Facebook、記事キーワード検索をローンチ―数日中にデスクトップとiOSの全ユーザーに公開

Facebookがついに検索機能を本格化させた。今日(米国時間12/8)、Facebookは記事のキーワード検索公開した。これで情報の発見能力でGoogleに、リアルタイム会話能力でTwitterに挑戦することが可能なる。2年前に「ロサンゼルスに住んでいる私の友達」などという自然言語〔英語〕形式で友達、場所、写真などを検索可能にするグラフ検索が公開されたが、それにくわえて過去記事の内容がキーワードで検索できるようになった。

プロダクト・マネージャーのRousseau Kaziは私の取材に答えて、「この新しい検索は、ユーザーごとに個人化されており、ユーザーがニュースフィード中で以前に興味をもった友達の投稿、写真、ビデオなどを簡単に再発見することを助けることを第一の目標としている」と語った。

たとえば、「歯科医」とか「ピザ」というキーワードで検索すれば友達の推薦が発見できるのでGoogle検索の役割を果たす。一方で「マイケル・ブラウン」とか「高速101号線」などと検索するとTwitterのように最近のニュース記事や、友達からのリアルタイムの交通渋滞情報などが得られる。

今回のアップデートでFacebookは新しいモバイル広告やキーワード広告の導入は計画していない。しかしキーワード連動広告への需要は極めて高いから、Facebookはなんらかのビジネス化の実験を始めることになるのではないか。「レストラン」とか「弁護士」というキーワードに非常な高値がつく状況は容易に想像できる。

キーワード検索は、膨大なニュースフィードの底に埋もれたしまった過去の情報を自由に発見できるようになることでFacebookの性格を大きく変える。 「ユーザーはいわば『コミュニティーの集合的記憶』にアクセスできるようになる」と Kaziは言う。.

これは一方でFacebookの「オブスキュリティー〔曖昧さ、無知〕によるプライバシー」を失わせることになる。これまでFacebobookでは「探しだすのに手間がかかりすぎる」ことによってプライバシーが保たれてきた面がある。もちろん記事検索機能によってユーザーのプライバシー設定が影響を受けることはない。検索はあくまで検索するユーザーに対して個人的に公開された記事だけが対象となる。つまり友達の投稿やコメントが対象で、公開投稿やページの投稿は対象にならない。しかし、友達が「酔っ払った」と告白している投稿を簡単に探し出すことはできるわけだ。ユーザーは自分の投稿をキーワード検索して、スキャンダルになりそうな投稿は削除するなりプライバシー設定を変更するなりしたほうがいいかもしれない。

キーワード・グラフ検索の詳細

Facebookの新検索機能はここ数日ですべてのデスクトップユーザーとiOSユーザーに公開される。Android版については現在バグを修正中ということで、これも近く公開される。 この記事の執筆時点では記事検索機能が有効になっているユーザーは少ないかもしれない。もし読者が私の友達なら、“Josh Constine dancing”と入力すると私がバカをやっていることろが見られるはずだ。

検索結果の表示順序はユーザー別に個人化されたアルゴリズムによって制御される。これはニュースフィードに表示する記事を選択するアルゴリズムに近く、キーワードとの関連性に加えて投稿した友達との親しさなどを総合して決定される。検索結果はニュースフィード形式で表示され、キーワードは青でハイライトされる。検索結果が写真であれば専用の写真閲覧インターフェイスが用意されている。

私が見たデモでは新しい検索機能は直感的で反応も高速だった。検索結果の絞込のための初歩的なフィルターもあるが、Googleのような「高度な検索」オプションが欲しいところだ。

【中略】

Facebookの全知全能化

キーワード検索は「集合的記憶」の活性化と同時に、GoogleのAdWords広告をかくも強力なものにしているユーザーのサービスや製品の「購入意図」を把握するのに役立つ。しかもFacebookはウェブ一般でもないし、Twitterのようにすべての「世界の鼓動」を伝える場でもなく、ユーザーと個人的な関係をもつ友達との親しい会話の場だ。Kaziは「ある事柄について友達の意見をすぐに調べることができるのは非常に強力な機能だ」と語った。

もちろん要求もある。もしリアルタイム会話でTwitterに張り合おうとするなら、時間の逆順〔最新の投稿がトップ〕で表示されるオプションが必要だろう。またわれわれジャーナリストにとっては全公開投稿を対象にした検索機能が欲しいところだ。

また人々の検索の習慣を変えるのは普通に考えるよりもはるかに困難だ。Facebookがグラフ検索を公開してから2年もたつのにローカル・ビジネスの検索シェアをGoogleからいくらかでも奪うまでに至っていない。Facebookには自分たちが強力な検索エンジンであることをユーザーに強く印象づけるキャンペーンが必要だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Uber、インドの強姦容疑者逮捕後に訴訟の恐れ


インド、ニューデリーでUberの乗客が運転手に強姦されたとされる事件の容疑者が逮捕された。男の名前はShiv Kumar Yadavで、月曜日にニューデリー裁判所に送られる。Reutersが伝えた。

ニューデリー警察のMadhur Verma副総監によると、警察はUber ― 時価総額400億ドル ― に対して、運転手の経歴および車両に適切なGPC装置を塔載していたかどうかの確認を怠ったとして法的措置を取る。警察はこれが刑事あるいは民事訴訟になるかの判断を仰いでいる。

先の報道によると、容疑者は金曜遅くあるいは土曜早朝に起こした犯行中、GPSを無効にしていた。容疑者は、20代半ばとされる乗客が眠った後、人里離れた地域に駐車した。男はその後彼女を強姦し、通報したら殺すと脅した。

恐ろしいことに、Uberの利用規約は必ずしもこの状況を保護していない。

全文はここで読むことができるが、主旨はこうだ:Uberは輸送会社ではなく、輸送手段の探し手(乗客)と輸送手段の提供者(運転手)を結びつけるITサービスである。Uberを利用し、必要な利用規約に同意することによって、利用者が世界中どこの都市で拾った運転手も第三者であり(Uberではない)、従ってUberは彼らの行動に関して〈一切〉責任を負わない。

これは本当の話だ

これを読まれたい:

UBERは第三者輸送業者の適合性、安全性、あるいは利用可能性を保証しない。第三者輸送業者が利用者の要件および期待に沿うかどうかは全面的に利用者の責任である。UBERは利用者と第三者輸送業者間の係争には関与しない。本サービスを利用することによって利用者は、第三者輸送業者に関わる、危険な、攻撃的な、未成年者に有害な、その他好ましくない状況に遭遇する可能性があり、本サービスを用いて手配あるいは計画された第三者輸送業者の利用は、利用者自身の責任と判断によるものである。UBERは、利用者の取引あるいは第三者輸送業者との関係に起因するあるいは関係する一切の責任を負なない。

【日本語版注:ウェブサイトにある日本向け利用規約は上記と内容が異なる】

Uberの運転者と乗客あるいは歩行者との間に起きた紛争(控え目な表現だが)はもちろんこれが初めてではない。頭をハンマーで殴られた男性もいれば、運転者に轢かれて6歳の少女が殺された事故もあった。これはUberドライバーに対する初めての強姦疑惑でさえない。

しかしUberの利用規約は、ライバルのLyftとSidecarともほぼ同じく、こうした悲劇にかかわるあらゆる責任から自らを守ることを明記している。

このケースでは、警察はUberの安全の約束、例えば経歴調査や位置情報機能追跡が実施されていたかどうかを捜査中だ。

「Uberによるあらゆる違反を評価した上で法的手段に出る」とVermaは言った。

この恐ろしい事件は、同社の12億ドル調達ラウンド(評価額400億ドル)の直後に起きた。

週末中Uberは直ちに行動を起こし、警察の容疑者探しに協力した。

同社広報担当者から提供された現状についての声明を引用する:

弊社は今日午前に出来事を知った。安全はUberの最優先事項であり、このような出来事を非常に深刻に受け止めている。弊社は警察の捜査に協力しており、あらゆる手段で事態の究明を支援する所存である。また、重大事件の疑いのある運転手のアカウントを直ちに停止することは弊社のポリシーであり、既にこれを実施した。インドにおいて、弊社は認可を受けた運転手パートナーと共に、安全な輸送手段を、運転手および車両の情報、予定到着時刻共有等、様々な安全対策と共に提供しており、Uberプラットフォーム上で発生するあらゆる移動に関する説明責任およびトレーサビリティーを保証している。

本誌はUberに問い合わせ中であり、情報が入り次第アップデートする予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


After SchoolがApp Storeに復帰。サイバーいじめ防止対策を追加


After Schoolが帰ってきた。匿名投稿アプリは今日一時姿を消した後、数時間後にApp Storeに戻った。アプリは今も学生向けに提供されており、匿名メッセージの投稿が可能だ。しかし、Appleの広報担当者によると、デベロッパーは不適切あるいは攻撃的コンテンツを防ぐための変更を施したという。

アプリには17歳以上の年齢制限が付加され、ユーザーはコンテンツにフラグを付けられるようになった。Appleはデベロッパーに対して、コンテンツを整理するよう伝え、私が見る限り再公開後に他人をいじめるような発言はない。

