YouTubeが回線混雑対策で動画再生のデフォルトを全世界で標準画質に

YouTubeは、ビデオ再生画質のデフォルトを来月4月いっぱい標準画質(SD)にすると発表した。家に縛られた退屈な人たちからの需要に応えるためだ。 欧州でも先週同様の対応がなされるなど、高帯域幅を多く使う会社は影響を最小限にすべく努力している。

ストリーム品質をデフォルトで制限するこのポリシーを最初に報じたのはBloomberg だった。Googleは声明で「世界中の政府や通信業者と密に協力して、この未曾有の状況下でシステム負荷を最小限にするべく、我々にできることをやり続けていく」と述べている。

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ユーザーは高画質を選ぶこともできるが、十分低い帯域幅にデフォルトを設定することで、人々がその違いを気にしなければ相当量のネットワーク容量を節約することができる。変更は3月14日から徐々に適用される。

YouTubeがネットワーク渋滞を引き起こさないための安全策はすでに十分練られている。「当社ではネットワーク容量を使いすぎないよう、自動的にシステムを調整する仕組みを導入している」とYouTubeの広報担当者は先週TechCrunchに話した。

Netflix(ネットフリックス)、Disney+(ディズニー・プラス)などのストリーミングサービスも使用する帯域幅を絞り、需要が供給を上回ったときにコマ落ちやバッファリングが起きないようにしている。Microsoft(マイクロソフト)とソニーは、ゲームのダウンロードやアップデートの通信速度を下げて、ピーク時のネットワーク飽和を防いでいる。

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画像クレジット:Florian Gaertner/Getty Images (画像は加工済み)

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Ford、3M、GEが新型コロナ用の人工呼吸器やフェイスシールド製造へ

Ford(フォード)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療現場で働くスタッフや患者が必要としている医療機器の製造に関する最新の情報を発表した。ここには、3Mとの提携による電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)製造が含まれる。保護具の性能を確保し、増産に対応できるよう、両社が手がける既存のパーツを使用する新たなデザインとなっている。

Fordはまた、同社の3D印刷能力を活用してフェイスシールドも製造するとしていて、週10万枚の生産を見込んでいる。フェイスシールドは、最前線で働くヘルスケアスタッフが患者の咳やくしゃみを通じて広がるウイルスを含んだ飛沫から、自らを保護するためになくてはならない重要な保護用具だ。Fordは新たなフェイスシールドをデザインし、その性能を評価するために最初の1000ユニットを今週、デトロイト・マーシー大学、ヘンリー・フォード・ヘルス・システムズ、そしてミシガンのDMCサイナイグレース病院でテストする予定だ。想定通りの性能が確認できれば、今週末までに7万5000ユニットを製造し、来週以降はミシガン州プリマスにある生産施設の1つで週10万ユニットの製造を見込む。

さらにFordは、GEヘルスケア人工呼吸器の生産能力アップでGEと協業することにしている。この呼吸器のデザインは簡素化されたもので、大量生産が可能だ。こうした取り組みはヘルスケア必需品をめぐる米政府の要望に応えるためのもの、と同社は述べた。米国にフォーカスしたGEとの人工呼吸器プロジェクトに加え、Fordはまた英政府からの要請に基づき同国でも人工呼吸器の製造に取り組んでいる。そして、2020年初めに同社が米国から中国に送ったN95マスク16万5000枚を米国に送り返している。米国での需要が大きいからだと同社は説明。加えて、中国の状況は改善している。

週末にトランプ大統領はFord、GM、Tesla(テスラ)といった米国の自動車メーカーに、人工呼吸器や他のプロダクトをなるだけ早く生産するよう「ゴーサイン」を出したとツイートした。

「我々は米国と英国の政府と事前協議を行い、実現可能性について調べた」とFordの広報担当Rachel McCleery(レイチェル・マッククリーリー)氏はTechCrunchに述べた。「危機に立ち向かうため、皆がこれまで以上に力を合わせて国をサポートすることが必要だ」。

今回のアップデートに基づくと、Fordは貢献できる部分にかなり素早く取り組んでいる。同社は多くの需要がある医療備品を生産するために自前の施設、そしてパートナー企業の施設も使用するつもりだと24日の電話会見で述べた。そしてまた、生産能力と生産量をアップするために既存のパーツや設備を活用する。

例えばFordが生産するPAPRは同社のF-150トラックの冷却シート用の部品や3Mの既存のHEPAフィルターを使っている。こうしたPAPRはバッテリーで動く。1つのバッテリーで8時間駆動して空気中のウイルス微小物質をフィルターで除去できるため、N95マスクよりもかなりの利点がある。交換できる独立型のバッテリーパックは腰につける。生産のタイムラインや能力についてはというと、3MのグローバルテクニカルディレクターのMike Kesti(マイク・ケスティ)氏は、まだそれを確かめているところであり、特に新バージョンの生産に入る前にFordが既存のPAPRの生産をどれだけ補強できるかを精査している、と話した。

「Fordは我々の既存のユニットの生産能力拡大をサポートしてくれている」とケスティ氏は述べた。「今後数日から数週間で既存の製品の増産という形で成果が現れるだろう。しかし我々はFordが保有する部品、そしてNIOSH(米国立労働安全衛生研究所)の規格をクリアした弊社フィルターの活用でも緊密に連携している。可能な限り早期の生産拡大を目指す」。

Fordはまた、既存のN95マスクの生産拡大でもM3をサポートしている、とも同氏は述べている。

FordもGEも、現在取り組んでいる新しいタイプの人工呼吸器のタイムラインや予想される生産能力などは示していない。しかしGEヘルスケア副社長で品質責任者のTom Westrick(トム・ウェストリック)氏によると、発表できるよう鋭意進めているとのことだ。

「新たな人工呼吸器のでデザインやリリースに関する具体的なタイムライン、数字は持ち合わせていない。しかし明らかにこれはGE、そしてFordにとって最重要のものだ」と同氏は述べている。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:Mizoguchi

回線混雑緩和のためゲームのダウンロードに速度制限

新型コロナ感染抑制の世界的取り組みのために自宅で釘付けにされている数十億の人々にとって、ゲームはうってつけの逃避方法だ。しかしゲームは巨大だ。Microsoft(マイクロソフト)、Sony(ソニー)をはじめとするゲーム各社は、巨大なゲームをダウンロードする何百万人もの人たちが帯域幅を独占しないよう対策を始めている。でも心配無用、あなたのゲームプレイには影響しない。

