Adobeのデジタルメディア責任者、定期課金、Behance、ハードウェア、違法コピーを語る

今日(米国時間5/7)私はAdobeの上級副社長・デジタルメディア本部長で、Creative Cloudの顔であるDavid Wadhwaniと、今週ロサンゼルスで行われている同社のMAXカンファレンスで話をする機会を得た。Adobeはいくつもの新製品を今週発表したが、中でも最重要かつ影響力の大きい発表は、間違いなく同社のCreative Cloudによる定期課金への移行とCreative Suitesの開発中止だ。この動きに対しては反発も見られるものの、コミュニティーの殆どはこれを受け入れており、それがAdobeの革新を加速しユーザーによりよい製品を届ける一助になるとWadhwaniは信じている。

Creative Cloud

Wadhwaniは会話の中で、同社がCreative Suite 6を「無期限に」販売する計画であることを強調した。彼にとって重要なのは、同社がクリエイティブな進化を続ける方法を見つけることだ。Adobeは「クリエイティブ世界の方向と、これから起きるとAdobeが考える進化」を見極わめる必要があると彼は言う。Adobeの戦略は、この変化のいくつかに影響を与えリードしていくことであり、Creative Cloudはそのための同社の手段だ。今日のクリエイティブのワークフローに欠けているのは、「〈つながり〉の要素だ。現在のクリエイティブ作業は単独で行われることが多すぎる。共同作業者やもっと大きなコミュニティーとつながることは、多くのクリエーターに非常に大きな力を与えるだろう」とWadhwaniは言った。

もしそれがクリエイティブの方向なら、「ツールからサービス、コミュニティーにいたるまで真の統合体験を作ることが、Adobeにとって最良の方法であることは極めて明白だ」と彼は言った。Adobeは最大の価値を付加できる分野にリソースを注ぎたい。その意味でCreative Cloudは同社の進化にとって自然な一歩だと彼は言う。

Creative Cloudに対する初期の反応が肯定的であり、「良好かつ強力な加速的成長」を得ているという事実によって、Adobeは「クリエイティブ・コミュニティー全体がオープンであり、この方向へ進むことに明らかな関心を寄せている」ことを確信した。しかし同時に彼は、誰もが準備万端というわけではなく、浸透するには少々時間のかかる変化であることも認識している。Adobeはこの変更についてユーザーとオープンな会話を持ちたく、今後数週間をかけてメッセージを伝えていく考えだ。今のところMAXでのクリエイティブ・コミュニティーからの反応に、彼は非常に満足している。

Creative Cloudに関してAdobeがあまり公に話していない一面は、この変更によって違法コピーが著く減ることだ。Photoshopや他のクリエイティブツールが手に入りやすくなることは、ユーザーにとって月額の定期利用料を払う方が違法コピーより簡単になることを意味している。さらに彼は、Behance、ストレージ、同期、および同社が販売する多くの新しいツールなどの付加サービスによって、ユーザーはCreative Cloudを定期利用することの価値が単なるツール以上のものであることを理解すると信じている。

彼にとってCreative Cloudへの移行は、ビジネスモデルだけでなく、カルチャーの変化だ。「Adobeのカルチャーは常に、われわれの顧客が創造した作品に感謝することだった」。今後Adobeはユーザーへのリーチ拡大を促進することが願いであり、Behanceがその中心的役割を演じることは明らかだ。このツールはMAXのどの基調講演でも詳しく紹介されなかったが、Wadhwaniは私との会話の中で長い時間をかけてその役割について話してくれた。彼はこれを、Adobeにできることの非常に楽しみな新しい一面だと考えている。

では、デベロッパーは?

しかし、今週のMAXの焦点は明らかにデザイナーとクリエイティブに当てられていて、以前と比べてデベロッパーの話題がずっと少なかった。Wadhwaniはこれについても会話の中で認めた。Adobeは今後もデベロッパーから目をそむけることはないが「焦点を精緻化していく」。Adobeは、UIデザイナー、UIデベロッパーのためのツールに力を入れ、ブラウザー開発者との共同作業も続けていく。大企業デベロッパーのバックエンドツールに関しては、他の選択肢が多いのでAdobeはあまり多くのリーソスを割くつもりがない。

Adobeのハードウェア

もう一つ、MAXで行われた大きな発表は、もちろんAdobeがハードウェア製品の実験を行っていることだ。しかし、いくら聞いてもWadhwaniはAdobeがこれらのプロトタイプを実際の製品にするつもりがあるかどうか言わなかった(私のフィーリングとしては、間違いなくその気だ)。Adobeがハードウェアやりたいのは、現在のツールセットの隙間を埋めることだという。もし他のハードウェアメーカーが同じようなツールを作ったり、共同開発したいというなら歓迎する彼は言った。これはある意味でGoogleがNexus製品で他社のためのリファレンスを作ったアプローチと似ている。今日同社が披露したツールは、iPadなどのタッチ端末をクリエイティブ専門家のための本格的ツールへと変えるものだと彼は信じている。

Adobeは他のハードウェアのアイディアも進めているようで、Wadhwaniは同社のスタイラス、MightyについてAdobeが取り組んでいる先進的イノベーションの先鋒だと説明した。今晩、MAXの閉会イベントで、Adobeは同社のラボで進められている他のプロジェクトをいくつか紹介する予定なので、さらにハードウェアの発表が見られるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Betaworksの超中毒性iPhoneゲーム「Dots」が1週間で100万ダウンロード達成

DotsはBetaworksから先週リリースされたばかりのゲーム。わずか1週間に100万ダウンロードを記録した。

ブログ記事によると、このアプリは8ヵ国でランキング1位、15ヵ国でトップ5に入っている。今現在Dotsは、Hardest Game Ever 2、Falldown2という2大ライバルに続く無料アプリの3位に入っている。

もちろん、Betaworksをバックに持つことは幸先よいスタートを切るための賢明な方法だが、Dotsはそれ自身、上質のモバイルゲームである。

内容はシンプルな伝統的「点つなぎ」ゲームのデジタル版だ。同じ色のドットをできるだけ多くつなぎ、最終的に正方形を作ってその色のドット全部を盤面から消すのが目標だ。

モバイルゲームらしく、ユーザーは「ドット」を得点することによってパワーアップや上級ツールを手に入れられるが、それらはアプリ内購入によっても入手できる。BetaworksのPaul MurphyはTechCrunchの取材に対して、ユーザーたちはドットの獲得と購入どちらも行っていて、それは開発チームの期待通りだと語った。

しかし、その魅力非常に中毒性の高いゲームプレイだけではない。共同ファウンダーで常勤ハッカーのPatrick Mobergはそのデザイン、イラストレーション、開発の経験を生かし、審美的なニュアンスとアニメーションによる実に美しいゲームを作り上げた。

さらにそのソーシャル要素によってアプリはたちまちバイラルになった。「このアプリはゲーム内のソーシャルな機構に支えらていれる部分が非常に大きい。それはうまくいっているし、今後も続くだろうと思っている」とMurphyは語った。

問題は、Dotsが真のクラシック作品のような勢いを保てるのか、それとも第2のDraw Somethingになるかだ。しかし今のところ開発チームは、iPhoneからiPadへの拡張や色覚異常ユーザーへの対応などの改善に集中している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Microsoft 、Windows Blueのデベロッパー向けプレビュー版リリースは6月下旬と発表

Windows 8がローンチしてから半年になる。称賛もあれば批判もあり、それを受けてMicrosoftは740回もバグ修正やアップデートを繰り返してきた。ここ何ヶ月も話題になっている最初のメジャー・アップデート(コードネーム、Windows Blue)について、プレビュー版公開の時期がやっと発表された。

今日(米国時間5/7)開催されたWiredビジネス・カンファレンスに登壇したMicrosoftのWindows責任者、Julie Larson-Greenは「MicrosoftのBUILDデベロッパー・カンファレンスの開催に合わせ、デベロッパーはWindowsのメジャー・アップデートを6月下旬にダウンロードできるようになる」と明らかにした。

Larson-GreenはWiredの上級編集者、Michael Copelandとの対談で「このアップデートは最終的にはWindows 8ストアで公開され、Windows 8の正規ユーザーなら誰でも利用できるようになる。他のアプリと同様、クリックするだけでインストールされ、Windowsがアップデートされる」と語った。実のところ、6月にメジャー・アップデートのプレビューがリリースされるという噂は1月も前から流れていたので、この発表に驚きはない。ともあれWindows 8のドラスティックな新デザインに馴染めないでいたユーザーには朗報になるかもしれない。

