TechCrunch Tokyo 2014、スタートアップバトルでプレゼンを競うのはこの12社だ

いよいよ明日11月18日から11月19日にかけて東京・渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2014」。これまで各セッションの内容や見どころのまとめという形で紹介してきているが、1つ大事なことをお伝えし忘れていた。そう、メインイベントの1つ「スタートアップバトル」の登壇者だ。

スタートアップバトルは創業3年以内のスタートアップに限定したプレゼンバトルだ。今年は昨年より30社ほど多い113社が応募してくれたが、その中から事前審査で選ばれた12社が自慢のプロダクトについて5分間のプレゼンを行う。ちなみに2012年は電動パーソナルモビリティを手がけるWHILLが、2013年は「Ring」を手がけるログバーがそれぞれ優勝を果たしている。今回本戦に勝ち進んだスタートアップをざっと紹介していこう。

mikan

mikanが提供するのは「圧倒的に一番速く覚えられる」を標榜する英単語アプリ。TinderライクなUIで英単語を知っている、知らないに分け、知らない単語に何度も接触することで、ベータテストでは1日1000単語という記憶スピードを実現したという。

AgiC

AgICは家庭用プリンタと伝導性のインクを組み合わせることで、電子回路の高速な試作を実現するプロダクト。IoT、メイカーズムーブメントなんて言われているが、実は電子回路に関しては、革新的な試作というものはなかったそうだ。AgiICでは、自社プロダクトを利用することで、通常1週間ほどかかっていた電子回路の試作を2〜3分に短縮するという。

STANDING OVATION

同社が提供するソーシャルクローゼットアプリ「XZ」は、自分の手持ちのファッションアイテムを登録し、自分が登録したアイテムやほかのユーザーが登録したアイテムを組み合わせて、コーディネートを作成できるアプリだ。将来的にはこのアイテムをもとにCtoCやBtoCのコマースにつなげていく予定。

フォトシンス

フォトシンスが手がけるのはスマートロック「akerun」。ドアの内側にこのakerunを取り付ければスマートフォンを使ってドアの開閉が可能になる。購入者以外のスマートフォンにも開錠権限を与えられるため、ハウスキーピングやしスペースの入場管理などでの活用が見込まれる。

ミニマル・テクノロジーズ

ウェブサイトに1行のスクリプトを埋めるだけで他言語化を実現できるサービス「WOVN.io」を提供。テキストの機械翻訳のような手軽さを感じてしまいがちだが、サイトの他言語化というのは実は翻訳にとどまらない大変な作業。WOVN.ioはそれを非常に手軽にしてくれる。

baton

batonが提供するのは、対戦型の学習アプリ「クイズマッチ」。入試に出るような問題をクイズ化し、全国のユーザーがクイズ形式で対戦できるというもの。現在は日本史に限定して約2000問を配信中。利用は無料となっている。

ビズグラウンド

同社のサービス「Bizer」はもともとスモールビジネス向けの士業や専門家への相談サービスだった。だがそれはあくまでサービスの一部。実はバックオフィスの業務支援サービスを開発していた。例えば新たに社員が入った時に何をするべきかというタスク管理や文書の作成などをサポート。専任者なしでのバックオフィス業務を実現してくれる。

FiNC

FiNCはスマホアプリを活用したダイエット家庭教師サービス。クラウドソーシングで集めた管理栄養士がユーザーのアップした食事に対する評価をしてくれるほか、専門家によるトレーニングの指導、遺伝子検査やアンケートをもとにしたオリジナルのサプリメントなどを提供する。

スペースマーケット

スペースマーケットは、あらゆるスペースをネット上で貸し借りできる、いわばビジネス版の「Airbnb」だ。ベンチャー企業の会議室から、お寺や野球場、帆船、はてはお化け屋敷まで、あらゆるスペースを借りることができる。

ベントー・ドット・ジェーピー

bento.jpは、スマホアプリを2タップするだけでお弁当を注文できるファストデリバリーサービス。メニューは日替わり、価格はデリバリー費用込みで500円。もちろんエリアは限定されるが、最短1分、平均10分でオフィスまでお弁当を届けてくれる。

yTuber.tv

「yTuber.tv」はYouTubeの様々なコンテンツをキュレーションして、テレビのチャンネルのようにカテゴリ分けした、いわばYouTubeの「ラテ欄」を作っている。そして同じコンテンツを視聴しているユーザー同士でメッセージのやりとりが出来るサービスだ。

オープンロジ

「物流をもっと簡単・シンプルに」をコンセプトにした中小事業者・個人向けの物流アウトソーシングサービス。物流会社と連携することで、本来手続きがかかり複雑な料金体系を持つサービスを簡素化した。代表の伊藤秀嗣氏は富士山マガジンサービスの物流システムの構築から約10年間事業に携わった後に起業した。

以上が今年登壇する12社となる。昨年僕は観客席から見ていたわけだけれども、今年は事前のプレゼンから見させてもらっている。どこもプレゼンのレベルが高く、またジャンルもC向け、B向けのウェブサービスからIoTまで幅広いので、正直優勝の予測がつかない。栄光を勝ち取るのははたしてどのスタートアップになるのか。

なお、このセッション様子は当日Ustreamでも公開する予定だ。さらにバトルの直前には、昨年優勝したログバーの吉田卓郎氏も登壇の予定。一般販売までの経緯を語ってもらうほか、デモも披露してくれるという。


TechCrunch Tokyo 2014の見どころをダイジェストで紹介するぞ!

きたる11月18日、19日に東京・渋谷ヒカリエで開催するスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2014」まで1週間を切ったが、ご登場いただくスピーカー陣が「ほぼ」出揃ったのでダイジェストでお伝えしたい。「イベントまで1週間を切って『ほぼ』ってどういうこと?」とツッコミが入りそうだが、もしかしたら追加でお知らせできるかもしれないのでご容赦いただければと思う。(タイムテーブルはこちらから)。

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DAY1(11月18日)

シリコンバレーで次に来るサービスは?

さて、初日のオープニングセッションを飾るのは、シリコンバレーのテック業界で時代の寵児ともてはやされている「Product Hunt」の創業者、Ryan Hooverだ。Product Huntをざっくり言うと、イケてると思ったプロダクトに投票やコメントを書き込み、投票数が多いプロダクトほど上位に表示される仕組み。パッと見は、投票機能のある掲示板だが、Product Huntがスゴいのは、シリコンバレーのVCたちが参加し、日々チェックするサイトというポジションをあっという間に築き上げたことだ。セッションでは、米TechCrunchのライターとしての経験を持つSerkan Totoが、「シリコンバレーで次に来るアプリ・サービスは?」というテーマでRyanにインタビューする。

斬新なUIで注目、10億ドル企業入り目前のデートアプリ

続いて登場するのは、「ユニコーンクラブ」(短期間で時価総額が10億ドルを超えた稀有の成功事例)入り目前と評されるデートアプリ「Tinder」のバイスプレジデント、Rosette Pambakianだ。ロサンゼルス発のTinderは、スマホで異性の写真を見て「好み」「好みじゃない」と直感的に右へ左へと写真をスワイプしていくテンポの良いインターフェイスが特徴。この斬新なUIはファッションや学習、ニュースなどのアプリにも採用されるなど注目を集めている。登壇するRosetteは、そのままTinderのモデルになれそうな風貌の女性の持ち主。デートアプリで10億ドル(約1000億円)と言われてもピンとこないかもしれないが、彼女はTinderの戦略や、実際に周囲の人々がどう使っているかも含めて話してくれると思う。

クレイジーな起業家の創業ストーリーが目白押し

午後のセッションはファウンダーストーリー(創業物語)が目白押しだ。トップバッターはIPOも噂される企業向けクラウドストレージ「Box」を手がけるSam Schillace。彼はバリバリのテクノロジストでありながら、連続起業家としてもシリコンバレーで有名な存在。Google Docsの生みの親としても知られる。続いて、「部屋中どこでもワイヤレス充電」といいうニワカには信じられないテクノロジーを開発するOssiaのHatem Zeineや、学費がバカ高い米国の4年制大学をディスラプトすると豪語する「MakeSchool」のJeremy Rossmannなど、クレイジーな起業家の話はぜひ生で聞いてもらいたい。

このほかにも、「若さか社会経験か? 成功する起業家に必要なもの」や「超小型開発ボードのEdisonがWeb開発者に開くIoTへの道」をテーマにしたセッションがあったり、ドローンの先駆者である仏Parrot電子署名プラットフォームのDocuSignの講演があったり、ソフトバンクのPepperくんを魔法の指輪「Ring」で動かす夢の共演まであったりする。

10代がハマるネットサービスとは

海外スピーカー勢の後に控えるのは、日本人によるパネルディスカッションだ。まずは「10代がハマるサービス」というテーマで、10代のユーザーを多数抱えるスタートアップ3社が登壇。「ざわちん」や「けみお」といった10代に人気のタレントを生み出したと言われるツイキャス、HIKAKINをはじめとした国内の人気YouTuber約30人が所属するuuum、中高生向けオンライン学習塾「アオイゼミ」の代表が、普段は垣間見えにくい10代ネットユーザーの利用動向を話してくれる。