コンテンツ配信ネットワークのAkamai(アカマイ)のブログ記事で、インターネットのインフラが直面している津波のようなトラフィックを軽減するために同社が行っていることをいくつか説明している。もちろんビデオストリーミングは最大要因の1つだが、ゲームも連続的ではないもののネットワークにとって大きな負担だ。

Akamaiは「主要ソフトウェア配信業者、特にゲーム業界についてはマイクロソフトやソニーと協力して、ピーク利用時の混雑緩和に取り組んでいる。アップデートが公開された時に大量のトラフィックを生むゲームソフトのダウンロードは非常に重要だ」と記事は書いている。

例えば最新のバトルロイヤルゲーム 「Call of Duty: Warzone」が先週無料で公開され、大きな人気を呼んでいる。ご存じない方のために書くと、Call of Dutyシリーズの最新タイトルであるWarzoneは80GB以上のダウンロードサイズでNetflixの映画数十本分に相当する。さらにいうと、その80GBは自宅のネット接続の最大帯域幅でダウンロードされる可能性が高い。ストリーミングビデオは、数Mbに抑えられているので、接続を独占する心配はない。

関連記事:Netflixが新型コロナによる通信量増加で欧州でのストリーミング画質を30日間抑制へ

Warzoneだけではない。ほかにも山ほどの人気ゲームが、ゲーム以外することのない多くの人たちが家にいる時期にリリースされた。PCゲームプラットフォームのSteamは先日2000万同時ユーザーを記録し、あるアナリストはゲームのトラフィックが400% 増えたと言っている。つまり、ゲームはかつてないほど多くプレイされていて、ゲームのサイズはかつてないほど大きい。

そういうわけで、ゲームのダウンロードは近いうちに帯域幅を絞られる可能性がある。少なくとも一部の分野では。「プレーヤーはゲームのダウンロードが多少遅く感じるかもしれない」とSony Interactive Entertainment(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)CEOのJim Ryan(ジム・ライアン)氏はブログ記事に書いている。TechCrunchはマイクロソフトとNintendo(任天堂)、Valve(バルブ)にも各社のやり方を質問している。

重要なことだが、これはダウンロード以外のゲームプレイには影響しない。ゲームのダウンロードと異なり、ゲームプレイで使用する帯域幅はおどろくほど小さい。プレイのタイミングを維持するために、パケットを高速でやりとりすることは重要だが、データ量は低解像度のストリーミングビデオと比べても少ない。

ゲームのダウンロードは夜間に行うのがベストだ。地域のネットワークインフラは多くの人が寝ている間の方が混雑が少ないからだ。昼間にダウンロードやアップデートするときは、いつもより時間がかかったり、待たされることになっても驚かないように。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

有給休暇の要求で団結したAmazonの倉庫従業員を新型コロナが後押し

Amazonは、その倉庫での労働条件がいかにすばらしいかを公言してやまないが、世の常として、当の従業員の話は少し違っている。シカゴの倉庫に勤める従業員たちは、非正規従業員に約束していた有給休暇や休みの提供を渋りつづけるAmazonに業を煮やしていた。彼らは団結したがAmazonは反発。ところが、新型コロナウイルスがその均衡を破ることになった。

これは、企業に搾取され待遇を変えさせたいと奮闘する従業員から直接聞いた話として、とても興味深い。搾取とは、仕事が辛く給与が安いという意味ではない。それも事実なのだが、従業員の健康と幸福を大切にすると主張している企業から当たり前の配慮と待遇を得るために戦わなければならない状況を意味している。

関連記事:Report alleges Amazon worked with Indiana to downplay warehouse worker’s death and safety concerns

この従業員グループは組合ではないが、ずっと昔に労働組合が巻いた種ではある。共通の不満を持つ従業員が団結して、雇用主側を交渉のテーブルに引きずり出すというものだ。そもそもこのグループは、きれいな飲料水を要求するために組織されたものだ。そう、読んで字のごとし。個人的に訴えても聞き入れられなかったため、150人が嘆願書に署名し提出したところ、すぐにボトル入りの飲み水が大量に届けられ、新しいウォーターサーバーも設置された。

このことから、改善が必要な場合には、みんなで組織的に行動を起こすことが大切だと学びました。その後も、解決すべきばからしい問題は山ほどあるため、私たちは再び集まり、何度かブレインストーミングを行い、自らをDCH1 Amazonians United(DCH1アマゾニアンズ・ユナイテッド)と名乗ることに決めました。組合や非営利団体のバックアップもない、ただの従業員の集まりですが、威厳を忘れず、なんとか生活を保とうと努力しています。私たちは、使えるはずの有給休暇をAmazonが使わせないことを知ったとき、それに対処する態勢が整っていました。

Amazonは、週20時間以上勤務している従業員には有給休暇と休みをとる権利があると書面で伝えているが、そのとおりになっていない。なぜか倉庫の従業員は特別扱いで、週20時間以上働いても有給休暇や休みを取る権利が与えられていないのだ。どうにかして改善されるべき問題だ。

有給休暇を求める嘆願書に251名の署名を集めた彼らは、地区担当のマネージャーと交渉の席を設けた。それは、各シフトが管理者側の説明が聞けるよう、個別に3回行われた。その結果、1人のマネージャーは嘆願書を受理し、後の2人は拒絶した。管理者側は従業員の孤立化を図るようになった。グループでは会わず、個人面談なら受け付けるというのだ。ちなみにこれは、労働者の組織化を潰す初歩的な手法だ。

彼らは、サクラメントの倉庫で同様のグループがストライキを決行したことを聞いた。組織的な活動に神経質になった管理者側が、組織潰しに出たのは明らかだ。Amazonの従業員による国際会議も開かれ、情報や活動方法などが交換された。

関連記事:ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

そこへ新型コロナウイルスが襲ってきた。いくつものAmazonの従業員グループから感染予防対策、危険手当と育児補助金の増額を求める嘆願書が提出され、Amazonは病欠を有給扱いに切り替えた。

