ユーザーが修理可能なノートPCで注目を浴びたFrameworkが製品ラインナップの拡大を計画中

2021年11月、Apple(アップル)は「Self Service Repair(セルフサービスリペア)」プログラムを開始すると発表した。これまで個人による修理を認定していなかった同社にとって、これは驚くべきことだ。もちろん、このような変化が何もないところで起こったわけではない。米国では大統領も議会も、いわゆる「修理する権利」を開放するよう働きかけてきた。その理由は、消費者の選択を増やすためや持続可能性への配慮など、いくつもある。

しかし、かつての抵抗勢力だった企業がこの変化を受け入れ始めたとしても、修理できる可能性をユーザーに開放することと、製品を実際にユーザーが修理できるようにすることでは異なる。近年の家電製品は薄型化が進み、ますます専門家でなければ修理することが困難になっている。

元アップルやOculus(オキュラス)・Facebook(フェイスブック)のエンジニアだったNirav Patel(ニラブ・パテル)氏が2019年後半に設立したFramework(フレームワーク)という会社は、修理可能性を製品設計の重要な機能として位置づけることに注力する、急成長中のハードウェアスタートアップの1つだ。米国時間2月1日、同社は1800万ドル(約2億円)のシリーズA資金調達を発表したが、これはそのミッションの正当性を証明するものだと宣伝している。

画像クレジット:Framework

「私たちの使命とFramework Laptop(フレームワーク・ラップトップ)に対するみなさまの多大かつ迅速な関心は、私たちが正しい道を歩んでいることを明白にしてくれました」と、パテル氏は資金調達を発表したリリースで述べている。「この業界では、長く使えるように設計されたパーソナルな製品が、以前から高く必要とされています。このことは、私たちだけでなく、誰にとっても明らかであり、Spark(スパーク)社のパートナーもそれを確信しています」。

パテル氏によれば、今回のラウンドを主導したSpark Capital(スパーク・キャピタル)は、OculusのシリーズA資金調達も主導していたという。この投資により、SparkのゼネラルパートナーであるKevin Thau(ケビン・トー)氏がFrameworkの取締役に就任した。他にシード投資家のPathbreaker Ventures(パスブレーカー・ベンチャーズ)、Anorak Ventures(アノラック・ベンチャーズ)、Formic Ventures(フォーミック・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加した。パテル氏は、ベイエリアを拠点とするFrameworkが「会社の存続のために投資家の資金が必要だった」わけではなく「アップグレード、カスタマイズ、修理をより多くのコンシューマーエレクトロニクスに提供する」ための製品ラインナップの拡大に、この資金を使うと述べている。

それが、どのようなカテゴリーになるのかは明らかにされていないものの、同社はすでに今後2年間のロードマップを作成しているという。スマートフォンは、その一般性の高さから、妥当な判断だと思われるが、最近の市場はノートパソコンよりもさらに飽和状態にある。アムステルダムを拠点とするFairphone(フェアフォン)は、2021年「Fairphone 4」をリリースするなど、積極的にこの市場をターゲットにしている。

今回の追加資金は、Frameworkの人員増強に充てられる。ユーザーによる修理が可能であるという魅力が、比較的ニッチな顧客層を超えて十分に関心を集められるかどうかは、まだわからない。同社より大きないくつかの企業が、修理可能性の実現に向けて一定の成果を上げているものの、多くの大企業がFrameworkやFairphoneと同じようにオープンな設計に取り組むことは、おそらくないだろう。

画像クレジット:Framework

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

消化器系の健康をサポートする機能性炭酸飲料Olipopが34億円調達、カミラ・カベロやグウィネス・パルトロウらが出資

Olipopの共同創業者ベン・グッドウィン氏とデイビッド・レスター氏(画像クレジット:Olipop)

健康に良い、あるいは機能的であるといった目的がある炭酸飲料は、380億ドル(約4兆3300億円)規模の米国のソフトドリンク業界を破壊する新しい波となっている。

3年の歴史を持つOlipop(オリポップ)というブランドの場合、消化器系の健康をサポートする炭酸飲料のラインナップで機能性を追求している。同社は、共同創業者のBen Goodwin(ベン・グッドウィン)氏とDavid Lester(デイビッド・レスター)氏にとって「機能性炭酸飲料」の分野で2番目のベンチャー企業だ。2人は10年近く一緒に仕事をしてきた。

レスター氏はTechCrunchに電子メールで、グッドウィン氏とともに機能性炭酸飲料のカテゴリーを築き上げ、Olipopが現在、このニッチな分野の売上高の3分の2を占めるに至ったと語った。同社の炭酸飲料は、植物由来の食物繊維、プレバイオティクス、その他の植物性原料を使っている。

Olipopが北カリフォルニアの45店舗で発売されて以来、この3年間で同ブランドの人気は高まっている。現在では、Kroger、Target、Whole Foods、Sprouts、Safeway、Wegmansなど、全米1万店以上の食料品店で販売されている。レスター氏は、同社の成功を「1981年にCoca-Cola(コカ・コーラ)がダイエットコークを発売して以来40年以上ぶりに、炭酸飲料カテゴリーに大きな破壊的イノベーションをもたらしました」とアピールする。

「機能性炭酸飲料の基本は2つです。消費者が楽しむカテゴリーで、妥協することなく、おいしい飲み物を提供すること、厳密な科学に裏付けられた最先端の健康効果が2つはあることです」とレスター氏は付け加えた。

画像クレジット:Olipop

チェリーバニラ、オレンジスクイーズ、ジンジャーレモンなど、競合他社もOlipopの味を真似しているが、CEOのグッドウィン氏は、過去16年間にわたるマイクロバイオームと発酵の知識を駆使して同氏が調合したOlipopの味にはかなわない、という。

「厳密な科学に裏打ち」されているという側面は、マイクロバイオームと消化器系の健康分野の研究者が率いる科学諮問委員会を導入したことに由来する。いずれ他の健康の問題にも拡大する予定だ。Olipopは2021年、ベイラー大学およびパデュー大学と試験管内での試験を成功させ、今はヒト臨床を行っている。2022年から2023年にかけて、研究や提携も増えていくとグッドウィン氏は語る。

Crunchbaseのデータによると、Olipopは2018年以降、約1350万ドル(約15億4000万円)を調達した後、2億ドル(約228億円)のバリュエーションに基づく3000万ドル(約34億円)のシリーズBを発表した。このラウンドはMonogram Capital Partnersがリードし、Camila Cabello(カミラ・カベロ)氏、Priyanka Chopra Jonas(プリヤンカー・チョープラー・ジョナス)氏、Nick Jonas(ニック・ジョナス)氏、Joe Jonas(ジョー・ジョナス)氏、Kevin Jonas(ケビン・ジョナス)氏、Mindy Kaling(ミンディ・カリング)氏、Logic(ロジック)氏、Gwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)氏といった豪華な投資家が名を連ねた。また、既存投資家からRocana Venture Partners、Raj Nooyi(ラジ・ヌーイ)氏、Pepsi(ペプシ)元CEOのIndra Nooyi(インドラ・ヌーイ)氏、A-Series Management & Investmentsの創業者であるAnjula Acharia(アンジュラ・アチャリア)氏、ClassPassの創業者であるPayal Kadakia(パヤル・カダキア)氏、Beautyconの共同創業者であるMoj Mahdara(モージ・マーダラ)氏、LANYのリードボーカルであるPaul Klein(ポール・クライン)氏が参加した。

Olipopは、2022年末までに1億ドル(約114億円)のランレート(年換算売上高)の達成を見込む。レスター氏によると、同社は2021年の成長目標を上回り、トップラインの売上高を3倍に伸ばした。同社はまだ黒字ではないが、そこに向かっているという。そのため、新たな資金調達は、同社が流通を迅速に拡大する際の新規雇用、マーケティング投資、製品在庫に充てられるとグッドウィン氏は付け加えた。現在、従業員数は約60人で、前年の30人から増加した。

