Googleのクラウドゲームサービス「Stadia」へのアクセス方法

Googleはゲーム機を発売するわけではない。その代わりに同社は、Stadiaというサービスを立ち上げる。ゲームはサーバーの上で動き、ユーザーは自分のデバイスにそのビデオをストリーミングする。Stadiaにアクセスするために新しいハードウェアを買う必要はないが、ただし、いきなりどんなデバイスからでもStadiaを使えるわけでもない。

ゲームデベロッパーカンファレンス(Game Developers Conference)の開会直後に、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏はこう言った。「Googleでは、ChromeブラウザーやのChromebook、Chromecast、Pixelなどのデバイスで、20億の人びとがゲームをすぐに見つけられる。ほかのブラウザーやプラットホームをサポートする計画もある」。

おわかりのように、ラップトップやデスクトップコンピューターでこのサービスにアクセスするためには、Chromeブラウザーがメインのインタフェイスになる。コントローラーはユーザーの既存のコントローラーを使える、と言っているから、PlayStation 4やXbox One、Nintendo Switchをお持ちの方はそのコントローラーで大丈夫だろう。Googleにも、独自のコントローラーがある。

テレビにChromecastをつけてる人は、それがStadiaマシンになる。Bluetoothをサポートしているのはいちばん新しいChromecastだけだから、手持ちのコントローラーを使うにはそれが必要かもしれない。GoogleのコントローラーはWi-Fiを使うから、古いバージョンのChromecastでもいいはずだ。

さてモバイルだが、Googleは最初からどんなAndroidデバイスでもこのサービスを使えるようには、していないらしい。最初はピチャイのスピーチ(上記)で具体的に名前が挙がったPixelのスマートフォンとタブレットだけだ。いずれは、すべてのAndroidデバイスでStadiaをプレイできるようになる、と思うけどね。そうしない理由も、思い当たらないし。

しかしなぜか、アップルのデバイスの名前はまったく出てこなかった。だからiPhoneやiPadをお持ちの方は、待たされるのだろう。アップルではサードパーティのデベロッパーがデジタルコンテンツを売るには必ずApp Store経由だから、これがGoogleにとって問題になるかもしれない。

Stadiaはまだ、一般公開されていない。それは、今年の後半だ。よく分からないことが山ほどあったが、カンファレンスではすべての答えは得られなかった。Googleにとってはまったく新しい業態を構築していくわけだから、ビジネスモデルも流通の形も、これから徐々にかたまっていく、としか言えない。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが社内ゲームスタジオ設立、AMDカスタムGPUとDebian Linuxのゲームプラットフォーム「Stadia」を推進

Google は米国サンフランシスコで行われたカンファレンスで、クラウドゲーミングプラットフォーム「Stadia」を発表した。会場で披露されたのはほとんどが現在PCやXbox One、Play Station 4などでプレイできる有名ゲームだったが、Googleは自社のゲームスタジオ「Stadia Games and Entertainment」の設立も発表した。

新しいスタジオの責任者を務めるJade Raymondが初めて詳細を発表した。同社はStadia専用ゲームの開発に取り組む予定だが、このスタジオにはそれ以上の役割があるという。

「Stadia Games and Entertainmentの責任者として、私は次世代ゲームを新たに創造するためのゲームスタジオを作るだけではなく、Googleの最先端技術を大小さまざまなパートナースタジオが利用できるように、外部デベロッパーと協力していくことを楽しみにしている」とRaymond氏は言った。

Raymond氏はゲーム業界で15年以上仕事をしている。中でもモントリオールのUbisoftで(ユービーアイソフト)は、初期のAssasin’s Creed(アサイン クリード)のプロデューサーを務めた。UbisoftからElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)に移る前にはWatch Dogs(ウォッチ ドッグス)にも関わっていた。

Raymond氏はElectronic ArtsでMotive Studiosを設立し、これもElectronic ArtsのゲームスタジオであるVisceral Games(ヴィセラル・ゲームズ)とも仕事をした。スターウォーズのシングルプレーヤー・ビデオゲームの開発にも取り組んでいたが、Visceral Gamesは2017年に閉鎖しプロジェクトはその後 中止された

Googleによると、世界中で100社のスタジオがすでにStadia開発用ハードウェアを受け取っている。Stadiaのゲーム開発あるいは移植に関わっているエンジニア/クリエイターは1000人を超える。

StadiaはAMDのカスタムGPUとLinuxオペレーティングシステムを使用する。Linuxと互換性のあるゲームであればStadiaへの移植は容易のはずだが、Windowsゲームに特化したスタジオにとっては大仕事になるかもしれない。

Stadia.devによると、クラウドインスタンスはDebian上で動作し、Vulkan(3G CG API)が実装されている。ハードウェアはx86 CPUと「AMDのカスタムGPU、HBM2メモリーおよび56の演算ユニットを擁し10.7テラフロップスの能力を持つ」。これは比較的強力なGPUであるAMD Radeon RX Vega 56とよく似ているが、今日のハイエンドゲーミングPCで見られるものほど強力ではない。

Googleは、Stadia Partnersというプログラムを実施して、サードパーティーデベロッパーがこの新プラットフォームを理解するための支援を行う。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アサシンクリードをChrome上でプレイできるGoogleストリーミングゲーム環境

Googleがサンフランシスコで行われているゲームデベロッパーカンファレンス(Game Developers Conference)でプレスイベントを行った。その開始時間は、太平洋時間3月19日の午前10時、東部時間午後1時、ロンドン午後5時、パリ午後6時、日本では3月20日午前2時だ。

ゲーム企業の多くがサーバーとインフラストラクチャのニーズをGoogle Cloud Platformに依存しているが、今日のカンファレンスは違う。

Googleはこれまで半年あまり「Project Stream」というものを開発してきた。その最初の技術テストでは、WebブラウザーChromeの中で「Assassin’s Creed Odyssey」(アサシンクリードオデッセイ)をプレイできる(日本語サイト)。ゲームはユーザーの近くのデータセンターで動き、ユーザーはそのビデオストリームをブラウザーで見ながら自分のコンピューターでキャラクターと対話する。

Googleは、クラウドゲーミングサービスを本当に自社で立ち上げるらしい。そのサービスをどうやって売るのか、最初に揃っているゲームは何々か、楽しみだね。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleも折りたたみ式スマホの特許出願を行った

特許出願は、ある会社がテクノロジーに対して特に真剣に取り組んでいるということを意味しているだろうか?答えはノーだ。

では携帯電話を製造しているすべての会社は、少なくとも折りたたみモデルの検討を行っているだろうか?おそらくはイエスだ。

米国特許商標庁に提出されたラフスケッチと技術詳細からでは、個々の会社がどれほど真剣に、その計画に取り組んでいるのかを知ることは困難である。実際には、ほとんどの企業が当然のことながら、この技術に対しては様子見アプローチをとっている。

Patently Mobileによって発見された新しい特許出願は、おそらく様子見アプローチに属するものだ。Googleは、結局のところPixelやその他のハードウェアを他のデバイス製造業者に大量に外注している ―― そして特に注目すべき点は自身のディスプレイを製造していないということだ。そうではあるものの、申請書類には財布に似た折りたたみデバイスの姿を見ることができる。

「FOLDABLE DISPLAY NEUTRAL AXIS MANAGEMENT WITH THIN, HIGH MODULUS LAYERS」(薄型高弾性層に伴う折りたたみ可能ディスプレイの中間軸管理)というタイトルは、間もなく発売されることが発表されているサムスンやファーウェイのものと比べてしまうと特に、一見非常にシンプルなものだ。皆がびっくりしたシャオミのコンセプトモデルに関しては言うまでもない。とはいえこの特許申請によってGoogleは、Appleやモトローラと同様に、少なくとも折りたたみ式アイデアをつつき回す陣営への仲間入りを果たしたことになる。

