Amazonの倉庫のニューヨークの労働者たちが組合結成に動く

最近ニューヨークのスタテンアイランドにオープンしたAmazonの倉庫の労働者たちが、組合結成の意志を表明した。このニュースは、近くのロングアイランドシティとクイーンズに二つの第二本社を開こうとしていたリテールジャイアントにとって、あまり理想的ではないタイミングでやってきた。

しかもそれは、同社のフルフィルメントセンターにおける従業員の扱いをめぐってAmazonがますます厳しい批判を浴びている時期でもある。バーモント州出身の上院議員Bernie SandersがCEOのJeff Bezosに圧力をかけ、同社の最低賃金を時給15ドルに上げることを承諾させたばかりだ。

Bloombergのインタビューで倉庫労働者たちは労働条件に関して不平を訴え、彼らの扱われ方をロボットにたとえた。彼らは、第二本社の立地をめぐる長引いた都市間競争で市が釣り餌のようにちらつかせた巨額のインセンティブに、自分たちも与りたいという。インセンティブは総額30億ドルにもなり、その意思決定過程に関与/関知しなかった市民や行政職員らを驚愕させた。

Retail, Wholesale and Department Store Union(小売卸売百貨店労働組合)の理事長が上掲の記事で言っている: “これほど大きなレバレッジは過去にない。もしも納税者がAmazonに30億ドルを与えるのなら、納税者はAmazonに、組合潰しの企業であることをやめるよう要求する権利がある。自分たちの権利のために立ち上がったこれらの労働者たちが妨害に遭わないようにすることは、ひとえに知事と市長の肩にかかっている。Amazonがその組合潰しの活動をニューヨークでも続ける気なら、彼らは撤退すべきだ”。

スタテンアイランドの倉庫はオープンしてからまだ数か月だが、しかしそれは、第二本社をニューヨーク大都市圏に置くための同社の重要な手配の一部だ。それは最終的に同市に年間25億ドルの支出を落とし、25000人を雇用する、と予想されている。

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Walmartが楽天とパートナーして日本に初のeコマースストアを開店

アメリカのリテールの巨人Walmartはこのところ、アジアにおける事業の改革を継続的に進めているが、その一環としてこのほど、同社の日本における初めてのeコマースストアをオープンした。それは、日本のリテールの巨人、楽天との共同事業だ。

両社が1月に初めて発表したコラボレーション日本語記事)の合意事項では、日本ではオンラインのグロサリーサービスを立ち上げ、アメリカでは楽天のKoboによるeリーダーやオーディオブック、eブックなどを売る、というものだった。

上記のeグロサリーサービス、Rakuten Seiyu Netsuperは10月に開店し、そして今回両社は、Walmartに日本のeコマース市場の一片をつかませるためのWalmart Rakuten Ichiba Storeを立ち上げた。日本のeコマース市場の大きさは、年商ベースで16.5兆円(1480億ドル)と推計されている。

そのストアは日本最大のeコマースストア楽天市場にあり、衣料品やアウトドアアイテム、子どもの玩具などおよそ1200種の“アメリカのブランドの”製品を扱う。Walmartは発注をアメリカで行い、品物を日本に空輸し、楽天のeコマースサービスの上で売られる。この全過程の所要時間(日数)は明らかでないが、最終価格には送料や税金も含まれるだろう。

日本でずっと苦戦していたWalmartにとっては、これはおもしろい動きだ。

今年の中ごろには同社は、2007年に完全買収した日本のスーパーマーケットSeiyu GKを手放すという噂を、懸命に否定した。たしかに売却は(まだ)行われないのかもしれないが、CNBCによると、WalmartはSeiyu(西友)の店舗をおよそ100店閉店し、その業績不振が明らかになった。

楽天とのパートナーシップは、相手が年商100億ドルのeコマース巨人で金融サービスや旅行、モバイルなどもやってる大企業だから、リスクやエクスポージャーのありうる日本のオンライン市場を一口いただくためには、賢明なやり方だ。でも、限界はある。WalmartのアメリカでのライバルAmazonは楽天との直接競合を選び、その投資費用が高いにもかかわらずかなり成功している

しかしパートナーシップ方式は、Walmartにとってアジアで初めてではない。

中国で選んだパートナーは、Alibabaに次いで二位のJD.comで、同社は2016年に不振のマーケットプレースYihaodianをWalmartから買収した。この取引の一環としてWalmartは、Yihaodianの中の一(いち)リテーラーになり、JDのプラットホームとロジスティクスのノウハウを利用して中国で売上を得ようとしている。

その関係は今年さらに深まり、WalmartはJDとの共同経営になるグロサリー配達サービスにJDとの共同出資で計5億ドルを投資した(Walmart担当額は不明)。そう、ここでもまたW社は、共同事業でオンライングロサリーをやろうとしている。

さらに別のところでは、Walmartは今年インドで当地のAmazonライバルFlipkartを160億ドルで買い上げてインド進出を目指している。この買収額はW社にとって記録的な額だ。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images (画像は一部を変えた)

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Amazon、Alexaの難しい質問への答えをクラウドソーシングで募集

Echoスピーカーを持っている人なら、Alexaに難しい質問をして、困惑した応答をさせようとする「Alexaいじめ」の経験があるに違いない。おそらく、AIを困らせるのがさほど難しないことがわかっただろう。つまるところAmazonはGoogleのように大がかりな知識グラフを持っているわけではない。

簡単な解決方法のひとつは、Wikipediaのように、ユーザーの知識を引き出し知識ベースを充実させることだ。Amazonはそのドアを開いた。ユーザーにAlexaの難しい質問への答えを投稿してもらう招待制プログラムを開始した。

Amazonは以前から Alexa Answersを社内でテストしており、先月だけで10万件以上の応答が集まった。今回このプログラムを、メールで招待した少人数のグループにも公開する。参加を依頼された人は、専用ウェブサイトでAlexaのさまざまな話題に関する質問に答えることができる。

たとえば、Amazonは次のような(あきらかに奇妙な)提示している。「バーバラ・ブッシュはどこに埋められているか?」「指輪物語の音楽を作ったのは誰?」「コルクは何からできているか?」「コウモリは冬どこにいるのか?」など。個人的には全部同じ変人が続けて聞いた質問だと思っている。

応答が追加されるとAlexaはそれを利用できるようになり、「Amazonユーザーから」と注記される。これでデジタルアシスタントへのプレッシャーが少し軽減されるはずだ。ただし、間違った方向に進む可能性もある

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

eコマース企業のちょっとしたサイドビジネスとして始まったAWSだったが、目をみはるような拡大を続け、今や通年換算270億ドルという怪物的存在となっている。しかもまだ前年比45%という成長率を維持している。先週ラスベガスで開催されたre:InventカンファレンスでAWSの経営トップの話を聞いたが、こうした大成功に安住しそうな気配は全くなかった。その逆に、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に覇権を打ち立てようと全力を挙げているという強い印象を受けた。

急速な機能拡張は永遠に続けられるものではあるまい。しかし今のところAWSが拡張の手を緩めるようすはない。新機能の発表に次ぐ発表が続いている。これらはユーザーの要求に応えるものという建前だが、仔細に検討するとライバルに対する回答という面も見えてくる。

ライバルを叩き潰せ

去年までAWSはOracleに向けて多少嫌味を言うことはあったにせよ、競合他社への言及はできるだけ避けてきた。しかし今年のキーノートではライバルへの対抗心がアップしていた。AWSのCEO、アンディー・ジャシー 、AmazonのCTO、Werner Vogelsはデータベース市場で最大のライバルとなるOracleをはっきり批判した。もちろんクラウド市場ではOracleはさしたる脅威にはならない

しかしAWSはオンプレミスのコンピューティングというOracle自身の市場でシェアを奪おうとしている。Outpostsという新しいシステムが武器だ。ユーザーはAWSが用意する専用のラックマウントのサーバーを利用してオンプレミスでAWSの環境を利用できる。ユーザーはVMwareのサーバーを利用することもできる。これはむしろラリー・エリソンがOracleのために構想しそうなシステムだが、ジャシーは特にOracleその他のライバルを念頭に置いたものではないとした。「Outpostsは別にライバルへの警告射撃といったたぐいのものではない。われわれのすることはすべて顧客の要望によりよく答えようとするものだ」とジャシーは先週の記者会見で述べた。

先週のAWS re:Inventでの記者会見で質問に応えるAWSのCEO、Andy ジャシー

とはいえ、AWSはOracleに対する批判を手控えはしなかった。またMicrosoft SQL Serverを槍玉に挙げると同時に、 Amazon FSx for Windows File Serverを発表した。これはMicrosoftのファイルをAWSで処理する専用ツールだ。

InferentiaとElastic Inferenceの発表に際してGoogleについても言及した。AWSはAI市場をGoogleのTPUインフラに独占させないという決意のようだ。こうしたツールやシステムは単に「ユーザーの要望に答えた」というには大掛かり過ぎる。おそらくはライバル各社にAWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に参入することを宣言する意図があったに違いない。

ますます成長するとの予測

クラウド・コンピューティング市場は劇的なスピードで成長中だ。AWSはそのマーケット・リーダーとして市場制覇のために絶好の位置につけている。Googleのダイアン・グリーンやOracleのラリー・エリソンも述べていたが、ジャシーは「クラウド化はまだ始まったばかりだ」と強調した。エンタープライズには今後クラウドに移行すべきプロセスがきわめて多く残っているとしてジャシーは次のように述べた。

アメリカ市場における私企業、公的セクターのいずれを見ても、エンタープライズ・コンピューティングのクラウド化はごく初期段階にある。しかもアメリカ以外の市場の現状はアメリカに1年から3年遅れている。つまりメインストリームの大企業は業務を本格的にクラウドに移行させる計画をようやく立て始めたところだ。

Moor Insights & Strategyのファウンダー、プリンシパル・アナリストのPatrick Moorheadは、AWSは市場における現在の強力な立場を活かして異なる分野に事業を拡張していくだろうという。MoorheadはTechCrunchの取材に対し、「Google Cloud PlatformやOracle Cloudを始め、他の企業では手に余るような事業に進出する規模がAWSには十分にある。.AWSは数千にもにも及ぶ新機能、新サービスを導入することでこれを実証している。これは十分なりソースを欠いているクラウドには逆風となり、中長期的には脱落する企業も出てくるだろう」と述べた。

ただしイノベーションは現在のような熱狂的なペースで永久に続くわけではないとMoorheadは考えている。「クラウド化にともなうユーザーの要求の95%が満足させられる状況になるのはいつだろうか? そうなれば現在のようにしゃにむにイノベーションが求められることはない。どんなマーケットであれ、かならずこの水準に達するときが来る。だから正しい質問は『もし』ではなく『いつ』だ」という。

しかしもちろん衛星通信の地上局サービス AWS Ground Stationのようなまったく新しいクラウド化の分野は今後も出てくるだろう。 従来のエンタープライズ・コンピューティングの枠を超えてクラウド化事業を構想できる能力は重要だ。AWSはこれまでわれわれが想像もしなかったようなクラウド事業の分野を創造してくるかもしれない。

今年のre:Inventはオンプレミスであろうがクラウドであろうが、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に進出する意思も能力もあることを世界に示すものとなった。AWSはどの分野であれライバルに譲るつもりはまったくないようだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Apple MusicがAmazon Echoにやってくる

