GoogleクラウドにHANA DBがやってくる―Google、SAPとの提携を発表

今日(米国時間3/8)、GoogleはGoogle Cloud NextカンファレンスでSAPとの提携を発表した。これによりGoogle Cloud Platformに SAPのインメモリ・データベース、 HANAがやってくる。

いくつかの理由からこの提携には大きな意味がある。まず第一にGoogleはHANAが利用できることでクラウド・プラットフォームに有力エンタープライズを引き入れることができるだろう。また大企業で広く利用されているSAPとの提携はGoogleがクラウド事業を拡大する上でさまざなエンタープライズ・ビジネスの可能性を広げる。

SAPはERP〔Enterprise Resource Planning 統合基幹業務システム〕における世界的なリーダーの1社だ。SAPは各種の大企業においてテクノロジー、人事、財務などのシステムを運用するバックエンドを提供している。伝統的にこうしたシステムはオンプレミスで運用されてきたが、最近数年、クラウド上でサービスを提供する例が増えている。これはユーザー企業がこうした大規模システムのオンプレミス運用に伴うハード、ソフトのメンテナンスのわずらわしさを嫌うようになったためだ。

SAPは巨大企業なので独自のクラウド・サービスのためのデータセンターを持っているということは注意する必要がある。しかしGoogleとの提携はユーザーにメリットをもたらす新しいオプションを与える。またSAPがサードパーティーのクラウドとしてGoogle Cloud Platformを選んだことはGoogleにとって大きな成功だ。GoogleはIaaS( Infrastructure-as-a-Service)分野でAmazonのAWSはもちろん、Microsoft Azureからも大きく引き離されていた。

興味ある点は、この提携ではSAPが引き続きユーザーのクラウド・データの管理者の地位を保つということだ。つまり作動するのがGoogleのクラウド上であっても依然としてSAPがデータベースの運用に関して責任を持つ。このことは企業統治や法令遵守に関連する問題からクラウドに移行することをためらっていたユーザーにとってハードルを大きく引き下げる効果があるはずだ。いずれにせきわめて異例な取り決めだろう。

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Confluentが$50Mを調達してApache Kafkaの商用化にますます邁進…巨大テク企業の不可欠の構築ベースへ

オープンソースのストリーミングデータベースプロジェクトApache Kafkaの商用サービスを提供しているConfluentが今日(米国時間3/7)、5000万ドルの資金調達を発表した。

そのラウンドはSequoiaがリードし、BenchmarkとIndex Venturesが参加した。SequoiaのMatt Millerが、これを機にConfluentの取締役会に加わる。これで同社の資金調達総額は8000万ドルになる。

Kafkaは一種のメッセージングシステムだが、LinkedInがこれを最初にオリジナルで作ったときは、大量のデータをアプリケーション間、システム間、オンプレミスとクラウドの間などでスムーズに移動することが目的だった。一度にものすごく大量のメッセージを扱えることが、要件とされた。

ConfluentのCEO Jay Krepsによると、LinkedInのチームは、企業内のすべてのデータを、それらがどこにあろうと扱えて、またデータへのアクセスや応答がどこからでもできることを目標とした。“毎日1兆件のメッセージをリアルタイムで処理できるそのシステムをわれわれはオープンソースにして、シリコンバレー全域に普及させた。今の巨大テクノロジー企業の中には、Kafkaを軸として構築されているところが少なくない”、という。

内部システムの中核としてKafkaを使っている企業の例として、Netflix, Uber, Cisco, Goldman Sachsなどが挙げられる。リード投資家SequoiaのMatt Millerは、事前にこれらユーザー企業に聞き取りをして、Confluentの今後の市場が巨大であることを確信した。“Confluentは次の10年でもっともインパクトの大きい企業になりうる、とわれわれは見ている”、と彼は語る。

Confluentには無料のコミュニティエディションもあるが、企業ユーザーの多くは補助的ツールの揃った有料エディションを使いたがる。それらのツールは、複雑な企業内におけるデータフローを管理しモニタするツール、Kafkaのクラスタ上におけるデータフローの最適化と均衡化のために全社的なデータフローを追跡するツールなどだ。さらにConfluentは、いくつかのサポートプランを用意している。

Millerによると、社内の多様なシステムをKafkaを使わずに接続することはできるが、それは効率が悪くて費用も大きい。“多くの企業が、場当たり的な統合化や、時間のかかるバッチ処理でお茶を濁してきた。Kafkaを使えば、もっと安上がりに大量の情報を共有できるし、古いシステムから乳離れしてマイクロサービスへの移行もできる”、と彼は説明する。

大量のデータを扱えてしかもさまざまなシステムと迅速にコミュニケートできるKafkaは、IoTにもすごく向いている。数年後にはIoTが生成するデータが膨大な量になり、しかも企業は、それらのデータを迅速有効に利用するための方法を必要とするのだ。

今度の5000万ドルの使いみちとしてKrepsは、急速に成長している市場への対応能力の完備を挙げる。“この動きの激しい分野で先頭を走っているのだから、今後も先頭を維持しなければならない。順位が下がることは許されない。これからも、このカテゴリーの定義といえばこれ!、と言えるような技術を作り出し、それを世界中の市場に持ち込む必要がある”、と彼は語る。

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コンテナのデプロイをマルチプラットホーム化するDockerのEnterprise Editionで企業ユーザーのコンテナ導入を単純化

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Dockerのコンテナプラットホームのようなシステムを実装しようとすると、そのためのかなり専門的なスキルが必要になる。Dockerは、ユーザーが同社のプロダクトを使おうとするときにぶつかる複雑性を緩和するために今日(米国時間3/2)、Docker Enterprise Editionをリリースした。

このエンタープライズエディションは、DockerがサポートしているLinuxやWindowsのフレーバー(ディストリビューションやバージョン)、およびAWSやMicrosoft Azureのようなクラウドプラットホームのすべてに亙ってシームレスに使用できる、準汎用的なツールのパッケージだ。これらのツールがあれば、コンテナアプリケーションの複数のプラットホーム間の移動が、コードを書き換えることなく可能だ、とDockerは主張している。

本当にそれほど簡単なターンキーシステムのようなものなら、デベロッパーとオペレーションスタッフの双方にとってコンテナのライフサイクル管理がずっと楽になるだろう。DockerはLinuxデベロッパーのためのコンテナプラットホームとして誕生したが、これからは多様なインフラプラットホームと、企業によって異なるやり方をサポートしていくことになる。無料のCommunity Editionは継続するが、それは有料のEnterprise Editionほど多様なプラットホームをサポートしない。

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写真提供: Docker

もちろんDockerには、今回のリリースの前にもエンタープライズプロダクトのようなものはあったけれども、それも今度のEnterprise Editionに編入されている、と、Dockerのマーケティング担当SVP David Messinaは語る。前のエンタープライズプロダクトDocker Datacenterは、今ではエンタープライズエディションの中へモジュールとしてバンドルされている。“Docker Datacenterは、これまでの有料サポートつきコンテナエンジンの基盤だった。今パッケージされているのは、前に売っていたものの進化形だが、完全に新しいプロダクトの一部でもある”、とMessinaは説明する。

同社は新パッケージのリリースと並行して、新しいリリースの番号システムとリリースサイクル(release cadence, リリースケイデンス)を発表した。まず番号は、単純な順序数ではなく、1703のようにリリースの年月を表す。今年の6月のリリースは、1706になるだろう。

またリリースサイクルは、ユーザーがジョブのタイプに応じて指定できる。たとえばコードの最新のアップデートをいつも入手したいデベロッパーなら、各月のリリースを選ぶだろう。一方、安定性を重視するオペレーションスタッフなら、四半期リリースのチャネルを契約するかもしれない。なお、四半期リリースは1年契約となる。

Enterprise Editionの課金プランは、ベーシック、スタンダード、アドバンスドの3段階になる。Docker Datacenterはスタンダードに含まれ、アドバンスドではもっと多様なエンタープライズ機能が提供される。

