Googleが正社員契約社員の強制仲裁を全廃…セクハラに限定せず

Googleがやっと、社員に対する強制仲裁をやめることになった。この社則変更は、現在と将来のGoogle社員に対し、3月21日から発効する。

決着したクレームをGoogleが再び未決にすることはないが、しかし現在の社員は3月21日以降、過去のクレームを裁判に訴えることができる。

Google自身が契約している契約社員に関しては、その契約条項から強制仲裁が削除される。ただしGoogleで仕事をしている他社の契約社員は、その他社の契約条項に従う。ただしGoogleによれば、それら他社に対しても、通知により新方式採用の機会を与える。

これは、同社の仲裁慣行に声高に抗議していたGoogleの社員グループに対する、真正面からの対応だ。先月(米国時間2019/1)は、Googleの社員グループが、TwitterとInstagramに対して、強制仲裁(の悪)に関し一般大衆を教育せよ、と迫った。その前月にこの35名の社員グループはGoogleに対して、差別のいかなるケースにおいても強制仲裁を終わらせよ、と求めた。グループは、他社のテクノロジーワーカーにも、運動への参加を呼びかけた。

強制仲裁とその契約条項は、職場での係争が、密室で控訴の権利もなく行われることを許している。このような形の合意は実質的に、社員が会社を訴えることを不可能にしている。

11月にはGoogleで20000名の抗議集会が行われた結果、Googlは、セクハラと性的暴行に関するクレームでは強制仲裁を廃止し、その調査に透明性をもたらすことを約束した。Airbnb、eBayそしてFacebookが直ちにこれに続いた。これにより、この業界にある程度の進歩は実現したが、職場のすべての紛争における強制仲裁の全廃には、至らなかった。

しかしセクハラと暴行に関する強制仲裁を廃止してから以降Googleはこのほど、その後もこの問題の研究を続けた結果、強制仲裁の全廃を最終的に決定した、と述べた。

関連記事: Googleの契約社員たちが賃上げと福利厚生を要求

参考記事: Microsoftの場合

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、処方薬の廃棄場所を見つけやすくる取組みを開始

麻薬危機と戦う取組みの一環として、Googleは処方薬を安全に廃棄できる場所にラベル付けを始める。ユーザーは明確にラベルが付けられた薬品廃棄場所を直接検索できるようになる。”drug drop off near me”[近くの薬引取所]や”medication disposal”[薬品廃棄]などと指定すればよい。

対象となるのは、外科手術などで余った薬品が悪の手に渡らないよう安全に廃棄できる病院、薬局、政府施設などに設置された場所だ。Googleは発表文の中で、処方薬乱用事例の半分以上が、友人や家族を通じて手に入れた医薬品が元になっていると言っている。

GoogleはドラッグストアチェーンのWalgreensとCVSのほか米国麻薬取締局、米国保健福祉省らと協力して、このツールを麻薬蔓延の根絶に果たすテクノロジーの役割を検証する取り組みの一つとして推進していく。アイデアが生まれたきっかけは、米国でのアヘン剤乱用と依存症の流れを断ち切るための「データ主導による解決法」を開発するHHSハッカソンだった。この取組みには7つの州政府が連携して廃棄場所のデータ収集を行った。

今回の試みは、余った処方薬を薬棚に放置せず、年に2回の決められた日に捨てるよう人々に呼びかける以前Googleと麻薬取締局が協力した行っていたプロジェクトが発展したものだ。薬品廃棄の習慣を広めてやりやすくすることは、アヘン剤危機への取組みのにとってパズルの一片にすぎないが、 現在米国で最も深刻な公衆衛生危機の一つに対するIT業界の役割を明確にするという意味でこれは大きな一歩だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleのハイブリッドクラウドプラットフォームがベータ版へ

昨年7月に開催された、Cloud NextカンファレンスでGoogleはCloud Services Platform(CSP)を発表した。CSPはGoogle自身のクラウドサービスをマネージドサービスとしてエンタープライズデータセンターに持ち込むための、真の第一歩である。本日(米国時間2月20日)CSPはベータ版が公開された。

なおCSPは、少なくとも当面は、Googleのクラウドベースの開発者サービスの全てを、オンプレミスデータセンターに提供しようとしているわけではないという点に注意しておくことが大切だ。言い換えるなら、これはMicrosoftのAzure Stackのようなものとは、全く異なるプロジェクトだということだ。その代わり、焦点が当てられているのがGoogle Kubernetes Engine(GKE)である。GKEを使えば企業たちはそのアプリケーションを自身のデーターセンターや、実質的にコンテナをサポートするクラウドプラットフォームならどこででも実行することができる。Google CloudのエンジニアリングディレクターであるChen Goldbergが、私に言ったように、ここでの狙いは、企業の革新と近代化の支援なのである。「明らかに、誰もがクラウドコンピューティング、オンデマンドコンピューティング、そしてマネージドサービスにとても興奮していますが、お客さまたちは、その動きはそれほど簡単ではないことを認識なさっています」と彼女は述べ、大多数の企業がハイブリッドアプローチを採用していることに注意を促した。コンテナは明らかにまだとても新しいテクノロジだが、彼女はほとんどの企業がすでにコンテナとKubernetesを採用していることに好感触を得ている。しかも彼らのそうした取り組みは、クラウド(特にハイブリッドクラウド)への取り組みとほぼ同時なのである。

CSPがマネージドプラットフォームであることに注目して欲しい。アップグレードやセキュリティパッチのような負担の多い作業はすべて、Googleが負担してくれるのだ。そして最も人気のあるアプリケーションたちをインストールする、簡単な方法を必要としている企業のために、プラットフォームはGCP Marketplaceの、Kubernetesアプリケーションもサポートする。

技術そのものに関しては、これがKubernetesだけのためのものではないことをGoldbergは強調した。例えば、このサービスは、Istioも利用している。Istioは徐々に人気の高まっているサービスメッシュであり、企業がそのアプリケーション間のトラフィックとAPI呼び出しの流れを、簡単に保護したり制御したりできるようにするものだ。

本日のリリースで、Googleは新しいCSP構成管理ツールも開始した。このツールを使うことで、ユーザーはマルチクラスターポリシーを作成し、アクセス制御の設定と強制を行い、リソース利用量制限などを行うことができる。CSPはまた、GoogleのStackdriver Monitoringサービスや、継続的配信プラットフォームとも統合されている。

「オンプレミスは簡単ではありません」とGoldbergは語る。今回のものが、同社にとって自身のものではないデータセンターのソフトウェアをサポートする最初のケースだということを考えると、それはかなり控えめな表現だろう。しかし、Googleはまた、たとえばAzure Stackのように特定のハードウェア仕様にユーザーを縛り付けたくはないと判断したのだ。そうする代わりに、CSPはVMwareのvSphereサーバー仮想化プラットフォーム上に置かれている。いずれにせよこのプラットフォームは、既に多くの企業のデータセンターで利用されているものだ。これが非常によく理解されているプラットフォームであることを考えると、確実に物事は単純化されるだろう。

Google Cloud goes all-in on hybrid with its new Cloud Services Platform

画像クレジット: Adam Berry/Getty Images / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:sako)

データのクラウドへの引っ越しを助けるAloomaをGoogleが買収

Googleが今日(米国時間2/19)、企業のすべてのデータソースをGoogleのBigQueryやAmazonのRedshift、Snowflake、あるいはMicrosoftのAzureなどのクラウドサービスに向けて整えるサービスAloomaを買収する、と発表した。Aloomaの仕事は、企業のデータパイプラインをユーザーに代わって管理することだ。また、このデータ統合化サービスに加えてAloomaは、クラウドへの移行を助け、データを掃除して、それらをAIや機械学習で使えるようにする。

Googleのエンジニアリング担当VP Amit GaneshとGoogle Cloud Platformのプロダクト管理ディレクターDominic Preussは、次のように述べている: “Google Cloudでわれわれは、エンタープライズの顧客が容易かつ安全に彼らのデータを弊社のプラットホームへ移行できるよう、お手伝いをしている。もうすぐ買収を完了するAloomaが加わることによって顧客に、Google Cloudへの円滑で自動化されたマイグレーション体験を提供でき、弊社のデータベースサービス全域へのアクセスをご提供できる。それらには、完全な管理を伴うオープンソースのデータベースもあれば、Cloud SpannerやCloud Bigtableのようなソリューションもある”。

この買収の前までにAloomaは、約1500万ドルを調達している。内1120万ドルのシリーズAは、2016年の初めにLightspeed Venture PartnersとSequoia Capitalがリードした。今回の買収は価額等が公表されていないが、Aloomaのこれまでの調達額から考えると、ほどほどの額だろう。

GoogleもAloomaも、既存のプロダクトや顧客の扱いを明示していないし、Googleのコンペティターへの移行もサポートを続けるのか、それも明らかでない。

本誌TechCrunchの問い合わせに対してGoogleは、こんな返事をくれた:

規制当局から買収の承認が得られるまでは、AloomaとGoogle Cloud通常どおりの事業を行なう。しかし完了後にはチームはGoogleのテルアビブとサニーベールのオフィスに加わり、今後われわれは、Aloomaの技術とチームを利用してGoogle Cloudの顧客に最高のデータマイグレーションサービスを提供していく。

コンペティターのサポートに関しては、既存のAloomaのプロダクトは他のクラウドプロバイダーのサポートを継続する。今後受け入れる新しい顧客は、Google Cloud Platformへのデータ移行のみとするが、既存の顧客は他のクラウドプロバイダーへのアクセスを継続できる。

というわけでAloomaは今後、Google Cloudのコンペティターへのデータ移行を求める新規の顧客は受け入れない。Aloomaの既存のユーザーもGoogle Cloudが引き継いで面倒見る、と考えれば、この方針は意外ではない。しかしAloomaでAWSやAzureを使っていたユーザーは、Googleが今後その部分のお世話も引き継ぐとは考えられないので、ほかのソリューションを探すべきだろう。

しかしAloomaの協同ファウンダーたちはこう強調する: “旅路は終わっていない。Aloomaはつねに、あらゆるソースからのエンタープライズデータを標準化して、それをアクションに結びついたインテリジェンスに変えていくための、もっともシンプルでもっとも効率的なマイグレーションパスを提供してきた。Google Cloudに参加したことによって、彼らのクラウド技術が支える、完全なセルフサービスのデータベースマイグレーション体験の提供へ、われわれはさらに一歩近づいた。そこには、アナリティクスやセキュリティ、AI、機械学習などの機能やサービスも含まれている”。

関連記事: Alooma scores $11.2 million Series A to solve data science pain points…データサイエンスの難問を解決するAloooma(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「.dev」ドメインが登録できるようになった

本日(米国時間2/19)Googleは、「.dev」ドメインの登録が可能になったことを発表した。Googleは数年前にICANNがジェネリックトップレベルドメイン(gTDL)を開放したときに .devドメインを買い取っている。当時Googleは、.app、.page、.devなどのgTLDを確保した(なぜかGoogleば .soy も保有している)。

ただし今はまだ .dev ドメインは早期アクセスプログラムの最中だ。これは2月28日まで毎日減っていく追加費用を払わなくてはならないことを意味している。そしてその早期アクセス費用はかなり高額だ。

新しいドメインを数多くある再販業者の一つであるGoDaddyに登録する場合、今日なら1万2500ドルの追加費用を請求される。明日はその費用が3100ドルに減る。2月28日になると空いているドメイン名はどれでも年間わずか20ドルで登録できるようになる。もちろんこれは需要を調整するためだ(加えて、どうしてもあるドメイン名が欲しい会社から多少余分なお金を取れる)。

すでに新しいgTLDを使っている会社や団体は、Google自身のほか、GitHubWomen Who CodeJetBrainsCodecademySalesforceなど。そして今年は2019年なので、Kubernetes.devもある。

「.app」ドメインと同じく、「.dev」ドメインはHTTPS接続でユーザーをマルウェアやトラッキング・インジェクション、Wi-Fiスヌーピングなどから保護する必要がある。

「 .dev が、コミュニティーを作ったり最新技術を学んだり自分のプロジェクトを披露するための新しい場として理想的なドメイン名となることを願っている」とGoogleは今日の発表で説明した。

個人的には、「.com」や国別以外のドメイン名にそれほど需要があると感じたことはないが(果たして世界は .ninja ドメインを必要としているのか?)、前から .dev ドメインを欲しかった人は、今こそクレジットカードを取り出すときだ。

Google is launching .app domains, the first TLDs secured with built-in HTTPS

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アプリ開発でヘマしないための控えめな提案

設計と開発のための技術の分野は進化し続けているのだから、そうしたシステムをデザインするためのプロセスも進化すべきだ。

投資のためなのか、製品の開発を手助けするためなのかは別として、起業家や企業にとって、その製品の長期的な影響を考慮し、よりよく気を配った慎重なアプローチを熟慮することの必要性を伝えることは重要なことだ。

製品化のためのプロセスは、常に次の順序で実行する必要がある。まず戦略、次に設計、最後にエンジニアリングだ。これらのプロセスの柱に対して、「なぜ?」という態度で臨めば、より優れた製品、より高い消費者の関心が得られるはずだ。そして拡張し続けるインターネットに対しても、有益な貢献ができるかもしれない。

フェーズ1:製品戦略

この製品戦略の柱の中では、製品を開発できる人がいるからといって、必ずしもその人に開発を任せるべきとは限らない、ということを覚えておくことが重要だ。ある種の技術が利用できるからといって、それが使いやすさを向上させるとは限らない。目的が製品開発を推し進めるのはであって、技術自体ではけっしてない。

最近開催された第40回のInternational Conference of Data Protection(国際データ保護会議)で、その会議のホストであるGiovanni Buttarelliは、「法律に準拠していて、技術的に実現可能でありさえすれば、道徳的に持続可能だというわけではない」と述べた。言い換えれば、「それを開発すべきなのか?」という問いを、この段階では常に問い続けるということになる。このフェーズを真に理解するためのヒントは、「このフェーズを始める前と、終えた後で、自分の考えがどのように変わるのか?」と自問してみることだ。

考え方が発展すればするほど良い、ということになる。

フェーズ2:製品設計

もし設計者がフェーズ1と2の間を行ったり来たりするようなら、それは良い兆候だ。フェーズ1で消えてしまうアイデアは、それにどれだけの作業や時間が費やされていたとしても、成功と見なされるべきだというを覚えておこう。

そして製品設計のフェースに移行する際には、消費者は飽きている、本当に飽き飽きしている、ということを意識しておくのは非常に重要となる。

従来的技法のほとんどに、もはや消費者は共鳴しないと仮定すべきだ。それは技術の燃え尽き症候群が広まったような状態、App Fatigue(アプリ疲労)というべきものなのだ。この完璧な例は、通知や、思慮を欠いた警告に見られる。

通知によって使いやすさは増すだろうか? 通知があることによって、ユーザーはそのソフトウェア、アプリを使いたいと思うようになるだろうか? もしそのように問われたら、それには大声で「ノー」と答えることになる。戦略フェーズに戻り、顔を洗ってやり直すべきだろう。

ここで質問すべきことは非常にシンプルだ。「通知や、似たような小細工を使わずに、この製品を使い続けたいとユーザーに思わせるものは何なのか?」ということ。

顧客と共鳴できるようにするには、どのような体験を作り出せばよいのだろうか? もしユーザー体験が、全般的に個々のユーザーと共鳴するものであれば、彼らは通知機能などなくても、喜んで使い続けるだろう。これは自明で簡単なことに思えるかもしれないが、自明な答えというものは、概して答えるのが最も難しく、そのために無視されがちだ。

Uberがタクシーを呼ぶために、あるいはAirbnbが休暇の賃貸のために何をしたか、ちょっと立ち止まって考えてみよう。これらの企業は、消費者にとって本当に有意義で豊かな機会を提供する製品体験を可能にするための技術を利用している。彼らは、消費者をつなぎ留めておくために通知は必要としなかった。 消費者がその必要性に気付いていなかったサービスを提供しているのだ。それは、独創的な差別化されたアイデアだった。問題は、障害を乗り越える新たな飛躍が遂げられるか? ということなのだ。

開発者が戦略段階を経て、設計すべきコアな機能を理解したら、エンジニアリングのアーキテクチャとユーザーのデータについて、より安全で配慮の行き届いた体験を提供できるようにするため、新たなエンジニアリングの解法に集中べきときだ。

フェーズ3:エンジニアリング

現在、Facebook、Google、Amazonのいずれの会社でも、ほとんどのユーザーデータは集約されたサーバー内に格納されている。これはセキュリティとプライバシー上の懸念を生じさせている。

こうした数の限られた大手ハイテク企業のどれかに託すのではなく、もっと配慮の行き届いた方法でユーザーデータを扱うために、開発者はどうすれば良いだろうか? フォロワー、友達、その他の似たようなメカニズムを利用して製品上の人々を結び付けるようなアーキテクチャでは、データを暗号化して、集約型のサーバーではなく、ネットワークで接続された電話機内に保存すべきだろう。簡単に言えば、ユーザーデータのバトンを、大企業ではなく、あなたの友達に手渡すのだ。

まだ初期段階のものだとしても、このようなアーキテクチャは、将来の世代のアプリに焦点を合わせた全般的な製品体験と、うまく組み合わせることができるはずだ。それによって、企業ではなく、消費者に有利な分散型アーキテクチャを作り出すことができる。これも、配慮の行き届いた「ユーザー優先のアプローチ」の例の1つだ。これは、スタートアップにとって大きな飛躍となる得る。この場合は、ユーザーデータとセキュリティに関して、新しいアプローチについて考え、常に規範に挑戦し続ける好例となる。

それらをすべて統合して

以下のようなケーススタディを青写真として考えてみよう。ここでは、本質的にソーシャルなアプリケーションの開発を提案することを想像してみる(この例は現実的だ。というのも、多くの若い起業家は、依然として彼らの中核にソーシャルを位置付け、多くの企業はソーシャルが、重要な第一の差別化要因であると信じているから)。

この回答例は、「なぜそのようなソフトウェアを開発したいと思っているのか?」というもの。さらに、「それが、人々や社会に対して、ポジティブな、あるいは生産的な方法で役立つと感じているか?」と続く(別に彼らの注意を引こうとしているわけではない)。これらの的を絞った質問は、ソフトウェアの行く末の重要性と、それが社会に及ぼす大きな影響に焦点を合わせたものだ。

これ以降は、高レベルの戦略(何を開発しているのか、そしてそれはなぜ?)から、具体的な機能(設計フェーズ)に焦点をシフトしてみよう。通常は、友達やフォロワーという、つながりのモデルがある。それによって人の活動を見ることができるが、ある程度の煩わしい通知や、入力の要求、あるいはアップデートもある。

それから、こうした標準的な機能に代わる、配慮の行き届いたソリューションを提供することに焦点を合わせる。製品が提供しているものを明確にするために、友達リクエストの数を制限することを検討すべきだろうか? あるいは、開発がもう少し先に進んでいる場合には、広告は見たくないという潜在的な顧客のために、有料コンテンツを設定することも考えてみるべきか? または、一定のアルゴリズムによってコンテンツを並び替える代わりに、ポストされたらすぐにコンテンツを表示するのか、あるいは消費者にオプションを提供するのか、といったことも考慮すべきだろうか?

いくつかの企業は、こうした類の選択肢を模索し始めている。Appleが、最近のiOSのリリースで、マップ共有のために採用した方法を考えてみよう。Googleも、それに追従している。

ソフトウェア設計および開発の世界では、現在も将来も、少ないほど効果が多い、と言われる。そして、配慮の行き届いた思慮深い決定が、次世代のアプリと、より大きなソフトウェアのエコシステムの基盤を強化することにつながる。

混雑した市場で価値を提供するのは、非常に困難だが、やりがいのあることだ。配慮の行き届いたアプローチを製品設計に取り入れることによって、合理化されたアーキテクチャーが可能になる。それによって、時間を節約し、人々が本当に使いたいと思う製品を開発するための枠組みを提供することができるのだ。

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleは今年全米でデータセンターとオフィスに130億ドルを投資

Googleが今日、2019年に同社はアメリカ国内でデータセンターとオフィスに130億ドルを投資する、と発表した。それは昨年の90億ドルに比べて、増加している。これらの投資の多くは、ネブラスカ、ネバダ、オハイオ、テキサス、オクラホマ、サウスカロライナ、バージニアなどの州におけるデータセンターの新設や拡張に充てられる。また、過去の多くの年にそうであったように、既存のオフィスの拡張にも投じられ、今年はシカゴ、ニューヨーク、および同社のホームであるカリフォルニア州がその対象になる。

Googleは目下クラウドの顧客の獲得に積極的に動いているから、そんな同社が全米にわたってデータセンターの拡張を継続しようとしていることが、とくに興味深い。たとえば、ネバダとネブラスカとオハイオとテキサスでは近く同社の初めてのデータセンターをオープンするし、オクラホマとサウスカロライナとバージニアでは既存のデータセンターを拡張する。Googleは明らかに、AWSやAzureと競争するレースでペースを落とす気はない。

GoogleのCEO Sundar Pichaiはこう書いている: “これらの新しい投資で数万人の社員を雇用する容量が得られ、ネブラスカ、ネバダ、オハイオ、テキサス、オクラホマ、サウスカロライナ、およびバージニアでは1万以上の建設関連雇用が作られる。この新しい投資によりGoogleは24の州にホームがあることになり、そのうち13のコミュニティにはデータセンターが置かれる。2019年は、昨年に続き、ベイエリア以外の地域における成長の方が大きい年の、2年目になる”。

最近はテクノロジー企業やオートメーション全般に対する風当たりが強いから、Googleがこうして雇用の創出を強調するのも当然だろう…しかもとくに中部アメリカの。しかし建設労働は一時的だし、データセンターは動き出したら人はあまり要らない。しかしそれでもGoogleは、これによって“数万人の社員を雇用する容量”が得られる、と約束するのだ。

関連記事: GoogleとIBMは、いまでもクラウド市場シェアを広げようと必死だ

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleとIBMは、いまでもクラウド市場シェアを広げようと必死だ

クラウド市場の場合には、知られている名前は多くない。たとえば、AWSは約32%の市場シェアを持つマーケットリーダーである。Microsoftは、はるかに少なく、そのシェアは14%であるが、AWSを除いて唯一の2桁シェアを持っている企業だ。また、IBMとGoogleが、3位と4位に留まっていることも知られている。どちらを見ようとも1桁台のシェアだ。市場は拡大し続けていいるものの、これら2つの大企業のシェアが広がる様子は見えない。

もちろん、どちらの会社もそのことに満足はしていない。そのことを強く憂えたGoogleは、これまでの責任者だったDiane Greeneに代えて、OracleのベテランであるThomas Kurianを採用し、部門の停滞状態を脱しようとしている。一方IBMは、10月にRed Hatを340億ドルで買収したことで 、さらに大きな話題を提供した。

今週、両社はさらに動きを見せ、彼らがクラウド市場を誰にも明け渡すつもりがないことを、市場に知らしめた。例えばIBMは、今週サンフランシスコで大きなIBM Thinkカンファレンスを開催しているが、この中にはWatsonを競合他社のクラウドに開放することも含んでいる。IBMのような会社にとって、これは大きな動きだった。ちょうどMicrosoftがiOS用のアプリケーションを開発し始めたときと同じだ。プラットフォームをまたがって展開することが大切なことは周知の事実だ。もし市場シェアを得たいなら、自分の枠を超えて考え始めた方が良いだろう。

クロスプラットフォーム互換になること自体は、一般的には特に急進的と呼ぶことはできないが、IBMのような会社の場合には確かに急進的ということができる。もし同社が選べる立場で、もう少し高い市場シェアを持っていたならば、おそらく現状を維持するだけで満足していたことだろう。しかし、大多数の顧客がマルチクラウド戦略を追求しているのならば、バンドワゴンに飛び乗るのは良い考えかも知れない。そしてそれはまさに、IBMがWatsonへのアクセスをクラウドをまたがって開放することによって行ったことだ。

明らかにRed Hatの買収はハイブリッドクラウドへの転換だった、そしてIBMがそのアプローチに真剣であるなら(340億ドルもつぎ込んだのだからそうであるとは思うが)、立派なことを言うだけではなく、実践が伴わなければならない。IBM WatsonのCTO兼チーフアーキテクトのRuchir Puriが、この動きについて私の同僚のFrederic Lardinoisに語ったところでは、「これらはハイブリッド環境の中にあります。顧客は複数クラウド実装を採用していますし、プライベートクラウドの中にもデータを保持しています。しかしAIのプロバイダたちは、顧客をこのハイブリッドクラウド環境に適さない特定の実装にロックインさせようとしてきました」ということだった。これはRed Hatを使った戦略にうまく当てはまる。そして今年はIBMからの様々な製品ラインで似たようなアプローチを目にすることになると思う(Googleも昨年、独自のハイブリッド戦略を発表した際にこれを認めている)。

その一方で、本日サンフランシスコで開催されたGoldman Sachs Technology and Internet Conferenceで、Thomas KurianがGoogleとしてのお披露目パーティを開催した。Bloombergによれば 、彼は元の雇用主であるOracleのやり方を踏襲し、営業担当者の数を増やし、特定の分野の知識を習得するためのトレーニングを施すと発表したということだ。

彼の発言は、Googleが従来の企業顧客に積極的にアプローチすることを示唆しているが、私は彼の前任者であるDiane Greeneが、売上を増やすために、単にインバウンドマーケティングだけに頼っていたとも思っていない。実際、彼女は会社の意志よりもはるかに積極的に、政府相手の契約を追求していたという噂がある。ともあれ、いまや売上を伸ばすのはKurianの役割だ。もちろん、Googleがクラウド収益を公表していないことを考えると、どのような成長が見込まれるのかを知ることは困難だが、おそらくそれがより成功した場合には、より積極的に開示するようになるだろう。

BloombergのShira Ovideが本日ツイートしているように、実証済の真の企業戦略に目を向けることは1つの方法だが、そのアプローチの実践がシンプルで、Googleが最終的にそのやりかたで成功できるということは意味していない。

これら2つの会社は、これまでのところあまり景気の良くなかったそれぞれのクラウドの命運を、変えたいと必死であることは明らかである。本日発表された動きは、明らかに市場シェアを伸ばすためのより広範な戦略の一部だが、それが可能になるかどうか、そして固まってしまった市場ポジションを変えることができるかは、まだわからない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

コーディング不要でスプレッドシートから簡単にモバイルアプリを作れるGlide

Y Combinatorの2019冬季クラスを受けているGlideのファウンダーたちは、一般企業がモバイルアプリを作ることの難しさを痛感している。そこで彼らは、そのプロセスをスプレッドシートから始めて、そのコンテンツを自動的に、すっきりしたモバイルアプリに変える方法を考えた。

GlideのCEOで協同ファウンダーのDavid Siegelは、他の協同ファウンダーJason Smith、Mark Probst、Antonio Garcia Apreaらと共にXamarinにいた。そこは、Microsoftが2016年に5億ドルで買収したクロスプラットホームなモバイル開発企業だ。彼らはそこで、一般企業がモバイルアプリを作るときに直面するさまざまな困難をとても具体的に見てきた。Microsoftに2年いた4人のファウンダーは、その問題を解決するスタートアップを作ろうと決心した。

Siegelはこう語る: “今では世界最大の企業でさえ、モバイル戦略を持とうと必死だ。そしてしかも、彼らにとっては、モバイルアプリの開発がきわめて困難で高価についている。スマートフォンがデビューして10年になるが、未だに何一つ進歩していない”。

彼らはまず、‘コードを書かなくてもよい’と称するノーコードツールを100種類近くも調べあげた。どれにも、満足できなかった。そこで次に彼らは、古臭いスプレッドシートに目をつけた。それは、今でも多くの人たちが情報の追跡に使っているビジネスツールだ。スプレッドシートをモバイルアプリビルダーのベースにすることを決めた彼らは、まずGoogle Sheetsから始めた。

Siegelは曰く、“スプレッドシートはこれまででもっとも成功したプログラミングモデルだと言われているし、そしてスマートフォンはこれまででもっとも成功したコンピューターだ。だからGlideを始めるにあたって考えたのは、これらの二つの力を組み合わせることができたら、何かとても価値あるものを作れるのではないか、ということだった。それによって個人も企業も、毎日Xamarinの顧客たちが作ってるようなアプリを、もっと早く作れるのではないか”。

そこで彼らは、Glideを開発した。ユーザーが情報をGoogle Sheetのスプレッドシートに加えると、Glideがそのコンテンツからすぐにアプリを作る。コーディングは要らない。“洗練されたデータドリブンのアプリを容易に組み立てられて、ユーザーはそれをカスタマイズでき、徐々に進歩していくWebアプリとしてシェアできる。それは、アプリをダウンロードしなくてもブラウザーにロードできるし、Glideのアプリをネイティブアプリとしてアプリストアにパブリッシュできる”、とSiegelは説明する。しかも、アプリとスプレッドシートの間には双方向の接続があるので、情報をどちらかに加えると他方もアップデートされる。

ファウンダーたちは、元XamarinのCEOで現在はGitHubのCEO Nat Friedmanと相談して、Y Combinatorの受講を決めた。彼やそのほかのアドバイザーたちは、会社を初めて作るファウンダーが指導を受ける場所としてはYCがベスト、と推薦した。YCの広大なネットワークも利用できる。

そこでSiegelらが学んだ最大のことは、顧客たちの間に入り込んで彼らの仕事の現場から学ぶことだ。ツールを作ることにのめり込んでしまってはいけない。それは、スタートアップにとって罠になる。そこでGlideも、自分たちのツールを使ってYCの同級企業たちのためのモバイルアプリをいくつも作った。

Glideは今日(米国時間2/12)すでの操業しており、人びとは自分のスプレッドシートのデータを使ってアプリを作れる。テンプレートも豊富に用意されているので、そこからスタートしてもよい。試用のための無料アカウントも作れる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米国成人の16%がスマートウォッチを持っている

NPDの最新記事によると、ここ米国ではスマートウォッチが好調な売れ行きを続けている。このカテゴリーは全体的に下降気味のウェアラブル分野の中で唯一明るい材料であり、今回発表されたデータはさまざまな層で広く受け入れられていることを示している。12月時点の米国成人のスマートウォッチ所有率は16%で、一年前の12%から伸びている。

成長を支えているのはやはり若年層で、18~34歳のスマートウォッチ保有率は23%に上る。もちろんAppleを始めとする各メーカーは高齢世代での売上増を狙っていて、昨年登場した心電計などの本格的医療健康機能に期待を寄せている。

市場をリードしているのは依然としてApple、Samsung、Fitbitの3社で、昨年11月時点で全売上50億ドルのうち88%を占めた。しかし、Fossil、Garminらもある程度の市場シェアを獲得している。もちろんGoogleもこの分野での躍進を目指してFossil IPを最近買収した。Wear OSの伸びはほぼ横ばいだが、2019年に噂のPixel Watchが登場すればそれも変わるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投資利益率最高のモバイル広告はやっぱりFacebookとGoogle

マーケティングを専門とするスタートアップ、Singularのレポートによれば、ROI(投資利益率) がもっとも高いモバイル広告システムはFacebookとGoogleだという。つまりこの2つの広告サービスが広告主にとっていちばん価値が高い。

Singularは年間で100億ドル相当の広告支出を最適化しているが、そこから15億ドルの広告支出をサンプリングしてROIインデックスを求めたという。同社は広告詐欺にも留意しており、「詐欺広告を過度に含む」として15社の広告サービスをランキングから除外した。

というわけで、FacebookつづいてGoogleが1位、2位だった。レポートは「適切なマーケティング努力を払っている企業は3つ以上の広告サービスを利用しているが、ほとんどの企業が広告パートナーとしてGoogleとFacebookを含めている。 その理由は簡単だ。この2社は結果を出すからだ」と述べている。

Singular ROI Index 2019 — iOS-Android

同時にSingularは「Snapがほぼすべての項目でランキングをアップしている。今やiOSとAndroidの双方でゲームを除くモバイル広告ネットワークの第3位となっている」と述べた。またTwitterも健闘しており、ユーザーの維持、復帰促進のためのリテンション広告ではiOSの2位にランクされている。

iOSとAndroidを比較すると、Androidのほうがリストの変動が大きい。。Androidの場合、ROIリストの広告ネットワークの3分の1が初登場であり、既存の10ネットワークのうち8社もランキングが変化した。これに対してiOSの場合、73%が順位を変えているが、そのうち初登場は2社だけだった。

レポート全文はこちらからダウンロードできる

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

GoogleドキュメントのAPIでタスクの自動化が可能に

今日、Googleは、Googleドキュメントの新しいAPIが一般向けに開放されたことを発表した。これにより、これまでこのオンラインのオフィススイート上で、通常はユーザーが手動で行っていた多くのタスクを、デベロッパーの手で自動化できるようになる。このAPIは、昨年4月のGoogle Cloud Next 2018以降、デベロッパー向けプレビュー版となっていたが、今後はすべてのデベロッパーが利用できるようになる。

Googleによれば、デベロッパーはREST APIを利用して、ユーザー向けのワークフロー自動化のサービスを設計し、コンテンツ管理サービスを構築して、ドキュメントを大量に作成できる。後からアップデートする必要が生じた際には、デベロッパーはそのAPIを使用して、ドキュメントを修正するプロセスを設定することも可能となる。また同APIには、テキストの挿入、削除、移動結合フォーマット、画像の挿入、リストの操作など、さまざまな機能が備わっている 。

標準的なユースケースとしては、請求書の発行が考えられる。注文番号や項目の内容は、サードパーティのシステムや、他のGoogleスプレッドシートから情報を取り込んで、毎回変化するものの、常に似たようなドキュメントを作成する必要があるような場合だ。またGoogleは、APIが備えるインポート/エクスポート機能により、Googleドキュメントを社内のコンテンツ管理システムとしても使用可能だと述べている。

プレビュー期間中に、この新しいAPIを利用してソリューションを構築した企業には、Zapier、Netflix、Mailchimp、Final Draftなどがある。たとえばZapierは、GoogleドキュメントのAPIを自社のワークフロー自動化ツールに統合し、ユーザーがテンプレートを利用してオファーレターを作成できるようにした。一方Netflixは、エンジニアがデータを収集したり、ドキュメント作成のワークフローを自動化するのを補助する社内用のツールを構築した。

画像クレジット:FABRICE COFFRINI/AFP/Getty Image

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

WaymoのCTOが語る、会社の過去、現在、そして次に来るもの

10年前、10人あまりのエンジニアたちが、Charleston RoadにあるGoogleのマウンテンビューメインキャンパスに、Project Chauffeur(お抱え運転手プロジェクト)のために集められた。これはGoogleの未踏最先端研究”X”の中に生まれた秘密の取り組みだった。

Project Chauffeur ―― 一般には「Google自動運転車プロジェクト」として知られている ―― は、こうして2009年1月に始まった。プロジェクトはやがてその試験的状態を卒業し、2016年にはWaymoと呼ばれる会社として独立した。

このプロジェクトを当初率いていたのはSebastian Thrunである。彼が現在も開発が続く、全てのエコシステムの立ち上げに尽力したのだ。ベンチャーキャピタリストたちが注目し殺到した。自動車アナリストたちは態度を変え、規制当局、都市計画者、そして政策立案者たちはデータを収集し、自動運転車が都市に及ぼす影響について考慮し始めた。

このプロジェクトはまた、自分自身の会社を作りたいエンジニアたちの、跳躍台でもあり続けた。たとえばそうしたエンジニアとして、Auroraの共同創設者Chris Urmson、Argo AIの共同創業者Bryan Salesky、Otto(や最近はPronto.ai)の起業を手がけたAnthony Levandowskiたちの名前が挙げられる。

だが設立当初から参加していたエンジニアたちの多くが、まだWaymoに残っていることは、あまり知られていないかもしれない。それはAndrew Chatham、Dmitri Dolgov、Dirk Haehnel、Nathaniel Fairfield、そしてMike Montemerloといった人びとだ。「初期」の定義の仕方によっては、Hy Murveit、Phil Nemec、そしてDan Egnorなどの、8〜9年間そこにいる人たちも含まれることになる。

今回、WaymoのCTO兼エンジニアリング担当副社長のDolgovに対して、TechCrunchはインタビューを行った。話題はその黎明期について、10周年を迎えるにあたって、そして将来についてである。

以下は、明瞭さのために短く編集された、Dolgovとのインタビューの抜粋である。

TechCrunch(TC):どのようにプロジェクトを始めたのかをお聞きしましょう。Googleの自動運転プロジェクトの最初の日々について教えていただけますか。

DOLGOV私がこの分野に引きつけられた理由を考えてみると、それはいつでも3つの主要なものに行き着きます。テクノロジーのもたらす影響、テクノロジーそのもの、そして取り組む対象の困難さです(一緒に働く人たちはもちろん大切ですが)。その時点では、きわめて重大な安全性への影響があることは明らかでしたが、その先に、効率性を改善し、人や物の輸送から面倒を取り除く可能性が見越されていました。

決して尽きることのない、こうした高揚感があるのです。自動運転車の仕事を、最初にしたときの事をおぼえています。それは私が書いたソフトウェアを使って、自動車自身が走行した最初の経験でした。これは本当に初期のできごとでした。これは2007年のことです。この体験は私を完全に圧倒しました(Dolgovは、Googleプロジェクトが開始される以前の2007年11月に、DARPA Urban Challengeに参加していた)。

TC:(Googleの共同創業者)ラリー・ペイジが思い付いた、この10本の100マイルチャレンジはどのようなものでしたか?それについて少し説明していただけますか?

DOLGOV:これはおそらく、私たちがこのプロジェクトを2009年にGoogleで始めた際の主要なマイルストーンでした。そしてチャレンジは、それぞれが100マイルの距離がある10本のルートを走行することでした。もちろん、始めから終わりまで、人間は全く介入することなしに、走行させなければなりません。

これらは、非常に明瞭かつ明確に定義された、精密なルートでした。最初に自動運転モードに切り替えた後は、全100マイルを自力で走行しなければなりませんでした。

それぞれのルートは、タスクの完全な複雑さを収集できるように意図的に選択されました。当時私たちにとっては、とにかく問題の複雑さを理解することが先決でした。すべてのルートはベイエリアにありました。私たちはパロアルト周辺の都市環境で運転を行いました、高速道路上で多くの時間を費やし、ベイエリアのすべての橋を訪れました。マウンテンビューからサンフランシスコに行くルートがありましたが、そこにはロンバードストリートを通ることも含まれていました。また私たちは、レイクタホの周りを回るコースも持っていました。

私たちは環境の複雑さを可能な限りカバーしようとしました。そしてそのタスクが本当に素晴らしかった点は、そのことで私たちがこの問題の複雑さの中心を、本当にすばやく把握することができたということなのです。

TC:これらのチャレンジを完了するのにどれくらい時間がかかったのですか?

DOLGOV:それらを終えるのは、2010年の秋までかかりました。

TC:プロジェクトが2010年までに、これらのチャレンジを完了することができたと考えると、凄いことですが、それでもこのタスクにはまだ多くのやるべきことが残されているように思えます。

DOLGOV:その通りです。しかし、私はそれが問題の本質だと思います。 何かを1〜2回、あるいはほんの数回実行できるプロトタイプを作ることと、一般の人たちが日常的に使うことのできる製品を作ることの間には、とても大きな違いがあります。そして、特にこの分野では、私たちが始めたときには、このような一度きりの挑戦で成果を出すことはとても簡単だったのです。

しかし、本当に難しいのは、それを製品にするためにシステムから引き出す必要のある、信じられないレベルの性能なのです。それこそが一番難しいことです。そして二番目に難しいことは、その先に遭遇することになる、果てることなく湧いてくる、滅多に起きない問題の種類の複雑さなのです。おそらく99%の状況ではそうした問題に出会うことはないでしょう。しかしそれでも出会うかもしれない1%もしくは1.1%の状況のために、準備をしておかなければならないのです。

TC:そうした初期の日々を振り返ったときに、あるいはもっと最近のことでも良いのですが ―― 乗り越えられそうもない、あるいはテクノロジーがまだそのレベルに達していないように思われた、ソフトウェアあるいはハードウェアの問題に遭遇した瞬間はあったでしょうか?

DOLGOV:初期の頃には、私たちはあらゆる種類の問題に直面していました。このプロジェクトの歴史の初期段階には、どうやってそこに到達すればよいかを本当にはわからないまま、問題を解決しようとしていただけだったのです。

問題に取り組み始めて、それに向かった進歩が行われます。この数年が、私にとってどのように感じたものかを振り返るならば、ここに一つ問題があったとか、少数のいくつか本当に難しい問題があったとか、一つの壁にぶつかっていたといった表現では全く足りない状況だったと思います。

そうではなく、何百もの本当に難しい問題に遭遇していたのです。とはいえ、そうした問題のいずれもが、レンガの壁のような難攻不落なものではありませんでした。ご存知のように、チームは素晴らしく、テクノロジーは本当に強力で、その問題の解決を進めることができたからです。

しかし、常にこれらの本当に複雑な数百の問題を、同時に扱い続けなければなりませんでした。どれか一つの問題の解決により深く踏み込むと、それがどれだけ難しいかをさらに思い知るといった具合だったのです。

これはとても面白い組み合わせでした。一方では、問題はより困難になり、それについての学びも多くなりました。しかし、その一方では、テクノロジーが急速に進歩し、当初予想されていたよりも速くブレークスルーが起きていたのです。

TC:このプロジェクトが(公式発表とは別に)変化したことに気付いたのはいつでしょう?それが単に問題を解くだけにはとどまらず、ビジネスになり得ると思ったのはいつなのでしょうか?

DOLGOV:私の考えでは、それは私たちの思考が進化し、この技術による、よりはっきりと定義つけられたプロダクトと商用アプリケーションに、より多くの投資が行われたときでしょうね。

私たちが始めた、本当に最初の段階では、問題は「そもそもこれは実現可能なのか?このテクノロジーはうまく働くのか?」でした。とはいえ、このテクノロジーが成功したら、その影響は果てしないものになるという認識は、皆にとって明らかだったと思います。

どのような商用アプリケーションやどのような製品が、その影響をもたらすのかは明らかではありませんでした。しかし、このテクノロジーが世界を変えるだろう方法はたくさんあったので、その点についてあまり心配し続けることはあまりありませんでした。

このテクノロジーを眺めたときに、私たちが開発しているのはドライバーなのです:ソフトウェアとハードウェアの双方ですが ―― 車の中で実行されているソフトウェアとクラウドの中で実行されているソフトウェアがあります。私達はテクノロジースタック全体を、ドライバーとして見なしています。

米国には、人間によって運転されているのべ3兆マイル(4.8兆キロ)もの道があります。ある場合には、彼らは自分自身で運転(drive)し、ある場合には他の人を使役し(drive)、またある場合には貨物を動かして(drive)います。もし「ドライバー」(driver)であるテクノロジーを手に入れたなら、それをすべての場合に展開することが可能です。しかし、それらにはそれぞれ長所と短所があります。

時間が経つにつれて「最も魅力的なものは何だろう?」そして、「どのような順序で取り組むべきなのだろう?」という私たちの考えが成熟して行きました。

それこそが、これまでの作業の結果私たちが現在行っているものなのです。配車サービス(UberやLyftのようなもの)は、私たちが追求している最初の商用アプリケーションです。それ以外にも、長距離輸送、長距離配送に取り組んでいます。いつかこの技術を、個人所有の車、地域の配達業務、公共交通機関などなどに展開することに興味を持っています。

TC:どのようなアプリケーションに一番興味を持っていますか?世の中で見過ごされているなあとあなたが思っているものや、個人的にもっとも興味をお持ちのものは何でしょう?

DOLGOV:このテクノロジーと(そのテクノロジーを利用した)ドライバーが世界中に、そしてさまざまな商用アプリケーションに展開されているのを見ることに、とても興味を持っています。しかし、私が最も興味を持っているものは、私たちの最優先の目標として追求が行われている配車サービスです。

私はそれが最も短期間に、最も多くの人たちに、良い影響を与えることだと思っています。

私はまた私たちの車を使って日々走り回っています。今日仕事場に来るのにも使っています。マウンテンビューとパロアルト周囲で様々な用足しを行うために使っています。これらの車の体験を重ねられることは素晴らしいことです、そしてそうすることによって、本当に多くの移動の面倒が取り除かれています。

TC:なるほど、現在毎日通勤に自動運転車をお使いなのですね?

DOLGOV:はい。まあカリフォルニアではまだ中に人が乗っていますけれど。

TC:どのくらいそれを続けていらっしゃるのですか?

DOLGOVかなりの間です。実際、永遠に続けているような気がします。

私はいつでも車の中で時間を過ごして来ました。自分が開発している製品を体験し、テクノロジーに直接触れることはとても大切だと思っています。これは、プロジェクトの初期の頃に、私たちが少人数ですべてのことをこなしていたときにも同様でした。

チームが成長しても、少なくとも毎週一度は、私自身もテクノロジーを体験しテスト走行をするようにしています。

私たちが配車アプリケーションの追求を始め、そのためのアプリケーションを開発し、それをユーザー向け製品にするためのインフラストラクチャを構築したときには、私は初期のテスターの1人でした。

それはもう3年ほど前になります。

TC:かつて現在のようなポジションにいることになるとお考えでしたか?10年前に、この先10年でこうなるとは予想されていたでしょうか?あるいは、それは想像よりも早く、あるいは遅く起きたのでしょうか?

DOLGOV:私にとっては、2009年の時点ではハードウェア、ソフトウェア、そしてAIと機械学習によるいくつかのブレークスルーは予想していませんでした。今日の技術は、おそらく2009年の時点で予想していたものよりも、はるかに強力なものであると言うことができると思います。

しかしその一方で、実際の製品を実際に開発し、それを人びとが利用できるように展開するという挑戦は、私が予想していたものよりもずっと困難であることがわかりました。なので、それは両方の側面を含んでいますね。

TC:そこでおっしゃるブレークスルーとはどのようなものでしょうか?

DOLGOV:たくさんあります。LiDARとレーダーは、遥かに強力になりました。

そして強力になることによって、すなわち、より長い範囲、より高い解像度、そしてより多くの機能を実現することによって、望めば、そのセンサーの能力の中で、状況に関するより豊かな情報を得ることができるようになりました。これらはセンサー側の話ですね。

計算、特にハードウェアアクセラレーションによる並列計算は、ニューラルネットワークの進歩にとって非常に強力な支援となりました。これによって大きく後押しされることになりました。

そして、深層学習がやってきて、ニューラルネット自身がいくつかのブレークスルーをもたらしました。

TC:そうですね…あなたが挙げた最後の2つの例ですが、私はそれらがここ数年でもたらされた最新のブレークスルーだと思います。期間的にはそんな捉え方でよろしいのでしょうか?

DOLGOV:このプロジェクトでは常に機械学習を使用してきましたが、それは現在用いられている機械学習とは異なるものでした。

たしか2012年だったと思いますが、私たちのプロジェクトに対して有意義な取り組みが行われ、Googleの中で、自動運転テクノロジーと深層学習の協力が行われるようになりました。

間違いなく、その当時のGoogleは、自動運転と深層学習の両者に真剣に投資する唯一の会社でした。

その時点では、私たちはその(ニューラル)ネットを自動車の中でリアルタイムに動作させることができるようなハードウェアを、所有していませんでした。しかし、クラウドのなかで実行できる、とても興味深いことはあったのです。

深層学習にとって、2013年はとても重要な年でした。ImageNetが大きな競争に勝ったそのときが、深層学習のブレークスルーとなったと考えています。それは、コンピュータビジョン競争における他のすべてのアプローチよりも優れていたのです。

TC:2009年の時点で、2019年には多数の自動運転車企業が、カリフォルニア州の路上でテストをするようになっていると想像することはできましたか?それは見込みがありそうなことだったのでしょうか?

DOLGOV:いえいえ、とんでもない。2009年や2010年の時点では、私はそんなことは想像していませんでした。

プロジェクトの初期段階では、人びとは私たちに冷笑的でした。業界ではこのプロジェクトが面白おかしく取り上げられ、Googleの自動運転プロジェクトに対する、沢山のおふざけが生み出されました。

まあ「おや、なんだかGoogleの中でこのSFネタを実現しようと努力している、おかしな奴らがいるようだぞ」と言われていたところから、現在のような何百とは言わないまでも数十の企業が追求するような主要な産業に育ったことは、驚くべきことですね。

Googleの自動運転レクサスRX 450h

TC:一般の人びとが、街のなかで自動運転車に乗るようになるきっかけはどのようなものでしょうか?純粋に成熟度の問題なのでしょうか?それともWaymoも含めて、すべての企業がその方向への利用者の誘導に責任を持つべきものなのでしょうか?

DOLGOV:新しいテクノロジーと変化に対する人びとの態度には、常に個々人の違いがあると思います。より目立つ否定的な意見もあります。しかし実際には、過去10年間の私の経験から見たときには、前向きな態度と興奮が圧倒的に強くなって来ています。

このプロジェクトを通して私が繰り返し経験してきたことは、とても力強いこのプロジェクトが、人びとの態度を不信と不安から、テクノロジーに触れることによって、興奮と安心そして信頼へと変えていったことです。

私たちの車の一台に、誰かを案内して実際の乗車をするとしましょう。誰もハンドルを握っていない車に乗ることに不安を感じている人でも、一度経験することによって、またその製品がいかに有用かを理解することによって、そしていかに車がきちんと動作するかを知ることによって、徐々に信頼しはじめるのです。それが本当に信頼へとつながっていくのです。

技術がより普及し、より多くの人びとがそれを直接経験するようになれば、それが助けになるでしょう。

TC:2009年当時の最大の課題は今でも同じでしょうか?残っている最後の難問は何でしょう?

DOLGOV:2009年には、すべての問題は、それぞれ解決が必要な個別の問題でしたが、現在ではそれを製品化するということに尽きます。

それは、自動運転システム全体を示すこと、そしてテクノロジーの評価と展開のためのツールとフレームワークの開発をすることにかかっています。そしてご存知のように、全体として変わることなく大切なことは、開発を素早く繰り返すことと、新しいことを学び、そして発見された新しい技術的課題を解決する力なのです。

[原文へ]
(翻訳:sako)

Gmaiに便利な右クリックがやって来る

GoogleはGmailにやっと右クリック・メニューを追加する。これまでも各種のメールトレイ上で右クリックは可能だった。しかしこれには「アーカイブする、既読にする/未読にする、削除する」というオプションしかなかった。しかし今日(米国時間2/11)のGmailの公式ブログによれば、トップのメニューバーから実行できる操作のほとんどが右クリックから可能になる。さらにいくつか右クリックのボーナスメニューも追加される。

このアップデートが実施されると、インボックスのメールで右クリックすると大きなポップアップメニューが開き、返信、転送を始め、「この送信者からのメールを検索」など多数のオプションが利用できるようになる。また右クリックからラベルを適用したり、いったんスヌーズさせて後日再表示させたりすることもできる。

大変便利人なるが、ポップアップメニューの追加は画期的な新テクノロジーというわけではない。それだけになぜGoogleがこの機能を実装するまでこれほど長く待つ必要があったのか不思議に思える。

例によって新機能はまずG Suiteのユーザー向けにまず公開される( 即時リリース設定の場合は今日から、計画的リリース設定の場合は2月22日から)。一般ユーザーの場合もだいたいこうしたスケジュールで順次公開される。

(日本版)現在、メール本体を開いた状態で右クリックするとブラウザの右クリック・メニューが表示されるが、これはGmailの右クリックとは別。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

Googleの高速インターネットサービス「Google Fiber」がルイビルから撤退

Googleの高速インターネットサービス、Google Fiberの導入を全米の都市が競っていたのはそう遠い昔のことではない。2012年のカンザスシティーで開通して以来、Google Fiberは さらに約10都市に導入され、最近では2017年にアラバマ州ハンツビル、テキサス州サンアントニオ、ケンタッキー州ルイビルの各都市で開通した。しかし、このリストからルイビルを消さなくてはならない。Googleは今日、当地のファイバーネットワークを4月15日に閉鎖すると発表した

理由は単純、とGoogleは言っている(ただしこの手の話がそのとおりだったことはない)。同社によると、当地でサービスを開始した際にいくつか新しいことを試し、そのひとつが浅い溝にファイバーケーブルを敷設することだった。それがうまくいっていない

「われわれは、自ら設定した高い基準にも、他のファイバー都市で実証してきた基準にも沿うことができていない」と本日同社は書いた。「素晴らしいサービスとして知られているGoogle Fiberを提供するためには、ルイビルの全ネットワークを事実上再構築しなくてはならないが、それは当社にとって正しい経営判断ではない」

Google Fiberにとって珍しい敗北宣言だが、同社がこのサービスの将来について必ずしも強気でなくなっていることは公然の秘密だ。Google Fiberが他の多くのGoogleサービスと同様に収益性を迫られるなか、ルイビルはカムバックになるはずだった。そうならなかったことは明らかだ。もしルイビルがGoogleにとって成長が見込める有望な地域であれば、まさに今回やらないと言っている「全ネットワークの再構築」を実施していたに違いない。

同市のサービス利用者は閉鎖まで無料でネットワークを利用できる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google 、大規模アプリのバグテストのClusterFuzzをオープンソース化

Googleは今日(米国時間2/8)、ClusterFuzzをオープンソース化したと発表した。 ファジングはプログラムのバグ発見の有力な手法だが、このツールは2万5000台以上のコンピューターを結合した大規模クラスターでも作動する。

Googleのファジングに対する取り組みに注意を払っていたなら(読者がエンジニアならそうすべきだ!)、よく知っているとおり、同社はすでに長期間このツールを社内で使用してきた。Googleは数年前にOSS-Fuzzサービスを開始したが、これがClusterFuzzを使用していた。OSS-Fuzzはオープンソース・プロジェクトでしか利用できなかったが、今回のオープンソース化でどんなプログラムでもClusterFuzzを利用できるようになった。

ファジングはコンセプトとしてはシンプルだ。プログラムに大量のデータ(ランダムなデータを含む)をインプットして反応をチェックするというバグ発見の手法だ。プログラムはクラッシュしたり、メモリーリークを起こしたりする。さらに予期せぬ脆弱性が発見されることがある。しかし複数のマシンで作動するプログラムをこの手法でテストしようとすると事態は急速に複雑化する。大規模なデータセンターで作動させることを前提にしたプログラムにはClusterFuzzのような専用ツールが必須となる理由だ。

ClusterFuzzは、バグ検出からレポート作成までの一連のプロセスを自動化し、バグが修正されたら再テストを実行する。ClusterFuzz自身がファジング・エンジンやツールのテストケースを生成するコアファジング機能にオープンソースのlibFuzzerAFL fuzzerなどを利用している。

Googleは、「Chromeブラウザの開発ではこのツールを利用し1万6000以上のバグを発見した。またOSS-Fuzzでは160件以上のオープンソース・プロジェクトで1万10​​00のバグを発見した」としている。ソフトウェアのテストや導入のためのプロセスの多くの部分で自動化が進んでいるため、当然ファジングもホットな話題になってきた。最近ではインハウスで常時ファジングを行う、continuous fuzzingについての記事をたびたび目にする。

画像:Thanit Weerawan / Getty Images

(日本版)色とりどりのポンポンがカット写真に使われているのはfuzzには「毛糸などのケバ、毛玉」などの意味があるため。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

AppleとAplhabetが進化させるヘルスケアウェアラブル

Appleが、Apple Watchのデータを活用する新しいアプリに関して、健康保険会社のAetnaと提携したという発表や、Googleの親会社のAlphabetの傘下にある健康にフォーカスする会社Verilyが、体重と動きを検知できる靴を開発しているといったニュースは、ウェアラブルからのデータを、臨床用の健康管理アプリや治療に活用しようという動きが勢いを増していることを示している。

ベンチャーキャピタルの投資家にとって、このようなAppleとAlphabetの動きは、ウェアラブルデバイス用の新しいアプリケーションへの道を切り開くものであり、正しい方向への第一歩となる。それは、むしろ遅すぎたくらいだ。

「医療サービス提供者として、私たちは予防医療の重要性についてかなり話してきました。しかし米国の医療システムには、それにお金を払うための適切なインセンティブがありません」と、Trinity Venturesの起業家、Cameron Sepahは書いている。「大会社の経営者は(メディケードやメディケア以外に)すでに多額の医療費を支払っているので、予防のためにまでにお金を出そうという気には、なかなかなりません。というのも、従業員がそれほど長く会社に留まることもないので、長期的な健康管理の費用を負担しようとは思わないからです。そのため、この分野のスタートアップのほとんどは、企業にとって見返りの少ない健康手当となりがちです。しかし、Aetnaのような保険会社が会員を十分長く引き止めておけるのであれば、うまく連携して、このアプリを普及させることもできるでしょう」。

Sepahは、健康保険会社とハイテク企業が提携すれば、さまざまな種類のデバイスによって健康状態を検出して診断することができる、という大きな可能性を視野に入れている。

「ほとんどの患者と保険会社との関係は、紙に印刷された請求書や通知を郵便で受け取るだけで、顧客満足度(NPS)はどこを見ても最低です」とSepahは電子メールに書いている。「しかし、もし手首に装着されたデバイスを通して、より密接な関係を築く方法があれば、他の健康関連技術のスタートアップと協力して取り組む可能性も広がります。たとえばMindstrongは、自覚症状が出る前に精神的な健康の問題を通知できます。またCardiogramは、高血圧や睡眠時の無呼吸を検出して治療を促します。あるいは、Omada Healthは、デバイスからの健康データを、慢性疾患の治療プログラムに活用することができます」。

(関連記事:Apple partners with Aetna to launch health app leveraging Apple Watch data

Aetnaは、Apple Watchのデータを健康保険に結び付けた最初の会社ではない。John Hancockは、2018年の9月にVitalityというプログラムを立ち上げた。ユーザーがJohn Hancockのアプリとリンクすれば、最新のApple Watchを割引するというものだ。さらに、ユーザーがダイエットとエクササイズに関する習慣を変えれば、会社が報奨金を支払う。

米国、英国および南アフリカ共和国の40万人を対象としてRand Europeが実施した調査によれば、Apple Watchを着用し、Vitalityのプログラムに参加したユーザーは、Apple Watchを着けていない人と比べて、運動量が平均で34パーセントも増加したという。その数字は、1ヶ月あたり、ほぼ5日分もトレーニング量を増やしたのに相当する。

「CVSとAppleの協力が、どのような結果になるのか興味深く見守っています。個人の医療履歴と、ウェアラブルからのリアルタイムのデータの組み合わせに基づいて、健康に関するパーソナライズされたアドバイスを提供することは、非常に大きな価値のある目標となるでしょう」と、ベンチャーキャピタルMenlo Venturesの共同経営者、Greg Yapは書いている。しかしYapは、「彼らの第1世代のアプリが、幅広い利用者に対して十分な価値を提供できるだけのデータや学習能力を備えているかについては疑問があります。しかし話題性はあるし、それも重要だと思っています」と続けている。

その一方で、消費者の健康情報を記録するデバイスの種類は増え続けている。これも、少なからずVerilyのおかげだ。

CNBCによれば、Verilyはユーザーの動きや体重を監視するセンサーを備えた靴の共同開発に取り組んでいて、さらに健康状態の監視および管理のための常時接続型デバイスの種類を拡張しているという。すでに同社は、FDAが承認した心電図を含む、患者の特定のデータを監視する腕時計を実用化しており、さらに、糖尿病に由来する眼の疾患を感知する技術や、白内障を治療するスマートレンズを開発中だという。

こうした動きは、ハイテク企業が、ほぼ3兆ドル規模にもなるヘルスケア市場に食い込もうとして、消費者の健康に密接に関わることをもくろんでいるのを示すものだ。

ウェアラブルデバイスから、あるいは消費者の行動から、より多くのデータを収集できれば、そしてそれを継続的に監視できれば、ハイテク企業が、より早い段階で通知することで、より低コストの治療を提供することもできるかもしれない。緊急の、あるいは救急医療の必要性をなくすことにつながるからだ。

ハイテク企業による、いわば大風呂敷を広げたようなコミュニケーションとモニタリングのサービスは、うまくすれば、ユーザーと将来に医療を受ける人を、今とは異なったシステムに移行させるかもしれない。それは、治療の量や処置の回数よりも、結果にフォーカスすることになり、低コストのものになる可能性が高い。

持続的なモニタリングが良質な治療に結びつくと、すべての医師が確信しているわけではない。スタンフォード大学の有名な教授であるDr. John Ioannidisは、データが実際に何を明らかにするのかをはっきり理解しない限り、モニタリングを有効に利用することはできないと主張している。

「情報というものは、それが何を意味するのかを知っていれば、有益なものとなります。その情報の大部分については、何を意味しているのか分かっていません。それをどう扱えばよいのか、皆目見当も付かないのです。単に不安の種を増やすだけでしょう」と、Dr. Ioannidisは述べた。

ライフサイエンスのスタートアップを支援している投資家によれば、目標は、機械学習を使用して問題を特定し、同時に治療方法を確立できるような、パーソナライズされたアドバイスを提供することなのだという。

「Omada、Livongo、Lark、Vida、Virta、といったスタートアップは、リアルタイムのデータと、個人の履歴データを組み合わせるというアイディアに、すでに取り組んでいて、それはうまくいくと私は考えています。しかし、スタートアップが成功するためには、さらに細かく絞り込むことで、より良い結果を提供できるようにする必要があるでしょう。もちろん、早急に経済的な利益を生み出すことも重要です」と前出のYapは付け加えた。

画像クレジット:VenimoShutterstock

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ハイテク企業は健康管理の方法を変えられるか?

[著者:Cyrus Radfar]
V1 Worldwideの創設パートナー。

2018年9月の時点で、2012年からアメリカのハイテク企業上位10社が医療関係企業の買収に費やした総額は47億ドル(約5170億円)にのぼった。これらの企業による医療関係企業の買収件数は年々増加している。これは、アメリカのハイテク企業が医療への関心を高めている証しであることに違いはないが、ここにいくつもの疑問がわく。彼らの目的はなんなのか、また、医療業界はどんな帰路に立たされるのだろうか。

もうひとつ、なぜ医療がアメリカのハイテク大手企業の最新のターゲットになったのだろうか。表面上、この2つは気の合う仲間には見えない。片方は機敏で腰が軽いが、もう片方は鈍重で思いに耽るタイプだ。片方は未来に恋い焦がれ、もう片方は過去と共に生きようと必死になっている。

にも関わらず、これが事実だ。近年は、Apple、IBM、Microsoft、Samsung、Uberが医療に浮気し、データを収集する健康アプリ医療患者がタクシー配車のデジタルサービスを受けられる機器などを出している。なかでも、このところ医療分野に深く入り込もうとしているのがAmazonとAlphabetの2社だ。この2つの企業は、とくに健康保険を視野に入れているようだ。

Alphabet、Amazon、AppleのA

CB Insightsによれば、現在、アメリカで医療分野にもっとも多く投資しているハイテク企業はAlphabetだ。Alphabetの子会社Verilyは、テクノロジーで健康への理解を深めることに専念している。これもまたAlphabetが買収したDeepMindは人工知能(AI)によるソリューションを提供しているが、AlphabetはそのAIを活用し、データ生成、データ検出、生活習慣の改善で病気と闘う方法を探っている。Alphabetはまた、Oscar、Clover、Collective Hearlthといった、どれも健康保険分野に波風を立たせようという企業に相当額の投資を行っている。

一方、Amazonは、昨年の夏、インターネット薬局のスタートアップPillPackを買収するという、医療分野への大きな動きを見せて周囲を驚かせた。そして2018年10月には、音声アシスタントAlexaが風邪を感知する機能の特許申請を行った。さらにAmazonは、Heraという内部プロジェクトに取り組んでいる。これは、電子カルテ(EMR)のデータを使い、誤診を修正するというものだ。さらに昨年の1月、Amazonは、従業員の健康管理計画でBerkshireとJP Morganと提携したことを発表した。片方の目では一般市場への拡大を見据えつつ、企業の従業員を実験台にして健康保険の研究をしようという戦略が見え隠れしている。

Appleも黙って見ているわけではない。同社は2016年からAetnaと共同で、個々の顧客に合わせた運動と健康上の助言を提供し、健康的な生活習慣の実践を促す活動を行っている。

これら3つの企業は医療分野に大きな一歩を踏み出しているが、とくに、AlphabetとAmazonにとっては、医療保険が長期戦略の柱になりそうだ。

ハイテク大手は濠を超えられるか

アメリカの医療と健康保険の市場をハイテク産業が拡大したのは、今回が初めてではない。医療業界は、長い間、座ったアヒルのように何もせず自滅を待つ存在だと見なされてきた。それは事実であり、意外な話ではない。アナログシステム、複雑な縦割り組織、時代遅れの技術。デジタル改革の筆頭候補であり、その受け入れ準備ができている分野だと誰もが思う。最新のデジタル技術は、この時代遅れながら収益性の高い産業を合理化し、効率化し、利用者中心の形に変革できる。

それが、2013年、Health Heroの共同創設者でRock Healthの顧問を務めるGeoffrey Clappによって創設された、モバイル医療サービスを提供するBetterの設立の狙いでもあった。このスタートアップは、開業初日から投資や、過剰な問題をひとつの単純な方法で解決するという途方もない作業に翻弄された。そして設立からわずか2年後、Betterは敗北を認めることになった。

「私たちは、膝間接手術や脳卒中といった、あらゆる病状、あらゆる解剖学的状況に対処するコンシェルジュ・サービスを提供しつつ、包括支払い制度やその他の多岐にわたる支払い制度への対応を行なっていました」とClappは、2016年にBetterを振り返り話している。「人は製品を気に入ってくれるかも知れませんが、どんな問題にも対応して欲しいと望むのです。私たちはよく自分たちに言い聞かせていました。これはバーティカル市場なのだと」

健康保険は、アメリカの他の医療産業分野と同じく頑固であり、参入の手前ですでに巨額の資金を必要とするため、スタートアップには魅力の薄い分野だ。

規模、資本、アイデアに関わらず
医療産業への参入はハイテク企業にとって
容易なものではない

ここ数年のケーススタディーで興味深いのは、Oscar健康保険だ(ちなみに昨年、Alphabetから3億7500万ドル(約413億円)の投資を受けた)。Oscarは、2012年、テクノロジーと顧客体験からの洞察を活かして健康保険を簡素化するという条件のもとで設立され、健康保険業界を撹乱したことでスタートアップの鑑のように見られてきた。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、巨額の投資を受けながらも、未来は混沌としている。

同社は、個人向け医療の市場で奮闘し、事業に必要な医師や病院とのネットワーク作りにも力を入れた。設立から7年目の2018年に初めて黒字の四半期を記録したが、そこに至るまでには資金の大量出血を経験している。2016年には2億ドル(約220億円)の損失もあった。もしOscarが、アメリカの健康保険に変革をもたらしたスタートアップの成功物語だとしたら、それは、この事業がどれだけ過酷な戦いであるかを知らしめる厳格な指標ともなる。

もちろん、AmazonとAlphabetは、健康保険という長期計画において損失を心配する必要はない。それでも、数々の規制や現実主義を乗り越えなければならず、こればかりは単に資金をつぎ込めば解決できるというものではない。企業規模や資金によって、自動的に信頼を獲得できるわけでもない。それは「思っていたほど広範なインパクトを与えられなかった」として2017年にGoogle Healthのサービスを打ち切ったGoogleが経験したことだ。

AlphabetやAmazonといった企業は、自身の失敗、仲間の失敗、Betterなどのスタートアップの失敗から学んでいるようだ。Alphabetは、今回は頭から飛び込むことは控え、特定の疾病に的を絞った。病院と提携し、AIに関する膨大なノウハウを武器に大勢のアメリカ人が抱える問題に立ち向かっている。Amazonは、Berkshire、Hathaway、JP Morganと提携し、ミクロのスケールで問題点を綿密に調べながら、引っかき回すべき市場を時間をかけて研究している。

成長するか死ぬか

もしアメリカの健康保険業界が本当に征服困難であるなら、ひとつの疑問が浮かぶ。ハイテク企業はどうして再挑戦しないのだろうか。答えは簡単。利益だ。

アメリカの健康保険業界の、2017年の健康保険と生命保険の純保険料は5949億ドル(約65兆4000億円)だった。これはAmazonの2017年の利益である1780億ドル(約19億6000万円)の3倍を上回る額であり、Alphabetの1110億ドル(約12億2000万円)の何倍にもなる額だ。

まだある。

年間の事業収益が1000億ドルを超えると、有意義な成長につながる新しい道を探すのが大変に困難になる。これは、AlphabetやAmazonのような企業には厄介な問題だ。彼らには、成長と規模の拡大が生命線だからだ。それが鈍れば、エコシステムから脱落すると見込んで、ハゲタカどもが頭の上を舞い始める。そしてそれが株価に響く。

近年、ハイテク大手企業は、他分野のバーティカル市場への拡大を成功させて、こうしたリスクを回避してきた。食品宅配サービス音声アシスタント自律運転車両など、ハイテク産業は帝国拡大の機会を求めて、新鮮なバーティカル市場を探し続けている。医療業界は、単に次なる征服目標にすぎないのだ。

行く手を阻む障害物

規模、資本、アイデアに関わらず、医療産業への参入は、どんなに気をつけたところで、ハイテク企業にとって容易なものではない。業界をかき回すことには慣れている彼らにしても、医療と健康保険はまったく別の生き物だ。

まず、規制の壁がある。薬を販売したり流通させるためには、複雑で費用のかさむいくつもの輪をくぐり抜けなければならない。そこでは米食品医療局や米麻薬取締局といった規制当局が目を光らせている。

これらの企業は膨大な独自のデータを
どのように活用するのかという疑問が
常につきまとう

そして、データとプライバシーの問題がある。ハイテク大手企業は、業界に長年居座っている既存企業にテクノロジーで勝ることができると信じているが、テクノロジーを活用しようとすれば、これまた厳しい個人情報保護のための規制に守られたデータへのアクセスが必要となる。とりわけ、健康保険に参入しようとする者には、乗り越えなければならない最大の障壁だ。

そしてそれらの上に、健康保険に参入したいと考えるハイテク企業が通らなければならない州ごとの保険規制制度がある。保険規制に関しては概して寛大だとされているユタ州で通用するものが、もっとも厳しいとされるカリフォルニア州では通用しない。

プライバシー、データ、国民皆保険

健康保険業界の主力選手となるための新規事業に挑むには、反対に打って出られる勇敢な人物が必要だ。成功しようと思えば、すべての人が喜ぶのとは違う道を行く必要もある。

まずは、これらの企業は膨大な独自のデータをどのように活用するのかという疑問符が常につきまとう。ハイテク企業はこの数年、自分たちのデータで金儲けをしていることを嫌った一般ユーザーの離反に揺さぶられてきた。しかし、そのデータが、その人の保険料の計算に使われるとしたらどうだろう。たとえば、健康的な食品を買っていたり、スポーツジムの会員になっていたり、日常的に運動をしていることを追跡するデバイスがあり、その人が健康的な生活を送っているとデータが証明してくれたなら、保険料が下がる可能性がある。

反対に、あまり体を動かさない人が不健康な食品や製品を買ったことがわかれば、保険料が徐々に上がるということも考えられる。

ジョージア工科大学Scheller College of Businessに在籍するプライバシー専門家であり、ホワイトハウスではクリントン大統領のもとで医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律のプライバシーに関するルールを取りまとめたPeter Swireは、そこに危機感を覚えるという。「私の知る限りでは、AmazonのウェブサイトはAmazonが取得した利用者の情報を、提携する健康保険会社に提供できるとなっています」とSwireはViceのインタビューに応えて話している。「言い換えれば、データが医療機関の外へ流れ、健康保険会社で利用されることを阻むルールの存在を私は知らないということです」

接線:ハイテク企業が押すのは単一支払者制度かユニバーサルヘルスケアか?

ちょっと一息入れて、アルミ箔の帽子をかぶらせていただく。

つい先日の2017年、AetnaのCEO、Mark Bertoliniは単一支払者制度についてオープンに議論したいと話した。「単一支払者。国として議論しておくべきだったと思う」

単一支払者制度、いわゆる「メディケア・フォー・オール」(すべての人に医療を:国民皆保険)は、どちらもワシントンの進歩的な民主党の考え方だ。イギリスやカナダなどの国をモデルにした単一支払者制度の実現を目指す人たちは、すでに、医薬品業界と保険業界が送り込んだ強力なロビイスト団体に対抗している。ゲームの理論から言えば、世界で最も裕福な企業をロビイスト団体の味方につければ、アメリカでのユニバーサルヘルスケア(国民皆保険)の実現を遠くに追いやることができる。

これは、ハイテク企業が独自の保険方式を作り始める未来を思うときに、常に私につきまとう大きな「もしも」のシナリオだ。彼らは、政府の介入で民間の保険が奪われてしまうことを決して好まない。

さて、ここでアルミ箔の帽子を脱いで、陰謀めいた話から現実的な話に戻ろう。

現状よりはマシ

もちろん、AmazonやGoogleなど、健康保険への参入に興味を示す企業が、利用者に不利益をもたらよう、あるいはユニバーサルヘルスケアに反対するロビイスト団体のためにデータを使う可能性を示す証拠はない。実際、それらの業者が唯一わかっていることがあるとすれば、それはできるだけ多くの人を喜ばせることの重要性だ。彼らは、おもに個人的な体験から、ネガティブな評判の影響力の大きさを知っている。それは特定の製品やサービスに止まらず、事業全体にもダメージを与える。悪辣な金儲けに走れば、健康保険業界をかき回す可能性は、手を付ける前に、ことごとく失われる。

ハイテク企業は、それぞれのソリューションに特製ソースで臨んでくるだろう。

Amazonは、高度な効率性を武器にするだろう。無駄のない驚くほど高速な物流で製品を提供する。GoogleとAlphabetの子会社は、AIと予測的アプローチで挑んでくるだろう。そこでは、すべての人に、それぞれの分野の専門家に支えられた健康アシスタントが着く。Aiphabetのマシンやキオスクに立ち寄れば、簡単な健康診断ができる。Appleは、洗練された小売の経験を持ち、顧客の支配を好むことから、管理医療機構Kaiser Permanenteのようなバーティカルな方式を作り出すかも知れない。どの企業も、高品質な利便性を追求するはずだ。それらは実質的に、異なるタイプの消費者を対象にすることになる。

彼らが手の内を見せて、健康保険業界の既存企業と真っ向対決するようになれば、制度の対象となるすべての人たちのために、既存企業に置き換わる善意の企業という立ち位置で戦うことになる。それは結果的に、より良く、より安価で効率的なものを生み出す。2017年のMckinseyの調査によると、アメリカ人が求めているものを提供している保険会社は非常に少ないという。具体的には、保険料に見合った利便性、より統合された技術、健康増進のためのツールだ。

技術者が秀でることのできる分野がある。レベルの高いカスタマーケア、サービスの向上とコストの削減、これらを最新テクノロジーを取り込むことで実現する。それを健康保険に活かせれば、テクノロジーの約束を短期間に果たすことができるだろう。それは、時代遅れの業界を引っかき回すことだ。

ハイテク大手企業にとって、成長は血と同じ。そして、引っかき回す準備が整った健康分野のバーティカル市場は、奇遇にも、我々が生きてゆくために欠かせないものでもある。この戦いは見ものになる。Uberが荒っぽいスタートを切ったときのように、はたしてハイテク企業は規制を飛び越えて、議会を動かし、消費者の要求に応えさせることができるだろうか。

[原文へ]
(訳者:金井哲夫)

アメリカのスマートスピーカーの採用台数は6600万、Amazonが大差でリード

スマートスピーカーにとって、良いホリデーシーズンだった。Amazonによると、Echo Dotは同社の全商品の中で最高の売上を記録した。そのことは、音声で命令するスピーカーの市場全体が大きく成長したことを意味するのだろう。今日(米国時間2/5)は、調査会社CIRPが、それらのスピーカーのアメリカにおける導入台数が2018年9月四半期の5300万台から2018年12月には6600万台に増加した、と報告した。そしてそれは、1年前の2017年12月にはわずか3700万台だった。

しかしその調査報告書によると、ホリデーシーズンの売上が、スマートスピーカーのメーカー各社のマーケットシェアを変えることはなかった。

報告書によると、AmazonのEchoデバイスが依然としてアメリカの市場を支配し、据え付け台数ベースで70%のシェアを握っている。次いでGoogle Homeが24%、Apple HomePodが6%だ。

CIRPのパートナーで協同ファウンダーのJosh Lowitzが、声明の中でこう述べている: “ホリデーの買い物客によって、スマートスピーカー市場は再度離陸した。しかし相対的なマーケットシェアは旧状を維持し、ここ数四半期にかけてAmazon EchoとGoogle Home、そしてApple HomePodが一定のシェアを維持している。AmazonとGoogleは共に、ベーシックからハイエンドまでの豊富な機種を揃えているが、Amazonの方が機種は多様である。言うまでもなくAppleは、高価格製品HomePodのみであり、Echo DotやHome miniのようなエントリーレベルの製品を出さないかぎり、大きなシェアを獲得することはないだろう”。

さらに興味深いのは、スマートスピーカーの購入者の一部が、自宅にすでに1台持っていることだ。CIRPによると、スマートスピーカーの所有者の35%が、2018年12月の時点で複数のデバイスを持っている。それは2017年12月の18%からの大きな増加だ(下図)。

この数字は、デバイスメーカーの今後の戦略にとって重要だ。つまり、最初の1台を売ることができたら、消費者が同じベンダーから再度買うこともありえるからだ。

Amazonはここでも初期的有利性を獲得し、Google Homeのユーザーに比べてより多くの消費者の複数台購入に成功している。1年前には、デバイスを複数持つユーザーの比率はEchoのユーザーがGoogle Homeユーザーのほぼ倍だった。しかしその後Googleは健闘し、2018年末ではEchoユーザーもGoogle Homeユーザーもどちらも、そのほぼ1/3が複数のデバイスを持っている。

しかし、市場調査会社の調査報告の数字は、各社横並びでほぼ同じ、ということはありえない。標本も、調査手法も、各社それぞれに異なる。

たとえばこの秋のStrategy Analyticsの調査報告では、アメリカにおけるAmazon Echoのマーケットシェアが63%、Googleが17%、Apple HomePodが4%だった。

またeMarketerの2019年予測は、Amazon Echoがアメリカ市場の63.3%を獲得し、Google Homeは31%、HomePodやSonosなど‘その他’が12%、としている。

とはいえ、すべての報告書に大書共通する所見は、Amazonの大差でのアメリカ市場の支配だ。差は縮まっているのかもしれないが、なくなる兆しはない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleが導入する聴覚障がい者用アクセシビリティ機能2つ

Googleは、今朝、聴覚障がい者や難聴者のためのAndroidの新機能を2つ発表した。同社が今朝のブログ記事でも触れているように、WHOは聴覚に障がいのある人は、2055年までに9億人に達すると推定している。特にAndroidというモバイルデバイスの普及率の高さを考えると、そうした人々にコミュニケーションの扉を開く確実な可能性を提供することができるはずだ。

その2つの機能のうちで、より有力なのはLive Transcribeだ。その名前が示すように、この機能は音声をリアルタイムで文字に書き起こすもの。聴覚に障がいのあるユーザーも、音声をテキストとして読むことができるので、双方向の会話が可能になる。デフォルトでは、黒の背景に白のテキストを表示するので読みやすい。また、外部マイクを接続すれば、さらに良好な結果を得ることができる。

この機能は、同社の提供するテキストの読み上げや翻訳機能を、さらに強化することになる。今日から、Pixel 3ユーザー向けの限定的なベータ版として展開される。いずれ、70以上の言語と方言に対応することになっている。

一方、昨年のGoogle I / Oで発表されたSound Amplifierは、周囲の環境音や、不要な雑音を除去するもの。最初から大きな音は増幅しない。これはヘッドフォンで機能し、効果の強さはユーザーが手動で自由に調整できる。これについては、すでにPlay Storeで入手できるようになっている(訳注:日本語版は「音声増幅」)。

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)