Microsoft、Officeをメジャーアップデートへ――Fluentデザイン言語を全面的に採用

今日(米国時間6/13)、MicrosoftはOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)の新しいユーザーインターフェイスを発表した。これは同社が昨年採用したFluent Design Systemに基づくルック&フィールを備える。このUIデザインはデスクトップ版、Office.com上のオンライン版双方に適用され、この夏中に世界のユーザー向けに公開される予定だ。

Fluent Design Systemへの切り替えはGoogleがUIの基本としてMaterial Designを採用したことと比較できるだろう。Microsoftはデザイン・システムの一新に加えてOfficeのUIに3つの大きな変更を加える。

いちばん目立つのは新しいデザインになったリボンが大幅いシンプルになっていることだ。Microsoftはこのアップデートを全ユーザー向けに導入するにあたって非常に慎重に動いている。Office 2007でリボンがに導入された当初は賛否の議論が起きたものの、多くのユーザーはすぐに慣れて常時利用するようになり、MicrosoftはWindowsのオンライン・アプリすべてにリボンの導入を拡大した。今回のアップデートでMicrosoft現行の最大3行のリボンを1行に圧縮し、もっとも重要なオプションが表示されるようにした。従来の表示を好むユーザーはいつでも3行表示に拡大することができる。

こうしたUIの変更は常に反発を伴うのでMicrosoftは新しいリボンをまずウェブ版Wordアプリに導入する。7月に入るとOffice Insiderプログラムの参加者はOutlook for Windowsでも新しいリボンを目にすることになるだろう。Microsoftは現在はまだ全面的なロールアウトを控えている。

Microsoftは今日の声明で次のように述べている

WindowsのWord、Excel、PowerPointはつねにもっとも機能豊富なアプリケーションであり、そうした多様な機能を必要とするユーザーに親しまれてきた。しかし〔機能豊富なだけに〕ユーザーは多くのオプションをいわば筋肉記憶として身につけねばならなかった。このUIの変更はユーザーの作業効率に多大の影響を与えるおそれがあるので、われわれはアップデートにあたって特に慎重を期している。これらの〔Office〕ソフトに新しいシンプル版のリボンを導入するにはいましばらくかかる。Microsoftは全面的導入に先立って、さらに広い範囲のユーザーからのフィードバックが必要だと考えている。また導入された場合でも、ユーザーはワンクリックで従来のリボンのデザインにロールバックできるようにする予定だ。

これ以外のビジュアル面でのアップデートには新しい色彩とアイコンのセットの導入がある。リボンの場合とは異なり、こちらはすべてのOfficeアプリにすぐ導入されるはずだ。Office.comから利用するウェブ版のWordアプリが新デザインの第1号となる。その後、今月中にInsider版のWord、Excel、PowerPointに登場する。Outlook for Windowsは7月、Outlook for Macは8月にそれぞれ導入される。

3つ目の大きな変更は、ビジュアル面より機能面に関係がある。Microsoftがゼロ・クエリ検索(zero query search)と呼ぶAIとMicrosoft Graphを利用した検索機能で、検索ボックスにカーソルを乗せるだけで自動的に有用な検索候補が表示される。企業ユーザーの場合、この機能はすで Office.com、SharePoint Online、Outlookのモバイル・アプリで有効になっている。ウェブ版Outlookへの導入は8月の予定。

画像:Christophe Morin/IP3 / Getty Images

日本版 MicrosoftのJared SpataroコーポレートVPによる新Office 365のデベロッパー向け解説はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftから新しいデザイン言語、Fluent Design System――Material DesignのMS版

シアトルで開催されたBuildデベロッパー・カンファレンスで今日(米国時間5/12)、MicrosoftはFluent Designを発表した。このデザイン・システムを用いればクロスプラットフォームでユーザーインターフェイスを開発することができる。

いろいろな意味でFluentはGoogleのMaterial Design Systemに似ている。この新しいデザイン言語の主たる目的は、デベロッパーがあらゆるプラットフォーム上で単一のデザイン・システムを利用できるようにすることにある。

Microsoftの副社長でWindows Developer Platformorの責任者、Kevin Galloは私のインタビューに答えて、「われわれのチームはデベロッパーがもっと『素敵なアプリ』を簡単に書けるシステムの提供を試みた」と述べた。

Fluentシステムのポリシーは単にデザイン素材を提供するだけでなく、見た目が軽快で 多層のレイヤーを縦深的に利用でき、アニメーションもサポートするユーザーインターフェイスを確立することにあるようだ。アイコンなど共通する素材の提供は、最近のWindowsが複雑化、巨大化によって失っていた透明性を取り戻すために役立つだろう。

Galloによれば、同種の他の試みとは異なり、Fluentは2Dだけでなく3D環境にも適合しているという。 Microsoftが3D環境に強い関心を抱いていることはHoloLensや「混合現実」への巨大な投資でもはっきりしている。「われわれはFluentがデベロッパーが使うあらゆるプラットフォームに対応するデザイン言語となるよう努力した」とGalloは述べた。

Microsoftは次のWindows 10でのペンのサポートのアップデートにもFluentを用いる予定だ。Fluentをサポートするペンを用いるとペンでしかできない機能が使えるようになる。たとえば、ユーザーはそう望めばテキスト・ボックスにペンでテキストを書き込める。

Fluentは多様な入力方法をサポートする。MicrosoftがWindows 8向けに開発したデザイン言語のMetro(何かごたごごたがあって名前を変えたが、変えた後の名前は誰も覚えていない)はタッチ操対応に重点があった。Fluentの場合はクロスプラットフォーム対応に重点が置かれている。これには仮想現実、拡張現実の環境が含まれる。またタッチ操作だけでなく、視線やペンによる入力もサポートする。「(VR、AR空間のサポートではGoogleの)Material Designより桁違いに進歩している」とGalloは述べた。

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