Apple、WatchKitを公開。デベロッパーはウェアラブル向け開発が可能に


Appleは、来年発売予定のスマートウォッチ用プラットフォーム、WatchKitを公開した。Apple Watchでは、時計と接続したiPhone内にWatchKitエクステンションを持ち、Watch自身にはUIエレメントを保存しているアプリが、発売時点でサポートされる。主要な作業はiPhoneが行い、出力(通知等)やユーザーからの入力(タップその他のアクション)はApple Watchが受け持つ。

興味のあるデベロッパーは、Xcode 6.2 beta、およびWatchKitを含むiOS 8.2 SDKを入手する必要がある他、iPhoneで使うWatchKitエクステンションを開発するためには、iOS 8.2 betaも必要になる。

同時にAppleは、同社のウェアラブル用ソフトウェアを作る人たちのためのデザイン・ガイドラインおよびヒューマンインターフェース・ガイドラインも提供した。そこには、様々な種類のインターフェースに向けた提案やテンプレート、Apple Watchの新しい独自のバブルベースメニューのためのホーム画面用アイコンを作る際のヒント、サイズとレイアウトスタイルの提案、フォントやテキストサイズに関するヒントなどが書かれている。Apple Watchは全く新しいカテゴリーの商品なので、この上に作られるアプリで使われるデザイン言語は、スマートフォンやタブレットで使われていたものとは大きく異なる。

WatchKitアプリの主要コンポーネントには、高度な機能のためのUI一式、ソフトウェアで起きていることに関する情報を一目で見られる “Glances”、メッセージにすばやく返信したり接続したスマートフォン端末を制御するための、アクション可能な通知等が含まれている。

大量の処理要求がiPhoneに向けられることになるのは興味深いが、Apple Watchのバッテリー消費を極力抑えるためには理にかなったやり方だ。これがApple Watchの自主性にどう影響するのかを知るにはまだ情報が足りないが、Appleは、接続したデバイスとは別にApple PayにWatchを使う方法を検討してるので、Watchアプリが何らかのオフライン機能を持つと思われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、グループ用スタンドアローン・アプリをリリース―速くて強力、「おすすめ」機能も

7億人が毎月Facebookグループを利用しているという。しかしこれまでFacebookグループのモバイル体験はトップクラスとはいえなかった。メイン・アプリの奥の方に隠れていて、反応も遅い。そこで今日(米国時間11/18)、FacebookはスタンドアローンのGroupsアプリをローンチした。このアプリにはグループの管理、通知はもちろん、強力なグループ発見機能もある。Groupsアプリの利用は任意で、グループ機能はFacebookのメインアプリにそのまま残される。Facebookが全面切り替えを急ぐ様子はない。

GroupsアプリiOS版Android版ともにすでに公開されている〔日本語版も公開ずみ〕。メンバーが増えるなどして混乱状態になっているグループの管理者には大きな朗報だ。家族や親しい仲間のグループから研究会やアプリのサポートまであらゆるグループの利用と管理が大幅に効率化される。使いやすく、デザインはシンプルで明るい。グループ専用アプリなので、うっかり想定外の相手に公開してしまうという心配なしに情報の共有ができるのも安心だ。

Groupsアプリのプロジェクト・マネージャー、Shirley Sunは「こういうアプリはまだ誰も手がけていなかったはず。ユニークなアプリだと思う」と語った。

YahooとGoogleはグループ・メール分野では圧倒的な強みを誇っているが、適切な相手をすばやく選んでグループを作り、写真やビデオなど多様なコンテンツを簡単に共有できる主要なサービスといえばやはりFacebookグループ以外ない。またFacebookは近くリリースされているという噂の“Facebook At Work”などエンタープライズ向けプロダクトにも力を入れている。Groupsアプリは企業内コミュニケーション・ネットワークとしてSlackやYammerの強力なライバルになりそうだ。

Facebook Group Promo Video

グループにスポットライトを当てる

1年ほど前に、Facebook本社で開催されたMobile Dev Dayカンファレンスで私がマーク・ザッカーバーグをインタビューしたとき、彼はその予告ともいえる発言をしていた。 「グループのような機能はどうしてもメインのアプリでは二級市民的扱いになってしまう。メッセンジャーもそうだ。こうした機能が潜在的能力をフルに発揮できるようにするには将来アプリはもっと専門化していけねばならないと思う」と語っていた。

Facebookは2011年にスタンドアローンのメッセンジャー・アプリをリリースしているが、その他の機能についてはメイン・アプリのメニューの奥に隠されたままの状態が続いてきた。

グループがFacebookに追加されたのは2005年と非常に古い。当初は学生がパーティーの参加者募集に使うぐらいだった。しかし2010年にグループがアップデートされ、ニュースフィードが独立して、特定の相手とだけコミュニケーションするツールとなった。しかし、モバイル版での利用はやはり低調だった。

Facebookがグループのスタンドアローン化に取り組み始めたのは今年の2月だという。私の取材に対してSunは「グループ・チームはずっと前からスタンドアローン・アプリを考えていたが、モバイル化の進展と共にその必要性が急激に高まった」と語った。現在、Facebookユーザーのうち4億5600万人が「モバイルのみ」だ。そこでメッセンジャーに次いでグループについてもスタンドアローン・アプリの開発が決断された。

スタンドアローン・アプリの新機能

スタンドアローン・アプリではデザインが使いやすくなり、高速化されているが、基本的にはグループの機能には変化はない。

ただし、グループ・アプリには新しく「おすすめのグループ」というセクションが設けられている。これはユーザーが過去に「いいね!」したグループ、ユーザーが参加しているグループに似たグループ、ユーザーの住む地域のグループなどを紹介、推薦するものだ。

当面、Facebookにはこのアプリを収益化する計画はない。Facebookはニュースフィードの広告で十分な売上を得ている。ただし、将来はグループの通販への利用をビジネス化する可能性はある。

たとえば、インド洋に浮かぶ島国家のモーリシャスでは全人口の4分の1にあたる25万人がひとつのFacebookグループに参加しており、このグループはCraigslistのような汎用案内広告として機能している。このグループを運営している会社は購入ボタン を設置しており、クレジットカードを登録してあるユーザーはその場で買い物ができるようになっている。これは将来、ピア・ツー・ピアの個人間売買のプラットフォームに成長する可能性があるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Video:Nokia、自社制作のZ Launcherを搭載したiPad miniサイズタブレットをリリース


 
Nokiaがヘルシンキで行われたSlushカンファレンスにて、タブレットを発表した。

Microsoftに売却されずNokiaとして残った部門が、iPad Miniサイズ(7.9インチ画面)でAndroid Lollipopの走るタブレットをリリースしたのだ。

上のビデオからもわかるように、AndroidのZ Launcherを強く打ち出してもいる。これはアプリケーションを呼び出す際に、頭文字を手書きすることで行えるようにするなどの機能を盛り込んだ、Nokiaの開発したランチャーだ。ランチャー単体をGoogle Playストアからダウンロードすることもできる。しかしNokiaとしてはハードウェアと一体で、ランチャーの魅力も強く訴えようとしているのだろう。

販売価格は249ドルで、まず中国市場に投入されることになる。ゴリラガラス3を搭載し、重さは318グラム、8メガピクセルのリアカメラと、5メガピクセルのフロントカメラを備えている。通信はWiFiのみに対応している。

