高速表示可能なGoogleのAMPページを提供者の本物のURLで表示できる仕組み

ウェブサイト運営者はGoogleのAMPページを必ずしも愛していないが、読者は確実にそのスピードを喜んでいるし、運営者がGoogleの強権の肥大をどれだけ嫌っても今やほとんどの有力サイトがこの形式をサポートしている。でも運営者にとって絶対に嫌なAMPの奇癖が、ついになくなるようだ。米国時間4月16日からは、Googleの検索でAMPのリンクをクリックすると、ブラウザーは「http//google.com/amp」のリンクではなくパブリッシャーの本当のURLを表示する。

この変更は、1年以上かけて準備されていた。昨年1月に同社は、Googleのamp URLを表示せずにGoogle AMPのキャッシュからAMPページをロードする、複数カ月を要する取り組みを開始すると発表した

この取り組みの中心的存在はWeb Packagingという規格だ。これはデジタル署名を使う署名交換であり、Web Packagingによってブラウザーは、ドキュメントをパブリッシャーのオリジナルページに属するかのように信用する(Googleが送ったAMPページであっても)。本来ならブラウザーはデフォルトで、同じオリジナルページからではないデータにアクセスしようとするウェブページ内のスクリプトを拒絶する。そこでウェブサイト運営者はちょっと余計な仕事をして、ストーリーの署名ありバージョンと無署名のバージョンの両方を公開しなければならない。


2018年11月にGoogleが運営者にこの変更を告げてからは、かなりの数の運営者すでにこれをやっている。今は、このサービスの背後にある中核的な機能をサポートしているのはChromeだけだが、そのほかのブラウザーも近くサポートを加えるだろう。

運営者にとっては、ドメインネームが自分のブランドの重要な一部だから、これはかなり重要なことだ。自分自身のURLを使えれば、アナリティクスを得るのも容易だし、AMPページの上部にあるグレーのバーが出ても、URLバーには正しい名前があるからユーザーは安心する。

この新しい機能のローンチにあたってGoogleは、Cloudflareとパートナーした。後者は今日、そのAMP Real URL機能をローンチした。すべてのユーザーに行き渡るのはもうちょっと時間を要するが、いずれ誰もがクリック一発でそれを有効にできる。これにより企業は、GoogleのAMPキャッシュに送るすべてのAMPページを自動的に署名する。当面は、この機能をサポートするCDNはCloudflareだけとなるが、他社もこれに続くだろう。

CloudflareのCEOであるMatthew Prince氏はこう言っている。「AMPはインターネットの性能をアップする素晴らしいプロジェクトだから、AMP Projectに協力してAMPの最大の問題の1つを取り除きたかった。それは、パブリッシャー本人がサーブしたページのようにならないことだ。今回の新しいソリューションは今のところうちだけが唯一のプロバイダーだが、うちのスケールはグローバルだから、どこにいるパブリッシャーでも、自分のコンテンツをより高速かつブランドを大事にするモバイル体験で送ることができる」。


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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Cloudがゼロトラストフレームワークに基づく新しいアイデンティティツールを発表

米国時間4月10日、Google CloudCloud Nextカンファレンスにおいて、「BeyondCorp」というゼロトラストセキュリティモデルのコンテキスト内でIDとアクセス管理をシンプルにする、新しいアイデンティティツールを発表した。

ゼロトラストはその名が示す通り、ネットワークを利用する人を誰も信用できないことを前提とするという意味だ。クラウド以前の時代には、ファイアウォールを設定し、承認された利用者がネットワーク内にいると何らかの合理的な確信をもって考えることができた。クラウドによってこの状況は変わり、その変化を考慮したモダンなセキュリティ体制を提供するためにゼロトラストが生まれた。

Googleは、開発者の負担を減らして簡単にアプリケーションにIDを組み込めるようにしたいと考えている。IDはアプリケーションにアクセスするためだけのものではなく、特にBeyondCorpのアプローチのコンテキストにおいてはセキュリティレイヤーに欠かせない部分と考えられる。その人が誰であるかがわかっていて、かつその人がどのようなやりとりをしているかのコンテキストを理解できれば、その人は名乗っている通りの人なのかどうかに関する有力な手がかりになる。

これにより、アプリケーションを保護するだけでなく、仮想マシンからAPIまでシステム全体がすべて同じように保護されることになる。Googleはブログの投稿で「ここ数カ月にわたり、我々はウェブアプリケーション、VM、Google Cloud Platform(GCP)のAPIを保護するために、Cloud Identity-Aware Proxy(IAP)とV​PC Service Controlsにコンテキスト認識アクセス機能のベータ版を追加してきた。今日、我々はこの機能をCloud IAPで広く使えるようにし、G Suiteアプリケーションへのアクセスを保護するためにこの機能のベータ版をCloud Identity​にも拡張した」と紹介している。

コンテキスト認識アクセスのハイレベルアーキテクチャ 提供:Google

このコンテキスト認識アクセスのレイヤーは、クラウド全体にわたってこれらの領域をすべて保護する。同社は「コンテキスト認識アクセスにより、ユーザーのIDとリクエストのコンテキストに基づいて、アプリケーションとインフラストラクチャへのきめ細かいアクセスを定義し実行できる。組織のセキュリティ体制を強化しつつ、ユーザーは事実上どのデバイスからでも、どこからでも、簡単にアプリケーションとインフラストラクチャのリソースに、簡単に、これまで以上に安全にアクセスできるようになる」と記している。

G Suiteの保護はベータ版だが、それ以外は米国時間の4月10日から利用できるようになっている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoogleがG Suiteユーザー向けの新しいセキュリティツールを発表

米国時間4月10日、Googleはオンラインの生産性向上、コラボレーションプラットフォームであるG Suiteのセキュリティアップデートを多数発表した。このアップデートの主眼は、誰がデータにアクセスできるかを制御し、フィッシングやマルウェアの攻撃を防ぐための新しいツールを導入して、G Suite内にある企業のデータを保護することにある。

こうした保護のために、例えば、Googleは高度なフィッシングおよびマルウェア保護機能のベータ版を発表している。これは管理者が悪意のある添付ファイルやなりすましの受信メールなどからユーザーを守るのに役立つ。

最も興味深い機能は、新しいセキュリティサンドボックスだ。これもG Suiteのエンタープライズユーザーに対してベータ版として提供される。サンドボックスを使うことで、管理者は添付ファイルに対して実行される既知のウィルスやマルウェアの標準的なスキャンの上に、保護レイヤーをもうひとつ追加できる。既存のツールではゼロデイ攻撃のランサムウェアや精巧なマルウェアから十分に保護することができない。そこで添付ファイルを開くのではなく、このツールで添付ファイルをサンドボックス環境で実行しセキュリティの問題がないかをチェックする。

今回Googleは、新しい管理者向けのセキュリティおよびアラートセンターのベータ版の提供を開始した。推奨されるベストプラクティスを実行するサービスを作成するツールだが、脅威に対して優先順位づけをして対処するための一元化された通知センターとツールでもあり、複数の管理者がコラボレーションすることを狙っている。通知の送信やセキュリティ調査担当者の割り当てを自動化するワークフローを管理者が作成することに重点を置いたセキュリティ調査ツールであることも、新しいポイントだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

普通のAndroidスマホをセキュリティキーにするGoogleの新技術

もうすぐAndroidのスマホは、ハードウェアのセキュリティキーの代わりに、Googleアカウントへの2段階認証アクセスを可能にするデバイスとして使えるようになる。Googleが米国時間4月10日のCloud Nextカンファレンスで発表したところによれば、同社はChromeブラウザーと通信することで、同社のサービスにアクセスするための標準的な第2段階として機能するBluetoothベースのプロトコルを開発した。つまり、Androidスマホが、最新のハードウェアセキュリティキーと同様の機能を発揮できるようになる。

2段階認証が、オンラインアカウントを保護するための最も優れた方法の1つであることは、もはや常識となっている。通常の場合、認証の第2段階の確認コードは、プッシュ通知、テキストメッセージとして受信するか、Google Authenticatorのような認証アプリから得ることができる。ここでは、誰かがこれらの通信に割り込んだり、ユーザーのアカウントを偽装して第2段階の確認コードを不正に入手し、ログインしてしまうというリスクが常につきまとう。物理的なセキュリティキーを使えば、コードを送信する前に、ユーザーが正当な場所にいることが確認できるので、第2段階を詐称することはほとんど不可能となる。ハードウェアキーは、不正な場所では確認コード自体を生成しないのだ。

Googleは、Androidスマホを利用する場合にもまったく同じ規格を適用するので、ハードウェアが異なっても、フィッシング対策機能はそのまま維持される。

Bluetoothを利用したセキュリティキー自体は、もちろん新しいものではない。Google純正のTitan Security Keyにも、Bluetoothバージョンがある(ただ、多少の物議を醸してはいるが)。そうしたキーのユーザー体験は、やや面倒なものとなっている。まずキーとデバイスを接続しなければならないのだ。しかしGoogleによれば、Bluetoothを使う新たなプロトコルによって、そうした手順はすべて省くことができたという。そのプロトコルが、通常のBluetoothには必須の接続設定を無用にするのだと。残念ながらGoogleは、それがどのように動作するかについての詳細は明らかにしていない。

Googleによれば、この新機能はAndroid 7以降のデバイスで利用できるが、Bluetoothと位置情報サービスを有効にすることが必要になるという。Googleのスマホ、Pixel 3には、改ざん防止機能を備えた同社のTitan Mセキュリティチップが搭載されているため、さらに強力な保護機能が利用できる。とはいえ、Googleは、これは一種のボーナスと位置付けていて、必須ではないとしている。

セットアップに関して言えば、これまでのセキュリティキーを設定する手順と、それほど大きくは変わらない。スマホをなくしたり、壊したりしたときのために、予備のセキュリティキーを持っておくのは良いアイディアだ。 この新機能は、仕事用とプライベート用、両方のGoogleアカウントで利用できる。

今のところこの機能は、Chromeブラウザーとの組み合わせでのみ動作する。ただし、新しい標準が確立されれば、それを他のブラウザに統合することも可能になるはず、という希望もある。Googleが、EdgeとFirefoxでも、セキュリティキーを使って自社のサービスにログインできるようにしてから、まだ1、2週間しか経ってない。それは確かに1歩前進だった。Googleがさらに便利な新しいサービスを提供するようになった今、他社のブラウザーがそれをサポートするようになるには、まだ少し時間がかかるだろう。ここでも、Googleにいくらかのアドバンテージがある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Google Cloud Next 2019の重要発表トップ6まとめ

Googleのクラウドデベロッパー向けカンファレンス、Cloud Next 19はサンフランシスコで開催中だが、プロダクトの発表は出揃ったようだ。以下にもっとも重要と思われる6項目をまとめてみた。

Anthos

これは一体何?
AnthosはGoogle Cloud Services Platformに与えられた新しい名称だ。 エンタープライズ企業がコンピューティングリソースの管理や料金の積算、支払いといったわずらわしい業務の処理もすべて任せるプライベートデータセンターとしてとしてGoogle Cloudを利用する場合、 Anthosがそのプラットフォームの名前となる。

しかもAnthosはAmazonのAWSやMicrosoftのAzureといったライバルのクラウドもサポートに含める。これにより他のクラウドを利用している企業もGoogleを単一のクラウドの窓口とすることができる。つまりAnthosを使えばGoogle以外のクラウドに自社のプリケーションをデプロイしたり管理したりできる。クラウドのダッシュボードが単一となるだけでなく、料金もAnthosがまとめて計算し、請求する。こうしたことが可能になるは、予想通り、コンテナーとKubernetesの威力だという。

どこが重要なのか?
Googleのような巨大クラウドの運営者がライバルのクラウドをサポート対象に含めるというのは異例中の異例だ。ライバルのクラウドで実行されたコンピューティング料金はライバルに流れてしまう。しかしGoogleは「これは顧客の要望に基づくもので重要な問題を解決する」と主張する。GoogleはAWSやAzureを追う立場にあり、先行ライバルに対してはっきりした差別化を図る必要があった。優位にあるAWSやAzureが今後Googleのアプローチを採用する可能性は低いが、そうなればユーザーの利便性は大きく高まるだろう。

Google Cloudがオープンソース各社と提携

これは一体何?
Googleはオープンソースプロジェトのトップ企業多数と提携し、Googleクラウドのサービスjの一部として利用できるようにした。発表されたパートナーはConfluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsだ。提携はさらに拡大するものと見られる。

どこが重要なのか?
すでにこうしたオープンソースプロジェクトの製品を利用しているエンタープライズにとって大きな朗報であり、Google Cloudのセールスポイントとなるだろうこうしたオープンソースプロダクトのカスタマーサポートや利用コストの支払いなども上で紹介したAnthosプラットフォームが単一の窓口となる。実際の内容はかなり複雑だが、今回のカンファレンスでGoogleがオープンソース化を鮮明にしたことがはっきりした。これはAWSのクローズドなアプローチとは対照的だ。オープンソース各社はAWSが「オープンソースを利用するだけでまったく貢献しようとしない」として反発を強めている。

Google AIプラットフォーム

これは一体何?
Googleは自社の強力なAIがAWSやAzureなどのクラウドと競争する上でセールスポイントとなると考えている。Googleはすでにデベロッパーやデータサイエンティストなどに向けて各種のAIツールを提供している。たとえばAutoMLは、その名のとおり、与えられたデータから自動的に機械学習モデルを生成するサービスだ。利用するために計算機科学の博士号は必要ない。新しいAIプラットフォームはエンタープライズの業務に全面的なソリューションを与えることができるさらに高度なサービスをデベロッパー向けに提供する。これは元データの整理からモデル化、学習、アプリ作成までサポートする。このプラットフォームには簡単に利用できるテンプレートモデルがいくつか用意される。

どこが重要なのか?
AI(機械学習を含む)は現在の主要クラウド事業者全員が取り組んでいるホットな課題だ。しかしユーザーが実際に業務に適用しようとすると改善を要する点がまだ多い。とくに元データからアプリケーションまでエンドツーエンドでソリューションを提供できるというのは明らかに大きな進歩だ。これにより機械学習の利用が拡大することが期待できる。

Androidスマートフォンがセキュリティーキーになる

これは一体何?
ドングルを接続したりマニュアルでセキュリティー数字を打ち込んだりせずにAndroid 7以降のスマートフォンを持っていれば自動的な2要素認証によるサービスへのログインが可能になる。ユーザーはGoogleアカウントからBluetoothを有効にしておく必要がある。今のところこの機能はChromeのみサポートしているが、Googleはこの機能を他のブラウザやモバイルOSがサポートすることを期待している。Googleではユーザーが(残念ながら起こりうる可能性だ)スマートフォンを紛失したときのために、これまで通り、プリントアウトできるセキュリティーキーが使えるとしている。

どこが重要なのか?
2要素認証は単なるパスワードによる認証より安全性が格段に高い。しかし2要素認証であってもユーザーを偽サイトに誘導するフィッシング攻撃で破られる可能性があった。しかし今回の新しい自動2要素認証システムは正規のサイトかどうかを判別する。またユーザーの煩わしさも大きく軽減される。Googleではこれにより2要素認証の普及が進むことを期待している。

Google Cloud Code

これは一体何?
Cloud CodeはIntelliJやVS CodeのようなポピュラーなIDEで利用できる一連のプラグインだ。これは開発作業でローカルとクラウドを往復したり、必要なツールを別途探したりする必要をなくしてデベロッパーにクラウドネイティブな開発環境を提供することが狙いだ。Cloud Codeを利用すれば、デベロッパーはこれまでのローカルの開発と同様にコードを書くだけで自動的にクラウドで実行可能なパッケージが生成される。これはKubernetesクラスターに送りこんでテストしたり、業務に利用したりできる。

どこが重要なのか?
クラウドネイティブなアプリを書くのは複雑な作業で、特に適切なコンフィグレーションファイルを書くのが難しかった。Cloud Codeはデベロッパーの負担を軽減するのが狙いだ。これによりクラウドが企業コンピューティングのインフラとなることが促進されるはずだ。

Google Cloudはリテラーをターゲットに据えた

これは一体何?
今回、通販など小売業を対象としてバーティカルソリューションが発表された。Googleはリテラーをクラウドコンピューティングのターゲットに加えた。それだけ聞けば「当たり前だろう」と思う読者も多いだろうが、Google Cloudではリテラーがすぐに使えるパッケージを今後強化していくという。

どこが重要なのか?
Google Cloudの新CEOのThomas Kurian氏によれば、カスタマーは現在使用中の業種に特有なツールをそのままクラウドでも利用したいと強く要望しているという。リテラー向けパッケージは(ヘルスケア分野もそうかもしれないが)業種に特化した初めてのクラウドソリューションとなる。カバーされる業種は今後されに拡大される予定であり、クラウドプラットフォームの重要な柱に成長させていくという。

記事の背景
TechCrunchはGoogle Cloudの新しいCEOのThomas Kurian氏に独占インタビューするチャンスがあった。我々は各種の発表の背景やGoogle Cloudが目指す方向について参考となる話を聞くことができた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

GoogleアシスタントでついにG Suiteのカレンダーを管理できるようになる

米国時間4月10日、GoogleはCloud Nextカンファレンスの中で、ちょっとしたことだがうれしいGoogleアシスタントの機能を発表した。GoogleアシスタントでついにG Suiteの仕事用カレンダーを管理できるようになるというものだ。

これまで同社は、Googleアシスタントは生活のプライベートな部分を管理するのに役立つとしてきた。しかしこれからは、G Suiteのアカウントでサインインし、仕事の日に関する情報をGoogleアシスタントに尋ねることもできるようになる。車やGoogle Home HubなどGoogleアシスタントのディスプレイも含め、Googleアシスタントが動作するすべての場面でこのように統合される。

現時点では、この機能はカレンダーのイベントについて尋ねることにほぼ絞られている。Googleアシスタント経由でイベントを作成することはできないようだ。ただしGoogleは、たとえばこの機能を使って今後予定されているイベントについて尋ね、ほかの参加者にメールを送信することができるとしている。

興味深いのは、同社はこれまでGoogleアシスタントを職場での生産性向上ツールとは位置付けてこなかったということだ。「Google Home」や「Google Home Hub」という名前からもこのことは明らかだ。しかし仕事とプライベートは重なり合うこともあるし、基本的には声で操作してキッチンの照明を点けるのと同じテクノロジーを使ってスプレッドシートから関心のあるデータを取り出すこともできるだろう。

Googleはこのテーマを今後も拡大していくのか、あるいは今回限りの統合なのかに注目だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

エンタープライズ向けGoogle+の名前が「Currents」に

コンシューマ向けのGoogle+は正式に終了したが、エンタープライズユーザー向けはまだある。Google+のパブリックバージョンが完全に終了してわずか数日後の米国時間4月10日、Googleはエンタープライズバージョンをこれからは「Currents」と呼ぶことを発表した。

この名前に聞き覚えがあるかもしれない。GoogleはかつてCurrentsという名前の別のサービスを提供していた。それはGoogle+と統合されたソーシャルマガジンアプリで、のちにGoogle Play Newsstandとなったものだ。この経緯は、新しいCurrentsにとっては縁起がよい。

これまでのGoogle+と同様に、Currentsは社員が知識を共有し、社内のディスカッションをするための場となる。

Google+の名前を完全に消すことによって、Googleはおそらく正しい方向へ向かっているのだろう。コンシューマ向けのGoogle+が終了すると発表された際に、エンタープライズ向けは継続されることについて若干の混乱が生じた。おそらくこの動きは、このプロジェクトに今も関わっている開発者がGoogle+が残した負の遺産を廃し、新しい何かを試すことにもつながっていくだろう。コードベースではGoogleのトップが未来はSocial Searchにあると考えていた頃をいまだに反映してはいるものの、ビジネスユーザーのみを対象としたことから、今後の開発はかなり容易になるものと思われる。

Image Credits: studioEAST/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ChromiumベースのEdgeブラウザーが公式プレビュー

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間4月8日、Chromiumエンジンを搭載したEdgeブラウザーの最初の公式バージョンを、Windows 10用にリリースした。最初のデベロッパー向け、およびカナリービルドは、ここからダウンロードできる。カナリービルドは毎日、デベロッパービルドは週1回のペースで更新される予定だ。もう少し経てば、ベータチャンネルも、そして最終的には安定版チャンネルのリリースも期待できる。

Microsoftは、このプロジェクトについて昨年12月に初めてアナウンスした。そのニュースは、やはりかなり物議を醸した。Microsoftは自らのブラウザーエンジンを棄ててまで、オープンソースのエンジンを選ぶのかと。しかも、オープンソースとはいえ、いまだGoogleの強い支配下にあるものを。そうなれば、ブラウザーエンジンはほとんど2つに集約されてしまう。GoogleのChromiumとMozillaのGeckoだ。

私は、先週あたりに出た最新版のビルドを使ってみた。Microsoftの新しいChromiumベースのEdgeブラウザーを使ってみて最も注目すべきことは、まったく注目すべき点がないように感じられることだろう。それは紛れもないブラウザーであり(最初のリリースにつきもののバグはいくつか見られるものの)期待した通りに動作する。それは良いことだ。Windowsユーザーであれば、新しいEdgeをデフォルトのブラウザーとして難なく使用でき、それは何事もなかったかのように動く。その一方で、少なくともこの段階のプロジェクトでは、Chromium版のEdgeを、Google自身のChromeブラウザと区別するものがほとんどない。

ただし、Windowsエコシステムへの統合が深まるにつれて、それもだんだん変化していくだろう。今のところ、これはほんとうに最初期のプレビューであり、ウェブサイトと拡張機能のデベロッパーに対して、サイトやツールのテスト環境を提供するためのものなのだ。

とはいえ、すでにMicrosoftの他のサービスと統合されている部分もいくらかは存在する。現在、Edgeのプレビュービルドをインストールする際には、新規タブのレイアウトを選択することができる。選択肢は、検索バーといくつかのブックマークだけを配置した非常にシンプルなものと、Bingのものに似た、きれいな写真を背景に設定できるバリエーションだ。さらに、Microsoft Newsの最近の主なニュースを表示する機能も、新規タブページをパーソナライズするオプションとして用意されている。

Microsoftによれば、タブの管理や、その他の特徴的なUIを強化する過程で、自社のブラウザーを他社のものから差別化する方法を検討していくということだ。

この最初のプレビューでは、いくらかの同期機能もすでに利用可能となっている。ただし、いくつかのヌケもある。たとえば、ブックマークは同期するが、機能拡張、閲覧履歴、設定、開いているタブ、アドレスやパスワードは同期しない。そうした部分は、今後のビルドで動くようになるはずだ。

今のところ、利用可能な検索エンジンはBingだけ。それについても、まちがいなく今後のビルドで変わるだろう。

Microsoftが優先しているのは、完全なエンドツーエンドのブラウザコードベースをユーザーに提供すること、Windowsの更新サイクルとは別に定期的な更新をプッシュし、同時にユーザーからテレメトリデータをプルすることを可能にするエンジニアリングシステムを構築することだという。

私が遭遇したバグのほとんどはマイナーなものだった。ただし、Netflixには何度も悩まされた。私が試した限り、他のすべてのビデオサービスは問題なく動くのだが、Netflixのホームページはしょっちゅうガクガクしたり、数秒間反応しなくなったりした。

まあ、それは例外だろう。新しいEdgeをデフォルトのブラウザーとしてほぼ1週間ほど使ってみたが、同じような問題に出会うことはめったになかった。ほとんどは、すでに「うまく動いて」いる。PDFもブラウザー内で、期待通りに読むことができる。Yubikeyによる2段階認証を使ってGmailにアクセスするのも、何の問題もなかった。複雑なウェブアプリも、素早く、問題なく動いた。私が日常的に利用しているLastPassなどの拡張機能も、シームレスに動作した。Googleのストアからインストールした場合も、Microsoftのライブラリからインストールした場合も、まったく同じだった。

いくつかのベンチマークも実行してみた。もちろん驚くべきことではないが、EdgeとChromeの最新バージョンは、実質的に同じ結果を示す場合が多かった。開発のこの段階で、ベンチマークについてうんぬんするのは気が早いが、それでも結果は期待を裏切らないものだと言える。

今回のリリースでは、新しいEdgeで拡張機能を利用する方法を、初めて公式に目にすることにもなる。Microsoftは、独自の機能拡張ストアを提供する予定だが、それはむしろ当然のこと。しかし設定を切り替えるだけで、サードパーティのマーケットプレイス、つまりChromeウェブストアから拡張機能をインストールして使うこともできるようになるのだ。拡張機能のデベロッパーは、自分のツールをMicrosoftのストアに追加したければ、基本的に既存のChrome用の拡張機能を、そのまま持ってくればいい。

Microsoftは、新しいEdgeを、当然ながらWindows 7とWindows 8でも使えるようにすると約束している。さらにMac版も登場する。ただし現時点では、この最初のバージョンは、64ビット版のWindows 10専用となっている。それ以外のバージョンの開発も進行中だが、Microsoftによれば、それらは単にWindows 10版ほど進捗していないだけだそうだ。また、この最初のリリースは英語版のみだが、ローカライズされたバージョンも近々リリースされるだろう。

もちろん誰でもこのリリースをダウンロードして試してみることができるのだが、Microsoftでは、今のところ技術に精通している人以外にはお勧めしない、と強調している。この最初のリリースは、はっきり技術者を対象としたものなのだ。しかし、これから数か月以内に、Microsoftがさらに機能の充実したベータ版を配布し始めるのは間違いない。そしてその時には、より広い範囲のユーザーに向けたものとなるはずだ。それでも今すぐ試したいのであれば、あなたの技術レベルはどうであれ、誰も止めはしない。

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPhoneを狙う強力なスパイウェアが登場

セキュリティ研究者は、当初Android用に設計された強力な監視アプリが、今やiPhoneユーザーをターゲットにしていることを発見した。

このスパイアプリは、モバイルセキュリティ会社Lookoutの研究者が見つけ出したもの。その開発者は、Appleが発行したエンタープライズ用の証明書を悪用してApp Storeをバイパスし、無警戒な被害者のデバイスに感染させるのだ。

このアプリは、キャリア支援ユーティリティを装っている。いったんインストールされると、密かにユーザーの連絡先リスト、音声録音、写真、ビデオ、その他のデバイス情報、さらにはリアルタイムの位置情報までも入手することができる。遠隔操作によって、デバイス周囲の会話を聞くことさえできるという。誰が標的にされたのかを示すデータはないが、研究者によれば、このマルウェアを供給していたのは、イタリアとトルクメニスタンの携帯電話会社を装う偽サイトだった。

研究者は、以前に発見されたAndroidアプリの開発者との関連を指摘している。そのアプリは、やはりイタリアの監視用アプリメーカー、Connexxa社によるもの。同社のアプリは、イタリアの捜査当局に採用されていることでも知られている。

そのAndroidアプリとは、Exodusという名で、犠牲者となった数百人は、自らそのアプリをインストールしたか、インストールさせられていた。Exodusは多様な機能を持ち、さらに追加のコードを勝手にダウンロードしてスパイ機能を拡張することもできる。それによって、デバイスのrootアクセスを取得し、そのデバイスのほぼすべてのデータにアクセスすることが可能となる。つまり、電子メール、キャリア関連データ、Wi-Fiのパスワード、その他多くのデータが曝されてしまう。これはSecurity Wthout Bordersの見解だ。

普通のiPhoneアプリのように見えるスクリーンショット。それでいて、密かに被害者の個人データやリアルタイムの位置情報などを、スパイウェア企業のサーバーにアップロードしている

どちらのアプリも、バックエンドとして同一のインフラを利用している。ただし、iOS版の方が、いくつか特別なテクニックを使っている。たとえば、証明書のピンニングなどにより、ネットワークトラフィックの解析を困難なものにしている。これをTechCrunchに説明してくれたのは、Lookoutのシニア・スタッフ・セキュリティ・インテリジェンス・エンジニアのAdam Bauer氏だ。

「これは、このソフトウェアの開発に、専門家グループが関与していることの1つの証拠です」と、彼は言う。

Android版はGoogleのアプリストアから直接ダウンロードできようになっていたが、iOS版については広く配布されたわけではない。そうする代わりConnexxaは、Appleが開発者に対して発行したエンタープライズ向けの証明書を使ってアプリに署名した、とBeauer氏は述べている。それによって、この監視アプリのメーカーは、Appleの厳密なApp Storeのチェックを回避したのだ。

Appleは、これはルール違反だとしている。証明書はあくまで社内アプリ用であり、それを外部の一般ユーザーが利用できるよう流出させることを禁止しているからだ。

これは、他の何社かのアプリメーカーと似たような手口を使ったもの。TechCrunchが今年のはじめに発見したように、エンタープライズ用の証明書を悪用して、Appleのアプリストアの精査を回避するモバイルアプリを開発する手法だ。App Storeを通して供給されるすべてのアプリは、Appleによる認証を受けなければならない。でなければ、そもそも動作しない。しかし、FacebookGooleをはじめとする何社かは、自社内でのみ利用可能なエンタープライズ証明書を使って署名したアプリを、外部のユーザーに渡していた。Appleは、これはルール違反であるとして、FacebookとGoogleが使用していたエンタープライズ証明書を無効にすることで、それらのアプリが実行できないようにした。その結果、両社の違法なアプリが利用不可になっただけでなく、同じ証明書で署名されていた他のすべての社内用アプリも動かなくなった。

Facebookは、丸1日の間、Appleが新しい証明書を発行してくれるまで、通常の業務を遂行することができなかった。

AppleがConnexxaに発行した証明書(画像:提供)

しかも、エンタープライズ用の証明書を悪用していたのは、FacebookとGoogleだけではない。TechCrunchの調査では、何十ものポルノとギャンブルのアプリが、App Storeの認可を受けず、エンタープライズ証明書で署名され、Appleが定めたルールを迂回していた。

今回の研究者による調査結果の公開を受けて、AppleはConnexxaのエンタープライズ証明書を無効にし、すでにインストールされていた同社のアプリをすべてオフラインにして実行できなくした。

それによって、どれだけのiPhoneユーザーが影響を受けたのか、研究者には不明だという。

Connexxaは、コメントのリクエストに応えなかった。Appleもコメントを避けた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Android上のGoogle Assistantのビジュアルな答が改良された

半年ぐらい前にGoogleは、スマートフォンのAssistantのルックスを一新した。そして米国時間4月6日、同社はそのフォローアップとして、Android上のAssistantのビジュアルな応答性を良くするための、小さいけどすてきな手直しを発表した。それによってアプリの使い心地は、Googleのそのほかのサービスと同じになるだろう。

たとえば、イベントをたずねたときの応答は、同じ質問をモバイルのブラウザー上でたずねたときとまったく同じだ。これまでは、Assistantのビジュアルな応答は、かなり簡略化されていた〔下図のそれぞれ左(Before)〕。

[イベント][株価][犬][猫]

  1. Events

  2. Stocks

  3. Dog

  4. Cats

また、これにはユーザーからの苦情もありそうだが、Assistantでは最適解がないのでWebサイトのリストを“その他の解”としてユーザーに見せるとき、二つのボックスを画面上に縦に並べた。それは、とっても見づらい。しかし今度からは、ふつうのGoogle検索のレイアウトと同じになる。

良いアイデアじゃないの。なんでそれに苦情が来るの? つまり、表示が通常のGoogle検索と同じになったことによって、検索広告も出るのだ。Assisitantが広告をユーザーに見せるのは、これが初めてだ。Webサイトのリストを答としてもらうような質問は、そんなに多くないから、まあいいじゃないか。でもユーザーが心配するのは、これをきっかけにAssistant上の広告が今後多くなることだ。

Googleによると、Assistantのユーザーに見せるその広告では、広告主は広告のターゲティングができない。そしてユーザーに関する情報を、捕捉しない。

今度のAssistantには、住宅ローンの計算や、カラーピッカー(画面から色を拾う)、チップの計算、水準器などの機能が加わった。また、株価を知りたいときは、完全な対話型のグラフでそれができる。今までのように、株価が表示されるだけではない。

これらの新しい機能は今のところ、アメリカのAndroidスマートフォンのみだ。例によって、あなたのお手元のスマホに現れるのはもうちょっとあとだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Driveが電子署名や機械学習ツールなど統合して事務処理自動化へ

Googleは米国時間4月3日、ファイル保存サービスDriveに、いくつかの新しいワークフローを統合したことを発表した。それによりこのサービスは、電子署名のDocuSignや、プロセス自動化プラットホームK2Nintexの機能を持つことになる。

これらの新たな統合はどれも一見平凡だが、ユーザーの日常の仕事をすこし楽にしてくれることは確かだろう。DocuSignの統合によって、Google Driveの中でドキュメントを作成、署名、そして保存できるようになる。合意の署名を交わしたら、請求やアカウントのオープン、決済などの事務処理もDriveの中でできる。

K2の統合はやや違って、同社の機械学習ツールにフォーカスする。それによってユーザーは、Googleの機械学習ツールを使って、ワークフロー上でモデルを訓練し、たとえばローンの承認否認判断を自動的に行い、さらにそのローンの申込から承認までに関するすべての情報をGoogle Sheetに保存する。この統合は、Drive内の大量のドキュメントを見つけやすくするなど日常的なユースケースにも対応する。

K2でGoogleとの連携を担当しているバイスプレジデントのEyal Inbar氏は次のように語る。「K2はオンプレミスとクラウドの両方で、ユーザーの情報管理を単純化する。Google Driveとの統合で次世代型のコンテンツ管理サービスを顧客に提供し、彼らが自分のアプリケーションの中で強力なワークフローを構築実装できるようにする」。

Nintexのソリューションはやや専門的で、HRにおける契約管理のライフサイクルを扱う。契約の管理というときわめて地味に聞こえるが、これまた、自動化によって恩恵を得る重要な事務処理のひとつだ。

画像クレジット: Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleの反LGBT問題は巨大ハイテク企業の右傾化の現れか

Googleは、ようやくLGBTコミュニティーに対する失態を取り繕ったところなのだが、すでに次の問題が持ち上がっている。

先週、Googleは、人工知能の倫理的発達を監視し、おそらくは一般社会の不安をなだめるために、8人のアドバイザーからなる専門のグループを立ち上げた。

問題は、Advanced Technology External Advisory Council (技術外部諮問委員会:ATEAC)と名付けられたその新しい組織に、技術者やその道の専門家に交じって、Heritage Foundation(ヘリテージ財団)の代表Kay Cole Jamesが入っていることだ。

超保守派シンクタンクで、強硬LGBT立場をとり、石油業界とガス業界におもねって気候変動否定論を強く支持してきた経緯のあるヘリテージ財団の代表の参加は、AIを監視する委員会には、まったく不可解とは言わないまでも、不相応に見える。

この財団の非科学的な考え方だけをとっても、Googleの最先端の科学に根ざした事業と相反するように思えるが、トランスジェンダーの権利を公然と否定するこの人物は、Googleに新たなる文化的災難をもたらそうとしている。

Googlers Against Transphobia(トランスジェンダーを嫌悪する人たちに対抗するGoogle社員の会)と名乗るグループは、Jamesを参加させたGoogleの決定に抗議する請願書で、こう述べている。

Jamesの選任により、Googleはその「倫理」の価値観が、トランスジェンダー、LGBTQ、移民を抑圧する勢力に傾倒していることを明らかにした。そうした立場は、Googleが宣言していた価値観に真っ向から矛盾する。多くの人々がこの件を公に強調しており、ATEACに指名されていたある大学教授は、この論争の末、すでに辞退している。

この発表の後、James選任の功労者は、その決定を支持し、Jamesの参加により委員会に「思想の多様性」がもたらされたと主張している。この発言は、多様性という言葉を凶器として用いている。ATEACにJamesを指名したことにより、Googleは同氏の思想を掲げ是認し、同社の意志決定において尊重する価値のある正当な見解として受け入れることが懸念される。看過できない。

このグループは、トラスジェンダーはAIなどのテクノロジーに対して過度に脆弱であるとして、GoogleにJamseを委員会から外すよう求めている。問題は、トランスジェンダーを人間として認めることができない委員(わずか数週間前にトランスジェンダーの女性を「生物学的男性」と気やすく呼んだ人物)の見解によって、さらに度を増した。現在、この記事を書いている時点で、請願書には1437名のGoogle社員が署名している。私はATEACへのヘリテージ財団の関与について見解を求めたが、Googleは選任に関するコメントを差し控えた。

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「平等法は、平等とは程遠い。この法律は、ビジネスも慈善事業も停止させ、医療を政治化し、親権を危険にさらし、すべての女子トイレと女子スポーツチームを生物学的男性に開放するものだ」

James以外のATEACのメンバーには、行動経済学者、数学者、自然言語研究者、エネルギーと防衛に特化したドローンメーカーのCEO(この人物にも批判が出ている)、AI倫理専門家、デジタル倫理学者、そして、元外交官で、現在は、そもそも中道ながら事実上は左派のシンクタンクCarnegie Endowment for International Peace(カーネギー国際平和基金)代表のWilliam Joseph Burnsが選ばれている。Jamesを加えたのは、Burnsとのバランスを取るためだったかも知れないが、Burnsの超党派としての評判と、Jamesが右翼であるのと同等にBunsが最左翼だとする見誤りが、この問題の根底にある。

ハイテク分野でもっとも難しい問題について助言をもらうことでヘリテージ財団を持ち上げようというGoogleの選択は、右派とは反りが合わないと見られることを恐れる巨大ハイテク企業の現状をよく表している。そのため、Google、Twitter、Facebookといった企業は、態勢を修正しようとして右に寄りすぎてしまうことが多く、その状態を保ち続けてしまう。

Facebookは、白人民族主義が、アメリカンプライドやバスク分離派に近い無害なプライドの表れというよりも、白人至上主義の価値観の都合のいい類義語に過ぎないと気付くまでに2年を要した。先月、Jack Dorseyは、過激な陰謀論者や極右のヘイト扇動家が、批判的な考え方や適正な疑問の声などを気にせず、自分たちの思想を美化できる情報交換ポッドキャストJoe Rogan Experienceに出演した。

一方、Appleは、アイデンティティー、とくにLGBTQに関する問題のリーダーとして立派に振る舞っているが、それでもCEOのTim Cookは、その政権が精力的に何度何度もアメリカ人トランスジェンダーの権利の制限を推し進めるトランプ大統領の隣に座って喜んでいる。もちろん、Appleが海外に隠し持っていた現金保有額の94パーセントを大幅減税付きでアメリカに返還するようトランプ大統領が懇願した事実は、Cookの相変わらずのお愛想とは関係がない。

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「Appleのトランスジェンダー・コミュニティーは、私たちを強く明るくしてくれる。このトランスジェンダー認知の日に、本当の自分で生きている人、本来の自分を活かしている人みんなを誇りに思う」

残念なことに、リベラルが「露見」してしまう恐れや、イデオロギー的バランスの思い違いという脅迫観念が根底にある多くのハイテク企業は、どうしても中間付近には着地しない極端な視点を求めてしまう。さらに悲しいことに、自分たちの考え方に合致しないあらゆる検証のクズを貪り喰おうと、陰険なイカサマ師たちが待ち構えている。彼らは今にも、大きすぎるお立ち台に載っかり、オバートンの窓が少しずつ動いて彼らを承認するまで叫び続け、ハイテク企業のプラットフォームによじ登ってくる。

だんだん明らかになってきたのは、弱気なシリコンバレーでは、議会の中を問わず、右派の日和見主義者をなだめるためなら、企業の認知的不協和がロビー活動に油を注いでいる限り、なんでもあり得るということだ。

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(翻訳:金井哲夫)

満15歳になったGmailに送信日時設定機能などが加わる

Googleは15年前の4 1にGmailを一般公開したため多くの人々がエープリルフールだと思った。しかしGmailの公開はジョークではなかった。当時のウェブベースの無料メールは保存容量が制限されているのが普通で、誰もが容量無制限の信頼できるメールシステムを待ち望んでいた。そのためGmailは驚くべきスピードで成長し、Google最大のヒットの1つになっていく。

というわけで4月1日にGmailは満15歳の誕生日を迎えた(ついでにいえば、4月1日はInboxの最終日であり、4月2日にはGoogle+が閉鎖される)。Gmailブログは誕生日だと告げるメッセージとともに便利な機能をいくつか追加したことを発表した。これにはメールを設定日時に発信できるスケジューリングやメール作成を助けるSmart Composeの強化が含まれる。

今日のアップデートで間違いなく一番役立つ機能はメール送信日時を設定できるようになったことだろう。機能としては比較的単純で、送信ボタンからドロップダウンメニューを開けるようになった。ここで発信する日時を設定できる。これまでは送信ボタンには即座に送信する機能しかなかったため、後で送信したい場合はサードパーティーのサービスを利用する必要があった。この機能がGmailに統合されたわけだ。

面白いことに、Googleはメールのスケジュール機能を「デジタルウェルネス」の強化の一環と位置づけている。G Suiteのプロダクトマネジメントの責任者であるJacob Bank氏はブログで、 「我々は通常の就業時間以外の時間に仕事をすることがよくある。しかし他の人々のビジネスアワーは尊重しなければならない。就業時間ではない時間にメールを送りつけるのはデジタルウェルネスに反する。そこでGoogleではメールが発信される時間をユーザーが設定できるようにした」と書いている。

Smart Composeのベータ版が公開されたのはほぼ1年前になるが、簡単にいえば人工知能を利用したオートコンプリートだ。なにか単語を入力し始めるとGoogleは後続しそうな文を提案する。今回はこの機能がユーザーの過去の文例に応じて自動作成してくれるようになった。たとえば書き出しを「Hi,」ではなく「Hey」で始めるユーザーの場合、Smart Composeはこれを記憶してくれる。またユーザーが特定の話題について頻繁にメールを作成している場合、Smart Composeはそれを記憶して関連のありそうな提案をする。これまで書こうとしている話題とまったく無関係な提案が延々と表示されるのに苛立っていたユーザーには朗報だ。

また今回のアップデートでSmart ComposeがAndroidデバイスで標準的に利用できるようになった。 従来Smart ComposeGoogleはPixel 3でしか利用できなかったが、これがすべてのAndoroidスマートフォンに拡大された。iOS版も近く提供される。

また従来英語だけが対象だったが、今日からSmart Composeはスペイン語、フランス語、ポルトガル語でも利用できるようになった。

画像: S3studio/Getty Images / Getty Images

【日本版注】上記機能はG Suiteにまず導入される。訳者の一般向けGmailではまだサポートされていない。送信日時設定機能が導入された場合、送信ボタンの右側に矢印アイコンが表示され、クリックすると日時設定メニューがポップアップするはず。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

公園など公共施設の現状調査をクラウドソーシングで行うGoogle系アプリ

Googleと同様にAlphabet(アルファベット)子会社で都市計画をサービスとして提供するSidewalk Labs米国時間3月29日、公共施設観察アプリのCommonSpaceをローンチした。公園の管理者や有志のコミュニティメンバーなどが、このアプリを利用して身近な公共施設に関する観察や所見を入力してまとめ、それらを何らかの活動に結びつけていく。

あるスペースに関心を持った人たちが、そのスペースのためのウェブ上のポータルを作る。まとめ役(オーガナイザー)はその研究事業のパラメータを定義し、何のためにどんなデータを集めるのかを説明する。そしてメンバーはシフト制のグループに分かれて、データを記録していく。目標は、人びとがさまざまな公共のスペースをどのように利用しているのかを発見し、今後の整備事業につなげていくことだ。

SidewalkのシニアエンジニアであるAnanta Pandey氏がブログでこう言っている。「このアプリはデータを、オープンなデータ規格のPublic Life Data Protocol形式で記録するから、いろんな公共施設のデータと比較できる。CommonSpaceアプリで集めたデータは、視覚化や分析を行うツールに容易にエクスポートできる。コミュニティや施設の管理者は、それらのツールの出力を見て、一定のパターンを発見したり、問題点を見つけたり、今後必要な整備事業のための予算獲得説得用の証拠を得ることができる」。なお、Public Life Data Protocolは、ニューヨークの都市計画研究所のGehl Instituteとその創設に関わった市町村や民間パートナーにより策定された。

ただし公共施設のために集めるデータやパラメータにはプライバシーに関わるものもある。Sidewalk Labsはこの問題に関して、それはPrivacy by Designに準じており、とくに、CommonSpaceの視野に入った傍観者や見物人の個人情報は収集しない、と言っている。

昨年の秋にトロントの公園でパイロットテストを行ったこのアプリは、今ではAndroidiOSの両方で利用できる。

画像クレジット: Sidewalk Labs

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleはロボット事業を縮小し、方針転換を図る

2013年、Google(グーグル)はロボティック分野に大々的に進出した。Androidの父ことAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏のもと、Boston Dynamicsなど複数社を買収したのだ。ブレードランナーにあやかってReplicantと名付けられたこの部門は、親会社となるAlphabetの下で密かに運営されていたが、数年以内にシャットダウンされることとなる。

近日、GoogleはNew York Timesに対して、主任サイエンティストのVincent Vanhoucke氏のもとで本社内のラボにて開発が進められている、ロボット部門の様子を公開した。

結局、Googleはルービン氏が推し進めていた壮大なロボット開発から離れることにした。そこには人型ロボットも、Big Dogs(四足歩行するロボット)もない。むしろ、製造業や倉庫運用などに必要なハードウェアに注力しているのだ。これは、Amazonの倉庫用ロボットを連想させる。どうやら、Googleはより身近な問題、とくにオートメーション分野でよく話題に上る「単調で、汚く、危険な(dull、dirty、dangerous、Ds)」を解決しようとしているようだ。

重要なことは、ソフトウェアのサービスに関わるハードウェアというカテゴリは、ずっとGoogleらしいアプローチだということだ。Google Brainとマシンラーニングは、同社が研究し開発しているイノベーションのコアとなる分野だ。たとえGoogle Xの目標だったムーンショット(壮大な挑戦)でなくなったとしても、Googleが強みとなる部門に注力するのは賢い選択なのだ。

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(文/塚本直樹 Twitter

Googleが台湾のオフィススペースを拡張、ハードウェア開発に本腰か?

Googleは米国時間3月26日、新北市板橋區(Banqiao District, New Taipei City)に新しい複合施設を建設して台湾のオフィススペースを拡張することを発表した。公園を兼ねたテクノロジー系工業団地、台北遠東テレコムパーク(Taipei Far Eastern Telecom Park)に建設されるその施設は、Taipei 101に今あるオフィスから車で20分ぐらいだ。Googleは現在、台湾に2000名の社員を抱えているが、さらに女性中心に数百名を新たに雇用する計画であるとGoogleのハードウェア部門のシニアバイスプレジデントであるRick Osterloh氏が記者会見で述べた。

その複合施設は、2018年5月に発表されたGoogleのIntelligent Taiwanプロジェクトでも重要な役割を演じる。昨年このプロジェクトは、約5000名の学生にAI技術を教育訓練し、50000名のデジタルマーケターを育成した。

中国で政府による検閲OKの検索エンジンを立ち上げるという、物議をかもしたProject Dragonflyの発表以来、同社が台湾やアジアのそのほかのハブでやることにも鋭い目が注がれるだろう。Googleは昨年Dragonflyを中止したと言われているが、その後の社員たちの話によると、そのプロジェクトが継続している証拠があるそうだ。Googleのスポークスパーソンは、その件と台湾オフィスの拡張は無関係だ、と言った。

2018年初頭にHTCのスマートフォン部門の大部分をGoogleが11億ドルで買収してからは、台湾が同社のアジア最大のエンジニアリングハブになった。Googleは2010年に検閲問題を原因として中国を撤退したが、その態度の打ち消しのようにも見えるProject Dragonflyは、Googleの社内でも問題視された。同社の中国再進出は、12月にGoogleのCEOであるSundar Pichai氏を喚問した下院の司法委員会でも質問が集中した

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google AMP for Emailでメールの高速表示が可能に、ダイナミックなメディアに変身

AMP
米国時間3月25日、GoogleはAMP for Email正式にスタートさせた。AMP for Emailは現在の固定的なメールをウェブページのようなダイナミックなメディアに進化させることが目的だ。AMPブログによれば、まずGmailがサポートされるがYahoo Mail(ちなみにTechCrunchの親会社の所有)、Outlook 、Mail.ruのようなメジャー・サービスもAMP for Emailをサポートすることになるという。

AMP(Accelerated Mobile Pages)はGoogleが中心となって開発された新しいHTML規格で、モバイルのウェブページの高速表示を実現している。Googleがメールへの導入プロジェクトを発表したのは1年以上前だ。Googleの慎重さを考えても長い準備期間だが、この機能を正しく働かすためには膨大なバックエンド作業が必要だったということだろう。

AMP for Emailが目指すのは現在の固定的なメッセージ・システムを仕事を本当に効率化するツールに変えるところにある。Gmailのプロダクトマネージャ、Aakash Sahney氏はこう述べている。

この10年間で、静的でフラットなコンテンツは対話的なアプリケーションへと進化した。これによってわれわれのウェブ体験は決定的に変わった。しかしメールは相変わらず静的メッセージのままで、時代遅れなシステムになりつつある。メールの本文にリンクが含まれている場合、内容を確認したければそれをクリックしてブラウザに新しいタブを開き、別のウェブサイトにアクセスしなければならない。

AMP for Emailが実現すれば、メールはダイナミックかつ対話的なスペースになる。つまりOutlookに実装されている返信メニューをポップアップさせるRSVPボタンのような機能をメール本文に埋め込むことができる。アンケートに答える、ストアで在庫を確認する、コメントに返信するといった作業がメール・クライアントを離れることなく実行できるわけだ。

このフォーマットは、ホテル予約のBooking.comやスケジュール設定のDoodleを始めFreshworks、Nexxt、OYO、Rooms、Pinterest、redBusなどの有力企業がすでに採用している。こうしたサービスからメールを受け取ることを許可している場合、今後数週間のうちに対話的コンテンツを含むメールが届く可能性が高い。

デベロッパーにとってメールをAMP化するのはさほど難しくない。ウェブサイトでAMP化ページを作った経験があればなおさらだ。 フォーマットには画像カルーセル、フォーム、リストなど多数のAMPマークアップ機能が含まれている。こうしたメールには標準的な HTMLマークアップも含まれているのは重要なポイントだろう。これはなんらかの理由でAMPが作動しなかった場合のバックアップとなる。.

最初の発表以来、GoogleはグーグルはAMP for Emailをサポートするパートナーを多数集めることに成功した。これにはメールの配信および分析プラットフォームのSparkPost、メールのデザインおよびマーケティングツール化のLitmus、Twilio Sendgrid、AmazonのSES、Pinpointのユーザー向けメールとマーケティングツールなどがある。

ただしTechCrunchのDevin Coldeweyを含めて、メールへのAMPの導入に反対する意見も根強い。AMPを利用するには新しいマークアップ言語を習得し、かつサポートするインフラを必要とする。シンプルなページをすばやく構築するために必須の要素ではない。

現行のメールシステムにはさまざまな欠点があるものの、シンプルであるためにあらゆるベンダー、ユーザーの間で確実にメッセージ交換機能を果たす数少ないシステムの1つだ。メールにAMPを持ち込むことに誰もが無条件に賛成していない理由は、このメリットを帳消しにする恐れがあるからだ。しかしマーケティングや広告関係者はAMPメールを使うようにならざるを得ない。必要な作業をスピードアップすることができるなら、デベロッパーたちはメールのシンプルさを守るべきだという理想論にはあまり関心を払わないだろうと思う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleはジャーナリスト向けの新たなリアルタイムデータ製品を発表

Googleが、3億ドル規模の予算を持つNews Initiativeを発表してから、1年ちょっとが経過した。これは、独立したジャーナリズムの活動に資金を提供し、Googleが開発した製品も供給するというものだ。

その製品の1つが、News Consumer Insights(NCI)であり、すでにBuzzFeed、Business Insider、それにConde Nastなどの出版社で使われている。あらかじめGoogle Analyticsを通して収集されたデータを取得し、出版社にとってより利用価値の高いデータに加工するものだ。特に、異なる読者セグメントを理解したり、読者が有料の購読者になってくれそうかどうかを判断するのに役立つ。

「生のデータを、ビジネスに関する知力や、実行力を持つ洞察に変えるのです」と、Googleの分析および収益最適化の責任者兼、出版社開発責任者のAmy Adams Harding氏は説明した。

さらにGoogleは、Real-time Content Insights(RCI)という新たなツールを、NCI製品に追加した。

その名前が示すように、RCIは、出版社のサイト上で今何が起こっているのかを、各出版社に伝えることに重点を置いている。それにより、現在トレンドとなっているニュースストーリーを特定することを助け、より多くの読者の獲得に貢献する。初期のNCIデータは、出版社のビジネスおよび読者開発チームにとって、より有用なものだったと、Harding氏は指摘する。それに対してRCIは、「パートナー企業のサイトのコンテンツのダイナミックな動き、つまり何がトレンドなのか、何が下火になったか、牽引力をもっているのはどれか、といった情報を、編集サイドが理解できるよう手助けするために設計された」ものだという。

Real-time Content Insights

Googleは、ニュース出版社にリアルタイムのデータを提供する最初の会社というわけではもちろんない。しかしHarding氏によれば、この「開いてクリックするだけで使える」製品は、小規模のニュース編集室にとっては、特に有用なものになるはず、だという。そうした編集部は、多くのリソースにアクセスできるわけではなく、それほどデータに精通してもいないからだ。

Harding氏は、「ローカルは、Google News Initiativeの大きな柱です」と述べている。「パートナーをサポートするメカニズムとなるツールの開発を手助けするために、私たちに何がでるでしょうか? 彼らは、この変革期の中でも、持続可能であり続けることを目指しています。それは単にデジタル化というだけでなく、この多様化した収益源への移行を乗り切るための努力なのです。それは各出版社が、彼ら自身で引き受けようとしても、十分なリソースが得られない部分なのです」。

RCIは、画像を多用するダッシュボードの形式でデータを表示し、現在何人の読者が記事を読んでいるか、そしてその記事が過去30分間に獲得したビューの数を数字で示す。また、普段の日のトラフィックと比較して、今日のサイトの状況を確認し、地理的、および参照元別に、トラフィックを細分化して分析できる。

さらにこのダッシュボードは、現在Google検索やTwitterでトレンドとなっているトピックも表示する。もちろん、こうしたトピックのすべてが、それぞれの出版社の出版物にとって有効だとは限らない。しかしHarding氏は、それも編集者やライターが、カバーしているトピックの抜けに気付くのに役立つ、としている。Google検索では「人は何に興味を持っているのか?」、Twitterでは「彼らは何を話題にしているのか?」ということが見えるからだ。

ぱっと見には、RCIは、出版社が持続可能かつ多様なビジネスモデルを構築するのを支援する、という大きな目標に直接結びついているとは思えないかもしれない。しかしHarding氏によれば、RCIは、既存のNCI製品と組み合わせて使えるので、最も重要な読者を特定するのに役立つ、という。

「出版社が価値を見出すのは、『そうだ、直接参照されているトラフィックから来るユーザーのほうが重要なんだ。この記事は、そのタイプの読者からのビューを増やすことにつながっている』といったことが分かる状況なのです」と、彼女は説明する。

Googleは、RCIのソースコードをGitHubで公開しているので、力のある出版社なら、それをカスタマイズして、独自のデータ可視化機能を開発することもできると、Harding氏は付け加えた。

(関連記事:Google、サブスクリプション型ニュースを立ち上げ――News Inisitativeに3億ドル投資

画像クレジット:Google

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTubeが有名作品買い付け中止の報道を否定、広告サポートシリーズを近日公開へ

Apple(アップル)がビデオゲームニュースのサブスクリプションサービスを発表する中、YouTubeもオリジナルビデオコンテンツを強化していると言っている。親会社のGoogleは、YouTubeが有名番組の買い付けを取りやめたというBloombergの記事を否定した。しかし、一方で同じ記事の別の内容を肯定した。YouTubeが有料サービスに大きく力を入れるべく、新規および既存シリーズを含む広告サポート作品を近日中に開始するという計画だ。

その計画は、現在ある11.99ドルの広告なしサブスクリプションサービスでYouTube Musicと映画、ビデオのオリジナルコンテンツを利用できるYouTube Premiumと共存するらしい。YouTubeがコンテンツ収益化戦略を変更し、プレミアムコンテンツを有料から広告サポート方式にシフトするとい噂は数カ月前から出回っていた。

さらに本誌はこの動きの一環として、既存の番組であるOriginおよびOverthinking with Kate & Juneを中止することも確認した。これらの番組は新しい計画には含まれない。

こうした動きは、ストリーミングビデオの分野に選択肢が増え競争が激化する中でどう戦っていくかをGoogleが考え直していることを伺わせる。その変化は2つのレベルで起きている。

既存および参入しつつある大手のオンラインサービスは、オリジナル映画や番組の制作に巨額の資金を注ぎ込んでいる。Netflixだけでも、今年自社コンテンツに推定150億ドルを使おうとしている。言い換えれば、こうした大物を相手に、映画や番組の制作に投資する障壁は非常に高く、競争によって価格はさらに上がっていく。

ちなみに、150億ドルというのはYouTubeが昨年生み出した広告収入の金額でもあり、それはYouTubeが競争戦略を変更しつつあるもう1つの領域でもある。数多くの会社が毎月のサブスクリプション料金や特定作品への一時払いなどで消費者のエンターテイメント予算を奪い合っている中、YouTubeは料金なしアプローチを探っている。強みを生かして、オリジナル番組コンテンツをサブスクリプションではなく、広告サポートの無料サービスとして提供しようとしている。

ストリーミングサービスがオリジナルコンテンツを制作する際の大きな特徴の1つは、権利保有者との地域別交渉という厄介で金と時間のかかるプロセスを避けていることだ。YouTubeも、全世界の視聴者にアピールする(かつ利用可能な)新しいシリーズや方式を開発することで、問題に取り組もうとしていると本誌は推測している。

YouTubeは、Googleにとってソーシャルメディアの世界で最も成功している人気サービスであるばかりか、ウェブで最も使われている目的地の一つだ。

しかし記事やそれに対するGoogleの素早い反論からは、同社が現在抱えている課題が見えてくる。Googleにとって根強い課題の一つは、コメントや広告が付くのが当たり前になっているユーザー生成コンテンツから成り立っているYouTubeのプラットフォームを、どうやって、きめ細かく作られたプレミアム・ビデオコンテンツの拠点としても活用できるかにある。次々と現れるライバルが視聴者を奪おうとする中、どうすればビデオのワンストップショップになれるのだろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Stadiaを実機プレイ、多少の遅延が起きるが優秀なプラットフォーム

Googleの新しいゲーム・ストリーミングのプラットフォームであるStadiaだが、発表会場でレイテンシー、価格、サポート予定のデバイスなどについてうるさくスタッフに質問した後、新しいゲームコントローラを実際にテストしてみることができた。短時間だが大画面テレビでプレイしたのはクラウド版のDoom 2016だった。

最初のトライはさんざんだった。フレームレートが極端に遅くなり、まるでPowerPointのスライドの早送りみたいになった。4K映像が表示されたかと思うと何が映っているかわからないほどぼやけた。最長で0.5秒くらいのレイテンシーが感じられた。このありさまにGoogleの社員は不安げに顔を見合わせていたが、やがて私のコントローラをひったくって再起動をかけた。

再起動後は状況は大きく改善された。しかしひと言で要約するなら、ストリーミングゲームには「何が起きるか予想がつかない」不安定さが残っている。Googleの名誉のために付け加えておくと、Stadiaの実機テストは強力なネットワークが張り巡らされたマウンテンビューの本社キャンパスではなく、発表会場のホテルのWi-Fiで行われた。これは現実の使用条件にずっと近いはずだ。

StadiaはGoogleのクラウドゲームストリーミングサービスだ。テクノロジーの詳細についてはまだ不明な点が多々あるが、基本的な方向性ははっきりしている。ハイレベルの専用機ゲームをオンラインに移行させることだ。Chromeブラウザからアクセスできれば強力なゲーム用GPUを持たないスマートフォンなどのデバイスでハイレベルのゲームがプレイできるようになる。

最初のトライでつまづいたものの、その後Stadia体験は全体としてポジティブなものだった。Doom 2016の画像は鮮明な4Kで、プラットフォームを特に意識せずゲームに集中できた。新しいプラットフォームが導入された場合、「意識しないですむ」というのは大成功を意味する。

カジュアル・ゲームにはStadiaは素晴らしいプラットフォームになると思う。。ただし高度なマルチプレイヤーゲームを楽しむ筋金入りユーザーには最適ではないかもしれない。理論上は、YouTubeのフィードから直接にスポーツ系ゲームを起動できる。しかしこういう使い方には向いていない。インプットから画面上にその効果が出されるまでのレイテンシーがそれなりにあるからだ。しかし(私も含めて)多数のユーザーにとってStadiaの能力は十分だ。なんといってもこのレベルのユーザーがゲーム市場の大部分を占めるのだから、Stadiaは十分に価値があるテクノロジーだ。

Google Stadia担当のバイスプレジデントであるPhil Harrison氏は、レイテンシーがどれほどの範囲になるか正確な数字を挙げることは控えたが、「人間が何かを知覚してから反応するまでの時間よりも短い」と述べた。Googleのスタッフによれば、この時間は(個人差はあるものの)70ミリ秒から130ミリ秒程度だという。つまりStadiaのレイテンシーはネットワーク接続が最良であれば70ミリ秒未満ということになるのだろう。

レイテンシーはネットワークの状態だけでなく、ユーザーとデータセンターとの物理的な距離によっても変化する。つまり固定した数字はあまり意味がない。テスト時点で私はサンフランシスコにおり、およそ80キロ離れたサンノゼのデータセンターにアクセスできた。Googleは「Stadiaがサポートされている国のユーザーであっても、僻地に居住しているような場合、サービスの開始時点で必ずサインアップできるとは限らない」と認めたが、その理由がここで述べたような事情だ。

その他の興味ある点。

  • Googleはサポートされるデバイスについて「後日正確な情報を発表する」と述べたが、iOSデバイスをサポートするのかという質問に対して「スタート時点ではPixelデバイスに焦点を当てていく」と強調した。.
  • 別のプラットフォームで購入ずみのタイトルであってもStadiaではプレイできないようだ。当然だが、Stadiaのゲームはこのプラットフォーム上で改めて購入する必要がある。
  • ユーザーはYouTubeのストリームからゲームにアクセスすることができるが、すべてのコンテンツをまとめたハブとなるサイトも用意され、URLでゲームにアクセスすることもできる。
  • コントローラ(トップの写真)はよく出来ている。デザインはソニーのDualShockとよく似ている

Stadiaについては今年の夏のGoogle I/Oでさらに詳しい点が判明するはずだ。私の最初の実機テストではサービスがGoogleの主張どおりに作動し、専用機クラスのゲーム体験を与えることができると確認できた。そこで現在、最大の疑問は価格だ。ハードコアなゲーマーしか手が届かない価格になるのか、カジュアル・ゲーマーにも手頃な価格になるかがこのプラットフォームの性格を決める。ビジネスとしての成否もおそらくはこの価格設定にかかっているだろう

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(翻訳:Umihiko Namekawa、滑川海彦@Facebook