イーロン・マスクがスペースXで開発する宇宙船の詳細を発表、耐用年数は民間航空機並み

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は現在、Starshipにかなり熱を上げているようだ。テキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設で現在開発中の軌道打ち上げを目指す宇宙船、Starshipのプロトタイプ「SN1」の進捗状況がわかる写真を公開している。米国時間1月16日の夜には、マスク氏はTwitterにおける一連の質問に対してStarshipの詳細と火星にコロニーを建設するというマスク氏の目標を達成するために、Starshipが担う役割について語った。

マスク氏は以前にもその一部について発言しているが、人類が火星での居住を確立し維持するために、Starshipが年間何メガトンもの積み荷を何度も火星へと送り届ける必要があると繰り返した。同氏によると、Starshipは平均して1日に3回の打ち上げられ、1回の飛行で100トン以上の積み荷を運ぶ。そして1機あたり年間1000回以上打ち上げられる計画だという。

最終的には年間100機のStarshipsを建造し、今後10年間で合計1000機のStarshipsを製造したいとマスク氏は言う。これによりStarshipsは年間100メガトンもの積み荷の運搬が可能になり、乗客なら約10万人を地球と火星が最も近づいた際に送ることができる。公転の関係で地球と火星は約2年に1度、最接近する。

マスク氏は別の質問に対して、実現にはStarshipを地球上空の軌道に乗せ、出発する前に宇宙空間で燃料を補給する必要があると答えている。そして26カ月に1度、約1000機の宇宙船が30日間の火星への輸送を行う。地球から火星に行くには、地球大気圏から脱出するために軌道上での燃料補給が必要となるが、火星からの打ち上げは同様ではないと、マスク氏は指摘する。

別のツイートへのマスク氏の返答によれば、SpaceXの最終的な目標は2050年までに100万人を火星に送ることだという。さらにその費用を十分に下げることで、「お金がなくてもローンで、誰でも行くことができる」ようにするという。またマスク氏は、将来の入植者には「火星ではたくさんの仕事があるだろう」と述べた。

マスク氏がSpaceX事業のあらゆる段階で強調してきたように、Starshipはシステムの再利用性が重要となる。宇宙船の耐用年数は20年〜30年程度を目標としており、これは現在の民間航空機と同様だと同氏は述べた。同社が上記の計画を経済的に実現可能にするためには、これに近い必要なやり方で行う必要がある。

現在、テキサスの施設で新しいStarshipのプロトタイプが開発中だ。SpaceXはすでに、Starship向けの新エンジンをテストするために、ノーズコーンのないサブスケールのデモモデルを開発しており、制御状態での低高度飛行に成功している。当初、同社は高高度におけるテスト飛行に使用する大型のプロトタイプを製作したが、初期の圧力テストに失敗。現在は設計を刷新し、改良された第3バージョンに移行しており、2020年の軌道飛行テストに使用される予定だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

OCR技術を提供するオーストリアのAnylineが約13億円を調達し米国進出

オーストリアのウィーンを拠点とし、ウェブサイトやアプリにOCR機能を組み込む開発者向け技術を提供するAnylineが、シリーズAで1200万ドル(約13億2000万円)を調達した。同社は米国進出の計画も明らかにした。

このラウンドを主導したのはベルリンを拠点とするVCファームのProject Aで、これまでもAnyline投資してきたJohann ‘Hansi’ Hansmann(ヨハン・ハンシ・ハンスマン)氏、Senovo、Gernot Langes-Swarovski Foundationも参加した。

Anylineは2013年に設立された。同社によれば大手のテクノロジーベンダーがまだ提供していない専門的なOCRソリューションを提供しているという。それにより同社はキヤノン、ポルシェ、ドイツ電力大手のE.ON、各国政府や国連といった国際的なクライアントを抱えている。

AnylineのOCR機能は最新のウェブサイトやアプリに組み込むことが可能だ。企業はこの機能を使って、一般的なモバイルデバイスで身分証明書、シリアル番号、公共料金のメーターといったさまざまな「アナログ」情報をスキャンし、収集できるようになる。

こうしたアプローチの利点は言うまでもない。実用的なOCR技術の活用で、企業はミスが発生しがちなデータの手入力をなくし、時間とリソースを大幅に節約できる。

顧客側も、OCRでデビットカードをアプリに追加したり検針結果を送信できれば、何桁もある数字をスマートフォンで手入力するよりずっと楽だ。

Anylineは、新たな資金は主に従業員数を2倍にし、2020年前半に初の米国本社をボストンに開設するために使う予定だという。これにより、モバイルOCRソリューションを海外の新たなマーケットやスマートマニュファクチャリング、本人確認サービス、フィンテックといった新しい業界に広げていくことができると同社はいう。

AnylineのCEOで共同創業者のLukas Kinigadner(ルーカス・キニガードナー)氏は発表の中で次のように述べている。「企業がますますバーチャルの世界に移行していく中で、これまではアナログだったメディアをデジタル化する高度なテクノロジーの利用は不可欠だ。世界中の企業で、手入力によるエラーと非効率な作業とフラストレーションをなくすためにヨーロッパ生まれのテクノロジーが力になっていることを、我々は誇りに思う。AnylineはモバイルOCRのマーケットリーダーとして、こうした課題に取り組むべき企業のテクノロジーパートナーになるつもりだ」。

米国進出に関しては、同社はAnyline Inc.を設立し、Cognex Corporationのグローバルセールス責任者だったBryan Boatner(ブライアン・ボートナー)氏をセールスおよび事業開発担当バイスプレジデントとして迎えた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Orbexによる2022年の打ち上げミッションの顧客確保を、SpaceXにも協力するTriSeptが担当

宇宙開発スタートアップのOrbex(オーベックス)が、商用と公共事業の両方を対象とするロケット打ち上げサービス「Prime」の顧客を獲得した。2022年中に打ち上げ予定になっているこのOrbex、Primeロケットにおけるすべてのライドシェアの予約をTriSeptが担当した。

Orbexはロケットの製造プロセスを迅速化させつつ、コストを抑えるために、3Dプリンティング技術を採用している。イギリスに拠点を置く同社は、スコットランド高地のサザーランドで新しいスペースポートの最終的な承認獲得と、その建設に取り組んでいる。完成すれば、このスペースポートは、ヨーロッパ本土初のロケット発射施設となる。

TriSeptはロケットペイロードの統合だけでなく、打ち上げの管理と仲介サービスも提供しており、アメリカの宇宙市場において数年の実績がある。また、2020年後半にサザーランドのスペースポートが開設する前に、イギリス・オックスフォードのHarwell Space Campusにも常駐拠点を設ける予定だ。