デバイスおよびサービス部門をマイクロソフトに70億ドルで売却して以来、初めて世に送り出すデバイスとなる。Microsoftとの取り決めにより、Nokiaは2016年1月までスマートフォンを製作することはできないが、電話以外のものは作ることができるようになっている。それで、今回のタブレットがリリースされたわけだ。

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(翻訳:Maeda, H


エディタもコンパイラもデバッガも何も要らない…ブラウザ上で完全な開発サイクルをサポートするSourceLair

コードの編集(エディット)なんて簡単だ。Vimをちょっと使えて、PHPをちょっと知ってて、あと、そばに缶ビールでもあれば、分からないことはGoogleの検索で調べながら突っ走れる。でも自分の(or会社の)サーバ使えないプロジェクトや、コードを書く環境がないときはどうするか? その答の一つが、SourceLairだ。

このフリーミアムのサービスを使うと、ブラウザの中に居たままでプロジェクトを作れる。言語はPythonとRubyとHTML5とJavaScriptとPHPとC++をサポートし、ブラウザ上でLinuxのシェルも使える。プロジェクトの実行も簡単にできるし(たとえばこれはぼくのプロジェクト)、バージョン管理にはGitやをMercurial使える。

ファウンダは全員ギリシャのアテネ大学の出身で、これまでにいくつもの大きなプロジェクトや、大企業のdev部門を経験している(Warp.ly、ARM、Niobium Labsなど)。彼らはこのほどNational Bank of Greeceから25万ドルを調達し、今は約1000名のユーザを抱える。

協同ファウンダのParis Kasidiarisは次のように語る: “SourceLairは既存のソフトウェア作成ツールをブラウザ上にポートしたわけではない。むしろメインのコーティングツールであるIDE(これもブラウザ上)の中へGitHubやJIRAやHerokuなどなどのサービスを統合して、より強力な開発体験を作り出しているんだ。 SourceLairは大学の研究課題から始まった。ぼくらは全員、プログラムを書くことが好きだけど、デスクトップやラップトップに大量のソフトウェアをインストールしてからでないと何も始められないのは、かったるい。そこで、何もインストールしなくても、ブラウザ上であらゆるツールを使えたら、どんなプログラミングでもすぐに初められるのに…、と思ったんだ。

たしかに、こいつは使える。ブラウザ上でIDEが使える状態になるまで1〜2分、その後はずっと快調だ。プロジェクトを一つ作るだけなら無料だが、1ヶ月にプロジェクトを10個開発するなら月額8ドルを払う。ソースを保存するためのファイルシステムやフォルダも使える。プロジェクトの本格的なテストランにはDigital OceanやAWSを使うべきだろうが、毎回のビルドが終わったらすぐに動かしてみる、というプログラミング過程における実用目的のためなら、これで十分だ。

これまでは、新しいプラットホームでIDEが使えるようになるまで30分ぐらい、何度もapt-get(Ubuntuのパッケージインストールコマンド)をする必要があった。このSourceLairのようにすぐにコマンドプロンプトが出て、(使い方を知るための)デモページも見られるツールは、とくに初心者の負担を大幅に軽減してくれるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GPSを内蔵して位置が追跡できるスーツケース、Indiegogoで100万ドルを集める

ウェアラブルからムーバブルへとセンサーの進化が止まらない。 今度はBluetoothでユーザーのスマートフォンと接続し、内蔵GPSで位置を教えてくれるスーツケースが登場した。それ以外にも数々のスマート機能を持つこのスーツケースは目下Indiegogoのクラウドファンディングで100万ドルを集めている。

Bluesmartのキャスター付きスーツケースにはGPSの他に37ワットのリチウム・イオン・バッテリーを内蔵しており、スマートフォンその他のデバイスを充電できる。多くのビジネス出張者が電源のない場所で立ち往生した経験があるはずだからこの機能は大いに魅力的だろう。

スーツケース自体の外観は標準的なもので、サイズは54cmx 35cmx 23cm 34リットルだ。また持ち主のスマートフォンから一定距離離れると自動的にロックがかかったり、アプリでアラームを鳴らしたりす機能もある。.

またデジタル秤が内蔵されており、専用アプリでスーツケースの重量がどれほどになったか知ることができる。また空港のセキュリティ・チェックの際にノートパソコンやタブレットなどデジタル機器をすばやく取り出せるポケットも設けられている。

またBluesmartのアプリはスーツケースの移動をモニタし、移動距離、移動時間、訪問した国、利用した空港などの情報が記録される。また次に予定しているフライトの情報もリアルタイムで表示される。

アメリカに本拠を置くBluesmartチームは、すでにBluetooth接続機能を備えたプロトタイプを完成させているという。製品の出荷は来年の8月を予定している。

現在継続中のキャンペーンは締め切りまであと8日を残して、すでに4500人の出資者から100万3500ドルの出資の約束を取り付けている。当初の目標額はわずか5万ドルだったから、量産を開始するには十分以上の額だ。とはいえ、iOSとAndroid向けの専用アプリの開発を始め、なすべきことは山のように残っている。.

Indiegogoでは235ドルの出資でスマートスーツケースを1個入手できる。Bluesmartによれば、正規の市販価格はその倍程度になるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


デベロッパーが離れ、Google Glassは第2のセグウェイになりつつある


つい18ヵ月前、Google会長のEric Schmidtは、Google Glassに声を出して話しかけなくてはいけないのは「異様すぎる」と語り、Google Glassが「適していい場所」が存在することを認めた。いや、その。私が思うに、普通の人ならGoogleが何百万ドルも開発に費やすずっと前に、それをGoogleに言えただろうし、当時私が書いたように、単にGlassが大衆向け端末になる資格のない製品だったというだけだ。私の予言は、Glassがこの時代のSegwayになることだった。大変革をもたらすと喧伝されながら、倉庫げ働く人とショッピングモールを巡回する警察官しか使わかった乗り物だ。実際、Glassはこの監視の時代と完璧なペアをなすかもしれない。

Now Reutersの記事は、アプリ開発者がこのデバイスを見捨てた明らかな証拠を暴露している。

Reutersが接触したGlassアプリメーカー16社中9社が、開発を中止したことを認めた。一方、Glassアプリを支援するベンチャー基金、”The Glass Collective” はもやは存在せず、Glassページにリダイレクトされ、Glassチームからは主要メンバー3名が離れた。

たしかにFacebookとOpenTableは、今もGlassとの関係を保っており、公式Glassウェブサイトのアプリ100本のうちの2つである ― しかし、公式Twitterアプリは削除されている。

ちなみにGoolge共同ファウンダー、Sergey Brinは最近、ふだん必ず着用していたGlassなしでレッドカーペットイベントに出席した。これは開発中止の兆候だろうか?

Reuterの情報源は、消費者向け一般公開は2015年に「延期」されるかもしれないと言っている。Googleの人々は、消費者向け発売は予定通りだと言っている。

しかし、もしGoogleが消費者向けにこれを販売するつもりだとして、Googleにとって今できる最も簡単なことは、Glassを支えるテクノロジーを公開して、スタートアップがいじり回せるようにすることだろう。

工業アプリケーション ― 建築、製造、セキュリティー、教育 ― はGlassの将来になり得る。事実Taco BellとKFCは、従業員教育の一手段としてGlassの利用を考えている。そして、このプログラムに参加したデベロッパー5社は、いずれもエンタープライズ分野にいる。

さらばレットカーペット。ショッピングモールとマクドナルドで会いましょう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


「読書」を「ソーシャル化」する新たな電子書籍リーダーのGlose

スマートフォンやタブレット、あるいはノートPCなどでも利用できる電子書籍リーダーのGloseをご存知だろうか。これまでの電子書籍リーダー(Kindleなど)にソーシャル要素を加えたものだ。書籍の内容を友だちや、他のGlose利用者と話し合ったり、あるいは簡単にメモを共有したりすることもできる。友だちの書いた注釈メモなどを眺めて、その本を読む前からいったいどのような内容なのかを理解することもできる。ある本に興味を持った人たちを、ソーシャルに繋ぐサービスを展開しようとしているわけだ。

それに加えて、電子書籍ストアとしてのサービスも展開している。サービス開始時点で、Penguin Random House、HarperCollins、HachetteおよびMacmillanなど、5大出版社中の4社などの、30万冊を扱っている。価格はKindleストアやiBookストアと同程度だ。他の電子書籍販売サービスと同様に、一度購入すれば対応しているさまざまなデバイスで本を読むことができる。

最初に登録すると、Gloseはいくつかの本をレコメンドしてくるようになっている。レコメンドされた本には、より多くの注釈などが登録されていて、サービスの機能をよりわかりやすく楽しめるようになっている。

当方ではBen HorowitzのThe Hard Things About Hard Thingsを試してみた。ベータサービス段階で多くの人がこの本を読み、そしてたくさんのメモを残している。興味深いメモも多く、ぜひとも続きを読んでみたいという気持ちになった。どうやらGloseはノンフィクションとの親和性が高いようにも感じる。このTha Hard Things About Hard Thingsの場合、テック業界で働いていて、本書の内容を実際に体験した人の話なども掲載されていた。

「本を読むときはメモを手元において、後で暗唱したい言葉などを抜き書きしていたものでした」と共同ファウンダー兼CEOのNicolas Princenが電話インタビューに応えて言っていた。「そして、そのノートはなくしてしまったのです」だそうだ。

そんなことがあってPrincenは、デジタルツールを探し始めた。もちろんEvernoteなども試してみたそうだが、どうにもしっくりくるものが見つけられなかったそうだ。そのような中、共同ファウンダー兼CTOであるJulien Chaumondと共に、複数の人で同じ本を読みながら意見をやりとりするようなプラットフォームを作ろうと考えたのだそうだ。

もちろん、全く新しいサービスであるというわけでもない。たとえば本を読む人に向けたソーシャルサービスとしてはGoodreadsが有名だ。しかし、たとえばこのGoodreadはモバイルでは使いにくいし、またインタラクティブなサービスとは言えない。言うならばIMDbの書籍版といった感じで、本を読む前ないし読んだ後に参考にするようなページだと言えよう。本を読みながら利用するといったサービスではないわけだ。

現在のところ、電子書籍の楽しみ方は、従来の印刷された本を読むのとさほど変わらない状況にある。インタラクティブなコンテンツやサウンドトラックなどを求めているわけではないので、従来と変わらないというのが悪いわけでもないだろう。しかしGloseはそこに「違い」をもたらすサービスであると言えるかもしれない。紙の本を読むのと同じようなスタイルで読書しつつ、同時に他の読者からの情報などを同時に咀嚼していくことができるわけだ。

アプリケーションは現在iOS用がリリースされていて、Android版も間もなく登場予定なのだそうだ。アプリケーションを起動するとプロフィールページが開かれ、そこには最近ハイライトした部分や、メモなどが表示される。また、他の人がコメントしていたり、お気に入り登録していれば、やはりこのページに表示されるようになっている。画面下にタブが用意されていて、タブを切り替えることで本棚を確認したり、電子書籍ストアを見て回ったり、さらには友だちのハイライト内容などを見ることができる(訳注:ハイライトのフィードは友だちからのものと、全員からのものを見ることができ、同じアプリケーションを使う友だちが少ない状態でも十分楽しむことができそうです)。

本を読んでいくための機能は、とくに充実しているというわけでもないようだ。フォントの変更もできないし、フォントサイズも2種類しか選べない。他の機能といえば、背景を白くするか黒くするか程度のものだ。テキストの横に、ハイライト数やコメント数を示す数字が表示されるようになっている。

数字をつけているのは、大量のメモなどを電子書籍の中に表示して、本文を読みにくくすることを防ぐためだろう。それでも邪魔に感じるようであれば、表示される数字を友だちからだけのものに制限したり、あるいは自分自身のものだけにすることもできる。このようなフィルタリングができる点で、Kindleなどとは違っているわけだ。

「他の電子書籍リーダーでは、ハイライト動作が難しく感じることも気になりました」とPrincenは言っている。「私たちが最初に実現したのは、ワンタップでのハイライト機能です。テキストをセンテンスないし短いパラグラフ毎に区切って、ハイライトする範囲を確認しているのです」。

最初はあまり良い方式に思えないかもしれない。するつもりがないところをハイライトしてしまうことも多い。画面を触るたびにハイライトされてしまうのもうるさく感じてしまう。しかし、操作になれてくると、このワンタップ式のハイライトがとても便利に思えてくる。ハイライトするのが簡単なあまり、少しでも気になったところを簡単にハイライトしておくようにもなる。Instagramの写真をお気に入りに登録するのと同じくらいの意識でハイライトしておくようになるのだ。

「ワンタップでのハイライト機能を搭載してから、利用率が3倍ないし4倍となったのです」とChaumondは言っている。「よりインタラクティブに使ってもらえるようになったおかげで、アプリケーション内で過ごす時間が大いに伸びたのです」とのこと。

ハイライトした部分は、すべてプロフィールページに表示される。すなわち、自分のためのノートとしても活用できるわけだ。自分用とソーシャルでの活用という、双方のいいとこ取りを狙ったアプリケーションだと言えよう。

本文にメモをつけようと思った場合、メモはテキスト、写真、およびビデオでも付けることができる。投稿したメモについては、他の利用者がプラス評価したり、あるいはマイナス評価したりすることもできるようになっている。メモを閲覧する立場からすると、人気の高いメモを簡単に見つけることができるわけだ。

ちなみに、最近はOysterやScribdのように「読み放題」オプションを提供するところも多いが、Gloseはそうしたメニューを提供していない。書籍の販売に関してはトラディショナルなモデルを採用しているわけだ。すなわち、GloseはOysterやScribdとは違うところを目指しているということなのだろう。販売スタイルについてはAmazonと直接競合するようなところで勝負しようとしているとも言える。

Gloseの提供するコミュニティ機能のために、他の電子書籍リーダーの利用者が移ってくるような事態になるのかどうかは今後を見守りたい。とりあえず、大手出版社ときちんと繋がっているところが、新たな機能を試みていることを評価しておきたい。新たな読書体験を見出そうと努力しているアプリケーションが、新たなコミュニティを築くことを期待していたいと思う。

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(翻訳:Maeda, H


Google Inboxを使ってみた―優れたアプリだが、まだGmailからの全面移行には踏み切れず

編集部:この記事はBrian Clayの執筆。Clayはユタ州に住むテクノロジーライター、テクノロジー・エンスージアスト。結婚して2年目で、ノースカロライナ州出身。

数週間前にGoogleの新しいメール・アプリInboxを入手できた。たいへん優れたアプリだと思ったが、いくつかの問題を発見したため、まだ私のメインのメール・アプリとはなっていない。

まず良いニュースから。

UIはオリジナルのGmailアプリよりむしろ洗練されており動作も速いだ。Nexus 6のような巨大なデバイスを使っている場合、片手操作が楽だ。たとえばメールを読んでいてinboxに戻るには上にスワイプするだけでよい。Inboxは私が最後にメールを出した相手を覚えていて、次にメールを作成するときに宛先候補のトップに表示してくれるのも便利だ。