まだBlueの詳しい内容は秘密のベールで覆われている。そもそもアップデートの公式名が何と呼ばれることになるのかもわからない。Windows 8.1という名前が広く使われているが、Larson-Greenは決してその名を口にせず、単に「Windows 8のアップデート」と呼んでいた。CFOのTami Rellerは Blogging Windowsにアップデートに関するQ&Aを載せているが、内容は漠然としている。

とはいえ、このアップデートではWindows 8に対するもっと強い批判がよせられている2点について対応策が取られたものと考えていいだろう。ZDNetのMary Jo Foleyによれば、伝統あるWindowsのスタートボタンが輝かしく凱旋するらしい。またMetro UIを使わず、直接デスクトップUIで起動することもできるようになるという。

Larson-Greenは「6月はMicrosoftとハードウェア・パートナーにとって非常に多忙な時期になる。小型のWindows 8デバイスの開発が大詰めに近づいており、6月にはポータビリティーの専門家がテストを開始できるようになる」と語った。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


新iPad Mini用のRetinaディスプレイ、6月か7月に製造開始との情報

iPad miniは今やAppleの製品ラインの中できわめて重要な地位を占めるようになった。一部の情報源によればminiはAppleがこれまで製造した中でもっとも売れたタブレットだという。miniは昨年の11月上旬に発売され、昨年のAppleのタブレットのセールスの好調さに大いに寄与した。前四半期には1950万台が売れている。Retinaディスプレイ版のminiが登場することは必然と考えられている。MacRumorsによればRetina版のminiはこの夏にも製造が開始されるという。

一方、NPD DisplaySearchのアナリストは次のように予測している。

iPad mini向けRetinaディスプレイの製造は6月か7月に開始される。主な供給メーカーはLGDisplayだ。Samsungは過去にAppleのパートナーだったが今回Retinaディスプレイは製造しない。Retina版iPad mini のスクリーンサイズは7.9インチ、解像度は2,048×1536ピクセルで324 PPIとなるはず。この解像度はiPhone 5とほぼ同様。フルサイズのRetina版iPadと画面表示に互換性があるが、ピクセル密度は一層高い。

この製造開始時期はRetina iPad miniの登場時期が7月から9月にかけてだろうと予測されてきたのと符合する。CEOのTim Cookは最近、「今年の秋から2014年にかけてエキサイティングな一連の製品が発表される」と予告している。これから考えるとRetina版iPadminiの登場は早くても秋ということになりそうだ。

Retinaスクリーンが搭載されなかったことは、買う価値がないとまで論じたものはほとんどいなかったものの、iPad miniの「唯一の欠点」として広く批判された。Retinaの搭載で唯一の欠点も解消されることになる。

当初、次世代のminiは重さも厚さも現行製品よりやや増加しているという情報がリークした。事実、フルサイズiPadにRetinaディスプレイが搭載されたときに同じことが起きている。この増加ははっきり実感され、私にはディスプレイの改良によるメリットをほとんど打ち消しているように感じられた。miniのリーク情報については、ごく初期のプロトタイプについてのものであると思いたい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Amazon Web Services(AWS)がNode.jsによるSDK/オブジェクトライブラリを提供

Node.jsは今や、アプリケーションを開発するとき誰もが使っている。それはサーバサイドのJavaScriptだ。比較的おぼえやすいので、とても人気がある。今回はAmazon Web Services(AWS)が、Node.jsによるSDKをリリースし一般公開した。

あるブログ記事によると、AWSは12月のプレビューリリース以降、さらに機能を増強した。新しい機能は、バウンドパラメータ、ストリーム、EC2インスタンスのIAM roles、バージョンロッキング、プロキシなどだ。AWSによると、このSDKはAWSのサービス(Amazon S3, Amazon EC2, DynamoDB, Amazon SWF)のJavaScriptオブジェクトを提供して、デベロッパのコーディングを単純化することが目的だ。

Node.jsはその、イベント駆動型のノンブロッキングI/Oにより、アプリケーションのスケーラビリティを支え、しかも、スレッドやタイムアウトのポーリング、イベントループなどをプログラマは扱わずにすむ。だからこそ、大きな人気を獲得した。とくにゲームデベロッパに愛好者が多く、AmazonのCTO Wener Vogelsは、3月にAWSがElastic BeanstalkでNode.jsを提供したときに書いた記事の中で、そのことを説明している。Vogelsによると、Elastic BeanstalkはElastic Load Balancing、Auto Scaling、EC2などのAWSリソースのプロビジョニングとモニタリングと構成を自動化する”。彼によると、デベロッパたちはNode.jsの機能を利用することによって、レイテンシ(ネットワーキング待ち時間)の低い複数の並列的接続を実現している。UberやVoxer、それにDataheroのようなエンタプライズ向けスタートアップはすべて、サーバの実装にNode.jsを使っている。

Node.jsのサポートを提供しているクラウドプロバイダはAWSだけではない。Joyentはこのプラットホームを企業向けサービスの一環として提供している。Windows Azureもビッグなサポーターだ。Rackspaceもサポートしている。3月にMicrosoftは、Windows Azure Service Busを使うオープンソースの寄与貢献物を提供した。それは、Node.jsによるリアルタイムアプリケーションのためのスケールアウトをサポートするライブラリだ。

AWSが今回Node.jsによるSDKを一般公開したことは、デベロッパ界隈における、Node.jsというプラットホームの実力を物語るエピソードの一つだ。つまり、デベロッパを相手にするビジネスでは、もはやNode.jsを無視できない。これで、AWSをベースに開発〜プログラミングをするデベロッパが今後増えることは、ほぼ確実だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


データの高速化について現場最先端の6社が語る

このごろは、何ごとに関してもスピードが重視される。つまり、今でも、ネットワークからデータをかき集めるよりもFedExで送ってもらった方が速いことがある。データを飛行機で運んだ方が速いという、うそみたいな事実が、今でも実際にあるのだ。

数テラバイトのデータを転送するだけなら、丸一日とか一晩かかることはない。でもフィーチャーフィルムの収まった複数のハードディスクを単純に“大陸間移動”することと、正しいデータを取り出し、それを分析し、何かのアプリケーションでプレゼンすることは、状況や抱える問題がまるで違う。スマートフォンの爆発的普及や、言葉の違いなどの障壁、3Dプリンタ、データオブジェクトの限りない多様化と集積、などなど、現代は、データ移動と言っても後者のような複雑な処理ニーズを伴うものが、圧倒的に多くなっている。

このようなデータ移動の複雑性に対応するために多くのアプリケーションは、RAMやフラッシュメモリの有効利用に傾いている。ハードディスクは、もはや古いのだ。ハードディスクの機械的な部品は、現代の企業が分析するデータの量や速度に対応できない。データベースも、完全なメモリ常駐型など、新しいものが登場している。スタートアップだけでなくSAPのような伝統的なIT企業も、それらの開発に取り組んでいる。そしてNoSQLデータベースが、今ではデベロッパたちのコミュニティでは人気者になっている。

しかしアプリケーションのパフォーマンスやデータ分析のスピードを左右する要素は、非常に多面的だ。最近FirstMark Capitalの常勤パートナーになったMatt Turckは、先週ニューヨークの同社のオフィスで行ったインタビューで、物のインターネット(Internet of Things, IoT)がデータ転送の総量を爆発的に増大させる、と言った。彼はそのとき、その兆候としてMQTTの登場を挙げた。この、IoTのための通信プロトコルは、The New York Timesによると、“マシンツーマシン通信のための共通語であるだけでなく、データ交換のためのメッセンジャーでありキャリアだ”。

MQTTの作者は、ワイト島にある16世紀に作られた彼の藁葺き小屋をIoTで自動化しようとしているときに、メッセージングのプロトコルが必要だと気づいた。

物といえば、子どもが床に転がして遊ぶ、あのボールなどを連想するが、しかしTurckによれば、それはボールのような無表情なデータ片ではなく、それ自身の社会的な(かけがえのない、他と同じでない)自己同一性を持ち、いずれは何兆ものほかのオブジェクトと接続することになるデータオブジェクトだ。子どもが壁にぶつけてあそぶSpaldeen〔≒スーパーボール、ビックリボール〕のようなものではなく、それは何かのアバターにもなるデータオブジェクトだ。でも、このボールなどさまざまなオブジェクトから渡されるすべてのデータを、全世界規模で想像すると、それが簡単にゼタバイト級のディメンションになってしまうことが、理解できるだろう*。〔*: したがって通信方式はどうしてもメッセージング(==非同期)方式になる。〕

今では、何ものにも増して重要な話題かつ課題と思われる、IoTなどを契機とするデータ通信量の爆発的増大について、一部のエキスパートたちに話を聞いてみた。しかし彼らの視点は未来よりもむしろ、今まさに起きつつあることに向けられている。

MemSQL

4月の終わりにMemSQLは、同社のリアルタイム分析プラットホームを一般に公開した。このプラットホームは、インメモリデータベースと分散インフラストラクチャを使って大量のデータを分析する。そのデータベースは、スピード重視のアーキテクチャだ。

MemSQLのCEOで協同ファウンダのEric Frenkielは、最近の10年間で大規模なデータ保存技術に重要な改善が見られた、と言う。“企業は圧縮した列保存〔参考〕とHadoopを使って大量のデータを保存し、データの保存と分析を行っていない企業に対して競合上優位に立つようになった”、とFrenkielは言う。“しかしビッグデータは、データ量が十分に多くてしかもアクセス可能でないと無益だ。今企業が苦労しているのは、ビジネスの変化の速度にデータ処理のスピードを合わせること、後者を十分に速くすることだ”。

彼によると、企業がますますデータに依存するようになると、増大する一方のデータに正しいタイミングで対応するために、より高速なデータベースを必要とする。“大量データの保持(リテンション)と保存(ストレージ)という問題が解決されると、次の課題はスピードだ”、とFrenkielは言う。“ハードディスクをフラッシュストレージで置換するとある程度速くなるが、しかし本当に必要なイノベーションはデータを保存し分析するソフトウェアの進化だ”。

MemSQLは、データ分析のためのインテリジェンスとして機能するアグリゲータだ。データ分析は複数のノードにわたってオーケストレーションされ、それらがアグリゲータのコマンドを実行する。各データノード自身は何も知らない(処理インテリジェンスを持たない)、単なる歩兵である点がすばらしいのだ、とFrenkielは言う。

“企業が今インメモリコンピューティングに注目しているのは、それがビッグデータ問題を解決するための新しいアプローチだからだ。インメモリコンピューティングは速度という成分を解決するが、しかし、量という成分を満足させるためにはスケールアウトのためのアーキテクチャが同時に必要だ”。

彼によると、今企業は、既存のソリューションを利用しつつ、データウェアハウスを最新の高速化データベースで拡張して、高速なデータ分析により意思決定の高速化を支えようとしている。“これからは、データ分析が高速で、トレンドや異状を速く見つけられる企業が勝つ”、と彼は言う。“大量のデータを分析しなければならない、という状況は今後も変わらないが、今では速度を重視したアーキテクチャにより、重要な発見や洞察がリアルタイムで得られるようになっている”。

Enigma

Engima は、先週行われたDisrupt NY 2013で優勝した。協同ファウンダのHicham Oudghiriによると、スピードのニーズの背後には必ず、データ量の絶えざる増大というニーズがある。しかし彼によると、EnigmaやPalantirなどが抱えるスケールの問題は、多くのスタートアップが日々直面している問題とまったく異なる。

“ふつうスケールというと、ユーザ数が数千、数万、数百万と増えていくことへの対応だ。だから、問題の形は、どの段階でも同じだ”、とOudghiriは言う。“複数のサーバを並列で動かすとか、予備機を増やすといったワンパターンの対応になる。Webサーバの稼働のラウンドロビン化、CloudFlareのようなCDNの利用、Amazonのようなオートスケール方式でトラフィックのピークに対応する、などなどの方法がある。しかしユーザ数ではなくてデータ集約的なアプリケーションでは、問題がまるで逆になる。スケーラビリティの問題はユーザ数ではなくて、一つのクェリのために何十億もの行を調べるという問題になる。さらにしかも、集めてくるデータの形式や性質や内容がそれぞれバラバラで不統一、という問題に遭遇することも多い”。

彼曰く、これらの問題には、サーバの台数を増やすなどの単純な解はない。ただし、データの保存という点では、冗長性が何よりも重要である。

“唯一の正しいモデル、というものはない。SQLかNoSQLかグラフデータベースか、という選択の問題でもない”、とOudghiriは言う。“それらをすべて使うこと、それぞれに適した役所(やくどころ)を与えることが重要だ。そうやって、各方式の持つ利点を最大限に利用しなければならない。データベースを、一つの理想的なシステムと見なすのではなく、それぞれの声が互いを補い合うことによって生まれる“ハーモニー”だ、と考える。一つの問題を解くときに、頭の中にはつねに、効果的に使い分けられる複数の道具がある、という柔軟性がとても重要だ”。

“第二に、RAMが自分の親友だと考えること、パーシステンシ(persistency,データのオフメモリの持続的存続)はサーバのクラスタで実装することが重要だ(サーバはパーシステンシのための装備であり、実稼働はもっぱらオンメモリで行う)。うちでは、検索のスケール(規模拡大)をRAM内で行っている。今は、メモリがとても安いから、それが十分に可能だ。ただしそうなると、RAMに保存したデータのパーシステンシを確実にメンテできるソフトウェアの構築が、重要な課題になる”。

しかし、中には、RAMのコストを問題視する人びともいる。この点について、彼に聞いてみた。

“部分的にSSDも使っているが、非常に水平的な検索(列よりも行指向)では十分に速くない”、とOudghiriは言う。“しかも、SSDは、こっちが事前に予期できないタイミングでパフォーマンスが急に落ちる。それに比べるとRAMはまったくパーシステントではないけど、むしろノンパーシステントだからこそ頼りになる。リスクと、得られる利点との、トレードオフだね”。

10gen

10genの見方は違う。10genは、NoSQLデータベースMongoDBのスポンサー企業だ。10genの技術部長Jared Rosoffは、スピードには少なくとも二つの側面、アプリケーション開発とアプリケーションのパフォーマンスがある、と言う。

“MongoDBのアプリケーション開発が速いことには、異論がない”、とRosoffは言う。“データモデルに柔軟性があり、ドライバが定型化されていることにより、デベロッパの生産性が高く、機能の改良も速い”。

アプリケーションのパフォーマンスに関しては、MongoDBは余っているメモリのすべてを最近使ったデータのキャッシュに使うので、メモリが十分に大きければインメモリの高パフォーマンスが達成される。

しかしRosoffによると、ワークロードが大きくなるとDRAMはけっこう高いものになる。

“でもビッグデータの仕事を完全にインメモリのデータベースでやろうとすると、十分な量のDRAMを使わざるを得ない。問題は、一台のサーバに載せられるRAMの量に限界があることと、RAMの費用そのものだ。MongoDBは、ディスクやフラッシュストレージを使って、一台のサーバの上で相当大きなデータ集合を処理できる。MongoDBの顧客の多くが、SSDやFlashストレージデバイスを使って、比較的安く、インメモリに近いパフォーマンスを達成している。

また、MongoDBの(NoSQLの)ドキュメント型データモデルではデータのローカリティ…局所性…を維持できるので、複雑なデータモデルと違ってディスクI/Oの回数が少ない。これも、ハイパフォーマンスの重要な鍵だ。

SlashDB

SlashDBは、関係データベースのAPIを作る。ファウンダのVictor Olexの説では、ユーザが求めるスピードはデータベースそのもののスピードに帰結する。

“データアクセスの速度は距離(ネットワークのレイテンシ)だけでなく、ファイルシステムやデータベースからデータを取り出すのに要する時間と、その間のデータ変換の量(フォーマットの変換、エンコード、デコード、圧縮など)にもよる。また、データの取り出しの効率は、データ構造の実装にもよるし、間接参照の少なさも重要だ*。とくに今のデータベース上のエンタプライズデータは(そのデータ構造が)、Webを利用する情報システムにとってボトルネックになっている。関係データベースは宣言型(not手続き型)のクェリができるので便利だが、そのためにインメモリでもディスクからでも、必要なレコードを取り出す計算費用が高くなる。逆にNoSQLのようなドキュメント型のデータベースは、一般的に数値キーでデータを取り出す。データを保存するときに数値を割り当てて、数値とデータを対照するルックアップテーブルを作っておくのだ”。〔*: 直接参照は「n番地にあるデータを読め」、間接参照は「n番地にあるデータに書かれている番地にあるデータを読め」。〕