パンデミックは同社にとって、一定程度追い風となった。消費者の消化器系の健康に対する関心が高まり、また、砂糖の摂取や、従業員と国の両方が緊張下におかれる中、会社がどう運営されるかについての懸念もあり、パンデミック初年度の3000%の成長につながった。

「パンデミックは、大きな挑戦であると同時にチャンスでもあると考えました」とグッドウィン氏は話す。「パンデミックは、顧客によりよいサービスを提供するための強固な消費者直結型プラットフォームを構築するという課題を私たちに与えました。リモート環境下で優れた文化を構築することに力を注がざるを得なかったのです。また、顧客との関係について良いデータを得ることができました。Olipopは、ストレスの多い時代に、健康を維持しながら喜びと安らぎを得ることができる製品であることがわかりました」。

次のステップとして、2021年テストしたメインストリームの流通とマーケティング戦略を拡大し、その急成長を支えるために必要なサプライチェーン構造も構築するとグッドウィン氏は付け加えた。加えて、新しいフレーバーの研究開発にも力を注ぐ予定だ。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpaceXが月額約5.7万円の「プレミアム」Starlinkプランを発表、最大500Mbpsの速度を実現

SpaceX(スペースX)は、同社の衛星インターネットサービスStarlink(スターリンク)において、より高いパフォーマンスと目を疑うような価格の新サービスプランを発表したとThe Vergeが報じた。「Starlink Premium(スターリンクプレミアム)」と名づけられたこのサービスは、150〜500Mbpsの速度を20〜40msの遅延で提供するとのこと。従来の50〜250Mbpsから速度はアップし、同じ遅延ということになる。アップロード速度も、標準プランの10〜20Mbpsから、プレミアムでは20〜40Mbpsに向上している。

だが約2倍のパフォーマンスアップのためには、5倍の料金を支払わなければならない。標準プランの月額99ドル(約1万1300円)に対し、Starlink Premiumプランは月額500ドル(約5万7200円)となる。また、アンテナなどのハードウェアには、標準プランの499ドル(約5万7100円)に対し、2500ドル(約28万6000円)が必要となり、Premiumアンテナの予約には500ドル(約5万7200円)の保証金が必要となる。

SpaceXによると、この新サービスは「極端な気象条件」でもより確実に機能し、顧客は優先的に24時間年中無休のサポートを受けることができるという。このサービスは、多くの遠隔地で利用できる高速インターネットの唯一の選択肢となる可能性が高く、そうした環境で優れた耐候性は重宝されるだろう。

SpaceXは、2021年10月にStarlinkのベータ版を発表し、同年11月には、オリジナルの円形衛星アンテナよりもはるかに小さく薄い長方形の新しい衛星アンテナを発表した。新しいPremiumアンテナはそれよりも大きく「ネットワークの使用量がピークに達したときでも、重要な業務のための帯域幅を確保するのに役立つ」とSpaceXは述べている。

Starlinkは、1月中旬時点で2000基以上の衛星を打ち上げており、約1500基が運用軌道に乗っている。現行システムでは、現在の約3倍となる最大4408基の衛星運用が認められている。Premiumプランは2022年第2四半期に納入開始を予定しており、現在注文受付中だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Starlink

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

電動スクーターの歩道走行といった危険運転を自動で禁じるテクノロジーをSuperpedestrianがまもなく実装

電動スクーターシェアリングのSuperpedestrian(スーパーペデストリアン)が、「Pedestrian Defense」(「歩行者を守る」の意)という安全システムを大規模に導入する準備を進めている。このシステムは、歩道走行や一方通行を逆方向に走っているといった危険な走行を電動スクーターがリアルタイムで検知し、修正できるようにするものだ。SuperpedestrianはPedestrian Defenseを装備した新しいスクーターを開発し、2022年中に米国とヨーロッパの25都市に展開することを目指している。同社によれば、春の早い時期までに米国と英国の歩行者の多い都市に最初に導入するとしている。

Superpedestrianは2021年7月に、精密なGPS位置情報を使ってマイクロモビリティ事業者が車両の位置を特定しリアルタイムで動きを修正するスタートアップのNavmatic(ナヴマティック)を買収した。その買収以降、Superpedestrianがこの新しいテクノロジーを市場に展開するのは、この計画が初となる。買収によりSuperpedestrianはNavmaticのソフトウェアを自社の安全システムであるVehicle Intelligence(「車両インテリジェンス」の意)に統合することができた。Vehicle Intelligenceは、危険運転の多くを制御して安全を守る機能を提供するためにAI、センサー、マイクロプロセッサを組み合わせたシステムで、危険運転の中には都市で最も嫌われる乗り方が含まれている。それは歩道の走行だ。

Superpedestrianの公共担当シニアディレクターのPaul White(ポール・ホワイト)氏はTechCrunchに対し「ニューヨークやシカゴと違ってもともと歩行者が多くない都市であっても、今は誰もが歩行者の優位性を理解しています。そのため、都市では歩道の走行をまったく認めないゼロ・トレランスのアプローチが望まれています。スクーターが歩道にあることが比較的確実にわかるというだけでは不十分です。我々はスクーターが常に適切な場所に存在するように介入し、制御したいのです」と述べた。

ホワイト氏によれば、Superpedestrianが新しい安全システムを導入する都市の多くはすでにパートナーになっているところだが、同社が獲得した、または獲得する予定の新たなパートナーもある。都市が提案を受ける際に、路上の歩行者を守るテクノロジーを実装するように企業に対して求める動きが始まっている。ホワイト氏は、例えばSuperpedestrianが現在獲得を目指しているサンディエゴとシカゴは制限が厳しくて事業者が少なく、両都市とも歩道走行禁止機能を重要な安全基準にしていると説明する。

SuperpedestrianはシリーズCで株式と債券によって1億2500万ドル(約143億2500万円)を調達しており、この資金で現在の車両の更新と新たな市場への拡大を実現する。このラウンドではJefferies、Antara Capital、Sony Innovation Fund by IGV(ソニーイノベーションファンド)、FM Capitalの他、これまでに支援してきたSpark Capital、General Catalyst、Citi(Citi Impact Fundを通じて)も投資した。Superpedestrianは債券の条件も、どの投資家が株式または債券に投資したかも明らかにしていない。

Superpedestrianは2020年12月に6000万ドル(約68億7600万円)を調達した。シリーズCはそれ以来の調達で、同社にとってこれまでで最大のラウンドだ。今回の資金は、Vehicle Intelligenceソフトウェアスタックの幅広い応用に関する研究開発にも使われる。ホワイト氏によれば、このソフトウェアスタックには小型の配達車両を運営するような輸送関連企業から関心が寄せられているという。

ホワイト氏は次のように述べた。「この機能は実際に都市と連携するスクーター事業を運営する上で極めて関心が高いというだけでなく、歩行者が多く密集している環境で運用されるあらゆる小型車両に関係するものです。歩行者の多い環境で人間のスケールに合わせたきめ細かい制御をすれば、歩行者のエクスペリエンスが損なわれることはありません。私は、このことが今回のラウンドで多くの参加と関心を集めたもう1つの理由であると考えています。このテクノロジーは我々のコアであるスクーター事業に寄与しますが、それだけではなく、同様の課題に取り組んでいる、あるいは自転車用レーンをふさいだり貴重な歩行者用スペースに侵入したりしないようにしたいというあらゆる小型車両にも関連するものだからです」。

関連記事:AIで電動キックスクーターを安全性をリアルタイムでモニターするSuperpedestrianが米国内で事業拡大

画像クレジット:Superpedestrian

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

MongoDB創業者のViam Roboticsはロボット導入のユニバーサル化を目指す

このカテゴリーを追っている人にとっては、おなじみの問題だ。投資家と企業は、ロボットと自動化に関してほぼ同じ考えを持っている。このような技術は、将来の競争力を維持するために必須のものとなるだろう。また、短期的には、広範な人材不足を解消する鍵になると広く考えられている。

しかし、導入の問題が残る。自動車メーカーやAmazon(アマゾン)などの大企業は、こうした技術を製造やフルフィルメントの現場に導入することにあまり問題はない、リソースが無限にあると思われる企業にとっては容易なことなのだ。しかし、ロボットを稼働させるためのフルタイムの開発者やコーダーを雇用できない企業の場合はどうだろうか?