12月中旬、Amazon EchoスピーカーでApple Musicの 曲を流せるようになる。たぶん、ちょっとした驚きだろう。2017年にHomePodを発売して以来、Appleはこの分野のライバルだ。

Amazonも独自の音楽サービスをしばらく提供してきているが、この分野で本格的に戦うことは諦めたように見える——少なくとも今のところは。代わりにEchoスマートスピーカーは、Pandora、Spotify、iHeartRadio、TuneInなどの幅広い実績あるストリーミングサービスにネイティブ対応している。

新しいスキルを使うと、ユーザーは特定の楽曲、ジャンル、プレイリスト、およびBeats 1ステーションをスマートスピーカーで聞くことができる。Apple Musicに対応することで、人気のスマートホーム製品はをまたひとつ急成長のサービス利用できるようになる。

Apple Musicは、今年定期購読者数5000万人を突破した。これでもまだ、7月に有料購読者数8300万人超えを発表したSpotifyには遠く及ばないが、AmazonにとってGoogle Home製品に対する強みが増えた。特にここ米国には大量のApple Musicの定期購読者がいる。

Appleにとっても、この提携によってApple Musicを利用できるデバイスが一気に増える。HomePodは現在349ドルで売られており、入門モデルのEcho Dotと比べて数倍高い。新しいスキルは、12月7日の週にEchoスピーカーにやってくる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカの複数の国会議員がAmazonの顔認識ソフトウェアの精度で質問状、表現の自由の無視、人種差別の疑いも

一部の国会議員たちは、Amazonがその物議をかもしている顔認識ソフトウェアRekognitionに関する質問に“十分な答を提供していない”とし、いつものように質問に無言で応じることは、答とは認めない、と主張している。

質問状には、上院議員のEdward Markeyや下院のJohn LewisとJudy Chuら8名の議員が署名し、同社の技術の仕組みやその使われ方について、Amazonの最高経営責任者Jeff Bezosに説明を求めている。

書状が送られたのは、このクラウドとリテールの巨大企業が、アメリカ政府およびフロリダ州オーランドを含むアメリカの一部の大都市からサーベイランスを受注して注目を集めた直後だ。

質問の主旨は議員たちによると、“Amazonがそのバイオメトリックス技術をアメリカの移民関税執行局(Immigration and Customs Enforcement, ICE)に積極的に売り込んでいるが、そのパイロット事業にはAmazonによる法執行職員たちに対する実地訓練が欠けている、という報道を契機として、高まった懸念を表明すること”、だという。

議員たちによると、そのシステムは精度に問題があり、人種的偏りに導きかねず、憲法で保証されている表現の自由を犯すおそれもある、という。

書簡は曰く: “しかしながら、現時点では、このタイプのプロダクトには深刻な精度の問題があるという重大な懸念を持たざるをえない。それにより有色者のコミュニティにいわれなき重荷を強い、公共の場において修正第一条の権利を実行したいとするアメリカ人の意思を抑圧するおそれもある”。

議員たちは、Amazonがどうやって精度をテストしたのか、それらのテストは独立的客観的に実施されたのか、そして偏りをどのようにテストしたのか、Amazonに説明を求めている。

[Amazonは耳に栓をするのではなく、顔のサーベイランスが誰にでももたらす深刻な脅威に関し責任を取る必要がある。とくに脅威が大きいのは、有色者や移民、そして活動家だ。Rekognitionを警察やICEの手に渡すべきでない。]

この質問状送付は、ACLUが、そのソフトウェアが28名の議員の顔認識に失敗したことを見つけたあとに行われた。とくに失敗率が高かったのは、有色者だった。

顔認識のソフトウェアは、そもそもの最初から物議を招いている。自社の社員たちからの懸念表明があったあとでもAmazonは、にもかかわらず現状の計画を推進し、何がなんでもその技術を売っていく、と言っている。

Amazonは、二週間あまりのうちに、質問状に答えなければならない。Amazonのスポークスパーソンは、コメントの要求に応じなかった。

関連記事: Amazonは顧客のメールアドレスを露出したことを認めたが詳細を明かさず〔未訳〕

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AWSがマネージドKafkaサービスをローンチ、難しいセットアップや管理からデベロッパーを解放

Kafka(Apache Kafka)は、データストリームの入力を〔緩衝バッファ的に〕扱うオープンソースのツールだ。しかし強力なツールだけに、そのセットアップや管理は難しい。そこでAmazonのAWSは、Kafkaの難易度を下げるために、管理をAWSが担当するクラウドサービスとしてのKafka、Amazon Managed Streaming for Kafkaをローンチした。長い名前だけどこれは、AWS上で完全に管理される可用性の高いサービスだ。今それは、公開プレビューで提供されている。

AWSのCTO Werner VogelsはAWS re:Inventのキーノートで、従来のKafkaユーザーはクラスターをAWS上にセットアップするために重労働をし、またスケーラビリティもエラー処理も自分で面倒見なければならなかった、と述べた。“失敗するたびにクラスターとメインノードのすべてをリスタートするのは悪夢だった。そんな重労働を、AWSなら肩代わりできる”、と彼は言う。

AWSには、Kafkaと似たようなストリーミングデータの入力ツールKinesisがある。しかし現状では、Kafkaを使っているアプリケーションの方が圧倒的に多い。そういうデベロッパーをAWSがユーザーとして維持しあるいは取り込むためには、マネージドKafkaが絶好の誘導路だ。

例によってAWSのサービスは料金体系が複雑だが、Kafkaのベーシックなインスタンスは1時間21セントからスタートする。しかしインスタンスが一つだけという使い方はあまりないので、たとえばKafkaブローカーが三つで大きなストレージなどが付くと、月額500ドルはゆうに超えるだろう。

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AWSがサーバーレスLambdaの機能を多様化、複数のプログラミング言語をサポート

AWSは2015年にLambdaをローンチし、それによってサーバーレスコンピューティングが広く利用されるようになった。ユーザーはイベントトリガーとなるコードを書き、それを動かすための計算処理やメモリ、ストレージなどの手配はすべてAWSが担当する。今日(米国時間11/29)ラスベガスで行われたAWS re:Inventで同社は、Lambdaをもっとデベロッパーフレンドリーにするいくつかの新しい機能を発表した。サーバーレスは複雑性を減らしてくれるが、でもそれが成熟するためにはより高度なツールが必要なのだ。

デベロッパーは、コードは書くけどその実行に必要なサーバーの心配はしない。だからサーバーレスと呼ばれる。すべての面倒をクラウドベンダーが見てくれて、イベントの実行に必要なリソースの手配をすべて行なう。デベロッパーは、インフラストラクチャまわりのコードを書く必要がなくなり、アプリケーションが仕事をするために必要なコードだけを書けばよい。

AWSのやり方は、とにかく最初に何かをベースサービスとしてリリースし、顧客の利用とともに要求が増えてくると、サービスの機能を増やしていく。AmazonのCTO Werner Vogelsが木曜日(米国時間11/29)のキーノートで指摘したように、デベロッパーたちはツールについてよく議論をするが、それを聞いていると、誰もが自分の仕事のためにほしいツールのアイデアを持っていることが分かる。

そこで最初に同社は言語に着目して、新しい言語のサポートを導入した。たとえばRubyを使っているデベロッパーは、これからはRuby Support for AWS Lambdaを使って、“LambdaのファンクションをRubyに合ったコードで書き、それらをAWSの上で実行できる。Ruby用のSDKはLambdaの実行環境にデフォルトで含まれている”、とAWSのChris Munnsが、この新しい言語サポートを紹介するブログ記事で述べている。

C++派の人たちのためには、C++ Lambda Runtimeが発表された。また、これら以外の言語のためには、Lambda Runtime APIが新たに用意された。AWSのDanilo Pocciaはブログ記事でこれを、“ファンクションの開発に、さまざまなプログラミング言語やその特定のバージョンを使えるための、シンプルなインタフェイスだ”、と説明している。

またIDEに関しては、PyCharm, IntelliJ, そしてVisual StudioのサポートがLambdaに導入された(現状はプレビュー)。

AWSは、言語とIDEのサポートだけで満足していない。たしかにLambdaは(一般的にサーバーレスは)デベロッパーのためにあるレベルまでの複雑性を取り去ってくれるが、でもサーバーレスのアプリケーションは簡単なイベントトリガーだけではない。より高度なサーバーレスアプリケーションでは、システムレベルの要素を持ち込んだり、複数の部位をまとめたりしなければならない。Vogelは今日のキーノートで、このことを指摘した。

そこで複雑高度なサーバーレスアプリケーションのためにAWSが導入したのが、Lambda Layersだ。それは、彼らの説明によると、“複数のファンクションが共有するコードとデータを管理する方法”だ。それは複数のファンクションが使用するカスタムコードでもよいし、ビジネスロジックを単純化するためのコードを共有するような場合でもよい。

Lambdaの成熟と共に、デベロッパーの要求もうるさくなる。今回のさまざまな発表は、それらのニーズに応える努力の一環だ。

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ユーザーが自分のクラウドの正しい使い方をチェックできるAWS Well Architectedツール

2015年からAWSは、システム設計のチームを顧客元へ派遣して、彼らのAWSの使い方の正否をチェックしてきた。今日(米国時間11/29)同社が発表したツールWell Architectedを使うと、顧客はそのチェックを、自動化された方法で自分でできるようになり、人間コンサルタントの助力が要らなくなる。

AmazonのCTO Werner Vogelsがラスベガスで行われたAWS re:Inventのキーノートで述べたように、同社社内の人間チームが何千もの顧客のニーズに対応して、彼らのAWSベストプラクティスをチェックすることは困難である。資格を与えた複数のパートナーの起用も試みたが、それでも需要の大きさには対応できなかった。

そこで、いかにもAWS的なやり方として同社は、顧客が自分で、オペレーションやセキュリティ、信頼性、費用の最適化、性能効率などを測定できるサービスを作ることにした。顧客はこのツールを自分が使っているAWSサービスに対して動かし、上記5つのチェック項目に関する完全な測定レポートを得ることができる。

AWSのチーフエヴァンジェリストJeff Barが、このサービスを紹介するブログ記事でこう言っている: “これは、あなたがクラウドを確実に正しく、そして上手に使うためのツールだ”。

人間がユーザーのシステムを分析するのではなく、ユーザーが一連の質問に答えていくと、その答に基づいてレポートが生成される。そのPDFのレポートには、ユーザーの現状に応じた勧奨事項がすべて書かれている。

画像提供: AWS

人間コンサルタントとの会話に比べるときめ細かさに欠けるのでは、という疑念もあるが、これをもっと詳細な問題解決に向けてのスタートラインと考えてもよい。サービスは無料だから、ユーザーが費用的に失うものはないはずだ。

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AWSが新しい機械学習チップInferentiaを発表

AWSは、いかなる市場のいかなる部分といえども、他社に譲るつもりはない。だが現在機械学習チップと言えば、NvidiaやGoogleのような名前が心に浮かぶ。しかし本日(米国時間11月28日)ラスベガスで開催中のAWS re:Inventにおいて、同社はInferentiaという名前の独自の専用機械学習チップを発表した。

「Inferentiaは非常に高スループットで低レイテンシ、そして安定したパフォーマンスを発揮する非常にコスト効果の高いプロセッサです」とAWSのCEOであるAndy Jassyは発表の中で説明した。

Constellation Researchのアナリスト、Holger Muellerは、Amazonはかなり遅れてはいるものの、多くの企業が将来的には機械学習アプローチを差別化しようとしているため、これは良いステップだと指摘した。

「機械学習操作(理想的には深層学習)を実行する速度とコストが、企業にとっての競争力を与える差別化要因となります。速度による優位性が、企業の(そして紛争を考えたときには国家の)成功を左右するのです。そうした速い速度は、カスタムハードウェアでのみ実現することが可能です。Inferentiaはそうしたゲームに参加するためのAWSの最初のステップなのです」とMuellerはTechCrunchに語った。彼が指摘したように、GoogleはTPUインフラストラクチャを用いて、この件に関しては2年から3年先行している。

InferentiaはINT8(8ビット整数)、FP16(16ビット浮動小数点)および混合精度をサポートする。さらに、それは複数の機械学習フレームワークをサポートする、例えばTensorFlow、Caffe2、そしてONNXなどが含まれる。

当然、Amazonの製品の1つとして、EC2、SageMaker、そして本日新しく発表されたElastic Inference Engineといった通常のAmazon製品からのデータを扱うことが可能だ。

チップは本日発表されたものの、Andy Jassyは、チップが実際に使えるのは来年からになると述べた。

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(翻訳:sako)

紙の帳票のデジタル化に今でも使われているOCRをやや賢くするAmazon Textract

ほとんどの企業が困ってることのひとつが、各種の伝票をはじめ、いろんな書式(フォーム, form)をデジタル情報に変えて、保存したりソフトウェアで処理したりすることだ。よくあるやり方は、人間の事務職員がコンピューターにデータ入力すること。最新技術を使う方法としては、OCRに書式を自動的に読ませるやり方がある。

しかしAWSのCEO Andy Jassyに言わせると、OCRは要するに無能な読み取り機にすぎない。それはテキストのタイプなどを認識しない。それを変えたいAmazonは今日(米国時間11/28)、Amazon Textractという、ややお利口なOCRツールを発表した。これなら書式上のデータを、もっと使いやすい形でデジタル化してくれそうだ。

Jassyが例として見せたのは、表のある書式だ。通常のOCRは表を認識しないから、表の各欄の枠を超えて、ひとつのテキストとして読み出す。Textractは、表などの、よく使われる成分を認識して、妥当な形でデータを取り出す。

Jassyによると、書式はよく形が変わるので、OCRの無能を補うためにテンプレートを使っていても、形が変わるとテンプレートは役に立たない。一方Textractは、よく使われるデータタイプ、たとえば社会保障番号、誕生日、住所などなどを知っているので、それらがどんな形で収まっていても正しく解釈できる。

“Textractには、この形の文字集合なら誕生日、これなら社会保障番号、等々と教えてあるので、書式が変わってもそれらを見逃さない”、とJassyは説明した。

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推論過程をGPUで加速するAmazon Elastic Inferenceはディープラーニングのコストを75%削減する

Amazon Web Servicesが今日、Amazon EC2のどんなインスタンスでもGPUによる推論の加速ができるサービスAmazon Elastic Inferenceを発表した。これにより、ディープラーニングのコストが最大75%削減できるという。

AWSのCEO Andy Jassyは、今朝のAWS re:Inventのステージでこう述べた: “従来のP3インスタンス(GPU常備のインスタンス)では通常、GPUの利用率がせいぜい10%から30%ぐらいで、エラスティックな推論用としては無駄が多い。それだけの費用やGPUを、無駄に使うべきではない。Amazon Elastic Inferenceでは、もっと費用効率の良い方法で推論エンジンを動かせるから、きわめて画期的なサービスだ”。

Amazon Elastic Inferenceは、モデルの作成/学習ツールAmazon SageMakerのノートブックインスタンスとエンドポイント用にも利用でき、“内蔵アルゴリズムとディープラーニングの環境を加速できる”、と同社はブログ記事で言っている。機械学習のフレームワークは、TensorFlow, Apache MXNet, そしてONNXをサポートしている。

[顧客の皆様には、仕事の性質に合った正しいツールを使っていただきたい。このたび発表するAmazon Elastic Inferenceを使うと、エラスティックな(伸縮性のある)GPUサポートを加えて、どんなEC2インスタンスの上でもスケーラブルな推論ができ、大幅な経費節約が可能だ。]

三つのサイズが提供されている:
(混合精度, mixed-precision, FP16とFP32の併用使い分け)

  • eia1.medium: 8 TeraFLOPsの混合精度パフォーマンス
  • eia1.large: 16 TeraFLOPsの混合精度パフォーマンス
  • eia1.xlarge: 32 TeraFLOPsの混合精度パフォーマンス

この新しいサービスを詳しく知りたい方は、こちらへ

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Amazon Forecastは時系列データから予測を作りだす機械学習ツール

AmazonのAWSが今日(米国時間11/28)、時系列データに基づいて予測を生成する機械学習ツールAmazon Forecastをローンチした。予測は機械学習のかなりふつうの使い方だが、そのスキルのないデベロッパーが一からそれを作るのは難しい。しかしAmazonは当然ながら、自社のニーズのためにすでに多くのモデルを作っているので、今回はそれらをデベロッパー向けのプロダクトにまとめたのだ。

AWSのCEO Andy Jassyが今日のAWS re:Inventのキーノートでこう述べた: “わずか三クリックで、このツールにデータを与え、予測を得ることができる。超簡単でしかも、非公開ベータでベンチマークした結果としては、正確度は人びとがふつうにやるよりも50%高い。また費用は、どこかからソフトウェアを買う場合の1/10程度だ”。

Amazonはそのリテールビジネスの中で、自社のデータを扱うモデルをたくさん作ってきた。それは、Amazonがそのリテールサイトの需要予測に使ったりするものと基本的には同じ技術だ。ユーザーは同社に、彼らのサプライチェーンのデータのすべてを提供し、それによりそのサービスに、予測に影響を及ぼす変数を与える。

その楽屋裏では、AWSがそのデータとシグナルを見て、あらかじめ構築されている8種のアルゴリズムからどれかを選び、モデルを訓練し、それを微調整して予測を提供する。

AWSのこのサービスは、SAPやOracleのサプライチェーンツールと容易に統合できるし、Amazonの新しいデータベースサービスTimestreamのデータも使える。

このサービスは必ずしも安くはないが、デベロッパーの時間を大幅に節約できるだろう。

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画像クレジット: Ron Miller

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AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

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〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AmazonのComprehend Medicalサービスは機械学習を利用して患者の記録から有意な医療データを取り出す

【抄訳】
Amazonが、機械学習を利用して患者の記録から重要なデータを取り出し、病院などのヘルスケアプロバイダーや研究者たちの費用節約や治療方針の決定、臨床試験(治験)の管理などを助ける新しいサービスを立ち上げた。AmazonがAmazon Comprehend Medicalとよぶこのサービスの発表は、火曜日(米国時間11/27)に、The Wall Street Journalがそれを報じた直後に行われた。

このクラウドソフトウェアはテキスト分析と機械学習を組み合わせて、処方や注記、面談の音声、検査の結果、などから成る患者の記録を読む。これらの記録がデジタイズされてComprehend Medicalにアップロードされると、診断や処置、薬の処方、そして症状などに関する情報が拾い上げられてまとめられる。

〔参考記事: Amazon Comprehendとは…「Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる」〕

Amazonの最近のヘルスケアへの進出としては、オンラインの処方箋サービスPillPackを10億ドル近くで買収したことや、Amazonの社員のヘルスケアを改善するための、Berkshire HathawayとJP Morgan Chaseとのジョイントベンチャーが挙げられる。これらにより同社は、最近ますますヘルスケアにフォーカスしているそのほかの大手テクノロジー企業の仲間入りをしている。

たとえば今年初めにAppleは、iPhoneのユーザーが自分の病院の医療記録を見られるための機能をiPhone上に導入した。またGoogleは最近、大手医療法人Geisingerの前CEODavid Feinbergを雇用して、検索やGoogle Brain, Google Fit, Nestなど多岐にわたるGoogleの各事業部門が抱えるヘルスケア企画の、一元化と全体的な指揮を彼に委ねた。

今日の発表声明の中でAmazonはこう言っている: “これまでは、この情報を見つけるために長時間の手作業を要し、しかもそのために、高度な技能を持つ医療エキスパートによるデータ入力や、情報を自動的に取り出すためにデベロッパーのチームがカスタムのコードとルールを書く必要があった”。そして同社の主張によるとComprehend Medicalは、患者の記録の中に“医療の状態、解剖学的専門用語、医療検査の詳細、治療内容、処置”、などを正確に見つける。一方、患者は、このサービスを利用して自分の治療のさまざまな側面を管理し、通院のスケジュールや薬の処方、保険の適用の判断などを明確に把握できる。

【後略】
●データは暗号化され、どこにも保存・利用されないのでプライバシーの問題はない。
●すでにいくつかの大手製薬企業や医学研究所がComprehend Medicalを試験的に導入し、とくに治験の適正な実施に必要な膨大な量のデータ作業の省力化や迅速化などに貢献している。“これまで数時間を要したデータ作業が数秒で終わる”そうである。

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AWS Transit Gatewayは多種多様なリソースを単一のネットワークトポロジーの下に収めてアクセスと管理を容易化

AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventで今夜(米国時間11/26)、AWS Transit Gatewayと呼ばれるツールが発表された。それはユーザーがAWSの中にネットワークトポロジーを構築して複数のアカウントのリソース共有し、オンプレミスとクラウドのリソースを単一のネットワークトポロジーの中へ一元化する。

Amazonにはすでに、Amazon Virtual Private Cloud(VPC)と呼ばれる人気のプロダクトがある。顧客はこれを使って、自分のアプリケーションのプライベートなインスタンスを作れる。一方Transit Gatewayでは、複数のVPCs間の接続を構築できる。それはこれまで、相当面倒な作業だった。

AWSのグローバルインフラストラクチャとカスタマーサポート担当VP Peter DeSantisの説明によると、ユーザーはAWS Transit Gatewayにより中央集権的に管理されるゲートウェイに接続でき、その単一のコントロール集合を駆使して、ネットワークを容易にそして迅速に成長させられる。

図表提供: AWS

DeSantisによると、このツールはAWSとオンプレミスの両ネットワークを横断する能力をユーザーに与える。“ゲートウェイはイノベーションの一つの方法であり、それにより顧客は、安全で管理しやすい単一のネットワーキングをオンプレミスとAWSクラウドの両方にまたがって持つことになる”、と彼は説明する。

さまざまなリソースが標準的な種類のネットワークトポロジー上にあるかぎり、それらのリソースがどこにあろうとも、AWS Transit Gatewayによりそれらに一つのネットワークとして接続できる。“AWS Transit Gatewayを使ってハブ-アンド-スポーク型(車輪の中心とそこから放射状に張り出されたスポーク)のネットワークを構築できる。そこには、既存のVPCsやデータセンター、リモートオフィスなど何でも接続できて、そのネットワークルーティングやセキュリティを完全にコントロールできる。そのVPCsやActive Directories、共有サービス、そのほかのリソースなどが、複数のAWSアカウントに広がっていてもよい”。AmazonのJeff Barrが、この機能を発表するブログ記事にこう書いている。

長年、AWSといえばクラウドであり、ユーザーのクラウドリソースを管理するサービスを提供してきた。それはAWSのようなクラウドだけの企業にとっては十分だが、顧客は多種多様であり、インフラストラクチャやソフトウェアがオンプレミスやクラウドなど、いろんなところに散在している企業も少なくない。それらを、仮想的に単一のネットワークトポロジーとして扱えるようにするのが、AWS Transit Gatewayだ。

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Amazonのサイバーマンデーは同社史上最大のショッピングデーだった

11月27日、Amazonは今年のサイバーマンデー(11月26日月曜日)が同社史上最大のショッピングデーだったと発表した。これは全世界で販売した商品数に基づくものだ。これは今回のショッピングイベントが、同社のブラックフライデー、さらには7月に1億件以上の商品を売ってAmazon史上最大の売上を記録したプライムデーをも超えたことを意味している。

またAmazonは、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間—— “Turkey 5” とも呼ばれる——に、米国の消費者が昨年同時期より数百万件以上多くの商品を購入して新記録を達成したことも報告した。

同社はこれらの記録の売上数値は明らかにしていない、どんな商品が売れたのかは発表した。

全世界の顧客はブラックフライデーとサイバーマンデー合わせて、1800万個以上のおもちゃと1300万個以上のファッションアイテムを買った。ブラックフライデーだけをみても、400万個以上のおもちゃと電子機器がAmazonモバイルアプリ経由で注文された。

また、中小企業のブラックフライデー売上は昨年と比べて20%以上増えた。

“Turkey 5” 全体で、Amazonユーザーは1億8000万件以上の商品を注文したと同社は言った。

もちろん、ベストセラー商品の多くはAmazon自身のデバイスであり、Alexa対応スピーカーとFire TVの大幅ディスカウントのおかげだ。

Amazonはこの週末に全世界で「数百万台」のEchoデバイスを販売し、Echo Dotはこの中のトップセラーのみならず、他社製品を含めたAmazon全体でも売上ナンバーワンの商品だった。

ほかに人気だった商品はFire TV Stick 4KとタブレットのFire 7 with Alexaだ。「数百万台」のFireタブレットとKindle端末がこの週末に売れた。

スマートホーム機器の販売も新記録だった。RingとBlinkは昨年同時期と比べて2倍以上売上を伸ばした。

サイバーマンデーは “Turkey 5″ の中で最大の日だったが、Amazonによるとブラックフライデーも注文商品数で昨年同日を上回った。

ブラックフライデーのベストセラーは、Echo Dot、Fire TV Stick 4K(最新Alexa Voice Remote付き)、Fire 7タブレット、Instant Pot(8クォートのDUO80と6クォートのDUO60)、ハリーポッター:8作品コンプリートコレクションBlu-rayなどだった。

ブラックフライデーとサイバーマンデーのAmazonの業績は大きな注目を集めていた。同社が Q3決算で発表した第4四半期見通しがウォール街予測を下回っていたからだ。Amazonの予測は売上665億~725億ドルだったのに対してアナリストは738億ドル前後と予想していた。

もちろんこの記録破りの販売が実際の収益につながるかどうかはまだわからない。数百万台売れた商品が、大幅値引きされたAmazon製品であることを考えるとなおさらだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

re:Inventで衛星通信地上局システム発表――AWSの新しいSaaSはサテライト・アズ・ア・サービス

Amazonはラスベガスで開催中のre:Invent 2018カンファレンスでAWS Ground Stationを発表した。これは世界で初となる衛星通信の利用者向けに総合的な地上局の機能を提供するサテライト・アズ・ア・サービスだ。

このサービスのユーザーは衛星通信アンテナを始めとして世界すべてのリージョンに張り巡らされたAWSの通信ネットワークとデータ処理能力を利用できる。これによって衛星を経由するデータ送受信がンがきわめて簡単にできるようになるという。通信事業者だけでなく、衛星を利用するあらゆる企業がターゲットだという。

衛星通信を行うには基地局で衛星からの電波を受信し、各種のソフトウェアで利用できるデータ形式に変換しなければならない。仕組みそのものは各種のIoTデバイスを利用する場合と同様だが、ドアノブと違って相手は宇宙のかなたを周回しているというのが大きな違いだ。

CEOのAndy JassyによればAWS初めからこういうサービスを作ろうと考えていたわけではなかったが、顧客からの強い要望を受けて検討を始めたのだという。Jassyはこう述べている。

われわれは顧客から「衛星から大量のデータが降ってくる。そのデータを利用するアプリケーションも無数にある。ところがその処理は非常に大変だ。これをもっと簡単にできるようなサービスを提供して欲しい」と要望された。検討した結果、世界に広がる既存のAWSネットワークを利用してこの問題を解決できるのでないかということになった。

これまで衛星通信を行う事業者は衛星の電波を受信できる地域に自前で地上局を建設する必要があった。地上局で受信した電波をデジタルデータに変換し、ネットワークに送り出すことになる。事業者は土地やすべてのハードウェアを手当し、さらにデータ処理のためのソフトウェアを開発しなければならない。システムが完成した後も運用とメンテナンスのために膨大なりソースを必要とする。

Constellation Researchのアナリスト、Holger Muellerによれば、AWSの新サービスによってデベロッパーは衛星からのデータを簡単に利用できるようになる。TechCrunchの取材に対してMuellerは「各種の商用アプリケーションが衛星データを利用しようとする場合、データを利用可能な地域、時間をリアルタイムで知る必要がある。〔AWSの新サービスでは〕まさにこうした点がわかりやすくマップ表示される」と答えた。

どのようなタイプであれ、クラウド・サービスの価値はそれを利用することによってユーザーがどれほどリソースを節約できるかにかかっている。AWS Ground StationではAWSが電波の受信からデジタル化処理まで衛星データ取得に関するすべての作業をユーザーに代わって実行する。これはコスト削減だけでなく、衛星通信に関わる技術的な困難も大幅に軽減する。

AWSはこのオンデマンド・サービスを利用することにより、独自設備を所有することに比べて80%もリソースを圧縮することができるとしている。手始めに今日(米国時間11/07から地上局2局が運用を開始する。来年半ばまでに地上局は12箇所に拡大される予定だ。

AWSの新衛星サービスの顧客やパートナー企業にはLockheed Martin、Open Cosmos、HawkEye360、DigitalGlobeなどが含まれる。

画像:Jose Luis Stephens / EyeEm / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Alexaで慈善団体に寄付できるようになった

2018年のサイバーマンデーに史上最大の売上を記録したAmazonは、Alexaオーナーが「ギビングチューズデイ」に簡単に参加できるようにした。これは感謝祭セールの買い物熱冷めやらぬ中の国際的慈善寄付の日だ。今日からAlexaオーナーは、”Alexa, donate to ‘Toys for Tots'” というだけで子供たちにおもちゃを贈れる

このコマンドを言うと、Alexaはさまざまな年齢の子供たち向けの手頃価格なプレゼントを提示する。

慈善団体が用意したリストには、ミッキーとミニーのぬいぐるみやナーフのフットボール、ボードゲームのモノポリーなどいろいろなおもちゃが集められている、とAmazonは言っている。

ユーザーが注文を確認すると、AmazonはToys for Totsに直接商品を発送する。通常の注文と同じく、配送の追跡も可能でAlexaに “where’s my stuff?” と声をかけるか、Alexa Shopping Notificationsに登録すればよい

Amazonは2018年12月31日まで、最大10万ドルのマッチングドネーションも行っている。

これはまさしく、いちばん簡単なお返しの方法で、これまでになかったものだ。

Amazonは、Alexaプラットフォームを寄付に使うのはこれが初めてであり、成功すれば将来も同様の取り組みを行うつもりだと言っている。

「Alexaはこのホリデーシーズンに報いるいちばん簡単な方法として、顧客がToys for Totsに60秒以内に商品を寄付できるようにした」とAlexaショッピング担当VP Chuck Mooreが声明で言った。「みなさんの惜しみない愛情のおかげで明るい時期を迎えることができた。Alexa Shoppingの発展とともに、Amazonは顧客が自分のためだけでなく、広いコミュニティーのニーズにも答えられるよう、さまざまショッピングニーズを満たしていきたい」

Amazonは、Toys for Totsとの連携以外にも、自分の選んだ慈善団体への寄付金にも対応している。Alexaオーナーは “Alexa, I want to make a donation” と言えば手続きが始まる。

ちなみにAmazon.comは小売業として、Charity Listsという非営利団体向けの新機能を今年公開した。これはユーザーがAmazonで買い物をするたびにAmazonが慈善団体に寄付するAmazonSmileプログラムの一環で、非営利団体は自分たちが必要としている項目のリストを作ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSのGlobal Acceleratorはアプリケーショントラフィックのグローバルネットワーク上の最適ルートを見つける

AWSの顧客は、さまざまな理由で複数のゾーンでアプリケーションを動かさなければならない場合が多い。理由としては、パフォーマンスの要求もあるだろうし、各国の規制の問題や、フェイルオーバーの管理もあるだろう。その理由が何であれ、AWS今夜(米国時間11/26)、顧客が複数のリージョンにまたがってトラフィックを容易にルートできるためのツールGlobal Acceleratorを発表した。

AWSのグローバルインフラストラクチャとカスタマーサポート担当VP Peter DeSantisが月曜の夜AWS Re:Inventで説明したところによると、AWSの顧客のトラフィックはすでにAWSの大きなネットワーク上を流れており、顧客はAWSのDirect Connectを使ってアプリケーションのパフォーマンスを一定に保ち、AWSの複数のリージョン間で移動する場合もネットワークの変動がないようにしている。しかし彼によると、これまで欠けていたのは、AWSのグローバルなネットワークを使って彼らのアプリケーションを最適化する方法だ。

DeSantisはre:Inventの聴衆に向かってこう述べた: “今夜、AWS Global Acceleratorをみなさまに発表できることを嬉しく思っております。AWS Global Acceleratorによりみなさまは、AWSのグローバルなネットワークを利用してアプリケーションのパフォーマンスと可用性を容易に向上できます”。

説明図提供: AWS

DeSantisは曰く: “;みなさまの顧客のトラフィックはエンドユーザーから最寄りのAWSエッジロケーションへルートされ、そこから、渋滞のない、冗長性のある、可用性の高いAWSグローバルネットワークを渡っていきます。そのときAWS Global Acceleratorはパフォーマンスを上げるだけでなく、エラー隔離機能によりネットワークの健康状態やみなさまのアプリケーションの構成の異変に直ちに反応します”。

そのときネットワークのアドミニストレーターは、健康状態や地理的要件などのポリシーに基づいてトラフィックをルートでき、トラフィックはそれらのポリシーに基づいて行き先のゾーンへと自動的に移動していく。

AWSの計画では、課金は顧客が作るアクセラレータの数に基づいて行われる。“アクセラレータはAWSのグローバルネットワーク上でトラフィックを最適のエンドポイントへと差し向けるために作るリソースだ。通常は一つのアプリケーションにつき一つのアクセラレータをセットアップするが、複雑なアプリケーションが複数のアクセラレータを必要とする場合もある”、とAWSのShaun Rayが、この新しい機能を発表するブログ記事に書いている。

AWS Global Acceleratorは今日から、アメリカとヨーロッパとアジアのいくつかのリージョンで利用できる。

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa