AppleフェローのRich Pageがサラダ調理ロボットと「自動化による失業」について語る

最初に私たちがChowboticsのサラダ調理ロボットについて書いたとき、それはまだ単なるプロトタイプで、ちょっとした議論を巻き起こした。同社は、大きな食堂を持っておらず、フルタイムの調理人を雇う予算のない事業所へ、栄養価の高い食事を提供することを約束している。しかし、他の食品自動化技術と同様に、彼らのロボットSallyは、もしレストランの下働きコックを置き換えるなら、大勢の人びとを失業の危機に追い込むだろう。

今週、私たちはChowbotics会長のRich Pageにインタビューを行った。彼はSteve Jobsと一緒に働き、Appleでパーソナルコンピューターのデザインを開拓し、NeXT Computerの共同創業者にもなった人物だ。彼と、ChowboticsのCEOであるDeepak Sekarが、完成したロボットをTechCrunchに見せてくれた。Sallyはほどなく、コワーキングスペースから病院に至る様々な場所に設置され、サラダの提供を始める。

Sallyを自動販売機以上のものにしているのは、内部で使われているセンサーと様々な動くパーツだ、とPageが説明する。「自動販売機は単に物を落とすだけですが」とPage。「Sallyの中では重要な働きが行われています。プライマリー重量センサーによってSallyは各材料の使用量を調整します。どの材料が使われるかは、ユーザーの指示次第です」。

切り整えられたり、丸ごとだったり、あるいは液状になった材料が個別のチューブの中にストックされる。システムはそれぞれのチューブがドレッシングなのか、野菜なのか、あるいはチーズやその他のトッピングなのかを知っている。チューブは少なくとも1日に1度人によって満たされる。いずれかの材料が残り少なくなって補充が必要な際には、システムは顧客に通知を行う。

Cowboticsのサラダ調理ロボットSallyの内側に並ぶチューブ。

ロボットのデザインを十分にコンパクトに保ち、事業所や小売環境で繰り返し利用できる耐久性を実現することが、同社の乗り越えなければならない大きな課題だった。Sekarによれば、従来の「くしゃみガード」をつかったサラダバーではなく、ロボットによってサラダを衛生的に準備できるというアイデアを気に入った、病院からの問い合わせを受け続けていたということだ。

スタートアップは「職を奪う」ことに関しては心配しているのだろうか?Pageは同社を始めとする食品自動化とロボットの企業たちは、イノベーションの手を緩めるべきではないと語る。「既存の職業と、新しい職業の間には、いつでもトレードオフがあります。これは世界にある種の不満をもたらすでしょう。しかし、全体として見れば世界は進み、皆にとって全てが良くなって行くのです」。

Pageは、そのキャリアの初期に、タイピストたちがワードプロセッサによって置き換えられ、Apple IIで動作したVisicalcというプログラムによって紙が消えて行くのを眺め、色々と考えた。彼は言う「誰かを失職させたという事もできると思いますが、同時に生産性も向上させたのです」。

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(翻訳:Sako)

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TechCrunch Japan

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