多くの企業がこの問題に取り組みたいと考えている。この問題に対して、ニューヨークを拠点とするViam Robotics(ビアム・ロボティクス)は、独自のソリューションを準備している。ある人はこのソリューションを、こうしたシステムの導入と監視をより標準化したアプローチで提供するものだと説明している。スタートアップのウェブサイトには次のように書かれている。

Viamはこれらの問題に、カスタムコードではなく、標準化されたビルディングブロックを使ってロボットを直感的かつ迅速に作成、構成、制御できる、新しいロボットプラットフォームの構築に取り組んでいます。私たちは、意欲的で経験豊富なエンジニアが、私たちの革新的なソフトウェアツールを使って、業界を問わず複雑な自動化の問題を解決することを支援していきます。

MongoDBの共同創業者で元CTOだったEliot Horowitz(エリオット・ホロウィッツ)氏が2020年に設立したこのViamは、資金調達にもあまり苦労せずに、ほぼステルス状態で運営されてきた。米国時間2月1日、同社はTiger Globalが主導する3000万ドル(約34億4000万円)のシリーズAを発表した。今回のラウンドには、2021年6月に行われた1200万ドル(約13億8000万円)のシードラウンドにも参加したUnion Square Ventures(USV)とBattery Venturesも参加している。

画像クレジット:Viam

USVのマネージングパートナーであるAlbert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏は、2021年のシードに関連した投稿の中でこう言っている「彼らの目標は、ロボットの構築とプログラミングを、ウェブサービスを組み立てるように簡単にすることです。この目的のために、彼らは物体認識、ナビゲーション(移動)、グリッピング(掴むこと)などの一連のコアコンポーネントを開発しています。「さらにViamは、新しいロボットアプリケーションを開発者がオンデマンドでテストできるオンラインテストベッドを提供しています(高価なロボットのハードウェアを事前に取得する必要がありません)」。

ホロウィッツ氏は次のようにいう「シードラウンド以来、私たちは優秀な人材を採用し、プラットフォームを構築、テスト、ローンチし、簡単かつ直感的にロボットを作ることができるという期待に満ちた外部の方々と連携してきました」。

順調に資金集めができているとしても、物事はまだ初期の段階だ。現在、このプラットフォームは「プライベート・アルファ」として公開されているが、2022年後半のある時点で、より広範にサービスの提供を開始する予定だ。確かにタイミングは良い。Viamの創業と成長がパンデミックと重なったのは偶然ではないだろう。パンデミックによって、自動化に対する関心と投資が大きく高まったからだ。

画像クレジット:rozdemir01 / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

Apple News、初のデイリーローカルニュースレターをベイエリアの読者向けに配信開始

Apple News(アップル・ニュース)は、初のデイリーローカルニュースレターをベイエリア向けに導入した。他の都市への提供拡大も積極的に検討している。ベイエリアのデイリーローカルニュースレターは、日刊の地方紙を思わせるもので、地元ニュース、スポーツ、政治、食事などの分野にわたって主な最新ニュースを掲載している。これらの記事はSan Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)、SF Gate(SFゲート)、Eater SF(イーターSF)、KQED、The Oaklandside(オークランドサイド)など、数多くの出版物から編集されたものだ。

このニュースレターに掲載される記事はすべて、アルゴリズムによって選択されるのではなく、Apple Newsの編集者によって監修されている。これは、クリックベイトのような価値の低いコンテンツの再循環を減らすためだ。Apple Newsは、このベイエリア向けニュースレターを、地域における1日の終わりのダイジェストとして、注目すべきニュースや身の回りで起こっていることに関する情報を伝えるものだと考えている。デイリーローカルニュースレターは、より多くの読者に全米のニュースを配信するApple Newsのデイリーニュースレターに追加される。

Twitter(ツイッター)のRevue(レヴュー)買収や、Facebook(フェイスブック)のニュースレタープラットフォーム「Bulletin(ブレティン)」など、多くのテクノロジー系企業がニュースレターをサービスの一環として追加している時期に、アップルはこのサービスを開始した。ニュースレタープラットフォームのトップ企業であるSubstack(サブスタック)がシリーズBの時点で6億5000万ドル(約743億円)の評価を受けたことでも、旧来型のニュースメディアの市場規模が大きいことがわかる。これには、新聞社のウェブサイトの使い勝手が低下していることも、少なくとも部分的な原因になっている。

もしアップルがより多くのデイリーローカルニュースレターを展開することになれば、いくつかの市場から選ばれることになるだろう。現在、Apple Newsはサンフランシスコ、ベイエリア、ニューヨーク、ヒューストン、ロサンゼルス、サンディエゴ、サクラメント、マイアミ、シャーロット、サンアントニオ、ワシントンD.C.という11の市場でローカルニュースを提供している。アップルは、今後さらに多くの都市でローカルニュース機能を開始する予定だと述べている。

アップルがローカルニュース機能に力を入れるということは、Flipboard(フリップボード)やSmartNews(スマートニュース)のような、米国の何千もの都市でローカルニュースを提供している他のニュースアグリゲーターサービスとのさらなる競争に、目を向けていることを示している。

関連記事:スマートニュースのローカルニュース機能が米国6000以上の都市で利用可能に

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

GMの子会社で自動運転技術を手がけるCruise(クルーズ)は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)から13億5000万ドル(約1546億円)の新たな投資を受け、商用化に向けてさらなる一歩を踏み出す。同社は米国時間2月1日、無人運転のロボタクシーサービスを、サンフランシスコの公道で一般向けに公開すると発表した。

ソフトバンクは以前、Cruiseが商業的に展開する準備を整えた時点で、当初の9億ドル(約103億円)に加えて13億5000万ドルを追加投資すると約束していた。

Cruiseは公式ウェブサイトを通じて一般からの乗車申し込みを受け付けている。今のところ、乗車料金は無料だ。同社は2月1日のブログ記事で、予約申し込みに参加した一般の人々は、サービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。同社の広報担当者によると、1月27日に乗車を終えた友人や家族の少人数グループがいたが、彼らは今朝まで秘密保持契約の下にあったという。

Cruiseの広報担当者によると、無人運転サービスは当初、午後11時から午前5時までとなっているという。夜間の運転は、最もインパクトを与えられる場所から始めて、そこから計画的に拡大していくという戦略の一環であるとのことだ。Cruiseは「Chevy Bolt (シボレー・ボルト)」の自動運転車をサンフランシスコ市内で走らせてテストする。ただし、この無人運転サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定される。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行および課金に必要な許可をほぼすべて取得している。カリフォルニア州自動車局からは、運転手付き車両と運転手なしの車両をテストおよび運用するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人の乗車を許可するものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可証も申請しているが、こちらの許可はまだ取得できていない。

画像クレジット:Screenshot

この数週間、Cruiseの従業員が、安全のための人間の運転手が乗車していない無人運転車に乗っている様子を撮影した動画を投稿している。GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、最近になって乗車した。

同社では、社員が一般の人を指名できるようにしており、すでに何人かの人が乗車しているという。Cruiseはこのプログラムを「Cruise Rider Community(クルーズ・ライダー・コミュニティ)」プログラムと名付けている。社員から指名された人や、乗車予約を申し込んだ人は、最初の一般乗客となるパイプラインに組み込まれるという。

Cruiseは、Dan Ammann(ダン・アマン)CEOの突然の退任を受けて、このサービスの一般公開に踏み切った。同社の共同設立者であるKyle Vogt(カイル・ヴォクト)氏が、現在はCTOと同時に暫定CEOを務めている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GitHubがスポンサー専用リポジトリを発表

数年前、GitHub(ギットハブ)はスポンサーシップを導入し、それによって誰もがオープンソース開発者に直接資金的援助を行えるようになった。米国時間2月2日、GitHubはこのコンセプトをさらに推し進め、スポンサー専用のリポジトリ、つまりスポンサーだけがアクセスできるプライベートなリポジトリを立ち上げた

これはある意味、現在のトレンドに沿ったものだ。Twitch(ツイッチ)やSubStack(サブスタック)などのプラットフォームも、結局はスポンサーに何か特別なものを提供することで、サブスクリプションのインセンティブを得ている。だがオープンソースの世界ではそのようなことはあまり例がなく、これはオープンソースの精神に反するものだと考える人もいるかもしれない。

GitHubによると、ここでのアイデアは、資金提供者に対してプロジェクトが構築されていく過程への早期アクセスを提供すること、あるいは、同社が「スポンサーウェア」と呼ぶ、スポンサーのためだけのプロジェクトへのアクセスを提供することだという。開発者はこのリポジトリを利用して、スポンサーとのディスカッションを行うこともできるとのこと。また、開発者が柔軟に対応できるように、特定のリポジトリを異なるスポンサーシップレベルに紐づけることも可能だ。

画像クレジット:GitHub

スポンサー専用リポジトリに加えて、GitHubでは他にもいくつかの細かい変更を行った。例えば、開発者はカスタムスポンサーシップの最低金額を設定できるようになり、スポンサーシップの階層ごとにカスタムウェルカムメッセージを書けるようになる。また、スポンサーシップ対応のリポジトリに新しいコールトゥアクション(CTA)を追加し、プログラムの可視性を高めている。

GitHubのスポンサープロダクトリードであるJessica Lord(ジェシカ・ロード)氏は、2日の発表でこう述べている。「GitHubでのディスカバリー体験を向上させ、コミュニティが依存関係を調べたり、誰をサポートするか決めたりするのを容易にし、スポンサーを利用するメンテナーがオーディエンスやコミュニティ、全体的な資金調達を拡大できるように支援するための今後の取り組みにご期待ください」。

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg via Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Stogglesは仕事で使われる保護メガネもファッションの一部だと考えている

私たちがサングラスをかけるのは、目に太陽の日差しが入らないようにするためだが、それは常にファッションの一部でもあった。Stoggles(ストグルズ)の共同設立者であるMax Greenberg(マックス・グリーンバーグ)氏とRahul Khatri(ラフル・カトリ)氏は、保護メガネにもファッションのラベルが適用されるべきだと考えている。

世界的なパンデミックが起きたとき、2人は別のファッションメガネの会社で一緒に働いていた。市場がいかに飽和状態にあるかを目の当たりにした2人は、最初はヘルスケア業界をターゲットに、保護メガネを、これと類似したセクシーな空間にする機会を見出した。Stogglesのメガネは、ANSI-Z87認定の保護性能と、スタイリッシュで快適性を兼ね備え、度付きレンズのオプションもあり、ブルーライトカット技術や独自のくもり止めコーティングが施されている。

グリーンバーグ氏は「我々の最大の顧客は医療従事者で、これは非常にやりがいのあるビジネスでした。そして、彼らは、本当にかさばって、不快かつ不格好な保護メガネをかけることから、見せびらかしたい、Instagramにも投稿したい、機能的にも一般的な幸福度やウェルビーイングにおいても、日常生活に大きな影響を与えるものであることを友人に共有して話したいと思うようになったのです」。と語っている。

彼らは2020年8月にロサンゼルスを拠点とするStogglesをクラウドファンディングでキックオフし、2021年2月にeコマースサイトを立ち上げた。そこからグリーンバーグ氏は「2021年は信じられないような成長を遂げ、前月比で平均約30%の収益増を記録しました」と述べている。

世界の保護メガネ市場は、2026年までに31億ドル(約3540億円)規模の産業に達すると言われており、他にもPair Eyewear(ペア・アイウェア)Cheeterz Club(チーターズ・クラブ)、そしてその発端となったWarby Parker(ウォービー・パーカー)(9月に直接上場)など、より消費者側ではあるが、メガネをもっと流行らせようと取り組んでいる企業もある。

Stogglesの創業者たちは、すでに利益を上げており、同社のアイウェア製品もヘルスケア業界では好評だったにもかかわらず、会社を立ち上げた後、最初のベンチャーキャピタルのラウンドに参加することにしたのだ。グリーンバーグ氏によると、同社はすでに製品と市場の適合性を確立していたため、従来のシリーズAではなく、成長ラウンドに進み、The Chernin Group(ザ・チェルニン・グループ)から4000万ドル(約45億7200万円)を調達したとのことだ。

同社の目標の1つは、Stogglesの認知度を上げるために、コンテンツやメディアへの参入を増やすことであり、創業者たちは、コンテンツやメディア企業での経験を持つThe Chernin Groupがそのための良いパートナーになると考えたと、彼は付け加えた。

TCGのパートナーであるLuke Beatty(ルーク・ビーティー)氏は、Stogglesが保護メガネ市場の大きなギャップを発見し、それを証明しただけでなく、そのギャップを埋めたと書面で述べている。「この創業年数の企業としては、かなり驚くべき偉業だと思います」と付け加えた。「マックスとラフルは、卓越したビジネスモデルを巧みに構築しており、我々はこの次の成長段階におけるパートナーになれることをうれしく思っています」。と述べている。

同社は、今回の資金調達により、ゴーグルのラインアップを拡充するための製品開発への投資を行い、ヘルスケア市場でより多くの製品を提供し続ける予定だ。また、この市場を超えて、建設、実験科学、ホームセンター、日曜大工など、他の市場にも進出する構えだと、グリーンバーグ氏は述べている。さらに、Stogglesは経営陣を強化し、マーケティング・ディレクターを加えることも検討している。

現在、従業員は15名だが、2022年中に倍増させたい考えだ。

「私たちは、私たちの使命を理解し、その達成を手助けし、その一部となることを望む、偉大で本当に情熱的な人々の強い基盤を作りたいと思っています」と、グリーンバーグ氏は付け加えた。「私たちは、ヘルスケアのお客さまのおかげでここまで来ることができたので、お客さまのためにさらに良い製品を作り、改善を続け、製品ラインを拡大し、情報を発信し、体験をより良いものにしたいのです」と語っている。

画像クレジット:Stoggles

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

インド、暗号資産とNFTの所得に対する30%の課税案を発表

インドは、この世界第2位のインターネット市場において、暗号資産を法定通貨として認める方向で動いており、2023年までにデジタル通貨を立ち上げ、暗号通資産とNFTに課税する計画を現地時間2月1日に発表した。

Nirmala Sitharaman(ニルマラ・シタラマン)財務相は、仮想資産の譲渡による所得には30%の課税を行うと2月1日に発表した。このような暗号取引の詳細を把握するために、彼女はまた、仮想資産の購入に関連する支払いについて1%の源泉徴収控除を提案した。

「このような所得を計算する際には、取得原価を除き、支出や手当に関する控除は認められないものとします。さらに、デジタル資産の譲渡による損失は、他の所得と相殺することはできません。仮想デジタル資産の贈与も、受取人の手元で課税されることが提案されています」とニューデリーで最も注目すべきテクノロジーとビジネスに焦点を当てた連邦予算の1つで彼女は述べている。

この提案は、インドにおける規制の不確実性にもかかわらず暗号資産とNFTの購入が急速に進出しているタイミングで行われた。

Binance(バイナンス)傘下のWazirX(ワジールX)は2021年12月、同社のプラットフォームにおける年間取引量が2021年に430億ドル(約4兆9400億円)を超え、2020年から「1735%」の成長率になったと発表した。

暗号トークンの人気の高まりは、この分野で革新を目指すスタートアップ企業群の出現にもつながっている。しかし、彼らの積極的なマーケティングキャンペーンには多くの人々が眉をひそめている

関連記事:インドが高利益を約束する無責任な暗号資産の広告禁止を検討

Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)は2021年、暗号資産取引所CoinSwitch Kuber(コインスイッチ・クーバー)を支援することで、インドで初めての投資を実施した。

「これらの取引の規模と頻度から、特定の税制を規定することが不可欠になっています」と彼女は述べている。

インドの中央銀行も、次の会計年度にデジタル通貨を導入する予定だという。同国の中央銀行は、国内で数カ月間、多くの対照試験を通じてCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)をテストし、銀行・金融システムへの影響を検証してきた。

「中央銀行デジタル通貨の導入は、デジタル経済に大きな弾みをつけるでしょう。また、デジタル通貨は、より効率的で安価な通貨管理システムにつながるでしょう」と述べた。ニューデリーはプレスノートの中で、その中央銀行発行デジタル通貨は紙幣として扱われると述べている。

関連記事:インドが中央銀行によるデジタル通貨の段階的導入を検討中

インドの隣国である中国は2022年1月初め、中国人民銀行がCBDCの試験の一環として、1億6000万ドル(約183億4300万円)以上に相当するデジタル人民元の取引を300万件以上処理したと発表した(中国は、記憶に新しいところでは、2021年、国内のすべての個人の暗号関連取引を違法とするレッテルを貼ったこともある)。

関連記事:中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

インドの今日の提案は、ニューデリーが暗号資産にどう取り組むつもりなのか、起業家、ベンチャーキャピタル、そして一般市民の間にやや混乱を生じさせた。

暗号関連の取引に税制を導入することで、ニューデリーはこのような仮想資産を法定通貨として認めるか、あるいは、ある投資家が声に出して疑問に思ったように「すべての行動から自分たちの肉を奪う」かのどちらかだと思われる。

ツイートで、野党議会党のスポークスパーソンRandeep Singh Surjewala(ランディープ・シン・スルジェワラ)氏は「財務大臣、国民に教えてください。暗号資産に課税することになるため、暗号資産法案を提出しなくても、暗号資産は今や合法なのでしょうか?その規制当局についてはどうでしょうか?暗号取引所の規制はどうなっているのでしょうか?投資家保護はどうなっているのでしょうか?」と訪ねた。

更新:ニューデリーは、現在「規制のための情報収集を行っている」と明らかにした

「しかし、今回の最大の進展は、暗号の課税に関する明確化でした。これにより、求められてきたように、インドの暗号エコシステムがより認知されるようになります。また、この開発によって銀行が曖昧さを取り除き、暗号業界に金融サービスを提供できるようになることを期待しています。「総じて、これは我々にとって良いニュースです。細かい部分を理解するためには、予算の詳細を見ていく必要があります」。とWazirX(ワジールX)のCEOであるNischal Shetty(ニシャル・シェッティ)氏は声明で述べている。

「税制が明確になったことは歓迎すべきことです。全体として、政府がイノベーションの方向に進むという進歩的なスタンスをとっていることがわかり、大きな安堵感を覚えます。税制を導入することで、政府はこの業界を大いに正当化することになります。これまで不安から傍観していた大多数の人たち、特に法人が暗号に参加できるようになります」。

ニューデリーはまた、国の農村部におけるインターネットとデジタル銀行の普及範囲を拡大することを約束した。

その他、注目すべき発表がいくつかある。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

スマホで賃貸住宅管理が完結、自主管理を行う不動産オーナー向けraQkanを手がけるOH YEAHが約6000万円調達

スマホで賃貸住宅管理が完結、自主管理を行う不動産オーナー向けraQkanを手がけるOH YEAHが約6000万円調達

自主管理を行う不動産オーナーが、スマートフォンからの操作だけで賃貸住宅管理を行えるようにするサービス「raQkan」(ラクカン)を提供するOH YEAHは2月1日、第三者割当増資による6065万5000円の資金調達を行ったことを発表した。引受先は、AZファンド2021投資事業有限責任組合と個人投資家。累計調達額は約1億3000万円となった。調達した資金はraQkanの開発と販売の強化、組織体制の強化にあてる。

raQkanは、LINEで承認するだけで賃貸管理が完結できるという、自主管理を行う不動産オーナーなどに向けたサービス。OH YEAHは、賃貸管理会社に満足できていない不動産オーナーの選択肢を増やすものとしても位置付けている。

賃貸管理は煩雑な業務が多く、退去から入居募集まで1~2週間かかることが少なくないという。また自主管理している不動産オーナーは、退去者とのやりとりや原状回復のための工事業者発注依頼、仲介業者への入居斡旋依頼や入居後の入居者のクレーム対応など、膨大な管理業務を行うことになる。

これに対してraQkanでは、OH YEAHの連携パートナー企業が提案する内容を承認するだけで工事発注、入居募集など仕事の発注を完了できるという。数週間かかっていた業務を数時間で完了することも可能で、業務効率化を図りやすいとしている。

OH YEAHは、2020年8月設立の不動産テック領域スタートアップ。自主管理を行う不動産オーナーの業務効率化、賃貸管理会社に満足できていない不動産オーナーの選択肢を増やし、安定した不動産経営をサポートするとしている。

プロトレーナーによるマンツーマンのダイエット指導をオンラインで提供するWITH Fitnessのウィズカンパニーが1億円調達

プロトレーナーによるマンツーマンのダイエット指導をオンラインで提供するWITH Fitnessのウィズカンパニーが1億円調達

プロトレーナー指導による、マンツーマンのオンライン・パーソナルトレーニングアプリ「WITH Fitness」(ウィズフィットネス)(iOS版)を提供するウィズカンパニーは2月1日、第三者割当増資により約1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は千葉道場、デライト・ベンチャーズ。

調達した資金は、新たなトレーナーやエンジニアといった人材の獲得、健康経営を実施している企業との連携も見据えたプロダクト開発にあてる。今後は、個人だけでなくジムや健康経営に興味を持つ企業との連携も視野にサービスを拡大する予定とのこと。

WITH Fitnessでは、厳選されたプロトレーナーが、ユーザーの目的や体質に合ったダイエット指導をマンツーマンで提供するというアプリ。徹底管理型のパーソナルトレーニングとしており、ユーザーごとに「今」必要なトレーニングメニューと日々の食事方針を指導するという。

食事の記録については、写真を撮影してアプリにアップロードするだけ、また運動の記録ではトレーナーが組んだメニューを実行するだけで完結する方式を採用。このため、忙しい人でも手間なく簡単に記録を続けられるよう設計しており、さらにこれが報告とシームレスにつながるようにしている。

また、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスと連携してアクティビティを自動的に同期する機能も備えており、ユーザーが自身の状況を管理しやすいという。これらアプリの機能をパーソナルトレーニングに特化させることによって、プロのトレーナーによる指導価値がオンラインにおいても目減りしないダイエット経験が得られる。