Appleは、サイバーいじめ等の攻撃的コンテンツに関する通報を極めて深刻に受け止めている。Apple広報者の一人が私に話したところによると、昨夜のTechCrunchの報道の後、Appleのデベロッパーチームはアプリ開発元に連絡を取り、公開を取り止め修正するよう依頼した。われわれは今日の7:00 am ESTにアプリが消えていたことに気付いたが、6:00 pm頃には戻っていた。

わずか数週間前に公開されたAfter Schoolの急速な悪名獲得は、Yik Yakの歴史を彷彿とさせる。攻撃的コンテンツの通報がほんの数件あっただけで、匿名投稿アプリはサイバーいじめの温床として非難の的となり、ついには(遅すぎると指摘する向きもあるが)、問題の投稿をする年齢層による利用を制限する手順を踏んだ。

いわゆるセーフガードが設けられているにも関わらず、私は地元の学校のサイトにログインしてコンテンツを閲覧、投稿することができた。地元高校のAfter School掲示版には現在735人のユーザーが登録されていて、そこは正に私が予想したものだった ― 高校生が高校生のように話していた。殆どのメッセージはボーイフレンドとフェラチオとにきびの話題だった。写真の中には多少きわどいものもあったが、別のユーザーに対する攻撃的コメントは見つからなかった。

今日のアップデートは、After Schoolユーザーたちの自治に依存している。ユーザーはコンテンツにフラグを付けて削除を要求できる。これだけでサイバーいじめを止めることはできないが、会社が攻撃的コンテンツを監視することには役立つだろう。

Appleがアプリ作者の利用規約違反を決して見過ごすこはなく、攻撃的コンテンツについては特にそうだ。今日のアップデートの後も通報が続くようなら、同アプリはすぐに削除されると私は予想している。

After Schoolの開発元は依然としてTechCrunchのコメント要求に答えていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon、ローカルビジネスへ拡大着々―レストランのテイクアウト注文、宅配サービス開始

去る6月にわれわれはAmazonがSeamless、Grubhub、DeliveryHeroのようなレストランのテイクアウト注文と宅配のサービスを準備中だと伝えた。先週末、Amazon Localアプリのアップデートで、そのサービスがリリースされていたことが判明した。

テイクアウト&デリバリー機能は、皆が感謝祭のディナーの残り物をつついていたであろう先週末に静かにリリースされた。「ホリデーシーズンは忙しくなります。われわれがお手伝いします」というのがAmazonの説明だ。

われわれはAmazon Localでいろいろな都市を試してみたが、どうやら現在サービスが実施されているのはシアトルのみのようで、提携レストランは、宅配が20店舗、テイクアウトの注文が110店舗となっている。 Takeout & Deliveryでの注文はすべて既存のAmazonアカウントを通じて決済される。

われわれも含めて多くのメディアが報じているように、Amazonはローカル・コマース・サービス分野で大規模で野心的な将来計画を描いており、特にオンラインからオフラインにサービスを拡張しようとしている。これにはReutersが伝えているようなYelp、Thumbtack、Angie’s Listをひとまとめにしたような総合的ローカル市場が含まれる。これはすでにAmazon Freshとして一部実現しており、単なる生鮮食品の宅配だけでなく、Spotlightという新しいサービスもスタートさせている。これはレストランのテイクアウト料理からカップケーキ、紅茶葉、特製アイスクリームなど各種の「地元の良品」を選んで届けるというものだ。

またAmazonはSquareやPayPalのライバルとなる店頭支払いシステム、Amazon Local Registerローンチしている。

Amazonはこれらのサービスを統合し巨大化することによって消費者とローカルビジネス双方の利便性が高まるようなスケールメリットを狙っているようだ。

たとえば、今回スタートしたテイクアウトとデリバリーのサービスは料金がユーザーのAmazonアカウントから支払われる。Amazonはこのつながりを利用してレストランその他のローカル・ビジネスにLocal Registerを採用するよう説得することができるだろう。

ある情報源によれば、「レストラン向けサービスやレジスター・サービスは手始めだ。今後数ヶ月のうちに更に進化した機能のサービスを他の業種にも拡大していく」ということだ。

ではAmazonはまずどの業種を狙っているのだろう? われわれも6月の記事で指摘しているが、旅行業が次のターゲットだろう。旅行業のニュースブログ、Skiftの先月の記事によれば、Amazonは新年早々にもAmazon Travelを立ち上げるという。当初はホテル予約からスタートするが、フライト予約などに順次サービス範囲を拡張していく計画だということだ。興味深いのは、Amazon Localで所在地をシアトルに設定すると、レストランのテイクアウトと配達だけでなく、「ホテル予約」というタブも表示されることだ。

われわれはAmazonにコメントを求めている。新情報が得られればアップデートする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


LINEの本質はプラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム

Google、Apple、Facebook……ネット業界の巨人はプラットフォームになろうとしのぎを削っているが、メッセンジャーアプリのLINEもその1社。12月3日に京都で開催された会員制イベント「IVS 2014 Fall Kyoto」で、LINE執行役員の舛田淳さんが同社のプラットフォーム構築術を語った。

LINE流プラットフォームの鍵はヒト・モノ・カネ

なぜ人はプラットフォームを目指すのか。私なりの考えで言うと、ヒト・モノ・カネだと考えている。

まずヒトについては、大勢いるだけでなく、継続的にヒトが流れているか。それがなければ、プラットフォームとしてパートナーやユーザーの期待に答えられない。単純にオープン化することがプラットフォームではない。

モノで言うと、どうやってパートナーに提供してもらうかという拡張性。これは技術が関係する。

もう一つ需要なのはカネ。ビジネスモデルがきちっとしているか。ユーザーがいても、プラットフォームでいろんなモノを展開したとしても、ビジネスにならなければプラットフォームとしては成り立たない。

LINEはこの3点を大事にしながらプラットフォームを設計している。

プラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム

今までのプラットフォームの歴史を振り返ると、検索であったり、ニュースでトラフィックを集めるサービスが成立している。その次はFacebook。ユーザーが情報をシェアして拡散することで人を流してきた。今のプラットフォームは何かというと、コミュニケーションアプリ。メッセンジャーが存在感を出している。

これはあまり言ったことがないが、LINEのプラットフォームの本質は、「プラットフォーム on プラットフォーム on プラットフォーム」という考え方。スマートフォンではiOSやAndroid、携帯キャリアのプラットフォームがあるが、その上にLINEというプラットフォームを建てて、その上にさらにゲームや音楽などのプラットフォームを作っている。

オーバー・ザ・トップ(OTT)サービスと言われるが、既存のプラットフォームとは共存共栄の関係を築いている。あと、意識しているのは「アプリ to アプリ」と言って、LINEは頑なにこだわっている。「アプリ to ブラウザ」ではなく、LINEというアプリから、ツムツムという別のアプリに動線を引いている。

実はLINE NEWSのMAUは500万人

さかのぼって考えると、LINEの始まりは、コミュニケーション。それからプラットフォーム宣言をして、デジタルコンテンツを配信し始めた。ゲームでは世界トップクラスのタイトルを届けていて、漫画、占い、アバターサービスもやっている。デジタルコンテンツのプラットフォームは、カテゴリを用意してパートナーに(モノを)落としこんでもらっている。

(最近ではニュースアプリに注目が集まるが)ヤフーやLINEのニュースはアプリだけで完結するとは考えていないと思う。アプリだけでなく、ブラウザも含めてニュースを見ている。LINE NEWSもアプリ単体ではなく、基本的にはLINEアプリの中でニュースを見てもらっている。

これは言っちゃっていいのかな。いまいまだと、LINEアプリ経由の利用を含めたLINE NEWSの月間アクティブユーザーは500万人。とはいえ、プラットフォームとしては1000万人くらいでなければプラットフォーム化しないと思っているので、NEWSチームには足りないと叱咤激励している。

MAUだけで言えば、某ニュースアプリよりも多いが、LINE NEWSはマスっぽいニュースのアプローチをするので、ヤフーと同じカテゴリ。Yahoo!ニュースはすごい。みんな見ている。「目指せYahoo!ニュース」というとヤフーに怒られそうだが、そこにどうチャレンジするかが、LINE NEWSのポイント。


Microsoft、メールアプリ、Acompliを2億ドルで買収―Gmailなどライバルのサポートも継続

感謝祭の直前にMicrosoftのブログがモバイル・メールアプリのAcompliを買収するつもりだとうっかり漏らしてしまった。この記事はすぐに削除されたが、今日(米国時間12/1)、両社は買収を公式に確認した。2億ドルの買収の一環として、24人ほどのAcompliチームはMicrosoftに参加する。

Recodeが最初の2億ドルという数字をつかんだが、われわれも別途この金額を確認した。支払いは全額キャッシュだという。

買収のニュースを伝えるAcompliのブログ記事によると、「18ヶ月前、われわれはモバイルメールは改善できるというという考えのもとにチームをスタートさせた。今日、われわれはテクノロジー、人材、販売力ともに大きな組織の一員となって努力を続けることとなった。Acompliのビジョンを世界中の何億人ものモバイル・ユーザーに拡大するチャンスだと期待している」ということだ。