やや疑問が残る機能はバンドルというメールの自動区分だ。Inboxは着信したメールを自動的にカテゴリーに振り分ける。フライトの確認メールが来ると自動的に「トラベル」というバンドルに入れられる。プリセットのバンドルはトラベルの他にショッピング、ファイナンス、ソーシャル、アップデート、フォーラム、プロモーションと7種類用意されている。ユーザーも独自に定義したバンドルを作成して追加できる。ママから毎日メールが届くなら、それは受信トレイではなくアップデートのバンドルに直行する。

私は全部のメールをまとめて一覧したい。こうしたばらばらのバンドルをいちいち開くのはかなり面倒である。そこで私は今のところバンドル機能をオフにしている。

一方、一定時間後にメールを再表示してくれる「スヌーズ」機能はすばらしい。私はサードパーティーのスヌーズ・プラグインを使っているが、メールアプリに内蔵されていればもちろん便利だ。ロケーション・ベースのスヌーズ機能は非常に役に立つ。

デスクトップ版のInboxもオリジナルのGmailより直感的に使える優れたUIデザインだと思う。特にハングアウトとの連携はオリジナルGmailの1000倍も良い。

ところがInboxには不満を感じる部分もいくつかある。

最大の問題は、@gmail.comのアドレス宛のメールしか扱えないことだ。つまり仕事上のメール・アドレス宛に来たメールを開くにはどうしてもオリジナルのGmailアプリに行く必要がある。そうなると2つの別々のアプリから着信通知が来ることになりわずらわしい。オリジナルのGmail 5.0でサポートされるようになったPOP3やIMAPをInboxがサポートする計画があるのかどうか不明だ。

もうひとつ、大量のメールを受け取るユーザーにとって困るのが、「全て選択」の機能がないことだ。この機能はGmailアプリにもないが、デスクトップのGmailにはある。Inboxではデスクトップにもアプリにも「全て選択」がない。

私はInboxとGmail 5.0のパフォーマンスを簡単に比較してみた。Moto XをWi-Fi接続状態で、一週間分にわたって、送受信にかかる時間、ロード時間、クラッシュ回数 を測り結果をグラフにまとめてみた。〔スライドショーは原文参照。Inboxの方が送受信、ロード時間とも多くかかる。クラッシュ回数はInboxがやや多いが双方とも回数が少ないので有意差があるとはいえない。〕

Inboxの利点は大きいので、私は仕事用のアドレス宛のメールがInboxで受け取れるようになり次第、こちらをメインのメールアプリとして使ってもいいと考えている。残念ながらそれまではGmailを使い続けなければならないようだ。

*グラフはDataHeroを利用。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


女性利用者の多かったPinterest、男性利用者が急増中

Pinterestを利用する男性が増えているらしい。面白そうな小物やレシピ、可愛らしい洋服などの写真が多く掲載されていて、これまで女性利用者が多数を占めてきた。70%が女性であるとか、あるいは80%ほどにもなるのだというレポートもあた。しかしPinterestが公表したところによると、最近は男性利用者の伸びが女性を上回っているのだそうだ。サインアップする利用者数でみると、男性が3分の1を占めるまでになっているのだとのこと。

さらに、Pinterestの発表によれば昨年1年間でアクティブな男性利用者数は倍増したのだとのことだ。いつものように、アクティブ利用者の実数についての発表はなかったが、comScoreの推計とあわせて考えてみても良いだろう。comScoreのデータによると、Pinterestの月間アクティブ利用者数は7000万であるとのことだ。

ともかくPinterestは、アメリカ国内におけるPinterestの男性利用者数はSports IllustratedとGQの読者を併せた数よりも多いのだとアナウンスしている。どうやらPinterestでは、男性利用者数も大きな割合を占めることになりつつあるようだ。

さらに、アメリカ国外でPinterestがマーケットを広げつつある国では、男女の割合が均衡する傾向もあるらしい。たとえばインド、韓国、および日本では、男性利用者数の割合が50%にのぼっているらしい。

この数値は今週サンフランシスコで開かれた開発者向けイベントで発表されたものだ。但し、この発表には以前と同じデータも含まれていた。たとえばPinterestには300億のpinが存在すると言っているが、これは4月の数値をそのまま使っているようだ。四半期毎に25%の成長を遂げているというのだから、4月時点と同じ数字ということはないだろう。Pinterestの成長が滞って利用者が伸びていないということではなく、どうやらPinterestには最新の数字を外部と共有しようという意識が低いようだ。

サイトには毎秒12万以上のリクエストがあり、日々20テラバイトのデータを扱っているという話も出てきていた。そしてそのうちの75%がモバイルとの間に生じるものだとのこと。そういえば以前にも、リクエストの75%はアプリケーション経由であるという話があった。

データの紹介と同時にアナウンスされたのだったが、半年前にリリースされた検索機能も、うまく機能しているようだ。以前に比べて検索頻度は25%も伸びているらしい。さまざまなプロダクトなどを探す検索エンジンの機能(ショッピング用Google?)も包含しようとするPinterestにとっては、良い数値が出てきているようだ。

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(翻訳:Maeda, H


TC Tokyoにメルカリ、スマニュー、BrainWarsが登場! 世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?

photo by
Steve Cadman


左からトランスリミット高場大樹さん、メルカリ小泉文明さん、スマートニュース鈴木健さん

600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、500万ダウンロードに達したニュースアプリ「スマートニュース」やリアルタイム対戦型脳トレアプリ「BrainWars」――。3つのプロダクトに共通している点がある。いずれも海外市場を戦いの舞台としていることだ。これらのプロダクトを手がける3社が、「TechCrunch Tokyo 2014」2日目の11月19日に登場することが決まったので、お知らせしたい。

これまで、いくつものスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。そんな中、TechCrunchでも伝えたように、スマートニュースは10月にリリースした英語版が米App Storeのニュースカテゴリーの1位を獲得。米メディア界に豊富な人脈を持つメンバーを次々に採用するなど、人材面でも海外展開を加速していることが伺える。

BrainWarsはリアルタイムでのオンライン対戦が可能な脳トレゲームアプリ。友人や世界中のユーザーとリアルタイムのマッチングを行い、各種脳トレゲームの対戦スコアを競い合える。公開から5カ月で500万ダウンロードを突破し、海外ユーザー比率はなんと95%。米App Storeのゲームカテゴリで1位を獲得している。

BrainWarsを手がけるトランスリミット代表取締役の高場大樹さんは、創業当初のインタビューで「脳トレは非言語コミュニケーション。どこの国の人でも共通の土台で戦える。年齢も子どもから大人までカバーできるので提供範囲も広い」と語っていたが、その狙い通りに海外展開が進んでいるようだ。

10月にはLINEの投資ファンドなどから総額3億円を調達。LINE執行役員の舛田淳さんが「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」と評価するように、海外市場を狙える数少ない日本のプロダクトの1つと言えそうだ。

国内のフリマアプリ市場で存在感を示すメルカリは、今年3月にサンフランシスコに子会社を設立。9月に米国でのサービスを開始した。メルカリ代表取締役社長の山田進太郎さんは、「何から何まで日本と事情が違う」と驚きつつも、1日の出品数が数千件に上るなど、順調な滑り出しを見せている。立て続けに実施した大型資金調達を受け、米国でのマーケティングを本格化していくそうだ。