さらに、好きな時間にZoomを使ったリアルタイムのオンラインレッスンを受講することも可能で、レッスン後には専属トレーナーから専用の運動メニューと食事方針が届くという。

2020年7月設立のウィズカンパニーは、「望む人がずっと理想の身体で生きられる世界を創る」というビジョンを掲げるスタートアップ。オンラインでもプロトレーナーの指導価値が120%で届く体験を目指し、アプリ開発およびサービスの改善を進めているという。

エバーブルーテクノロジーズ、帆船型ドローン実用モデル「everblue AST-201」トライアル販売の予約を開始

エバーブルーテクノロジーズ、帆船型ドローン実用モデル「everblue AST-201」トライアル販売の予約を開始

1/2スケールの木製サンプルモデル(イメージ図)

自動航行ヨットの開発を行うエバーブルーテクノロジーズは2月2日、全長約2mの帆船型ドローン「everblue AST-201」を開発し、トライアル販売の予約受け付けを同日開始した。

エバーブルーテクノロジーズは、これまでに無人調査用ドローン「Type-Aプロトタイプ」と、100kg以上の貨物を積載可能な無人貨物運搬用ドローン「Rype-Xプロタイプ」を開発してきたが、これらを通して培われた無人帆走技術をもとに、本格的な実用モデル「everblue AST-2」を完成させた。

夜間パトロール実験時の開発機「Type-Aプロトタイプ」

夜間パトロール実験時の開発機「Type-Aプロトタイプ」

このモデルはモノハル(単胴船)型で復元力が強く、大きな波でも沈没しにくい安全な構造になっている。また、「衝突予防安全装置」を搭載し、周囲を監視しつつ衝突回避が行える(ただし、あくまで補助装置なので、海上衝突予防法にもとづき遠隔での安全確保が必要)。基本的に風力で航行するが、風が弱いときは離岸流に入ったときなどのために、モーターも装備されている。操作は、同社が提供するアプリ「eb-CONNECT」の自動操船機能で目的地を指定するだけでよい。

帆船ドローンとしてのメリットは数多い。たとえば、水上や水中の撮影に使えば、エンジン音がしないため、これまで撮影できなかった魚群などを捉えることができる。魚群探知機を搭載し、目的地点まで自動航行させれば、無人で探索が行える。通常は小型船舶にとって非常に危険な夜間でも、無人で密漁や不審船のパトロールが行える。風力では10時間の航行が可能なので、長時間の海洋調査などにも向いている。航行終了後は、決められた場所で待機できるので、夕方に航路設定、自動で夜間航行、朝に回収といった安全な使い方も可能だ。今後は、大容量バッテリーや太陽光発電などを併用して、24時間以上の稼働を目指すとしている。

everblue AST-201は、2022年2月2~14日まで、東京都新宿区の伊勢丹メンズ館にて開催される三越伊勢丹とbouncyとのコラボ企画「bouncy Store」で、1/2スケールの木製サンプルモデルを展示し、トライアル販売の先行予約を受け付ける。販売希望価格は500万円(税別)。

「everblue AST-201」概要

  • 全高:2.2m
  • 船体重量:32kg
  • 装備重量:40kg
  • 定員:無人
  • 最大積載量:18kg (8kg+インナーバラスト10kg)
  • 航行距離:5km(沿海)
  • モーター航行時間:30分
  • セール航行時間:10時間
  • 巡航速度:5km/h(ただし海況、風速によって変化)
  • 操作方法:iPhone用オリジナルアプリ「eb-CONNECT」
  • 通信エリア:4G/LTEサービスエリア内(沿岸部推奨)
  • 販売希望価格:500万円(税別)。運送費、サポート、メンテナンス、クラウドサービス利用料は含まないため、別途相談

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Marvin Samuel Tolentino Pineda via Getty Images

Netflixは、「視聴中コンテンツ」に表示される作品を削除する機能がテレビを含むすべてのデバイスで利用可能になったと発表しました。

Netflixのホーム画面に表示される「視聴中コンテンツ」は、途中まで観ていた映画や、テレビ番組を継続して視聴するには便利な機能です。その反面、観始めたものの興味を無くした、あるいは間違えて再生してしまった作品などがいつまでも残り続けて目障りといったこともあります。こうした作品が、簡単に削除可能となりました。

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Netflix

削除するには、視聴中コンテンツにある削除したい作品にカーソルを合わせ、ページのオプションから「リストから削除する」を選ぶだけです。この削除機能、これまでもウェブやモバイル向けアプリでは提供されていましたが、あらたにApple TVやFire TVなどテレビ向けアプリでも利用可能となり、Netflixを利用できるすべてのデバイスで削除可能となっています。ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

(Source:Netflix。Via the VergeEngadget日本版より転載)

沖縄科学技術大学院大学がDNAの作用で自己組織化・分解するゲルブロックを作製、組織工学・再生医療への応用の可能性も

塩基対形成は非常に特異的なプロセスであるため、対合するDNA鎖の設計に利用できる

塩基対形成は非常に特異的なプロセスであるため、対合するDNA鎖の設計に利用できる

沖縄科学技術大学院大学の研究グループは、短いDNAの鎖を接着剤のように使い、2mmほどのハイドロゲル(水を含む高分子物質)ブロックを、プログラムどおりに結合させることに成功したと発表した

研究グループは、ハイドロゲルブロックの表面にDNA鎖を固定し、それが別のブロックに固定したDNA鎖との対合(「たいごう」または「ついごう」。同じ起源の染色体同士が結合すること)により、プログラムによって指定されたブロック同士をつなぎ合わせる実験を行った。DNAは、2本のDNA鎖がらせん状に結合して成り立っているが、塩基の緻密な組み合わせによって対合されている。この対となるDNA鎖を設計することで、目的の相手と対合させることが可能となる。この原理をハイドロゲルブロックという肉眼で見える素材を使って実証したのが、この実験だ。

表面にDNA鎖を固定したハイドロゲルブロックを溶液に混ぜると、10〜15分でハイドロゲルブロックは自分たちで相手を選んで対合し、自己組織化した。1つの実験では、赤と緑に色分けされたハイドロゲルブロックの表面に一本鎖(いっぽんさ)のDNAを付着させて、赤いブロックと緑のブロックが対合するようにした。これらを溶液に入れて振ると、10分後には緑のブロックと赤のブロックが対になった。同じDNA鎖とは相互作用をしなかったため、同じ色同士が結合することはなかった。

赤と緑のハイドロゲルブロックは、表面に付着した対合するDNA鎖同士で塩基対を形成することにより、結合することができた

赤と緑のハイドロゲルブロックは、表面に付着した対合するDNA鎖同士で塩基対を形成することにより、結合することができた

さらに、特定の配列のみを認識するDNAの能力の検証も行った。4対のDNA鎖を設計し、それぞれを赤、緑、青、黄のハイドロゲルブロックに付着させた。これを溶液に入れると、いろいろなDNA配列が存在するにも関わらず、対合するDNA鎖同士でしか結合が起きなかった。「これは、自己組織化が非常に特異的におこるプロセスであり、プログラムがしやすいことを示しています。DNA配列を変えるだけで、ブロック同士がさまざまな方法で相互作用するように誘導することができるのです」と、核酸化学・工学ユニットの横林洋平教授は話す。

ハイドロゲルブロックは、その表面にあるDNA鎖が対合しているため、自ら色別のグループに分かれることができた

ハイドロゲルブロックは、その表面にあるDNA鎖が対合しているため、自ら色別のグループに分かれることができた

そして、構造体の分解もプログラムできるかどうかも検証した。対合する2本の1本鎖DNAを設計し、1本目の一本鎖DNAの一部と対合する短い一本鎖DNAも作った。この長短のDNA鎖をハイドロゲルブロックに付着させたところ、これらは対合した。その後、長いほうのDNA鎖と同じ長さの対合するDNA鎖を加えると、1時間後には短いDNA鎖は長いDNA鎖に置き換わり、ハイドロゲルブロックの集合体は分解した。

「これは、DNAを『接着剤』としてハイドロゲルブロックをくっつけると、このプロセスを完全に元に戻すことができるということを意味し、非常に驚くべきことです。また、個々の構成要素も再利用できるということです」と、核酸化学・工学ユニットのポストドクトラルスカラー、ヴェンカット・ソンタケ博士は言う。

ハイドロゲルブロックは、より強く対合する2本目のDNA鎖を加えると分解したため、2本目のDNA鎖は、ブロック同士を接合する2本のDNA鎖間の結合を阻害したといえる

ハイドロゲルブロックは、より強く対合する2本目のDNA鎖を加えると分解したため、2本目のDNA鎖は、ブロック同士を接合する2本のDNA鎖間の結合を阻害したといえる

この研究の意味について、横林洋平教授はこう話している。「これはまだ基礎研究ですが、将来的には、この技術を組織工学(ティッシュエンジニアリング。Tissue engineering)や再生医療に応用できる可能性があります。ハイドロゲルブロックの中にさまざまな種類の細胞を入れて、新しい組織や臓器を作るために必要な複雑な3次元構造を組み立てることができるようになるかもしれません」。

また、「応用の可能性はともかく、相互作用するDNA鎖といった微小な化学変化を目の当たりにできるのは素晴らしいことです。これが科学の面白いところです」と明かしている。

ユカイ工学と共同開発、STEM通信教育「ワンダーボックス」にロボットの組み立てを通し学べる「メカニクスラボ」登場

EdTech(エドテック)スタートアップのワンダーラボは、STEM領域の通信教育プログラム「ワンダーボックス」のための新しいトイ教材「メカニクスラボ」を、ロボティクス領域スタートアップのユカイ工学と共同で開発し提供を開始する。

ワンダーボックスは、4歳から10歳の児童を対象に、遊びを通して思考力・創造力・意欲を育てる通信教育プログラム。その教材として新たに提供される「メカニクスラボ」は、自分で簡単なロボットを組み立てることで、電池とモーターの関係を学んだり、単純な構造のため試行錯誤が楽しめたり、多くの発見や探究心が引き出されるというもの。

ワンダーラボは、2021年12月末から2022年1月にかけて、ワンダーボックス会員向けに「メカニクスラボ作品コンテスト」を開催しており、子どもたちが自由に遊んでいる様子が見てとれる。

 

CO2排出量可視化・脱炭素化クラウドENERGY X GREENなど手がけるbooost technologiesが12億円調達

CO2排出量可視化・脱炭素化クラウドENERGY X GREENなど手がけるbooost technologiesが12億円調達

クラウド型エネルギーマネジメントシステム「ENERGY X」と、CO2排出量可視化・脱炭素化クラウド「ENERGY X GREEN」を展開するbooost technologiesは2月2日、シリーズAラウンドにおいて、総額12億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、リードインベスターのグロービス・キャピタル・パートナーズ、また東京大学エッジキャピタル(UTEC)、 NTTドコモ・ベンチャーズ。調達した資金は、事業と組織拡大のための採用強化・プロダクト強化に充当される。CO2排出量可視化・脱炭素化クラウドENERGY X GREENなど手がけるbooost technologiesが12億円調達

booost technologiesは、「次世代に誇れる未来を創造し、社会のために役立つテクノロジー集団」であることをビジョンに掲げ、カーボンフリーな未来の実現を目指すクライメートテック(気候テック。Climate Tech)カンパニー。

CO2フリー電力などの調達・供給を可能にするENERGY Xの提供をはじめ、2021年にはエネルギー分野での専門性と知見を活かし、組織の脱炭素化に必要なCO2排出量の「可視化」「計画策定」「予実管理・オフセット」「報告レポート」を行えるENERGY X GREENをリリース。ENERGY X GREENは、リリース当初から上場企業を中心に導入され、脱炭素化を推進する各業界のリーディングカンパニーに利用されているという。

2022年4月よりプライム市場における非財務情報の開示義務化が開始されるにあたって、ENERGY X GREENを導入する企業は順調に増加しているという。その状況を受け、さらなる脱炭素化を加速させるため「ENERGY X GREENのプロダクト強化」「アライアンス・パートナーシップ構築のためのパートナーサクセス体制の強化」「導入先のお客様に対する支援体制の強化」を目指し、今回の資金調達に至った。

プロダクトの強化については、業界ごとに最適化した機能や、排出量可視化後の排出量削減のための機能を特に拡充させ、2030年のSDGsの達成、および2050年の実質的なカーボンニュートラル実現を加速化させることを目標にしたいという。

核融合スタートアップ京都フュージョニアリングが総額20億円調達、グローバル核融合市場の取り込みと事業拡大を目指す

核融合スタートアップ京都フュージョニアリングが総額20億円調達、グローバル核融合市場の取り込みと事業拡大を目指す

核融合プラントエンジニアリングの研究開発を行う京都フュージョニアリングは2月2日、シリーズBラウンドとして総額13億3000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のCoral Capital、新規投資家のJICベンチャー・グロース・インベストメンツ、JGC MIRAI Innovation Fund、ジャフコ グループ、大和企業投資、DBJキャピタル。累計調達額は16億7000万円となった。

また、京都銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行など金融機関からの総額7億円の無担保融資契約の締結も進めている。これを含めると総額で約20億円となり、エクイティとデット両面での資金調達力を強化するとしている。

二酸化炭素を発生しない核融合は、環境問題とエネルギー問題を同時に解決できる技術として注目され、国際的な研究開発が加速しており、日本政府も2022年夏までに核融合国家戦略を策定することを発表している。これにともない、グローバルはじめ民間の核融合スタートアップも数多く設立され、多額の投資金が流れ込み、核融合市場が急速に立ち上がりつつあるという。

京都フュージョニアリングも、その中の1つ。経済産業省のスタートアップ企業育成支援プログラム「J-Startup」認定、JETROの「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム」採択、特許庁の「知財アクセラレーションプログラム」採択など、国内で大きな期待を集めている。

同社は、今回調達した資金を活かし、大型案件受注など核融合市場での事業拡大を目指すとし、特に「世界的に開発が求められている」という核融合炉の加熱装置や熱取出し装置、核融合プラントエンジニアリングの技術開発を加速して、「日本の産業技術力をベースとしたグローバル展開」を狙うとのことだ。

調達目的

  • 研究開発投資の加速
  • グローバルに活躍するトップレベルエンジニアやビジネスパーソンの採用
  • 大型案件受注・事業拡大に伴う運転資金の確保

顧客体験プラットフォームのプレイドがKARTE Signals発表、ファースト・パーティ・データ活用し自社サイト内外で一貫した顧客体験実現

顧客体験プラットフォームのプレイドがKARTE Signals発表、ファースト・パーティ・データ活用し自社サイト内外で一貫した顧客体験を実現

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」(カルテ)を提供するプレイドは2月2日、ファースト・パーティ・データ活用によりサイト内外で一貫した顧客体験を実現するソリューション「KARTE Signals」(カルテ シグナルズ)の提供開始を発表した。KARTE Signalsは広告ソリューションとの連携を前提にしており、第1弾としてGoogle広告およびFacebook・Instagram広告への提供を開始する。

顧客体験プラットフォームのプレイドがKARTE Signals発表、ファースト・パーティ・データ活用し自社サイト内外で一貫した顧客体験を実現プレイドのKARTEは、ウェブサイトやアプリを利用する顧客の行動をリアルタイムに解析・可視化し、個々の顧客に合わせた自由なコミュニケーションをワンストップで実現するCX(顧客体験)プラットフォーム。

