動画学習のスクーはユーザー20万人に、1980円のプレミアム課金サービスも開始

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オンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」を提供するスクー。2011年10月に立ち上がったこのサービスは、2015年12月時点でユーザー数20万人を数えるまでに成長した(2014年12月時点でのユーザー数は11万人)。

現在は個人および法人(現在100社が導入)向けの有料課金サービスでマネタイズしているschooだが、今回、個人向け有料課金プランにおいて、上位プランとなる「プレミアムプラスプラン」の提供を開始した。これまで提供してきた個人向けの課金サービス「プレミアムプラン」が月額980円(4月以降。それ以前は月額525円だった)なのに対して、この新プランはその約2倍、月額1980円という価格設定になっている。

ではこのプレミアムプラスプランではどういったサービスを提供されるのか。まずは、既存の課金プラン同様の録画授業の視聴機能。無料であれば基本的にリアルタイムでしか視聴できない授業を、無制限でタイムシフト視聴できるというものだ。これに加えて、登壇した先生の資料のダウンロード機能、動画と連携したリッチノート機能、途中で中断した授業を続きから再生できる記憶機能などが提供される。

リッチノート機能のイメージ

リッチノート機能のイメージ

今回の取り組みはスクーいわく「質の高い学習コンテンツを、より多く生成するための生態系の強化」なのだそうだ。オンライン上には無料だったり、低価格帯のコンテンツがあふれている。スクーはそれらとの差別化として、「学習効果を最大化するための良質なコンテンツを提供し続ける」ということ重視しているとのことで、「良質なコンテンツを提供し続けるためには高いレベルでのビジネススキームを作る必要がある。ユーザーに学習しやすい環境を整える機能を提供し、学習に対する満足度を高めてもらう。そして、スクーは授業生成におけるすべてに対して投資を行うことで、質の高い学習体験をユーザーに還元する。そのための手段」(同社)としている。

DIYコンピュータのKanoがホリデイシーズンに合わせてスクリーンキットをリリース…もうテレビやモニタは要らない

Kanoの協同ファウンダでCEOのAlex Kleinに、新製品Kano Screen Kitと、同社の‘DIYコンピュータ’シリーズの、今後の展開について聞いた(上のビデオ)。

Screen Kitは、これ(スクリーン)があることによってKanoが、誰もが作れる完全なコンピュータになる。中心的な年齢層は、6歳から12歳だ。

彼らは部品を組み立てることによってコンピュータを作り、音楽やアートワークをプログラミングし、PongやSnakeのようなゲームを作り、Minecraftの世界もプログラミングする。

KanoはPythonやJavaScriptなどのプログラミング言語への入門を、子どもたちに提供する。PythonはMinecraftやPongを作りながらKano Blocksで学ぶし、Terminal Questで遊んだりSnakeを作りながらLinuxの世界に飛び込む。
Kanoのコンピュータキットは、11のコンポーネントから成る:

• Raspberry Pi 2
• ワイヤレスキーボード+マルチタッチトラックパッド
• DIYスピーカー、ケース付き、GPIOで駆動
• 電源用とHDMI用ケーブル
• Wi-Fiドングル、Kano OSと8GBのメモリカード
• 合衆国、イギリス、EU対応USB電源
• 2冊の絵本: “Make a computer”(コンピュータを作ろう)と“Code powers”(プログラミングの威力)
• 4枚のステッカーとケースカード

Kanoのコンピュータキット本体はスクリーンがないけど、HDMIケーブルでそこらのテレビやモニタにつなげば使える。

でも今度リリースしたスクリーンキットは、子どもが持ち運びできる、手ごろなサイズのHDディスプレイだ。これも、自分で組み立てる。ディスプレイというハードウェアの仕組みが分かるし、Kano全体がポータブルになる。

同社は最近、Kano OSをRaspberry Pie Zero向けに最適化した。前のバージョンの6倍速い。コンピュータとして、いよいよ本物だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

一日にわずか5分の‘授業’でソフトウェア開発技術を学ぶモバイル学習サービスEnki…既存デベロッパのスキルアップに最適かも

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職業教育といえば分厚く重いテキスト、という時代は遠くへ去ったようだ。今やますます、ネット上のコースが盛んになり、そのトレンドに乗じるスタートアップも増えてきた。一部の数字によると、全世界で社員教育に投じられる費用は5000億ドルを超えている(書籍、ビデオ、Twitter、ブログ、などなどすべてを含む)。Pluralsightは過去15か月で1億3000万ドルを調達し、Lynda.comは今年初めにLinkedInが15億ドルで買った。これら教育/学習サイトは多くのユーザを吸着しているが、しかしデスクトップが主体だ。モバイルの時代には、ネット上の教育プロダクトもモバイル化すべきであることは、火を見るよりも明らかだ。

しかし教育/学習の分野でそのネット化の欲求が増大すればするほど、スキルのギャップも大きくなり、またそれを填める手立ても、今日なお十分ではない。たとえば、社員をMySQLやExcelの名人にしたいと思っても、そのニーズをサポートする、日常的に使える適切なモバイルプロダクトはまだない。

エンジニアに厚くて重いテキストを与える方法は、今でも有効だが、ただしそのやり方はスケールしない。一方、今ある“軽量級の”ソリューションは、ほとんどすべて初心者のための入門編だ(たとえばCodecademy)。明らかに、この市場には「需」と「給」のあいだに大きなギャップがある。

したがってここには、日常的に使えて(==モバイルで)、ネットワーク効果によりスケールしていくようなソリューションへの需要、という機会がある。

ここでご紹介するEnkiは、その機会に乗じようとしている新進スタートアップのひとつだ。

技術系の社員はモバイル上でEnkiを使って、スナックを食べるときのように一口一口と、すこしずつ継続的に学習していく。この、少しずつ毎日々々というやり方では、コンテンツを短いサイクルで更新できるから、ソフトウェアエンジニアなどは、仕事に役立つ最新の情報に、つねにフレッシュに接することができる。

ロンドン生まれのEnkiは、協同ファウンダがKirill Makharinsky(元Slide Quid, Ostrovok)とBruno Marnette(元Winton Capital, Palantir Technologies)だ。彼らはブログで、Enkiについて説明している(この記事や、より詳しくはこの記事)。ProductHuntにも記事がある。

これまで資金はJohn Earner, Errol Damelin, Roger Dickey, Suranga Chandratillake, Learn Capital, Dave Hersh, Andy McLoughlin, Tracy Doree, Leila Rastegarなどの個人や機関から調達している。金額は公表されていないが、Kirillによると“8人のチームが2年間食えるぐらい”、だそうだ。

DuolingoやLumosityにヒントを得たEnkiでは、ソフトウェアデベロッパのための5分間の“課題(workout)”により、空き時間に重要なコンセプトを学ぶ。

