ブロックチェーン活用のブラウザ「Brave」、ユーザーがサイトにチップする機能を提供

ブロックチェーンを基盤とするブラウザを制作するBraveは、今年の初めイニシャル・コイン・オファリング(ICO)で3500万ドルを調達した。そのBraveが今回、新しい方法でパブリッシャーに報酬を提供するエコシステムの確立に向け、一歩を踏み出した。

Braveの特徴の1つは、独自の通貨であるBAT(Basic Attention Token)を使い、従来のオンラインパブリッシングにおける資金の流れを大きく変えようとしている点だ。Braveはブラウザを使用するユーザーに対して報酬を与え、同時に目障りな広告を抑制し、より関連性の高い広告を促進する。もう1つのBraveの特徴は、読者がBATを使って、アクセスするウェブサイトのコンテンツ製作者に対し、報酬を提供できるようにすることだ。

今回のBraveの取り組みは、そのような施策だ。Braveは、合計30万BATトークン(約6万ドル相当)を今後30日間でユーザーに提供する。ユーザーは通常Braveを使用することでトークンを獲得する。しかし、今回のプロモーションでは追加のクレジットがユーザーのウォレットに配布され、ユーザーはそのクレジットをパブリッシャーやYouTubeチャンネルの運営者らに直接提供することができる。

Braveは月間100万人のユーザーを持ち、パブリッシャーには1100以上のウェブサイトと600以上のYouTubeチャンネルがあるという。この数字を考慮すると、これはかなり大きな動きと言えよう。YouTubeは先月Braveに加わった

トークンを提供する通知

今後30日間(もしくは割り当てられたトークンの配布が終了するまで)で、ユーザーは最大5ドル相当のBATを獲得し、Braveウォレットに追加される。ウォレット残高は、ウェブサイトで費やした時間に基づき、訪問したウェブサイトに対する「チップ」として使用できる。

デフォルトでは、Braveのユーザーが同社公認のウェブサイトやYouTubeチャンネルを閲覧した時間に基づき、チップを付与する。この設定を変えることも可能で、ユーザーは好きなウェブサイトにチップを多く割り当てることができる。

Brave Paymentsのデフォルト設定では、同社公認のウェブサイトで費やされた時間に基づき、ウォレットが配分される。

Braveはこの施策で、ユーザーのウォレット残高を底上げする。これによりユーザーはコンテンツ制作者により多くチップを提供することができるようになる。コンテンツ製作者は得たBATを法定通貨に換金できる。

「これは、公平な取引に向けてユーザーを支え、有害な中間業者を排除するために必要な多くの段階の1つだ」。Mozilla前CEOで現在BraveのCEOを務めるBrendan Eichは、声明の中でTechCrunchにそう述べた。

「我々は、善意の貢献からユーザー助成金、そして広告収入の大半をユーザーと共有するプライベート広告へと移行しており、外部関係者(Braveを含む)によるターゲット設定や追跡は行わない」とBrendanは付け加えた。

その他多くのICOプロジェクトとは異なり、Braveはブラウザというプロダクトを提供することができている。しかし、プロジェクトの全面的な展開には時間がかかるだろう。支払いのオプションやYouTubeは2ヶ月前に追加されたばかりだ。だがBraveは、トークンの販売を通して資金調達を行った多くのプロジェクトよりは進んだ段階にある。

ICOに先立ち、Braveは通常のベンチャーキャピタルからの投資により600万ドルを調達している。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / LinkedIn / Facebook

複数クラウドにまたがるアプリケーションの管理をコンテナとKubernetesで自動化するOverclock Labs

Overclock Labsは、アプリケーションの複数のクラウドにまたがるデプロイと管理を自動化により容易にするためのサービスを提供している。そのために同社が作った、分散クラウドインフラストラクチャを自動化するツールは、今どき当然ながらコンテナを使用する。そしてそれらのツールの主役は、コンテナオーケストレーションツールKubernetesだ。

今日(米国時間11/21)、2年前に創業されたOverclock Labsはステルス状態を脱し、130万ドルの資金調達を発表した。投資家はシリコンバレーの複数のエンジェルとCrunchFund、こちらは本誌TechCrunchと名前や経歴を多少共有しているが、本誌と特別の関係はない。

同社は、今回初めて一般に公表される資金を使って、DISCOというものを開発していた。DISCOは Decentralized Infrastructure for Serverless Computing Operations(サーバーレスコンピューティングオペレーションのための分散インフラストラクチャ)の頭字語だ。サーバーレスとあるからにはそれは、AWSのLambdaやAzure Functionsのようなイベントドリブンのサービスか? そう考えたくなるのも無理もないが、しかしOverclock Labsの協同ファウンダーGreg Osuri(CEO)とGreg Gopman(COO)によると、彼らの言う“サーバーレス”とは、完全な自動化のことだ。Lambdaは、イベントドリブンなアプリケーションのためにリアルタイムの自動化をやってくれるが、オープンソースにする予定のDISCOの場合は、もっといろんなアプリケーションのサポートを目指している。なお、同社の三人目の協同ファウンダーは、Adam Bozanichである。

Osuriが説明するその基本的な考え方は、ユーザーがどんなクラウドサービスのプロバイダーでも使えて、それら複数のクラウド間を容易に行き来できるようにすることだ。そのようなデベロッパー体験は、クラウドアプリケーションプラットホームのHerokuにやや似ており、ユーザーインタフェイスはGUIとコマンドラインの両方を提供している。

目下このツールがサポートしているのはAWSとGoogle Cloud Platform、そしてベアメタルのスペシャリストPacketだが、今後徐々にそのほかのクラウドもサポートしていく。DISCOはオープンソースだから、ほかの人たちが自分のものを統合するのも容易だ。

DISCOを使ってアプリケーションをデプロイするやり方は、二(ふた)とおりある。12-factor appのありがたい教えに従ってアプリケーションを作っている場合は、DISCOは単純にソースコードを取り込んでアプリケーションをデプロイする。あるいは独自のコンテナでアプリケーションを作ってる場合は、それらのコンテナをDISCOに渡してデプロイさせる。するとDISCOがコンテナレジストリを扱い、コンテナをデベロッパーに代わって管理する。

DISCOの約束は、アプリケーションのデプロイをHerokuを使う場合のように容易にすること、ただしその1/3のコストで。前にAngelHackを一緒に作ったOsuriとGopmanには、オープンソースのツールを作った経験が豊富にあり、今でもオープンソースのエコシステムの一員だ。だからDISCOをオープンソースにするのも自然な流れで、その上に有料サービスを乗っけていく気だ。

その有料サービスは現段階ではまだ具体化していないが、とにかく同社が真っ先にやることは数か月後にDISCOをリリースし、そのまわりにエコシステムを築いていくことだ。