KARTE Signalsは、KARTEと顧客に関わるあらゆるデータを統合する「KARTE Datahub」を介して、自社サイトを訪問・利用する顧客のファースト・パーティ・データをサイト外での体験向上に活用できるサービス。自社サイトでの行動データだけでなく、自社CRMの購買データやオフラインのPOSデータなどもすべて統合。このKARTE Signalsと広告ソリューションを組み合わせることで、顧客の広告に触れる体験の向上と広告配信の最適化をKARTEというSaaSプロダクトにおいて実現する。

認知拡大から購買促進・継続利用までサイトの内外問わずあらゆる接点・チャネルで一貫した施策実施が可能としており、KARTE Signalsは今後、Google 広告・Facebook/Instagram広告以外の広告ソリューションへの提供も展開するという。

またSaaSとして提供することから、別途の環境整備やデータ基盤構築の必要もなく、自社内だけで運用を完結させることも可能だ。KARTE Signalsと広告ソリューションの連携についても開発は不要で、手間をかけずに広告予算の最適化を図れるとしている。

KARTE Signalsの特徴

  • あらゆるデータの収集と統合をワンストップで実現。ファースト・パーティ・データの活用を最大化
  • 広告媒体プラットフォーマーを横断して広告の一括配信を実現
  • KARTE独自の接客のデータ、機械学習を活用した予測モデル、オフラインのデータなどファースト・パーティでしか得られないデータを使った最適な広告運用が可能に
  • ピクセル欠損を補うために、FacebookのコンバージョンAPIを容易に利用可能に

昨今サード・パーティ・クッキー規制が本格化し、プライバシー保護がますます重要になる中で、ブランドのミッションは顔の見えない顧客を対象にしたコンバージョン最大化よりも、顔の見える顧客との関係構築とLTV向上へとシフトしている。

このような環境においてKARTE Signalsと組み合わせてオンライン広告を展開すれば、適切なプロセスによって取得したファースト・パーティ・データを活用し、顧客に合った広告を適切なタイミングで届けられるという。そのとき広告は有益な情報として機能し、エンゲージメントの向上に貢献するとしている。プレイドによると、イオンリテール、ポケットマルシェ、再春館製薬所などが先行し活用しており、その点についてすでに評価を得ているそうだ。

ポケットマルシェは、「新規ユーザーの獲得について、より継続的に購入してくれているユーザーのコンバージョンデータをKARTE Datahubから Google 広告に戻すことによって、私たちのサービスや目指す世界観と親和性の高いユーザーの特徴を捉えてアプローチできました」とコメント。再春館製薬所 海外本部は、「海外市場では、日本以上にFacebook広告のターゲティングが重要な位置づけです。サード・パーティCookie規制の影響もあり広告パフォーマンスは低迷、CAPI対応が急務でしたが、自社で対応するにはリソースの負荷が大きい状態でした。KARTE Signalsによって、サーバーのデータを直接Facebookサーバーへと連携させることができるので大変助かりました」と述べている。KARTE Signalsでオンライン広告のLTVやNPSなど指標を確認することで、広告の価値を顧客とのエンゲージメントの観点で評価できる。

垂直農業の米KaleraがSPAC上場を検討

垂直農法(バーチカルファーミング)の企業がまた1つ、SPACを利用してNASDAQに上場する計画を明らかにした。今週、米国フロリダ州に本社を置くKalera(カレラ)が、Agrico Acquisition Corp.(アグリコ・アクイジション・コープ)との合併計画を発表したのだ。この合併により同社の評価額は3億7500万ドル(約433億1000万円)となる。現在、Euronext Growth Oslo(ユーロネクスト・グロース・オスロー)取引所に上場しているKaleraの株価はこの1年下落が目立っていたが、今回の動きは、このカテゴリーに多くの期待が寄せられていることを示している。

Google Finance(グーグル・ファイナンス)のデータによれば、同社の評価額の下落は際立っている。同社の株価はこの52週間の最高値である1株あたり5.99ドルから、直近ではわずか0.91ドルにまで下降しているのだ(ニュースリリースによれば、同社は今回の取引の一環として、現在の取引所からの上場廃止を予定している)。

すでに上場しているのに、なぜSPACを行おうとしているのか?この取引により、同社は現在の4つの農場を10に増やすための資金を得ることができる。2021年12月の投資家向けプレゼンテーションによれば、同社は「2022年の資金調達要件を満たすために、さまざまな資金調達の選択肢を積極的に追求している」と述べている。

その理由を納得することは難しくはない。同社の2021年第3四半期決算報告書によると、2021年の1~9月に営業活動で870万ドル(約10億円)の支出があったが、同時期の投資キャッシュフローはより厳しく、マイナス1億1000万ドル(約127億1000万円)となった。Kaleraは6150万ドル(約71億円)の資金調達により、これらの不足を一部相殺したが、2021年第1四半期の純現金収支は5720万ドル(約66億1000万円)の赤字となった。9月の四半期決算では、5620万ドル(約64億9000万円)相当の現金および現金同等品を保有していた。より簡単に言えば、事業の赤字が深刻で、純利益の黒字化はおろか、キャッシュフローが損益分岐点に到達するのもはるかに遠いため、同社が拡大を続けるためにはさらなる資金が必要だということだ。

Kaleraが合併を予定しているSPACのAgricoは「1億4660万ドル(約169億3000万円)の現金が信託されている」という。これにより、Kaleraは、現在のキャッシュポジションが許すものよりもはるかに長い時間をかけて、業績を改善することができるだろう。

成長する市場

今回の買収は、急成長中のカテゴリーの健全性を示す指標となるだろう。2021年、AeroFarms(エアロファームス)はSpring Valley Acquisition Corp.(スプリング・バレー・アクイジション・コープ)とのSPACを計画していたが、AeroFarmsが最終的に「株主の利益にならない」と発表したことを受けてSPAC取引は中止された

AgricoのCEOであるBrent De Jong(ブレント・デ・ジョン)氏は「Kaleraは、稼働中または建設がほぼ完了している10の施設と、環境制御に特化したシード事業である子会社のVindara(ビンダラ)により、垂直農法業界のリーダーとしての地位をすでに確立しています」と述べている。「提案されているAgricoとの合併によって、Kaleraは葉菜類の垂直農法企業としては初めて、地元に密着しながら、米国内に拠点を持ち全米規模の長期供給契約を確実に結べるようになります」と述べている。

「米国内に拠点を持ち」という表現は興味深い。確かに、AeroFarmsやBowery(バワリー)など、地域的に成功を収めている企業は少なくない。垂直農法は地域密着型の性質を持つので、米国本土に拡大するには多くの農場を建設する必要がある。結局このカテゴリーは、一般的な農場を展開できない都市部でのサービスが大きなセールスポイントとなっている。そうした都市部の中もしくは隣接地に屋内農園を建設すれば、農産物を遠隔地から輸送する際の排気物を十分に削減することができる。

Kaleraは現在、地元オーランドをはじめ、アトランタ、ヒューストンで農場を運営しており、さらにデンバー、シアトル、ホノルル、コロンバス、セントポールでも農場を建設中だ。特に最後の2つは、米国の伝統的な農場地帯である中西部に事業を立ち上げるという点で興味深い。また、Kaleraはミュンヘンとクウェートで海外農場を運営しており、シンガポールには3つ目のファームを建設中だ。

両社は、SPAC取引を2022年の第2四半期中に完了させる予定だ。現在の暫定CEOであるCurtis McWilliams(カーティス・マクウィリアムス)氏は引き続き同社を率いる予定である。

画像クレジット:JohnnyGreig / Getty Images

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(文:Brian Heater、Alex Wilhelm、翻訳:sako)