TechCrunch Tokyo 2014では、スマートニュース代表取締役の鈴木健さん、トランスリミット代表取締役の高場大樹さん、メルカリ取締役の小泉文明さんにご登壇いただき、世界市場で戦えるスタートアップに必要なものは何なのか、といった話を伺う予定だ。

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FlicとCleenは、iPhoneのカメラロールを簡単に管理できるアプリ


iPhoneユーザーがカメラロールの写真を整理するのを速く、かつおそらく楽しくするアプリを2つ紹介する。iPhoneの写真を簡単に削除できるようにすることでストレージ容量を空けることができる。Flicと、公開されたばかりのCleenは、どちらも「カメラロールのためのTinder」と言ってもよいだろう。人気の出会い系アプリと同しように、ユーザーは写真を左か右(Cleenでは上か下)にスワイプして削除あるいは保存する。

2つのアプリは非常によく似ている。どちらもシンプルなデザインで、殆ど設定の必要がなく使い方も簡単だ。

Flicの使用体験はTinderに似ている。アプリを開いて写真へのアクセスを許可すると、メイン画面に写真が1枚ずつ表示される。その写真をごみ箱に捨てたければ左にスワイプする。とっておきたければ右にスワイプする。間違えた時のための「Undo」ボタンもある。

処理した写真が増えると、「ごみ箱」が一杯になってくる。ごみ箱を空にして写真を端末から削除するとどれだけスペースが増えるかも表示される ― 削除前にごみ箱の写真を見直すこともできる。

今日公開された新しいアプリのCleenは、Tapsbook.comの共同ファウンダー、Sherwood Yaoの作品で、やや異なる体験を提供する。左右にスワイプして削除または保存する代わりに、こちらは上にスワイプするとお気に入り、下にスワイプすると削除だ。ごみ箱の中の写真はいつでも確認できる。

Cleenでは、表示される写真がライバルのFlicよりやや小さいため、細かい部分を見て削除するかどうか決めたい時には少々不便だが、追加機能がいくつかある。「お気に入り」オプションを使うことによって、iOSの「お気に入り」アルバムに写真を追加することができる。これはiOSの写真アプリでハートアイコンを一つづつタップするよりずっと早い。さらに「あとで」機能は、お気に入りにするか削除するかすぐには決められない写真を後回しにできる。

シンプルなツールではあるが、FlicやCleenのようなアプリは、今やめったにデスクトップやノートパソコンに端末を繋がなくなったiOSの世界では、非常に重要な役割を果たす。パソコン上ではどのファイルがストレージを占めているかをもっと詳しく知ることができる。

覚えておいでだろうが、iOS 8が公開された時、多くのiPhoneユーザーがアップグレードを控えたのは、WiFi経由のインストールに多くのスペースが必要なためだった。アプリや写真を削除すてスペースを空けるユーザーも多くなったが、よく状況もわからずにやっていることもある。これらの写真管理アプリを使えば、削除した写真がどれだけのスペースを空けてくれるのを簡単に知ることができる。

ああ、誰かアプリ用にも作ってくれれば…

Flic(1.99ドル)とCleen(無料)はiTunesでダウンロードできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


自己消滅メッセージに、アニメーション機能を追加して世に問うBoop

Snapchatの登場によって広まった、自己消滅型のメッセージアプリケーションはいろいろなものが登場してきている。バリエーションもそろそろ尽きるだろうと思われる中、インターネットでの「忘れられる権利」との絡みもあり、まだまだ新しいものが登場してくるようだ。

たとえば少し前にはTapkastの記事を掲載した。これは誕生当時のTwitterが目的としていたように、友人たちにステータスアップデートのメッセージを送ることを目的としたものだ。ステータスアップデートは所定の時間が過ぎれば消えてしまう。

そして今回紹介するのはBoopだ。自己消滅アプリケーションに、ちょっと面白い仕組みを組み込んだものだと言えるのではないだろうか。iOS版Android版があるのだが、メッセージがアニメーション形式で表示されるのだ。文章を表示する際、1語ずつ画面に表示されるのだ(絵文字にも対応)。1語ずつ表示するという仕組みも、さらにスクリーンキャプチャがしにくいといった側面も、ともに「自己消滅型」っぽさをアピールする仕掛けだと言えるのではなかろうか。

(訳注:日本語の場合、スペースで区切ると区切り毎にメッセージが表示されるようになります。そしてこのワンワード毎に表示するスタイルは、なかなか面白くも感じます)

「自己消滅型メッセージサービスにはいろいろな魅力があって、まだまだ利用者にアピールできるところがあると考えているのです」と、Boopの共同クリエーターであるDave Ganlyは言っている。「シンプルな使い方でありながら、これまでにはない特徴を備えたプライベートなメッセージングアプリケーションを生み出したかったのです。コミュニケーションに新たな面白さを投入できたのではないかと思うのです」。

確かに、Boopは遊び心を感じさせてくれる。

ちなみに、筆者はこのBoopを通じてGanlyにインタビューをしてみた。画面上を文字がどんどん流れていってしまい、全部を覚えておくなどということはとてもできなかった。しかし後で気づいたのだが、実はアニメーション速度はセットできるらしい。将来的には電話番号と利用者名をリンクして、スマートフォンに保存しているアドレス帳に基づいた友達設定などもできるようにするつもりであるようだ。

「テキスト版スナップチャットというイメージでとらえてもらって間違いはないかと思います。スナップチャットが本家とも言うべき存在ですが、Boopもオリジナルな機能を付け加えています」とGanlyは述べている。「自己消滅型という面では同じ機能を持つわけですが、アニメーションを導入して、若者に一層フォーカスしたスタンスをアピールしているのです」。

(Update:同様の機能を持つものにHumbugがあるようだ)

Boopは無料アプリケーションで、とくに収益の仕組みなどが寝られているわけではない。Ganlyにとっても、「面白そうなことの実験」をしてみようとしたレベルのものであはあるようだ。しかし開発母体は十分な体力を備えているようではある(以前にも実験的アプリケーションとして、ミームジェネレーターのYarrlyをリリースしたりもしている。

Boopにどれほどの注目が集まるものなのかどうかについてはまだわからない。しかしAPIも準備中であり、ベータ段階に近いレベルにあるとのことだ。APIを実装することで、天気をBoopしたり、Apple StoreでのiPhoneの在庫状況チェックなどにも使えるようになるだろう。「当初より絵文字には対応しています。これに加えてステッカーなどのスポンサード・ブープなども使えるように準備しているのです」とのことだった。

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(翻訳:Maeda, H


犬のためのAirbnbサービスを手がけるDogVacay、新たに2500万ドルの資金を調達

Fortuneの記事によれば、DogVacayがシリーズB1にて2500万ドルの資金を調達したとのことだ。

DogVacayとは、犬用ホテルの代替となるサービスを提供している。2012年に運営を開始しており、調達額の合計は4700万ドルになる。2013年10月に1500万ドルを調達したシリーズBはFoundation Capitalがリードし、以前から出資していたGSV Capital、Science Inc.、First Round Capital、Benchmark、Foundation Capital、およびDAG Venturesなどが参加して行われていた。

DogVacayサービスの利用スタイルは2通りになる。すなわち、犬を預かる側か、あるいは犬を預ける側だ。旅行に行く時に飼い犬を預けたいと考えたとき、信頼できてかつ良心的な価格で預ける先を見つけることができるようになる。カスタマーサーポートには毎日24時間体制で対応しており、飼い主および飼い犬が最適なケアを受けられるようにするための保険も用意している。従来のペットホテルサービスと比較すれば安価ながら、しかしケージに閉じ込めることなく、十分な愛情をもって面倒をみることを約束している。

このDogVacayだが、昨年1年でかなりの成長を遂げた。犬を預かる側の人は現在、2万名が登録されている。また先月には、犬たちの「宿泊日数」も100万日に到達した旨を発表していた。このうち90%は、この1年半のうちにカウントされた数値なのだそうだ。間違いなく、サービスは成長の波に乗っているようだ。

調達資金はサービスの拡大・拡充のために使っていくのだそうだ。

但し、サービスを拡大していくと、品質維持やカスタマーケアなどの面で難しさも出てくるのではなかろうか。そんな疑問を共同ファウンダーであるAaron Hirschhornにぶつけてみた。

「ビジネス規模が広がっていく際、カスタマーケアこそが最重要課題であると常に意識しています。前業務の半分は、このカスタマーケアに向けられています。評価や感想など、あらゆる話に耳を傾け、適切な判断および運営ができるように心がけています」とのことだった。

DogVacayが目指すのは、もちろん「全員の満足」だ。一度に面倒を見ることのできる頭数は3頭までとし、満点以外のレビューについては必ずフォローアップを行なっているのだとのこと。ちなみに現在のレビュー平均は5点満点で4.96となっている。

さらにDogVacayでは厳格な基準を定め、かつトレーニングなども用意して、品質の高いサービスを維持するための努力を継続的に行なっている。ホストとして仕事をするためには書類審査を経て、教育用ビデオを見て、そしてテストにもクリアする必要がある。電話インタビューも必須であり、またいったんホスト役としての仕事を始めても、継続的に教育を受ける必要がある。

DogVacayは預ける際の料金から15%を取る仕組みとなっている。現在のところ、ホスト役での利用者の20%が収益の80%を生み出しているのだそうだ。一部の人はフルタイムの仕事として犬の預かり業務を行なっていて、年間7万ドルから9万ドルを得ているのだとのこと。ホスト役のうち残りの80%の人は、タイミングを見て預かり業務を行なっているとのこと。この80%が残り20%の利益を生んでいる。この利益がいったいいくらであるのかについては教えてもらえなかった。

Hirschhornは「現段階ではより多くのペットシッターに登録を促したいとは考えていません」と述べている。「実際のところ、ペットシッターになりたいという申し込みは10万件以上もありました。そのうちに登録をお願いしているのは2万件だけです。私たちは量よりも質を求めているのです。有能な方々と一緒に、さらにハイレベルなサービス実現を目指していくことにより、預ける飼い主の方にも、そしてやってくる犬にとっても最善のエクスペリエンスを提供できると考えています」。

DogVacayは現在、アメリカおよびカナダにおける30万の都市で運用中だ。Hirschhornによると、国際展開も視野に入れているのだとのこと。

「私たちの展開するようなサービスを海外にもっていく場合、それぞれの国で全くの0からスタートすることとなり、それがなかなか難しいところです」とHirschhornは言っている。

DogVacayに興味をお持ちの方は、ウェブサイトにいろいろと細かい説明がある。

サービスの仕組みを説明するビデオを下に貼っておこう。

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(翻訳:Maeda, H


iOS版Microsoft Office、無料になってApp Storeのトップへ


「タダ」ほど売れるものはない。現在Microsoft WordはiTunesの無料iPhone/iPadアプリケーション部門のナンバー1で、僅差で追っているのがExcel、PowerPoint等他のMicrosoft Officeアプリだ。これらのアプリは先週の価格変更以来、Apple App Storeでトップを独占している。これまでMicosoftは、iPadユーザーが新規ファイルを作るためにはOffice 365の定期購読を要求しており、iPhoneでは限られた機能しか提供していなかった。しかし、木曜日にすべてが変わった

ついにMicrosoftは、Office for iOSの新たな統合アプリケーション群を公開し、より多くの一般ユーザーが同社のOfficeアプリを無料で使えるようにした。改訂されたアプリには、Dropboxが統合され、同社のiOS市場シェア拡大を目指す「フリーミアム」戦略によって、機能制限も緩和された。

同社は先週、10億人のユーザーがOfficeを使用し、Office for iPadアプリが4000万回以上ダウンロードされたことも発表した。もちろんどちらも立派な数字だ。

しかし、MicrosoftはOffice for iOSの提供を大きく遅らせてきた。モバイルエコシステムが成長するにつれ、Officeの市場優位性を、Microsoft Windowsプラットフォームにユーザーや企業を引き込む手段として使うことを期待していたためだ。その結果、ライバルのAppleとGoogleがそれぞれのモバイル端末と共に、消費者が無料でソフトウェアを利用できる土台を築くことを許してしまった。GoogleのオンラインOfficeソフトウェアは以前から無料だったが、Appleも昨年秋に、同社の生産性向上アプリを新しいMacおよびiOS端末に無料で提供開始した。

評論家たちは、Microsoftのフリーモデルへの参入を遅きに失したと批判するかもしれない。しかし消費者は、今や広く開放されたMicrosoft Office iOSアプリを大挙して使おうとしている。

そして、早期のiTunes評価も悪くない。あるレビュアーは、Microsoft Wordに、使いもしないうちに星5つを付け、それはAppleのPageへの不満があまりにも大きからだった。他には、新価格(「無料」)が最大の利点であると褒めちぎったり、Dropbox統合を評価する人たちもいた。しかし、機能制限やバグへの不満も多く、Wordの総合評価は3.5に留まっている。これは、少なくとも消費者の目から見てMicrosoftはいくつか改善の余地を残していることを示している。

iPhoneでは、Microsoft Wordが#1、ExcelとPowerPointがそれぞれ#8と#10だ。iPadでも、やはりMicrosoft Wordが無料アプリのトップで、Excelが#2、PowerPointか#7につけている。

下に貼ったのはApp Annieのグラフで、先週の発表以来ダウンロード数が急上昇しているのがわかる。

Word (iPhone, iPad)

Excel (iPhone, iPad)

PowerPoint (iPhone, iPad)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


日経、Evernoteに2000万ドルを出資してサービス提携へ

Evernoteは、日本のメディアコングロマリットであり、「日本経済新聞」や英文の「Nikkei Asian Review」などを発行する日経から2000万ドルの資金を調達したとアナウンスした。また日経はEvernoteが先月発表したContextに対応する情報を提供していくことにもなるようだ。

Contextというのは、Evernoteに登録した情報に関連する情報を外部サービスから引っ張ってきて表示する機能だ。英語以外でEvernote Contextに対応するのは日経が最初となる。ちなみにこのContext昨日はEvernote PremiumおよびEvernote Businessを利用している利用者に対し、2015年初頭より提供される予定となっている。

Evernote Contextにより、Evernoteはコンテンツ発見機能を持つようになる。これはTwitterやFacebookも同様に狙う分野であり、端的にいえばアプリケーション内で過ごす時間を増加させようとするものだ。ちなみにEvernoteのCEOであるLibinは、数年以内のIPOも考えていると述べている。

Evernoteの海外利用者の多くが日本人であるという点も、今回の出資話に繋がったのだろう。2013年4月に日本で行われた新経済サミットでもPhil Libinは「利用者の20%および売上の30%が日本からのものです。日本での広がりは、私たちにとってとても大事なものです。100年企業をつくりたいということをずっと言ってきていますが、これも老舗企業の多い日本を見ての発想でした。日本は長いスパンで物事を考えることに慣れているようで、そうした考えとシリコンバレー文化の良い所を組み合わせて成長していきたいと考えているのです」というようなことを述べていた。