こうした取り組みの高まりを受け、Amazonは週20時間以上勤務する者全員に有給休暇を与える決断を下した。

画像クレジット:DHC1 Amazonians United

TechCrunchに送られた声明には、Amazonは「前例のないパンデミックに対応し、私たちの業務と物流ネットワークに携わる従業員のための福利厚生を、新しく大幅に改善しました」と述べられていた。またこの決定は、アマゾニアンズ・ユナイテッドまたはいかなるグループからの圧力によるものではないという。だがこれはAmazonを説得するには、世界中のグループが団結して会社の方針に抗議しなければならないと言っているようにも聞こえる。そもそもなぜ有給休暇が与えられなかったのか、私はその理由を尋ねたが、まだ返事が来ない。

シカゴのグループは、窮地に際して決して孤独ではなかったが、必要な改善を勝ち取るための勇気と手段を手にするには、組織とコミュニケーションが必要だった。Amazonは新たに10万人を雇用する予定だが、このグループが勝ち取った恩恵を彼らも同様に受けられることを願う。

関連記事:在宅人口の急増で宅配の需要が増えAmazonは10万名の倉庫労働者を緊急雇用

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが新型コロナによる初の打ち上げ延期を発表

これまでSpaceX(スペースエックス)は、新型コロナの世界的蔓延にもかかわらず打上げスケジュールが大きく影響されたことがなかった。先週同社は、人工衛星Starlink(スターリンク))60基の追加上げに成功し、5月下旬に予定されているNASAの商用有人飛行ミッション(前回の打上げでエンジンが早期停止した原因を調査中)は順調に進んでいると見られていた。

しかし米国時間3月24日、米空軍第45宇宙航空団(45 th Space Wing)は、3月30日にFalcon 9ロケットを用いてカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地から発射される予定だったSpaceXの来たるべきSAOCOM(アルゼンチンの地球観測衛星)の打ち上げが、現在進行中の新型コロナ危機の影響を受け、「無期」延期されたことを正式に発表した。空軍基地があるヴァンデンバーグ市は先週末に公衆衛生緊急事態を宣言し、これまで新型コロナ感染が確認された事例はないものの、空軍は基地への入場を必須要員に限定し、必要最小限のサービスしか提供しないほか、現地に残らなくてはならない人々の保護と安全のために追加の予防措置を講じている。

SpaceXの打ち上げスケジュールが、新型コロナ・パンデミックの影響を受けることは不可避だった。NASAは、宇宙探査宇宙船アルテミスの開発やJames Webb(ジェームズ・ウェッブ)望遠鏡プロジェクトなど進行中の重要ミッションの一部を停止している。現在も有人宇宙飛行に向けた作業を進めつつ、NASAは職員と公衆の安全を確保するための基準引き上げについて頻繁に情報を更新しているので、進展があれば追って報じる予定だ。

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

医療機器メーカーOuraとUCサンフランシスコ校がスマートリングによる新型コロナ検出を共同実験中

スタートアップ各社は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、世界的なウイルス蔓延との戦いに貢献する方法を探している。パーソナル医療ハードウェアメーカーのOura(オーラ)も例外ではない。スマートリング(指輪)のスタートアップはカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)と共同で、同社のスマートリングが新型コロナの発病を表す生理学的反応の検出に役立つかどうかを研究している。

この研究は2つの部分から成る。現場で働く医療専門家約2000名が研究期間中Ouraリングを着用する。リングは使用者の体温を連続して測定し、睡眠パターン、心拍数、活動レベルなども記録する。発熱は新型コロナの発病を表す早期症状であり、体温を連続的に測定することで発熱を非常に早く検出できる可能性がある。もちろん新型コロナ感染を確認するためにそれだけでは十分ではないが、本研究の目的はOuraのリングが追跡するデータを他のデータと組み合わせることによって、早期発見の何らかの役に立つかどうかを見極めることだ。

Ouraが早期発見に役立つと研究者たちが信じるには相応の理由がある。フィンランドのあるOuraユーザーは、ウイルスの明らかな症状が出る前に彼が病気であることをOuraが警告し、検査を受ける(その国では比較的容易)よう促したと報告している。検査の結果、無症状ではあったが実際に新型コロナに感染していたことがわかった。ここからUCSFの研究者であるAshley Mason(アシュリー・メイソン)博士は、Ouraリングは咳などのより明確な症状が始まる2~3日前に新型コロナの発病を予測できるという仮説を立てた。

体内のウイルスを早期に検出する能力は、世界的な封じ込めにとっても重要だが、最前線の医療従事者にとってはいっそう重要だ。彼らが早く診断されればされるほど、同僚や近くで働く人たちを危険に晒す可能性は低くなる。

Ouraリングを被験者に提供することに加えて、研究計画では対象をさらに拡大し、Ouraの一般ユーザーも含めようとしている。すなわち全世界15万人のユーザーが研究にオプトインできるようにして、リングの測定値と日々の症状を記録に追加できるようにする。すでにOuraを使っている人にとっては、パンデミックとの世界的戦いに貢献する比較的容易な方法だ。家を出る必要もない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Fordが新型コロナによる北米工場の閉鎖継続を発表

Ford(フォード)は24日、米国、カナダ、メキシコの工場について当初予定していた3月30日の操業再開を見合わせると発表した。

同社は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大のために北米工場での生産を中止していた。各国の政府が国民に外出禁止や在宅勤務を命じていることを受け、同社は操業再開しないことを決めた、とFord北米社長のKumar Galhotra(クマール・ガルホトラ)氏は声明で述べている。

「私たちは、労働者の健康福祉を最優先に考えながら、車両生産再開の適切なタイミングについてさまざまな選択肢を検討している。全米自動車労働組合(UAW)やカナダの労働組合Uniforなど労組リーダーと共に取り組んでいる」とガルホトラ氏は付け加えた。

今回の北米工場の閉鎖継続は、ドイツのケルンとザールルイ、ルーマニアのクラヨバにある工場の閉鎖に続くものだ。今週初め、同社はオフサイトでは作業できない重要な役割を担う人を除く全従業員に、案内するまでリモートワークするよう呼び掛けていた。

3月15日、UAWそしてGM(ゼネラル・モーターズ)、Ford、Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモビルズ)は労働者を新型コロナウイルスから守り、感染拡大を抑制するための専属チームを結成した。

GMとFCAも先週操業を取りやめたが、3月30日に再開するかどうかは明らかにしていない。

画像クレジット: Bill Pugliano / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Computexも新型コロナ懸念で9月下旬に延期

6月初旬に台北で開催予定だったComputex(コンピューテックス)は、ここ数十年で世界最大級のテクノロジー見本市の1つとなっている。また、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、世界中のイベントがキャンセルされたり延期されたりしている中、最後に残った大きな展示会となっていた。

今週初めには、多くのメーカーがイベントの延期を求めて公開抗議を行った。そしてComputexの主催者はついに譲歩し、米国時間3月24日のプレスリリースで、40周年記念となるイベントを9月28日〜30日へと延期すると発表した。

以下はリリース文である。

Computex主催者であるTAITRAの社長兼CEOのWalter Yeh(ウォルター・イェ)氏と、TCA事務局長のEnoch Du(エノク・ドゥ)氏は共同で、出展者と来場者の健康と安全、展示会の有効性、そしてComputexのブランドイメージを維持するために、6月2日〜6日に開催されるComputexを9月に延期することを発表した。

TechCrunchはイベントの主催者に、さらなるコメントを求めている。またこのニュースは、台湾で新型コロナウイルスが再燃し始めている中で発表された。今週の政府発表によると、新たに20件、感染拡大が始まって以来で累計215件の新型コロナウイルスの症例が発生している。

当局によると、新たな症例はすべて海外から台湾に持ち込まれたもので、毎年約12万人が参加するComputexにおいて、ウイルスの拡散がさらに悪化することが確実視されていた。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Mesa Biotechのわずか30分で結果が出る新型コロナ用迅速検査をFDAが緊急承認

米国食品医薬品局(FDA)は緊急使用許可(EUA)の権限を利用して、米国内で利用可能なCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の検査資源を拡大しているが、ついにわずか30分で結果が得られる別の迅速検査を追加することになる。Mesa Biotechの検査は診療所や病院を含む医療の最前線で使用できるほど小型で、かつ複数の検査を並行して実行できる。

Mesaの迅速検査は、米国時間3月23日の月曜日に承認されたCepheidに続くものだ。どちらもPCRベースの分子検査で、患者の粘液サンプル中のウイルスDNAの存在を識別する。これらのテストは、実験室レベルの結果が提供でき、より迅速でサンプルを収集し現場から離れた検査施設へと輸送せずに実施できるので、新型コロナウイルスの感染と戦うための重要な技術資源の分散を防ぐことができる。

現場での検査は、利便性と迅速な結果が得られるという点でメリットがあるだけでなく、医療従事者がウイルスにさらされる可能性を制限するという利点もある。現場でテストすることは、物流や配送に関わる人だけでなく、ラボの技術者や専用の診断担当者を含むより多くの人々が、ウイルス感染の可能性を心配しなくていいいことを意味する。

これらの検査には、施設がMesaのAccula検査システムを導入している必要がある。しかしこの装置はインフルエンザの検査だけでなく、それほど深刻ではない他の検査にもすでに使用されており、以前のSARSを含む世界的なパンデミックと戦う最前線での使用に対処するために、特別に設計されたものだった。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

米通信キャリアは新型コロナを考慮し契約者のつなぎ止めプランを次々に導入 

米連邦通信委員会(FCC)は2020年3月、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症が生活のあらゆる側面に深刻な影響を与え続けていることから、消費者の負担の一部を軽減することを目的とした新たな措置を発表した。

米国のほとんど、またはすべての主要なインターネット/ワイヤレスプロバイダーがこの誓約に署名し、延滞料の免除やサービスの解約を行わないなどの措置を取ることに同意した。そして現在、このパンデミックが収束するまでの間、資金不足の消費者を支援することを目的とした具体的な計画が、通信キャリアから出始めている。

T-Mobile(Tモバイル)は米国時間3月23日の朝、月額15ドル(約1670円)のMetroプランを発表した。これは、現在の最低価格プランの半額となる。この価格は60日間有効で、無制限の通話と2GBのデータ通信が利用できる。T-Mobileはまた、無料の8インチタブレット(リベートや細かい規約付き)を投入し、今後2カ月の間で他のデータプランも調整する予定だ。

Verizon(ベライゾン)は、必要に応じて携帯電話をモバイルホットスポットとして使用できるように、現在の消費者向けおよび中小企業向けのプランの15GBに4GBのデータ通信を追加すると発表した。また、同社は選択したFiOSプランから20ドル(約2230円)を割り引き、ルーターのレンタル料金も60日間免除する。

さらにAT&TはTechCrunchにあてたメッセージで、支払いができないことを理由に契約を解除することはないと伝えている。また3月13日までさかのぼってデータと通話、テキストの国内超過料金と遅延料金を免除する。

一方、Sprint(スプリント)は、3月18日から従量制プランの顧客に60日間無制限のデータ通信と、20GBのモバイルホットスポットデータを無料で提供する。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Bandcampは1日分の収益を放棄して4.8億円を参加ミュージシャンの収入に

3月20日の金曜日、人気の音楽プラットフォームBandcampは、朝から24時間におけるすべての売り上げから自社の収益を放棄すると発表した。この取り組みは、ライブパフォーマンスがキャンセルされ、将来が見通せなくなった世界中にいる数多くのアーティストの生計を助けるために企画されたものだ。

この企画は成功した。

その金曜日は、11年間のBandcampの歴史で最大の売り上げを記録した日になった。アーティストは楽曲と関連商品の売り上げとして、24時間で430万ドル(約4億8000万円)を手にすることができた。これは、普段の金曜日におけるBandcampの売り上げの15倍以上に相当する額だ。サイトによれば、その日は1秒あたり11のアイテムが売れたという。全体として普段の4万7000程度であるのに対して、1日で合計80万のアイテムが売れた。

Bandcampが手数料を免除しただけでなくAnti-、Fat Possum、Merge、Polyvinyl、Saddle Creek、Sub Popといった数十のレーベルも、その金曜日は収益の100%をアーティストの取り分とした。

これは、クリエーターにとってうれしいニュースだろう。ただでさえ、多くのクリエイターは常に変化し続けるオンラインエコノミーに対応しきれないでいる。とはいえ、いつまで自宅に籠もっていればいいのかさえもわからないため、多くのアーティストは将来への不安は拭うことができない状況にある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フィアットが新型コロナ対応で月100万枚マスク生産へ

Fiat Chrysler Automobiles(FCA、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は3月23日、数週間内にマスクの製造を開始し、救急隊員やヘルスケアワーカーに提供すると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に対する自動車メーカーの対応としては最新の動きとなる。

FCAはTechCrunchに対し、中国にある工場の1つにマスク生産設備が設置され、主に米国、カナダ、メキシコに送られると明らかにした。1カ月にフェイスマスク100万枚を生産する計画だ。マスクはすべて警察、救急医療スタッフ、消防隊員、病院やヘルスケアクリニックの職員に提供される。

「警察や消防といったファーストレスポンダーやヘルスケアワーカーが今ほど重要なときはない」とFCAのCEOであるMike Manley(マイク・マンリー)氏は声明で述べた。「人工呼吸器の増産サポートに加えて、ヘルスケア業界に話を聞いて回ったところ、緊急かつ切実なフェイスマスクの需要が認められた。FCAグループ従業員に直ちにマスク生産のための設備設置と、新型コロナ感染を食い止めるために最も必要とされている人たちをサポートするよう命じた」

今回のFCAの動きは、建設会社に対しN95マスクの在庫を病院に寄贈するよう、Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領の先週の呼び掛けを受けたものだ。建設会社はこの求めに応じたとペンス副大統領はその後の記者会見で述べている。そしてApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、IBM(アイビーエム)、Tesla(テスラ)など他の企業も同様にマスクを寄付している。

新型コロナウイルスが引き起こすCOVID-19により、N95マスクや手袋、ガウンなどが不足している。

ペンス副大統領は建設会社に対し、ストックとして蓄えているN95マスクを地元の病院に提供し、新たなマスク注文は当面控えるよう要求した。N95マスクは0.3ミクロンの微小物質の少なくとも95%をブロックできることからその名がつけられているが、かなり不足している事態を受けての要求だ。

GM(ゼネラル・モーターズ)、Ford(フォード)、VW(フォルクスワーゲン)、Teslaなどの自動車メーカーも人工呼吸器の製造という複雑な課題に取り組み始めた。人工呼吸器もまたCOVID-19で入院している患者にとって重要な医療機器だ。この病気は肺を攻撃し、急性呼吸窮迫症候群や肺炎を引き起こす。確立された治療法がないため、患者の呼吸や闘病は人工呼吸器に頼っている。米国には16万台の人工呼吸器があり、これとは別に国家戦略備品として1万2700台があるとニューヨークタイムズ紙は報じた。

GMは20日、人工呼吸器のような呼吸ケア機器の増産をサポートするためにVentec Life Systemsと協業していると明らかにした。一方、TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は先週、人工呼吸器についてMedtronicと話し合いを持ったと述べた。Medtronicも話し合いがあったことをツイッターで明らかにしている。マスク氏はこれより前に、SpaceXとTeslaが人工呼吸器の製造に取り組むとツイートしていたが、詳細は示していなかった。

画像クレジット: Joe Raedle / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Amazon Prime Videoが子どもと家族向けコンテンツを一般ユーザーにも無料で提供

【抄訳】

新型コロナウイルス感染症の蔓延で外出禁止を指示された家族のためにAmazon(アマゾン)は、Prime Videoの子ども向け動画を無料で提供する。コンテンツはAmazonの顧客なら誰でも視聴でき、その中にはAmazonオリジナルの子ども向け家族向けコンテンツや、またパートナーの作品からライセンスされた家族向け映画も含まれる。Amazonによると、コンテンツパートナーは今後もっと増やしていく予定だという。

この無料サービスのアメリカ版では、次のようなAmazonオリジナルの作品が提供される。

  • Click, Clack, Moo: Christmas at the Farm
  • Big Diaries
  • Costume Quest(コスチューム・クエスト)
  • Creative Galaxy(クリエイティブ・ギャラクシー)
  • Danger and Eggs(デンジャー&エッグ)
  • Dangerous Book for Boys(デンジャラス・ブック)
  • Gortimer Gibbons Life on Normal Street(ゴーティマー・ギボン ~ふしぎな日常~)
  • If You Give a Mouse a Cookie(もしもネズミにクッキーをあげると)
  • Jessy and Nessy(ジェシーとネシーのなんでかな?)
  • Just Add Magic(まほうのレシピ)
  • Just Add Magic: Mystery City(まほうのレシピ ~ミステリー・シティ~)
  • Little Big Awesome(レノンとグルコ ~ふたりはサイコー!~)
  • Lost in Oz(ロスト・イン・オズ)
  • Niko and the Sword of Light(ニコ~光の剣を持つ戦士~)
  • Pete the Cat(ねこのピート)
  • Sigmund and the Sea Monster(シグムンドとシーモンスターたち)
  • The Snowy Day(雪の日)
  • The Stinky and Dirty Snow
  • The Kicks(プリティ・シュート!)
  • Tumble Leaf(タンブルリーフ)
  • Wishenpoof(ウィッシュンプーフ!)

同じく米国でのライセンスされたコンテンツは、以下のとおりとなる。

  • Arthur
  • Bali
  • Caillou
  • Daniel Tiger’s Neighborhood
  • Design Squad
  • Dinosaur Train
  • FETCH! With Ruff Ruffman
  • Kraft’s Creatures
  • Martha Speaks
  • Nature Cat
  • Odd Quad
  • Peep and the Big Wide World
  • Peg + Cat
  • Postcards from Buster
  • Reading Rainbow
  • Ready Jet Go!
  • Wild Kratts
  • WordGirl
  • WorldWorld
  • Zoboomafoo
  • Rugrats All Grown Up
  • Knight Squad

アマゾンによると、Amazonオリジナルの子どもと家族向けシリーズは全世界で無料だが、ライセンスされたコンテンツは国によって異なる。

コンテンツの多くは学齢前から小学校低学年程度の子ども向けで、最近封切られた映画や大人向けの人気作品は含まれない。しかし、仕事を家でしなければならないが子どもがうるさいという親は、テレビをベビーシッター代わりに使えるかもしれない。