AcompliはRedpointその他のベンチャーキャピタルから730万ドルを調達して、メール、カレンダー、ファイル共有をモバイルから一括管理できるパワーユーザー向けツールの開発にあたってきた。CEOのJavier Soltero、Kevin Henrikson、J. J ZhuangらのAcompliチームに投資することに「まったくためらいはなかった」とRedpointのSatish Dharmarajは、今朝のブログで書いている

Microsoft社内で、AcompliはOffice 365事業部内の独立グループとしてiOSとAndroid向けメールアプリの開発に当たる。Acompliアプリ自体はすでにMicrosoft Exchangeメールをサポートしており、Office 365のファイルにもアクセス可能だが、Microsoftの買収にともなってさらに本格的な統合が行われるのだろう。

AcompliアプリがMicrosoft Exchangeのライバルのメールサービスのサポートを終了する計画がないというのは興味深い点だ。現在このアプリはExchangeの他に Gmail、Google Apps、iCloud、Yahooなどをサポートしている。Acompliの初期のユーザーの大部分はMicrosoftのライバルのサービスを使っていた。つまりMicrosoftはライバルのサービスのメール・クライアントをサポートすることになる。AcompliのユーザーにはMicrosoftのメール(Exchange、Outlook.com /MSN/Hotmail)やクラウドサービスを使わない、いわゆる「Google化してしまった」企業ユーザーも多い。

これはMicrosoftにとって大きな方針の転換だ。2年前だったらMicrosoftがGmailをサポートするメールクライアントを運営するなどとは想像できなかっただろう。

もちろんMicrosoftが期待しているのはAcompliのビジネス上の可能性だ。Microsoftとの交渉が始まる前に、 AcompliはすでにFortune 500の大企業をパートナーとしてエンタープライズ・システムの実験を行っていた。最終的な目的は大企業向けの有料メールシステムの構築だろう(現在、Acompliは無料アプリで、App StoreとGoogle Playに登録されている)。

Acompliが最終的にどのようにMicrosoftのビジネスに統合されるのか、Microsoftブランドに切り替えられるのか、他のMicrosoftブランドの製品とバンドルされるのかなどまだ不明な点が多い。しかし当面Acompliは他の生産性ツールとの統合ではなく、メールに集中するものとみられる。Acompliの核心はやはりメール処理であり、カレンダーやファイル共有機能はあくまでメールを補完するという位置づけだ。

Microsoftは最近モバイル分野に努力を集中しているが、その戦略は以前と異なり、Microsoftの世界に閉じこもるのではなく、エコシステム全体と協調していくことを目指している。これはMicrosoftという巨人にとって驚くべき新思考といえるだろう。Microsoft、自身がDropboxのライバル、OneDriveを運営しているにもかかわらず、最近、Dropboxとより密接な連携を目指す提携を発表している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


スマニューのMAUは400万人、DAUは200万人–10媒体以上に1000万PVを誘導

ニュースアプリ「スマートニュース(SmartNews)」を毎月1回以上起動する月間アクティブユーザー(MAU)は400万人、毎日起動するデイリーアクティブユーザー(DAU)は200万人――。ダウンロード数では600万を超えるスマートニュースだが、12月1日に開催された自社イベント「SmartNews Compass 2014」で初めてアクティブユーザー数が明らかにされた。

ニュースアプリは各社、テレビCMをはじめとするキャンペーンでユーザー数が拡大しているが、アクティブユーザー数を公表するのは異例。代表取締役の鈴木健さんは、「ダウンロード数は急速に伸びているが、実際に使われなければ意味がない」と話す。さらに、ニールセンの調査を引き合いに出し、「スマートニュースはニュースアプリのMAUでナンバーワンなだけでなく、月間利用時間でも2〜4位のアプリを合計した時間を超えている」とアピールした。

鈴木さんはこのほか、特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」には60以上のメディアが参加していて、このうち10以上の媒体に月間1000万PVを誘導していることも明かした。


カップル動画の投稿が人気! 動画アプリ「MixChannel」は10代女子の新しい自己表現ツール

夏休みにユーザー急増、「10代女子」に人気

YouTubeやニコニコ動画、Vine、ツイキャスなど、動画関連サービス・アプリのなかには、コンテンツに紐づくコミュニケーションから独自のコミュニティや文化を生み出すものがある。最近、筆者が注目しているのが、10秒動画コミュニティアプリ「MixChannel(以下、ミックスチャンネル)」だ。CGM型のサービスで、手持ちの写真・画像・動画・音声などを組み合わせた動画を投稿できる。2013年12月のリリース後、10代を中心に利用されている。

10月には月間2億3000万回再生を記録。ウェブとアプリを含めた月間訪問者は300万人、ダウンロード数は130万を超えるまでに成長した。動画コミュニティアプリの規模としては日本最大級だ。ユーザーの約7割が10代、女性が7割近くを占める。「10代女子」に人気のサービスであり、1回起動したユーザーの平均滞在時間が15分というのも、その人気や依存度を裏付ける。

動画再生回数は、8月から10月にかけて4倍に増加。要因は「夏休み」なのだが、この期間にTwitter上で口コミが生まれ、多数の動画がシェアされたことで、若いTwitterユーザーが利用するようになった。10代が多く利用するサービスならではの伸び方も興味深い。

ミックスチャンネルの月間動画再生回数の急伸を表したグラフ

今回、ミックスチャンネルの立ち位置や文化について、株式会社Donutsにて同サービスのプロデューサー兼エンジニアを務める福山誠氏に話を聞いた。福山氏は、グーグルを経て、ソーシャルランチを起業、同サービスをDonuts社に売却し、新事業開発にあたっている。

「全国の中・高校生が文化祭をひたすらやっている感じ」

サービスづくりのきっかけは、昨夏あたりから、アメリカで6秒動画アプリ「Vine(ヴァイン)」が流行していたことにある。福山氏はソーシャルランチの売却後(現在も運営している)、Donuts社の主軸であるモバイルゲーム以外での新規サービスづくりに向けて調べていたところ、「短い動画」というコンテンツフォーマットに可能性を感じたという。

そこで2013年8月、親しい相手と共有するクローズドな6秒動画アプリ「ともらっち!」をリリース。しかし、LINE社が短い動画にBGMを付けて送信できる「Snap Movie(スナップムービー)」機能をリリースしたことを受け、閉じたという背景がある(スナップムービーは現在、30秒以内で自由に映像を加工できる動画撮影・編集アプリとしてリリースされている)。その後、オープンな動画コミュニティアプリとして、画像や写真なども使うことができるミックスチャンネルが誕生した。

「ニコニコ動画やYouTubeのような動画サービスは独自の文化をつくってきたと思います。ミックスチャンネルの場合は、インスタントに観ることができ、画像と動画の中間のような立ち位置です。個人的には画像の拡張であり、アニメーションGIFのようなものとして捉えています」

海外の短い動画サービスは、ソーシャル志向のものが多い一方、ミックスチャンネルは、友達ではなく全国のユーザーに向けて発信する。「全国の高校で文化祭をやっている感じで、そのなかでネット的な自己表現ができることが大きな特徴です」と福山氏は語る。

MixChannelのプロデューサー兼エンジニア・福山誠氏

 

「撮影」より「コラージュ」に重点がある

ミックスチャンネルは、操作が直感的でシンプルなことが支持されている。画面の長押しで撮影、シーンの切り替えも簡単、そしてアルバムにある写真や動画を活用できる。BGMの追加やマイクを使ってのアフレコも可能なため、表現に幅が生まれる。

「ミックスチャンネルは、撮影に特化しておらず、『デコる』『コラージュする』といったことに重点があります。映像で特技を見せたり、歌うこともでき、プリクラ写真を動画にしたりと、自己表現の幅がかなり広いです。この点が、撮影することに力が入るほかの動画アプリとの大きな違いとなっています」

加えて、「ファン機能」と「リンク機能」も特徴的だ。ファン機能では、ユーザーのファンになることで、新規動画が投稿されるたびに通知が届く。これによって定期的な視聴が可能になり、リピートの促進となる。また、ファン限定の動画投稿もできるなどファンやコミュニティづくりにつながる仕組みがある。

リンク機能は、自分が投稿する動画にほかのユーザーの動画をリンクすることができるというもの。誰かの動画に影響を受けてのリメイクや誰かの動画の一部を活用したコラボレーション、そしてアフレコなどでみられる1話、2話といったシリーズものをつくる際などにリンクされる。誰の動画に影響を受けたのか、誰の動画とコラボレーションしたのか分かるため、投稿者同士のコミュニケーションも活発になる。

「アフレコ動画ではコメント欄でシナリオをつくることもあります。機能がどのように使われるのかという想定はしながらも、遊び方のルールはユーザーさんが発明し、自己表現の幅を広げてくれています」。ミックスチャンネルではわかりやすいコンセプトとして「10秒」とくくっているものの、それ以上の長い動画も投稿できるなど、いい意味で幅をもたせている。

一番人気は「カップル動画」

これらの特徴が若いユーザーにハマったことで、今年6月には「ユーザーの9割が10代」という段階もあり、いまでは月間2億回再生という数字を記録している。しかし、なぜ、ここまで10代を惹きつけているのだろうか。

もちろん、10代のユーザー獲得のために一定量のプロモーションをおこなっているが、サービス初期に新規ユーザーを引き連れてきたのは、人気の読者モデルたちだった。「女子高生に人気の大倉士門くんやこんどうようぢくんにサービスを使ってもらっていたことが、最初のうねりをつくることになりました」。

また、若いユーザーに向けたカテゴリーも理由のひとつとなっている。おもしろ、LOVE、顔出し、歌、メイク・ファッション、こえ、イラスト・こえ素材、スポーツ、before→afterメイクといったカテゴリーがあり、おもしろとカップルが2大人気カテゴリーだという。メイクカテゴリーは、女性ユーザーが多く、要望もあったため、後から追加した。非日常ではなく、隣の学校のおもしろい日常を見るエンタメ感が受けている。

上の世代にとって、LOVEカテゴリーは特に衝撃なのだが、これが嬉しい想定外だったようだ。「カップル動画がここまで流行るとは想定していませんでした。いまでは投稿数がいちばん多いカテゴリーとなっています」と語るように、カップル動画がアプリの人気に一役買っている。リリース初期の1月頃に、帰国子女のユーザーが彼氏とのイチャイチャ動画を投稿しはじめたことがきっかけだそう。

「当初はおもしろいことをやる人がちらほらいるくらいの状態だったので、最初のカップル動画の登場は衝撃的でした。それから同じようなフォーマットでのカップル動画が増えていきました」。コミュニティにカップル動画を投稿して、前向きなリアクションやそれに影響を受けた動画が投稿されるようなことは、ミックスチャンネル発の新しい若者文化とも言えるだろう。

ミックスチャンネルからテレビ出演を果たした「スマホの歌姫」

「当初は、彼氏といっしょの動画を投稿するだけでしたが、いまでは紙芝居のような質も高く、面白い動画が投稿されるほどに進化しています。動画制作などやったこともなかった女子高生がいまではiMovieを駆使してカップル動画を作る、ミックスチャンネルにアップするということもあるほどです。ファン機能やリンク機能、そしてコミュニティがあることで、いい動画をつくって公開したいという欲求がサービス内で生まれていると思います。10代の自己表現の背景にある、人気になりたい、認められたいといった欲求を受け止めることができればと思います」

ミックスチャンネルでは、タレントの活躍をはじめ、一般人でもファンが1万人以上つくことも珍しくない。人気ユーザーのMiracle Vell Magicさんは2万人以上のフォロワーがいる。「スマホの歌姫」と呼ばれ、テレビ出演も果たしているほど。女子高生の2人組の「まこみな」も10代女子に人気なユーザーだ。リリースから1年経っていないものの、アプリから生まれた才能が活躍しはじめており、全体的な傾向では、読者モデルを中心に女性が人気になっているという。

若い世代のクリエイティビティが集まるコミュニティであるため、「カップル動画コンテスト」など動画コンテストもおこなっている。また、企業の才能を発掘したいというニーズが合致する場合は、企業ともコラボレーションも実施。現在はユーザーを伸ばしている段階で、マネタイズには着手していないとのこと。今後はビジネス開発を強化するとともに、広告を中心にさまざまなマネタイズの可能性を考えているという。

年内に月間4億回再生、200万ダウンロードを目指す

ユーザー数や再生回数などが急速に伸びているミックスチャンネルだが、実は、福山氏にエンジニアとディレクターを加えた3名で運営している。Donuts社のコーポレート・スローガンには「歴史を変えたサービスのほとんどは、小さなチームから生まれている」という言葉もあるように、少数精鋭チームで大きなプロダクトを羽ばたかせようという思想がみえる。

少数チームながら、今年4月にiOS版で英語対応し、海外ユーザー獲得に向けて動き出した。しかし、実際のところは注力できておらず、まだ日本のユーザーしかいないとのこと。6月にリリースしたAndroid版も今月から英語対応する予定で、「アジア最大のスマートフォン動画投稿プラットフォーム」に向けてようやく海外展開を進めていく段階だ。アジアに焦点を当てているのは、インターネット人口が急増し、動画の広がりがまだまだ浸透しておらず、大きな市場があるからである。しかし、まだまだ中心は国内だ。

年内に月間4億回再生、200万ダウンロードを目指し、海外展開については「年内にどこかの国で流行り始めているという状態にしたい」と福山氏は語る。PC時代には動画サービスから新しいコミュニティや文化が誕生したが、スマートフォン時代にはどのようになるのだろうか楽しみだ。ミックスチャンネルから発信される若者の自己表現。その周りにはたしかに10代の求心力をもった、独特の文化圏が根づきはじめている。


Twitter、モバイル端末にインストールされているアプリの追跡を開始


今日(米国時間11/26)からiOSとAndroid端末のTwitterユーザーは、同システムにおけるデータ収集方法を変更について告知を受け、オプトアウトする方法も提供される。問題のデータとは、ユーザーのモバイル端末にインストールされたアプリのリストのことで、Twitterはこれを「アプリグラフ[app graph]」と呼んでいる。

同社はこのデータを利用して、「よりカスタマイズされたTwitter体験を作る」と言っている。似たような興味を持つユーザーを結びつけることによって「フォローのおすすめ」を改善し、関連の深い広告を表示するほか、タイムラインに興味のあるコンテンツを追加する。

この変更は、Twitterがユーザーのタイムラインをパーソナライズして、受け身のユーザーを ― ログオンはするが殆どツイートしない ― よりアクティブでつながりの強いユーザーにしようという取り組みの一環と見られる。少なくともウォール街では、Twitterのユーザー成長は停滞していることが問題になっている。

この問題を修正すべく、Twitterは入会したばかりで友達ネットワークを持たないユーザーにも利用価値の高いサービスになる方法を試している。例えば、最近追加された新規ユーザーのための「インスタント・タイムライン」は、初めてサインインした人にも、何かしら見る物を提供するものだ。

今回、モバイル端末にインストールされているアプリを覗けるようになれば、Twitterはユーザーがどんな人であるかの理解を深め、タイムラインのコンテンツを関連性の高いものにすることができる。そうやってTwitter体験の魅力を高めることによって、ユーザーを成長、維持できれば、最終的には収益を改善することができる。
しかし、「アプリグラフ」には、将来に向けてもう一つの目的がある。

これは、現在同社が提供している「ユーザーの関心に基づく広告ターゲティング能力」を改善する。どんなアプリを使い、どんなゲームが好きかを理解することによって、広告主がごく特定されたユーザー「集団」にリーチすることを可能にする。

これは将来Twitterが、現在行われているアプリのインストール広告やアプリ・エンゲージメント広告において、より高度なアプり推奨ができるようになることを意味している。

Twitterがデータを収集する方法

Twitterがこの「アプリグラフ」データにアクセスする方法は、Android上での方が容易であり、ユーザーは数週間のうちに告知を受けることになる。iOSでは、より難度が高く、端末上でアプリをチェックしたものをTwitterが既に持っているリストと照合する方法がとられる。このシナリオでは、Twitterは百万種類を越える既存iOSアプリのロングテールに手を出すことはせず、App Storeの各カテゴリーでトップチャートにランクされているアプリにエネルギーを集中することになる。

今回のTwitterのやり方に対して、行き過ぎであると反応する人たちもいるだろうが ― つまるところ、Twitter自身とは何の関係もないデータを収集するのだから ― 現実には今や多くの企業が同様のことをやっており、ただユーザーに公表していないだけだ。実際、様々な分析プロバイダーのSDKは、インストールされているアプリのデータを追跡して同様のデータを提供することによって、アプリメーカーがユーザーの「ペルソナ」を識別し、顧客ベースに関する深い洞察を得ることを可能にしている。

Facebookも、アプリがFacebook SDKを使っていれば(多くがそうしている)、ユーザーがどのアプリをインストールしているかを知ることができる。

そんな中でTwitterは、かなり目に見える形でアプリデータを追跡しようとしている ― ユーザーには大きな青色のプロンプトが表示され、設定画面に誘導される。しかもユーザーが既に設定している項目も尊重される ― iOS端末における「広告追跡の制限」や、Androidの「関心に基づく広告からオプトアウトする」等。もし、端末レベルでオプトアウトしていれば、ユーザーはTwitterのこのプロンプトを見ることもない。もしあなたがまだプロンプトを見ていなければ、Twitterはアプリデータを収集していないという意味だ。

そうは言っても、IT知識の低い多くのユーザーがこのプロンプトを見れば、意味を理解することができず、無視するだろう。そうするとTwitterはデータ収集することが可能になり、それがTwitterの後を追って同じことをしようとする他社の前例になってしまうかもしれない。

(画像提供:上、TechCrunch。下、Recode

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


利用者は18歳未満が7割――音楽コラボアプリ「nana」がユーザー参加型動画などリアル施策を強化

先週開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2014」では、「10代がハマるサービス」をテーマにしたセッションがあった。そのセッションに登壇してくれたモイ、uuum、葵といったスタートアップのほかにも、10代の“濃い”コミュニティが形成されているサービスは存在する。

そんなサービスの1つが、nana musicの提供する音楽コミュニティアプリ「nana」だ。同社は11月26日よりユーザー参加型の音楽番組「nanaキャス」の配信を開始した。

nanaはユーザーがスマホで録音した音声や演奏に、他のユーザーが更に音声や演奏を重ねて音楽コラボレーションを実現するスマートフォンアプリだ。例えば1人のユーザーがある楽曲のギター演奏を録音してアップすれば、それを聞いた他のユーザーがピアノ、ドラムといった演奏や、歌声と重ねてコラボレーションした音楽をアップロードしていくことができる。

ユーザーの7割が18歳以下

2012年11月にサービスを正式リリースしたが、現在の累計ダウンロード数は60万件以上。これまでの累計楽曲投稿数は300万曲、現在では毎日1万曲以上の楽曲が投稿されているという。年齢別にユーザーの割合を見ると18歳以下が約70%で、1人あたりの月間平均滞在時間は5時間、しかも上位5%のユーザーに限定すると64時間という数字になるのだそうだ。

MAUなどは公開されていないため、実際の規模についてはなんとも言えないところがあるが(歌や演奏ということで投稿のハードルも高そうだし)、10代を中心とした密なコミュニティが形成されていることは間違いない。nana music代表取締役社長の文原明臣氏いわく、「(アニメやゲームソング、ボーカロイド楽曲などのカバーを指す)『歌ってみた』をやりたくても、実はPCを持っていないという10代は少なくない。そんな人たちでもスマートフォンがあれば投稿できることもあって利用されているようだ」とのこと。

サービス内でのコミュニケーションも活発で、1つの投稿に対して200件以上のコメントが付くような投稿者もいるという。

ちなみにユーザーの海外比率も決して小さくない。日本のユーザーは全体の65%となっており、米国、タイがそれぞれ全体の6%、さらにベトナムやロシア、トルコなどにユーザーがいる。世界各国、数十人でコラボレーションした「We are the world」なども投稿されている。

番組配信たリアルイベントでユーザーの目標を作る

nanaキャスではそんなnanaのユーザーが登場し、カバー曲の演奏や、オリジナル楽曲の製作といったコラボレーションをリアルな場で行う。配信は月1〜2回、モイの「ツイキャス」、YouTubeの「YouTube Live」で視聴できる。11月26日に第0回となる試験配信を実施。第1回の配信は12月21日午後5時からを予定している。

また、これまで2回開催したオフラインミーティング「nanaフェス」を2015年夏に開催する。第1回は100人、第2回は200人規模での開催となったが、第3回は2000人規模のイベントを目指すそうだ(すでに会場も決まっているらしい)。さらに2016年夏には武道館を貸し切り、1万人規模のイベントを開催したいと語る。

なぜnanaはリアルイベントにこだわるのか? 文原氏はこのサービスで「音楽仲間に出会えて居心地いいコミュニティ」を実現したいとする一方、現状はユーザーのゴール、目標となるステージが存在していないと考えているそうだ。そこで、ユーザー同士がリアルな場所でセッションできる――しかもほかのユーザーも見る番組や、武道館のような大きな舞台で――という「目標」を作ってあげたいのだと説明する。

冒頭にあったTechCrunch Tokyoのセッションに登壇してくれたモイのツイキャス、uuumがマネジメントするYouTuberなどはすでにネットサービスの枠を超えて活躍する人々を排出しているが(もっと遡るとニコニコ動画からだってそうだ)、nanaからもネット発のアーティストが生まれるのかもしれない。

マネタイズは2015年以降に

このサービスが10代を中心にした濃いコミュニティを作っているという話は分かったのだけれど、気になるのはマネタイズだ。nanaはこれまで企業とのコラボレーション企画なども実施しているが、文原氏は黒字化を達成していないと説明する。今後同社ではプレミアム会員向けの課金、ギフトサービス、タイアップ広告を展開するという。

まずスマホアプリを12月4日にリニューアルする予定だが、ここにプレミアム会員向けの機能を導入する。これと並行してタイアップ広告を2015年から展開するという。例えば音楽アーティストの公式提供楽曲を使ってのコンテストなどを行うといったことを検討しているそうだ。ギフトサービスについては詳細や提供時期は明らかにされなかった。


企業も第一印象で決まる? Tinder風の転職アプリがリリース

スマホで異性の写真を見て、気になれば右にスワイプ、そうでなければ左にスワイプ。直感でカードをめくるような「Tinder」のインターフェイスは最近の流行りで、ファッション系アプリや学習アプリ、ニュースアプリでも模倣されるほど。そんなビッグウェーブに乗ろうとしたのか、転職サイト「キャリアトレック」が11月26日、Tinder風アプリをリリースした。「何でもTinder風にすればいいってもんじゃない」と少し覚めた目で見ていたけれど、転職サービスとの相性は案外悪くないかもしれない。

カード形式で会社の特徴を配信

まずアプリを立ち上げてするのは、企業選びで大切にする20項目について、左右に振り分けるキャリア診断。「収入アップできる仕事かどうか」「若手でも意見が言いやすい」といった項目に答えていく。その結果にもとづき、毎日最大10社の会社情報がカード形式で提案される。特徴的なのは、会社情報が写真と、数秒で読めるキャッチコピーのみで構成されていること。直感的に興味の有無を判断するTinderよろしく、気になる会社を探せるというわけだ。

例えば、名刺管理サービスを手がけるSansanでは、ビールが注がれたジョッキの写真に「違う部署の人と飲みに行ったら3000円」、古民家の写真に「築70年の古民家を会社で借り、サテライトオフィスとして利用しています」といった組み合わせのカードが数種類ある。1社をさまざまな角度から紹介しているので、同じ会社でも、特徴によって興味の有無が分かれてきそうだ。

ユーザーはレコメンドされた会社の特徴を見て、「気になる」か「気にならない」かを選別する。以下は開発中のアプリを操作している動画。わかりやすい写真とキャッチーなコピーのカードをめくっていくのは、なかなか面白い。

こんなふうにして振り分けた情報は次のレコメンドに反映され、自分に刺さりそうな特徴を持つカードが自動的に提案される。カードには「社長の経歴」や「オフィスの環境」といったタグが付けられていて、「気になる」に登録したカードに含まれるタグをもとに、別のカードがレコメンドされる仕組みだ。気になるフォルダで会社情報の詳細を見たり、応募することもできる。

Tinder風インターフェイスで「キッカケを手軽に」

キャリアトレックは20代の若手をターゲットにしたレコメンド型転職サイトとして、2014年4月にオープン。現在の会員数は7万人、求人企業は4000社、求人案件は1万7000件に上る。「社会人経験が短く、会社の探し方がわからない」という20代が多いと想定して検索機能を排除し、ユーザーのニーズに合った求人を提案するレコメンドに特化している。

アプリにTinder風のインターフェイスを採用したのは、20代をさらに意識したためだ。キャリアトレックのプロデューサーを務めるビズリーチの関哲さんは「会社を知るキッカケを手軽にしたかった。グノシーやスマニューのように通勤途中に見てもらえるアプリになれれば」と意気込みを語っている。

1日の平均利用時間が77分(!)というTinderのような中毒性はなさそうだが、ニュースアプリをチェックする感覚で隙間時間に転職先を探すのもよいかもしれない。


モバイル版Dropbox、Microsoft Officeとの連携機能を実装してバージョンアップ

今月初めに、DropboxとMicrosoftが提携する旨のアナウンスがなされていた。Microsoft Office Suiteとの連携を深め、Dropboxのモバイルアプリケーション内で、直接にOfficeドキュメントを編集したりできるようにするという話だった。この話が現実のものとなり、Android版およびiOS版のアプリケーションがリリースされている(訳注:日本向けのリリースは確認できていません)。

Dropboxのブログによれば、Dropboxアプリケーション内からOfficeドキュメントを編集することが可能となり、またOfficeからも直接にDropbox内のファイルを操作できるようになった。新機能を利用するには、まずアプリケーションを最新版に更新する必要がある。するとドキュメント、スプレッドシート、あるいはプレゼンテーションファイルをそのまま操作できるようになるのだ。

最新アプリケーションでは、上の図で示した「Edit」アイコンから新しいモバイル版Officeアプリケーションに移動して編集作業を行う。編集終了時には、変更内容がすべてDropbox上のファイルに反映されることとなる。

DropboxとMicrosoftが、幅広い提携関係を築こうとしていることに驚く人も多いことと思う。MicrosoftもDropboxの競合となるようなOneDriveというサービスを提供しているからだ。しかしDropboxの方が圧倒的なシェアを握っており、ビジネスユーザーも8万を数える中、Microsoftとしては手を結ぶ方向に考えをシフトしたのだろう。

ちなみに、冒頭に示した以前の記事にもあるように、両社の提携は4つの分野に及ぶ。まずモバイル版Dropboxから、Officeドキュメントを簡単に扱えるようにすること、そしてOfficeアプリケーションから直接にDropbox内のファイルを操作できるようにすること、Dropbox上のファイルへのリンクをOfficeでシェアできるようにすること、そしてMicrosoftのスマートフォン向けにDropboxを開発することだ。

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Homescreenは、ホーム画面を共有して分析するアプリ


