Bitcoin価格、4日間で21%のアップ―過去21ヶ月の高値を付ける

2016-05-31-bitcoin

今日(米国時間5/30)、ビットコインが再びポジティブな話題として戻ってきた。すでにすたれたという噂は明らかに早計だったようだ。ビットコインはBitfinexで現在547.40ドルで取引されている。このマーケットは米ドルとビットコインの交換を行う場所としてBitcoinityに次いで2位を占めている。この価格はこの4日間で21.4%の大幅な上げだ。

この価格は過去21ヶ月での高値でもある。意外なことに、今回の急騰以前の2ヶ月、ビットコイン価格は比較的安定していた。

今回の値上がりの原因を探るのは困難だ。ただ最近、HuobiOKCoinという中国で最大クラスの取引所の登録者が急増し、ビットコインの買い注文が大量に入っている。

最近、中国ではビットコイン価格がマクロ経済の状況に連動する傾向が強まっている。ビットコインへの殺到は、中国が依然デフレを恐れていることを示唆する。

多くの中国人はビットコインを有力な財産の保全手段と考えている。同様に、中国政府当局はピア・ツー・ピアの資金貸付サービスへの取り締まりを強化し、資金の出し手をビットコインコインへの投資に誘導しようとしている。

中国以外でもビットコインの先行きについて明るい情報が入っている。2015年末に、ビットコイン企業の多くがBitcoin_ClassicなどによりBitcoin Coreをフォークさせることで取引量を拡大することに積極的な姿勢を見せるようになった。これはオリジナルのBitcoin Coreプロジェクトにとって大きな挑戦となるかもしれない。

この数ヶ月のうちに、、ビットコインとそのブロックチェーンをさらに堅牢かつ将来性の高いものにするためBitcoin Coreは何度もアップデートされるはずだ。私はlightning networksに大きな期待をかけている。このネットワークはビットコインによる送金を秒の単位に高速化する。このことはビットコインを現行の送金手段を代替する存在に押し上げるものだ。

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画像: Antana/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

〔日本版〕Bitcoin Core(以前のBitcoin-QT)は過去の取引を完全に記録したブロックチェーンで、65GB以上のサイズがあるとされる。最初のダウンロードには長時間かかり、十分な帯域幅を必要とする。なおテクノロジーの名称としては大文字のBitcoin、通貨単位としては小文字のbitcoinが用いられる慣行があるが統一性のある規則ではない。英文では見出単語、文頭の単語は表現スタイルとして自動的に大文字になることがある。Wall Street Journal、OED等は「常に小文字を使う」よう提唱しているという。この記事本文の訳文ではBitcoin Coreのような固有名詞を除いて暫定的に「ビットコイン」とカタカナ表記している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Front、Eメールの新境地を開拓するために1000万ドルを調達

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現在のEメールは破綻していると言っても差し支えないだろう。しかし、新しいEメールの発明とまではいかなくとも、もう少しマシなものにしたいと考えている Frontという名前のスタートアップがある。Frontは、企業向けにサポートや求人、問い合わせの代表アドレスに届くEメールに、複数人体制で対応可能なEメールサービスの提供を目的に設立された企業だが、Social Capitalをリード投資家として、シリーズAラウンドで1000万ドルの資金を獲得した。

このラウンドには、Stewart Butterfield(Slack)、Eoghan McCabe(Intercom)、Ilya Fushman、Pierre Valadeといったエンジェル投資家も参加している。Social CapitalのMamoon Hamidは、これまでにYammer、Slack、Box、Intercomと提携している。Frontが今回の資金調達でこのファンドに決めたのはそこに理由がある。

現在Frontのサービスを利用している企業は、LVMH、Mailchimp、Hubspotなど1000社を超える。また、同社は最近大規模アップデートを行い、Frontを利用した共同作業がより簡単になる多くの新機能を追加した。特に重要なのは、Frontが単に受信箱を共有する以上のことに挑戦した点だ。たとえば、多忙な各社のCEOは、Eメール対応を同僚に委任することができるようになった。あるいは、休暇中の1週間だけ、誰かに受信箱へのアクセス権を付与することもできる。

受信箱の共有は、Frontにとって最初の一歩にすぎないが、人々に同社に親しんでもらうという意味では良い一歩だった。しかし、Frontはさらに先に進もうとしている。全てがうまくいけば、たくさんのEメールに対処する必要のある人は誰でもFrontを利用したいと思うようになるだろう。

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Eメールの技術革新が止まって何年も経つ。Eメールに関して言えば、おそらく最後の有意義なイノベーションはGmailの登場だろう。スレッドやタグ、スター、アーカイブなどにより、多くの人がEメールを管理する方法が変わった。

しかし、ほかの多くのことについては一向に代わり映えがしない。未だに一連のEメールを転送すると、同じスレッドで異なる相手との複数の会話を管理する羽目になる。誰かを追加する必要がある場合、Eメールのチェーン化は厄介なものになりうる。また、Eメールのプロトコルもずっと変化していない。

それでも、私が知る限り誰もが今でもEメールを使用している。Eメールは無くならないし、滅びる運命にもない。しかし、誰かが修正する必要がある。

Frontは、Eメールを複数人で扱うものに変え、通知やメンション、そして現代のコミュニケーションの標準機能(絵文字、タイプ中の表示など)によって受信トレイにソーシャルレイヤーを追加してきた。Frontは、他にも多くのサードパーティのサービスを統合している。

Eメールの再開発というのは、生半可な作業ではない。Frontにそれが可能なのかもわからない。一般に広まっているEメールに関して、劇的な変更を強制するには同社の規模が小さすぎるということは明らかだ。しかし、彼らなら止まってしまった時計の針を進められるかもしれない。

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(翻訳:Nakabayashi)

Facebook LiveとTwitter Periscopeに必要なのは「待合室」だ

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ライブストリームの始まりは退屈だ。なぜならホストは多くの人々が見に来るまで本題に入らないからだ。それには数分かかることもある。たとえプッシュ通知やツイートやニュースフィードですばやく告知されていても。

しかしその頃までに当初の視聴者は離れてしまうかもしれないし、録画による再放映では視聴者を引きつけることができない。Facebook Liveビデオは最初の数秒間をニュースフィードで自動再生するるが、出演者が「もうちょっと視聴者が増えるのを待ってるところです」などと言うのを見たい人などいない。

だからFacebookとTwitterは、他のマスメディアを参考にして、ライブストリームがスタートする前から視聴者の興味を引き、彼らを集める方法を考えるべきだ。

Pre-broadcast screens from Facebook Live and Periscope (from left)

Pre-broadcast screens from Facebook Live and Periscope (from left)

映画は、何ヵ月も、時には何年も前からマーケティングを始める。プロモーションキャンペーンがピークを迎えるのは、上映の始まる数週間前だ。封切り日に大成功を収めて、これが時代を象徴する瞬間であることを、他の人々に信じ込ませる必要がある。映画の上映そのものでさえ、開始予定時刻に始まるのは予告編である。映画会社は、観客全員が席に着き期待に胸躍らせていて欲しいと考えている。

コンサートには前座がある。スポーツの試合にはプレゲームショウがある。そしてIT業界では、AppleやGoogleの大きな発表イベントでCEOがステージに登るずっと前から、ストリームを掲載する。

モバイルのライブストリーミングアプリには、待合室が必要だ。

Facebook Live broadcast

Facebook LiveやPeriscopeの放送がすぐに始めないやり方を想像してほしい。ストリームのリンクを他のソーシャルメディアに投稿するのは、カメラが回り始めてからでは面倒あるいは不可能だ。開始予想時刻を設定するか、準備ができても放送開始を待つこともできる。はるか前からストリーミングをスケジュールしておくこともできるが、プラットフォームや見るの待っている人たちは、発信者が寝入ってしまうのを心配するかもしれない。

Facebook Live reactionsストリーミングが始まる前にリンクをクリックした人たちは、待合室に入れられる。そこには、予定開始時刻のカウントダウン、あるいは、じっくり待つようにというメッセージが掲示されている。ストリーミングが実際に始まったら通知を受けるようにして、始まるまで何か他のことしてもよい。ストリームを他の場所で共有してバイラルにする手段も用意される。

待っている間も視聴者が楽しみ続けられるように、FacebookやPeriscopeは、作者の過去のビデオや投稿や、関連のありそうなコンテンツを流すこともできる。視聴者同士でチャットしたり、事前にコメントや質問を送って、主催者がストリーミングを始めるまでにフィードバックや問い合わせを受けることもできる。これは、RedditのAsk Me Anythingの視聴者が、開始前に質問を投稿するのと似ている。