若手独立系VCが語る、注目分野とは

初日最後のセッションには、若手独立系ベンチャーキャピタリストである、ANRIの佐俣アンリとSkyland Venturesの木下慶彦が登場。スタートアップを取り巻く環境や彼らが注目する領域、さらにはベンチャーキャピタリストという生き方などについて、2人やその投資先を取材してきたTechCrunch Japanの岩本有平がぶっちゃけトークを繰り広げてくれることだろう。

そうそう、パネルセッションの裏番組にはなるが、日本で最も「CTO密度」の高い、CTOのためのイベント「CTO Night」も昨年に引き続き開催する。今年は「CTO・オブ・ザ・イヤー」を選出するピッチ・コンテスト形式として、9社9人のCTOの日々の仕事の成果をシェアし、たたえ合う場にする予定だ。

DAY2(11月19日)

今さらポータル?「Syn.」の方向性を聞く

2日目のオープニングセッションに登場するのは、スマホ向けの新ポータル構想「Syn.」の仕掛け人、KDDIの森岡康一だ。Syn.の発表時には「今さらポータルか」という声も聞こえてきたりして、ネット上での評判は必ずしも芳しくなかったのは事実。しかし、彼は「いまスマフォになだれ込んできているユーザー層は、ヤフーポータルにすら自分で辿りつけない人。こうした層にネットを楽しく便利に使ってもらうにはどうすれば良いのか、という課題に対する回答の1つがSyn.」と語る。そんなSyn.の狙いと今後の方向性についてお聞きする予定だ。

世界で勝負できるプロダクトとは

続いてのセッションには、フリマアプリ「メルカリ」の小泉文明、ニュースアプリ「スマートニュース」の鈴木健、リアルタイム型対戦脳トレアプリ「BrainWars」を手がけるトランスリミットの高場大樹が登場する。これまで海外進出をうたうスタートアップは数あれど、実際に「成功」と呼べるほどのプロダクトはほとんどなかったように思う。そうした中、スマートニュースは米App Storeのニュース部門、BrainWarsは同ゲーム部門でそれぞれ1位を獲得。国内のフリマアプリ市場で存在感を示すメルカリも9月に米国進出を果たし、本気で市場を取りに行っている。彼らには世界で戦えるプロダクトの作り方について聞く予定だ。

左からトランスリミット高場大樹さん、メルカリ小泉文明さん、スマートニュース鈴木健さん

同じ時間帯には、「スタートアップのためのモバイルEコマースと決済」というテーマで、PayPalのCorrado Tomassoni、ウェブペイの久保渓、Showcase Gigの新田剛史によるパネルディスカッションも行われる。

もちろん今年もやります、スタートアップバトル

ランチ休憩後には、イベントの目玉企画とも言える「スタートアップバトル」が始まる。今年は書類審査に応募した113社の中から選ばれた12社が自身のプロダクトを披露。優勝企業には賞金100万円を贈呈する。ちなみにスタートアップバトル直前には、昨年優勝した「Ring」を手がける吉田卓郎が登場する。彼にはスタートアップバトル優勝から紆余曲折を経て一般販売までこぎつけた話や、実際のデモを見せてもらう予定だ。

(おそらく)興奮冷めやらぬスタートアップが終了し、表彰式までの2時間も見逃せない。大学講義配信サービスの総称として使われる「MOOCs」ブームの火付け役となったUdacityのバイス・プレジデントClarissa Shenがオンライン教育の現状を語ったり、初日に続いての登場となるRyan HooverがProduct Huntの創業秘話を語ってくれる予定だ。同じ時間帯には、TechCrunch Japanとリクルートとのコラボレーションによる日本最大級のWebアプリ開発コンテスト「Mashup Award 10」も開催している。

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TechCrunch Tokyoで若手独立系ベンチャーキャピタリスト2人にスタートアップの「今」を聞く

新聞やビジネス誌でも「ベンチャーブームの再来」なんて文字が踊るようになって久しい。たしかに数年前に始まったインキュベーションプログラムは成熟度が増して、そこから優秀なスタートアップが生まれつつある。10月末に開催されたのIncubate Campなども、僕は行けなかったのだけれども審査員やメディアからはサービスやプレゼンのレベルの高さについて聞くことも少なくなかった。またIPO市場を見ても、最近話題となった弁護士ドットコムとクラウドワークスのマザーズ上場を始めとして活況を呈している。もちろん上場までの期間を考えると、直近に創業した会社ばかりというわけでもないのだけれど。

佐俣アンリ氏

だが果たしてこれはブーム、つまり一過性のものなのだろうか。僕はそう思っていないし、そうならないためにできることはやっていきたいと思っている。僕たちがまず出来るのは、新しいプロダクト、サービスを生み出す人たちを取材して正しく伝えることだし、ベンチャー、スタートアップという東京の渋谷や六本木周辺を中心にしたコミュニティの”業界ごと”を“世の中ごと”にすることなんじゃないか。TechCrunchの編集部にジョインなんて記事で華々しくデビューしてしまった(させてもらった)者としてそう考えている。

僕が一過性だと思わない理由はスタートアップを取り巻くエコシステムの拡大だ。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家、インキュベーター、士業、監査法人、さらには大企業の新規事業担当者など、スタートアップを取り巻く環境はここ数年で大きくなり、正直取材をするだけでもひと苦労になっている。もちろん少なくないプレーヤーが失敗してはいるのだけれど、全体としてはより大きなものに成長している。投資額だってそれに合わせて大きくなっている。CrunchBaseにある地域ごとの投資マップ(こちらは2014年10月分)を見ても毎月の投資額がそれなりに大きいことが分かるし、CB Insightsの記事によると、東京での資金調達額も過去2年(2012年11月〜2013年10月と2013年11月〜2014年10月)を比較して約2割増だそうだ。

木下慶彦氏

さて、11月18日〜19日に開催するTechCrunch Tokyo 2014では、そのエコシステムの中から若手の独立系ベンチャーキャピタルにスポットを当てて、スタートアップを取り巻く環境について聞いてみたいと思う。11月18日夕方のセッション「独立系ベンチャーキャピタリストが語る投資の今とこれから」には、ANRI General Partnerの佐俣アンリ氏、Skyland Ventures 代表パートナーの木下慶彦氏に登壇頂く予定だ。2人はそれぞれ20代にして自らの手でベンチャーキャピタルを立ち上げ、投資を行ってきた。

ANRIは前述のクラウドワークスのほか、DeNAが買収したペロリなど、すでに投資先のイグジットの実績があるし、Skyland Venturesも投資先の八面六臂が7月にリクルートなどから4.5億円の調達。トランスリミットは対戦型脳トレアプリ「BrainWars」が現在世界500万ダウンロードを達成し、さらにLINEなどから3億円を調達。それぞれサービスの拡大を進めているところだ。

このセッションではそんな2人に、どうして自らベンチャーキャピタルを立ち上げるという選択肢を選んだのか、今どういった視点で投資を行っているのか、さらにはスタートアップを取り巻く環境の今とこれからについて聞いてみたいと思っている。開催まで間もないが是非とも2人の話を聞きにきて欲しい。

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TBSがアイリッジと資本業務提携――O2O領域で新事業も検討中


東京放送ホールディングス(TBS)グループでベンチャー投資を手がけるTBSイノベーション・パートナーズ(TBS-IP)が11月11日、O2Oソリューションを手がけるアイリッジとの資本業務提携を発表した。

出資額は非公開だが、数千万円程度と見られる。アイリッジは2008年の設立で、これまでに代表取締役社長の小田健太郎氏の古巣であるNTTデータのほか、KDDIやデジタルガレージ、みずほキャピタルパートナーズ、三菱UFJキャピタルなどから資金を調達している。金額的にも今回の調達は、業務面でのシナジーを重視したものと考えて間違いない。

TBS-IPは、5月にソーシャルメディアを中心としたビッグデータの分析事業を手がけるデータセクションとの資本業務提携を発表している。この発表の際、テレビとソーシャルメディアの解析結果を組み合わせてどのように事業にするかが重要ということを聞いたのだけれども、今回もそれと同じような取り組みらしい。アイリッジが持つO2O向けソリューション「popinfo」とテレビやイベント運営などの関連事業を連携することで、互いの価値が向上するような取り組みをしていきたいのだそうだ。

例えば日本テレビは、ソーシャル視聴サービス「JoinTV」を使って「O2O2O(On Air to Online to Offline:テレビ番組やCMからネットに、さらにネットから実店舗などに誘導する仕組み)」なる、テレビだからこそできる新しいマーケティングの手法があるとアピールしてきた。これと同様…かは分からないけれども、TBSも提携先の持つソーシャルメディアのデータやO2Oソリューションを組み合わせることで、新たなマーケティングやビジネスモデルの模索を進めるという。

アイリッジのpopinfoは、位置情報や時間、ユーザー属性と連動してスマートフォンにプッシュ通知を行うソリューション。同社ではこれを軸に、O2O施策の企画からアプリ開発、運営までをワンストップで手がけてきた。これまでの導入事例はジーユーや東急電鉄など大手クライアントはじめとして250アプリ、合計1500万ユーザー(アプリごとのユーザー累計)が利用しているという。

すでに具体的な新事業がアイリッジ側から提案されており、実現に向けて調整を進めている段階だそう。とはいえテレビ局は免許の必要な事業ということもあって、大企業の中でも提携などには慎重な体質があることは確か。「たとえシステム的にオーバーになろうが、ベストエフォートではなく『ミスがない』という事業を行いたいという声はある」(TBS-IPの片岡正光氏)のだそう。だが片岡氏は「そこで外部の新しいプレーヤーと組むからこそイノベーションは起こる。すでにデータセクションについても複数のプロジェクトを社内で進めているが、アイリッジともそういった事例をうまく活かしていきたい」と今後の展開について語った。


TC Tokyoにメルカリ、スマニュー、BrainWarsが登場! 世界で勝負できるプロダクトの作り方とは?

photo by
Steve Cadman


左からトランスリミット高場大樹さん、メルカリ小泉文明さん、スマートニュース鈴木健さん

600万ダウンロードを超えたフリマアプリ「メルカリ」、500万ダウンロードに達したニュースアプリ「スマートニュース」やリアルタイム対戦型脳トレアプリ「BrainWars」――。3つのプロダクトに共通している点がある。いずれも海外市場を戦いの舞台としていることだ。これらのプロダクトを手がける3社が、「TechCrunch Tokyo 2014」2日目の11月19日に登場することが決まったので、お知らせしたい。

これまで、いくつものスタートアップが海外展開に挑戦してきたものの、そのほとんどは失敗に終わっている。そんな中、TechCrunchでも伝えたように、スマートニュースは10月にリリースした英語版が米App Storeのニュースカテゴリーの1位を獲得。米メディア界に豊富な人脈を持つメンバーを次々に採用するなど、人材面でも海外展開を加速していることが伺える。

BrainWarsはリアルタイムでのオンライン対戦が可能な脳トレゲームアプリ。友人や世界中のユーザーとリアルタイムのマッチングを行い、各種脳トレゲームの対戦スコアを競い合える。公開から5カ月で500万ダウンロードを突破し、海外ユーザー比率はなんと95%。米App Storeのゲームカテゴリで1位を獲得している。

BrainWarsを手がけるトランスリミット代表取締役の高場大樹さんは、創業当初のインタビューで「脳トレは非言語コミュニケーション。どこの国の人でも共通の土台で戦える。年齢も子どもから大人までカバーできるので提供範囲も広い」と語っていたが、その狙い通りに海外展開が進んでいるようだ。

10月にはLINEの投資ファンドなどから総額3億円を調達。LINE執行役員の舛田淳さんが「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」と評価するように、海外市場を狙える数少ない日本のプロダクトの1つと言えそうだ。

国内のフリマアプリ市場で存在感を示すメルカリは、今年3月にサンフランシスコに子会社を設立。9月に米国でのサービスを開始した。メルカリ代表取締役社長の山田進太郎さんは、「何から何まで日本と事情が違う」と驚きつつも、1日の出品数が数千件に上るなど、順調な滑り出しを見せている。立て続けに実施した大型資金調達を受け、米国でのマーケティングを本格化していくそうだ。

TechCrunch Tokyo 2014では、スマートニュース代表取締役の鈴木健さん、トランスリミット代表取締役の高場大樹さん、メルカリ取締役の小泉文明さんにご登壇いただき、世界市場で戦えるスタートアップに必要なものは何なのか、といった話を伺う予定だ。

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Facebook疲れの人も本音が書ける、テキスト限定投稿サイト「LifeCLIPS」

上司や取引先とつながりすぎたせいでFacebookにプライベートなことが書きにくい。かといって、Twitterの140文字じゃ足りないし、ブログを開設するのも面倒くさい。そんな人のために作られた「LifeCLIPS」は、ブログでもSNSでもない、文章コンテンツに特化したプラットフォームだ。投稿できるのはテキスト限定、基本機能は「足あと」と「フォロー」のみと超シンプルだ。

「CLIP」と呼ばれる記事の作成画面は、真っ白な背景にタイトルと本文を書き込むスペースのみ。ボールドやイタリック、見出しなどの機能もなく、写真や動画も投稿できない。そのUIはどことなく、Bloggerを創業し、Twitterの共同創業者でもあるEvan Williamsが手がける「Medium」ライクでもある。

文章の公開範囲は全体公開・限定公開(著者がフォローしている人のみが読める)・非公開の3種類。ソーシャルでも見てほしいという人のために、FacebookとTwitterのシェアボタンも控え目ながら用意されている。

2014年1月にクローズドベータ版をリリースし、11月6日に正式ローンチ。これまでに約500人が約1400件のCLIP(記事)を投稿していて、1記事あたりの平均文字数は568文字。Facebookでよく見る「意識高い系」の投稿ではなく、セルフブランディングとは無縁の趣味やプライベートの話が多いのが特徴だという。

サービスを運営するiDEAKITT代表取締役の藤田遼平さんは、「その道の専門家ではなくても、セルフブランディング以外の目的で書かれる独自の価値観はコンテンツとして面白い」と話す。

「何を書いていいかわからない」という人には、特定のテーマ(お題)を設けることで書きやすくする。「チャンネル」と呼ばれるこの機能は、「子供の頃のヒーロー・ヒロイン」や「何度でも訪れたくなる街」といったお題をLifeCLIPSが用意。各チャンネルにはお題に沿った記事だけが集まる。将来的には、企業や団体が訴求したいテーマに沿ったチャンネルを作ることも、収益の1つとして見込んでいる。

かつての「mixi日記」の空気感をもう一度

藤田さんがLifeCLIPSでイメージしているのは「全盛期のmixi日記の空気感」だ。

「mixi日記は適度なつながりで本音を投稿できる場。かつて毎日のように投稿していた人に、『Facebookだと書きたいことも書けない?』と聞くと8割以上が同意すると思います。長い文章を書きたいニーズがあるのはmixi日記が証明済み。いいね!は100個もいらない、好きな人にだけ読んでもらえれば満足する、という人は多いはずです。その意味で、mixiと同様、誰に読まれたかがわかる足あと機能をつけています。」

ソーシャル疲れした人には、フォローし合える人数が150人までの「Path」9人限定の「Close」などのクローズドなSNSがある。まとまったコンテンツを気軽に投稿できるサービスとしては、ピースオブケイクの「note」やシックス・アパートの「Shortnote」があるし、Facebookでグループを作って文章を投稿すれば事足りるのかもしれない。この点について藤田さんは、「LifeCLIPSのベータユーザーに評価されているのはテキストのみの潔さ。写真や動画、音声など何でも投稿できるのが良しとされがちですが、文章しか書かない場所というのがわかりやすい」とテキストコンテンツの持つ可能性にかけている。


インフィニティ・ベンチャーズが3号ファンド設立、中国出資ではリクルートと連携

インフィニティ・ベンチャーズLLP(IVP)は11月6日、3つめのファンドとなる「Infnity e.ventures Asia III,L.P.」を設立したことを明らかにした。

ファーストクローズの金額は約3200万ドル(1ドル110円換算で約35億円)。ファンドに出資するのはリクルートホールディングス、大和証券グループ本社、サミーネットワークス、ORSO、ミクシィ、ユナイテッドなどの法人のほか、個人経営者など。IVPは2009年に1号ファンドを立ち上げているが、これにはKDDIやミクシィが出資していた。IVP共同代表パートナーの小林雅氏によると、「当時に比べて、規模の大きい事業会社において新規事業開拓のニーズが増えている」とのことで、事業会社による出資が多くなっている。

また10月に上場したばかりのリクルートホールディングスもファンドに出資するが、今後はリクルートグループで海外に特化投資に特化したコーポレートベンチャーキャピタルである「合同会社RGIP」などとも連携して中国での投資を進める。今後IVPでは海外の大口投資家なども含めて、2015年前半に1億ドル規模までファンドを拡大するとしている。

IVPはこれまで、1号ファンドからの累計調達額は約1億2800ドル(1ドル110円換算で約141億円)で、これまで国内外合わせて40社以上に投資をしている。投資金額に対して投資先のバリュエーション(評価額)は3倍だそう。小林氏にもう少し詳しい話を聞いたところ、これまでのイグジット事例として最も大きいのは1号ファンドで出資したグルーポン・ジャパン。

2012年末にクロージングした2号ファンドでは、企業名は非公開とのことだがすでに一部の株式を売却しているほか、中国で決済事業を手がけるYeahkaやアプリ解析のApp Annieをはじめとしてバリュエーションが100万ドル超の企業が4社ほどある状況。「現時点で大きなイグジイットは無いが、含み益は見えている」(小林氏)。3号ファンドでもこれまで同様に日本と中華圏での投資に注力する。


DMMが秋葉原にモノづくりの大拠点――3億円超の機材を揃え、CerevoやABBALabが入居


MAKERSムーブメント、IoT――言葉としてはよく聞くし、その動きは活性化している。多くの人たちは3Dプリンターにばかり目が行きがちだが、それだけの話ではない。ハードウェアスタートアップに必要な機材が利用できる場所が増え、そのノウハウを持ったプレーヤーも徐々に育ち、MoffRingといったプロダクトが世に出てきた。またそんなプレーヤーに出資したい投資家も現れている。

そんな中、DMM.comが日本のモノづくりスタートアップの中心地づくりに動いた。同社は11月11日に東京・秋葉原にてモノづくりの拠点となるスペース「DMM.make AKIBA」をオープンする。あわせて同スペースにはハードウェアスタートアップのCerevoやハードウェアスタートアップを対象にした投資を行うABBALabが入居。ノウハウや立ち上げ資金の提供を進める。

DMM.comでは、サイト上でデータをアップロードし、3Dプリンターでパーツやフィギュアなどの造形物を製作する「DMM.make 3D PRINT」を2013年夏にスタート。その後はIoT関連の情報を配信するオンラインメディア「DMM.make」も展開してきた。3Dプリント事業はすでに月間数千メデルを制作するまでになったが、「実際のところこれまでの事業は『入口』。これまでの我々の事業もそうだが、プラットフォームを作ることを目指している」(DMM.make AKIBA総支配人吉田賢造氏)とのことで、そのプラットフォームとしてDMM.make AKIBAを立ち上げるに至ったという。

3億円超の“本物”の機材が揃う「Studio」

DMM.make AKIBAの所在地は、秋葉原駅そばの富士ソフト秋葉原ビル10〜12階。10階は電子工作から量産向け試作品の開発・検証までが行える。「DMM.make AKIBA Studio」。11階は3Dプリンターを設置し、3Dプリンターや各種機材に関する法人向けのコンサルティングサービスを提供する「DMM.make AKIBA Hub」。12階はイベントスペースやシェアオフィスなどを展開する「DMM.make AKIBA Base」となる。なおCerevoは12階の一部に入居する(余談だが、Cerevoは今夏に株主が変わって以降、人材を大幅に拡大しており、現在自動車メーカーや電機メーカー出身のエンジニアも続々参画しているそうだ)。

Studioには合計180点以上の設備があるそうで、その金額は「機材だけでも3億円超」(吉田氏)だという。また、機材の監修をしたCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、「機材は『本物』を揃えた、ということが重要。
5軸CNC(切削機)をはじめとして、小さな工場では高価で導入できないものも用意されている。また、水深30mまでに対応した耐圧潜水試験設備など、試験用設備もある。これがあれば最近出ているいわゆるハードウェアスタートアップの量産のほぼ一歩手前までができる」と語る。僕もそのリストの一部を読んだのだが、言葉の意味は分かるけど実物を見たことがない…というような試験設備も数多く並んでいた。

ハードウェアと聞くと僕らは機器そのものに目が行きがちなのだけれど、岩佐氏いわく配達までに壊れないよう梱包素材の選定だって重要だということで、そのための試験機までが用意されている。こういった試験機やハードウェア製作のための機器をスタートアップが一度に利用できる施設は国内では今までまずなかったそうで、岩佐氏は「1製品作るのに平均10カ月近くかかっていたが、うまくいけばそれが1〜1.5カ月短縮できるのではないか」と語る。

利用料金はStudioが月額1万5000円(初期費用3万円)から。オフィススペースのBaseと同時利用の場合、月額3万円(初期費用6万円)からとなる。この設備にたいしてこの料金設定でビジネスとして回るのか吉田氏に尋ねたが、「まだ投資フェーズだと考えている。施設単体でどうかというところだけでなく、ビジネスをより波及させることになる。まだまだ市場を広げて初めて価値を出す」とのことだった。

ハードウェアスタートアップ向けの支援プログラムも

また、ABBLab代表取締役の小笠原治氏は、ここでスタートアップ向けのシードアクセラレーションプログラム「ABBALab Farm Programing」を展開する。現在BoltやHighway1、HAXLR8Rなど、海外では20以上のハードウェア向けシードアクセラレーションプログラムがあるが、日本で大々的なプログラムはこれまでなかった(これについて小笠原氏は「これまでモノづくりができていなかった地域ほど、プログラムが活発だ」と教えてくれた。同時に「日本はモノづくりに強いが、個人や起業して作る人が少ない」とも)。

プログラムに参加するには、毎月開催される「トライアウト」と呼ぶプレゼンで合格する必要がある。合格すれば、業務委託や投資(基本的には評価額3000万〜5000万円で、50万〜1000万円を出資する)「スカラシップ」、自らが持つスキルでスカラシップを教育・支援して対価を得られる「フェロー」になることができる。なおプログラム参加者は毎月発表を行う場が用意され、そこで支援継続、支援追加、支援中止のジャッジを受けることになるという。プログラムはまず、並行して10社程度の参加を予定する。

プログラムでの目標を達成したプロダクトは、クラウドファンディングなどを通じて市場に出し、初期ロットの生産数を試算できるようになった時点で適量生産(大量生産の手前の段階、数を限定した生産)までを進める。もちろんABBALabや他のベンチャーキャピタル、事業会社と連携した追加投資も行うという。

岩佐氏は最後にこう語った。「大義名分にはなるが、海外は気合を入れてモノを作っている。我々はそれに負けてはいられない。日本はハードウェアの国だったのに海外にやられている状況。我々Cerevoが偉い、儲かっているとは言わないが、ハードウェアベンチャーとしては先を走っていて、ノウハウがある。ここにはDMM.comの機材があって、スタッフがいる。ここでこそ我々のノウハウが生きると思っている」


日本のLineの2014Q3の売上は$192M、前年同期比で倍増…その稼ぎ方をFacebook/WhatsAppも見習うべき?

Facebookは数日前に、この前180億ドルで買収したメッセージングサービスWhatsAppが今年の前半で損失を計上したことを明かしたが、今日(米国時間10/29)は登録ユーザが5億いるライバルのLineが、2014Q3の売上が前年同期比で倍増したことを発表した

Lineは利益や損失を発表しないが、至近の四半期の売上が1億9200万ドルであった。前年同期比では104.2%の増(ほぼ倍増)、前期比では17.7%の増だった。ラインの収益源はデジタルのコンテンツで、その主なものはゲームアプリのアプリ内購入だ。ゲームのタイトルは50以上あり、そのほかにステッカーの売上や企業が利用するマーケティングチャネルの料金収入もある。

同社によると月間アクティブユーザ数は1億7000万で、その過半数8700万は上位三つの市場…日本とタイと台湾…からだ。この三つ以外では、合衆国の2500万やインドの3000万が大きい。

Lineは最近、上場の予定を延期したが、それは評価額をおよそ100億ドルとする日米同時上場だ、と噂されていた。また、噂ではなく同社の発表では、今後全世界的に漫画サービスを展開し、コンテンツのダウンロードやエンゲージメントで稼ぐという。また、顧客をオンラインからオフラインへと誘導する企業向けのマーケティングチャネルを、今後は西欧も含む全世界へ拡大していき、知名度の一層の向上を図る計画だ。

WhatsAppは各月のアクティブユーザ数が60億を超えていて、メッセージングサービスの断トツだが、アジア勢力…日本のLine、中国のWeChat、韓国のKakao Talkなど…は、上記のように、企業などからの売上が大きいプラットホーム型のビジネスモデルを開拓しようとしているから、今後の勢力図がおもしろいことになりそうだ。

ただしLineの現状は、海外市場で巨額の広告費をつぎ込んでいるから、利益はそれほど大きくないと思われる。トップランナーのWhatsAppはこれまで、口コミ効果による成長が大きかったが、Facebookが今後それを自己の収益源にしていくためには、上記のアジア的やり方が参考になるだろう。いくらWhatsAppのファウンダたちが執拗に、広告やゲームを入れることに声高に反対しているとしても…。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ヨーロッパでWindows Phone一人負け―日本ではAndroidがiOSのシェアを大幅に奪う

Kantar Worldpanel ComTechが9月までの3ヶ月のスマートフォンの販売台数のOS別シェアのデータを発表した。この中で注目すべき動向は、Windows Phoneのそれでなくても小さいシェアがヨーロッパでさらに減ったという点だ。ヨーロッパの主要5市場(イギリス、フランス、スペイン、イタリー、ドイツ)のすべてでAndroidとiOSがいずれもシェアを伸ばす中、 Windows Phoneは5カ国合計で0.3%ポイントの減少となった。

市場ごとの内訳を見ると、イタリーだけはWindows Phoneのシェアが対前年同期比で増加している(1.5ポイント)。Windows Phoneのイタリーでのシェアは15.2%で、Androidの71.8%に次いで2位だ。しかしWindows Phoneが好調なのはイタリーだけだ。他の3市場では微減、ドイツでは8.5%から7.1%と1.4ポイントの大幅減となっている

対象となった3ヶ月はAppleがiPhone 6と6 Plusをリリースした時期にあたっているため、Kantarの統計にはヨーロッパでiOSシェアの増加が見られる。このためヨーロッパ5カ国の合計ではiOSは1.5%ポイント増加し、Androidの1.4%ポイント増加をわずかに上まわった。

〔日本版〕Kantor Worldwideの統計によれば、日本ではこの期間にAndroidのシェアが14.5%ポイント増加し、iOSがほぼそれに見合う分、15.9%ポイント減少している。

Kanterの統計で10%ポイント以上の大幅なシェアの変化があったのは日本だけだ。これによってAndroidのシェアは64.5%となり、アメリカの61.8%とほぼ同様の水準となった。iOSは日本の他にアメリカでもシェアを3.3%ポイント落としている。こちらに地域別のインタラクティブ・グラフが掲載されている。これまでiOSが優勢だった2大市場で、しかもiPhoneの新シリーズが投入された時期の変化だけに注目される傾向だ。

ただ、Kantor Worldwideの元記事はヨーロッパでのiOSの好調を紹介する一方、これまで必ず触れてきた日本の動向について一切触れていない点が気になる。この点についてはさらにフォローしてみたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


TechCrunch Tokyo運営ボランティア募集中


TechCrunch Japanは11月18日、19日に東京・渋谷のヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2014」の運営を手伝ってくれるボランティアを募集する。ボランティアのみなさんには、イベント配布資料を封入してもらったり、来場者の誘導などをお願いする予定だ。運営業務が優先になるけれど、空き時間にはイベントに参加したり、来場者や関係者とコミュニケーションを取るチャンスがあるかもしれない。それと、ボランティアになっていただいた方には、TechCrunchのロゴ入りTシャツをご用意している。

TechCrunch Tokyoは、起業家や投資家といったスタートアップに直接関わる人たちだけでなく、大企業の新規事業担当者、新しいビジネスの種を探しているマーケター、テック系トレンドを追う広告代理店やエンジニアなどなど、幅広い層に参加いただけるイベントだ。そんな「スタートアップの祭典」をぜひ、TechCrunch Japan編集部の我々といっしょに作っていただければと思う。

我こそは、という方はボランティア受付サイトにアクセスして、氏名やメールアドレス、自己紹介、意気込みなどを書いて送ってほしい。定員は20名程度だけど、応募多数の場合は抽選となる。応募要項は下記の通りだ。

・募集人数:20名程度(応募多数の場合は抽選。当選者にはメールでご連絡いたします)
・対象:学生、スタートアップに関係する方、本イベントに興味のある方
・条件:11月18日(火)、19日(水)の2日間手伝える方。時間は8:00〜21:00を予定

ボランティア受付サイトはこちらから→

ボランティアというかたちじゃなくて、イベントをがっつり見たいという学生には、わずかではあるけれど学割チケットをご用意している。スタートアップに興味があったり、これから起業しようと思っているTechCrunch読者の学生に向けて、通常の前売りチケットの半額以下となる7560円でチケットを提供する。当日受付の際には学生証が必要となるので忘れないようにしてほしい。

TechCrunch Tokyo 2014学割チケットはこちらから→

photo by
vastateparksstaff


日本の楽天、国際展開を本格化―イギリスでRakuten.co.ukマーケットをスタート

日本のeコマースの巨人、RakutenはAmazonやAlibabaと対抗できるようなグローバル・パワーを目指している。今日(米国時間10/22)、イギリスで自社ブランドのオンライン・マーケット、 Rakuten.co.ukをオープンした(プレスリリース)。この市場では楽天自身とサードパーティーの小売業者が多様な商品を販売する他、Koboの eブックやWuakiビデオ・ストリーミング・サービスも提供される。

なお同時に2011年に4000万ドル弱で買収したPlay.comブランドは閉鎖された。

書籍、ガジェット、各種デジタルコンテンツに加えてRakuten.co.ukは食品、飲料、健康、美容、医療、ペット用品などを販売する。Amazonに対抗しておそらくおもちゃや生鮮食品の取り扱いも始めるものとみられている。

Rakuten.co.ukをローンチした理由はわかりやすい。楽天はこれまで主として買収を通じてヨーロッパに進出してきた。それがある程度進展したので楽天ブランドのもとに戦略的統一を図ることにしたものと考えられる。これまで楽天はPlay.comの他にFranceのPriceMinisterを2010年に(2億5000万ドル)、ドイツのTradoria2011年7月に買収している。また特定分野では、eブックのKobo、スペインのビデオ・ストリーミングのWuaki、メッセージ・アプリのViber、クラウドソースのビデオ字幕サービスのVikiを買収している。

楽天はアメリカでも買収したBuy.comブランドを閉鎖し、Rakuten.comに衣替えした。Buy.comはURLとしても大いに価値があるブランドだったが、楽天は短期の損失には目をつぶって長期のブランド確立を重視したわけだ。

またこの楽天ブランドへの統一は単に規模の経済を追求する一環でもありそうだ。たとえば今年末まで、傘下の全サービスを通じた支払システムを稼働させる計画だという。また「スーパーポイント」と呼ばれるポイント還元システムもブランドの統合によって、たとえばキャットフードを買ったときに付与されたポイントでWuakiの映画を見るというような使い方ができるようになった。

楽天はAlibabaに比べると規模でははるかに小さい。現在の時価総額はAlibabaの2210億ドルに対して150億ドルにすぎない。しかし野心はAlibabaに決して劣らないようだ。

楽天は最近もアメリカでショピング・ポイント・サービスのEbates(10億ドル)とショッピング履歴モニターのSliceを買収している。

しかし楽天のライバルはAmazonやAlibabaばかりではない。今日(米国時間10/22)、SoftbankはベンチャーキャピタルのSequoiaと共同でインドネシアのAmazonスタイルのオンラインマーケット、Tokopediaに10億ドルを投資した。SoftbankはインドのSnapdealにも6億5000万ドルを投資したと報じられている(この件に関してはさらに取材中)。

それでは楽天が新たに進出した地域でeBayやAmazonに対抗して成功を収める策はあるのだろうか?

楽天独自の「eコマース・コンサルタント・サービス」はその一つだろう。楽天によれば、これは楽天に出展するマーチャントに対してコンサルティングを行うユニークはサービスだという。楽天によればその目的は「われわれのマーチャントの成功を助けるため、各種のサポートとガイダンスを行う」ことだという。楽天への出店者はこのサービスによって「楽天プラットフォームについて深い知識を得ることができ、また強力なツールの利用法を学び、成功のチャンスを最大化できる」のだという。通販業者は月極めでこのサービス(と同時に楽天市場への出店)を契約できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


シリコンバレーや東京にできない「地方スタートアップ」の戦い方とは

編集部注:この原稿は藤原健真氏(プロフィール)による寄稿である。藤原氏は京都大学のベンチャー・ファンド(2号ファンド)の運営を行うみやこキャピタルのベンチャー・パートナーで、シリコンバレー発の起業家育成プログラム&スタートアップ・アクセラレーター「ファウンダー・インスティテュート関西」(FI関西)の運営者だ。FI関西の取り組みについては、過去にTechCrunchでも取り上げている。(関連記事:卒業率わずか25%、シリコンバレー発の「マジでガチ」な起業家育成プログラムがすごい

スタートアップにおける地方創生

「地方創生」というキーワードを新聞やテレビで最近よく目にするようになりましたが、スタートアップにおける地方創生と聞いて、みなさん何を想像するでしょうか?

人によっては、地方に移住して起業することを想像される方もいるでしょう。モノ作りや農業など、地方の強みを後押しする助成金のことを想像される方もいるでしょう。すでに地方でスタートアップされている方は、地元での雇用創出がそれにあたるかもしれません。

京都という地方都市で、ベンチャー・キャピタルの仕事に携わらせて頂いて1年余りが経過しました。そんな短い経験ながら自分が見てきた「地方でスタートアップする現実と可能性」について、今回は触れてみたいと思います。

まず始めに簡単な自己紹介から。

京都のお隣、滋賀の高校を卒業後、18歳で単身渡米。カリフォルニア州立大学でコンピューター科学を専攻し、卒業後は株式会社ソニー・コンピューターエンタテインメントに入社。エンジニアとしてゲーム機PlayStationの開発に3年ほど携わりました。

その後、アメリカ留学時代の仲間たちと一緒にITとハードウェアを扱うベンチャー企業を東京で数社創業。そこではいずれもCTOという肩書きでした。30代後半に差し掛かるタイミングで、生まれ育った関西に戻ることを決意。結婚を経て家族を持ち、京都に根をおろすことになりました。

そんな折、京都大学のベンチャーファンド(2号ファンド)の立ち上げの話を頂いたのが、今から2年前の2012年の夏。それ以来、自分がいま所属するベンチャー・キャピタルである、みやこキャピタルに籍を置かせて頂いています。

実は関西に戻った当初は、現在のような活動をやろうとは考えておらず、ましてやVCの仕事をするとは想像もしていませんでした。一方で、関西のスタートアップを取り巻く環境に対する理解が深まるにつれて、アメリカ西海岸や東京にあって、関西に足りないものが明確に見えてくるようになりました。

関西には尖った人材や優れた技術がたくさん存在しているにも関わらず、それらがベンチャー企業の創出や強みに十分に活かされていない。この現状をなんとか改善したいという想いが、今の自分のモチベーションになっています。

地方でしか出来ない戦い方を実践する

さて、今回のタイトルである「地方でスタートアップする現実と可能性」ですが、いわゆる「地方都市に第2のシリコンバレーを作ろう」といった類いの話ではありません。むしろ、その逆で「シリコンバレーや東京に出来ない戦い方を地方で実践しよう」といった内容に近いかもしれません。

色々な戦い方がある中で、自分がいま最も注目しているのが、大学で産まれた技術を使って事業を立ち上げる大学発シーズの活用です。同じような言葉に「大学発ベンチャー」というものがありますが、こちらは大学に所属している研究者や学生が会社を作るというイメージが強いため、あえて自分は「大学発シーズの活用」という言い方をするようにしています。

ご存知の通り、関西を含む地方には多くの大学や教育機関が存在していますが、日本では大学発シーズを使ったベンチャー企業の成功事例は、海外に比べてまだまだ少ないように思います。

海外ではスタンフォード大学の教授自らが出資して学生に起業させたGoogleなど、自分たちの生活の身近なところに、その成功事例の影響が及んできています。なぜ、日本ではこういった成功事例が少ないのでしょうか。

投資先に見る「大学発シーズ」の活用事例

現在弊社で投資・支援させて頂いているベンチャー企業に、京都大学のiPS細胞技術を使ったiHeart Japanという会社があります。みなさんもご存知のiPS細胞ですが、その中でも特に心臓疾患に対する次世代医療を実現しようとしているバイオ系ベンチャー企業です。

バイオ系ベンチャー企業はR&Dにかかる時間や費用が、通常のベンチャー企業のそれよりもかなり大きいことから、大学発シーズの活用事例としてよく挙げられます。同社もまさに京大発のシーズを活用することで、他のベンチャー企業にはない強みを得て事業化を試みています。

では、バイオの専門家でないと大学発シーズは活用できないのかと言えば、そうでもありません。同じく先日、東京大学のベンチャー・キャピタルであるUTECを含むVC3社で共同投資させて頂いたお金のデザインは、ITx金融という分野で大学発シーズを活用しようとしています。

FinanceとTechnologyをあわせてFinTech系ベンチャー企業などと呼んだりしますが、同社は京都大学教授で資産運用研究者の第一人者である加藤康之先生の協力を得て、これもまた他のベンチャー企業にはない強みを自社サービスに取り入れようとしています。

さらにもう1社、弊社で支援させて頂いているIT系ベンチャー企業のNOTAも京都大学の石田・松原研究室との共同研究や協業を行っています。同社はGyazoという静止画・動画の瞬間共有サービスを運営しており、現在世界中で800万人のユーザーを抱えています。Gyazoの開発メンバーの多くは現役京大生や京大卒業生で構成されていて、コアメンバーとして慶應義塾大学の増井俊之教授も参画されています。

上記の3社は、弊社の支援先ということで今回紹介させて頂きましたが、共通しているのは何かしらの形で大学発のシーズや大学の人材を活用して自社の強みにしている、ということです。と、ここまで言うと「優れた技術を大学で見つけて事業化すれば強みにつながるのか」と安易に結論づけされる方もいますが、それでは一昔前の技術・知財先行型大学発ベンチャーのムーブメントと何ら変わりありません。

お金を払ってくれる人がどれだけいるのか

大切なのは、その技術を使って産み出されるプロダクト・サービスに対して、お金を払ってくれる人がどれだけいるのか、という視点で大学発シーズを見るということだと思います。逆にお金を払ってくれる人がいなければ、どんなに優れた技術も事業としては継続できなくなり、結果、世の中にインパクトを与えることもできません。

スタートアップの世界ではProduct-Market Fit(顧客が抱える問題を正しく解決して、顧客から対価が得られている状態)の是非が非常に重要ですが、大学発シーズを利用したベンチャー企業においても、今後はこの考え方が日本でも当たり前になるのではないでしょうか。

では翻って、こういった顧客目線でのプロダクト・サービス開発を今まで散々実践してきたのは誰かと言えば、それはやはり起業家であって、スタートアップであるわけです。そして起業家とスタートアップは、アメリカ西海岸や東京だけでなく、当然地方にもたくさんいます。しかし、地方にいる起業家やスタートアップの中には、なぜかアメリカ西海岸や東京と「同じような戦い方」をされる方が意外に多いのも事実です。

これが今回のタイトルである「地方でスタートアップする現実と可能性」の『現実』の部分です。つまり、自分の住んでいる土地の強みを最大限活かせていないのではないか、という主張です。

地方のスタートアップは観光ビジネスと同じ

地方でスタートアップするということは、観光ビジネスを立ち上げることと似ていて、その土地でしか得られないリソースを使って差別化なり勝負するということだと考えています。

人口たった150万人の地方都市である京都に、なぜ年間5,000万人もの観光客が訪れるのかといえば、それは京都にしかないものがそこにあるから来るわけです。それと同じ考え方を地方のベンチャー企業にも当てはめれば、他社がマネできない『圧倒的な』強みを取り入れられるのではないでしょうか。

これまで1年に渡って多くの研究者の方々や、起業検討中の学生の方々とディスカッションさせて頂きましたが、おおむね彼らの課題は共通していたように思います。それは「事業化を支援してくれるベンチャー経験者が身近にいない」というものです。

一方で、地方のスタートアップの方々に話を聞くと「大きな事業につながりそうなネタがない」「ネットだけで実現できるサービスにはそろそろ限界を感じている」「ビジネスも人材も東京一極集中で地方は不利」といった声が多くあったように思います。

これが、後半の『可能性』につながる話になります。この可能性とは、地方におけるアカデミアとスタートアップの間のギャップのことを指しており、これを埋めることが地方にしかできない戦い方の1つになるのではないかと考えています。

これまで、地方のスタートアップはあくまで自前主義で、大学との共同研究などというものは大企業がやるもの、と考えていた節があったように思います。自分が話をさせて頂いた研究者の方々の中には、「自分は気象学の専門家だが、ビッグデータが得意なIT専門家がいれば事業化の可能性がさらに高まるのに」といった声もあり、なぜスタートアップはこういう所にもっと積極的に出て行かないのかと思うことが多々ありました。

あえて語弊を恐れずに言えば、ウェブブラウザやスマホの中だけで起こせるイノベーションは、もうほぼ限界に達していると自分は考えています。実際問題、現在リリースされているIT系サービスはどんどんニッチなってきており、コンシューマー向けサービスに至っては、もはや広告費をどれだけ投入できるかという勝負に集約されているところもあります。最近のIoTムーブメントは、そういった「ネットサービスの行き詰まり感」を反映しているところもあるのではないでしょうか。

アカデミアとスタートアップが一緒になる方法

ズバリ、次の3つだと考えています。

1、アカデミアでの起業家教育
2、起業を志す人が集まる場所
3、成功事例

1番目の起業家教育については、例えば京都大学ではGlobal Technology Entrepreneurship Program(GTEP)という名前で今年の秋から本格的な起業家教育プログラムを開始しています。いわゆるMBAのような座学ではなく、プロトタイプ(試作品)を作り、実際の市場で仮説検証と顧客開発を行い、最後のデモデーで成果を披露するというGTEPのやり方は、民間のスタートアップ・アクセラレーターのそれに近いものがあります。

GTEPは、文部科学省のEDGEプログラムの一環で、京都大学の他にも大阪大学、立命館大学、奈良先端科学技術大学院大学、滋賀医科大学、大阪府立大学などの地方大学でも同様のプログラムが開催されることになっています。

2番目の人が集まる場所は、関西で言えば2013年4月に開業したグランフロント大阪と同時に開設された大阪イノベーションハブ(通称OIH)が間違いなくそれにあたるかと思います。OIHでは、ほぼ毎日ハッカソンや起業に関するイベントが開催されています。福岡で言えば、最近オープンしたスタートアップカフェが、その機能を担うものと期待されています。

ということで、1番目と2番目はどの地方でも意識の高い人がトップダウンでやれば実現できる類いのものですが、3番目の成功事例だけは、これは関係者全員でゼロから作り出すしかありません。自分が拠点にしている関西は、すでに1番目と2番目はクリアしているため、いよいよ3番目の成功事例をこれから作り出すフェーズに入りつつあります。

大学発のシーズや大学の人材を活用して、世の中に大きなインパクトを与えるベンチャー企業が1社創出されれば、冒頭で述べた日本での成功事例の少なさはおのずと解消されてくると考えています。そして、そう遠くない時期にそれが達成されると感じています。

いかがでしたでしょうか。もちろん大学発シーズを活用することだけが、地方での唯一の戦い方ではありませんが、その土地にしかないリソースを使って差別化を行うという意味では、参考になったのではないかと思います。

日本の活力は地方から。ぜひ実現していきましょう。


ディープリンクでスマホのウェブとアプリをスムーズにつなげるCircuit

「ディープリンク」という言葉を聞いたことはあるだろうか?本来の意味は、ウェブサイトのトップページ以外のリンクのことを指す。例えばとあるサイトやソーシャルメディアからTechCrunchのトップページではなくこの記事のページへのリンクはディープリンクと言える。

今では単にウェブサイトのリンクだけでなく、スマートフォンアプリの特定ページに遷移するリンクも指す言葉になっている。例えばFacebookのアプリ上でPinterestへ投稿された写真をクリックした際、Pinterestのアプリをインストールしているユーザーであれば、Pinterestのアプリが起動し、トップページではなく当該の写真が表示される。この当該写真へのリンクもディープリンクというわけだ。

そんなディープリンクがスマートフォンの世界で重要になっていく――ディープリンクソリューション「Circuit」ベータ版の提供を開始したふくろうラボの清水翔氏は語る。

僕らは普段あまり意識せずに利用しているのかも知れないのだけれど、実はプラットフォーマーは2013年以降、ウェブからアプリへの新しい動線を作るべくディープリンクへの対応を進めている。

Twitterでは2013年4月に「Twitter カード」を公開している。これは、ツイートに画像やアプリのリンクを埋め込むことができる機能だ。これを利用すれば、あるアプリをインストールしている環境であればアプリが起動して当該ページを表示し、アプリをインストールしていなければApp Storeが起動してそのアプリのダウンロードページを表示できる。冒頭にあったFacebookの例も、同社が2014年4月に公開した「App Links」という仕組みを利用している。またGoogleも、スマートフォン向けの検索結果画面にAndroidアプリのディープリンクをつけ、検索結果画面から対応アプリの当該ページに直接アクセスできるボタンを付けられるようにしている(ただし、日本ではヤフオク!やクックパッド、Hotpepper、pixiv、WEARなど対応サービスが限られている)。

ただし、このディープリンク対応、OSやブラウザ、リファラーごとに挙動が違うため、うまく動作をさせるには、OSやブラウザごとでコードを分け、さらにそれらのバージョンアップのたびに検証が必要になったりと、実装と運用には非常に手間がかかるのだそうだ。だがCircuitを利用すれば、ディープリンクのルールを設定したあと、ウェブサイトにJavaScriptを記述するだけで主要なOSやブラウザでのディープリンク対応を実現できるという。ベータ版の利用は無料。2015年2月をめどに正式リリースを検討している。同種のサービスとして、海外では「URX」「Deeplink.me」「Branch Metrics」などがある。

ではCircuitの導入で具体的にどんなことができるのか?清水氏は(1)端末内のアプリの有無を判別しての遷移先の振り分け、(2)前述のTwitter カード、App Linksへの対応、(3)ウェブサイト訪問者に対して、当該アプリの未ダウンロード時のみアプリのダウンロードを訴求、(4)広告や友人招待経由でのアプリ起動時に、指定のページに遷移する――といったことが可能になると説明する。ただし、App Linksは遷移元と遷移先の行き来ができる機能を有するが、Circuitを利用した場合はアプリ間での「戻る」機能は用意されていない。

僕はFacebookアプリを利用している際、友人がシェアしたコンテンツをクリックして、Web ビューが立ち上がり、アクセスの都度そのサイトへのログインを求められてうんざり……という経験が多々あるのだけれど(まさに下の図のとおりだ)、これがログインした状態で直接アプリで閲覧できるようになる(アプリを立ち上げるかどうかを確認するダイアログは表示される)のであれば非常にありがたい話だ。清水氏によると、すでにユーザベースのNewsPicksなどがCircuitを導入しているそうだ。

ふくろうラボでは「ディープリンク」を解説し、啓蒙するためにオウンドメディアも立ち上げているが、まだ理解はこれからといった状況だそうで、「いまはまだ、サービス説明の前にスマホ時代のディープリンクとは何かを担当者と会って説明し、理解してもらった上で導入を提案している状況」(清水氏)だという。同社は4月にインキュベイトファンドとEast Venturesから数千万円の資金を調達しており、現状はクライアントを拡大しつつ、サービス開発を続けている。将来的にはCircuitの利用料に加えて、広告事業者との連携を進めることで、マネタイズの道を模索していく。


日本で3Dプリンターを使って銃を作った男、地裁判断は2年間の実刑判決

湘南工科大学の元職員である居村佳知は、3DプリンターでZigZagと呼ばれる拳銃を製造・使用し、日本の厳格な銃規制法に違反したとして逮捕されていた。

検察側は、居村被告の行為は銃規制に反対する立場から、殺傷能力を有する銃を簡単に製造可能であることを広めようとした行為であると断じていた。伊名波裁判長曰く「誰でも拳銃を製造して所持できることを示し、銃規制を形骸化しようと考えた」とのこと。

居村被告は起訴事実は認めつつ、「違法性の認識はなかった」と主張していた。裁判所の判断としては、今回の事件に実刑を課すことで、今後の類似犯の発生をおさえようとする意図があるものと思われる。

via 3DPrint

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(翻訳:Maeda, H


物流アウトソーシング「オープンロジ」がサービス開始――中小事業者や個人をターゲットに

今スタートアップで注目を集めるキーワードというと、シェアリングエコノミーやIoT、ヘルスケアなどとあわせて、ロジスティクスを挙げる人が多い。CrunchBaseによると、ロジスティクス分野のスタートアップへの投資は、2012年後半から増加しているようなのだけれども、2014年第1四半期には3200万ドルと急増している。

米国では日用品のリアルタイム配送を実現する「Instacart」やCtoC向けの配送サービス「shyp」などの名前を聞くが、国内でもロジスティクス分野のスタートアップが徐々に登場している。その1社がオープンロジだ。同社は10月21日から物流アウトソーシングサービス「オープンロジ」を開始する(サービス開始前の動画インタビューはこちら)。

中小規模のEC事業者や個人までが利用できるロジスティクスのアウトソーシングサービスだ。ユーザーがECで取り扱う商品をサイト上から登録して、同社が提携する物流会社の倉庫に入庫すれば、倉庫にて商品1点1点にバーコードの貼り付けをして管理を実施する。入出庫情報はオンラインで閲覧可能。また商品が売れた際などは、倉庫で梱包の上で配送までを行ってくれる。配送の際には同梱明細書がつき、時間指定も可能。代引きにも対応する。

このサービスの強みは簡略化された商品管理とシンプルな価格設定にある。オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏によると、これまでの物流アウトソーシングサービスでは、まずは問い合わせ窓口から連絡すると、事業に関するヒアリングを行った上で見積もりを出して…と最短でも1カ月程度の時間を要するケースがほとんどだそうだ。

また、月額料金や保管料は「一坪いくら」という形で設定しているため、商品点数にかかわらずコストがかかるということも少なくない。そのため、小規模なEC業者や個人が利用することも難しかった。

そこでオープンロジでは、老舗の物流事業者と組み、商品数の少ない中小規模の事業者の商品をとりまとめて管理することで、シンプルな業務フロー、料金設定を実現しているのだという。また最短2日でのサービス利用を実現。さらにはシンプルな管理画面も独自に開発しており、個人でもPCで手軽に入出庫管理できるという。

オープンロジの管理画面

価格は、入庫料が一律15円、保管料がサイズにより1日0.2円〜10円、配送料が220円〜780円までとなっている。価格面での競合優位性について伊藤氏に尋ねたところ、Mサイズ(商品の縦、横、高さの合計が60cm以内)を関東圏に送る場合、ヤマト運輸の宅急便を利用すると756円。これがオープンロジだと1カ月の保管料や入庫料込みで486円と36%の割引になる。もちろん発送の回数や個数、保管期間にもよるが、オープンロジを利用することで安価かつ作業負荷が下がるというケースは多そうだ。

オープンロジではここ数カ月、ユーザーを限定してテストを行ってきたそうなのだけれども、その反応も上々だそうだ。ネットオークションを手がける個人は、梱包も含めて業者が行うため、落札者からの評価も高いと語っているそう。副業であれば平日に梱包作業なんてできないので、そういった面でも利便性を感じているということだった。

ちなみに伊藤氏は富士山マガジンサービスを創業期から支え、その物流網の構築を手がけてきた人物。「物流は成長分野にも関わらず、アウトソーシング先の体質は変わっていない。そこを効率的に変えられるのではないか」という思いから起業したのだそうだ。


お部屋”探され”サイト運営のietty、YJキャピタルとインキュベイトファンドから約2億円の資金調達

不動産ポータルサイト「ietty」を運営するiettyが、YJキャピタルとインキュベイトキャンプから総額約2億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、YJキャピタル代表取締役の小澤隆生氏とインキュベイトファンド代表パートナーの和田圭祐氏が社外取締役に就任している。同社はインキュベイトファンドのインキュベーションプログラムでの最優秀賞獲得を契機にサービスをスタートした。2013年10月にはアイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円の資金調達を行っている。

iettyは“お部屋探されサイト”をうたう不動産ポータルサイトだ。賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越しの希望条件を入力すると、その条件に合わせてiettyのパートナーである不動産業者がユーザーに物件を提案してくれるというもの。ユーザーはサイト上のチャットでやりとりしながら物件を探して、内覧の予約や業者への来店の調整ができる。

これまでの不動産ポータルサイトではユーザーが自ら物件を探す必要があったが、iettyでは不動産業者が提案をしてくれる。まさに「お部屋探し」でなく「お部屋探され」なのだ。またietty代表取締役社長の小川泰平氏いわく、業者が自ら物件を紹介してくれるということで、釣り物件——すなわち好条件なためにユーザーの集客に使われるが、実際には存在しない、もしくは契約が埋まっているような物件——が存在しない。今すぐ内覧できる物件だけを紹介してもらえるというメリットがある。現在会員登録は月次1000人ペースで増加。1人が4〜5人ほどの業者から物件の紹介を受けており、20〜30%が実際に来店するという。

また最近では、5月にリリースした法人向けサービス「ietty Biz」が好調だそうだ。このietty Bizは、法人の福利厚生サービスとして提供しているもので、サービスを導入する法人の従業員であれば、ietty経由で部屋を契約した際に仲介手数料の半額保証(0.5ヶ月分以下)をしてくれるというもの。

法人には費用が一切発生しないことに加えて、iettyがサービスを展開する東京都内には、「オフィスから2駅以内に住む場合に家賃を補助する」といったルールを持つ、比較的若いIT企業が多いことから非常にウケがいいそうだ。福利厚生サービスの一環として法人に提案するため、導入時には総務担当者などを通じて一度に数百人〜数千人の従業員に情報が共有されることもあってか成約率も高い。現在このサービスは約40社が導入している。手数料半額保証ということで1件あたりの売上は落ちるが、広告出稿などもせずに良質な見込み客が獲得できているということか。

こういった状況もあって、iettyでは2015年はじめにも黒字化が見えている。「レバレッジの効く事業でもないので泥臭いことをやってきたが、既存事業についてはこのまま突っ走っていけばいい様な状況が見えてきた」(小川氏)。そして更なる飛躍に向けて、今回の資金調達をふまえて新機能の開発を進めるという。その詳細については取材では明らかにされなかったが、2015年初にもサイトリニューアルし、新機能もお披露目される予定だ。加えて、政令指定都市を中心に、サービスエリアを拡大するとしている。

なおiettyは2013年11月に開催した「TechCrunch Tokyo 2013」内で行われたスタートアップ向けのプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」にも登壇してくれた。TechCrunch Tokyoは2014年も開催予定なので、同社のような元気なスタートアップとの出会いに興味がある方は是非とも遊びに来て欲しい。


Facebookのつながりから安否確認ができるようになる、開発のキッカケは東日本大震災

Facebookで友達のつながりから安否確認ができるようになる。この機能は「災害時情報センター」という名称で、東日本大震災で多くの人がFacebookで安否確認していたことをキッカケに開発されたものだ。日本を含むグローバルで利用可能となる。

災害時情報センターでは、自然災害の影響を受けた地域にいることが考えられるユーザーに対して、Facebookが安否確認を通知。無事な場合は、「自分の無事を報告」というボタンをタップすれば、通知やニュースフィードを通じてFacebook上の友達に無事が報告される。影響を受けた地域にいない場合は、「影響を受けた地域にはいません」ボタンをタップすれば、無事が報告される。

「自然災害の影響を受けた地域」はどう割り出しているのかというと、ユーザーがFacebookのプロフィールの所在地に登録している都市や、インターネットを利用している都市から判定しているそうだ。安否状況やコメントはFacebook上の友達にのみ共有され、世界のどこからでもブラウザー、iOSアプリ、Androidアプリからアクセスできる。

Facebookは2012年2月、大規模災害の発生時に友達の安否を確認できる「災害用伝言板」を日本で公開。災害用伝言板は、Facebookトップページ最上部がリンクが表示され、ユーザーはそこで無事を報告するボタンをクリックすると、自分のタイムラインや友達のニュースフィードに無事を伝えられるというもの。

日本のみでテスト公開した災害用伝言板が、その後も改良を続け、グローバル向けの災害時情報センターとして生まれ変わったかたちだ。災害時情報センターは10月16日に東京・六本木で行われた、Facebookのパートナー向けイベントで明かされた。Facebookがグローバル機能を米国外の都市で発表するのは今回が初となる。

このタイミングで来日したFacebook創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグは、副社長のハビエル・オリバンとの対談の中で、新機能にかける思いをこう語っている。

「東日本大震災では多くの人がFacebookで安否を確認していた。サンフランシスコで地震があった時もそう。大切な人の安否を知りたいのは人間の心理。それを実現するのはソーシャルサービスの義務だ。災害は世界中で相次いでいるが、Facebookで大切な人の安否を確認してもらえれば。」


「モバイルで出遅れた」サプライズ来日のザッカーバーグが過去の過ちを認める

Facebookは10月16日、パートナー企業向けのイベントを東京・六本木で開催した。イベントでは、6年ぶりの来日となる創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグがサプライズゲストとして登場。対談相手となった副社長のハビエル・オリバンに「Facebookは過去にいろんな過ちを犯してきたが、どれが一番悔やまれる?」と水を向けられたザッカーバーグは、「そうですね」と苦笑いしてしばしの沈黙の後、こう語った。

「モバイル移行が遅すぎたことかな。それは日本で実感した。多くの日本人はFacebookをモバイル経由で使っている。それを考えると、モバイルへの移行が遅れたことを実感する。会社というのは、よく使われているプラットフォームに依存してしまい、新しいことに挑戦しない罠にハマりがち。過ちに気づいたのは2011年から2012年。新しいことに目を向けようと、モバイルに注力することになった。」

実際、FacebookはHTML5を活かしたWebブラウザベースのUIから、モバイル向けのネイティブアプリに移行し、その後もニュース・タイムライン閲覧アプリの「Paper」をリリースしたり、メッセンジャーアプリをFacebook本体から切り出した別アプリとするなど、モバイルへの取り組みを続けている。


週2日からのエンジニア副業支援、Prosheetがオンライン面談で即稼働可能に

フリーランスのITエンジニアの副業を支援する「Prosheet(プロシート)」が16日、オンラインマッチングを開始した。これまではエージェントを介して人力でマッチングしてしたため、エンジニアが案件にエントリーしてから企業と成約に至るまでに平均3週間以上がかかっていたが、今後は案件登録から最短1週間で稼働できるようになるのだという。

プロシートは今年2月にベータ版サービスを開始。6月に取材した時点での登録エンジニア数は約300人だったが、現在はフリーランスや、自社サービスをやりつつ「ラーメン代稼ぎ」をしたい起業家など約2000人が登録。わずか4カ月で6倍以上に増えている。

エンジニアはサイト上で、JavaScriptやPHP、Java、Ruby、Perlといった自分が扱える「言語」、LinuxやMySQLといった「スキル」、「希望報酬」を登録。希望に沿った案件がある場合は通知され、エントリーできる。最終的には、企業との面談で業務委託契約を交わすことになる。

今回追加したオンラインマッチング機能で可能になるのは次の通りだ。

・エンジニアの事前面談
・企業側の案件登録
・人材リコメンド
・面談調整

これらは今まで、プロシート専属のエージェントが調整していたわけだが、それには理由があった。エンジニアのスキルと実績に応じた案件を人力で探すことで、仕事のミスマッチを防いだり、エンジニアにとって面倒なお金や勤務時間に関する交渉を肩代わりしていたのだ。

こうした利点が、オンラインマッチングで損なわれることはないのか? プロシートを運営するシェアゼロ代表取締役の中川亮はこう答える。「企業との交渉はシェアゼロがサポートします。また、随時クライアント各社の採用ポイントをシステムに落としていき、マッチングアルゴリズムでミスマッチを軽減します」。

今回のオンラインマッチング導入に伴いプロシートは、クライアント企業から毎月受け取る手数料をオープン化した。例えば、週1〜2日稼働するエンジニアをマッチングした場合は6万円、週3〜4日の場合は8万円、週5日の場合は10万円となる。プロシートは企業から徴収する手数料が主な収益となる。