今では高度なオープンソースのプロジェクトが毎日のようにローンチしているから、DISCOのエコシステムづくりも容易ではないだろう。でも同社のファウンダーたちは、その過程について現実的な見方をしている。それに、コンテナとKubernetesによるアプリケーションのマルチクラウドデプロイと管理の自動化は、誰にでもできることだから、そのうち競合他社があふれてくるだろう。近くAWSのre:Inventカンファレンスがあるから、そのへんの情況を確認してみたい。でもOverclock Labsの連中は、早くスタートした者にはそれなりの優位性があり、ビッグプレイヤーになれる、と信じている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MicrosoftがMariaDB Foundationに参加してAzure Database for MariaDBをローンチ

Microsoftが今日(米国時間11/15)、同社がMariaDB Foundationに参加することを発表した。この非営利団体は、MySQLを作ったデベロッパーたちによる人気の高いリレーショナルデータベースMariaDBの非商用化バージョンを支えている。そのプラチナスポンサーになったMicrosoftは、Booking.comやAlibaba Cloud、Tencent Cloudなどと横並びすることになる。

さらに今日Microsoftは、Azure Database for MariaDBというサービスを立ち上げた。これは、Azureの一員としてのマネージドデータベースサービスという意味で、ほかにもAzure Database for MySQL, 〜〜〜PostgreSQLなどの類似サービスがある。

MySQLは最初Sun Microsysytemsが買収し、今ではOracleがそのオーナーであるため、その私企業臭を嫌う多くのデベロッパーのためにMariaDBが開発された。いわばそれは、MySQLの身代わりリプレースだ。

MariaDB(とMySQL)のファウンダーMonty Wideniusが、今日の発表声明でこう書いている: “MariaDB Foundationの理事会は、MicrosoftをFoundationのプラチナメンバーとして歓迎する。私がMariaDBを作ったのは、MySQLをオープンソースのコミュニティに戻すためであり、その強力でオープンな未来を確実なものとするためだった。私はMicrosoftがそのビジネスをオープンなやり方で変えていく様相を間近で見てきたし、Microsoft Azureも確かにオープンであり、フレキシブルである。今のMicrosoftはGitHubの主要なコントリビューターの一員であるが、私たちは、Microsoftの技術者たちとそのデベロッパーのエコシステムが、それと同じようにMariaDBを支えていくことを、期待している”。

Wideniusのオープンソース観は、つねにきわめて実践的だ。数年前に彼はMariaDB Foundationを始めるためにSkySQLを去ったが、今ではそれはMariaDB Corpとなり、MariaDBデータベースの商用化をビジネスとしている。そしてその後彼は、MariaDB Corp.にCTOとして戻った

一方Microsoftは、このところ確実にオープンソース擁護派だ。今や同社は、Linux Foundationとその一部プロジェクトのスポンサーであり、またOpen Source InitiativeやCloud Foundry Foundationなどにも加盟している。

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Facebookが分散ネットワーキング〜ルーティングソフトウェアOpen/Rをオープンソース化

Facebookはこれまでも、内製のさまざまなソフトウェアやハードウェアをオープンソースのコミュニティに寄贈してきた。そして、今日(米国時間11/15)またまた同社がオープンソース化したのは、同社のモジュール構造のネットワークルーティングソフトウェアOpen/Rだ。

Facebookは当然ながら、ネットワークの運用に関してFacebookならではの、ど外れたスケールのニーズを抱えている。何十億ものユーザーがリアルタイムでメッセージングし、絶え間なくコンテンツをストリーミングしている。そのため、独特の問題を数多く抱えるFacebookは、中でもとくに、ネットワークのトラフィックに関して、従来的なプロトコルでは間に合わないのでそれらを使わないルーティング技術が必要、と痛感していた。

Facebookの技術部長Omar Baldonadoは、こう説明する: “Open/Rは、分散ネットワーキングアプリケーションのためのプラットホームだ。それは、ネットワークの、さまざまな部分の上で動く。そしてそのために、これまでのルーティングプロトコルを使わずに、現代のさまざまなネットワークをプログラミングしコントロールする自由度をわれわれに与える”。

それは最初、FacebookのワイヤレスのバックホールネットワークTerragraphのために開発されたが、Facebookのネットワークバックボーンなどそのほかのネットワークでも使えることに、すぐに気づいた。Facebookのネットワーク本体の中でさえも、それは使える。

同社のトラフィックは常時きわめて大きいし、その条件も頻繁に変化している。そんなネットワーク上では、トラフィックをルーティングするための新しい方法が必要だった。“ネットワーク全体にわたるトラフィックの動的な条件を考慮に入れながら、アプリケーションごとに最良の経路を見つけたい(ルーティングしたい)、と思った”、とBaldonadoは語る。

しかし、社内だけでもそれだけの応用性があるのなら、パートナー各社やそのほかのネットワーク運用者、それにハードウェアのメーカーらは、このツールの能力をさらに拡張できるはずだ。このツールでは実際にJuniperやAristaなどのパートナーとすでに協働していたが、完全にオープンソースにすれば、デベロッパーたちが、Facebookが考えもしなかったことをその上に実装していくだろう。というわけでFacebookの技術者たちは、これをオープンソースにすることの将来性と、それがもたらす価値について、前向きに考えるようになった。

Facebookもそうだが、そのほかの大手Web企業も、ネットワーキングのソフトウェアやハードウェアをますます多くオープンソース化し始めている。最初は完全に自分たちのコントロールの下(もと)にソフトウェアを完成させ、そのあと、それをオープンソースにして、ほかの人たちの能力による改良を期待するのだ。

“このツールは、ネットワークの分散化〜非集積化(バラバラ化)という今および近未来のトレンドの一環だと思う。ハードウェアと、その上のソフトウェアの両方をオープンにすれば、それは誰にとっても利益になる”、とBaldonadoは述べている。

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OpenStack FoundationがOpenStack以外のオープンソースプロジェクトもホストする方向へ

【抄訳】
最近の数年間で、Cloud Native Compute FoundationやCloud Foundry Foundationなど、オープンソース関連の団体がいくつか立ち上げられた。これらの多くはLinux Foundationの一員になっているが、その仲間に加わっていない大きなオープンソース団体のひとつが、OpenStack Foundationだ。ここは、少なくともこれまでは、クラウドコンピューティングプラットホームOpenStackの開発にフォーカスしてきた。

しかし、時代は変わりつつある。隔年で開催されるOpenStack Summitの最後の数日につき合ってみて明らかに感じたのは、OpenStack FoundationがOpenStackプラットホーム以外のものにも目を向け始めていて、将来この組織はLinux Foundationに似たものになるのではないか、という感触だ。ただしそのビジョンはもっとシンプルで、現在の関心に沿ったオープンなインフラストラクチャにフォーカスするだろうが、それらは必ずしもOpenStackプラットホームの一部である必要はなく、プロジェクトも今のガイドラインに縛られないものになるだろう。

OSFのこの多様化路線がうまくいけば、Linux FoundationやApache Foundationなどと並ぶ、大きくて総合的なオープンソース団体がもう一つでき、彼らのOpenStack関連の知識と経験がコミュニティをサポートしていくことになって、オープンソースのコミュニティに変動をもたらすだろう。またOpenStack Foundationが従来ならLinux Foundationに行ったようなプロジェクトもホストするようになると、二者間に興味深い競合関係が生ずるかもしれない。

その初期からOpenStackを採用しているMirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiによると、OSFのこの新しい動きを引っ張るにふさわしい人物は、CTOのMark Collierと事務局長のJonathan Bryce、そしてマーケティングとコミュニティサービス担当のVP Lauren Sellだ。Renskiの見解では、OSFが多様なプロジェクトを手がけていくのは良いことであり、OpenStackが安定期に入りつつある現在は、新しいことに取り組む時期としても適している、と。

では、OSFが今後新たにフォーカスしていくべきテーマは、なんだろうか? Bryceによると、今計画に上(のぼ)っているのは、データセンターのクラウドインフラストラクチャ、コンテナのためのインフラストラクチャ、エッジコンピューティング(Collierがとくに関心を持っている)、継続的インテグレーション/継続的デリバリ、そして可能性としては機械学習とAIの分野だ。

Linux Foundationが主にLinuxユーザーの便宜のためにさまざまなプロジェクトを傘下に収めてきたのと同様、OSFも主にOpenStackでメインのシステムを構築しているユーザーの便宜を図っていく。だから団体の名称はOpenStack Foundationのままでよい、とBryceらは考えている。

【後略】

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オープンソースソフトウェアの利用を管理するBlack Duck Softwareを半導体設計ソフトのSnopsysが買収

今年で15歳になるBlack Duck Softwareは、オープンソースソフトウェアを利用する企業が行うべき、コンプライアンス問題などのチェックや管理を代行して、それらの安全な利用を担保する。その同社を今日、半導体設計ソフトを作っている上場企業Synopsysが買収した。

その最終合意によると、社歴31年のSynopsysが約5億6500万ドルを払う。Black Duckのバランスシート(負債額)を引くとキャッシュの額は5億4800万ドルとなる。

さらにSynopsysによると、そのほかにBlack Duckの社員たちの未確定株式がいくらかある。

すべて、現金取引である。

来月完了すると予想されるこの契約は、エンタープライズにおけるソフトウェアの購入やデプロイの変化を反映している。すなわち近年では、変化に対してオープンでフリーに採用できるソフトウェアがもはや例外扱いされず、エンタープライズのルールの枠内で扱われるようになった。しかもオープンソースのソフトウェアは、今日のアプリケーションのコードの60%あまりを占めている。そこでBlack Duckの技術と蓄積したノウハウはおそらく、Synopsysのソフトウェア開発のライフサイクルにおいてセキュリティと品質試験のレベルをアップし、同社の顧客のリスク軽減に寄与することになる。

Black Duckは、Synopsysの今年初めての買収のようだ。ただし同社は1月に、オランダのソフトウェア企業Forcheckの一部資産を買い上げている。Forcheck社の‘For’はFortranの意味であり、同社はFortranで書かれたアプリケーションの欠陥や異状を検出する静的分析ツールを作っている。

Synopsysの時価総額は130億ドルと大きく、一般的にはあまり買収に依存せずにすむレベルだろう。同社の近年の買収履歴は、Crunchbaseのこのページに載っている。

マサチューセッツ州バーリントンのBlack Duckはこれまで、Crunchbaseによれば7550万ドルを調達している。その投資家は、Fidelity Ventures, Focus Ventures, Gold Hill Capital, Split Rock Partners, General Catalyst Partners, next47(Siemensのベンチャー部門), そしてFlagship Pioneeringなどだ。

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年商50億ドルに向かって着実に進むRed Hat、豊富なLinux経験が未来への資産

Red HatのCEO Jim Whitehurstにこの前会ったのは2016年の6月だったが、そのときの彼は売上50億ドルを目指すという、かなりの大風呂敷を広げた。当時のそれは、実現不可能な目標と思えた。そのころの同社は、売上が20億ドルを超えた初めてのオープンソース企業にすぎなかった。50億が相当な難関と思われたのは、彼も指摘したように、企業は大きくなればなるほど成長カーブが徐々にゆるやかになるからだ。

でも同社はその後も元気旺盛で、このまま行けば次の二つの四半期内には売上30億ドルを超えそうな勢いだ。Red HatはLinuxのエンタープライズ向けバージョンを提供していることがいちばん有名だが、クラウドやコンテナなどで変化していく世界にも積極的に適応している。そして同社のRHEL(Red Hat Enterprise Linux)の顧客も徐々に変わりつつあるが、変化を支える新しい技術を得るためにもRed Hatを使い続ける。Whitehurstが言うには、しかもそれは決して偶然ではない。

クラウドやコンテナは主にLinux上の産物であり、Red Hatの得意技(わざ)は何かといえば、それはLinuxだ。Whitehurstによると、レガシーのRHELビジネスも依然14%の高率で成長しているが、新顔のクラウドとコンテナの事業はそれを大きく上回る40%の成長を維持している。そしてそれが、売上に強力なインパクトをもたらしている。

先月発表された最新の決算報告では、全体的な売上は四半期ベースで21%増の7億2300万ドル、年商換算では28億ドルになる。投資家たちもそれを好感し、株価は上昇を続けている。2016年の12月に$68.71だった株価は、今日(米国時間2017/10/13)見ると$121とほぼ倍増だ。どこをどう切っても、良好なリターンと言えよう。

Whitehurstによると、同社のさまざまな事業部門が互いにシナジー効果を上げている。同社は、Googleで開発されたオープンソースのコンテナオーケストレーションツールKubernetesに早くから賭けてきたが、それがのちには、Kubernetesを使うコンテナ化アプリケーションのデリバリ、という新しい事業形態に結実して稼いでいる。Red HatはLinuxをエンタープライズのITにおいてもっとも有能であるようにパッケージして提供しているが、それと同じことを、KubernetesとOpenShiftプロダクトとの組み合わせでもやっている。というかWhitehurstが冗談で言うのは、OpenShiftは名前の中にKubernetesがあればもっと認知度が上がっただろう、と。

この分野での成功は、技術の適時適材適所という正攻法だけでなく、Red Hat独自の特性にも負っている。Whitehurstは曰く、“うちには、エンタープライズにとってベストなアーキテクチャを見分けることのできる独自のスキルがある”。しかもそれは初期からコミュニティに還元され寄与貢献しているだけでなく、今や同社は、Kubernetesに対してもGoogleに次ぐ最大のコントリビューターだ。

しかし彼が言うのは、やはりLinuxとの結びつきだ。コンテナがもともとLinux上の技術であることが、Red Hatのコンテナ〜Kubernetesビジネスを強くしている最大の要因であり、Linuxに関する同社の長年の知識と技術の集積を、コンテナにもそのまま応用できることが、大きな強みだ。