なお、パートナー各社のサードパーティプロダクトを提供するDocker Storeが開店した。Messinaによると、“このストアの最大のメリットは、Dockerの証明つきであること。それにより、パートナーが商業的成功をシェアできるエコシステムになっていくことだ”、という。証明つきとは、Dockerが試用結果に基づいて品質を証明しているから、ユーザーは安心して買える、という意味だ。

エンタープライズエディションとストアの二つが組み合わさると、企業顧客にとって、Dockerのプロダクトやサードパーティ製のアドオンを自社の複雑な環境へ導入することが、よりスムースでシンプルな過程になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業のITのために“アプリケーションのネットワーク”を作るMuleSoftが3月にIPOへ

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Webとクラウドとモバイルの時代の新しいタイプのシステムインテグレーターMuleSoft日本)が、最新の“unicorn”〔評価額10億ドル以上のスタートアップ〕としてIPOをねらっている。同社はNetflixやSpotifyのような企業にもAPIを提供しており、その財務をS-1ファイルで公開している。それによると、IPOは3月という早い時期に行われるかもしれない。

IPOの申請額は1億ドルだが、これは最終決定ではない。

上記のファイルによると、MuleSoftの昨年の売上は1億8770万ドルで、2015年にはこれが1億1030万ドル、その前年は5760万ドルだった。純損失は4960万ドルで、前年の6540万ドルから減少している。

同社はこれまで、15億ドルの評価額で2億5900万ドルを調達している。投資家は、最大株主がLightspeed Venture Partnersの17.1%、Hummer Winbladが15.8%、そしてNew Enterprise Associatesが同社の14.3%を握っている。Morgenthaler Partners, Sapphire Venture, およびBay Partnersも、大きな割合を保有している。

IPOは前から噂されていたが、最近の2年の業績不振で立ち消えになっていた。2015年には新たに上場した企業の業績が悪く、そして昨年は上場した企業がきわめて少なかった

AppDynamicsは今年のテックIPOの先鞭をつけると期待されたが、土壇場でCiscoにさらわれた。今、耳目が集まっているのはSnapだが、こちらは3月の初めに上場すると予想されている

2006年に創業された同社は、本社がサンフランシスコにある。上場はニューヨーク証券取引所で行われ、ティッカーは“MULE”の予定だ。

CrunchBase entry for MuleSoft

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お店のBGMが変わる―、”B2BのSpotify”Soundtrack Your Brandが2200万ドルを調達

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Spotify世界最大のコンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの座に君臨し続ける中、彼らの地元ストックホルム発の(かつSpotifyも投資している)スタートアップが、エンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスを牽引すべく、大規模ラウンドで資金を調達した。

そのスタートアップの名はSoundtrack Your Brand(SYB)。元Spotify幹部とBeats(現在はAppleの一部)の共同ファウンダーが手を組んで設立した同社は、この度のラウンドで2200万ドルを調達した。調達資金は海外展開や、お店でBGMをかけるのに使われている同社のシステムの改良に充てられる予定だ。彼らのサービスは、スーパーなどにありがちな安っぽくて退屈な音楽を変えようとしている。もちろん、たまたま小売店が求めているのが安っぽさや退屈さであれば話は変わってくるが。

既にSYBはかなりの成長を遂げており、マクドナルドやTAG Heuer、Toni & Guyといったグローバル企業が彼らのサービスを利用しているほか、100ヶ国で「何千」という数の企業(スウェーデンのスターバックスのように、大規模チェーンの各国の統括企業を含む)を顧客に抱えている。

同社はさらにSpotify Business(Spotifyのインフラを利用したエンタープライズ向けサービス)を、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで運営している。SYBによれば、同社の売上と顧客ベースはどちらも400%以上伸びているが、具体的な売上額や顧客数は明かされていない。

Balderton CapitalとスウェーデンのIndustrifondenが中心となった今回のラウンドを受け、SYBの累計調達額は約4000万ドルに到達した。今回のシリーズCには、そのほかにもTelia、Northzone、Creandum、H&MのファミリーオフィスであるHMP、この業界をよく知るJörg Mohauptらが参加していた。

既存株主であるSporify、PlayNetwork、Wellingtonは今回のラウンドには参加しなかった(お気づきかもしれないが、Spotifyの株主の多くがSYBにも投資している)。

SYBは、2014年にAndreas Liffgarden(元々Spotifyでビジネスディベロップメント部門のトップを務めていた)とOle Sars(Beatsの共同ファウンダー)によって設立された。彼らは以前在籍していた企業でも起業仲間を募っていたが、ふたりともエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスに大きな可能性を感じているということがわかり、ふたりでSYBを立ち上げることに決めた。多くのお店は、数が限られていながら面白みに欠け、ときには法に触れる可能性のある選択肢の中からBGMをかける手段を選ばなければならず、彼らはその問題を解決しようとしているのだ。

一般的には、お店の人が自分でまとめたCDやミックステープが店内でかかっていることが多い。中にはそのようなメディアを送ってくれるサービスもあるが、どちらも曲をアップデートする手間やコストを考えると理想的な方法とは言えない。ほかにも衛星・無線ラジオをかけているお店もあるが、この方法だと自分で曲を選ぶことができない。さらにSpotifyのような音楽ストリーミングサービスは、非商業目的の個人利用しか許可していないので、この方法をとると法律を破ってしまうことになる。

確かにエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスのニーズはあるようだが、だからといってSYBだけがそれに気付いたわけではない。Mood Media(Muzakの親会社で、アメリカではPandoraとパートナーシップを結んでいる)やPlay Network(Soundtrack Your Brandの投資家でもある)のほか、イギリスのImageSoundなどヨーロッパにも競合企業は存在する。

しかしLiffgardenとSarsは、SYBのサービスには他社とは違う点がいくつかあると言う。

まず第一に、同社のサービスを利用したい場合はサインアップするだけでよく、既にお店にある音響システムとインターネット環境を除けば、追加でハードウェアを準備する必要はない。料金は月々34.99ユーロ(37ドル)に設定されている。

次は提供されている楽曲数と、楽曲に関する同社の将来的なプランだ。世界中に5000〜6000万曲が存在すると言われている中、コンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの中には3000万曲もの楽曲を揃えているものもある。しかし話の本題はここからだ。

ほとんどのストリーミングサービスに関し、繰り返し再生されている人気曲の数はせいぜい「数百万」曲だとLiffgardenは話す。「去年私たちのサービス経由で20万曲が再生されており、競合サービスの再生曲数も同じくらいでした」と彼は付け加える。SYBの競合サービスが現在配信している楽曲の数は約100万曲ほどで、SYBもSpotifyやPlayNetworkのようなプラットフォームと手を組んで、大体同じくらいの数の楽曲を配信できるよう現在リライセンスの努力を重ねている。

しかしSYBは、長期的には直接レコード会社とライセンス契約を結んでいきたいと考えている。Spotifyのような企業にとってライセンス契約は悩みの種となっており、ある情報筋によれば、Spotifyは利益を増やすために現在レコード会社と契約内容の変更について交渉しているという。

一方、今まさにレコード会社との契約交渉を進めているLiffgardenとSarsは、SYBがエンタープライズ向けサービスであることから、Spotifyと彼らの事情は違うと説明する。コンシューマー向けサービスに比べて、エンタープライズ向けは利用場面が限られていることから、同社は最終的に1500万曲程度のライセンス契約を結べればいいと考えているのだ。

これだけの楽曲数があれば、サービス内容においてSYBは競合との差を大きく広げられるだろう。さらに他のプラットフォームへの依存度も抑えることができる(これこそ以前同業界で活躍していたSoundropがサービスを続けられなかった理由のひとつで、Spotifyがプラットフォーム上でのアプリのサポートを終了した途端に、彼らのサービスは使えなくなってしまった)。

さらに競合他社に比べて高く設定されたユーザー当たりの料金も、最終的にSYBの利益率向上に貢献するだろう。

SYBが競合を打ち負かそうとしているポイントの3つめが、顧客に提供しているサービスだ。もちろん顧客は、同社が予め準備したプレイリストを流したり、好きな曲をオンデマンドでかけることができる。

しかしSYBはビッグデータやデータ解析の技術を利用し、顧客の売上や来客数、さらには店舗での滞在時間を増加させるため(さらには、もしかしたらお客さんをはやく店から出ていかせるため)にどの曲をかければいいのかという、選曲サポートサービスまで提供しようとしているのだ。

これはもはや音楽サービスの域を超えているとSarsは言う。「このサービスが完成すれば、小売テクノロジーやビジネスのデジタル化というもっと大きな領域に進出していくことになります」

以前TechCrunchではSYBに対して、なぜSpotifyは自社の幹部にSYBのようなサービスをB2B事業として社内で開発するよう促さなかったのかと尋ねた。その答えは今も変わっておらず、なかなか興味深いものだ。簡単に言えば、Spotifyはコアとなるコンシューマー向け事業を確立し、拡大していくことに現在注力しており、エンタープライズ向け事業をはじめるのに必要な交渉や戦略、リソースについて考えている暇がないのだ。

その一方で、皮肉なことにSYBは成長を続け、他サービスから独立しようとしているが、SpotifyはSYBが成長すれば投資家としてその恩恵にあずかれるため、最終的に両社はWin-Winの関係にあると言える。さらに万が一Spotifyがエンタープライズ向けサービスをはじめたいと思ったときのために、おそらくSYBの買収に関し、Spotifyは何らかの拒否権を持っていると私は考えている。

SYBがレコード会社と独自のライセンス契約を結ぼうとしているというのも、私の考えと辻褄が合う。彼らは独立した契約をレコード会社と結ぼうとしており(現在のところSYBは北欧外ではPlayNetworkの楽曲を利用している)、これが形になれば、SYBがSpotifyやその他の企業に買収されたとしても、契約内容について再度交渉しなくてすむ。

なお、今回のラウンドを受けて、以前はUberとDropboxでモバイル部門のトップを務めていたBaldertonのLars Fjeldsoe-Nielsenが、SYBの取締役に就任することとなった。

「私はこれまでディスラプションが起きるのを間近で見てきました。Dropboxはストレージサービスを変え、コンシューマー向けからエンタープライズ向けへの転換を果たしました。一方、Uberは私たちの交通手段に対する考え方を大きく変えました。今度は、Soundtrack Your BrandがBGMを変えていくでしょう」と彼は声明の中で語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Amazonが企業用のビデオ会議サービスChimeをAWSから提供、エンタープライズ顧客のつなぎとめ策か

Amazon corporate office building in Sunnyvale, California

Amazonが今日(米国時間2/13)、同社のSkype対抗サービスChimeを発表した。それはAWSが提供するビデオ会議とコミュニケーションのサービスで、主に企業ユーザーがねらいだ。

単なるVoIP電話やビデオによるメッセージングだけでなく、Chimeには仮想ミーティング機能があり、ユーザーはこのサービスを利用してリモートミーティングを主催したり、参加できる。料金はユーザー一人月額2ドル50セントからで、ビデオや画面の共有など高度な機能も含めると最高月額が15ドルになる。ベーシックな機能だけなら無料だが、それでできるのはビデオ電話と二人だけのチャットのみだ。

ChimeはWindows, MacOS, iOS, そしてAndroidデバイス上で利用できる。

これはAmazonがSkype for businessやGoogle Hangoutsのようなものを提供する、という単純な話にとどまらず、AWSがGoToMeetingやCisco(WebEx)などと伍して仮想ミーティングの管理サービスに乗り出す、という事案でもある。

AWSのエンタープライズアプリケーション担当VP Gene Farrellが、今日の発表声明でこう言っている: “企業の仮想ミーティングは、今使っている技術に満足していないユーザーがとても多い。使いづらいアプリケーションやサービスが多く、オーディオやビデオの質も悪く、やりたいことをやるためには、複数のツールを頻繁に切り替えながら使わなければならない。しかもそれでいて、料金は異様に高い”。

本誌のエンタープライズ担当ライターRon Millerが今週書いているように、AWSはクラウドサービスではすでに巨人だ。今回Chimeでもってエンドユーザーサービスに進出するのも、競争激化の中でエンタープライズ顧客をもっとしっかりつかまえておきたい、という意思の表れだろう。Microsoft、Google、それにAlibabaのような新参者すら、AWSから顧客を奪おうと必死だ。しかもそのAWSは今や、Amazonの経営の柱と呼んでも過言ではないほどの、財務的優等生だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

上水道プラントなど重要な公共施設を人質に取るランサムウェアをジョージア工科大の研究者たちがシミュレート

Aerial shot of factory in Houston, Texas

ジョージア工科大学の研究者たちが、私たちにとって非常に重要なものを攻撃するランサムウェアを作った。その重要なものとは、上水道施設だ。彼らのプログラムは、彼らがモデルとして作った上水道プラントに自分で自分をインストールし、‘犯人’である研究者たちは、塩素の量を変える、水の弁を閉じる、モニタリングシステムに嘘の値を送る、などのことができた。

博士課程の学生でこの研究の共同主導者であるDavid Formbyは語る: “データに危害を加えるだけでなく、制御システムも狂わすような、“高度な”ランサムウェアを作った。それがあれば加害者は水道施設や製造工場のような重要なシステムを人質に取ることができる。彼らは、それらのシステムが使っているPLCを狂わすことをねらうだろう。今回のシミュレーションでは、そんな攻撃を想定した”。

それらの施設のシステムには、妨害を防ぐセキュリティ機構は当然あるが、研究者たちの所見では、インターネットに接続されていて、外部からある程度のいたずらのできるPLCが約1400個あった。たった一つのマルウェアが、それらすべてをハックできるだろう、という。

“何がインターネットに接続されているか、に関して、現場は誤解している”、とFormbyは語る。“オペレーターたちは、システムは外部に対して遮断されているから、外部からコントローラにアクセスできない、と信じている。しかし、よく見ると、どこかに、予期せぬ形で接続があるんだ”。

加害者は、フィッシング攻撃でファイヤーウォールをくぐり抜けることさえできれば、施設全体、工場全体のPLCをインターネットに接続させて狂わせることができる。マシンが今たまたま接続していなくても、接続のための能力さえあれば餌食になる。昔は、あらゆるものをリモートでコントロールすることが夢だったから、そんな時代のレガシーのIoTは、わずかなキーボード操作で簡単に殺せる。可能性としての被害の規模は、おそろしく大きい。

“われわれが今回シミュレートしたのは、システムのそういう脆弱な部分にアクセスして水道施設を人質に取り、身代金(ランサム, ransom)を払わないと水に大量の塩素をぶち込むぞ、と脅すようなハッカーだ”、とFormbyは語る。

研究者たちは今日(米国時間2/13)、サンフランシスコで開かれたRSA関連のカンファレンスで、彼らのやったことを説明している。

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Google Cloudは新作のWindows VMで長年のMicrosoft顧客を取り込む努力へ

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Googleは今日発表したいくつかの新製品により、会社のデータセンターでWindowsを使っているITのプロフェッショナルたちをGoogle Cloud Platform(GCP)に誘いこもうとしている。

その魂胆でGoogleはまず、Microsoft SQL Server EnterpriseとWindows Server Coreを同社のCloud Platformでサポートする。同時に同社は、クラウド上で重要なオペレーションを動かしている顧客の可用性と事故復旧に関する懸念に応えて、SQL Server Alway-On Availability Groupのサポートも行う。

これによってITのプロたちは、これらのMicrosoftプロダクトが動いている構成済みの仮想マシンを、Google Cloud Platform上にローンチできるようになる。それらは、時間制で課金されるが、SQL Serverのライセンスは、彼らの既有のものをそのまま使える。

Google Cloud Developer Toolsの主席プロダクトマネージャーChris Sellsによるとこれは、Windows製品をGCP上でサポートする大きな戦略の一環だ。彼によると、最初はとにかく、これらのWindowsプロダクトを動かしているエンタープライズ顧客に、Googleが十分対応できることを見せつける。しかもそれは、昨年GoogleがSQL Server 2008と2012のサポートを開始したときに始まった、大局的な取り組みの一環でもある。今日の発表は、それの、さらなる拡張にすぎない。

おそらくもっと重要なのは、Microsoftの製品は使うけどMicrosoftに縛られたくはない、という企業に、Googleが格好の代替選択肢を提供することだ。“Microsoftにもこれらの能力はあるし彼らはWindowsとSQL Serverのオーナーでもある。しかし最近では、Microsoftに代わるものを求める企業がとても多くなっている”、とSellsは述べる。そこでGCPは、そんな人たちを自分のプラットホームへ誘惑したいのだ。

2015年の後半にGoogleは、Diane GreenをGoogle Cloudのトップとして招聘したが、大きな変革はその時点から始まった。Greeneはエンタープライズ経験のベテランであり、VMwareの協同ファウンダー/CEOでもあった。昨年の春Greeneは本誌に、“これからのエンタープライズはものすごくおもしろい”、と語った。つまりエンタープライズ指向はGoogle全体としての今および今後の方向性であり、彼女はGoogle Cloud Platformでその一翼を担いたいのだ。

Sellsによると、今回の発表もGreeneのエンタープライズビジョンの実現努力の一環だ。Google全体のエンタープライズ指向から見ればまだ小さな努力にすぎないが、伝統的なエンタープライズ市場のマーケットシェアをGoogleが少しでも削りとり、それを同社のクラウドへ連れ込もうとする、周到な取り組みの一環だ。

“彼らが自分のデータを置く場所として、GCPは最良の場所でありたい。そしてそれらのデータが、SQL Serverに載っていようが、何に載っていようが、何でもそのままサポートできることを、実感してもらいたい”。

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GoogleのG Suiteでアドミンのためのセキュリティ管理機能が拡充、企業ユーザーに安心感を持ってもらうため

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今や300万あまりの企業が有料で、Googleの生産性アプリケーションG Suiteを使っている。今日(米国時間1/31)同社は、これらの企業のデータが同社のプラットホーム上で安全であるために、いくつかのセキュリティ機能をローンチした。

たとえばこれからのアドミンは、ユーザーがYubicoなどの物理的なセキュリティキーを使うよう強制できる。さらにそんなキーの展開配布形式を管理できるし、利用報告書も入手できる。Googleによると、オンライン決済サービスのStripeはすでにこの機能を利用しており、Security Keyを新たなセキュリティレイヤ(層)として加えることによって、社員をフィッシングの被害から防いでいる。

また今回のアップデートでGoogleは、データ喪失防止サービス(data loss prevention, DLP)をGmail以外にも拡大した。言い換えるとこれからは、DLPがサポートされるのはGmailだけではない。アドミンはDLPをGoogleドライブで有効にできる。Gmailの場合と同じくDriveでも、社員が間違いや意図的に機密データを外部と共有できないようにする。ルールは文書の内容だけでなく、画像についても指定できる(OCRを使用)。

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メールのセキュリティの改良としては、今度からはS/MIMIの暗号化に企業が独自の証明を利用できる。また、Gmailの検索をBigQueryで容易にできるようになった。さらに、メールをGmailやGoogle Vaultの外にアーカイブしたい企業は、HP AutonomyやVeritasなどのサードパーティのサービスを、前よりも容易に統合できる。

最近のG Suiteの機能拡充は、今回のセキュリティ機能も含めて、企業が自分で独自のサービスをホストしたり、競合他社のサービスを利用する理由を、なくそうなくそうと努力している。

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Googleが近くGoogle Earth Enterpriseをオープンソース化、ユーザーのクラウドへの移行を誘導

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Google Earth Enterpriseは10年あまり前にローンチし、Google EarthとGoogle Mapsのプライベートバージョンを作りホストして、自前の地理空間的アプリケーションを提供したいと考える企業のツールとして利用されてきた。2015年に同社は、そのサービスを2017年に閉鎖すると発表したが、廃れるプロダクトの通例としてGoogleは今週、Google Earth Enterprise(GEE)の中核的なツールのすべてをオープンソースにする、と発表した

これによりGEE Fusion, Server, そしてPortable Server(全部で47万行のコード)がGitHub上で3月からApache 2のライセンスで利用できる。GEE ClientやGoogle Maps JavaScript API V3、およびGoogle Earth APIはオープンソースにならないが、Enterprise Clientのアップデートは今後も継続する。

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Googleとしては、既存のGEEユーザーはGoogle Cloud PlatformとGoogle Earth Engineに移行してもらいたいところだが、近く廃止されてもGEEから離れたくないユーザーもいる。当然ながら同社が今回の発表をしたのも、同社のクラウドベースの地理空間的サービスを宣伝し、この新しいアプローチがパブリックなデータセットへのより柔軟性に富んだ、そしてより容易なアクセスをユーザーに提供する、と言いたいからだ。

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Slack、Enterprise Gridで大企業向けコミュニケーションのトップを狙う―SAPと提携、ボットも導入へ

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企業向けチャット、ファイル共有サービスのSlackはわずか3年前にスタートしたにもかかわらず目覚ましい勢いで成長し、今や1日当たりアクティブ・ユーザー500万人、うち有料ユーザー150万人となっている。今日(米国時間1/31)、Slackは最大50万人までの企業を対象とする新しいサービスをリリースした。同社は巨大企業においてもコミュニケーションのデファクト標準の地位を占めるべく、さらに一歩を踏み出したようだ。

SlackがスタートさせたEnterprise Gridは非常に巨大な企業、組織をターゲットにした新しいサービスだ。

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Enterprise Gridは約1年前から開発が行われており、Slackのもっとも野心的なプロジェクトだ。単に利用可能なユーザー数が事実上無制限なエンタープライズ版のSlackというだけでなく、既存のサービスにない機能も追加されている。

今日現在はまだローンチされていないが、Enterprise Gridに追加される機能には、強化された検索、ビジネス・インテリジェス、アナリティクス・ツールが含まれる。これらは今年、順次公開される予定だ。Enterprise GridのユーザーはSlackに関連付けられた全情報を横断的に検索できる。また探している対象に関連するコンテンツや人物を提示してくれる。こうした能力によってSlackは企業横断的な対話的知識ベースのプラットフォームとなることを目指している。

Enterprise Gridは今日から利用できる。Slackの発表によれば当初のユーザーには金融大手のCapital One、オンライン支払サービスのPaypal、それにIBMなどが含まれるという。

IBM自身が独自の大企業向け共同作業プラットフォーム、 IBM Connectionsを販売していることを考えると、同社が ローンチ・ユーザーに加わっていることが特に興味深い。またIBMはAIビジネスでもパイオニアの一社であり、企業向け知識ベースとしてWatson Workspaceを持っている。企業知識ベースのライバルとなる可能性があるのはFacebookのWorkplace、MicrosoftのTeams、Jive、CiscoのSparkなどだろう。

Enterprise Gridに追加が予定されている諸機能は、一言でいえば、最新のエンタープライズ向けコミュニケーション・ソフトウェアに必須とされるサービスのセットだ。

企業のIT管理者は複数の大型チームにコミュニケーションやコンピューティング能力を供給し、適正に管理しなければならない。Slackはすでに暗号化機能を提供しているが、これも含めてエンタープライズ・プラットフォームには多階層のセキュリティー、認証システムが求められる。。ユーザー管理と認証については、Okta、OneLogin、Ping Identity/ Federate、MSFT Azure、Bitium、LastPass、Centrify、Clearlogin、Auth0などを利用できるレイヤーが必要だ。各種のコンプライアンスが必要とされるが、特に医療データのHIPAA、金融データのFINRAに対するコンプライアンスが重要だ。データ整合性のチェックとデータ漏洩の防止レイヤーはPaloAlto Networks、Bloomberg Vault、Skyhigh、Netskope、KCurのRelativity、Smarshなどをサポートできなければならない。

こうした諸機能に加えてSlackはSAPとも提携し、SAPはユーザー企業向けに開発するボットを利用する。Concurという出張および経費に関するボット、パフォーマンス管理のSuccessFactorsボット、HANAクラウド・プラットフォームの利用に関するボットが最初の3件となる見込みだ。SAPボットは新しいEnterprise Gridだけでなく、Slackの全サービスで利用可能になるらしい。

Slackが新サービスをGrid〔格子〕と名付けた理由だが、 そのコンセプトはこういうもののようだ。つまり大企業にはいくつもグループが存在し、それぞれのグループは必要があれば相互にコミュニケーションできなければならないが、通常は各個に独立の組織のように振る舞うのが普通だ。つまり何千人ものユーザーが存在するプラットフォームの場合、すべてのコミュニケーションを1か所に集めるのは不適切だ。それでは情報が過多でノイズが耐え難いものになってしまう。

Slackのプロダクト担当副社長、April Underwoodは「Slackはチームとして緊密で多様なコミュニケーション・プラットフォームである必要があるが、同時に他のチームとのコミュニケーションではメールを利用してもよい」とGridの発表イベントで述べた。

現在通常のSlackではチャンネルを新設した場合、チームのメンバーは誰でもチャンネルにメンバーを招待できる。Enterprise Gridではそれぞれのチームに管理者がおり、管理者のみが新たなメンバーを追加できる。チームの管理者の上位に全社的なIT管理者が存在し、下位の管理者の権限やチーム間のコミュニケーション方法の設定を含め、全システムを管理することになる。

現在何十万もの企業がSlackを利用しているが、そのうちどれほどがEnterprise Gridに移行を希望するかがSlackにとって重要な問題だ。私の取材に対してUnderwoodは「SlackはGridをユーザー企業に直接販売し、既存ITシステムとのインテグレーションもSlack自身が行う予定だ」と語った。エンタープライズ・ソフトの場合、販売やサポートはシステム・インテグレーターを介するのが普通だが、まだそうした販売チャンネルは設定されていないという。

Constellation Researchのアナリスト、Alan Lepofskyは「Slacが現在必要としているのは特定のビジネス分野に特化したアプローチだろう。対象とするセグメントにおけるブランド、信頼性を確立する必要がある」と語った。

「Slackはビジネス分野ごとに垂直統合を進める必要がある。〔現在は〕万人向けの汎用的なアプローチだが、Gridは製薬、金融、製造業などそれぞれの分野の特徴を理解し、特有のニーズを認識しなければならないだろう。業務のサイクル、サポートなど垂直分野ごとに大きく異なる」とLepofskyは言う。

Enterprise Gridの料金は明らかされていない。通常のSlackは1ユーザーあたり月8ドルと15ドルの2バージョンがある。新サービスの料金について興味がある場合はSlackに直接問い合わせることとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NokiaのMIKAは技術者や通信企業のオペレーターのためのデジタルアシスタント、一度断念したスマートフォンに再挑戦

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Nokiaは同社の音声アシスタントに、とてもかわいい名前をつけた。MIKAちゃんだ。MIKAは、“Multi-purpose Intuitive Knowledge Assistant”(多目的で直感的な知識アシスタント)の頭字語で、ちょっと変わっているのは、一般消費者よりも技術者や通信企業のオペレーターなどが音声コマンドで情報にアクセスするために利用することだ。

そのシステムは同社の認識サービスが駆動し、“自動学習能力のある拡張インテリジェンスがさまざまな分野のツールやドキュメント、そしてデータソースへのアクセスを提供する”、ということだ。

つまりMIKAは、技術者の質問に、ほかのネットワークから引き出した経験に基づいて素早く答を提供する。SiriやAlexaとあまり違いはないが、スマート電球を点灯したり、ユーザーの地元の天気予報を調べたりではなくて、技術的な質問に答える。

この発表は、同社が数週間後に迫っているMobile World Congressの準備に追われているさなかに行われた。その世界最大のスマートフォン・ショウでは、昔愛されていたブランドの、スマートフォン分野への本格的な復帰が見られるだろう。同社はその事業を、一度、軽率にも捨ててしまったのだが。

もちろん、ブランドはNokiaでも会社はHMDだ。そしてNokiaの名は元Nokiaの社員たちが地元フィンランドに作った企業からライセンスされる。でもそれらのデバイスには、NokiaのアシスタントよりもGoogle Assistantが似合うのではないかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

出張者の味方、TripActionsが1460万ドルを調達

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TripActionsは企業が交通費をもっと削減できるはずだと考えている。このミッションを達成するために、同社はZeev VenturesとLightspeed Venture Partnersから1460万ドルを調達した。

会社から支払われるとなると余計なお金を使う人が多いのではないかという考えのもと、 TripActionsは目標予算以内でやりくりする社員にリワードを与えるサービスを提供している。「TripBucks」と呼ばれるこのリワードは、Amazonのギフトカードなどと交換可能だ。

最近正式にローンチしたTripActionsは、ホテルや航空券を予約できるKayakのようなプラットフォームだ。シンプルなつくりのプラットフォームで、Concurなどの既存プレイヤーに挑戦しようとしている同社は、すでにSurveyMonkeyやeHarmonyなどをクライアントとして抱えている。

TripActions以外にも、リワード制を利用して企業の交通費削減をサポートするサービスは存在する。具体的にはRocketripTravelBankがTripActionsの競合企業の例として挙げられる。

TripActionsのCEO兼共同ファウンダーのAriel Cohenは、他社とTripActionsの違いは「モバイルフォーカス」そして「オプションの多さ」にあると言う。同社はさらにパーソナリゼーション機能を拡充しようとしている。

Lightspeedでパートナーを務めるArif Janmohamedは、従来のエンタープライズ向け予約プラットフォームに「不満を抱いている人が多い」ため、同社のアイディアを気に入ったと話す。彼はTripActionsのユーザーはすぐにどのくらい節約できたかを把握できるため、競合のプロダクトに比べて「すぐに成果があらわれ、見える化を促進している」と彼は感じたのだ。

TripActionsは企業からの予約手数料のみを収益源にしており、実際にサービスを利用する社員は追加で料金を支払う必要がない。一方競合の中には、定期的に発生する利用料を設定している企業が多い。

「私がTripActionsにひかれたポイントは、古臭いオプションで溢れた業界にディスラプションを起こし、企業にとってのメリットと共に現代的な仕組みで社員に多彩な選択肢を提供しているという点です」とZeev VenturesのOren Zeevは同社への投資を決めた理由について説明する。「TripActionsは社員に新たなオプションを与えながら、会社のお金を節約するインセンティブを生み出したんです」

Menlo Parkの投資を受けたTripActionsは2015年にローンチしたが、これまでは「ステルスモード」で営業していた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Slackが会話にスレッド化を導入―エンタープライズ・チャットが大きく進化

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今日(米国時間1/18)、Slackはついに会話のスレッド化という大きなアップデートを行った。ユーザーはスレッドを用いるとメッセージのカオスから離脱して、特定の投稿に対する受け答えを着実に続行することができる。スレッドの利用は簡単で、既存のチャンネルやダイレクト・メッセージと同様、スレッドの開始も参加も簡単にできる。新しいコメントをメインのストリームでも共有したい場合、メッセージの下部に表示される小さいチェックボックスをクリックしておけばよい。

Slackは誕生以來ずっとこの上なくシンプルな企業向けコミュニケーション・ツールとして人気を集めてきた。あちこち改良が行われたが、全体として変化は少なかった。こうした「シンプルで使いやすい」ことがセールスポイントのサービスが大きなアップデートを行うときには―たとえ多くのユーザーが望んでいる方向への変化であっても―慎重にならざるを得なかったのだろう。

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スレッドが表示されるのはSlackがFlexpaneと名付けた右側の多機能サイドバーだ。從來この部分にはメンバーのディレクトリ、最新のアクティビティーなどを表示させることができた。スレッドを開始するのはごく簡単だ。投稿されたメッセージの上にマウスを乗せると、投稿右上部に「リアクションを追加」などのアイコンが表示される。今回ここに「スレッドを開始」のアイコンが追加されたので、クリックすればよい。右側にサイドバーが開き、ここでスレッドによる会話を続行することができる。【略】

スレッドは多くのユーザーが長いあいだSlackに要求していた機能だった。Convoなどライバルの企業向け共同作業ツールにはスレッドをサポートしているプロダクトも多い。スレッド化はSlackの競争力を高め、Slackを少し試しただけで離れてしまったユーザーを引き戻す上でも重要だと考えられていた。スレッド機能の開発には1年以上かかったものの、Slackはこれで単に使いやすいチャット・ツールというだけでなく、企業向けのフル機能の共同作業プラットフォームとなった。

Slackはスタート以來、ユーザー体験を変えるような大きな変更を行ってこなかった。シリコンバレーのスタートアップとしては希なことで、Skackが高い人気を得ている理由のひとつにもなっている。昨年4月に2億ドルを調達したときの.Slackの企業評価額は38億ドルにも上った。最近の大きなアップデートといえば、サードパーティーのデベロッパーがボットを開発することができるプラットフォームが提供されたことぐらいだった。

騒がしいメインストリームの会話から離れて個別の話題をスレッド化できる機能の提供は、Slackの規模が拡大するにつれて必要性を増していた数多くの新たなユースケースを提供するだろう。Slackにスレッド機能がないことは小人数のチームが利用するだけならあまり気にならなかったかもしれない。しかし大企業が全社的に採用するようになるとユーザーのメイン・パネルは会話の奔流となり、理解が難しくなっていた。Slackではチャンネルの追加やプライベートな会話も可能だが、これも開いてみるとどこかで拾ってきたつまらないGIFしかアップされていないことがある。スレッド化は使い方をシンプルに保ったままメイン・パネルのノイズを脇に追いやることができる機能として歓迎されるだろう。

スレッドはモバイル・アプリからも利用可能だ。Slackは企業内のわれわれの現実のコミュニケーションの行動をオンラインで再現する試みだ。それだけにSlackのプロダクト責任者、Paul Rosaniaは「スレッド機能はSlackのメイン・パネルの機能をすっかり代替するものではない」と注意する。

「われわれはスレッドをメッセージの中心にしようとしているわけではない。もしそうならスレッドを〔必要に応じて表示される右サイドバーではなく〕もっと目立つ位置に実装しただろう。スレッドは從來の機能では対処が難しいユースケースに対処するためのものだ。メインのパネルに流れる情報量が多すぎる場合、会話が困難になることがある。メイン・パネルの情報量には適正な上限があるのだろう」とRosaniaは述べた。

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スレッド機能はまだ全ユーザーに公開されているわけではない。【略】 「ユーザーがこの機能を実際にどのくらい利用してくれるかまだわれわれには判断できない。しかしこういう機能をユーザーが必要としていたことは確かだ」とSlackの副社長、April Underwoodは語った。

〔日本版〕Slackのヘルプセンターのスレッド機能の説明によれば、「スレッドはここ数日かけて徐々に全ユーザーに公開される予定。 Slackをアップデートしてもスレッド化機能が表示されない場合はもう少しお待ちください」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビジネスマン向け言語学習サービスLingo Liveが520万ドルを調達

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CD-ROMの教材やRosetta Stoneが最新技術と考えられていた90年代からこれまでに、数々のスタートアップが人間の教師無しでの言語学習を実現すべく努力を重ねてきた。ソーシャルメディアとスマートフォンが普及すると、DuolingoOKPandaLingua.lyといった新たな言語学習アプリが次々に登場した。しかしLingo Live CEOのTyler Museは、人間の教師や課題ベースの授業無くして仕事で使えるレベルの言語を習得することは不可能だと主張する。

学習プラットフォームも含め、ほとんどの言語学習アプリは、非母国語の学習において基礎的なレベルの言語習得しかサポートできないとMuseは言うのだ。一方Lingo Liveはビジネスマンを対象に、リーダシップを発揮する場で必要な言語能力およびコミュニケーションスキルを習得するサポートを行っている。この度同社はシリーズAで520万ドルを調達し、高い潜在能力をもったプロフェッショナルのための言語教師のマーケットプレイスを拡大しようとしている。

ニューヨークに拠点を置くLingo Liveは、現在EventbriteからTwitterやHoliday Innまでさまざまな顧客にサービスを提供している。Museは同社のサービス内容について次のように説明する。「Lingo Liveは、単なる言語学習を超えて生徒とコーチのマッチングを行っています。私たちのサービスでは、生徒の学習スタイルや目標、さらには特にどんなスキルを向上させたいかや、生徒が希望するタイミングに応じて授業が提供されています。また簡潔なメールを書くためのスキルや素晴らしいスピーチをするためのスキルなど、生徒は自分が伸ばしたいスキルを選ぶことができます」

Lingo Liveのプラットフォームはパソコンからでもモバイル端末からでもアクセスでき、生徒は好きな時間にオンラインのライブセッションでコーチの指導を受けることができる。Museによれば、顧客企業は従業員の人数に応じた料金を支払うようになっており、通常6〜12ヶ月のコースを選択することが多いが、1ヶ月という短期間でのブラッシュアップコースも用意されている。

Lingo Live CEO Tyler Muse

Lingo Live CEO Tyler Muse

Owl Venturesがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、既存の投資家であるEntrepreneurs Expansion FundAlpine Meridian VenturesFresco Capitalも参加していた。投資家の傾向として、エドテックやエンタープライズ向けソフトウェアの分野を中心に投資活動を行っている企業が目立つ。シリーズAの前に行われたシードラウンドで100万ドルを調達したLingo Liveは、現在本社を置くニューヨークでEntrepreneurs Roundtableのアクセラレータープログラムに参加していた。

Owl VenturesパートナーのAmit Patelは、Lingo Liveの素晴らしい経営指標を見て投資を決めたと話す。Lingo Liveの売上は2014年のローンチから継続的に毎月20%伸びているほか、これまでに180人のコーチのトレーニングを行い、彼らはLingo Liveが開発した課題ベースのカリキュラムに沿って授業を行っている。また生徒の満足度は全体で98%を記録しており、ほとんどの生徒は英語のネイティブスピーカーではないが、フランス語、日本語、中国語(普通語)、ポルトガル語、スペイン語でもコースが行われている。

「グローバル経済では、発達・学習の分野で”言語の負債”として呼ばれるものを企業が回避できるようにサポートすることが重要になってきています」とPatelは語る。

今回調達した資金は、人員増強やコーチのトレーニング、生徒とコーチのマッチングを行うアルゴリズムの改善、マーケティングなどに使われる予定だとMuseは話す。また長期的には、世界中にオフィスを設立し、プラットフォームに新たな言語を追加するほか、現在用意されているコースを応用し、英語のネイティブスピーカー向けにコミュニケーションスキル向上を目的としたコースを提供していきたいと考えている。

Lingo Liveの競合は必ずしも言語学習アプリではなく、むしろBerlitzやEducation Firstといったエンタープライズ向けの言語教育ビジネスだと言える。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

MicrosoftがOffice 365の一部としてStaffHubアプリケーションをローンチ、シフト勤務に柔軟に対応

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Microsoftは本日(米国時間12日)Office 365スイートへの最新の追加機能であるStaffHubを発表した。これはシフト勤務で働く労働者と管理者を支援するためのアプリケーションだ。このアプリケーションは、基本的にデスクトップコンピュータでは作業せず、週ごとに違うスケジュールで働く従業員たちに向けたものである。例えば小売業、ホスピタリティ産業、レストラン業、その他の業務形態だ。

このプログラムは、もともとは昨年の秋に、一般公開に先立ち利用者からのフィードバックを集めることを目的に、「プレビュー」という形で導入されたものだ。プレビューの導入後、1000を超えるビジネスがそのサービスに登録を行ってきた、その中にはカリフォルニアの大規模ワイナリーや、運営するホテルの従業員を対象に用いているホスピタリティ企業なども含まれている。

Office 365のジェネラルマネージャーBryan Goodeの説明によれば、StaffHubのようなソフトウェアプラットフォームを使った、シフト勤務従業員のニーズへの対応を、Microsoftは未開拓の市場であると考えているということだ。

「世界では、5億人のスタッフが現場で働いています」と彼は言う。「にもかかわらず、ほとんどの企業は、こうした人たちのためのデジタルツールを提供していません。しかし多くの企業が、そうしたオフラインプロセスのいくつかをオンラインへと移行することの利点に気付き始めています」。

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しかし、StaffHubが本当に立ち向かおうとしているのは、物事の古いやり方だ。例えばGoodeが指摘するのは、紙のスケジュール、掲示板、電話、その他の手作業などだ。

作業環境における、こうした異なる種類のニーズに対応するために、StaffHubはスケジュールに着目しそれをオンラインで管理する。しかし、それは単なる新しいカレンダーアプリケーションというわけではない。

デスクトップ、またはノートブックコンピューターにアクセスする管理者は、ウェブ版のStaffHubを使って、スタッフの予定を作成する。しかし従業員たちはほとんどの場合、自分の携帯電話だけからアクセスを行う。

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シフトを追加する際に管理者は、(「日勤」、「始業準備」、「夜勤」といった)カスタムラベルや色分け機能を用いて、シフトの種類を区別することができる。またそのシフト中に行われるべき作業についてのメモを入力することも可能だ。

プログラムはまた、「前回のスケジュールをコピーする」機能を提供することで、週毎のシフト更新作業を軽減する。管理者はこの機能を用いて先週のシフトに対して変更作業を行っていくことが可能となる。

スケジュールは必要に応じて、日、週または月単位で表示することができる。さらにプログラムは、休日、休暇、病欠その他の一般的な要求を処理するためのツールも提供している。

staffhub-timeoffStaffHubはモバイルデバイスを使うことで更に興味深いものになる。

様々な点でSlackとの比較を行うことが可能だが、質問してみたところ、MicorosoftはSlackを競合相手だとは思っていないと答えた。

しかし、2つのプログラムの間には多くの重複する特徴がある。スタッフ同士はプライベートに1対1のアプリ内チャットを行うことが可能で、アプリはまた複数のグループチャットも扱うことができる。

たとえば、管理者はチームチャットを用いて、非公式なお知らせを行ったり、ファイルを共有したりすることができる。チャットは写真共有もサポートしていて、対処が必要な現場の状況を管理者に伝える際に重宝する。

それに加えて、アプリは内部のリソースを共有するために使うことができる。例えば、SharePoint上の従業員ハンドブックや、コンピューターからアップロードされたファイル、そしてDropboxのような他のクラウドサービス上に保存されている動画やファイルなどだ。クリックすれば、ファイルがその場に表示されるため、従業員たちが携帯電話の上でそれらを閲覧することが容易に行える。

さらにMicrosoftは、StaffHubを各種のアプリを支えるプラットフォームとして想定していて、これもまたSlackと類似している点である。とはいえ、Microsoftが注力するのは、例えば、タイムカードアプリケーションのような業務アプリケーションとの接続だ(なので、これは「GIF抜きのSlack」のようなものなのだ。これは対象としている市場に対してアピールする部分もあるだろう)。

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スタッフはモバイルアプリの中で、他の従業員とシフトを交換したり、休日申請を行ったりすることができる。申請は承認のために管理者へ送られる。こうした申請と承認の結果は、他の更新やプライベートノート、そしてチャットなどと共に、ユーザーに対してプッシュ通知で行われる。

ソフトウェアはOffice 365の一般法人向けライセンスの一部として既に利用可能になっている。(日本の場合、Office 365 Business/Business Premium/Business Essentialsが対象となる)。

StaffHubはウェブ、iOS、Androidで提供され、利用可能な言語は、中国語(簡体字)、英語、スペイン語、ロシア語、日本語、フランス語、ブラジルポルトガル語、ドイツ語、韓国語、イタリア語、中国語(繁体字)、オランダ語、トルコ語、スウェーデン語、デンマーク語である。

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(翻訳:Sako)

つねに一歩先を見ながらやっていける農業経営をデータ分析で支えるFarmLogsが早くもシリーズCで$22Mを調達

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収穫量の計算、利益予測、天候被害や害虫/疫病対策など、農家の経営のさまざまな側面を支えるミシガン州アンアーバーのFarmLogsが、立ち上げから4年で早くもシリーズCの資金調達ラウンドを迎え、2200万ドルを獲得した。ラウンドをリードしたのはNaspers Venturesで、同社の初期の投資家Drive Capital, Huron River Ventures, Hyde Park Venture Partners, SV Angel, それにY Combinatorの社長Sam Altmanのような個人も参加した。

FarmLogsのCEOで協同ファウンダーのJesse Vollmarによると、Y Combinatorのアクセラレータ事業を2012年に卒業した同社はその後、衛星画像およびデータの分析利用に重点投資をしてきた。それらの原始データをもとに予測モデルを開発し、農家の“計画的な”農業経営を助ける。

“今では全国各地の農地を年間を通して分析している。そして問題の兆候が見えたらそこを強調して農家に警報している。彼らは、地上にいるだけでは分からない初期的問題をチェックでき、対策を講じる。それができるのは、衛星画像を複数年にわたって分析している、われわれの積み重ね努力のおかげだ”、とVollmarは説明する。

最近の例では、近隣の農家がどこもバッタの被害に遭っているから、うちでもすでにどこかで発生しているかもしれない、被害がわずかながら始まっている場所を特定してくれ、という依頼が大規模農家からあった。これなどは、衛星画像が得意とする分野だ。もうひとつの例では、やはり大規模農家から、灌漑設備に故障が起きて過灌水や乾燥が生じている箇所を見つけてくれ、という依頼があった。そんな農地では、高価な肥料や農薬が無駄になってしまうのだ。

Vollmarは農家の子どもとして農村で育った。実家は、コーンを有機栽培していた。FarmLogsはこれまで主に、コーンや大豆のような条植作物の生産農家を対象にしてきた。それらはアメリカの農業生産の大きな部分を占める。Vollmarによると、農家が同社のモバイルアプリやWebサイトを好むのは、データサイエンスに基づくデータ駆動の農業経営のために、自分で大量のハイテク機器を導入せずにすむからだ。しかし今ではトラクターなど主な農業機械には必ずデータ収集機能があるから、それらJohn Deere, Holland, Case Corporationなどの農業機械メーカーが作った機器からFarmLogsは原始データを集め、それらのデータをあらゆる角度から分析する。

FarmLogsの正社員は今や約70名いるが、今度の資金でさらなる増員を図り、もっと多くの条植作物農家に同社の技術を知ってもらいたい。この投資の一環としてNaspers Venturesのアメリカにおける投資のトップMike Katzが、FarmLogsの取締役会に加わる。

同社の主な競合相手は、Monsanto傘下のClimate Corp.と、そのClimate FieldViewアプリケーションだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Marissa MayerはYahooの取締役会を去り会社はAltabaと改名して残る

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中断していたようなYahooのVerizonへの身売り話は、実は進んでいるらしい。ただし同社の一部の部門は、Altaba Inc.と名前を変えて残ることになる。

YahooはAlibabaの15%の株とYahoo Japanの35%を保持し、その保有主体がAltaba Inc.という名前の投資企業になる。そしてYahooの残りの部分がVerizonに統合される。その部分の資産には以前、Remain Co.(残り物)というあだ名がついていた。

Altabaに残る取締役は、わずか5名である: Tor Braham, Eric Brandt, Catherine Friedman, Thomas McInerney, そしてJeffrey Smith。CEOのMarissa Mayerをはじめ、そのほかの取締役は、新会社に残らない。MayerはVerizonに統合後のYahooに役を得るかもしれないが、その地位職責等は発表されていない。

社名変更というニュースのソースは、SECへの提出文書だ。そこにはVerizonがYahooの買収を進めている、と示唆されているが、当のYahooは昨年、10億あまりのユーザーに影響が及ぶ複数のセキュリティ侵犯事件を公表したばかりだ。そのためVerizonは、48億とされていた買収価額の値下げ要求を検討し、その新価額の発表を待って買収契約が締結される、と報じられている。買収が破談になる可能性もある。(情報開示: Verizonは本誌TechCrunchの親会社AOLのオーナーである。)

Yahoo…今やAltabaと呼ぶべきか?…はそのSEC提出文書の中で、セキュリティ侵犯事件がVerizonとの契約を危うくするかもしれない、と認めている。それは、こんな言葉だ: “Verizonが主張する、あるいは主張を迫られるリスクは、2016年9月22日と2016年12月14日に開示されたセキュリティ事故に関連した事実の結果として、株式買収合意の部分の権利または要求が解約されたり、あるいは会社販売条件の再交渉に持ち込まれるかもしれない、という問題だ”。

今月の終わり頃にはYahooの決算報告が発表されるので、会社の売却に及ぼすサイバーセキュリティ問題の影響はそこで、より明らかになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

エンタープライズソフトのAtlassianがプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収

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今日(米国時間1/9)、エンタープライズソフトのAtlassianはプロジェクト管理サービスのTrelloを4億2500万ドルで買収した。この取引の大部分(3億6000万ドル)はキャッシュ、残りはRSU〔制限付き株式〕とオプションとなる。買収の完了は2017年3月17日となる見込み。

これはAtlassianの18回目の買収となる。またAtlassianのプレジデント、Jay Simonが先週私に語ったところによれば、同社として過去最大の買収だということだ。Atlassianの他の買収同様、Trelloは企業としてもサービスとしても従来どおり運営が続けられる。当面、Trelloの現行ユーザーには影響はない。

TrelloのサービスはTechCrunch Disrupt Battlefield in 2011で発表され、その後2014年にFog Creek Softwareからスピンアウトして独立の企業となった。今回の買収でAtlassianは成長最速のプロジェクト管理サービスを傘下に収めることになる。 Trelloはユーザー数1900万で、100人弱の社員は全員がAtlassianに所属することになる。Fog Creekからスピンアウトする際、TrelloはBoxGroup、Index Ventures、Spark Capitalなどから1030万ドルの資金を調達している。

Organizing, assigning, and tracking tasks for a team is time consuming. Trello brings more productivity to your individual and team projects. It shows all of the projects from the entire team in a single glance. Assigning projects is easy, just put them in the assigned person’s or team’s list and when completed drag it to the completed list. Each “card” or task can be commented on and links can be added. Trello works across multiple devices and uploads files from Dropbox or Google Drive.

「われわれはたいへん興奮している。Trelloのプロダクトはブレークしている。すごい勢いだ」 とSimonsは私に語った。

TrelloのプロダクトがAtlassianのエンタープライズ生産性ソフトウェアに適合するサービスだ。Atlassianは、最近デベロッパーだけでなく一般のエンタープライズにもターゲットを広げている。例えば、Atlassianの中核的ソフトウェア、JIRAシリーズのプロジェクト管理サービスはTrelloのサービスによく似たホワイトボードのカンバン方式をオンライン化したKanban board機能を提供している。これはもちろんJIRAシリーズのソフトウェアのごく一部の機能にすぎないものの、プロジェクト管理に必要なのはこうしたカンバン方式の視覚化ソフトだけだという企業も多い。JIRAはフル機能の生産性ツールであり、レポート作製機能や、こうしたツールを独自サーバーによりオンプレミスで運営するエンタープライズ版も提供されている。

AtlassianはMarketplaceというブラグインのデベロッパー向けのストアを運営しており、Trelloがpower-upsと呼ぶプラグインも順次このMarketplaceに登場することになるだろう。また両社とも伝統的な企業向けセールス手法よりフリーミアム・モデルや口コミ(WOM)を重視するなどマーケティングのアプローチに共通性があることも注目すべきだろう。

Simonsは私の取材に答えて、「われわれの会社文化はよく似ている。両社とも月間アクティブ・ユーザ1億人を目指すという大目標に向かって進んでいる」と述べた。この目標を達成するためAtlassianは顧客ターゲットを従来のソフトウェアのデベロッパーから他分野に拡張している。今回の買収を伝えるAtlassianのプレスリリースが財務、人事、法務マーケティング、セールスなどの部門でTrelloが高い人気を得ていることを強調しているのはそういう理由によるものだろう。Trelloのユーザーの50%はテクノロジー以外の部門の人員だという。

将来の見通しについてSimonsは「AtlassianはTrelloの発展を助けることを約束している。AtlassianはTrelloがスケールアップするために十分なりソースを振り向ける」と語った。

Atlassianの第2四半期の決算発表は1月19日の予定だ。その機会に買収についてさらに詳しい情報が明かされるものと思われる。またAtlassianがTrelloのサービスを自社プロダクトに統合していく計画についても発表があるはずだ。

〔日本版〕restricted shareないしrestricted stcokは報酬、賞与の一種として発行される株式。譲渡が可能となる期日などの制限が付される。発行日以降に株価が下がっても権利が無価値となることがないなどストックオプションと異なる点がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Oracleの上級社員がCEOのTrump政権移行チームへの参加に抗議して退職

Safra Catz, co-chief executive officer of Oracle Corp., gestures as she speaks during the Oracle OpenWorld 2014 conference in San Francisco, California, U.S., on Sunday, Sept. 28, 2014. Catz made her first remarks as Oracle co-CEO at the conference when she introduced Intel Corp. President Renee James, who also spoke. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

CEOのSafra CatzがTrumpの政権移行チームに加わり、次期大統領を賛美する言葉を述べたあと、Oracleの上級社員George A. Polisnerは、自らの意思で同社を退職した

本誌TechCrunchも先週報じたように、TrumpはニューヨークのTrump Towerで、テクノロジー業界のリーダーたちと彼の子どもたちによるミーティングを召集した。

そのミーティングに先立ちCatzは声明文を公開し、その中で次のように述べた:

“次期大統領には、私たちが彼と共にあり、できるかぎりを尽くして彼を助ける用意がある、と伝えたい。もしも彼が税法を改正し、規制を減らし、より良い貿易協定を結ぶことができるなら、アメリカのテクノロジー産業は、これまでになく、強い競争力を持つことができるだろう”。

ミーティングのあと、CatzはTrumpの政権移行チームへの参加の招待を受諾した。

エンタープライズテクノロジー技術のベテランで、進歩的な政治思想の持ち主でもあるPolisnerは、これまでOracleでさまざまな職責を担当してきた。とくに1993年以降は、Oracleの製品開発や、クレーム対応、会社の事業の管理、そしていちばん最近では、クラウドサービスの管理を任されていた。

彼は退職を昨日会社に告げ、書簡をLinkedInに送ってそのことを公開した。その中で彼は、Trumpを次の点で批判している: 社会保険や医療保険制度の解体を計画; 戦死者遺族の冷遇; 有色人種やムスリムや移民に対する恐怖と憎悪と暴力の煽動; など。

私は次期大統領Trumpと考えを共にできないし、会社にとどまって彼を何らかの形で助けることもできない。というよりも、彼の政策が憲法違反と犯罪性と道徳的不正の瀬戸際にあるかぎりは、あらゆる合法的方法を駆使して彼に反対したい。

したがって私は、かつては偉大だった会社を退職する必要がある”。

Polisnerはまた、TrumpとCatzの彼の政権移行チームへの参加に対し、公然と抗議したいと考えている他のOracle社員のために、NotWhoWeAre.us(今の私たちは本当の私たちではない)と名付けた署名運動を立ち上げた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))