予習復習など補助的手段として本やインターネット上のリソースを読んでもよいが、でもEnkiのこのやり方はソフトウェア開発以外のいろんな勉強にも応用できる。

ユーザはアプリに、よくできる/分かるようになりたい項目を指定する。そして数日分の課題を選び、それらをこなし、フィードバックを返す。一日に5分ずつだ。参考文献のリンクもある。ただ本や資料を読むことに比べると、Enkiのやり方には構造性があり、しかもコンテンツは個人化される。

これまで250名のソフトウェアデベロッパでテストした結果では、毎日使ってくれる人が70%だった。

類似の学習サービスとしてPluralsight, Lynda.com, Codecademy, Treehouse, Udacity, Khan Academyなどなどがある。でも、このような“一口サイズ”で学べるところは、ほかにない。

同社のマネタイズプランは、企業が社員のために授業料を払う有料プロダクトだ。デベロッパを職業とする人は世界におよそ1000万名いるから、売上のポテンシャルは20億から50億ドルはある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

マイノリティの若者にテクノロジ企業への就業機会を与えるNPO CODE2040が120万ドルの寄付を得て育成事業を拡大

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Knight Foundationが、NPOのCODE2040に120万ドルを支援した。同財団の今朝(米国時間12/9)のブログ記事に、そう書かれている。

2012年にパイロット事業を立ち上げたCODE2040はこれまでに、その助成事業CODE2040 Fellows Program(奨学育成事業)により、数千人の黒人やラテンアメリカ系アメリカ人の学生生徒たちに技術習得の機会を与えてきた。また新しい事業であるTechnical Applicant Prep(技術職求職準備事業)では、学生生徒たちが上位テク企業のインターンに採用されるよう、そのために必要な知識と技術の下地を作る。

CODE2040のNadia GathersがKnight Foundationのブログに、“この支援により育成対象者をこれまでの倍以上に増やし、彼らの人生を良い方向へ変えていける”、と書いている。“それによりテク業界のあり方を変えることができるから、われわれの目標を高名なKnight財団に認めてもらえたことを、とても誇りに思う”、と書いている。

今年はCODE2040にとって、かなり良い年だった。1月にはGoogleが同NPOに77万5000ドルを助成金として提供し、3月にもGoogleはCODE2040のパイロット事業を支援して、マイノリティの起業家たちに1年分の生活費と、シカゴやオースチン(テキサス州)、ダラム(ノースカロライナ州)などで無料のオフィススペースを提供した。これらの努力の成果として2016年にはAppleが、同NPOで勉強した者10名をインターンとして招く。あっぱれめっぱれ、CODE2040さん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ハンガリー生まれのキャタピラー車Codieは子どもがプログラミングして動かすロボット、iOSやAndroidから操作

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子どもたちにプログラミングを教えるロボット企業Codie Labsが今日(米国時間12/8)の午後TechCrunch Disrupt Londonのステージに立ち、同社のプログラマブルな走行ロボットCodieを披露した。このロボットのプログラミングと操作(運転)はiOSやAndroidのアプリで行う。はるばるブダペストからやってきた同社は、最初この本誌主催コンペの展示場に小さなスペースを与えられただけだったが、来場者と本誌ライターが展示企業の上位に同社を選んだため、本会場の大舞台に立てることになった。

András Hollóが彼のいくつめかのスタートアップとして2013年2月に、友人のÁdám Lipéczと共に起業したCodie Labsは、6歳から15歳までの子どもたちに、プログラミング入門の機会を与える。プログラミングのためのインタフェイスは、さまざまなアクションを表しているカラフルなブロックをドラッグ&ドロップで積んだり並べたりするもの。まるで積み木のような感覚でプログラムを構築し、そのプログラムどおりにCodieロボットを動かす。

このロボットは表面はすべて木製、駆動はキャタピラー方式なので、やや凸凹しているところでも走行する。内部には近接センサやマイクロフォン、ラインリーダー(line reader, 線を読む)があり、このリーダーがさまざまなマークなどを読む。前面についている二つのLEDライトも、プログラミングにより色を変えられる。

おちびさんロボットCodieは、意外と走るのが速いが、動きは子どもが書くプログラムからコントロールできる。また画面に表示されるジョイスティックを操作して‘運転’もできる。

子どもたちは、表面に”move”、”turn”、”decide”、”wait”、”sound”などとアクションが書かれたブロックをドラッグしてプログラムを組み立てる。アクション以外の、スピードや距離、色、輝度なども、プログラムからコントロールできる。

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また、”if, then, else…”のような論理構造(条件分岐とループ)もこのプログラミング言語で表現できる。

ひとつのプログラムが完成したら、名前をつけて保存できるから、あとからの再利用も可能だ。

Codie Labsはハンガリーの機関投資家や個人のエンジェルからUSドル換算で25万ドルの資金を得ている。プラス、Indiegogoのクラウドファンディングで今年の春96000ドルを獲得し、予約販売で500台あまりのCodieが売れた。

Hollóによると、ただし現物を出荷〜発送できるのは今年のクリスマス、ないし、来年早々だ。お値段は199ユーロ。

来年は本格的にシード資金を調達して、マーケティングと流通チャネルの開拓に充てたい、と彼は言っている。

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プログラマの人的イメージ(白人、男)を変えるために女子プログラミング教育のNPO Girls Who Codeがモバイルゲームを利用

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女子をコンピュータサイエンスから遠ざけている大きな要因は、プログラマがもっぱら白人の男性である、という偏見的イメージだ。GoogleがGallupに依頼して行った調査の結果はそう言っている。そこで非営利団体Girls Who CodeはモバイルゲームのメーカーPixelberry Studiosとパートナーして、後者の売れ線ゲーム”High School Story”に、若い女子のプログラマに関するお話を入れてもらうことにした。

そのGabrielaという名前のプログラマは、”High School Story”では初めてのテク関連のキャラクターだ。Pixelberryによると、このゲームを合衆国の女子高生の30%以上がこれまでプレイしたそうだ。ストーリーは、Girls Who Codeを巣立った女の子たちがモデルになっている。そのストーリーではGabrielaが主役で、最後の決戦がハッカソンだ。そこでの目的は、モバイルアプリを作ること。これまでもHigh School Storyには、ネット上のいじめや、ボディーイメージ(body image, 身体像)*に関するストーリーがあった。〔*: body image, 自分の性的魅力の観点から自分の体やその部品を気にすること。〕

Girls Who CodeのCEO Reshma Saujaniのねらいは、プログラマに関するイメージを、狭いもの(白人男性)から広いもの(誰でも)に変えることだ。“女子たちに、プログラミングが自分のやりたいことを達成する手段であることを、理解させたい。コンピュータの伝統的文化像を変えて、それは女子にも作れる文化であり、むしろ女子に向いている創造的文化であることを伝えたい”、と彼女は語る。

“High School Story”はiOSとAndroidで遊べる無料のゲームだが、その中にアプリ内購入があって、自分を表すキャラクターのシャツを買ったりできる。今回のストーリーでは、それがGirls Who Codeの収益源になる。Girls Who Codeは合衆国の41の州で活動を展開しており、2012年の立ち上げ以来今日まで、1万名あまりの女子にプログラミングを教えた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

児童生徒のプライバシーに関しGoogleがEFFに返答: “弊社のツールは法律と弊社の約束に適合している”

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昨日(米国時間12/1)EFFは、‘学生に対するスパイ行為’(Spying on Students)と呼ばれるキャンペーンを立ち上げて、学校でテクノロジを利用する場合のプライバシーリスクに対する、人びとの関心を高めようとしている。このキャンペーンは消費者保護のお役所FTC(連邦取引員会)がGoogleに対して提起した苦情を契機とするもので、同社が児童生徒の個人情報(検索の内容など)を集めて分析している、と主張している。

EFFのスタッフ弁護士Nate Cardozoは、こう述べている:

公的な声明とは逆にGoogleは、児童生徒の閲覧データやそのほかの情報を集めて分析し、その結果を同社自身の目的に利用している。公的な約束をしておきながらそれを守らないことは、不正で欺瞞的な企業行為を禁じているFTCの規則に違反している。未成年者は追跡されたり実験動物として利用されたり、あるいはそのデータが企業利益のために取り扱われたりすべきでない。Googleが児童生徒のデータを‘Googleのプロダクトを改良するため’に利用したいのなら、父兄からの明示的な同意を得る必要がある。

具体的な問題は、GoogleがChromebooksとGoogle Apps for Educationを学校に配布し、その際に“sync”機能をデフォルトで有効にしていることにある。それはおそらく、個人データを宿題や、さまざまな活動やコミュニケーションに、結びつけるためだ。EFFによるとGoogleは彼らに、近日中にsync機能をデフォルトで無効にする、と述べた。

Googleは今日(米国時間12/2)、プライバシー遵守共通約定集“Student Privacy Pledge”の協同ファウンダたちに対しても応答した。

当然ながらGoogleがコンピュータを学校や企業や団体等に広めようとしているのは、GoogleとAlphabetの消費者をより多く確保するためだ。“人は若いうちに取り込め”は、マーケティングの原則だ。しかしGoogleは、誤解を正そうとしている。Google Apps for EducationのディレクターJonathan Rochelleはこう述べている:

12月1日にElectronic Frontier Foundation(EFF)が、Google Apps for Education(GAFE)とそのほかのプロダクトとサービス、とりわけChrome Syncに関する苦情を発表した。弊社は、児童生徒のデータのプライバシーをEFFが重視していることは尊重するが、弊社のツールは法律と弊社の約束の両方に適合していると確信している。その約束の中には、弊社が今年署名したStudent Privacy Pledgeの約定も含まれている。

Rochelleは、こう付け加えている: “教師や児童生徒によるGoogleのそのほかの消費者サービスの利用は、学校が管理できる。それらYouTube、Maps、Blogger等々はGAFEのアカウントで利用できる。”

Rochelleのポストの全文はここで読める。EFFが提起した問題の、一つ一つに対して説明している。

“Student Privacy Pledge”の協同ファウンダたちは、EFFは約定を誤解しており、したがって”見当はずれである”、と言っている。

生活のいろいろな側面がネット上のサービスに依存するようになってきた今日では、個人データの慎重な取り扱いがますます重要だ。それを子どもたちのために監視する活動は立派だが、しかしGoogleによれば、EFFのキャンペーンは実際に起きていないシナリオを標的にしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

テクノロジーを教育に生かす4つの重要ポイントをチェックしよう

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テクノロジー分野の特徴は性急なことだ。そのため多くの人々がPearson社内であれ教室であれ、テクノロジーを教育に活かそうとしてフラストレーションに陥っている。

しかし私は楽観的だ。われわれはテクノロジーによって現在よりはるかにスマートな教育が実現する入り口に立っている。この記事では教育改革におけるターボチャージャーともいうべきテクノロジーの利用にあたって重要なチェックポイントを4つ紹介してみたい。

1. 学習者から学習する

あらゆる優れたデジタル・プロダクトは常にユーザーの反応から学ぶことで進歩してきた。たとえばFacebookのニュースフィードがそうだ。当然だが、これは教育にも言える。

Students, Computers and LearningというOECDのレポートにもあるとおり、デジタル世界でのクリックストリームやナビゲーションのあり方は学生がオンライン教育にどう対応するかを測定するのにも利用できる。その答えは多様だ

教育現場でRenaissance Learningのような会社は読書プログラムのトラフィックの少部分(約4.7分)をモニターすることによって、もっとも優秀な学生と取り残された学生を識別できることを示している。

買う前に何を買うことになるのかよく調べよう」というのはAmazonの広告だが、テクノロジー教育にもよく当てはまる。最近教育をさらにパーソナル化するアルゴリズムが次々に開発されている。たとえば、最優秀の成績を収めている学生の教科書の読み方を測定することによって、他の学生がそのプログラムで将来どのような成績を収めそうか判断することができるようになってきた。

教師はこの結果を見て、支援が必要な学生をいち早く発見し、適切に対処することができる。これにより学生がプログラムから完全に脱落してしまうのを防ぐことができる。また制作者が教育コンテンツの内容を修正するにも非常に役立つ。たとえばビデオ教材の場合、長さをどれほどにするのがもっとも効果的かを実例で学ぶことができる。

デベロッパーは教育科学の成果、教育現場の実態、教師からのフィードバックに常に深い注意を払い、優れたアイディアを取り入れる必要がある。調査、研究、投資のベストプラクティスについてはTeach to Oneに有益な例が多数掲載されている。若いスタートアップにとっては特に参考になるだろう。

Education Innovation Clusters〔教育のイノベーションのためのクラスター〕というグループのサイトやテクノロジー利用教育のパイロット・プログラムを多数提供するDigital Promiseにはいつもわくわくさせられる。

2. 学習者がどう感じているかを学ぶ

現代の適応学習(Adaptive learning)のテクノロジーは個々の学生の知識と可能性を測定するのが主眼だ。Knewtonのようなプログラムはそれぞれの学生がすでに何を知っているか、与えられた問題の解決のために学生にはさらに何が必要かを知らせてくれる。

しかし多数学生を対象とした調査によれば、学生がどう感じているか―退屈している、混乱している、苛立っている―などは学習において予期された以上の影響があることが判明している。テクノロジーはこの面でも大きな助けになる。たとえばDARPAはFull Spectrum Learningプログラムで学生の感情を測定する優れたアイディアに対して多額の投資を行う用意がある。

実験的環境ではわれわれはこの点に関して知見を重ねている。研究者はCrystal Islandというゲームをベースにした実験環境でt学生の情緒を測定することに成功している。この結果は他の状況における学生の学習に対する反応を予め推測するために役立てられている。イギリスの London Knowledge Labでは学生の情緒的状態をフィードバックとして取り入れて学習ツールを制作する実験を行っている。

3. 背景に隠れ、非侵襲的に教育効果を測定する

教える。立ち止まってテスト。教える。立ち止まってテスト。.

これが現在の教育の実態だ。教師には負担が大きkう、学生には苛立ちのもとになり、コストがかかるので両親にも評判が悪い。われわれはテクノロジーを利用することでこの伝統的な教育効果の測定方法から脱出できそうだ。こちらにいくつかの実例がある

たとえばGrassLab GamesがSimcityゲームをベースに開発したSimCityEdu: Pollution Challengesで学生は環境汚染の防止が都市計画に与えるインパクトをゲームプレイの中で学ぶことができる。学生のプレイをシステムはモニターしており、どのように行動したか、いつどのヘルプを要請したかなどが細大漏らさず記録される。システムはこのデータを解析してパターンを発見し、プレイヤーがゲームの目的をどれほどよく理解しているかなどを推測する。こうしたシステムが広く導入されれば、教師は学生がどんな問題点を抱えているか即座に発見できるようになるだろう。これは最後の結果だけを見るよりはるかに教育上の効果が高いだろう。

将来。、システムは「立ち止まってテストする」という伝統的なやり方から完全に離れ、学習の過程における学生の反応をリアルタイムで処理して教師に成果情報を伝えられるようになるに違いない。

4. テクノロジーの現状を常に把握し、教育への応用を考える

印刷媒体を主とすた教育システムからデジタル・テクノロジーを主とした教育システムへの転換が進むにつれ、教師が利用できる情報やツールの種類は爆発的に増加した。多くのツール―そのほとんどはアプリの形で提供される―は綿密な調査や最新の教育学の成果を背景としている。しかし教育アプリのジャンクフードとでもいうべき質の悪いアプリも存在する。教師や両親にはそうしたツールの差を正しく見分けるための知識がこれまで以上に必要とされるようになるのだろう。

画像: Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

あなたのRaspberry Piプロジェクトアイデアを楽に試作試行できる汎用ハードウェアアドオンTingbot

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超人気のマイコンボードRaspberry Piの応用製品がこのところイギリスで相次いでいる。それはまるで、一枚のパイを多くの人が切り分けるように。子どものためのDIYコンピュータKanoに倣って、今度は、デザインとテクノロジのスタジオNordが、 Piを使ったハードウェアアドオンとシンプルなソフトウェアプラットホームで、Kickstarter上のクラウドファンディングキャンペーンを展開している。

そのTingbot(ティンボット)と呼ばれるデバイスは、Piのアプリケーションを実行する小さなコンピュータだ。そのキモは、タッチスクリーンといくつかのプログラマブルなボタンが最初からついているから、子どもやホビイストやプロトタイピング段階のデベロッパが、Pi用のディスプレイなど、ハードウェアのセットアップをまったく省略できるところにある。ハードウェアの準備で苦労することなく、アイデアの実装に取りかかれる。製品としてのTingbotはキットで提供されるが、とてもシンプルなので組み立ては簡単だ。

Tingbotは常時onなので、あなたのアプリケーションもスクリーン上でつねに動いている。NordのKickstarterページには、“コンピュータと正面から向き合うのではなく、“ちょい見”する感覚、有意義な情報をそれとなく提供できるのがTingbotだ”、とある。とても小さくて、気軽な印象を与える。

Kanoと違うのは、子どもだけが対象でないこと。むしろ、Piでこんなことをやってみたい、と日ごろ思っていても、ハードウェアの準備が面倒なので二の足を踏んでいたクリエイティブな人たちによる利用を、ねらっている。

Piは単なる汎用のマイコンボードだから、プラグ&プレイですぐに使える製品ではない。子どもたちがプログラミングを勉強するときも、このような裸のハードウェアからスタートすると、コンピュータへの理解がより深まると考えられる。

でもまた、この、裸のマイコンの難しさというPiの特徴の副産物として、そこからもうすこし使えるもの、使いやすいものを作ろうという、多様なPiアドオン産業が生まれた。たとえばその中には、Piによるゲーム専用機などもあった。さらにPiで動くラップトップも登場した。Tingbotのねらいは、そうやって個別にさまざまなPiアドオンを構想&実装するのではなくて、原則としてどんなアイデアでもそこで試してみられる“汎用Piアドン”だ。言い換えると、Piによるオリジナル開発が、もっと楽にできるためのデバイス。

チームがKickstarter上で提案しているTingbotの使い方の例は、ある特定の場所(例:赤ちゃんベッド)からのライブのビデオフィード、天気予報の通知、などだ。バス停に次のバスが来ることを、お知らせしてもよい。Tingbotの上で動くいろんなアプリケーションを、Pythonで書ける。そのための簡単な開発環境とライブラリも、最初から提供している。

今後は、ユーザが自他のアプリケーションをシェアしていくためのアプリケーションストアも作る予定だ。

Nordのクラウドファンディング目標額は4万ポンドだが、すでにその目標に近づいている。プロジェクトをスタートできたら、発売は2016年5月の予定。おそらく今のペースなら、目標額をクリアできるだろう。

Tingbotを一台予約購入する、という形での支援は、50ポンド(75ドル)だ。“これがあればPiでいろんなアイデアをより楽に実現し、試作できる”、と、同製品にポジティブな感想を持たれた方は、ぜひ応援を。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

実習主体で企業の即戦力エンジニアを育てる新種のプログラミング校Holberton School

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今はプログラミングスクールがとてもたくさんあり、それらの多くはだいたい2か月ほどかけて新人プログラマを育てる。でも、その‘卒業生’たちが、プログラマとして給料をもらえる本格的なエンジニアになるためには、12週間のブートキャンプ(boot camp, 特訓コース)でも不十分だし、ネット上にもまだ本格的な上級コースはない。

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しかしここでご紹介する”Holberton School of Engineering“は、まったく新しいやり方でソフトウェアエンジニアを育てようとしている。Holbertonはネット上のWebサービスなどではなく、サンフランシスコに実際に建物がある学校で、ファウンダの三人のエンジニアたちはそれぞれ、AppleとLinkedInとDockerにいた人たちだ。Holbertonの教程は、2年間の受講プラス、半年間のインターン経験だ。同校は今、いちばん最初の入学生を募集している

Holbertonの協同ファウンダJulien Barbier(Dockerで成長(growth)とコミュニティを担当)によると、同校は従来の大学のような教科中心ではなく、プロジェクトを軸とし、大学に代わる新しい形の高等教育を目指している。

Holbertonの教育の中心は実習(演習)だ。公的資格のある教師はいない。その代わりに学生は、学生同士で学び合ったり、ファウンダたちが集めた多数のメンターたちから教わる。学生たちは、互いに教え/学び合うけれど、プロジェクトは一人でやる。

“実際の職場での経験から、この教え方/学び方がベストだと気づいたんだ”、とBarbierは語る。彼によると、今までの大学は、優秀な成績で卒業しても就職すると再教育が必要だ。でも現職のエンジニアをメンターに起用すれば、デベロッパとしての実際的なスキルが身につく、と彼らは期待している。

“学校の先生になってしまうと、仕事の現場から離れてしまうからね”、とBarbierは述べる。“でも世界は激しく動いているから、その動きについていけない人は古生代の恐竜になってしまう”。

Holbertonでは、入学の方式も独特だ。入学志願者は、まず最初に小さな宿題をいくつかやって、オンラインで提出する(締め切りはない)。次に、実際にWebサイトを作る大きな宿題をこなす。以上が、‘入学試験’だ。

入学を認められた学生が最初に勉強するのは、LinuxのシステムアドミニストレーションとC言語によるプログラミングだ。基本的なDevOpsの実践も体験する。そして2か月後には、Linuxのシェルを自分で書く、という課題をやる。

Barbierが強調するのは、最初からスタートアップを育てるのではなくて、学生たちが、今後スタートアップのファウンダになれるようなシステム力を身に付けることだ。

学生が卒業したら、デジタルの卒業証書がブロックチェーンに保存される。

最初の入学生は、無料で受講できる。学校自身がまだ試行錯誤の段階だから、まあ学生の方も、ベータテストの参加者に近い面がある。本格的に走りだしたときの学費はまだ未定だが、学費を払えない学生にも前向きに対応していきたい、とBarbierは言っている。

今、Holbertonの入学志願者は約1000名いる。定員はまだ決めていないが、最初の‘入学試験’を終えた者の23%は女性だ。そして二度目の課題を提出した者は、その40%が女性だった。

出だしは小さくても、将来的には一学年に3〜4クラスぐらいの規模を目指す。また、サンフランシスコ以外の都市でも開校していく予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

これは驚き! ―新しいRaspberry Pi Zeroはなんと価格5ドルだ

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シングルボードコンピュータの価格競争ではなんといってもRaspberry Piファウンデーションがトップを走っている。そのRaspberry Piがファミリー向けマイクロプロセッサーのシリーズに有力な新製品を発表した。Pi Zeroは価格が5ドルだ。外国からの購入者にはプレミアムが上乗せされるのは間違いない。それにしても機能完備したコンピューターの価格が5ドルなのだから驚く。

ではこのPi Zeroのターゲットはどういう層だろう? ロボットやモジュール式のガジェットなどコンピューターを利用するさまざまな製品のメーカーはまず最初に行列に並んだ方がよい。しかし5ドルなら一般ユーザーが衝動買いしても大丈夫だ。実際、Pi Zeroはファウンデーションが発行しているMagPiという雑誌の表紙にオマケとして無料でついてくる。

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Raspberry PiでZeroの次に安いモデルはModel A+で、こちらは20ドルだ。Raspberry Piには最近ライバル(クローン?)が現れてOrange Piを15ドルで売っている。いずれにせよ低価格コンピューターはますますわれわれの手が届きやすい価格になっていく。

ではこの5ドルのPiで何ができるのか見てみよう。 ハードウェアだが、コアは1GHzのチップだ。実はオリジナルRaspberry Piに使われていたのと同じものだ。ただしクロックがわずかに速められ、それに応じて能力も若干アップしている。ボードにはこれに加えて512MBのRAM、micro-SDカード・スロット、mini-HDMI端子、micro-USBポートx2が装備される。〔詳細スペックは原文参照〕

このボードに載っていないものは、と眺めてみると、まずEthernetとWi-Fi接続機能だ。こういうパーツを用意するのは5ドルでは無理なのだろう。Wi-Fiが欲しければmicro-USBポートにドングル形式でパーツを接続することになる。

ボード自体のサイズは65mm x 30mm x 5mmときわめてコンパクトだ。接続パーツはボードの一方の側に手際よく並べられている。使い勝手もよさそうだが、コスト削減にも役立っているのだろう。なんといってもRaspberry Piはこの数年で500万台以上も製造されている。ただしPiファウンデーションは非営利団体だ。

ファウンデーションは子供向けのプログラミングの課外講習を行う組織、Code Clubと最近、合併した。「世界のあらゆるコミュニティー」にプログラミング教室を拡大するのが使命だという。今月初めにチームを取材したときにこの話を聞いたが、そのときはあまりにも野心的な目標ではないかと驚いた。しかし5ドルのコンピューターが発売されたのを見ると、この目標も実現性は高いのかもしれない。

私はこのときRaspberry Piファウンデーションの共同ファウンダー、Eben Uptonと話した。Pi Zeroが普及しそうかどうか尋ねると、Uptonは「Pi ZeroにはTV向け〔HDMI〕出力が装備されている。これは特に途上国で古いデジタルTVを手に入れてコンピューターを作ろうとするユーザーにたいへん便利だ」と述べて自信を見せた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

子どもが自作するDIYコンピュータKanoに専用ディスプレイが加わった…6歳児がハードウェアのセットアップを初体験するため

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子どもたちがコンピュータを自作しながらプログラミングを学ぶDIYキットKanoにこのほど、10.1インチのHDディスプレイが加わった。そのディスプレイは上図のように、これまでの、キーボード+Raspberry PiをベースとするDIYコンピュータキットと合わせてワンセット(スクリーンキット)になる。5月に同社はシリーズAで1500万ドルを調達したが、今回のスクリーンキットの開発にはその資金の一部が充てられた。ただし資金調達の本来の目的は、Kanoをクリエイティブコンピューティングのブランドとして確立することだ。

Kanoの最初のキットがそうであったように、このスクリーンキットも、ハードウェアのセットアップというDIY的プロセスを子どもたち自身に経験させるためのアクセサリだ。ハンダ付けのような本格的な工程を含まない、ディスプレイ組み立ててをコンピュータに接続するだけという簡単なプロセスだが、6歳ぐらいの子どものハードウェア操作初体験としては、この程度がふさわしい。

このスクリーンキットはHDMIでコンピュータ本体に接続するが、副読本の絵本にはその過程の説明とともに、付録の拡大鏡(虫眼鏡)を使って部品や画面上のピクセルを調べるやり方が載っている。スクリーンキットは、コンピュータに挿入するドライバボード、LCDディスプレイ、プログラマブルなボタン、ベース、ケーブル、…以上をセットにしたキットとして子どもたちの手に渡る。これらを組み立ててディスプレイとして使えようになるまでを、子どもたちは経験する。

Kano Screen kit

スクリーンキットの予約受付は9月に始まった。価格は129ドルだから、同じサイズのローエンドのAndroidタブレットよりはお買い得だ。しかもKanoでは、コンピュータとディスプレイのほかに、教材としての絵本や、おまけのステッカーなどがつく。

協同ファウンダのAlex Kleinによると、9月に始まった予約販売の売上台数は2600台あまりだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

子どもたちはますます、ネット上の情報に騙されやすくなっている…イギリスの調査報告書より

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イギリスでは初等教育の標準カリキュラムにプログラミング教育が含まれるなど、青少年に普遍的にデジタルスキルを身につけさせようとする政府の姿勢がこのところ目立つが、一方イギリスの通信業界を監督するお役所である情報通信庁(Office of Communications, Ofcom)の最新の調査は、それと並行して、情報過剰の現代においては、批判的な思考力をもった子どもたちを育てることが絶対的に必要だ、と示唆している。

現状では、オンラインで消費するメディアをあまりにも過信し騙されやすい若者たちが増加傾向にある、というのだ。Ofcomの調査によると、イギリスの子どもたちは、自分が見ているコンテンツが真実であるか、偏向していないかを、まったく気にしない場合がある。

2015年にイギリスの子どもと親たちを調査したその「メディアの利用と態度に関する調査報告書」は、オンライン情報に対する子どもたちの信頼や信用が上がっていることを示している。8〜15歳の層では10人に一人が、ソーシャルメディアのWebサイトやアプリで見る情報を“すべて真実”と信じているようだ。この10%という率は、昨年の調査から倍増している。

その原因の一つとして、近年ではますます、サイト本来のコンテンツとマーケティングや広告のためのコンテンツの境界が、曖昧になっていることが挙げられる。また企業は、Facebookなど広告に支えられている大手ソーシャルメディアが日々大量に生み出すユーザ生成情報を、広告などのマーケティングコンテンツをユーザの心に点滴するための、‘信用の支え’として利用している(例: だれだれさんがxxxと言ってる…)。

しかし、子どもたちに、彼らに供給されるデジタル情報に関してもっと批判的であれ、と教えるべき理由は、ほかにもある。必ずしも、政府がそれを重視しているから重要なのではない。たとえばソーシャルメディアマーケティングの技法を無料で教える、と称するオンラインのコースがある。デジタルビジネスは、そんなスキルのある人材を必要としている。しかしそんな教科の中に、メディアリテラシはないだろう。

ふつうのコンテンツのふりをしたマーケティングコンテンツが、ますます粗製濫造される。正しく教育すべき対象は、情報の受け手である子どもたちだけではない。

Ofcomの調査によると、12〜15歳層のなんと5人に一人(20%)が、GoogleやBingなどの検索エンジンが返す情報が絶対に真実だと信じている。しかし検索結果の中にある有料の広告を見分けられる者は、わずかに1/3だった。

Ofcomの調査結果は、YouTubeがイギリスの子どもたちをますます虜(とりこ)にしていることも、示している。YouTubeもまた、広告の巨人Googleの保有企業だ。子どもたちはYouTubeを、今世界で起こっていることを知るための“真実で正確な情報”として利用している。子どもたちの8%近くが、YouTubeをそんな情報を得るための場所、と見なしている。2014年の調査では、そんな子どもたちの率はわずかに3%だった。

しかしYouTubeが広告収入で成り立っていることを知っているのは、その12〜15歳層の半分にすぎない。また、ビデオブロガーが製品やサービスを推奨してお金をもらっていることを知っているのは、半分弱だ。

現代は、マーケティングと意図的な誤報(真実らしく見せるマーケティング情報)の黄金時代だ。

この調査は、イギリスの若者たちが、個人情報をオンラインで共有することに対し、ますます平気になりつつあることも、示している。そもそも、ユーザ情報を(ターゲット広告のために)広告主に売ることが重要な経営基盤であるソーシャルメディアが、そんな風潮を作り出してしまったのだ。

調査報告書は、自分の位置情報や、趣味、自分の写真やビデオなどを、友だちなど他人に見られたくないと思うティーンが昨年に比べて少ない、と述べている。

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ただし、これらの個人情報を誰となら共有するか、という問に対しては、「友だちだけ」という答が昨年より増えている。それはおそらく、最近の子どもたちはメッセージングアプリによる少人数の共有の機会が多く、反比例的に、オーディエンスが多くて親が見ているかもしれないソーシャルメディア上の共有が、減っているためかもしれない。

Ofcomの今年の「メディアの利用と態度に関する調査報告書」は、ここで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

学童向けと企業内学習向けの教育テクノロジ企業InstructureがIPO直後に8%上げる好調ぶり

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ユタ州の教育テクノロジ企業Instructureが金曜日(米国時間11/13)に、ニューヨーク証券取引所に上場した。16ドルでスタートした株価は、午後の早い時間に8%上がった。

Instructureはまだ利益が出ていないが、K-12用と企業内の学習用に教育ソフトウェアを提供している。Blackboardのコンペティタである同社は、そのプロダクトのユーザが世界25か国1000万人いるという。

CEO Josh Coatesによると、今は教育テクノロジに“大きなルネッサンス”が起きている。これまでは教育へのテクノロジの導入が、とても不十分だった、これからは違う、と彼は言う。

Instructureの学童向けCanvasソフトウェアは、Blackboard以外にも、Desire2LearnやMoodleなどと競合する。同社の社内教育サービスBridgeは、Cornerstone OnDemandやSaba Software、SumTotal Systemsなどと競合する。

2008年に創業されたInstructureはこれまで、OpenView Venture Partners、Epic Ventures、Bessemer Venture Partners、およびInsight Venture Partnersなどから計8000万ドルを調達している。IPO前の最大株主はOpenView(22.5%)とEpic(21.8%)だった。

ユタ州のテクノロジコミュニティそのものが、最近はルネッサンスを迎えている。ほかにも、PluralsightやQualtricsがもうすぐIPOしそうだ。

Coateは語る、“ユタのエコシステムは今ものすごく伸びているね。上場寸前のような元気な企業が5社以上はいるよ”。

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学生に個人指導教官を紹介するVarsity Tutorsが$50Mを調達、より多様な学習ニーズを満たすサービスへの脱皮を目指す

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学生と優れた個人指導教官(tutor)を結びつけるVarsity Tutorsが、Technology Crossover Ventures率いるシリーズBのラウンドで5000万ドルを調達した。これにAdam Levine(Maroon 5のリーダーでThe Voiceの審査員)とStuart Udell(教育企業Catapult Learningの常勤会長)らが参加した。

Varsity Tutorsはセントルイスに拠を置き、学生に優秀な個人指導教官を紹介する。指導はフィジカルな対面またはオンラインで行われる。これらの指導教官は、厳しい面接と専門科目の試験により選別され、知識だけでなく教育者としての力量もテストされる。

同社は、Varsity Learning Toolsというプロダクトも提供している。これは同プラットホームを利用している学生に無料で提供される学習教材で、予習や復習のための補助教材として利用できる。

Varsity Tutorsは、ファウンダのChuck Cohnが、学生時代の親友二人に指導教官としての優れた能力があることに気づいたことがきっかけで、始まった。彼は最初、サイドプロジェクトとしてこのビジネスを開始し、夜と週末にサイトを開いた。昼間は投資銀行で働き、その後、VC Ascension Health Venturesの常勤パートナーになった。

2011年にCohnはVCの仕事を辞め、Varsity Tutorsに専念するようになり、フィジカルだけでなくオンラインの学習プラットホームも作った。

Varsity Tutorsは学生の自宅や学校にやってくる指導教官を紹介するし、ライブのビデオチャットもある。またドキュメントの編集や、テキストメッセージ、ホワイトボード機能など、多様なツールを駆使する。

Cohnによると、最近はオフラインの指導セッションよりもオンライン利用が多くなりつつある。また、学生の約半分は高校生であり、残りの半分の半分はK-8の児童、あと半分が大学生や大人だ。すなわち、創業時のターゲットだった大学生(+大人)は全体の1/4。

今回の資金は、モバイル展開の充実に充てられる。モバイルでは、教官との同じライブビデオチャットを、どこからでもオンデマンドで受講できる。

Cohnは同社の将来像についてこう言う、“そろそろ、個人指導教官(tutor)という言葉を使わないようにしたい。もっと一般的な、“インストラクター”という言葉を使いたい。今ではユーザが勉強したいテーマがものすごく多様化していて、大学の教科だけではなくなっているからだ”。彼が挙げるのは、料理教室、Photoshopの使い方、Ruby on Railsの学習などの例だ。中でも圧倒的に需要が多いのが、コンピュータ関連のテーマだ。

Varsityは二度のラウンドで計5700万ドルを調達した。同社のWebサイトはここにある

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元GoogleのSebasitan ThrunのUdacity、急成長続く―シリーズDで1億ドルを調達、評価額は10億ドルに

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正統的なコンピュータ言語教育サイトとして有名なUdacityが、いわゆるユニコーンの仲間入りをする。この水曜に同社はシリーズDラウンドで1億500万ドルを調達したことを発表した。これにともなって、会社評価額はついに10億ドルの大台に乗った。これでユニコーン・クラブへの加入を果たしたわけだ。

シリーズDをリードしたのは国際的なメディアと教育のコングロマリット、Bertelsmannで、これにスコットランドのBaillie Gifford、Emerson Collective、 Google Venturesが参加した。同時に既存の投資家、Andreessen Horowitz、Charles River Ventures、Drive Capitalもこのラウンドに加わっている。

Bertelsmannの教育事業グループのCEO、Kay Krafftはこの投資にともなってUdacityの取締役に就任した。

Udacityの社長、COOのVish Makhijaniは声明の中で次のように述べた。「Udacityの使命はコンピュータ言語の教育を民主化し、全世界の何十億もの人々に手頃な料金で均等に習得のチャンスを与えることだ。コンピュータ言語の学習によりこれらの人々は適切な職を得ることができ、生活は大きく改善されるだろう。われわれは急成長を続けているが、目的の達成までの道のりは長い。今回の資金調達ラウンドで、Udacityの会社評価が10億ドルとなったことを光栄に思っている。われわれの歴史を振り返るとき、身の引き締まる思いだ。」

今回のラウンドは同社が世界的に規模を拡大しているさなかに行われた。この秋に入ってUdacityはサービスをインドに拡大している。

この資金調達のニュースは同社のnanodegreeプログラムのスタート1周年と重なった。Ucacityが認定するコンピュータ言語のnanodegreeは、現在シリコンバレーでも最大の企業であるGoogleやSalesforceで資格の一つとして認定されている。Udacityによれば、世界の168ヵ国で1万1000人がnanodegreeの取得を目指して各コースに登録しているという。

〔日本版:Udacityは元Google、元スタンフォード教授のSebastian Thrunが創立した企業。TechCrunch Japanでもたびたび紹介されている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの“VRを学校の教材に”運動が合衆国でさらに広域展開へ、近くシンガポールなどでも

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この前Googleは、Expeditions Pioneer Program(未来の探検を率先する挑戦)、という企画を発表した。それはGoogleのボール紙製VRビューワを使って、学校の児童生徒たちに仮想現実を体験してもらうための、キットだ。

9月に一部の学校で展開したこのプログラムが、今回は合衆国のもっと多くの学校で始まり、さらにその後はほかの国も予定されている。

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このキットを使って児童生徒たちは、南極や熱帯雨林など120箇所あまりを探検できる。これまで教室で使ったことのある児童生徒は、Googleの発表では10万を超えている。そしてこれからは、以下の都市の学校でも利用されることになる: Alexandria, Baltimore, Cincinnati, Detroit, Indianapolis, Las Vegas, New Orleans, Orlando, Phoenix, Portland, Salt Lake City, Washington DC。

次は、カナダとデンマークとシンガポールを予定している。パイロット事業はすでに、オーストラリアやイギリス、ブラジルなど合衆国以外でも行われている。

このVR体験学習キットには、ASUSのスマートフォンと教師用のタブレット、それにインターネットに接続するためのルータが含まれている(オフラインでの利用も可能)。VRビューワはGoogleのボール紙製(Google Cardboard)または玩具大手Mattel社のView-Masterが提供される。

自分のクラスでこのキットを使ってみたい先生は、ここで登録するとよい。

 
 

〔余計な訳注: たしかにこれまでの視聴覚教材より、ずっと良いかもしれない。ただし、コンテンツの出来ばえ次第。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

MITが香港にイノベーションセンターを開く、深圳に近くて潤沢な資金にも近い場所

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香港が、合衆国の高名な技術系大学MITの、アクセラレータ的イノベーションセンターになろうとしている。

Massachusetts Institute of Technology(すなわちMIT)が今日、このアジアの都市国家に来夏、初めての“イノベーションノード”を開設する、と発表した。MITによるとこのセンターは一種のスタートアップインキュベータであり、“才能をリソースに結びつけることによって学生たちに、アイデアをより速く市場化するやり方を学んでもらう”、のだそうだ。

それなら確かにインキュベータだが、でもこの場合は同時に、香港の大学との研究の機会や、イベントとコミュニティ活動のプラットホーム、およびインターン事業も提供する。また新しいハードウェアやテクノロジのプロトタイピングや試験のための、マーケットスペースをオープンする計画もある。同様の便益を今MITは、合衆国で構築しつつある。

今回とくに香港を選んだ理由を、学長のRafael ReifがWall Street Journalのインタビューで述べている。それによると、香港は金融のハブであり、またアジアの主要なイノベーションの中心都市に近いことが挙げられている。

“香港の大学は優秀であり、また香港はビジネスのプロフェッショナルも多い”、とReifは述べている。“さらに深圳には製造のインフラストラクチャがあり、少量生産にも対応できる”。

今やますます世界的な製造拠点と見なされるようになった深圳に近いことが、大きな理由のようだ。

MITのブログ記事は、こう述べている: “MITと香港の学生たちの物理的および仮想的なコラボレーションを促進し、アイデアの商業化を強力に推進することがねらいだ。たとえば医療機器やセンサ、ロボットなどはMITのキャンパスやこのノードでプロトタイプを作り、ボストンまたは香港地区でテストし、深圳で少量生産することができる”。

MITの海外センターは日本とチリとシンガポールにあるが、香港のそれは、合衆国の外では初めてのイノベーションのためのセンターだ。

香港にいるMITの卒業生グループがセンターにアドバイスし、事業のコーディネーションを手伝う。その中の数名は、このプロジェクトの初期の出資者でもある。

参考記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

JavaScript開発フレームワークMeteorが女子高生のプログラミング特訓に奨学金制度を立ち上げ

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JavaScriptの開発フレームワークMeteorが、プログラミング特訓学校Flatiron Schoolとパートナーして奨学金制度を立ち上げた。マイノリティなど恵まれていない層の女子高生に、コンピュータ科学を教えることが目的だ。並行して両社は、12週間のWeb開発/デザインコースに15名の生徒を無料で受講させる。その‘定価’1500ドルのコースでは、HTML5とCSS3、JavaScript、そしてUX/UIのデザインを学ぶ。コースの開始は2016年の2月、ニューヨークに住む13〜18歳の女の子が対象だ。

Meteorの協同ファウンダでCEOのGeoff Schmidtはこう語る: “今では世の中の動きや人間関係のかなりの部分に、ソフトウェアが深く関与している。だからこれからの世界では、どんな出自の人たちであれ、ソフトウェアを書く能力と、その使われ方を決めていく能力を持つべきだ”。

Flatiron Schoolがチャリティ的なコースを提供するのは、今回のMeteorの企画が初めてではない。今年の初めには、同校はWorkforce Development Corporationとパートナーして、大学を出ていないニューヨーク市民に22週の特設コースを無料で提供した。また、モデルのKarlie Klossとパートナーして若い女性にプログラミングを教えたこともある。

Flatiron Schoolのコースに対するMeteorの奨学制度に関心のある方は、ここで申し込める。締め切りは2016年1月20日だ。なお、2011年に創業されたMeteorは、これまで3120万ドルの資金を調達している。

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Raspberry Pi FoundationとイギリスのCode Clubが合併して世界中の子どもたちにプログラミング教育を展開

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さあ、‘Pi Club’様のご誕生だ。35ドルの世界的に大人気の超小型コンピュータボードRaspberry Pi日本語ページ)を作っている非営利団体Raspberry Pi Foundationと、イギリスで学校の放課後に子どもたちにプログラミングを教えているボランティアチャリティ団体Code Clubがこのたび合併し、後者が前者の傘下に入る形になる。

その目的は、両団体の中核的ミッションをさらに前進させるためだ。Piとしては、もっと多くの子どもたちにテクノロジの知識と能力をつけること。Piは2012年のローンチ以来、700万台も売れたが、その成功は主に、大人のメイカーたちがこの安いハードウェアでいろんなプロジェクトを作っていったところにある。

しかしPiの創始者(Eben Upton)のそもそもの動機が子どものテクノロジ教育にあり、Pi Foundationは今でも、学齢期の児童たちにこそ触ってもらいたいと願っている。

一方Code Clubの方は、2013年にローンチし、主に9〜11歳層の子どもたちにプログラミングによるものづくりの楽しさを教えようとしている。今イギリスでは44000名の子どもたちが放課後のクラブに参加していて、その約40%が女の子だ。

Code Clubのクラブはイギリスだけでも3150あり、ほかにブラジルやオーストラリア、ニュージーランドなどに1000あまりのクラブがある。

両団体とも、いくつかの慈善指向の出資者がついている。たとえばGoogleの場合は、次世代の労働者たちの多くがプログラミングのスキルを持っていれば、同社の事業もいよいよますます元気活発になれるだろう。

このほかCode Clubには、ARMやNesta、Samsung、それに英国内閣府もお金を出している。

Raspberry Pi FoundationのCEO Philip Colliganによれば、両団体は前にも一緒に仕事をしたことがあり、したがって今回の合体は‘当然の成り行き’だそうだ。

彼曰く、“両団体は活動分野がほぼ同じであり、目標も共通している。その達成を目指すやり方がすこし違うだけだ。しかし両者の能力の多くは、一緒にした方がより多くの人びとに到達できると思われる。両者が力を合わせれば、両方のスキルとリーチをを有効に組み合わせ、また投資を成長途上のCode Clubに振り向けることにより、世界中のすべてのコミュニティにクラブがある、という状態を作り出せるだろう”。

Code Clubの創始者の一人Clare Sutcliffe*はこう語る: “たしかにRaspberry Piにも世界中にすばらしいコミュニティがあり、その一部、たとえばこの国のRaspberry Piコミュニティは、すでにCode Clubのボランティアだ。したがってわれわれのねらいは、両者のコミュニティを刺激して世界中にCode Clubをスタートすることだ。そしてそれが、われわれの国際的な成長にも寄与するだろう。それも、ねらいの一つだ。Code Clubを世界のすべてのコミュニティに置くことが、われわれの計画だ”。〔*: もう一人の創始者。〕

“もはや、ぐずぐずしてるヒマはないね!”、とColliganは説く。

Pi FoundationとCode Club、どちらの団体にも、教師たちが子どもにコンピュータ科学やデジタルのメイカーへのなり方を教えられるようにするための、教師育成事業がある。イギリスではプログラミングが小中学校の必須科目になったが、しかし教師の数と能力が追いつかないのが最大の問題だ。(たとえば昨年イギリス政府は、教師にテクノロジ教育の能力を身につけさせるための補助事業…既存教育機関等への助成…に50万ポンドを支出した。)

“Piにも、教育者たちの強力なコミュニティがいくつかある”、とColliganは語る。“だから両団体の協働には理念だけではなく現実的な機会があり、これまでよりも、もっともっと多くの先生たちにリーチできる”。

もうひとつ両団体で共通しているのは、どちらも、プログラミングとデジタルのメイカースキルを勉強するための、無料のオンライン教材や学習サイトを、作ってきたことだ。

Colliganはこう述べる、“世界中の誰もが、自分の空き時間や学校の教程でわれわれの教材にアクセスし、それらを利用できる。両者が合体したことによってそれは、従来よりもずっとずっと強力なオンラインリソースになる”。

“Code Clubのやり方は、今のやり方で十分だが、イギリスでも世界でも対象人口を大きく広げたい”、と彼は話を締めくくった。

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