ヨーロッパ企業であるOrbexにとって、初のアメリカ拠点の顧客という意味で、これは重要な取引となる。TriSeptはSpaceXやRocket Labと密接に協力し、過去にライドシェアミッションを提供してきた経緯があり、前述2社の事業運営の成功を再現しようとしているOrbexにとっては、TriSeptは望ましいパートナーだ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Spotifyにペット向けプレイリスト追加、ただしウサギ用なし

音楽は、人類がこれまでに生み出した最高のものだ。Spotifyにペット向けのプレイリストが追加された。

ペット向けにキュレートされたプレイリストは、基本的にユーザーの好みに基づきながら、動物の気分も考慮したものだ。その対象には犬や猫、イグアナ、鳥、ハムスターが含まれる。ただし、ウサギはない。

 

 

ちなみに、この写真は米TechCruch記者が飼育する、愛しいルーシーだ。ルーシーはクラシックピアノとジャズが好きだ。しかし、彼女向けのプレイリストは(まだ)存在しない。

 

 

それに、魚向けのプレイリストも存在していない。まぁ、水中スピーカーでもない限り、彼らに音楽を聞かせることは難しいだろう。

それにしても、なぜウサギ向けのプレイリストがないのだろう。Apple Musicの中の人がこの見落としについて、なんらかのアクションを起こしてくれることを期待している。

我々は、Spotifyに対してウサギ向けのプレイリストを追加する用意があるのかどうかを、問い合わせている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ハードウェアスタートアップがクラファンで音楽制作に新鮮な息吹を吹き込む

私は音楽が大好きだ。真面目な話、それはこの寒々しく孤独な世界に慰めをもたらす、数少ないものの一つなのだ。ジョニ・ミッチェル、ウィリアム・オニーバー、それともパブロ・カザルスについてもっと詳しく知りたくならないだろうか?私は本気だ。なにしろ、TechCrunchに来る前には、何年も複数のレコード店で働いていたのだ。その意味で、私はいつもそちら側の人間だ。しかし、私はこの先、ミュージシャンやその他のプロフェッショナルの類になろうとは決して思わない。

現時点で私は、そのように人生の決断を下している。私がプロ野球選手になることが決してないのと同様に、ロックスターになることも決してない。どちらも私の中ではケリのついた事柄だ。トロンボーンを吹いていた中学の2年間や、ギターを習得しようとしていた15年間に戻る必要はないのだ。まあ要するに、私はどちらにもまったく適性がなかったのだと思ってほしい。

音楽を作りたいという欲求がないからというわけではない。それは率直に言えば単なる才能の欠如なのだ。そしてまさにこの理由で、私は新しい音楽機器に興味津々なのだ。音楽の基本的なスキルに欠ける人たち向けに、音楽制作の真の可能性を開くことができるスタートアップには、膨大なお金を稼ぐ機会が待っている。

こうした理由から、私はずっとRoli(ロリ)に興味を持ってきた。数年前にSeaboardがSXSWでデビューしたときには、私は真っ先にそれを取り上げた1人だ。それは魅力的な楽器で、柔らかい素材のおかげでスラーを自然に行うことができる。だがそれをマスターするためには、実際にはどのような音楽をやる場合でも、ある程度ピアノの演奏力が必要とされているのだ。数年前に発表された同社のモジュラーブロックシステムはさらに魅力的だったが、(そうした楽器を弾けない層の)かゆいところに手が届くというわけにはいかなかった。

さて先週のCESでKickstarterの素敵な人たちが、私の希望をある程度叶えてくれそうな3社のクラウドファンディング企業の創業者を紹介してくれた。フランスのスタートアップJoué(ジョウエ)は、会社名と同じモジュラーMIDIコントローラーで、今年のCESピッチオフの最優秀賞を獲得した。

このデバイスは以前取り上げたことのあるSensel Morphと同様の原理で動作し、タッチサーフェスの上にシリコンスキンを重ねて、さまざまなコントローラーを提供する。Jouéの取り組みは、これまでのSenselよりもさらに音楽を中心としたものだ。ところで、ショーにおけるSenselとの会話から想像すると、どうやら同社はこれまでのデバイスへの注力をやめて、サードパーティのデバイスに組み込むための魅力的なタッチコンポーネントへと舵を切ったようだ。

簡単なデモからもわかるように、彼らのKickstarterプロジェクトは印象的なものだ。これは非常に汎用的で、システムに全く異なる聴覚特性を与えるためには、単に新しいスキンとサウンドパックを用意すれば良いだけだ。また、カスタマイズされたサウンドパックの可能性についても同社は口にしていた。JouéはNWAの創設者であるArabian Prince(アラビアン・プリンス)氏によるパフォーマンスを、期間中ずっとブースで見せ続けていた。CESには奇妙な取り合わせだが、このような製品が引き寄せることができるかもしれないアーティストの興味深いサンプルになっている。 当然ミュージシャンたちは、カスタマイズされたパッドに興味を示しているようだ。

Rhythmo

しかし、同社はこの製品を初心者向けに最適なものとして位置付けているようだが、ここにはそれなりに急な学習曲線が待ち構えていると私個人は感じている。この学習曲線は、Rhythmoの場合にはある程度軽減されているようだ。オースティンに拠点を置くこのスタートアップのプロジェクトは、音楽制作とメイカーワールド(DIY)へのガイドを組み合わせたものだ。

これは、段ボール箱を使って作成するMIDIコントローラードラムキットである。すべての部品が含まれており、それらを組み合わせることが楽器製作作業にうまくつながっている。創業者のEthan Jin(イーサン・ジン)氏は、CESフロアでの実演用に組み立てられたモデルを私に触らせてくれた。このデモはさまざまな理由で多少不具合があったものの、楽しむことができた。キットには、さまざまなサウンドにマッピングできる大きなアーケードゲーム用のボタンが含まれてる。Rhythmoアプリを使用したり、iPadやデスクトップ上で選択した音楽ソフトウェアとインターフェイスさせたりすることができる。それはこの世界への楽しい入門となる。

Orba

さて、そうした中で、おそらくArtiphonが、私のわがままな要求を満たしてくれるものに最も近いと思われた。同社は大成功を収めたKickstarterプロジェクトであるInstrument 1でよく知られている。ギター、バイオリン、ピアノ、そしてドラムマシンのすべてを1台のデバイスで提供することを約束して、130万ドル(約1億4000万円)という途方もない金額を調達した。

しかし、今回の新製品のOrbaは、本当に私の目を釘付けにした。アイスホッケーのパック型をしたデバイスは、立ち上げて使う際に音楽的知識をほとんど必要としない、ポケットシンセサイザー、ルーパー、MIDIコントローラーだ。創業者のMike Butera(マイク・ブテラ)氏と話した後、私はそれを、非常に基本的なレベルでは一種の音楽的ハンドスピナーだと思うようになった。ちなみに今回は140万ドル(約1億5000万円)を調達している。

Instrument 1

言い換えれば、アパートの部屋を歩き周りつつ、執筆中のCESのクラウドファンディング音楽プロジェクト記事の見出しを考えながら、ぼんやりと音楽を作れる位単純なものだということだ。なお、決してわたしの日頃の行動を反映していない。純粋に仮定的な例だが。

3つのうちで、私の音楽的「かゆみ」に手を伸ばすには、これがもっともふさわしいものだった。

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(翻訳:sako)

サーバーレス開発モニタリングのEpsagonが17億円超を調達

イスラエルのEpsagonは(エプサゴン)、サーバーレスやコンテナなどのモダンな開発環境のモニタリングを助ける。同社はこのほど1600万ドル(約17億6200万円)のシリーズA調達を発表した。

同社にとって新しい投資家であるU.S. Venture Partners(USVP)が、このラウンドをリードした。また、これまでの投資家であるLightspeed Venture PartnersとStageOne Venturesも参加した。同社によると、これで調達総額は2000万ドル(約22億円)になる。

CEOで創業者のNitzan Shapira(ニッツァン・シャピラ)氏によると、同社は昨年プロダクトを拡張して、同社のルーツであるサーバーレス以外にも手を広げたが、同時にまた、さまざまな形のモダンな開発への深いインサイトを提供している。

シャピラ氏は「5月にEpsagonのマイクロサービスのためのプラットホームをクラウドに立ち上げたときお話したように、それにはコンテナやサーバーレスなど、マイクロサービスのアプリケーションを作るためのありとあらゆるワークロードが含まれている。さらにその後も、かなりの数の重要な発表を行なった」と語る。

最初に同社が発表したのはKubernetesのワークロードのトレーシングとメトリックスで、それにはネイティブのKubernetesのほかに、AWS EKSやGoogle GKEのようなマネージドKubernetesサービスも含まれている。シャピラ氏によると「数カ月前に、Kubernetesの統合を発表した。だからKubernetesのワークロードがあるところならワンクリックでEpsagonと統合でき、すぐにすべてのメトリックスを得られる。トレーシングのセットアップも数分でできる。これによって弊社のプロダクトには、極めて多数のユースケースが開けたことになる」とのこと。

同社はさらに、Amazonのクラウド上で使えるノーコードプログラミングツールであるAWS AppSyncのサポートも発表した。「AppSyncにトレーシングを導入したモニタリングプロバイダーはうちが唯一だが、しかしノーコードプログラミングは多くの人たちがモニタリングやトラブルシューティングで苦戦している分野なのだ」と同氏は語る。

「今回の資金でプロダクトをさらに拡張し、特にMicrosoft AzureとGoogle Cloud Platformのサポートを充実させたい。手作業で構成している一部のタスクの自動化を拡張したい」」とシャピラ氏。「プロダクトはできるかぎり最大限自動化したい。そうすればユーザーは、わずか数分ですごい体験を得られる。それらは、より高度なモニタリングや、さまざまな問題の検出とトラブルシューティングなどだ」と続けた。シャピラ氏によると、今の社員数はだいたい25名だが、年内に倍増したいそうだ。

関連記事:サーバーレスをモニタするEpsagonがAWS Lambdaオンリーを脱して多極化

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Chromeブラウザに統合メディアコントロール機能が加わる

Google(グーグル)のChromeブラウザに搭載された統合メディアコントロール機能は、1つのウィジェットから現在のタブにあるすべてのオーディオとビデオソースをコントロールできる。この機能を使えば、お気に入りのウェブベースの音楽ストリーミングサービスで次の曲に移動したり、バックグラウンドで再生されているYouTubeビデオを開始/停止したり、タブを探さなくても複数のタブで再生されているメディアを切り替えたりできる。革新的な機能ではないが、たしかに便利だ。

この統合メディアコントロール機能は、昨年からChromebookユーザーに対して有効になっていたが、現在はデスクトップのプラットフォームを問わず、すべてのChromeユーザーに正式機能として提供されている。

この機能は多くのメディアで動作するようだが、確認した限りではYouTubeやYouTube Musicのようなグーグルのサービスでは、サムネイルつきのより広範囲なコントロールオプションが表示され、一方でSpotify(スポティファイ)の場合は戻る、次の曲にスキップ、一時停止の3つのコントロールしか表示されなかった。

統合メディアコントロールを利用するには、どれかのタブでメディアを再生し、アドレスバーの右側にポップアップ表示される、新しいアイコンをクリックするだけでいい。

1月16日にプレビュー版が公開された、Microsoft(マイクロソフト)の新しいChromiumベースのEdgeブラウザは、プレリリース版から引き続きメディアコントロール機能を備えているが、まだ安定版はリリースされていない。Firefoxブラウザは現在、同様の機能は搭載されていない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

昆虫食スタートアップのエリーが東京・表参道に蚕バーガー店をオープン

エリーは1月17日、絹(シルク)の原料となるカイコ(蚕)の幼虫を原料にした「シルクフード」の販売店「シルクフードラボ」を、東京・表参道に1月20日から期間限定でオープンすることを明らかにした。

同社は2025年〜2030年ごろに到来するといわれているタンパク質危機を回避するために、カイコの食品化に注目。タンパク質危機とは、世界的な経済発展によって平均所得が向上し、動物性食品を摂取する人口が増えることで、需要と供給のバランスが崩れることを指す。

海外ではImpossible FoodsやBeyond Meatが大豆など植物由来の原料を使った代替肉が登場しているほか、国内でもBugMoが原料の一部にコオロギを使ったスナックバーなど販売している。さらには、藻の一種であるスピルリナの食用化の研究も進んでいる。

エリーではカイコを加工することで、ハンバーガー、スープ、スナック、ケーキなどをはじめ、主食、副菜、デザート、飲料など最終的には10種類弱のメニュー展開を予定している。単なる代用食ではなく味も追求しており、プロのシェフに意見を求めコクや甘みなどにもこだわっているという。シルクフードラボで提供されるのは以下のメニューとなる。

シルクバーガー

価格:単品1100円、セット1500円(スープ/ポテト/ドリンクから選択)
シルクフードの特徴である深いコクと甘みを生かして開発。同社によると、もう一度食べたくなるような余韻も感じられるという。

シルクスナック

価格:600円
シルクフードの香ばしさを生かしたメニュー。シーズニングに独自ソルトを使用し、風味を存分に引き立てている。

シルクスープ

価格:単品650円(パスタ入り)
シルクフードにミネストローネに加えることで旨味が加わってコクを感じられるとのこと。

シルクシフォンケーキ

価格:500円(カット)
シルクフードのナッツのような風味を味わえる。ホイップクリームとミントとの相性が抜群とのこと。

カイコと聞くと少しびっくりしてしまうが、同社は伊藤忠商事や稲畑産業、キリン、大正製薬などのアクセラレータプログラムへの出場経験があるほか、東大IPCの起業支援プログラムにも採択されている。またシルクフードについては、京都大学と共同研究しているほか、京都大学GAPファンドプログラムから研究費を調達。さらには蚕糸絹に関する科学技術の研究や発明、応用についての助成を受けられる、貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成も受けている。そのほか、京都大学イノベーション事業化プログラム最優秀賞を受賞している。

AR謎解きゲーム「PSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザード」が1月21日より開催

プレティア・テクノロジーズとフジテレビジョンが共同開発したAR謎解きゲームの「PSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザード」が1月21日から6月30日まで開催される。現在予約受付中だ。

2019年7月に資金調達を発表した際に「大型IPとの連動企画や全国展開」を目指していると説明していたプレティア・テクノロジーズ。同社は2020年、最高な形でスタートを切った。

同社は以前より同じAR謎解きゲームである「サラと謎のハッカークラブ」シリーズを展開しているが、他社のIPを扱うのはこれが初めてだ。

プレティア・テクノロジーズ代表取締役CEOの牛尾湧氏は「サイコパスという作品は、AR技術のバイブルのような存在。『このような形で世の中に実装されていくんだ』というのを示している。IPと我々のテクノロジーの相性は非常に良かった」と話す。

AR謎解きゲームでは、プレイヤーはスマホを使い、主人公として登場する仲間たちと協力しながら、実際の街を歩き、謎を解いていく。

PSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザードでは、舞台は実際の渋谷の街。監視官候補生となり、チャット機能で狡噛慎也や常守朱などの登場人物たちと連携を取りながら、ゲームを進めていく。

サラと謎のハッカークラブの第2弾をプレイした際には、謎解きゲーム初心者としては少し難易度が高く感じられた。だが、今回のPSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザードに関しては、普段謎解きゲームをプレイしない人でもクリアできる程度に、常守朱よりヒントが与えられるので安心だった。

監視官候補生として登場人物と謎を解いたり、ARでドミネーターを撃ったりすることができるのは、作品のファンにとってはたまらない。ネタバレになるので多くは語れないが、AR技術を駆使した謎解きが展開されている点も要注目だ。プレイ時間も90から120分となっており、映画を観にいくような感覚で、気軽に遊びに行ける。

PSYCHO-PASS サイコパス 渋谷サイコハザードの価格は平日は2900円、土日祝は3400円。ストーリーは以下のとおりだ。

211X年、シビュラシステム運用下にある東京のS区でガス兵器による事件が発生したとの情報が入った。公安局刑事課一係に配属された監視官候補生(プレイヤー)は、狡噛・常守とともに犯行現場へ向かう。謎を解き明かして、隠された真実を知ったとき、監視官候補生の下す「正義」とはー。

Alphabetが初の時価総額1兆ドル超え、投資家はサンダー・ピチャイがお気に入り

米国時間1月16日の午後、Alphabet(アルファベット)は、ごく限られたメンバーしか入れない「トリリオンダラー(1兆ドル、約110兆円)クラブ」に4番目のIT企業として加わった。既存メンバーのApple(アップル)は、2018年8月に時価総額1兆ドルを初めて超えた。後にAmazon(アマゾン)が2018年9月に1兆ドルを記録したが、現在は9310億ドルに下がっている。2019年8月以来のメンバーであるMicrosoft(マイクロソフト)の時価総額は現在1兆2700億ドル(約140兆円)だ。

サウジアラビアの国有石油会社であるSaudi Aramco(サウジアラムコ)は先月上場し、現在時価総額は1兆1900億ドル(約131兆1500億円)。

Alphabetが次にランキング入りするIT巨人となったことに驚きはない。22歳になったこの会社は、創業2年目以来驚くべき成長を遂げ、2004年に上場してから爆発的に株価を上げてきた。それでも、現在の発展と昨年12月に創業者のLarry Page(ラリー・ページ)氏とServey Brin(サーゲイ・ブリン)氏がSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に日常業務を引き継いだことと分けては考えることは難しい。ピチャイ氏はAlphabetが持株会社になった2015年以来、傘下のGoogleでCEOを務めている。

好調の理由として1つ挙げられるのは、ピチャイ氏の報酬が会社の業績に直結していることを、投資家たちが気に入っているらしいことだ。先月のSEC提出書類によると、現在はGoogleとAlphabet両方のCEOを務める同氏は、年間200万ドル(約2億2000万円)の給料を受け取っているが、もっと多く、少なくとも1億5000万ドル(約165億円)を稼ぐチャンスがある。今年と来年と2022年に会社が一定の業績を上げることが条件だ。

アナリストらは、トップの交代によってAlphabetの投資家への財務報告が透明になることにも期待している。実際、多くの子会社(YouTubeから自動運転車のWaymoまで)をもちながら、Alphabetは数々の賭けの状況を曖昧にしか説明していないことで不評を買っている。

それだけではない。Alphabetが大規模な株式買い戻しを認める期待が高まっているほか、Pichai氏のボーナスの大部分が株価の実績と連動していることから、初めての配当支払いが行われるかもしれない。

もちろん、現状に至るまでの大きなトレンドがある。

Alphabetは、現在進行中の世界の広告とマーケティング支出のシフトから最大の恩恵を長年受け続けており、市場の支配力は高まるばかりだ。米国時間1月14日に傘下のGoogleは、ブラウザーのChormeでサードパーティー製Cookieのサポートを2年以内に打ち切る計画を発表した。これは我慢を重ねてきた残りのオンライン広告業界にとって死の宣告になるかもしれない。

一方、子会社に関してはWaymo(ウェイモ)の進捗が期待を下回っているなど課題はあるものの、2006年のYouTube買収は、インターネットの歴史上最も賢明で最も金になった買い物だったことが証明されている。

ともあれ、WSJによると、Alphabetは時価総額8000億ドルから9000億ドルに伸ばすのに2年近くを要した。それに対して、9000億ドルから1兆ドルへのジャンプには数カ月しかかかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

巨大カタパルトでロケット不要の打ち上げを追究するSpinLaunchが約40億円を調達

宇宙船の打ち上げ技術を突飛なアイデアで180度逆転させたいと願うSpinLaunch(スピンローンチ)がシリーズBで3500万ドル(約38億5800万円)を調達し、今後もその探究を続けていくことになった。その動力学的打ち上げシステムはまだデモ以前の段階だが、今年はそれが変わると同社は言っている。

TechCrunchがSpinLaunchの野心的な計画を最初に報じたのは2018年で、同社が最初の3500万ドルを調達したときだ。その前の1000万ドルと今回の3500万ドルを合わせると、同社の調達総額は8000万ドルになる。これだけの資金があれば、宇宙船打ち上げ用カタパルトを実際に作れたかもしれない。

関連記事:宇宙スタートアップのSpinLaunchが3000万ドル調達へ、リング状カタパルトで衛星打ち上げを目指す

SpinLaunchの基本的な考え方は、「回転加速方式」により、ロケットをまったく使わずに宇宙船を脱出速度まで加速し、大気圏の外へ放り出すというものだ。同社はそれ以上の詳細をまったく語ろうとしないが、想像では、螺旋状にカールした巨大なレールガンから宇宙船などの搭載物が時速数千マイルで大気圏に突入するというものだ。その際、天候はいっさい影響しない。

当然ながら、この方法には反論が山ほどある。いちばんわかりやすいのは、「真空のチューブからそんな速度で大気圏へ射出するのは、ペイロードをレンガの壁にぶち当てるようなものだ」という説だ。SpinLaunchもこの問題を解決しないかぎり前へ進めないと思うが、さらにほかの問題や疑問もある。しかし同社はほとんど何も明かさず、針のようなコンセプト機の写真をくれただけだ。

でも、もうすぐ大々的なパブリシティの機会が訪れるのではないか。得られた資金でロングビーチに新しい本社とR&D棟を作ったし、ニューメキシコのSpaceport Americaに飛行テストのための施設が完成した。

今回の資金調達を発表するプレスリリースで、創業者でCEOのJonathan Yaney(ジョナサン・ヤニー)氏は「今年の後半にはSpaceport Americaで、大型加速機による弊社の初の飛行テストに成功して宇宙への打ち上げ技術の歴史を変えたい」と語る。

宇宙スタートアップの成功するテーマの1つが打ち上げコストの低減であり、SpinLaunchは軌道へのアクセスが50万ドル以下という技術で、彼らのコスト節約努力をすべて大きく跳び越えようとしている。テストが成功すれば、最初の商用打ち上げを2022年と予定している。

今回の投資ラウンドをリードしたのは、これまでの投資家Airbus VenturesとGV、KPCB、そしてCatapult VenturesやLauder Partners、John Doerr、Byers Familyなどだ。

関連記事:The four corners of the new space economy(宇宙産業の4つの難所、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

海藻から作った代替プラで環境派投資家から6.5億円を調達したLoliware

ここ数年、プラスティック製のレジ袋やストロー、それによく目にするプラゴミを禁止する街が増加し、環境に配慮した代替素材のメーカーが大きく成長している。その中に、ケルプから作った環境に優しい使い捨て製品を供給するLoliware(ロリウェア)がある。巨大な需要と、その優れた原材料の入手法から、初めて巨額の投資を得た。

私は以前にも、非営利団体のSustainable Ocean Alliance(持続可能な海洋連合、SOA)が2017年にスタートしたOcean Solutions Accelerator(海洋ソリューション・アクセラレーター)で最初に投資を受けた企業のひとつとして、Loliwareの紹介をしている。創設者のChelsea “Sea” Briganti(チェルシー“シー”ブリガンティ)氏は、この変わっているが大成功を収めたSOAのAccelerator at Sea(海のアクセラレーター)プログラムからの今回の新たな投資について、去年の暮れに私に聞かせてくれた。

関連記事:洋上のアクセラレーターにて(未訳)

同社は、ケルプから抽出した物質で、その他の製品も計画中だが、主にストローを製造している。念のために説明しておくと、ケルプとは、ごく一般的な水生藻類(いわゆる海藻)の一種で、非常に大きく育ち、丈夫なことで知られている。また広範に繁殖し、多くの沿岸水域に大量に棲息して「ケルプの森」を形成し、生態系全体を支えている。正しい知識を持って成長の早いこのケルプ資源を上手に管理すれば、トウモロコシや紙よりもずっと優れた資源にできる。今の生分解性ストローのほとんどは、ケルプから作られている。

独自製法でケルプから作られたストローは、プラスティックに似た感触ながら、簡単に分解する。とはいえ、温かい飲み物の中では分解しない。トウモロコシや紙のストローよりも液体中での耐久性はずっと高い。もちろん、海藻には味が求められるシチュエーションもあるが、ストローの場合は炭酸水を飲んでも味がしないように処理されている。

「そこには大変な研究開発と微調整の努力があった」とブリガンティ氏は私に話してくれた。「今までに、これをやった人はいませんでした。私たちは、素材技術から、世界初の製造機械や製造管理方法に至るまで、すべてを作り上げました。そうして、製品開発のあらゆる側面を、本当の意味でスケールアップできるようにしたのです」。

彼らは1000種類以上の試作品を作ったが、今でも改良を重ね、柔軟性を高めたり、別の形状を可能にしたりと進歩を続けている。

「結果的に私たちの素材は、他の企業が目指す生分解素材開発のパラダイムから大きく脱却したものになりました」と彼女は言う。「彼らは、問題の多い、永遠に朽ちない、石油由来のパラダイムから発想して、それをあまり悪くないものにしようと考えています。それは単に延長線上の開発であって、遅くて古臭く、本当のインパクトを与えることはできません」。

当たり前だが、どんなに素晴らしい製造工程を誇っても、誰も買ってくれなければ意味がない。それは倫理を第一に考えた事業に付きまとう問題なのだが、実際、需要は急増しており、それに追いつけるよう規模を拡大することがLoliwareの最大の課題となっている。同社のストローの出荷本数は、この数年で数百万本から1億本に増え、2020年には10億本となる見込みだ。

「(研究室から)完全なオートメーションに移行するまでには、およそ12カ月かかります」と彼女は話す。「完全なオートメーション化が実現すれば、戦略的に重要なプラスティックや紙の製造業者に技術をライセンスします。つまり、10億本のストローも他の製品も、自社では製造しないということです」。

プリント基板やプラスティックの金型などを外注するのと同じだと思えば、当然、理にかなっている。ブリガンティ氏は、全世界にインパクトを与えたいと考えている。それには、すでにグローバルに存在しているインフラを活用することが大切だ。

そしてもうひとつ、持続可能なエコシステムを常に考慮するよう、ブリガンティ氏は心がけてきた。廃棄物の削減と根本から倫理的なプロセスを用いるという理念の上に、この会社全体が成り立っているからだ。

「私たちの製品に使われる海藻は、産地の行政による監視と規制の下で、持続可能性が非常に高い形で供給されています」とブリガンティ氏。「2020年、Loliwareは世界初のAlgae Sustainability Council(海藻持続性委員会、ASC)を発足させます。それにより私たちは、新しい国際的な海藻のサプライチェーンシステム作りを主導できるようになり、監視体制を確立して、持続可能な事業と公平性を確保できます。また私たちは、Zero Waste Circular Extraction Methodology(ゼロ廃棄物の循環型採取方式)と私たちで名付けた手法の先導者になります。これは、そこで推奨するバイオマスの要素をあまねく活用した海藻加工の新しいパラダイムです」。

今回の590万ドル(約6億5000万円)の「スーパーシード」ラウンド投資には、多くの投資家が参加している。その中には、昨年10月にアラスカでAccelerator at Seaの船に同乗した数人も、SOA Seabird Venturesとして加わっている。Blue Bottle CoffeeのCEOも投資した。その他、New York Ventures、Magic Hour、For Good VC、Hatzimemos/Libby、Geekdom Fund、HUmanCo VC、CityRock、Closed Loop Partnersも名を連ねる。

この資金は、規模の拡大と、さらなる研究開発に使われる。Loliwareでは、箱入りジュース用の曲がるストローなど数種類の新しいタイプのストロー、コップ、さらに新しい食器を発売する予定だ。2020年は、いち早く流行を取り入れる人たちよりも、行きつけのコーヒーショップでこの会社のストローを多く見かけるようになるかも知れない。どこで彼らの製品に出会えるかは、Loliwareのウェブサイトでチェックしてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

マンション自主管理のスタートアップ「Matera」が12億円を調達

Matera(マテラ)はフランスのスタートアップで、以前はiLLiCopro(イリコプロ)という社名だった。このほど1000万ユーロ(約12億2700万円)の調達ラウンドを完了した。この会社は集合住宅の管理を行うのに必要なツールを提供するSaaSプラットフォームを開発している。

ラウンドをリードしたのはIndex Venturesで、既存の出資者であるSamaipataも参加した。ほかにエンジェル投資家のBertrand Jelensperger(バートランド・イェレンスペルジュ)氏、Paulin Dementhon(ポーリン・ディメントン)氏、Marc-David Choukroun(マーク・デビッド・チョウクルン)氏も名を連ねている。

フランスでは、マンション管理にふたとおりの方法がある。管理会社と契約するか、自分たちでやるかのどちらかだ。Materaは後者で、自分たちで建物を管理したい共同オーナーたちをターゲットにしている。Materaはウェブベースのプラットフォームを作り、情報の閲覧や他の区分所有者とのコミュニケーションを円滑にして全員が最新情報を共有できるようにしている。ちなみにBellman(ベルマン)などのように別のアプローチをとっているスタートアップもある。

ユーザーは個別のアカウントでプラットフォームをアクセスする。共同オーナーたちは定期的に集まって問題の解決にあたる。Materaはあらゆる情報を中央に集め、報告書を書いたり必要な法定点検の実施を支援したりする。金銭にまつわることもすべてMateraが扱う。オーナーたちは毎月管理費を集金し、支出内容を確認できる。会計に関する面倒な作業はすべてMateraが引き受けてくれるのだ。

さらにMateraは、協力会社との契約管理も支援する。エレベーター保守、暖房保守、清掃会社、水道、電気、保険、園芸などだ。協力会社の住所録が作られ、別の会社への切り替えを手助けする。

自分たちだけでやるのが難しいことがあれば、Materaは法律、会計、保険、建築などの専門家との仲介もする。現在Materaは、1000件の集合住宅で2万5000人の利用者を管理している。同社は欧州の他国への進出を計画しており、ベルギー、スペイン、イタリア、ドイツから始める予定だ。今回調達した資金を使って、社員を100名雇用する計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「インドでのアマゾンの1100億円投資はたいしたものではない」とインド貿易大臣が発言

インドの貿易大臣は、Amazon(アマゾン)のインドにおける10億ドル(約1100億円)もの新たな投資に感激していない。

アマゾン追加で10億ドル(約1100億円)をインドのオペレーションに投資するとCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が発表した翌日、インドの貿易大臣であるPiyush Goyal(ピユシュ・ゴーヤル)氏は「アマゾンの投資はインドにとってさほど大きなものではない」と述べた。今回の10億ドルを含め、アマゾンのインドへの投資額は累計で65億ドル(約7160億円)になる。

「彼らは10億ドル投資する。しかしその後もし毎年10億ドルの赤字を出したら、彼らはその10億ドルを調達しなければならない」と、1月16日に開催されたシンクタンクのObserver Research Foundation主催のカンファレンスの中でゴーヤル氏は述べた。「なので彼らが10億ドル投資するとき、インドに素晴らしいことをしているというわけではない」。

インド当局に提出された書類によると、アマゾンはマーケットプレイス部門単体で2019年3月までの1年間で8億ドル(約880億円)の損失を計上した。「略奪的価格設定をしたり不公正な取引をしたりしなければ、マーケットプレイスはそのような巨額の損失にはならない。解明すべき謎がある」とゴーヤル氏は語った。

ゴーヤル氏の発言の数日前には、Amazon IndiaとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)が反競争行為をしている疑いがあるとしてインドの競争委員会が調査することを発表していた。

「今週インドを訪れているベゾス氏はNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相との面会を模索したがリクエストは承認されなかった」とこの件に詳しい情報筋はTechCrunchに語った。

「外国のeコマース企業はインドで操業したければ現地の法律に従う必要がある」とゴーヤル氏は繰り返し述べてきた。競争委員会による調査は「インド国民の関心事だ」とも語った。

「我々はマーケットプレイスモデルにおいて全企業のインド進出を許可した。マーケットプレイスモデルは、買い手と売り手が自由に貿易できる不可知論的モデルだ。もし彼らが合意に至ったら売買が行われる。マーケットプレイスはインベントリーを持つことはできず、インベントリーの管理もできず、価格を決定することもできない。さらには、異なる売り手の商品がどのようにプラットフォームに掲載されるかに影響を与えるアルゴリズムを持つこともできない」とゴーヤル氏は付け加えた。

「インドにおけるマーケットプレイスにはいくつかのルールがある。そのルールに則っている限りはインドので操業は自由だ」とゴーヤル氏は話した。現在調査が行われている主張は「前述のガイドラインに違反している」というものだ。

ゴーヤル氏の発言は、Amazonとインド政府との間で高まっている緊張をさらにスカレートさせるかもしれない。昨年、米国の上院議員らは外国企業が子会社の商品を販売することをインド政府が禁止したことを非難した。この禁止措置により、AmazonとFlipkartはマーケットプレイスから何十万点もの商品の除去を余儀なくされた。

1月15日、多くの小売業者がAmazon IndiaとFlipkartに抗議し、政府に干渉を要求した。ベゾス氏は今週初めに「アマゾンの新たな投資は何百もの零細小売業者がオンラインで販売できるようになるのをサポートする」と話した。

ベゾス氏はゴーヤル氏の発言や抗議活動に反応を示さないまま、1月16日にムンバイで開催されたボリウッドのセレブとのイベントに登場した。そこでベゾス氏は「アマゾンがインドにおけるPrime Videoストリーミングサービスへの投資を倍増させている」と発表した。しかし具体的な数字は明らかにしなかった。

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(翻訳:Mizoguchi)

PayPayが2月1日から全国6500店舗以上の飲食チェーンで40%還元を実施

ソフトバンクグループでキャッシュレス決済事業を運営しているPayPayは1月17日、全国6500店以上の対象飲食店や21万台以上の自動販売機でのPayPayで40%のPayPayボーナスが戻ってくる「全国6,500店舗以上の有名飲食チェーンで『40%戻ってくる』キャンペーン」を2月1日午前0時~2月29日午後11時59分まで実施することを明らかにした。付与上限は1回あたり500円相当で、期間中の還元上限は1500円相当となるので3回使うと最も還元を受けられる。なお3月は、対象のスーパーマーケットでの還元キャンペーンを実施予定だ。

対象店舗は以下のとおり。

サンマルクカフェ
すき家
Coke ON
日高屋
中華一番
来来軒
らーめん日高
ちゃんぽん 菜ノ宮
はなまるうどん
うまげな、
さぬき麺屋
つるさく
サーティワン アイスクリーム
松屋
松のや
松乃家
チキン亭
マイカリー食堂
ヽ松(てんまつ)
松そば
ステーキ屋松
野家

Boseが日本を含む世界119カ所の直営店を閉鎖へ

これは永遠の課題だ。ものを買う習慣はテクノロジーとともに変化し、あらゆるリアル店舗のオーナーはネットショップから何らかの圧力を感じている。どうやらBose(ボーズ)ほどの有名ブランドでさえ、翌日配達のパワーには勝てなかったようだ。

オーディオメーカーであるBose(ボーズ)は今週、オーストラリア、ヨーロッパ、日本、および北米の直営店119カ所を数カ月のうちに閉鎖するとThe Vergeに伝えた。1993年に初めて米国に出店して以来、Boseには店頭販売の歴史がある。

当時、世界中のSharper Imagesなどのショップから撤退して店頭に自らのブランドネームを掲げるという計画は、確かに理にかなっていた。何百ドルもする商品を買う前に消費者に対面デモができる利点は大きい。しかし、昨今このモデルが成立しなくなったことは明らかだ。

「毎日わたしたちに誇りを感じさせてくれる素晴らしい店頭チームのことを思うと、今でも困難な決断です」と、同社が社員宛てに送った文書に書かれていた。「彼らは店に来てくれた人たち一人ひとりに真摯に対応する。それが問題を解決するためであっても、専門的なアドバイスをするときでも、ひと休みして素晴らしい音楽を聞きたいだけの人であっても。長年にわたり、それがカスタマーサービスの基準になっていった。そしてBoseの全員が感謝の気持ちをもっている」。

Boseは、影響を受ける社員に対して退職手当や再就職の斡旋を行うと言っている。また、中国、UAE、インド、韓国、およびその他アジア地区の130店舗は営業を続ける。

この種の物事に盛衰があるのは当然だ。私がCESで会ったヘッドフォンのスタートアップであるNuraは、自分たちのオーディオ技術を直接体験してもらうために小さな店舗をいくつか開くつもりだと言っていた。もちろん、そのサイズやスケールはBoseとは比較にならないが。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォクスコンとフィアット・クライスラーが電気自動車を共同開発、車のインターネットに注力

iPhoneの製造請負でその名を知られている台湾のエレクトロニクス大手であるFoxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ、鴻海科技集団)が、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ、FCA)との合弁事業により中国で電気自動車を生産する。

そのジョイントベンチャーは申請文書からわかり、日経が最初に記事にした

その文書によると、両社がそのベンチャーの50%を保有して電気自動車を開発および製造し、IOVに取り組む。フォックスコンの親会社Hon Hai(ホンハイ、鴻海)によると、IOVはInternet of Vehicles(車のインターネット)の頭字語だ。なお、申請文書によるとホンハイが直接保有する当合弁事業の株式は40%を超えない。

フォックスコンによると、このベンチャーは当初、中国向けの電気自動車の生産に特化するが、いずれは輸出も行う。申請文書によると、この合弁事業で生産されるのは完全に新規開発の車種であり、FCAの既存の車種を電動化するプロジェクトではない。中国は電気自動車の世界最大の市場であり、FCAはこのベンチャーで当市場への進出の手がかりを得ることになる。

フォックスコンが電気自動車(EV)のジョイントベンチャーに投資したことは前にもあったが、開発と生産を同社自身が行う合弁は今回が初めてだ。EVのスタートアップByton(バイトン)は最初、Harmony Auto(ハーモニー・オート)とTencent(テンセント)とフォックスコンのジョイントベンチャーだった。またフォックスコンは、XPeng Motors(シャオペン・モータース)の投資家でもある。この中国の電動車スタートアップは最近新たに4億ドルを調達し、Xiaomi(シャオミ、小米)を戦略的投資家として迎えた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人事評価クラウドのHRBrainが約6億円調達、累計調達は12億円に

人事評価クラウドサービス「HRBrain」を開発・提供する株式会社HRBrainは1月17日、シリーズB投資ラウンドで約6億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はスパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」。

同社は2016年3月の創業のスタートアップで、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルにも登壇した経験を持つ。2017年12月のシリーズAラウンドでジェネシア・ベンチャーズ、BEENEXT、KSK Angel Fund、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資で2億円を、2019年10月にはシリーズBラウンドで三谷産業、サイバーエージェント(藤田ファンド)、みずほキャピタル、JA三井リースを引受先とした第三者割当増資により約4億円をそれぞれ調達しており、今回を合わせると累計調達額は12億円となる。

HRBrainは、従業員の目標設定から評価までプロセスのすべてをクラウド上で効率化し、組織の生産性や目標達成力を高めるサービス。2017年1月にリリースされ、現在は650社を超える顧客を獲得しているという。今回調達した資金は、機能・マーケティング体制の拡充と、将来に向けた事業基盤の強化を図るとのこと。

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モバイル・ショートビデオのTikTokは2019年に急成長するも収益化に苦闘中

Sensor Towerのレポートによれば、ダウンロード数でも収入でもTikTokは2019年のモバイルアプリの星だった。中国のByteDanceのアプリであるため最近米政府の規制が厳しさを増し、米海軍では使用が禁止されるなどしているが、 現在までのダウンロード数は16.5億回、しかもその44%が2019年に集中している。 つまり昨年1年だけで、7億3800万以上のアプリがインストールされている。

問題は収益性で、TikTokでは各種の実験を繰り返しているがまだ十分な利益を上げていない。もちろん2019年には収入の伸びも著しく1億7690万ドルを得ている。これはそれまでの全収入、2億4760万ドルの71%にあたる額だ。ApptopiaのレポートはTikTokの四半期収入は5000万ドルに上ると報じていた

2019年のTikTokのダウンロード数は2018年から13%アップして6億5500万回となった。2019年の第4四半期はクリスマス休暇を含んだ期間だったこともあり、TikTokとして過去最高の時期となり、2億1900万回のダウンロードがあった。これはそれまでの最高記録だった2018年の第4四半期に比べて6%のアップだった。Sensor Towerのデータによれば、昨年TikTokはゲーム以外のアプリの世界ランキングで、App StoreとGoogle Playの双方でWhatsAppに次ぐ2位となった。

しかしTechCrunchでも紹介したHowever, App Anniieの「モバイルの現状」レポートによれば、Facebook Messenger、 Facebook本体、WhatsAppに次ぐ4位となっており、Sensor Towerの順位とは一致しない。

順位はともあれ、TikTokのダウンロード数が2019年に大きく伸びたことは間違いない。これは主としてインドで人気を得たことが大きい。Tiktokは今年には入ってインドで短期間だが禁止されたが、同市場はTiktokの総ダウンロード、3億2300万回の44%を占める大市場となっている。同時いこれは2018年の27%増だ。.

TikTokの母国、中国では収入の大半はiOSユーザーからのもので、2019年には1億2290万ドルだった。これは収入の69%を占めており、米国のユーザーからの収入である3600万ドルの3倍以上だった。3位の英国の支出は420万ドルにとどまった。

ただしこうした数字も Facebookの660億ドル以上という年間収入に比べるとごく小さい。またTwitterのように小型のネットワークと見られるサービスでも数十億ドルの収入がある。ただし公平にいえば、TikTokはまだビジネスモデルの実験段階にあるスタートアップだ。2019年にTikTokyは, フィード中にネイティブビデオ広告を表示したり、 ハッシュタグ・キャンペーンを行ったりしている。またソーシャルな投げ銭システムにも手を染めている。.

しかし今のところこのチップシステムで、意味のある収入を得ているのはごく少数のクリエーターに過ぎない。 TikTokがYouTubeに追いつくためには優秀なクリエーターにとって魅力のあるサービスになる必要があるのでクリエーターの収入を確保するのは重要な課題だ。

収益化ではTikTokが問題を抱えている理由は、Facebookなどの先行ソーシャル・ネットワークと比べてTikTokにはユーザーの個人データの蓄積が乏しい点が大きい。広告主は、趣味、過去の行動、デモグラフィーなどのデータから適切なターゲティングができず、Tiktokの広告メディアとしての価値をアップすることを妨げている。そこでブランドはTikTokの保持するデータに頼らず、TikTokで人気のあるインフルエンサーと直接提携して広告を配信するなどの手段を取っている。

TikTokは黒字化の達成に至っていないが、ユーザーエンゲージメントでは優秀な成績を挙げている。App Annieのデータによれば、利用時間は2019年に対前年比210%の伸びを示し、トータルで680億時間となっている。TikTokがモバイルユーザーの注目を集めていることは間違いないが、問題はこの注目をいかに収益に結びつけるかだ。

TechCrunchはこの点についてTikTokにコメントを求めたが、回答は「我々は統計を外部に発表していない」と確認するものだった。というわけでTikTokの現状についてはサードパーティーの推定に頼るしかないようだ。

画像:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

韓国の現代自動車と起亜自動車が電動配達車両開発の英スタートアップに約121億円を投資

一般消費者向けの電動車両はおいておこう。配達車両が間もなく展開される電動車両にとって「トロイの木馬」になるかもしれない。

韓国の大手自動車メーカー現代自動車と起亜自動車が英国拠点のスタートアップであるArrivalに1億1000万ドル(約121億円)超を注入する。Arrivalはどちらかというとステルスモードで登場した。「この投資でArrivalのバリュエーションは30億ユーロ(約3680億円)と、英国で最も価値あるスタートアップの1つになった」とArrivalの広報は述べた。CB insightsの最新の調査によると、Arrivalを上回るバリュエーションのスタートアップは英国に5社しかない。

創業5年のロンドン拠点のスタートアップはドイツ、米国、ロシアを含む5カ国に従業員800人を抱えるが、これまで表立った動きは見せてこなかった。

Arrivalが目指しているのは、化石燃料で走る従来の車両と同程度のコストで電動車両を製造することだ。ただしそれは、メジャーな都市に近い「マイクロ工場」を使って製造することでコストを大幅に抑制するという方法による。

同社のモジュラー「スケートボード」プラットフォームは、1つのシステムでさまざまなモデルの製造を可能にする。プロトタイプはすでにDHLやUPS、Royal Mailといった大手配達会社によるトライアルに加わっている。

現代自動車会長兼イノベーション責任者のYoungcho Chi(ヨンチョウ・チ)氏は「今回の投資は現代と起亜が追求しているイノベーション戦略の一部だ」と声明文で述べた。

現代自動車は自動運転と電気自動車に350億ドル(約3兆8560億円)を投資するとしている。

昨年、現代自動車は自動運転テクノロジーと電動車両の開発に350億ドルを注入すると発表した。その一環として、2025年までに23種の電動車両をリリースしたい考えだ。先週、現代自動車はラスベガスで開催されたCESでUberと共に空飛ぶタクシーのコンセプトを発表した。

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(翻訳:Mizoguchi