TBSがアイリッジと資本業務提携――O2O領域で新事業も検討中


東京放送ホールディングス(TBS)グループでベンチャー投資を手がけるTBSイノベーション・パートナーズ(TBS-IP)が11月11日、O2Oソリューションを手がけるアイリッジとの資本業務提携を発表した。

出資額は非公開だが、数千万円程度と見られる。アイリッジは2008年の設立で、これまでに代表取締役社長の小田健太郎氏の古巣であるNTTデータのほか、KDDIやデジタルガレージ、みずほキャピタルパートナーズ、三菱UFJキャピタルなどから資金を調達している。金額的にも今回の調達は、業務面でのシナジーを重視したものと考えて間違いない。

TBS-IPは、5月にソーシャルメディアを中心としたビッグデータの分析事業を手がけるデータセクションとの資本業務提携を発表している。この発表の際、テレビとソーシャルメディアの解析結果を組み合わせてどのように事業にするかが重要ということを聞いたのだけれども、今回もそれと同じような取り組みらしい。アイリッジが持つO2O向けソリューション「popinfo」とテレビやイベント運営などの関連事業を連携することで、互いの価値が向上するような取り組みをしていきたいのだそうだ。

例えば日本テレビは、ソーシャル視聴サービス「JoinTV」を使って「O2O2O(On Air to Online to Offline:テレビ番組やCMからネットに、さらにネットから実店舗などに誘導する仕組み)」なる、テレビだからこそできる新しいマーケティングの手法があるとアピールしてきた。これと同様…かは分からないけれども、TBSも提携先の持つソーシャルメディアのデータやO2Oソリューションを組み合わせることで、新たなマーケティングやビジネスモデルの模索を進めるという。

アイリッジのpopinfoは、位置情報や時間、ユーザー属性と連動してスマートフォンにプッシュ通知を行うソリューション。同社ではこれを軸に、O2O施策の企画からアプリ開発、運営までをワンストップで手がけてきた。これまでの導入事例はジーユーや東急電鉄など大手クライアントはじめとして250アプリ、合計1500万ユーザー(アプリごとのユーザー累計)が利用しているという。

すでに具体的な新事業がアイリッジ側から提案されており、実現に向けて調整を進めている段階だそう。とはいえテレビ局は免許の必要な事業ということもあって、大企業の中でも提携などには慎重な体質があることは確か。「たとえシステム的にオーバーになろうが、ベストエフォートではなく『ミスがない』という事業を行いたいという声はある」(TBS-IPの片岡正光氏)のだそう。だが片岡氏は「そこで外部の新しいプレーヤーと組むからこそイノベーションは起こる。すでにデータセクションについても複数のプロジェクトを社内で進めているが、アイリッジともそういった事例をうまく活かしていきたい」と今後の展開について語った。