「東京五輪は延期」をIOCのパウンド委員が認める

USA Todayのインタビューで、IOCの委員でオリンピック放送機構機構会長のDick Pound(ディック・パウンド)氏が「IOCは2020年夏の東京オリンピック延期を決定した」と述べた。IOCのカナダ代表であり初代アンチ・ドーピング機構の初代会長としても著名なパウンド氏は延期の具体的内容については明かさなかったが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりオリンピックが2021年に延期される可能性を認めた。

パウンド氏はUSA Todayにこう述べた。

「この(決定は)段階を踏む。我々はまずオリンピックを延期する。現在、スケジュールを変えることによって生じる影響すべてにどのように対処すべきか検討を始めているが、これは膨大な仕事だ。決定の詳細は(公式の発表として)4月中にも明らかにされるだろう。詳細はまだ決定されていない。しかし2020年のオリンピックは7月24日には開始されない。これは知っている」。

このインタビューは先週末、カナダとオーストラリアが20202年夏のオリンピックに選手団を送らないことを決定したことを受けたものだ。日本時間3月23日に日本の安倍晋三首相が、東京オリンピック延期の可能性を認めたところだ。完全な中止は主催国に甚大な経済的逆風となるため「到底採用できない」と安倍首相は付け加えた。オリンピックは世界のスポーツ界で最も権威ある大会であるだけでなく、ホスト国に巨大な経済的影響を与える。

IOCの広報担当者はこれまで「あらゆるオプションを検討中だ」という以発表を繰り返してきた。新型コロナウイルス流行の状況が今夏にどうなっているかを正確に予測することはもとより不可能だが、パンデミックが社会、経済のあらゆる側面に大きな影響を与え始めたため、オリンピックがこの夏予定どおりに開催される可能性はますます低くなっているようだ。

画像: KAZUHIRO NOGI/AFP / Getty Images

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[翻訳:滑川海彦@Facebook]

トヨタがオリンピック向け新モビリティシステム「APM」を発表

2020年の東京オリンピック、パラリンピックではさまざまな競技に何十万もの人々が集中することが予想されている。東京の交通インフラは厳しい試練にさらされることになる。トヨタ自動車は競技を観戦するために都市内を移動する大勢の人々にどのような手段をすべきかという難問に解を与えようと努力中だ。

先週、トヨタは東京オリンピックに向けて、APM(アクセセシブル・ピープル・ムーバー)と呼ばれる交通システムを作る計画を明らかにした。トヨタによればAPMの目的は、あらゆる人々にモビリティを提供することにあるという。高齢者、ハンディキャップのある人々、妊婦、子供連れに家族などこれまで公共交通機関を利用しにくかった層にも容易に利用できる交通手段を提供し、いわゆるいわゆる「ラストワンマイル」問題を解決することが目的だ。

トヨタではオリンピック施設を中心に200台のAPMでネットワークを構築する計画。これには通常の移動手段となる「基本モデル」と体調不良となった人々むけの「救護モデル」が準備される。基本モデルはバッテリー駆動の比較的低速な電気自動車だ。乗客は観衆と競技スタッフを対象としており、競技施設周辺での比較的短距離の移動を目的とする。乗車定員はドライバーを含めて6名だ。乗客が車椅子を利用している場合はシートを畳むなどして座席配置を変え、2列目が利用できるようにする。

 

「救護モデル」は救急車に近く、熱中症で倒れるなどした人々を搬送することを念頭に置いている。座席を取り払ってストレッチャー2台を置くスペースを作ることができる。

これらAPM車両はトヨタが2020年のオリンピック向けに準備しているさまざまな新しいモビリティ・システムや一例に過ぎない。トヨタは介助ロボットe-Palette車両などが含まれる。e-Palletteは人やモノの輸送だけでなく、構成要素を柔軟に組み換えることによって物販など多目的に活用できるMaaS(モビリティアズアサービス)を目指している。

 

この他トヨタでは2017年にタクシー用車両の新型モデル、JPN Taxiの販売を開始している。これは従来のセダン型とは異なる1.5ボックス・デザインで車椅子が利用できるのが特長だ。Toyota i-ROADは立ち乗り専用の前2輪、後ろ1輪のユニークなデザインの三輪車だ。これは警備や案内などのオリンピックのスタッフをターゲットしているという。

トヨタでは東京の湾岸や羽田空港周辺など、道路の整備状態が良好な地域で自動運転車の実証実験を行う予定だ。またTOYOTA Concept-iでは人工知能を利用して人間を認識し対話が可能な自動車もテストされる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

トヨタとパナソニックが東京五輪に提供する介助ロボットをデモ

2020年東京で夏のオリンピックとパラリンピックが開催される。日本の大企業の多くはこのチャンスをとらえて最新のテクノロジーをデモしたい考えだ。中でも観客のモビリティを改善するロボディクスに注目が集まっている。

今週開催されたプレスカンファレンス「東京2020ロボットプロジェクト」で、こうしたテクノロジーの一部が公開された。日本や他の国で高齢化が大きな課題となっているが、こうしたロボディクスは自力で移動することが困難な人々を助けることを目的としている。

副事務総長の古宮正章氏はイベントで「ロボットは人間を圧迫する存在ではない。ロボットは人間と有効的な関係を築き、協力する存在であるべきだ。これがわれわれが考えるロボットの未来だ」と述べた。

このイベントの主要スポンサーとなっているトヨタは、人間を介助するロボットの開発を以前から続けてきたことで知られている。今回発表されたのは観衆の移動を容易にする介助ロボット16種類だった。共同スポンサーのパナソニックは20種類の運搬ロボットを披露した。これには装着者が大重量を運搬することを可能にする外骨格装置が含まれている。

世界のメディアの注目が集まるオリンピックはこうしたテクノロジーをデモするのに理想的な場だ。今回発表されたテクノロジーはロボティクスの中でも普段はさほど注目されない地味な部分だけに、こうしたチャンスを利用することには大きな意味がある。日々の生活で切実に助けを必要としている人々の役に立つようなロボティクスが本当に役立つテクノロジーというべきだろう。

画像:KAZUHIRO NOGI

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(翻訳:滑川海彦@Facebook