特にGoogleは、少なくともソフトウェアの観点からは、既にこの分野に参入している。同社は昨年サムスンと共同で、Androidを搭載したGalaxy Foldなどのデバイスをサポートすることを発表した。このため、マウンテンビューの奥深く、何処かに潜む誰かが、様々なコンセプトをつつき回している可能性がある。

消費者の関心という意味では、もちろん折りたたみ式はまだ好奇心の対象に過ぎない。その価格はほぼ2000ドル前後で、これはこれまでの旗艦モデルの2倍の価格だ。比較的安価なエントリーモデルが長い間Pixelシリーズの魅力の1つとなってきたことを思うと、Googleが今年2000ドルの折りたたみ式を急いで出すとは思えない。

[原文へ](翻訳:sako)

ファーウェイがAndroidに代わるスマホOSを構築、米国との緊張激化に備え

米国とファーウェイの緊張関係は和らぐ気配がない。先週この巨大電子製品企業は、同社製品の使用禁止は“憲法違反”として米政府を訴訟した。一方、今週初めに米国は、ドイツがファーウェイの5G製品を使うことに関して同国の諜報機関を威嚇した

当然ながら同社は、関係のさらなる悪化に備えて、Androidに代わるモバイルオペレーティングシステムを内製しはじめた。同社が独自のモバイルOSを作っているという噂は1年前からあったが、今回は同社モバイル部門のトップRichard Yu(余承東氏)が、その新しい予備システムに言及した。

「独自のオペレーティングシステムを準備した。Androidを使えなくなったら、それに代わるB案がすでにある」とこの役員は言った。

ファーウェイはそのソフトウェアの構築を、米国がZTEを禁じた直後に開始した。GoogleやQualcomm(クアルコム)のような米国企業製のソフトやハードを中国のスマートフォンで使うと、両方の国で関税がどんどん増えていった。

ファーウェイが心配されているのは中国政府との結びつきだけでなく、イランの関税回避の嫌疑でも叩かれている。同社のCFOであるMeng Wanzhou(孟晩舟氏)は、それでカナダの拘置所にいる。もちろんこれまで、何があってもファーウェイのグローバルな成長は衰えない。懸念の高まりの中で同社は売上が50%増加した。

TechCrunchでは今、ファーウェイに確認を求めている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Xbox LiveにAndroidやiOSからも参加できるGame Stack、マイクロソフトがゲーム関連ツールを統合

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月14日、同社のゲームに関するすべての製品を1つの傘下に収める新たな戦略を発表した。そこには、Xbox Live、Azure PlayFab、Direct X、Mixer、Virtual Studio、Simplygon、そしてAzureが含まれる。それはMicrosoft Game Stackと名付けられ、業界トップのスタジオにいるデベロッパーから、個人で仕事をしていデベロッパーまで、規模には関係なく必要な開発ツールを提供する。そうして開発されたゲームは、さまざまなデバイス、プラットフォーム上で動作することになる。

「Game Stackは、Direct XやVisual Studio、Azure、PlayFabといったゲーム開発プラットフォーム、ツール、サービスを、あらゆるゲーム開発者が利用できる堅牢なエコシステムに統合します」と、Microsoft Gaming Cloud担当の副社長のKareem Choudhry氏は述べた。「これはまだ始まったばかりの旅だと考えています」。

開発者が、利用したいサービスを自由に選ぶことができる、という点は注目に値する。例えば、Game StackにはAzureも含まれているものの、全体としては特定のクラウドサービスやデバイスに依存することはない。とはいえ、Microsoftとしてはデベロッパーが優先的にAzureを採用してくれることを望んでいるのは間違いない。つまるところ、最近のゲームのほとんどは、何らかのオンラインコンポーネントを含んでいる。それがマルチプレイヤーをサポートするゲームでないとしても、プレーヤーのアカウント、ゲームのパフォーマンスデータ、その他の情報を保存しておく場所を必要とするからだ。

Game Stackの中心的なコンポーネントとなるのがPlayFabだ。これはクラウドに接続するゲームを開発するためのバックエンドサービスで、これもAzureファミリーの一員に加えられた。Microsoftがこのサービスを買収したのは、去年の初めの頃のことだった。注目すべきは、それがメジャーなすべてのゲームプラットフォームをサポートしているということ。Xboxはもちろん、PlayStation、Nintendo Switch、さらにはiOS、Android、PC、そしてウェブまでを含む。

今日の発表に合わせて、Microsoftは、いくつかの新しいPlayFabのサービスを開始した。その中には、PlayFab Matchmakingも含まれている。これは、Xbox Liveのマッチメイキング機能を移植したもの。これにより、あらゆるデバイス用のゲーム開発で、すべてのデベロッパーが利用できるようになった。このサービスは、現在公開プレビュー中だが、プライベートプレビューとなっているものにも、以下のようなサービスがある。まずPlayFab Partyは、ボイスチャットにも対応したチャットサービスで、これもXbox Party Chatを元にしたもの。次にPlayFab Insightsは、リアルタイムのゲームのパフォーマンスを遠隔測定する。またPlayFab PubSubは、プレーヤーに対してゲームのアップデート、通知、その他の情報をプッシュする。そしてPlayFab User Generated Contentは、プレイヤー自身が作成したコンテンツを、他のユーザーと安全に共有できるようにする。これは、Minecraftマーケットプレイス用の技術を応用したものだ。

Game Stackは、単なるブランディングに過ぎないと感じられるかもしれない。しかし、AmazonGoogleに対抗するため、MicrosoftがPlayFabに多額の資金を注ぎ込んでいるのは明らかだ。それらのライバルも、最近、ゲームのデベロッパーをかなり重視する姿勢を示している。

以上の発表に加えて、Microsoftは今日、さらにXbox Live用のSDKを、iOSとAndroidデバイス向けに提供することも明らかにした。それにより、デベロッパーはXbox Liveのアカウントやコミュニティサービスを、これらのプラットフォーム上のゲームに組み込むことも可能となった。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

巨大ハイテク企業の分割は最後の手段であるべきだ。欧州連合(EU)競争政策担当委員Margrethe Vestager(マグレーテ・ベステアー)氏はそのように提言した。

「企業を分割して私有財産を分割すれば、その影響は広範囲に及ぶため、市場の消費者に大きな恩恵を与える確固たる言い分が必要です。王道のやり方では実現できないものでなければいけません」と、彼女は先週末、SXSWで行われた、RecodeのKara Swisher(カーラス・ウィッシャー)氏とのインタビューで警告を発した。「対象となるのは私有財産です。その企業は、彼らのイノベーションを基に築かれ、投資を受け、成功しているのです」

ベステアー氏は、2014年に欧州委員会で独占禁止法問題を担当するようになってから、数々の大規模な(しばしば高額の罰金を科すなど)介入を行ってきたことから、さらに今でもGoogleに対して際だった捜査を大々的に続けていることから、巨大ハイテク企業が恐れる存在として高評価を得てきた。

しかし、欧米各国の市場の(米国大統領候補と噂される著名な人物を含む)野党政治家たちが、テクノロジーに厳しいとされるこの欧州委員会議員と対立する形になった。彼女は、市場を歪めている巨大ハイテク企業をハンマーで叩き潰すのではなく、データの流れにメスを入れるべきだと主張しているのだ。

「企業を分割するという非常に大胆な提案は、私たち欧州の観点からすれば最後の手段です」と彼女は言う。「今、私たちが取り組んでいるのは、独占禁止法に関わる問題です。独占的地位の乱用、製品の抱き合わせ販売、自己宣伝、他者の妨害などに対して、独占禁止法のアプローチが適切か、それが市場を、独占的地位を乱用する者がなく、小さな企業もフェアに競争できる公正な場所にするかどうかを見るためです。なぜなら、その小さな企業が次なる大物に成長し、消費者に素晴らしいアイデアをもたらす次なる大企業になるかも知れないからです」

彼女はまた、市場の不均衡を是正すると自身が信じる、公正さに焦点を当てた介入の実例として、欧州の主要政治機関の間で先月交わされた、オンラインプラットフォームの透明化に関する規制の合意を挙げた。

巨大ハイテク企業に関連する問題に規制当局が本来集中すべきは、デジタル産業の調査や、市場がどのように運営されているかを詳しく知るための聞き取りなどだと彼女は言う。慎重で入念な調査によって、合理的でデータに基づく捜査方法が形作られるという。

とは言うものの「Googleの分割」には、政治的な宣伝文句としてインパクトがある。

ベステアー氏が独占禁止法問題の担当責任者でいられる期間は間もなく終わる(欧州委員会での任期が今年で終了する)。11月1日でこの部門のトップではなくなると彼女は話している。だが、少なくとも暫定的に、欧州委員会委員長の候補者名簿に名前が残されている。

委員は以前、巨大デジタル企業をコントロールするのか分割するのかという議論の中で、データアクセスを制限するという興味深い選択肢を示している。

そしてすでに、欧州の一部の規制当局はそちらの方向に傾いている。ドイツ連邦カルテル庁(FCO)は先月、Facebookに対して同社のサービスでのデータの使用量を制限する決定を下したと発表した。FCOのこの動きは、FacebookにInstagramやWhatsAppなどの事業部門の分離や売却を強要することなく、データレベルで内部分割させるのと同じ効果があると言われてきた。

そのため、Facebookの創設者Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、つい先週、その3つのサービスを技術レベルで統合するという大規模な計画を発表したことには、さして驚かなかった。暗号化コンテンツへの切り替えを宣伝しているが、「プライバシー保護」のためにメタデータを統合するという。そこには、製品レベルでの内部のデータの流れを分離してコントロールしようとする規制当局の目論見に対抗するために、帝国を再構築しようという意図が透けて見える。

https://platform.twitter.com/widgets.js
大笑いだ。Facebookは、InstagramとWhatsAppとFacebookのすべてのデータを統合するが、暗号化するのはFacebookのメッセージのコンテンツデータだけ(メタデータは含まれない)。それをプライバシーを保護したパッケージとして販売する。宣伝の大傑作だ。メディアは騙される。

現時点で、競争政策担当委員会は、Facebookやその他のソーシャルメディアの公式な調査を発表していないが、当委員会は、ソーシャルメディアの巨人たちのデータの使い方に目を光らせていると、ベステアー氏は話していた。

「私たちは、ソーシャルメディア、つまりFacebookの上空に浮かんでいる感じです。そうした目的にデータをどう使うのか」と彼女は話す。同様に、Amazonの商品データの使い方についても予備調査を行っていると警告した(これもまだ公式な調査ではない)。

競争規制全般において、「論議が本当の意味で活発になってきたのは、よいことです」と彼女は言った。「以前、国会議員たちを訪ねて話をしたとき、競争によって社会はどのような恩恵を受けるのかといった、新しい興味や関心を感じました。なぜなら、公正な競争があれば、私たちは消費者としての役割を果たし、市民に奉仕する市場が作れるからです。市民が市場に奉仕するのではありません」。

Facebookが突然プライバシー「重視」に切り替わったことを、個人的に信用するかどうかを尋ねると、その発表が本当の意味での哲学と方向性の変化を示すものであり、Facebookのビジネス慣行を改善させるものであるなら、いいニュースだろうとベステアー氏は答えた。

しかし、今の時点ではザッカーバーグ氏の言葉を素直には受け取れないと彼女は言う。あれほどの長期間、プライバシーを軽視し続けた歴史を持つ企業が、誠実な方向に舵を切ったなどと信じられるかと強く迫るインタビュアーのウィッシャー氏に対して、彼女は「それを最良の事態だと思えるまでには、長い時間がかかります」と丁重に答えた。

巨大ハイテク企業に少ない税金

インタビューは、巨大ハイテク企業が税金をほんのわずかしか払っていない問題に及んだ。

デジタル産業が従来産業と比べて公平な税を負担できるように、グローバルな税制を再構築することが「急務」だとベステアー氏は話す。EU加盟国同士の合意が不十分であるため、他所から口を挟まれるような委員会の提案に抵抗して、一部の国は独自の基準を前面に出していることを彼女は強調した。

今年、フランスが巨大ハイテク企業に課した税額は「絶対に必要であるが残念だった」とベステアー氏は言っている。

「比較できるように計算すると、デジタル企業の平均税率は9パーセントであり、従来企業の平均税率が23パーセントであることがわかります」と彼女は言う。「しかし、どちらの企業も、資本、優秀な従業員、ときとして同じ消費者を巡って行われる競争で成り立つ同じ市場にいます。従って明らかに不公平です」。

委員が望むのは、現在の不公平な税負担を解消したい思うEU加盟各国からの「圧力」により、「欧州が一丸となった方針」に向けた力が生まれることだ。そのためには、国ごとに異なる税制を早急に改めなければならない。

彼女はまた、欧州は、経済協力開発機構(OECD)にも「そこを押してほしい」と強く願っていると言う。「なぜならOECDは、世界各地の関の高まりを感じているからです。米国側の動きにもです」

税制改革が、巨大ハイテク企業と社会の間の不公平を是正するのがいいのか、それとも規制当局は「次の世紀まで」巨大ハイテク企業に罰金を科し続けるのかとウィッシャー氏は疑問を呈した。

「違法行為があれば罰金を科します。事業を行う際には、税金を払って社会に貢献します。これらは別物であり、確実に、どちらも必要なのです」とベステアー氏は答えた。「しかし、大半の企業は社会貢献をしているのに、一部の企業だけしないというのは許されません。なぜなら、このようなことが続けば、市場での公正を欠き、市民にとっても不公平だからです」

彼女はまた、巨大ハイテク産業の族議員の優位性(プライバシー規制を声高に叫べば、ファンドのコンプライアンスが容易になるので巨大企業には有利になる)についても手短に語った。欧州の一般データ保護規制(GDPR)には「いくつもの区分」があるので、大企業も中小企業もひとくくりに同じ条件を突きつけるわけではないという。

もちろん中小企業は「Googleと同じ義務を負うことはありません」とベステアー氏は話す。

同意と謎めいた利用規約における消費者の権利問題への大きな不満を挙げながら、「そのほうが楽だと感じれば、彼もうまくやれるでしょう」と彼女は付け加えた。

「なぜなら、利用規約に同意したとき、いったい何に同意したのか、私もまだはっきりとわからないからです。『なるほど、私がこれにサインをすれば、私は完全に満足できる』と言える市民であればよかったと思います」

しかし、欧州のプライバシーの権利が意図したとおりに完全に機能するまでには、まだ長い道のりがあることを彼女は認めている。消費者個人が、法で与えられた権利を行使するのは、まだまだ非常に困難だ。

「私は、自分の個人データがあることを知っていますが、その所有権をどのように行使したらよいかはわかりません」と彼女は言う。「イノベーションのために、市場への新規参入企業を支援するために、自分のデータを多くの人に使って欲しいと思ったとき、どのように許可すればいいのか。もしそれが大規模に行えるようになれば、私たちは自分自身を完全に晒すことなく、有用なデータだけを市場にインプットできます」と彼女は話す。

データフローに課税するアイデアや、巨大ハイテク企業に歯止めをかけるその他の方法について尋ねると、自分の個人情報を法人が利用したときに、その人が価値を引き出せるようにする仲介市場がヨーロッパに生まれてきていると、ベステアー氏は話した。これは、データフローに文字通り課税するのではなく、自分から持ち去られた個人情報の価値の一部を、消費者が取り戻すという考え方だ。

「ヨーロッパではまだ誕生期ですが、自分の個人データの所有権が確立された今、いわば自分の情報を金銭に換えられる仲介市場が発展しつつあります。自分のデータを金銭に換えるのは、巨大ハイテク企業ではありません。自分のデータが渡される度合いに応じて、毎月まとまった料金が支払われるようになるかも知れません」と彼女は言う。「これもひとつの好機です」

また彼女は、「膨大な量のデータが市場参入を阻むことがないよう」にする方法を委員会は探っていると話した。つまり、新規参入企業のイノベーションのためのバリアだ。巨大ハイテク企業が蓄積した膨大なデータがAIの研究開発に大いに貢献していることを考えると、そのバリアは重要になる。

