2018年米国トップ10のベンチャー投資はこれだ

米国企業3社が2018年、1回の投資ラウンドで10億ドル超を調達した。米国のスタートアップが調達した額は今年、初めて1000億ドルを超えると予想されている。

大方の場合察せられることだが、そう、ソフトバンクがこれらのラウンドの多くに関わっている。今年のベンチャー投資トップ10をみてみよう。

Epic Games: 12億5000万ドル

Fortniteがオリジナルのリリースからわずか1年で絶対的な現象となったことを考えると、プライベート投資家がこのゲームを手がけたEpic Gamesに資金を注入したがったのは驚きではない。10月、Epic GamesはFortnite帝国を成長させ続けるために、12億5000万ドルをKKR、Iconiq Capital、Smash Ventures、Vulcan Capital、Kleiner Perkins、Lightspeed Venture Partnersから調達し、企業価値が150億ドルになったと発表した。ゲームFortnite単独で2018年の売上に20億ドルもたらすと予想され、登録プレイヤーは2億人とされている。

ノースカロライナ州ケーリーに拠点を置くEpic Gamesの巨額の資金調達は、ゲーミングやeスポーツのスタートアップがまさに飛び立つための資金調達をした中で抜きん出ていた。Crunchbaseによると、この業界におけるグローバルのベンチャー投資は2018年上半期に75%増の7億100万ドルとなった。Epicのラウンド、そして今週あったDiscordの1億5000万ドルの資金注入、6月以来のいくつかの資金調達を考えると、2018年下半期は間違いなくこの分野での記録を更新する。

Uber: 12億ドル

2018年最大のラウンドの一つは、今年初の大きなファイナンシングの一つだった。公平を期すためにいうと、ソフトバンクによるUberへの12億ドルの投資にかかる交渉や、これに関する報道は2017年にあった。しかしディールが公式にクローズしたのは1月だった。このディールは多くの理由でとても大きいものだった。まず第一に、このディールによりUberの創業者で前CEOのTravis Kalanickは億万長者になったー単に書類上だけではない。そして、ソフトバンクはこの配車サービス大企業の大株主という立場におさまった。

このラウンドにより、サンフランシスコ拠点のUberがこれまでに調達した額は200億ドル超となり、評価額はおおよそ720億ドルとされている。Uberは2019年第一四半期に予定している株式公開の書類を密かに提出している。

Juul Labs: 12億ドル

2018年最も噂になった企業の一つ、Juulはプライベート投資家のTiger GlobalやFidelityなどから2018年半ばに12億ドルを調達した。そして今月、ティーンエイジャーの間で人気のこの電子タバコメーカーは評価額380億ドルのMarlboroメーカーから128億ドルの投資を受け入れた。Juulは、主力商品そのものや、若い世代へのマーケティングに関する倫理、そして倫理の欠如で大きな議論を巻き起こしただけでなく、前例がないほど素早く価値を増やした。Juulの企業価値は、VCによる初のラウンドから7カ月で100億ドルを越したーこれはFacebookより4倍早い。

公衆の視線や規制にさらされること、またAltria Groupとのパートナーシップの完結が予想れる2019年は、サンフランシスコ拠点のJuulにとって興味深い年になりそうだ。Altria Groupとのパートナーシップは、 JuulのCEO、Kevin Burnsによると、すでにJuulが成功している「大人の喫煙者への切り替えの加速をサポートする」ものとなる。

Magic Leap: 9億6300万ドル

かなり資金調達しているバーチャル・リアリティ企業Magic Leapを抜きにして、今年最大のVCディールについての総まとめにはならない。フロリダ州のプランテーションにひっそりとある創業8年のMagic Leapは、ラウンドに次ぐラウンドを実施し、ハードウェアとソフトウェアを開発するために20億ドル超を調達している。企業価値を63億ドルにした、今年の大きなラウンドの主要投資家はTemasekとAT&Tで、AT&Tは米国において今夏始まるMagic Leapプロダクトの独占的“ワイヤレス配給者”となると発表した。Google、Alibaba、Axel SpringerもまたMagic Leapを支援している。

Magic Leapは今年、最大のVCディールの一つを行なっただけでなく、ようやく旗艦商品となるMagic Leap One ARヘッドセットを消費者向けに出荷し始めた。ここに至るまでには長い時間がかかっているー実際、数年だ。あまりにも時間がかかり、多くの人が噂のヘッドセットが陽の目を浴びるかどうか疑った。しかし今、ヘッドセットは48州で購入可能となっている。ただし、その価格は2000ドル超もすることは、言及するに値するだろう。

Instacart: 6億ドル

Instacartは食料・日用品を米国の全世帯に届けると言う高い目標を持っている。そしてそれを達成するには多くの現金を必要とする。Y Combinatorスタートアップアクセラレーターを2012年に完了させて以来、毎年VCによる資金調達を行なっている。10月、InstacartはD1 Capital Partnersが主導するラウンドで6億ドルを調達し、評価額を76億ドルにした。サンフランシスコに拠点を置き、これまでにCoatue Management、Thrive Capital、Canaan Partners、Andreessen Horowitzなどから16億ドルを調達している。

InstacartのCEO、Apoorva Mehtaはこのスタートアップがあまり資金を必要としなかった当時、TechCrunchに対し、これは“御都合主義”の戦い以上のものだ、と述べている。結局マーケットは加熱し、Instacartは規模を拡大するという野心的な計画を持っていて、Amazonというすごい競争相手がいる。IPOに関しては、Mehtaは「兆しが見えてくるだろう」と言った。

Katerra: 8億6500万ドル

ソフトバンクの2018年最初の大きな賭けの一つは建設テクノロジーだった。Vision FundからKaterraに8億6500万ドルの資金を拠出し、これによりKaterraの評価額は30億ドルになった。カリフォルニア州のメンローパークの外側に拠点を構えるテックスタートアップKaterraは、建物の開発、デザイン、建設を手がけている。1月に実施したプロジェクトのための資金調達のとき、KaterraはTechCrunchに対し、住宅から病院、学生寮に至るまで新たな建物建設の予約金が13億ドル超にのぼったことを明らかにした。Katerraはプライベートエクイティ王だった3人によって2015年に設立され、これまでにソフトバンクやFoxconn、Greenoaks Capitalなどから計11億ドルを調達している。

6月、Katerraはオフサイト製造テクノロジー専門のKEF Infraと合併し、インドと中東マーケットで事業を開始すると発表した。

Opendoor: 7億2500万ドル

ソフトバンクが今年支援したOpendoorの2つの大きな投資は計7億2500万ドルで、企業価値は25億ドルとなった。このディールでソフトバンクは、オンライン不動産マーケットプレイスであるOpendoorの少数株を取得し、5人いる業務執行取締役のうちの1人であるJeff HousenboldをOpendoorの取締役メンバーにおいた。このラウンドでOpendoorの累計調達額は10億ドルを少し超えたーそのほとんどは2018年に実行された。2014年に設立されたサンフランシスコ拠点のこのスタートアップはFifth Wall Ventures、GV、Andreessen Horowitz などにも支援されている。

TechCrunchのConnie Loizosによると、HousenboldはOpendoorの共同創設者でCEOのEric Wuと一緒に働くことを望んでいた。「彼が[ソフトバンクに]加わった時、僕にすぐ連絡をくれて知らせてくれた…一緒に働く機会があれば、と言っていた」とWuは語った。

Lyft: $600M

Lyftは今年を忙しいと年とすることができた。6億ドルを調達して評価額を151億ドルにしただけでなく、バイクシェアリングのMotivateを買収し株式公開の書類を提出した。Logan GreenとJohn Zimmerによって2012年に創業されたこの会社は、長らくUberと競争を展開してきた。そしてこの競争は2019年の早い時期に予定されているIPOレースでも続けられることになりそうだ。

Uberよりずいぶん小さく、米国とカナダのみで事業展開しているLyftは、KKR、Mayfield、Didi Chuxing、Floodgateなどから50億ドル近くの資金を調達している。

サンフランシスコに拠点を置き、過去2年は米国マーケットで急速に事業を拡大し、また自動運転車両の開発という野望も追求している。

Automation Anywhere: 5億5000万ドル

このリストの唯一の驚きが、創立15年になるロボティック工程オートメーションのプロバイダーAutomation Anywhereだ。同社はシリーズAで計5億5000万ドルを調達し、そのほとんどはソフトバンクのVision Fund、NEA、General Atlantic、Goldman Sachsによる。このラウンドでAutomation Anywhereの企業価値は26億ドルになった。PitchBookによると、カリフォルニア州サンノゼに拠点を置く企業のための支援制度の初ラウンドとなった。

TechCrunchとの話の中で、Automation AnywhereのCEO、Mihir Shuklaはソフトバンクの創業者でCEOの孫正義氏がいたからソフトバンクに魅了された、と語った:孫はビジョンを持っていて、働き方や旅行の仕方を変える基礎プラットフォームに投資している。我々はそのビジョンを共有している。

Peloton: 5億ドル

Pelotonの成長は2018年に爆発した。4000ドルのトレッドミルを発売し、オリジナルのフィットネスストリーミングコンテンツを倍増させ、エクイティ資金調達でさらに5億ドルを調達して評価額を50億ドルにした。“フィットネスのNetflix”と呼ばれる、ニューヨークに拠点を置くこのスタートアップは、John Foleyによって設立されて以来、6年間で10億ドル近くを調達した。L CattertonやTrue Ventures、Tiger Globalなどが支援している。

UberやLyftのように、Pelotonも2019年に株式公開することが予想されている。 Foleyは今年初めウォール・ストリートジャーナルに対し、固まった計画は持っていないが、2019年というのは株式市場デビューするのに“大いに理にかなう”と語っている。

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(翻訳:Mizoguchi)

2018 年もありがとうございました!ブログのアクセスランキングで振り返る 2018 年

2018 年も残すところあと数日となりました。ウェブマスターのみなさまにとって 2018 年はどんな一年だったでしょうか?