“さまざまなキャッシング技術がデータアクセスのスピード向上に貢献しているが、そこには精度の低下という費用が発生する(目的データがキャッシュにないこともある)。たとえばWebページでは、キャッシュには古い日付のものしかないことが、よくある。でもそれは、実際にデータベースにアクセスして最新データを取り出す処理費用との、トレードオフという問題だ。我慢できるトレードオフ、と言うべきか。キャッシングとWebアプリケーションのレイヤはスケールアウト(out)して同時に複数のサーバを動かせるから、複数のリクエストを並列に処理できるが、しかしデータベースサーバの方は、一台のサーバの容量やプロセッサを増強するというスケールアップ(up)しかできない。SlashDBは企業のシステムにWeb型のサービスを提供している。つまりURLの中にクェリがあり、結果をHTTPのレスポンスで返す、という形のサービスだ。それは複数のノードでも動かせるし、通常のHTTPプロキシにも対応して、頻用されるリクエストをキャッシュしている”。

“データ集約的な処理は主に、サーバサイドのシステムの領分だった。モバイルデバイスの普及で状況はやや変わってきたが、しかしそれでも、人間の情報処理能力は昔と変わらない。一説ではそれは、毎秒60ビットと言われる。だから、それ以上速いスピードでデータを配布しても意味がない、無駄である、という説もあるのだ。Twitterやメールだけは、別かもしれないがね”。

AlchemyAPI

“AlchemAPIはスピードにこだわっている”、とCEOでファウンダのElliot Turnerは言う。“うちの顧客はみんな、情報の時間価値を知っている。だからデータをできるだけ速く処理することとうちの業績は直接結びついている。しかしデータ処理アプリケーションをもっと速く動かすための簡単な秘訣はない。ボトルネックはいろんなところで発生する。データの保存、取り出し、分析など、いろんな局面で”。

“データの分析の効率化にはさまざまな方法があり、GPUによるハードウェアアクセラレーションや、分散コンピューティング、アルゴリズムのイノベーションなどいろいろだ。AlchemyAPIはこれらすべてを組み合わせて利用するとともに、RAMやSSDを多用することによってデータの保存、取り出し、そして処理を高速化している”。

“RAMは着実に価格が下がりつつあるが(http://www.jcmit.com/mem2013.htm)まだSSDよりも一桁高いし、ハードディスクよりは二桁高い。ペタバイト規模のビッグデータを完全にRAM上で処理するのは、ちょっと費用的に無理かもしれないから、うちも含めてRAMとSSDを併用するハイブリッド方式のところが今は多い。でも、テラバイト規模の小さな展開では、徐々にRAMオンリーに変わりつつある。今後さらにRAMが安くなれば、展開規模も大きくできるだろう”。

まとめ

データ処理の高速化の話は、SSDやRAMや最新のデータベース技術だけで終わるものではない。しかし、一つだけ確かなのは、世界が高度に分散したデータメッシュになり、そしてその負荷が日に日に増大するとともに、新しい高速化の方法が必ず必要になることだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


日本発の記事も海外に・コメントが成長の鍵–ハフィントン・ポスト日本版がローンチ

ハフィントン・ポスト 日本版 ローンチ

以前からアナウンスされていたハフィントン・ポストの日本版が本日ローンチした。これに伴い、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンが記者発表会を開き、今後の展望について語った。

本家ハフィントン・ポストの編集長Arianna Huffingtonと日本版編集長の松浦茂樹氏が強調したのは日本の未来を語る場を目標としていることだった。日本版では他国と同様に経済・政治などのニュースを取り上げることはもちろんだが、人間の生活面や健康面といったことも積極的に発信していきたいとう。

というのも、日本の伝統である健康的な食事や、人間の精神的な面においての工夫(Arianaは京都で座禅を組んで感銘を受けたそうだ)などは日本の強みであり、多くの人がこういった情報も求めているからだ。日本版で掲載された記事は海外のハフィントン・ポストにも翻訳されて掲載される。そのため、日本こそが貢献できる領域を発信することは重要だと考えている。

また、日本国内の人口減少、ワークライフバランス、自殺問題といった社会問題に関しても日本の豊かな伝統が解決策を見つけることができるのではないかとArianaは語った。

さて、このような記事を提供する上だけでは既存のメディアと比べて目新しい点はないが、どのように差別化を図るのだろうか。一番のポイントはユーザー同士の活発な対話だ。ハフィントン・ポストが米国で人気を博している大きな理由の1つがこれで、月に4,600万ユーザーがサイトに訪れ、800万件以上ものコメントを投稿しているという。

日本でもこのような状態になることが目標だ。とはいえ、日本ではコメントはあまり投稿されないのではないかと思われる方は多いだろう。松浦氏自身も編集長に就任してから最も多く聞かれた質問がこれだったという。

松浦氏は、ハフィントン・ポストのポジティブな意見を集約し、ネガティブなコメント(批判が絶対的にNGという意味ではなく、議論にならない批判コメント)は意図的に表示しないという編集方針に可能性を感じ、日本でも同じように取組むという。現状は活発にコメントが投稿されることは難しいかもしれない。しかし、継続的に続けていけば…と語った。

なお、ハフィントン・ポスト日本版はAOLと朝日新聞の合弁会社により運営されているが、編集権はハフィントン・ポストにあり、親会社が編集に口出しをすることは無いと語っていたことを付け加えておこう。


米上院、超党派の圧倒的支持を得て「インターネット売上税」を承認[アップデート有]

本日(米国時間5/6)米上院は、インターネット販売に対する課税を圧倒的多数で支持し、69対27で市場公正法案を通過させた。この結果は、以前拘束力のない類似の提案が、eBayをはじめとする主要インターネット組織の極めて強力な反対にもかかわらず、ほぼ同じ得票で上院を通過した時から予測されていた。

以前私が書いたように、支持者の主張は非課税のインターネット小売業者は、実店舗に対して不公正な利益を得ると共に、何十億もの税収を国から奪っているというものだ。一方反対者は、現行法案は非常に厄介な税法を生み出す恐れがあり、スタートアップやインターネット小売業者は、ソフトウェア技術が対応する前に新税法の適用を受けることになると反論する。

同法案は今後下院で修正される可能性がある。ワシントンのTechCrunch情報筋は、上院で圧倒的に支持されていることから下院で法案に反対することは困難だが、オンライン税を徴収する義務が生じる売上高のしきい値を、100万ドルから1000万ドルへと引き上げるよう修正される可能性はあるとしている。

これは、われわれほぼ全員に影響を及ぼす法である。もっと大きな騒ぎが起きないことに私は少々驚いている。

アップデート2:司法委員会委員長のBob Goodlatteが声明を発表した(インターネット売上税法案は司法委員会にかけられる可能税が高いため、彼の見解の影響力は極めて大きい):

市場公正法案は未だ十分に簡素化されていないと私は考える。徴税の簡素化をはかろうとしているもののまだ先は長い。定義や税率に未だ統一性がないため、企業は何百という税率と山ほどの税法や定義の取扱いを強いられる可能性がある。私はこの件の法制化に関しては立場を明らかにしていないが、他を含めこれらの問題を検討すべきであることは間違いない。また当委員会では、州外企業に対する州の過激な行動の道を開くことなく、州が売上税を徴収できる代替案も検討している。

アップデート:当初報じた70対24という得票結果は修正案に対するものだった。正しい値に修正済み。

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(翻訳:Nob Takahashi)


腕に巻く歩数計、Fitbit Flexは史上最高のFitbit

The Fitbit Flexは腕に巻くFitbitだ。こいつはすぐれものだ。

私は市場に出回ったおよそありとあらゆる自己計測ガジェットを使ってきた。その殆どはギミックの域を出ていない。Fitbitは常に私のお気に入りだった。しかし、口にしたくないほど失くしてきた。どのFitbitもあまりに小さいのでポケットから落ちたり、洗濯機の中で静かにお亡くなりになったりした。

今度のFitbitは、心地よい小さなリストバンドに装置を組み込むことによって問題を解決する。

機能

  • 歩数計
  • 睡眠記録
  • バイブレーターアラーム
  • AndroidおよびiOSの専用アプリ
  • 希望小売価格99ドル

  • 最高の着け心地
  • 機能満載
  • 紛失不能

  • 劣化が早い

私は先週のDisrupt NYでFitbit Flexを着用した。多くの注目を集めた。誰もがそれは何かと興味をもった。気付かれにくいと思っていたのでそれは驚きの出来事だった。

「それ何?」と聞かれる。「新しいFitbitさ」と言って説明すると、他の人が次の質問をすることなく気に入ったから買う、と言った。

Disrupt NYはFlexを試すには最適な場所だ。最初のFitbitは2008年に本誌主催のカンファレンスでデビューし、Yammerに続く次点だった。Fitbit Flexは、大きくて多機能すぎるという自己測定系ガジェットの抱える主要な問題に取り組んだ。そしてあらゆる追加機能をスマートフォンに追い出した。

Flex本体には小さなLEDが5つあるだけで、これが1日の歩行目標のパーセンテージを表す。デバイスの表面をタップするとアクティベートされる。ドットが2つなら、所有者はその日の目標の2/5を達成したことになる。それ以上の情報? Bluetoth 4.0を持つデバイスにFitbitアプリをインストールしよう。Fitbit Flexはすぐに同期してさまざまな追加情報を表示する。

Fitbitは長年スマートフォンアプリを活用している。おかげでデバイスをごく小さくできる。Flexは他の製品ラインと同じアプリを使用する。歩いた距離や睡眠パターンの履歴に加え、ユーザーは簡単に水分や食事の摂取量を記録できる。アプリはFitbitを全面的に制御している。ウェブを使えば〈さらに詳細な情報〉を得ることができる。Flexには、Bluetooth 4.0またはNFC内蔵のスマートフォンを持たないユーザーのために、USB同期用ドングルが付属している。

FitbitはFlexのバッテリーについて5~7日持続すると言っている。私は1週間半ほど使う間に一度しか充電する必要がなかった。

Fitbit Flexにも欠点はある。基本的な部分は押えているものの、いくつか対処すべき要素がある。

ベルトは比較的早く磨耗する。わずか1週間ほど使っただけで縁の部分がすり減ってきた。ブラックがブラックでなくなった。交換用のベルトは購入可能

幸いゴムのベルト部分は単なるホルダーだ。Fitbit本体はベルトの中に入っている。取り出してからUSBで充電する。

Flexは睡眠もうまく記録してくれない。先週は毎晩これを着用してベッドに入ったが、睡眠が記録されたのは2晩だけだった。ユーザーエラーである可能性もあるが、「一度設定したら後はおまかせ」とは言い難い。しかし、Fitbitで嬉しいのは利用者が原則として何もしなくてよいことだ。とにかく正しく動作すべきだ。睡眠記録機能は常に働いてはいないようだ。

しかし、これらの問題はFlexの出来映えからすれば小さなことだ。

FlexはFitbitの大ヒットだ。着け心地は良好で、機能もたしかでわずか100ドルの価格は競合力がある。Flexは史上最高のFitbitだ。強く推奨する

Fitbit Flex(99.95ドル)はFitbit.comおよび米国主要小売店で本日発売。Amazon.comでも扱っている。

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(翻訳:Nob Takahashi)


児童虐待防止広告に隠された、子供だけに見える秘密のメッセージ

被虐待児だけにそっとメッセージを送るために、ある支援団体が賢い広告掲示方法を考案した。身長4フィート5インチ(135cm)以下の人にしか見えないホットライン番号だ。秘密は表面に刻まれた精密なギザギザにあり、特定の高さ以上と以下とで異なる画像が表示される。身長の低い人(子供)には、「誰かにいじめられたら電話しなさい、私たちが力になります」というメッセージと共に、スペインの児童虐待支援組織に通じる秘密の電話番号が見える。


大人には「児童虐待は被害にあっている子供にしか見えないこともある」というメッセージが表示される。この広告は虐待者と一緒に歩いている子供向けにデザインされている。
レンチキュラーレンズは数十年前から使われているしくみで、おもちゃのモノサシや歩行者が通りすぎるにつれて変化するスピーシーズ2の映画ポスターなどに利用されている。

将来はさらに高度な通知システムが考えられる。IBMは、消費者が持ち歩く無線カードに基づいて離れた場所から個人の興味に合わせてターゲットする広告を開発中と報じられている。同じように、ショッピングモールで携帯電話の信号を追跡して店から店へ移動する消費者のマーケティングデータを集めることもできる。虐待児を救うためのメッセージを子供の携帯電話に直接送り込む広告も十分に考えられる。あるいは、Google Glassのような最新テクノロジーを利用することも。

上のビデオに広告の説明がある。

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(翻訳:Nob Takahashi)


3Dプリンタで製作できるLiberatorピストルについてまず知っておくべき事実

3Dプリンタで出力されたLiberatorというピストルは実際に発射可能であることが分かった。そこで3D兵器、自家製兵器について基本的な事項をここで確認しておこうと思う。

本当に作動するのか? イェス。少なくとも1発は本体を損傷させずに発射できたようだ。上のビデオでは1発しか発射されていないが、ForbesのAndy Greenbergは何回か発射したところを見たという。

これは本物のピストルといってよいのか?  ノー。これはピストルというよりいわゆるジップガンだ。ジップガンというのは鉄パイプ、釘、輪ゴムなどで組み立てられた即席、手製の火器を言う。大怪我したり死んだりする危険が十分あるのにスリルを求めてこんなもの作るガキども(その中には作り方を見せてくれた私の父も含まれる)は、弾を鉄パイプに詰め、輪ゴムに取り付けたクギを用意する。輪ゴムをひっぱって離し、雷管を叩いて発射を試みるわけだ。ビデオのLiberatorも似たような仕組で、スプリングで釘を雷管に打ち付ける。

この銃の銃身にはいちおう溝が刻まれているが命中精度はごく低いだろう。ごく小型の380口径の弾頭を使う。もちろん人を殺せるが、威力は低い。

誰でもプリントできるのか? イェス。3Dプリント用のファイルをダウンロードすればよい。あとは3Dプリンタだけあればよい。

オリジナルの製造者は高精度のStratasys Dimension SST 3Dプリンタを利用しているが、Makerbotでも出力可能なはずだ。

しかし私は手持ちのReplicatorで出力して試してみようとは思わない。そこまで無謀ではない。私は3Dプリンタ・メーカー各社に問い合わせてみたが、どこも火器への応用に関してはノーコメントだった。誰も安全は保証しないということだ。しかし家庭用プリンタで出力可能なことは間違いない。

合法的なのか? いちおうはイェス(だが、私は弁護士ではない)。火器の製造に当たってはFederal Firearms Licenseを取得しなければならない。この銃を製造するには「破壊的装置および破壊的装置のための弾薬、徹甲弾薬の製造者」のライセンスが必要だ。このライセンスは誰でも申請できる。ただしこれまではライセンスの取得が困難というよりもむしろ火器製造のための工具が高価なためにあえて自家製の火器を作ろうとする人間が少なかった。それがStratasysの高性能プリンタでも8000ドル、無謀なら2000ドルの家庭用プリンタでも製造可能になったという点が問題となる。

また金属探知機による探知が不可能な火器の製造を禁止する法律(1988年)に適合させるよう、この銃には金属部品が組みこまれている。

というわけでこの銃を合法的に製造することは可能だ。

こうした火器の製造を止めることはできるか? できないだろう。

次にどうなる? 冷笑的な連中の議論が喧しくなるだろう。あるものは「すぐに3Dガンによる殺人が起きる」と主張するだろう。そして3Dプリンティング全体が恐ろしいものだとみなされるようになる、あれやこれやの規制と取締が必要だと言うだろう。銃規制推進派、反対派はそれぞれに過激な議論を繰り広げるだろう。

ここでは感情的な極論を排した冷静でバランスの取れたアプローチがぜひとも必要だ。

冷静な議論をするものは、今回のLiberatorガンそれ自体は実用的な火器というよりコンセプトを実証したモデルに過ぎないと見るだろう。3Dプリンティング・テクノロジーはあらゆる製造業のあり方を一変させつつある。したがって火器製造にも影響が及ぶというのは論理的必然だ。銃の自家製造は今に始まったことではない。アメリカでは昔から行われてきた。ただし3Dプリンティングは今後それを以前よりかなり容易にすることになる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