もうひとつ興味深い会話があった。ベステアー氏は、音声インターフェイスの利便性が競争上の難しい課題をもたらしたという。その技術は、多くの選択肢を与えない機関銃のようなQ&A形式の対話を用いることで、市場のパワーを自然に集められるからだ。

「本当に唖然とさせられてしまうものに、音声では選択肢がないということがあります」と彼女は言う。音声アシスタントの原動力となる部分は、ユーザーのあらゆる質問に対して、複数の提言をしないように作られているというのだ。「その状態で、音声検索は競争ができるでしょうか?これが市場をどう変えるのか、私たちはそのような市場とどう向き合えばいいのか。解明しなければならない問題です」

ここでも彼女は、選択肢を示さないインターフェイスを改善する有効な道筋として、規制当局は背後のデータの流れに注目していることを告げた。

「私たちは、データへのアクセス方法がどのように市場を変えるかを解明しようとしています」と彼女は言う。「データを抱え込んでいて、イノベーションのためのリソースも抱え込んでいる人が、他人にデータへのアクセスを許すでしょうか。だから、巨大企業にはノベーションが期待できないのです」。

今から10年後のテクノロジーの世界で考えられる最悪の事態とは何かと尋ねられると、彼女は「テクノロジーは揃っていても、社会的に有益な見通しや方向性がない」状態だと答えた。

反対に、議員として最善の未来は「課税と、データアクセスの規制に十分な措置をとり、公正な市場を築く意思を持つこと」だという。

「私たちはまた、テクノロジーの発展に貢献する新しいプレイヤーの登場を見守る必要があります」と彼女は強調した。「なぜなら私たちはこれからも、量子コンピューターで何が起きるのか、ブロックチェーンで何が起きるのかを見守り、それらの技術が実現したときに、みんなの役に立つ新しい利用法は何かを考えてゆく必要があるからです。そこにはたくさんの希望があると、私は思っています。ただし、私たちの民主主義がそれに方向性を与えた場合に限ります。そうして初めて、有益な結果が得られるのです」。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

エリザベス・ウォーレン上院議員がGoogle、Amazon、Facebookの分割を提案

大きな影響力を持ち、米大統領候補ともされているマサチューセッツ州選出のElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員は、AmazonGoogle、Facebookによる経済力の統合には以前から批判的だった。そして今、彼女はそれらの企業の分割を提案し、それを大統領選の柱のひとつにしようと考えている。

彼女は、民主党指名候補を決める大切な時期を狙って、この大手ハイテク企業の分割案を持ち出したように見える。Al Gore(アル・ゴア)氏が、あの有名な(悪名高い?)「インターネットを発明」したとき以来、民主党候補はハイテク企業への規制強化からは目をそらしてきた。むしろ、そうした企業から選挙戦への協力を得たいと考えている。

Googleとその元CEOであるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏からの献金は、オバマ大統領の選挙戦では大変に重要な存在であり、大手ハイテク企業は、最大の支援者に数えられていた。

しかし今、ウォーレン議員は、Google、Facebook、Amazonが市場に及ぼしている巨大な支配力は脅威であり、それなりに対処しなければならないと(Mediumにてはっきりと)発言している。

「25年前、FacebookもGoogleもAmazonも存在していなかった。今ではそれらは、世界で最も価値が高く有名な企業となっている。それは素晴らしい話だが、政府が独占企業を分割し、市場の競争を促進させなければならない理由も明らかにしている」

彼女が自らの主張を支える実例として持ち出すのは、マイクロソフトの分割だ。なぜか彼女はマイクロソフトを「当時の巨大ハイテク企業」と呼ぶ(今でもマイクロソフトは巨大企業だ)。彼女はそれを、政府がハイテク産業と直接対峙した最後の例として大切にしているのだろう。

「政府のマイクロソフトに対する独占禁止法の適用が、GoogleやFacebookのようなインターネット企業に道を拓く手助けとなった」とウォーレン議員は書いている。

だが今度は、マイクロソフト問題の余波から発展した企業が力を持ちすぎたと、彼女は主張する。

「彼らは競合他社をブルドーザーで排除し、私たちの個人情報で利益を得て、他の企業の活躍の場を歪めてしまった。その過程で、彼らはスモールビジネスを痛めつけ、イノベーションを封じ込めた」と彼女は書いた。

ウォーレン議員のアイデアの鍵となるのは、全世界での年間収益が250億ドル(約2兆7840億円)を超える企業を対象とした法律を通すことだ。それは、プラットフォームを「公共プラットフォーム」として、市場、取り引き、第三者に接続性を提供させ、それらの企業が自社プラットフォームの参加企業を所有することを禁ずるというものだ。

この網には、今のところAlphabetとAmazonも引っ掛かる(Facebookは無傷なのだろうか?)。この法案では、ユーザーに対する公平で差別のない使用基準が定められている。さらにプラットフォームは、ユーザーの個人情報を第三者に渡すことを制限している。

収益が250億ドルに満たない企業の場合は、公正な使用基準に従うよう求められる。

ウォーレン議員は、州検事総長と民間団体に、この要件に関する違反行為があったプラットフォームを訴える権利を与え、政府はこの新法に違反した企業には、年間収益の5パーセントの罰金を科せるようにしたい考えだ。

彼女はこうも指摘している。「Amazonマーケットプレイス、Google Ad Exchange、Google検索は、この法律の下では公共プラットフォームと見なされる。そのため、AmazonマーケットプレイスとAmazonベーシック、Google Ad Exchangeとそれを利用する企業は分離されなければならない。Google検索も切り離す必要がある」

彼女のアイデアにはパート2がある(こちらはもっと過激だ)。ウォーレン議員が反競争的と見なした買収を撤回させるとができる政府の監視機関を設けることだ。Amazonの場合、Whole FoodsとZapposを切り離さなければならなくなる。Alphabetの場合は、Googleが買収したWaze、Nest、DoubleClickを手放すことになる(YouTubeはいいのか?)。Facebookは、WhatsUpとInstagramを分割しなければならない。

「これらの合併の解消により、市場での健全な競争が促進される。それは、プライバシーを始めとするユーザーの不安にもっと気を配るよう、巨大ハイテク企業に圧力をかけることになる」と彼女は書いている。

ウォーレン議員の規制の提案は、ハイテク産業にとっては一大事だ。それは、市場を独占したことで生じた問題を、単なるリップサービス以上の行動で対処せよと、巨大ハイテク企業に警鐘を鳴らす意味もある。

さらに彼女はこう書いている。

私たちは、自分の個人情報がどのように収集され、公開され、売り渡されるかを自分で管理できる権限を人々に与えなければならない。それは、すでに私たちのデータを大量に保有している企業の、競争上の大幅な優位性を固定させない形で行う。

私たちは、アメリカのコンテンツ・クリエイター(地方新聞から全国誌、コメディアンからミュージシャン)を支援しなければならない。彼らのコンテンツが生み出す価値をさらに高めるのだ。GoogleやFacebookなどの企業にかすめ取られるのを黙って見ていてはいけない。

そして、ロシア(または他国の権力)がFacebookやその他のあらゆる形態のソーシャルメディアを利用して選挙に影響を与えることを許してはいけない。

どれひとつを取っても困難な問題だが、競争を促進させるための一歩一歩から得られる恩恵は、それぞれの重大な問題の改善を助ける力ともなる。競争相手が増えれば、消費者やコンテンツ・クリエイターの選択肢も増える。そして、Facebookなどの企業には、自身の事業における顕著な問題に対処するよう、さらなる圧力となる。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

Amazonが有力ボイスアプリの開発者に報酬を支払うプログラムをフランス、イタリア、スペインに拡大

Amazonは、有益で品質の高いボイスアプリを作成したAlexaの開発者に直接、現金で報酬を支払うプログラムを、ヨーロッパの新しいマーケット(フランスイタリアスペイン)に拡大している。Alexa Developer Rewardsプログラムはゲームのスキルを作成した開発者に対して2017年に米国でスタートし、その後、対象とするスキルのカテゴリーを広げてきた。また、ヨーロッパの有力マーケットであるドイツと英国、さらに日本とインドもすでに対象となっていた。

Alexa Developer Rewardsプログラムが、フランス、イタリア、スペインで開始されたことで、教育・レファレンス、フード・ドリンク、ゲーム・トリビア、子ども向け、ヘルス・フィットネス、ライフスタイル、音楽・オーディオ、仕事効率化といったカテゴリーの優れたスキルに報酬が支払われることになった。

このプログラム自体はAmazonがボイスアプリのエコシステムを作ろうとしている大きな戦略の一部で、開発者が自分のボイスアプリから継続的に収入を得られる時期がまだ到来していないことから実施されている。

Amazonは開発者に対し、スキル内購入ワンタイム購入物理的な商品の販売といったマネタイズの手段を提供しているが、Amazonからの直接的な支援なしにこれらの手段だけで開発者がボイスアプリから確実な収入を得ることは難しい。そして開発資金となる収入が得られなければ、開発者はAlexaスキルの開発をあきらめて、よそへ行ってしまうかもしれない。

これまでのところ、開発者のエコシステムに対して直接投資するというAmazonの方針はうまく機能している。

現在、AmazonのAlexaスキルのストアには、どの競合他社よりも多くの他社製ボイスアプリが登録されている。クリスマスシーズンにAlexa対応デバイスが大量に売れ、ボイスアプリの数は2月の時点で8万に上った。その成長ぶりはすさまじく、米国で利用できるAlexaスキルの数はこの1年で2倍以上になった

これまでに人気のAlexaスキルの多くは、広く使われているモバイルアプリを声で操作できるようにしたものだ。代表的なものとしては、音楽アプリ、話し言葉、瞑想アプリ、クイズ、ゲーム、ワークアウトアプリなどのオーディオベースのアプリがある。

しかしAlexaが成長し続けていくためには、米国以外でスマートスピーカー人気が高まりつつある重要なマーケット向けにローカライズされたボイスアプリを提供することが重要だ。その点ではGoogleに利があるかもしれない。Googleアシスタントは高度な言語機能を備えていて、英語以外の多くの言語に対応しているだけでなく、多言語対応通訳サポートなどの機能もある。

Amazonは、2017年にAlexa Developer Rewardsプログラムを開始して以来、20カ国以上の開発者に対して「多額の」報酬を支払ったとしている。開発者は報酬を受け取るために登録をする必要はなく、アプリが条件を満たせばAmazonから開発者宛にメールが届くことになっている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Googleの新音声認識はオフライン化されて高速に、Pixelで利用可能

音声認識は最近のスマートフォンの標準的機能だ。人工知能を利用した分析は驚くほど正確なこともあればひどい混乱に陥ることもある。しかし最大の問題は、Siri、Alexa、Googleアシスタントなどが返事を返してくるのが遅れることだ。Googleの最新の音声認識は完全にオフラインで動作するため遅延を完全に排除できる。ただし認識失敗はやはりときおり起きる。

遅延がなぜ起きるのかといえば、ユーザーの音声データはローカルデバイスからネットワークを通じてはるばる音声認識エンジンが存在するサーバーまで旅しなければならないからだ。データはそこで分析されてからユーザーに戻される。当然ながらこれには時間がかかる。応答を待つ時間はミリ秒単位ですむ場合もある。しかしまるまる数秒かかることあり、そうなればユーザーは苛立たしい思いをする。最悪の場合、経路の途中でデータの一部が行方不明になり、まるきり応答が返ってこないこともある。

それなら音声認識をローカルデバイス上で実行すればいいではないか?プロバイダーもそれが理想的な解決法だと考えている。しかし音声をミリ秒単位でテキストデータに変換する処理は膨大なコンピューティングパワーを食う。つまりマイクが拾うのは単なる「音」であって「発話」ではない。音声をテキスト化するためには言語と発話が行われたコンテキストに関する膨大な情報が必要だ。

もちろんローカルデバイス上で実行することはできる。しかしユーザーのデバイスの限られたリソースを考えるとクラウドに往復させるより速くはならなかった(しかもデバイスのバッテリーをひどく食う)。だがこれは急速に進歩を続けている分野であり、Googleはそれを可能にした。ただしPixelを持っている必要がある。

Googleの最新のテクノロジーについてはこちらの論文が詳しいが、簡単に要約すれば、Googleはこれまでの音声認識で蓄積された経験を生かして音声分析システムをスマートフォンで高速に作動するくらいいにコンパクト(正確には80MB)にまとめることに成功した。これによりユーザーはほとんd遅延を感じずに発話をテキスト化できるようになった。「their」と「there」などの同音異義表現も新しいシステムは発話終了を待たず、その場で判断できるという。

ただしテクノロジーには今のところ大きな制限がある。まずGoogleのPixelスマートフォン上のGboardアプリでしか作動しない。またサポートする言語は米英語に限られる。つまり実機によるベータテストに近い。Googleでは世界の各言語へのローカライゼーションの必要性を強調して次のように述べている。

ハードウェアコンポーネントの標準化とアルゴリズムの進歩という業界のトレンドを考えれば われわれが実現したテクノロジーが広く採用され、多くの言語、アプリが近くサポートされるようになるものと期待している。

しかし考えてみるとGoogleの他のアプリは大部分クラウド接続を必要とする。できた文書を共有したりメールで送信したりするのはもちろん、摂氏温度を華氏温度に換算するのでさえネットワーク接続が必要だ。接続状態が貧弱な場合オンラインでは音声認識が不可能な場合がある。またオフラインであればデータ伝送量を食わないですむ。こうした点は大進歩だ。

画像:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google系自動運転のWaymoが20兆円程度の評価額で外部資本導入か

Googleの持株会社Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転車を開発する企業Waymo(ウェイモ)が初めて、外部資本を調達するかもしれない。しかもそのとき望む評価額は、ジェネラルモーターズ傘下の自動運転車を開発するCruise(クルーズ)の150億(約1.67兆円)ドル近くの数倍以上だそうだ。米国時間3月11日のThe Informationが報じている

現在、TechCrunchの情報筋に確認しているが、Waymo自身はまだコメントの求めに応じていない。

Waymoは今年で創立10周年になるが、一貫してキャッシュ主体の企業だった。外部投資家からの資金調達は、CFOのRuth Porat氏が進めていると言われるが、同社の経費節減に貢献し、またAlphabetにとってはここ何年間かで初めての、Waymoの評価額を外部に示す機会になるだろう。しかしThe Informationの記事によると、Alphabetにはこの、かつて「Project Chauffeur」と呼ばれた企業の株式をそれほど多く外部に手渡す気はない。

Waymoは数年前に45億ドル(約5012億円)と評価されたことがあるが、しかしアナリストたちは今後の売上予測を根拠に、1750億ドル(約19.5兆円)よりも上と見ている。1000億ドルを超える評価額は、UberやTesla、GM、Fordなどを上回る。

現在時価総額が8170億ドルのGoogleならWaymoを支えられる。しかしこの検索エンジン企業は前にも、ほかならぬ自分自身が始めた突飛なアイデアの企業に自分の資本だけを投ずることをやめて、サードパーティの投資家を求めたことがある。それはGoogleが保有するライフサイエンスとエンジニアリングの企業Verily(バリリー)と、やはりGoogle Xから生まれた風力エネルギーの企業Makani(マカニ)で、それぞれその非公開株をSilver Lake(シルバー・レイク)とShell(シェル)に売った。

一方Cruiseは、2016年に5億8100万ドルでGMに買収されて以降、やはり外部資本を求めてきた。2018年半ばにはソフトバンク・ビジョン・ファンドがCruiseに22億5000万ドルを投資し、これによりソフトバンク・ビジョン・ファンドは、GMの自動運転車事業の20%を保有することになった。

Waymoは2016年にGoogleのプロジェクトから独立の企業になり、今ではCEO John Krafcik氏と上記Porat氏、そしてCTOのDmitri Dolgov氏らが経営にあたっている。同社は昨年、商用のロボタクシーサービス「Waymo One」を初めての営利事業としてフェニックス周辺で立ち上げてニュースにもなった。さらに最近Waymoは、電磁波ではなく光を使うレーダー(対象検知と距離検知)LiDARの同社独自製品を、自動運転車業界に限定されない一般向けに発売して、営利事業のレパートリーを広げた。

2030年のWaymoの売上は1140億ドルと予想されている

関連記事: WaymoのCTOが語る、会社の過去、現在、そして次に来るもの

[原文へ]

(翻訳:iwatani、(a.k.a. hiwa

Googleはセクハラ告発された幹部2名に計120億円近くの退職金を支払っていた

Googleは、セクシャル・ハラスメントで訴えられていたAndy Rubin(アンディー・ルービン)氏とAmit Singhai(アミット シングハル)氏に合計1.05億ドル(約117億円)を支払っていた。ウォールストリートジャーナルが最初に報じた。これは以前New York Times が報じたGoogleがルービン氏に9000万(10億円)ドル払ったという記事を裏付けるとともに、Googleがシングハル氏にも1500万ドルに払ったことも暴露している。シングハル氏はGoogleでセクシャル・ハラスメント疑惑について告知しなかったことが明らかになった後Uberを去った

裁判は株主であるJames Martin(ジェームズ・マーチン)氏が起こしたもので、取締役会がルービン氏に9000万ドルの退職金一式を「彼への餞別として与えることを認めた。もちろん、ルービン氏の「辞職」の真の理由(Google在職時の重大なセクシャル・ハラスメント)については言及されなかった」

訴状は、シングハル氏がどうやって「2016年に信憑性の高いセクシャル・ハラスメントの申立てを受けた後、静かにGoogleを去り、数百万ドルの退職金を受け取ることが許されたか」を説明している。

訴状は、Googleが提供した文書を挙げ、Googleがシングハル氏に4500万ドル支払うことに同意したが、競合会社に転職したため最終的に1500万ドルしか払われなかったことを暴いている。当初Googleはシングハル氏に年間1500万ドルの現金を12カ月、退社後24カ月支払うことにと同意した。さらにGoogleは、競合会社に転職しないことを条件に、退社後36カ月間に最大1500万ドルを追加で支払うことを提案した。

「Googleの取締役会がシングハル氏の退社理由を隠蔽したために、同氏は実入りのよい職に再度就くことができた」と訴状に書かれている。

シングハル氏は2016年2月にGoogleを辞める前、検索担当上級副社長だった。当時は自分の辞職理由を引退と説明していたが、引退は1年以下しか続かなかった。2017年1月、シングハル氏はUberに就職した。その1カ月後、当時UbeのCEOだった Travis Kalanick(トラビス・カラニック)氏はシングハル氏に対して、Googleでのセクシャル・ハラスメント問題を告知しなかったことが判明した後、退職を要求した。Bloomberg宛のメールでシングハル氏は、「ハラスメントはいかなる状況でも許されない。私はそのような行為を容赦せず、自ら起こしたことはないことをみんなにわかって欲しい。20年間の経歴の中で、このような申立を受けたことはなく、Googleを辞めた決断は私自身によるものだ」と書いた。

2018年11月、Googleは48人がセクシャル・ハラスメントを理由に退職したと発表した。うち13人はシニアマネージャー以上だった。当時Googleは、該当者で退職金を受け取ったものは一人もいないと言っていた。今日TechCrunchに届いた声明で、Google広報担当者は次のように語った。

誰であれGoogleで不適切な行動をしたものには深刻な結果がもたらされる。近年、当社は職場環境に数多くの変更を加え、権威ある地位にいる人々による不適切な行為に対する処置を一層厳しくしている」

訴状全文は以下で読むことができる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがAndroidデベロッパーにサブスクリプションに代わる新しい収益化方法を提供

Googleは米国時間3月6日、Android上のデベロッパーが自作のアプリから収益を得るための新たな方法を導入した。それはサブスクリプション(会員制、会費制)とは無関係な一種の報酬システムで、Googleはそれを「Rewarded Products」(報酬つきプロダクト)と呼んでいる。その最初のプロダクトは報酬つきビデオだが、ユーザーはアプリ内購入などのための代価として自分のお金を払うのではなく、自分の時間を犠牲にして広告を見る。するとそのビデオ入りゲーム等の作者には当然、広告収入が発生する。

この機能はデベロッパーにとって嬉しいかもしれないが、ユーザーはどう思うだろうか。それは、アプリの中でのビデオの使われ方次第だろう。

Googleが示している報酬つきプロダクトの例では(Googleとしてはベストプラクティスのつもりだろう)、ゲームのプレーヤーのレベルが上がるたびにビデオが割り込み、全画面を占領する。これは、それまで有料だったゲームを無料で遊べる方法なら歓迎されるかもしれないが、一般的にはどうだろうか。

これまでも報酬つきビデオは、ユーザーが無料のつもりで使い始めたアプリでは有効だった。たとえば無料でプレイできるゲームや、サブスクリプションが必須ではなくオプションであるサービスなどだ。

たとえば、Pandoraの音声のみの音楽ストリーミングサービスは長年、無料で広告入りだった。そして、Spotifyと競合するためにオンデマンドのストリーミングを導入したとき、独自の報酬つきビデオ(のようなもの)を始めた。今ではPandoraのリスナーは、月額のサブスクリプションを払うか、または広告入りのビデオを見ることによって、ワンセッションのオンデマンドミュージックにアクセスできる。

Androidのデベロッパーはこれまでも広告を収益源のひとつとして利用してきたが、今度の「広告を見たらごほうびがもらえる」(ゲームのレベルアップなど)ビデオなどはGoogle Playの正規のプロダクトだ。デベロッパーにとって実装が容易だし、Googleは、前からこんなビデオを提供していたサードパーティ製品と競合できる。

Googleによると、アプリに報酬つきプロダクトを加えるには、Google Play Billing Library(AIDL)のインタフェイスを使って少量のAPIを呼び出すだけだ。SDKは要らない。

一方この同じ時期にAppleは、サブスクリプションで成功を収めつつある。同社はサブスクリプションを前面に打ち出しているから、ときには消費者を惑わすようなアプリすらある。それでも今やサブスクリプションは、ゲームと並んで、アプリストアの売上の成長を支える重要な要素のひとつだ。

それでもAndroidのユーザーは、これまでずっと、iOSのユーザーと違い、アプリにお金を払うことを嫌ってきた。Appleのアプリストアの売上は、Google Playの倍近い。ダウンロードの回数はGoogle Playの方がずっと多いのに。

このように、AndroidのデベロッパーはiOSのようにサブスクリプションで大儲けできないから、アプリの開発はどうしても、iOSが優先されてしまうのだ。

そこで、報酬つきプロダクトは、広告以外の収益源が難しいプラットホームにおける新しい売上確保方法を、デベロッパーに提供しようとする。

最初にローンチした報酬つきビデオプロダクトは目下公開ベータで、デベロッパーはPlay Consoleの中で利用できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleは黒人/ラテンアメリカ人/先住アメリカ人社員の定着に苦戦

信じられないかもしれないが、Google における黒人およびラテンアメリカ人従業員の定着率は2018年の方が2017年よりもよかった。しかし、Googleの黒人・ラテンアメリカ人の減少率(年間に辞めた社員の割合)は未だに全国平均よりも高い。

先住アメリカ人従業員に関して、Googleの減少率は前年から著しく増加した。念のために言うとこれは悪くなったという意味だ。なお、どう解釈すべきかわからないがGoogleは白人従業員の定着率も決して芳しくない。

Googleはデータを加重指数で表しており、平均減少率を100としている。各グループが100に近いほど、Googleは平均に近い。あるグループの指数が90なら、定着率が平均より10%低いことを意味している。

「好ましい傾向もあるが、やるべき仕事はまだある」と、多様性受容・平等担当グローバルディレクターMelanie Parkerがブログに書いた。「特に、先住アメリカ人の減少率が悪化した。黒人およびラテンアメリカ人社員の数値は改善したが、まだ平均に達していない。これはいずれも当社が今年力を入れている領域だ」、

Googleは昨年初めて多様性報告書を公開し、年間何人の従業員が会社を去ったかを明らかにした。昨年のデータを見ると、Googleは黒人および褐色人種(brown)の維持に最も苦労した。実際、Googleでは黒人と褐色人種が全国平均以上の速さで退職した。

当時Googleの多様性担当VPだったDanielle BrownはTechCrunchに、黒人とラテンアメリカ人の減少率は「明らかに良くない」と言っている。

しかし、注目すべきなのは、女性がGoogleを辞める率は平均より低いことだった。そして2018年のデータは前年よりわずかに改善され、減少指数は94から90になった。しかし、最近のGoogleにおける騒動(ハラスメント、ストライキなど)の波を踏まえると、2019年の数値がどうなるのか予断を許さない。

Googleドキュメントの文法チェッカーがAIベースになり精度が向上

米国時間2月26日、Googleは、Google Docs(G Suiteユーザーのみ)に、機械学習を応用した新しい文法チェッカーを組み込んだことを発表した。同社は当社この新機能をCloud Next 2018で発表したが、それ以来限定公開状態が続いていた。

文法チェッカーは新しいものではなく、Docs自身にも以前からあった。何が新しいかといえば、文の明らかな間違いや微妙な問題を見つけ出すために機械翻訳技術を応用したことだ。書かれたものを辞書にある単語と比較して間違いに印をつけるも一つの仕事だが、地域や文体によっても異なる複雑な文法規則を理解することはまったく別の話だ。このようなチェックを決められた規則のみに則って行うのは非常に難しいが、同社の機械翻訳技術を使って見つけることが可能になった、と言っている。

「機械翻訳を使用することで、間違いを認識して修正を提案することができる」とG Suiteのプロダクトマネージャー、Vishnu Sivajiが今日の発表で説明した。「われわれは言語学者と密に協力して機械翻訳モデルのルールを解読し、それを元にユーザーの文書に対して自動的に提案するしくみをつくった。すべてAIの力を利用している」

つまりGoogleは、まず大量の正しい文を使ってモデルを訓練し、次に英語からフランス語に翻訳するときに使う同様のモデルを使って、誤りのある文を正しいものに修正している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがモバイルUIツールFlutterを刷新、アプリや機能のオンデマンド配信も可能に

米国時間2月26日、バルセロナで開催中のMWC 2019でGoogleはクロスプラットフォームのUIフレームワーク「Flutter」をバージョン1.2にアップデートした。

今回のアップデートでFlutterはAndroid App Bundleをサポートする。これはアプリや機能をオンデマンド配信するためのGoogleの最新テクノロジーだ。Androidアプリを効率的にパッケージできるだけでなく、ダウンロードせずにアプリを利用できるInstant Appも作成できる。

また新しいFlutterフレームワークにはデベロッパーがアプリ内課金によって収入を得ることを助ける仕組みなど多数のウェブベースのツールが用意されている。

昨年のMWCでFlutterのアルファ版が公開された後、Flutter 1.0がリリースされたのはわずか数カ月前だった。それならバージョン1.1はどうしたのだといぶかる読者もいるだろう。実は先月のベータリリースがそれだった。Flutterチームは毎月一度程度の割合で1.xアップデートをリリースする計画だという。

当然のことながらFlutterは今回のアップデートでパフォーマンス、信頼性とも改良されて通常の安定版になっている。また最新のDart 2.2 SDKがデフォルトでバンドルされる(FlutterアプリケーションはDart言語で書かれている)。開発チームはiOSのサポートにも力を入れておりフローティングカーソルでのテキスト編集にも対処しているという。

Flutterはモバイルに重点を置いたプロダクトだが、最近、Googleではこのフレームワークを使ったデスクトップアプリケーション開発の可能性に言及するようになった。準備の一環として、1.2ではキーボードイベントとマウスカーソルを乗せるイベントのサポートが追加された。Project HummingbirdはFlutterをWebに移植するためのプロジェクトだが、今後数カ月以内にテクニカルプレビューとして公開されるという。

開発ツールとして見た場合、GoogleはすでにAndroid StudioでFlutterをサポートしている。またMicrosoftのポピュラーなツール、Visual Studio Code向けのツールを追加している点も注目だ。また新しいWebベースのプログラミングツールであるDart DevToolsも開発中だ。これらのツールはローカルに実行され、ウィジェットインスペクタ、タイムラインビュー、ソースレベルのデバッガ、ロギングビューなどを含む。

現在、これらのツールは公式プレビュー版が公開されており、既存のVS Code、Android Studioの拡張機能やアドインとともにインストールできる。

今回のアップデートのリリースに加えて、FlutterチームはFlutter Createと呼ばれるコンテストを実施することを発表した。参加者はFlutterを使って「面白くてためになりビューティフルな何か」を作ることを求められる。Dartのコードのボリュームは5K以下でなければならない。賞品には1万ドル相当のiMac Proが含まれているが、メモリー128GBというスペックなので5Kのコードの処理に手間取る心配はないだろう。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FIDO2認証でAndroid上のアプリやサービスのパスワードレス化がさらに進む

今日(米国時間2/25)、GoogleとFIDO Allianceは Google Playを搭載したv7.0(Nougat)以降のAndroidがFIDO2準拠の認証を受けたと発表した。 これだけ聞くと何か退屈なニュースに思えるかもしれないが、そうではない。

これによってデベロッパーはユーザー認証にパスワードではなく、デバイスの指紋スキャナーやFIDO準拠のセキュリティー・キーを利用したアプリを開発できるようになる。

ログインの際いちいち長たらしいパスワードを入力するのが好きなユーザーはいない。しかもIT部門が社員に定期的なパスワードの変更を強制するようになってパスワードはますます厄介なものになってきた。

デベロッパーは、ウェブサービス、ネイティブ・アプリの双方でパスワードなしのログインを実装できる。 Chrome、Microsoft Edge、Firefoxの各ブラウザはすでにこの機能をフルにサポートしている。AppleのSafariもサポートしているが、プレビューのみだ。FIDO2は悪意あるサイトの認証を許可しないため、利便性に加えてセキュリティーを強化し、フィッシング防止にも効果が大きいという。

Googleのプロダクトマネージャー、Christiaan Brandはこう述べている。

Googleは長年、FIDO AllianceおよびW3Cと協力し、FIDO2プロトコルの標準化に努めてきた。FIDO2はパスワードを使わずにフィッシング攻撃からの保護をアプリケーションに提供するテクノロジーだ。今日のAndroidのFIDO2認証の発表は、このイニシアチブを前進させる大きな一歩となる。われわれのパートナー、デベロッパーにあらゆるAndroidデバイスでキーストア・システムにアクセスするための標準化された手段を提供する。これは既存のデバイスのアップデートでも、今後発表されるモデルにも有効であり、ユーザーに指紋スキャナーなどのバイオメトリクス・データによる認証手段を提供する。

Androidはーティブ・アプリに関してはすでにパスワードレスの認証をサポートしている。しかし今後はブラウザを通じてログインすることが必要なサービスにもパスワードレス認証が拡大されることになる。ユーザーがこの機能を設定し(かつウェブ・サービス側でもサポートすれば)、デバイスは指紋などあらゆるバイオメトリクス・データを暗号化して安全に保存する。第三者にはこのデータを読み取る方法はない。

FIDO Allianceによれば、この新しいメカニズムは最新のAndroidを搭載した10億台のスマートフォンで有効になり、パスワードレスのログインを可能にするという。ウェブであれネーティブ・アプリであれ、この機能を利用するにはまずデベロッパー側でコードをアップデートする必要がある。しかしこれは技術的に比較的簡単だという。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

アメリカでも麻疹大流行YouTubeは予防接種反対ビデオの広告収入をゼロ化へ

BuzzFeed Newsに指摘されたYouTubeは、予防接種反対派のビデオを同社の広告収入源にすることをやめる。また同社は新しい情報パネルを予防接種反対ビデオの前に置き、そこに“vaccine hesitancy”(予防接種躊躇)のWikipedia記事のリンクを置く。YouTubeが誤報と戦う努力〔日本語記事〕の一環である情報パネルは、すでに麻疹(はしか)やおたふくかぜ、風疹(ふうしん)のワクチンに関するものが、それらに言及する予防接種反対派ビデオの前に置かれている。

BuzzFeed Newsへの声明文でYouTubeはこう述べている:

“弊社には、どんなビデオなら広告が現れてもよいかに関する厳格なポリシーがある。予防接種反対のコンテンツを助長するビデオは、そのポリシーに違反している。弊社はこれらのポリシーを強力に執行しており、それらに違反するビデオを見つけたときには直ちに反応し広告を取り去っている”。

今週YouTubeのアドバタイザーズが広告を停止せざるをえなくなったのは、これが二度目である。前回はネスレやディズニーなど数社の大型アドバタイザーズが、広告を停止する、と発表した。それは、YouTube上のクリエイターMatt Watsonが、YouTubeのリコメンデーションのアルゴリズムが、彼が“ソフトコアの小児性愛グループ”と呼んでいる連中に悪用されていることを暴(あば)いたからだ。

BuzzFeed Newsは、予防接種の安全性に関する検索で最初に上位に出てくるのは病院などのまともなソースだが、YouTubeのUp Nextアルゴリズムがそれらの次に出してくるリコメンデーションは、予防接種反対のビデオであることが多い、と指摘している。広告はYouTubeの広告アルゴリズムが勝手に出しているものだが、それらのビデオの多くにも広告は表示される。YouTubeはBuzzFeed Newsに、Up Nextアルゴリズムを書き換えて、予防接種反対ビデオの拡散を防ぐ、と言っている。

アメリカなどの国で麻疹が大流行し、FacebookやGoogleなど、ソーシャルメディアをはじめとするテクノロジー企業は、誤報の拡散を防ぐための自分たちの役割を、真剣に引き受けざるをえなくなっている。

BuzzFeed Newsが取材したアドバタイザーズの中で、自分たちの広告が予防接種反対ビデオの前には出ないようにしたい、と答えた企業は、Nomad Health、Retail Me Not、Grammarly、Brilliant Earth、CWCBExpo、XTIVIA、そしてSolarWindsだった。VitacostはBuzzFeed Newsに、自分たちは児童搾取問題が知れ渡る前からすでに広告を取り去っていた、と述べた。

予防接種反対のチャネルから広告を取り去る企業に、VAXXED TV、LarryCook333、そしてiHealthTubeが加わった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google CloudのスピーチAPIが安くなりサポート言語も21に増えた

Googleが今日、Google Cloud上のSpeech-to-TextText-to-SpeechAPIをアップデートし、主にエンタープライズユーザーにとって関心があると思われるいくつかの新たな機能を導入するとともに、サポートする言語を拡大し、そして料金を下げた。〔正式名は、Cloud Speech-to-Text API、および、Cloud Text-to-Speech API。〕

力点はSpeech-to-Textの方に置かれているが、Text-to-Speechの方も31の新しいWaveNetと24の新しい標準音声が加わるなど、メジャーなアップデートであることに変わりはない。またサポートする言語は、以下の7つが増えた: デンマーク語、ポルトガル語、ロシア語、ポーランド語、スロバキア語、ウクライナ語、そしてノルウェーのブークモール。これらはまだベータだが、これでサポート言語は計21になる。

オーディオの再生をデバイスの特性に合わせて最適化する機能もある。ささいな改良かもしれないが、音声で対話的に応答するコールセンターや、ヘッドセットを使うアプリケーションではありがたいだろう。

Cloud Speech-to-Textの方は、デベロッパーが複数のチャネル上のユーザーをサポートしなければならない状況(電話会議など)向けに、使いやすさが向上した。そのために同社は昨年、マルチチャネルの音声認識をベータで導入、そして今回それが、一般供用となった。

また、ビデオや高性能電話用のプレミアムのAIモデルも昨年ベータでローンチし、主に短いクエリや音声コマンド用のスタンダードモデルよりも書き起こしエラーが少なくなる、と約束された。この高性能AIモデルもやはり今回、一般供用となった。

新しい機能だけでなく、今回のアップデートではSpeech-to-Textの料金が値下げされた。Googleのdata-logging programに参加しているユーザーなら、ビデオを書き起こしするためのスタンダードとプレミアムのモデルの利用料が33%安くなる。ただしこの事業に参加すると、ユーザーデータがGoogleのモデルの訓練のために使われる。そのデータにアクセスするのは特定の社員のみで、プロダクトの訓練や改良以外の目的には使わない、とGoogleは約束しているが、どんなに安く使えてもそんなのは気持ち悪い、と思うユーザーもいるだろう。

でも、通常のプレミアムビデオモデルは、データロギングに参加しなくても今度から25%安くなる。前と同じく、最初の60分はやはり無料だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、スマホ依存を防ぐ「Digital Wellbeing」機能の対応機種を拡大

ユーザーがスクリーンタイムを監視/管理するのを助けるGoogleの最新の取組み、Digital Wellbeingの対応機種が増えた。当初はPixelとAndroid Oneだけだったが、このたびAndroid Pie搭載のNokia 6とNokia 8のほかSamsung Galaxy S10も加わった。

Nokia端末が加わったことを最初に見つけたサイトはNokiaPowerUserで、XDA Developersがそれをブログで紹介した。 さらにXDAはDigital WellbeingがSamsung Galaxy S10のデバイス設定画面にもあることにも気づいた。これはPixelやAndroid One機以外では初のDigital Wellbeingインストール済み機種だ。

Digital Wellbeingとは、要するにAppleのスクリーンタイムのGoogle版で、消費者の端末依存への懸念に対処する取組みの重要な柱だ。

これはIT業界ではここ数ヶ月のホットな話題で、消費者の間でもスマートフォンとアプリの利用に関する不健康な行動への意識が高まっている。実際、モバイルアプリの開発に携わる人の中には、ユーザーを中毒させることのみを目的とした人間の精神の弱さにつけこむアプリの開発に加担していたと告白する者もいる。

元Google幹部のTristan Harrisは、この問題に特化した大きな運動を開始した。さらに彼はCenter for Humane Technologyを設立して、ユーザーが自分の使うテクノロジーの制御を取り戻すための新しいデザイン原理を採用することを推奨している。

一方、いくつかの企業は既存のテクノロジーに関わるわれわれの行動を制御するための機能を出してきている。

たとえば昨年Facebookは ニュースフィードの動作原理を変更し、健康のためにサイトで費やす時間を減らすようにした。またFacebook傘下のInstagramは「有益に過ごした時間」機能として、無限にスクロールさせる代わりにユーザーに「コンテンツは以上です」と通知するようにした。YouTubeはユーザーが一休みするためのリマインダーを提供している。

そしてAppleのスクリーンタイムやGoogleのDigital Wellbeingのように、OSレベルで汎用的に制御・管理するためのしくみも作られている。

具体的には、 Digital Wellbeingはさまざまな方法でユーザーの端末中毒を追跡する。何回スマホをチェックしたか、通知を何通受けたか、アプリの使用頻度はどのくらいかなどがわかるほか、利用時間の上限や「Wind Downモード」、「おやすみモード」などを設定できる。

2018年のGoogle I/Oで発表されたこの機能は、Android Pieの一部として、昨年Pixelデバイスでデビューした。その後昨秋になってAndroid One端末にも導入された。

Digital Wellbeingアプリのリリースノートには、2月19日にベータテストを終えたと書かれていたが、Pixel以外、Android One以外の端末で使えるようになるかどうかには触れていなかった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook