消費者のストレージはますますクラウドへ移行する――Google Oneとライバルを比較

われわれはDropbox、Googleドライブ、Microsoft OneDriveなどのクラウドの利用料金がどんどん安くなっていくのを目撃してきた。昨日(米国時間8/15)、アメリカでGoogle Oneが公開され、テラバイトの当たりの月額がなんと半額になった。消費者向けストレージのクラウド化というトレンドをなお一層明確なものにしたといえそうだ。

TechCrunchのFrederic Lardinoisが記事に書いたとおり、 2TBのストレージの月額が9.99ドルになった。 Google One以前のGoogleドライブでは1TBがこの金額だったからGoogle Oneに参加するとストレージ容量が一挙に2倍になる。正直、1TBでさえ巨大な容量だ。

ではクラウド・サービスのライバルを比べてみよう。それぞれ特色は少しずつ異なるが、ともあれストレージのコストを比較してみる。

Google Oneが2TBで月額9.99ドルとなったことで、Appleのクラウドと並んでコストパフォーマンスがライバルのトップに立った。Googleが追いつくまでAppleがユーザーに最安のプロダクトを提供していたと聞けば意外に思うユーザーも多いかもしれない。もちろんMicrosoft OneDriveの場合はOffice 365がバンドルされており、WordやPowerPointなどのOfficeアプリを自由に使えるというメリットがある。多くのユーザーにとってこれは単なるストレージの提供に比べて大きな価値があるだろう。

とはいえ、クラウドのストレージ料金だけに関して言えば、AppleとGoogleは1TBあたり5ドルだ。これは安い。これはクラウド・ストレージのコモディティ化が進んでいることを示すと同時に、クラウド・ストレージで利益を出すためには途方もないスケールが必要だということを意味している。

Deep Analysisのプリンシパル・アナリスト、Alan Pelz-Sharpeはこの分野を長年観察してきたエキスパートだが、コンシューマー向けクラウド・ストレージの料金は常にゼロに向かって下落していくと指摘している。Pelz-Sharpeは「マスのスケールがなければ利益を出すことができない。このジャンルの企業はMicrosoft、Amazon、Googleによって非常に厳しい立場に追いやられてきた。Google
Oneの登場はこのトレンドを一層明確にした」と述べた。

たとえばDropboxは5億人のユーザーがいると推定されている。これほどのスケールがあってそのうちの一部でも1TBあたり8.25ドルの有料プランに参加してくれるなら事業として成立するだろう。Dropboxは今年2月に株式上場の準備としてS-1書式を提出しているが、それによれば一般ユーザーからの収入は10億ドルあるとしている。現在、スタートアップが新たにクラウド・ストレージの分野に参入するのは、不可能とまでは言えなくても極めて困難だろう。それでもなおかつ既存の巨大プレイヤー同士は激しくコストダウン競争を繰り広げている。

Google Oneのスタートはコンシューマー・クラウド事業における料金引き下げ戦争の新たな一歩といえる。ある朝突然、料金は据え置きのままでストレージ容量が倍に増えるというのはこの動きが容赦なく進んでいることの何よりの証拠だ。

画像:Vladimir_Timofeev / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

クラウドネィティブ環境のためのセキュリティベンダーTwistlockがシリーズCで$33Mを調達

世界がクラウドネイティブなアプローチへ移行していくに伴い、アプリケーションとそのデプロイのセキュリティを確保する方法も変わりつつある。クラウドネイティブ環境のセキュリティを提供するTwistlockが今日、Iconiq CapitalがリードするシリーズCのラウンドで3300万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家YL Ventures, TenEleven, Rally Ventures, Polaris Partners, およびDell Technologies Capitalも、このラウンドに参加した。これで同社の資金調達総額は6300万ドルになる。

Twistlockは、コンテナとサーバーレスのセキュリティという、困難な問題を解決する。両者はいずれも、本質的に短命な存在だ。それらは寿命が1秒の数分の一と短いので、問題が起きたときその追跡が難しい。同社のCEOで協同ファウンダーのBen Bernsteinによると、彼の会社は最初から、コンテナとサーバーレスコンピューティングがどれだけ短命でも、依然としてエクスプロイトされうる、という前提に立って、クラウドネイティブ環境を保護するためのセキュリティプロダクトを作っている。

Bernsteinは曰く、“寿命の長短は関係ない。むしろ重要なのは、それらの生き方が従来のコンピューターに比べて予測可能であることだ。従来のコンピューターは非常に長時間動くし、しかも多くの場合人間が使っているから、予測は簡単ではない”。

スクリーンショット提供: Twistlock

企業がクラウドネイティブな環境へ移行して、Dockerによるコンテナを使ったり、それらをKubernetesなどのツールで管理するようになると、デプロイ量の大きい、高度に自動化されたシステムを作ることになる。デプロイは自動化で簡単になるが、いろんな問題に対する脆弱性はそのまま放置される。たとえば悪者がコード注入攻撃でプロセスのコントロールを握ったりすると、誰も知らない間に大量の問題が起きていたりする。

Twistlockはそれを防ぐとともに、エクスプロイトがいつ起きたのかを顧客に認識させ、診断分析によりその原因を調べる。

それはサービスであるとはいえ、従来型のSaaSとは様子が違う。すなわちそれは同社のサーバーから提供されるサービスではなくて、顧客が使っているクラウド(パブリックまたはプライベート)にインストールされるサービスだ。今同社の顧客は200社あまりで、その中にはWalgreensやAetnaなど、誰もが知っている企業も含まれているが、顧客リストを公開することはできない。

2015年に創業された同社はオレゴン州ポートランドに本社があり、R&D部門はイスラエルにある。現在の社員数は80名だ。他社との競合についてBernsteinは、従来のセキュリティベンダーはクラウドネィティブをまだうまく扱えない、と言う。そして最近登場してきた若手スタートアップに比べると、少なくとも現状では、成熟度では自分たちが上だ、とも言っている。

“今はまだ、競争が激しくはないが、今後徐々にそうなるだろう”、と彼は述べる。今回得られた資金は、主にマーケティングと営業の拡充に充当して顧客ベースの拡大を図りたい。またクラウドネィティブのセキュリティも競合とともに技術が進化していくので、技術でもつねに先頭を走っているようにしたい、とBernsteinは言っている。

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ドライブも他のプロダクトも全てサポートするGoogle One一般公開――まずアメリカ、順次世界へ拡大

数ヶ月前にGoogleはGoogle Oneを発表した。Googleドライブの新しい有料サービスでは利用できるストレージが増えるだけでなく、サポートなどの他の面でも有利になる。この数週間、Googleは既存のドライブ・ユーザーの契約を徐々にGoogle Oneに切り替えていた。

そして今日(米国時間8/15)から、新規契約もGoogle Oneとなる(当面アメリカからスタートするが順次世界各国に拡大される)。

Google Oneの契約は月額1.99ドルで100GBからスタートし、2.99ドルで200GB、9.99ドルで2TBなどとなる。それ以上のストレージが必要ならGoogleは10TB、20TB、30TBなどのプランを用意している。こうした大容量契約は月99.99ドルから299.99ドルとなる。

新しいプランで有利な点のひとつは契約容量を最高5人までの家族メンバーと共有できる点だ。

ストレージ容量の増強が主なセールスポイントだが、Google Oneには他にも有利な点がある。中でも重要なのは24時間年中無休でライブでサポートが受けられる点だろう。Googleのエキスパートがチャットを受けてユーザーのどんな質問にも答えてくれる。サポートされる範囲はドライブに限られず、Googleのプロダクト全般だ。

もうひとつの特典はGoogleマップで検索したとき発見したホテルを割引レートで予約できることだ。最近 Googleは OneのメンバーにGoogle Playで利用できるクレジットを付与していた。今日Googleが発表したところでは、メンバーはGoogle StoreとGoogle Expressでも購入できるようになる。

なお、Google Oneはあくまで一般ユーザーを対象としたサービスだ。ビジネス・ユーザーはGoogleのG Suiteを利用してさらに各種のサービスや付加機能を利用することができる。

現在Google Oneが利用できるのはアメリカだが、すぐに各国に拡大されるという。

〔日本版〕このページに登録すれば日本で利用可能になり次第通知を受けることができる。なお既存のドライブの有料契約者は自動的にGoogle Oneにアップグレードされる。

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PrometheusモニタリングツールがCNCFの新たな‘卒業’プロジェクトとしてKubernetesに加わる

Cloud Native Computing Foundation(CNCF)はまだそれほどメジャーな名前ではないが、今急成長しているコンテナオーケストレーションツールKubernetesなど、いくつかの重要なオープンソースプロジェクトの本拠地だ。今日CNCFは、モニタリングツールPrometheusが、同団体の第二の“卒業”プロジェクトとしてKubernetesに加わったことを発表した。〔*: 卒業プロジェクト, graduated projecとは、育成涵養段階を脱して、単独・独立の“一人前の”プロジェクトとして扱われること。〕

その発表は、今週ミュンヘンで行われているPrometheusのカンファレンスPromConで行われた。CNCFのCTO兼COOのChris Aniszczykによると、卒業プロジェクトとはプロジェクトの全般的な成熟を表していて、コントリビューションやコミュニティや採用が多様になったことを意味している。

Prometheusの場合は、今すでに20名のアクティブメンテナーがおり、1000名以上のコントリビューターが13000あまりのコミットを行っている。コントリビューターの中には、DigitalOcean, Weaveworks, ShowMax, そしてUberなどがいる。

CNCFのプロジェクトはサンドボックスで始まり、インキュベーションの段階へ入り、そして最後に卒業する。卒業の条件は、CNCFのCode of Conduct(行動規範)の遵守、セキュリティ監査に合格、そしてコミュニティの統治構造が定義されていることだ。また、“コードの質とセキュリティのベストプラクティスに持続的にコミットしていること”も必要だ。

Aniszczykによると、Prometheusツールは時系列データベースにクエリー言語を結びつけたシステムで、ユーザー(主にデベロッパー)がターゲットシステムの問題を知るためにはそのクエリー言語で検索し、それに対する分析結果(アナリティクス)を得る。すでに感づいておられたと思うが、それはとくに、コンテナに適したツールだ。

Kubernetesと同様、のちにPrometheusになるプロジェクトも、ルーツはGoogleにある。Googleはコンテナを積極的に採用した初期の企業のひとつで、Kubernetesの前身であるBorgや、Prometheusの前駆システムBorgmonを開発した。Borgの仕事はコンテナのオーケストレーションを管理することで、Borgにmon(monitor)を付けたBorgmonの仕事はそのプロセスをモニタして技術者にフィードバックを提供し、コンテナの全ライフサイクルにおいて、その中で起きていることを察知させる。

ルーツはBorgmonでも、今ある姿のPrometheusは二人の元Googleエンジニアが2012年にSoundCloudで開発した。2016年5月には第二のCNCFプロジェクトとしてKubernetesに加わり、そして当然のように、第二の卒業プロジェクトになった。

その過程におけるCloud Native Computing Foundationの役割は、クラウドネイティブコンピューティングを推進することだ。どんなに違いのあるインフラストラクチャでも共通のやり方で管理できる、とするその概念は、オンプレミスとクラウドのリソース管理に伴う複雑性を大幅に軽減した。CNCFはLinux Foundationの一員であり、そのメンバーにはテクノロジー業界の大物たちが多い。

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Google CloudがNvidiaのTesla P4推論アクセラレーターをサポート

今やクラウドプラットホームは、GPUのサポートなくして完全とは言えない。今日のハイパフォーマンスワークロードや機械学習のタスクは、それなくしてサポートできないからだ。それらは多くの場合、機械学習のモデルの構築に使われることが多いが、しかし今日(米国時間8/6)Googleは、Nvidia P4アクセラレーターのサポートをローンチし、既存のモデルをより高速に走らせることによる推論の性能アップにフォーカスしようとしている。

また、これらの機械学習のワークロードのほかに、Google Cloudのユーザーは、高速なグラフィクスカードを必要とするリモートディスプレイのアプリケーションを、GPUを使って動かすことができる。そのためにGPUは、リモートデスクトップにログインするユーザーのためにサーバーサイドのグラフィクスの応答性を高めるシステム、Nvidia Gridをサポートする。

P4には8GBのDDR5メモリがあり、最大で毎秒22テラの整数演算ができるから、ほとんど何でもできるカードだ。しかも買うと2200ドル以上はするから、時間制で借りる方が賢明だろう。

Google Cloud上でP4を使うと、標準料金では1時間60セント、プリエンプティブルでよければ21セントだ。Googleの料金としてはP100やV100 GPUより安いが、ただし両者はユースケースがまったく違う。

この新しいGPUは最初、us-central1(Iowa), us-east4(N. Virginia), Montreal(northamerica-northeast1), europe-west4(Netherlands)の各リージョンで提供され、徐々にそのほかのリージョンでも提供される予定だ。

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生産性ソフトではなくビジネスプロセスのレベルで中小企業のデジタル化を助けるTeamleaderが$22Mを調達

中小企業のデジタル化を助けるSaaS Teamleaderがこのほど、シリーズCで2200万ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはロンドンのKeen Venture Partners、これにPMVと、これまでの投資家Fortino CapitalとSage Capitalが参加した。

6か国に計1万近い顧客(主に中小企業)がいる、という、本社をベルギーに置くTeamleaderは、SaaSベースのプラットホームにより中小企業のビジネスプロセスのデジタル化を推進している。そのサービスには、CRMや営業支援、プロジェクト管理、時間管理、請求事務などが含まれる。

また最近立ち上げたTeamleader Marketplaceは、今後の同社の成長の核となる、と見なされている。これは顧客が、自分たちの好きな地元のSaaSツールをTeamleaderに統合できる、というサービスだ。これまですでに1000の統合をサポートし、とくにローカライゼーションに力を入れている。

Teamleaderの協同ファウンダーでCEOのJeroen De Witは語る: “ヨーロッパ全域のデベロッパーのための100万ドルのファンドまで作った。彼らに、Teamleaderの統合をやってもらいたいのだ。かなり思い切ったアイデアだが、うまくいっている”。

“このマーケットプレースのすごいところは、ヨーロッパ中のSaaS選手たちがわれわれの成長に乗っかれることだ。たとえばベルギーのCumul.ioは今、このマーケットプレースを通じてスペインに顧客を見つけている。それは完璧に、わが社のビジョンにも合うことだ”。

より広い視野で見ると、中小企業はそろそろデジタル化を恐れなくなっている。そしてどんどん、いろんなビジネスソフトウェアを利用するようになっている。“これらのツールは、お互いに寄り添って一つになり、統合化されたシステムとして機能する必要がある。そうでなければ、中小企業がそこから最大の価値を得ることができない”、と彼は言う。

今回得られた資金は、Teamleader Marketplaceに投じられるほかに、国際化のなお一層の成長とプロダクトロードマップの加速に充てられる。その中には、同社の言う“マルチローカルなアプローチ”が含まれる。そしてそのためには、Teamleaderのプロダクトを各国のニーズに合わせて微調整していく必要がある。そう、同社はまさに、ヨーロッパ的なスタートアップだ。

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Googleがシンガポールに三つめのデータセンターをオープン、将来の膨大なインターネット人口を想定

Googleは、東南アジアにおけるインターネットの成長が今後も持続すると推測し、今後の成長市場対応としてシンガポールに三つめのデータセンターを開くことになった。

それは同社がシンガポールに同国で二つめのデータセンターを開設してから三年後にあたる。その3年間に同社の推計では東南アジアの7000万の人びとがインターネットを初体験した。それにより、当リージョンのインターネットユーザーは3億3000万人になったが、東南アジアの総人口は6億5000万だから、成長の余地はまだまだ大きい。

ローカルなデータセンターの目的は、必ずしもその至近の近傍に奉仕することではない。アジアのデータセンターがアメリカのトラフィックを扱うこともあるが、しかしローカルな容量を増やしたということは、Googleのサービスや、Googleのクラウドで事業を営む企業にとって、その特定のリージョンのインターネットユーザーにより高速なサービスとトラフィックを提供できることを意味している。だからそれは、地元の利益であるだけでなく、Googのビジネスにとっても重要だ。Google Cloudのこの地域の著名なユーザー企業には、Singapore AirlinesやNinjavan, Wego, Go-Jek, そしてCarousellなどがいる。

この検索超大手のデータセンターは、東南アジアでは台湾にもある。最初は、台湾とシンガポールの共通の拡張先を香港に求める、という案があったが、用地を確保できず2013年に計画はぽしゃった

Googleの最初のシンガポールデータセンターは2011年にオープンし、Googleによると、今度の三つめを合わせるとシンガポールにおける総支出額はおよそ8億5000万ドルになる。 これに台湾を含めると、総支出額は10億ドルを超える。

関連記事: 東南アジアは世界で三番目に大きいインターネット市場だ…Googleらの調査報告より

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Google Cloud CEOのDiane Greeneインタビュー:準備が整った私たちの戦いはこれからだ

今週Googleは、年次会議であるCloud Nextをサンフランシスコで開催した(米国時間7月24日〜26日)。2万5000人の開発者が参加するCloud Nextは、Google I/Oに比べるとクラウド特化型の会議となっている。Diane GreeneがGoogleのクラウドビジネスのCEOに就任したのは、数年前まだ参加者が2000人程度に過ぎず、Googleがまだこの会議をさびれた埠頭で行っており、Googleがこの領域でやや遅れをとっていたときのことだ。そのころAmazonとMicrosoftは元気に進撃を続けていた。その就任以来Googleは、ビジネスユーザーをクラウド(クラウドコンピューティングならびにG Suiteの両方)に取り込むための、真剣な努力を重ねてきた。

今年のCloud Nextに先行して、私はDiane Greene から、Google Cloudの現状と近い将来に期待できることについて話を聞く機会を得ることができた。Greeneが指摘したように、多くの企業が初めはクラウドコンピューティングをインフラストラクチャーのための道具として扱った。コストを低減しリソースに対する柔軟なアクセスを得るためだ。「それがいまや、それ以上のものになり始めています。誰もが、それがより安全な場所であることに気が付いていますが、私がさらに感じているのは、企業をより成功させるためには、情報密度を上げることが大切だということです」。結局のところ、企業がCloud Spannerのような世界的に分散したデータベースや、AutoMLのような機械学習ツール(および他のベンダーの同等のツール)にアクセスするのは、クラウド上なのだ。

GreeneがGoogle Cloudにやってきたときに気が付いたことは、Googleが大企業が必要とする多くの機能を持っていないことだった、と彼女は語った。「私たちは総合監査ログを持っていませんでしたし、きめ細かなセキュリティ制御の手段も持っていませんでした。そしてピアツーピアネットワークを持たず、コンプライアンスと認証の手段も持っていなかったのです」と彼女は私に語った。

周囲は彼女に、Googleが企業顧客の役に立つことができるようになるには、10年かかるだろうと言っていた。「これはMicrosoftの場合に必要だった期間を参考にしての意見です。でも私は10年だなんてとんでもないと思っていました」。チームはそれを挑戦として受け止めた。そして2年後のいまGreeneは、Google Cloudを企業に提供できる準備が整ったと主張している(彼女は世間がGoogleをAWSとAzureに「大きく水を開けられた」3番手だと呼ぶのに飽き飽きしていたのだ)。

現在彼女は、自身の組織のミッションについて考えるとき際には、それをGoogle自身のモットーの一種とみなしている。「Googleのミッションは、全世界の情報を整理することです」と彼女は語る。「なのでGoogle Cloudのミッションは、顧客の情報密度を高めることなのです」。

しかし、大企業に特定のベンダーに賭けることを納得させるためには、もちろん技術も大切だが、数年前のGoogleは、そうした企業に売り込むためのセールス部隊も持っていなかったのだ。それもまた変えなければならなかったことだ、Greeneは同社の新しいアプローチも上手く行っていると語る。そしてGoogleは適切なパートナーも必要としていた、いまではそのインメモリデータベースHana用としてGoogle Cloudを認定したSAPのような企業や、Ciacoのような企業が協力関係にある。

数ヶ月前、GreeneはCNBCに対して、世間はGoogleのクラウドビジネスの規模を過小評価していると思うと語った。そしてそれは今でも続いていると彼女は考えている。「間違いなく世間は私たちを過小評価しています。それがある程度私たちの足を引っ張っているかもしれません。しかし私たちは、自分たちのパイプラインと、私たちが進めている計画の全てを気に入っています」と彼女は私に語った。

大企業に使ってもらうことは大切だが、Greeneはまた、現在はおそらくエンタープライズ開発者にとって最も素晴らしい時だとも主張した。「企業がこんなにも積極的に最新技術を追求し、この破壊的な技術を採用しようとしているのは、これまで見たことがありませんでした。彼らはそれがもたらす利点を認識していて、もし争う相手が先にそれを採用してしまったら競争に遅れをとるということを理解しているからなのです」とGreeneは私に語った。「このため私は、企業内のイノベーションこそが現在起こっていると考えています。これは消費者の世界よりも速く、少し逆転してさえいるかもしれません」。

現在Google Cloudを選択している企業には、3つの異なるカテゴリがあるとGreeneは考えている。まずクラウドの中で生まれた企業群がある。Twitter 、Spotify、Snapのことを考えて欲しい。これらは皆Google Cloudに大きく賭けている。Greeneは、Googleの卓越した技術力を競合他社と比べることにためらいは見せない。「そうした企業がGoogle Cloudを選ぶのは、技術的な観点からみて私たちが最高だということを知っているからです」と彼女は言う。

しかし現在は、インターネットで先行してはいるものの、いまでも大量のデータを中心的に扱っている大企業たちの中に、クラウドへの移行を始めているものが沢山ある。そうした企業の例として挙げられるのは、あくまでもGoogle Cloudの顧客でということだが、Schlumberger、HSBC、そしてDisneyなどであるそしてGoogleが今年のCloud Nextで、Cloud Services Platformの開始によって本当に訴求していた相手は、そのようなハイブリッドなクラウド適用プランを欲している或いは必要としているビジネスたちだ。「そうした企業たちは、未来がクラウドの中にあることを知っています。彼らはどこが最高の技術を持つようになるのかを見ています。彼らは、クラウドのテクノロジーを使用することで、ビジネスニーズにもっと集中できるように人を再配置することができることを、よく理解しているのです」とGreeneは説明した。

私たちの会話全体を通して、Greeneは、機械学習ツールとKubernetesを支えるGoogleに、沢山の企業が問い合わせをしてきているのだと、強調し続けた。「そうした企業に対して私たちはクラウドを提供していくのです」と、Greeneはハイブリッドにしたいと考えているこれらの企業たちについて語った。「私たちはKubernetesとIstioを使い、コンテナワークフローの監視と保護を行います。そしてそれを、オンプレミスでも任意のクラウドでも稼働させ、すべてのサポートを手がけます。そうすることで、データセンターの中に留まりながらKubernetes環境を構築することができるようになります。そしてそうなれば、それをロックインの心配なしにクラウドへと展開することができるようになります」。

しかし、上の2つとは違う第3のカテゴリーがある。Home Depotのような旧来のブリックアンドモルタル型ビジネス(実店舗ビジネス)だ。こうした企業はしばしば大規模な中央システムを持たない。しかしいまや競争力を維持するために、自身のデジタルトランスフォーメーションを推進する必要にも迫られている。

Kubernetesやコンテナなどの新しいテクノロジーについて話をするのは面白いが、Greeneは大部分のユーザーたちがGoogle Cloudを使う理由は、今でもBigQueryのような、計算サービスとデータ管理そしてアナリティクスを行うためのツールを求めてのことだと指摘した。もちろん、Google Kubernetes Engineの背後でも、同社の機械学習ツール同様の多くの動きが起きている。しかし企業たちはそうしたツールに関してはまだ考え始めたばかりだ。

しかしGreeneはまた、多くの顧客がGoogle Cloudのクラウドコンピューティングの側面だけでなく、G Suiteツールを選択した際のセキュリティも求めていることを強調した。

「多くの企業がハッキングされている中で、Googleは幸いなことにハッキングされていません」と彼女は語る。「私たちはこれまでどんな会社が想定できたものよりも、ずっと安全なのです。」

もちろんそれは間違いないが、Googleはこれまで行ってきた無料の消費者向けビジネスのために、興味深い挑戦に直面している。Greeneは、Googleが一般ユーザー(無料サービスユーザー)のデータに対してGoogleが行っていることと、Google Cloudの中にあるデータに対して行っていることは大きく異なるということを、顧客に理解して貰うには、それなりの時間がかかることがあるということを指摘した。知られているように、Googleはより多くの関連性の高い広告を表示するために、無料ユーザーのデータを大量にマイニングして来た。

「私たちは何十億人という人々のデータを約20年にわたって、外部に対してはプライベートなままに保っています、もちろんそれは非常に大変な作業でした。しかしクラウドカスタマーのデータは完全に顧客自身のものであり秘密が保たれています。私たちは両者の違いについての教育をしっかりと続けて行かなければなりません。

ということで、Googleはそのクラウドを企業に適用することに関しては少々出遅れたものの、現在は正しい軌道に乗っているとGreeneは信じている。「もう一つ言っておきたいことは、私たちは長期的な活動に取り組んでいるということです」と彼女は語る。「これはまだ始まったばかりなのです。全てのワークロードのわずか10%程度しか大手のパブリッククラウドには置かれていない、と推定する人もいます。現在パブリッククラウドに置かれていないものは、いずれパブリッククラウドに置かれることになるでしょう」。

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(翻訳:sako)

写真: Getty Images

AWSはやはりAmazonのドル箱――第2四半期決算でさらに輝く

AWSは引き続きAmazonのバランスシートのスターだ。第2四半期の決算でAWSは新事業に期待しうる限りの好成績を挙げた。 しかも通販ビジネスよりもはるかに高い利益率を計上している。

いまや生鮮食品の宅配も運営するAmazonの本業の利益率はきわめて低い。しかしAWS事業部は現在なんと25%の利益を得ている。しかも昨年同期と比較して49%も成長している。

AWSは四半期だけでなく、この半年の対前年比成長率も49%ある。第2四半期だけの売上でも60億ドル以上を記録しており、売上は通年で100億ドルを楽に超えるはずだ。Amazonのリテール事業の売上は470億ドル弱だが、純利益は13億ドルにすぎない(監査ずみ数値ではない)。一方、AWSは61億ドルの売上から16億ドルの営業利益を上げている。

つまり簡単にいえば、AWSはとてつもなく高利益率で、Amazon全体で最大の利益を生む事業となっている。同社の発表によれば、今期の1株あたり利益は5.07ドルだったが、これはアナリストの予想2.50ドルのほぼ2倍だった。ただ529億ドルという売上は予測をやや下回った。好材料と悪材料が帳消しとなった形で時間外取引の株価はほとんど動かなかった。AmazonはGoogle、Apple、Microsoftと並んで時価総額1兆ドル企業を目指すレースを続けている。

AWSの成功はある意味で当然かもしれない。AWSはクラウドのパイオニアであり、世界のコンピューティングをクラウド化する有力な要因だった。AWSの好調さをみてMicrosoftとGoogleがこの分野への参入を決め、できるかぎりのシェアをもぎ取ろうと奮闘している。MicrosoftはAzure単独での詳細を明らかにしていないが、「われわれのグループで最速で成長している事業」だとしている。Googleの「その他事業」にはGoogle Cloud Platformが含まれるが、やはり最速で成長している事業ののひとつだとされている。大量のサーバーのコンピューティング能力をオンデマンドで販売することは、コマース事業の薄いマージンと比較して非常に旨味のあるビジネスだと判明したようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleドライブに暗号化サービス導入――Virtruと提携発表

企業及び個人ユーザー向けメール暗号化サービスで知られるVirtruは今日(米国時間7/25)、Googleと提携したことを発表した。これによりVirtruの暗号化テクノロジーがGoogle Driveで利用できるようになる。

数年前にはVirtruはGoogleの承認を得ないままGmailに自社の暗号化サービスを接続していたが、最近ではGoogleもVirtruの方式に価値を認め、全面的に協力するようになっていた。

Virtruの新しいData Protection for Google DriveはGmail向け暗号化サービスをGoogleドライブのファイルに拡張する。ファイルはクラウドにアップロードする前に暗号化される。万一ファイルが組織などの外に漏れても暗号化されたままなので安全だ。暗号化鍵はユーザーが全面的な管理権限を持つためGoogle自身もファイルの平文の内容にはアクセスできない。管理者は暗号化キーだけでなく、個別ファイル、フォルダー、チームドライブに誰がアクセスできるかを管理することができる。

VirtruのサービスはTrusted Data Formatを用いてる。これは同社の共同ファウンダー、CTOのWill AckerlyがNSA職員だった時代に開発したオープン規格だ。

Virtruはプログラマーのハックとして始まったプロジェクトだが、 今回の提携で Googleの G Suiteのデータ保護のための唯一のパートナーとなった。共同ファウンダー、CEOのJohn Ackerlyは私の取材に対して、「われわれは目指していたこと達成できた」と述べた。実際 VirtruのエンジニアはGoogleと密接に協力して開発を行っている。John AckerlyはまたEUのGDPR(一般データ保護規則)の施行に伴い、データのプライバシーに関して再び関心が高まっていることが、特にヨーロッパで、多くのビジネスチャンスを生んでいると述べた。Virtru自身、ヨーロッパにオフィスを開設し、現地のカスタマーサポートに当っている。トータルで8000の組織がVirtruのサービスを利用しているという。

なお今回Googleとの提携が発表されたが、同社はMicrosoftのOffice 365についてもメールの暗号化によりデータ保護をサポートしている

画像:Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleドライブのユーザー、今週中に10億人の大台へ

Googleにはユーザー数10億人を超えるプロダクトが7つある。具体的には、フラグシップ事業である検索エンジンに加えて、Gmail、Chrome、Googleマップ、YouTube、Android、Google Play Storeだ。Android のユーザーは20億以上だ。

そして今週中には8番目のサービスがリストに加わることになる。Googleのオンライン・ファイル・ストレージ、Google Driveドライブだ。このサービスがスタートしたのは2012年にさかのぼる

Googleはサンフランシスコで開催中のCloud Nextカンファレンスでこれを発表した。ただし、まだユーザー数10億人を達成しているわけではなく、いつ達成するか正確な日時を予測することは避けた。今のところ「今週末あたり」というのがいちばん近いようだ。お祝いに花火を打ち上げるつもりなら買いに行く時間はまだ1日、2日ある。

実のところGoogleドライブのユーザー数についての発表はしばらくぶりだ。 去年の5月のGoogle I/Oカンファレンスではドライブはは2兆ファイルを保管し1日あたりアクティブ・ユーザーは8億人だということだった。今年のI/OではGoogleはドライブのユーザー数について触れなかった。これは10億人の大台に乗るタイミングを見計らっていたためだろう。

この1年、GoogleはドライブにTeam DrivesやDrive File Streamなど企業向けサービスをいくつも追加してきた。また機械学習を利用した機能を広く提供している。昨年夏にはMacとWindowsユーザーを対象にドライブを利用したバックアップと同期のツールを公開している。

画像: Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

エンタープライズG Suiteのアドミンのセキュリティ能力を高度化するツールをGoogleが提供

今日(米国時間7/24)行われたGoogleのCloud Nextカンファレンスでは、G Suiteのアップデートが数多く発表され、その多くはユーザー体験にフォーカスしていたが、それに加えて、アドミンのための新しいセキュリティ調査ツールも紹介された。それはセキュリティの問題を防止ないし検出するための既存のツールを補うもので、G Suiteセキュリティセンターを一層強化することがねらいだ。

G Suiteのプロダクトマネージャ担当VP David Thackerは、次のように語る: “G Suiteのセキュリティセンターの全体的な目標は、アドミニストレーターに、彼らが防止し検出しなければならないものが見えるようにして、セキュリティ問題の解決を促すことだ。今年の初めには、このセキュリティセンターの主要部位を立ち上げて、アドミンによる防止と検出という課題に向けて足場を作った”。

そのツールセットは今回で第三世代となるが、それは、直面している脅威をアドミンがよく理解し、その対策がよく分かっているようにすることが目標だ。Thackerによると、そのためにアナリストとアドミンは多くのさまざまなデータに対し高度なクェリを発行して侵犯されたユーザーを同定し、実際に起きたことを正確に調べられるようになる。このツールによってさらにアドミンは、特定のファイルへのアクセスを遮断したり、悪意あるメールを削除したりできる。“そのためにログを分析したりする必要はない。それをやるためには、長時間かけて複雑なスクリプトを書いたり動かしたりしなければならないからね”、とThackerは言っている。

この新しいセキュリティツールは、G Suite Enterpriseの顧客のEarly Adopter Programとして利用できる。

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GoogleのサーバーレスプラットホームCloud Functionsが一般供用を開始

Cloud Functionsは、Googleのサーバーレスプラットホームで、AWS LambdaやMicrosoftのAzure Functionsと、もろに競合する。今日サンフランシスコで行われたCloud Nextカンファレンスで、このプラットホームの一般供用が発表された。

GoogleがCloud Functionsを発表したのは2016年だから、長いベータだ。感じとしては、Googleはサーバーレスに、AmazonやMicrosoftほどのリソースを投じていなかったのではないか、と思われる。AWSやAzureはそれに対し、サーバーレスに大きく賭けている。また、サーバーレスの導入や利用、管理、デバッグ、セキュリティなどを助けるスタートアップも、このところ増えている。

Googleのプロダクトはベータを抜けるとSLA(サービスの品質の保証)が付くが、Cloud Functionsもそうだ。ただし一般供用といっても、当面はアメリカとヨーロッパのリージョンのみだ。

Googleは今日、これまでのようにGoogleが単純にホストするクラウドプラットホームのほかに、エンタープライズ向けにハイブリッドクラウドを提供するGoogle Cloud Servicesを発表した。そこでユーザーがCloud Functionsをセルフホストすることはできないが、Googleは、サーバーレスアプリケーションを動かしたい企業にはKubernetesを自己のデータセンターで動かすことを勧めている。…実はぼくも、‘サーバーレス’という言葉が好きじゃないけどね。

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Google、Go Cloudを発表――クラウド開発ツールでGo言語の普及加速を目指す

現在急成長のプログラミング言語の一つにGoogleから生まれたGo言語がある。現に利用しているデベロッパーは世界で100万人前後と見積もられている。GoogleではGoはクラウド・アプリの開発に適しているので成長をさらに加速することができると考えている。Googleは今朝(米国時間7/24)スタートしたCloud NextカンファレンスでGo Cloudを発表した。

Go Cloudはオープンソースのライブラリと一連のツールを組み合わせたもので、Goでクラウド・アプリを開発することを容易にする。

Goはデベロッパーに広く使われている言語ではあるが、クラウド・サービスを利用するための標準的ライブラリを欠いていたとGoogleでは考えている。多くの組織が業務をクラウドに移行しようとしているが、今のところデベロッパーは各種のクラウドの活用にあたってライブラリを自分で書く必要がある。

そこで Go Cloudがデベロッパーに提供しようとするのは特定のプラットフォームに依拠しないオープンソースのクラウドAPIだ。これにはブログのストレージ、MySQLデータベース、各種のランタイム・コンフィグレーションなどへのアクセスに加えてHTTPサーバーのビルトイン・ログや各種のモニタリング機能などが含まれる。現在はGoogle Cloud Platformに加えてAmazon AWSが対象となっている。しかし将来はGo Cloudがサポートするプラットフォームはさらに拡張されるという(もちろんクラウド・プロバイダは自らGo APIを開発、提供することが可能だ)。

デベロッパーは現在作動中のアプリケーションの重要な部分を書き直すことなしに、ただちに所望のクラウドに移行させることができるようになるとGoogleでは主張している。

Googleのデベロッパー・リレーション担当副社長、Adam Seligmanは私の取材に対して「われわれはGo CloudがGoのライブラリが爆発的に増加するきっかけとなることを期待している」と語った。当然ながら、そうなればクラウド向けプログラミング言語としてのGoの成長をさらに加速させる効果がもたらされるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、Cloud Build発表――デベロッパー向けに理想的なCI/CDプラットフォームの提供を目指す

デベロッパーがアプリケーションを開発する際には十分なリードタイムを見込み、バグ修正やバージョンアップのサイクルを考えておくのが常識だった。この時代にはじっくり腰を据えて準備することができた。しかし現在のCI/CD開発(継続的インテグレーション/継続的デプロイメント)の世界では毎日バージョンアップが行われる。つまりデベロッパーにとって適切なCI/CDフレームワークの利用が必須となっている。

今日(米国時間7/24)、サンフランシスコでスタートしたGoogleのクラウド・カンファレンスでCI/CDプラットフォームとしてCloud Buildが発表された

Googleによれば、Cloud Buildは同社の「フル機能のCI/CDプラットフォームであり、デベロッパーはどんな規模であろうと、あらゆる種類のソフトウェアを効率的にビルド、テスト、デプロイすることができる」という。

Cloud BuildはVM、サーバーレス、Kubernetes、Firebaseなど多数のプラットフォームで作動するだけでなく、Dockerコンテナもサポートする。ソフトウェアのデベロッパー、オペレーターに開発、運用の柔軟性を与えると共にサイクルの自動化を進めることを容易にする。

Cloud Buildではデプロイメントのトリガーを設定できる。つまり特定の条件が満たされると自動的にアップデートが実行されことになる。デベロッパーはローカルでビルドし、脆弱性をテストし、パッケージの健全性に自信を持った段階でクラウドに公開することができる。

Cloud Buildにはエラー報告やアナリティクスなど問題を発見、解析するツールを備えている。デベロッパーはビルドのエラーやビルド速度が遅すぎるなどの原因をデプロイに先立って容易に同定することができる。

Google Cloud Buildでは一日あたり120分までのビルド時間が無料で提供される。これを超える部分の料金は毎分0.0034ドルだ。

〔日本版〕日本のGoogleでは9 月 19、20 日にCloud Buildを体験できるイベントを予定している。

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GoogleのCloud Nextカンファレンスがスタート――ライブで中継中

Googleがサンフランシスコのモスコーニ・センターでクラウドについてのビッグなカンファレンスを開催中だ。今朝(米国時間7/24)、Google Cloud Nextは第1日目がスタートした。もちろんGoogleのフラグシップ・カンファレンス、I/Oほどの規模ではないが、 クラウドはこの1年ほどGoogleがもっとも力を入れ、成功している分野だけに見逃せないイベントだ。

GoogleはGoogle Cloudのインフラ、エンタープライズ・サービス、その上で作動する機械学習ツールなどの拡充に巨大な投資を行っている。GoogleはGoogle Cloudを今後のビジネスの柱の一つとしていくことは明らかだ。これまでGoogleは本質的に巨大な広告事業者だった。もちろん広告事業も依然力強いペースで成長中であるものの、Googleは「その次」のビジネスをクラウドだと考えている。

Google Cloudのキーノートは現地時間午前9時にスタートした。TechCrunchチームはカンファレンス会場から最新のニュースをカバーする。

われわれのGoogle Cloud関連記事はこちら。下のビデオはキーノートの中継。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サーバーレスコードを保護するPureSecがベータを終了

イスラエルのスタートアップPureSecは、本日(米国時間7月19日)ベータを終了し、サーバーレスコンピューティングをよりセキュアに保つ手段の提供を始めた。

サーバーレスコンピューティングは、特定のイベントが発生したときに自動的にアクションをトリガーする。このためプログラミング作業がファンクションの記述へと簡素化される。クラウドベンダーがインフラを担当するので、そこで開発者たちは核となるコードを書くだけとなる。まるで技術者のためのシャングリラ(理想郷)のように聞こえるかもしれないが、現実的にはセキュリティ上の懸念が残されている。

ほんの数ミリ秒で終わってしまうプロセスは従来型の攻撃の対象にはならないと思うかも知れないが、実際はサーバーレスファンクションは人間によるチェックと調整が不要になるように設計されるため、もしファンクションの設定が不適切なら脆弱なものになってしまう、と同社の共同創業者Ory Segalは語る。

他の種類のクラウドセキュリティと同様に、サーバーレスコンピューティングにも共通のセキュリティモデルがある。ベンダーの立場からは、データセンターやシステムが安全であることはベンダー側が保証するが、アプリケーションレベルでは開発者側の責任となる。確かに、これまで私たちは、アプリーケーションの脆弱性が放置され、その結果データが漏洩した多くの事例を目撃してきた。

Segalによれば、1つのファンクションはアクションを実行するわずか数行のコードに過ぎないかもしれないが、そうしたアクションは通常1つ以上の外部サービスとのやりとりを伴っていると言う。その際に、ファンクションを操作して、意図されていなかった事、例えば悪意あるコードを挿入するといったことを行うチャンスが現れる。

PureSecのプロダクトは、サーバーレスコードの中を見て、コードの中に残存しているかもしれない脆弱性について指摘してくれる。もしお望みなら、そうした問題を修正することさえ可能だ。また、ダッシュボードからコードのセキュリティプロファイルを設定し、問題が発生した際に、それらを追跡するためのアクティビティのログを表示することもできる。

スクリーンショット: PureSec

 

Segalは、同社が創業した2016年は、AWSがLambdaサーバーレスプロダクトをローンチしてからわずか2年後のことだったと語る。当時、それは広く使われておらず理解されてもいなかった。今でもサーバレスコンピューティングは開発の初期段階にとどまっているが、成長させるためにはセキュリティのような下支えをするツール群の登場が必要なのだ。

PureSecはサーバーレスのセキュリティを提供するためにゼロから開発されており、それ自身もサーバーレスアーキテクチャ上に構築されている。Segalが指摘するように、従来のセキュリティプロダクトは、対象がサーバーにせよネットワークにせよ、何かを事前に展開しておくためのインフラを必要としている。だがサーバーレスアーキテクチャの下では、イベントがトリガーされるまでは、展開される基盤アーキテクチャは決まっていない。クラウドプロバイダーはプロセスを完了させるために必要な、計算力、メモリ、そしてストレージをイベントに応じて決定して行くのだ。

Crunchbaseによると、同社は今日までベータ版で、シード投資で300万ドルを調達している。テルアビブの拠点には11人の従業員がいる。

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(翻訳:sako)
画像: Doucefleur / Getty Images

GoogleのCloud LauncherがGCP Marketplaceと改名、コンテナアプリケーションのデプロイもサポート

Cloud Launcherは長年、Googleが開設したクラウドアプリケーションのマーケットプレースで、サードパーティのベンダーはほんの数クリックで自分のアプリケーションをGoogleのクラウドへデプロイできる。でもその名前からは、そこに商用アプリケーションを置けることや、それらの課金をGoogleが処理してユーザーの通常のGCPの料金請求に加えてくれることなどが、分かりにくい。そこでGoogleは今回、名前をGCP Marketplaceに変えることにした。

それだけでなく、今日(米国時間7/18)のアップデートでは、商用とオープンソース両方の、コンテナアプリケーションも置けるようになる。ユーザーはそれらを、Google Kubernetes Engineへ容易にデプロイできる(ほかのKubernetesサービスを使ってもよい)。これまで、このマーケットプレースは従来的な仮想マシンだけを提供してきたが、でも今や、コンテナのサポートを求める顧客がとても多いのだ。

Googleがいみじくも主張するように、Kubernetes Engineはコンテナの管理から大量の面倒を取り去ってくれるが、でもそれらをKubernetesのクラスターへデプロイするのは手作業の場合が多かった。そこでこのマーケットプレースでは、コンテナアプリケーションのデプロイも数クリックでできるようにし、しかもGoogleのKubernetes EngineだけでなくほかのKubernetesへのデプロイもサポートする、とGoogleは約束している。

Google CloudのプロダクトマネージャーBrian Singerによると、彼のチームはKubernetes Engineのチームと密接に協力して、このような統合をできるかぎりシームレスにしてきた。そして今マーケットプレースにあるソリューションは、GitLabのようなデベロッパーツールや、グラフデータベースNeo4j、データ管理サポートKastenなども含んでいる。WordPress, Spark, Elasticsearch, Nginx, Cassandraといったオープンソースのプロジェクトも利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AppleのiCloudの中国のユーザーはオプトアウトしないかぎりデータを国営企業に握られる

中国に住んでいる中国人で、iCloudのデータをローカルに保存させることをまだオプトアウトしていない人は、それを今やるべき良い理由がある。その情報は、中国のiCloudユーザーに帰属するデータであり、メールやテキストメッセージなども含まれる。それらをこれからは、中国の国営通信社China Telecomがどこかに保存するのだ。

この事業者のクラウドストレージ部門であるTianyiが、iCloud Chinaを支配する、とChina TelecomのWeChatポストが言っている。Appleも本誌TechCrunchに対して、この変更事項を確認した。

Appleのデータが同社のアメリカのサーバーから中国のサーバーへ移行することは、中国政府が個人や企業の微妙なデータに容易にアクセスできることを意味する、という大きな懸念がある。その発表の前には、中国のユーザーの暗号鍵もすべてアメリカに保存されていたから、当局が情報にアクセスするためにはアメリカの法律でそれを認められなければならない。それがこれからは、中国の法廷と、政府の情報管理者の管轄になる。

Appleの言い分は、中国当局の許可を得るためにはそうせざるを得なかった、というものだ。それは、納得できる説明ではない。

皮肉にもアメリカ政府は、国の安全保障を理由に中国の通信機器メーカーZTEを追及している。中国当局とのつながり、という嫌疑もある。それなのにアメリカの巨大企業のひとつが、ユーザーデータを中国の国営企業に委(ゆだ)ねているのだ。

唯一の救いは、中国のAppleユーザーはiCloudのアカウントで中国以外の国を指定すれば、ローカルデータの保存をオプトアウトできることだ。でも、今日(米国時間7/17)それをしても、実際にデータが移転したのか、中国のサーバーからは確実に削除されたのか、確認できない。だから新しいアカウントを作るのが現時点では最良のオプションかもしれない。

情報をありがとう、@yuanfenyang

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Snowball EdgeでEC2を現場で動かせるようになった――AWS、エッジ・コンピューティングをさらに強化

AWSのエッジコンピューティング・デバイス、Snowball Edgeはすでに広く使われている。しかし今日(米国時間7/17)、AWSはきわめて役立つ新機能を追加した。これまで、このデバイスは大量データの保管、転送、GreengrassサービスとLambdaを利用したある種のタスクの実行などに使われていた。しかしAWSはさらに一歩を進め、フラグシップ・コンピューティング・サービス、EC2をSnowball Edge上で利用できるようにした。

これにより、たとえば、工場内にデバイスを設置してそれまで使ってきたAmazon Machine Imagesを実行することができる。これによりまず帯域幅が大きく節減できる。ユーザーはEdgeデバイスですべてのコンピューティングを実行するか、プリプロセッサとして利用し、処理済みのデータをAWSに転送することができる。操作には従来のAWSのマネジメント・コンソール(ないしコマンドライン)を使える。Snowball Edgeは1.8 GHzのIntel Xeonプロセッサを内蔵しており、最大32GBのメモリで24のvCPUまで作動させることができる(メモリサイズ、vCPU個数の組み合わせは自由に設定できる)。

従来どおりの単一のマネジメント・コンソールから管理できるサーバーの中にSnowball Edgeが含まれるようになった、つまり他のAWSのクラウド上のマシンとまったく同様に扱えるようになったというのがAmazonが強調するメリットだ。念のために付け加えれば、OpenStackのエッジ・コンピューティングの基礎をなすアイディアだ(ただしSnowballはOpenStackより設定がはるかに簡単)。またMicrosoftのAzure Stackや各種のエッジ・コンピューティング・サービスが目指すのも同じ方向だ。

デバイスをレンタルする必要があるためSnowball Edgeのコストは決して安くはない。しかしオンデマンドによるコンピューティングのコストの大半はデータ転送費用で、これは500ドルからスタートする。Snowball Edgeを1台、1年間使うと少なくとも1万5330ドルかかる。しかし企業がエッジ・コンピューティングで処理を完了する前に、 AWSとデータをやり取りする必要が起きるケースはめったにないだろう。 また公平に言って、1万5330ドルという価格は同種のライバルに比べてはるかに安い。

〔日本版〕AWS日本語ページのSnowball Edgeの説明はこちら(EC2の利用に関してはまだ説明がない)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+