3Dプリンタで製作できるLiberatorピストルについてまず知っておくべき事実

3Dプリンタで出力されたLiberatorというピストルは実際に発射可能であることが分かった。そこで3D兵器、自家製兵器について基本的な事項をここで確認しておこうと思う。

本当に作動するのか? イェス。少なくとも1発は本体を損傷させずに発射できたようだ。上のビデオでは1発しか発射されていないが、ForbesのAndy Greenbergは何回か発射したところを見たという。

これは本物のピストルといってよいのか?  ノー。これはピストルというよりいわゆるジップガンだ。ジップガンというのは鉄パイプ、釘、輪ゴムなどで組み立てられた即席、手製の火器を言う。大怪我したり死んだりする危険が十分あるのにスリルを求めてこんなもの作るガキども(その中には作り方を見せてくれた私の父も含まれる)は、弾を鉄パイプに詰め、輪ゴムに取り付けたクギを用意する。輪ゴムをひっぱって離し、雷管を叩いて発射を試みるわけだ。ビデオのLiberatorも似たような仕組で、スプリングで釘を雷管に打ち付ける。

この銃の銃身にはいちおう溝が刻まれているが命中精度はごく低いだろう。ごく小型の380口径の弾頭を使う。もちろん人を殺せるが、威力は低い。

誰でもプリントできるのか? イェス。3Dプリント用のファイルをダウンロードすればよい。あとは3Dプリンタだけあればよい。

オリジナルの製造者は高精度のStratasys Dimension SST 3Dプリンタを利用しているが、Makerbotでも出力可能なはずだ。

しかし私は手持ちのReplicatorで出力して試してみようとは思わない。そこまで無謀ではない。私は3Dプリンタ・メーカー各社に問い合わせてみたが、どこも火器への応用に関してはノーコメントだった。誰も安全は保証しないということだ。しかし家庭用プリンタで出力可能なことは間違いない。

合法的なのか? いちおうはイェス(だが、私は弁護士ではない)。火器の製造に当たってはFederal Firearms Licenseを取得しなければならない。この銃を製造するには「破壊的装置および破壊的装置のための弾薬、徹甲弾薬の製造者」のライセンスが必要だ。このライセンスは誰でも申請できる。ただしこれまではライセンスの取得が困難というよりもむしろ火器製造のための工具が高価なためにあえて自家製の火器を作ろうとする人間が少なかった。それがStratasysの高性能プリンタでも8000ドル、無謀なら2000ドルの家庭用プリンタでも製造可能になったという点が問題となる。

また金属探知機による探知が不可能な火器の製造を禁止する法律(1988年)に適合させるよう、この銃には金属部品が組みこまれている。

というわけでこの銃を合法的に製造することは可能だ。

こうした火器の製造を止めることはできるか? できないだろう。

次にどうなる? 冷笑的な連中の議論が喧しくなるだろう。あるものは「すぐに3Dガンによる殺人が起きる」と主張するだろう。そして3Dプリンティング全体が恐ろしいものだとみなされるようになる、あれやこれやの規制と取締が必要だと言うだろう。銃規制推進派、反対派はそれぞれに過激な議論を繰り広げるだろう。

ここでは感情的な極論を排した冷静でバランスの取れたアプローチがぜひとも必要だ。

冷静な議論をするものは、今回のLiberatorガンそれ自体は実用的な火器というよりコンセプトを実証したモデルに過ぎないと見るだろう。3Dプリンティング・テクノロジーはあらゆる製造業のあり方を一変させつつある。したがって火器製造にも影響が及ぶというのは論理的必然だ。銃の自家製造は今に始まったことではない。アメリカでは昔から行われてきた。ただし3Dプリンティングは今後それを以前よりかなり容易にすることになる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


グッドバイ、Creative Suite―Adobe、定期課金によるクラウド・モデルに全面移行、CS6は当面販売を続けるものの新規開発は中止

Adobeはソフトウェアの将来は定期課金ベースのネットワーク配信にあると信じ、それに社運を賭けるつもりのようだ。今日(米国時間5/6)、ロサンゼルスで開催されたAdobe のMaxカンファレンスで同社はすべてのリソースをCreative Cloudの開発に振り向けることを発表した。

AdobeがCreative Cloudをスタートさせたのはほぼ1年前だ。 先週、AdobeのCreative cloudの責任者Scott Morrisは私の取材に答えて「Creative Cloudはやがてわれわれの各種ツールにアクセスする唯一の方法になるだろう」と語った。Adobeは当面CS6の販売を続けるが、それがいつまで続くかは明らかでない。新しいCreative Cloudは6月17日に公開される。

Maxカンファレンスの参加者の大部分はここでCS7が発表されるものと思っていたはずだ。ところが意外にもCreative Suiteのブランド名は消えていくことが判明した。新しいCreative Cloudには今までのようなバージョン番号は付かない。これにともなって当然ながらAdobeのビジネスモデルも一変する。箱入りのソフトウェアやダウンロードのライセンスを売ることはなくなり、完全に定期課金モデルが取って代わる。

昨年のローンチ以来、Creative Cloudは50万の有料ユーザーと200万の無料ユーザーを集めている。AdobeのDavid Wadhwaniが今日の基調講演でCreativeCoudこそ正しい方向だと確信していると述べた。

Scott Morrisが私に語ったところでは、AdobeはCreative Cloudが意外なほどの好評だったことから、Photoshop、Dreamweaver、PremiereProなどアプリを個別に開発、販売することを止めてネット上のCreative Cloudに一本化し連続的なアップデートを行い、ビジネスもCreative Cloudに一本化することを決断したのだという。

Morrisは「いくつものバージョンを管理するのはきわめてわずらわしい。Creative Cloudへの統合でAdobeの開発チームの負担は大幅に軽減される。この変革でイノベーションが加速され、新機能をいち早くユーザーに届けられるようになる」と語った。

Adobeでは今後Creative Suiteの新バージョンを開発する予定はない。ただしCS6のアプリ全種類をOS XとWindowsの今後のアップデートに対応させることを約束している。またバグ修正やセキュリティ・パッチの提供は今後とも続ける。ただし新機能の追加は一切行われない。

Morrisは私の取材に対して、この方針転換がかなりの冒険であることを認めた。「多くのユーザーはこういう転換が起こるとしても数年後のことだと考えていただろう。しかしそれが今日だったことはショックだったかもしれない。しかしわれわれがこの決断をしたのはCreative Cloudの登録ユーザーのほとんど全員が気に入ってくれていることを発見したからだ。AdobeのオンラインストアでCreative Cloudの満足度はPhotoshopより高い。これは前代未聞だ」とMorrisは言う。

一方、Morrisは一部のユーザーはCreative Cloudに乗り換えることができないという点を認め、「政府機関や学校、一部の大企業はクラウド版の一部の機能、Behanceコミュニティーでのコンテンツ共有やクラウド・ストレージ機能などを好まない(あるいは利用を許されない)だろう。そこでAdobeはこうしたユーザーのためにCreative Cloudの特別ライセンス版を用意している。 ソフトウェアをオンライン配信する点は同じだが、ユーザーの好まないクラウド機能を削除してある」と説明した。

定期課金制への転換を容易にするため、AdobeはCS3以降のCSライセンスの保有者に対してCreative Cloudを月額29.95ドルの特別料金で提供する(期間限定)。また同様の割引をPhotoshopなどの単体ソフトの購入者に対しても適用するという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


メッセージングアプリは新しいタイプのソーシャルネットワーク。米国外で急成長

テク系スタートアップの現状に対する、投資家Chamath Palihapitiyaの懐疑的コメント(Snapchatに関する辛辣なコメントを含む)は、先週行われた本誌主催のDisrupt NYで多くの議論を呼んだ。私が舞台裏でSequoia CapitalのパートナーAaref Hilalyをインタビューした際にも、Palihapitiyaの意見はHilalyのメッセージアプリに対するコメントの呼び水となった。Sequoiaが投資しているWhatsAppも話題に上った:

かなり大きい変化が起きている。WhatsAppのような会社はわれわれにソーシャルネットワークを再考させる。例えば、真のソーシャルグラフとは何か? 連絡を取り合って一緒に時間を過ごす人々のことなのか、それともFacebookの殆ど知らない100人のことなのか。前者であることは明確であり、それを掴んでいるのがWhatsAppのようなモバイルメッセージングアプリだとわれわれは考えている。

続けてHilalyはWhatsAppの成長(1日のメッセージが200億件と言われている)とデザインを賛美したが、他にも、特に海外に目を向けると良くやっている会社が多いと付け加えた。利用状況には世代ギャップがあるのではと尋ねたところ(私が年をとりすぎているかという質問でもある)、Hilaryは「世代と地理的」隔りがあると答えた。

「多くのメッセージングアプリは米国外で牽引力を持っている。米国内でも人気だが、外国では人々がメッセージングアプリに〈依存〉している。世代、地理両方の要因が、他の大きなトレンドと比べて世界が気付くのを遅らせていると思う」

ビデオでは、Hilalyがスタートアップ世界からベンチャーキャピタルに移ったことや、Sequoiaとの関わりについてもを聞くことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


成長第一、広告は二の次:Facebook戦略はInstagramにも

山火事のように燃え広がっている時に、はした金のために水を注すことはない。Facebookは広告を我慢することでウェブとモバイルアプリの成長を促し、同じ戦略をInstagramにも使おうとしている。ウォール街は写真アプリ買収に費した7億ドル超を取り戻すよう、Facebookにわめきかけているが、Mark Zuckerbergは今日の10セントのために明日の1ドルを捨てるつもりはない。

Facebookが広告に真剣に取り組むまでには何年も要した。成長とユーザー体験を何よりも重視したからだ。Facebook初の広告は「フライヤー」と呼ばれるキャンパス内イベントの宣伝だった。それはソーシャルネットワークの価値を損うことなくうまく適合した。Facebookがより伝統的な広告主に対して販売を開始した時、広告ユニットは小さく、本来のコンテンツが前面中央を占めるようサイドバーに追いやられていた。他で見られる派手なバナーやポップアップと比べると、Facebookは保護区のように見えた。この戦略は奏功し、またたく間に何億人ものユーザーを集めた。

Facebookは2008年7月にiPhoneアプリを公開した。3年間、一切広告はなかった。世界がモバイルへと移行し始めた時、Facebookはこれを欲得ではなく心から歓迎したいと考えた。2010年から2011年にかけて、Facebookのスマートフォンアプリは驚異的なペースで成長し、モバイルの一番人気となった。最も勢いのある時に広告で邪魔していたらモバイルの成長は止まっていたかもしれない。

2011年末までに、FacebookアプリはiOS、Android版合わせて5700万人以上の日間アクティブユーザーを持ち、月間アクティブはその2倍近かった。友達にFacebookアプリをダウンロードさせることに罪の意識はなかった。HTML5に頼ったたために最速とは言えなかったが、広告主から金を引き出すために限られた画面領域を浪費することはなかった。

2012年初期、ついにFacebookはモバイルおよびデスクトップのニュースフィードに広告を表示すると発表した。その頃までに先進国の多くの人々はすでに、Facebookのウェブとスマートフォンアプリを使っていた。最重要市場である米国、英国、カナダの成長は滴り程度までに鈍化していた。成長は主としてFacebookの多機能電話アプリを利用している発展途上国によるものだった。

ウェブやiOS、Androidのフィードに広告を出し始めた時、Facebookにとって失うものはごくわずかだった。Facebookアプリがバイラルに広がり多くのユーザーを増やすことは、第一世界でもはや必要なかった。必要なのは人々が〈離れる〉のを防ぐことだけだった。広告はFacebookが人々の反応を確かめられるよう、ゆっくりと表れはじめ、わずかな広告のためにフィードを見なくなる人の数がさほどでもないとわかると加速された。

戦略は成功した。Facebookがもっと早く収益化を始めていれば預金がさらに数十億ドル増えていたのは確かだ。しかし、収益のために大量のユーザーと好意的な評価を犠牲にしていたかもしれない。とは言うものの、Facebookが先週の収支会見でこの写真アプリに広告を載せる計画はないと語ったのは少々驚かされた。需要がないからではない、とZuckerbergは言った。

「Instagramは実に良くやっていて成長も実に早く、それがこのアプリにとって正しい方向だと私は考えている。そして今はこの巨大なコミュニティーを作り上げる絶好の機会であり、100%そこに集中すべきだ。ビジネスチャンスに関しても私は極めて楽観的だ。Facebookで広告を出している多くの企業が、Instagramにコンテンツを載せて高いエンゲージメント率を得ている。だからもっとこれを拡大したいと言う話も来ているし、それはわれわれが考えていることでもある。しかし今は ― 私としては彼らがここまで急成長していることを誇りに思うだけだ。成長は益々早く、1億人達成はFacebookよりも早かった」

おそらくFacebookがInstagramに成長のために十分な時間を与え、成功する広告体験を見つけた時、彼らがこの買収を収益化するのを見ることになるだろう。やり方にはいくらでも選択肢がある。

Instagramはブランド広告の美しい写真をフィードに流すことができるだろうが、ユーザーにクリックさせてブラウザーに飛ばすことは避けるかもしれない。だから私は、Instagramは企業がフォロワーを増やすための広告から始め、ユーザーをアプリに滞留させようとするだろうと思う。

企業は自分たちが投稿した写真を、まだフォローしていないユーザーにも見せるために、料金を払うかもしれない。こうしたフォロー広告のソーシャル版では、ブランドをフォローしている人の友達やフォロワーをターゲットすることも考えられる。あるいは、Instagramの新しい写真タグ付け機能を使って、ブランドがユーザーの写真のリーチを増やせるようにすることも考えられる。例えば私が自分の靴の写真にNikeをタグ付けしたら、Nikeはフォロワーを増やすために料金を払って、この写真を友達のフィードのトップに表示させたり、投稿した一週間後に再び表示させたりするかもしれない。

またInstagramは、Twitterのプロモーテッドアカウントのように、特定ブランドのフォローを薦める推奨アカウントを試すこともできる。テベロッパーが料金を払ってフィードにアプリを表示してダウンロードさせるアプリインストール広告は、Facebookの新たな寵児となったが、Instagramでも同じことができるかもしれない。

FacebookとInstagramがこの「成長>広告」戦略をとれるのは、長期的に考えているからだ。Googleが月ロケットを打ち上げようというほどの長期ではないが、Facebookは少なくともしばらくの間、この分野を支配し続けることを確信している。巨大なユーザーベースとネットワーク効果が、幸運にも彼らに若干の余裕をもたらしている。しかし、ギャンブルであることに変わりはない。Instagramが広告を始める頃までに何か新しいメディアがユーザーの注目をさらっていくリスクは常にある。それは綱渡りのようではあるが、健全なコミュニティーと上質な体験、そして維持可能なビジネスモデルへと通じる道だ。

[画像提供:Metrowest, MacStories

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(翻訳:Nob Takahashi)


今度は3Dプリントでピストルが完成…鋼鉄もすこし使っています

銃の部品専門のThingiverse、と呼びたいDefense Distributedは、しばらくAR-15用ロアレシーバーの3Dプリントに取り組んでいたが、今度はついに、Liberatorと名付けた3Dプリント拳銃を完成させた。完全にABS樹脂による3Dプリントだが、撃針だけは違う。とにかく(略称)DefDistは銃の作り方をオープンソースにすることが使命だと自称しているから、またその成果が一つできたわけだ。

Forbes誌が実際に試してみて、ファウンダのCody Wilsonはオープンソースの計画を彼のサイトでリリースする、と言っている。実射が可能で、口径も変えることができる。

金属探知機で見つかるように、一部に鋼鉄も使っている。それは、Undetectable Firearms Actという法律に違反しないためだ。

この火器の実用性や信頼性については、何とも言えない。ABS樹脂の品質はプリンタによって違う。でも、プリンタと樹脂が上質で運が良ければ、これが手の中で爆発することはないだろう。

まだ情報が少なすぎるが、でも今週はまた、銃保有の権利をめぐる議論がにぎやかになりそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Acerの狂機Aspire R7にハイブリッド世界の「ありえへん賞」をあげたい

[筆者: Michael Seo]

Acerが今日(米国時間5/3)発表したAspire R7は、前からStar Trekのコマーシャルで予告されていたように、一体型デスクトップ+ラップトップ+タブレットという、不思議なハイブリッド機だ。

Windows 8が出たときには多くの人が、タッチスクリーンのあるコンバーチブル機、というおかしなものがきっと出るだろう、と予感した。でもこのAspire R7は、まったく新種の奇人変人だ。Aspire R7を初めて見たときの第一印象としては、Acerはラップトップの正しい作り方を忘れたんじゃないか、と思った。トラックパッドがキーボードの裏にあるから戸惑うが、要するにAcerはユーザに、トラックパッドをいっさい使ってほしくないのだ。

Aspire R7のタッチスクリーン(15.6インチ)はイーゼルタイプのヒンジ(画像)に乗っているので、角度の自由度がものすごく大きい。たとえば完全にフラットに置くと、ちょっと大きめのタブレットに変身する。キーボードの上に立てるとトラックパッドが完全に隠れる。なぜトラックパッドを、こんなところに置いたのだろう?

Aspire R7の、作りはとてもしっかりしている。素材はアルミのようだが、伸縮部分は皆無なので小さくはできない。だから、とにかくでかい。重い。持ち運びしたくない。でも、これまでにAcerが作ったハードウェアとしては上出来の方だろう。ただし、こんなおかしなものを、一体誰が使うのか?

主な仕様は:

  • プロセッサ: Intel Core i5 1.8GHz, Turbo Boostで2.7GHz
  • DDR3 RAM 6GB
  • 500GB SATA HD + 24GB SSD
  • Intel HD Graphics 4000
  • HD Webカメラ, マイク2
  • USB 3 × 2, USB 2 × 1
  • 重さ5.3ポンド, 厚さ1.1インチ

なおAcerは、Aspire P3も発表した。こちらはultrabookタイプのコンバーチブルで、ディスプレイは取り外し可。また、7.9インチのAndroidタブレットIconia A1も発表したが、しかし今回の主役はあくまでもAspire R7だ。5月17日よりBest Buy限定発売、Best Buyのオンラインストアで今から予約すると、999ドルだ。

LaptopMemoのStefan、カメラを貸してくれてありがとう! おかげでこんなにたくさん写真が撮れたよ。)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


これまで1500万のWebサイトを作ってきたWeeblyが新装, HTML5対応+サイト設計ツールを提供

【抄訳】

今や、中小企業もWebとモバイルの顔が必要だ。必要というより、必須である。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアだけで済まそうとする会社もあるが、でも自由にいろんな情報サービスやコミュニケーションサービスを提供しようと思ったらWebサイトを自作するしかない。そこで、今日このごろはますます「2W」と呼ばれるWeb制作サービスの大手、WixWeeblyが繁盛するのだ。

Weeblyを利用すると、おじいちゃんおばあちゃんでも、4歳の子どもでも、自分のWebサイトを無料で作れる。Y Combinatorを2007年に巣立ったWeeblyは、これまでに1500万あまりのサイトを作り、その合計ユニークビジター数は各月1億を超える。そのWeeblyが今週、足かけ1年を要したアップデートの成果を発表した。とりわけその目玉は、対話的に利用できる“サイトプランナー(Site Planner)”だ。

サイトをプランするツールであるサイトプランナーは、ユーザによるサイト設計の過程を一歩々々、適宜ヒントやアイデアを提供しながらガイドしていく。サイトビルダーWeeblyの本体の方はHTML5対応になり、新しいテーマの数々や、既製品の各種部品を提供する。モバイル用のエディタもあるので、自分のサイトをモバイル対応にするのも簡単だ。Weebly自身のAndroidアプリも、今回よりグローバル化した。

協同ファウンダのDavid Rusenkoによると、同社が行った消費者調査によれば、約56%の消費者がWebサイトのない企業を信頼しない。しかし、全企業の58%にまだWebサイトがない。Facebookのユーザ数や、スマートフォンの保有台数を見ると、合衆国など先進国では、一般消費者のコンピュータ/インターネット利用はほぼ100%普及していると思われるのに、多くの企業がまだ地中の暗闇にいる芋虫だ。ただしWeeblyによると、これから会社を作る起業家は、技術者でなくても必ずWebサイトを作るそうだ。

しかし今でも、Weeblyを訪れる人の55%は、過去に一度もWebサイトを作った経験がない。Webサイト作成サービスはもう相当古いサービス、というイメージをお持ちかもしれないが、実はこれからもまだまだ、成長の余地の大きい業種業態なのだ。競争も激しく、Weeblyのような老舗も実績の上にあぐらをかいてはいられない。今回のアップデートやプランナーツールの新規提供も、絶えざるリフレッシュ努力の一環だ。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


物理の先生がGlassを通じてCERNの大型ハドロン衝突型加速器の内部を生徒に紹介(ビデオあり)

もしGoogleがGlassがオタクっぽいことを心配しているのだったら、オタクの聖地、CERNの大型ハドロン衝突型加速器の内部をGlassで紹介するというプロモーション・ビデオは作らなかっただろう。

さいわいなことに、Googleはそんなことを全く気にかけなかった(また、気にかけるべきではない)。Glassのような驚くべきイノベーションの実験には外野からの少々の雑音はつきものだ。ともあれGoogleからこちらのビデオが公開された。

今回Googleは宇宙飛行士志望だったクールガイで、オンラインで物理を教えている教師、Andrew Vanden Heuvelをスイスの地下150mに設置された世界最大の粒子加速器のトンネルに送り込んだ。

Andrewはここで1人称視点でハドロン加速器の内部を撮影しただけでなく、Googleハングアウトを通じてアメリカの生徒たちとビデオチャットし、リアルタイムでこの冒険を共有した。

AndrewはこのGoogle Glass体験をブログに詳しく書いている。その中で彼は「重要なのはテクノロジーそのものではない。そのテクノロジーでわれわれが何ができるかだ」と指摘している。

私はGoogle Glassをもうずいぶん使った。今1500ドルを自腹で払うかといわれれば、たぶんノーだ。しかしGoogleがやっていることに大きな意味があることについては確信がある。

最近Glassに対する批判があれやこれや出ている。Googleは時間をムダにしているとか、オタクっぽ過ぎるとか、本当に新しいことをやっている相手の足を引っ張るような非難だ。われわれにはイノベーションが必要だと言いながら、実際に画期的に新しいものが出てくると揶揄したり、やみくもに否定したりする連中が存在する。それにGoogleは初めからGlassは「ひとつの実験」だと言っているのだ。

しかしこの点については改めて記事を書く必要がありそうだ。今回はとりあえずビデオを楽しんでいただきたい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Glass、近くiPhoneでもナビゲーションとテキスト・メッセージが可能に

現在、Google Glassでテキスト・メッセージとナビゲーション機能を利用する場合、AndroidにGlassのコンパニオン・アプリをインストールしてペアリングしなければならない。しかし、これはすぐに変わりそうだ。昨日(米国時間5/3)、私がニューヨークのGoogleオフィスにGlassを受け取りに行ったときに担当者から聞いたところでは、これらの機能をどんなデバイスからも使えるようにするために作業が行われているという(コンパニオン・アプリからも独立に使えるようになるのかもしれない)。

今でもGlassはBluetooth経由でiPhoneとペアリングして利用できる。しかしiPhoneユーザーは現在まだ曲がり角ごとに案内してくれるナビという最大のセールスポイントの機能が使えない。地理不案内な場所を訪問したときにこのナビは実に役に立つ。Glassの位置情報機能の見せ場だ。しかし現在はiPhoneからはこの機能が無効にされている。

念のために言っておくと、Glassは独自にインターネットに接続できるという噂をよく聞くが、間違っている。Glassがインターネットに接続するためにはテザリング機能のあるスマートフォンが必要だ。キャリヤ側からみれば、Glassは無線ホットスポット機能を利用するデバイスの一つに過ぎない。そうであれば本来Glassはスマートフォン上のアプリによって機能が制約される必然性はない。ナビとSMSがiPhoneで利用できないのが奇妙だった。

Glassはコンパスは内蔵しているが、独自のGPS受信機は持っていない。GPS情報はペアリングしたスマートフォンから読み出す。Glassソフトウェア現在ベータ版なので、おそらくこのあたりに何らかの問題があったのだろう。ともあれ、近くGlassはペアリングするデバイスを選ばなくなるということなので期待している。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+