Evernote Contextで日経からのフィードを活用できるようになるのは、Contextの日本語化が完了した時点となる。MacおよびiOSでまず実装され、それからAndroidおよびWindowsに展開される予定となっている。

訳注:日経も自社記事にてアナウンスを行なっている(「エバーノートと日経が提携 電子版記事を自動配信」)。

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(翻訳:Maeda, H


Slateはテキスト・メッセージをリアルタイムで日本語など88言語に翻訳するiOS 8キーボード

コミュニケーションというのはいつでも難しいものだが、特にそれが外国語の場合、ハードルは非常に高くなる。コンピュータ翻訳の発達でずいぶん助けられるようになったものの、やはり不完全な翻訳がたびたび起きるし、カット&ペーストを繰り返せなければならないのも煩わしい。App Storeに登場したiOS 8向けソフトキーボード、Slatedはチャットのテキストをリアルタイムで翻訳し、ワンクリックで送信もできる翻訳アプリだ。

Slatedはなんと81ヶ国語の翻訳をサポートする。しかも入力窓にテキストを入力するはしから翻訳していく。ソフトキーボード自体はオートクレクトと候補表示の機能を外しただけで、基本的にiOSのデフォールトのキーボードそのものだから初めて使うユーザーでも戸惑うことは少ないだろう。 入力窓に自国語で入力するとその下の翻訳窓にリアルタイムで翻訳される。sendボタンを押せば相手に送信される。会話窓に表示されたテキストを長押し、コピーすると翻訳窓に翻訳テキストが表示される。

Slatedの開発者、Alaric Coleはわれわれの取材に対して、「もちろんこのアプリはお互いに理解できない言葉を話す同士の会話を可能にするために開発したものだが、キーボードをいちいち切り替えるのは面倒だから、普段のキーボードとして常用してもよい。それに同じ言語の相手とひんぱんい会話していれば知らず知らずに日常よく使われる表現を覚えてしまう」と語った。

私は昨夜、Slatedを少し使ってみた。相手は元TechCrunchで現在はEngadgetの記者、Chris Velazcoだ。Chrisはフィリピン系なのでタガログ語が話せる。しかし構文や綴りにかなりのエラーがあり、大声で読み上げてみてやっと私の送ったメッセージが解読できるということももあった。しかし結局最後にはこちらの意図が伝わった。

Slatedは当初2.99ドルのプロモーション価格で販売されているが、正価は4.99ドルだという。いずれにせよ多言語リアルタイム翻訳アプリにしては非常に安価だ。Translator Keyboardも同種のアプリだが、Slatedは翻訳能力とUIの使いやすさの点で一歩先んじている。正式公開の際にはさらにサポート言語を増やす計画だ。現在アプリはApp Storeで公開されている

いよいよ外国語がバリヤーにならない時代がやってきつつある。驚くべき時代になったものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


羽ばたき飛行するドローン、Bionic Birdがクラウンドファンディング中―ネコも大喜び

鳥か? 飛行機か? いやいや、これは鳥の形をしたBionic Birdというマイクロ・ドローンだ。12月に市販開始予定のこのメカニカル・バードはスマートフォンまたはタブレット上のアプリで操縦される。Bluetooth 4.0接続を利用しており、有効距離は約100メートルだという。

現在Indiegogoでクラウンドファンディング中のBionic Birdのフランス人の開発者はこれを「ひそかなドローン」と呼んでいる。なぜかといえば、バイオミメティクスを利用している、つまり鳥のような羽ばたきで飛ぶからだ。ローターやプロペラを使うドローンに比べてはるかに静かで、自然環境に溶け込む。遠くからは本物の鳥そっくりに見える。

ビデオでもわかるように、あまりによくできているので本物の鳥が仲間だと思ったり、猛禽類がエサになるかどうか確かめに近寄ってきたりするほどだ。

こちらのビデオではネコが大喜びだ。

Bionic Birdのクラウンドファンディングは目標の2万5000ドルをはるかに超えて6万5000ドルあたりを飛翔中だ。これなら無事に量産開始できるだろう。

初期バージョンは1960年代から存在する羽ばたき飛行機をアプリで操縦可能にしたもので、基本的に高級おもちゃだ。

しかしBionic Birdの開発チームは今後サイズや飛行機能を改良していく計画だ。2016年の冬までには尾翼による正確な操縦、安定した連続飛行、ライブ中継可能なHDビデオカメラの搭載などを実現したいとしている。そうなれば鳥に化けたスパイ・ドローンが登場することになる。

現在のバージョンはIndiegogoで1機あたり120ドルの出資で入手できる。出荷は12月を予定している。

バッテリー充電器はタマゴの形をしており、ドローンを上に載せて充電する。12分の充電で8分の飛行10回が可能だという。

胴体は柔軟なフォーム素材でできており、着陸の衝撃に繰り返し耐えられる。羽根と尾翼は軽くて丈夫なカーボン・ファイバー製で、交換可能。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Google Inboxを使いたい人は、今朝の「ハッピーアワー」に申し込めば確実に招待される


Googleは、Inbox招待プログラムを拡大して新たな「ハッピーアワー」を提供する。今日(米国時間11/5)西海岸時刻 3 pm~4 pm[日本時間11/6 木 8 am~9 am]の間に、inbox@google.com にメールで申し込めば、今日の5 pm[同10 am]までにアクセスが保証される。

まだアクセスの順番を待っていた人にとって、これは最も確実に招待状を確保できるチャンスだ。なお、現在Inboxを利用できるのはGmailの個人アカウントのみなので、Google Apps経由でメールを利用している人は、少なくとも今はサインアップできないことに注意されたい。

GoogleのInboxは私に最も興味を抱かせた非伝統的メールアプリであり、Mailboxを含む他の新種メールアプリには惹かれなかった私も魅了された。アプリは、Googleが通常のGmailの自動カテゴリー分け機能や、モバイル用アシスタントアプリGoogle Nowで培った機械学習知能を有効活用している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


スマートなピルボックスを目指すMemo BoxがKickstarterキャンペーン中

ケンブリッジ大学の学生が、スマート・ピルボックスのクラウドファンディングキャンペーンを展開している。キャペーンを行なっているのはKickstarter上で、目標額は£30,000($48,000)だ。プロダクトの名前を「Memo Box」といい、Bluetoothによる接続機能をもったピルボックスとなっている。2年間をかけて開発してきたものを、いよいよ市場に出そうとしているそうだ。

このピルボックスはスマートフォンと接続する。ピルボックスを忘れて外出しようとしたときなど、AndroidないしiPhoneアプリケーションを通じて通知してくれるようになる。また蓋の開けられた時間などを記憶して、予定時刻になっても蓋が開かないような場合、飲み忘れているのではないかとオーナーに警告を送ってくれたりもする。

共同ファウンダーのMeichen Lu曰く、アラームもインテリジェントになるべきだと話している。たとえばいつもピルボックスを開くのと近い時間に開いたのなら、おそらくは薬を飲んだのだろうと考えられる。それであれば、設定時刻になったからといってもアラームを鳴らさないようにすべきだと言うわけだ。

もちろん蓋を開けたから薬を飲んだのだろうというのは仮定に過ぎない。薬を箱から出したけれど飲むのを忘れてしまったというような事態には対処できない。命に関わるような薬について、このピルボックスのアラートを完全に信頼するのは危険なことなのかもしれない。しかし、日常的なダイエットサプリメントなどの場合については、十分なインテリジェンスを持つものだと言って良いように思う。

「ダイエットサプリメントなどの飲み忘れを防ぐのに使って貰えればと思います。このMemo Boxは利便性と正確性のバランスをとったところでの機能を提供しているものなのです。薬を飲んだかどうかの判断にはベイズ推定モデルを使っていて、ピルボックスを開いたならば薬を飲んだのであろうと判断するようになっています」とLiuは言っている。「たとえば、いつもの時間よりも1時間はやくピルボックスを開けた場合にも、おそらくはちょっとした時間のぶれであるだろうと判断するようになっているのです。もちろん、正確を期すために、利用者に確認をとる場合(利用者側の操作はワンクリックのみ)もあります」とのことだ。

薬の(無用な)再摂取を防ぐ目的でも利用できる。近い時間にピルボックスを開けている場合(システム的には薬を一度摂取したと解される)、その旨を利用者に通知することができるのだ。また、インターネットに繋がっているので、薬を飲んでいないことを他の人に通知するといったこともできる。すなわち、家族がきちんと薬を飲んでいるのかどうかを確認するようなこともできるわけだ。

このMemo Boxを作ったふたりは「less is more」をコンセプトにプロダクトを生み出したようだ。薬を飲んだのかどうかについて、蓋然性に基づく判断をするための仕組みをつくりあげている。正確性を求めて高価なセンサーを用いるデバイスの対極をいくものとなっているわけだ。

「正確性を多少増すために、バランスを無視して高価なセンサーを搭載するようなことは正しいアプローチではないと思うのです」とLuは言っている。「この2年間の開発期間を経て、他プロダクトとは異なるアプローチもあるのだということを学びました。性能が高くても使い勝手の悪いものを作るよりも、自分でも実際に利用するようなプロダクトを作ってみようと考えたのです」とのこと。

Memo Boxにはボタンもついている。ボタンを押すと、アプリケーション上で次に薬を飲む時間を通知するようになっている。

さらに、さまざまなタイプの薬を入れられるようにも工夫されている。クラウドファンディングによる資金調達がうまくいけば、より大きなものも作るつもりであるとのこと。35万ポンド以上が集まれば、希望者に対してはより大きなものを提供するようにしたいとのこと。

価格は早期割引で£25となっている。出荷開始時期は来年の5月を予定している。本稿執筆時点では43日を残して58人から£1,687ポンドを集めている状況だ。

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(翻訳:Maeda, H


Android 5.0 Lollipop タブレット版レビュー

Nexus 9を皮切りにGoogleの次世代モバイルOSの一般公開が始まった。以下、概要をレビューした。

デザイン

Android 5.0 Lollipopでもっとも目立つポイントはデザインの革新だといっていいだろう。Lollipopは大胆なカラー・スキームとアニメーションを特徴とするマテリアル・デザインと呼ばれるUIプラットフォームを全面的に採用した初のAndroidだ。一部に例外はあるもののGoogleのAndroidアプリは全面的にマテリアル・デザインに移行した。

このデザインは現実世界の素材(マテリアル)のように一つの要素が他の要素に重なり合ったり動いたりする。また背景に影を落とし、アイコンから展開し、最小化する際にはアニメーションが加えられている。全体の印象は一種の絵本をのようで、複雑だが、直感的に理解できる。原色を多様したフラットなデザインでフォントもエレガントだ。

LollipopのUIをしばらく使ってから在来のAndroidに戻ると、いかにも古臭く感じられる。Nexus 7上のAndroid 4.4.4でさえ前時代のモバイル環境に見えてしまう。Android 5.0のUIはモバイル・ソフトウェアにドラマチックな革新をもたらしたといってよいだろう。

下にアプリのドロワーを開閉するアニメーションのGIFを貼った。以前のAndroidは全体としてWindows以前のパソコンのDOS画面のトップにメニューが固定されている泥臭いGUIを思わせるところがあった。Android 5.0はついにそうした重苦しさを払拭し、裏で複雑なコードが実行されているなどということを忘れさせる軽快に体験に進化した。

Android 5.0のUIはほとんどのユーザーに歓迎されるだろう。特にカード式のマルチタスク切り替えはあまりによく出来ているので、ときおり意味なくぱらぱらとめくって見たくなったほどだ。

機能

もちろん5.0でのAndroidの変化はUIだけではない。今後大きな影響を与えることになりそうな重要な改良が多数含まれているが、その一つは暗号化だ。

Android 5.0デバイスではすべてのデータはデフォールトで暗号化される。そして(有効にしてある場合)ユーザー・セキュリティー・コードによって守られる。このため、デバイスを紛失したり盗難にあってロック画面がバイパスされ、直接メモリにアクセスされた場合で第三者が読み出すことは非常に困難だ。

さらに日常的に利便性の高い新しいセキュリティー機能はスマート・ロックだ。Lollipopデバイスは他のLollipopデバイスを「信頼デバイス」として指定することができる。するとペアリングしただけで、自動的にロックが解除される。いちいちロック解除のパスコードを入力するのが面倒なためタブレットではとかくパスコードの設定を怠りがちになるが、スマート・ロックを利用すれば面倒なパスコードの入力なしにセキュリティーが大幅に高まる。

私はNexus 9をAndroid Wear搭載のLG Gスマートウォットと自宅のインターネットラジオとBluetoothでペアリングするよう設定した。これでこれらのデバイスの付近にいるかぎり、Nexus 9は自動的にアンロックされる。スマートウォットは外出中常に身に着けているデバイスでから紛失のおそれは他のデバイスより格段に少ないので安全性が高い。.

Lollipopではキーボードのデザインも一新された。デザインは紙に印刷されたイラストのような印象で、キーを囲む区切り線は廃止された。使ってみたところではこのデザインのほうがミスタッチが少ないようだ。

GmailとCalendarアプリも大きく改良された。 新しいGmailアプリはGoogleが先ごろローンチしたInboxメール・クライアントに近づいている。ただしGmailアプリはInboxほどソフトウェアによる自動振り分けを行わない。

カレンダー・アプリについては別の記事で詳しく紹介している。.

少々残念な点

とはいえ、新旧のAndroidユーザーが戸惑うような点がないではない。たとえば通知トレイで設定メニューを表示する方法は一見しただけでは分からない。ユーザー・アカウントのアイコンをクリックすると設定ページが開くとか、このアイコンをダブルタップすると実際のユーザー・アカウント設定ページが開くとかは、そうと知らなければ気づかないだろう。シンプルな幾何学図形のアイコンも何を意味しているのかわかりにくい。</p

Gmailやカレンダーのような重要なアプリが一新されたのは良いことだが、イノベーションから漏れたアプリもある。中でもHangoutsがバージョンアップされなかったのは残念だ。

またOSのメジャー・バージョンアップではやむを得ないことだが、まだあちこちにバグが残っており、ときおり再起動が必要になる。私がテストした限りでは5.0のバグはさほど深刻なものではなかった。

結論

Lollipopは、 Android環境を完全に一新した。いささか重苦しくパソコンのGUI的だったこれまでのAndroidに代わってエレガントで軽快な使って楽しいUIになった。

ペーパークラフト的なメタファーを多用する新しいUIはある種の絵本を思わせるが、決して幼稚な印象は与えない。Googleにとって今後の重要課題は多くのサードパーティーのデベロッパーに対し、Lollipopの特長を活かしたキラー・アプリを開発するよう説得できるかどうかだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+