現代自動車がEV専門ブランドIoniqを立ち上げ、2024年までに3種投入

韓国のHyundai(現代自動車)は、EV専門のブランドIoniq(アイオニック)を立ち上げた。今後4年で3種の電気自動車をマーケットに投入する予定だ。Ioniqブランドは、2025年までに電気自動車100万台を販売し、EVマーケットのシェア10%を獲得するという現代自動車の広範な戦略の一環となる。

Ioniqという名をどこかで聞いたことがあるような気がするかもしれない。それもそのはず、すでに存在している。現代自動車は2016年に、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電動バージョンのハッチバックIoniqを発表した。同社はその車を、新たなEVブランドの出発点として活用するのだ。

Ioniqブランドの車はすべて現代自動車のE-GMPという電動モジュラープラットフォームを使う。

現代自動車は、新EVブランドでまず中型クロスオーバーのIoniq 5を2021年初めに立ち上げると述べた。Ioniq 5は現代自動車が2019年にフランクフルト国際モーターショーで発表したモノコック構造ボディのクロスオーバー、Concept 45をベースとしている。Concept 45のデザイナーは現代自動車の最初のコンセプトである1974 Pony Coupeを意識した。名称にある45というのは、車両のフロントと後部が45度の角度になっていることにちなんでいる。

Ioniq 5の後に続くIoniq 6は2022年に投入される予定で、3月に発表された現代自動車のProphecyコンセプトをベースとする。下の写真のProphecyは長いホイールベースに、ポルシェを思わせる短いオーバーハングを持つなめらかでエアロダイナミックなセダンだ。

そして大型のSUV、Ioniq 7を2024年初めにリリースする。

名称の数字は面白くないかもしれないが、知っていて損はない要素が含まれている。Ioniq車両の偶数はセダンに使われ、奇数はSUV用となる。

画像クレジット:Hyundai

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(翻訳:Mizoguchi

現代自動車とEVスタートアップのCanooがプラットフォームを共同開発

現代自動車グループは、米国ロサンゼルス拠点のスタートアップであるCanoo(カヌー)と共同で電気自動車プラットフォームを開発すると明らかにした。現代自動車は電動化や他の未来のテクノロジー開発プロジェクトに870億ドル(約9兆5800億円)投資するが、その中でCanooは現代自動車がタッグを組む最新のパートナーとなる。

2月11日に発表された合意書によると、電気自動車プラットフォームはCanooが独自開発したスケートボードデザインのものをベースとする。このプラットフォームは、現代自動車や起亜自動車が将来展開する電気自動車、そして現代自動車グループのいわゆる“専用車(PBV)”に使用される。現代自動車が先月CES2020で展示したPBVはポッド状の車両で、同社が言うにはレストランやクリニックなど、さまざまな目的で使用することができる。コンセプトはトヨタのe-Palette車両と似ている。e-Paletteは理論上は小売店舗やレストラン、輸送用シャトルとして使えるようカスタマイズできる。

Canooとの提携は、現代自動車が電動化や自動運転技術、そのほか空飛ぶ車など未来的なモビリティにいっそう注力し、資金も注いでいることを示す最新の例となる。今月初め、現代自動車は英国のスタートアップArrivalに11000万ドル(約120億円)投資し、電動商業車を共同で開発すると発表していた。

現代自動車グループは今後5年間に870億ドル超を投資すると表明している。内訳として、現代自動車が「未来のテクノロジー」に520億ドル(約5兆7200億円)を、起亜自動車が電動化と未来のモビリティテクノロジーに250億ドル(約2兆7500億円)を投入する。最終的な目標は、エコフレンドリーな車両が2025年までに販売車両全体の25%を占めるようにすることだ。

Canooは、電動プラットフォームの開発にエンジニアリングサービスを提供する、と話した。

Canooは2017年にEvelozcityとして始まり、Faraday Futureを率いていたStefan Krause(ステファン・クラウゼ)氏とUlrich Kranz(ウルリッチ・クランツ)氏が創業した。同社は2019年春に社名をCanooに変更し、昨年9月に初の車両をデビューさせた。初のCanoo車は2021年までに道路を走るようになる見込みで、サブスクリプションでのみの提供となる。Canooは最近ウェイトリストの受け付けを始めたばかりだ。

Canoo車の特徴は、従来の電動SUVというよりマイクロバスのような外観であること、キャビン下のキャシーにバッテリーと電気駆動系を収めた「スケートボード的」アーキテクチャを有していることだ。このアーキテクチャに現代自動車グループは関心を寄せている。