ストリームが始まると、出演者はすぐに本題に入れる。なぜなら視聴者はすでにいるから。これによって、フィードでライブストリームや再放送に遭遇した人が見る最初の数秒間は迫力が増すだろう。

既にFacebookは、長いライブストリームの再放映が退屈だという問題に対処するために、エンゲージメント・グラフ・タイムライン を表示することで、視聴者がビデオで最も人気の高い部分にジャンプできるようにしている。

しかし、クリエーターが事前にファンや友達を集められるようにすることで、ビデオ自身が早く盛り上がり、リアルタイムのフィードバックが増えて、緊急性やライブ感が高まる。待合室によって、有名人はストリーミングに時間を費やす価値があることを理解し、アマチュアは自分の発信するものを欲しがる人がいることを確信できる。予測不能なモバイルライブストリーミングという方式の可能性を最大にするために、FacebookとTwitterは、出演者がもう少し計画的になるよう仕向ける必要があるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

『グレムリン』『インナースペース』のジョー・ダンテ監督、CGの功罪について語る

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映画監督のジョー・ダンテは、1980年代に『グレムリン』『エクスプローラーズ』等の人気映画を作った人物であり、私は最近の映画の進化について彼がどう思っているかを是非とも聞きたかった。先週末、ダンテは、映画祭、Mammoth Lakes Film Festivalで、Sierra Spirit Awardの最初の受賞者になった。

映画祭の責任者、Shira Dubrovnerはダンテの選出理由について、彼の一貫した独立精神だと語った ― 彼のキャリアはインディーの世界に始まり、ハリウッドの大作を作った時でも、「彼自身の声と、感覚と、スタイル」を持っていた。

Dubrovnerは、ダンテの『インナースペース』(授賞式のプレゼンでも上映される予定)のエフェクトが過去30年以上変わらず持続していることも称賛した。そこで、ダンテにインタビューする機会を得た私は、それを最初の話題にした。

「たしかに、あのエフェクトが今も見るに耐えていることを誇りに感じている」と彼は言った。「今日では、同じ物を完全にコンピュータ生成された材料で撮影している」当時、エフェクトハウスのILM(Industrial Light and Magic)は、人体内部のミニチュア模型を作った ― ダンテはそこに使われた「長さ1マイル近いプレキシグラス」について回想していた。

あの種のエフェクトの日々は、ほぼ過去のものになったようだ。CGが取って代わったからだ。ダンテはCGについて「すばらしい」けれども欠点があると言う。「今われわれは、何もかもが偽物だと思うようになっている」。例えば、本物の人間が驚くようなスタントを演じても、観衆は「CGでしょ」と言うかもしれない。

一方で彼は、『マッドマックス 怒りのデスロード』と『スターウォーズ フォース フォースの覚醒』に言及し、CGと素朴でアニマトロニックなエフェクトとを効果的に組み合わせた映画だと評した。ダンテは、業界が物理的フィルムから離れる傾向についても同様の意見を述べた。「私はフィルムが大好きだ。私はフィルムに育てられた」と彼は言う。これは、デジタル撮影に反対だという意味ではないが、彼の考えによれば、「フィルムは今も最高の記録メディア。…私がイヤなのは、『よし、クラウドに放り込んでおけばいつでも使える』という発想だ」。

現在の映画は、1980年代のポップカルチャーから出た物事で頭がいっぱいだ ― 『グレムリン』リブートの噂さえある。ダンテはこれを「シンプルな世界観へのノスタルジア」と見ている。実際のところ、1980年代はおそらく、それが起きている時にはそうシンプルではなかった。ダンテは、当時は1950年代に対して同じような回顧をしていたと言う。「80年代は、新しい50年代」というわけだ。ダンテは旧作で最も名を知られているかもしれないが、今も映画やテレビの監督を続けている(Showtimeのアンソロジーシリーズ Maters of Horrorの2回分も)。

私は、彼の映画キャリアーの中で、監督の仕事がどう変わってきたかを尋ねた。ダンテは、「劇場映画よりテレビの監督をする人が多くなっている。なぜなら映画は数が少ないから…仕事はテレビの方が見つかるこの方が多い」。それでも彼は、「仕事はそんなに変っていないと思う」と言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コードで定義された“ほぼ”自律的で民主化されたベンチャーファンド、The DAOが1.3億ドルを集めて始動

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ブロックチェーンと仮想通貨という議論が多い分野で、巨額の資金と注目を集めて新しい実験が始まった。その名をThe DAOという。ドイツのスタートアップSlock.itが始めたこの取り組みは、プログラムコードで定義された“ほぼ”非集権的で自律的で民主的なベンチャーファンドとしての活動を開始しようとしている(どこが“ほぼ”かは後述する)。2016年5月28日までにTHe DAOは1億3232万ドル相当の資金を集めた。これはクラウドファンディングのプロジェクトとして現時点での史上最高額となる(Wikipediaによる)。

The DAOについてはUS版TechCrunchの記事(日本版では未訳)も出ているが、ここでは最新情報も入れて、日本の読者向けに最初から説明することにする。

DAOはコードで定義された非集権で自律型の組織

今回取り上げる「The DAO」の前に、定冠詞TheがつかないDAO(Decentralized Autonomous Organization)の話をしておきたい。これは、その略語から分かるように非集権で自律型の組織といった意味の造語だ。「ビットコインのエコシステムは最初のDAOである」という「ものの言い方」もある。例えばビットコインのエコシステムは、「マイニングによるビットコインネットワークの維持と、それに対する報酬(マイニングで得られるビットコイン)の受け取り」という仕組みで回っている。人間の経営者、管理者や明文化されたルールがなくても、ビットコインのプログラムコードに内在する決まり事と、そして人間を動かすための経済的インセンティブによって事業が進んでいる。このような事業の自律化、非集権化の枠組みを指す言葉がDAOだ。最近の文脈では、主にブロックチェーン技術Ethereumのスマートコントラクトを活用したDAOに関する議論が中心だ。

今回の記事で取り上げるのは定冠詞が付く “The DAO” は、定冠詞が付かないDAOとは違い、ドイツのスタートアップ企業Slock.itが作り上げた非集権的で“ほぼ”自律的に機能するベンチャーファンドを指す言葉だ。“ほぼ”が付くのは、後述するように人間のスタッフであるキュレーターが一部の管理を担うからだ。

The DAOの開発元であるSlock.itのもともとの事業は、Ethereumで制御するスマートロックによりシェアリングエコノミーを実現するというものだ。この事業は、今ではThe DAOの「プロポーザル」の一つだ。

Slock.itは、自社の事業資金を直接クラウドファンディングで集めることもできたが、そうではなくThe DAOを開発した。ベンチャーファンドを立ち上げて、そのベンチャーファンドの投資対象として自社の事業を提案する形をとった。風呂敷が大きい方が、より大きな資金を集めることに結びつくと考えたのかもしれない。

Slock.itが書いたThe DAOのコード “Standard DAO Framework” はGitHub上でLGPLライセンスにより公開されている。つまりオープンソースソフトウェアである。このコードを参考に新しいDAOのコードを書いて提案する可能性が誰にでも開かれている。ここは素晴らしい構想だと思う。

投資案件の提案が続々と集まる

記事執筆時点で “Under development” の段階のプロポーザルが13種類あった。その中でもっとも賛成意見が多いプロポーザルは、オライリーの書籍 Mastering Bitcoin の著者Andreas Antonopoulos氏が提案した “Decentralized Arbitration and Mediation Network” だ。最も反対意見が多いプロポーザルは、皮肉なことにThe DAO開発元であるSlock.it自身が提案した “Slock.it Universal Sharing Network / Ethereum Computer proposal v0.1” である。

この記事を書いている間にも、新しいプロポーザルがどんどんプロポーザルパイプラインに登録されつつある(ここを参照)。これは面白い見物だ。アイデア投票のソーシャルサービスのようでもあるが、過去のサービスとの大きな違いは総額1.3億ドル相当の資金をどのプロポーザルがどれだけ獲得するかという競争の要素があることだ。

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仮想通貨のテクノロジーでベンチャーファンドを小口化、証券化