誰かがスマホを取り出すのを見ると、ついつい覗きたくなってしまう。それが電車の中の赤の他人であれ、何ヶ月もつきあっている女性であれ、見ずにはいられない。

betaworksの最新アプリなら、その好奇心を全く新しいレベルへと引き上げてくれる。

それはHomescreenという単純なアプリで、自分のホーム画面のスクリーンショットを撮り、生成されたリンクをTwitterでシェアする。リンク先は “homescreen.is/ユーザー名” になっていて、他の人たちがあなたの好きなアプリ群を見ることができる。さらに画像認識によって、自分の持っていないアプリでもアイコンをなぞると詳細な情報が表示される。

超シンプルではあるが、すでにトレンドが生まれている。自分のホーム画面をシェアするためのフォーラムも既にあり、いずれにせよアプリにとって最大のマーケティング手法はクチコミだ。これらを組み合わせて、betaworksは独自のユーザー生成アプリ推奨エンジンを作り上げた。

ウェブサイトのトップアプリ部門では、同プラットフォーム内での人気アプリを見られる。

もちろん、betaworksに関するものものもある。

この会社はデータに関してかなり思い入れが強い。スタートアップ・スタジオ(他に良い呼び方がないので)はそうあるべきとも言える。Betaworksは10種類もの異なるブランドを使い分け、天気からメディアから分析からゲームまで、様々な分野に子会社を持っている。自社製品の価値を理解することは最優先だった。

そして、約一年間、Betaworksはどのアプリがユーザーにとって最も大切かを社内で研究し続けてきた。そして、ユーザーのホーム画面は出発点として最適だった。年初に自分のホーム画面のスクリーンショットをTwitterに投稿する、という恒例行事(私は聞いたことがなかったが)を利用して、betaworksはTwitterで#Homescreen2014を検索して1000種類のホーム画面データを収集した。

分析の結果、iPhoneユーザーは多くのAppleの標準アプリを置き換えていることがわかった。メール、天気、タスク関連アプリ、カレンダー、ポッドキャスティング等だ。実際、それぞれのカテゴリーで、45~65%のホーム画面が、Appleの標準アプリをサードパーティー製アプリで置き換えていた。

Betaworksは、メッセージングアプリがホーム画面に侵略していることも発見したが、Appleのメッセージアプリを置き換えるとは限らず、共存していた。

betaworksの調査結果の全文は、このMedium記事で読める。また、Homescreenを試してみたい人は、ここに説明がある。

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「資金はすべて米国にぶっこむ。日本には残さない」–メルカリとスマニュー、海外でどう戦うか

これまで多くのスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。しかし今年はスマートニュース米App Storeで1位を獲得するなど明るいニュースもあった。

先日のイベント「TechCrunch Tokyo 2014」では、そのスマートニュースに加え、日本で600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、すでに海外ユーザーを多く抱える対戦脳トレアプリ「BrainWars」からキーパーソンを集め、「世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?」と題しディスカッションした。

モデレーターを務めたのはTechCrunch Japan編集部の増田覚。冒頭で、「そろそろメジャーリーグで日本人選手の先駆けとなった野茂英雄のような存在が、日本のスタートアップ業界にも必要なのではないか?」と問いかけた。果たして、この3社が野茂となるだろうか。まずはそれぞれの海外展開の現状について整理しよう。

米国で10月リリース、いきなり1位になったスマニュー

スマートニュースについて紹介したのは、共同創業者で代表取締役を務める鈴木健氏。同アプリは2年前にリリースされた。機械学習と人工知能でネット上の情報を集めてきて、快適に読んでもらおうというアプリだ。

リリースから25カ月で500万ダウンロードを突破した。UIに多少の変更を加えて10月に米国でリリース。米国のAppStoreのニュース部門では見事1位を獲得した。多くのメディアに取り上げられ、レビューも好評とのことだ。

メルカリ、来年は欧州市場も

メルカリはスマホから簡単に出品・購入ができるフリマアプリで、去年の7月にリリース。取締役の小泉文明氏によれば、ダウンロード数は600万を突破し、月間数十億の売買が発生しているという。出品数は1日10万品目に上る。テレビCMも効果が出ているそうだ。

今年3月に14.5億円を調達してサンフランシスコにオフィスを開設した。米国では今年9月にアプリをローンチ。カテゴリでひと桁台の順位につけているという。「来年はヨーロッパにも進出したい」と小泉氏は語る。

BrainWarsは驚異の海外比率95%!

トランスリミットは1月に設立したばかり。1つ目の製品が「BrainWars」という対戦型脳トレゲームアプリだ。友達と対戦しながら頭を使うゲーム遊ぶと、自分の得意・不得意分野が分析される。現在、16種類のゲームが用意されており、アップデートごとに2〜3のゲームが追加される。米App Storeのゲーム部門で1位を獲得し、アプリは700万ダウンロードを突破している。友人間のクチコミで伸びており、ここまで広告費を一切払ったことがないそうだ。

もう1つの特徴は海外比率の大きさだ。国内のユーザーはわずか4.6%にすぎない。残りの95.4%が海外からのアクセスで、米国と中国が多いものの、「その他」が22.7%とかなり細分化されている。合計150カ国以上で使われているという。代表取締役の高場大樹氏は「ゲームをしていると普通に外国人とあたる。言葉の壁がなく遊べる。同じ脳トレをやっているので頭脳のオリンピックみたいになる」と語った。

海外展開に向けてUIは変更「日本向けはごちゃっとしている」

リリース時から海外を意識し、すでに海外ユーザーが多いBrainWarsは別として、スマートニュースとメルカリは米国に進出する際に、何らかのUIを調整した模様だ。「グローバルに通用するのはどんなUIなのか」というお題に対して、それぞれ興味深い答えが帰ってきた。

スマートニュースの鈴木氏は、「もともと海外を意識しており、普遍性のあるアプリに仕立てていた」と言う。ただし、言語やUIは日本向けに作っていた。例えば日本人向けに少々ごちゃっとしたデザインにしていたが、米国でユーザビリティテストした結果、変更する必要性に気づいたそうだ。「米Flipboardのデザイナーがアドバイザーになってくれて、どういうデザインにしたらいいか議論してリリースした。まずまずUSのユーザーにとっても使いやすいと評判のものに仕上がった」と振り返った。

メルカリの小泉氏もほぼ同じようなことを語った。「UIについては初期のメルカリはすごくごてごてしていて、日本ぽく、東アジアっぽかった。それが日本にウケていたけど、9月に米国でローンチするにあたって、ちょっとださいと感じた。かなり大胆に米国に適応させ、日本を無視したデザインにした」という。すでに日本版も米国版と同じUIになっている。日本人ユーザーが離れていかないか心配だが、「普段、TwitterとかFacebookとかInstagramとか米国製アプリが日本で使われているので付いてこれると思っている」とのことだ。

小泉氏はさらに、「実はGoogleやAppleがアドバイスしてくれる。ここは直した方がいいよって。それを参考にした」とも打ち明けた。意外と細やかなサポートがあるようだ。

米国は世界への近道、初めに押さえないと勝てない

そもそも、なんで最初に米国なのだろうか。アジアという選択肢はないのか? それに対する小泉氏の答えは以下のようなものだ。

「メルカリはC to Cのプラットフォームなので、1社しか独占できない。必ず“Winner takes all”になる。英語圏で他社にシェアを取られたら、そこで終わり。もう勝てない。だから米国に行った。SonyやHONDAも米国で認識されてグローバル企業になった。ヤフオクとeBayを見ても、米国の方が数倍規模が大きい。日本を捨ててでも米国を取るべき。英語圏をとったら世界で勝てる、逆にそこを取れないと厳しい」。

一方で鈴木氏は個人的に米国に行きたかったそうだ。「向こうに行くとテンションが上がる(笑)」と嬉しそうに話す。「十何年か前に行ったときは感激した。いつか米国市場に挑戦したいと思っていた。でも気持ちだけでは会社を動かせない。グローバルに進出するときに米国を通るのは、難しいけど近道。ニュース分野では基本的に世界中の人が米国のニュースを見ている。米国のパブリッシャーとユーザーに愛されるものを作ろうと、会社で説明して、幸運にもうまくいった」。

それぞれ根本の動機は違うものの、世界で勝つには米国市場を押さえなければいけない、という意見は一致している。

ゲームの最高ランクを「神」にしたら大問題に

日米でユーザーの反応に違いはあるのか。BrainWarsの場合は興味深い差異が見られたという。2人で対戦する前と後にスタンプでコミュニケーションをとれるようになっているが、その使い方に違いがある。

「日本人は負けた時、涙マークとかのスタンプだけど、欧米人はグッジョブ!みたいなスタンプを送る。日本は対戦前に笑顔マークを使うが、米国の人はハートマークとか」と高場氏は説明した。

また同氏が、海外展開を試みて初めて直面した意外な問題点もあった。「ゲームの中に『グレード』という称号がある。ヒヨコ、うさぎ、亀とランクが上がっていく。そして最後は神。日本人はAKBに神セブンと名づけたり、神技という言葉があったり、『すごい』っという意味で使う。そうしたらヨーロッパのユーザーから『神への冒涜だ!』と叱られて即刻、取り下げた(笑) 世界の事情をちゃんと知らないといけない。何もかも準備するのは難しいので、問題が起きたらすぐ対処できるようにしている」(高場氏)

米国でオフラインモードはいる? いらない?

小泉氏は基本的に、初期の日本人ユーザーの動きと違いはないと分析した。ただし、ひとつ変わっていたのが「招待インセンティブ」への態度だという。友だちを招待したら◯◯ポイントをプレゼントするというものだが、米国人はこれが思いのほか好きなのだとか。「普通にTwitterとかFacebookとかで紹介してくれる。ユーザー獲得のところは良い意味で驚きが多かった」と振り返る。

鈴木氏も「思ったより反応が良かった」とポジティブな感想を持っている。「米国は車社会だからオフラインモードとかいらないのでは? それよりラジオみたいな音声読み上げじゃないの? とかいろいろ言われていた。でもやっぱり米国はネット回線の環境が悪いのでオフラインモードは受け入れられた」と語る。

ニュースをめぐる環境に違いがあるとすれば、米国の方が「ニュースソースに対するブランド感が強い」ということだそうだ。「だから米国はニュースアグリゲーションよりもCNNなどのパブリッシャーの方が強い。しかしパブリッシャーは日本よりも寛容。米国ではFlipBoardがすでに切り拓いていた。僕らはパブリッシャーフレンドリーなサービスで、スマートモードで発生する収益はすべてメディアに渡す。『まじで?すごいな!』となった」(鈴木氏)

「でも日本ではリリース当初、怒られていましたよね」と増田記者が突っ込むと、鈴木氏も認めた。「2年前にアプリを出した時、僕と浜本だけで、まともにパブリッシャーと話ができていなかった。そこで元アイティメディアの会長・藤村さんに入ってもらって、スマートニュースについて説明してもらって、どんどんいい関係を作っていけた」

海外展開の際は「最初の1人をどう選ぶか」が大事

組織の話になってきた。海外展開に向けて、各社とも組織づくりで意識したことはあったのだろうか。

小泉氏は「最初の1人をどう選ぶか」にかなりこだわったという。「時間はかかるが、最初の数人を間違わないで選ぶこと。いきなり100人とかとるわけじゃない。1人目が重要。それによって次の人も決まる。メルカリは米国でかなり知名度がある人にアドバイザーになってもらった。人づてで会ってもらい、プロダクトを見せると、『クールだ。ぜひ一緒にやりたい』と言ってもらった。いま20人以上にまでなった」

ちなみに現在メルカリの米国オフィスを率いるのは取締役の石塚亮氏。中学時代から米国に留学し、大学卒業後そのままRockYouというソーシャルアプリ会社をシリコンバレーで創業した経験を持つ。創業者の山田進太郎氏が、米国進出を見据えて誘った人物だ。その彼が半ば片道切符で米国を開拓しているという。

「銀河系軍団」を目指すスマニュー、空中分解しないための工夫

スマートニュースはチーム作りのロールモデルが2つあると、鈴木氏は言う。1つはGoogle。そこはなんとなく想像できるが、もう1つはスペインリーグのサッカーチーム「FCバルセロナ」だそうだ。どういうことだろうか?

「僕らのチームつくりのテーマは“日本代表から世界選抜へ”。世界で戦うにあたっては世界選抜が必要で、世界トップの人材を集めたい。あらゆる分野でそういう人材を入れたい。米国は現在サンフランシスコが4人、ニューヨークが2人だが、もっと拡張してグローバルのヘッドクオーターを米国に作る」(鈴木氏)。

“米国における藤村氏”も見つかったという。要はパブリッシャーとの交渉役である。「春に出張したときにRich Jaroslovskyさんと会った。彼はもともとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)で政治記者だった。レーガン大統領とともに来日して昭和天皇に会ったこともある。WSJのマルチメディアの立ち上げにも関わった。そんな彼が米スマートニュースでパブリッシャー担当となっている」と胸を張った。

「でも、銀河系軍団は失敗しがちじゃないですか?」という問いに対して、鈴木氏は自信を持って答えた。「採用を決めたら、日本に2週間くらい滞在してもらう。すごく仲良くなる。あと面接のフローも僕らは相当長い。しっかりとコミュニケーションを取っているので、離職率はいまのところゼロ%です」

スマートニュースの知名度は米国ではまだ低い。なぜ採れるのか? と不思議に思えてくるが、鈴木氏によれば、「米国人は知名度だけで選ばない。プロダクトとビジョンとチームにどれだけ惹かれるか」だそうだ。プロダクトに惚れさせれば、意外な大物を一本釣りできる可能性もあるらしい。

一方でトランスリミットは他の2社とは違い、海外拠点を作らない方針だ。高場氏は「アプリデベロッパーとして世界展開するので、日本1カ国を拠点として多国籍のチームを作りたい。米国で拠点を作らないのかと聞かれるが、まだ日本に7人のチーム。いま米国に作って、管理工数を取られ、マネージメントとかでスピードが落ちるより、日本で地盤を作って海外にはマーケティング機能を置く方がいい」と語る。

アングリーバードなどは1つの国で作ったものをマーケティングで世界に広げた好例だという。「不可能ではないと思ってやっている」と高場氏。

米国は大きなチャンス、「すべてをぶっこむ」

最後の質問は「ぶっちゃけ海外にどれだけ使いました?」というもの。

小泉氏の答えはとても明確だ。「(10月に)調達した24億円は基本的に米国版を立ち上げるための資金。日本でもCMとかでお金は使っていますけど、基本的にはすべて米国にぶっこもうと思っています。日本に残す必要はない。米国を制することができなければメルカリはもう無理だという気持ちで、全部使う」と話した。

12月以降にようやく収益が上がりはじめるスマートニュースも、それらの投下先はグローバル市場だという。鈴木氏は「世界人口の半分がスマホを使う。新聞読む人は減っていき、『初めてニュースを読むのはスマホ』という人が数十億人規模で生まれる。そこに全力で挑戦して、世界中の人たちに使ってもらえるサービスを作りたい」と展望を語った。


iPhone 6の絶好調により、アプリケーションダウンロード数も過去の記録を圧倒

iPhone 6およびiPhone 6 Plusの影響もあり、Appleはこれまでの記録をやすやすと塗り替えてしまったようだ。アプリケーションマーケティングのマーケティングサービスを提供するFiksuのデータがそれを証明している。FiksuのリリースしているOctober App Store Competitive Indexによると、10月のトップ200無料アプリケーションダウンロード数は1日あたりでの比較で、9月から42%増といなっているのだそうだ。また前年比でも39%の伸びで、実数を見れば無料のトップ200アプリケーションのダウンロード数は780万件/日に達するほどになっているのだとのこと。

ジャンプアップの理由は、iPhone 6を手に入れた人たちが、「必携」アプリケーションを再ダウンロードしたことによるものだろう。ダウンロード数が増えることにより、「ローヤルユーザー獲得費用」(cost per loyal user)も低くなっている。既に所有しているアプリケーションのダウンロードが多いということはあるものの、しかし新機種登場にあわせてアプリケーションの告知をすることが、開発者にとっても有利であるだろうとFiksuは指摘している。

ダウンロード数のうち、どれだけが最ダウンロードであるのかはともかく、新しいiPhoneのリリースにより、過去の記録が塗り替えられるのみならず、圧倒されたというのが重要なポイントとなっている。ダウンロード数増加の動きがそのままハードウェアの販売増に繋がると考えれば、ホリデーシーズンを含むこの四半期には7000万台ものiPhoneが売れることとなる。大きすぎる数字ではあるものの、この数字が現実になると予測するアナリストも多いようだ。

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(翻訳:Maeda, H


Yahoo、写真関連サービスを展開してきたCoolirisを買収

写真関連のアプリケーションを扱ってきたCoolirisがYahooに買収されることとなった。

振り返ってみれば、ずいぶんと長い歴史を持つようにもなっていた。設立は2006年で、当初は写真などを3D wall風に表示するものだった。

Adjitsuという、モバイル向け広告プラットフォームも開発したが、こちらについては昨年SingtelのAmobeeディビジョンに売却している。

最近のCoolirisはFacebook、Flickr、そしてDropboxなどの画像を横断的に閲覧できるモバイルアプリケーション(名前はCoolirisのままで、また以前の3D wallと同様のインタフェースをもってもいる)に注力してきていた。昨年の話ではRenren、Yandex、およびBaiduなどとのパートナーシップにより、とくにアジア圏にて急速に成長しているという話もあった。

今年の夏には、写真を中心に据えたメッセージングアプリケーションであるBeamItもリリースしていた。

これまでにKleiner Perkins Caufield & Byers、Deutsche TelekomのT-Venture、Westly Group、およびDAG Venturesなどから総額で2760万ドルの資金を調達している。

Coolirisのサイトには次のような文章が掲示されている。

Yahooは、より直感的で誰もが簡単に利用できるモバイル環境の構築を、一貫して求め続けています。

その点から考えて、CoolirisにとってもYahooが最高のパートナーとなり得ると判断しました。世界を相手にプロダクトを問うていく体制が整ったというわけです。

Yahoo CEOのMarissa Mayerはモバイル重視をことあるごとに強調しているし、先月にもメッセージングアプリケーションのMessageMeを買収してもいる。

ちなみに買収発表の案内の中に、これからCoolirisのプロダクトをどう扱っていくのかという記述は見当たらないようだ。人材獲得目的の買収である可能性もあるが、とりあえず今のところはCooliris for MobileおよびBeamIt Messengerの公開を停止する予定はないらしい。

Update:Yahooからの発表があった。

魅力的なアプリケーションを世に出してエンゲージメントを高め、そして収益も増やしていくというのは、私たちの目的のひとつです。そしてこの分野で協力してくれるベストの人材を獲得するためにCoolirisを買収することとなりました。私たちは買収によって、検索、コミュニケーション、デジタルマガジン、およびビデオといった成長の見込まれる分野における活躍を見込んでいます。そのような中、Coolirisの17名を、私たちのコミュニケーションチームが拠点とするサニーベールに迎えることを大変嬉しく思っています。現在リリース済のCoolirisプロダクトについて、直ちに何らかの変更を加えるということは考えていません。

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(翻訳:Maeda, H


Twitter、公開ツイートを非公開で共有できるダイレクト・メッセージ機能をリリース

今月始め、Analyst’s Dayカンファレンスで、近く予定されている機能とビジネス・モデルのアップデートのプレビューを公開した。そこで紹介された機能の一つに、公開ツイートを特定の相手とだけ共有する「プライベート共有」(Twitterはダイレクト・メッセージと名づけた)があった。先ほどTwitterはこの機能を一般公開した。Twitterによれば「今日のアップデートで、ユーザーはフォロワーの誰とでも非公開でツイートを共有し、議論することができる」という。

デスクトップまたはTweetDeckアプリの場合、 “…More”アイコンをクリック、“Share via Direct Message.”を選択する〔日本版ではこの記事の翻訳時点ではまだ公開されていない〕。iOSまたはAndroidアプリの場合、タイムラインのツイートを長押してオプションを表示し、“Share via Direct Message”を選ぶ。

メッセージを受け取った相手にはプッシュ通知が表示され、メッセージの中に共有ツイートそのものも表示される。

この機能はTwitterの全ユーザーが熱望していたというほど画期的なものではないが、Twitterを離れずに公開ツイートを対象に特定の相手と非公開で会話を続けることができるのは便利な機能には違いない。

モバイルではプライベート・メッセージ・アプリが花盛りだ。多くのアプリが非公開で会話ができる機能を備えるようになっている。一部のアプリではプライバシー保護を一歩進めて、共有されたコンテンツやメッセージが表示後、自動的に削除されるようにしている。Twitterも徐々にではあるがこの方向に機能の追加を進めてきた。まず昨年の冬にDM(ダイレクト・メッセージ)で写真共有を、その後、リンク共有をサポートした。Twitterはそれ以外にもダイレクト・メッセージの機能を「最近の一覧」の追加やアイコンのデザインの改良などこまめにアップデートしてきた。

「Twitterは公開の議論のすばらしいプラットフォームだが、興味ある話題についてのプライベートな会話も簡単にできるようになった」とTwitterの公式ブログは書いている。

このアップデートは今日中にウェブ、モバイルを含めてほぼすべてのプラットフォームに公開される予定だ。デスクトップの場合はTweetDeckに機能が追加される。 ただし、Mac版TweetDeckとTwitterのデスクトップ・アプリのアップデートは少々遅れるようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


RelativeWaveがGoogleに買収され80ドルのアプリデザインツールFormが無料に

80ドルのMacアプリケーションで、“対話*をデザインしてプロトタイプを作る”Formで知られるRelativeWaveがこのほどGoogleに買収され、その結果Formは無料になった。〔*: 対話, interaction, アプリの、ユーザとの対話的関係のある部分。〕

Formは、デザイナーやデベロッパがモバイルアプリの視覚的な部分が機能するプロトタイプを、コードを書かずに作れるヴィジュアルエディタである。

Formは、アプリを作るツールではないから、完全な機能があって配布できるアプリはできない。むしろ、アプリのラフスケッチというか、デザインの基本方針を表すプロトタイプが作れる。たとえば、ここにはこんなアニメがある、とか。あなたが紙ナプキンの上にボールペンで描いた概念図を1とし、実際にそのアプリのコードを書くことを10とすれば、Formによるプロトタイプの作成は6あたりだ。

Formは、OS X用のヴィジュアルエディタとiOS上の擬似的アプリの二つの部分から成る。ヴィジュアルエディタでプロトタイプをデザインしていくと、変更箇所などがデバイス上の擬似アプリにすぐに反映して動くから、再コンパイルの必要性がない。

最初150ドルだったFormは、今年の秋に80ドルに値下げされた。

そしてチームがGoogleに参加した今日(米国時間11/19)からは、Formは無料になる。それはMacのアプリケーションストアのここにまだある。同社は、これまでFormを買ったユーザには返金する、と言っている。立派だけど、あまりふつうではないやり方だ。

買収の詳細は公表されていない(本誌はいつものように追及しているが)けど、“人材を獲得してプロダクトを殺す”タイプの買収ではなさそうだ。RelativeWaveは、今後もGoogleでFormの開発やメンテナンスを続ける、と言っている。でも今はiOS用のみだから、Androidバージョンも作るのだろう。

この記事を読んでもFormがよくわからない人のために、下にかなり長いビデオを埋め込んだ。最初の数分を見ただけでも、だいたいのことは分かると思う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、App Storeのダウンロードボタンを「無料」から「入手」に変更。EC対策か?


iTunesおよびMac App Store全体で、AppleがiOSやMacのアプリをどうマーケティングするかに関する、小さいが注目すべき変化があった。無料アプリのダウンロードボタンのラベルが、「無料[FREE]」から「入手[GET]」になった。この変更は、欧州委員会からの度重なる圧力によるものである可能性が高い。EUは今年の夏Googleに対して、アプリ内購入を推めるアプリのラベルを変更させることに成功している。

EU諸国内でGoogleは、”Top Free Apps”[トップ無料アプリ]の名称を”Top Apps”[トップアプリ」に変更し、”Top Free Games”セクションも、”Top Games”に変更しており、これは新しいガイドラインに準拠したものだ。

欧州委員会は、「無料」とラベル付けされたゲームには、実際に関わってくるコストを、消費者に誤解させかねない問題があるため、子供に直接アプリ内購入を薦めたり、親に追加機能をねだらせるべきではない、と言っている。

当時Appleは、いずれ変更を行うこと約束すると共に、特にアプリ内購入については既にいくつかの保護対策を施していることを主張した。Engadgetに提供された声明で同社は「…昨年来、利用者のアプリ内購入が可能なアプリにはそのことを明示させてきた。また、App Storeには13歳未満の子供たち向けにさらに保護を強化したアプリのための、キッズセクションを設けている」と書かれている。

iOS 8では、さらに保護を強めた機能を提供していくとAppleは言っている。

Appleは「無料」アプリに関して、EUに特化した変更を行わないことにしたようだ。代わりに、デスクトップおよびモバイルのApp Store全体について、アプリ内購入の有無にかかわらず、ダウンロードボタンを「入手」に名称変更した。

おそらくこれで、地域別対応が容易になると共に、一部アプリの特質に関して、多少なりとも誠実になった。ユーザーは〈入手〉できるが、必ずしも〈無料〉ではない。

現時点で、Appleのトップチャートは変更されていない ― 従来通り、両ストア共表示は「トップ無料APP」および「トップ有料APP」となっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ついに完全に姿を消した旧来のFoursquare

旧Foursquareがその痕跡を消すこととなった。依然として生き残っていたWindows Phone上でも、ついに新Foursquareにとってかわられることとなったのだ。

今年の夏にFoursquareは、人気のチェックインアプリケーションであったFoursquareを2つのアプリケーションに分割するというアナウンスを行った。すなわちSwarmとFoursquareだ。アナウンスのすぐ後にリリースされたSwarmは、以後、旧Foursquareからチェックイン機能を引き継ぐこととなった。これまでのチェックイン履歴や友だちが訪れた場所なども、こちらのSwarmで管理されることとなった。そしてFoursquareの方はといえば、Yelpと直接的に競合する機能を提供するようになったのだった。これまでに集めたデータに基づいて、近くにあるクールな場所のレコメンドをするアプリケーションとなったのだった。

新しいFoursquareのiOS版とAndroid版は8月にリリースされた。しかしWindows Phone上では、旧版のFoursquareが生き続けてきたのだった。それがついに終わりを迎えた。

つまり、Windows Phone向けにも新しいFoursquareがリリースされたのだ。Windows Phone利用者も、ついにAndroidおよびiOS版の利用者と同じバージョンのアプリケーションが利用できるようになったわけだ。

Foursquareは、また新たなアプリケーションの開発に勤しんでいるが、いずれにせよ昔ながらの青地にチェックマークのあるアイコンは消え去ることとなったわけだ。

これはFoursquareにとって一時代の終わりを意味し、また新しい時代の幕開けを意味するのだろう。これまでのところ、Foursquareのレコメンド機能は好意的に受け入れられているようだ。自らのアクティビティと、そして友人の行動に基づいたレコメンデーションは、確かに有効であると受け入れられているようだ。

Windows Phone版のFoursquareに興味をお持ちの方は、Foursquareのブログ記事をご覧いただくと良いだろう。

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(翻訳:Maeda, H