同グループは生産のコストや複雑さを抑えるのにCanooのアーキテクチャに頼っていて、これにより変わりやすいマーケットの需要や顧客の好みに素早く対応できる。

「Canooが革新的なEVアーキテクチャを開発したスピードと効率に非常に感銘を受けている。Canooは我々にとって完璧なエンジニアリングパートナーであり、我々は未来のモビリティ業界で先駆者となる」と現代自動車グループのR&D責任者のAlbert Biermann(アルバート・バーマン)氏は声明文で述べた。「自動走行ができ、幅広く受け入れられる費用対効果の高い現代自動車のプラットフォームコンセプトを開発するためにCanooのエンジニアと協業する」

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(翻訳:Mizoguchi

韓国の現代自動車と起亜自動車が電動配達車両開発の英スタートアップに約121億円を投資

一般消費者向けの電動車両はおいておこう。配達車両が間もなく展開される電動車両にとって「トロイの木馬」になるかもしれない。

韓国の大手自動車メーカー現代自動車と起亜自動車が英国拠点のスタートアップであるArrivalに1億1000万ドル(約121億円)超を注入する。Arrivalはどちらかというとステルスモードで登場した。「この投資でArrivalのバリュエーションは30億ユーロ(約3680億円)と、英国で最も価値あるスタートアップの1つになった」とArrivalの広報は述べた。CB insightsの最新の調査によると、Arrivalを上回るバリュエーションのスタートアップは英国に5社しかない。

創業5年のロンドン拠点のスタートアップはドイツ、米国、ロシアを含む5カ国に従業員800人を抱えるが、これまで表立った動きは見せてこなかった。

Arrivalが目指しているのは、化石燃料で走る従来の車両と同程度のコストで電動車両を製造することだ。ただしそれは、メジャーな都市に近い「マイクロ工場」を使って製造することでコストを大幅に抑制するという方法による。

同社のモジュラー「スケートボード」プラットフォームは、1つのシステムでさまざまなモデルの製造を可能にする。プロトタイプはすでにDHLやUPS、Royal Mailといった大手配達会社によるトライアルに加わっている。

現代自動車会長兼イノベーション責任者のYoungcho Chi(ヨンチョウ・チ)氏は「今回の投資は現代と起亜が追求しているイノベーション戦略の一部だ」と声明文で述べた。

現代自動車は自動運転と電気自動車に350億ドル(約3兆8560億円)を投資するとしている。

昨年、現代自動車は自動運転テクノロジーと電動車両の開発に350億ドルを注入すると発表した。その一環として、2025年までに23種の電動車両をリリースしたい考えだ。先週、現代自動車はラスベガスで開催されたCESでUberと共に空飛ぶタクシーのコンセプトを発表した。

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(翻訳:Mizoguchi

WayRayのホログラフィックAR HUDにポルシェなど自動車メーカーが800万ドルを投資

巨大にして古い体質を引きずる自動車産業は、次世代の自動車技術を開発してもらおうと、革新的なスタートアップに望みと夢を託してきた。そのいちばん新しい物語のページが、先日(9月18日)、開かれた。チューリッヒに本社を置くホログラフィーを使った拡張現実技術(AR)とハードウエア(運転者の視界に映像を投影するヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に使われる)を開発する企業WayRayが、ポルシェが主導するシリーズC投資として800万ドル(約9億円)の資金を調達した。これには、現代自動車、以前から同社に投資を行っているアリババ・グループ、招商局集団、JVCケンウッド、さらに政府系ファンドも加わっている。

WayRayは、この資金の使い道として、来年を目処に自動車メーカーにディスプレイ技術をOEM供給すること、長期的には、建築用の窓のような自動車用以外のディスプレイを開発する計画を示している。

WayRayは設立から約5年になる。製品は広く紹介されているものの、まだプロトタイプの段階に留まっている。しかし、その評価額は非常に高い。WayRayに近い情報筋によると、現在の評価額は5億ドル(約560億円)にのぼる。だが、WayRayの創設者でCEOのVitaly Ponomarevは、来年に予定されている製品の出荷が始まれば、その額は2倍になるだろうとインタビューで話している。

「私たちの製品の寿命はとても長いものです」とPonomarevは言う。「私たちは今、自動車業界への部品の認定供給業者になろうとしてるところですが、それには時間がかかります。来年にはティアツーサプライヤーになることを目指しています。年が開けるとすぐに契約が結ばれ、私たちの評価額に影響してくるはずです」。さらに彼は、すでに「すべての大手自動車メーカー」と接触していると話していた。

(資金に関して付け加えるならば、同社は公式には1億1000万ドル(約124億円)を調達していることになっているが、我々の情報筋によると、非公式に1億4000万ドル(約157億円)を、今は支援していることを伏せておきたい投資家から受け取っているという)

自動車用のHUDの市場価値は、昨年の時点で5億6000万ドル(約630億円)と見積もられていたが、2023年までには10億ドル(約1120億円)を超える見通しだ。WayRayのような企業は、コンチネンタルやパナソニックといった企業と頭を付き合わせて、彼らの要求に応えるシステムを作ることになる。これには2つの役割がある。ひとつは、運転者のアシスト。もうひとつは、乗客(または自動運転車の運転席に座る人)に情報や娯楽を提供することだ。

Ponomarevは、2週間以内に、それらのケースに対応するアプリ開発用のSDKを発表すると話している。

企業としてのWayRayは、AIに強く、とくにコンピュータービジョンと車内の安全システムの技術に優れた2つの国にまたがっている。WayRayの研究開発の大部分を占め、最初の(プロトタイプ用の)工場が置かれたのはロシアのモスクワだ。もうひとつの拠点が、現在はスイスのチューリッヒにある。最近までローザンヌにあったのだが、ドイツの国境に近く、複数の自動車メーカーが拠点を置いているチューリッヒに移転した。WayRayは、製品を製造する最初の工場をドイツに構える予定もある。2番目の工場は上海に作られる。現在、上海には営業所があるだけだ。

TecCrunchでは、今年のCES会場でWayRayを見つけて、その技術について簡単な記事を紹介したが、その画像の鮮明さや広さは、HUDの可能性を信じる私たちを勇気付けるものだった。すでにいくつものHUDメーカーが製品を販売しているが、言わせてもらえば、NavdyiScoutなど残念なものが多い。 しかしWayRayは、そうした多くのメーカーとはアプローチの角度が違う。反射式画面や埋め込み型ディスプレイではなく、ホログラフィックAR技術に特化している。

それにより、同社の専門はソフトウエアのみならず、最新のレーザー技術や材料科学(新しいポリマーを開発している)にまで広がったとPonomarevは話す。ホログラフィックHUDを研究している企業はWayRayだけではないが、WayRayがもっとも進んでいると彼は信じている。「特許の面から言えば、私たちが世界でナンバーワンです」と彼は言う。このシステムは、現在作られているものに比べて、20分の1のサイズにまで小さくできる可能性がある。

WayRayは、現在、埋め込み型のHUDシステム、つまり車両に組み込むための技術とハードウエアにフォーカスしているが、それは最近になってからのことだ。今年の初めまで、ユーザーが自分で買って好きな車両に取り付けられる、後付け型のハードウエアも同時に開発していた。

後付け型ハードウエアの問題点は、基本の技術がかならずしも同じでなくても、過激な競争になることだ。「中国など、世界中の何十社もの企業が参入して、後付けHUDビジネスを破壊してしまいます」とPonomarevは言う。「理由は単純です。中身に(独自の)技術がないからです」

後付けハードウエアのもうひとつの問題点は、販売チャンネルを作らなければならないことだ。

「小売りチェーンを通ることで、大きなマージンが取られてしまいます」と彼は言う。「しかし、OEMチャンネルに競争相手がひとつもなかったなら」……これはWayRayが主張する現在の状況だが……「それは金の鉱脈です。顧客は、一緒に仕事ができる時間が作れるまで、私たちのことを列を作って待っていてくれます。敷居が高い(一から始めて新しい技術分野を切り開き自動車産業に参入する)のが難しいところですが、良い面がとても大きく広がっているので、私たちは後付け型から埋め込み型に切り替えました。私たちは、それに相応しい技術を持っています」

それでも、WayRayが成功を実感できるようになるまでには、乗り越えなければならないハードルがある。自動車の内装には物理的にさまざまな違いがあり、それによってホログラフィック・ディスプレイの挙動は変わる。それに、本体はできるだけ小さく、映像はできるだけ大きく映し出すというハードウエアの開発には、つねにその2つの駆け引きによる緊張が付きまとう。

もうひとつ、その車種に、これを受け入れる準備ができているかどうかを考慮する必要がある。高度なドライブシステムや複数のセンサーなどを備えた車種なら、WayRayのシステムから出力される映像のレンダリングが高速に処理されるだろうが、そうではない車種では、WayRayのシステム自身が必要なデータを収集する方法から考えなければならない。それには、より複雑で高価な技術が必要になる。

しかし、そうした困難な問題に取り組んだとしても、見返りは大きい。

ポルシェは、WayRayの技術を、単に運転車のアシストに使ったり、すでに高い性能を有する車のオマケにするだけでなく、いずれはもっと多くのサービスを提供したいと考えている。たとえば、アリババを使った電子商取引だ。

「私たちが手を組むことで、お客様がポルシェに期待している基準での顧客ソリューションを提供できるようになると確信しています」と広報担当者は話している。

「WayRayは、宇宙工学、ハードウエアとソフトウエア開発といったしっかりとした経歴を持つユニークな専門家集団です」と、ポルシェの取締役会副会長であり財務IT担当取締役員のLutz Meschkeは、声明の中で述べている。「彼らの革新的なアイデアと製品には、非常に大きな可能性があります。これを基に、私たちはカスタマイズされたポルシェのソリューションをお客様に提示できるようになります。だからこそ、私たちはこの戦略的な投資を決断したのです」

また、長期的にその技術の応用に対する投資も拡大している。

「WayRayは、ホログラフィックARディスプレイ・システムのハードウエア開発、ソフトウエア開発の両方において、卓越した専門性を有しています」と現代自動車グループの最高イノベーション責任者であり執行副社長の池永朝(ヨンチョウ・チ)博士は声明の中で話している。「現代とWayRayの協力により、私たちはAR技術を利用した、まったく新しいエコシステムを確立し、ナビゲーション・システムの強化だけでなく、スマートシティーやスマートビルディングのためのARプラットフォームも構築することになります。それは、現代自動車グループは新事業でもあり、将来的に、私たちの車を運転されるお客様に、革新的な顧客エクスペリエンスを提供します」

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(翻訳:金井哲夫)

現代自動車とKiaの車に、Kakaoが音声認識技術を搭載する

韓国のハイテク企業であるKakaoが、その配車事業をスピンアウトする計画を発表してから1ヶ月も経たないうちに、今度は韓国第2位の自動車メーカー現代自動車ならびにその子会社であるKiaとの間に、車載のハンズフリーシステム搭載に関する契約を結んだ

Kakaoは、韓国内のスマートフォンの95%以上にインストールされているトップメッセージアプリ、カカオトークを運営していることでよく知られている。しかしそれはチャットの枠を越えて他の領域にも手を伸ばしていて、AIもそのうちの1つだ。

9月には、同社のAIテクノロジーである”Kakao I”が、現代とKiaの特定の車種に統合されて、当初は車内で音声認識技術が提供される。双方の自動車企業は、運転者がレストラン、サービスステーションなどの情報を、声で検索できるハンズフリー機能の”One Shot”などのサービスの開発に協力してきた。

同社によれば、それ以外にも、Kakao Iは、音声認識、画像認識、テキスト音声変換、自然言語処理、チャットボットをサポートしているという。Kakaoはプラットフォームをサードパーティに開放し、車内の運転者をより快適にする多くのサービスと機能を提供しようとしている。

Kakaoは昨年9月に自動運転技術の開発を開始したと発表していたが、今回の提携はそれとは関係していない。

現代自動車は、自動運転車に早い段階から取り組んでいる会社の1つで、実際三星(Samsung)に先んじて、韓国で初めてのライセンスを取得している。同社はプロトタイプを先の12月に発表しており、また当初の予定より早く半自動運転機能を出荷しようとている

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(翻訳:Sako)

現代自動車が半自動運転車を、予定を早めて市場投入する

自動運転車を市場に持ち込む競争は激化している。GMのSuper Cruiseは今年後半にキャデラックCT6に搭載される予定だし、AudiもA8の次モデルにレベル3自動運転技術を投入する予定だ。その結果、現代自動車(Hyundai)もその半自動運転機能である“Highway Driving Assist 2” (HDA2)の商用化のスケジュールを加速している。

HDA2システムは、正確にはTeslaのAutopilot同様の、レベル2自動運転機能と考えることができる。ソフトウェアは高速道路の運転時に速度と制動を処理し、また、運転手による指示に従って、側道への分岐、高速出口への進行、および主要道路への合流を自動的に行なう。

現代がElectronic Timesに語ったところによれば、HDA2の導入は「運転手の関与を最小限に抑える」ためのものだ。同社によれば、技術は「高速道路上ではレベル3に近付いている」ということで、今回の技術導入は、2022年までに消費者向けに完全自動運転車を商業化するという、同社の目標達成に役立つことだろう。

現代はCESで自動運転技術を発表した、その際には消費者のコストを抑えるために、詳細な地図を用いることによって、コンピューティングとセンサに比重のかからないアプローチを採用していた。しかし、現代は一般的には自動運転車の世界のリーダーとは見做されていない。この技術を予定より早い段階で投入することにより、その差を縮めることができるだろう。データ収集に注ぎ込んだ努力がそれを支えている。

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(翻訳:Sako)