多数のスタートアップが新型コロナ対策支援事業にピボット中

この間、我々はパンデミックがなければ関心をもちそうになかった知識をいろいろと覚えた。身の回りにあるもので簡単にマスクを作る方法とか豆の缶詰の煮汁が卵白の代用になるなどのお役立ち情報だ。

今回のまとめ記事でもそのような例を紹介する。誰でも知っているような世界的大企業ばかりでなく、まだ小規模なスタートアップも新型コロナウイルス(COVID-19)への対応を支援するビジネスへのピボットや新たな提携関係の確立などに向けて動いている。以下TechCrunchが気づいた最近の例をいくつかまとめてみたので参考にしていただきたい。

グリーティングカードからバーチャルセラピーサービスと提携

2017年にAli O’Grady(アリ・オグレディ)氏はグリーティングカードのスタートアップ、Thoughtful Humanを設立した。このスタートアップはガン患者や最近近親者を亡くした相手など、デリケートな場合のグリーティングカードを専門としている。ここに新型コロナウイルスの流行と自主隔離がやってきた。

カウンセラーを紹介するプラットフォーム、BetterHelpは新型コロナウイルスの流行による心のケアをするために通話やチャットによる無料セラピーに乗り出した。Thoughtful Humanはこのプロジェクトに賛同し、BetterHelpと提携して事業に参加している。

レイオフにめげず職場に復帰するためのツールを提供

Ziraは業務のシフト策定の自動化やチームチャットなどにより職場の効率化を図るサービスを提供している。同社は新型コロナウイルスの流行によってレイオフされた人々を援助するためのBounce Backという無料ツールを立ち上た。簡単にいえば、このアプリケーションはユーザーの住む地域別に失業に対処する方法を教えてくれる。このサービスを通じてユーザーが以前の雇用主の現状を知り連絡を取ることができる。また地域の求人市場にもアクセスが可能だ。

国務省と提携したビジネス向け情報収集サービス

自然言語によるビジネス向け情報収集サービスのYextは新型コロナウイルス関連の質問に答えるツールを90日間無料で提供する。これはアメリカ国務省と提携しており、COVID-19情報のハブとなり世界各地への渡航情報を提供する。先月、Yextは新型コロナウイルス情報のポータル開設でアラバマ州、ニュージャージー州と提携している。

メニューをテーブルからオンラインへデジタル化

My Menuはレストランが店内のメニューをデジタル化するのを助けるサービスだ。ソーシャルディスタンス確保と自主隔離の拡大によって店内の食事提供を取り止めるケースが急増したことを受けて、同社はメニューのデジタル化に用いられたテクノロジーを公開し、レストランがオンラインでの持ち帰りメニューを作るのを助けようとしている。MyMenuのツールを使えば、QRコードをスキャンするだけで即座に持ち帰りメニューがポップアップするようにできる。レストランの顧客は面倒なナビゲーションなしにQRコードから直接メニューを開いて注文がでいる。

クラウド利用のクリエイティブ

DigitalOceanはクラウドのプロバイダだが、デベロッパーがパンデミックへの対処を支援するプロジェクトを共有するためのハブを作った 。このハブを活用したプロジェクトには、新型コロナウイルスの世界的拡散をモニターするための匿名で健康状態を報告できるアプリや、ケニアの小学校教師がリモート授業を円滑に進めることを助けるコミュニティーづくりなどが含まれる。

起業家向け無料カウンセリング

Betaworksは、メンターからのアドバイスが得られる起業家向けのサポートグループをスタートさせる。これはスタートアップの起業家とビジネスリーダーを結びつけるピアツーピアプログラムで、期間は6週間で参加は無料だ。申込の締め切りは4月13日、先着順で参加者が決定されるので興味があれば急いだほうがいい。

#MaskUpでマスク供給

サスティナブルなアパレルを提供するStellariの創業者であるJanelle M. Jimenez(ハネレ・M・ヒメネス)氏は ロサンゼルスの製造会社がマスクを生産するためのシードマネーを投じている。ヒメネス氏はメーカーと提携し、1万5000ドル(約160万円)を投資したが、大量生産のためにはあと1万ドルが必要だ。マスクは地元の衣料産業を援助するために原価で提供される。このプロジェクトはIndiegogoで2万4000ドル(260万円)をすでに集めた

COVID-19対応サイトづくりにプログラマーは団結せよ

Coding Dojoは卒業生のプログラマーたちをウェブサイトを新型コロナウイルスに対応させる必要に迫られているスモールビジネスに結び付けるプログラムを開始した。プログラマーは、角の酒屋のサイトづくりや既存サイトへの配達機能の追加などのプロジェクトを無料で引き受ける。

ボストンでマラソン大会用ゼッケン買い上げのチャリティ

Tom O’Keefe(トム・オキーフ)氏はマラソン参加者向けチャリティ団体のStrideForStrideのファウンダーだ。この団体はグアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ブラジル、チリ、キューバ、ジャマイカ、アメリカなどの低所得のランナーからマラソン大会用ゼッケンを買い上げている。新型コロナウイルスでマラソンが中止され、ボストン地区ではホテル、レストラン、Sam Adamsビールなどの企業会社からの資金援助が途絶えた。Strideではパンデミックの後、レストランやバーを組織してランニング・クラブを作る計画だが、当面はDownloadBoston.comというボストン地区のブランドをプロモーションする運動に注力している。

最前線の医療スタッフに食事を提供

ニューヨーク市民のグループが#InMyScrubsという運動をスタートさせた。資金を集めて新型コロナウイルスの緊急対応にあたっている病院の医療スタッフに地元のレストランから食事を送るというものだ。これ自体はテクノロジーをベースにしたイニシアチブではないが、心温まる動きだ。賛同者は自宅でジャージーやスウェットシャツなど緊急対応スタッフが着用している消毒済上着(Scrub)に似た衣類を身に着けている写真をInstagramにアップロードして連帯を示す。この運動はすでに6万8000ドル(約73万円)を集めている。

トップ画像:alashi / Getty Images

【Japan編集部追記】布と輪ゴム2つで簡単なマスクの作り方を実演しているのは米公衆衛生局長官で海軍の軍医中将のアダムズ博士。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Y CombinatorのW20デモデーに参加したスタートアップ(消費者向け事業)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する懸念が高まる中、Y Combinator(Yコンビネーター)はこれまで慣れ親しんできた2日間にわたる米国サンフランシスコでの会合からイベントの開催方式を切り替え、デモデーのウェブサイトを通じて、招待された投資家とメディアにクラス全体を同時公開する方法で開催することを決定した。

さらに驚きなのが、投資家の動きが加速してきた事実を受け、YCがデモデー開催日を1週間前倒しにしたことだ。このため、デモデーのウェブサイトに録画したプレゼンを掲載するというプランは変更せざるをえなくなり、各事業は代わりにスライドに事業概要、今後の見通し、チームの経歴などの説明をまとめてプレゼンを行った。急速に進化する投資環境と相まって、この新たなスタイルがこのクラスにどのように影響するかは今のところはわからない。

プレゼンやウェブサイトのほか、場合によっては以前の記事から収集した情報をもとに、我々が集めたそれぞれのクラスの各事業のメモをまとめてみた。

読みやすさを優先し、全事業をすべて羅列するのではなくカテゴリー別にまとめている。以下は消費者向けの商品またはサービスの販売に焦点を当てた事業だ。そのほかのカテゴリー(ハードウェア、AI、フィンテックなど)に関してはこちらから読むことができる。

消費者向け事業

Apartio
Apart出張者をターゲットにした長期・短期レンタルサービスだ。同社はブラジルを訪問する従業員のいる企業をターゲットにして、AirbnbとBooking.comで直接旅行者を顧客とする予定だ。

Valienta
Valientaは中南米諸国での直接販売ネットワークプロセスの簡素化を目的としたソフトウェアだ。直接販売市場は270億ドル相当(2兆9100億円相当)を占めており、中南米では大きなチャンスと言える。1300万人の直接販売者は、主に個人的なネットワークに転売する女性達である。例えば米国のAvonレディのように、Valientaはこのプロセスを単一のアプリで近代化したいと考えている。

Trustle
子どもが夜寝てくれない時やかんしゃくを起こす時、途方もなく感じてしまうのが子育てだ。Trustleは保護者に向けた月額50ドル(5400円相当)のサブスクリプションで、育児と児童発達の専門家にいつでもアクセスできるサービスだ。創設者によると、インターネット上には育児に関する相反したアドバイスや意見が無数に飛び交っており、答えを求めて延々とグーグル検索を続けても、良い意見を得られることは少ないと言う。また、Trustleはほかの問題点も解決したいと考えている。児童発達における修士号を有する約18万人の幼稚園教師の年収は平均35000ドル(約380万円)と言われており、驚くほどに多くの専門知識が過小評価され、活用されていないことを示している。Trustleはこの2つの問題を結ぶシステムを築くことにより、保護者が子どもの認知、社会、感情、行動における発達について学び実行できるようにしたいと考えている。創設チームには、Google for Education反響部門の元トップ、臨床児童心理学者、およびEdTechスタートアップの元創設者が含まれている。

Viya
Viyaはモバイルファーストの中南米市場向けアパートレンタルシステムだ。テナントの生活を簡素化することを目的とし、クリーニング、メンテナンス、ランドリーサービスと併せて市内中心部の部屋やアパートのリースを提供している。

Jamiphy
Jamiphyのプレゼンは「ミュージシャン用のTikTok」とシンプルだ。世界中で相次ぐライブイベントの閉鎖に伴い、同スタートアップはミュージシャンらにショートビデオのライブミュージックを共有する場を提供するという潜在的な市場を得たと言える。同社は今月初めにインドネシアで事業を立ち上げている。

Breezeful
Breezefulは機械学習を用いて、顧客の住む地域で最良の住宅ローンを見つけてくれるサービスだ。同社が顧客に代わって貸し手と交渉し、取引が成立したときに貸し手から仲介手数料を得るシステムだ。9週間前のローンチ以来、7000ドル(約976万円)の収益を上げている。

Modern Village
Modern Villageは忙しい家庭の「補佐官」になれたらと考えている。月額30ドル(約3300円)で育児、掃除、食料品の買い物、食事などにおける計画を担う。このサービスにより利用者は1週間に約10時間を節約できると同社は見積もっている。現在はプライベートベータ版で運営中。

LegionFarm
eスポーツコーチング。Legionfarmは1時間毎の利用量を払うことで、『Apex Legends』『Destiny 2』『Fortnite』などのゲームの指導を一流プレイヤーやプロゲーマーから受けられるサービスだ。同社によれば、昨年だけでも35万時間以上のコーチング(プレイヤーの支払いは1時間あたり平均約16ドル(約1700円)と720万ドル(約7.8億円)のARR(年間収益予測値)を達成したとの事だ。Legionfarmに関しては以前にもこの記事で伝えている。

StayQrious
8〜15歳のインドの子供向けオンライングループクラス(コーディングクラスから開始)。同社によると、3か月前のローンチ以来生徒の定着率は90%に達している。

Yukstay
インドネシアでの長期レンタルを促進するプラットフォーム。仲介業者が新規物件を掲載し、顧客が閲覧と予約をできるシステムだ。同社によれば、3月の総収入は17万ドル(1850万円相当)になる見込みだ。

Refund Giant
多くの人は知らないが、英国への訪問者は出国時にVAT(付加価値税)還付を得られる。これをサポートするのがRefund Giantだ。ユーザーが領収書の写真をアップロードするとRefundGiantがすべての事務処理を行い、還付金額の25%が引かれるシステムだ。

Sayana
チャットボットのようなインターフェースを使用して、ユーザーが自身の感情の変化を記録できるようにするサブスクリプションベースのメンタルウェルネスアプリ。マインドフルネスにおけるアドバイス等を提供する。現在毎月の売上は約15000ドル(約163万円)で、月間で25%の成長率を達成している。

HelpNow
HelpNowはAHA認定のトレーニングと基本的な生命維持装置をUberドライバーに提供し彼らを活用することで、インドで救急車が到着するまでに必要な時間を短縮しようとする試みだ。ムンバイには347台の車両が存在し、9100件以上の支援の要請に対応した。創設者の1人の父親が心臓発作を起こし、45分以上救急車を待つことになると告げられたことをきっかけに同社が設立された。自分たちの車で病院へ運ぶことを選択し、幸いにも創業者の父親は一命を取りとめている。

Global Belly
インフルエンサーによるカスタムブランド製品を開発、販売する事業。ベーキングキットやレシピボックスなど、食品関連に焦点を当てた製品を皮切りに開始した。同社によれば、現在プラットフォームには17人のインフルエンサーがおり、今後200人のインフルエンサーが追加される予定だ。現在月間収益は約25000ドル(約272万円)を達成している。

Whatnot
プロによって認証された収集品を売買するための市場。FunkoPopフィギュアを皮切りに開始した。GOATの収集品版のようなものだ。同社によれば、GMV(流通総額)はローンチ後約3か月で月額3万ドル(約326万円)を上げているという。Whatnotについて以前書かれた記事はこちら

Pantheon
Science Bowlや英国のUniversity Challengeのような、大学生に向けた知識ベースのクイズショーイベントをモデルとしたPantheon。中高の生徒が集い競い合うだけでなく、同じような趣味を持つ仲間と出会って井戸端会議もできるアプリである。また、大学や企業が有望な候補者を見つけることができる一種の「採用」プラットフォームとしても機能する。

Glimpse
新型コロナウイルスの蔓延を遅らせるため自主隔離を行なっている最中、1人で過ごす孤独な時間を少しでも和らげることができるアプリがこれだ。Glimpseを使用すると、友達や友達の友達と2分未満の短いビデオチャットをセットアップできる。Instagramを無制限にスクロールするような受動的なものではなく、1日中費やす会議よりも短時間の対話のほうが価値を感じる場合がある。

Multiverse
独自のロールプレイングゲームを構築できるプラットフォーム。『Dungeons & Dragons』のようなオープンエンドのゲームやRobloxなどDIYのゲーム構築サイトに着想を得て設立された。

Nugget
ずばり「オーディオ版Instagram」。ユーザーは短いオーディオクリップを録音し、フィルターを適用してサウンドをアレンジし、ソーシャルフィードで共有することができる。自発的なスナップショット型のポッドキャスティングは、間違いなく我々の時代に合ったアプリと言えるだろう。

Together
Facebookはプライバシーにおいては改善されるべき点が多い。ユーザーのプライバシーを確保するため、Togetherはそのギャップを有料のソーシャルメディアアプリで埋めることを目指している。

Zelos
Zelosではゲーマーが無料で複数のビデオゲームにおいて報酬を獲得することができる。毎週32000人のプレイヤーがチャレンジを完了し(1分間に3人のキルを達成など)、バーチャルグッズ、割引、ガチャなどと交換できるポイントを獲得している。より多くのエンゲージメントを求めるゲーム開発者には、Zelosと統合することにより、ポイントスコアリングを高速化し開発者と分割する月額5ドル(約540円)のプレミアムサブスクリプションも用意している。

The Mercer Club
The Mercer Clubは高級ストリートウェアとシューズのメンズ向けレンタルサービスだ。月額75ドル(約8000円)を支払うと顧客は毎週2点までのアイテムを借りることができる。Instagramで1度着るだけのために10万円のグッチのパーカーを買う必要がなくなるというわけだ。「メンズ向けRent The Runway」の同事業モデルはすでにARR10万ドル(約1080万円)にまで成長している。

Adla
Adlaは試着してから購入できる服が詰められた箱を大学生の女の子に送り、購入したくない残りの服を受け取りに来るというサービスだ。同社はキャンパスコミュニティでの人口密度と人気の広がり早さで利益を伸ばしている。アイテムごとに7ドル(約760円)のマージンを請求し、最終的には顧客ベースを活性化させたいブランドを推奨することでコミッションを獲得したいと考えている。

Virgil Insurance
Virgil Insurance は65歳になる高齢者がメディケアの助成を受けた健康保険を購入するのを支援するサービスだ。オンラインブローカーを使用すれば、プランを簡単に比較することができ、コールセンターで延々と待たされることもない。毎日1万人の米国人が65歳を迎えるため、保険ブローカーは年間60億ドル(約6500億円)の手数料を稼いでいる。創設者らは以前に、サブスクリプションをキャンセルするためのTrimや、パワースポーツ車両購入のための資金調達をするOctane Lendingなどのフィンテックスタートアップを立ち上げた経歴を持つ。

Art in Res
Art In Resは、顧客が作品を予約購入できるファインアートのためのマーケットプレイスだ。同スタートアップは販売数よりも生産数の方が多いアーティストを登録し、割引や分割払いの価格付けや、ソーシャルメディアのフォロワーを収益化するためのツールを提供する。生計を立てるためにコーディングを学んだ画家としての過去を持つArt In Resの共同創設者は、現在新しいeコマースチャネルを探している125人のアーティストと提携している。

Hideout
米国のレストラン事業は8600億ドル(約93兆円)の市場であるが、全売上の59%はミレニアル世代によるもので、テイクアウトまたは配達用であるとHideoutは述べている。同スタートアップはデリバリーに特化したレストランブランドのポートフォリオを構築しており、日本のカツサンドやオーガニックボウルのブランドを皮切りに、イタリアのサブサンドや弁当ボックスに焦点を当てたコンセプトにも着手する予定だ。

Duffl
Dufflは大学生の「今すぐ欲しい」リアルタイムでの必需品需要をターゲットとし、10分以内にアイテムを届けるというサービスだ。キャンパス付近に学生が頻繁に購入する商品を保管し、学生を雇って電動スクーターで商品を届けるというものだ。収益は配送料のほか、大量購入によるマージンによって捻出されている。

Thunderpod
フィットネスを餌とするたまごっちのようなアプリ。各ユーザーはThunderpodアバターを取得し、アクティビティを実行するごとにそれが成長する仕組みだ。アプリはユーザーの動きを記録し、友達とフィットネスチャレンジで対戦したり、ユーザーが作成したダンスなどのフィットネスチャレンジの莫大なカタログから試すことも可能。インドで急成長中のテクノロジー市場から誕生した、増え続ける消費者向けソーシャルアプリの1つだ。

Carupi
中古車のP2Pマーケットプレイスを開発したCarupiはブラジルで事業を開始した。2021年の第1四半期までに米国に進出する予定だ。

Motion
MotionのチームはChromeユーザーがウェブ上での時間をより効率的に管理できるようにする拡張機能を構築している。より柔軟な構造を持つ同ツールは、単純なブラックリストやホワイトリストの域を超え、ユーザーがサイトを「非生産的」と指定することにより徐々に習慣を変えていくというものだ。現在このツールは無料で使用できるが、消費者に広く受け入れられるようになった後、より広範なB2B戦略に発展させることを望んでいる。

Cron
CronはGoogleカレンダーのための「超人」を構築している。Cronの共同創設者であるRaphael Schaadは以前、オリジナルのiA Writerアプリの作成に貢献した経験を持つ。彼の新しいスタートアップはGoogleカレンダーのパワーユーザーに月額19ドル(約2000円)をチャージし、ワークフローをクリーンアップしたり、ほかの生産性アプリと統合したりできる追加のパワー機能を提供する。

Moons
中南米版のSmileDirectClubとして自身を説明するMoons。2019年3月のローンチ以来、矯正治療とクリアアライナーを提供しており、SmileDirectClubの半額の価格であると主張している。同社の月間売上高は60万ドル(約6500万円)で、15の店舗で200人以上の人材を雇用している。Moonsについて以前書かれた記事はこちら

Chutney
インドの増加し続けるオンラインユーザー人口をターゲットとして、Chutneyは「インドにおける大衆市場向けのAmazon」になりたいと考えている。顧客はWhatsAppを使用して近くの小規模な店から新鮮な果物や野菜を購入し、翌日ピックアップするというものだ。

Yassir
Yassirはフランス語圏のアフリカ向けにデザインされたアプリだ。29か国に住む4億3000万人と推定される人口に一連の金融サービスを提供したいと考えている。

EduRev
試験勉強をしている2億人のインド人学生を対象とするエドテック企業がEduRevだ。試験準備プラットフォームのサブスクリプション費用は年間50ドル(約5400円)で、月毎のアクティブユーザーは45万人を超える。放課後の塾の代わりにと開発されたEduRevのアプリでは、生徒達にデジタル形式の受験コースを提供している。

Riya Collective
インドのウェディング衣装は高価なため、Riya Collectiveはウェディングに特化したRent The Runwayスタイルの事業をローンチした。2人のインド系米国人起業家によって設立された衣料品レンタルの同スタートアップは、データ駆動型のスタイリングおよびサイジングアルゴリズムを使用。同社の収益は3か月で月1万ドル(約110万円)から月5万ドル(約540万円)に成長している。

TagMango
「インド版Cameo」と言えるTagMangoは、トップインフルエンサーや有名人からのパーソナライズされたビデオメッセージを予約し購入できるというもの。同スタートアップは、単純に言えばボリウッドをよりインタラクティブで身近にすることで利益を得るという目論見だ。同社は1ビデオあたり平均20ドル(約2150円)をチャージしている。

FitnessAI
1万8000人の有料ユーザーを誇るFitnessAIは、パーソナライズされたウエイトトレーニングプランを提供している。創設者Jake Morは、10年間にわたるアプリ制作の経験を持ち、フィットネスアプリ制作に関しては4年の歳月をかけている。年間費用は90ドル(約9700円)となっている。FitnessAIについて以前書かれた記事はこちら

GiveAway
12か月前に設立されたGiveAwayは、中古品を提供するP2Pマーケットプレイスを構築している。5か国にまたがるユーザーベースで17万件を超える取引を成立させている。従来の市場とは異なり、ユーザーは入札を通じて仮想通貨で商品を購入する仕組みだ。

Deep Meditate
Deep Meditateでは個人に合わせたメディテーション(瞑想)のトレーニングを年額26ドル(約2800円)で提供している。同アプリは現在、月間15万8000人のアクティブユーザーを獲得している。

Pahamify
インドネシアのYouTubeサイエンスインフルエンサーによって設立されたPahamifyは、インドネシアの学生の大学入試をサポートするアプリだ。同スタートアップは従来の対面式個人指導などとは異なる指導方法を提案している。同社によると、年間約24ドル(約2600円)の同サービスは月間約6万5000人のユーザーを獲得している。

Edlyft
大学でコンピューターサイエンスを専攻した2人の高校の元同級生が、大学卒業後ベイエリアで再会したことから設立された同社。コンピューターサイエンスを勉強した経験がないものの、今後専攻したりキャリアにしたりしていきたいと思っている大学生を、メンターネットワークやチューターを通して支援するというものだ。

Y CombinatorのW20デモデーに参加したスタートアップ(ヘルスケア、バイオテック、フィンテック、非営利団体)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する懸念が高まる中、Y Combinator(Yコンビネーター)はこれまで慣れ親しんできた2日間にわたる米国サンフランシスコでの会合からイベントの開催方式を切り替え、デモデーのウェブサイトを通じて、招待された投資家とメディアにクラス全体を同時公開する方法で開催することを決定した。

さらに驚きなのが、投資家の動きが加速してきた事実を受け、YCがデモデー開催日を1週間前倒しにしたことだ。このため、デモデーのウェブサイトに録画したプレゼンを掲載するというプランは変更せざるをえなくなり、各事業は代わりにスライドに事業概要、今後の見通し、チームの経歴などの説明をまとめてプレゼンを行った。急速に進化する投資環境と相まって、この新たなスタイルがこのクラスにどのように影響するかは今のところはわからない。

プレゼンやウェブサイトのほか、場合によっては以前の記事から収集した情報をもとに、我々が集めたそれぞれのクラスの各事業のメモをまとめてみた。

読みやすさを優先し、全事業をすべて羅列するのではなくカテゴリー別にまとめている。今回はヘルスケア、バイオテック、フィンテック、非営利団体だ。ほかのカテゴリー(B2B、コンシューマー、ロボティクスなど)に関してはこちらから読むことができる。

ヘルスケアとバイオテック

Simple Strips
専用の血糖値計を必要とせず、スマートフォンのカメラで読み取り可能なストリップを開発し、グルコース検査を安価により多くの人に提供することを目指している。同社は6月にこのストリップのFDAの認可申請を行う予定とのこと。

nplex biosciences
新薬開発に必要なタンパク質パネルの評価を迅速、安価に実施する方法を提供。大手製薬会社を含め400万ドル(約4万3千円)以上の基本合意書が予定されている。

Healthlane
アフリカのユーザー向けに医師とのコミュニケーション、予約、検査結果の追跡を支援するアプリ。すでに採算が取れており、顧客定着率は98%とのこと。

Breathe Well-being
インドの慢性疾患(糖尿病など)のあるユーザー向けに減量をサポートする16週間のプログラム。同社は体重、食事、活動などを記録し、認知行動療法でストレス軽減の指導を行う糖尿病の個人指導を提供する。現在のMRR(月間定額収益)は1万1200ドル(約120万円)。

Dropprint Genomics
個々の細胞活動の解析時間とコストを削減できる「シングルセルゲノミクス」ソフトウェアで創薬を支援。同社は2か月で100万ドル(約1億840万円)以上の基本合意書を締結した。

Newman’s
インドネシアの男性向けデジタル診療所。同社は恥ずかしく感じる悩み(毛髪の悩み、勃起不全)や途中で放棄されることが多い問題(禁煙)に特化し、遠隔受診を通じてより容易、安価、内密に診断を受けることを可能にする。Newman’sについて以前書かれた記事はこちら

Menten AI
同社は「量子コンピューティングと機械学習」を合成生物学と組み合せて新しいタンパク質性製剤を開発しているという。

Loop Health
Loop Healthによるとインドの健康保険の大半が「入院のみカバー、通院は適用外」である。同社は専用の「Loop Healthクリニック」への無制限のアクセスとアプリを利用した遠隔医療を提供し、この状況の改善を目指している。

Synapsica Healthcare
「AIレポート作成アシスタント」。現在脊椎MRIに注力している同社では、測定の注釈と椎間板変性症の所見を自動的に行うことで放射線医師のレポート作成時間の80%を削減する。同社によれば現在10万ドル(約1083万円)を投資した放射線医学でのパイロットプログラムは250のカイロプラクティック・クリニックに選ばれているとのこと。

Volumetric
Volumetricは血管新生化されたヒト組織を作成する3Dバイオプリンターを製造している。2人の博士により創設された同社は製薬会社や科学者向けに感光性組織を販売している。同社は機能性組織、さらには臓器まで生成できるバイオプリンターとバイオインクの製造に資金を投じている。Volumetricについて以前書かれた記事はこちら

Ophelia
Opheliaは米国の300万人のオピオイド依存症患者に遠隔医療でリハビリの代替治療を提供している。同システムでは、患者は遠隔医療で受診し、発行された処方箋でブプレノルフィン/ナロキソンなどの治療薬を配達してもらい、偏見にさらされることなく治療を受けられる。創設者は長年のガールフレンドがオピオイド依存症で亡くなった後、同社を立ち上げた。Opheliaはこれまでに40人の患者の治療に当たってきた。

Lilia
「将来、女性は卒業記念に卵子凍結するだろう」と主張するLiliaは、卵子凍結保存コンシェルジェ・サービスだ。このスタートアップ企業はコンシェルジュサービスに500ドル(約5万4千円)、クリニックでの体外受精時にさらに500ドル(約5万4千円)の支払いを受ける。Liliaによれば総市場規模は330億ドル(約3兆5760億円)だという。

Equator Therapeutics
同社はエクササイズをすることなくカロリー燃焼を手助けする薬品を開発している。アンチエイジング薬品を開発する企業での経歴を持つ2人の博士とデータサイエンティストによって創設されたEquator Therapeuticsは、肥満と2型糖尿病の人々をターゲットにしている。

Altay Therapeutics
サンフランシスコのBayer Collaborator内にあるAltay Therapeuticsは、病気を引き起こすDNA結合タンパク質(転写調節因子)をブロックする小分子療法を開発した。同社の初回治療は関節炎、線維症、潰瘍性大腸炎、肝癌に焦点を合わせている。

Tambua Health
Tambua Healthは「耳で聞く」聴診器と高度なイメージングが可能な独自のソフトウェアを使って、X線を照射することなく肺を画像化する。

Abalone Bio
ライフサイエンス領域のシリアルアントレプレナーによって創設されたAbalone Bioは、数十億の抗体バリアントを発現する酵母細胞のライブラリを使って、薬品の対象を活性化したり阻害できる特定の抗体を生成している。遺伝子配列、機械学習、合成生物学を活用して抗体の組み換えタンパク質を作成し、その有効性をヒト細胞アッセイで確認している。同社は痛み、炎症性疾患、希少癌、希少腎臓病の治療薬を皮切りとしてターゲットにしている。

Felix Biotechnology
イェール大学の著名な研究者であるPaul Turner氏によって創設されたFelix Biotechnologiesは、抗生物質の効かないバクテリアと菌類に対する治療法を開発している。同社によると、これらの病原体は米国だけで毎年280万件の感染症例と3万5000件の死亡例を引き起こしている。平均すれば、米国で15分に1人が抗生物質抵抗性の感染症により死亡していることになる。2050年までに抗生物質抵抗性による死亡者は癌による死亡者を上回るとの警告が、すでに研究者から出されている。

Genecis Bioindustries
同社は食品廃棄物を生分解性プラスチックに変えている。Genecisについて以前書かれた記事はこちら

Candid Health
Candid Healthは保険会社への手続きを行い拒絶された申請に自動的に不服申し立てを行う、ヘルスケア業界向けの自動請求ソフトウェアを開発した。同社は支払いの5%を徴収する。

Ochre Bio
Ochreによれば臓器提供された肝臓はその数が不足しているにも関わらず多くが廃棄されているらしい。脂肪が多すぎて移植が成功しないためだ。同社は移植の前に処置を施す方法を見つけることで「肝臓を体外で若返らせる」ことを目指している。

フィンテック

Facio
ブラジルの銀行は問題を抱えている。五大銀行が市場を寡占しており、手続きは遅くカスタマーサービスは最悪で、実質金利は高く中小企業は相手にしない。Facioは負債の餌食になることから労働者を守り、従業員向けの低金利の短期ローンで経済的自由を提供することを目指している。これは雇用者と一体になって給与から直接ローン返済額を天引きする仕組みだ。

delt.ai
Delt.aiはサービスを受けにくいメキシコの中小企業とフリーランス向けに支払い、請求、コーポレートカードを取り扱うデジタル銀行だ。このスタートアップはラテンアメリカの500憶ドル(約5兆4190億円)を上回る企業預金市場をターゲットにしている。Delt.aiはラテンアメリカをターゲットにしたBrexやMercuryだ。

Nexu
ラテンアメリカのほかの多くのパーソナルファイナンス業務と同様に、自動車金融は割高でローテクな、気の遠くなる手続きだ。ラテンアメリカの自動車販売代理店向けファイナンス・プラットフォームであるNexuは、動的な信用評価を使って自動車購入者にわずか数秒でローンの承認を与える。創設者チームの出会いは、ウォートン校のMBA在学中だった。

Fondeadora
Fondeadoraは飽和状態のメキシコのフィンテックシーンに、従来の銀行に代わるネオバンクデビットカードで参入する。同社はアプリで取引ができる完全モバイルのデジタル預金口座を提供する。同社には6万5000人のユーザーと650万ドル(約7億450万円)の月間取引がある。メキシコのもう一つのデビットカードであるAlboは、現在、プラットフォーム上で取引を行う月間20万人のアクティブカスタマーのシェアを持ち、2600万ドル(約28億1780万円)の資金を調達している。メキシコの銀行は、複数のスタートアップを大成させるのに十分な問題を抱えている。メキシコの人口1憶3000万人の45%は銀行口座を持たない。つまり借入と貯蓄により資産を形成するための金融商品を持たないのだ。

Jenfi
アジアの小規模事業に収益に応じて通常1万ドル~10万ドル(約108万円〜約1080万円)の資金を貸し出している。Jenfiに関しては以前にもこの記事で伝えている。

yBANQ
インドの大規模B2B企業向け代金回収・会計調整システム。同社によれば1月下旬の立ち上げからすでに18社の顧客を獲得し、流通取引総額は約1万8000ドル(約195万円)に達している。

ZeFi
米ドルによる預金と「ステーブルコイン」暗号通貨を内部的に換金する預金口座。ZeFiが換金された資金を貸し付けて利息を得る仕組みだ。

Grain
Grainは既存のデビットカードを「責任のある」クレジット金額(現在は収入やキャッシュフローに応じて上限500ドル(約5万4千円))に結びつける。長期間にわたって信用情報の信用評価が最小あるいは不良になっている人の援助になることを目指している。同社によれば立ち上げから3か月で1000人の顧客と契約し、顧客当たり年間約80ドル(約8600円)の収入が想定されている。

CrowdForce
アフリカで地域の商店主を銀行の支店として活用し、銀行が遠距離にしかない場合に取引の仲介を行う。同社によれば先月の純収益は7万ドル(約760万円)で、顧客当たり年間平均20ドル(約2170円)ほどの収益がある。

Stark Bank
ブラジルのテクノロジー企業向けのB2B取引を取り扱うバンキングAPI。同社は立ち上げから1年あまりで1200万ドル(約13億円)の月間総取引額を見越している。

Bamboo
世界中の有価証券を購入するアフリカの富裕層向けのオンライン仲買業務。同社によればおよそ5か月前の立ち上げからすでに2100人を超える投資家を集め160万ドル(約1億7340万円)以上の取引がプラットフォーム上で行われているという。現在の月間収益は1万ドル(約108万円)を超える。

Swipe
「アフリカのBrex」を自称するSwipeは、アフリカの中小企業に給与と支出をカバーするクレジットカードを提供している。無料の経費・請求ツールを提供することからビジネスを始め、次いでクレジットカードを提供した。現在顧客は30社、発行したクレジットカードで2万ドル(約216万円)の取引が行われている。

goDutch
ルームメイトなど、請求書をシェアしているグループ内で費用を分割できる支払いカードだ。インドに注力している。代金は1枚のカードに課金され、それぞれのグループメンバーの口座から自動で引き落としが行われる。

Paymobil
Venmo式のアプリで暗号通貨のステーブルコインを使って世界中に送金するシステム。創設者のDaniel Nordh氏はCoinbaseでカスタマーデザインを率いた経歴を持つ。

Karat
Karatは銀行業務、ローン、クレジットカードをインフルエンサーに提供している。同社は彼らの人気度のデータをリスク管理に活用して、ローンの実質金利40%を達成し、平均返済期間は45日だ。創設者のInstagramでのインフルエンサー・ツール構築とゴールドマン・サックスでの債務の構成の経験により、すでに1000万を超えるフォロワーを持つスターたちと契約を結んでいる。

Homestead
Homesteadは自宅を所有する人向けに初期費用なしでガレージの賃貸物件への転用をサポートする。工事、入居者捜し、管理の費用はHomesteadが負担し、賃貸収入を所有者と分配する。カリフォルニア州の新しい法律では、州内の800万のガレージを居住スペースとして賃貸できるようになり、巨大な市場機会が生まれている。Homesteadの創設者たちはマサチューセッツ工科大学の建設・都市計画大学院で出会った。すでに100万ドル(約1億840万円)の売り上げを上げてげているスタートアップである。

Benepass
Benepassはスタートアップと小規模企業向けに福利厚生カードを提供している。従業員はBenepassデビットカードで支払いをすると税制優遇と、医療費支出口座、子育て、通勤、フィットネスや教育などの福利厚生特典を受けられる。購買履歴はアプリに記録される。雇用者には無料で提供されているがBenepassのテイクレートは6%だ。それでも何千ドルもの所得税と給与税を節税できる。優秀な人材の獲得をめぐって大手のテクノロジー企業と競っているスタートアップには、Benepassで従業員に大きなサポートを実感させることができる。

GAS POS
米国のガソリンスタンドオーナーは、コンピューターチップを搭載したクレジットカードの国際標準であるEMVテクノロジーを採用し、給油ポンプのアップグレードを競っている。GAS POSは北米の18万のガソリンスタンドがEMVを導入してセキュアな取引を行うための最新のPOSシステムを提供するために創設された。同社にはいくつかの収益源があり、支払い処理金額の3%の手数料、機器購入者への無料のSaaS、顧客に提供される翌日資金調達サービスがある。

YearEnd
YearEndは数字の上ではリッチな人向けの税務ソフトウェアを開発し、顧客の株式を最適化してスタートアップの従業員の税務申告を支援している。 このスタートアップは個人ユーザーに年間330ドル(約3万6千円)を課金し、YearEndを従業員手当として導入したい企業に売り込んでいる。

GIGI Benefits
インドのGIGI Benefitsは同国のギグエコノミーワーカー向けの福利厚生プロバイダーを目指している。この事業は昨年最もホットなY CombinatorスタートアップのCatch、ベンチャーキャピタルの支援を受けたTrupoなどの事業を手本に、健康保険や退職資金口座などをギグエコノミーワーカーに提供している。

Easyplan
Easyplanはインド版のQapitalやDigitとして、ユーザーが具体的な目標に向けてシームレスに貯蓄を行えるようにしている。

Haven
Havenは住宅ローンサービスの次世代プラットフォームだ。最新のカスタマーインターフェース、貸し手向けのより優れた払いモデルなどを提供している。

WorkPay
WorkPayは「アフリカのGusto」を名乗る、当地の中小企業をターゲットとした次世代型の給与・関連サービスだ。

Spenny
Spennyはインドの消費者向け貯蓄ツールで、購入額の端数を切り上げて貯蓄に回すことで顧客は貯蓄を始めることができる。

Kosh
Koshはアルゴリズムで強化されたインド向け貯蓄・投資プラットフォームで、良好な信用評価を持つ人が評価の低い友人を実質的に保証することで借り入れを支援するシステムだ。

非営利団体

Potential
Potentialは服役した過去のある人を仕事や生活資源に結びつけたいと願う非営利団体だ。同社は拘置所と雇用団体と連携し、より人に優しい雇用環境を作ろうとしている。

Y CombinatorのW20デモデーに参加したスタートアップ(ハードウェア、ロボット、AI、開発者向けツール)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する懸念が高まる中、Y Combinator(Yコンビネーター)はこれまで慣れ親しんできた2日間にわたる米国サンフランシスコでの会合からイベントの開催方式を切り替え、デモデーのウェブサイトを通じて、招待された投資家とメディアにクラス全体を同時公開する方法で開催することを決定した。

さらに驚きなのが、投資家の動きが加速してきた事実を受け、YCがデモデー開催日を1週間前倒しにしたことだ。このため、デモデーのウェブサイトに録画したプレゼンを掲載するというプランは変更せざるをえなくなり、各事業は代わりにスライドに事業概要、今後の見通し、チームの経歴などの説明をまとめてプレゼンを行った。急速に進化する投資環境と相まって、この新たなスタイルがこのクラスにどのように影響するかは今のところはわからない。

プレゼンやウェブサイトのほか、場合によっては以前の記事から収集した情報をもとに、我々が集めたそれぞれのクラスの各事業のメモをまとめてみた。

読みやすさを優先し、全事業をすべて羅列するのではなくカテゴリー別にまとめている。これらの企業は、ハードウェア、ロボット工学、AI、機械学習、開発者用のツールを手掛けている企業である。そのほかのカテゴリー(バイオテック、コンシューマー、フィンテックなど)に関してはこちらから読むことができる。

AIおよび機械学習

Datasaur
自動修正、自動提案、キーボードのホットキーなどを使用して、人間がマシンデータのデータセットをより正確かつ効率的にラベル付けできるようにするためのツール。個人のデータラベラーは無料、20名以下のラベラーからなるチームには月100ドル(約1万1000円)、それより規模の大きいチームには個別の使用料が適用される。

1build
建設会社向けの、データによる作業費用自動見積もり。ユーザーが作業計画をアップロードすると、1buildは正確な入札額を「数分で」準備できるとしている。同社は、60万ドル(約6600万円)を超える収益を予測しており、Amazon、スターバックス、セブンイレブンなどの大企業の見積もりは完了していると述べた。

Zumo Labs
ゲームエンジンを用いて、コンピューターのビジョンシステム向けに、事前にラベル付けされたトレーニングデータを作成する。同社は、現実世界の写真やビデオからデータを収集するのではなく、データを合成することにより、より迅速で安価に、またプライバシーの問題なく、大量のデータセットを作成できると述べている。

Teleo
既存の建設機械を改造して、オペレーターが遠隔操作できるサービスを提供。Teleoは3ヶ月前の創設以来「完全に機能する遠隔操作ローダー」を作ってきたと述べ、建設会社に、一台につき毎月定額で料金を課す予定でいる。この企業の共同創設者はHardware Engineeringの元責任者であり、またLyftのProduct Managerのディレクターでもあった。どちらの会社もGoogleのStreet Viewチームに関与していた。

Turing Labs Inc.
石鹸やデオドラントなどの消費者向け製品について、様々な配合率を試す自動化されたシミュレーションテスト。研究開発チームにとって、家庭用製品や化粧品に関する作業は、数ヶ月に及ぶことがある。Turingは、このプロセスを支援するAIエンジン(薬の開発に使用されるのと同様のAIエンジン)を開発し、数ヶ月を数日に短縮する。Turingはすでに世界でも有数のCPG企業と取引を行っている。Turingについて以前書かれた記事はこちら

Segmed
SegmedはAIによる医学研究のためのデータセットを構築している。研究者がそれぞれ個別に病院や画像施設と提携する必要を省き、Segmedがこれらの組織と提携して(現在50以上)データの標準化、ラベル付け、匿名化を行う。

Ardis AI
Ardis AIは、人間と同じように文章を読み理解するテクノロジーである、汎用人工知能の構築を目指している。Ardis AIは、ニューラルネットワーク、記号推論、新たな自然言語処理技術とを組み合わせることで、データの抽出やラベル付けを行うチームを雇用することを望まない企業にサービスを提供可能。

Agnoris
Agnoris はレストランの店頭でのPOSデータを分析し、価格設定、デリバリーメニュー、スタッフ配置の変更について提案を行う。Agnorisは、レストランの場所ごとに年間3600ドル(約39万円)で、利益を20%上げることができると述べている。同社は、創設者がレストランを開業した際、そのレストランが繁盛したものの損失がでていたため、マージンを改善するための機械学習ツールを構築し、現在、そのソフトウェアを飲食店に販売している、という経緯がある。

Froglabs
太陽光や風力を使ったエネルギー生産、配送の遅れ、人員不足、販売需要、食糧が入手可能かを予測するために、天気予報AIを企業に提供している。何ペタバイトもの気象データを処理して、企業における物流の中断を防ぎ、経費の節約につなげる。同社は、インターネットビーム気象バルーンを使ったProject Loonを立ち上げた古参Google社員によって設立され、現在はeコマース、小売、ライドシェア、レストラン、イベント企画会社と取引している。

PillarPlus
PillarPlusは建設プロジェクトの青写真設計段階を自動化するプラットフォームである。同プラットフォームは、建築家または請負業者から設計を取得し、機械、火、電気、配管の詳細を綿密に計画し、部品コストやプロジェクトコストを推定する。これらのステップには本来なら数ヶ月の作業を必要とする。

Glisten
Glistenはコンピュータービジョンと機械学習テクノロジーを用いて従来のものより優れたより一貫性のあるデータセットをeコマース企業向けに開発している。最初の製品は、希薄な製品データを取り込み充実させるAIベースのツールである。Glistenについて以前書かれた記事はこちら

nextmv
Nextmvにより、顧客は独自の物流アルゴリズムを自動で生成することができ、輸送用車両を最適化し、内部でルートを管理できる。

Visual One
動きを検出するセキュリティカメラは、必ずしも有害とは言えない動きを誤検知することがある。Visual Oneは、検出した特定の動きだけを「読み取る」、ホームセキュリティと一体になったAIプラットフォームを構築した。ユーザーはアラートをカスタマイズし、気になる動きに関する通知のみを受けるようすることができる。同社のソフトウェアで、家具にダメージを与えるペット、荷物を持ち去ろうとしている泥棒、幼児の危険な行動などをチェックできる。Visual Oneについて以前書かれた記事はこちら

PostEra
ここでのアイデアは「サービスとしての医療化学サービス」である。PostEraのプラットフォームを用いると、従来の研究開発室で行うよりも高速かつ低コストで分子を設計および合成できるため、創薬プロセスで新しい組み合わせをテストするために必要な研究時間を短縮できる。

ハードウェアおよびロボット工学

Cyberdontics
ロボット工学は、da VinciのメーカーであるIntuitiveなどの企業のおかげで、すでに手術に革命をもたらしている。Cyberdonticsは同様のことを口腔手術で行うことを意図し、まずは費用や時間がかさむ治療の1つであるクラウンをターゲットにしている。同社は、ロボットを使用すると、通常2時間の治療を15分で行うことができ、費用はたった140ドル(約1万5000円)で済むとしている。

Avion
Avionはアフリカの奥地の人々に焦点を当て、ドローンを用いた配送システムを構築している。中央ハブに接続された中長距離を飛ぶ医療用ドローンを使用する計画だ。当該ドローンはハイブリッドの自律型で、垂直離陸機能を備えており、5 kgの荷物を150kmまで運ぶことができる。

SOMATIC
トイレ清掃業は「つまらなく」「汚い」仕事とされ、自動化が待たれる主要な業種である。Somaticは、VRを介してトイレを掃除するように訓練された大型ロボットを製作している。ロボットはトイレ表面にスプレーを掛けて拭き、またドアを開けたりエレベーターで昇降する能力がある。SOMATICについて以前書かれた記事はこちら

RoboTire
車のサービスショップの待合室に座ったことのある人なら誰でも、そのプロセスにどれほど時間がかかるかを知っている。RoboTireは、タイヤ4本にかかる待ち時間を60分から10分に短縮することを約束している。同社は米国の複数箇所でこのテクノロジーのパイロット版を開始している。RoboTireについて以前書かれた記事はこちら

Morphle
古くなったアナログ顕微鏡に代わるシステムとして設計されたMorphleのシステムは、画像処理を向上させるためロボットオートメーションを用いている。同スタートアップ企業のシステムは高価なシステム以上に高解像度の画像を処理し、失敗率もはるかに低い。Morphleはインドの研究所に当該システムの販売を始めている。

Daedalus
DaedalusはOpenAIの元エンジニアによって創設され、CNCを手始めとして、人間によるプログラミング無しで工業用ロボットを運用できる自律ソフトウェアを製作している。同社は金属加工市場における生産性を最大5倍改善できると予測している。

Exosonic
Exosonicは大音量の衝撃音波を出さない、地上を飛行可能な超音速民間航空機を製造している。同社の目標は3時間でサンフランシスコとニューヨーク市を飛ぶ飛行機を作ることである。同社のCEOはロッキード・マーティン社でNASAの低爆音のX-59航空機製造に携わった経験を持つ。Exosonicは現在主要な航空会社と国防総省の2つのグループからの趣意書に加えて、米空軍との間に30万ドル(約3300万円)の契約を結んでいる。

Nimbus
Nimbusは、連続的に起業を行ってきたシリアル起業家によってミシガン州アナーバー市に設立された。同社は都市トランスポーテーション向けの次世代車両プラットフォームを製作している。創設者であるLihang Nong氏は、かつて燃料注入システムを開発するPicoSprayを立ち上げた人物である。現在「より快適な乗り心地を確保しながら、スペースとエネルギーの点で今現在の自動車よりも数倍の効率性を持つ自動車を実現できるか」という疑問に答えようとしている。

UrbanKisaan
UrbanKisaan はインドに拠点を置く垂直式農業事業を行う企業であり、家庭に予約購入による生鮮食品を提供している。同社の積み重ねられた水耕テーブル式農場は、従来の農場のわずか1%の土地しか必要としないため、都市近郊で運営でき、しかも農薬を必要としない。健康的な食品を求める中産階級が増えつつある市場において、UrbanKisaanは農場から直接家庭に届けるシステムによって、品質と利益をコントロール可能である。

Talyn Air
SpaceXの元エンジニア2名が、乗客および貨物用の長距離飛行で垂直離着陸機能を持つ電動式航空機(eVTOL)を開発した。同スタートアップ企業は、離陸と着陸の際に特製の翼付きドローンで中空に留まることの可能な電動式固定翼航空機を開発した。創設者によると、このアプローチにより当該航空機は競合他社航空機の3倍である350マイル(560km)を飛行することができる。

開発者向けツール

BuildBuddy
2人の元Google社員が、GoogleのBazelソフトウェア上にオープンソースのUIと機能セットを構築することで、「Googleスタイル」の開発環境を全ての人に届けたいと考えて創業。同社は、このソリューションによって構築時間が最大10倍スピードアップすると述べている。個人の開発者は無料で使用できるほか、チームの規模や必要な機能に応じて1人あたり4ドル(約440円)から49ドル(5400円)までの使用料が適用される。

Dataline
広告ブロックツールを使用しているユーザーからの分析データを、ウェブサイトに収集させることを意図している。同社は、広告ブロッカーを使用しているほとんどのユーザーが注意を払っているのはディスプレイ広告やクロスサイトトラッキングであり、ファーストパーティによる分析は「付随的な被害」として打撃を受けると述べている。Datalineは、サブドメインで実行される「スマートプロキシ」として機能することにより、ほとんどの広告ブロックシステムを回避する(現時点では、おそらく)。

Cortex
最新のオンラインソフトウェアアプリケーションの多くは、無数の独立した目的別のツール、つまり「マイクロサービス」により駆動されている。Cortexはアプリのマイクロサービスを監視し、1つが故障した場合に適切な人物(Datadog / Slack / PagerDutyなどに接続する)に自動的に通知する。

apitracker
ウェブサイトが正常に読み込まれているように見えても、それを機能させるために使用されているAPIに問題があり、はっきりとはわからない形で問題が発生している場合がある。Apitrackerは…APIを追跡する。Apitrackerは使用されているAPIを監視し、そのうちの1つに不具合が発生した時点で警告を発し、それらの全体的な性能についてのインサイトを提供する。

Freshpaint
Freshpaintの「自動追跡」システムは、サイト全体のすべてのページビューとクリック数などを収集し、開発チームが各イベントの手動トラッカーを作成することなく、Google AnalyticsやFacebook Pixelなどのツールに遡及的に割り込ませることができる。ベースプランは月毎のユーザーが3000人未満のサイトでは無料、最大50000人のサイトは300ドル(約33000円)、それ以上のサイトは個別の価格が適用される。

Datree
企業はDatreeを用いてコードベースのルールとセキュリティポシリーを設定し、それらのルールを確実に守った上で、コードをマージすることができる。開発者一人に付き28ドル(約3000円)(個人/オープンソースプロジェクトは無料)の使用料が課されており、現在までに最大で23000ドル(約250万円)の収益を上げた。Datreeについて以前書かれた記事はこちら

fly.io
ユーザーに物理的により近いサーバーにアプリを展開し、レンテンシーを低減し、ユーザーエクスペリエンスを改善する。アプリの人気が特定の都市で高まった場合、Flyがそれを検出し、それに応じてリソースをスケーリングする。

Sweeps
Sweepsは一行のコードを用いて、ウェブサイトが使用しているサードパーティーのツールをより効率よく読み込むことにより、ウェブサイトを40%高速化できると述べている。同社チームは、Sweepsのテクノロジーによりスピードが改善されるだけでなく、SEOも改善されるとしている。

Orbiter
OrbiterはSlackと組み合わされたリアルタイムの自動監視およびアラートシステムで、より優れた顧客サービスと収益管理を保証する。

Release
製品のリリースは一筋縄ではいかない。Release はステージング管理ツールキットを提供している。このツールキットはプルリクエストがあるたびにステージング環境を構築し、より速く/より協調的な開発サイクルを可能にする。

Signadot
Signadotは近年のスタートアップ企業が自らのアプリケーションやサービスを駆動するのに使用しているマイクロサービスを監視し管理するソフトウェアであり、エンドユーザーに明らかになる前に問題にフラグをたてることが期待されている。

Raycast
Raycastは開発者および開発者が使用する多くのツール向けユニバーサルコマンドバーである。ユーザーはJira、GitHub、Slackなどのアプリを統合し、フォームやタスクを完了するために「超人的」なアプローチをとることが可能だ。チームは、エンジニアがエンジニアリングと無関係の作業を迅速にこなすのを支援する方法として当該ツールを提案している。

Cotter
Cotterは電話番号ベースのログインプラットフォームを構築している。同社の創設者によると、このプラットフォームは、SMSベースのOTPの利便性を備えたワークフローでユーザーのデバイスを認証するもので、セキュリティの問題も無い。同スタートアップ企業は、電子メールの利用が少なく、ログイン方法として電子メールの利便性が低い開発途上国の顧客をターゲットとして考えている。

ditto
Dittoの創設者は、製品やワークフローを説明するのに使用するコピーをチームがより入念に計画できるよう、言葉向けのFigmaを作りたいと考えている。スタンフォード大学のルームメイトであるJolena Ma氏とJessica Ouyang氏により制作されたコラボレーションツールは現在の80社を超すユーザーに使用されている。

Scout
GitHubワークフロー内における機械学習実験向けの継続的統合および展開ツールキット。

ToDesktop
ToDesktopはデスクトップアプリケーションの公開ニーズを自動化するサービスを設計してきた。当該サービスはWindows、Mac、Linuxで使用でき、ネイティブインストーラー、自動更新、コードサイニング、クラッシュレポートを提供する。開発者向けのインフラストラクチャや構成は必要としない。

DeepSource
DeepSourceは開発者がPythonやGoにおけるバグリスク、アンチパターン、パフォーマンス問題、セキュリティの欠陥をチェックするためのコードレビューツールである。

Flowbot
FlowbotはPythonでのコーディングのための自然言語、オートコンプリート検索ツールである。これは、Python開発者が、自分が考えている正確な機能を思い出せないときに、平易な英語で入力できるようにするツールである。Flowbotはドキュメントを掘り下げ、コンテキストを検討して、開発者が探していると思われるコードを見つける。

PostHog
PostHogは開発者にユーザーが実際にどのように彼らの製品を使用しているかを理解できるようにするソフトウェアサービスである。これは、オープンソースプログラマー向けの製品分析ツールキットである。

Y CombinatorのW20デモデーに参加したスタートアップ(B2B企業)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する懸念が高まる中、Y Combinator(Yコンビネーター)はこれまで慣れ親しんできた2日間にわたる米国サンフランシスコでの会合からイベントの開催方式を切り替え、デモデーのウェブサイトを通じて、招待された投資家とメディアにクラス全体を同時公開する方法で開催することを決定した。

さらに驚きなのが、投資家の動きが加速してきた事実を受け、YCがデモデー開催日を1週間前倒しにしたことだ。このため、デモデーのウェブサイトに録画したプレゼンを掲載するというプランは変更せざるをえなくなり、各事業は代わりにスライドに事業概要、今後の見通し、チームの経歴などの説明をまとめてプレゼンを行った。急速に進化する投資環境と相まって、この新たなスタイルがこのクラスにどのように影響するかは今のところはわからない。

プレゼンやウェブサイトのほか、場合によっては以前の記事から収集した情報をもとに、我々が集めたそれぞれのクラスの各事業のメモをまとめてみた。

読みやすさを優先し、全事業をすべて羅列するのではなくカテゴリー別にまとめている。以下は主に他の企業への販売に重点を置いているB2B企業である。その他のカテゴリー(ハードウェア、AI、フィンテックなど)に関してはこちらから読むことができる。

B2B企業

Alude
ブラジルの不動産テックはホットな市場であり、Loftのようなスタートアップ企業やユニコーン企業のQuintoAndarなどが大きな成長段階にある。Aludeはシンプルな住宅リース/購入プロセスで流通チャネルを管理しようとしている。そのシステムは、身元調査、文書収集、保険購入、オンライン署名のプロセスを自動化する。この最新テクノロジーは仲介業者に無償で提供され、同社は顧客への住宅ローンと保険の販売を収益化することを計画している。

Vori
Voriは、米国の食料品サプライチェーン向けオペレーティングシステムとなることを目指している。2020年になっても、スーパーでは依然として卸売業者との間で昔ながらの紙とペンの注文プロセスが行われている。Voriはスーパーや販売業者のB2Bマーケットプレイスとして機能し、店舗がベンダーからの仕入れ商品一覧をより効率的に作成できるよう支援する。Voriは、すでに24の店舗がその技術を使用しており、またカリフォルニア北部では150以上の販売業者をサポートしているとしている。Voriはスーパーの商品検索エンジンとしても機能し、Whole FoodsやAmazonとの競争力を保つために役立つ。

Linkana
Linkanaは、中南米におけるコンプライアンス主導型調達ソフトウェアである。中南米には年間6万ドル(約650万円)を調達ソリューションに費やす企業が4万社あり、25億ドル(約2713億円)の市場機会を生み出している。4人の共同設立チームには、10年間近く共に働いてきたメンバーがいる。

Weav
職場での新しい志望者の面接には時間がかかることがあり、チームからのフィードバックを整理して統合するよい方法もない。Weavは採用チームの面接を記録して書き起こすため、企業がより迅速に意思決定を行い、面接を減らすことができる。元Apple/Google/Microsoft社にいたチームが率いるWeavは、情報検索、トピックモデリング、エンティティ認識を活用した最先端のNLPツールを構築しているという。

ElectroNeek RPA
ロボットが自動化の未来であることには誰もが同意しているが、実際のテクノロジー導入には多くの専門知識が必要である。ElectroNeekは、ロボットの専門知識を持たないITスタッフや従業員向けに自動化プロセスを効率化するために設計された、デスクトップとクラウドベースのインターフェイスを構築している。

Reaktive
アニメーター、ビデオ編集者、エンジニアなどのクリエイティブな専門家向けにデザインされたReaktiveは、デスクトップハードウェアをクラウドベースのソリューションで置き換える。同社は、その製品が従来のソリューションよりも100倍高速で、例えば8時間のレンダリングジョブを45秒にまで大幅に短縮するとしている。同社はすでにスタジオから220万ドル(約2億3870万)の購入注文を獲得している。

Handl
紙の文書(手書きのものを含む)をデータベースまたはCRMにプランクし、構造化データに変換するためのAPIを提供する。同社によると、処理の約85%はAIによって行われ、AIの信頼性が低い部分のデータ検証を人間が支援する。発売から9か月で、年間経常収益(ARR)90万ドル(約9770万円)を見込んでいる。

Eze
Ezeは、商品交換所のような働きをする中古スマートフォン市場を構築している。このシステムは、さまざまな携帯端末の価格変動をリアルタイムで更新する。端末はまとめて卸売業者に販売され、卸売業者がそれらを小売業者に販売する。

Oda
不動産データをリスティングサービスと政府当局の記録から統合された1つのAPIに集約する。同社は現在4つのパイロット企業と協力しているという。

Okay
JIRA、GitHub、GCal、Pagerdutyなどのツールに接続してダッシュボードを提供し、チームがどのように仕事をしているかをエンジニアリングマネージャーが把握し、例えば、生産性を損なう可能性がある会議の減少などにより、効率を向上させることを可能にする。料金はマネージャー1人につき350ドル(約3万8000円)。

Tajir
パキスタンの小規模店が商品を取得する支援を提供するマーケットプレイス。同社によると、現在パキスタンの「夫婦経営」の店へのほぼすべての流通はオフラインで行われており、Tajirは無料翌日配達付きのモバイルアプリにプロセスを組み込む。

GuruHotel
ホテル向けのウェブサイトおよび資産管理/予約システムである。発売から8か月後には26のホテルで稼働しており、月間2万ドル(約217万円)の収益を上げている。基本プランは5%の予約手数料で基本的なホスティング/予約エンジンを提供し、プレミアムプランは手数料に加えて月額350~499ドル(約3万8000円〜約5万4000円)で資産管理ツールなど他の機能を利用できる。

Riot Security
最近発見されたフィッシング法に基づいた偽のフィッシングメールで従業員を自動的にテストする、フィッシング対策ツールである。従業員数が50人未満の企業の場合、月額200ドル(約2万1千円)から利用でき、その後料金はカスタムスケーリングに移行する。このツールは現在月間経常収益(MRR)1000ドル(約10万8千円)で、6社とパイロットテスト中である。Riot Securityに関する以前の記事はこちらを参照。

LabGrid
バイオテクノロジー企業やラボが電子メールよりも効率的にコミュニケーションできるようにするためのプロジェクト追跡およびコラボレーションツールである。

Trimwire
企業の銀行口座とクレジットカードに接続し、異常値のフラグを設定したり、経常経費の節約の可能性(忘れられた定期購読など)を探ったりすることで、毎月のコストを自動的に削減する。

Upflow
「B2BのVenmo」を目指し、Upflowは未払いの請求書を支払いに焦点を当てている。支払い処理のほか、カスタマイズした電子メールと登録済みの手紙を未払いのアカウントに自動送信したり、アカウントのステータスが変わった際には指定のチームメンバーに通知したりする。月間請求書数が30件未満の企業は月額50ドル(約5千円)、それ以上は年間300万ドル(約3億2550万)未満の企業で月額最大225ドル(約2万4000円)となっている。Upflowに関する以前の記事はこちらを参照。

Explo
Exploは、レポート生成に対してポイント発行したりクリックインターフェイスにすることで、SQLクエリの作成や実行方法を知らない技術者以外の従業員でも、大量のデータを分析できるようにすることを目的としている。チームによると、すでに400社以上が順番待ちをしているという。

Workbench
Workbenchは、ハードウェア企業向けにサプライヤーのソーシングと使用するコンポーネントに関する情報/仕様の保存という目的に特化したプラットフォームを開発している。

Jet Admin
コード不要で社内ツールを構築するためのドラッグアンドドロップツール。開発チームのリソース解放が期待できる。Stripe、Google Analytics、Salesforceなどのデータベースやサービスに接続し、事前構築済みのウィジェットを使用してチームがツールを組み合わせることを可能にする。独立開発者は無料、10人までのチームはユーザー一人当たり19ドルとなっている。

Battlecard
営業チームが不満を持つ顧客に対してどう対応すべきか、(不満を持つ顧客の合成音声付きの)シミュレーションを通じてトレーニングする。チームは、さまざまな状況での対応に関する「作戦書」を共同で作成し、最も効果的であると分かった答え/フレーズを共有する。発売から約1か月で、すでに年間35000ドル(約380万円)以上の経常収益が見込まれているという。

SnackThis
モーションデザインのためのコラボレーティブなブラウザベースのツールである。リモートのチームが動画の仕上がりや一画面ごとのアプリの動き方を微調整する様子を想像することができる。共同創設者の1人は以前、モーションデザインを中心とした自身の会社を8000万ドル(約86億8000万円)でGoProに売却している。

Zeo Auto
インドで車両を所有する企業向けに車両管理および追跡機能を提供している。現在の車両位置の表示、過去の移動のリプレイ、燃料費の計算などを可能にする。50以上の多様なGPSデバイスと互換性がある。同社は、2000の車隊所有業者がすでに利用しており、3万台の車両をプラットフォームで管理しているとしている。

Savvy
団体保険プランを提供できない企業向けに作られたSavvyは、代わりに従業員に非課税の手当を支給して、従業員が選択した個々の保険プランに充当させることを可能にする。同社によると、2か月前の発売以来30社以上と連携しており、ARRは約10万ドル(約1080万円)となっている。

Flowdash
「Human-in-the-loop(人間参加)」型のオペレーションとは、最終決定をするプロセスのある時点で人間を必要とするもので、例えばクレーム処理やユーザーがフラグ付けをしたコンテンツの管理などがある。Flowdashは、人間参加チームが最小限のコーディングで新しいツールを構築し、SlackやGmailなどのサービスに統合することを可能にする。基本プランは1ユーザー当たり月額25ドルからで、分析やオンプレミスの導入などの必要性に応じて増加する。

Dropee
Dropeeは、東南アジアの独立小売業者が大手ブランドから大量に商品を仕入れる支援をしており、その大手ブランドから1店舗につき8ドル(約800円)の料金で何が売れているか、何が売れていないかについてインサイトを提供する。同社は、月間収益4万ドル(約434万円)以上が見込まれるとしている。

NUMI
アフリカの小売業者および市場による米国商品の輸入に支援を提供し、貨物や税関に関連する問題を処理する。現在、Carrefourとのパイロットプログラムを実施中で、年間50万ドル(約5420万円)以上の売り上げを見込んでいる。

Pilot
Pilotは、リモートの請負業者を雇う際の給与、福利厚生、コンプライアンスを処理する。企業は一請負業者につき月額60ドル(約6,500円)をPilotに支払い、Pilotは福利厚生、ストックオプション、経費の払い戻しを提供することで、請負業者を正社員のように扱う支援をする。新型コロナウイルス感染症の検疫によって、より多くの企業がリモートワークに慣れるようになると、請負業者にチームの一員であると感じさせることで定着と生産性を確保しようとする企業が増え、市場が拡大する可能性がある。

SEND
SENDは、アフリカ向けのデジタルフォワーダーおよび通関業者であり、航空、地上、海上での貨物輸送を管理する。SENDは、書類をオンライン化するとともに、顧客が多くの配送業者とやりとりする必要なく、1つの業者とのみ取引することを可能にすることで、経路を最適化し、より迅速で信頼性の高い配送を実現する。SENDの創設者は兄弟で、評価額32億ドル(約3470億円)のスタートアップ、Flexportがアフリカ大陸に進出する前に市場を征服することにより、アフリカのFlexportになろうとしている。

Brokrete
デリバリーマーケットプレイスアプリのBrokreteは、請負業者と利用可能なコンクリートサプライヤーを最も競争力のある価格でつなげることを目的として開発された。このスタートアップ企業の創設者たちは、彼らの言う1200億ドル(約1兆3016億円)の市場機会の一部を獲得することを目指している。すでにその歩みを進めつつあり、まずは請負業者とアプリのデモを行い、続いて12月に製品を発売している。同社はカナダの市場から出発し、今春ヒューストンに拡大する。

Paneau
Paneauの創設者たちは、インタラクティブなタブレットをUberとLyftの車内に設置することで、企業が配車サービスの顧客に対して宣伝を行う新しい方法を確立しようとしている。乗車した客がタブレットを使用して買い物をしたり、車のルートを変更したりすることもできる。Paneauは1回の配車につき96セント(約104円)を徴収することで、すでに1か月に約11000ドル(約119万円)の収益を上げている。

Bego
Begoは、中南米・メキシコ市場に照準を合わせ、機械学習を利用して貨物の配達先を予測し、トラックと顧客のマッチングを通じて「空荷走行距離」を減らすためのアプリを作成した。現在、このスタートアップ企業はメキシコ全貨物の42%が運ばれる1つのルート、メキシコシティからヌエボラレドで利用されている。

99minutos
このラテンアメリカのスタートアップ企業は、インターネット販売の宅配に重点を置いている。99minutosは2か国で19の都市に広く展開し、1日に15000件の配送を行っている。今年後半にはコロンビアとペルーに事業を拡大する計画である。また現在、電気自動車による配送を開始しており、メキシコでは、Amazon、MercadoLibre、Walmartの宅配パートナーとなっている。

Farm Theory
Farm theoryは、「見栄えが悪い」ものの新鮮でまだ食べられる野菜をインドの農家から購入し、インドのレストランに直接販売・配送している。この野菜配達サービスの利用で、レストランは最大30%節約できるという。

HYPHY
広告と並行してユーザーが生成するソーシャルメディアコンテンツも成熟しているため、HYPHYは消費者が写真や動画をブランドに直接販売する市場創出を目指している。マーケットプレイスはブランドが広告やマーケティングキャンペーン用のメディアをより迅速に調達する手段として利用できる。

Zaam
Zaamは、可能な限り自動化することで、B2Bオンボーディングを簡素化し、複雑さを緩和するとともに、データと文書リクエストのうんざりするプロセスから顧客を解放するプラットフォームを構築している。このスタートアップ企業は過去2か月で1億2000万ドル(約130億円)のARRを達成したとしている。

HireSweet
HireSweetは、採用担当者が理想的な候補者を探す際に、あからさまには転職活動をしていない候補者も見つけることができる採用プラットフォームを構築している。このプラットフォームは、LinkedInを更新している人、Githubのオープンソースプロジェクトに追加している人、年金の一括型受給権付与が近付いている人などの行動を分析する。チームは先月MRRで15万ドル(約1626万円)を獲得している。HireSweetに関する以前の記事はこちらを参照。

Stryve
Stryveは、採用プロセスをビデオ中心にし、電話によるスクリーニングをビデオチャットのアンケートに置き換えようとしている。チームはプラットフォームに対して請求を行い、終わりのないスケジューリングのやりとりを削減し、ターンアラウンドを短縮する。

Paragon
Paragonは、ローコードのAPIビルダーで、API、APIベースのインタラクションおよび統合の構築時間を短縮する

Syndetic
「データのShopify」、Syndeticは組織が静的データセットをより動的で役立つものにするプラットフォームである

Cadence
Cadenceは、電子メールで済むはずの会議のためのプラットフォームである。早期のアクセスプラットフォームは、プロジェクトの最新情報共有に関連する会議をなくすことに重点を置いている。これはタスク管理ツールと統合し、従業員がSlackで取り組んでいる仕事の内容、仕事相手、処理予定表の内容を簡単に共有できるようにすることで実現される。

Zynq
Zynqは、企業が全社的により効率的に会議予定を組むために役立つ、エンタープライズ向けカレンダーツールを構築している。このサービスは会議を適した大きさの会議室に適切なタイミングで配置することで、企業がオフィスが手狭になったとあまり早くから感じることがないようにするために役立つ。

Castodia
CastodiaはデータベースをGoogleスプレッドシートに接続し、その情報が常に最新であることを確約するとともに、ユーザーが手動で何度もCSVファイルをインポートする必要性をなくすことができる。

Onetool
Onetoolは、スタートアップ企業がさまざまなベンダーを利用してニーズを満たしながら、単一のサブスクリプションに対して料金を支払う、サブスクリプションと保存が可能なオールインワン型のプラットフォームを構築している。同社はそのプラットフォームが新しいSaaSツールの発見を促進し、数多くのサブスクリプションサービスを管理する必要がある設立者の生活を簡素化することを期待している。

Dashworks
Dashworksは、さまざまなコラボレーションツールとデータベースからすべての情報をまとめることができる検索ツールの構築を目指している。このプラットフォームは、JIRA、Slack、Google Driveなどのさまざまなツール間の高度な統合に依存している。

Laserfocus
Laserfocusは、CRMに追加して営業担当者が見込み客との電話、メール、会議を迅速に完了できるようにするアプリを作っている。このアプリは、現在複数のアプリに分散されているタスクをまとめ、見込み客に関する情報収集がしたい営業担当者がその業務により集中できるようにする。

TrueNorth
断片化したトラック輸送業界の非効率性を改善するため、TrueNorthは独立トラック運転手向けにソフトウェアソリューションを提供している。燃料、メンテナンスから、ルートの最適化、積荷追跡まで、あらゆるものを支援する、トラック用のオペレーティングシステムと考えることができる。

Taiv
Taivは、地域のスポーツバーがバー内のテレビに表示するコマーシャルからより収益を上げられるようにすることを目指している。1つの場所につき年間4200ドル(約45万円)の料金で、Taivはライブのコマーシャルを特別提供や割引に関するビジネス広告に置き換えることを可能にする。Taivに関する以前の記事はこちらを参照。

Humanly
Humanlyは、求人に大量の応募が来る企業の候補者スクリーニング自動化を目指している。同社はその技術が偏見を排除しながら、スクリーニングの一貫性維持に役立つとしている。顧客にはFarmers Insurance、Feather、Grinなどが含まれる。

BuildPlane
BuildPlaneは、商業用不動産建設管理のための次世代ツールキットを設計した。同社のソフトウェアは、文書要求の追跡、変更要求の管理、下請業者の請求および支払い処理、見積りおよび価格の要求を行う。この業界カテゴリーは、ProcoreやPlanGridなど、数十億ドル規模のビジネスをすでに生み出している。

SINAI
SINAI Technologiesは、組織が二酸化炭素排出に関する戦略を計画することができる、次世代のソフトウェアプラットフォームである。社内のさまざまな部門とプロセスを追跡し、内部および外部の目標達成に向けてどこで二酸化炭素排出量を削減するかを提案する。SINAIに関する以前の記事はこちらを参照。

Logarithm Labs
Logarithm Labsは、データパイプライン、スクリプトインターフェイス、ポータル、ダッシュボードを含む、チップ設計者向けのプロジェクト管理サービスで、チップ設計の作業で生成されるデータを解析、構造化、分析する

Snapboard
Snapboardは、ダッシュボード、視覚化、アプリケーション作成のためのコード不要ソフトウェアツールを提供する。Snapboardに関する以前の記事はこちらを参照。

Slingshow
Slingshowは、カスタマーサービスと苦情解決に用いるダウンロード不要のビデオ録画および配信アプリケーションである。顧客は説明しながら問題のビデオを撮影し、それをSlingshow経由で送信することで問題を説明し、サポートを受けることができる。

Pulley
Pulleyは次世代の資本政策表管理ツールである。民間企業はこれを使用して従業員と投資家の株式を発行し、会社の規模に応じて所有権の記録を維持することができる。Cartaと同様に、小規模なスタートアップ企業向けに無料枠が用意されている。一方でCartaとは異なり、その焦点は投資家ではなく設立者にサービスを提供することを第一に(そして現在は唯一)している。設立者は以前会社をマイクロソフトに売却したことがある再起業家である。

Rosebud AI
企業のイメージキャラクターを使ったキャンペーンのディストピア的未来へようこそ。Rosebud.aiはあらゆる場面に対応したデジタルアバターとモデルを作成する。企業は人口統計、年齢、スタイルでフィルタリングすることができる。

Termii
Termiiは、マルチチャネルマーケティングおよびコミュニケーションサービスで、SMSのAPIおよびアフリカ企業向けのユーザー認証を提供する。

Able Jobs
Able Jobsは、インドで企業が最も必要とするスキルセットのトレーニングを候補者に提供し、企業がより優れた候補者をより迅速に採用できるようにする。2月には130件の斡旋をしている

Skypher
Skypherは、セキュリティアンケートの開発と回答のプロセスを自動化する。

Terusama
港湾での物流管理を可能にするTerusamaは、貨物の積み込みと運送業者のデジタルサインインのためのスケジューリングソフトウェアを提供している。

Mistro
Mistroを通じて雇用主は200か国以上のリモートのチームに福利厚生を提供できる。健康保険や協働スペース、能力開発のクラス、食品、IT機器、その他従業員がMistroクレジットカードで支払うことができるものを提供することができる。世界中のチームがコロナウイルスのためにリモートワークを受け入れている。この傾向はしばらく続く可能性があり、企業が優秀な在宅ワーカーを引き付けるための支援ができる者にとって大きな市場を作り出している。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

新型コロナは5Gが原因との陰謀説がインターネット上を駆け巡る

米国や世界の大部分で新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせる取り組みが本格化する中、ウイルス関連の陰謀論が盛り上がっている。具体的には、5G技術が新型コロナと関係があるという誤った陰謀論だ。5Gの陰謀を何年も吹聴している陰謀論者の影響も手伝い、暗がりから騒がしい主流へと顔を出した。

新型コロナに関する基本的な医学的事実については科学的なコンセンサスが得られているが、研究者らはなお、5カ月前には誰もその存在を知らなかったウイルスに関して研究を続けている。情報不足と言える状況は、通常インターネットの周辺部に追いやられているアイデアが、パンデミックに関する言説に幅広く忍び込むチャンスとなる。前例のない世界的なヘルスクライシスの危険な特徴だ。

偽情報が含まれるオンライン上の会話を監視するAI企業のYonderによると、陰謀論は通常、周辺部のグループにとどまっているが、流行の間にすばやく主流に移った。

新型コロナの偽情報に関する同社の報告によると、この不確実な時代には「普段とは異なり、陰謀的な考え、噂、警告、パニックが主流として受け入れられる」。現在世の中にみられる偽情報の動きを説明する現象だ。

同社は「周辺部の流言」がインターネットの端から主流に移動するまでに通常6〜8カ月かかると見積もるが、新型コロナ感染拡大後は3〜14日となっているようだ。

「現在のインフォデミックでは、陰謀論やその他の形の誤った情報が前例のない速度でインターネットに広がっている」とYonderの最高イノベーション責任者であるRyan Fox(ライアン・フォックス)氏はTechCrunchに語った。 同氏は、誤った情報が広がる際に「非常に熱心な個人で形成される小グループ」が非常に大きい影響を及ぼす傾向があり、「5G陰謀説」もそうだと考えている。

新型コロナに関する5G陰謀説は目新しいが、5Gに関する陰謀論そのものはそうでもない。「QAnon(Qアノン)やAnti-Vaxxers(ワクチン反対派)などのオンライングループ由来の5Gに関する偽情報は数カ月前から存在していたが、新型コロナとの関連で急速に主流になっている」とフォックス氏は述べる。

Wiredの報告によると、誤った「新型コロナ5G原因説」の種がまかれたのは、5G技術が健康に危険をもたらしウイルスに関連している可能性があると示唆した1月下旬のベルギーの医師とのインタビュー記事だった可能性がある。インタビューから間もなく、オランダ語を話す反5G陰謀論者たちがこの理論を取り上げ、すでに他の5G陰謀説が流布していたFacebookページやYouTubeチャンネルを通じて広まった。その過程のどこかで、携帯の電波塔に放火する者が英国で現れ始めた。政府当局者はウイルスに関する誤まった情報に関連した行為だと考えている。だが電波塔は明らかに間違った標的だ。「英国では5Gの導入が遅れているため、破壊された塔の多くに5Gは入っておらず、攻撃によって3Gと4Gの機器が損傷しただけだ」とThe Guardian(ガーディアン紙)が報じた

今週、陰謀論は主流になり、俳優のJohn Cusack(ジョン・キューザック)氏とWoody Harrelson(ウッディ・ハレルソン)氏などの真に受けた有名人の間で勢いを得ただけでなく、彼らのTwitterとInstagramの大勢のフォロワーに対して偽の5G陰謀説を広げることになった。

Twitterを少し検索すると、陰謀に関して豊富なバリエーションがいまだに流布しているのがわかる。「5Gが武漢で最初にテストされたことは誰もが知っている。偶然ではない!」と、あるTwitterユーザーが主張する。「5Gは最初武漢で、その後他の主要都市で設置されている。偶然?」と別のユーザーが聞く。

過去にも5Gに関する偽情報を助長する材料は多く存在した。昨年ニューヨークタイムズが報じたように、ロシアの国営メディアRTアメリカは、5Gと健康について警告する情報を2018年に放映し始めた。RTアメリカは昨年5月までに、5Gに関して実証されていない主張を特集した7つのプログラムを放映した。その中には、5Gの電波塔が鼻血、学習障害、さらには子供のがんを引き起こす可能性があるとの内容もあった。今人気がある5Gに関するデマは、偽情報キャンペーンと関係している可能性があるが、詳細はすぐには判明しないと思われる。

ソーシャル分析会社のGraphikaは以前、5G関連の陰謀論に関する調査で、5Gに関するオンライン上の会話の大部分が健康への影響に焦点を当てていることを発見した。この種の陰謀を共有するアカウントは、反ワクチン、平らな地球、ケムトレイルに関して誤った情報を主張するアカウントと重なっている。

5G新型コロナ陰謀説は離陸したばかりだが、オンライン上を駆け巡るパンデミック関連の偽情報として最近唯一のものとはとても言えない。危機の早い時期から、偽の治療法や予防的な手当てに関する情報が詐欺師らに稼ぐ機会を提供していた。ソーシャルメディア企業がこの上なく誤った情報を取り締まる積極的な方針を発表した後でも、詐欺や陰謀論は依然としてAIの目を盗んで表に出てくる余地がある。一部の詐欺師はYouTubeで、自動システムに警告する「コロナウイルス」といったターゲットワードを避け、ウイルスを防げるとうたう粉末サプリメントのような製品を販売している。人間のモデレーターらが自宅待機となった今、YouTubeやその他のソーシャルプラットフォームはこれまで以上にAIに依存している。

ソーシャルネットワークは、インターネット上を漂う新型コロナ偽情報の多くを早く拡散した一因だと思われるが、すべてがそれで説明できるわけではない。Twitter、Facebook、YouTubeはすべて、2018年にInfowarsの創設者であり著名な陰謀論者であるAlex Jones(アレックス・ジョーンズ)氏をプラットフォームに出入り禁止としたが、同氏は自身のサイトで販売する製品が新型コロナの予防または治療に使えるという誤った主張を展開している。

その主張は非常に危険なためFDA(米食品医薬品局)が今週介入し、ジョーンズ氏に製品販売を中止するように警告する書簡を発行した。FDAが引用したInfowarのビデオでは、新型コロナを心配する視聴者に「Infowarsストアに行って、免疫システムを強化し感染を撃退するために本当に機能する『銀貨』を少しだけ選ぶ」よう促している。

新型コロナが引き起こした日常生活の混乱が今後もしばらく続く可能性が高いことが明らかになった今、新型コロナに関する陰謀論や詐欺もまた留まりそうだ。最終的には壊滅的なウイルスに対抗するワクチンが広く接種されることになるだろうが、歴史から予見できることがあるとすれば、ワクチンでさえオンライン上の陰謀家にとっての格好の餌食になる可能性が高い。

画像クレジット:Photo by Jane Barlow – WPA Pool/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

買い物代行のInstacartが空前の需要対応でサポートチームを倍増

新型コロナウイルス(COVID-19)による外出禁止を受け、Instacartはグローサリー配達サービスに対するこれまでにない需要に直面し、ショッパーや顧客、提携する小売店のサポートを強化する。

Instacartは4月10日、ケアチームのスタッフを1200人から3000人に倍増すると発表した。ケアチームはInstacartの仕組みや配達、住所間違い、そのほか一般的なトラブルなどについての質問に答えている。

このニュースの前に、Instacartのショッパーが先月、個人保護用品や危険手当、チップのデフォルト額アップ、疾病手当の拡大適用を求めてストライキを行った。

先週だけでも需要が対前年比で300%以上増えていて、Instacartは雇用を大幅に増やしている。先月の活動しているInstacartショッパーは35万人で、その2週間前の20万人から大幅に増加している。

そしてInstacartは、5月までにケアチームに加わる1万5000人を追加で採用し、契約したことも明らかにした。ケアチームのスタッフは総数1万8000人となる。

Instacartが新たに採用した人の一部は、観光・旅行業界で最近解雇された、経験のある人だ。

需要が増えるにつれショッパーにはこれまでになく負担がかかっていて、ケアチームは拡大するショッパーネットワークを正常に機能させるための同社の新たな試みのようだ。同社は先月、賃金ポリシーの拡大や非接触の支払いオプションを明らかにした。また、配達をよりフレキシブルに、そして早くすることを目的としたショッパーのための新機能も導入した。

今週初め、客による「チップ釣り」というひどい手法が発覚した。それは、アプリを通じての請求書に客は大きな額のチップを記載して、グローサリーをピックアップするようショッパーをおびき寄せる。そしてショッパーがグローサリーを届けた後に、客はチップを小額に、あるいはゼロにするというものだ。

グローサリーが届いてから3日後までチップの額を変更できるというのは、Instacartのアプリを通じて提供されているオプションだ。

Instacartによると「チップ釣り」はまれだ。注文の99.5%では、客はチップを上方に調整したり、全く調整しなかったりする。同社はまた、客が少なくとも最低額のチップを払うよう、客によるチップ入力部分から「チップなし」というオプションを削除した。

こうした機能のアップデートは好影響をもたらすだろうが、その一方でグローサリーが届けられた後に客がチップ額を変更することをInstacartはまだ禁止してはいない。チップは所詮、客次第のものであるため、新たなケアチームもまた「チップ釣り」からショッパーを守ることはできないだろう。

加えて、ショッパーはチップのデフォルト額をコロナ禍の間は10%にするよう求めているが、Instacartはチップ最低額を変更していない。

ケアチームの大量採用は「チップ釣り」ではなくサービス需要増に関係している、と同社は話している。

画像クレジット: Instacart

新型コロナウイルス 関連アップデート
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(翻訳:Mizoguchi

Palo Alto Networksが分散化対応でSD-WANのCloudGenixを買収

ファイヤーウォールなどネットワークのセキュリティを提供しているPalo Alto Networksが3月31日に、CloudGenixを4億2000万ドルで買収する合意に達した、と発表した。

CloudGenixはソフトウェア定義のワイド・エリア・ネットワーク(SD-WAN)を提供していて、それにより企業は、すべての分散ロケーションに対して会社のセキュリティプロトコルへのコンプライアンスを強制するポリシーを設定でき、セキュリティを確保できる。これは、支社がとても多かったり、ワークホースが全体的に分散している企業にとってとくに重宝する。しかも、今や何百万の人びとが突然在宅勤務に直面しているから、重要なのはとくに後者だ。

Palo Alto Networksの会長でCEOのNikesh Arora氏によると、この買収はPalo Altoのいわゆるセキュア・アクセス・サービス・エッジ(secure access service edge, SASE)に貢献する。氏は、声明で次のように述べている: 「エンタープライズの分散化が進むに伴い、顧客はすぐに簡単に使えるアジャイルなソリューションを求めるようになる。そしてそのことは、セキュリティとネットワーキングの両方について言える。今回の買収が完了すれば、両プラットホームの結合により顧客には完全なSASEが提供され、それは質的に最上級で、デプロイが容易な、クラウドで管理されるサービス(SaaS)として提供される」。

CloudGenixは2013年にKumar Ramachandran氏とMani Ramasamy氏、そしてVenkataraman Anand氏が創業した。買収の一環として三名全員がPalo Alto社へ移籍する。現在の顧客は250社で、その業界は多様だ。PitchBookのデータによると、同社はこれまでに1億ドル近くを調達している。

このところPalo Alto Networksは、次々と買収を重ねている。2019年の2月以来では、今回が6つめの買収になり、それらの総額は16億ドルを超えている。

この買収は、本年の第四四半期に完了すると予想されている。それまでに、例によって規制当局の承認を得なければならない。

関連記事: Palo Alto Networks to acquire container security startup Twistlock for $410M…Palo Alto Networksがコンテナのセキュリティを提供するTwistlockを4億1000万ドルで買収(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの検索と地図で新型コロナの仮想診療サイトを強調表示(当面英語のみ)

COVID-19のパンデミックで医師と患者の双方が日常的な診療で実際に会うことを減らそうとしているため、仮想診療への関心が高まっている。でも患者は、今どんなものが利用できるのか知らないことが多いので、Googleは今後2週間かけて検索とマップスに、テレヘルスの所在を強調表示するオプションを導入する

病院や医師、メンタルヘルスのプロフェッショナルなどは、彼らの仮想診療サービスの詳細を検索とマップスのBusiness Profile(Googleマイビジネス)に加えられる。すると患者が検索したとき、「get online care」(オンラインの診療を受けましょう)というリンクが出て、サービスの提供者のWebサイトで詳しい情報を見られる。(目下英語のサービスのみ)

またアメリカでは、「すぐ診てくれるところ」(immediate care)などの語句で検索しても仮想診療の場所が表示される。検索結果には、そこに実際に行く場合と仮想診療オプションの両方が強調表示されるが、それは前にはなかったことだ。心配な人は、初診料の額なども知ることができる。

さらにGoogleは今後、病院などのヘルスケアプロバイダーのCOVID-19ページへのリンクも検索結果の上位に置く計画だ。外来に関する彼らの方針や、診察時間の変更なども詳しく表示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

テスラの新型コロナによる一時帰休は販売・納車部門の従業員が対象

Tesla(テスラ)は4月10日、販売・納車部門の従業員の一時帰休を明らかにした。経験が少ない従業員が対象となる。この数日前には、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによる給与カットと人員削減が全従業員向けのメールで発表されていた。

今回、一時帰休の対象となった販売・納車部門の従業員が匿名を条件にTechCrunchにその詳細を説明した。それによると誰が社に残るのか、あるいは一時帰休になるのかについて成績はさほど考慮されなかった。その代わり、経験やポジションで決まった。情報筋によると、入社して2年未満の販売・納車部門の従業員が一時帰休となる。

一時帰休は米国内の販売・納車部門の半分に影響する、とCNBCは10日報じている。しかし合計何人が影響を受けるのか、TechCrunchは確認できなかった。

今回の一時帰休は四半期末を1週間ほど過ぎてのものだ。普通、四半期末というのは、納車部門の従業員は社内目標を達成しようと忙しい。顧客はカリフォルニアやニューヨーク、その他の州での納車を噂していたが、COVID-19が納車を阻害した。

一時帰休は、Teslaの人事責任者Valerie Workman(ヴァレリー・ウォークマン)氏が4月7日に内部メールを送って以来、予想されていたことだった。そのメールではTeslaが給与制従業員の給与をカットし、一部の従業員を一時帰休とすると通達した。

しかし、具体的に誰が影響を受けるのかは10日まで明らかでなかった。

TechCrunchが確認した内部メールでは、米国の工場での生産は新型コロナウイルスのパンデミックにより少なくとも5月4日まで停止され、これによりコストを抑制する必要に迫られたと従業員に説明している。

給与制の従業員は、ポジションによって給与が10〜30%カットされる。電子メールによるよ、この給与カットは第2四半期の終わりまで続く見込みだ。給与カットと一時帰休は4月13日から始まる。在宅勤務ができない、あるいは重要なオンサイトポジションを割り当てられていない従業員は5月4日まで一時帰休となる。

関連記事:テスラは新型コロナで工場を一時閉鎖、社員給与の削減と一時レイオフを実施

画像クレジット: Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

AppleとGoogleが新型コロナ感染チェック用モバイルアプリを共同開発、プライバシー保護も確約

AppleとGoogleは協力して個人が新型コロナウイルス(COVID-19)の感染リスクにさらされたかどうかをチェックできる分散型モニターツールを開発中だ。

濃厚接触を知らせるツールは、公衆衛生当局が新型コロナウイルスの感染を追跡し、人々に感染のリスクがあることを知らせて検査を受けるよう推奨することに役立つ。このアプリはBluetoothテクノロジーを利用し、新型コロナ感染者との接触を発見し、適切なフォローアップを送信する。

プロジェクトの最初のステップは、公衆衛生機関がそれぞれのアプリにこのツールを組み込むAPI の開発だ。次のステップではモバイルデバイスのOS、すわなちiOSおよびAndroid のレベルに機能を組み込み、ユーザーがオプトインするだけで別のアプリをインストールせずに接触追跡が可能がシステムが開発される。

このシステムは、デバイスに搭載されたBluetoothチップを使用し、短時間で変化する匿名化されたIDを発信する。 サーバーは過去14日間のIDについて他のデバイスのIDとの一致の有無を検索する。一致は2つのデバイス間の接触時間および距離をしきい値として判断を行う。

新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたユーザーとの接触があったと判断された場合、ユーザーには「感染テストを受け、その間自主隔離を行う」よう通知される。

位置情報を利用した接触追跡はプライバシーの侵害の懸念をめぐって議論を呼び起こしているものの、多数の公衆衛生機関や大学の研究組織が採用しているテクノロジーだ。例えばAppleの「探す(Find My)」にヒントを得たMITのBluetoothツールがそうした例の1つだ。「探す」は従来の「iPhoneを探す」などと異なり、プライバシーを強く意識しており、位置情報を利用した追跡ツールでありながらユーザー以外は個人情報を知りえない。AppleとGoogleはプライバシー問題の困難の解決にあたってMITなどの組織が支援を求めたと述べている。

【略】

開発は2段階

AppleとGoogleは2週間前にこの共同プロジェクトをスタートさせた。まずAPIの互換性を確保し、できるかぎり多数のユーザーが同一のアプリを利用できるようにするのが最初の目標だ。

4月10日の説明によれば、ユーザー同士の接近をモニターするAPIは5月中旬にiOSとAndroidに導入される予定だ。AppleとGoogleによれば、これは比較的シンプルなタスクで、既存または開発中のアプリに組み込むことも比較的簡単なはずだとと述べている。APIを使う場合、アプリはユーザーに対して位置の追跡機能にオプトインするよう求める(このシステムは全体としてオプトインベースだ)。これによりデバイスに付与される短時間で変化する匿名の識別子をBluetooth機能を利用してブロードキャストする。同種のアプリをインストールしているユーザーはこのブロードキャストを受信し、これによって、誰とどのような接触があったかが特定可能となる。

プロジェクトの次の段階は効率のアップだ。つまり位置追跡機能をモバイルOSそのものに組み込むことにより、個別アプリをダウンロードする必要をなくすのが目標となる。ユーザーはOSから機能にオプトインすればよい。第1段階の感染警告アプリも引き続きサポートされるが、OSへの組み込みはさらに広範囲のユーザーに対応できる。このレベルは数カ月以内に実現できるという。

【略】

アプリの動作例

このシステムがどのように動作するのか、ひとつの例を図示してみよう。

  1. アプリのユーザー2人が一定時間、例えば10分間近くにいたとする。ユーザーのデバイスはBluetooth無線により識別子(15分ごとに変化し匿名化されている)を交換する。
  2. その後、ユーザーの1人が新型コロナウイルスに感染していると診断された場合、感染者はAPIを組み込んだ公衆衛生当局のアプリに知らせる。
  3. システムは感染が診断されたユーザーから過去14日間の識別子(匿名)をシステムに送信することを許可するよう追加の同意を求めることができる。
  4. 公衆衛生アプリには(同意を得て)感染者の識別子をダウンロードすることができ、アプリは感染リスクを伴う接触があったかどうか判断する。
  5. 接触があったと判定された場合、アプリはユーザーに今後どうすべきかさらに情報を提供する。

プライバシーと透明性

Apple、Googleはともに「プライバシーと透明性が公衆衛生アプリにおいて最重要」だと述べ、 リリースされるアプリは今後とも決してプライバシーを侵害しないと確約している。この点は、以前からACLU(米国自由人権協会)が提起してきた問題だ。

【略】

しかしACLUはこのアプリに対しては慎重ながら楽観的な見方をしている。

ACLUの監視、サイバーセキュリティ担当弁護士、Jennifer Granick(ジェニファー・グラニック)氏は次のようにコメントしている。

「位置情報を利用するこの種の追跡アプリは無料かつ迅速な検査と各種医療への公平なアクセスが広く保証されないかぎり効果がない。 またユーザーがシステム(の匿名性)を信頼できなければやはり効果的ではない。AppleとGoogleが、プライバシーの悪質な侵害と中央集権化のリスクを軽減するであろうアプローチを発表したことは事実だ。 しかしまだ改善の余地がある。位置追跡アプリがオプトインであり匿名性を確保した分散型であることを確認するため我々は今後も厳しく監視を続ける。このような機能は現在のパンデミックの期間に限り、公衆衛生の確保の目的でのみ使用されるべきだ」。

【略】

感染チェックのためのはAPIについて、Googleの ブログ記事はこちら 、Appleのスペックなどへのリンクはこちら日本語版解説はこちら)。

ACLUからのコメントによりアップデート済み。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

MITがアップルの「探す」機能にヒントを得て新型コロナ接触者追跡システムを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止策のひとつとして、接触者の追跡がある。感染する機会があった人を保健当局が把握し、感染を広げる恐れがあるとその人に通知するものだ。接触者追跡は、感染拡大を抑えた世界の一部の地域では既に効果を上げているようだ。しかしプライバシー擁護派は、米国でこうしたシステムを実施することに大きな懸念を持っている。

プライバシーを守る接触者追跡システムの実施方法については、ヨーロッパの専門家グループによる分散方式など、多くの提言がある。米国では、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが自動で接触者を追跡する新しい方法を考案した。みんなのモバイルデバイスから発信されているBluetoothの信号を利用して、個人をまったく特定せずに、接触した人とランダムな数字を結びつける方法だ。

このシステムは、研究チームが「チャープ(『さえずり』の意)」と呼ぶランダムな数字をモバイルデバイスが常に発信することによって動作する。チャープはBluetoothで発信される。これが重要だ。ほとんどの人のデバイスでBluetoothが常にオンになっており、また短距離の無線通信プロトコルなので誰かのチャープを受信したらそれはその人が比較的近くにいたのが確かであるからだ。

新型コロナウイルス感染症の陽性であると診断されたら、その人は過去14日間(接触感染のおそれがあった期間)に自分のスマートフォンから発信されたすべてのチャープをアップロードする。アップロードされたチャープは陽性と診断されたケースのデータベースに保存され、他の人はそのデータベースを調べて自分のスマートフォンが陽性の人のチャープを受信しているかどうかを確認することができる。もし一致するチャープがあったら、そのスマートフォンの持ち主は感染のリスクがある。陽性の人と約12メートル以内に近づいたことがあるからだ。検査を受けるべきかどうか、あるいは推奨される2週間の自己隔離をするかどうかの目安になる。

MITのシステムは、米国自由人権協会(ACLU)などのプライバシー保護関連団体が詳しく論じている、接触者追跡にまつわるプライバシー関連の厄介な問題の多くを完全に回避している。MITのシステムは位置情報をまったく使用しないし、個人を特定する診断やその他の情報とも一切結びつけられない。ただ、完全に個人の裁量に任されているわけではなく、コンプライアンスの観点からのリスクはあるだろう。MITは、陽性と診断された人に保健当局の担当者がQRコードを発行し、そのQRコードを使ってチャープの履歴をデータベースにアップロードすることを想定しているからだ。

MITのシステムは、人々のスマートフォンにインストールされたアプリで動作する。この設計は、紛失したMacやiOSデバイスを見つけたり、親しい人が持っているデバイスからその人のいる場所を知ったりするためにApple(アップル)が実装している「探す」システムからヒントを得たものだ。「探す」は、チャープを使って近くにあるアップルのハードウェアに位置情報をブロードキャストする。

MITリンカーン研究所のサイバーセキュリティ&情報サイエンス部門の担当主任でこのプロジェクトの共同主任研究員のMarc Zissman(マーク・ジスマン)氏は、ブログで次のように説明している。「このシステムは『探す』にヒントを得たものだ。もし私がスマートフォンをなくしたら、スマートフォンからBluetoothでランダムな数字のブロードキャストを始めることができる。それは広い海でライトを振るようなものだ。Bluetoothをオンにしている誰かが通りがかったとき、その人のスマートフォンが私に関して何かを知ることはない。ただアップルに『私はライトを見ましたよ』と伝えるだけだ」。

このシステムでは、陽性の人のチャープのデータベースを自動で調べ、検査を受けた方がいい人、あるいは自己隔離した方がいい人にアラートを送ることもできる。研究チームは、プライバシーを守りつつ保健当局のニーズと目的に合うよう、当局と緊密に連携してきた。

MITのチームは、この計画を広く実現するには次のステップとしてアップル、Google(グーグル)Microsoft(マイクロソフト)の協力が重要だと述べている。効果的に機能させるには、モバイルデバイスのプラットフォームとの緊密な連携が必要だ。将来的にiOSとAndroidの標準機能として提供すれば、広く普及するだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ウォルマートのグローサリーアプリのダウンロードが新型コロナで過去最多に

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによるかつてないオンライングローサリーショッピング需要の高まりを受け、グローサリーピックアップ・配達サービスのアプリがチャートで上位にきている。そしてWalmart Grocery(ウォルマート・グローサリー)のダウンロードは過去最多となった。アプリ調査会社App Annieの最新分析によると、4月5日時点の米国のショッピングアプリの中で1位となり、Amazonのダウンロード数を20%上回った。

App Annieによると、Google PlayとApple App Storeのデータ合計でWalmart Groceryアプリは少なくとも2日にわたって1位の座を獲得した。App Annieのデータは4月7日に計算されたが、Walmart Groceryは4月9日現在もGoogle Playで1位、Apple App Storeでは2位となっている。

Walmart Groceryアプリへの関心の高まりは、Walmart Groceryを独立したアプリとしては終わらせてWalmartの旗艦モバイルアプリとウェブサイトに吸収するという同社の計画を複雑なものにするかもしれない。ロックダウンや外出自粛が広く行われるようになる前の3月上旬にWalmartは、オンライングローサリーショッピングサービスをWalmart.comウェブサイトやWalmartモバイルアプリに取り込む新たな戦略を発表していた。

目的は、顧客をそうしたサービスに移行させた後に、Walmart Groceryを徐々になくすというものだ。

この計画にはいくつかのメリットがある。まず、2つではなく1つのWalmartアプリの宣伝に費用をかけられるというものだ。また、グローサリーの買い物客が他のアイテムも買ったり、Walmart買い物客がサイト内をブラウズしながらグローサリーのオプションを発見したりして、全部門の売上アップにつながるかもしれない。加えて、Walmart Groceryアプリの数百万もの顧客がメインのアプリにシフトしてアプリストアでの順位を上げることも考えられる。

しかし新型コロナ危機で状況は少し変わった。4月5日現在、Walmart Groceryアプリのデイリーダウンロードは2020年1月と比較して平均460%伸びている。これはそれまで1度もオンラインでグローサリーを注文したことがなかった多くの新規顧客を、Walmart Groceryが獲得したことを示している。

Walmartにコメントを求めたところ、同社の広報はWalmartはまだアプリの統合を計画している、と述べた。「我々は顧客のフィードバックに細心の注意を払っており、ピックアップと配達がかつてないほど重要であることを認識し、調整を図っている」

新型コロナの影響で需要が急増しているショッピングアプリはWalmart Groceryだけではない。

Apptopiaが3月に発表したレポートではWalmart Grocery、Instacart、Shiptもチャート上位にきていた。

App Annieによると、全体的に小売配達は活況を呈していて、3月29日から4月4日の週で、ショッピングアプリは世界中で1億600万回ダウンロードされた。これは2020年1月の週平均より15%多い。米国のダウンロードだけでも1440万回で、1月の週平均より20%アップした。Walmart Groceryの方が増加幅はかなり大きいが(460%)、Amazonもデイリーダウンロード回数の平均は1月に比べ20%増加している。

Walmart内部の従業員向けアプリですらダウンロードが増えている、とApp Annieは指摘した。Walmartのスケジュールシステムを使った従業員専用のMe@WalmartアプリのAndroidでのダウンロードは、3月22日の週はその4週間前に比べて220%増えた。新型コロナパンデミックで、店舗で働く人の需要増加を反映している。

Walmartは3月、急増するeコマース注文・配達の需要に対応すべく、店舗と配送センターで新たに15万人を採用する計画だと述べた。その発表以来、同社は1日あたり5000人ほどを新規採用していて、当初の計画の15万人を超えるかもしれないとのことだ。同社にとってこうした従業員の採用は一時的なものという位置付けだったが、状況はすぐに「普通」には戻らなさそうだ。オンライングローサリーを初めて使った人は、簡単でリスクの少ない買い物方法だとわかり、ロックダウンが解除された後でもオンライングローサリーを利用するかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

カードレス決済サービスPaidyが伊藤忠から52億円を調達

フィンテックスタートアップのPaidyを利用すると、クレジットカードがなくてもオンラインで買い物ができる。同社は4月9日、伊藤忠商事より約52億円の資金を拡張シリーズCラウンドで調達したことを発表した。今回の資金調達で伊藤忠の出資比率は25%になる。

同社によると、これで同社の調達総額は株式と融資を合わせて約300億円になる。日本の最大の商社のひとつである伊藤忠からの最新の投資は、株式投資だ。伊藤忠はPaidyのシリーズBとCにも参加し、同社への総投資額は約100億円になる。同社によると、シリーズDでなく拡張ラウンドにしたのは同じタイプの優先株を発行できるからだ。

Paidyの前回の資金調達の発表は2019年の11月で、投資家の中にはPayPal Venturesがいた。そして今回の資金は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最中にPaidyのバランスシートを強化するために使われる。また、今年後半にローンチする後払い購入サービスの開発にも充てられる予定だ。

Paidyの決済サービスを使うと、ユーザーはオンラインで買い物をして各月にその合計をまとめて払う。同社は独自の技術でユーザーの信用力を評価し、買い物によって生じる小売店への債務の引受人となり、彼らへの支払いを保証する。日本の消費者はオンラインの決済にクレジットカードを使いたがらないので多いので、Paidyのサービスを使えばベンダーはコンバージョンレートと平均注文額とリピート購入を増やすことができる。

同社によると、このパンデミックの間にサービスの利用は増加した。多くの人が生活必需品をオンラインで買うようになり、ホテルや高額チケットなどへの出費の減少を十分に補っているからだ。なお、東京都を含む7つの都府県に対しては、緊急事態宣言が発令された。

伊藤忠の情報・金融カンパニー執行副社長加藤修一氏が、声明で次のように述べている。「同社が弊社の小売金融戦略において重要な役割を果たし続けることを固く信じている。それは、同社の独特な信用審査により新しいタイプの信用が創造され、それが広範囲な顧客の心を掴んでいるからである。Paidyはまた、詐欺との避けられない戦いの中で迅速なソリューションを実装し、そのサービスを次のレベルへ進化させうることを実証した」。

画像クレジット: Yukinori Hasumi/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

LinkedInは新型コロナ関連のレイオフを会計年度末まで実施せず

LinkedIn(リンクトイン)は少なくとも2020年6月末まで、新型コロナウイルス(COVID-19)に関連したレイオフを実施する予定はないことをTechCrunchに対して認めた。この発表は、SalesforceのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)CEOが先月、今後90日間は大規模なレイオフを行わないと約束した後に伝えられた。

Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のBrian Moynihan(ブライアン・モイニハン)CEO や、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のJames Gorman(ジェームズ・ゴーマン)CEOも、レイオフを2020年末まで実施しないことに同意している。

レイオフはまずサービス業界や旅行業界から始まり、採用関連のスタートアップやスクーター企業にまで広がっている。一方でMicrosoft(マイクロソフト)傘下のLinkedInは、プロフェッショナルやリクルーターのためのソーシャルメディアプラットフォームとして機能しており、レイオフされた従業員にとって重要なコネクタとなる準備を整えている。

雇用の安定が心配される中、LinkedInがレイオフを行わないと約束したことで、少なくとも社内における近い将来の不安はある程度緩和されることだろう。LinkedInは世界30都市に約1万6000人のフルタイム従業員を抱えている。

このニュースから、LinkedInがどれだけ健全に見えるかどうかに関わらず、経済が低迷する中で具体的なコスト削減策が講じられることは免れない。The Informationによると、同社は「事業計画を見極めるため、雇用の大半を一時停止した」という。また同記事によると、昨年には100万人以上の求職者が登録していた。

アップデート:LinkedInは新型コロナウイルス関連事業のレイオフは予定していないことを明らかにした。ただし、これは効力を持つ約束ではない。記事はこの情報を反映して更新されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

新型コロナがサプライチェーンに影響を与えている場所を可視化する無料ツール

Assent Complianceは部品表(BOM)をアップロードすることで、あらゆる企業(顧客でなくてもOK)が新型コロナウイルス(COVID-19)がサプライチェーンに影響を与えている場所を地図上で確認できるツールを発表した。同社は、GEやロールスロイスなどの大手メーカーが、オンラインデータ交換を通じて複雑なサプライチェーンを管理することを支援するツールを開発していスタートアップだ。

オタワ拠点の同社の共同創業者であるMatt Whitteker(マット・ウィテカー)氏は、同社がサプライチェーンデータ管理に焦点を当てていると言う。すなわちWHOが発表する新型コロナウイルス流行地域の地図に基いて、データ駆動式サプライチェーンマップを作ることのできるデータとツールを保有しているということだ。こうしたことを行ったのは、自分の会社だけだと彼は考えている。

「サプライチェーンのデータを利用して、今回のパンデミックに適用したのは私たちだけです。そして、それは私たちのプラットフォームにとって本当にネイティブな仕掛けなのです。データはすべて手元に揃っています ― サプライヤーの位置データも持っています。よって、それをサードパーティのデータソース(WHOのデータなど)に適用し、そこから貴重なビジネスインテリジェンスを抽出するのです」と彼は言う。

もしツールを使いたい場合には、同社のウェブサイトにアクセスしてフォームに記入するだけだ。するとカスタマ担当社員が連絡してきて、データをプラットフォームにアップロードする手順について説明してくれる。ユーザーのデータがアップロードされると、サプライチェーンが混乱する可能性が最も高い世界の部分を示すマップが生成され、個別のデータに基づいてリスクのレベルが特定される。

同社は、現在プラットフォーム上で1000社の顧客と50万社のサプライヤーを相手にビジネスを行う活動の一環として、サプライチェーンデータを収集している。「企業が製品を製造するとき、彼らは一種のレシピのような、部品表(BOM)と呼ばれるものを持っています。そして企業が、基本的にすべての部品、コンポーネント、および購買品の全容を示す部品表と、それらの入手先ををアップロードすれば、それは基本的にその企業のサプライチェーンを表しています」とウィテカー氏は説明した。

企業が部品表をアップロードすると、Assentは企業がデータを交換するためのポータルを開く。ここには、税務申告書、調達証明書、またはメーカーが特定の部品の調達に際して法的・規制上のルールを遵守するために必要な、あらゆる種類の情報や書類が含まれている。

彼らは、今回の事態が、第二次世界大戦以来の世界に出現した、最大のサプライチェーンの危機になることを認識すると同時に、新型コロナウイルスのマップアプリケーションの構築の開始を決断した。構築には約1か月が必要だった。先週顧客に対してベータ版を公開し、最初の2時間でサインアップ数は350社に達した。今週、彼らはこのツールを、たとえ顧客でなくても一般ユーザーが無料で利用できるようにした。

ウィテカー氏によれば、同社は2016年に設立され、これまでに2億2000万ドル(約240億円)を調達してきた。

関連記事:Canada’s Assent Compliance raises $31.4M Series B round to help businesses stay in compliance(未訳)

画像クレジット: Mongkol Chuewong / Getty Images

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(翻訳:sako)

格安ホテルOyoが従業員数千人を一時帰休、新型コロナで売上高50%以上減少

格安ホテルチェーンを運営するOyo(オヨ)は、米国など複数の市場で従業員数千人を対象に最大3カ月の一時帰休とした。新型コロナウイルスの感染拡大により売上高と需要が50%以上減少した。

事情に詳しい関係者によると、一時帰休によって最も影響を受けるのは米国だという。Oyoは声明で一時帰休について認め、同社にとって国内市場であるインドは影響を受けなかったと付け加えた。同社は雇用者の削減はしないと述べ、一時帰休者を含め従業員に対する医療や薬に関する福利サポート提供を約束した。

創業者兼最高経営責任者であるRitesh Agarwal(リテシュ・アガワル)氏は従業員へのビデオメッセージで、新型コロナの感染拡大が世界中でビジネスに深刻な影響を与えていると語った。稼働率と売上高は、年初に比べ50〜60%「以上」下落したと述べた。

Oyoは2019年3月31日に終了する事業年度で、全世界ベースで9億5100万ドル(約1030億円)の売上高に対し、3億3500万ドル(約360億円)の損失を計上した。

ソフトバンクが支援する同社の一時帰休は、インドや中国などの市場でこの数カ月で5000人の従業員と請負業者をレイオフしたことに続くものだ。

世界中のビジネスを混乱に陥れた新型コロナのパンデミックは、ソフトバンクにとって新たな逆風となり、WeWork(ウィーワーク)、Kabbage(カバッジ)、OneWeb(ワンウェブ)などのポートフォリオのスタートアップの多くが従業員の一時帰休または破産を選択している。

WeWorkは昨年IPOの申請を急いだもののガタガタになった。孫正義氏率いるソフトバンクが30億ドル(約3260億円)の公開買付けを開始しないと表明後、WeWorkは契約違反および善管注意義務違反でソフトバンクを訴えた

昨年、投資家のLightspeed Partnersなどから株式を買い戻してOyoへの出資比率を約33%に引き上げたアガワル氏はOyoの貸借対照表について「厳しいストレスにさらされている」と述べ、「あらゆる管理可能なコストを見直し、削減することを余儀なくされた」 と続けた。

「その一環として、将来を見据えた設備投資、M&A、不要不急の出張や新規の支出などを1カ月以上前にすべて停止した」。同氏は今年の残りの給与を受け取らない予定だ。経営幹部も給与を最低25%引き下げることに同意している。

インドで2番目に価値の高い100億ドル(約1兆900億円)規模のスタートアップである同社は、多くのホテルチェーンパートナーが契約を順守していないと主張しており、ここ数カ月間は動向が注視されていた。

Oyoは先月、売上保証などの特典を世界中のホテルパートナーに付与する慣行を終了し、ホテルパートナー向けに新しい契約を展開していると述べた。

「私と当社のリーダーシップチームにとって、長期的な成功に必要な正しい決定と、会社の長期的なキャッシュランウェイ(キャッシュフローが赤字の間、手元資金で乗り切れる期間またはその期間の経営)の視点から正しいことを行うことが重要だ」とアガワル氏は4月8日に述べた。

「Oyoの中国のホテルパートナーは需要の高まりを感じ始めている。当社は今後も世界中の当局と協力して、新型コロナと戦うために医療従事者や最前線の人々にホテルを提供する予定だ」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Microsoft Teamsのビデオ通話の利用は3月に1000%増加

COVID-19のパンデミックで在宅勤務が一部の企業ではデフォルトになり、そして当然のことく、Zoom、Google Meet、Teamsなどのビデオチャットツールの利用が急増している。ZoomとGoogleからはすでにアップデートがあったが、今日(米国時間4/9)はMicrosoft(マイクロソフト)からの報告が、在宅勤務が増えたことへのTeamsのユーザーの適応ぶりを伝えている。

さかのぼって3月16日に同社は、Teamsを使う会議が9億分に達した、と報告した。そして今度は、それから1か月足らずで、3月31日のたった一日で27億のミーティングを記録した。それらのミーティングでは、ビデオカメラを使うユーザーもこれまでより多かった。全体として、カメラを使ったユーザーは今回の危機が始まる前に比べて倍増し、Teamsのビデオ通話の数は3月に1000%以上増加した。

会議以外にも生産的な仕事はあるはずだが、とにかくTeamsによる会議の数としては膨大な数だ。

ビデオの利用率を国別に分類すると、ノルウェーとオランダがトップで、60%の通話がビデオを使っている。アメリカでは、38%だ。その差は高速ブロードバンドの普及率の差だ、と同社は言っている。

またこの報告によると、ユーザーが一日にTeamsを使う時間も増えている。3月には、人びとが初めてTeamsを使った時間と最後に使った時間の間には平均で1時間あまりの増加が見られるが、でも同社によると、それは必ずしも仕事をする時間がそれだけ増えたのではない、という。仕事以外の個人的用途や、コンピューターを点けたままほかのことをしている、と報告は主張している。

企業がリモートワークに使っているサービスが何であれ、興味深いのはこの危機が終わった後にそれがどれだけ定着するかだ。中国では一部の従業員が仕事に復帰しつつあるが、Microsoftのこの報告では、それでもTeamsのDAUは増加が続いている。しかし一方では、正常に戻ったら利用がたちまち落ちる国や地域もきっとあるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Palantirの新型コロナモニタソフトを米CDCやNHSが利用中、EUにも採用働きかけ

多くのスタートアップが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって苦境に追い込まれている中、政府の感染抑制策を助けることによって事態が追い風となっている企業もある。その1社が謎めいた巨大企業、Palantirだ。

政府機関と密接な関係をもつ同社はビッグデータ処理を専門とし、膨大な情報を分析して個人を追跡し、トレンドを視覚化することができる。新型コロナウイルス感染の拡大が医療システムを崩壊させ社会、経済を混乱させる危険に直面している現在、極めて有用な能力だ。

3月中旬の Wall Street Journalの記事によれば、Palantirはウイルス感染の拡大をモデル化するためにCDCに協力したという。 Forbes(フォーブス)はCDCは現在新型コロナウイルスの流行状況を視覚化し、医療ニーズを予測するためにPalantirのアプリを使っている」と報じている。

記事によれば、Palantirはコロナウイルス関連のシ処理では個人を特定可能なプライバシー情報の取り扱いを避け、病院、ヘルスケア、研究機関、メーカーからの匿名化されたデータを分析しPalantir Foundryに集約している。

英国における新型コロナウイルス対策ではNHS(National Health Service、国民健康保険サービス)に同社のFoundryプラットフォームを通じてデータ分析を提供している。イギリス政府はブログ記事 で、Palantirとの提携に触れ、同社のFoundry ソフトウェアを利用するとして、「(このFoundryは)主として英国で開発されたものであり、異種データを組み合わせ、クリーンアップし、総合することにより意思決定に役立つ単一かつ確実性の高い情報源を提供する」と述べている。

Bloomberg(ブルームバーグ)によれば、Palantirはフランス、ドイツ、スイス、オーストリアの政府に対して同社の分析ソフトウェアの採用を働きかけている。同社はFoundryだけでなくデータ分析ツールのGothamも売り込んでいるという。このツールは政府の情報機関や捜査機関が個人を追跡するのに役立ていることでよく知られている。米国でICE( 移民税関捜査局)が不法滞在者を摘発するために用いているのがいい例だ。 FoundryとGothamは多数の情報源からデータを統合して新型コロナウイルスによるパンデミックの鳥瞰図を得られるとして各国政府の保健機関に提案されている。

危機に対応して監視テクノロジーへの関心が高まる中、プライバシー活動家は早くも警鐘を鳴らしている。 EFF(電子フロンティア財団)は「世界の政府はウイルスと戦うために並外れて強力な監視権限が必要だとしている。パンデミックから生じる政府と民間企業の間の新しい関係については綿密に検討しなければならない」と警告している

たとえばPalantirの共同創業者会長のPeter Thielピーター・ティール)氏は、テクノロジー界における最も強力はトランプ政権支持者の一人だ。ティール氏の推進するプロジェクト投資は、広く注目を集めると同時に賛否の議論を引き起こしているが、Palantirもその1つだ。

ICEの不法滞在者摘発強化に協力する謎めいたテクノロジーの巨人という一般のイメージがあることにPalantir自身も気づいており、プロダクトが多くの人々のプライバシーに影響することを認めている。Wall Street Journalへのコメントで、Palantirのプライバシー担当の責任者、Courtney Bowman(コートニー・ボーマン)氏は「新型コロナウイルス対策においてもプライバシーと市民的自由はわわれの指導的原理であり、付録のようなものであってはならない」と述べている。

Palantirは、米国の新型コロナウイルス対策でも大きな役割を担っているようだが、同社と米政府は長年にわたって協力して感染症の脅威に取り組んできた。たとえばCDCは2010年にハイチにおけるコレラの流行をモニターする同社のソフトウェアを利用している。

ごく最近の例もある。 この1月下旬、PalantirはHHS(保健社会福祉省)と360万ドルの契約を結び、PEPFARにソフトウェアを提供した。 PEPFAR(統領緊急エイズ救済計画)は HIVの感染者を援助するための啓蒙、救済活動だ。

画像:デンバーの新型コロナウイルス検査センター Michael Ciaglo/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ対策ではハイテク業界の慈善家を好意的に受け止めよう

米国時間4月9日の午後、ハイテク産業から新型コロナウイルス(COVID-19)との戦いに関連して2つの大きな発表があった。

ひとつは、TwitterとSquareのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が新型コロナウイルス対応事業に10億ドル(約1080億円)を拠出すると発表したことだ。その数時間後、LinkedInの創設者であるReid Hoffman(レイド・ホフマン)氏、StripeのCollison(コリソン)兄弟、Y CombinatorのPaul Graham(ポール・グラハム)氏、ベンチャー投資家のChris Sacca(クリス・サッカ)氏ら、ハイテク業界の億万長者たちが、新型コロナウイルスと格闘する研究者のための緊急助成金プログラムを発表した。この2つの発表は、最も有望な新型コロナウイルスワクチンのための工場建設計画を打ち出したBill Gates(ビル・ゲイツ)氏の自発的活動や、個人用防護具(PPE)の輸入や寄付、人工呼吸器の製造、地方企業の支援など細かい活動を主導するハイテク業界のリーダーたちに続くものだ。

だが、ハイテク業界の慈善家たちによる新型コロナウイルスのパンデミック対策が急増したところで、本来なら政府が行うべきことを慈善家が代行している現状を、慈善活動に詳しい批評家たちは嘆いている。またその他の評論家たちは、これは権力闘争だと批判している。Theodore Schleifer(セオドア・シュライファー)氏は、今週、Recordに以下のように書いた

それでも、億万長者の慈善活動を批判する人たちは、彼らの寄付は個人の力を誇示するためのものだという考え方を捨てられずにいる。実際のところ、Moskovitz(モスコビッツ)氏などの慈善家は、前例のない危機に際して米国の対応を形作る上でもっとも重要な人物となっている。だが彼らには、無責任で、不透明で、非民主的な支配力が染みついている。権力闘争になっても不思議ではない。寄付をすることで慈善家たちはヒーローとして承認され、彼らの事業を厳しく監視しようという人々の気持が削がれてしまう。

だが、それは誤った前提だ。たとえ政府が十分にパンデミック対策に資金を投入したとしても、またハイテク業界のリーダーたちによる新型コロナウイルス対策が権力闘争だったとしても(その証拠はないが)、ハイテク業界には、そしてハイテク慈善家には、果たすべき役割がある。

私たちが注視すべきは、彼らの取り組みが、テクノロジー固有の能力や資源を適切に活用しているか否かだ。もしTesla(テスラ)、あるいはGMが人工呼吸器を作れるなら、ソフトウェア企業が公衆衛生当局者を支援できるなら、プログラマーが各州の労働局と協力して時代遅れの失業者対策を刷新できるなら、慈善家が政府よりも早く研究者たちに資金を注ぎ込むことができるなら、そうするべきだ。ホテルがこの悲惨な状況の中、ファーストレスポンダーやホームレスに空室を提供するのとなんら変わらない。

国防生産法を発動して、製造業者にマスクや人工呼吸器の生産を命令することには、その能力が民間企業にしかないことをみんなが知っているため、まったく議論の余地はなかった。ハイテク業界にも、この国難に際して同様の貢献を求めるのは当然ではないか?また、国の医療研究施設に十分な予算がないなら、迅速に資金を投入してワクチンを開発させるべきだろう。資金は多ければ多いほうがいい。

関連記事:トランプ大統領が新型コロナ対策に国防生産法を発動、マスクと人工呼吸器の増産を約束

これは、TechCrunchのインタビューの間ずっと、私が考えをまとめようとしていた、よく引き合いに出され、さまざまに定義が変化する「インパクト」の概念につながる。慈善としての寄付に違いがあるなら、どこでわかるのか? 宣伝のためのパフォーマンスと、周到に練られた計画との違いをどう見抜けばよいのか? 適切な問題が果たして解決可能なのか否かは、どうしたらわかるのか?

データ駆動の慈善家でさえも、常に適切な問題を提示できるわけではないことに、私はずっと以前から気がついていた。大きな成果が得られたからと言って、それを成功とは断言できない。企業や財団が何か良いことをしたからと言って、それらの団体の社会的インパクトが最大化されたことにはならない。

やはり、社会的インパクトの最大化とは、単に、企業がその中核となる能力を発揮することだ。もしハイテク企業が(そしてそこから誕生した億万長者の慈善家が)公共の緊急事態に役に立つスキルセットを持っていたなら、彼らの責務はそれを使うこと、それをうまくやることだ。

現実世界の問題に目を向けるよう、我々はずっとハイテク企業に訴え続けてきた。だから、今それをしている彼らに、文句を言うのは止めよう。

だが、ハイテク企業が期待を裏切っても批判するなと言っているわけではもちろんない。人々は、Amazon(Whole Foodsを含む)、Instacart、Seamless、DoorDashが最前線の従業員の保護を怠ったとして、適切は批判を下した。ハイテク企業は、その主要な機能を完全に果たしたときも、負うべき責任は負わなければならない。

テクノロジーはサプライチェーンを動かし続ける以外にも、新型コロナウイルスのパンデミックに打ち勝つための戦略を実行する際には、必ず中心的な役割を果たすことになる。世界中にPPEを配布する場合には、FlexportやApple(アップル)といった企業が獲得した物流の専門知識が必要になる。大規模テストを行うには、Gilead Sciencesなどのバイオテクノロジー企業の新製品を素早く展開しなければならない。管理体制の監視には、VerilyやPalantirが行っているような大量のデータ収集と分析が必要になる。そしてもちろん我々は、ワクチンや治療薬を大量に製造して配布しなければならない。Amazonなどが、その役割を果たせると私は期待している。

そこでビル・ゲイツ氏が思い浮かぶ。彼は、有望なワクチンの製造工場を今すぐ建設すると発表したことで、新型コロナウイルス対策のハイテク分野における最も中心的な人物となった。ゲイツ氏は、単なるハイテク系慈善家ではない。長年の勉強の末、彼は世界でも屈指のパンデミック対応の専門家になっていたのだ。彼に指針を求めることは、一人のハイテク億万長者の力に頼ることではない。その工学とプロジェクト管理のスキルを、この数十年間に発生した厄介な公衆衛生上の問題の対策に活かてきた実績を持つ人物のリーダーシップを受け入れるということだ。

もちろん、理想的な世界では、ゲイツ氏が埋めている穴を、とっくに政府が埋めているはずだ。そうなっていないことは許しがたい。だが、健全な民主主義とは、社会全体に貢献を求めることができることでもある。そして優れた公共政策とは、解決策が見つかるごとに、そこから最良のものを選び出すことだ。

それは、ときにはワシントンD.C.の郊外にいる名も無い官僚であったり、またときには、公衆衛生オタクのハイテク業界の大御所だったりもする。

【編集部注】筆者のScott Badeは、マイク・ブルームバーグ氏の元スピーチライターであり、「More Human: Designing a World Where People Come First」の共同著者。

画像クレジット:Cole Burston/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)