政府による大量のメールスキャンに協力したYahoo、大手テク企業はこぞって関与を否定

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Yahooは今、厳しい批判にさらされている。アメリカの諜報機関がYahooの数百万のユーザー全員の入信メールをスキャンできるためのソフトウェアを、同社が設計したと、一部の元社員が主張したからだ。その申し立ては、最初Reutersが報じ、そのような監視のための捜査網の合憲性と、Yahooにそのソフトウェアの作成を強いるのに用いた法的手段に関する疑念を喚起した。

そのほかの大手テクノロジー企業は、素早くその記事に反応し、自分たちは政府からそのようなカスタムソフトウェアを求められたことはない、と声明した。

Twitterのスポークスパーソン: “このような要請を受けたことはないし、もし受けたら法に訴えていただろう。国の安全保障に関わるある種の要請を企業がシェアすることは、法で禁じられているが、弊社は現在、政府の要請に関する情報をもっと広範囲に開示できるために、司法省を訴訟している”。

Twitterの司法省に対する訴訟は、目下進行中だ。

Microsoftのスポークスパーソン: “今日Yahooに関して報じられたような、メールトラフィックの秘密スキャンに、弊社は関与していない”。

Microsoftも、ユーザーデータの政府要請に関する透明性の向上を求めて、司法省を訴訟している

Googleのスポークスパーソン: “そのような要請を受けたことは一度もない。もしも受け取っていたら、弊社の対応は単純である: お断り、だ”。

Appleは、サン・バーナディーノ銃撃事件関連のiPhoneをアンロックするカスタムソフトウェアの、制作を求めるFBIの要求と戦って勝利し、今回も、カスタムソフトウェアの要求には抵抗し続ける、と言っている。

Appleのスポークスパーソン: “この種の要請を受け取ったことはない。受け取っていたら法廷で抗議していただろう”。

Facebookeのスポークスパーソン: “いかなる政府からも、ニュースで報じられているような要請を受け取ったことはない。受け取っていたら、戦っていただろう”。

FacebookのCSO(Chief Security Officer) Alex Stamosは、YahooのChief Information Security Officerだったとき、そのメール監視プログラムを発見してYahooを辞めた、と伝えられている。

Yahooは、報道された政府の監視行為を肯定も否定もしていない。

Yahooのスポークスパーソン: “Yahooは遵法企業であり、アメリカ合衆国の法を順守している”。

Yahooも他社と同様、政府の監視を阻止するための法的努力に取り組んでいる。最初同社は2008年に、NSAによる広範囲な監視活動への参加を求められ、それを拒否したが、毎日25万ドル〔1週間ごとに倍増〕という罰金の脅しに折れた。Yahooはまた最近、大手テク企業としては初めて、過去数年間にわたって受け取ったNational Security Lettersの一部を開示した。しかし最近の報道によると、このところのYahooメールのユーザー減少に伴い、セキュリティが重視されなくなったようだ。

Twitter, Microsoft, Google, Facebook, Yahooなどの企業は、ユーザーデータに対する政府からの要請を、透明性レポート(transparency reports)を発行して開示している。しかしそれらのいずれもが、今回Yahooで起きたとされているような大規模なデータ共有を記していない。Yahoo自身の透明性レポートですら、その問題のプログラムが作られたとされる時期に、アメリカ政府と最大で21499名のユーザーのデータを共有した、と述べているだけだ。これまで透明性レポートで最大51499名のユーザーのデータ共有を報告したこともあるYahooとしては、21499名は比較的少ない方である(いずれも6か月の期間)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、Amazon、Google、IBM、MicrosoftがAIで歴史的な提携を発表

2016-09-29-ai-competitors

世界最大のテクノロジー企業のグループが今や地球上でもっとも価値のあるデータベースのカギを握っている。歴史的には財貨と貨幣が価値を体現する存在だった。現代ではデータがもっとも重要な通貨だ。データの価値を最大限にするのはそれをベースとする人工知能だ。誰であれきわめて大規模なデータの持ち主でなければ有効な人工知能テクノロジーを持つことはできない。現在のところそのような規模でデータを所有する企業はFacebook、Amazon、Alphabet(Google)、IBM、Microsoftなどだろう。

今日(米国時間9/28)、上述の5社は共同で発表を行い、AIにおける新たな提携を発表した。このPartnership on AIは人工知能に関する研究及びベストプラクティスの普及を目指すという。現実の活動して考えると、この5社の代表は頻繁にミーティングを行い人工知能の進歩を促進するための議論を交わすことになる。またこのグループは企業の垣根を超えてコミュニケーションを図る正式な組織も結成する。もちろんメンバー各社は日々のビジネスでは人工知能をベースにしたサービスやガジェットの開発をめぐって激しく競争しているライバル同士だ。

現在のメンバー各社は当初の財政的基盤も整備するとしている。しかしこのパートナーシップは開かれた組織であり、将来は参加メンバーを拡大する計画だ。科学者、エンジニアに限らず、ユーザー活動家、NPO、倫理問題の研究者その他人工知能に関連する人々が数週間後に開催予定の会議で意見を交わす予定だ。

DeepMind(現在はAlphabet傘下)の 共同ファウンダーで応用AIの責任者Mustafa Suleymanは「われわれはAIを作る側だけでなく、AIによって影響を受ける側の人々の参加を求めている」と語った。

このパートナーシップでは、企業外のグループや個人も大企業の代表と肩を並べて参加し、リーダーとなれる仕組みだ。

今日のスタート時点ではApple、Twitter、Intel、Baiduなどはメンバーに含まれていない。AppleはAIプロジェクトに熱心だとされるが、このパートナーシップに参加したライバルに比べてAI分野で立ち遅れて気味な同社が未参加なのが目立つ結果となっている。

新組織は単なる議論ではなく、実例をもってAIの普及を図ろうとしているようだ。パートナーシップはオープンライセンスの標準をもちいてAIプロダクトに関する研究成果を公表していく。これにはテクノロジー面だけでなく、倫理、プライバシー、少数者の保護など広い分野が含まれる。

IBM ResearchにおけるAI倫理の研究者Francesca Rossiは「現在エンタープライズ部門がAIをコントロールしている。社会全般がAIの利便性を利用できるようになるためには、まずAIが信頼性を確立することが必要だ」と語った。

メディアで目立つAIの危険性に関するポップカルチャー的な主張と比べたときに新組織の着実な立場は安心感を与えるものだ。将来AIによるシンギュラリティーが人類の存続を脅かすかどうかなどという議論に熱心な向きもいるようだが、われわれはすでにAIが関連する現実の問題の長いリストを抱えている。コンピューターは、われわれの職をすべて奪ったりしていないものの、以前から人間が持っている否定的特質も拡大する力がある。偏見が優勢な世界は偏見を含んだデータセットを生み、偏見を含んだデータ・セットは偏見のあるAIフレームワークを生成する。

この問題を是正するためにMicrosoftはすでにAI倫理委員会を設けている。新パートナーシップは従来の組織と重複するものではなく、むしろこれまで各社が個々に行ってきた努力を拡充するものだという。新パートナーシップの会議記録は一般公開される予定だ。

この記事の執筆にはJosh Constineが協力した。

画像: Bryce Durbin/Bryce Durbin

〔日本版〕この報道はTechCrunch以外にも欧米の主要ニュースメディアが報じているが、他の記事にもニュースリリースないしイベンへのリンクがない。今後なんらかのフォローアップがあるものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftのEdgeにブラウザーに強力な企業向けセキュリティ機能を導入、Office 365にも

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MicrosoftのIgniteカンファレンスで今日(米国時間9/26)、同社のEdgeブラウザーが企業環境でもっと安全になる、と発表された。

Microsoftは今日のイベントに先立つ記者会見で、いわゆるWindows Defender Application GuardがWindows 10を不審なブラウザーセッションから隔離する、ブラウザーはハードウェアと直接結びついたコンテナの中で動く、と説明した。Microsoftによると、ほかのブラウザーが利用しているコンテナはハードウェアベースの保護ではないので、よくあるタイプの攻撃の90%に対して弱い、という。

Microsoftのこの新しいツールでは、マルウェアがマシンやネットワークのそのほかの部分にタッチできない。コードはコンテナの中だけで動くので、いわばそれは“最高に警備の厳しい刑務所”のようなものだ、という。

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このサービスはWindows 10とEdgeだけだから、企業にとってもわかりやすく扱いやすいだろう。まだ一般的にダウンロードはできないが、企業ユーザーは2017年の前半には試用できる。2017年の後半に、一般展開だそうだ。

このApplication Guardに加えてMicrosoftは今日、Office 365のセキュリティ機能をいろいろ発表した。たとえばOffice 365のAdvanced Threat Protectionは、ユーザーが悪質なURLをクリックするのを防ぐ。そしてそれは、SharePoint, OneDrive for Business, Word, Excel, PowerPointに対応している。

また、近くセキュリティ担当アドミンに提供されるツールでは、Microsoftが何百万ものマシンから集めたWindowsやAzureのデータを利用して、先取り的にユーザーのマシンを保護する。この新しいサービスは金融業界のアドミンなどを対象とし、類似のネットワークからMicrosoftが集めたデータに基づいて、ユーザー企業のネットワークを保護する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Windows 10、4億台突破するも無料アップグレード終了で減速

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去る7月、MicrosoftはWindows 10の将来展望を少し和らげ、2018年中頃までにアクティブデバイス10億台という当初予測は少々野心的すぎたと語った。この表明は、同OSが3.5億台を突破(5月には3億台)した直後に行われた ― そして無料アップグレードが終了するおよそ2週間前だった。

最後の発表から3ヵ月後、Microsoftはアトランタで行われたイベント、Microosoft Igniteの冒頭で新たな節目の数字を発表した。Windows 10のアクティブ端末数は4億台を超えた。

この数字には、一般的PCの他、スマートフォン、タブレット、Xbox One、Surface Hub、HoloLens等様々なデバイスが含まれる。「アクティブ」の意味について同社は、直近28日間のいずれかの時点で使用された機器としている。

数値の伸びは最近目立って遅くなっており、理由の一つは上にも挙げた無料アップグレードの終結で、7月29日に完了した。今でもMicrosoftは、最終的には10億台に達すると予想しているが、その巨大な数値に向けた具体的な期日は、少なくとも現時点では決められていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Skype城の本丸、長年のロンドンのオフィスを閉鎖、完全なMicrosoft化への下地か

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Microsoftが、Skypeのロンドンのオフィスを閉鎖する。これにより、400名近い社員の雇用に影響が及ぶ。同社がFinancial Timesに語っているところによるとそれは、“一部の技術職を統一するため”で、しかし、それにより生じた“余剰人員を助けるための相談業務を近く開始する”そうだ。

ロンドンオフィスはSkypeの歴史の重要な部分だ。そこはメインの開発サイトであり、Microsoftによる買収の前までは本社が置かれた。ビッグMに買収されるまでの、eBayの子会社という奇妙な幕間(まくあい)劇の間(かん)も、オフィスは健在だった。

閉鎖がロンドンのテクノロジー界隈に打撃を与えることは確かだが、昔の社員の一部がFTに、それほど意外でもない、と言っている。その大きな理由は、これまでの数年間で役員の退社が相次ぎ、それが、同社における権力構造の変化の前触れであったこと。Microsoftは買収後に、Skypeに大幅に手を加え、Office 365との統合を厚くし、多くの新しい機能を導入してSlack的な性格を持たせた。

今後はMicrosoftがSkypeの開発の中心になり、ますます同社の他のソフトウェア製品との整合が図られることだろう。

本記事の一部はIngrid Lundenによる

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Office 365はあなたのプロジェクトにゲストを招待できる…多様な人材から成るプロジェクトチームにも対応

Casual discussion between coworkers in modern architect studio

Office 365のようなオンラインツールのおかげで、同じ職場の同僚たちとのコラボレーションはやりやすくなったが、でも仕事、とくに個々のプロジェクトには、往々にして、外部の人が関わることも多い。パートナーとか、コンサルタントとか、あるいはベンダの人たちとか。Microsoftは、そういう現実に対応するために今日(米国時間9/9)、Office 365のコンテンツを、招待したゲストにも見たり編集できる、という機能を発表した

それは一挙に全面展開ではなく、段階的だ。まず最初はWeb上のOutlookにゲストアクセスできる。外部者を招待するためには、まず、招待する方法が必要だ。

プロジェクトにその人を招待するとき、最初はメールで連絡するから、Outlookは妥当な入り口だろう。[Add Guest]をクリックしてその人宛のメールを入力する。ゲストは招待メールのほかにもメールをもらったり、カレンダーに招待されたり、メールの添付ファイルを共有したりするだろう。

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Outlookでゲストを加える。画像提供: Microsoft。

ゲストは全員MicrosoftにサインインしてOffice 365のアクセスをもらう。ただし、メールのドメインは企業でなくてもどこでもよい。

これはMicrosoft一社の発想というよりも、むしろトレンドだ。まさに今週、BoxがBox Relayを発表した。これはIBMと共同開発したワークフローツールで、やはり、仕事のワークフローに外部の人を招待できる機能がある。

Boxの場合は、そのプロジェクトのリーダーがゲストのセキュリティをセットする。たとえばゲストにとってリードオンリーのドキュメントに、社内のチームメンバーは編集アクセスができる、という設定が可能だ。

両社とも、クラウドとモバイルが主勢の現代社会では、仕事のやり方が変わりつつあることを認めている。仕事は、どこにいてもできるし、多くのいろんな人が関わってくる。社員だけ、とは限らない。

プロジェクトのチームを社内社外のいろんな人で構成することが、ますます重要になっている。Microsoftの今日の発表もそのことの証(あかし)だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ローカルホストの退場―クラウド移行でIT部門とデベロッパー部門の対立は解消する

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〔編集部〕この記事はCRUNCH NETWORKのメンバーでCodenvyのCEO、Tyler Jewellの寄稿

5年前にマーク・アンドリーセンがソフトウェアが世界を食い尽くすと言ったときにはまだその言葉を疑うものもいた。しかし今やほとんどすべてのビジネスがオンラインで提供されるソフトウェアの上で動いている。

こうしてクラウド・コンピューティングは小売から運輸、通信、メディアまであらゆる産業を支える事実上の標準となった。ところがクラウドの進出を拒む基本的な領域がまだ存在する。皮肉にもそれはソフトウェア開発ビジネスだ。クラウドのすべてはソフトウェアで可能になった。ところがそのソフトウェア自体は大部分がオフラインで開発されている。

しかしこの状態も近く変わるだろう。Amazon Web Serviceが最近Cloud9を買収したことでも明らかなように、デベロッパーはクラウドベースのIDE(統合開発環境)に殺到している。クラウド開発はすでにソフトウェア開発の重要部分となりつつあり、非常に控え目な推計によっても60億ドルの産業だ。AmazonからMicrosoft、Googleまでこのことに気付いている。そこでローカルホストからクラウドへのシフトという流れの原動力は何なのか、どんなチャンスが隠されているのか考えてみようと思う。

IT部門とデベロッパー部門の深い溝

ソフトウェア開発がクラウドに移行する原因はIT部門に古くから内在する根本的な対立から生じた。つまりIT部門と開発部門の対立だ。IT部門は安定性、セキュリティー、統制可能性を何よりも重視する。それに対してStephen O’Gradyが「新たなキング・メーカー」 と呼んだ開発部門は、言語、フレームワーク、プロセスを自由に選択することを要求する。この対立は、開発のためのサーバーや新たなソフトウェアに用いられるプログラミングの規格を誰が支配するのかをめぐって強い緊張状態を生む。開発部門がどんな作業にも効率的なマイクロサービスの採用を主張するのに対して、IT部門は長年にわたって試され安定しているが固定的なテンプレートを維持しようとする。

この問題は誰がシステムのルート権限を持つのかというところから発している。開発がオンプレミスで、つまりローカルホスト上で実行される場合、デベロッパーが言語、コンフィグレーション、フレームワークの選択の権限を持っている。しかしローカルホストの能力は規模の拡大や共有の面で限定的だ。そのため大規模なチームや全社的なシステムの構築には適さない。

これまでポピュラーだった代替策は、IT部門が管理する中央集権的なVM(virtual machine)サーバーの利用だ。代表的な例はVDI(Citrix)、Vagrant(HashiCorp)、Skytapなどだろう。しかしVMは高価で大規模な設備となりがちで、共有が難しく共同作業に向かない。誰でもいいがデベロッパーに共有環境の2GBのメモリしかないVMイメージで開発するのはどれほど楽しいか尋ねてみるとよい。

デベロッパーは簡単に拡張できないような環境に置かれるとコンピューターであれコードであれ開発資産を必要以上に貯めこむ傾向がある。しかし現在は 簡単に共同作業の環境を得て生産性をアップさせる方法がある。クラウド・ソリューションの普及により開発作業、資産、プロセスを共有することが以前よりはるかに簡単になった。

われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。

GitHubは共有コードのデファクトの発表先となっている。開発したコードを秘密に保管しておくのではなく、オープンにしてすべてのデベロッパーからのフィードバックを待つことが推奨されるようになった。
プロジェクト管理に問題が起きた場合、AtlassianのJIRAはプロジェクトを共有化することによって解決を図る。【略】

クラウド開発が普及しつつある

Dockerを代表とするようなコンテナ・テクノロジーの発達がバックエンドの開発をアジャイル化に適合させ、大幅に加速している。ワークスペースやランタイムを含めて、今やすべてがクラウド上にある。開発環境のすべてがデスクトップにあったこれまでとはまったく違う。

AWSの最近の動向を見るまでもなく、主戦場はクラウド IDEだ。この分野は延べ数百万のユーザーと莫大な資金を惹きつけている。コンテナをベースにエンベッドされたブラウザ・ツールとホストされたランタイムが利用可能となり、IT部門がコンピューティングのルート権限を維持すると同時にデベロッパーがDockerその他の開発ツールを用いて必要に応じて自由に開発環境を構築することを可能にする。つまりIT部門とデベロッパー部門の理想的な形での分離が実現する。【略】

さらにこうしたトレンドの存在はオープンソースのクラウド開発の普及によっても証拠だてられる。 AmazonはCloud9を通じてAWSで独自のクラウド開発環境を提供する。Google、Microsoft、 Red Hat、SAP、Samsungなどのソフトウェアの巨人は既存の硬直的な開発環境をEclipse CheEclipse Orionを通じて柔軟なオープンソースに置き換えることを検討している。

Red HatはOpenShiftに、SAPはHANA に、SamsungはARTIKにクラウド開発環境をそれぞれ標準として組み込んだ。一方、クラウド開発をさらに柔軟なものにするためにMicrosoftとRed Hatは共同して.netとASP.Netのコアをオープンソース化し、あらゆるプログラマーがプログラミング言語とそのIDEに自由にアクセスできるようにした。こうした有力ソフトメーカーは一見したところではパートナー関係を結びそうに見えなかったが、結局のところカスタマイズ可能な統合された低価格の開発環境が得られる利益の方が競争よりも利益が大きいと悟ったもののようだ。

こうした活動はアジャイル開発という新しい時代の到来を示すものだ。これによって IT部門とデベロッパー部門の長く続いた矛盾が解消され、双方の利益になる。コンテナ化とオープンソース化が開発とテストの効率をアップさせ、共同作業を強力なものにする。

そろそろlocalhostに死亡を宣告していいころだ。 われわれはクラウドの「最後のフロンティア」に突入したところだ。この分野で勝つための戦いは始まったばかりだ。.

画像: Thomas Cole – Clouds, ca. 1838 (modified)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftの人工知能Cortanaで、冷蔵庫がもっとスマートに

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MicrosoftがLiebherr(リープヘル)の家電部門と共同で冷蔵庫をもっとスマートに、もっと速く、もっと強く作り替えようとしている……おっと失礼、「よりスマートに」だけでした。2社による新たなコラボレーションにより、Microsoftはコンピュータビジョン技術(いわばコンピュータの目)をMicrosoft Cognitive Services Computer Vision API経由で提供し、冷蔵庫が自分で庫内にある物体を見分けられるようにするという。

なぜ「庫内に入っているものを判別する冷蔵庫」が必要なのだろう? 何か買い忘れて、またスーパーマーケットに走らなくてもいい、というのは1つの理由だろう。ここで用いているディープラーニングのアルゴリズムは、何百万点という食品パッケージの画像データを処理した蓄積に基づいて、新しい食品も学習できるという。いずれ市販された暁には、実世界のユーザーから収集したデータを使ってもっとスピーディーで、もっとスマートになるに違いない。

他社製の冷蔵庫では遠隔から庫内を確認できたりもするが、MicrosoftのデータサイエンスチームはLiebherrと直接協力して、この試作機を「学習する」冷蔵庫に育て上げた。そのおかげで、わざわざスーパーでの買い物中につながりの悪い携帯通信経由で低解像度の画像を表示して、人間の目で庫内の食品をチェックしなくても済むようになっている。

この冷蔵庫、現段階では試作品なので、まだ当面は現状の「知性のないまぬけな食品クーラーボックス」で何とかしのぐしかない。けれどももし、今すぐにでもちょっぴりMicrosoftのついた冷蔵庫を導入してみたい、ということであれば、こんな選択肢もあるようだ。

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(翻訳: Ayako Teranishi / website

Microsoftがヘイトスピーチを減らすための新しいリソースを発表(コンテンツを削除された方も反論を言える)

LAS VEGAS, NV - JANUARY 10:  A general view of the Microsoft booth at the 2012 International Consumer Electronics Show at the Las Vegas Convention Center January 10, 2012 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs through January 13 and is expected to feature 2,700 exhibitors showing off their latest products and services to about 140,000 attendees.  (Photo by David Becker/Getty Images)

Microsoftが今日(米国時間8/1)、同社の消費者サービスのユーザーのためのブログで、ヘイトスピーチを減らすための新しいリソースを紹介している。そのリソース(専用のフォーム)を使ってユーザーは同社に直接、ヘイトスピーチを報告し、あるいは削除されたコンテンツの復活を訴えることができる。

TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークにおける、特定のオンラインコミュニティの中での安全対策は、多くの人が知っている。たとえば先週Twitterは、テロを宣伝したとして停止されたアカウントのリストに、新たに23万5000のアカウントを加えた

Microsoftはこれまでも、同社のサービスの上でテロリストのコンテンツが広まることを、積極的に防止してきたが、Twitterなどの努力に比べるとそれらはあまり知られていない。同社のOutlook, Skype, Xbox, OneDrive, Office 365などの製品やサービスは数百万のユーザーが利用しているが、いずれもSnapchatやInstagramのようなWeb上の花形新人に比べると、地味で目立たないのだ。

こういう地味なサービス上では、大方の対話が人畜無害だが、でもそんなMicrosoftでさえ、憎しみに満ちた不穏当でときには不法でさえあるコンテンツに対する、完全な免疫は有していない。Microsoftは定常的に、ヨーロッパの“忘れられる権利”の訴えに対応しているし、リベンジポルノや著作権物の無断使用、違法なコンテンツなどの削除要請にも応じている。

明らかにそんな努力の延長としてMicrosoftは、このたび、二つのフォーム(form, 提出書式)を提供している。ひとつはコンテンツを報告するため用、そしてもうひとつはコンテンツを復帰させる用だ。現時点でMicrosoftはすでに、不適切なコンテンツの削除リクエストを受け入れ、それらの削除の可否を個別に検討している(リクエストの専用フォームはなかったが)。

MicrosoftのCOSF(Chief Online Safety Officer, オンラインの安全性に関する最高責任者)Jacqueline Beauchereは、新しいフォームに関するブログ記事で、こう述べている: “弊社がホストしている消費者サービス上の、許されないコンテンツの削除に関しては、従来からの‘通告して取り下げる’やり方を今後も継続する。新しいフォームは、その検討プロセスの質と速度の向上を目的としている”。

これらの新しいリソースはもっぱら、ヘイトスピーチを減らし、コンテンツを取り去りたい側と、取り去られた側の両方に公平に発言の機会を与えることによって、コミュニティを大きく育てることを、ねらっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftがPowerShellをオープンソース化しLinuxやOS Xにも提供…Bash on Windowsとの差別化は?

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Microsoftが今日(米国時間8/18)、同社のPowerShellをオープンソース化し、LinuxやOS Xでも使えるようにする、と発表した。

PowerShellは、WindowsのパワーユーザーのためのMicrosoft製のコマンドラインシェルで、タスクを自動化するための拡張可能なスクリプト言語(シェル言語)のインタープリタでもある。シェルとしてはLinux上のBashとあまり変わらないが、Windowsという固有のシステムに深入りしている部分もある。なおBashは今や、Windows上にもある。Microsoftは今変わりつつあり、CEOのSatya Nadellaが折りにふれて繰り返すのは、今の同社が“マルチプラットホーム、マルチクラウド、そしてマルチOS対応”であることだ。今の同社では、数年前にはあり得なかったようなことがふつうに行われている。Windows 10の中にLinuxのサブシステムを作り、その中核的ツールの一部をオープンソース化する。そんなことが、今や日常茶飯事だ。

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Microsoftのテクニカルフェローで同社のEnterprise Cloudグループの主席アーキテクトであるJeffrey Snoverによると、Nadellaが全社的に訴えたいのは、顧客とのコミュニケーションを充実し、顧客が求めているものの実現を、売上と利益の源泉にしていくことだ。“顧客はサーバーもクライアントもクラウドも自分で選びたい、自分で決めたいと思っている。そんな顧客の親身なパートナーになってあげることがMicrosoftと顧客の共通の利益であるべきだ”、と彼はNadellaの主張を要約する。今のそんなMicrosoftがPowerShellの対応の幅を広げることは、顧客が、“どんなクライアントを選んでも…それがWindowsであってもOS XであってもLinuxであっても…単一の管理スタックを使える”ことに通ずる。まさに、Nadellaが主張するマルチOS対応だ。

Microsoftは今日の発表に先駆けて.NETフレームワークをオープンソース化し、.NET CoreをLinuxとOS Xでも可利用にした。PowerShellは.NETベースのツールなので、それが今回Linux/OS X対応になるのは自然な流れだ。

PowerShellを強力にしているのは、シェル本体だけではない。マルチOS化の一環としてPowerShell Editor Serviceが提供されるので、デベロッパーはシェルの機能をテキストエディターの中から利用できる。またVisual Studio Codeもサポートされ、そしてSublime(TypeScriptプラグイン)はすでに可利用だ。

PowerShellは拡張性が高いので、VMwareや、クラウドではライバルのAWSといったパートナーたちですら、PowerShell用のcmdlet(s)というものを作り、シェルやスクリプトから、たとえばAWSの場合は、EC2のインスタンスを直接管理できるようにしている。

PowerShellはMicrosoftのOperations Management Suite(OMS)を統合しているので、Azure, AWS, GoogleのCloud Platform、あるいはオンプレミスのデータセンターなど、アプリケーションやワークロードがどんなプラットホーム上にあっても、それらを管理できる。

Windows上にBashがあることと、LinuxやOS Xの上でPowerShellが使えることの違いについてSnoverは、前者(Bash on Windows)は、オープンソースのデベロッパーがWindows上で仕事ができるための措置だ、と言う。

Snoverも認めるように、オープンソースプロジェクトの管理についてMicrosoftはまだ‘学習中’だが、彼のチームはすでに、パートナーたちとその件で多くの会話を重ねている。今後はコミュニティを適正に統治することにより、コードの変更がコミュニティから得られるようにしたい、ともいう。もちろんPowerShellのコードも、その対象に含まれる。

Ubuntu, CentOS, Red HatなどのLinuxユーザーとOS Xのユーザーは、PowerShellを動かすために必要なものを、GitHubのPowerShellリポジトリからダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

来年からWindows 10パソコン全機種でWindows Holographicを使えるようになる

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Windows 10ユーザーは、来年から「ミックスト・リアリティー」(MR:複合現実)の世界に浸れるようになる。Microsoftは、2015年1月に発表したWindows Holographicシェルが、「主要」Windows 10パソコン全機種で動くようようになるアップデートを計画している。

このアップデートによってユーザーは、従来の2D Windows 10アプリを没入型3Dグラフィック環境と組み合わせられるようになる。それを可能にするのが、従来のクリックやポインティング等の入力に位置追跡機能を追加する、様々な “6 degrees of freedom”(6DoF)入力デバイスだ。

Windowsチームはこれをもっと広く普及させることも考えており、フルスケールのVRを実行するのに必要なスペックを備えていないWindows 10パソコンにも対応する。例えば、Intel NUCという超高価ではないIntelグラフィクス内蔵デスクトップ機で、Windows 10 Holographicが動作しているビデオを披露した。

近い将来、日常のデスクワークでスプレッドシートやプレゼンテーションをMR世界で使うことはありそうにない。しかし発表時には出荷されそうにないベーパーウェアに思えた機能を、こうしてMicrosoftが一般公開しようとしているの見るのは良いものだ。

IntelとMicrosoftは、MRパソコンやユーザーがMR操作環境を体験できるヘッドマウントディスプレイの仕様も検討している。仕様は今年12月に深センで行われるWindowsハードウェアデベロッパーカンファレンスで一般公開される予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft OfficeのiPhoneアプリ(Word, Excel, PP)では手書き文字や図形を描ける…強調用に使えるかも

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仕事用の文書が指で書いた落書きみたいでもよい、という会社はどこにもない。だからiPhoneのOfficeアプリのデフォルトの入力方法を手書きにしている人はいない。でも、おもしろい箇所を強調したり、簡単に注記を書きたいときには、手書きが便利かもしれない。

そこで今日App Storeに登場したWordExcelPowerPointのアップデートでは、そんな手書き機能が導入された。そのためには、上図にあるような”Draw”タブ(アクセスに数クリックを要する)をクリックするとシンプルなページレイアウトになるので、その上に手書き文字(など)を描ける。

オプションとして、ペン(pen)、強調(highlighter)、そして消しゴム(eraser)がある。上図では、ペンがセレクトされている。いろんな色も使える。感圧型のツールなので、指の圧力で線を太くも細くもできる。ExcelとPowerPointでは、スプレッドシートのセルやプレゼンのスライドの上に手書きできる。

手書きは正確なツールではないし、また、ページのスクロールなど、指でほかのことをしたくなったら、手書きモードから抜けださなければならない。まったく新しい機能だから、あちこちに問題もあるが、手書きがしたかった人にとっては、とても嬉しいツールだろう。

出典: The Verge

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Skypeに新たなボットが導入されるもまだまだ改善の余地あり

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昨日(米国時間8月3日)のWindows 10に統合されたSkypeの新バージョン発表に続き、Microsoftは本日「Skypeボット」で利用できるボットコレクションの拡大に関する発表を行った。Skypeボットは、自動のチャットアシスタントで、今年のはじめにプレビュー版が一部地域で公開されていた。新たなボットの中には、旅行の手配や、チケット検索、他のアプリやサービスの情報を表示できるもののほか、エンターテイメント機能を備えたものまである。

今年の春の発表を見逃した人のために説明すると、Microsoftは毎年行われているBUILDカンファレンスで、初めてSkypeボットとボットプラットフォームのデモを行ったのだ。デモの中では、宿泊施設の予約や、カレンダーへの情報追加、タイピング時間を節約するための予測入力などのタスクをこなすことができるバーチャルアシスタントと、Skypeユーザーがどのように交流できるかというのが披露されていた。

しかし、当初ローンチされたボットは、検索エンジンから情報を引っ張ってくるBing関連のものや、ウェブサイトの要約、画像検索機能を持ったものなど、とてもシンプルなボットばかりで、もちろん便利ではあるが、ものすごく欲しくなるようなものではなかった。

本日のボットコレクションの拡大によって、ユーザーに課されたタスクの一部を本当に肩代わりすることができるようなボットの登場に一歩近づいたこととなる。

例えば、Skyscannerボットは、個人・グループ航空券を検索したり、価格・経路に関する情報を表示したりすることができる。さらには、航空券の予約をするためのリンクも生成可能だ。

実は、Skyscannerはこれまでにも「ボット風」のサービスを開発していた。Skyscannerは、AmazonのAlexa用の音声検索ツールを開発した最初の会社であり、最近ではSkypeのライバルであるFacebook Messenger用にフライト情報検索ボットを開発していたことを忘れてはいけない。

別の旅行関連ボットがHipmunkから発表されており、これはフライト情報の他にも、価格帯や旅行のテーマ、「旅行に伴う苦しみ」の許容度(待ち合わせ時間の短い旅程を組んだり、飛行時間の短いフライトをみつけることで、ユーザーの苦しみを最小化するというのが、Hipmunkの宣伝文句だ)など、ユーザーの好みに応じてホテルやその他の旅行情報を提供してくれる。

このアプリはよくできていて、複数あるフライトオプションの詳細を確認するためにスワイプしていったり、金額のアラートを設定したりと様々な機能を利用することができる。さらに、ユーザーが聞かなくても、フライト情報を検索するとオススメホテルの情報が表示される(これに関しては便利だと感じる人と邪魔だと感じる人がいるだろう)。さらに、質問(『都市Xと都市Yの間を移動するのに良い時間帯』や『ニューヨークから行ける海辺の旅行地』など)に応じて表示される最後のパネルをクリックすると、他の旅行情報やアドバイスを確認することができる。

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その他の新しいボットの中には、イベントやコンサートのチケットを検索できるStubHubボットや、他のアプリやサービスの情報をSkypeのチャット上に表示することができるIFTTTボットなどがある。IFTTTボットは、ニュースアラートや、ソーシャルメディア上でのメンションに関する通知、他サービスの通知の表示、天気予報の引用、メールの受信通知など、気になる事項をいくつでもIFTTTの「レシピ」に登録することで、さまざまな用途に使うことができる。

最後に紹介する新たなボットが、エンターテイメント用のボットSpockだ。ご想像の通り、このボットを使えば、USSエンタープライズの副司令官とバルカン人について話すことができる(このボットで生産性は向上しないが、たまには仕事に飽きてしまうこともあるだろう)。

旅行やチケット検索ボットは、以前発表された汎用Bingボットよりは便利であるものの、大きな意味でのボットの展望を叶えるにはまだ少し力不足だ。

理想的な旅行ボットであれば、クリック可能なリンクを表示する代わりに、フライト候補を提案して、ユーザーが選択肢を絞るサポートをした上で、最終的には実際にユーザーの代わりに航空券の予約をしてくれるだろう。さらにはカレンダーに自動でフライト情報を追加し、予め設定されたコンタクト先(上司や配偶者など)にEメールを送ってくれる機能も備えていなければならない。

チケット検索ボットであれば、(ニューヨークとロサンゼルスから選べといった)大都市の会場を提案するのではなく、ユーザーの住んでいる場所をまず聞くべきだ。さらには、ランダムに近くのイベント情報を表示するのではなく、どのようなイベントにユーザーが行きたいのかをまず質問し、野球の試合を見たいのか、コンサートへ行きたいのかなどの具体的な好みを把握することも必要だろう。

私たちはまだそこにはたどり着いておらず、それが理由で今日のボットは「面白いが持っていなきゃいけないわけではない」という域を出られないでいる。結局のところ、現在のボットでは、ユーザーが自分でウェブサイトを訪れて必要な情報を検索する方が早く、ものによっては自分でやるよりもずっと遅かったり、フラストレーションが溜まるものもある。

なお、この記事で紹介したボット以外にも、ゲームや占いができるボットのほか、自動バーチャルアシスタントのAva Zoomや、画像解析機能を備えたCaptionBot
、Foursquareのボットや、スケジュール管理が行えるFreeBusyなど、最近Skypeがディレクトリに追加したボットは他にもある。

Microsoftは、現在同社のプラットフォーム上に3万人以上のボット開発者がいると語り、この新しい分野への興味を示している。

新しく発表されたボットの数々は、Andoird、Windows、iOS、Macそしてウェブ版のSkypeボットのディレクトリ上に既に登録されている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

IoTの力を引き出すフォグコンピューティングとは

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【編集部注】著者のBen Dicksonはソフトウェアエンジニア兼フリーランスライターである。ビジネス、技術、政治について定期的に寄稿している。

IoT(Internet of Things)がIoE(Internet of Everything)へと進化し、実質的にあらゆる領域へ侵入するにつれ、高速なデータ処理と分析、そして短い応答時間の必要性がこれまで以上に高まっている。こうした要件を満たすことは、現在の集中型のクラウド(雲)ベースのモデルで支えられたIoTシステムでは困難なことも多い。こうしたことを容易にするのがフォグ(霧)コンピューティングである。その分散型のアーキテクチャパターンはコンピューティングリソースとアプリケーションサービスをサービスのエッジ(界面)に近付ける。そのエッジこそデータソースからクラウドへの連続体の間で最も理にかなった効率的な場所である。

Ciscoによって提唱されたフォグコンピューティングという用語は、クラウドコンピューティングの利点とパワーを、データが作られ適用される場所へ近付ける必要性を指したものである。フォグコンピューティングは、IoT業界の主要な関心事であるセキュリティを向上させながら、処理および分析のためにクラウドに転送されるデータの量を削減する。

ではクラウドからフォグへの移行が、IoT業界の現在そして未来の挑戦を如何に助けるかを以下に解説しよう。

クラウドの問題

IoTの爆発的な成長は、実際の物体やオペレーションテクノロジー(OT)が、分析や機械学習のアプリケーションと結びつけくことに負っている。そうしたアプリケーションはデバイスの生成したデータから少しずつ洞察を収集し、人間が介在することなく「スマート」な意思決定をデバイスが行えるようにする。現在そのようなリソースは、主に計算パワーおよび記憶容量を所有するクラウドサービスプロバイダによって提供されている。

しかしそのパワーにもかかわらず、クラウドモデルは、オペレーションの時間制約が厳しかったり、インターネット接続が悪い環境に適用することはできない。これは、ミリ秒の遅れが致命的な結果を招く、遠隔医療や患者のケアなどのシナリオでは特に課題となる。同じことは、車両同士のコミュニケーションにも適用される、衝突事故を回避するための機構は、クラウドサーバーへのラウンドトリップに起因する遅延を許容できない。クラウドパラダイムは、何マイルも離れた場所から脳が手足に司令をだすようなものである。迅速な反射を必要とする場所では役に立たない。

クラウドパラダイムは、何マイルも離れた場所から脳が手足に司令をだすようなものである。

またそれ以上に、クラウドに接続されているすべてのデバイスからインターネットを介して生データを送信することには、プライバシー、セキュリティ、そして法的懸念が考えられる。特に異なる国家間のそれぞれの規制に関係する、取り扱いに注意を要するデータを扱う場合にはそれが問題となる 。

フォグの位置付けは完璧

IoTノードは作用する場所の近くに置かれているが、現状では分析や機械学習をこなすためのリソースを保有していない。一方クラウドサーバーは、パワーは持つものの、適切な時間内にデータを処理したり応答したりするためにはあまりにも遠く離れすぎている。

デバイスの配置されたエッジ近くで、クラウド機能を模倣するための十分な計算、ストレージ、そして通信リソースを持ち、局所的なデータ処理と素早い応答を返すことのできるフォグレイヤーは、完璧な接合場所である。

IDCによる調査によれば、2020年までに世界のデータの10パーセントは、エッジデバイスによって生成されることが推定されている。これは、低レイテンシと同時に総合的なインテリジェンスを提供する、効率的なフォグコンピューティングソリューションの必要性を促す。

フォグコンピューティングには支持母体がある。2015年11月に設立されたOpenFogコンソーシアムがそれで、その使命はフォグコンピューティングアーキテクチャにおける業界や学術のリーダーシップをまとめることである。コンソーシアムは、開発者やITチームがフォグコンピューティングの真の価値を理解するために役立つリファレンスアーキテクチャ、ガイド、サンプルそしてSDKを提供する。

すでに、Cisco、DellそしてIntelといった主要ハードウェアメーカーたちが、フォグコンピューティングをサポートする、IoTゲートウェイやルータを提供しているIoT分析や機械学習のベンダーたちと提携している。その例の1つが、最近行われたCiscoによるIoT分析会社ParStreamIoTプラットフォームプロバイダJasperの買収である。これによりネットワーク業界の巨人はそのネットワーク機器により良い計算能力を埋め込むことができ、フォグコンピューティングが最も重要なエンタープライズITマーケットにおける大きなシェアを得ることができるようになる。

分析ソフトウェア会社も製品を拡充し、エッジコンピューティングのための新しいツールを開発しいる。ApacheのSparkは、Hadoopエコシステム(エッジが生成するデータのリアルタイム処理に適している)上に構築されたデータ処理フレームワークの一例である。

クラウドによって得られた洞察は、フォグレイヤーでのポリシーや機能の、更新や微調整を助けることができる。

IoT業界の他の主要なプレーヤーたちもまた、フォグコンピューティングの成長に賭けている。最先端のIoTクラウドプラットフォームの1つであるAzure IoTを擁するMicrosoftは、フォグコンピューティングでの優位性の確保を目指して、そのWidows 10 IoTを、IoTゲートウェイ機器や、フォグコンピューティングの中核を担うその他のハイエンドエッジデバイスのためのOSの選択肢としてプッシュしている。

フォグはクラウドを不要にするのか?

フォグコンピューティングは効率を改善し、処理のためにクラウドに送られるデータ量を削減する。しかしそれは、クラウドを補完するために存在するもので、置き換えるものではない。

クラウドはIoTサイクルにおける適切な役割を担い続ける。実際に、フォグコンピューティングがエッジ側で短期分析の負担を引き受けることにより、クラウドリソースは、特に履歴データや膨大なデータセットが関わるような、より重いタスクをこなすために使われるようになる。クラウドによって得られた洞察は、フォグレイヤーでのポリシーや機能の、更新や微調整を助けることができる。

そして、集中化され非常に効率的なクラウドのコンピューティングインフラストラクチャが、パフォーマンス、スケーラビリティそしてコストの点において、分散システムをしのぐ多くの事例も、まだみることができる。これには、広く分散したソースから得られるデータを解析する必要がある環境などが含まれる。

フォグとクラウドコンピューティングの組み合わせこそが、特に企業におけるIoTの適用を加速するものなのだ。

フォグコンピューティングのユースケースは?

フォグコンピューティングの適用対象は多い、それは特に各産業環境におけるIoTエコシステムの重要な部分を支える。

フォグコンピューティングのパワーのおかげで、ニューヨークに拠点を置く再生可能エネルギー会社Envisionは、運用する風力タービンの巨大ネットワークの効率の15%向上を達成することができた。

同社は、管理する2万基のタービンにインストールされた300万個のセンサによって生成される20テラバイトのデータを一度に処理している。エッジ側に計算を移管することによって、Envisionはデータ解析時間を10分からたったの数秒に短縮することができ、これにより彼らは対応可能な洞察と重要なビジネス上の利便性を手に入れることができた。

IoTの会社Plat Oneは、同社が管理する100万個以上のセンサーからのデータ処理を改善するために、フォグコンピューティングを使っている別の事例である。同社は、スマート照明、駐車場、港、および輸送の管理、ならびに5万台のコーヒーマシンのネットワークを含む膨大な数のセンサーのリアルタイム計測サービスを提供するためにParStreamプラットフォームを利用している。

フォグコンピューティングは、スマートシティにもいくつかのユースケースを持っている。カリフォルニア州パロアルトでは 連携する車両群と信号機を統合する300万ドルのプロジェクトが進行している、うまくいけば他の車両のいない交差点で理由もなく待たされることはなくなる未来がやってくるだろう。

走行時には、運転パターンからリアルタイムに分析と判断を提供することによって、半自動運転車のドライバーたちの注意力の低下や、進行方向が曲がることを防ぐことを助ける。

また、警察の計器盤やビデオカメラから生成される音声やビデオ記録の膨大な転送データ量を削減することも可能である。エッジコンピューティング機能を搭載したカメラは、リアルタイムでフィードされる動画を分析し、必要なときに関連するデータのみをクラウドに送信する。

フォグコンピューティングの未来とは何か?

現在フォグコンピューティングは、その利用と重要性がIoTの拡大に伴って成長を続け、新しい領域を広げていく傾向にある。安価で低消費電力の処理装置とストレージがより多く利用できるようになれば、計算がよりエッジに近付いて、データを生成しているデバイスの中に浸透し、デバイス連携によるインテリジェンスと対話による大いなる可能性の誕生をも期待することが可能になる。データを記録するだけのセンサーは、やがて過去のものとなるだろう。

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(翻訳:Sako)

Microsoft、Excel APIを一般公開―クラウドに保管された表計算データを簡単に参照できる

2016-08-04-microsoft-API

今日(米国時間8/3)、Microsoftは比較的短いベータテストの後、Excel APIの一般公開を発表した。これによりデベロッパーはプログラム内からOffice 365のExcelのデータを参照し、計算処理やダッシュボードなどを実現できる。

Microsoftが最初にAPIを紹介したのは昨年11月で、続いてこの3月のBuildカンファレンスでAPIを利用してOffice 365を単なるアプリというより、デベロッパーにとって便利なプラットフォームに変身させる計画を発表した。他のOffice 365 APIと同様、今回のExcel APIも公式のクラウドAPIエンド・ポイントであるMicrosoft Graphにアクセスすることによって利用できる。

MicrosoftがExcel APIを公開しことは、多くのビジネス・ユーザーが(不適切な場合も多いのだが)大量のデータをExcelに保管しているという現実をMicrosoftが密かに認めたということでもある。デベロッパーはAPIを使って参照したExcelのデータにOffice 365の外で独自の処理を加えることができる。またダッシュボードやレポートを作成するためにExcelのシートを参照できる。

APIによるアクセスをさらに簡単にするためにMicrosoftは2つのサードパーティーのサービスと提携した。ZapierのユーザーはExcel for Office 365を参照するアプリを簡単に作成できる。小規模から中規模向けのビジネス管理サービス、Sagの場合、会計処理にExcelを統合的に利用できるようになった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftがHoloLensヘルメットを3000ドルで一般発売、誰でも買えるが主に企業対象か

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Microsoftの未来的な拡張現実ヘルメットHoloLens(のDevelopment Edition)を、それを利用するアプリケーションを作らない人でも自由に買えるようになった。これまでは、実際にアプリケーションでそれを使うデベロッパーしか、入手できなかった。でもこれからは、アメリカかカナダにいて3000ドル払える人は、Microsoftから直接、最大で5台まで、買うことができる。

3000ドル〔従来からのデベロッパー価格〕は決してお安くないから、誰でも衝動買いできるとは思わないが、なにしろ、どうしても欲しかった人は、手に入れることができる。Microsoftの発表では、これはまだ“Development Edition”であるので、デベロッパーや企業顧客向けだ、と言っている。しかし、デベロッパーでも企業の人でもない、ふつうの人でも、喜んで売ってくれる。条件は、アメリカかカナダに住所があること、Microsoftのアカウントがあること、そして十分なお金があることだ。

Microsoftによると、同社の小売ストアは、HoloLensをまだ扱っていない。

Microsoftは今日、HoloLensの可用性を広げることと並行して、HoloLens Commercial Suiteというものを立ち上げた。これにはHoloLens本体とともに、企業向けのセキュリティおよびデバイス管理機能が含まれている。

このエンタープライズスイートにはKiosk Modeというモードがあって、使えるアプリケーションを限定したり、ユーザーの本人性確認、デバイス管理、BitLockerによる暗号化などの機能がある。

このアップデートは明らかに、HoloLensを企業市場に大々的に売りたいという、Microsoftの意欲の表れだ。企業市場は、Microsoftが長年、得意とする市場である。

一部のデベロッパーにHoloLensの提供を開始したのは3月だった。それからまだ日が浅いのに、大々的な一般販売に踏み切ったのは、ハードウェアの安定性と大量生産能力に対する自信の現れかもしれない。もうすぐ今度はたぶん、一般消費者向けの発売に踏み切るのだろう。

〔参考記事: 企業利用の一例

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Minecraftが予見する未来の協働作業

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【編集部注】著者のJim Fowler氏はGEのCIO

子供たちは究極のベータテスターだ。新しい技術が何のためのものであるかを理解するとすぐに、彼らはそれを使って他の何かをさせようとする。彼らは限界を押し広げ、規則を破り、可能なことは何でも使って遊び、そしてリアルタイムでその結果を共有する。

私の息子と彼の友人たちがどのようにMinecraftで遊んでいるかを見たとき、私はエンジニアリングと技術の未来を見たのだ - そしてそれはとてもエキサイティングなものだ。

Minecraftは没入できるデジタルレゴセットのようなものだ。それはあなたに少ない種類のデジタルブロックから、世界全体を組み立てさせる。そうすれば、あなたはMinecraftアカウントを持つ友人たちやその他の人たちを世界に招いて、そこでやり取りをしたり、世界を変えたり、あるいは元の世界をベースにパラレルワールドを作ったりすることができる。

基本を学んでしまえば、組み上げることができる複雑さのレベルは事実上無制限だ。Minecraftを使った遊びのスタイルは、デジタルワークプレイスのための優れた訓練手段でもある。それは協働的で、リアルタイムで、対話的かつ終わりのない活動なのだ。

ゾンビや溶岩湖、そして本当にクールなモンスターたちもいる。

これからMinecraftが予見する未来の協働作業を紹介しよう。

自分自身のデザインした世界の中に住む

2014年に25億ドルでMinecraftを買収したMicrosoftは、このゲームを拡張現実ヘッドセットであるHoloLensと統合した。これが意味するのは、今やプレーヤーたちは目の前の現実世界の上に重ねられたMinecraftの風景を見下ろすことができ、他のプレイヤーたちが小さなアバターとして歩き回っているところを眺めることができるということである。

エンジニアのチームが進行中のデザインに対して、同じことをしていると想像して欲しい。あるエンジニアたちは仮想的な自分を縮小して自分たちのデザインの中を旅することができる。あたかも人体の中を旅する映画「ミクロの決死圏」の中の小さな探検家たちのように。他のエンジニアたちは全体のデザインを一度に眺めることができ、その構築過程をアリがアリ塚を作るのを眺めるように観察できるだろう。

スキルを引き寄せ創造性を解放するプラットフォーム上で働く

Minecraftはゲーム以上の存在である。サードパーティとユーザーはカスタム部品を作ることができ、それが創造性とスキルのためのグローバルなプラットフォームへと発展した。他の人が購入したり遊んだりするためのカスタムアイテム、キャラクター、そして世界は誰でも作ることができる。

ジョージ・R・R・マーティンのゲーム・オブ・スローンズのファンタジー世界全体がMinecraftの中に作られている

皆を引きつけるクールなものを開発し、世界的な創造性の井戸へと投げ込むことによって、Minecraftのデベロッパーたちは大当たりを引き当てている。彼らは1つの会社で雇うことは夢にも思えなかったほどの、多くの創造力を入手したのだ。例えば:ジョージ・R・R・マーティンのゲーム・オブ・スローンズのファンタジー世界全体が、ボランティアの共同体によってMinecraftの中に作られている。また別のグループは、ちゃんと動作する16ビットのコンピュータのモデルを作った。

Minecraftはこれまではゲーム世界の外にいた人たちの想像力にも火を点けている。アイルランドの小説家Julian Goughは、Minecraftの最初の冒険のエンディングクレジットとして画面に流される詩を書いた。そしてデンマーク政府は、ある会社にゲームにデンマークの実物大のマップを作るよう依頼した。

デジタル産業時代には、人を集め創造性を解放する力のあるプラットフォームを開発することができる会社こそがより繁栄するのだ。あなたのソフトウェアはもはや、ただ目の前の問題を解決することだけでは済まされない。それはまた、解決を続けるエコシステム全体への入り口でもあるのだ - その解の一部はあなたが作り、他の部分は顧客やユーザーから得られるものだ。

協働的かつリアルアイムに解かれる問題は複雑すぎるものにはならない

私の息子は学校から戻ってくると、(もちろん宿題を終えた後に)コンピュータにかじりつき5、6人の友人たちと一緒に世界を創り始める。彼ら自身のゲームのための部品(mod)をコードして、それを使って新しい世界を築くのだ。もし私が、彼らがたどり着こうとしている場所の半分でも理解していると言ったなら私は嘘つきということになる。私は世界規模のテクノロジー企業のCIOなのだが。

私の息子と彼の友人たちが一緒に複雑なことを創り上げていく過程で、私を魅了してやまないことは、そこには誰も責任者がいないということなのだ。にも関わらず、必要な変更を加えながら、すべてのものが素早く完全に出来上がるのだ。

私たちは、教室の外にある、アクティブで生涯続く技術への興味を引き出すものも見過ごすべきはない。

私たちは企業の世界における仕事の現場において、すでにこの種の自然発生的な、大いに効果的な協働作業を目撃している。CIOとして私はこれまでに、人びとがデータを使う際により快適に探求と発見を行う自身の方法を見つけていくところを目撃してきた。まだキャリアが浅いころ、私は人びとに技術の使い方を指図しようと躍起になっていた。今私がすることと言えば、データが必要な人に対して、ただ最大限の流量を確保することだけである。ある一定のガードレールは設置するものの、それ以外は人びとが探求し実験するままにしておくのだ。時々私は、リソースとデータを用いた、オープンエンドでオープンソース、そしていちかばちかのゲームの審判を自分がしているように感じることがある。

私の息子と彼の友人たちが苦もなく働くスピードも未来を感じさせる。私はエンジニアたちに与えられた現代の協働デザインツールが、巨大な産業プロジェクトのデザインと最初の製造を、何週間の単位から数日、時には数時間のレベルで行わせるところを見てきた。私の息子の世代が労働力として社会に出るとき、いったい何が可能になるのかを想像してみよう。

科学技術教育はいっそうゲームのようになり、学校くささは減っていく

米国におけるSTEM教育の不足が多いに議論されている、私たちはより多くのハードサイエンスを教室に持ち込むために、公式に力を合わせて努力しなければならない。けれども私たちは、教室の外にある、アクティブで生涯続く技術への興味を引き出すものも見過ごすべきはない。

私のCIOへの道は、父親の薬局のカウンターの後ろにいた子供の頃に始まった。私は1台のIBMコンピュータの上で走る1つの専用アプリケーションが、それまで必要だった月2日の余分な仕事をなくし、保険会社が紙で行っていた時よりも4倍速く父親へ払い戻しをしてくれることに、すっかり魅了されていた。今日私がしている仕事は - 世界的なビジネスのために企業資源計画(ERP)を最適化すること - 最初のIBMを使った時に感じた興奮の延長なのだ。

子供時代に経験するこの種類の魅惑と驚きが、コンピュータサイエンスにおける重要なキャリアをいくつも始めさせてきた。計算科学のパイオニア、クロード・シャノンとダニー・ヒルズは、MITで出会った時二人とも子供の頃3目並べを遊ぶための単純な機械を作っていたことを知って強い絆で結ばれるようになった。やがてシャノンはサーチ・エンジンに用いられる数学を発明し、そしてヒルズは最初のスーパーコンピュータの1つを設計した。

ヒルズとシャノンのようなキャリアをより多くひき起こして、そして我々の将来の労働力がデジタルと産業両方の言葉を確実に使いこなすことができるようにするために、より多くの子供たちを科学、技術、エンジニアリング、そして数学に、自然で自発的かつ創造的なやり方で触れさせなければならない。

最近GEは、私の母校ヴァン・ウェルト高校のロボットクラブに2万5000ドルの寄付をした。設立から5年ほどの間に、このロボットクラブは山のような受賞歴を重ねていた(やるじゃないか!)- しかしそれがGEがチームをサポートを決めた唯一の理由ではない。私たちは全米を横断して様々な組織と、若者たちをテクノロジーへ自然で自発的かつ創造的なやり方で引きつけるために提携を結んでいる。

結局のところ、技術の未来は遊びの中にあるのだ。

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(翻訳:Sako)

Salesforceがワードプロセッサアプリを提供するQuipを7億5000万ドルで買収

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Salesforceは基本的なCRM以上のクラウドベースのアプリケーションやサービスを顧客に提供するために景気の良い買収を続けている。同社はクラウドベースのワードプロセッシングアプリケーションを提供するQuipの買収を発表したばかりだ。Quipは元Facebook CTOのBret Taylorによって設立された会社である。私たちは取引に近い2つのソースから、買収総額が7億5000万ドルであるという情報を掴んでいる。

取引は現金と株式で行われる、発表されたばかりのSalesforceのSEC向け報告資料(8-K)によれば「保有するQuipの株式の総額はおよそ5億8200万ドルとなった。これにはSalesforce Venturesによる既存のQuipへの投資は含まれない」ということである。

Quipは2012年に設立され、(マーク・ベニオフとSalesforce Venturesに加えて)Peter Fenton、Benchmark、Greylock、そしてYuri Milnerといった面々を含む投資家たちから4500万ドルを調達した。Quipは既にその顧客たちから、Taylorが以前所属したFacebookなどと並ぶ重要な会社だと見なされている。

このニュースに触れたブログの中で、QuipはSalesforceの傘下でビジネスを継続することを述べている。私たちはTaylorと共同創業者のKevin Gibbs(Google出身)の両者が買収後も留まると考えている。

「私たちは、この先に開ける可能性に刺激されたのです、Salesforceの一員となることで、いっそう速く私たちのサービスを拡張して、全世界の何百万という人たちに届けることができる - それはサービスを立ち上げた初日からの私たちのミッションでした」と彼らは述べている。「そして、私たちはSalesforce Customer Success Platformを私たちの次世代生産性向上機能と共に拡張することができるのです。データとコンテンツ、そしてコミュニケーションの融合の可能性には目を見張ります」。

成長を続け、VCからの資金調達に関しても羨まれるようなポジションにいたQuipが、Salesforceに買収されることを選んだ理由は明らかではない。しかしこの買収はエンタープライズマーケットで私たちが見ている合併の中でも、そしてそして買収を仕掛ける大きな企業をどのように変えていくのかという点でも、興味深い動きの1つだ。

周知のように、Salesforceは今年の初めに、最後はMicrosoftの腕の中に260億ドルで飛び込んだソーシャルネットワーキング企業のLinkedInを買収しようとしていた。SalesforceとMicrosoftは時に協業する一方で、競争もしている。QuipをSalesforceに加えることはSalesforceにとって競争を優位にする材料の1つとなるだろう(またそれは、CRM機能でSalesforceと競合するプロダクトの開発と買収を進めるMicrosoftとの釣り合いをとるものとなる)。

Quipが当初モバイルネイティブアプリのみで始まったとき(現在はデスクトップならびにWebバージョンもある)、私の同僚のJoshは、これは使い難くて支配的なMicrosoft Wordに対する、タイムリーな破壊者だと形容した。

そのプラットフォームにさらに多くの顧客を引き寄せ(そしてMacrosoftから離れさせ)るための幅広いプロダクティビティサービスの品揃えの1つを加えるという目的には、Salesforceはこの買収で十分な手を打てた。けれども支払われた金額の大きさと、Quipチームの参加が取引の一部であることを考えると、さらにより大きい何かをすることを目指していることがあり得ると思う。

(それが上手くいくかどうかはまた別の問題だが、Salesforceをこれまで悩ませていたのは、獲得したものを如何に統合するかだった。それらは真に統合されるというよりも、しばしばボルト留めされてきた、というのが私の聞かされてきた話である。なのでこの先Quipがどのようにやっていくかを見ていくことは楽しみだ)。

いずれにしても、Taylorにとって多忙な夏になりそうだ。Quipの買収は、彼がTwitterの取締役になって1ヶ月後に行われる。

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(翻訳:Sako)

Skype Meetingsは小企業向けの無料のビデオ会議サービス、というかSkype for Businessのフリーミアム化?

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Microsoftが今日、とくに小企業向けに設計された、音声とビデオによる無料の会議ツールSkype Meetings立ちあげた。これは、多くのユーザーがコラボレーションできる有料サービスSkype for Businessを、簡略化したようなサービスだ。

そのSkype for Businessの方は最大250名までの会議が可能で、OutlookやWord、PowerPointなどを本格的に統合できる。無料のSkype Meetingsでは、PowerPointのコラボレーション(画面共有、レーザーポインターなど)と一般的な画面共有だけが可能で、ビデオ会議の参加人数は最初の2か月が10名、その後は3名までだ。

Skype Meetingsには、個人化されたURLを使って、ほぼどんなデバイスからでも参加できる。グループ会議に使われている技術は、Skype for Businessと同じものだ。たとえばSkypeのヘッドトラッキング(頭追跡)機能を使っているから、どんなビデオ画像であっても、顔はつねに画面の中心に表示される。

60日過ぎると最大参加人数が3名に落ちるのは、これがSkype for Businessのフリーミアムバージョンである、という意味だろう。ふつうに無料のSkypeを使ってればグループ電話は最大10名まで可能だが、ただしコラボレーション機能などはない。

この‘新製品’の意味だけど、明らかにGoogle Hangoutsへの対抗だろう。HangoutsはGoogleのどのオフィスツールからでも使えるし、サードパーティが新しい機能を加えることもできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのWindows 10が1周年―アニバーサリー・アップデートは8月2日にやってくる

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今日(米国時間)MicrosoftはWindows 10のAnniversary Updateが8月2日に公開されると発表した。Windows 10の発表から1周年を記念する大型アップデートに含まれる多数の新機能は、一般ユーザー、エンタープライズ・ユーザーともに大きな大きなメリットがある。

Microsoftはまた同時に、Windows 10は現在3億5000万台のデバイスで作動しており、ユーザーの延べ使用時間は1350億時間に上っていることも明らかにした。この5月の発表では、Windows 10搭載デバイスの数は3億台だったから大幅に増加していることがわかる。

もっともアップデートの公開日として8月2日が選ばれたのはやや奇妙な印象を受ける。Windows 10への無償アップグレードが終了するのが7月29日で、アニバーサリー・アップデートの公開より数日前になっている。Microsoftは無償アップグレードの期間を延長する意思はないようだが、実はWindows 10が発表されてから正確に1周年となるのは7月29日だ。

私はWindowsの上級ディレクター、Lisa Gurryにこの点を尋ねてみた。Gurryによると、Microsoftが29日にメジャー・アップデートを発表しない理由は、「金曜日でもあり、Windowsチームは細部の仕上げのためにできるだけ時間が欲しいからだ」ということだ。Gurryはまた「無償アップグレード終了の日付は1年前から公表されているので動かすことはできない」と述べた。日付の選択の理由としてはやや弱いような気もしたが、ともあれ、アニバーサリー・アップデートは8月2日にやってくる。

エンタープライズ・ユーザーにとっては新バージョンで多数のセキュリティー機能が追加されていることが重要だろう。これには脅威からの保護機能が強化されたWindows DefenderやWindows Information Protection Serviceが含まれており、企業データの安全な運用に貢献するはずだ。

ただし新機能の大部分は一般ユーザーをターゲットとしている。たとえば新しいCortanaはユーザーがいちいちコンピューターにログインしなくても質問に答えてくれる。たとえば頻繁に利用する飛行機の便があれば、Cortanaはそれも覚えていてすぐに教えてくれる。またユーザーはWindows Inkで素早くメモを取ったりスケッチを描いたりできるようになった。またデジタル付箋を文書やサイトに貼ることもできる(これは新しいEdgeブラウザの機能強化のおかげだ。Edgeの省エネ性能は一層向上し、比較的少数だがサードパーティー製の拡張機能もサポートするようになった)。

Gurryはまたアニバーサリー・アップデートには学校、教育機関向けの新機能も多数含まれることを強調した。 ChromebookやiPadが教育機関に浸透する中、MicrosoftはWindows 10ノートの教育現場での普及に力を注いでいるようだ。 新しいWindows 10では学級向けのセットアップが容易になる他、専用のWindowsストアが用意され、大量の図書やテストの素材の利用、共有ががこれまでより簡単になる。またノートパソコンをテスト用に用いるための設定(コピー&ペーストを無効にするなど)も用意された。

Xbox Oneのユーザーもいくつかアップデートを期待できる。いちばん目立つのはCortanaがゲーム機に追加されることだろう。さらにXbox Anywhereプログラムでは一度ゲームを購入するだけでXbox Oneと同時にユーザーのパソコンでもプレイができるようになる。Xbox とPCどちらもプレイできる新しいゲームはWindows Storeからダウンロードできる。

〔日本版〕Windows 10の1周年アップデートで追加されるInk、セキュリティーなどの新機能に関してはTechCrunch Japanでもこちらで報じている。Microsoft Edgeブラウザに関する記事はこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+