの中にストックされる。システムはそれぞれのチューブがドレッシングなのか、野菜なのか、あるいはチーズやその他のトッピングなのかを知っている。チューブは少なくとも1日に1度人によって満たされる。いずれかの材料が残り少なくなって補充が必要な際には、システムは顧客に通知を行う。

Cowboticsのサラダ調理ロボットSallyの内側に並ぶチューブ。

ロボットのデザインを十分にコンパクトに保ち、事業所や小売環境で繰り返し利用できる耐久性を実現することが、同社の乗り越えなければならない大きな課題だった。Sekarによれば、従来の「くしゃみガード」をつかったサラダバーではなく、ロボットによってサラダを衛生的に準備できるというアイデアを気に入った、病院からの問い合わせを受け続けていたということだ。

スタートアップは「職を奪う」ことに関しては心配しているのだろうか?Pageは同社を始めとする食品自動化とロボットの企業たちは、イノベーションの手を緩めるべきではないと語る。「既存の職業と、新しい職業の間には、いつでもトレードオフがあります。これは世界にある種の不満をもたらすでしょう。しかし、全体として見れば世界は進み、皆にとって全てが良くなって行くのです」。

Pageは、そのキャリアの初期に、タイピストたちがワードプロセッサによって置き換えられ、Apple IIで動作したVisicalcというプログラムによって紙が消えて行くのを眺め、色々と考えた。彼は言う「誰かを失職させたという事もできると思いますが、同時に生産性も向上させたのです」。

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(翻訳:Sako)

軍事用ロボット企業のRoboteamが、1万体の精鋭ロボットを家庭に送り込む

この瞬間にも、遠く離れた深圳の工場で、あるいはイスラエルの製造工場で、もしくはメリーランド州ゲイサーズバーグにある施設でも、イスラエルの小さな会社によってこの11月に世界へのリリースが目指されている1万体のロボットのうちの1体が、誰かによって組み立てられていることだろう。

テルアビブを拠点とする企業Roboteamは、既に世界中の軍隊に対して、何百万台もの大量のロボットを売っている。そんな彼らが現在狙っているのは消費者市場だ。

しかし、その運搬用、偵察用、もしくは爆弾除去用ロボットたちとは異なり、今度の新しいロボトッたちは、おばあちゃんがお茶やクッキー(や池の向こうに住む人達のパン)を運ぶことをお手伝いすることを目指してデザインされるものだ。

同社は実際に、Fenghe Investmentグループや同グループの有名な共同創業者John Wu(AlibabaのCTOとなった元ベンチャーキャピタリスト)などから5000万ドルを調達している。同グループの共同創業者でCIO(主任投資責任者)であるAMatt Huも、個人的に同社に投資している。

これは、同社による(真の意味でハードコアな)軍事用ロボットから、(同社の創業者であるYossi Wolfの言う)商業的に成功する製品への転換の大きな希望を賭けて、家庭向け市場に成功裏に参入するための最初の製品としての期待を担ったものだ。

「Roboteam defenseは、おそらく戦術ロボットの世界一のプロバイダーです」と、Wolfは同社の現在のビジネスについて述べている。「私たちは、ペンタゴンと協調している唯一のイスラエル発スタートアップです。これまでに1億ドル以上の収益を挙げ、現在数千台のシステムが稼働し、現在世界中で10億ドルの大規模プロジェクトを完遂中です」。

同社が現在製造しているのは以下のようなものだ。

Wolfが、彼と共同創業者であるIlad Levyが7年前に創業した同社の次の事業の柱について語るとき、強調したのは現在の製品である戦闘ロボットとは関連のないものになるということだ。

その代わりに彼は、宇宙家族ジェットソンのロージーのようなロボットを描いてみせた(ただし不格好ではない)。「7年前、私は大好きな祖母を訪ねました。彼女がお茶やクッキーを運ぼうとするのを見たとき、彼女は震えていました…私は高齢者を支援するためのサービスを提供できると考えています」。

イスラエル空軍の特殊部隊の経験豊富なベテランである彼は、現在量産されている他のロボットアシスタントたちを鼻で笑うように論じた。彼によれば、それらは家庭内での有益なユースケースを実際に見つけられないままのおもちゃにすぎない。

消費者向け子会社から販売が予定されている、新しいロボットのデザインやブランドに関して、Roboteamは固く口を閉ざしているが、私はWolfからなんとか幾つかの詳細を聞き出すことができた。

ロボットは、対話用10インチディスプレイを備えて、約3フィートの高さを持つ。重さは約22ポンドで、決して軽量ではないものの、運搬は大変ではない。40個のセンサーを装備して自律的に動作し、物を運ぶためのトレイを装備している。

私が、それは対話型ディスプレイとスマートホーム接続機能を持ったとてもファンシーなサイドテーブルのように聞こえるといったところ、Wolfは「でもセクシーだ!」と応えた。

これらのロボットの出荷に向けて、Roboteamはそれらをクリスマスに間に合うように家庭に届けるための、整然とした市場参入戦略を練っている。

テクノロジーに関心の高い、ニューヨーク、ロサンゼルス、そしてボストンといった都市にポップアップショップ(短期間オープンしてすぐになくなる店舗)を展開し、最初の1万体を売り込む同時進行のキャンペーンを仕掛ける。会社がやらないことの1つとしてWolfが挙げたのは、KickstarterのプロモーションやIndiegogoのキャンペーンだ。

「事前に発売して、実際の出荷には失敗してしまうKickstarterのモデルは決して採用するつもりはありません」とWolf。「私たちは出荷までを込みで投資を行い、1万体を出荷可能な状態にしてローンチする計画です。準備が整わない状態でローンチは行いません」。

Wolfにとって、新しい製品は、複数の最高の技術を結集したものだ。「AlexaとGoogle Homeを一緒にして、Facetimeのビデオ体験とWhatsApp、そして素晴らしい移動性を兼ね備えたものになります」と彼はピッチの中で述べている。「それは動き、それは話し、それは聞くことができます。あなたを理解することができるのです」。

2002年のiRobotのルンバの発売以来、家庭内ロボットのアイデアは、多くの人々の想像力 によって、SF小説から日々の現実へと旅を続けて来た。家庭内のロージーロボットのアイデアはただの空想の産物ではない。沢山の可能性をもたらすものだ。問題は、誰も彼らをどう扱うべきかを知らないように見えることだ。

私は放置されたPepperにぞっとさせられたし、Jiboのようなものは擬人化されているものの、ハブとしては焦点がボケているように見える(Amazon EchoとGoogle Homeはどちらもより実用的で、家庭内での子供たちとの関係作りにはあまり熱心ではない)。Beamはミーティング用のツールとして利用されているが、馬鹿げたものとしか思えない(インタビューを受けている最中、それを押しやって壁に向けてしまいたい衝動と戦わなければならなかった)。そしてWall-Eに似たAsusのZenboだが、役に立つとは言えない(よくデザインされた移動式Jiboというところだ)。

ベンチャーキャピタルたちが喜んでロボット市場に投入しようとしいている金額から目を背けることはできない。Crunchbaseのデータによれば、過去3年間における、産業用ならびに個人用ロボット企業への急騰した関心によって、市場はヒートアップしている。ベンチャーファームたちは2015年と2016年に記録的な額を投入している。Crunchbaseのデータによれば2014の4億5000万ドルから、それぞれの年が9億ドルずつに迫るものに増えているのだ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: YAGI STUDIO/GETTY IMAGES