なぜ今バーチャル・リアリティーなのか?

Oculus RiftがKickstarterでブームを巻き起こすことに成功して以来、ずっとくすぶり続けている批判がある。それは「なぜバーチャル・リアリティーが今度はうまくいくと考えねばならないのか?」というものだ。

ある意味でもっともな疑問ではある。過去何十年にもわたって大衆向けVRガジェットをつくろうとして失敗した試みが無数にあるからだ

「以前に非常に優秀な人々が同じことをやろうとした。それらはすべてうまくいかなかったのに、Oculusやその仲間がうまくいくという理由は何だ? 1955年に誰も Virtual Boyを欲しがらなかった。なぜ2015年にRiftを欲しがるようになるのか?」というわけだ。

しかしこうした考えは重要な(そして後からは自明に見える)点を見逃している。つまりそれを現実に可能にするテクノロジーが登場したことを考えていないのだ。

20年前の一般向けVRはこの程度だった

Oculusヘッドセットを可能にした個々のテクノロジーを観察してみよう。きわめて高精細度の液晶ディスプレイ、マイクロサイズのジャイロスコープ、位置トラッキングが可能なカメラ、3D環境をリアルタイムで処理できるコンピュータ(Oculusの場合は互換性のあるGear VRスマートフォン)。

これらの要素はすべて他の分野、特にスマートフォンとビデオゲーム・コンソールのおかげで一般消費者に十分手の届く価格で提供されるようになった。

わずか10年前でさえ、1080p以上の高精細度ディスプレイをVRヘッドセット用に製造できるメーカーがあっただろうか? もちろんノーだ。そんなレベルのディスプレイは禁止的な価格になっていただろう。しかもそんなデバイスはこっけいなほど巨大な外部バッテリーを接続しなければ作動しなかっただろう。

具体的に、たとえば、5.5インチ、4K、120コマ/秒のディスプレイで考えてみよう。 2003年にほぼ同様の画素数のディスプレイは8400ドルもした。しかもリフレッシュ・レートはわずか毎秒12コマだった。しかも消費電力はデスクトップ・コンピューター並だった。

現在のOculusのデベロッパー・キットはSamsung Galaxy 3の1080pディスプレイ を利用しており、毎秒75コマ表示できる。Gear VRはGalaxy Note 4の1440pスクリーンを採用しており、リフレッシュ・レートももっと速い。これが進歩というものだ。!

Samsung Gear VRはスマートフォンですべてのVR体験を処理する。つまりスマートフォンが新世代になればVR体験も向上する

リアルタイムのコンピュータ・グラフィックス能力の進歩もVR体験を成立させるために欠かせない要素だ。研究によれば、没入感を得るためには必ずしも非常にリアルな画像を表示する必要はないが、ただし動きが非常にスムーズであることが必須だという。つまり、たとえば周囲を見回そうとして顔を動かしたときに、表示の反応が一瞬でも遅れるとユーザーの没入感を損ねるだけでなく、深刻な船酔い症状を引き起こすことになる。その対策はといえば、強力なハードウェアとコードの最適化しかない。そしてそれこそゲームのハードメーカー、ソフトのデベロッパーがこの何十年も取り組んできた課題だ。

こうした進歩はバーチャル・リアリティーの世界の外で起きたが、その成果を投資家とアーリー・アダプターが納得するような仕方で初めてパッケージ化することに成功欧したのがOculusだった。今やバーチャル・リアリティーはOculus HQだけには限られない。ハード、ソフト、インターフェイスやアクセサリーを含めた新たなエコシステムが形成されつつある。前世代のVRが大学の研究室に閉じ込められていたのとは大いに事情が変わっている。

試みにGooglで“virtual reality Kickstarter”と検索すれば、新たなコントロール・メカニズムからアプリケーションまでありとさまざまなVRプロジェクトが次から次に生まれていることが分かるだろう。Oculusその他のVRイベントに行けば、驚くほど多数のデベロッパーに出会うはずだ。彼らそれぞれに「これこそ正しいやり方」だと信じるアイディアで、部屋中に設置したカメラや全方向に移動できるトレッドミルやWiiコントローラーの改良版などをデモしている。

半年後にはこうしたデベロッパーが何がうまくいき、何がうまくいかないか、多くを学んでいるだろう。過去半年についても同じことがいえる。これはOculusがKickstarterに登場する前から続いてきた動きだ。 バーチャル・リアリティーの世界はこれまでにない速さで動き始めている。

画像: South Park

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ゲーム・グラフィックスの歴史(1)―72年のPongから85年のスーパマリオまでをビデオで振り返る

XboxAhoyのStuart Brownが制作したミニシリーズは最近私が見たドキュメンタリービデオのなかで最高の出来だ。この5部構成のシリーズはゲームのグラフィックスの歴史をPongからストリートファイター、そしてのその後まですべの主要タイトルを網羅して紹介している。40年以上にわたるコンピューターグラフィックスの驚くべき成果とエンジニアが開発のために使ってきたツールの発達の歴史を簡潔に振り返ることができる。Brownのイギリス英語のナレーションも魅力的だ。

上にエンベッドしたシリーズ1ではラスター・グラフィックスとベクター・グラフィックスの差の説明から始まる。最初のコンピュータ・ゲームであるPongから、カラー化を効果的に使ったインベーダー、黄色いパックマンなどのアーケードゲームに進み、その時代を代表するスーパーマリオブラザーズの登場までが紹介される。 第2部では。スーパーマリオからアウトランへの急速な発達をたどる。ノスタルジーに浸りたい中年にも、埃が舞い上がるエフェクトがどこから来たか知りたいプログラマーにもオススメだ。誰が見ても楽しめるだろう。

via Adafruit

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


MicrosoftがXbox Oneの価格をPlayStation 4よりも低く値下げ…年末商戦の勝利をねらう

11月2日より、Xbox Oneは50ドル値下げされて350ドルになる。PlayStation様、ありがとう!

ゲーム等が同梱されたパッケージにも、50ドル値下げは適用されるようだ。そこで、Kinect不要のAssassin’s CreedやSunset Overdriveのバンドルは350ドル、Call of Duty: Advance Warfareのは450ドルだ。

Microsoftによると、値下げは一応1月3日までで、ただし売れ行きが好調なら来年いっぱい維持されるそうだ。

これまでずっと、Xbox OneはPlayStation 4の背中を見ながら走ってきた。しかし、間近に迫っているクリスマス年末商戦では、なんとか首位に立ちたいのだ。

この値下げでXbox OneのMSRP(メーカー希望小売価格)はPlayStation 4よりも初めて安くなる。ローンチ時には、PS4399ドルに対してXO499ドルだった。その後Kinectコントローラなしが399ドルに値下げされてPS4と並んだが、今回はゲームバンドル版も値下げされた。Xbox Oneはこれでやっと、今年のクリスマス期のお買い得商品になった、と言えるだろう。

さて、Sonyの次の手はどうかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Android Lollipopのイースターエッグは、Andy the Android版Flappy Bird

間もなくAndroid 5.0 Lollipopがやってくる。まずは新しいGoogleのNexusデバイスに搭載されることとなっている。ただ、このLollipopに同梱されるイースター・エッグについては、既にデベロッパー・プレビューにて確認することもできる。起動するには「Settings」メニューからAndroidのバージョンナンバーのところを繰り返しタップする。すると大人気となったFlappy BirdのAndroi Lollipopバージョンをプレイすることができるのだ。

やはり、なかなかおもしろいゲームだと思う。これがAndroid 5に無料で同梱されるわけだ。もちろん現在公開中の開発者バージョンが、そのまま正式版になるわけではない。一般向けの版にも実装されるのかどうかについては、Nexusが出てくるのを待つ必要があるだろう。しかし、これまでのGoogleのやり方をみれば、こうしたイースター・エッグを潜ませておくのはいかにもありそうな話に思える。

いずれにせよ、本家Flappy Bird作者のDong Nguyenのように、なんだか難しい理由からゲームを取り下げて、ベトナムに隠遁するというようなことはなかろうと思う。きっとみんなが遊べるようになるのではないかと、期待している。

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(翻訳:Maeda, H


本誌のライターたちが(このぼくも)Bayonetta 2をプレイした

本誌TechCrunchが今回新たに作ったTwitchチャネル(ゲームプレイの実況中継/録画ビデオ)が1時間後に立ち上がり、Bayonetta 2のプレイをストリーミングする。この、賛否両論騒々しいゲームは、一週間後に、Nintendo Wii U専用で発売される。

前作と同じくBayonetta 2でも、プレーヤーはこのゲームのヒロインBayonettaになる。彼女は魔女で、すごく単純化して言えば、パワーを自分の魔法のヘアから得る。彼女の、からだにぴったりフィットした衣装も、そのヘアでできている。プレーヤーがコンボを増やして強くなると、彼女の動きのパワーが強いときには衣装の一部が一時的に消えることがある。

そこで一部のゲーム評論家は、男子の性的嗜好に迎合するための安っぽい仕掛け、と酷評する。一方、ゲームの中でも女性が強くなった、と絶賛する人たちもいる。彼女はまるで、ビデオゲームのキャラクタのBeyoncéだ。評価は読者におまかせするから、再生中にチャットボックスにご自分の考えを書いてほしい。プレイしながら、できるかぎりお返事しよう。

アップデート: こいつは、楽しいね! ぼくたちの1時間半のプレイの録画を、下のビデオで見ることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


任天堂3DSをゲームキューブのコントローラで遊べるハック…指にまめができにくい

Nintendo 3DSの新作Super Smash Bros(大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ)はかなりよろしいけど、大きなコントローラで遊び慣れている人は、3DSのコントローラ、とくにコントロール類の配置が、なじめないかもしれない。指先にまめができるし、肩ボタンは遠いし、このゲームのデモをやってて複数の3DSを壊してしまった人もいる。

でもご安心を! GameCubeのコントローラを3DSで使えるようにした人がいる。それができるための条件は、1)震えない手、2)ハンダ付けが上手、3)Arduino、4)無保証でも平気、以上四つだ。

この改造は、とても安上がりだ。GameCubeのコントローラをすでに持ってる人なら、15ドルあればできる。ただし、相当ややこしいことをやっている。半田ごてを握る全工程数十時間、だめにする(かもしれない)コンソール0〜2台、それがいやなら諦めること。そして、世界のどこかSuper Smash Brosを正しいコントローラでプレイしている人がいることを、想像するだけで我慢しよう。

以上の警告でひるまなかった人は、ここで完全なチュートリアルを手に入れよう。

[出典: Kotaku]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Niantic Labs、Ingressにユーザーが新しくミッションを作れる機能を追加

GoogleのNiantic Labsは、人気のAndroid版、iOS版の拡張現実ゲーム、Ingressユーザー生成のミッションという新機能を追加した。ユーザーは友達あるいは一般プレイヤーのために、独自のミッションを作れるようになった。作成にはブラウザ・ベースのミッション・クリエーターを利用する。

といっても、すべてのユーザーがすぐにこの機能を利用できるわけではない。Niantic Labsは、レベルの高いプレイヤーから順次機能を公開していくという。そうしたプレイヤーの反応や作成されたミッションの実績を見ながら徐々に利用範囲を広げていくようだ。Niantic Labsのプロダクト担当副社長、John Hankeは「この機能は当初、一定の基準をクリアしたユーザーに対して公開される。将来は一般ユーザーも利用できるようになるだろう」と述べた。

ミッション作成ツール自体はかなりシンプルだ。Ingressのスキンを載せたGoogleマップが表示されるので、作成しようとしているミッションでプレイヤーが行かねばならない場所にマーカーを落とせばよいだけだ。場所の特定にはNiantic LabsのField Tripアプリのデータを用いてもよいし、非常にあいまいにして、ヒントだけを残しておくこともできる。 現実の世界である地点に到達したとき、プレイヤーはその地点を「スキャン」しなければならない。この動作でプレイヤーが目的地を実際に踏んだことを確認する。

他のプレイヤーが作ったミッションの表示はAndroid版でアプリではサポートされている(iOSでは近くサポートされる)。ただし表示されるミッションは自分がプレイしている都市中のものに限られる。たとえばオークランドの自宅でベッドに寝そべったままサンフランシスコのミッションを表示することはできない。これに対して世界中どこにいてもあらゆる場所でのミッションの作成が可能だ。外国で素晴らしい休暇を過ごして帰ってきてから自宅で現地でのミッションを作ることもできる。自分が気に入った景色や名所旧跡をミッションに逐一追加して、現地を訪れた友達を案内するなどということも可能だ。

IMAGE BY Niantic Labs

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Microsof、Minecraftを25億ドルで買収―ファウンダーのNotchは「小さなプロジェクト」に戻る

今日(米国時間915)、MicrosoftはMinecraftの開発会社、Mojangを買収したことを発表した。Microsoftによれば、MinecraftはXboxとPC版だけでなく、今後ともiOS、Android、PlayStation版の提供が続けられるという。Microsoftによれば、「当初、このゲームをXboxに導入するためにMojangと交渉を始めたが、あまりに素晴らしいプロダクトであることに気づき、Microsoftのゲーム資産を多様化するため買収に踏み切った」ということだ。

ファウンダーのNotchこと Markus Persson、 Carl Manneh、Jakbok Porserは買収手続きの完了と共に会社を去ることを発表した。またMojangの公式サイトはこれまでに報道されてきた25億ドルという買収価格を確認している。Mojangによれば、NotchはMinecraftのような世界的大ビジネスを運営するのを好まず、今後は自分の気に入った小さなプロジェクトをきままに手がけていくつもりだという。Minecraftを売却するという決断は、Mincraftの今後の成長を保証すると同時に共同ファウンダーたちにそれぞれの気に入りの生き方をする自由を与えるために行われたという。

MojangはMinecraftの将来について具体的な発表はしていない。ただし当面は「いつもどおり」だという。Microsoftは「Minecraftのブランドと独立性を尊重する」と述べている。2010年以来、Mojangが毎年開催してきたカンファレンス、MINECONも継続される。

当初からのハードコアなMinecraftファンの中にはMicrosoftによる買収を喜ばないものも多いようだが、全体としてみればこの売却は健全だ。さらにNotchがまったく別の新しい「レゴ世界」をもう一度作るチャンスを与えるものでもある。

Notchは今回のMinecraft売却についてこう書いている。

私はMojangを離れる。

私は自分をゲーム開発者だと思ったことはない。私がゲームを作ったのは単に面白かったからだ。私はゲームが好きだし、プログラミングも好きだ。しかし私がMinecraftを作ったのは大ヒットを狙ったわけでもないし、まして世界を変えようなどと考えたわけでもない。Minecraftはたしかに大成功を収め、私は世界を変えたと人によく言われるようになった。それは確かに嬉しいことだったが、同時に、それは私をある種のスポットライトを浴びる公的な立場に置くことになった。

私はかなり以前からMinecraftから離れると決めていた。Jens (Bergensten)は後継者として理想的な人物だ。私は新しいことがやりたくなっていた。私はもう一度何か大きなことをやろうと考えたがうまく行かなかった。私はなにか小さな面白いプロトタイプづくりにこだわっていこうと決めている。

数週間前、たちの悪い風邪で家で寝込んでいるとき、私にはまったく関係ないEULA(エンドユーザーライセンス契約)の問題で、私はインターネットで憎悪の的になって炎上しているのに気づいた。わけがわからず、落ち込んだ。そのことをツイートした。その後YouTubeでThis is Phil Fish を見た〔ゲームデザイナーのフィル・フィッシュを例に、インターネットでの悪評が形作られるプロセスを解説したビデオ〕。そこで自分がインターネットのゲームファンの間で、ある種のシンボルになっているのに気づいた。しかし私はシンボルなどはごめんだ。そういうわけでMojangにとどまる限り、私が好きでもなく、理解もできない巨大な責任を繰り返し押し付けられることになると分かった。私は本質的に起業家でもCEOでもない。私はTwitterで遠慮なく発信するオタクのプログラマーにすぎない。

Microsoftによる買収手続きが完了しだい、私はMojangを離れ、Ludum Dare〔ゲーム開発コンペ〕やウェブでの小さな実験的プロジェクトに戻るつもりだ。

私の一般的なイメージはすでにかなり歪められたものになっているので、Mojangを離れたからといってネガティブ・コメントの洪水を止めることはできないだろう。しかし少なくとも、それをいちいち読む責任からは解放される。【中略】

この決断は金のためではない。私の正気を維持するためだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


グリー田中氏、ゲーム”だけ”の会社から抜け出るために「次の10年を考える」

東京・渋谷で9月3〜4日にかけて開催されたイベント「Startup Asia Tokyo 2014」。9月4日には、グリー代表取締役社長の田中良和氏が登壇。「グリーの挑戦と未来について」というタイトルで、Tech in AsiaレポーターのDavid Corbin氏とのセッションに臨んだ。

–Corbin氏(以下省略):田中氏はCEOを務めているが、元々エンジニアリングが好きだったと知っている。どういう風にして好きになったのか。

田中氏(以下省略):最近は「社長」の仕事ばかりだが、もともと15年くらい前にインターネット業界に入って、最初はプログラミングもできなかったが、そこで覚えたのが最初。

自分で企画しても作れないとアイデアを具現化できないと思っていたので、本当の意味でもの作りができるようになったと思う。

–今ならどのような(開発環境や)言語を学びたいか。

ネイティブアプリだ(笑)

–最初に入った楽天はベンチャー企業。なぜそこを退職したのか。

起業したいと思ったことは今でもないと思っている。起業って大変なのになぜやるんだろうか、(聞かれたら)おすすめしないのにと思っていた。ただ、楽天で働きながら(SNS)GREEを趣味で作っていたら、個人では作れない規模になったのがきっかけ。

でもはじめはコミュニティサイトでは儲からないだろう、製作会社でもやりつつボランティアで運営しようと考えてたので、真剣に考えて起業したわけでない。

–後悔はしていないのか。

結果的には(笑)。やっぱりいろいろ大変なこともあったので、人に勧められるような簡単なことではない。

–パズドラ(ガンホーのパズル&ドラゴンズ)が出たあとで、GREEのゲームシェアは下がっていると思う。どのように回復させていくのか。

3年前くらいから振り返ると、いろんな事業の変化に直面していたと思う。3年前はフィーチャーフォンのゲームビジネスが中心だったが、ハードウェアとしてなくなっていく(スマートフォンに置き換わる)ところに直面した。ネット業界で産業ごと消滅することはあまりないが、我々はそこに直面した。なので、まずは本命のブラウザゲームをガラケーからスマホに移さないといけなかった。それを対応させながらネイティブゲームをやり、海外戦略もやり、ということを同時にチャレンジすることになった。

そこでまずスマホ(ブラウザゲーム)、2番目にグローバル、3つめに国内ネイティブゲームという優先順位をつけ直した。米国進出までは順調に来たので、今はネイティブに注力している。

–どのような条件でゲーム業界をサヨナラしたいのか。

そんなことは考えていない(笑)ゲームとインターネットが交差した世界はいいと思っている。ゲーム産業は日本で作って世界に向けて売っていくときに競争力がある産業分野。収益として重要だ。

また、日本で始めてすぐにグローバルに進出できる。でも我々はゲームだけの会社ではない、最近はいろいろと始めている。

–「スマートシッター」「介護のほんね」「Tonight」「SmartNews(への投資)」など新しい事業にチャレンジしている。新しい事業にはつながりはあるか。なぜこういった新事業をはじめたのか。

事業を考える上で、まずはマーケットが大きくなり続けるかの仮説を大切にしている。楽天で言うとECは右肩に上がっていくに違いないと考えているということだ。

例えばコミュニケーションやコミュニティビジネスは10年後に大きくなっているに違いない。モバイルビジネス、ゲームビジネスもそう。マーケット自体が成長するビジネスをやる。ただし、さっきの楽天の例で言うと、ECといってもオークションなのか、モールなのか、直販なのかというところに関しては、提供しながらアジャストしていく。

モバイルやコミュニケーション、ゲームという事業はそういう仮説でやってきた。でもそれはある程度やっているのでほかの事業に挑戦していく。

これから来るトレンドは何かと考えている。好調なのはUberとかAirbnbなど、広い意味でのEコマース。それが次の10年のサービスだと思う。

–チャイルドケアもトレンドになるということか。

ビジネスの手法の話だ。例えばUberも、すべての人がスマホを持つ今だからできるようになったサービスだ。同じようにスマートシッターもスマホが普及しているからこそ、資格があれば誰でもベビーシッターになれるというのはいけると思う。

–スマートシッターについて、サービス開始後の様子、ユーザー数はどうなっているのか。

サービス規模は伸びているが、スマートシッターで言うと、ベビーシッタービジネスだけを考えなくていいと思っている。例えばブラウザゲームのビジネスは、ただ1つの「釣りゲーム」が出発。これが将来(売上高)何十億、何百億円というプラットフォームになるとは思ってなかった。

スマートシッターもうまくいけば、家にいるお母さん向けのビジネスができるのではないか、別の働き方もできるのではないかということになる。Amazonも最初は本しか売ってなかった。切り口を作ればもっとビジネスはできる。

–その他どんな分野に挑戦するつもりか。

スマホが普及しないと成立しなかったサービスだ。例えばTonightは、5回くらいクリック(タップ)するだけでホテルの予約ができてしまう。こういったものあればスマホ特化でブレークスルーする。また、UberやAirbnbのようにシェアリングエコノミー的な概念のモノ。

–(投資先の)スマートニュースはいつから米国バージョンを公開するのか。

僕は戦略を細かく分からないし、言えない(笑)。ただあれはまさにスマホ時代のニュースをどうするのかというもの。昔から見ていたがすごいと思う。グリーに向いているビジネスは自分たちでやるが、「いいな」と思うサービスには投資させていただく。

–スマートニュースは36億円を調達した。日本では「○億円調達」というニュースはあるが、バリュエーションは発表されない。スマートニュースのバリュエーションはいくらだったのか。

またこれもコメントしづらい(笑)。ただ我々としてはバリューはフェアだと思って投資しているので成功して欲しい。

–海外展開で成功に必要なのは何か。

これまで3、4年ほど苦労している。ネイティブゲームは海外でも売上がかなりあり、海外比率の高いネットベンチャーになってきていると思う。

一番重要なのはやはり、「それ(プロダクトやその場所で事業をすること)自体が強みになっている」というものでないといけない。サンフランシスコでやったほうがいいことをわざわざ日本でやっても、それ自体が強みにならないといけない。

そういう意味ではゲームは数少ない日本でやって不利にならないビジネス。グローバルで成功しているゲームスタジオには北欧や英国のものもある。大企業大資本だけが生きるわけではない。

–新しい国(市場)に入るにはどんな準備が必要か。

まずはGoogleやFacebookみたいなサービス。圧倒的製品力で突き抜けるかどうか。でもそれは実現が難しい。

それでなければ、ローカルのマネジメントに完全に任せて成功するサービス。現地に日本人だけ派遣しても成功しないし、(現地の)優秀な人はついてこない。

逆に言うと、日本にある外資系の会社で、日本語を話せない外国人がやっていても成功しているものもある。そういう意味では製品力で突き抜ければ問題ない。

–今海外に出るなら何をすべきか。

海外のゲームビジネスが伸びつつあるが、日本ではネイティブゲームがまだ成功せずにチャレンジする中で、海外でスタジオを作ってさらにネイティブゲームを当てるのは、知らない場所で知らないモノをやると難しいことをやっている。

やはりどちらか押さえる。成功していることを違う場所をやるか、日本で違うことをやるか、どちらかにするべきだと思っている。そうはいってもネイティブは強くなっているので、まずはそこに特化していく。

–SNSからゲームの会社になり、また新しい事業も展開するが、社員は自分の会社についてどう思っているのか。

青臭いが、コーポレートスローガンには「インターネットで何かを変えていく」というものがある。なのでゲームのみをやる会社じゃないということは多くの人は分かっていると思う。

ただゲームは(売上の)大きな分野であり、引き続き大きな柱になるという前提だ。だがあくまで1つの柱にしながら新しいことをやる時代になってきた。

–安倍政権がテクノロジー企業を応援しようとしているが、その動きをどう思うか。

本当にありがたいことだと思う。これから日本自体の経済を成長させる意気込みを感じる。インターネット業界が新しい産業となり、日本経済の大きな柱にならないといけない。

–政府を巻き込むためにどういうことをやっているのか。

ロビイングというほどではないが、世界というより日本で大きな役割を果たすのであれば自分たちのやっていること、やりたいことをいろんなチャネルで発信しないといけない。事業を成功するだけでなく、どう世の中に価値を還元すると考えているか伝えることも大事。

–若い起業家へのアドバイスを聞かせて欲しい。

言うと自分で自分の首を絞めることになるが(笑い)。高い目標を持ち続けて頑張って欲しい。会社をやっているといろんな大変なことがある。どうやったら高い目標を持ち続けられるか考えて欲しい。


曲がり角にきた脳トレゲーム、$1.3Mを調達したMemoradoは個人化に注力

告白しよう。ぼくは最近、いわゆる脳トレゲームというものに、はまっている。それはカジュアルなモバイルゲームで遊びながら、脳力を高める、と称しているアプリだ。iPhoneでゲームをして時間を浪費しながら、健康のためという言い訳のできるアプリでもある。

今日は“認知科学”を応用した脳トレゲームMemoradoが、シード資金130万ドルを獲得したことを公表した(そのラウンドの終了は3月だったが、人の脳を鍛える会社が今日まで、その発表を忘れていたのだ)。投資家はSunstone Capitalのほかに、数多くのエンジェル、中にはZalando、StylistPick、Wimdu、Fyber、Hitfoxなどのファウンダもいる。全員が、ベルリンの投資家だ。Wimduとのご縁は、MemoradoのファウンダMarius JeuckとMarius Lutherが、このRocket Internetが資金を出している企業(Wimdu)の協同ファウンダでもある、という仲なのだ。

そのほかの脳トレゲームによくあるように、MemoradoもWebサイトやiOSアプリからユーザに一連のミニゲームを提供し、ユーザの認知能力を高める、という。“脳のためのジム”なので、体のジムと同じく、頻繁に通った方がよい、と同社は言っている。料金は個別プレイに対してでなく、さまざまな会員制で課金される。本格的に脳を鍛えたい人のためには、個人化された特別メニューもある。

Memoradoの協同ファウンダMarius Lutherはそれまで、McKinseyの健康コンサルタントだった。彼は曰く、“脳は今の世界でいちばん重要な資産なのに、その力を高めるための良い方法がない”。彼によると人類の47%は人生のある時点で、何らかの形の認知症を発症するが、その最良の予防法は脳の活動だ。“うちは、構造性と参加性に富む楽しいプログラムを通じて、脳の活力を高める‘脳のためのジム’を提供していきたい”、と彼は言う。

まだ立ち上げからわずか6か月のMemoradoは、すでに会員数が100万を超えている(有料会員の数は不明)。iOSアプリは、合衆国、イギリス、フランス、ドイツなど22か国のApple App Storeで教育部門のトップだ。こういう脳トレミニゲームは、元祖がNintendo DSだが、そのおかげで強力になった(と思う)ぼくの記憶が正しければ、一度やり始めるとなかなかやめられない、人をゲーム中毒にしてしまうゲームだった。

でも、最初から成功しているにもかかわらず、Lutherは率直に認める。“脳のためのジム”と呼べるのは、全体の10%ぐらいだ、と。このカテゴリーの創始者である合衆国のLumosityなんかでも、それは同じだ、と彼は言う。むしろ今彼と10名の技術者たちが苦労しているのは、ユーザの弱点を見つけてそこを強化していくための個人化(パーソナライゼーション)だ。ユーザが実際に効果を実感できて、しかも、いつまでもあきない、楽しい体験を提供しなければならない。そこがいちばん、難しい、と。

“McKinseyで健康コンサルタントをしていたときから、健康とテクノロジを結び付けたいと思っていた。何百万もの人に役に立つけど、新薬開発のように何年もかからず、また保険会社などの外部に依存しないものを、探していた”。…これが、彼が脳トレサイトを始めた動機だ。

しかも脳トレゲームは、ゲームというテクノロジの産物が主人公で、年齢性別国籍などを問わない大衆性がある。だから、“うちのミッションは、‘人びとをお利口にすること’だね”、と彼は付言した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、Googleを退けてゲーム・ストリーミングのTwitchを買収―金額は10億ドル以上


Twitchの共同ファウンダー、Emmett Shear(左)とKevin Lin(右)

アップデート: TwitchはAmazonによる買収を確認した。ただし金額を明らかにすることは避けた。

アップデート2:AmazonもTwitch買収の報道を確認し、買収金額は9億7000万ドルのキャッシュと発表した。Amazonの最近の四半期決算では現金及び現金等価物は50億6000万ドルだったから、今回の買収でその約2割を使ったことになる。

さる5月にGoogleはTwitchを10億ドルで買収することが確実視されていた。それを土壇場でAmazonがひっくり返すことに成功したとは驚きだ。

Googleが まだ非常に若いメディア企業を欲しがった理由は明白だ。Twitchは若い男性層への浸透で他の追随を許さない急成長を続けているからだ。 GoogleがYouTubeに加えて、このユーザー層も広告主に提供したがることは理解しやすい。

それに対してAmazonがTwitchを狙ったことはやや意外だった。Amazonも有料のプライム・サービス向けにコンテンツの充実を急いでいる。しかしTwitchは広告を収入源とする完全無料のサービスで、Googleの方がビジネスモデル上の相性がよいはずだった。むろんAmazonもコンテンツの充実によって大いに益するところはあるだろうが、相乗効果としては疑問が残るところだ。

Twitchはライフログビデオのパイオニア、Justin.tvからのスピンオフだったが、ファウンダーたちはTwitchに専念するために最近Justin.tvを閉鎖した

これまでTwitchはBessemer Venture Partners、Alsop Louie Partners、WestSummit Capital、Take-Two Interactive Software、Draper Associates、Thrive Capitalから3500万ドルを調達している。

Twitchの共同ファウンダー、Emmett Shearは来月サンフランシスコで開催されるTechCrunch Disrupt参加予定だ。そのときにさらに詳しい話が聞けるものと期待している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ゲームを完全にクラウド化しても遅延が生じないネットワーキング技術”DeLorean”をMicrosoft Researchが発表

ゲームの未来を考えるとき、たぶんいちばん魅力的で夢のようななコンセプトが、“ゲームのNetflix”だろう。それはすでに、OnLiveの早くからの取り組みや、Sonyの出したてほやほやのPlayStation Nowなど、いくつかの形で実現している。

ゲームをサーバの大きなクラスタから提供することには、自分のコンソールやPCでゲームをすることにないメリットがいくつかある。ストリーミングビデオでHDのゲームをプレイできるデバイスならどんなデバイスでも使えるし、コンソールのハードウェアを買い換えることに比べるとクラウドの技術的な改良に期待する方が簡単だから、グラフィクスなどが早く着実に良くなる。それに、20GBのゲームをダウンロードすることに比べると、ゲームをすぐにプレイできる。

Microsoftはストリーミングゲームの提供に関してまだSonyほどのプラットホームを築いてはいないが、すでに関心は示している。4月にMicrosoftはデベロッパたちに、TitanfallのようなXboxの超大作ゲームがクラウドプラットホームAzureを利用して、全体的なパフォーマンスを落とすことなくより高度なAIや物理演算を実現しているところをデモした。

昨日(米国時間8/21)Microsoft Researchが発表した報告書は、同社はその高度なクラウド技術を活用して将来的に独自のゲームプラットホームを作りたい、とりあえずその方式を模索したい、と述べている。そこに具体的な名前として登場している“推論型実行エンジン”*DeLoreanは、MicrosoftのAzureサーバとプレーヤーのデバイスとのあいだに、ネットワークの遅延を招く複数の要因がどれだけ多層的に存在しても、見かけ的に遅延のないゲームプレイを提供する仕組みだ。〔*: “speculative execution engine”〕

報告書はその結論部分で、この調査に加わったユーザの多くが、高速アクションの多いDoom 3Fable 3をプレーして、ローカルシステム上と、DeLoreanを250ミリ秒の遅延に設定したクラウドからのゲームの、違いを判別できなかった、と述べている。それが事実なら画期的だ。250ミリ秒もの遅延があれば、これまでならどんなゲーマーでも、いらだってコントローラを投げつけていただろう。

Microsoft Researchは、何をどうやったのか? DeLoreanを理解する鍵は、“推論型(speculative)”という言葉にある。ビデオゲームはユーザのアクションによって次に起きることが多様であり、事前にそれらを決められないから、YouTubeやNetflixのビデオのようにバッファリングができない。ぼくが自分の銃でTitanfallを撃った直後の画面が、Titanfallでなくぼくがジャンプする絵だったら、全然おかしい。でも、プレーヤーのそれまでの入力から次にありえるアクションを“推論する”ことはできる。Microsoftはプレーヤーの次の瞬間のありえるアクションをいくつか予測する方法を見つけて、それらを事前にプレーヤーのデバイスのメモリに、つまりバッファに、送り込んでいるのだ。そして実際のアクションの直後には、クラウドからでなくローカルメモリから、最適画像をレンダリングする。

ただしMicrosoftによると、この方式が有効であるためにはネットワークの帯域が、予測対応をしないおとなしいクラウドに比べて1.5倍から4.5倍ぐらい高速でなければならない。つまり、地球上のどこにいても、Xboxのストリーミングサービスで遅延のないゲームを楽しもうと思ったら、PlayStation NowやNvidiaのGridなどを使う場合よりも速い接続を必要とする。ただしそれは、PlayStation NowやGridなら遅い接続でもゲーム展開に遅延がない、という意味ではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


日本のGumiが北アメリカ市場参入を発表―ゲームスタジオを世界4箇所で立ち上げ中

北米ゲーム市場は118億ドルという巨大な規模だが、最近、ZyngaやCandy CrushのメーカーKingのような有力ゲーム企業でさえ躓いたことでもわかるように、非常にタフな環境だ。

しかし日本のゲーム企業、gumiは北米市場に挑戦することを決めた。 今日(米国時間8/21)、gumiは北米市場向けのゲームの開発拠点として4つのスタジオを立ち上げることを発表した。gumiによれば、今後北米で新たに100人を採用していくという。

gumiはSegaLineGreeなどの有力なパートナーと提携しており、最近、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル、World Innovation Lab (WiL)がリードしたラウンドで5000万ドルの資金を調達している。

gumiのアメリカ本社兼スタジオはテキサス州オースティンに置かれる予定だ。これに加えてバンクーバー、ストックホルム、キエフでもスタジオを立ち上げ中だ。これらのスタジオはアメリカを中心とする英語圏市場向けのゲーム開発を専門に行う。また近くサンフランシスコに事業開発とPRのためのオフィスを開設する。

gumiはまた、ゲーム企業WeMadeの前CEOで、 Microsoftのアジア・ゲーム・スタジオのゼネラル・マネージャーだったA.J. Redmerを北米事業の責任者として採用したことを発表した。RedmerはMicrosoftでXboxを創設したチームの1人であり、任天堂ソフトウェアのゲームデザイン担当ディレクターを務めたこともある。

gumiは今年中に10億ドル規模の株式上場を予定しているとされる。ただしRedmerは「現時点ではこの問題についてのコメントは控える」と述べた。

同社は800人の社員を擁し、この2年で300%の成長を遂げたという。シンガポール、韓国、中国、台湾、インドネシア、フィリピンで事業を行っており、売上の半分以上は海外からのものだという。

Redmerはgumiの北米参入について「ブレイブフロンティアがアメリカ市場で大きな成功を収めたことが、われわれが西欧市場で十分な競争力を持つという確信を強めた。またブレイブフロンティアを売り込んだ体験がアメリカのモバイルゲーム市場に関して多くの貴重なノウハウと知見を与えてくれた。他のゲームを販売していく上でこれらは大きな財産となるものと信じている」と述べた。

またゲーム開発については「われわれは世界各地でスタジオを運営しており、それぞれの地域市場に深く根ざしたゲーム開発を行っている。われわれの新しいスタジオも北米地域の特性を十分に理解して開発を行う。また西欧市場でこれまで見過ごされてきたジャンルのゲームを開発していく」と述べた。

Gumiの最大のパートナーはSegaとLineだ。Segaはまた5000万ドルのベンチャー資金の出資者の1人でもある。またgumiの戦略的パートナーのLineも出資およびゲーム流通の両面で協力するという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


PS4絶好調の理由をSony自身も知らない

今月の初めにSonyは、昨年11月に発売したゲームコンソールPlayStation 4がすでに1000万台売れた、と発表した。それは、同社の長年のハードウェアビジネスにおける、新記録だ。昨日(米国時間8/19)Eurogamerに載ったインタビューで、Sony Computer Entertainment Worldwide Studiosの社長Shuhei Yoshida(吉田修平)は、今日のゲーム市場で同社のコンソールがなぜこれほどよく売れたのか分からない、と言っている。

それは、ぜいたくな問題、ではあるまいか。売上が好調なのは、何かがうまくいっているからだ。快調な航海をしている船を、揺する必要はない、か?本当に。

でも、Yoshidaは指摘している: なぜ人びとが同社のコンソールを買っているのか分からないということには、Sonyの今後の戦略にとっての重要な意味があるのかもしれない。いわゆる“コア”なゲーマー、 Call of DutyとかGrand Theft Autoなどの最新リリースを必ず買う人たちが、たまたま、好きな次世代コンソールを全員が一度に買ったのなら、これから先の売れ行きを予測するのは困難だ。

コアマーケットが充足したらSony(やMicrosoft)は、マーケティングの的(まと)をそれ以外の人たちに向けないといけない。一般的に言ってカジュアルなゲーマーたちは:

  • ハードコアのアーリーアダプターよりも価格を意識する
  • 大予算を投じた映画的な”AAA”ゲームにあまり時間を消費しない
  • 特定のブランドのコンソールに執着しないが、友だちと同じものを欲しがる

このタイプのオーディエンスは、Sonyにとって悪夢だが、ゲームコンソールも新製品を追わない。 Yoshidaはこう述べる:

大きな売上の数字を見るやいなや、われわれの本能は今後の売上を心配する。コアゲーマーたちは全員買ってしまたのではないか? これだけ売れてしまったら、これから買う消費者はもうほとんどいないのではないか? そんな、おそろしい予感に襲われるのだ。

もしそうなら、そこには今後の数年間Sonyが進むべき道を示唆するあらゆる含意が、含まれていることになる: 積極的な価格政策が必要; Sony独占のゲームを厳選確保する; Sony自身が制作提供するゲームの強力な企画; などなどだ。

PS4の大きな売上は、コアでないゲーマーも含む多くの消費者が、それを欲しいと思ったからかもしれない。Nitendoの初代Wiiも、最初の年にはそれと同じ売れ行きを示し、その1年間と同じ9000万台近くを、さらに次の7年間で売ったのだ。PS4は、これと同じパターンのヒット作になるのかもしれない。でもPS4にそんな自力で歩ける脚があるのか、まだ分からないから、それを前提とした戦略は立てられない。

ここでは、PS4の好調をXbox OneやWee Uと比較しているのではない。これらのコンソールに対してPS4には、相当大きなアドバンテージがある。Xbox Oneは発売価格が100ドル高かったし、あのちょっと気味の悪いKinectのカメラがあった。MicrosoftはXbox OneをE3 2013で発表したあと、ゲーマーに対するDRMの意思決定と説明で躓いた。Wii Uは非力で、PlayStationやXboxほどサードパーティのゲームを揃えられなかった。

これらのアドバンテージが、NintendoやMicrosoftから売上の一部を奪ったのかもしれない。もしそうだとしても、そのことは、Sonyの将来戦略のベースにはなりえない。発売直後のコンソールをいち早く買うのは、原則として、“コア”なゲーマーたちだ。そのために初年度の数字がどれだけ華々しくなっても、それは、その後の数年間を占う材料にはならない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Swing Copters:Flappy Bird作者発の新ゲームがまもなく公開予定

Flappy Birdの作者であるDong Nguyenによる、新しいゲームがリリースされるようだ。名前をSwing Coptersという。Flappy Birdの鳥を垂直に飛ばして、そして障害物が揺れ動くようになったゲームといった感じだろうか。容赦ない難しさは、さすがにFlappy Bird直系だ。

リリース日は21日が予定されている。広告掲載版が無料で、アドフリー版は99セントとなる。

TouchArcadeで独占先行レビューを行なっているが、それを見るとチープなグラフィックで圧倒的ないらいら感面白さを感じさせるのはさすがにNguyenだ。おまけに今回は、ただ静止している障害物を避けるだけでなく、揺れ動く障害物の間を縫っての飛行が必要となる。

(訳注:下のビデオだけでも十分にゲームの「魅力」を感じてもらえそうだ。)

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(翻訳:Maeda, H


Unityはゲームのプラグイン不要のブラウザ/Web対応化を無料に

さかのぼること3月にUnityは、Unityを使用したゲームをプラグイン不要でWeb上に展開できる、それはWebGLという魔法のおかげである、と発表した。

UnityのWebGLに関する発表はあまり詳しくなかったが、同社の例年のUniteカンファレンスが来週に迫ってきた今日このごろ、詳細が少しずつ漏れ出てきた。

まず、UnityのWebGL展開サポートは無料ユーザもProユーザも無料で利用できる。Unityのエンジンでゲームを作ったら、一銭も払わずにそれのWeb化ができるのだ。

WebGLって一体何? 簡単に言うとそれは、Webデベロッパがコンピュータのグラフィクスカードのパワーを直接利用して、プラグインなどをダウンロードしなくても、ブラウザの画面上で3Dなど高度なゲームやアプリケーションを動かせるためのツールだ。それは2011年に登場したが、ブラウザ上でアプリケーションをよく見かけるようになったのは、やっと昨年あたりからだ。

Unityのゲームはかなり前からブラウザ上でもプレイできたが、そのためにはプラグインのダウンロードが必要だった。でも今は2014年だ。ユーザにいちいちプラグインをダウンロードさせるのは、なかなか難しい。

そこで、Unityのゲームの展開は、今やWindows上が無料、MacもLinuxもiOSもAndroidも、そして次世代コンソール(ゲーム専用機)もすべて、無料だ。ただし次世代コンソールの場合は、ゲームの実際の出版やテストをするのが、ちょっと面倒だが。

なお、なんでもかんでも無料のUnityはどうやってお金を儲けているのか? 三つの方法がある: 1)高度なユーザのための有料ライセンス、2)世界に冠たるMicrosoftやSonyとのパートナーシップ、3)ゲームからの収益が年額10万ドルを超えたら課金するよ、という最初からの契約。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


グリー通期決算はヒット作不足で減収減益–今期はネイティブシフトし、新規事業も強化

グリーは8月13日、2014年6月期通期決算を発表した。売上高は1255億9800万円(前期比17.5%減)、営業利益は350億700万円(同28.0%減)、経常利益は360億5600万円(同32.3%減)、純利益は173億4700万円(同23.0%減)となった。

2014年度には早期退職による人員整理を実施してコスト削減や構造改革を進めた同社。フィーチャーフォン向けゲームの売上が減衰する一方で、スマートフォン向けの新規ヒットタイトルが思うように出ず、2期連続での減収減益となった。

2015年6月期には、これまで子会社を含めて300人体制だったネイティブゲームの開発体制を強化。現在非正規雇用を含めて1300人いるウェブゲームの開発者を教育し、年度内にネイティブアプリ1000人、ウェブ300人の開発体制を作るという。

ネイティブゲームの開発を300人から1000人に

グリー取締役執行役員の荒木英士氏は、同日開催の決算説明会において、これまでのネイティブゲーム不調の理由について、「打率向上(開発力強化、開発プロセスの改善)×打席数増加(開発人数やライン数の増加)が重要だが、ネイティブゲーム(をやる)と言い始めた頃には打率を上げる取り組みが十分でなかった」と説明。これを反省する形で1年かけて150人規模のネイティブゲーム専門チームを立ち上げ、今回発表した開発人員大幅強化に踏み切った。代表取締役社長の田中良和氏も「開発体制の強化を続けてきて、その結果がやっと出てきた。『これは行ける』と思っており踏み込んでいく」と語る。同社は2014年第4四半期の売上高266億円をボトムに売上の回復も期待する。

パブリッシング事業についても強化する。国内外のグリーの開発拠点や有力パブリッシャーとの連携により、クロスボーダー、クロスプラットフォームなゲームタイトルの配信を進める。

新規事業や投資も続々

今後は新規事業も強化していく。今春以降、ブランド品買取の「uttoku」、ホテルの直前予約サービス「Tonight」をはじめとして、複数の新サービスを提供。さらにはスマートニュースへの出資などを実施している(グリー取締役 執行役員常務の青柳直樹氏は、7月に福岡市で開催されたイベント「B Dash Camp」にて、1年で100億円の投資を実行すると発言している)。

田中氏は「スマートフォン」「シェアリングエコノミー」「既存のサービス、マーケットを変えていくようなもの」という3つのキーワードで注力分野について説明。青柳氏も、「投資も含めて一気呵成に新しいサービスを提供していく」と語った。なお新規事業については、TechCrunch Japanでは荒木氏へのインタビューを実施している。その詳細は近日中に紹介する予定だ。蛇足だが、決算説明会の資料でTonightは紹介されていたのだが、ラブホテル専用の直前予約サービス「Tonight for Two」は紹介されていなかった。それ以降に発表されたサービスは紹介されていたにも関わらず、だ。

説明会の質疑応答では、記者から「グリーはプラットフォーマーからネイティブゲームのソフトメーカーになるのか」という質問が飛んだ。GREEプラットフォームを中心とするウェブゲームの売上はまだ大きい(2014年度で1252億コイン中759億コイン)ものの減少傾向にあるし、同社はネイティブゲームの開発者を300人から1000人に増やすとしている。これに対して青柳氏は、「ウェブとネイティブで明確にポジショニングや戦略を変えている。引き続きウェブはプラットフォーム。ネイティブについてはデベロッパーであり、パブリッシャーとしてプラットフォーマーと協力していく」と回答した。

説明会で触れられなかった役員人事

ところで気になったのは、同日発表された役員人事だ。9月に開催予定の株主総会で、田中氏は代表取締役社長から代表取締役会長兼社長に、取締役執行役員副社長の山岸広太郎氏は取締役副会長になるという。

この点について説明会では何も語られなかった(かつ質疑の時間が限られていた)ので同社広報に尋ねたところ「ブランディングや業界内でのプレゼンス向上のために対外活動を強化するため会長職を設置する。また、田中の業務を補佐するために、共同創業者である山岸が副会長に就任する」との回答を得た。


本物の生きた魚がポケモンをプレイする(かなりへただけど)

余暇時間のぼくはアマチュアの水族館長だが、ぼくの魚たちに暇つぶしのためにポケモンをやらせることを、考えたことはない。ある勇敢なTwitchユーザがそれをやった。彼が書いたプログラムは、水中の魚の泳ぎ方を仮想ゲームコントローラ上のボタンプッシュと解釈し、オリジナルの赤/青バージョンのポケモンを魚たちにやらせるのだ。

この魚はメコン川流域原産のベタ(‘シャムトウギョ(闘魚)’とも)で、その派手な明るい色がペットストアで人気がある。田んぼのような、静止した水中に棲む。この魚にポケモンの技能はないし、130時間ログを取ってみたが、全然上達しない。でも、実際に戦って勝ったことが、一回だけある。体の大きさに比べて脳の容積がとても小さい生物のようだから、それだけでも上出来だ。

ある雑学クイズによると、ベタは長時間鏡の中の自分を見つめながらおめかしをするそうだ。実際に、闘ったあとたっぷり15秒鏡を見るのと、2秒しか鏡をみないのが闘った。勝ったのは前者の、ぼくがGrayson Hopperと名づけたベタだが、今や立派に、ネット上のセレブになってしまった。

いずれにしても、ぼくのGraysonの方が、今や、きみのMagikarpよりも有能だね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


【続報】LINEがgumiと資本業務提携、100億円規模のファンドでゲーム会社の世界進出支援も

LINE舛田氏(左)とgumi國光氏

LINEとgumiが資本業務提携に基本合意したとお伝えしたが、その続報をお伝えする。

LINEとgumiの提携は、両社が海外展開を推進する上で最適なパートナーと考えたためだ。LINEのゲーム事業はアジアや南米ではヒットしているものの、「アメリカでは十分ではない」(舛田氏)。LINEは海外アプリランキングで上位に入るヒット作「ブレイブフロンティア」を持つgumiにコンテンツを提供してもらうことで、LINEが浸透していない地域でのプレゼンスを高める狙いがある。

LINEが国内の企業に出資するのは初めて。今後はgumi以外の企業にも資本参加したり、ジョイントベンチャーと共同で開発したゲームをLINEプラットフォームを通じて世界に配信していく。

LINE GAMEはこれまで、短時間で遊べるカジュアルゲームを数多く投入し、今までゲームをしなかったユーザーを獲得してきた。しかし、LINEユーザーが増えるとともにニーズが多様化してきたことから、gumiが得意とする「ミッドコアゲーム」(カジュアルゲームよりもやりこみ要素があるゲーム)も展開していきたいと、舛田氏は話している。

gumiがLINE向けに開発するコンテンツは未定だが、LINEの友だちと一緒に遊べるようにするなど、コミュニケーション要素を盛り込んだ内容になる予定。コンテンツをダウンロードしたユーザーにはLINEのスタンプやフリーコイン(有料商品を購入できる)を配布したり、LINE内から誘導することも検討する。

國光氏によれば、世界における2012年のスマホゲーム市場規模は3000億円、2013年は1兆円、2014年は2兆円、2016年には5兆円に達する見込み。日本や欧米だけでなく、全世界の市場が同時に成長しているといい、「その中で圧倒的にナンバーワンになるには、単独でやるよりも、LINEさんと組んで世界を圧倒的に取りにいきたい」と意気込みを語る。

國光氏は「LINEのプラットフォームはテレビCM級の破壊力がある」と、そのプロモーション効果に期待しているようだ。来年中には世界のゲームパブリッシャーランキングで現在トップ3である「ガンホー、Supercell、Kingの一角に入り、再来年中にはぶっちぎり1位を取りたい」と話している。

App Annieによる2013年ゲームパブリッシャーランキング

LINEは同日、「GO GLOBAL with LINE」をキーワードに掲げ、国内のゲーム会社を対象とした100億円規模の投資ファンド「LINE GAMEGlobal Gateway」を設立することも発表した。ファンド運営会社として、新たにLINE Ventures株式会社を立ち上げ、舛田氏が代表に就任する。投資対象は「初期ステージだけでなく、世界にチャレンジしたいと考えているパートナー」。投資の条件は「LINE GAME向けにコンテンツを提供すること」で、他のプラットフォームに展開することも可能だという。ファンドは9月から運用を開始し、10社程度への出資を見込んでいる。

スマホゲームはいまや、資本力がモノを言う市場。國光氏によれば、ゲーム開発費は年々高騰していて、「怪盗ロワイヤルが500万円くらい、パズドラやブレイブフロンティアであれば1億円から1億5000円。最近はさらに、嫌になるくらい上がっている」。海外で勝負するには、現地の優秀なスタッフを雇用してローカライズしたり、大量にマーケティングを行うなど開発以外の費用も欠かせない。

そこでLINEが立ち上げたファンドでは、ゲーム開発を資金面で支援するとともに、LINE GAMEのプラットフォームを通じて海外展開を後押しする。海外で多数のユーザーを抱えるLINEのプラットフォームに乗ることで、ゲーム会社はかなりのマーケティングコストを圧縮できそうだ。なお、日本のゲーム会社に限定したのは、「日本で産声を上げて世界進出を果たしたLINEのロールモデルを日本企業に還元したかったから」と舛田氏は語る。

「日本もアメリカ、韓国、中国もスマートフォンのゲーム市場は成熟し、大資本を持ったメーカーがどんどん参入している状況。その中ではグローバルに通用するIP(知的財産:キャラクター)を使ったアプリがランキングに入る。こうした環境にスタートアップ企業がチャレンジするのは難しいので、ファンドを立ち上げて支援することにした。」

あまり知られていないかもしれないが、LINEで大きな売り上げを占めているのはゲーム事業だ。子会社を含む2013年の連結業績を見ると、LINEの売上高は518億円。このうち、基幹事業であるLINE事業が343億円を占める。LINE事業の内訳ではゲーム課金が60%と最も多く、スタンプ課金の20%を大きく引き離している。ゲーム事業はLINEの優等生ともいえるだろう。

今回、ゲーム関連の発表が相次いだが、LINEは今後、ゲーム会社になってしまうのか。この点について舛田氏は、「LINE=ゲームプラットフォームではないし、そうするつもりもない」と明確に否定している。「LINEはコミュニケーションやEC、ゲームどで構成されるプラットフォーム。ゲームはいち早く始めたのでロールモデルができているが、今後はゲーム以外でも資本提携やジョイントベンチャーでパートナー戦略を加速していく。」


NintendoはWii Uの売上3倍増でも損失を計上、ソフトの魅力で伸びてきたことをそろそろ自覚しないと…

Nintendoの四半期の結果が出た(WSJ紙による)が、主要なハードウェアの売上はいずれもあまりよろしくない。Wii Uの売上は3倍増したが、まだわずかに51万台だし、Nintendo 3DSは前年同期比で41%落ち込んで台数は100万に達しなかった。

Mario Kart 8のリリースがWii Uの売上を押し上げて前年同期比で3倍増になったが、Nintendoの家庭用主要ゲーム機の売上が100万台の半分という数は、良いニュースではない。

同社の全体的な営業損失94億7000万円(ほぼ9300万ドル)は、今年のクリスマス年末商戦に向けての大きなプレッシャーになる。なんとしても売上を回復しなければならないのだが、そのために同社はE3で人気キャラクタを主体とするゲームを数多くローンチした。また同社の玩具とゲームを組み合わせる試みであるAmiiboは、DisneyのInfinityシリーズなどにも似ているが、これにも期待がかかる。でも、最大の売上増大策は、主要ハードウェアWii Uと3DSの値下げだろう。

Nintendoは未だに、ゲームソフトでモバイル(既存のモバイルプラットホーム)に進出することをためらっているが、そのほかの抜本的な立て直し策を思いつくのは、ますます困難になりつつある。iPhone上のPokemonは絶対に成功すると、ぼくは確信している。Nintendo自身が、まだ間に合ううちに気づくことを、期待したい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))