肩こり・腰痛対策アプリで企業の生産性アップ、京大医学研究科発のバックテックが2億円を調達

バックテックの経営陣と投資家陣。中央が代表取締役社長の福谷直人氏

近年、働き方改革や健康経営への関心が高まっている。

今後ますます生産年齢人口が減っていく日本においては、社員が働きやすい環境を作ることで個々のパフォーマンスや生産性を最大限まで高めていくことが重要だ。その対策として、社内に働き方改革や健康経営を推進する専門チームを発足するようなケースもちらほら耳にするようになった。

“健康経営銘柄”という表現が適切かは分からないけれど、この領域に関するスタートアップも増えてきていて、今回紹介するバックテックもまさにその1社と言えるだろう。

企業の生産性向上を目的とした肩こり・腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」を運営する同社は3月20日、エムスリーとMTG Venturesを引受先とする第三者割当増資により2億円を調達したことを明らかにした。

バックテックは2016年4月の創業。今回は2016年8月にサイバーエージェント・ベンチャーズから、2018年5月に日本ベンチャーキャピタルとJR東日本スタートアップから資金調達をして以来、3度目の外部調達となる。

社員の「肩こり・腰痛」は会社のコスト損失に直結する

冒頭でも触れた通り、バックテックが展開するポケットセラピストは健康経営に力を入れたい法人向けのサービスだ。現在は社員の労働生産性やワークエンゲージメント、フィジカル/メンタルの状態などを見える化できるサーベイツールと、医学的エビデンスを基にした肩こり・腰痛対策アプリをセットで提供している。

もしかしたら「企業向けに社員の肩こり・腰痛対策アプリ?」とあまりピンとこない人もいるかもしれないけれど、バックテック代表取締役社長の福谷直人氏の話では肩こりや腰痛が会社のコスト損失と密接な関係にあるのだという。

もう少し紐解くと、現在会社のコスト損失の要因として「プレゼンティズム」という概念が注目されているそう。これは「出勤はしているが、健康面の影響などで社員の業務パフォーマンスが下がってる状態」を指していて、会社のコスト損失の中でも大きな割合を占める。

では具体的にどんな体調不良が企業のコストに繋がっているのか。そのトップ3が「肩こり、睡眠不足、腰痛」(福谷氏)であるからこそ、それを改善したいという企業側のニーズもあるわけだ。

ポケットセラピストのサーベイツール(アセスメントプラン)では、プレゼンティズムに関連するものも含めて社員の労働生産性や健康状態をスコアとして可視化する。

一般的なサーベイと同じく社員にオンラインアンケートを実施し、その結果からスコアを測定。部門ごとに「睡眠の質が悪いメンバーが多い」といったリスクを洗い出すほか、各項目の関連分析や生産性低下におけるコスト損失額の算出機能まで備えている点が特徴だ。

代表の福谷氏はもともと理学療法士として7年間病院に勤めていた経験があり、並行して大学院で健康経営に関連する研究を続けてきた研究者でもある。現在も京都大学で研究を続けていて、現場の知見とアカデミックな理論・エビデンスを踏まえたサービスとなっているのがユニークな部分だろう。

バックテック自体も福谷氏が京都大学大学院医学研究科で博士号を取得した後立ち上げた、同大学発のスタートアップという位置付けだ。

タイプ判定から最適な対応策の提供までを遠隔でサポート

肩こり・腰痛対策アプリもサーベイツールと同様に、福谷氏のバックグラウンドが活かされている。

このアプリは大きく「リスク評価」「タイプ判定」「チャットを活用した遠隔サポート」という流れで、社員の肩こり・腰痛を軽減しようというもの。ウリは肩こりや腰痛の“タイプ”を独自アルゴリズムに基づいてオンライン上で識別し、それに合わせた対応策を提供できる点だ。

「『腰痛』と一口に言っても、医学的には12種類ほどに分けられ、それぞれ適切な対応策は違う。運動をすることで治るものもあれば、それが全く効かないものもある。ポケットセラピストでは各社員がどのタイプに該当するのかを判定した上で、理学療法士がチャットを通じて適切なサポートをするのが特徴だ」(福谷氏)

タイプ判定に関してはオンライン問診票のような形で、提示される質問に回答していけば「自分はどのタイプの肩こりや腰痛なのか」がわかる仕組み。ポケットセラピストにはスタンダードプランとアドバンスプランがあり、後者の場合は各ユーザーに理学療法士が付き個々に合わせたアドバイスを送る。

たとえば導入企業の約6割は社員のうつ病対策として使っているが、福谷氏によると「体の痛みを直すとうつも治ることがわかっていて、その対策としてエビデンスがあるのがヨガ」なのだそう。そこでポケットセラピストでは300種類ほどのヨガの動画コンテンツを準備し、各ユーザーにマッチしたものをピックアップして提供している。

「特に数年間に渡って慢性的な肩こりや腰痛に悩まされていたユーザーからの反響が良い。今までは痛みが酷くて病院に行っても結局湿布を渡されるくらいで改善せずに治らないと諦めている人も多かった。そもそも最近の肩こりや腰痛はストレス状態など、心に要因があるものも増えていて、そういった人たちにマッサージなどをしても効果がでないのは当たり前のこと。個々の症状に本当に合った解決策を提示することが重要だ」(福谷氏)

チャット上で各ユーザーを支える専門家スタッフは現在200名ほどいて、基本的には病院勤めをしながら昼休みや帰宅後などの空き時間でポケットセラピストを使っているそう。各メンバーごとに毎月スコアが算出され、それに応じて待遇も変わるのだという。

最適なサポートを最速で受けられる痛みのプラットフォームへ

現在ポケットセラピストはコニカミノルタや日本ユニシス、JR東日本など10社以上の企業で導入されていて、その全てが上場企業とのこと。来年度の予算申請をしてもらっている企業が50社弱あり、製薬会社などヘルスケア関連が増えているようだ。

福谷氏によると導入背景は大きく「プレゼンティズムの要因が肩こり腰痛だったため解決したい」「ストレス対策などメンタルヘルスを懸念している」という2つに分かれるそう。このどちらかに課題を感じ、その解決策としてポケットセラピストが使われているのだという。

収益モデルは社員数に応じて発生する固定料金がメインで、ここにサーベイツールと肩こり・腰痛対策アプリのスタンダードプランが含まれる形。1対1のチャットサポートに関してはアドバンスプランとして追加で料金が発生する。

バックテックでは今回調達した資金を活用してエンジニアやセールスなど人材採用を加速させるほかマーケティング面も強化していく計画。来期は上場企業50社と中小企業200社への導入が目標だ。

また今回の調達先であるエムスリーとMTGとはそれぞれ事業上の連携も検討していく。エムスリーに関しては医師と理学療法士 / 作業療法士を組み合わせたソリューションの構築や非保険(自費リハビリテーション)領域でのサービス開発、オンライン医療との協業などが主なテーマ。

MTGとはWELLNESSブランドとのデータ連携を基にしたサービス内容の拡大、ヘルスケアサービス展開に向けた新商品の開発、MTG社のブランド開発力を活かしたバックテックおよびポケットセラピストのブランド開発などが軸になるという。

「腰痛や肩こりで悩む人の多くは、自分にとっての最適解にたどり着くのに膨大な時間がかかっている。それに対して最速で最適なソリューションを提供できる『体の痛みのプラットフォーム』を目指していく。実はオフラインとの連携も少しずつ進めていて、(ジムや整骨院に)ポケットセラピストのユーザーが行くと割引を受けられたり、オンライン上に溜まったデータに基づいたオーダーメイドのメニューを選べたりといった形で、ユーザーにより良い選択肢を届けられるようにしたい」(福谷氏)

シャオミの第4四半期は海外販売とインターネットサービスが好調

安いスマホと、インターネットサービスによる収益増を図っていることで知られている中国企業Xiaomi(シャオミ)の第4四半期決算は、売上高ではアナリストの予想を下回ったが、営業利益は予想を上回るものだった。

香港の証券取引所に上場しているXiaomiは純利を185000万人民元(2億7600万ドル、約308億円)と3倍超に増やし、予想平均の17億人民元を上回った、と Refinitivのデータを引用しながらロイターは報じた。しかし売上高は、アナリスト予想の474億人民元に届かず、26.5%増の444億人民元(66億2000万ドル、約6387億円)にとどまった。

Xiaomiは同四半期の海外市場の数字を抜き出し、この分野の売上高全体に占める割合は前年同期は28%だったが、2018年四半期は118.1%成長し全体の売上高の40%を占めた。Xiaomiは特にインドで受け入れられていて、マーケット調査のCanalysによると、インドのスマホ出荷ではトップだ。また、西欧でも急成長中だ。

ハードウェアの販売に執着する型にはまったスマホメーカーと異なり、Xiaomiはハードウェア、ソフトウェア、小売で構成するトライアスロンビジネスモデルを展開している。簡単な言葉で言うと、Xiaomiはオンラインネットワークとオフライン店舗を通じてハードウェアを販売している。そしてユーザーは、スマホやスマートウォッチ、スマート空気清浄機、そして何百もの接続デバイスに付属するアプリサービスやアプリ内広告を利用している。

Xiaomiは繰り返し自らを「インターネット」企業としているが、これまでのところスマホが主な稼ぎ頭で、第4四半期の売上高においては65.1%を占めた。2018年は世界中のスマホンブランドにとって不況の年だったが、Xiaomiのスマホ販売台数は昨年、30%増の1億1870万台だった。Xiaomiは昨年12月、同月には販売台数1億台を達成するだろうと予想していた。

Xiaomiの第4四半期の売上高の25.1%がスマートデバイス(スマホを除く)とライフスタイルアイテムによるもので、前年同期比87%増だった。ライフスタイルアイテム部門は傘やスーツケースなどから衣類、靴といったものまで含み、より女性ユーザーを引きつけることを目標としているXiaomiにとっては重要な部門だ。女性ユーザーを引きつけるためにXiaomiは自撮りアプリメーカーMeituともタイアップしている。

インターネットサービスはXiaomiにとって依然として小さな部門で、全売上高の9.1%、前年同期比61%増にとどまっている。しかし非常に高収益なこのビジネスは将来さらなる成長が見込まれ、その一方でXiaomiはスマホとハードウェアの利幅を5%以下に維持することを約束している。

インターネットサービスの粗利益は、高利幅の広告事業によって2017年の60.2%から2018年には64.4%に伸びた。この数字は、スマホの利幅6.2%を大きく上回っている。もし2億4210万人というアプリ月間ユーザーからの収益を向上させることができれば、Xiaomiはインターネットベースの収入をさらに増やすことができるはずだ。

見出しが修正された。

イメージクレジット: Xiaomi via Weibo

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleのクラウドゲームサービス「Stadia」へのアクセス方法

Googleはゲーム機を発売するわけではない。その代わりに同社は、Stadiaというサービスを立ち上げる。ゲームはサーバーの上で動き、ユーザーは自分のデバイスにそのビデオをストリーミングする。Stadiaにアクセスするために新しいハードウェアを買う必要はないが、ただし、いきなりどんなデバイスからでもStadiaを使えるわけでもない。

ゲームデベロッパーカンファレンス(Game Developers Conference)の開会直後に、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏はこう言った。「Googleでは、ChromeブラウザーやのChromebook、Chromecast、Pixelなどのデバイスで、20億の人びとがゲームをすぐに見つけられる。ほかのブラウザーやプラットホームをサポートする計画もある」。

おわかりのように、ラップトップやデスクトップコンピューターでこのサービスにアクセスするためには、Chromeブラウザーがメインのインタフェイスになる。コントローラーはユーザーの既存のコントローラーを使える、と言っているから、PlayStation 4やXbox One、Nintendo Switchをお持ちの方はそのコントローラーで大丈夫だろう。Googleにも、独自のコントローラーがある。

テレビにChromecastをつけてる人は、それがStadiaマシンになる。Bluetoothをサポートしているのはいちばん新しいChromecastだけだから、手持ちのコントローラーを使うにはそれが必要かもしれない。GoogleのコントローラーはWi-Fiを使うから、古いバージョンのChromecastでもいいはずだ。

さてモバイルだが、Googleは最初からどんなAndroidデバイスでもこのサービスを使えるようには、していないらしい。最初はピチャイのスピーチ(上記)で具体的に名前が挙がったPixelのスマートフォンとタブレットだけだ。いずれは、すべてのAndroidデバイスでStadiaをプレイできるようになる、と思うけどね。そうしない理由も、思い当たらないし。

しかしなぜか、アップルのデバイスの名前はまったく出てこなかった。だからiPhoneやiPadをお持ちの方は、待たされるのだろう。アップルではサードパーティのデベロッパーがデジタルコンテンツを売るには必ずApp Store経由だから、これがGoogleにとって問題になるかもしれない。

Stadiaはまだ、一般公開されていない。それは、今年の後半だ。よく分からないことが山ほどあったが、カンファレンスではすべての答えは得られなかった。Googleにとってはまったく新しい業態を構築していくわけだから、ビジネスモデルも流通の形も、これから徐々にかたまっていく、としか言えない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

KickstarterのCEOが辞任、労働組合「Kickstarter United」発足

米国時間3月19日、KickstarterのCEOであるPerry Chen氏は同社のブログに公開文書を投稿し、その職を辞任する意向を示した。Chen氏は同サービスの共同ファウンダー3名のひとりで、2009年にYancey Strickler氏、Charles Adler氏とともに会社を立ち上げた。同氏はKickstarter設立直後の5年間CEOを務め、2年前に再び同職に戻った。

文書によると、今後も取締役会会長として会社に残り、「会社にとって重要かつ長期的なニーズ」に集中する。Kickstarterはデザイン・プロダクト責任者のAziz Hasan氏を暫定CEOに昇格させ、Chen氏は日常業務から離れる。

「2017年にCEOに復帰したとき、私はKickstarterがミッションを守り、次期リーダーを選ぶための長期的基盤を6ヶ月ほどかけて作るつもりだった。あっという間に2年がすぎ、堅牢なオペレーティングシステム、強力なプロダクトおよびこれまでKickstarterで作り上げてきたチームを通じて、サービスの改善に務めてきた」とChen氏は書いた。

実際素晴らしい実績だ。Chen氏自身が書いているように、これまで同サービスには42億ドルのプレッジが集まり、16万件のプロジェクトが資金調達に成功している。来月Kickstarterは10歳の誕生日を迎える。

この経営陣の大きい変化とともに、同社に労働組合、Kickstarter Unitedが結成されたことが担当者から発表された。Kickstarter社員はOffice and Professional Employees International Union(OPEIU、国際事務職・専門職従業員組合)のLocal 153に所属する。

担当者は次のように文書に書いている:

Kickstarter Unitedは、Kickstarterの使命である創造性、平等、社会貢献への取り組みを約束する安全策として組合を結成する。われわれは民主的プロセスを信頼し、Kickstarterの経営陣もそれを尊重することを確信している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

月額1280円のコーヒー豆サブスク「PostCoffee」詳細、15時までの注文で翌日着、豆のままオーダーも

3月19日にiOSアプリを利用可能になった、コーヒー豆を税別月額1280円で定期購入できる「PostCoffee」。昨日の時点では不明だった点や読者の疑問などをPOST COFFEEに直接聞いた。特に気になっている読者が多かった「粉ではなく豆での配送」はOKで、注文画面でどちらかを選択できることがわかった。また配送されてくる豆は、焙煎から1〜2週間エイジングさせたものだという。

以下、疑問点に対する回答は以下のとおりだ。

TechCrunch(TC):豆のまま送ってもらうことは可能でしょうか?
POST COFFEE(PC):はい、購入時に豆のままか、ハンドドリップ用に挽いたものか選ぶことが可能です。

TC:翌日ポスト投函してもらうには何時までに注文する必要がありますか?
PC:15時までに注文いただいたものが最短翌日の配送となります。

TC:翌日ポスト投函が可能な地域は?
PC:全国に配達可能です。お届け先が遠方の場合、離島等の一部地域の場合等は更に数日要する場合があります。

TC:10杯ではなく毎日飲みたい場合、30杯のサブスクはないのでしょうか。
PC:豆がなくなったタイミング、もしくはなくなりそうなときに、追加注文いただくことが可能です。マンスリーメンバーの場合、コーヒー豆は税別1280円で送料無料となります。オンデマンド型の従量課金のようなシステムです。

TC:焙煎してどれぐらい経過した豆が送られてくるのでしょうか。
PC:焙煎して1〜2週間のものをお届けしています。PostCoffeeのコーヒーは焙煎後2週間〜3週間が最もおいしくお飲みいただけます。お試しセットについては、パッケージに窒素充填をしおいしさが1年変わらずもつようにしております。

TC:焙煎の程度は選べないのでしょうか?
PC:商品ラインアップ全9種類でそれぞれの豆の特徴、テイストに最適な焙煎をしています。ちょうど01〜09の順番で焙煎が深くなっています。

TC:焙煎は自社で行っているのでしょうか?
PC:はい、自社での焙煎です。夏ごろに大型の焙煎機を導入し、焙煎所兼コーヒースタンドのオープンを計画しています。

TC:送られてくるコーヒーは真空パックで届くのでしょうか?
PC:コーヒーの保存を常に最適な状態に保つよう、BOSCH製のバルブが付いたオリジナルのパッケージに入れてお届けします。

Googleが社内ゲームスタジオ設立、AMDカスタムGPUとDebian Linuxのゲームプラットフォーム「Stadia」を推進

Google は米国サンフランシスコで行われたカンファレンスで、クラウドゲーミングプラットフォーム「Stadia」を発表した。会場で披露されたのはほとんどが現在PCやXbox One、Play Station 4などでプレイできる有名ゲームだったが、Googleは自社のゲームスタジオ「Stadia Games and Entertainment」の設立も発表した。

新しいスタジオの責任者を務めるJade Raymondが初めて詳細を発表した。同社はStadia専用ゲームの開発に取り組む予定だが、このスタジオにはそれ以上の役割があるという。

「Stadia Games and Entertainmentの責任者として、私は次世代ゲームを新たに創造するためのゲームスタジオを作るだけではなく、Googleの最先端技術を大小さまざまなパートナースタジオが利用できるように、外部デベロッパーと協力していくことを楽しみにしている」とRaymond氏は言った。

Raymond氏はゲーム業界で15年以上仕事をしている。中でもモントリオールのUbisoftで(ユービーアイソフト)は、初期のAssasin’s Creed(アサイン クリード)のプロデューサーを務めた。UbisoftからElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)に移る前にはWatch Dogs(ウォッチ ドッグス)にも関わっていた。

Raymond氏はElectronic ArtsでMotive Studiosを設立し、これもElectronic ArtsのゲームスタジオであるVisceral Games(ヴィセラル・ゲームズ)とも仕事をした。スターウォーズのシングルプレーヤー・ビデオゲームの開発にも取り組んでいたが、Visceral Gamesは2017年に閉鎖しプロジェクトはその後 中止された

Googleによると、世界中で100社のスタジオがすでにStadia開発用ハードウェアを受け取っている。Stadiaのゲーム開発あるいは移植に関わっているエンジニア/クリエイターは1000人を超える。

StadiaはAMDのカスタムGPUとLinuxオペレーティングシステムを使用する。Linuxと互換性のあるゲームであればStadiaへの移植は容易のはずだが、Windowsゲームに特化したスタジオにとっては大仕事になるかもしれない。

Stadia.devによると、クラウドインスタンスはDebian上で動作し、Vulkan(3G CG API)が実装されている。ハードウェアはx86 CPUと「AMDのカスタムGPU、HBM2メモリーおよび56の演算ユニットを擁し10.7テラフロップスの能力を持つ」。これは比較的強力なGPUであるAMD Radeon RX Vega 56とよく似ているが、今日のハイエンドゲーミングPCで見られるものほど強力ではない。

Googleは、Stadia Partnersというプログラムを実施して、サードパーティーデベロッパーがこの新プラットフォームを理解するための支援を行う。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

急成長中のビデオブロガー収益化サービス「Patreon」が魅力的なメンバーシッププランを発表

ビデオクリエーター、ユーチューバーの収益化の切り札となりつつあるPatreonは3月19日、 一連のメンバーシップ・プランを発表した。

これには提供される機能に応じて3種類の料率が設定されている。Liteプランではビデオグラファーの収入の5%がPatreonの手数料となる。最高料率のPremiumの場合は12%だが、既存のメンバーには割引がある。

TechCrunchが数週間前にスタートさせた有料会員制ニュース、Extra Crunchの記念すべき最初の記事がPatreonに関する調査報道だった。今回の発表はExtra Crunchのメディア担当コラムニスト、Eric Peckhamの考察に沿ったものとなった。PeckhamはPatreonのビジネスモデルについて次のように述べていた。

Patreonの最大の問題は、料金体系が魅力的過ぎることだ。(PatreonのCEO) Jack Conteは、Patreonの現在の料金体系は、同社が維持可能な運営を行うのに十分な収益性がないことを認め、 「手数料の率が低すぎるのだ。われわれは何か考え出す必要がある」と述べている。Patreonの料率はビデオブロガーがファンから収益を得るサービスを提供する他のサイトよりもStripeのような単純なオンライン決済プラットフォームに近い。私が取材したベンチャーキャピタリスト(出資者もそうでない者もいる)からの批判もこの点に集中していた。

明らかにPatreonには新たな収入源が必要だ。当然だが、 同社はその準備を進めている。高い手数料率と引き換えにビデオクリエーターに新たな機能を提供するプランを開発しているという。Conte「料金にふさわしい価値を提供するプラン」と語っている。

PeckhamのExtra Crunchの記事でも、Patreonが新料金プランを発表することは予期されていた。しかし5%、8%、12%という今回発表されたプランは、やはり驚くほど低い率だ。ライバルの料率ははるかに高く30%にもなる。新プランでもPatreonの手数料はライバルのサービスと比べて非常に安い。

そうではあるがメンバーから得る手数料はそれよりはるかに収益性が高い他のサービスへの単なる足掛かりなのだろう。Extra Crunchの記事の結論も同様であり、Peckhamはこう述べている。

新しいプランが中規模のビデオグラファーの関心を集め、Patreon自身のプラットフォームにせよ、Memberfulプラットフォームを通じたものにせよ、メインストリームでトップシェアをもたらすことができるなら、同社の他のサービスはきわめて収益性の高いビジネスとなる。私の取材に対して、Jack Conteは「会員制料金プランはPatreonのビジネスにとっていわば第一幕だ。われわれはビデオクリエーターをターゲットとする多様なビジネスを準備している。単に会員になる以上の価値を生むサービスだ。今後10年でわれわれはそれを実現していく」と述べた。

PeckhamはPatreonがビデオグラファーに提供できる付加価値サービスとしてローンなどの金融機能や健康保険の販売などを挙げている。将来こうした事業を軌道に乗せる助けになるなら現在の低すぎる手数料率も十分にペイすることになる。

今やPatreonはビデオグラファーのエコシステムの中心的存在となりつつある。PeckhamはPatreonの創立過程プロダクトビジネスモデル事業戦略ライバル出口戦略など一連の記事をExtra Crunchに書いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アサシンクリードをChrome上でプレイできるGoogleストリーミングゲーム環境

Googleがサンフランシスコで行われているゲームデベロッパーカンファレンス(Game Developers Conference)でプレスイベントを行った。その開始時間は、太平洋時間3月19日の午前10時、東部時間午後1時、ロンドン午後5時、パリ午後6時、日本では3月20日午前2時だ。

ゲーム企業の多くがサーバーとインフラストラクチャのニーズをGoogle Cloud Platformに依存しているが、今日のカンファレンスは違う。

Googleはこれまで半年あまり「Project Stream」というものを開発してきた。その最初の技術テストでは、WebブラウザーChromeの中で「Assassin’s Creed Odyssey」(アサシンクリードオデッセイ)をプレイできる(日本語サイト)。ゲームはユーザーの近くのデータセンターで動き、ユーザーはそのビデオストリームをブラウザーで見ながら自分のコンピューターでキャラクターと対話する。

Googleは、クラウドゲーミングサービスを本当に自社で立ち上げるらしい。そのサービスをどうやって売るのか、最初に揃っているゲームは何々か、楽しみだね。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixは3月25日発表のアップルのビデオストリーミングサービスに加わらないとCEOが声明

Netflix(ネットフリックス)のCEOであるリード・ヘイスティングス(Reed Hastings)氏がロサンゼルスで行われたプレスイベントで「アップルが来週クパチーノの本社で発表する予定のストリーミングビデオサービスの一部にはならない」と述べた。

アップルのサービスにもオリジナルコンテンツはあるだろうが、でも同社が最初に力を入れるのは、一品ごとのサブスクリプションやサードパーティのチャネルでAmazon Channelsと競合するサードパーティのコンテンツだろう。Amazonの編成表にはHBO、Showtime、Cinemax、Starzなどが含まれるが、独自のアプリ内体験をコントロールしたいNetflixは含まれない。Amazonやアップルのようなお金持ちとの競合について聞かれたヘイスティングス氏はこう答えた。「楽ではないね。コンテンツの入手費用も上がるだろう」。ストリーミングビデの市場がますます細分化すると「需給関係により、コンテンツの原価が高くなる」というのだ。

しかしNetflixは、米国最大のビデオストリーミングサービスだから、反トラストの訴訟や論争の対象にもなってきた。反トラスト法の今後の規制について聞かれたヘイスティングス氏は、同社は「あくまでもテクノロジーを利用しているコンテンツ企業にすぎない」と言い、テクノロジーよりもコンテンツに投じている費用の方がはるかに多い、と言った。昨年Netflixのコンテンツ最高責任者(Chief Content Officer、CCO)のテッド・サランドス(Ted Sarandos)氏は、同社の支出の85%新しい番組やムービーに投じられている、と述べた。そして同社は10月に「新しいコンテンツの資金として20億ドルを借入金として調達する」と発表した

同社は国際展開にも積極的だが、しかしヘイスティングスによると、地元パートナーとのジョイントベンチャーで中国に進出することを一度は考えたが、今はそのような計画はない。彼によると、その戦略はアップルのiTunesのようなコンペティターでも(中国政府の規制回避に)役に立たなかったから、だそうだ。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NVIDIAの次世代RTXポッドは1280基のGPU搭載、ネット上のハイエンドビジュアルを狙う

このところNVIDIA(エヌビディア)は、クラウドの大物になりたがっている。もともとは高性能なグラフィクスカードでゲームファンの人気企業だったが、最近ではデータセンターやAI、機械学習の推論、そして推論エンジンやデータ視覚化用のGPUに力を入れている。米国時間3月18日に開催されたGTCカンファレンスで同社は、ハリウッドのスタジオなどビジュアルなコンテンツを迅速に作りたいと願っている企業向けに、RTXサーバーの最新の構成を発表した。

そのRTXサーバーポッドは、32のRTXブレードサーバー上で最大1280基のTuring GPUをサポートする。それはサーバー1つあたり40のGPUを意味し、ひとつのサーバーがEIA規格で8Uのサイズになる。GPUは、構成にもよるがQuadro RTX 4000または6000だ。

今日の発表声明はこう述べている。「NVIDIAのRTX Serversは、Optix RTXレンダリングとゲーム、VR、AR、プロフェッショナルな視覚化アプリケーション向けに最適化されたソフトウェアスタックを持ち、レイトレーシングで強化された映画クラスのグラフィクスを、同じ性能のCPUベースのレンダリングクラスターよりもずっと低いコスト(電気料金)で提供する」。

このパワーを複数のユーザーで共有でき、バックエンドのストレージと相互接続ネットワークは、NVIDIAが今月初めに69億ドルで買収したMellanoxの技術が支える。その買収と今日のニュースはNVIDIAの未来にとってデータセンターがいかに重要であるかを物語っている。

DellやHP、Lenovo、Asus、SupermicroなどのシステムメーカーがRTXサーバーを顧客に提供しており、そのすべてをNVIDIAが検証し、それらの上で動くワークロードの管理には同社提供のソフトウェアツールを使用する。

NVIDIAは、これらのサーバーはARやVRをエッジで動かしたり、5Gネットワーク上でビジュアルをクライアントにサーブするのに適している、と力説している。それはあまりにもバズワードまみれとも感じるし、ARやVRに一般消費者が関心を持ったり、5Gネットワークがメインストリームになるのは、まだかなり先だろう。しかしそれでも、例えばゲームプレーをクラウドからストリーミングで提供するといったニーズには今日すでに、これらのサーバーが活躍できそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple Business Chatでスタジアムの座席からドリンク注文

NBAクリーブランド・キャバリアーズのファンたちは、スーパースター、レブロン・ジェームズが今や数百マイル西のロサンゼルス・レイカーズでプレイする中、今シーズンは楽しいことが多くはなかった。しかしAramark(スタジアムの食品飲料販売会社)とキャブスはApple Business Chatと組んで、ファンが座席にいながら飲み物を注文出来るようにする。

これはなかなか気の利いたシステムで、昨年夏にフィラデルフィア・フィリーズのファンたちに提供されたのが最初だった。そしてこのたびクリーブランドのファンはメニューを見てドリンクを注文し、直接座席に届けてもらうまでのすべてをiPhoneのiMessageで行える。

まずカメラアプリを開いて前の座席の背中にあるQRコードを読み取る。すると “Hit send to start your order”というプロンプトがメッセージアプリに表示される。あとは、注文ボットと会話しながら好きな飲物を頼めばよい。メニューから商品を選ぶこともできる。

選び終わるとボットが座席番号を尋ねる。支払いはApple Payで行い、飲み物は座席に直接届けられるのでゲームの進行を一瞬たりとも見逃す心配はない

届くまでどのくらい待たなくてはいけないのかはわからないが、行列に並ぶより早いだろうし、完全デジタル注文が可能になる。Aramarkのスポーツ&エンターテイメント地区マネジャー、Kevin Kearneyは、モバイル体験を使いやすいファン体験に統合する方法だと考えている。

「Apple Business Chatと注文プロセスの統合は、ファンにとって使いやすくて便利なだけでなく、ファンの変わりゆく期待と行動に答えるものなので、キャブスやモンスターズ(クリーブランドのアイスホッケーチーム)のファンにはぜひ試してもらいたい」とKearneyが声明で語った。

パイロットプログラムはシーズン終了まで継続され、チームとAramrkはシステムの具合とファンの反応を分析する。これはレブロン・ジェームズの穴を埋めるものではないかもしれないが、ゲーム見物中に飲み物を手に入れる便利な方法に違いない。


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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカン・モービルがブラジルのネクステルを100億円超で買収へ

ラテンアメリカの大きな人口、そして成長可能性に目をつけている投資家にとって、その市場はホットなものであり続けている。Carlos Slim氏が牛耳る帝国の一角を成すラテンアメリカのキャリアAmerica Movil(アメリカン・モービル)は318NII(前Nextelインターナショナル)が所有するブラジルのNextel(ネクステル)を9500万ドル(約100.6億円)で買収すると発表した。一方のNIIは、ディールがクローズすればNIIを解体して解散する許可を得らえれるだろうと明らかにした。

これは、TelefonicaPortugal TelecomVivoを共同で所有している)、Telecom ItaliaそしてOiTelemar所有)のような既存の大手通信業者と競争を展開する中で、事業拡大を図る動きだ。America Movilはすでに子会社Claroをブラジルで展開していてブラジルにおける主要な通信サービス事業者としての立場を強固なものにするため、特にブラジルにおける主要マーケットであるサンパウロとリオデジャネイロでモバイルネットワークのキャパシティやスペクトラム・ポートフォリオ、顧客ベース、カバー率、品質を向上させるために」、Nextelと合併させる計画だ。

America Movilはこれまでさまざまなマーケットの中小企業を合併してきた。1月、Telefonicaのグアテマラとエルサルバドルの資産を、それぞれ33300万ドル、31500万ドルで買収した。

Nextelブラジルの買収案件では、NIIからNextelブラジルの株式の70%を、そして残りの30%をAI Brazil Holdings BVから購入する、とNIIは今日語った。AI Brazil Holdings BVLen Blavatnik氏のAccess Industriesが管理している。Access IndustriesWarner MusicDeezer、そして数多くの資産や投資を抱えている。所有するNextelブラジルの株式を売却するのに同意する前は、Nextelブラジルの株式保有を増やすのに関心を示していると報道されていた。

買収は苦戦する事業の最終手段だ。ブラジルのNextelはもともとはNextelの国際事業部門だったが、Sprint2005年に米国でNextelを買収する前に別企業としてスピンアウトした。NIIはさまざまな発展途上国でのモバイルキャリア事業展開にフォーカスしてきたが苦戦し、途中複数の破産を経験している。

「今回の株式譲渡の発表は、Nextelブラジルが戦略的な道を追求する複数年にわたるプロセスの中でのクライマックスとなる。ブラジルの激しい競争環境、そして事業展開や債務元利払い、将来の競争に備えるのに必要な資本支出を賄うためのかなりの資金を確保するという長期的な必要性という点で、残っている営業資産を資金に変える絶好の機会だ」とNIIの最高財務責任者Dan Freiman氏は声明で述べた。「経営陣、そして取締役会は今回の株式譲渡がNIIの株主にとって最も良い選択であると確信している」。

トランシーバースタイルの携帯サービスを通じて携帯分野で先駆者であったNextelブランドにとって、この案件は最終章のようなものだ。このスタイルの携帯サービスは、ベーシックなキャリアのSMSと競合したメッセージサービスにおける初期の動きで、これを最初のモバイルソーシャルネットワークと位置付けて考える人もいる。しかし、そうしたサービスを展開したiDENデジタルネットワークは次第に廃れ、iDENベースのサービスを提供していたほとんどのキャリア(Nextelも含む)は3Gやその後のモバイルテクノロジーにフォーカスするためにiDENを中止した。

いかに多くの投資家がラテンアメリカにおける経済・政治のアップダウンの波に喜んで乗るかが鍵を握る買収は、今後もこの地域で増え続けるだろう。

米国バージニア州レストン拠点のNIIはかつてNasdaqに上場し、最後の取引での時価総額は32200万ドルだった。同社は現在、顧客330万人を抱える。最後に残っていた資産であるブラジル事業の買主を探しているとしばらく噂されていたが、今回の最終売却額は時価総額の約3倍となった。これは、誰かが焦げ付いたNextelブラジルの価値がそれ以上のものであるとみなしたことの表れだ。

先週、PaypalDragoneerはアルゼンチンのMercadoLibre85000万ドルを出資した。その前の週には、ソフトバンクがラテンアメリカのテック企業に投資する20億ドル規模の新たなファンドを設立すると発表した。(偶然にも、ソフトバンクベンチャーはSprint会長のMarcelo Claure氏がトップを務めることになっている。Sprintは数年前にNextelの米国部門を買収し、その後ソフトバンクによって買収された)

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(翻訳:Mizoguchi)

トヨタは自動運転車でNvidiaの技術を大々的に採用

トヨタは自動車メーカーとしてNvidia(エヌビディア)との関係を深め、それにより同社の日本とアメリカの研究部門が自動運転車の開発事業を強化している。

NvidiaのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ファン)氏は米国時間3月18日に2019 GPU Technology Conferenceのキーノートで、トヨタの日本の研究部門Toyota Research Institute-Advanced Development(TRI-AD)が、Nvidiaの完全にエンドツーエンドな開発および製造技術を利用して、その自動運転車技術の開発と訓練と検証を行っていると発表した。そのパートナーシップはトヨタとの既存のコラボレーションをベースとするもので、Nvidiaと日本のTRI-ADと米国のToyota Research Institute(TRI)」の三者のチームにより行われている。

この新たな協定によりトヨタは、Nvidiaのプラットホームを利用してディープなニューラルネットワークの訓練やテストや検証などを経て、自動車への最終的な実装を行っていく。トヨタはまたNvidiaが最近リリースし、すでに顧客に提供されているAVシミュレーターのDrive Constellationも使っている。トヨタはConstellationを使う最初の企業で、それは、自動運転車の開発企業が仮想世界で技術をテストできる、クラウド上のプラットホームだ。

要するにトヨタは、自動運転車の開発工程の全体にわたってNvidiaの技術を使おうとしている。

Nvidiaの自動運転部門のシニアディレクターDanny Shapiro氏が3月18日にこう語った。「密接なコラボレーションこそがわれわれのビジネスモデルだ。協働してNvidiaのドライバーズプラットホームを築いていくのが、われわれのやり方だ」。

Nvidiaとトヨタはすでに数年間、コラボレーションしてきた。トヨタは2017年に、NvidiaのXavierプロセッサーを使用するスーパーコンピューターDrive PXを、今後の車に搭載する自動運転システムに採用する、と発表した。

Toyotaとその研究部門TRIおよび日本のTRI-ADは、自動運転技術に二重のアプローチを採用している。

トヨタは最終的にはそのChauffeur(ショーファー)と呼ばれるシステムで、高齢者や障害者に奉仕する完全な自動運転車をデプロイするつもりだ。しかし二重のもうひとつの部分であるGuardian(ガーディアン)は、人間が運転する車を必要に応じて支援するシステムだ。常に人が運転しているが、その間Guardianがたえずウォッチし、センスして、問題の発生に備えている。

トヨタがNvidiaのプラットホームをChauffeur(完全自動運転車)とGuardian(運転者支援システム)のどちらに利用するのか、それがまだ明確でない。

TRI-ADのCEOであるJames Kuffner氏は、声明の中でこう言っている。「死亡事故をゼロにし、すべての人に円滑な交通手段とモビリティを提供することが、弊社の自動運転車の究極のビジョンだ。Nvidiaとの技術協力は、このビジョンを実現するために重要だ。ソフトウェアの検証と試験に大規模なシミュレーションツールを使うことが、自動運転システムにとって重要と考える」。

NvidiaがスーパーコンピュータープラットホームDrive PXで自動運転車向けの最初のアーキテクチャを導入したのは2015年だが、それ以降パートナーシップを結んだ自動車メーカーはトヨタだけではない。その最初のプラットホームは車のカメラやセンサーからのデータをすべて処理し、AIのアルゴリズムを搭載したオペレーティングシステムと、クラウド上の高精細な3Dマップにより、現在位置や今後ありうるハザードなど、車の環境理解を助けることを目的としている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

飲食・小売店向けの受発注システム「CONNECT」公開、どちらか片方の業者が導入していればOK

バーやウイスキー愛好家向けのアプリを開発するハイドアウトクラブは3月19日、新サービスとして飲食・小売店向けの受発注管理システム「CONNECT(コネクト)」をリリースすると発表した。

従来、飲食や小売業界における受発注作業は問屋などの卸売業者にFAXや電話などで連絡するというかたちで行われていた。また、業者ごとに連絡手段が異なり混乱が生じてしまうことも課題としてあった。そこで、誰でも使いやすいデザインを目指して開発されたクラウド型の受発注システムがCONNECTだ。

CONNECTの特徴は、発注側と受注側の双方が必ずしも同サービスを導入していなくても受発注業務が行えるという点だ。ハイドアウトクラブ代表取締役の田口雄介氏は、「例えば、発注側のお店がFAXをやめたいのに、受注側の業者がFAXを指定してくるケースがあります。その場合でも、発注側のお店は、CONNECTを通じてFAXやメールで発注書を送ることも可能なため、発注側だけの意思で、業務のオンライン化が可能です」と話す。

ハイドアウトクラブは2018年夏に同サービスのベータ版を公開。導入店舗数は非公開だが、これまでの約半年間での同サービスを通した発注商品数は15万点を越しているという。居酒屋、イタリアン、フレンチ、ラーメン屋、カフェなどの飲食店から、玩具店や美容院など幅広い業種で利用されているという。

ハイドアウトは2015年6月の設立。2016年2月にバーやウイスキー愛好家向けの会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」をリリース。2017年11月にはDGインキュベーションなどから3000万円の資金調達も実施している。

Twitterが「会話を購読」機能の開発を認める、Androidアプリ内で発見

Twitterは「twttr」と呼ばれているプロトタイプアプリ内で会話の新しいフォーマットや「ツイートを隠す」ボタンなどの機能をテストしているが、これらに加えて、Twitter上の個別の会話をユーザーが購読できる機能も開発中である。このことを同社は米国時間3月15日に認めた。

新しい「会話を購読」オプションを最初に発見したのはJane Manchun Wong氏だ。彼女は人気アプリをリバースエンジニアリングして、まだ発表されていない機能や変更箇所をよく見つけている。

Wong氏がTechCrunchに語ったところによると、「Subscribe to conversation(会話を購読)」機能は、現時点ではユーザーインターフェイスのプロトタイプであるTwitterのAndroidアプリ内にあったという。ツイートの右上に「Subscribe to conversation」とだけ書かれたボタンがあるとのことだ。

Twitterにコメントを求めたが、同社はこの機能のリリースに関して詳細を明らかにしていない。同社はこの機能を開発中であることには言及し、TechCrunchに対しこれを認めるツイートを示した。この短いツイートで同社は「Twitterでの会話のために私たちが取り組んでいることの一環である」と述べている。

現在Twitterは、使いやすく悪用されにくいアプリを作って、健全で構造的な会話を実現しようとしている。これは同社の最大の目的のひとつだ。

新たに追加される購読機能を使うと、関心を直接示したり会話に参加したりしなくてもスレッドをフォローできる。ボタンをクリックすると、会話に新しいツイートが追加されたときに通知を受けるかどうかを選択できる。

お気に入りのメカニズムは、Twitterの開発に波及効果を与えてきた。それはお気に入りが星からハートに変更されたことに見てとれるが、今回の会話の購読もその波及効果の一例と言えるかもしれない。星には関心の意味があったが、感情を伝えてはいない。Twitterはもっとポジティブな感情を起こさせるべく、数年前にハートに変更したのだ。しかしその結果、デフォルトのエンゲージメントのメカニズムでは気になるツイートを保存しておくことはできないとユーザーは感じるようになった(そして、ユーザーは保存しているツイートをすべて支持しているとは限らない)。

その後Twitterは、ツイートを保存する別の機能、ブックマークでこの問題を解決した。

「会話を購読」によって、ツイートを追跡する方法がもうひとつ増えることになる。こちらの方法なら、ツイートから生じる会話も追跡できる。

Twitterが星を使い続けていたら、ツイートの保存などをまとめる「お気に入り」ページが実装されたかもしれない。そのページには、通知のオン/オフを設定したり、あとは保存したツイートのキーワード検索とか、タグをつけるとか、公開/非公開の掲示板とか、「モーメント」のようなコレクションとか、そういった機能が追加されたかもしれない。しかしブックマークのコレクションをこのように利用するのは難しいだろう。

こうした機能を1カ所に集約できていれば、Twitterは有益なリファレンスに、またPocketやInstapaperに対抗する「後で読む」ツールに、さらにはブラウザのブックマークの代わりにさえなり得たかもしれない。

しかしTwitterはその道を選ばなかった。ユーザーは今後、お気に入り(ハート)、ブックマーク、会話の購読を使っていくことになるようだ。

Twitterは「会話の購読」機能のリリース時期について明言していない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

MySpaceがユーザーの楽曲ファイルを10年ぶん以上失った模様

オンラインファイルのバックアップの重要性はいうまでもないが、今回のニュースはアーティストにとってショックなものとなるだろう。MySpaceはサーバー移行の最中に、ユーザーがアップロードした膨大な量の楽曲を失ったと発表したのだ。

公式サイトに掲載された声明によれば、「サーバー移行プロジェクトの結果、3年より前にアップロードされたあらゆる写真、動画、そしてオーディオファイルがMySpaceから失われた可能性がある。不便について、お詫びしたい」としている。

ユーザーはここ1年ほど、2003年から2015年にアップロードされた楽曲についての問題を伝えてきた。TechCrunchはMySpaceにたいし、問題の詳細と大量の楽曲が永遠に失われてしまったのかについて問い合わせた。正直、MySpaceにとってもアップロード者にとっても、事態は思わしくないようだ。

(私はこれがアクシデントなのかについて、ひどく懐疑的だ。移行の失敗はもちろん不名誉だが、「5000万曲のMP3ファイルを移行し保存する労力とコストを支払うつもりはない」と声明を出すよりはマシだろう)

MySpaceはNewsCorp により2005年に5億8000万ドル(約650億円)で買収され、当時米国で最も訪問者の多いサイトであった。その6年後、わずか3500万ドル(約39億円)にて売却され、Facebookの後塵を拝することとなる。

「美しいものははかない」ということわざもあるが、それはサーバー上の楽曲ファイルにも当てはまるようだ。

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(文/塚本直樹 Twitter

不動産売買の業務支援システム「キマール」を個人向けに無料開放

リマールエステートは3月18日、不動産売買の業務支援システム「キマール」を個人向けに提供開始した。

キマールは、物件の間取りや顧客への紹介履歴といったデータをまとめて管理することで、業務効率化を図るシステム。顧客の紹介漏れをなくせるほか、顧客がどの資料をダウンロードしたかなどもリアルタイムでわかるという。

これまでは法人向けだったが、要望が高かったことから個人に無料開放することになった。ただし、登録できる物件数が5つまでという制限がある。個人アカウントは使い勝手を確かめる手段として使い、本格導入する際は法人アカウントへ移行という流れになるだろう。

法人の場合は登録できる物件数に上限はなく、月額6万円から利用可能だ。


同社によると、今後は基本システムの拡充やAIを用いたレコメンドシステムなどを開発していくとのこと。ユーザーによる物件情報交換会なども実施する予定だ。

同社は去年8月にニッセイ・キャピタルとかんしん未来ファンドから総額1億円の資金調達を実施している。

30分以内の飲食店“超直前”予約に特化した「トレタnow」公開

飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」を提供するトレタは3月18日、飲食店の“超直前”予約専用サービス「トレタnow」を公開した。当初はユーザー数を先着で限定し、都内4エリアに絞ってサービスをスタートする。

トレタnowは、ユーザーの現在地から徒歩約10分圏内のエリアで、最短10分後に入れる飲食店を予約できるサービス。アプリを立ち上げ、人数を選択し、「近くのお店を探す」をタップすると、その時点で入店できる飲食店情報が表示されるので、予約したい店を選べば操作は完了。現在地から飲食店までの道順が表示されるので、あとはルート案内に従ってお店に行けばOKだ。

トレタnowは、台帳サービス・トレタの空席情報とリアルタイムで連携しているので、ユーザーが検索すると、条件に合う空席情報をその場で表示できる。飲食店側は、忙しい時間帯でも特に予約受付の操作をする必要はなく、空席情報表示と受付が自動でできる。

アプリは現在、iOSのみに対応。利用エリアは渋谷・恵比寿・六本木・五反田で、利用できる時間帯は17時から午前4時まで。

トレタ代表取締役の中村仁氏は、トレタnowについて、自身のnote上で「僕が飲食店向け予約/顧客台帳サービス『トレタ』を作った当初から、いつかは絶対に実現したいと思っていた、究極のオンライン予約をカタチにしたもの」と説明。理想のオンライン予約を実現するためには、飲食店の予約管理、予約台帳のクラウド化が不可欠なため、これまで台帳としてのトレタの操作性の高さにこだわってきた、としている。

「『トレタなら紙の台帳から安心して換えることができて、業務効率化が実現できる』。そう思ってもらえることこそが、究極のオンライン予約の実現における一丁目一番地だと信じ、地道な努力を続けてきました。」(中村氏のnoteから)

トレタのデータでは、前日までの予約で飲食店に来店する顧客は半数で、残りの半数は「当日予約」と「予約なしの飛び込み来店」が占めるとのこと。中村氏は「超直前予約には、サービスとしても大きな可能性がある」と述べ、トレタnowを使って、テクノロジーで外食をより楽しくできるという体験を味わってもらいたい、とつづっている。

Facebookはニュージーランド銃撃映像の20%をブロックできず

Facebookは、ニュージーランドで死者50人を招いた銃乱射事件のライブストリーム映像を、事件発生から24時間以内に150万件削除したことを発表した。

FacebookのMia Garlick氏は一連のツイートで、120万件のビデオをアップロード時点でブロックしたと語った。襲撃を「賞賛あるいは支持」するビデオも削除された。音声検出などの自動化技術および人間によるコンテンツ監視を組み合わせ使用したとGarlick氏は言った。

Facebookは、30万件のビデオがチェックにかからずアップロードされ、20%の失敗率となった理由については言及しなかった。

数値はFacebookが把握したビデオのアップロード総数だけに基づくいわゆる“vanity” statistics「虚栄の」統計データ」だ。TechCrunchは、襲撃から12時間以上経過してから投稿された ビデオをいくつか発見した。Facebookに対して、ビデオが削除されるまでの間の閲覧数、シェア数、リアクション数などの関与データの公開を要求する声もある。それらの数値の方がビデオの流布状況をずっと正確に示す測定値であると批評家は言っている。

米国時間3月15日に起きた襲撃は、ニュージーランドのクライストチャーチで礼拝中の人々が標的たった。警察は、最初の銃撃から約30分後に銃撃犯を拘束したと言った。

28歳の殺人容疑者はスポーツイベントなどの撮影によく用いられるヘッドマウントカメラを使用してFacebookでビデオをライブストリームした。Facebookは容疑者のアカウントを銃撃から1時間以内に停止したが、ビデオはすでにFacebook、Twitter、YouTubeなどで拡散されていた。容疑者は本人が攻撃直前に投稿した「マニフェスト」でファシストを自称していた。IT企業各社は、白人ナショナリズムに関連した暴力の脅威の可能性に対する対策のなさを 批判されている。いわゆるイスラム国グループ支援や児童虐待画像の流布を助長するコンテンツに対した時と比べて行動が遅かったと指摘されている。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は米国時間3月17日に、Facebookをはじめとする巨大メディアはこのような事件に対する接し方を再考する必要があると述べた。Facebookのナンバー2、Sheryl Sandberg氏は事件後、アーダーン首相に接触したと報じられている

Facebookにコメントを求めたところ、Garlick氏のツイート以上の情報は得られなかった。

Videos of shooting tragedy in New Zealand continue resurfacing on social media

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

採用管理システム「HERP ATS」正式リリース、社員参加型採用にも対応

近年、労働者人口の減少や通年採用などにより、人材採用の世界にも変化が訪れており、担当者は柔軟な採用への対応と効率化を求められている。そんな中で、アナログな採用活動に代わって採用業務をサポートするものとして導入が進んでいるのが「ATS(Applicant Tracking System)」=採用管理システムだ。

複数の求人媒体と自動連動する採用管理システム「HERP ATS」を2018年1月からベータ版として提供してきたHERPは3月18日、同プロダクトを正式にリリースしたと発表。正式リリースに伴い、採用担当者だけでなく、全社で採用に取り組みたい企業向けに機能を強化し、本格的にサービスをスタートした。

HERP ATSは、既存の求人媒体と情報を連携して応募を自動で登録し、一括管理できる採用プラットフォームとして、2018年1月にベータ版が公開された。IT系企業が利用する10以上の求人媒体からの応募情報を自動取得。採用担当者の事務作業を自動化し、より本質的な採用活動に取り組めるようにすることを目的としている。

今回の正式リリースでは、さらに媒体との連携だけでなく、エージェント推薦や社員紹介など、別の経路からの応募情報も集約し、採用候補者の情報を一元管理できるようにした。

また、候補者情報や面接内容は、採用の選考プロセスに関わるメンバーへSlack連携で自動で共有される。また採用成果は職種別にレポートすることも可能。選考の意思決定のスピードアップ、精度の向上や、採用担当者から現場メンバーへの、より本質的なフィードバックが期待できる。

さらに面接スケジュールを登録すると、面接官を務める社内メンバーへ通知が送られる。選考フローをスムーズに管理することができ、採用の進捗もリアルタイムで把握可能。選考プロセスが可視化されることで、採用に関わる現場メンバーが採用に参画しやすくなるという。

これらの拡張機能はいずれも、採用活動を採用担当者だけのものとするのではなく、リファラル採用など、日本の企業でも取り入れられるようになってきた、全社一丸となって社員採用に取り組もう、というトレンドに沿ったものだ。採用担当者に採用業務が集中することを回避し、「現場の社員が自社の採用に積極的に参加しやすい仕組みとなった」とHERPではコメントしている。

HERP ATSは現在、IT系を中心に、導入企業が50社を超えている。導入企業には「CASH」のBANKや「ホテル番付」の空、スキルマッチングのココナラなど、TechCrunchでもおなじみのスタートアップも多く、採用に手間をできるだけかけず効率的に、かつ社員主導型で取り組みたい、というニーズは高かったということだ。

HERPは2017年3月、リクルートとエウレカで採用に携わっていた代表取締役CEOの庄田一郎氏が設立。TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルではファイナリストとして出場した同社は、人材採用業界版のOpen API、「Open Recruiting API構想」を掲げ、HR Tech各社とのAPI連携も進めている