これまで主に、Amazonの無料テレビ番組や映画はAmazonプライムのユーザーに限定されていたが、今回の企画はPrime会員ではないAmazonアカウントのユーザーも利用できる。無登録の人は、これを機に一般ユーザーとして登録してもいいかもしれない。

なお、新型コロナウイルスが流行している現在、Sling TV、Huluの無料テレビニュースNBCU、Disney+などがAmazonのように無料やオンデマンドでコンテンツを提供している。

アマゾンによるこの無料サービスは、パソコンのウェブブラウザでPrime Videoにアクセスするだけでなくスマートフォンやスマートテレビ、Amazonの一連のFire製品、Apple TV、ゲーム機、ChromecastなどではPrime Videoアプリをダウンロードして利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米FDAが新型コロナ検査で本人も綿棒を使えるようにガイドラインを改訂

FDA(食品医薬品局)は新型コロナウイルス検査のガイドラインを改訂した。検査を患者にとって簡単かつ不快感を少なくするとともに保護マスク、防護面、手袋、白衣などの個人防護具(PPE)の供給問題も軽減することが目的だ。

改訂の結果、被験者は検査のために自分で綿棒を使い、鼻孔の浅いところから検体を採取できるようになる。既存の手順では、専門医療従事者が鼻孔の奥深くから検体を採取する必要があった。しかしながらこの変更は、自宅での検体採取に関するFDAガイドラインを変えるものではない。自宅での検査は、FDAが先週定めたガイドラインによって現在も禁止されている。ウイルス検査のスタートアップが自宅用検査キットを配布することはできなくなっている。

被験者は認定医療機関またはドライブスルー検査機関に行く必要があり、検査を受けるためにはまずCDC(疾病予防管理センター)の審査基準を満たなくてはならない。Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領はこれについて、検査環境は最前線で働く医療従事者の安全性を高めるとともに、個人防護具資源の流出を減少させる効果もあると言っている。

ペンス副大統領はまた、すべての州および民間検査機関は、検査結果をCDCに報告することが法律で義務付けられていることを付け加えた。これまで陽性の結果のみを報告する州があり、米国における検査人数と陽性反応の人数比率が歪められていたという。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

公共スペースを自律的に監視するFluSenseシステムが病気の動向を追跡

総人口に対する有病率を正確に推定する際の障害の1つは、データのほとんどが病院からのもので、99.9%を占める病院以外の世界からのものではないことだ。FluSense(フルーセンス)は、公共スペースにおける人間の数や咳の回数を数えて保健当局に情報を提供するシステムだ。プライバシーを尊重し、自律的に動作する特徴を持つ。

もちろん、風邪やインフルエンザの季節は毎年やってくる。だが今年は深刻だ。例年のインフルエンザの季節と変わらないのは、患者数推定が病院やクリニックからの統計数値の分析に頼っている点だ。「インフルエンザ様疾患」や特定の症状を有する患者の統計については一元的に集計、分析される。一方で、多くの人が自宅にとどまったり、病気にもかかわらず通勤したりしている。そうした人々は捕捉されているのか。

こうした状況では「何がわかっていないのか」がわからないため、病気の動向に関する推定値の信頼性が低くなる。推定値はワクチンの生産や病院のスタッフ数の判断などに利用される。それだけでなく、推定値がバ​​イアスを含んでしまう可能性もある。病院に行く可能性が低く、病気でも仕事をせざるを得ない可能性が高いのはどんな人たちか。それは低所得で医療の恩恵を受けられない人々だ。

マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは、FluSenseと呼ぶ自律的システムでデータの問題を軽減しようと試みている。このシステムは公共スペースを監視し、人間を数え、咳に耳をすます。公共スペースにこのシステムをいくつか戦略的に配置すれば、広く蔓延するインフルエンザのような病気に関して多くの貴重なデータと洞察が得られる可能性がある。

Tauhidur Ra​​hman(トーヒジュール・ラーマン)氏とForsad Al Hossain(フォーサッド・アル・ホサイン)氏は、ACMジャーナルに掲載された最近の論文でこのシステムについて説明している。FluSenseの基本構成はサーモカメラ、マイク、人間と咳の音を検出するよう訓練された機械学習モデルを搭載したコンパクトなコンピューティングシステムだ。

まず明確にしておきたい点は、これは1人ひとりの顔を記録、認識するシステムではないということだ。焦点を合わせる目的で顔を検出するカメラのように、このシステムは顔と体が存在することだけを確認し、視野に入った人数情報を作成する。一方、検出された咳の数は人数、くしゃみ、発話の長さなどの数値と比較され、一種の「病気指数」すなわち1人1分あたりの咳の数の計算に利用される。

配置例(上)、FluSenseのプロトタイプのハードウェア(中)、サーモカメラからのサンプルアウトプットで、人間がアウトライン化された上でカウントされる(下)

これは確かに比較的簡単に計算できる値だが、病人が集まるクリニックの待合室のような場所でさえ、現状このような数値は手に入らない。病院のスタッフは、毎日咳の数を集計、報告するようなことはしない。このシステムはどんな種類の咳か識別するだけでなく、人がどれだけ密集しているかなどの視覚的なマーカーや、場所別の病気指数などの位置情報を提供することができる。

「FluSenseの健康監視ツールは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やSARSなどのウイルス性呼吸器疾患や、季節性インフルエンザの感染拡大予測に用途を拡張できると考えている」とラーマン氏はTechCrunchに語った。「さまざまな場所での症状の動態を理解することで、新しい感染症の重症度を把握し、社会的距離の確保(social distancing)やワクチン接種などのターゲットを絞った公衆衛生上の介入実行につなげられる」

こうしたシステムにおいて、考慮すべき明らかな重要事項としてプライバシーがある。ラーマン氏は「独自のハードウェアを開発すると決めた理由の1つはプライバシーの問題だ」と説明した。「一部の人は既に理解しているかもしれないが、我々のシステムは既存のカメラシステムに統合することができる。これは決して小さくない利点だ」。

「研究者らは現場の医療従事者と大学の倫理審査委員会から意見を聴取し、センサープラットフォームが許容可能であること、患者保護の視点とも十分整合していることを確認した」とラーマン氏は語った。「すべての関係者がためらいがあると語ったのは、患者がいる空間で高解像度視覚画像を収集することだった」。

同様に音声分類器も、人間が発した音声そのものを超えるデータを保持しないように特別に開発された。そもそも機密データを収集しなければ漏洩することもない。

当面の計画は、マサチューセッツ大学アマースト校のキャンパスの「複数の大きな公共スペース」にFluSenseを設置してデータを多様化することだ。「我々は複数の都市にまたがる試験実施のための資金も求めている」とラーマン氏は述べた。

こうした病気指数はいずれ、インフルエンザの予測に使用される他の直接的または間接的な指標と統合される可能性がある。新型コロナウイルスの管理には少し間に合わないかもしれないが、保健当局が次のインフルエンザシーズンへ向けた計画改善に非常に役立つ可能性はある。

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(翻訳:Mizoguchi

Amazon Careが新型コロナウイルス自宅検査キットの配布と回収をシアトルで試行

Amazon(アマゾン)は、自宅で使える新型コロナウイルス検査キットを配布し検体をFDA(食品医薬品局)認定検査施設に送るサービスを、ゲイツ財団が一部支援する新たな研究イニシアティブと協力して実施する。Amazon Care(アマゾン・ケア)は当初社員の健康維持目的で設置されたAmazonのヘルスケア部門だが、本プロジェクトで検査キットの配送および検体の検査機関への送付を担当する。CNBCが最初に報じた

FDAは数日前にガイドラインを変更し、新型コロナの民間機関での検査を可能にするために拡大された緊急使用許可の対象から自宅での検査を除外したが、シアトル新型コロナウイルス検査ネットワーク(SCAN)とアマゾン・ケアの提携によって実現したこの取り組みでは、郵送や宅配ネットワークといった従来の配送手段の利用を避けている。検査キットの配達と引き取りを担当するアマゾン・ケアのドライバーは、繊細な医療物資を適切に扱うための専門的な訓練を受けており、SCANは「新型コロナウイルスが大シアトル圏でどのように拡散するかを理解する」ために実施される限定的な研究プロジェクトだ。

配布される検査キットの数は限られているが、現在米国のドライブスルー検査機関で実施されている綿棒による拭き取り検査が用いられる予定だ。検体が新型コロナウイルス陽性を示した場合、医療従事者が被験者に連絡を取り、治療や伝染防止など次の行動を指示する。

SCANは、シアトル市とキング郡の公衆衛生局が連携した結果生まれたプロジェクトであり、地域内のインフルエンザ蔓延を研究するSeattle Flu Studyという類似のプロジェクトを立ち上げた病院、医療団体チームの協力も得ている。蓄積された研究やモデリングの成果は新型コロナウイルスの研究に応用され、研究者がこのパンデミックに集中する間、インフルエンザの研究は保留される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Modernaは臨床試験中の新型コロナワクチンを早ければ今秋にも医療スタッフに提供する計画

新型コロナウイルスのワクチン開発にはさまざまなハードルがあり、1年から1年半はかかるとみられていた。しかしワクチンの臨床試験を米国で最も早く開始することを発表していたModernaは、3月23日にさらに詳しい情報を発表した。これによると、同社は一部のグループ、おそらくは医療スタッフ向けに、早ければ2020年秋にもワクチンの提供を開始する計画を進めているという。

ModernaはFDA(食品医薬品局)からの緊急使用許可の利用を検討している。新しい医薬品や検査手法の臨床試験が承認されるためには複雑な手続きが必要だが、現在の緊急事態を受けて新型コロナウイルス関連の診断ツールに関しては、通常の手続きを経ないで進めることが認められている。Modernaのワクチンについてもこれに似た特例が認められるようだ。Modernaのワクチンは米国のNational Institute of Allergy and Infectious Diseases(国立アレルギー感染症研究所)と共同で開発されたもので、臨床試験段階に入る最速のワクチンとみられている。

通常のワクチンと異なり、Modernaのワクチンは新型コロナウイルスを不活性化したものではなく、ウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)を利用している。mRNA法は実際のウイルスが被験者の体内に入らないこと方法で、ワクチンからウイルスに感染してしまうリスクがない。 COVID-19に限らず、不活性化不十分による事故の可能性は、従来のウイルス自体を利用したワクチンの試験や実用のあらゆる段階で問題となり得る。

3月16日に、Modernaはワシントン州における臨床試験の最初のステップとしてボランティアグループにワクチンを提供し始めた。動物実験を行わず異例のスピードで臨床試験を開始したとはいえ、このワクチンが医薬品として一般に入手可能となるのは少なくとも1年後だと考えられていた。Modernaのワクチンが有効であり副作用もないならば、型破りなほど短期間で医療スタッフに対して限定的に利用可能になれば、最前線で働く人々の感染リスクを大いに減少させることができるだろう。

Modernaのワクチンは、COVID-19ウイルスに似ているが無害なタンパク質を投与することで人体に反応を起こさせる。これによりワクチンを投与された身体は、有害なタンパク質と実際のウイルスの撃退に効果的な抗体を生み出すようになる。他にも多数のRNAベースのワクチンや免疫療法が開発中だが、これまでのところ臨床試験段階に到達したのはModernaのみだ。がん細胞のmRNAベースの治療を専門とすModernaは、ボストンで創立されたスタートアップで2018年12月に上場している。

画像:Scott Eisen / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

米国のCDCが同国向けに新型コロナの自己チェックボット「Clara」をローンチ

米疾病管理予防センター(CDC)は先週末、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症の潜在的な症状がある場合に、どうすべきかを判断するためのボットを導入した。Claraと呼ばれるこの「新型コロナウイルスセルフチェッカー」は、CDC財団およびMicrosoft AzureHealthcare Botサービスとのパートナーシップで作成された。

新型コロナウイルスは世界保健機関(WHO)によって世界的なパンデミック(大流行)だと宣言されているが、Claraは現在、米国に滞在している人の使用を想定している。CDCによると米国時間3月22日の現在、同国では1万5200人以上が同ウイルスに感染し、200人が死亡しているという。

Microsoft(マイクロソフト)は声明の中で、風邪やインフルエンザに似た症状を持つ患者をスクリーニングし、誰が「限られた医療資源へのアクセス」を必要とするかを判断することは「危機に対処する医療システムを圧倒する脅威へのボトルネックとなる」と述べている。同社のヘルスケアボットはAI(人工知能)を使用しており、CDCがより多くの質問に回答するのを助け、医療従事者が救急治療を必要とする患者の世話をできるようにすることを意図していると、同社は表明している。

しかし、Claraは診断や治療目的での使用を意図したものではない。質問を元にユーザーに症状を説明し、治療が必要な場合には推奨事項を提供する。

マイクロソフトは声明の中でまた、同社のHealthcare Botのカスタマイズ版は現在プロバイダーにより使用されており「新型コロナウイルスの感染を懸念する一般市民からのメッセージは、毎日100万件を超えている。この数は、増大するニーズに対応して急速に増加することが予想される」と述べている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

「東京五輪は延期」をIOCのパウンド委員が認める

USA Todayのインタビューで、IOCの委員でオリンピック放送機構機構会長のDick Pound(ディック・パウンド)氏が「IOCは2020年夏の東京オリンピック延期を決定した」と述べた。IOCのカナダ代表であり初代アンチ・ドーピング機構の初代会長としても著名なパウンド氏は延期の具体的内容については明かさなかったが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりオリンピックが2021年に延期される可能性を認めた。

パウンド氏はUSA Todayにこう述べた。

「この(決定は)段階を踏む。我々はまずオリンピックを延期する。現在、スケジュールを変えることによって生じる影響すべてにどのように対処すべきか検討を始めているが、これは膨大な仕事だ。決定の詳細は(公式の発表として)4月中にも明らかにされるだろう。詳細はまだ決定されていない。しかし2020年のオリンピックは7月24日には開始されない。これは知っている」。

このインタビューは先週末、カナダとオーストラリアが20202年夏のオリンピックに選手団を送らないことを決定したことを受けたものだ。日本時間3月23日に日本の安倍晋三首相が、東京オリンピック延期の可能性を認めたところだ。完全な中止は主催国に甚大な経済的逆風となるため「到底採用できない」と安倍首相は付け加えた。オリンピックは世界のスポーツ界で最も権威ある大会であるだけでなく、ホスト国に巨大な経済的影響を与える。

IOCの広報担当者はこれまで「あらゆるオプションを検討中だ」という以発表を繰り返してきた。新型コロナウイルス流行の状況が今夏にどうなっているかを正確に予測することはもとより不可能だが、パンデミックが社会、経済のあらゆる側面に大きな影響を与え始めたため、オリンピックがこの夏予定どおりに開催される可能性はますます低くなっているようだ。

画像: KAZUHIRO NOGI/AFP / Getty Images

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[翻訳:滑川海彦@Facebook]

アマゾン、アップル、マイクロソフト、新型コロナウイルス対策への3社三様の取り組み

IT業界は、かなりのリソースを投入して、拡大を続ける新型コロナウイルスの世界的な大流行に対する取り組みをサポートしている。先週末、アマゾン、アップル、マイクロソフトの各CEOは、それぞれの会社の継続的な貢献について、さまざまな方面におよぶ最新状況を公開した。そこには、最前線の医療従事者に向けて医療用品や個人用保護具(PPE)を寄付することから、感染の世界的な広がりを追跡し分析することを支援するソフトウェアプロジェクトなどが含まれている。

画像クレジット:Simon Dawson/Bloomberg、Jason Alden/Bloomberg、MANDEL NGAN/AFP/Getty Images

アップルCEOのTim Cook(ティム・クック)氏はTwitterで、同社は米国とヨーロッパの両方で、医療従事者が必要としている必需品の調達を試みており、そのために「数百万枚のマスク」に参加していることを明らかにした。またアップルは、以前のリリースに関してもアップデートして詳細も説明した。その中には、1500万ドル(約16億6000万円)の寄付に加えて、すべての従業員の寄付に対して2対1のマッチングで寄付額を上乗せすることも発表した。いずれも新型コロナウイルス対策として使われる。

アマゾンの創立者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、米国時間3月21日に同社の公式ブログを更新し、アマゾンの倉庫と物流業務における優先順位の変更に関する詳細を説明した。現在では、日常の家庭用の食料、ベビー用品や医療用品、といった必需品を優先的に処理するようにした。またベゾス氏は、10万人を新たに雇用するとともに、フルフィルメント労働者の時給を上げるという同社の約束を改めて確認している。

ベゾス氏によれば、同社は「数百万枚のマスクを発注しました」という。それらは、自宅作業ができない正社員や契約社員に配られることになるが、世界的な供給不足により「まだほんのわずかしか納品されていません」ということだ。さらに同氏は、そうした製品は、まず最初に最前線の医療従事者に届けられることになり、同社の従業員に対しては、納品されしだい、優先順位に従って供給されると説明している。

マイクロソフトCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、米国時間3月21日にLinkedInに、同社のさまざまな取り組みについて長い説明を投稿した。そこでは、同氏がマイクロソフトの全従業員に送信したメールの内容も公開している。ナデラ氏は、同社の遠隔医療のためのソフトウェアプラットフォームについて触れ、ジョン・ホプキンス大学(John Hopkins University)の世界的な新型コロナウイルス感染状況トラッカーなど、いくつかの共同データプロジェクトについても説明している。CDC(Centers for Disease Control and Prevention、米疾病対策センター)も、マイクロソフトの医療チャットボット技術を基盤フレームワークとして利用した、チャットボットによる新型コロナウイルス判定ツールをリリースした。

またマイクロソフトは、Microsoft TeamsとMinecraftが、世界中の学校の閉鎖を補うために設計された、リモート学習の新たな取り組みに利用されていることを確認している。さらに世界的な研究活動をサポートするため、機械学習とビッグデータのプロジェクトにも取り組んでいることも報告している。今週のはじめ、マイクロソフトの最高科学責任者、Eric Horvitz(エリック・ホービッツ)氏は、世界中の学術機関と共同で、オープンな研究データセットを提供すると発表した。これには、ホワイトハウスの科学技術政策局や、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブも一枚噛んでいる。この、COVID-19 Open Research Data Setと呼ばれるデータセットには、同ウイルスに関する2万9000件を超える学術論文が含まれており、新たなものが公開されれば、逐次追加されることになっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)