今年もウェブマスター向け公式ブログをはじめ、ウェブマスター ヘルプ フォーラムウェブマスター オフィスアワーやイベントなど、多くの方にご参加、ご愛読いただきありがとうございました!また、特にイベントについては今年は全国で 10 ヶ所以上の地域のイベントに参加することができました。お声がけいただいたみなさま、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

さて、それでは 2018 年をウェブマスター向け公式ブログへのアクセスから振り返ってみたいと思います。今回は Search Console で計測したクリック数で振り返ってみたいと思います。
  1. モバイル ファースト インデックスを開始します
  2. 医療や健康に関連する検索結果の改善について
  3. 新しい Search Console をご紹介します
  4. Google Dance Tokyo 2018 開催のお知らせ
  5. reCAPTCHA v3 をご紹介します。Bot の活動を阻止する新しい方法
  6. Lighthouse Chrome 拡張機能に追加された SEO カテゴリのご紹介
  7. ページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素に使用します
  8. Google Dance Osaka 2018 開催のお知らせ
  9. HTTPS ページが優先的にインデックスに登録されるようになります
  10. 複数ページにまたがる記事やコンテンツをお持ちの方へ。rel=”next” と rel=”prev” を使用したページネーションのご紹介
第一位は、2016 年の末に事前告知を開始したモバイル ファースト インデックス(MFI)開始の記事となりました。MFI については最近の記事(英語)でグローバルで MFI 移行率が 50% を超えたことを発表しました。まだ移行されていないサイトをお持ちでしたら、いま一度構造化データや画像の ALT タグなどがモバイルでもきちんと設定されているかどうかを確認して頂ければと思います。第二位には「医療や健康に関連する検索結果の改善について」が、第三位は 1 月に公開を開始した新しい Search Console のベータ版を公開した記事となりました。こちらは 9 月に正式版となり、旧ツールからの移行が進んでいます。

第四位は Google 主催による検索のイベント、Google Dance Tokyo の告知となりました。今年は Google Dance を大阪でも開催し、第八位にもランクインしているのは非常に嬉しいですね。開催報告(東京大阪)も公開していますのでぜひ合わせてご覧ください。2019 年も開催できればと思いますので、楽しみにしていてください。

第五位は、新しくなった reCAPTCHA の記事でした。スパムや不正行為を防ぎつつ、ユーザーの利便性も高めることができます。

第六位は Lighthouse に SEO カテゴリが追加された記事となりました。第七位に入った Speed Update に関連して、ページの読み込み速度を計測するツールとしてPageSpeed Insights とともに注目を集めました。新しくなった PageSpeed Insights では、Lighthouse の分析エンジンを使用していますので 2 つのツールで測定する必要がなくなりました。

第九位は https 関連の 3 年前の記事となりました。https の導入が進んでいくことでウェブの安全性が高まりますので非常に嬉しく思います。

そして第十位にページネーションが入ったのも見逃せません。こうした記事に注目が集まる事で、検索ユーザーが探している情報をより見つけやすくなります。

いかがでしたでしょうか?2017 年は検索結果やコンテンツの品質に関する記事が上位を占めていましたが、今年は 2018 年の様々な話題が散りばめられた結果となりました。見落としていた記事などありましたらぜひ年末年始の間にでもご覧いただければと思います。

それでは 2018 年もありがとうございました!
2019 年もよろしくお願いします!

Takeaki Kanaya, Senior Search Evangelist, Google

NetflixからシリアスSF『バンダースナッチ』――『ブラックミラー』特別編で対話的ドラマらしい

Netflixが配信を開始する『ブラックミラー:バンダースナッチ』は平行世界をシリアスに描くSFドラマだ。

NetflixはSFアンソロジーの『ブラックミラー』シリーズで高い評価を得ているが、『バンダースナッチ』はその特別編という位置づけになる。Netflixはドラマの存在を発表したのさえ先週というほどの徹底した秘密主義をとってきた。ともあれ12月28日配信開始〔日本も同時〕なのですぐに実際に視聴できる。発表によればトータルで5時間12分の放映時間になるという。

『バンダースナッチ』はわれわれが10月に取り上げた対話的筋書きのドラマの最初の例になっているかもしれない。これは視聴者がドラマの展開に参加して筋を選べるという試みだ。作り方によっては視聴に非常に時間がかかる可能性があるが、複数のストーリーを5時間12分にまとめあげているということかもしれない。

今日(米国時間12/27)、Netflixが公開した予告編では「ブラックミラーの特別イベント」とされていた。舞台は1984年、主人公はファンタジー小説を原作とするゲームを開発するプログラマー。映画『ダンケルク』でデビューしたイギリス出身の若手、Fionn Whiteheadが演じる。

予告編は謎めいており、対話的ドラマだと明言はしていない。しかしファンタジー・ゲームというテーマといい、「心を変える―人生を、過去を、現在を、そして未来を変える」というキャッチフレーズといい、大いに暗示的だ。

ともあれ長く待つ必要はない。Netflixは「12月28日から公開(日本では今日)」と述べている。

画像:Netflix

〔日本版〕Wikipediaは、Fionn Whiteheadのファーストネームはケルト神話に由来するもので、「フィオン」ではなく「フィン」という表記が正しいとしている。ただし、YouTubeでイギリス人のホストが「フィオン」と発音している例もある。

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滑川海彦@Facebook Google+

中国の若者全員をオタクにするAlibabaの奇策は胃と目のための格安合同会員制

最近の中国の人たちには、外出しない理由がたくさんある。忙しすぎて職場に缶詰めかもしれないし、大気汚染がいやだったり、孤立した生活が好きだったりする。それらの中で今とくに増えているのが、実体のある現実よりもビデオゲームやアニメ、漫画などの仮想世界にいることを好む若い消費者層だ。さらに重要なのは、オンラインショップやフードデリバリーなどのサービスで彼らの閉じこもり欲求に取り入ろうとする、数えきれないほど多くのスタートアップがいることだ。

中国の二つの大手インターネット企業が、このようなインドア人間たちをつかまえようとしている。先週フードデリバリーの大手Ele.meは、若者向けのエンターテインメントサイトBilibiliと組んで、短期で一度かぎりの合同会員制を作り、若い消費者たちをなお一層、出不精にしようとしている。

Ele.meは、中国語で“お腹(なか)すいてる?”という意味で、4月にeコマースの巨獣Alibabaに買収された。今年アメリカで上場したBilibiliは、最初アニメ専門のビデオストリーミングサービスだったが、今では若者文化の何でも屋になっている。アニメ、漫画、コスプレ、ビデオゲーム、そのほかのなんと呼んでいいのか分からないようなさまざまなニッチなどなど、何でも揃えている。

今回の両者のパートナーシップでユーザーには、アニメの無制限ストリーミングと超安値のフードデリバリーのセットが提供される。Bilibiliは最近ではコンテンツへの投資を増やしていて、中国最大のインターネット企業のひとつであるNeteaseの保有コミックのほとんどすべてを買い上げた。大好きな連続アニメを無限に見られて、しかも、お腹(なか)がゴロゴロ言っても家の外へ出なくてよい、これ以上の幸せがあろうか。健康的なライフスタイルではない、かもしれないけど。

このプロモーションでは12月23日から30日まで、月額25元(3.63ドル)で両社合同の会員になれる。通常、二社別々に会員登録したら、これよりも15元高くなる。この提携が合理的と言えるのは、客層がどちらもジェネレーションZ(Z世代)だからだ。QuestMobileのレポートによると、2017年にはBilibiliのユーザーの約82%が8歳から28歳までの層だ。そして中国では、ネットで出前を頼む人たちの60%以上が24歳以下だ

iiMediaによると、中国のフードデリバリー市場は2018年末で2430億元(350億ドル)に達する。フードデリバリーアプリのユーザーは3億5500万人と言われる。これは中国の人口の約40%に相当する。5年前には、ユーザー数1億強の市場、と言われていた。

このブームで、マーケットリーダーであるEle.meの正価も上がり、Alibabaが買収したときの同社評価額は95億ドルだった。そしてTencentが支援する同じくフードデリバリー大手Meituan Dianpingは9月に香港で、華々しいIPOを飾った。

AlibabaとBilibiliは両社の合同会員制のことを“Zhai E Kuai”と呼んでいる。これは“一緒にオタクになりましょう”、という意味で、オタクは元々日本語で“あなたの家”を意味する敬称だったが、のちに、何かに夢中で家に閉じこもっている人を指す現代的な俗語になった。Bilibiliの熱心なユーザーは、アニメやビデオゲームのオタクと呼ばれることが多いが、もちろんその全員が外の世界を避けているわけではない。

AlibabaはBilibili以外にもStarbucksと組んで、、両社のリワードシステムの統合を始めた。〔Starbucksの’Star’, 一種のポイント制〕

中国のテクノロジー大手でも、販売促進策としてAmazon Primeのような優待会員制がますます人気になりつつある。たとえば、Alibabaのポートフォリを企業を集めた88 Membershipは、eコマース(Tmall), 生鮮(Tmall), フードデリバリー(Ele.me), ビデオストリーミング(Youku), 音楽ストリーミング(Xiami), 映画チケット(Taopiaopiao)などなどをカバーしている。一方、TencentのモバイルプランKing Cardは、中国の通信大手とパートナーして、ソーシャルネットワークやビデオストリーミング、ゲームなどTencentのエコシステム内ではアプリのデータ利用を無制限としている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IoT時代の授乳室「mamaro」が新たに10箇所に導入

授乳室・オムツ交換台検索アプリ「Baby map」など育児関連のサービス開発を行っているTrim。Trimとの包括的業務提携契約を2017年3月に締結し、自治体に特化したサービスを展開するホープは12月27日、Trimが開発・運営を行っている設置型授乳室「mamaro」が新たに10箇所に導入され、合計で20施設に設置されたと発表した。

mamaroの自治体への導入提案はTrimとの提携に基づきホープが行っており、両社は協力して事業の全国展開を進めている。

mamaroは「手軽に設置」「安心・清潔」「コンテンツ配信」が特徴の設置型授乳室。授乳やおむつ交換などの際に赤ちゃんをケアできる完全個室の授乳室で、折りたたんだベビーカーも持ち込み可能なほどの広々とした個室となっている。

従来の施設との違いはIoT時代の「スマートな授乳施設」である点だ。Baby mapアプリから空き状況が見えるほか、不正利用を感知するセンサーを内蔵しているので不正利用を検知した際にはアラートがでる。ホープによると「安心して授乳できる環境が十分に整っておらず、トイレや更衣室を授乳室として利用する保護者の方が多く、空きスペースに簡易間仕切りで囲った仮設の授乳室で対応している自治体もあった」という。そのため施設を利用する住民や職員からの改善要望の声も多く、今回新たに10施設への施設に導入が決定した。

なお設置型授乳室には「mamaroView」というデジタルサイネージのメディアが搭載されており、施設案内など導入企業のオリジナルコンテンツを配信することが可能だ。

ホープは社会問題である「授乳室不足」の解消を目的とし、上記のとおり2017年3月よりmamaroの自治体への導入促進を行ってきた。

ホープによると「安心して授乳できる環境が十分に整っておらず、トイレや更衣室を授乳室として利用する保護者の方が多く、空きスペースに簡易間仕切りで囲った仮設の授乳室で対応している自治体もあった」という。そのため施設を利用する住民や職員からの改善要望の声も多く、今回新たに10施設への施設に導入が決定した。

mamaroが設置されている施設は以下のとおり。今後もさらに多くの施設に導入されることを期待したい。

ルンバを使って自宅のDoomレベルを作る「DOOMBA」

クリスマスに新しいロボット掃除機をもらったラッキーな人もいることだろう。実はこれ、あなたが思っている以上に役に立つ。家をきれいにしてくれるだけでなく、周囲をスキャンして我が家のDoomのレベルを作ることもできるのだ。新年を迎えるにふさわしい!

残念ながらこれはiRobotの公式機能ではなく、ベテランのゲームエンジニアRich Whitehouseが成し遂げたハックだ。彼はRoombaがセンサーを使って非常に詳細な周辺データを集めていることを知り、この能力を25年続くビデオゲームに応用すべきだと当然のごとく思った。

DoomとRoombaを組み合わせることによって、Whitehouseはちょっと面白い何かを作るだけでなく、「人類を悩ませる本当にひどいダジャレを放てる」ことに気がついた:その名もDOOMBA。

しくみこうだ、ただしあなたがRoomba 980を持っていなければ、一切動く保証はない。特別なツールを使ってパソコンがワイヤレスネットワークの中でRoombaを見つけると、移動を追跡してデータを収集する。ロボットが仕事を終えると、データはファイルに保存され、Whitehouseの画像/モデル変換アプリNoesisのプラグイン、DOOMBA経由でDoom WADに変換できる。

レベルの形状はあなたの場所に基づいて作られるが、もちろん見た目は少々異なる。おそらくモンスターの数が多い。乱数の設定によって、新しい地獄のようなバージョンの我が家にどんな武器やモンスターが登場するかが決まる。

DoomとRoomba以外は完全無料なので、両方持っている人は今すぐ始めよう。この楽しい暇つぶしを作ってくれたRichに感謝!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPayが3Dセキュア対応、不正利用を補償

ソフトバンクとヤフーの合弁会社のPayPayは12月27日、3Dセキュア(本人認証サービス)の対応とクレジットカード不正利用への補償について発表した。

この発表によるとスマホ決済サービス「PayPay」はクレジットカード不正利用の対策として2019年1月、3Dセキュアに対応する。3Dセキュアとは事前にカード発行会社に登録したパスワードを入力することで本人認証を行い、不正利用を防ぐ仕組み。利用するには事前にカード発行会社でパスワードを登録する必要がある。

PayPayは2018年12月18日、セキュリティコードを含むクレジットカード情報の入力回数に制限を設けたが、調査の結果「クレジットカード登録時にセキュリティコードを20回以上入力し登録に至った件数はPayPayのサービス開始以来13件」であり、クレジットカード情報の入力回数に制限を設けるだけでは「根本的な対策にはならない」と判断。

むしろ主な要因は「外部で入手したセキュリティコードを含むクレジットカード情報が利用されたことである可能性」が高いため、3Dセキュアの対応を決定したという。

12月21日に発表されているとおり、3Dセキュアの対応が完了するまではクレジットカードでの決済金額の上限は5万円。

補償に関しては、上記の13件以外にも、調査で判明した「セキュリティコードを一定回数以上入力し登録に至ったクレジットカードのなかで、PayPayでの利用があったカード」に関して、カード会社と連携を進めている。

カード会社で不正利用の疑いが確認された場合は、カード会社からユーザーに連絡をし、請求停止や返金等の措置を行うよう要請を行っている。返金額についてはPayPayが全額を補償。またユーザーの申告によりカード会社にて不正利用が認められた場合にも、同様にカード会社より請求停止や返金等の措置を行い、PayPayが返金額の全額を補償する。

PayPayは12月4日に開始しわずか10日間で終了した「100億円あげちゃうキャンペーン」で大きな注目を集めたが、クレジットカードの不正利用により不本意な形でスポットライトを浴び続けることとなった。

同社は「クレジットカードの不正利用が発生したことを重く受け止め、上記を含めたさまざまな対策を講じ、安全・安心なサービスの運用に向けて全力で取り組んでいきます」とコメントしている。

クリスマスにAlexaがクラッシュ、サーバーの過負荷か

Amazonの今朝(米国時間12/26)の発表によると、Alexaデバイス、中でもEchoとEcho Dotは、ホリデーシーズンのベストセラーだった。しかしクリスマスの日に生まれて初めて自分たちのデバイスをセットアップする新しいユーザーの急増は、Alexaが対応できる範囲を超えていたようだ。クリスマスに何千もの新しいAlexaデバイスのオーナーたちが全員同時に、自分のEchoをAmazonのサーバーに接続しようとしたとき、そのサービスは短時間クラッシュした。

The Guardianが最初に報じたAlexaのサービス停止は、GMTで午前10時ごろ起こり、音楽やスマートホームのコントロールなど、いつもやらせる仕事ができない、という苦情が既存のEchoオーナーたちから殺到した。

インターネットにも、家の中のWi-Fiにも問題ないのに、デバイスをセットアップできない、それはきっとサーバーのダウンだ、という苦情も多かった。

AmazonはGMT 1:43PMに、ヨーロッパでは原因を特定できた、とツイートした

“2時間あまりヨーロッパのEchoデバイスの一部の、接続が不安定でした。”

AmazonのTwitterアカウントがこうツイートしたころには、サービス停止は直っていたから、それは2時間ぐらい続いたようだ。

Amazonのスポークスパーソンも本誌TechCrunchに対して、サービス停止を認めた。

“昨朝短時間、Alexaの一部の顧客に間欠的に迷惑をおかけする問題が起き、サービスとの対話ができなくなりました。現在Alexaのサービスは正常に機能しております。”

サービス停止の原因やその対策について、Amazonは黙っている。しかし原因はたぶん、サービスへのリクエストの急増だろう。クリスマスにはApple App StoreでもGoogle Play Storeでも、Alexaアプリがトップだった。だから大量の、初めてEchoを使うオーナーが、セットアップのためにサーバーに殺到したことがトラブルの原因だろう。

WebサイトDown Detectorも、ヨーロッパで起きたAlexaのトラブルに気づき、ピーク時には2183件の報告が来た、と言っている。報告は2時間後には収まってきた。

Alexaのサービス停止はこれが初めてではないし、今年初めてでもない。このサービスは、サーバーの問題や過負荷によって、ときどき無応答になる。たとえば3月には、Alexaのモバイルアプリが動いているのに音声がダウンした

そして9月には、ヨーロッパ全域でAlexaがダウンした。アイルランドにおけるAWSのダウンが原因らしい。その前月にはアメリカでもサービス停止が起こり、EchoなどAlexaデバイスは、どんなリクエストにも“sorry, something went wrong.”(すみません。問題が起きました。)と答えた。

ヨーロッパはAlexaの成長市場なので、今年は6月にイタリアとスペインに導入した。今ではほかに、イギリス、オーストラリア、インド、ニュージーランド、ドイツ、日本、アイルランドにも対応している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新しいソーラー技術が再生可能エネルギーを大きく後押しする

英国オックスフォードからカリフォルニア州レッドウッドシティまで、いくつもの会社が再生可能エネルギー発電の普及を促進する可能性を持つ新しいソーラー技術の商品化に励んでいる。

今年、オックスフォード大学と協力関係にあるスタートアップ、Oxford PV英国政府から300万ドルの資金を受け、新しい材料を使って太陽電池を作る技術を開発している。一昨日、米国ではSwift Solarという会社が同じ技術を市場に出すために700万ドルを調達した。証券取引委員会に提出した資料による。

ペロブスカイト太陽電池と呼ばれる新しい光起電技術は、有機・無機ハイブリッドハロゲン化鉛系材料を集光レイヤーに使用する。光を電力に変換する効率を現在の技術よりも低コストで改善するここ数年で初の技術だ。

「ペロブスカイトは現在屋根の上に見えているシリコンベースのソーラーパネルでできることを、根本から考え直させるものだ」とSwift Solarの共同ファウンダーで最高科学顧問のSam StranksがTed Talkで語った。「もうひとつ私を驚かせているのが、コストの安さだ」。この薄い結晶膜は2種類の豊富にある塩類を混ぜて作られている。その結果ペロブスカイト太陽電池のコストはシリコンの半額以下になる」

ペロブスカイト太陽電池は2009年に日本の研究者らによって初めて開発されたが、効率が低く不安定だったため、広く利用されることがなかった。しかし、過去9年間に材料の安定性と太陽電池の効率の改善が続けられた。

現在英国のOxford PVは変換効率37%の太陽電池開発を進めている——既存の多結晶光起電あるいは薄膜太陽電池よりはるかに効率が高い。

過去には太陽電池製造のさまざまな新技術が開発されたが、コスト高が商業化の障壁だった。中国政府による製造能力の強力な推進のおかげでソーラーパネルの価格が急激に下がったためだ。

多くの製造メーカーは結局閉鎖したが、生き残ったメーカーが業界の支配的立場を維持していることで、購入者はコスト削減や効率アップのために新技術を求める必要がなかった。

この新テクノロジーも同じリスクに直面する可能性がある。効率を劇的に高めるこの技術のコストは、購入者や投資家を魅することができるほど低い。

すでにOxford PVは、ペロブスカイト太陽電池で27.3%という変換効率の新記録を達成している。これは、現在入手可能な単結晶シリコンパネルの最高値をすでに4%上回っている。

「現在、商業サイズのペロブスカイト太陽電池は当社のパイロット製造ラインに乗っており、商品化に向けて機材とプロセスを最適化しているところだ」どOxford PVのCTO Chris Caseが声明で語った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルネットワークがもはやソーシャルでなくなった年

プライベートコミュニティに目を向けよう

「ソーシャル・ネットワーク」 という用語は、何を意味しているのだろうか。これら2つの単語をペアにすると、技術カテゴリの1つになるし、1つの用語として捉えると、製品のグループを表すものになる。

しかし、ソーシャルネットワークは今でもソーシャルなのだろうか?Facebookアプリを開いたときにテクノロジー疲労を感じるのは、あなた1人ではない。それほど親しいわけでもない友人たちが、コメントスレッドで政治的問題について争っているところを見るのは、もはや楽しいものではない。

おそらくあなたは、複数のプラットフォーム上に、何十、何百、あるいは何千もの友人やフォロワーを持っていることだろう。しかし、それらの混雑した場所が、これほど空虚に感じることはなかった。

決して森の中に移住して、動物たちと語らって暮らせと言いたいわけではない。それに、Facebook、Twitter、そしてLinkedInが一晩で崩壊することはない。ソーシャルグラフ、デジタル履歴書、そしてイベントの管理など、それらはそれぞれ固有の価値を持っている。

しかし一斉伝達の要素を、ソーシャルな関係性と結びつけようとするコンセプトは死んだ。

興味を中心としたコミュニティから、厄介な隣人たちへ

あなたがもう十分に長い期間ウェブ上で活動しているならば、インターネットフォーラムの思い出が好きかも知れない。おそらく、ビデオゲームやハリーポッター、もしくはお絵かきが好きだっただろう。

分断されていることが大切だった。複数のフォーラムに顔を出して活発に活動することが可能で、そこでは他のフォーラムでのことを話す必要はなかったのだ。時間が経つにつれて、同じ名前がお気に入りのフォーラムに何度も登場するのを見ることになる。あなたはお決まりのジョークをひねり出し、皆と一緒に何かを発見し、笑い、泣き、そして感じていた。

私は10代の頃、複数のフォーラムで活動していた。私は1年に何千ものメッセージを投稿し、新しい知己を得ていたことを覚えている。まるでそれは友好的なグループと一緒に遊んでいるような気分にさせてくれた。それは皆が同じ情熱を分け合っていたからだ。

それは単なる、偽のインターネット関係ではなかったのだ。私はインターネット上の友人たちとかなりの回数「実世界でも」会ってきた。私はある日、スレッドのリストをブラウズしているときに、ある人が死んだことを知った。このフォーラムはその人にとって、とても大きな意味を持っていたので、多くの人たちが短いメッセージを投稿した。

ほとんどの場合、私は話している人の身元を知らなかった。私たちはみんなニックネーム(ハンドルネーム)を使っていて、ちょっとした情報をプロフィールに入れていた ―― 「ドイツ、シュトゥットガルト在住」とか「鉄道検札員」とか。

そしてFacebookがやってきた。最初はやはり、興味を中心としたコミュニティに過ぎなかった ―― 同じ大学に通っているということは、結局同じ興味を持っているということだから….。それから、彼らは大学を越えて拡大するために、それを皆に開放した。

友達のリストを眺めたときに、彼らがあなたのFacebook友達である理由は、同じ趣味を共有しているからではなく、ただある程度知っているからというだけの理由なのだ。

Facebookは、悪名高い「知り合いかも」機能を使って、倦むことなくより多くの友達を追加するように仕向けてくる。誰かを知ることと、話し合うべき何かを共有することは別問題だ。

ということが現在の状況だ。厄介な隣人たちがセクハラジョークをFacebookのフィードの上にシェアしている。

ソーシャルネットワークが大きくなるにつれて、コンテンツはゴミになった

Facebookのソーシャルグラフは、デザインとして破綻している。人間に、名前と顔を添えることで、友達申請は感情的なバイアスを伴うものになった。もしこれまで相手に5年間会っていなかったとしても、高校時代の親友の申請にNOと言えるだろうか。

これまでは友達のことを忘れても大丈夫だった。これまでは様々な人たちのことを忘れても大丈夫だった。しかし、ソーシャルネットワークを使って連絡を取り合うことが可能であるという事実が、そうした「忘れること」を社会的に受け入れがたいものにしている。

上手くやるには巨大すぎる

ソーシャルネットワークの重要な柱の1つは、一斉配信機能だ。メッセージを書いたり、写真を共有したり、ストーリーを書いたりして、友達やフォロワーに一斉配信することができる。

しかしこの一斉配信はスケーラブルではない。

ほとんどのソーシャルネットワークは現在上場企業である ―― 彼らは常に成長を追求している。成長は収益の増加を意味し、収益はユーザーがより多くの広告を見なければならないことを意味する。

より多くの広告を押し付けるための最善の方法は、あなたがより多くの時間をサービスの上で使うようにすることだ。複数のYouTubeビデオを見ると、より多くの動画前広告が表示されるようになる。そして、ソーシャルネットワークにもっと時間を費やさせるためには2つの方法がある。何度も戻って来るようにすること、そして訪れるたびに長時間留まるようにすることだ。

そして2018年は、小細工と邪悪なパターンデザインの年だった。あなたがサイトをより頻繁に訪れるように、企業たちはFOMO(fear of missing out:何か見逃すことの恐怖)を刺激する通知を、不完全でバランスを欠いた情報と共に送りつけてくる。

これは、ただアプリを開かせるだけではない。ソーシャルネットワークは現在、サービスの他の部分にもあなたを誘導したいと考えている。「この明るいオレンジ色のバナーをクリックしてIGTVを起動しませんか?この光沢のあるボタンを見てくださいよ!見て!さあ見て!」。

そして、あらゆるゲーミフィケーション、アルゴリズム駆動型の推薦、その他のスキナー箱的メカニズムがある。フィードを更新したときに感じるささやかなアドレナリンのピークは、たとえそれが週に一度しか発生しなかったとしても、何度も何度も戻ってこさせることになる。

Netflixが1シーズン分の番組をコンプリートした子供たちに、デジタルバッジを渡そうとしていたことを忘れてはならない。会社はその後、それが行き過ぎであったことに気付いた。それでも、米国の成人は1日あたり6時間近くをデジタルメディアの消費に使っている。そしてその半分以上が携帯電話を使ったものだ。

ソーシャルネットワークが毎回何か新しいものを提供する必要があることを考えると、彼らはユーザーたちになるべく多くの人をフォローし、可能な限り多くのYouTubeチャンネルのサブスクリプションをして欲しいと願っている。こうして、毎回ソーシャルネットワークを訪れるたびに、何かしら新しいものに出会うことになるのだ。

アルゴリズムは好みに応じてコンテンツを推奨し…そしてどうなると思う?最もデタラメで、偏向したコンテンツが最後にはその情報の山の上に積まれるのだ。

私はフェイクニュースや、今やユーチューバーたちがあなたの注意を引くためにタイトルを全部大文字で書いている、といった事実について語るつもりはない。そうしたことは他の記事で取り上げる。しかしYouTubeは、Logan Paulが、興味を引きつけアルゴリズムの裏をかくために、日本で自殺した人間を撮影したことにいまさら驚いてはいけない。

言い換えれば、ソーシャルネットワークが大きくなるにつれて、コンテンツはゴミになったのだ。

プライベートコミュニティ

集中化の後には必ず非集中化が続くものだ。ソーシャルネットワークの行き止まりに達した私たちは、自分たちのデジタルハウスを建てるときが来た。

遠くに離れた家族と連絡を取り合う場合には、グループメッセージが大切だ。しかしそれとは別に、あなたは自身の興味に基づいたグループを作成して、あなたが情熱を注ぐことに興味を持つ人たちと語り合うことができる。

大きくなりすぎていないソーシャルネットワークには、まだ方向転換をするチャンスがある。親しい関係を大切にするものにして、親しい人たちと語り合うための便利な機能を追加しよう。

言うべき興味深い事があるなら、自分自身の言葉でそれを語って欲しい。Mediumにサインアップする代わりに、ブログを作ろう。とはいえMediumは、読者があなたの言葉を読みたいときに、サインアップすることを強制することはないが。

もし休暇を完璧なInstagramのストーリー作りに費やしているのなら、そのことは冷めた目で眺めてみるべきだ。そこからキャリアを築いてInstagramの有名人になりたいのか、それとも写真や動画を自分のコミュニティに直接送ることを考えるべきなのか。そのことを考えないのなら、あなたはただ腐ったシステムに参加しているだけのことだ。

政治や生活全般についてコメントしたいならば、それはFacebook上の友達に対してではなく、あなたの身の回りにいる人と話し合うことを考えてみるべきだ。

携帯電話をポケットに戻して会話を始めよう。ひょっとしたらアプリアイコンの上に表示される赤いドットのことは忘れて、何時間も話し合うことになるかもしれない。

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(翻訳:sako)

魚を拡張現実を生成するタンクに入れてみたらそれを本物の現実と区別できた

ニュージャージー工科大学の研究者たちが、グリーングラス(glass knifefish)の“姿勢維持”機能を調べているとき、動物の電気的感知器官をリアルタイムで騙(だま)すための拡張現実を作った。その魚はさまざまな穴を自分の家にして身を隠す習性があるが、研究者たちは、魚が自分を安全に保つために利用している自動的自律的なセンサー機能を、このやり方で知りたいと思った。

准教授のEric Fortuneはこう語る: “いちばん興奮したのは、この研究によって、われわれが10年以上前から夢見ていたやり方で、フィードバックを調べられるようになったことだ。ほとんどすべての動物が、自分の体を動かすことによってまわりの環境を感知しているが、この、運動によるアクティブな感知の基本的な過程を、拡張現実を利用してリアルタイムで調べたのは、おそらくこれが初めてだろう”。

魚がARのヘッドセットを装着したのではなく、研究者たちは水中で揺れる隠れ家の動きをシミュレートした。

Fortuneは曰く: “この魚が隠れ家の位置をフォローすることは前から分かっていたが、ごく最近分かったのは、人間の目の動きにも似た小さな動きを彼らが生成することだ。そこでわれわれは、拡張現実のようなものによって、魚の感知システムと運動システムとの関係を撹乱することはできないか、と考えた。しかし両者の結びつきを維持したままそれをやるのは、きわめて難しかった”。

その試験では、魚を管の中に入れて(上図)、管の動きと魚の目の動きが同期するようにした。魚が前や後ろへ動くとき、その動きは隠れ家の動きにも及ぶ。その動きを魚が見たとき、何が起きるのか。隠れ家の動きと魚の動きが同期したとき、魚はその動きが隠れ家の“リアル”な動き(単独の動き)でないことを、感知できた。つまり魚は、自分が仮想環境の中にいることを知っていた。

“動きの刺激の起源が独立のものであるときと、自分の動きのフィードバックであるときとを、魚は区別できた。この実験により、われわれが観察していた現象が、魚が自分の動きから受け取るフィードバックによるものであることが分かった。基本的にその動物は、自分のまわりの感覚世界を自分がコントロールしていることを、知っているようだった”。

もしかしたら魚は、Job Simulatorをプレイできるかもしれない。

“同じような実験を、人間の視覚についてもできるのではないか。それにより、神経生物学の貴重な知識が得られるだろう。また、視覚と運動のコントロールに関しては、人工的なシステムより動物の方がずっと上手だから、われわれが公開するデータを技術者が機械の制御に利用できたら、とても強力なフィードバックシステムが可能になるだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SpaceXのStarshipはSF的にきらきら輝く――外皮にステンレスを採用したのは耐熱性

SpaceXが発表したStarship宇宙往還機はいろいろな意味でSF黄金時代のリバイバルを思わせる。この機体の目的は月などに旅客を輸送することだが、ぴかぴかのステンレス製外皮は古き良き時代のSF雑誌の派手な表紙にそっくりだ。

ファウンダー、CEOのイーロン・マスクはStarshipのイラストをTwitterに投稿した。キャプションは「ステンレススチールのスターシップ」とだけあった。正確に言えば、このステンレスの機体はSpaceXが来年テストを開始しようとしている宇宙旅行システムの一部にすぎない。現在計画されているフライトはシステムのテストのためなので、ごく短いものとなるだろう。

イーロン・マスクのツイートの例にもれず、今回もStarshipについてはさまざまな推測や議論が巻き起こっている。

まず第一に驚かされたのはステンレススチールという素材の選択だ。現代のロケットはカーボンファイバーなどの先進的な素材を複合して軽量かつ目的に適した物理特性を備えた構造を実現しようとしている。金属が利用される場合は、アルミ、チタンなどが普通だ。もちろんAtlas 5ロケットの2段目などステンレスが使われたこともあるが、むしろ例外だ。ましてStarshipのように他の天体まで航行し、大気圏への再突入を必要とする機体の場合、ステンレスが使われるとは誰も予想しなかっただろう。

マスクは後続のツイートでステンレスを採用した理由を簡単に説明している。

ステンレスはカーボンファイバーに比べて極端な温度状態で良好な重量/強度を実現する。極低温でやや優れており、室温では劣っているが、高温では圧倒的に優れている。 

マスクがここで言うステンレスはニッケル系の300シリーズだが高度な処理で最高の強度を実現している超合金だ。われわれのキッチンにあるすぐに曲がってしまうステンレス包丁とはわけが違う。マスクはSpaceXの冶金エンジニアがRaptorロケットエンジンのために開発したSX500を用いるとしている。Raptorエンジンは現在のMerlinエンジンに代わってBRF以降の大型ロケットに利用される。

ステンレスが採用された理由としては再突入耐性が高いためのようだ。

宇宙船やブースター・ロケットを再利用する場合には大気圏に再突入する際に発生する熱が大きな問題となる。 スペースシャトルなどで用いられた熱吸収性シールドは高熱で融解し、徐々に剥離していくことによって機体から熱を取り去る仕組みだ。

ところがこの方式はStarshipでは採用できない。熱シールドを完全に除去して貼り替える作業は時間と人手を食う。ターアラウンドの最小化を目的とするStarshipに不向きだ。そこで熱吸収式ではなく熱反射式のシールドを採用することが現実的な選択となる。そかしこうした高温に耐え乗員を保護できるシステムの開発は極めて困難なエンジニアリングとなる。

Scott Manleyがこの点を詳しく説明するビデオをアップしている。

マスクは当初Starship(この時点ではBFRと呼ばれていた)について、「再突入時にはほぼ全期間にわたって減速を続けるが、その際に機体のあらゆる表面が利用される」と述べている。再突入はおそらくFalcon 9のブースターのようなロケットの制動噴射ではなく、スペースシャトル式の滑空になるだろうと思われる。

ステンレスへの変更はSFコミックのファンにおなじみのスーパークールな見た目になるという思わぬ副作用を生んでいる。マスクによれば塗装は即座に焼ききれてしまうので無意味だという。

ステンレス外皮は高熱になるため塗装は不可能。反射能率を最高にするためミラー仕上げ。 

いかにステンレスでもいつまでもぴかぴかのままでいることは難しいだろう。ガスレンジで空焚きしたステンレスの鍋底のようにStarshipの底面にも焼けやシミが見られるようになるに違いない。もっともこうした「汚し」が入るようになるというのはスターウォーズの宇宙船のようで魅力的だ。

まだ開発段階であるため詳細については不明な点が多い。SpaceXはテストが進むに従って、その結果を取り入れ、デザインをさらに変更する可能性がある。早ければ来年にも最初のテスト飛行が行われるはずだ。大気圏脱出にはこれも開発中のFalcon Super Heavyブースターが用いられる。

マスクによればStarshipのテクニカル・ドキュメントの公開は来年の3月かs4月になるという。この文書がテスト用機体だけに関するものか、SpaceXが計画している日本人が乗客1号となる月旅行計画まで含むものかは不明だ。いずれにせよ、Starshipについてマスクの大胆な(ときに無謀な)ツイートによって近々さらに情報を得ることができるはずだ。

画像:Elon Musk

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滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、記録破りのホリデーシーズン売上。新規プライムメンバーが「数千万人」

Amazon は記録破りのホリデーシーズンを終えたことを今日(米国時間12/26)午前発表した。同社によると、「数千万」の人々がプライムメンバーに新規登録した。これは有償およびトライアルを合わせた数だ。また、全世界の顧客が注文した商品数は過去最高で、その中には今夏より「数百万台多い」Amazonデバイスも含まれている。デバイスのベストセラーには、ブラックフライデーと同じく、Amazon EchoスピーカーとFire TVが入った。

具体的には、Echo Dot、Fire TV Stick 4K、およびEchoがホリデー期間に売れた同社デバイスのトップ3だとAmazonは言った。

Fire TVデバイス、Fireタブレット、およびKindleデバイスも数百万台売れた。スマートホーム機器も記録的な販売台数で、トップセラーにはAmazon Smart Plug、Ring Video Doorbell2、TP-Link Kasa Smart Plug Mini Outlet、iRobt Roomba 690などが入った。

低価格のEcho Dotは常にAmazonのトップセラーで、これはAmazonの大幅なディスカウントが、決断しかねていた買い物客の衝動買いを誘発したためだ。

たとえば今年のブラックフライデー・ウィークエンドに、AmazonのEcho Dotは、Amazon製品だけでなく全メーカーの中で売上ナンバー1のデバイスだった。これはAmazonが小売サイトをてこに自社ハードウェアを売る能力を示している——Google、AppleにAlibaba、Xiaomiなどの中国メーカーが加わったスマートスピーカー市場競争が激化するなか、これは大きな競争優位性になりうる。

Amazonは、現在米国ではスマートスピーカー設置台数で市場をリードしているが、国際的にはGoogleらのライバル押され気味だ。

スマートスピーカーやその他のAmazonデバイスに加えて、今年の消費者は L.O.L Surprise! Glam Glitterシリーズの人形や、Carhartt、Bose QuietComfortワイヤレスヘッドホンなどのベストセラー商品も購入した。

Amazonは売上の数字を公表していないが、新記録が出たことはしばしば発表している。この連続する「記録破り」の売上は、Amazonのプライムメンバー拡大によるところもある。最近 オーストラリアシンガポールオランダ、およびルクセンブルクにも進出し、米国、英国、スペイン、メキシコ、日本、インド、イタリア、ドイツ、フランス、中国、カナダ、ベルギー、およびオーストリアの各国に続いた。単純に考えて、プライムメンバーが増えればAmazonの売上は増える。

Amazonの大きな目標が、他のEコマースサイトのようにオンラインショッピングを提供するだけではなく、他のサービス——Prime Video、Prime Music、無料Eブック等——でもプライムメンバーを誘うことにある理由だ。このホリデーシーズンに、米国および海外顧客をあわせて数千万人がプライムメンバーの有償およびトライアルに登録したと同社は発表した。

Amazonは伝統的にプライムメンバーの数を明らかにしてこなかったが、今年の4月、1億人の節目を越えたことを初めて発表した。一部のアナリストはこの数字が速いペース——年間35~40%——で増え続けると予測している。Citigroupは、10年以内に2.75億人に達すると予想している。

現在Amazonのプライム戦略の中核をなすのは、商品をこれまでになく厳格な時間帯に届ける信頼性だ。たとえばこのホリデーシーズンにAmazonは、現在当日配送サービスのPrime Nowが提供している限定エリアで、クリスマスイブ配達を提供した。

ホリデー商戦の結果を受け、今日午前のAmazon株は上昇した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2018年、ようやく我々はスクリーンタイムを真剣にとらえ始めた

今年初め、私がCatherine Priceによる“How to Break Up With Your Phone”のカバーを見たのは、iPhoneを使ってAmazon上で新作をブラウズしていたときだった。私はそれをKindleにダウンロードした。というのも、私は純粋にスマホ使用時間を減らしたかったからだ。しかしそれはまた、スマホと決別することについて書かれた本をスマホで読むのはおかしいと考えたからだ(バカでしょ、わかってる)。しかしながら何章か読むうちに、私はPriceがお勧めしているスクリーンタイム追跡アプリMomentをダウンロードするべきだと考えた。そしてこの本を印刷された本として再購入した。

“How to Break Up With Your Phone”の初めの部分で、Priceは読者にDavid Greenfieldによって作成されたSmartphone Compulsion Testを受けるよう呼びかけている。David Greenfieldはコネチカット大学で精神医学の教授を務めていて、Center for Internet and Technology Addiction(インターネット・テクノロジー中毒のためのセンター)も立ち上げた。テストには15の質問があり、しかし私は最初の5問を答えるだけで壁にぶち当たった。公にするのはためらわれるのだが、屈辱にもかなりのハイスコアで、私はスマホ使用を短くすることに真剣に向き合うことを決めた。

Priceの本の中でも、“Putting the Dope in Dopamine” という章が私が最も共感するものだった。彼女は「電話やほとんどのアプリは、我々が十分に使用したときでも“流れを止めること”がないように故意的にデザインされているーこれが、ふとしたことから簡単に度を過ぎてしまう理由だ。あるレベルで我々は、自分たちがしていることはひどい気分にさせている、と気づく。しかし、使用を止める代わりに、我々の脳は解決策はより多くのドーパミンを模索することだと決めつける。そして我々は再びスマホをチェックする。そしてまたチェックする。その繰り返しだ。

ひどい、というのはまさしく私が感じていたことだ。私が最初にiPhoneを購入したのは2011年のことだ(その前にはiPod touchを持っていた)。それは、私が朝まず一番に見るものであり、夜最後に見るものでもあった。それは、仕事の状況を確かめるため、と言うこともできるが、実際には自動的なものだった。もし、頻繁にスマホに注意をひきつけられていなかったら過去8年間に自分が何を成し得ただろうと考えると不安な気持ちになる。また、脳のフィードバックループがどうなっていたかとも思う。砂糖が好みを変えてどんどん甘いものが欲しくなるというふうに、私は増えるばかりのスマホ使用が、本当の喜びや満足というものを感じる能力を失わせてしまうのではないかと憂慮した。

Priceの本は2月に出版された。テック企業が最終的に長すぎるスクリーンタイムについて責任がある(少なくとも、言葉だけでなく何かしら行動を伴う対策をすべき)と認識し始めたと思われる今年初めのことだ。iOS 12でスクリーンタイムが導入されたのに加えて、AndroidのデジタルウェルビーイングツールFacebookInstagram、そしてYouTubeもユーザーが何時間そのサービスやアプリを利用したか追跡できる機能を立ち上げた。

今年初め、Apple株を保有する有力な投資家もまた、Appleに対し同社のデバイスが子どもにどのような影響を及ぼしているかに関心を払うよう要求した。Appleへの書簡で、ヘッジファンドJana Partnersとカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)は「オリジナルクリエイターの多くが公にしているように、iPhoneとiPadがデフォルトゲートウェイとしているソーシャルメディアサイトとアプリは通常、中毒になるよう、そして可能な限り時間を潰すようにデザインされている」とし、さらに「子どもの親にこうした問題に対処するよう尋ねるのは非現実的で、満足するような長期的ビジネス戦略とはいえない」と書いている。

累積する研究データ

そして11月、ペンシルベニア州立大学の研究者は重要な新レポートを発表した。このレポートは青年期層におけるソーシャルメディアの使用と鬱を関連づけている。心理学者Melissa Huntが率いたこの実験研究では、大学が貸与したiPhoneを手にした143人の学生を3週間にわたってモニターした。学生は2つのグループに分けられた:1つのグループはFacebookやSnapchat、Instagramといったソーシャルメディアの利用時間を1日あたり10分に制限するよう指示された(彼らのiPhone使用状況はiOSバッテリー使用をチェックすることで確認された)。もう一つのグループは普段と同じようにソーシャルメディアの利用を続けた。研究の初め、まずは鬱、不安、社会的サポート、他の問題を測る標準的なテストが行われ、それぞれのグループは実験期間を通してテストによる評価を受けた。

専門誌Social and Clinical Psychologyに発表された結果は驚くべきものだった。研究者らは「使用を制限されたグループは、もう一つのグループに比べ、3週間にわたって孤独感や気分の落ち込みの大幅な減少を示した」と書いている。

ソーシャルメディアの使用を完全に制限されたわけではなかったにもかかわらず、コントロールされたグループは恩恵を受けた。「どちらのグループも、最初に行なった評価テストでみられた心配や不安について著しい低減がみられ、これは自己監視の高まりの効果を意味している」と研究はまとめられている。「我々の研究でわかったことは、1日30分ソーシャルメディアの使用を減らすことで健康面で明らかな改善につながる、ということだ」。

今年発表された他の学術研究でも、スマホやモバイルアプリがユーザーの心身の健康に著しい害を及ぼすという、いくつもの証拠を示している。

プリンストン大学、ダートマス大学、テキサス大学オースティン校、そしてスタンフォード大学の研究者らは、写真やビデオ撮影を含むスマホの使用が記憶の形成能力を低減させているという研究結果を専門誌Journal of Experimental Social Psychologyに発表した。また他の研究は、スマホをベッドルームから遠ざけることや、仕事中に机からも遠ざけるよう注意喚起している。トレド大学の視覚研究者は、デジタルデバイスが発するブルーライトが網膜で分子レベルの変化を引き起こし、黄斑変性を加速させる可能性があるとしている。

だから過去12カ月、私はスクリーンタイムを減らすのに、十分すぎるほどのモチベーションを持っていた。実際、私は携帯でニュースをチェックするたびに、スマホ使用にかかる危険についてのヘッドラインを目にしていた。私は、自身の累計スクリーンタイムを追跡するため、そしてそのスクリーンタイムがアプリごとにどうなっているのかを追跡するのにMomentの使用を開始した。私はMoment内のコース2つ、“Phone Bootcamp”と“Bored and Brilliant”を使った。また、このアプリで毎日のスマホ使用時間制限を設け、その日それまでにどれくらいの時間をスマホに費やしているかを通知する“小さなリマインダー”をオンにした。そして“Force Me Off When I’m Over” (制限を超えた時は強制終了する)機能も使った。この機能は、その日の制限を超えたときにスマホをオフにするというもので、基本的にあなたを悩ますものとなる。

最初、私はなんとかスクリーンタイムを半分にすることができた。Priceの本に書かれていたような、注意力が持続するようになるなどメリットのいくつかは出来すぎた話だと考えていた。しかし私は、スマホ使用を制限し始めてわずか1週間後に自分の集中力が実際かなり改善しているのに気づいた。私は長文の記事をよく読み、テレビ番組をいくつか観て、幼子のためのセーター編みを終わらせた。さらに重要なのは、自分の時間の費やし方について1日の終わりに感じていたしつこい感覚が消えたことだ。なので私は、それ以降、クリックベイトややり直しのレッスンなどで自分の人生を浪費していない、という心地よい認識の中で幸せな時間を過ごした。

冗談だ。

数週間もすると、私のスクリーンタイムは増え始めた。最初に私はMomentの“Force Me Off”機能をオフにした。なぜなら私のアパートは電話線をひいておらず、夫からのテキストメッセージをチェックできるようにする必要があったからだ。小さなリマインダーは継続していたが、徐々に無視するのが簡単になった。特に考えもなくInstagramやRedditをスクロールしさえし、私は自分の人生のいい時間の誤った使い方をしているという、実存主義の恐怖を感じた。スクリーンタイムを制限するのはなぜ難しいのだろう。

スマホをやめる方法を知っていたらよかったのに

私はMomentのCEO、Tim Kendallに識見を求めて尋ねることに決めた。UIデザイナーでありiOSデベロッパーのKevin Holeshによって2014年に設立されたMomentはつい最近、Androidバージョンも立ち上げた。スクリーンタイムを減らすためのForestFreedomSpaceOff the GridAntiSocialApp Detoxなどを含むこの分野で、Momentは最も名の通ったものの一つだ。

Kendallは、私に悩んでいるのはあなただけではないと告げた。Momentはユーザー700万人を抱えていて、「過去4年、平均スマホ使用時間は毎年増えている」と彼は語る。全データをみることで、MomentのチームはMomentのツールやコースがユーザーのスクリーンタイムを減らすのに効果があることを把握している。しかし、多くの場合で、スクリーンタイムが増え始める。新たな機能でその問題に対処するのが、来年のMomentのゴールの一つだ。

「我々は、こうしたカテゴリーに入る人々をいかにして手助けするか模索するため、R&Dにかなりの時間を費やしている。彼らはPhone Bootcampを実践し、いい結果を得て、メリットを実感する。しかしどうやってそれを維持するかを理解できないのだ」とKendallは話す。Momentはすでに新しいコースを定期的にリリースしていて(最近のテーマは睡眠、集中する期間、家族の時間だ)、最近では購読制の提供も始めた。

「習慣と長く続いた行動を変えるのは本当に難しい」とKendallは言う。Kendallは以前Pinterestの代表を務め、Facebookでは収益化を担当するディレクターだった。しかし彼は楽観的だ。「これは扱いやすい問題だ。人々は実行できる。成果はかなり大きいと考えている。我々はこれらのコースを継続し、人々を手助けするために多くの異なる方法の開拓も行なっている」。

ヘッジファンドJana Partnersとカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)は手紙の中で、特に重要な問題は絶えずデバイスにアクセスできるティーンエイジャーと若年成人で構成される第一世代がいかに過度なスマホ使用で影響を受けているかだ、と述べている。Kendallはティーンエイジャーの自殺率が過去20年間で劇的に増えたと指摘し、ペンシルベニア州立大学の研究にみられるように、スクリーンタイムと鬱の関連性はすでに何年にもわたって取り上げられている。

しかし希望はある。Kendallは、スマホ使用時間を減らすために毎日のエクササイズを提供するMomentのコーチ機能が特にミレニアル世代で有効のようだ、と話す。この世代は、病的にスマホから離れられない場合が多い。「20代、30代というのはコーチを取り込むのにさほど苦労はしないようで、それゆえに40代、50代よりもスマホ使用を減らしている」と話す。

Kendallは、Momentがスマホ使用について「使用するか、しないか」と位置付けているわけではないと強調する。そのかわり、彼は人々がソーシャルメディアのような脳にとってのジャンクフードとなるものを、オンライン語学コースや瞑想アプリのようなものに置き換えるべきと考えている。「慎重なスマホの使用は、手にするものの中で最も素晴らしいことの一つだと本当に考えている」と話す。

私は、自身のスマホ使用のほとんどを制限し、Kindleのようなアプリにかえようと試みたが、最もいい解決策は自分自身の気が散らないようオフラインの選択肢を探すことだった。たとえば、私は新しい編み物とかぎ針編みのテクニックを試みた。これは、スマホをもちながらこうしたことはできないからだ(ポッドキャストやオーディオブックは聞いたが)。また、これはスマホを離れた時間を触覚ではかることにもなる。というのも、スクリーンタイムをカットするこの時間は編み物で完成させる列の数に関係するからだ。特定のアプリの使用を制限するために、私はiOSのスクリーンタイムに頼った。しかしながら、“Ignore Limit(制限を無視する)”をタップするのは本当にたやすく、私はMomentの機能に頼り続けている。

いくつかのサードパーティのスクリーンタイム追跡アプリデベロッパーは最近、Appleのより精密な調査対象となっていることを認識しているが、KendallはScreen Timeの運用開始はMomentの事業やサインアップにさほど影響していない、と述べている。Androidバージョンの立ち上げではまた、新たなマーケットを切り開いている(Androidでは、タイマーをセットしている間は特定のアプリにのみアクセスできるなど、iOSでは展開できていない新機能を加えることができた)。

iOSのScreen Timeの短期的な影響は「ニュートラルだが、長期的には有用だと考えている」とKendallは話す。「長期的には注意を喚起するのに役立つ。ダイエットの例になぞらえていうと、Appleは素晴らしいカロリー計算機とスケールを作った。しかし、残念ながら彼らは栄養のガイドラインや摂生方法を提供していない。もし行動の経済学者に話をする機会があれば、数字は人々のモチベーションにはつながらないことがわかる」。

罰を与えるのも、少なくとも長期的にはうまくいかない。なので、Momentでは“同情的な声”手法をとっている、とKendallは語る。「これは我々のブランドや会社、気風の一部だ。もしユーザーが我々のプロダクトを使用した時に審査されていると感じれば、我々がユーザーの役に立つとは思えない。ユーザーは自分たちがケアされ、そしてサポートされていると感じる必要があり、そして彼らはゴールは完璧さではなくゆるやかな変化だということも知っている」。

多くのスマホユーザーがおそらく私と同じような状況にあるだろう:スクリーンタイムによってアラームが鳴り、無駄にした時間について不機嫌になり、しかしまたデバイスを手放すことはとても難しいと感じている。我々は注意をそらしたり、ソーシャルメディアの「いいね」で興奮したりすためだけにスマホを使っているわけではない。仕事を管理したり、友達と連絡を取り合ったり、予定を立てたり、本を読んだり、レシピを調べたり、面白い場所を探したりするのにスマホを使う。私はこれまで何回もYondrのバッグ購入や、夫に私のスマホを隠すようにお願いしたりすることを考えた。しかし、それらが究極的な解決策にはならないことを知っている。

安っぽく聞こえるかもしれないが、変革の勢いは内側から出てこなければならない。大量の学術論文、スクリーンタイムアプリ、分析どれもそれにとって代わることはできない。

私が自分自身に言い聞かせていることは、デベロッパーが我々ユーザーに行動を改めることを強制するような方法を見つけるか、モバイルコミュニケーションにおいて大きなパラダイムシフトが起きるかしなければ、私のスマホとの関係性は堂々巡りだろう、ということだ。時々私は自分のスマホ使用についてハッピーになり、それから堕落し、そして別のMomentのコースをとるか、新たなスクリーンタイムアプリを試して、願わくば元の軌道に戻る。しかしながら、2018年、スクリーンタイムはようやく、是が非でも急を要するものだと認識されるところとなった(そしてその間私は、親指で#knittersofinstagramとタイプするだけの代わりに、実際にいくつかの編み物を完成させた)。

イメージクレジット: Ocipalla/ Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

サイバーセキュリティ強化のためにチェックすべきトップ5

何億人もの人々がホリデーモードに入っていることと思う。実家に帰る人も多いだろう。この時期は多くの人々にとって家庭のサイバーセキュリティをチェックし、強化するのによい季節だ。

セキュリティーの強化といえば何か込み入った専門的なことのように聞こえるかもしれないが、すぐにできることはたくさんある。特にプライバシーを守るための方策を講じるのは今までになく重要になってきた。侵入を試みるハッカーの手口は常に変化し、悪質化している。仕事が一段落するこの季節こそ家庭のセキュリティーを見直して、守りを固めるのに適している。実家であれ自分の家庭であれ、テクノロジー方面で何かトラブルが起これば収拾に当たらねばならないのは読者だろう。

私はセイバーセキュリティを強化するために以下の5つのガイドを掲載してきた。これは誰もが実践する必要があるベーシックだ。この機会に再度チェックすることをお勧めする。

画像:Getty Images

〔日本版〕リンク先記事は未訳だが関連記事はTechCrunch Japanでも繰り返し取り上げている。

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滑川海彦@Facebook Google+

Twitterの月間アクティブユーザー数は日本で4500万超

Twitter Japanは12月26日、東京都内で事業戦略説明会を開催した。

2018年10月現在の月間アクティブユーザーは、全世界で3億2600万、日本で4500万超

同社の直近の事業概要としては、2018年10月現在の月間アクティブユーザーは、全世界で3億2600万、日本で4500万超であることが発表された。また、スパムやフェイクアカウント、ボットなどを、機械学習と専任スタッフによって排除し、デイリーアクティブユーザー比率が前年比で9%増加したという。

日本の2018年の7〜9月期の売上は約135億円

広告売り上げについては2018年10月現在、約50%が動画からの流入とのこと。日本の売上推移についての発表もあり、2018年の7〜9月期は1億2200万ドル(約135億円)で、前年同期比で44%増えている。

2019年の事業戦略としては、「世界最大級の利用者数を さらに拡大しつつ異次元の高収益を実現する」としており、プロダクトとコンテンツを強化していくことを明らかにした。

プロダクトについては、2018年10〜12月期に「タイムラインの切り替え機能」「動画のためのデータセーブモード」を搭載。中でもタイムラインの切り替え機能は、日本からのフィードバックを反映した実装だったという。また、2017年10〜12月期に搭載されたビデオウェブサイトカードによって、CTRが2倍向上し、離脱率も60%減少したという。今後もプラットフォームの健全性・動画製品全般・パフォーマンス広告に関する投資を積極的に進めていくとのこと。

2017年10月以降、新機能を段階的に実装

コンテンツについては、「2018 FIFAワールドカップ ロシア」が開催中だった2018年6月13日〜7月4日の調査で、SNSで交わされるワールドカップ関連の会話の約86.3%がTwitterで起きていたという結果が出ている。日本国内では、2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京五輪、2021年にワールドマスターズゲームズが開催される予定で、同社としてはサッカーワールドカップ以上の盛り上がりを期待しているようだ。

Twitterは最新の情報を収集するツールとしての側面もある

SNS上でのワールドカップ関連の会話はほぼTwitter上で交わされている

アップルの初売り、2019年も1月2日に実施。当日限り

eng-logo-2015アップルが2019年の初売り実施を予告しました。開催は例年どおりの1月2日、当日限り。

 

初売りの予告はapple.comに掲載されたものの、現在は紅白の水引でできたアップルロゴと、

1月2日に福来たる。

もうすぐ一日限りのAppleの初売りがやってきます。欲しいものリストの準備をお忘れなく。

だけ。具体的な内容や対象になる製品など、詳細はありません。

アップルの初売りといえば、かつては福袋(Lucky Bag)を売っていたこともありましたが、昨年2017年・今年2018年は対象の商品を購入するとApple Storeで使えるギフトカードが貰える内容でした。

【本日開催】アップルの初売りが超お得!MacBook・iPad Pro購入で還元1万円オーバー(2018年の初売り時)

2018年にはたとえば、Macを買って1万8000円分、iPad Proで1万2000円分など。

2018年の初売りでは、開店前のアップル表参道に100人近くの行列が。

従来はアップルの直営ストア店頭とオンラインでの実施でした。

直営のApple Storeは、どの店舗も1月1日はお休み。初売りの1月2日から、通常どおり朝10時に開店です。1月2日は通常より早く20時に閉店する店舗が多いことに注意。詳しくはお使いのストアのページで確認してください。

Engadget 日本版からの転載。

クラウド型タクシーコールセンターの電脳交通がJR西日本と連携

鉄道とタクシーのサービスを一本化、代行手配システムも

電脳交通は12月26日、JR西日本イノベーションズを引受先とする第三者割当増資により、資金調達を実施した。調達金額は非公開。今回の提携により、地方の中小タクシー会社と利用者とのマッチングを強化していくという。

電脳交通で代表取締役社長を務める近藤洋祐氏

電脳交通は、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップでファイナリストに選ばれた企業で、タクシー会社の電話での配車サービスをクラウド化して業務効率を高めるサービスを提供している。2018年12月現在で、10都府県のタクシー事業者にサービスを展開。JR西日本イノベーションズは、JR西日本グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)だ。

具体的には、電脳交通が今後構築していく西日本各エリアでのタクシー事業者とのネットワーク、JR西日本の鉄道ネットワークを連携させていくことで、公共交通機関全体の利便性を向上させるのが狙い。鉄道駅から主要の観光地が離れているエリアで、鉄道とタクシーのサービス一本化しつつ、異常時・災害時における鉄道輸送からタクシー輸送への代行手配システムの共同開発を目指すという。

分散型の次世代認証基盤を使った「鍵」を開発するビットキーがVOYAGEなどから3.4億円を調達

ブロックチェーンに似た分散技術などを活用し、独自の電子鍵テクノロジーを開発するスタートアップ、ビットキーは12月26日、総額3.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はVOYAGE VENTURESと、複数の事業会社経営者、エンジェル投資家だ。

ビットキーのキーテクノロジー「ビットキー」は、次世代ID/Keyとして、スマートコントラクトやスマートオラクルを応用した各種分散技術、暗号化技術などを活用した、同社独自のデジタルキー基盤だ。分散技術でもブロックチェーンは使わず、独自でブレイクスルーした技術を用いているという。

ビットキーは「改ざん不可能で、複数間で安全にやり取りでき、コスト面にも優れたID・電子鍵のプラットフォーム」として、サービス提供を目指している。また同社はビットキーを搭載した、物理的なスマートロックデバイスの開発も行っており、まずはBtoC領域で提供していく構えだ。

同社は2018年8月創業(会社設立は5月)。ビットキー代表取締役 CEOの江尻祐樹氏は、リンクアンドモチベーショングループでコンサルタント業務に従事した後、ワークスアプリケーションズへ入社。コンサルタントとして活動しながら、旧知のエンジニアたちとともに、2017年末にブロックチェーン/分散システム研究会を立ち上げた。

その後、ブロックチェーン/P2Pや分散技術を活用した、新しいデジタルID認証/キー基盤を開発し、事業化するべくビットキーを設立。江尻氏がワークスアプリケーションズで出会った、共同代表でCOOの福澤匡規氏と、同じく共同代表でCCOの寳槻昌則氏とともに、研究会の参加者を中心にしたメンバーでスタートした。

ビットキー代表取締役 CEO 江尻祐樹氏

江尻氏は会社設立の動機について「ちょっと壮大に聞こえるかもしれませんが、デジタル化が進む現代において、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)などのジャイアントに独占、支配、依存することで生じている社会問題の解決です」と語る。

つまり、巨大デジタル企業の台頭により起きるデータ寡占の問題を、分散型テクノロジーを使うことで、解決したいということだ。

「裏を返すと、より安全で利便性の高い、デジタル社会のID・権利・取引のプラットフォームを生み出して、世の中を前進させたいともいえます」(江尻氏)

ビットキーでは今回の資金調達により、開発体制の強化を図る。また、今後の正式リリースに備え、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどの体制づくりも行っていく。

またその後の展開について、江尻氏は「2019年には、スマートロックほか関連プロダクトの『Tobira事業』でロケットスタートを切り、世界一のシェア、出荷台数を1年で実現したい。2020年には日本で、家、オフィス、ホテルなど、どこの扉もビットキーを使って開けるのが当たり前、というのを目指す」と話している。

2020年はTobira事業以外でも、モビリティやスマート行政などの領域にも進出し、可能であればオリンピックでも活用してみたい、と江尻氏はコメント。2021年にはメディカルや自動運転車などとの連携、グローバルへの本格進出も目指すとしている。

「中国、アメリカ(企業の進出の仕方)とは違う、コミュニティの仲間を増やし手を取り合う形で、さまざまな国と連携して、世界の“デジタル社会インフラ”にしていきたい。初めはアジア、ヨーロッパへの展開を想定しています」(江尻氏)

またR&Dの面でも「政府や大学・研究機関と連携し、よりセキュアでセーフティの高いプラットフォーム化や、生体認証・AIと連携した、デバイスすらいらない認証基盤・デジタルキープラットフォーム化についても少し話をし始めている」と江尻氏は述べていた。

私は今でもヘッドホンジャックが欲しい

2年前、Appleはヘッドホンジャックを葬った。私はこのことでまだ彼らを許していない。

AppleがiPhone 7にはヘッドホンジャックがつかないと発表したとき、私はすぐにいら立った。それでも数カ月で慣れるだろうと思った。そうではなかった。状況はもっと悪くなると悟った私は、プラットフォームを切り替えた。すると他のメーカーが揃って先例に倣った。

これはもちろん、私にとった新たないら立ちではない。私は携帯電話のヘッドホンアダプターを、ここ、このサイトで「二〇〇九年」から嫌い続けている。それでもなんとか我慢してきた。

今や世界はドングルやヘンテコな独自オーディオジャックでいっぱいだ。Sony EricssonはFastPortを作った。NokiaはPop-Portを作った。Samsungは10種類だかのジャックを作り誰も見向きもしなかった。どこの端末メーカーも支配したと宣言していないので、どのジャックも標準になっていないが、あらゆるメーカーが「自分たちの」ジャックが「ザ・ジャック」になることを望んでいる。標準化されたオーディオジャックを備えていた端末でさえ、ほとんどが小さな2.5 mmジャックを採用していたため、結局アダプターが必要だった。

そして、オリジナルiPhoneが3.5 mmヘッドホンジャックと共に登場した。それはいやらしく埋め込まれた3.5 mmジャックで、ほとんどのヘッドホンは使えなかったが、それでも3.5 mmジャックだった。AppleはiPodの成功に便乗し、この噂のデバイスは発表される前からiPod Phoneと呼ばれていた。そんな製品にヘッドホンジャックが「ない」ことなど考えられなかった。

iPhoneは急激に売れた。2007年に数百万台。2008年に約1200万台。2009年は2000万台だった。潮流は動き始めた。Appleの小さなガラス片がスマートフォンの世界を支配するにつれ、他のメーカーはAppleがなぜそんなにうまくいっているのかを探ろうとした。かつてちゃちなボタンで覆われたプラスチックの獣たち(これはスライドする! こっちは回転する!)でいっぱいだったスマートフォン市場が統一された。新製品がでるたびに、あらゆる端末がiPhoneに似てきた。小さなガラス板。高級な材質。最小限の物理的ボタン。そして、もちろん、ヘッドホンジャック。

数年のうちに、標準ヘッドホンジャックはセールスポイントではなくなった——必須だった。私たちは、自分のヘッドホンを使いたいときはいつでも使える素晴らしい世界に突入した。

そして2016年9月7日、Appleは「勇気」をもって3.5 mmジャックの廃止を発表した(ああ、そうそう、あの新しい150ドルのワイヤレスヘッドホンもお忘れなく!)

ヘッドホンジャックをやめたのはAppleが最初ではない——しかし、それを採用する決断と同じく、削除する決断もまた潮流を変えた。ジャックのないiPhone 7が発表された数カ月後、XiaomiがMi 6のジャックをなくした。そしてGoogleはフラグシップAndroid端末Pixel 3からジャックを消した。Appleの判断を風刺していたSamsungさえもジャックの廃止を検討しているらしい。リーク情報によると、次期Galaxy S10にはヘッドホンジャックが付くらしいが、ミッドレンジのA8ラインからは今年すでになくなっている。2016年をAppleがヘッドホンジャックに剣を突きつけた年とするなら、2018年はとどめを刺した年だった。

そして私は今も怒っている。

テクノロジーは移り変わるものであり、Appleでも常に起きている。ノートパソコンからCDドライブをなくす? それは問題ない——CDは廃れていたしそもそもひどかった。Flashを排除? Flashは終わっていた。USBポートを別のタイプに切り替えた? 「いいだろう」と私は思う。新しいUSBはあらゆる面で良くなっている。最低でも、上下を間違えてひっくり返したら最初が正しかったと気づくことはない。

しかしヘッドホンジャック? あれは「よかった」。100年の長きにわたってテストに耐えてきた。それには理由があった。とにかく、使える。

私は、なぜヘッドホンジャックの廃止が、他のあっさりと捨てられたポート以上に私を悩ませるのかを考えてみた。それはヘッドホンジャックがほぼいつでも〈私を喜ばせることしかなかった〉からだと思う。ヘッドホンジャックを使うことは、大好きなアルバムを聞くことを意味していた。あるいは、空き時間を使って見逃した番組を見ること、あるいは友だちにイヤホンを貸して新曲を一緒に聞くことだった。幸せな時間を作り、決して邪魔をしなかった。

いまはヘッドホンを使いたいときはいつも、いらいらする自分がいる。

Bluetooth? おっと、充電し忘れた。あるいは、おっと、リュックの中のノートパソコンとペアリングしようとしている!

アダプター? おっと、職場のヘッドホンに刺したままだった。あるいは、どこかに落として、またひとつ買わなくては。

私は山ほどアダプターを買い込み、全部のヘッドホンに差し込んだ! 誰かに借りるときのために余分のアダプターをバッグに入れてある。現時点でアダプターが5つということになる。問題解決だ! おっとちょっと待て:寝ながら音楽を聞きたいけど、明日のためにiPhoneを充電しなくてはいけない。それは別のもっと高価な分岐アダプターだ(その多くができの悪いゴミだ)。

どれをとっても大した話ではない。ヘッドホンくらい充電しろよ、Greg。アダプターをなくすのをやめよう。問題は、かつて〈ただ〉使えていて〈ただ〉私を幸せにしていたものが取り上げられて、代わりに〈ただ〉わたしを苦しめ続けていることだ。友だちからYouTubeのリンクが送られてきてまわりの人に迷惑をかけずに見たいと思ったら、たまたまカバンの中にあったどんな安物の使い古したヘッドホンでも使うことができた。今は、山ほどの障壁のあるプロセスを経なくてはならない。

「でも、防水になったじゃないか!」 防水携帯電話はずっと前から存在していて、その多くにヘッドホンジャックがついていた。最近の例では、SamsungのGalaxy S9はIP68規格の防水だ(iPhone Xsと同等)。

「でももっと薄くできる!」 だれもそんなこと頼んでない。

「でも内蔵バッテリーを大きくできる!」 バッテリー容量は6sから8の間にほとんど増えいていない——1715 mAhから1821 mAh。バッテリー容量が大きく増えたのはiPhone Xで本体が幅広く縦に長くなってからだ。

この記事で何かが変わるかって? もちろん違う。Appleは、ヘッドホンジャックはなくてもよい、と高らかに宣言しだれもがそれに従った。翌年——そしてその翌年も——Appleは2億台以上の端末を売った。その時点でAppleは、ヘッドホンジャックアダプターを同梱することさえやめた。Appleの決心は固まったのだ。

しかし、もしあなたが悩んでいて、”なぜAppleはヘッドホンジャックをなくしたのか”をググってこの記事にたどり着いたのなら、これだけは知ってほしい。あなたはひとりじゃない。2年が過ぎ、今も私はこれを決めた誰かに腹を立てている——それに倣った人たち全員にも。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook