Showcase GigがJR西日本グループと資本業務提携、西日本エリアでもモバイルオーダー、キャッシュレスを加速

左から、JR西日本イノベーションズ 代表取締役社長の和田裕至氏、Showcase Gig代表取締役の新田剛史氏

モバイルオーダープラットフォーム「O:der(オーダー)」を提供するShowcase Gig(ショーケース・ギグ)は9月19日、西日本旅客鉄道と資本業務提携契約を締結し、JR西日本の子会社のCVC、JR西日本イノベーションズから出資を受けたことを明かした。調達額は非公表だが、数億円規模とみられる。

Showcase Gigはこれまでに、JR東日本グループJR九州グループとも資本業務提携。JR西日本グループとの提携により、西日本エリアにおいても、同社にモバイルオーダープラットフォームの導入を進めていく予定だ。

O:derの特徴は、スマホから事前に注文し決済することで、飲食店などで前述のプロセスなしに商品を受け取れること。顧客は行列に並ばずにすみ、店舗側はレジスタッフを削減し、より効率の良いオペレーションを運用することが可能だ。

JR西日本グループは「中期経営計画2022」において、「駅からはじまるまちづくり」をコンセプトとして掲げ、まち全体の価値向上させることを目指している。だが、駅ナカ、駅ビルを中心とした商業施設の待ち時間を解消するべき、など、課題を感じている。

JR西日本グループは出資目的を「商業施設の待ち時間短縮、利便性向上の推進、およびJR西日本エリアでの導入店舗拡大によるShowcase Gigの企業価値向上」と説明。今回の提携により、Showcase Gigのモバイルオーダーをはじめとした「実店舗へのデジタルプラットフォームの提供」を通じ、JR西日本グループが運営する商業施設での新たな店舗体験の創出を目指す。キーワードは「待ち時間解消」、「事前予約、決済」など。そして顧客が「多くの店舗の中から自分の行きたいお店、欲しい商品を見つけやすくなるなど、新たな店舗体験の創出に力を合わせて取り組んでいく」という。

両社は「ショッピングセンター共通ポイントおよびおまとめアプリ」の「WESPO(ウエスポ)」を共同開発し、9月4日にリリースしているが、これに関しても今後、機能を拡充していく予定だ。

Showcase GigはモバイルオーダープラットフォームのO:der以外にも、飲食店でスマホから注文できる「SelfU」、そしてセルフ注文決済端末「O:der Kiosk(オーダーキオスク)」を提供している。O:der Kioskは、JR東日本グループとShowcase Gig(ショーケース・ギグ)が共同開発した端末だ。

JR西日本イノベーションズ代表取締役社長の和田裕至氏は「今後、(Showcase Gig)のサービスを活用し、お客様が券売機や店頭で並ぶことなく、キャッシュレスで商品を受け取ることができる店づくり、店舗におけるオペレーションが軽減される働きやすい店づくりの実現を期待しております」とコメント。

Showcase Gig代表取締役の新田剛史氏は「本提携により、顧客体験の向上、店舗運営の効率向上、キャッシュレス率の向上など、これからの時代に必要な店舗の在り方を実現していきたいと思います」と意気込む。

関西圏のキャッシュレス加速へ、JR西日本系28施設約3000店がコード決済対応

西日本旅客鉄道は5月20日、同社の連結子会社13社が運営するショッピングセンター28施設内の約3000店舗で、スマホによるコード決済に対応することを発表した。5月21日より「天王寺ミオ」と「和歌山ミオ」でPayPayとLINE Payが利用可能になる。

6月には「アルビ大阪」「アルビ住道」「エスト」「アルデ新大阪」などでほかのコード決済サービスを含めて順次利用可能となる。8月以降は大阪と富山、岡山、島根、鳥取の全施設と広島のさんすて福山、9月以降は兵庫の全施設と広島のエキエ、10月以降は京都の全施設、そして2020年2月に石川と福井の全施設、計28施設が導入する予定だ。具体的には以下の28施設

  • 大阪府
    天王寺ミオ(天王寺SC開発)
    アルビ大阪(JR西日本大阪開発)
    アルビ住道(JR西日本大阪開発)
    エスト(JR西日本大阪開発)
    アルデ新大阪(新大阪ステーションストア)
    ルクア大阪(JR西日本SC開発)
  • 兵庫県
    リブ(神戸SC開発)
    プリコ六甲道(神戸SC開発)
    プリコ三ノ宮(神戸SC開発)
    プリコ神戸(神戸SC開発)
    プリコ垂水(神戸SC開発)
    ピオレ明石(神戸SC開発)
    プリコ西明石(神戸SC開発)
    ピオレ姫路(神戸SC開発)
  • 和歌山県
    和歌山ミオ(和歌山ステーションビルディング)
  • 京都府
    ポルタ(京都ステーションセンター)
    ザ・キューブ(京都駅観光デパート)
  • 富山県
    マリエとやま(富山ターミナルビル)
    とやマルシェ(富山ターミナルビル)
  • 石川県
    金沢百番街(金沢ターミナル開発)
    プリズム福井(金沢ターミナル開発)
  • 岡山県
    岡山一番街(山陽SC開発)
    さんすて岡山(山陽SC開発)
    さんすて倉敷(山陽SC開発)
  • 広島県
    さんすて福山(山陽SC開発)
    エキエ(中国SC開発)
  • 鳥取県
    シャミネ鳥取(JR西日本山陰開発)
  • 島根県
    シャミネ松江(JR西日本山陰開発)

対応するコード決済は、PayPay、LINE Pay、Origami Pay、メルペイ、d払い、au PAY。そのほか中国系のアリペイ、WeChat Payも使える。併せて電子マネー決済も導入し、SuicaやICOCAをはじめとする交通系ICカードのほか、iD、QUICPay、nanaco、PiTaPa、楽天Edy、WAONが利用可能になる。

なお、今回のコード決済と電子マネー決済に併せて導入されるのが、NTTデータが提供するクラウド型総合決済プラットフォーム「CAFIS Arch」。決済端末本体と電子マネー/クレジットカード/デビットカードの認証端末、コード決済用のハンディーリーダーで構成される。

クラウド型タクシーコールセンターの電脳交通がJR西日本と連携

鉄道とタクシーのサービスを一本化、代行手配システムも

電脳交通は12月26日、JR西日本イノベーションズを引受先とする第三者割当増資により、資金調達を実施した。調達金額は非公開。今回の提携により、地方の中小タクシー会社と利用者とのマッチングを強化していくという。

電脳交通で代表取締役社長を務める近藤洋祐氏

電脳交通は、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップでファイナリストに選ばれた企業で、タクシー会社の電話での配車サービスをクラウド化して業務効率を高めるサービスを提供している。2018年12月現在で、10都府県のタクシー事業者にサービスを展開。JR西日本イノベーションズは、JR西日本グループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)だ。

具体的には、電脳交通が今後構築していく西日本各エリアでのタクシー事業者とのネットワーク、JR西日本の鉄道ネットワークを連携させていくことで、公共交通機関全体の利便性を向上させるのが狙い。鉄道駅から主要の観光地が離れているエリアで、鉄道とタクシーのサービス一本化しつつ、異常時・災害時における鉄道輸送からタクシー輸送への代行手配システムの共同開発を目指すという。