GoogleのVR連作ビデオ、今回はファッションべったりでスーパーモデルのクローゼットに侵入する

GoogleのDaydream用の仮想現実ビデオシリーズ、その最新作はすみからすみまでファッション、大胆なお洋服選びで知られるセレブたちのクローゼットに入り込む。

GoogleがVogue誌と共作したそのSupermodel Closets(スーパーモデルのクローゼット)と題するビデオは、モデルのワードローブへ仮想的に忍び込み、彼らの衣類を見たり、ファッション哲学を聞いたりする。

仮想現実に手出ししている企業が徐々に気づいてきたのは、360度カメラで撮ったコンテンツなら何でもおもしろい、ことはない、ということだ。激しい抗議のデモや、きれいな風景などは、360度カメラで撮るとすごい臨場感を与えるかもしれないが、Googleが学んだと思われるのは、たとえばGoogle I/OカンファレンスのキーノートをVRヘッドセットを着けてウォッチしたからといって、得られるものは何もない、ということ。

Supermodel Closetsシリーズは、Googleの最新のJump 360カメラを使って、クローゼットのような狭いスペースでも4Kの立体画像を捉えている。

モデルのクローゼットを覗くこの新シリーズがピューリッツァー賞を取るとは思われないが、VRを探検の道具として使って、めったに行けない場所に人びとを連れて行くという、VRならではのミッションをうまく強調している。KardashianやJennerたちのように、ソーシャルな共有の術を心得ている人は世の中にあまりいないし、着るものに彼らほどめちゃめちゃ凝る人たちも珍しい。VRなら、そんな珍獣たちの生活に入り込んで見物できるし、とっくに見飽きてしまっていると思っていた超有名人たちの、実はあまり知らなかった私生活を、ちらっと見ることもできるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Firefox for WindowsがWebVRをサポート、VRコンテンツの作り方を学べるハブもオープン

今日(米国時間8/8)Mozillaが、Firefox for Windowsの最新のアップデートをローンチする。そしてその最大の目玉であるWebVRのサポートにより、デスクトップのVRユーザー(ヘッドセットを持ってる人)がWebベースのVR体験を容易にエンジョイできる。

ブラウザーがWebVRをサポートしていれば、ユーザーはVRコンテンツのリンクをクリックするだけで、それらを体験できる。アップデートされたFirefoxでは、VRゴーグルの描かれているボタンをクリックし、ヘッドセットを装着すれば、もうあなたは仮想現実の中にいる。

デスクトップのFirefoxブラウザーではHTC ViveとOculus Riftがサポートされ、モバイルのヘッドセットのサポートは今準備中だ。今モバイルでは、ChromeブラウザーのモバイルバージョンでGoogleのDaydreamとCardboardのヘッドセットがサポートされ、またデスクトップではChromiumの実験的ビルドがヘッドセットをサポートしている。

AppleはMacのオペレーティングシステムの次のアップデートmacOS High SierraでVRがサポートされるが、その登場は今年の秋になる。

Mozillaは今日、WebVRの使い方を教えるハブを立ち上げた。そこでクールなVR体験の見つけ方や、同社のWebVRコンテンツ制作プラットホームA-Frameを使っての、VRコンテンツの作り方も学べる。

WebVRのサポートと併せて今回のFirefox for Windowsのアップデートではさまざまな改良が行われ、中でも、ユーザーがプロセス数を制限したり、大量のタブを一瞬で復旧出来たりする‘パフォーマンスパネル’はユニークだ。Mozilla自身の実験では、なんと同時に1691個のタブを開き、そしてそれらを15秒で復旧できたそうだ。それまでのビルドでは、8分を要した。

このほか、Windows用の64ビットリリースの安定バージョンもあり、Moaillaによると、めったにクラッシュしなくなったそうだ。機能のアップデートでは、アドレスバーからどんなWebサイトでも検索できるようになった。ツールバーの上を行き来しなくても、Google, YouTube, Wikipediaなどの検索もアドレスバーからできる。

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目の画像だけからVR体験中のユーザーの気分や感情を判断するディープラーニング技術

[↑幸せ: 確率0.90]

目を見れば、それが本当の笑いか分かる、とよく言われる。もちろんその言葉は、私たち人間には、偽(にせ)笑いという、生得ではなく学習によって身につけるスキルがあることを、意味しているにすぎない。でも、人間の眼球に微妙な表現力があることが、役に立つこともある。VRの研究者たちが、目の画像だけから表情全体を推測する技術を編み出したのだ。

Google Researchが発表したその、おもしろい小さなプロジェクトは、VRヘッドセットを装着した人間の目だけを見て、表情を判断する。開かれた目の形、視線の方向、まぶたの状態、目尻の皺(がある人の場合)などなどを総合すると、実は相当大量の情報がそこにはあるのだ。

[↓無感情: 確率0.91]

ディープラーニングのシステムにとっては、いくつかのベーシックな表情と、その程度・度合いを表す測度があれば十分だ。たとえばそこには、“幸せ(Happiness)”や“驚き(Surprise)”があるだろう。ベーシックとは言えない“schadenfreude”(ひとの不幸を喜ぶ)や“mischief”(おちゃめ)などは、もっと学習しないとだめだけど。

もちろん実用化のためには、ヘッドセットの中にアイトラッキングのカメラが必要だ。そうすれば、ユーザーの今の気持ちや感情がリアルタイムで分かるようになる。

この研究を記したペーパーもあるし、それを近く開催されるSIGGRAPHで見ることもできる。

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Oculus、200ドルのスタンドアロンVRヘッドセットを開発中――発売は来年のもよう

Bloombergの観測によれば、今年後半にFacebookはスタンドアロンのOculus VRヘッドセットを発表する。出荷は2018年になる。このヘッドセットはパソコン、スマートフォンなど外部機器にテザリングする必要がなく、世界でOculusのブランドで発売される。

ただし中国ではパートナー契約の一環としてXiaomi〔小米〕が製造し、そのソフトウェアが搭載されるという。ブランドもXiaomiとなるようだ。

ワイヤレスVR、つまり外部機器に接続する必要がないスタンドアロンの仮想現実ヘッドセットはFacebookとOculusが追求してきた目標だった。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグは以前、Samsung Gear VRのようなスマートフォンをそのまま利用したエントリー・レベルのVRとOculus RiftやHTC Viveのようにパソコンにテザリングする必要がある高機能VRの中間を埋める製品カテゴリーがあってもよいと論じた。事実、 HTCでは今年初めGoogleのDaydreamプラットフォームを用いてスタンドアロンのVRデバイスを開発する意向を示していた。

SamsungもスタンドアロンVRを開発中で、Odysseyというブランドになるとみられる。一方、FacebookはRiftのスタンドアロン版も開発している。Bloombergによれば、コードネームSanta Cruzと呼ばれるプロトタイプは現在のRiftと同程度の能力がありパソコン等との接続を必要としない。Facebookではヘッドセットの環境に対する位置方向のトラッキングについては問題解決の努力中だという。

Facebookの中間レベルの新しいヘッドセットはPacificと呼ばれ、 外観のデザインはRiftとほぼ同様かつ現行のSamsung Gear VRより軽い。Snapdragonチップで駆動され、Gear VRよりグラフィックの能力は高いという。ただしRiftのようなセンサーを備えておらず、位置トラッキングの能力はないもようだ。

ここで重要となるのは価格とパフォーマンスのバランスだ。Facebookでは中間レベルのプロダクトを200ドル前後とRiftよりかなり安い価格で販売する計画だとされるが、これは広い層への普及を狙ったものだろう。現在Touchコントローラーを含むRiftの価格は399ドルからだ。こうした新製品を開発中であってもOculusはパソコンにテザリングされるRiftのサポートを続け、またGear VRに関するSamsungとの提携を止めるつもりはないようだ。FacebookはVRに関してできるだけ多様な製品ラインを用意することが普及を促進すると考えているのだろう。【略】

TechCrunchの取材に対し、Oculusは広報担当者を通じて以下のようにコメントした。

現時点で新製品に関して新しく公開できる情報はないものの、われわれはスタンドアロンVRの開発に関連していくつかの分野で重要な努力を行っていることは事実だ。われわれはOculus RiftのようなハイエンドVR、Gear VRのようなスマートフォン・ベースのソリューションの双方に引き続きコミットしていく。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleから3Dモデリングツール、Blocks――Vive版とRift版あり

Googleは仮想現実環境でのコンテンツ制作が誰でも簡単にできるようにしようとしている。

たとえばGoogleの成功を収めたTilt Brushは非常に洗練されたVRペイント・ツールだ。今日(米国時間7/6)、 GoogleはVRプラットフォーム中で3Dオブジェクトを構築する新しいツールを公開した。

Blocksは無料で今日から利用可能だ。HTC Vive版とOculus Rift版が選択できる(GoogleのDaydream版はない)。使い方はTilt Brushを受け継いで非常にシンプルで、3Dモデリングが簡単にできる。ユーザーは作成したクールなオブジェクトをエクスポートしたりウェブで共有することも可能だ。

現在のVRタイトルに関していちばん多く聞かれる不満はリアルさに欠ける点だ。これはごく単純な形状のオブジェクトであっても3Dモデルをレンダリングするために膨大なコンピューティング・パワーを必要とするためだ。Blocksはこの点の改善も狙っている。デベロッパーはポリゴン・オブジェクトを手軽に作成し、ARないしVRプラットフォームにそのままエクスポートできる。

ただしBlocksはOculusの3Dツール、Mediumが狙っているほどのリアルさには及ばない。BlocksのターゲットはMediumを使いこなせるような上級デベロッパーではなく、どちらかといえばエントリーレベルのユーザーのようだ。Mediumは優れたツールだが、初心者には難しそうだとして敬遠されることがある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

HTC ViveのE3出場は今年で二年目、メジャーはまだ遠いけどトリプルAには来たか

HTCが、ゲームの万博E3に、その二年生として戻ってきた。一年生の昨年は、VRヘッドセットViveの消費者向けローンチの直後だった。HTCのVR担当VP Dan O’Brienに、今年のE3の会場で話を聞いた。同社はその市場をどう見ているのか。そこでの同社の役割とVRの現況は、必ずしも新人ではなくなった今年、どうなるのか。

大型ゲームがどんどんVR化することが重要、という点で彼とぼくの意見は一致した。たとえばBethesdaのDoom and FalloutのVRバージョンのように。Mario Kartも、Vive対応が東京のゲーセンに登場するらしい…これも重要だ。Viveの出だしの人気ではインディーたちのサポートに感謝しているO’Brienも、今後の本格的な普及となると、メジャーなゲームのVR化と、それに伴うゲーマーたちの‘VR意識革命’に期待するしかない。今ゲーマーは、VRについて、‘様子見’という段階だ。

Viveは、ハードウェアとしても進化した。O’Brienがとくに挙げるのは、新しいDeluxe Audio StrapとIntelの次期製品WiGigワイヤレスアダプターキットだ。これらはE3の会場で試すことができる。またVive Trackerは、ゲームの世界にほかのものを持ち込むが、これも一部のゲームに統合した形で展示されている。ヘッドセットそのものは昨年と変わっていないが、ユーザー体験の部分では、ハードウェアとソフトウェアの両方で大きく充実したようだ。

VRはまだ、大ヒットには遠いが、PS VRのようなゲーム専用機と結びつくことによって、その敷居はViveなどよりも低くなっている。でもO’Brienは、決して現状を肯定することなく、まだまだやるべきことが多いことを自覚している。たとえば最近のGoogleなどとのパートナーシップが示すように、VRの普及には多面的なアプローチが必要なのだ。

HTCの二度目のE3におけるViveのキーノートでも、派手な発表は何もなくて、でもSonyやBethesda、Nintendoからのビッグな発表には、HTCがしっかりと相乗りしている。弱冠二年生にしては、悪くないね。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

【ビデオ】根っからのゲーマーたちはVRを本当はどう思っているのか?

VRの未来への可能性は、とてつもなく大きい。教育、エンターテイメント、ビジネス、そしてソーシャルと、あらゆる分野で多様なユースケースが育つだろう。

でも、新しい技術の常として、VRもゲートウェイドラッグが必要だ。そしてこれまでは、普及の入り口となるユースケースはゲームだった。Sonyは、ひとにぎりのゲームでもって、PlayStation VRを推している。一部は既存のゲーム、そのほかは新作だ。NintendoもVRを推すためにMario KartをVR化している。一方Microsoftは、今年のE3でVR関連の発表をまったくしなかった

でも、ゲームのコミュニティはどうだろう? デベロッパーやストリーマーや実際にVRを作っている人たちは、VRを本当はどう思っているのか?



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

拡張現実・複合現実がロボットの来襲から労働者を救えるかもしれない理由

人工知能、ひいてはロボットが人間の仕事を奪おうとしているという話は、これまで幾度となく目にしてきた。

容赦なく進化し続けるテクノロジーの様子を見ていると、確かに現在ある仕事の多くがそのうちなくなってしまうような気がする。しかし歴史を振り返ってみると、蒸気機関や電信システム、コンピューター、さらには産業ロボットも含め、革新的な技術は常に人間から奪うのと同じくらいの数の仕事を新たに生み出してきた。

そんなことは、仕事を失ってしまった人には関係ないかもしれない。シリコンバレーで生まれたテクノロジーに起因する経済的な変化が、現在の政情に少なくとも一部影響を与えているとも言える。しかしどんな理屈を並べたとしても、アメリカでは候補者のスキル不足が原因で何百万件もの仕事が余ってしまっているのは事実だ。

ということは、仕事の数が減っているのではなく、単に仕事の性質が変わりつつあるのだとも考えられる。景況の変化や市場の動き、そしてテクノロジーによって昔の仕事が復活することはないだろうが、仕事で求められるスキルは今後ますます高度になり、労働者はワークライフを通じて継続的にスキルアップしていかなければならなくなる。

しかし、この問題の一端を担っているテクノロジー自体が、このピンチから私たちを救ってくれるかもしれない。実際のところ、今まさにAR(拡張現実)とMR(複合現実)を使ったソリューションが誕生しようとしている。ひとつのテクノロジーで全ての問題が解決するということはないが、次世代の労働者を教育する上で、ARが大きな鍵を握ることになる可能性は高い。しかも、これはまだスタートに過ぎない。

新しい現実

写真:Microsoft

時間と位置関係が把握できるメガネを思い浮かべてみてほしい。オフィスや店舗内でそのメガネをかけると、視界には仕事に関係した図や手順、または3Dホログラムが映し出され、これまで全くやったことがない仕事についてステップごとに学ぶことができるとしたらどうだろうか。ARならこれを実現できるかもしれないのだ。

VR(仮想現実)ではユーザーが完全に別の世界に没入してしまうが、ARは仮想現実という名が示す通り、目の前の現実世界の上に重なったレイヤーのように機能する。ユーザーはARデバイスを使っても別の世界に移動するわけではないので、自分の机や居間、もしくは工場の様子をいつも通り目視できる。ただ違うのは、ユーザーが見るものには追加情報が投影されるようになるということだ。

初のコンシューマー向けARプロダクトとして誕生したPokémon Goは、ARの魅力を全世界に伝えることに成功した。そのかいあってか、一般大衆もARに興味を持ち始めている。Pokémon Goが特別なメガネ型のハードウェアではなくスマートフォンやタブレットを活用したように、初期のARプロダクトの多くでは、身の回りに情報を投影するために従来のデバイスを利用しなければならない。しかし、今後AR業界がテクノロジーと共に進化するにつれて、ウェアラブルデバイスを活用したハンズフリーなAR体験が実現できるようになるだろうし、それ以上のことも考えられる。

写真:Stefan Etienne/TechCrunch

ロボット、AI、ウェアラブルの分野に力を入れている調査会社Tractica最近のレポートでは、AR・MRヘッドセットが企業や製造現場で特に役に立つとされている。

「手で持つ必要がなく、目の高さで装着でき、必要なときだけ情報を表示できるなど、ARヘッドセットが投影するインターフェースは、手を使わなければいけない作業には理想的です。さらにユーザーは自分の目線で情報を確認できるので、現場作業の自動化やトレーニング、メンテナンス業務などにも役立つでしょう」とTracticaはレポート内で述べている。

Tracticaはこの市場をさらに細かく分け、「複合現実(MR)」と呼んでいる。彼らによれば、このテクノロジーは「位置追跡と深度センサーによって、より没入感の高い体験を提供しつつ、ホログラフィとして映し出された物体にも触れ合えるような仕組み」を備えているという。

この分野で企業向けのユースケースを確立しようとしているプロダクトの中では、恐らくMicrosoft HoloLensが1番よく知られているだろう。盛り上がりや知名度という意味では確かにMicrosoftはいいスタートを切ったが、彼らよりも規模の小さなMetaやOsterhout Design Group(ODG)、Daqriらも果敢に巨人に挑もうとしている。

Facebookも自分で画像フィルターを作れるARツールを4月のF8で発表したほか、Amber Garageはサードパーティーながら、今月Google Cardboard用のMRコンテンツが作れるHolokitをアナウンスした。Appleも最近のWWDCでARコンテンツクリエイター向けのプラットフォームをリリース。SamsungもMRツールを開発中で、Amazonもそのうちこの分野に進出してくるだろう。基本的にこれらのツールはコンシューマー向けのようだが、ビジネス環境で使われることになっても不思議ではない。

まだ市場が形成期にあるため、Tracticaは用心深くかまえているが、今後数年間で一気にこの分野が伸びていくとも予想している。なお、コンシューマー・エンタープライズ向け両方のソリューションがAR市場の成長を支えることになると考えられているが、このふたつのセグメントは別の市場として発展していくだろう。

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教育ツール

AIやロボットが具体的にどのくらいの仕事を消滅させるかについては議論の余地があるが、新たなテクノロジーが労働市場に何かしらの影響をもたらすというのは間違いない。ここで重要なのは、どうすればその影響を最小化し、AR・MRテクノロジーを使って労働者に新たなスキルを身につけさせられるかということだ。

AR・VR用のOSをつくろうとしているUpskill(旧名APX Labs)でCEOを務めるBrian Ballardは、私たちの社会では人間と機械の距離がかなり近づいてきているのに、うまく両者を繋げる仕組みがまだできていないと話す。彼は、座学だと現場の環境に基いた学習ができないため、結果的にロボットが人間の仕事を奪うことになると考えているのだ。

写真:Daqri

「まず、ある仕事をするためにはスキルを高めなければいけません」とBallardは言い「そして、スキルアップに繋がる有益な情報をうまく表示し、常にそれを確認できるような手段が存在します」と付け加えた。その手段こそがARテクノロジーを活用したもので、ARを使えば労働者の目の前に状況に合った情報を表示できるようになる。

MRヘッドセットを製造するDaqriのCEOであるBrian Mullinsは、AR・MRデバイスがスキルギャップを埋め、労働者が新たな仕事を獲得するための手助けをするようになると考えている。「ARは人間中心のテクノロジーで、うまく使えば知識の移転にも使えます。ARデバイスを活用すれば、労働者にこれまで携わったことのない仕事の手順を教え、彼らが正しい判断を下せるような情報を提供することができるのです」と彼は説明する。つまりARは強力なトレーニングツールになる可能性を秘めているのだ。

実用に耐えうるARソリューション

ARはまだ成長過程にあるテクノロジーで、ARを活用した教育ソリューションのほとんどが実験段階にあるが、これまでの様子を見ると、このテクノロジーがトレーニング期間の短縮に繋がりそうだということがわかる。あとは、メーカーやコンテンツの製作者、ユーザー次第だ。

例えば、GEはHoloLensを活用し、医療知識がない人でも超音波検査機を使って各臓器を特定できるようなテクノロジーを開発しようとしている。まだ製品化まではかなり時間がかかることが予想されるが、これはMRテクノロジーを使って新しい情報を提供しつつ、フィードバックを即座に与えることで、ユーザーの効率的な学習を支援するプロダクトの好例だ。

さらに、BoeingはARを利用して航空機用ワイヤーハブの製造といった業務の効率性を上げようとしている。同社が行った研究によれば、ARをトレーニングに活用した社員の方が、そうでない社員に比べて生産性や正確性が高く、トレーニング自体への満足度も高かったとされている。教室で授業を聞くだけのときとは逆に、彼らはトレーニング自体や学んだことを現場で思い出す過程さえ楽しんでいたのだ。

アイオワ州立大学と共同で行ったこの研究で、Boeingは被験者(ほとんどが大学側の人たち)が翼形の部品をつくる様子を観察した。作業前のトレーニングとして、あるグループは部屋の隅におかれたデスクトップマシンを使って手順書のPDFファイルを読み、別のグループは調節可能なアームのついたタブレットで同じPDFファイルを読み、最後のグループは3D映像で構成されたアニメーション入りの手順ビデオをARシステム上で視聴した。実験の結果、デスクトップマシンを与えられたグループのエラー率は劇的に高く、タブレット、ARシステムの順番でエラー率が下がっていった。

DaqriはSiemensの協力の元、Boeingの実験をさらに発展させ、世界レベルで同様の調査を行った。風力原動機やガスタービンの保守作業が対象となったこの調査でも、トレーニングにARを活用することで、Boeingの実験と同じような結果が得られた。DaqriのARヘルメットを活用しなかった場合、事前知識のない人が組立作業を終えるのには480分かかったが、ARヘルメットを使うことで作業時間はなんと45〜52分に短縮された。

出典:Daqri

世界規模といえば、先日Walmartは社員のトレーニングにSTRIVR Labs製のVRコンテンツを導入すると発表した。同社はOculus Riftのヘッドセットをトレーニングセンターに配備し、VRコンテンツと360度動画を使って幹部社員やカスタマーサービス部門のスタッフの教育を行おうとしているが、そのうちこれもMRに近い形に変わっていく可能性がある。

エンタープライズ市場でのスケール

もちろんAR周りの実験を行うのも大事だが、企業を相手にしたARビジネスをはじめるというのはまた別の話だ。というのも、大企業のほぼ全てで、各プロセスが在庫システムや基幹システムをはじめとする複雑なレガシーシステムと接続されている。

そこで先月DaqriはDellとパートナーシップを締結した。Dellでプロダクト戦略・イノベーション担当VPを務めるNeil Handは、同社がDaqriのヘッドセットの販売を通してエンタープライズ市場でARを普及させようとしていると話す。さらに彼によれば、DellがARと相性の良い業界を探そうとしていたことが、Daqriとタッグを組むにいたった主な理由のようだ。

「効率よくさまざまな分野でARの有用性を確かめられるというのが、Daqriとパートナーシップを結んだ主な理由です。過去にも他の技術に関して同じような戦略をとっていました。新しいテクノロジーをできるだけ多くの顧客に届けるにはどうすればいいのか、という問いが全ての出発点です」とHandは説明する。

DellはARプロダクトの開発についてもDaqriの協力を仰いでいく予定だが、彼ら自身はバックエンドシステムとの接続支援などを行うコンサルタントとしての機能を担っていく。DaqriのデバイスとDellのパソコンがセットで売れるなど、パートナーシップがDellのハードウェア売上にも繋がれば、両社にとっては願ったり叶ったりだ。

このパートナーシップの結果はもう少し時間が経たないと判断できないが、既にDaqriは、現場で利用可能なARソリューションの導入手順や各ユーザーのニーズに基いたプロダクト設計の方法、各業務に最適なUXの開発方法、さらには効果測定や他の業界に進出するための方法を突き止めることができた。

上記のような目覚ましい発展を遂げているとはいえ、まだARは生まれたばかりのテクノロジーだ。しかし今後人々が期待している通り市場が成長すれば、企業は社員が日々変わる経済に順応できるようにトレーニングを実施し、どんな環境の変化にも対応できるようになるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Nomadicが小売店用のモジュール的位置対応VRシステムで$6Mのシード資金を獲得、今後は一般の娯楽施設にも

仮想現実(virtual reality, VR)は家庭用にはまだ高価すぎるかもしれないが、しかし専門店の集客手段としては、検討の価値があるだろう。

ユーザーが体感できる位置対応の小売体験を追究してきたNomadicが、新たな資金を手にした。同社は今日(米国時間6/12)、Horizons Ventures率いるラウンドにより600万ドルの資金を調達したことを発表した。Presence Capital, Maveron, Vulcan Capital, そしてVerus Internationalがこのラウンドに参加した。

ユーザーは、VRヘッドセットとバックパックに収めたPCを装着し(上図)、店内を歩きまわって、各位置に仕組まれたゲームを体験する。そのVRの中に椅子が見えたら、ユーザーは実際にその椅子に座れる。またゲーム中のさまざまなオブジェクトも、赤外線マーカーとカメラのおかげで、そこに実在する物を手に取ることができる。その体験は全体として、90年代のキッチュな4D映画の意図的な焼き直しみたいだが、体感と物理的なスペースや物を利用しているから、より没入的(イマーシブ, immersive)なVRになっている。

ぼくもそれを実際に体験したことがあるけど、そのときの一部始終はこの記事に書いた。

位置対応のVR体験は、The Voidなどの競合企業が、たとえばニューヨークのGhostbusters体験館のような、専用の倉庫みたいな施設で提供しているが、Nomadicの場合はインストールの容易なモジュール方式で、既存の小売店が導入できるようにしている。

Nomadicが専門店の客寄せ以外に狙っているのは、映画館、ショッピングモール、リゾート、空港、カジノ、テーマパークなどにおける、没入的なエンターテイメントの提供だ。まだ具体的なパートナーシップは発表されていないが、日程だけはなぜか具体的で、同社の位置対応VRによるエンターテイメントの‘初封切り’は2018年の第一四半期だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

京都発のAtmophは世界の絶景を眺めるバーチャルウィンドウ

マンハッタンでやっとすてきなアパートを見つけたが、窓から見えるのが隣のビルのコンクリートの壁だけ―といった状況を想像して欲しい。京都発のAtmophはそういう場合に壁にバーチャル窓を作ってくれる。

外の世界のさまざまな絶景を写し出すディスプレイが都会のアパートの住民に本当の景色の代りになってくれるわけだ。元任天堂社員の共同ファウンダー、CEOの姜京日(かん・きょうひ)氏のチームは世界を回り、キューバやローマですばらしい景色を撮影した。Atmophのビデオフレームではこうしたビデオが極めて高い精細度で再生され、実際に窓から外の景色を眺めている気分に浸れる。

Atmophの価格は599ドル。コンクリートの壁の代りにすばらしい景色を見ることにそれだけの価値があるのか決めるのはユーザーだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

YouTube VRの中ではチャットによる対話形式/会話形式のコメントが可能に、安全なルームならね…

YouTubeにコメント書いてる人と、実際に会いたいと思ったことある? そう、ぼくもないね。

ところが、どっこい! 今日のGoogle I/OのYouTube VRに関する説明では、コメントは従来のようにテキストで書くだけでなく、VRの中にチャットルームができるので、そこでいろいろとお話ができるようになる。それ以上詳しいことはまだ分からないんだけど、音声によるスパムが猛威を揮ったりしたら、おとろしいだろうね。

そのシステムは、Oculus Roomsとほとんど同じのようだ。それは、友だちと一緒にルームに入ってビデオを一緒に見る、という機能だ。

YouTubeのこのシステムでは、あなたはアバターになって360度のスペースに飛び込み、ビデオについてチャットする。それはFacebookがF8で見せたソーシャルネットワーキングアプリSpacesとまったく同じと思えるけど、モバイルのVRではソーシャルな対話の機能が限られてしまうだろう。

でもモバイルのVRに関しては、GoogleにとってYouTubeの価値と意義が大きい。これまでもGoogleは、そうであることを隠そうとしなかった。モバイルVRは確かに、友だちが集まるためのすばらしいソーシャルプラットホームだ。でも、きちんと荒らし対策を実装してからでないと、安心して使えないだろうね。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleからVR用レンダリングツール、Seurat――モバイルでローグワンの世界に

マウンテンビューのショアサイドアンフィシアター野外劇場で開催されたGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスの2日目はVR/ARテクノロジーの紹介が中心となった。Googleはモバイルデバイスのような非力なマシンでも極めて高精細度な描画による没入的VRを可能にする新しいレンダリング・ツール、Seurat〔スーラ〕を発表した。GoogleはSeuratの能力を実証するため、ILMxLABの協力を得てスターウォーズの世界を対話的モバイルVR環境でデモした。このレンダリングは劇場映画の画質で参加者を驚かせた。

上にエンベッドしたのはキーノート中で上映されたILMxLAB(Industrial Light And Magic Experience Lab )制作のビデオで、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』をベースにした場面が含まれている。質感、照明、アニメーションなどすべてのディテールが信じがたいほどリアルに描写されている。ビデオ中で説明されているとおり、Googleのツールを利用することにより、ILMは劇場版映画の画質でモバイルVRをレンダリングすることが可能なったという。

デベロッパーはSeuratを用いてターゲットとなるシーンを特定の視点に制限し、極めて高い比率で圧縮することができる。ユーザーが動き回れる範囲は制限されるが、その内部では非常にリアルなレンダリングが行われる。開発の過程で、バーチャルオブジェクトはまず制限された視点からの何枚かの3Dスナップショットとして高精細度でレンダリングされる。このスナップショットから軽量版VRが再コンパイルされる仕組みだ。しかしヘッドセットを通してユーザーが体験する際にはオリジナルと変わらない精細度に感じられる。VRのレンダリングではモバイルデバイスの能力が大きなネックとなってたが、Seuratはこのハードルを大幅に低くするはずだ。

GoogleはキーノートではSeuratの詳細には踏み込まなかったが、今年中にさらに詳しい情報を公開し、デベロッパーが利用できるようにすることを約束した。GoogleのVRシステム、Daydreamはスマートフォンやスタンドアローン・ヘッドセットなどパソコン接続版に比べて能力が低いモバイルVRハードウェア市場で大きな存在になるだろう。ローパワーのデバイスでハイパワーのレンダリングができることはこの市場における優位性を確保するためのカギになることは間違いない。

〔日本版〕Seuratはフランスの新印象派の画家で点描手法で有名なジョルジュ・スーラから命名された。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftから新しいデザイン言語、Fluent Design System――Material DesignのMS版

シアトルで開催されたBuildデベロッパー・カンファレンスで今日(米国時間5/12)、MicrosoftはFluent Designを発表した。このデザイン・システムを用いればクロスプラットフォームでユーザーインターフェイスを開発することができる。

いろいろな意味でFluentはGoogleのMaterial Design Systemに似ている。この新しいデザイン言語の主たる目的は、デベロッパーがあらゆるプラットフォーム上で単一のデザイン・システムを利用できるようにすることにある。

Microsoftの副社長でWindows Developer Platformorの責任者、Kevin Galloは私のインタビューに答えて、「われわれのチームはデベロッパーがもっと『素敵なアプリ』を簡単に書けるシステムの提供を試みた」と述べた。

Fluentシステムのポリシーは単にデザイン素材を提供するだけでなく、見た目が軽快で 多層のレイヤーを縦深的に利用でき、アニメーションもサポートするユーザーインターフェイスを確立することにあるようだ。アイコンなど共通する素材の提供は、最近のWindowsが複雑化、巨大化によって失っていた透明性を取り戻すために役立つだろう。

Galloによれば、同種の他の試みとは異なり、Fluentは2Dだけでなく3D環境にも適合しているという。 Microsoftが3D環境に強い関心を抱いていることはHoloLensや「混合現実」への巨大な投資でもはっきりしている。「われわれはFluentがデベロッパーが使うあらゆるプラットフォームに対応するデザイン言語となるよう努力した」とGalloは述べた。

Microsoftは次のWindows 10でのペンのサポートのアップデートにもFluentを用いる予定だ。Fluentをサポートするペンを用いるとペンでしかできない機能が使えるようになる。たとえば、ユーザーはそう望めばテキスト・ボックスにペンでテキストを書き込める。

Fluentは多様な入力方法をサポートする。MicrosoftがWindows 8向けに開発したデザイン言語のMetro(何かごたごごたがあって名前を変えたが、変えた後の名前は誰も覚えていない)はタッチ操対応に重点があった。Fluentの場合はクロスプラットフォーム対応に重点が置かれている。これには仮想現実、拡張現実の環境が含まれる。またタッチ操作だけでなく、視線やペンによる入力もサポートする。「(VR、AR空間のサポートではGoogleの)Material Designより桁違いに進歩している」とGalloは述べた。

  1. fluent_build.jpg

  2. scale_build_fluent.jpg


Featured Image: microsoft

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがオリジナルVRコンテンツ制作部門Oculus Story Studioを閉鎖

仮想現実はコンテンツを必死に求めているかもしれないが、いまやFacebookのOculusは自身による仮想現実コンテンツの制作ではなく、外部への投資に力を注ごうとしている。

Oculusのコンテンツ担当副社長のJason Rubinは、米国時間5月4日、受賞歴もある映画VR部門であるOculus Story Studioの閉鎖を発表した。

「慎重に検討を重ねた結果、社内でのコンテンツ制作ではなく、より多くの外部制作をサポートすることに焦点を移すことにしました」とRubinは書いている。「そのシフトの一環として、Story Studioを閉鎖することになりました」。

10月に開催されたOculus Connectデベロッパーカンファレンスでは、FacebookのCEO、Mark Zuckerbergは、同社がすでにオリジナルVRコンテンツに2億5,000万ドル以上を投資してきたこと、そしてRiftならびにGear VRユーザーたちが、ヘッドセットで見ることができるオリジナルコンテンツのために、さらに2億5000万ドルを投入することを表明していた。

Rubinは、既にコミットされているの資金のうち、特に5000万ドル分は、ゲーム以外のインタラクティブなコンテンツのために投資されると述べた。

Oculus Story Studioは、オリジナル映画コンテンツ制作のために2014年に設立された。昨年、Studioは短編アニメーションのヘンリーエミー賞を受賞受賞していた。ハグするのが大好きな可愛らしいハリネズミを描いたPixar風の作品だ。

Story Studioチームは、最新プロジェクトのDear Angelicaを制作する過程で、高機能なVRペインティングプログラムであるQuillというプロダクトを開発した。これを用いることで、ユーザーたちは仮想空間の中でコンテンツを作成することが可能になる。Studio閉鎖のあとも、QuillはOculusストアから引き続きダウンロードできるようになる予定だが、この先アップデートされる予定はない。Oculusはソフトウェアをオープンソースにすることを計画している。

この突然の閉鎖は、Studioの4番目の主要作品となる予定だった”The Wolves in the Walls”(壁の中の狼たち)の制作中に公表された。なお同社はこの作品がキャンセルされたことを公表している。

閉鎖に伴いOculus Story Studioの約50人は職場を去ることになる。Oculusの広報担当者はTechCrunchに対し、これらの従業員は、OculusもしくはFacebook内の他のポジションへの異動を申請できると話した。

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(翻訳:Sako)

Facebookが簡単なVRアプリを作るためのJavaScriptフレームワークReact VRをオープンソースでローンチ

Facebookは今日(米国時間4/18)、同社のデベロッパーカンファレンスF8で、React VRのローンチを発表した。これは、JavaScriptで仮想現実体験を構築できるためのJavaScriptフレームワークだ。Webアプリケーション用の同社のフレームワークがReactであるのに対し、仮想現実用のReactという意味でReact VRという名前になっている。つまりReactと同様の宣言型の書き方で、360度体験のアプリケーションを作れるのだ。

当然ながらReact VRは、WebGLやWebVRといった既存のWeb技術を利用して仮想現実体験やセンサー群との対話を実装している。現状はまだ、複雑なVRゲームを作れるレベルではなく、3Dモデルを記述できるとはいっても、2DのUIやテキストや画像に360度のパノラマを容易に組み合わせることができる、という程度だ。

Reactで何かを作った経験のある人なら誰でも、React VRを楽に使えるだろう。またもちろん、Reactのエコシステムにある既存のツールの多くを利用できるだろう。

ふつうのモバイルアプリよりもきついのは、VRアプリが60fps(できればそれ以上)の描画を要することだ。すでにReact NativeがJavaScriptでは難しいとされる問題の多くに対応しているから、React VRのチームはそのアプリケーションの高速高性能化に、それほど苦労せずに済んだようだ。

React VRのコードはGitHubで入手できる。何か作ってみたくなった人は、ここでドキュメンテーションを読もう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

F8:Facebook、SpacesでVRに最初の一歩―アバターを操作する愉快なプラットフォーム

FacebookがOculusを買収してから3年経ち、VR〔仮想現実〕はますますわれわれのオンライン生活に浸透してきた。今日(米国時間4/18)、サンノゼで開催されたF8デベロッパー・カンファレンスでFacebookはソーシャルVRの実現に向けて重要な一歩を踏み出した。

ベータ版として公開されたFacebook Spacesは簡単にいえばOculus Rift + Touchだ。これはFacebookが対話的3DソーシャルVRをサービスの中心に据えようとする野心的な試みだ。

SpacesではOculus環境を持つユーザーはFacebookアカウントを使ってVR環境で友達とコミュニケーションできるようになる。単なるチャットではなく、音声とアバターのボディ・ランゲージを使うことができる。

Spacesアプリでは、最大4人のFacebook友達が「スペース」と呼ばれる仮想空間にログインすることができる。ここではチャット、お絵描き、360度ビデオ視聴、Messengerによるビデオ通話、漫画のVRセルフィー(最近タグづけされたユーザー写真をベースに作られる)などを利用できる。機能としては基本的なものだが、明るく気軽に楽しめる愉快なサービスを目指しているようだ。Oculusのハードウェア自体がまだかさばり、冷たい印象を与えるのとは対照的だ。

初期のデモで私は短時間だがSpacesを試してみたが、このサービスは一般ユーザー向けにデザインされているという印象を受けた。 もっとも一般ユーザーの大部分はまだOculus Riftを持っていないのだが。Spaceはあまり真面目くさってコミュニケーションを追求してはいない。とっぴで楽しく少々混乱した場所だ。

Spacesのリリースでいちばん注目すべき点は、 今回はOculus Riftがターゲットだったが、すぐに他のVRプラットフォームにも拡張されることが明らかになったことだろう。Facebookのプロダクト・マネージャーのMike Boothは私にインタビューに対して、「われわれは最終的にはVRプラットフォームとなることを目指している」と語った。ここでカギとなるのは、Facebookが―Oculusをを傘下に持つとはいえVRのAppleのようなメーカーではなく、Googleのようなプラットフォームを目指していることだ。

ただしSpacesは現行のスマートフォンをベースにしたVRをサポートすることはない。SamsungやOculus GearのVRは固定視点の360度映像をベースにしており、これは自分のアバターをVR空間で操作すのに向いていない。Gear VRに関してはFacebook 360が用意されている。これは360度写真やビデオを見るためのアプリだ。

Boothによれば、「FacebookのビジョンはソーシャルVRであり、今回のSpacesはわれわれが目指すVRの最初の0.1%」だという。つまりFacebookは遠大な計画のもとに今回のリリースを行ったようだ。

先日の決算報告の電話カンファレンスでFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグは「VRが潜在的可能性をフルに発揮できるようになるには10年はかかるだろう」と述べた。現在FacebookでソーシャルVRを担当しているエンジニアは30人から50人程度だという。しかしVRとARは次第にFacebookのプロダクトで中心的地位を占めるようになっている。消費者の間でVRヘッドセットがポピュラーになるにつれてFacebookのVRエンジニアの数も急増することになるはずだ。

モバイルの世界で次の10年を支配するカギはAR〔拡張現実〕かもしれない。しかしFacebookはVRに関しても驚くほど前向きだ。VRに接するユーザー心理や反応をよく研究している。Spacesは最初の一歩かもしれないが、きわめて重要な一歩だ。

SpacesはOculus StoreのEarly Accessセクションから無料でダウンロードできる。


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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オープンワールドゲームの仮想空間で自動運転車のソフトウェアを訓練する – 例えばグランド・セフト・オートなど

トップゲームの多くは、リマスターされたり他のプラットフォームでリリースされたりしながら長い寿命を保っている。しかしゲームに投入された労力が全く新しい形で実を結ぶこともある。たとえば自動運転車や、配送ドローン、その他のロボットの訓練を行っている企業たちが、実世界を模倣したシミュレーション訓練環境を提供してくれる、豊かで詳細な仮想世界を求めているのだ。

シミュレーションで可能になった進化のおかげで、小さなチームと限られた資金で超音速ジェットを構築することができたBoomといった企業の例や、NIO(以前のNextEV)といったスタートアップたちが、自動運転ソフトウェアの開発において、Grand Theft Auto V(GTA V)のようなゲームから派生した実世界環境のシミュレーションを用いることで、資金を要するより大きな技術課題に対して伍していくことが可能になって来ている。ブルームバーグの報告によれば、このアプローチはWaymoやトヨタ研究所などを含む、実世界の運転体験に対する補完を求めている企業の間で人気が高まっている。

もちろん、いくつかの欠点もある。どんな用途向けに対しても、シミュレーションは多くのことを行えるが、実世界のテストを完全に置き換えることはまだできない、最も進化したシミュレーションの中でも再現できないことが、実世界の中では起こるからだ。また、シミュレーションの中での走行距離は、ほとんどの法機関が自動運転システムの路上価値を決定する際に考慮する、ソフトウェアによる総走行距離としてはカウントされない。

もっとも驚くべきことは、ここで示されたGTA Vが、自動運転ソフトウェアのテストのために作成された二流の代替品ではないということだ。そのオープンワールドゲームデザインの中で扱われる様々なことは、それが信じられないほど進化したテストプラットフォームであることを証明している。このことが意味することは、この2つのマーケットが将来さらに緊密に連携して利用されるようになるだろうということだ。より包括的なオープンワールドゲームデザインは、真に没入感のある素晴らしいプレイ体験を求めるユーザーたちに喜ばれるだろう、そして、実世界テストの補完として同じプラットフォームのレベルアップを図る研究者たちに、より優れたシミュレーション結果をもたらすだろう。

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(翻訳:Sako)

GoogleのWeb仮想現実アプリケーション‘Speak to Go’は音声で検索しながら地球を旅する

今日(米国時間4/12)からGoogleが、同社の実験的WebページWebVR Experimentsで、たくさんのVR Webアプリケーションを見せている。それらは、音声検索で探検できる。

その“Speak to Go”アプリケーションは、GoogleのDaydreamやCardboardのヘッドセットで楽しめるほか、ヘッドセットなしでスマートフォンやPCからでも体験できる。Chromeブラウザーでマイクロフォンをonにしておくと、音声検索が使える。

スペースバーをタップしてアドレスを言うと、それがStreet Viewのデータにマッチしていれば、そこへ連れてってくれる。たとえば都市や国の名前を言うと、そのWebアプリケーションはユーザーをそれらの国や町のどこかランダムな場所へ運び、そこから景観を探求できる。

それはデスクトップではGoogle Mapsの音声検索の変形にすぎないが、でもGoogle Cardboardのヘッドセットでは世界がそこだけに限定されるので、本格的な探検気分になる。孤独な探検者ユーザーは、独り言を言いながら歩きまわるのだ。

そのアプリケーションは、WebVRの強みを見せつける。ユーザー体験が自然でシームレスで直感的なのだ。WebVRはその名のとおり、ブラウザー上でURLを指定するだけで仮想現実を体験できる。

11月にGoogleは、HTCのViveプラットホーム上にGoogle Earthアプリケーションを持ち込んだが、今回の最新アップデートは、そのビューの一部をCardboardとDaydream上のモバイル360度映像に仕立てた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

PS4のVRでケニヤのサイやライオンとライブで対話できる―動物保護区の援助も

Virry VRはアフリカの野生動物を生息している環境で間近で観察し、対話することもできるすばらしい体験だ。われわれが現実にアフリカに行ってサファリに参加するのはなかなか難しい。しかしPlayStation VRで公開されたこの仮想現実は十分その代りを務めてくれそうだ。Virry VRのコンテンツはWebby賞(ここから投票できる)にもノミネートされている。

画像はケニヤのレワ野生動物保護区の要所に設置されたカメラにより4K VRで撮影されている。ユーザーは解説のナレーションに従って体験をさまざまにコントロールすることができる。

ユーザーはライオンに餌をあげたり、ヒヒに挨拶したりできるし、サイのドロ浴びを間近で観察することもできる。アフリカの川を下って絶滅危惧種の現状を学ぶことも可能だ。

Plastation向けVirry VRのワイルドライフ体験の最初のエピソードは35分間だ。

Virry VRの価格は9.99ドル。月1.5ドルのサブスクリプション料金でライブ・カメラの映像を楽しむことができる。月2.5ドルの契約を選べば毎月1ドルずつがレワ保護区に寄付される。

PS4を持っていないユーザーはBAFTAの賞を受けたVirry独自のiOSのモバイルアプリを使うことも可能だ。年額19.99ドルの料金を支払うとiOSデバイスを揺すったり叫んだりすることで対話性が実現される。

Fountain Digital LabのCEO、 Svetlana Dragayevaによれば「Virryは本物の動物たちが生きている環境に没入できるので、さまざまな発見や動物への共感が得られる。動物たちが置かれている自然やその困難への理解も大きく進むはず」と述べている。このVR体験はスタンフォード大学のVirtual Human Interaction Labのファウンダー、ディレクター、Jeremy Bailensonの賞賛を得ている。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがSoundStageのデベロッパーLogan Olsonを同社のVRチームに引き抜く

ゆっくりと、しかし確実に、Googleは強力なVR企業になりつつある。今週、そのDaydreamのメーカー〔==Google〕は、HTC ViveのVR音楽スタジオとして好評だったSoundStageの作者、Logan Olsonをスカウトした。

これは最初はThe Vergeの特ダネだったが、Googleは本誌にも彼の雇用を確認した。“GoogleのVRチームにLoganを迎えたことは、喜ばしい。SoundStageで、VRの創造と発想のリーダーであることを示した彼とその作品から、VRとクリエティビティについてわれわれが学ぶところは大きい”、と言っている。

Olsonは、2013年以来GoogleでVRを手がけ、2016年の初めにはこの部門のトップになったClay Bavorと同格の職階になる。2016年といえばGoogleがCardboad(ボール紙性VRヘッドセット)を出して、VRに本腰を入れ始めた年だ。

その後GoogleのVRは、Daydreamが主役になり、SamsungのGear VRなどに対応するコンテンツが多くなった。メーカーやデバイスを特定しないという路線だが、最近ではそれをあまり強調していない。

Olsonのチームは、先月、Steam上のSoundStageの1.0を出したばかりだ。音楽を作るVRというその革新的なアプリケーションは、好評だった。

Olsonを迎えたGoogleは、SoundStageの今後の開発を継続せず、メンテナンスのみとするだろう。同社は彼のこれまでの仕事の全容を足場にして、新しいVRコンテンツを開発すると思われる。

その具体的な計画は発表されていないが、彼のチームは2015年にTilt Brushを作っており、したがって今後についても、単純にゲームだけではなく、クリエティビティとコンテンツの創造が中心になるだろう。

なお、今週はGoogleのゲームデザイナーのトップが同社を去り、今後は“複数のゲームの合流化や、 神経科学、そしてVR”を探求したい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))