職業教育といえば分厚く重いテキスト、という時代は遠くへ去ったようだ。今やますます、ネット上のコースが盛んになり、そのトレンドに乗じるスタートアップも増えてきた。一部の数字によると、全世界で社員教育に投じられる費用は5000億ドルを超えている(書籍、ビデオ、Twitter、ブログ、などなどすべてを含む)。Pluralsightは過去15か月で1億3000万ドルを調達し、Lynda.comは今年初めにLinkedInが15億ドルで買った。これら教育/学習サイトは多くのユーザを吸着しているが、しかしデスクトップが主体だ。モバイルの時代には、ネット上の教育プロダクトもモバイル化すべきであることは、火を見るよりも明らかだ。
しかし教育/学習の分野でそのネット化の欲求が増大すればするほど、スキルのギャップも大きくなり、またそれを填める手立ても、今日なお十分ではない。たとえば、社員をMySQLやExcelの名人にしたいと思っても、そのニーズをサポートする、日常的に使える適切なモバイルプロダクトはまだない。
エンジニアに厚くて重いテキストを与える方法は、今でも有効だが、ただしそのやり方はスケールしない。一方、今ある“軽量級の”ソリューションは、ほとんどすべて初心者のための入門編だ(たとえばCodecademy)。明らかに、この市場には「需」と「給」のあいだに大きなギャップがある。
したがってここには、日常的に使えて(==モバイルで)、ネットワーク効果によりスケールしていくようなソリューションへの需要、という機会がある。
ここでご紹介するEnkiは、その機会に乗じようとしている新進スタートアップのひとつだ。
技術系の社員はモバイル上でEnkiを使って、スナックを食べるときのように一口一口と、すこしずつ継続的に学習していく。この、少しずつ毎日々々というやり方では、コンテンツを短いサイクルで更新できるから、ソフトウェアエンジニアなどは、仕事に役立つ最新の情報に、つねにフレッシュに接することができる。
ロンドン生まれのEnkiは、協同ファウンダがKirill Makharinsky(元Slide Quid, Ostrovok)とBruno Marnette(元Winton Capital, Palantir Technologies)だ。彼らはブログで、Enkiについて説明している(この記事や、より詳しくはこの記事)。ProductHuntにも記事がある。
これまで資金はJohn Earner, Errol Damelin, Roger Dickey, Suranga Chandratillake, Learn Capital, Dave Hersh, Andy McLoughlin, Tracy Doree, Leila Rastegarなどの個人や機関から調達している。金額は公表されていないが、Kirillによると“8人のチームが2年間食えるぐらい”、だそうだ。
DuolingoやLumosityにヒントを得たEnkiでは、ソフトウェアデベロッパのための5分間の“課題(workout)”により、空き時間に重要なコンセプトを学ぶ。
予習復習など補助的手段として本やインターネット上のリソースを読んでもよいが、でもEnkiのこのやり方はソフトウェア開発以外のいろんな勉強にも応用できる。
ユーザはアプリに、よくできる/分かるようになりたい項目を指定する。そして数日分の課題を選び、それらをこなし、フィードバックを返す。一日に5分ずつだ。参考文献のリンクもある。ただ本や資料を読むことに比べると、Enkiのやり方には構造性があり、しかもコンテンツは個人化される。
これまで250名のソフトウェアデベロッパでテストした結果では、毎日使ってくれる人が70%だった。
類似の学習サービスとしてPluralsight, Lynda.com, Codecademy, Treehouse, Udacity, Khan Academyなどなどがある。でも、このような“一口サイズ”で学べるところは、ほかにない。
同社のマネタイズプランは、企業が社員のために授業料を払う有料プロダクトだ。デベロッパを職業とする人は世界におよそ1000万名いるから、売上のポテンシャルは20億から50億ドルはある。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。