Red Hatの収益を支える大企業は、彼らのアプリケーションの全在庫をコンテナ化するほど急いではいない。これらの企業はもっとゆっくり進もうとしており、そこでRed Hatとしては、顧客が今どの段階にいてもしっかりサポートできる体制が必要だ。クラウドで仮想マシンを使うべき段階か、オンプレミスで行くべきか、それともアプリケーションをコンテナ化して動かすべきか、などなど。

Whitehurstは、彼の会社がフリーソフトウェアを売ってることを理解している。だから、売るものはあくまでも、実装を容易にするサービスや、これらのツールを顧客に代わって管理してさし上げるサービスでなければならない。“フリーなソフトウェアを売るときには、IPは無料だから何が価値かを真剣に考えなければならない”、と彼は語る。数字を見るかぎり、顧客は価値を実感しているようだ。50億ドルへの道は、かなり平坦なのではないか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Mozillaのオープンソース助成制度MOSSは今期の交付額総計が50万ドルを突破

Mozillaは、同団体のオープンソース助成金制度Mozilla Open Source Support(MOSS)の今期(4-9月)の交付総額が53万9000ドルだった、と発表した。この助成金の対象は主に小さなプロジェクトだが、今回はとくに安全とセキュリティをメインテーマとした。

最高額19万4000ドルを交付されたUshahidiは、助けを求めている人が必要としている情報を、素早く集めて散布する。災害で道路が交通不能になっている人たちや、抗議活動で催涙ガスなど警察の攻撃に遭っている人たち、選挙で特定候補への投票を脅されている人たちなどだ。

10万ドルを交付されたRiseUpは、活動家たちのための安全な通信ツールを提供する。クロスブラウザーな(ブラウザーの種類を問わない)フォーマットWebAssemblyの一環としてJavaScriptのモジュールをロードするローダーWebpackが、12万5000ドルを受け取った。HTML5によるゲームエンジンPhaserが5万ドル、HTTPSのデプロイを容易にするシステムの一部であるmod_mdが、7万ドルを交付された。

次期のMOSSは、特定の地域、最初はインドを対象とする。すなわち次回も対象は複数の比較的小さなプロジェクトだが、インド関連がメインになる。

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AlibabaがMySQL代替系MariaDBへの2700万ドルの投資をリード、クラウド事業に本腰

【抄訳】
Alibabaは2017年をクラウドコンピューティング事業への注力に費やし、そして今度はその分野の西側のスタートアップに、初めての大きな投資をしようとしている。

この中国のeコマース巨人は、MariaDBへの2290万ユーロ(2700万ドル)の投資をリードすることに合意した。西側すなわちヨーロッパの企業であるMariaDBは、Webでいちばん多く使われているオープンソースのデータベース(社名と同じMariaDB)を作っている。今回の投資案件に詳しい情報筋によると。投資はまだ完了していないが、MariaDBの株主たちが今週OKを出したので、完了も至近だそうだ。

AlibabaとMariaDBの両社は、本誌からのコメントのリクエストに応じていない。

TechCrunchが聞いた話によると、Alibabaが2000万ユーロを出し、残りは既存の投資家 たちが出すらしい。投資に際してのMariaDBの評価額は約3億ユーロ(3億5400万ドル)で、Alibabaのクラウド事業の主席技術者Feng Yuが、MariaDBの取締役会に加わるようだ。

5月にEuropean Investment Bankから2500万ユーロ(当時で2700万ドル)を調達したときは2億から2億500万ドルの評価額だったから、かなりの増加だ。情報筋によると、今後のAlibabaとの事業関係への期待がMariaDBの評価額を押し上げた、といわれる。

MariaDBは、もっとも人気のあるMySQL代替DBMSでよく知られている。MySQLもオープンソースだが、Sun Microsystems次いでOracleと、企業がオーナーだったために、最初の頃と違って完全なフリーではない。そこで、MariaDBのような代替系が求められるのだ。

そしてAlibabaのクラウドコンピューティング事業は、同社の最速成長部門だ。ここ数年、毎年、3桁の売上増加額を記録している。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

オープンソースのライセンスをレビューするOpen Source InitiativeにMicrosoftが参加

Microsoftが今日(米国時間9/27)、Open Source Initiative(OSI)にプレミアムスポンサー(Premium Sponsor)として加わることを発表した。1998年に創設されたOSIは、オープンソースに比較的実践的な姿勢で臨み、オープンソースを企業や政府機関などに唱道してきた。OSIは、ベンダー固有になりがちなオープンソースライセンスのレビューも行い、それらが“コミュニティの規範や期待”に沿うよう努めてきた。

プロジェクトの最高位のスポンサーであるプレミアムスポンサーにはGoogle, IGM, HPE, AdblockPlus, GitHub, Heptioなどがおり、それより下位のスポンサーとしてRedHat, The Linux Foundation, Mozilla, HPなどがいる。

MicrosoftのOpen Source Programs OfficeのディレクターJeff McAfferが、今日の
発表声明でこう述べている: “Open Source Initiativeが行う業務は、オープンソースがソフトウェア産業のファーストクラスの一員として進化し成功していくために欠かせない。Microsoftがオープンソースのコミュニティにより広範に、かつより深く関与していく努力の一環としてOpen Source Initiativeの努力を支援できることは、大きな喜びである”。

MicrosoftがOSIと協働するようになってから、今年で2年になる。また2005年と2007年には、Microsoft Community LicenseとMicrosoft Permission Licenseをそれぞれ、同団体に提出している。Microsoft自身のオープンソースプロジェクトのポートフォリオが近年きわめて大きくなっていることも、周知の事実だ。

しかしオープンソースとフリーソフトウェアのコミュニティには、Microsoftの真意に関する疑念もある。Microsoftの前CEO Steve BallmerがかつてLinuxを癌と呼んだ言葉も、オープンソース世界の集団的無意識の中で今だに反響している。Microsoftもそれは十分に承知だが、でも最近のアクションを見るかぎり、オープンソースのコミュニティの一員になるための正しいマナーが徐々にわかってきたようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookの特許条項のリスクを嫌い、WordPressがReactライブラリの利用を止めることを発表

人気のウェブパブリッシングソフトウェアWordPressの共同創業者Matt Mullenwegは、この先開発コミュニティはFacebookのReact JavaScriptライブラリの利用を中止する方向へ進むと発表した。Facebookが発表したオープンソースライセンス内の条項を懸念してのことである。

9月14日(米国時間)に投稿されたブログ記事で、Mullenwegはその経緯を説明している。彼は公式にReactをWordPressに適用することを望んでいたし、彼が創業したWordPress.comの運用会社Automaticは、WordPress.comのインターフェイスを書き直したCalypsoに、既に数年前からReactを利用していた。そしてWordPressコミュニティもGutenbergコアプロジェクトにReactを使いはじめていたところだったのだ。

しかし彼は、Facebookの特許条項を見てその気持を変えた。このライセンスは最近、Apacheソフトウェア財団(ASF)によって禁止ライセンスリストに加えられた。

現在、React特許条項が含まれているASFの「Category X」リストには次のように書かれている:

FacebookのBSD+Patentsライセンスには、ソフトウェアの下流の消費者に対してライセンサーをライセンシーよりも有利な立場として扱うPATENTSファイルが含まれている。このためユニバーサルドナーであるための、Apacheの法的ポリシーに違反している。FacebookのBSD+Patentsライセンスの条項は、ALv2の条項のサブセットではないため、ALv2としてサブライセンスすることはできない。

先月Facebookは、このASFの決定に反応してブログ記事を書いた。そこでFacebookは同社がパテント条項の背後にある「理由を上手く説明できていなかった」ことを認めた。その上で、これはFacebookのビジネスが「 益のないパテント訴訟のターゲットになった」ために、必要な措置であると主張した。

私たちは、ソフトウェアを3条項BSDライセンスでリリースする際に、明確な特許許諾を加えることを決定した。これはBSD+Patentsライセンスとして知られるようになっている。この特許許諾では、もしあなたがたがこのライセンスでリリースされたソフトウェアを使用している際に、私たちを特許侵害で訴訟した場合には、その特許許諾を失うことを謳っている。このライセンスが広く採用されれば、採用する者たちにとって益のない訴訟を減らすことが可能になると信じている。そしてこの可能性を皆と協力して探究することを望んでいる。

当社は特許を含むサードパーティのIPを尊重し、他の人びとが私たちのIPを尊重することも期待している。BSD+Patentsライセンスは、私たちのチームにオープンソースに対する有意義な貢献をする余地を与え、軽薄な訴訟との戦いに費やす時間を削減することを意図したものである。

それでもなお、Mullenwegは彼の懸念は払拭されていないと述べた。そして彼は、良心にかけて、広範囲に使われているオープンソースのWordPressソフトウェアのユーザーたちに、特許条項とそれに伴う法的リスクを継承することを要求することはできないと書いている。よって彼はReactを捨てることにした。

「Facebookの条項は、企業が取る他の多くのアプローチよりもはるかに明瞭であると思いますし、Facebookはオープンソースの貢献者としても優れていると考えています。しかし、私たちは取り組むべき多くの課題を抱えていますし、Facebookの特許条項が妥当であるということを世界に向けて説得することは、私たちの役割ではないのです。それは彼らの仕事です」と彼は書いている。

彼は、この決定は、Gutenbergにとって少なくとも数週間の遅れを招くだろうと述べた。別のライブラリを使って書き直すために、そのリリースは来年に延びるだろうということだ。

Calypsoの書き直しに関しては、「これはもっと長くかかるでしょう」と述べ、以下のように付け加えた。「Automattic自身はまだ特許条項に問題を抱えてはいませんが、コアとの長期的な一貫性は、Automatticのビジネスに対して、書き直しによる短期的な負担以上の価値があります。WordPressコアのアップデートは全てのウェブサイトの4分の1以上に影響を与えます、この全てに特許条項を継承させることは私が望むものではありません」。

私たちはFacebookにコメントを求めた。何らかの回答が得られた場合はこの記事を更新する。

特許条項に伴うリスクと考えられているものは、もしReactのユーザーが、Facebookの特許を侵害したり、特許侵害訴訟を起こした場合Facebookがどのように特許ライセンスを取り消すかを規定するものだ。

したがって、企業、特に特許ポートフォリオが大きい企業は、FacebookのReactフレームワークを組み込んだオープンソースソフトウェアを使用しているかどうかに懸念を抱くことだろう。たとえAutomatic自身は良いと考えていたとしても。

この特許条項に関する最も激烈な批判者の中には、Reactを「オープンソースコミュニティに投入された『トロイの木馬』だ」と呼ぶ者もいる。

ASFの動きを受けて書かれたHacker Newsでは、開発者のKevinfloがその懸念を以下のようにまとめている「たとえ私たちが彼らの行動を最も好意的な眼で眺めたとしても、そして仮にこの条項が誰かが主張するように張り子の虎であったとしても、それは関係ないことです。これはオープンソースのやり方ではありません。もしプロジェクトのライセンスが放射性物質なら、何年も議論する必要はありません。特に自分のような素晴らしいツールを使いたいだけの個人開発者たちは。私たちはただそれを使えるようになっているべきです。なぜならそれはオープンでああって、それがオープンの意味することだからです。これはクローズドのものよりずっと悪いものです。オープンだと偽ったクローズドなのです」。

Florenzano(kevinflo)は、Reactから離れるというこの決定を祝福している…

これがどれほど大きな意味をもつかは強調しきれません、特許条項のために@automattic@reactjsから離れることにしました https://t.co/QNbpGLUue5

Mullenwegは、Reactに代わるライブラリをまだ決定していないが、その決定は「主に」技術的判断に基いて下されるだろう、と付け加えた。

「私たちは、Reactの利点の大部分をもつものを探しますが、多くの人びとを混乱させ、脅威となる特許条項の手荷物は必要としていません」と彼は述べた。そして「これまでこの件に関して、時間を割いて意見を述べてくれた人たちに感謝します。私たちはいつでも耳を傾けています」と付け加えた。

彼のブログ記事に対するコメントは、大部分がその動きを支持している。あるコメンテーターはそれを「厳しいが重要な決定」と呼び、他の人たちは「賢明」で「良い」決定だと呼んでいる。

とはいえ過剰反応に対して警告を書き込むものもいる「過度に反応するのはやめましょう。ここ5、6年の間、WPの生態系には十分な混乱と混沌が見られてきました。Facebookのビジネス規模と範囲はこの条項を恐ろしいものにしてしまいます。なので彼らは最終的には、それをあきらめなければならないでしょうから」。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: TAKAMORRY/FLICKR UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

Facebookが世界各地に分散したデータセンターのログを保存するツールLogDeviceをオープンソース化

Facebookは、複数箇所に分散しているデータセンターのログを保存するための自家製のソリューションLogDeviceを、オープンソースにすることを計画している。その発表は、同社のScaleカンファレンスで行われた。

それらのログは、データベースのイベントを調べるために利用されている。何かの理由でサーバーがダウンしたときには、デバッグする方法が必要だし、セキュリティのための監査を行って、サーバー間の整合性を確保しなければならない。大量のユーザーデータが世界中の大きなデータセンターに分散しているFacebookでは、このことがとくに重要だ。

LogDeviceは、ハードウェアやネットワークに問題があってもデータを記録できる。何かの不具合が生じたらログ収集のタスクを他のデータセンターにお願いする。そして回復したら、問題のあったデータセンターのレコードを毎秒5〜10ギガバイトのスピードでリストアする。

Facebookのデータセンターはもうすぐ10箇所になるが、各センターのレコードは確実に同じページに載ってほしい。しかしそこには、バックアップという複雑な問題があるので、データの扱いは一層難しくなる。LogDeviceは、これらの、各所に分散したデータセンターのデータを複製する作業を支援する〔上記のような場合も含め〕。

高価なサーバーをどうしても故障引退させなければならないときでも、LogDeviceは失われたレコードを正しく教えてくれる。レコードのシーケンスとサーバーのストレージを最初から分離し、レコードをさまざまな場所のストレージにランダムに割り当てるので、データセンター全体の自己回復力が強化される。

LogDeviceをいつからオープンソースにするのか、そのスケジュールは公表されていないが、今年のおそい時期に、とは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

オープンソースのブロギングツールGhostがバージョン1.0を公開

4年前、John O’Nolanはブロガーのためのエレガントで不気味なコンテンツ管理システムをリリースした。そのGhost(幽霊)と呼ばれるオリジナルのアプリは、華々しさには欠けるKickstarterのプロダクトだった。そして今、そのアプリがハードなブログ利用に使えるようになった。

O’Nolanはソフトウェアのバージョン1.0をリリースしたが、これにより、現代の最高のブログツールたちと肩を並べるツールへとアップデートされた。自分のホストで運用できるバージョンはここからダウンロードできるが、O’Nolanの提供するホスティングサービスを無料で試用することもできる

「約4年前に、私たちは、次の素晴らしいオープンソースのブログプラットフォームを作成するために、Kickstarter上でGhostを小さなプロトタイプとして始めました」とO’Nolanは言う。「2600回のコミット」の後、彼は新しいエディタと改良された機能を備えたバージョン1.0をリリースした。

このプラットフォームは、従来のMarkdownエディタとKoenigという名前の新しいブロックベースのエディタを使用している。新しいエディタを使用すると、ブロックの中で投稿をよりきれいに編集できる。これは、MobileDocとEmber.jsと呼ばれるものを利用して、複雑なページをすばやく簡単にレンダリングする機能だ。またチームは、コンテンツプロバイダをサポートするジャーナリズムプログラムも開始した。

現在はWordPressのようなツールがまだ支配的だが、コンテンツマネージャとして強力な代替の選択肢があることを知ることは良いことだ。このソフトウェアは暗く不吉な魔法を思わせる名前を持っているものの、まだ「わずかなチャンス」(”ghost” of a chance)もあるように思える。

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(翻訳:Sako)

MinifreeのLibreboot T400は無料ではなく自由の意味でfreeなコンピューター

Libreboot T400の外見は、とても平凡だ。要するにそれはLenovo Thinkpadの改造機で、Lenovo/IBMの伝統的なトラックポイント*と、小さなタッチパッドがある。単純に黒一色のラップトップで、平社員が出張のとき必ず持つようなやつだ。でもその内部は、自由のために闘うマシンなのだ。〔*: トラックポイント、[G][B][H]キーに囲まれている小さな円形の赤いボタン、機能はマウスと同じ。〕

このT400は、まず、BIOSがフリーでオープンなBIOS Librebootだ。そしてOSはTrisquel GNU/Linux。この二つがあることで、同機のセキュリティのレベルは高い。“あなたのLibreboot T400はあなたに従います。ほかの誰にも従いません!”、と作者たちは書いている。たぶん、そのとおりだろう。

で、性能などはどうか? LinuxをインストールしたThinkpad改造機を300ドルで買うべきか? 答は、あなたが何をしたいかによるだろう。ぼくが試したのはローエンド機で、スピードや性能は十分なはずだが、Trisquelはややのろいし、セキュアなブラウザー、すなわち“フリーでないソフトウェアを非推奨するMozillaベースのノーブランドブラウザー” は、厳しすぎて使いづらい。いくつかの問題はユーザーが自力で回避できるが、気の弱い人が使うのは無理だろう。

とは言うものの、あなたの目の前にあるのは、ほとんど完全にオープンなコンピューターだ。スクリーンは14.1インチ、プロセッサーはIntel Core 2 Duo P8400、RAMは4GBから、ハードディスクは160GBからだ。価格は257ドル+送料、バッテリーとアメリカ仕様の充電器がつく〔アメリカ仕様とは、電源コードのこと〕。

このT400を実際に使い始めたら、完全にクリーンなマシンが動く。フリーな(自由という意味でのfree)オペレーティングシステムが動き、ドライバーとアプリケーションはすべてオープン、BIOSもオープンだから、中身のよくわからない私企業規格に閉じ込められることはない。パッケージを自分で作り変えることも容易にできるが、でも、ぼくの場合のように、どうしてもプロプライエタリなソフトでないとだめ、というニーズにぶつかることもあるだろう。今後はMinifree社がもっと多くのフリーソフトを揃えてくれると、いいのだが。

プライバシーとセキュリティとオープン・スタンダードにあくまでもこだわる人は、このラップトップを使うべきだ。安くて丈夫だから、最初から予備機を買っておいてもよい。

ここまでセキュアで自由なデバイスではなく、もっと一般的なLinuxデスクトップの時代も、まだ訪れていない。最近のLinuxは簡単にそして楽しくインストールできるが、毎日使うラップトップでそれをやる人は、あまりいないだろう。でも、T400はそこらのスマホよりも安いし、しかも多くの私企業の利害にまったく奉仕しない形で、安全でセキュアなコンピューティング体験を確保できる。完全なラップトップではないけれども、他人ではなく自分が(自分だけが)完全にコントロールできるコンピューターを探していた人には、まさにぴったりの製品だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IBMがディープラーニングのモデルの訓練を分散並列処理で短時間化するライブラリを発表

二か月前にFacebookのAI研究所FAIRが、大規模な分散ビジュアル認識モデルの、かなり感動的な(==短い、はやい)訓練時間を発表した。今日(米国時間8/7)はIBMが反撃に出て、独自の数字を発表した。IBMの研究グループによると、1000のクラスに対応する画像分類モデルResNet-50を、256のGPUを使用するシステムで50分で訓練できた。つまり、Facebookのモデルよりもはやい、と言いたいのだ。FacebookがCaffe2を使った結果では、同じResNet-50を、8kのミニバッチ方式で、256のGPU上で1時間で訓練できた。

しかしそもそも、それのどこが重要なのか? 分散処理はAIの研究でも重要な関連分野だが、でもそれは、科学的というより、あまりにも技術的なテーマだ。しかもディープラーニングのような大きなジョブは、ジョブを分割し、複数のCPU(ここではGPU)に分担させて同時並行的にやるのが、大規模高速コンピューティングの昔からの定石だ。

しかしディープラーニングのモデルの訓練では、GPUの台数と処理速度が単純に比例しない。1台のGPUで2分かかる訓練が、2台のGPUだと1分で済むか、というとそうは行かない。タスクの分割と結果の再結合という面倒な処理が、かなりの時間を食う。

IBMが約束しているのは、大きなディープラーニングの問題を数百の小さな問題に分割して効率的に行う、分散ディープラーニングライブラリだ。それらは単一のコンピューティングジョブが目的ではなくて、IBMやFacebookが毎日のようにやっているのは、何百万もの顧客のためのモデルの訓練だ。大手のテクノロジー企業はどこもそんな課題を抱えているが、企業により問題により変数の数や性質が異なるため、それらを単純に横並びで比較することはできない。

しかし、分散処理の漸進的な改良にもそろそろ限界があるのではないか。IBM Researchでシステムのスピードとメモリを担当しているディレクターHillery Hunteによると、今やどこも最適解に近づいている、という。

“今やシステムの能力の限界まで来ているから、最適解に近いと言える。今後の改良の大きさがどの程度になるのか、そもそも学習時間にこれ以上の改良は可能なのか、そろそろ問うてみる必要がある”。

IBMは今後ResNet-50だけでなくResNet-101も分散訓練を試してみる予定だ。101は50よりもずっと大きくて複雑なビジュアル認識のモデルだ。チームによると、GPU 256基の分散システムの上で、データセットとしてImageNet-22kを使って行ったResNet-101の訓練では7時間を要した。それは、かなり良好な結果だそうだ。

“この分散訓練は小さなシステムにもメリットはある”、とHunterは言う。“しかもGPUが256とか、システムが64までは(小さなシステムでは)要らないからね”。

このディープラーニングライブラリは、TensorFlowやCaffe、Torchなど、主なオープンソースのディープラーニングフレームワークで利用できる。自分で試してみたい方は、PowerAIから入手できる。

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Open Container Initiativeがコンテナの仕様の標準規格v.1.0をリリース

ついにやっと今日(米国時間7/19)、Open Container Initiative(OCI)が、そのコンテナランタイムとソフトウェアコンテナのイメージの仕様の標準規格、バージョン1.0のローンチにこぎつけた。この、今年で2歳になるオープンソースのファウンデーションは、Dockerをはじめコンテナエコシステムのリーダーたちが、まさにこれらの共通仕様を確立し維持管理するために作った組織だ。すなわちそれらは今後、コンテナのフォーマットとランタイムの業界標準になる。

Dockerは、これらの仕様の基盤となるものの多くをOCIに提供した。たとえば同社は、同社のコンテナランタイムのコードベースをOCIに寄贈した。さらにその後、同社の技術コミュニティがコンテナのイメージのフォーマットをOCIのプロジェクトに加えた。OCIの現メンバーは40社あまり、クラウドでプレイする大手テク企業のほとんどが参加している(AWS, Cisco, Facebook, Google, Huawei, IBM, Intel, Microsoft, Oracle, Red Hat, VMwareなどなど)。またRancherやWerckerのような、コンテナ技術を専業とする企業も、少なからず加盟している。

OCIの事務局長を務めるChris Aniszczykによると、たしかに、この組織における仕事の進め方やリリースの形式が決まるまで、かなりの時間がかかった。“同じコラボレーションでも、オープンソースのプロジェクトと違ってスタンダードの作成には困難な側面がある。オープンソースのプロジェクトでも、多くの企業がさまざまなやり方ですでに業務に使用しているものは、意見の違いが大きくなりがちだが、共通スタンダードについても同じことが言える”、と彼は語る。しかし、Linux Foundationの傘下となった今では、ガバナンスの構造も適正かつ安定してきた、と彼は感じている。この取材の席にいたDockerのStephen Walliは、こんだけたくさんのメンバーがいること自体、組織とプロジェクトの成功を物語っている、と付言した。

Aniszczykによると、仕様の策定作業でとくに大きく貢献したのがRedHat, Docker, CoreOS, そしてHuaweiだった。またFujitsu, Microsoft, Google, Oracle, Cisco, Tencentなども積極的に動いてくれた。

バージョンが0.xでなく1.0でリリースされたことは、そのスペックは一般的な採用が可能で、今後、採用者がコードを大きく書き換えなければならないような変更はない、ということを意味している。

今後の計画としてAniszczykは、次に取り組みたいのは検定(仕様への合致の証明)だが、そのほかに、すでに温めている企画として、現状のLinuxだけでなくそのほかのプラットホームのサポートと、レジストリのアクセスやコンテナの配布のためのAPIの標準化作業がある、と語った。

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ConfluentがKafkaによるメッセージングシステムの長年の夢、‘正確に一度だけ’をついに実現

オープンソースの分散メッセージストリーミングツールApache Kafkaの商用化サービス(リアルタイムデータストリーミング)を提供しているConfluentが今週、Kafkaのユーザーにとって嬉しい機能を発表した。それは、Kafkaを使ってメッセージを、“正確に一度だけ”送る能力だ。

それのどこがすごいのか、門外漢には分かりづらいが、Kafkaのような高速メッセージングツールを使っている人たちにとっては、長年の見果てぬ夢だった。コミュニティの人たちは、実現不可能とも思っていた。

通常、メッセージを送る側は、それが届いたという受信確認を待つ。しかしConfluentのCTO Neha Narkhedeによると、Kafkaのような分散メッセージングシステムでは、途中で問題が起きることがある。コンピューターのエラー、ネットワークの障害、などなど。しかしたとえば金融関連のトランザクションなどでは、メッセージは確実に一度だけ送られてほしい。二度以上は、ノーだ。

多くの人びとが“正確に一度だけ”は達成不可能な目標と考えているのは、それを実現するためのスピードと正確さのトレードオフが大きすぎるからだ。しかしNarkhedeによると、同社はこの問題に大量の技術者をつぎ込み、1年がかりでやっと、長年探し求めていた解に到達した。

それを実現している技術的細部はきわめて多い。そしてNarkhedeによると、随所に技術的なトレードオフもあるが、でもみんなが考えるほど多くはない。というか、彼女によると、同社はこの問題を解決しただけでなく、メッセージのスピードを犠牲にすることなくそれを達成したのだ。

“正確に一度だけのモードでも、パフォーマンスのオーバヘッドはほとんど無視できる。そして通常モードでは、パフォーマンスは従来より向上した”、と彼女は語る。

その新しいリリースは、通常の利用で20%速くなり、“正確に一度だけ”の機能を使うと3〜10%のスピードペナルティが生じる。彼女によると、正確に一度だけではつねに多少のオーバヘッドは生ずるが、今後数か月の努力でそれをできるだけなくしていきたい、という。

彼女によると、この機能を眉唾で見ている人がまだ多い。頭がおかしいんじゃないか、と言う人もいる。長年、誰も解決できなかった問題だ。実際にそのとおり動くことを、どうやって確認するのだ? …彼女はコミュニティが抱(いだ)いている疑念を、このように表現した。

“何千時間もテストをした。パフォーマンスにはとくに気をつけた。Kafkaのアーキテクチャを抜本的に再検討し、全体的な高速化を図った。一年がかりで、やっと使えるようになった”、とこれまでの努力を彼女は説明する。

Confluentは3月に5000万ドルを調達し、調達総額は8000万ドルになった。Kafkaは最初、LinkedInで作られ、その後オープンソースのコミュニティへ移った。Confluentは、2014年に創業された。

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Facebookは同社社員にAdobeのCreative Cloudを使わせるためのIT管理ツールをオープンソース化、Facebook固有色はない

Facebookでは、IT部門のことを“IT”と呼ばず、“エンタープライズエンジニアリングオーガニゼーション(enterprise engineering organization)”と呼ぶ。Facebookのクライアントプラットホーム担当エンジニアNick McSpaddenによると、Facebookぐらいの大きさの企業になると、ITはベンダーのプロダクトのボタンを押すだけの仕事ではなくなるからだ。そしてそのことを強調するかのように同社は今日(米国時間6/21)、AdobeのCreative Cloudのプロダクトを社員に使わせるための内部的IT管理サービスオープンソースにした

Facebookのそのエンタープライズ〜〜オーガニゼーションは今、3万台近くのコンピューターと4万近いモバイルデバイスを管理している。ラップトップとデスクトップの多くはOS Xだが、Windowsマシンも約8000台ある。“組織が大きくなりすぎると、もう、ベンダーからターンキーのソリューションを大量に買い付ければすむ、という状態ではなくなる”、とMcSpaddenは強調する。そこでオーガニ〜〜のチームは、たくさんのオープンソースツールを使って、必要に応じて独自のソリューションを構築することになる。McSpaddenの説によると、ベンダーが彼らのソリューションを作るときには、メインストリームのユースケースを想定しがちだが、でもつねにエッジケースはある。そしてFacebookぐらいの巨体になると、エッジケースはどんどん増えてITチームの生産性を干上がらせる。

今回Adobeのプロダクトに社員がアクセスするためのツールをオープンソースにしたのは、至るところで使われているベンダーだし、ユーザー数も多いからだ。そのFacebookのスクリプトを一般企業が使うと、Adobeのサブスクリプションへの新しいアカウントを企業レベルの裁可のもとに作成することが容易にできるし、特定のユーザーに特定のツールへのアクセスを与え、あとでそのアクセスを必要に応じて取り去ることも簡単にできる。

McSpaddenによると、この新しいツールがオープンソースになったことをAdobe自身も喜んでおり、またそのコード中にはFacebook固有の部分は何一つない、と強調した。“Facebookだけでしか使えないものを公開する気はない。現状のままで誰にでも使えるものをリリースしたい”、と彼は語る。

コードはGitHub上にあり、McSpaddenは曰く、Facebookは外部からのコントリビューションを大歓迎する、と。

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MicrosoftがオープンソースのPaaSプロジェクトを支えるCloud Foundry Foundation に参加

Microsoftが今日(米国時間6/13)、Cloud Foundry Foundationに参加する、と発表した。この団体が運営するオープンソースで非営利のPaaSプロジェクトCloud Foundryは今や、Fortune 500社の約半数が利用している。

Microsoftは同団体に、Google, Huawei, Ford, GE Digital, NTT, Philips, Swisscomなどと同じくGold Member(ゴールド会員)として参加し、このプロジェクトを支援していく。Googleは昨年12月に加わり、また同財団の元CEO Sam Ramjiを雇用した。

Cloud Foundry FoundationのCTO Chip Childersによると、プロジェクトにMicrosoftが公式に参加したことにより、今では最大の巨大クラウドプラットホームのうちの二つ(GoogleとMicrosoft)がこのプロジェクトを支持していることになる。ということはもちろん、両プラットホーム上の企業顧客からの需要も期待される、ということだ。

まだここにいないのは、言うまでもなく、Amazonだ。“彼らが来れば歓迎する”、とChildersは言うが、最近のAmazonは徐々にオープンソースの世界で活動するようになってきたとはいえ、Cloud Foundry Foundationへの参加については、現状ではまだ何も言えない雰囲気だ。

MicrosoftのAzureのPM Corey Sandersは、今週シリコンバレーで例年のサミットを開くCloud Foundry Foundationへの参加についてこう語る: “そうなればわれわれのソリューションのデリバリ能力がより深くなり、コミュニティを大きくでき、Cloud Foundryの統合も拡大できる”。

彼の話が具体的に意味しているのは、Azure DatabaseとPostgresSQLおよびMySQLのバックエンド統合により、それらをCloud Foundryベースのアプリケーションのバックエンドデータベースにできることだ。Azure上のPostgreSQLとMySQLは、数週間前に同社のデベロッパーカンファレンスBuildでローンチされた。同社は今日さらに、Azure Cloud Shell上にCloud Foundryのコマンドラインツールを加えたことを発表した。これも、ローンチの機会はBuildだった。

Microsoftは今年初めにDeisを買収したことによって、Cloud Foundryと関わりの深いデベロッパーチームと、またとくにOpen Service Broker APIを獲得した。このAPIを使えばデベロッパーやISVs(デベロッパーショップ)やSaaSのベンダーなどが、自分のアプリケーションを容易に、Cloud FoundryやOpenShift、Kubernetesなどのプラットホームで動くアプリケーションから可利用にできる。DeisがMicrosoftに入り、そしてMicrosoftがFoundationに入ったことによって、Sandersによれば、今後Service Brokerのサポートがさらに増える、という。Microsoftは、Open Service Brokerのワーキンググループにも公式に参加する。

MicrosoftがCloud Foundry Foundationに参加して、最初のうち何をやるのか。Sandersによると、初めはもっぱら、“勉強と、コミュニティへの深いレベルでの参加”だそうだ。

なお、MicrosoftはこれまでもCloud Foundryの各種プロジェクトに活発に関わっている。だから今日の発表は、この関係をより強化するものだ。

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AirPlay 2はHomeKitでマルチルームオーディオストリーミングをサポート、Google Cast+Google Homeと競争

AppleのAirPlay 2は’2’のない最初のワイヤレスオーディオストリーミングプロトコルの進化形で、複数の部屋への同時(同期)ストリーミングがサポートされ、AppleのスマートホームコントロールプラットホームHomeKit対応になり、サードパーティのアプリも作れるようになった。また、だれかがそのWi-Fiに飛び込んできて、パーティーなどのプレイリストにライブで貢献/闖入することができる。

AirPlay 2はAPIが公開され、誰もがアプリを作ってストリーミングを楽しく利用できる。もちろんそのアプリも、複数の部屋(‘マルチルーム’)へのスピーカーへブロードキャストができる。スピーカーに関してはパートナーのメーカーの長いリストをAppleは公開しているから、ほとんど必ず気に入ったものを選べるだろう。Apple TVの第四世代ハードウェアにも対応するから、ホームシアターへの統合も可能だ。

マルチルームのオーディオといえば、Sonosの独壇場だったが、独自のソフトウェアやアプリを必要とする。しかしこっちはiOSのシステムレベルのサポートだから、YouTubeやポッドキャストなどもソースにできる。GoogleのGoogle CastもAndroidのシステムレベルのサポートありだが、それはGoogle Homeの主要機能の一つだから、Siriのスピーカーの発表の前に対抗的な発表があるかもしれない。要注視だ。

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