The DAOの仕組みを説明するために、少しだけ「株式会社」の話をさせてほしい。株式会社は、事業を遂行する会社の資本金、リスクとリターン、ガバナンスを「株式」の形で証券化し、多くの人々に分割する仕組みだった。株主はマネーを払い込んで株式を受け取り、会社のガバナンスに関与する権利を得る。株式を売却してキャピタルゲインを得ることもでき、株式を持ち続けて配当を受け取ることもできる。そしてベンチャーファンドは複数のスタートアップの株式に分散投資するものだ。

株式会社が成立する根拠は、法と契約、つまり自然言語で書かれた人間のためのルールだ。一方、The DAOが成立する根拠は、Ethereumのブロックチェーン上で自動執行される改ざんできないプログラムコード──スマートコントラクトである。

The DAOは、Ethereumのスマートコントラクトで記述した「DAOトークン」としてマネー、リスク、リターン、ガバナンスを小口に分割した。ビットコインは採掘にコストがかかり発行量が限られるという点でよく「金貨」に例えられるが、DAOトークンは複数のスタートアップ企業に分散投資するベンチャーファンドを小口化した証券に例えることができるだろう。

この2016年4月30日から5月28日まで続いた「DAOクリエーション」と呼ぶプロセスにより、多くの人々がEthereumの仮想通貨Ether(ETH、関連記事)建てでマネーを振り込み、引き替えにDAOトークンが発行されている(私も参加してみた)。集めた金額はEther建てで1207万ETH、米ドルに換算すると1億3232万ドル(5月28日時点)となる。発行されたDAOトークンの総数は11億7278万となる。

DAOトークンホルダーは、投資案件の投票に参加する

誰もがDAOトークンホルダーになり、DAOの推進するプロジェクトに投票し、投資し、リターンを受け取ることができる。

DAOトークンホルダーは、新たなThe DAOに寄せられたプロジェクトの提案(プロポーザル)への投票権をもつ。投票により認められたプロジェクトには資金が集まり、そのリターンの一部はDAOトークン所有者に配分される。株式会社との大きな違いは、一連のプロセスに対する人間の関与を最小限に留めていることだ。The DAOではキュレーターと呼ばれる人々がプロポーザルの管理に関与する。キュレーターの役割は「DAOトークンの51%を買い占めて100%のトークンを引き出す攻撃を防ぐため」と説明されている。Ethereumの提唱者であるVitalik Buterinを筆頭に、Ethereum Foundationのメンバーらがキュレーターに名を連ねている。人間が関与することから、The DAOは“ほぼ”自律的なDAOだといえる。

日本からもいち早くDAOトークンを扱う取引所が

DAOトークンは、仮想通貨取引所で売買することができる。日本で活動している取引所としては、ビットコイン取引所のKrakenがDAOトークンの取引を開始し、そしてレジュプレスが運営するビットコイン取引所/販売所coincheckもDAOトークン売買ができるようにした(発表文)。DAOトークンの売買ができるようになった5月28日18:00(日本時間)から数時間で取引や売買の機能追加を施したスピード感はすばらしい。

記事を書くにあたり、手持ちのDAOトークンをそれぞれの取引所に送ってみた。使い勝手は仮想通貨Etherの送金とだいたい同じだ。Ethereumアドレスを指定して送金すると、10分間ほどで確認の手続きが終わる。ビットコインの送金では6回の確認を待つのに約1時間か要するが、それよりずっと短い時間で送金が終了する。

The DAOは不完全かもしれないが、ガバナンスに参加することは可能だ

前述したように、ビットコインが仮想通貨版の「金貨」だとすれば、DAOトークンはベンチャーファンドを小口化したものだ。値上がりを期待してホールドしてもよく、売却してお金に換えてもいい。これから名乗りを上げる「プロポーザル」への投票権を得ることができ、利益が上がるなら配当に預かることもできる。DAOトークンホルダーはプロポーザルへの投票により、The DAOのガバナンスに参加することができる。

The DAOは、見方によっては、新興の投資ファンドが、仮想通貨による資金調達により、IPOもM&Aもなしに1億3232万ドルを手にした事例といえる。ガバナンスという観点では、The DAOの運営はDAOトークンホルダーの総意を反映した民主的な枠組みに基づく(ここが素晴らしいと思う人もいれば、不安を覚える人もいるだろう)。The DAOが今後も成長を続けていくならば、ひょっとするとスタートアップやベンチャーキャピタルのエコシステムが様変わりするかもしれない。

The DAOのコードはオープンソースとして開示されてはいる。だが、The DAOの仕掛けになんらかの欠陥──例えば法的な不備や、キュレーターを含むプロセス上の不備など──があるのかないのか、ここは議論の余地があるし、部外者からはなかなか分からない部分だ。The DAOが自分の資金を託すに足りる相手なのかどうかという判断材料は、株式や投資信託のような慣れ親しんだ投資商品に比べると乏しい。新しい試みなので過去の実績から判断する訳にもいかない。

将来へのヒントとなりそうな話もある。The DAOへのプロポーザルの一覧には、セキュリティやガバナンスに関する提案がある。The DAOはベンチャーファンドである以前に、DAOトークンホルダーの合意形成およびThe DAO自身の完成度を高めるためのソフトウェア開発のための機関であることを求められているのかもしれない。

いろいろな議論はあるが、コードを根拠に1カ月で1.3億ドルを集めた頭がいい人々がいて、そこにアイデア(プロポーザル)を提案する人々も現れている。この連中が次に何をやらかしてくれるのか気になる。The DAOの運営が今後の仮想通貨やブロックチェーンの動向に大きな影響を与える可能性もある。注目しつつ見守りたい。

最後に大事な話を。今回の記事はDAOトークンへの投資を薦めるものではない。本文を読めばお分かりのように、非開示のリスクが存在する可能性もあるし、投資案件の情報もまだまだ不十分だ。現時点でのDAOトークンは、The DAOのビジョンに賛同し、投票によりガバナンスに参加したいと考える人にとって価値があるものだと考えている。

オンデマンドで獣医を派遣するペットのためのTreat

ペットの様子がおかしくなって、どうすれば良いのかわからなくなったことはおありだろうか。Googleで検索してみても異なる対処方法が出てくるばかりだし、獣医の予約を取るのにも時間がかかってしまう。そういう事態に対処しようとするのが、iOSアプリケーションとして登場してきたTreatだ。アプリケーションを経由して獣医師とチャットしたり、あるいは訪問を依頼したりすることができるのだ。さらにこのアプリケーションを使って、ペット関連製品を購入したり、あるいはトレーニングやグルーミングの依頼をすることもできる。

つまりTreatはペット医療系のコンシェルジュとして機能するわけだ。

まずはサンフランシスコおよびオークランドを対象にサービスを開始することとなった。下に4匹の子猫について相談する様子をFacebookのライブストリームで流したものを掲載しておこう。

サービスを開始したばかりではあるが、SlackのApril Underwoodや、ペットケア分野で戦略投資を行う人物からの資金を獲得している。iOSアプリケーションを使えば午前8時から深夜まで獣医師に無料で相談できる。また獣医師に訪問してもらう場合の費用は99ドルとなっている。また30分のトレーニングセッションを行う場合は59ドルで爪の手入れが29ドルだ。

Treat Chat

Treat Vet ChatTreatはペットオーナーの悩み全般を解決することも目的としている。関連市場は、餌市場をあわせて600億ドルとなる。Treatがチャットを通じての結びつきを築くことができれば、食べ物からコスメ、健康関連まで、さまざまな面でのワンストップサービスを提供することができるようになる。

サービスのアイデアは共同ファウンダー兼CEOのSteve Simitzisの猫が発作を起こした関連で思いついたのだとのこと。猫は理学療法および人工栄養により回復したそうだが、病が発症したのは午前2時のことで対応に困り、また自身の仕事中にどのように処遇すれば良いのかでとても悩んだのだとのこと。「今の世の中、答えはネット上にあると思っていました。しかしそうではなかったのです」。そこで共同ファウンダーのMarta Croweおよび獣医のKait Linkとこのサービスを考えだした。

Treatの競合としてはオンデマンドで獣医を派遣するVetProntoや、犬の散歩に付随するサービスを展開するWagWalkingなどが想定される。しかしTreatとしては、PetcoやPetSmartなどのペット関連の小売サービス全体をライバルとして成長したいのだとのこと。ペット関連の小売サービスでは現在、緊急時に対応するようなサービスを展開しているところはない。飼い犬の吐いたものが緑であったり、飼い猫の様子がいつもとまったくちがうとき、インターネットに答えを探してもたいていは不安が増すばかりとなってしまう。

Treat Book Appointment確かに、Treatもペットが骨折したような場合に自宅でレントゲンをとったり、麻酔を施したりするようなソリューションは提供していない。「基本的な、予防的手段を提供しようと考えているのです」とSimitzisは言っている。ただしTreatはいくつかのクリニックと提携し、深刻な症状についてはそちらで対応できるようにも考えている。

ペットの具合が悪くなったら獣医につれていく、という発想を変えることが、Treatにとって必要なことだろう。自宅で医療ケアを受けたり、あるいは医師に相談するというのは一般的なことではない。しかしUberは外出時の振る舞いをまったく変えてしまった。それにならって、料金を支払うことによってペットの健康に関する不安を和らげるというあり方を探っているわけだ。

サービス提供開始のプロモーションとして、Treatはベイエリアに子猫を持ち込んでみる予定となっている。これは捨てられた猫などの住まいを探すためのプロジェクトとの共同で行われるプロモーションだ。このプロモーションには獣医も帯同する。この一環としてTechCrunchにも4匹の子猫を連れてきてくれたわけだ。子猫の様子やTreatがどのようなチームなのかについてはFacebook Liveのビデオ(上に掲載した)にて確認することができる。

Treatは現在iOS版のみ提供されており、また利用できるのはサンフランシスコおよびオークランドに限定されている。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、再利用を目的とするロケットの海上回収に3回連続で成功中

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SpaceXにとって良い1週間だったことだろう。まずNational Reconnaissance Officeと高額の契約を結んだ。お固い政府機関で偵察衛星を扱っている組織だ。そして週末となり、ケネディ宇宙センターのケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設よりOrbital ATKの通信衛星であるTHAICOM 8を打ち上げたFalcon 9の、4度目となる第一段部分の回収に成功したのだ。海上を動いている「ドローン船」にて回収したのは3度目となる。

THAICOM 8を宇宙に送り出した今回は、海上回収がさらに難しいものとなると言われていた。衛星が打ち出されたのは静止トランスファ軌道(Geosynchronous Transfer Orbit:GTO)だ。この静止軌道には、メインロケット(今回の場合はFalcon 9)に加えて、より小型のロケットも併用して打ち上げることになる。

静止軌道は36,000キロメートルほど上空にある軌道であり、この軌道にのった衛星を地上からみると、まるで静止しているように見える。一般的には気象観測や通信衛星を打ち上げるのに用いられる。THAICOM 8は商用通信衛星で、インドおよびアフリカ、東南アジアで利用される予定となっている。

前回の打ち上げについてもそうだったが、今回の打ち上げでは、低軌道に打ち上げるのに比較して、より多くの機材を搭載する必要があった。打ち上げ角度もはるかに急峻となり、それに伴って地上への帰還角度も急になってしまう。それにより、もちろん速度も増してしまうこととなった。

そうした状況の中で、Falconの飛行に許される精度上のブレは圧倒的に小さなものとなる。速度が増すことで、予期しないブレに対してロケットが対応する時間も少なくなるのだ。風や、ちょっとした大気の揺れによるごく微細なズレも重大な事故につながりかねないのだ。さらに、高い軌道まで打ち上げることにエネルギーを使い、自らの制御に使える燃料はごくわずかしか残っていないという状況にもある。

今回の最着陸成功によりSpaceXの技術の実用性がさらに強く認識されるようになる。打ち上げロケットを再利用できるようにすることにより、SpaceXは打ち上げコストを下げて、宇宙開発をより一般的なものにしようと考えている。さらには火星探検という大きな夢も描いていて、そのためにも打ち上げロケットの再利用可能性を高めていきたい考えなのだ(火星から地球に戻ってくる際に、ロケットを再利用できるようになる)。

もちろん、現在の段階では夢の実現はまだまだ不可能の範囲内だ。打ち上げロケットの回収には成功しているものの、完全な「成功」をいうためにはロケットの再利用に繰り返し成功することが必要だろう。それが実現しないううちは、Falcon 9の垂直離着陸も単なる「驚き」に過ぎなくなってしまう。Space XのCEOであるElon MuskはTwitter上で、数ヶ月のうちに回収したロケットの再利用を行う旨をツイートしている。SpaceXはケープ・カナベラルにて最初の回収に成功したFalcon 9の再起動を試し、そして本社前に配置してはいるものの、今のところは再度のフライトは行なっていない。今のところ、回収したロケットが最利用可能であることの証明は行われていないことにはなる。

誤差の許容範囲が小さく、また着陸角度が大きかったことは、すなわち今回の最着陸が高速を保ったまま行われたことを意味する。アルミのハニカム素材も熱や衝撃で大きなダメージを受けていることだろう。これはロケットの(再利用時の)安定性に問題をきたすことになると思われる。ただしMuskによれば最も衝撃を受ける部分は着陸時に用いる「脚部」であり、これは「crush core」と呼ばれている。「crush core」である限り衝撃を受けるのは当然のことで、簡単に取り替えられるようになているのだそうだ。ただし、再着陸後のロケットにリスクを生じる可能性があることについては認めていた。

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(翻訳:Maeda, H

プレーヤーが背中に背負って動き回るVR専用機をHPとMSIが開発、ゴーストバスターズみたいに

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出力は、ひたすらヘッドセットに固執している企業が多いようだ。コントローラに関しては、かなり流動的だが、良さそうなソリューションがいくつかある。でも、PCの部分はどうか?

たしかに、多くのコンピューターメーカーがVRブームに乗り遅れまいとして、強力なシステムを作っているが、しかし、デジタルの自由、のようなものを提供するために設計された技術にしては、どれもこれも、牛や馬のようにつながれていて、束縛がきつい。

と考えるのはぼくだけではないようで、MSIとHPの天才たちが、どこにもつながれないポータブルなソリューションとして、どちらも同じことを考えた。そう、映画「ゴーストバスターズ」のように、必要なものを背中に背負えばよいのだ。〔参考: 映画のファンによるコスプレ。〕

昨日(米国時間5/26)、ゲーム専用機Omenシリーズを発表したHPが今日は、VRゲームのためのPCを披露した。それは、プレーヤーが文字通り背中にくくりつけるマシンだ。この、HP Omen X VR PC PackとかOmen X by HP VR PC Packと呼ばれるシステムは、同社にとってまだかなり初期的な形のようだ。まだ詳しい情報はないが、重量は10ポンド足らずで、電池寿命は短いらしい。

HPがこのプロトタイプを披露する前に、MSI Backpack PCという、もっと分かりやすい名前の製品が発表された。これはIntel Core i7プロセッサーとNVIDIA GTX980グラフィクスカードを搭載している。すでに製造ラインに乗っているかのように見えるこのシステムは、今年台北で行われるComputexでデビューする。

スペック以外にも知りたいことは山ほどある。お値段も、もちろん重要だ。どちらのシステムも、VR専用のPCを求める消費者がターゲットのようだけど、そうなると、PCというより一種のコンソール(ゲーム機)のように見えてくる。そして、実際にはどれくらいポータブルなのか、そこが売れ行きを決めるだろう。

バックパックは必ずしも、もっともエレガントなソリューションではないけど、伝統的なPC企業が、伝統的なボックス以外のデザインを考えたのは、おもしろいね。腰痛になりそうな、気もするけど。

出典: CNET

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ユーザー主導の音楽ビデオサービスMusical.lyがライブストリーミングのlive.lyをローンチ

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Musical.lyが音楽ビデオの枠を超えて、ユーザーがビデオをライブストリーミングできるプラットホームlive.lyをローンチした。ユーザーはlive.lyアプリを使ってブロードキャストができ、友だちなどはそれを、musical.lyで見る(視る)ことができる。

昨年ローンチしたmusical.lyは急成長が続いていて、今ではこの地球上の約8000万人のティーンが利用している。このアプリを使うと音楽ビデオを簡単に作れるし、またRihannaやMeghan Trainorといった人気アーチストの曲に自分の声をダビングすることもできる。

そして、live.lyが加わったことによって、“録画した(された)ビデオ”だけがコンテンツではなくなった。ライブのストリーミングはFacebookがFacebook Liveをローンチし、またTwitterのPeriscopeの絶えざる進化により、人気が爆発している。Musical.lyもこのトレンドに乗って、ライブビデオのビジネスでも強力なプレーヤーになりたいのだ。

musical.lyは最初、‘口パク’サービスとしてティーンたちの人気アプリになった。でも副CEOのAlex Zhuによると、やがて人びとは“自分たちが予想もしなかったやり方でmusical.lyを利用するようになった”。コメディや動物のビデオなど、音楽以外の利用が増えたためlive.lyは、そういう多様なビデオを軸に、ユーザーが互いにリアルタイムで対話する手段になるだろう、と彼は期待している。

live.lyはすでに一部のユーザーに提供されているが、数週間後には全ユーザーが利用できるようになる。

Musical.lyは、数年前にSnapchatが大人気になって以来初めての、急成長のソーシャルネットワークの一つだ。

本誌TechCrunchは、この上海生まれの企業の巨額の資金調達について報じたが、そのときの評価額は約5億ドルで、投資にはGGV CapitalやGreylockなどが参加した。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コミックの専門サイトComixologyに無制限プランUnlimitedが加わる

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ComixologyがこのほどローンチしたComixology Unlimitedは、月額5ドル99セントで同社が抱えるコミックにいくらでも無制限にアクセスできる、というプランだ。同社のデジタルコミックの在庫は、現状で数千、といわれる。

この、“読みたいだけなんぼでも”というモデルは、Netflixの新しいサービスと競合しそうだが、でもCEOのDavid Steinbergerによると、Amazon Primeのビデオのやり方に近い、という。彼がそう言うのは、必ずしもComixologyが2年前にAmazonに買収されたからではなく、Comixologyが今では、会員制(会費制)と個別購入の両方をサポートしているからだ。

たとえばBitch PlanetSagaを最初から全部読みたければUnlimitedの会員になり、その後の新刊は個別に買えばよい。

コミックの二大出版社DCとMarvelがないのは、なぜか? Steinbergerは、今後加えることは大いにありえる、と言う。そして、Comixology UnlimitedならDark Horse社やImage社のも読めるぞ、と宣伝した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

$25Mを投じた2年間の研究で携帯電話が発する電磁波と雄のラットの発癌に正の相関が見つかる

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【抄訳】
国による大規模な毒物研究事業National Toxicology Program(NTP)が、携帯電話などが発している電磁波への被曝とラットの発癌とのあいだに、わずかながら正の相関があることを発見した。ただしそれは、雄の個体のみだった。

ピアレビュー(同僚審査)を伴うこの2年間の研究は、何千匹ものラットに2年間毎日、一定量の電磁波を照射した。電磁波をまったく当てないコントロールグループも、同期間養育した。被曝したラットの2ないし3%が脳に神経膠腫を生じ、1ないし6%が心臓に神経鞘腫を発現した。

奇妙なことに、雄のラットのみがこれらの発症を示した。さらに不可解なのは、電磁波の露爆を受けないコントロールグループのラットの方が、寿命は短かったことだ。

効果が微弱なので、この結果を安易に人間に外挿することはできない。しかしまた、効果が存在しなかった、とも言えない。

研究の最終結論はまだ出ていないし、経過的報告にすぎないとはいえ、有意な結果であることは確実である。

国立癌研究所(National Cancer Institute)によると同機関はこのニュースに基づいて、携帯電話からの電磁波の放散に関する同研究所のファクトシートを改訂中である。ただしそれに関する詳細説明は得られず、彼らは、研究結果について目下検討中、とだけ言った。

国立衛生研究所(National Institute of Health)は声明を発表し、その中で、この研究は癌との関連を見出さなかったこれまでの研究を置換ないし無効化するものではない、と述べている:

マウスとラットによるこの研究を、今外部の専門家たちが吟味している。これまでの、大量の人間に対する観察データでも、携帯電話の使用が癌発症リスクを増加させることの、限定的な証拠が見つかっていることは、ここで指摘しておくべきである。

元NTPのトップChristopher Portierは、Scientific American誌で述べている:

これは群を抜いて細心に行われた携帯電話に関するバイオアッセイ(bioassay)、すなわち生物学的評価である。人間に生じる問題については、今後の大量の研究評価事業が必要だが、ラットで結果が得られたことは大きな成果だ。

【中略】

今日(米国時間5/21)bioRxivに載ったレポートは、きわめて部分的なものだが、その前に一部のデータがMicrowave Newsで報じられたため、それを補う情報の発表が必要、と研究者たちは判断した。完全な研究論文は来年、発表される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AmazonのAlexaにWebブラウザーから質問できるEchosim.ioがローンチ

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Amazonの音声で応答するAIソフトウェアAlexaは、これまでEchoやDot and Tapで使われていたが、今度はそれをWebブラウザーから利用できるサイト、Echosim.ioがオープンした。

ログインはAmazonのアカウントで行い、マイクの形をしたボタンを押してAlexaに質問する。

Alexa、お天気やニュース、音楽などに関する質問に答え、家の中のほかのガジェットをコントロールできる。またEchoの重要な差別化要因は、サードパーティのデベロッパーが自分のサービスに利用できることだ。

Amazon Echoは今では、ピザの注文受け付けや、Uberの呼び出し、ギターのチューニングなどにも利用されている。

しかしこれまでは、Echoという専用の端末装置がなければAlexaの能力を利用できなかった。でも、NexmoのSam Machinが2015年のハッカソンで作ったEchosim.ioを使えば、誰もがWebにアクセスしてAlexaを試せる。

Amazonはこれまで、Alexaの活躍の場所をAmazonのハードウェア以外にも広げようとしてきた。最近同社はSDKとAPIの提供を開始したので、ハードウェアとソフトウェア、両方のデベロッパーがAlexaを自分のプロダクトに統合できる。

でも、ユーザー人口が圧倒的に多いのは、なんと言ってもWebだ。

Alexaをブラウザーで試してみたい人は、Echosim.ioへ行こう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

eBay、チケット2次流通サイトStubHubの国際展開のためにTicketbisを1億6500万ドルで買収

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eBayは自社の中核事業となる形のある品物のマーケットプレイスの構築を継続する一方、他のビジネスやブランドの拡大にも投資している。今日(米国時間5月24日)、eBayはスペインのビルバオ拠点のオンラインチケットマーケットプレイスTicketbisを買収したと発表した。自社のオンラインチケットマーケットプレイスStubHubに統合する予定だ。その取引で、現在米国を主要拠点とするStubHubの海外市場、とりわけ欧州、中南米、アジア太平洋地域を中心にした47ヶ国の市場に拡大することになる。

取引の条件は公開されていないが、eBayに近い情報筋によると1億6500万ドルでの買収になったと言う。取引は2016年中頃にクローズすると予測されている。

1億6500万ドルという価格はTicketbisにとっては適切な報酬だろう。TicketbisはFabrice Grinda氏、Active Venture Partners、Jose Martin氏らを含む投資家から2600万ドル弱の資金調達を行っていた。2015年に売上高が2500万ドルとなり、2016年は4500万ドルのランレート(直近の業績をもとに予測される将来の業績)になるという予測も納得できる。Ticketbisは全世界で約400人の従業員を雇用している。

StubHubは最近、少し物議を醸す理由でニュースに上がっている。サイト上で偽チケットの掲載に対し、十分なチェックがないという申し立てがあったのだ。またこれとは別にイギリスにおいても、StubHubや他のチケット2次流通サイトが違法かどうかの調査がなされている。とりわけサイト上でのチケット販売や掲載された多くのチケットが券面額で提供されていたかどうかが焦点になっている。

大きい組織を持つことで、このような問題に影響を与えられるかことになるかどうかは興味深い。しかし、今のところ、彼らにとって最も重要なことは規模のようだ。Eコマースビジネスにとって基本的な考えだ。

「人生で最も豊かな瞬間は、所有しているものに関わることではなくなり、他の人と共有したいと思える体験に世界は移り変わっています。Ticketbisの買収で私たちは、さらに数百万の人々と感動的なイベントを結びつけることを可能にします」とStubHubプレジデントのScott Cutler氏は声明において語った。「素晴らしい体験への1つの障壁はアクセスです。この買収でStubHubは、さらに多くのイベントを世界的な規模で世界中のイベント好きな人やファンに提供することができるようになります。そして彼らの生活を豊かにする新たな方法を見つける手助けをします」。

「Ticketbisの買収はStubHubの国際的な展開を広げることを可能にします」eBay Inc.のプレジデント兼CEOのDevin Wenig氏はそう付け加える。「eBayの世界規模でのプレゼンスはStubHubにおって米国外の市場への拡大と同時に新しい顧客獲得の助けにもなるでしょう。この取引はStubHubへ投資し、彼らの勢いを加速するための支援を行うという決意を改めて示すものです」。

「StubHubの広範囲の資産は世界中のチケット購入の常連客やチケットの売り手にとって莫大な価値をもたらします。その上、他の初期市場に拡大し続けることは、なおさら価値の大きいことです」とTicketbisの共同創業者で共同CEO(もう1人のCEOは共同創業者のJon Uriarte氏)のAnder Michelena氏は言う。「StubHubとTicketbisのマーケットプレイスは共に世界中のファンに向けて彼らがいつ、どこにいても好きなイベントを体験できるという多大な価値と機会があることを示します。私たちはeBayの一員になることに興奮していますし、StubHubブランドの一部としてチケット流通におけるイノベーションを継続することを楽しみにしています」。

StubHub自体は、2007年にeBayが3億1000万ドルで買収した。StubHubの売上はeBayの大きなビジネスのほんのわずかでしかないが、成長している。前四半期、eBayは同社のプラットフォーム上の取引額の合計値、つまり総取引額(Gross Merchandise Volume)は205億ドルだったと報告した。その取引額のほとんどはeBay.comのサイトから来ているが、StubHubの総取引額は8億6900万ドル、収益は1億7700万ドルとなり、前年比34%増だったと報告した。

これからが本番である。

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(翻訳:Morimoto)

インターネットの使いすぎがティーンの学校バーンアウトを導く…フィンランドの研究が結論

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あなたのいまいましい子どもたちはコンピューターを離れて庭仕事の手伝いでもすべきである、という説の最終的決定的な証拠を、ヘルシンキ大学の心理学科の研究者たちが見つけた。インターネットの使いすぎ、ほとんど中毒のような使い方は、ティーンの学校バーンアウト(school burnout, 学校燃え尽き症候群)をもたらす、というのだ。

使いすぎの詳しい定義はないが、それは見れば分かるだろう。研究者たちは、こう書いている:

この研究が示唆しているのは、デジタル中毒と学校バーンアウトの問題に取り組むべきもっとも重要な段階が13歳から15歳までの時期であることだ。青少年の心の健康を支え、インターネットの過度の使用を防ぐためのもっとも効果的な方法は、学校への関心を高め、児童生徒の学習意欲を増進し、学校バーンアウトを防止することである。

青年期後期における抑うつ的症状と学校バーンアウトは、男子よりも女子に多く見受けられる。過度なインターネット利用による被害は、女子よりも男子が深刻である。

学校バーンアウトの定義は、学校へ行く意欲や学校で勉強する意欲の欠如、である。

この研究は、数千人の児童生徒のインターネット利用と心理学的問題を調べたMind the Gapプロジェクトに関連している。その結論は重い: “これらの結果は、青少年における過度なインターネット利用が、学校バーンアウトとその後の抑うつ的症状の原因でありうることを示している”。…このプロジェクトの研究者Katariina Salmela-Aroは、そう述べている。

結局のところ、子どものインターネットへの過剰接触を防ぐのは親の責任だ。しかし残念ながら具体的な指針は乏しく、この研究もその点では貧しい。しかしながらインターネット利用と抑うつ的症状の直接的な因果関係を示したことは決定的であり、小さな家族のためには数日おきにプラグを抜き、目の前にスクリーンのない時間を確保してあげるべき、とあらためて自覚させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Netflix、独自の速度テストサイトFast.comをローンチ

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Netflixは本日(米国時間5月18日)、ユーザーがインターネット接続速度を把握するための新しいウェブサイトFast.comローンチした。基本的に、ビデオの画質を決定する指標となるダウンロード速度のみに特化した簡易的なスピードテスト用のウェブサイトである。このサイトの目的は、Netflixの接続に問題があった場合に、その責任の所在を明らかにする手立てとなることだ。原因はNetflixではなく、ISPの速度低下かもしれない。

サイト自体は極めてベーシックなものだ。ウェブページを開くと、すぐにテストが開始する。クリックさえ不要だ。テスト実行中は、灰色の文字が増えていき、完了すると黒くなる。

Web上の他の速度テストサイトと異なるのは、Netflixのサイトには使用感を悪くする広告がないことだ。

サイトでリンクをクリックすれば、Speedtest.netの数字と比較することもできる。おそらく、本気で接続速度を知りたい人には、サーバを選択したり、ダウンロード速度、アップロード速度、Pingなどを表示できる、もっと適したサイトがあるだろう。

きっと、多くの一般消費者には、NetflixのFast.comで測定される数字が良いのか悪いのかもわからないだろう。ISPと契約したインターネットパッケージの内容すら覚えていないかもしれない。この新しいサイトは、自分の接続が通常より遅いかどうかがわかる類のものではないのだ。

しかし、問題があるかどうかを判断するためにサイトを訪れている人ならば、おそらくテスト後はISPに問い合わせる用意があるだろう。

少なくとも、Netflixはそう願っている。FAQには、支払っている金額に見合った速度を得ていない消費者は、「ISPに結果について問い合わせることができる」と書かれている。

Fast.comと汎用的な速度テストサイトの間にあるもう1つの違いは、テスト内容がNetflixのサーバーからのダウンロード速度だという点だ。また、ウェブ上で機能するので、タブレットや電話端末、ブラウザがあればスマートTVであっても利用できる。

Netflixのユーザーベースと使用量は年々増加しており、同社はISPが謳う接続速度について競争力を保持しつつ正直であるように働きかけてきた。すでに同社が世界中のISPをパフォーマンスに応じてランキングしたISP Speed Indexを管理している。

しかし、NetflixのFast.comはこのSpeed Indexとは異なる、と同社は言う。Speed Indexは、ピーク時間帯に行われる実際のNetflixのストリーミング配信の月間平均速度を測定するのに対し、Fast.comでは任意の時間帯にユーザー個人のインターネット接続速度を測定する。

サービスの品質を維持する上で、速度は非常に大きな影響があるため、Netflixにはこのようなツールが欠かせない。Fast.comに加えて、同社は先頃、消費者がNetflixのモバイルアプリで使用するデータ使用量を設定できる携帯端末のデータ制御ツールも提供を開始した。

Fast.comはすでにオープンし、世界中の誰でも(Netflixの会員でなくても)サイトを利用できる。

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(翻訳:Nakabayashi)

「日本流ホームシェアリング」を目指しAirbnbとCCCが提携、店舗とオンラインでプロモーション開始

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本日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)Airbnbは、日本でホームシェアリングの普及を目指し、パートナーシップ契約を締結したと発表した。日本を訪れる外国人観光客が急増し、宿泊先の確保として民泊に注目が集まっている。だが、日本でのAirbnbなどの認知率はまだ低く、実際に利用したことがある人もまだまだ少数だ。AirbnbはCCCと協力することで、CCCのカスタマーベースを通じてサービスの普及を目指したい考えだ。

TechCrunchの読者にはお馴染みのサービスかもしれないが、2008年8月に創業したAirbnbは、物件オーナーが所有する空部屋や空き物件をAirbnbに登録することで、他のユーザーに貸し出すことができるマーケットプレイスだ。Airbnbは現在、世界190カ国以上に広まり、登録件数は200万件に登る。2014年5月にはAirbnb Japanを設立し、日本市場への進出も果たした。

AirbnbのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)兼共同創設者のジョー・ゲビア氏は、「日本全国には3万5000件の部屋がAirbnbに登録されていて、日本はAirbnbの中でも急成長している市場の1つです」と説明する。「2015年、Airbnbは日本で500%成長しました。つまり、2015年には130万人以上がAirbnbを使って日本に宿泊したということです」。今回、CCCと組むことでAirbnbは日本市場でさらにホームシェアリングを広めたい考えだ。ゲビア氏はホームシェアリングを広めることによって、地方の地域活性や日本が抱える空室問題の解消に貢献していきたいと話す。

CCCはAirbnbと「日本流のホームシェアリング」を広めるために、マーケティング面で支援する。CCCは全国1400店舗以上の「TSUTAYA」を運営し、共通ポイントサービス「Tポイント」の会員数は5854万人(2016年4月末時点)に登る。そのリソースを活かした店舗でのプロモーションやマーケティング活動を行うという。具体的には本日から代官山 T-SITE、5月31日からはSHIBUYA TSUTAYAの店舗でのプロモーションを開始するという。

私も会見の後「代官山 T-SITE」を覗いてみたところ、屋外広告、そして店舗内に複数あるデジタルサイネージがAirbnbの紹介になっていた。旅行やライフスタイルを提案するAirbnbの書籍コーナーも特設されていた。店舗の外にはAirbnbの宿泊物件に見立てたバンがあり、サービスの紹介を行っていた。

代官山T-SITEでのAirbnbプロモーション

オンラインでは、AirbnbとCCCが共同制作したホームシェアリングを提案する特設サイト「Airbnbホストナビ」を本日より開設している。このサイトは、ホスト向けにAirbnbを紹介するためのサイトのようだ。Airbnbのサービス内容やホストとして自分の物件を登録する方法を紹介する他に、これまでAirbnbで自分の部屋にゲストを迎えたことのあるホストのインタビューストーリーなどを掲載している。まだ詳細は出ていないが、Airbnbに自分の部屋を登録したいと考えるホスト向け説明会も今後TSUTAYAの店舗で行う予定のようだ。

Airbnbhostnavi

会見でCCCの代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏はAirbnbについて「体験してみないとその本質が分かりづらいサービス」とし、それを伝えるにはテレビコマーシャルではなく、別のアプローチでマーケティングを行っていきたいと話していた。CCCは以前にも「湘南 T-SITE」をAirbnbの宿泊先として提供するなどAirbnbとのコラボ企画を行ってきたが、今回の提携ではさらに新しい価値を提供ができることに期待していると増田氏は話している。

スマホのイヤフォンで聴く音楽をゴージャスな3Dサラウンドサウンドに変えてしまうBoom

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Boom for iOSは音楽を変える。たぶん、良い方へ。このアプリは一種のイコライザーで、通常のMP3の音に低音と奥行きを加える。ベースがよく鳴る3Dサウンド的な音になるから、超安物のイヤーバッドでも音楽を楽しめる。スピーカーからの音には、臨場感‘らしさ’が加わる。

しかし、万人向き、ではないかもしれない。Peter Schickeleの後期のアルバムを昔のVictrolaで聴きたい、という純粋派には、たぶんだめだ。

そのほかの人は、このアプリを自分の音楽系アプリの一員に加えるとよいだろう。使い方はとても簡単で、このアプリを通して音楽を聴き、さまざまなエフェクトを選ぶ。3Dのサラウンドもどきもあれば、いろんなブースターもある。5日間無料で試用して気に入ったらお金を払う。DRMで保護されていたり、ストリーミングの音楽には使えない。

いろんな曲で試してみたが、音の分離が良くなるし、相当極端なリバーブもかけられる。

OS X上には5年前からあるアプリケーションで、これを作っているGlobal Delight社によると、月間アクティブユーザーは250万人以上いる。同社は、Camera PlusやVizmatoも作っている。

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ソフトウェアアーキテクトのSandhya Prabhuは、こう説明する: “市場における重要な差別化要因は、独自のオーディオ処理ロジックを使っていることだ。それによりこのアプリは、ヘッドフォンから聴こえるふつうのステレオ音に、リアルなサラウンドの空間感覚を加える。高価なハードウェアがなくても、いつでもどこでも、サラウンドサウンドを楽しめる”。

同社はこの技術を、ストリーミングサービスや各種メーカー企業にライセンスしている。だからそのうち、SchickeleのP.D.Q. Bachを昔のJVCのヘッドフォンで聴いても、すごい音になるだろう。18世紀のフリューゲルホーン奏者たちも、本当はそんな音を出したかった、…のではないだろうか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

超音波を利用してどんなスマートフォンにも感圧機能を持たせるForcePhone

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感圧タッチ(force touch)は最新のiPhoneだけの機能かもしれないが、今やそれとほぼ同じことを、そこらのどんなスマートフォンでもできる。そんな仕組みが、ミシガン大学の工学部の研究から生まれた。

それはタッチスクリーンのセンサーをポーリングする方式ではなく、超音波を利用する。スマートフォンのスピーカーが18000〜20000ヘルツのサウンドを放出すると、それは人間の耳には聞こえないがデバイスのマイクロフォンは検出できる。ユーザーがスクリーンを押したりデバイスの本体を握ったりすると、音の性質が変わり、ソフトウェアがそれを検出する。

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でもご心配なく。音量はとても低いから、それが犬を悩ませたり、耳の鋭い青少年を困らせることはない。

Touches with different pressures don't register on the gyro or accelerometer, but are clear as day to the ForceTouch process.

ジャイロや加速度センサーはタッチの圧力を感知しないが、ForceTouchのプロセスにははっきりと分かる。

同大学の電気工学とコンピューターサイエンスの教授Kang Shinは、プレスリリースでこう語る: “特殊なスクリーンや内蔵センサーは要らない。ForcePhoneは、スマートフォンとユーザーが対話するためのボキャブラリーを増やす”。

たとえば、本体を強く握るとホーム画面に戻る、とか、何度も握ると911を呼ぶ、なんてことができるだろう。押したか・押されてないかの二値ではなくて圧力の大きさも検出するから便利だ。iPhone 6sやWacomのタブレットほど精細な感度ではないが、一種のジェスチャーとしてなら十分だ。

Shinと院生のYu-Chih Tungは、なんと、最近のバットマンの映画を見て、これがひらめいた。その”The Dark Knight”という映画では、バットマンが町中のすべての電話機を音響検出装置に換えて、ジョーカーを見つけるのだ。

“スマートフォンをソナーのように使ったらおもしろいかも、と思ったんだ。そこから、今のスマートフォンのユーザーが抱えている問題を解決するための応用に、たどり着いた”、とTungは語る。

まわりのノイズの影響を受けないか、とか、アプリとして一般公開されるのはいつごろか、なども聞いてみた(上のビデオ)。とりあえず、シンガポールで来月行われるMobiSysでプレゼンするそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウド労務管理サービス「SmartHR」が優勝——IVSのピッチコンテストLaunch Pad

5月26日〜27日にかけて宮崎県で開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2016 Spring Miyazaki」。2日目の朝には恒例のピッチコンテストの「Launch Pad」が開催された。14社のスタートアップが6分間のプレゼンテーションに挑んだ。その中で見事優勝を果たしたのはクラウド労務サービス「SmartHR」を開発するKUFUだった。僕らが手がけるイベント「TechCrunch Tokyo 2015」のスタートアップアトル、招待制イベントB Dash Campのピッチアリーナに続きスタートアップ向けのピッチコンテストで優勝したことになる。

2位は触感型ゲームコントローラーを開発するH2L、3位はスマートフォン向けの情報配信用プレートを開発するアクアビットスパイラルズ。4位はナレッジシェアアプリを開発するTANREN、チャット型の弁護士相談アプリを開発する弁護士トーク、運転支援システムを開発するPyreneeの3社。各社のサービス概要は以下の通り。

ハックフォープレイ:あそべるプログラミング「HackforPlay

ゲームを遊ぶことを通してプログラミングを学習できるサービス。ゲームをプレイしたり、そのゲームのプログラムを改造してプレイ・再投稿できるゲーム投稿サイト。他のユーザーのコードも見れるので、それを見つつ、技術を学ぶことを促す。現在700以上のゲームが投稿されている。その中心は小学生だという。また同社は金沢市でリアルなスクールを開講。子ども達のプログラミング学習の機会を提供している。

TANREN:ナレッジシェアアプリ「TANREN

TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルにも登壇してくれたTANRENは店舗販売員向けのナレッジシェアのサービス。接客業の営業ロールプレイングを動画で撮影・指導できる。マネージャーが課題を設定し、該当する店舗にメールで通達。その後は実際のロールプレイングを携帯電話で撮影してアップロードすることで、マネージャーが指導を行える。携帯電話販売業を中心にサービスを展開。最近ではRIZAPなどでも全店舗導入を実現した。

弁護士トーク:チャットでする新しい法律相談「弁護士トーク

アプリを通じて無料で弁護士と相談できるサービス。テーマや弁護士名をもとに弁護士を検索。チャット型のUIで情報を入力していくことで弁護士に相談を行うことができる。写真などもアップロードして共有可能。より詳しい相談をする場合はアプリから弁護士に正式に依頼する。アプリリース6カ月で5万1000件の相談が寄せられている。特徴は一括見積もりでの弁護士の比較機能。プレゼンでは「弁護士ドットコム」を引き合いに出し、同サービスとの強みについて、弁護士スキルを比較できることこそが強みだと語った。

selfree:5分で電話窓口を開設できるクラウド電話システム「CallConnect

ブラウザベースのクラウド型電話サポートシステム。取得したい番号や会社情報などを入力すれば、すぐにも導入可能なのが特徴。音声ガイダンスの録音や音声ファイルのアップロード、転送機能など各種機能を導入。Salesforceなど各種サービスとの連携を実現。顧客情報の繋ぎ込みなどが可能だ。すでに個人事業主からコールセンターまで150以上の企業が利用している。

KUFU:クラウド労務ソフト「SmartHR

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル優勝企業であるKUFUが提供するクラウド労務サービス。社会保険や雇用保険など労務手続き自動化をしてくれる。最近では開発者向けに「SmartHR for Developers」を公開。SmartHRのユーザー企業の社内システムや他社製クラウドサービスとのデータ連係を実現した。 すでに1000社がサービスを導入している。

RENO:ソーシャルヘッドハンティング「SCOUTER

審査を通過したユーザーが友人・知人を企業に推薦することで報酬を得られるサービス。ただし人材紹介の業務委託は違法になる。そこでユーザーとRENOが契約社員(スカウター)になる(弁護士ドットコムの契約サービスを利用)ことで実現する。スカウターには時給および転職後の年収5%をフィーとして提供する。企業のニーズに対して、スカウターが人物を紹介。現在登録は200人。求人700件。すでに実績も出ているという。

Labit:10秒で出品できる、本のCtoCフリマサービス「ブクマ!

本に特化したCtoCのフリマサービス。書籍・雑誌につくISBNバーコードを撮影すると、書籍の情報やAmazon.co.jpでの最安価格などを自動で取得できる。あとは希望価格と本の状態を設定すればすぐに出品できる。現在サービスを開発中。6月下旬にもサービスをリリースする予定だ。 Labitではこのサービスとは別にクラウドファンディングサービスのCAMPFIREでリアルな書店立ち上げのプロジェクトを立ち上げている。

ウリドキネット:買取比較サイト「ウリドキ

スマートフォンやブランド商品の ネット買い取りの価格比較サイト。これまでは価格比較の機能のみを提供していたが、最新版では価格の比較から直接買取申し込み(対応する店舗のみ)までをサイト上で実現した。買取業者はサイト上で商品の買取価格を設定可能。競合比較や買取依頼管理のステータス管理などの機能を提供する。この機能によって1日3時間の管理業務が1時間に短縮した事例もあるという。

Bizcast:YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar

YouTuberを起用したマーケティングなどを行うためのマッチングプラットフォーム。一部を除き、YouTuberの多くは収益化に悩んでいるのが実情。また一方で企業は最適なYouTuberと出会うことが難しい。これをオンラインでマッチングするほか、実際に動き出した案件についてはデータ解析機能を提供する。延べファン数2500万人のYouTuberが登録する。またInstagramなど各種のソーシャルメディア向けにもサービスを展開する。

CANDLIFY VR:Technologies すばやく、簡単に、結果を出すVR制作プラットフォーム「InstaVR

通常制作には数週間から数カ月が掛かるVRコンテンツを手軽に制作できるツールがInstaVRだ。360度写真や動画があれば、簡単にブラウザ上でVRコンテンツを制作できる。コンテンツ内に動画を埋め込んだり、電話発信やサイトへのリンクを付けることも可能。視線情報を取得しているため、ヒートマップの機能も提供する。サービスは2015年末にローンチ。これまで100カ国1000社が採用。スミソニアン博物館をはじめとして北米でも採用実績がある。

WHITE:世界初の触れるVRゴーグル「MilboxTouch

Google Cardboardやハコスコ同様の段ボール製VR筐体。競合との差別化ポイントは1枚のシール。導電性インクで描かれたこの回路シールを触ることで、スクロールやスワイプ、タップの入力が可能になる。この技術はすでに特許を取得しており、今後は各種VR筐体メーカーに対してOEM提供を進めていく予定だ。今後はSDKをオープンソース提供していく予定(Unityは提供済み)。プレゼンではVR版パックマンのプレイ動画なども紹介された。

H2L:世界初の触感型ゲームコントローラ「Unlimited Hand

Unlimited Handは腕に電気刺激を与えることで触感を実現したVR向けのコントローラーだ。インプット、アウトプットの両方を実現しており、指ごとの操作が可能。ハードウェア、ソフトウェアともにオープンプラットフォームを採用、あらゆるVR端末、コンテンツに利用可能だという。2015年にKickstarterにプロジェクトを掲出。7万2000ドルを集めた。今後は反響の大きかった順に北米、ヨーロッパ、中国に出荷していく予定だが、本日から日米amazonで319.99ドル(3万5000円)で販売を開始している。

Pyrenee:いまある車に付けられる運転支援システム「Pyrenee Drive

人類が負傷する最大の原因である「交通事故」。そんな交通事故の約8割はドライバーの不注意で起こっているという。そんな交通事故を防ぐための後付け運転支援デバイスがPyrenee Driveだ。立体物を認識し、ぶつかるものがないかを確認。ぶつかりそうになった際はアラートを出す。最近の車には自動ブレーキも搭載されているが、それでも事故が起こる可能性はある。スマートフォンとBluetoothで連携し、プロダクトの透過スクリーン上で操作することができる。2017年3月には日本、米国、欧州、アジアで販売する予定。

アクアビットスパイラルズ:瞬間コミュニケーションで世界をつなぐ「スマートプレート

「ググらせない」をテーマにしたプロダクト。スマートフォンにタッチすることで、特別なアプリを導入することなく各種のアプリを立ち上げたり、情報をプッシュする小型のプレート。プレゼンでは技術解説はなかったが、AmazonのDash Buttonに近いイメージだ。例えばタッチすることでタクシーの配車を行ったり、商品のECサイトを立ち上げる、といったことを実現する。専用アプリ・クラウドでリアルタイムなデータ解析も可能。設置については特許技術を持っているという。

アメリカ人の62%がソーシャルメディアでニュースを読んでいる(Pew Research調査)

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Pew Researchの最新調査によると、62%の人々はニュースをソーシャルメディアから得ている。うち18%は非常に頻繁に。

予想通り、最大のソーシャルメディア情報源はFacebookだ。

調査によると、Facebookユーザーの2/3が、同プラットフォームでニュースを読み、Twitterユーザーの59%、Redditユーザーの70%が、それぞれのプラットフォームからニュースを取得している。

ユーザー基盤のサイズを考慮すると ― Facebookは米国成人の67%が利用しているのに対して、Twitterはわずか16% ― 全米の約44%がFacebookでニュースを読んでいてトップだ。
続くTwitterとYouTubeでは、人口の約10%がニュースを入手している。

回答者(Pew Research Centerの米国トレンドパネルのメンバー、4654名)のうち2ヵ所以上のサイトからニュースを取得していたのは、わずか1/4、3ヵ所以上のプラットフォームでニュースを読んでいるのはわずか10%で、重複はわずかだった。

ただし、ソーシャルメディアサイトのトップ5でニュースを読む人々の20~30%は、全国ネットおよびローカルTVのニュースも見ている。TwitterとLinkedInのニュース読者の半数は、他のウェブサイトやアプリでもニュースを探していて、FacebookとYouTubeでもニュースユーザーの約1/3がそうだった。

2012年に行った同様の調査では、米国成人の42%がソーシャルメディアからニュースを得ていたので、この4年間でソーシャルメディアは20ポイント伸びたことになる。Pewは、2013年以来ニュース読者ユーザーが最も増えたソーシャルメディアサイトは、Facebook、InstagramおよびLinkedInであることも伝えている。

調査結果は、興味深いタイミングで発表された。

メディアは、Facebookのトレンドニュース記事は、みんなが想像していたようなアルゴリズム方式ではなかった、というGizmodoの記事にうろたえていた。

複数の元従業員が、ニュース編集者は独断で(トレンドアルゴリズムが検知する前に)トレンドニュース記事を選び、保守的なニュース記事や情報源が抑制されることがしばしばあったと証言した。

これが元になって、米国上院商業委員会による申し立ての調査が行われた。

トレンド記事の偏見について激しく否定した後、Facebookは、 3日前にトレンドシステムのしくみを変更し、ニュース収集者の監視を強化すると共に、Facebookヘルプセンターでシステムの動作原理をはっきりと説明した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook