Google Firebaseのアップデートでアプリ内メッセージング、JIRAの統合などが加わる

Firebaseは今やGoogleのデフォルトのアプリ開発プラットホームであり、買収から今日までの4年間で機能とGoogleのサービスとの統合を大きく拡充したきた。そして今日(米国時間8/16)は、そのさらなるアップデートにより、新しい機能と、より深い統合と、そしていくつかの新しいデザインがこのサービスに導入された。

このリリースのハイライトは、アプリ内メッセージングのローンチだ。この機能により、ユーザーがそのアプリを使っているときに、特定のユーザーに向けた(targeted)、しかもそのときの状況に合った(contextual)メッセージを送れる。このアプリ内通知機能はルック&フィールをデベロッパーがカスタマイズでき、今日から展開されるが、たぶんもっと重要なのは、この機能がFirebase PredictionsやGoogle Analytics for Firebaseと統合されていることだ。そのため、ユーザーの現在の行動に反応するだけでなく、どれぐらいのお金を使いそうか、とか、アプリの使用をやめそうか、などの予測(predictions)に基づいてメッセージを送れる。

また今回のアップデートでFirebaseは、AtlassianのJIRAと統合される。これからはFirebaseのユーザーが、Firebase内のクラッシュレポートに基づいてJIRAのIssue(‘課題’)を作れる。この統合は、数週間後に有効になる。

2017年にTwitterから買収したクラッシュレポートツールCrashlyticsとの、より深い統合が実現した。これからはそのデータをBigQueryにエキスポートして分析し、GoogleのData Studioで視覚化できる。そしてBigQueryにデータを置いたら、Firebaseのデフォルトの保持/削除のルールとは無関係になる。

レポートに関しては、Firebase Cloud Messagingにレポート用のダッシュボードがつき、またFirebase ConsoleのProject Overviewのデザインが一新されて、アプリの健康状態やステータスをひとつのページで見られるようになった。Latest Releaseセクションでは、ライブデータもフィーチャーされる。これらの機能は今日から展開が始まり、数週間後には全員に行き渡る。

WebのコンテンツをホストできるサービスFirebase Hostingは、今回のアップデートにより、ひとつのプロジェクト内で複数のWebサイトをホストできるようになった。Webサイトのアップデートをプッシュしたら、変更されたファイルだけがアップロードされる。ささやかなスピードアップだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Magic Leap One、開発者版リリース――謎のスタートアップのARヘッドセットの価格はiPhone Xの2倍

なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

このキットはメインストリームのコンシューマーを狙ったものではない。Magic Leapの戦略はかなり変化したように思える。Magic LeapのファウンダーはVergeのインタビューで「もうすぐ誰もが普通に使えるようになる」と力説していたのだが、どうやらまずデベロッパー向けヘッドセットを出荷し、コンテンツを充実させることで将来のコンシューマーを引き入れるという方向に舵を切ったようだ。

CNETによれば、余分の接続ケーブル、本体が故障した場合の迅速な交換サービスなどを含むプロキットにはさらに495ドル必要だ。(一部のデベロッパーには必須となる)処方箋によるメガネのレンズなどのエクストラはまた別に購入する必要がある。これらを合わせると価格はiPhone Xの3台分に近い。

われわれのCrunchbaseのデータによればこの拡張現実スタートアップは過去に少なくとも23億ドルの資金を調達している。投資家にはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitzといった著名な名前が並んでいるが、今回のクリエーター・バージョンが発売されるのは「アラスカ、ハワイを除くアメリカの特定の都市」だそうだ。

購入者希望者はウェブサイトのフォームにまず郵便番号を入力して自分が購入可能かどうかチェックする必要がある。ただし購入可能な都市は「急速に数を増やしている」そうだ。

われわれも郵便番号を入力したが、サンフランシスコは(当たり前だが)購入可能な地域だった。

CNETの報道では、現在購入可能なのはシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ(シリコンバレーを含む)、シアトルの6都市だという。

Magice Leapはデバイスは「直接配送される」ことを強調している。Magic Leapの専門家がパッケージを届けるだけでなく、自らセットアップも行う。高価な最初の製品がデベロッパーの期待を裏切らないよう努力していることがうかがえる。

Magic Leapではこの製品が「現在のコンピューティングのパラダイムを大きくシフトさせる」ことを狙っているが、これには熱心なデベロッパー、クリエーターによる「スペーシャル・コンピューティング」のコンテンツの創造が不可欠だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

Android P、最終ベータ発表――製品版公開は「夏の終わり頃」

グッドニュースだ。GoogleはAndroid Pのベータ4を公開した。これは先月のベータ3の発表に続くもので、正式発表を控えた最終ベータとなる。つまり(依然正式名称は不明だが)新しいAndroid OSが近く公開されることを意味する。Googleでは「夏の終わり頃」と約束している。

現在入手できる情報を総合すると、今回のビルドは一般公開版とほぼ同じで、これに含まれる機能をすべて備えているとみてよさそうだ。ベータ4は主としてデベロッパーを対象としており、製品版の出荷前にアプリの対応を確実にすることを狙っている。

Android Pには複数カメラやディスプレイの切り欠きのサポート、 通知の強化、ビットマップとドローアブルを生成できるImageDecoderの採用などOS新機能が多数含まれる。これらはアプリの作動の全ての局面に影響を与えることになる。Google I/OでAndroid Pが発表されたときのわれわれのの記事はこちら

ベータ4はAndroid Beta Programに登録していればデベロッパーに限らず、誰でもダウンロードして利用できる。互換性のあるデバイスを持っているなら、プログラムへのサインアップはこちらからできる。以前のベータ版をテスト中のユーザーにはこの後自動アップデートでベータ4が配布される予定だ。

最終ビルドが公開される日時については「近々」というだけでまだ正確な情報はない。Pが何を表すのかについても同様だ。Pで始まるお菓子やデザートの名前は無数にあるが、最近私はPop Rocksに傾いている。というか私は昔からPop Rocksキャンデーの大ファンだった。このあたりで Pop Rocksが買えるのはどこだろう?

ともあれ、詳しい情報ならこちら

画像:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、Go Cloudを発表――クラウド開発ツールでGo言語の普及加速を目指す

現在急成長のプログラミング言語の一つにGoogleから生まれたGo言語がある。現に利用しているデベロッパーは世界で100万人前後と見積もられている。GoogleではGoはクラウド・アプリの開発に適しているので成長をさらに加速することができると考えている。Googleは今朝(米国時間7/24)スタートしたCloud NextカンファレンスでGo Cloudを発表した。

Go Cloudはオープンソースのライブラリと一連のツールを組み合わせたもので、Goでクラウド・アプリを開発することを容易にする。

Goはデベロッパーに広く使われている言語ではあるが、クラウド・サービスを利用するための標準的ライブラリを欠いていたとGoogleでは考えている。多くの組織が業務をクラウドに移行しようとしているが、今のところデベロッパーは各種のクラウドの活用にあたってライブラリを自分で書く必要がある。

そこで Go Cloudがデベロッパーに提供しようとするのは特定のプラットフォームに依拠しないオープンソースのクラウドAPIだ。これにはブログのストレージ、MySQLデータベース、各種のランタイム・コンフィグレーションなどへのアクセスに加えてHTTPサーバーのビルトイン・ログや各種のモニタリング機能などが含まれる。現在はGoogle Cloud Platformに加えてAmazon AWSが対象となっている。しかし将来はGo Cloudがサポートするプラットフォームはさらに拡張されるという(もちろんクラウド・プロバイダは自らGo APIを開発、提供することが可能だ)。

デベロッパーは現在作動中のアプリケーションの重要な部分を書き直すことなしに、ただちに所望のクラウドに移行させることができるようになるとGoogleでは主張している。

Googleのデベロッパー・リレーション担当副社長、Adam Seligmanは私の取材に対して「われわれはGo CloudがGoのライブラリが爆発的に増加するきっかけとなることを期待している」と語った。当然ながら、そうなればクラウド向けプログラミング言語としてのGoの成長をさらに加速させる効果がもたらされるだろう。

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Google、Cloud Build発表――デベロッパー向けに理想的なCI/CDプラットフォームの提供を目指す

デベロッパーがアプリケーションを開発する際には十分なリードタイムを見込み、バグ修正やバージョンアップのサイクルを考えておくのが常識だった。この時代にはじっくり腰を据えて準備することができた。しかし現在のCI/CD開発(継続的インテグレーション/継続的デプロイメント)の世界では毎日バージョンアップが行われる。つまりデベロッパーにとって適切なCI/CDフレームワークの利用が必須となっている。

今日(米国時間7/24)、サンフランシスコでスタートしたGoogleのクラウド・カンファレンスでCI/CDプラットフォームとしてCloud Buildが発表された

Googleによれば、Cloud Buildは同社の「フル機能のCI/CDプラットフォームであり、デベロッパーはどんな規模であろうと、あらゆる種類のソフトウェアを効率的にビルド、テスト、デプロイすることができる」という。

Cloud BuildはVM、サーバーレス、Kubernetes、Firebaseなど多数のプラットフォームで作動するだけでなく、Dockerコンテナもサポートする。ソフトウェアのデベロッパー、オペレーターに開発、運用の柔軟性を与えると共にサイクルの自動化を進めることを容易にする。

Cloud Buildではデプロイメントのトリガーを設定できる。つまり特定の条件が満たされると自動的にアップデートが実行されことになる。デベロッパーはローカルでビルドし、脆弱性をテストし、パッケージの健全性に自信を持った段階でクラウドに公開することができる。

Cloud Buildにはエラー報告やアナリティクスなど問題を発見、解析するツールを備えている。デベロッパーはビルドのエラーやビルド速度が遅すぎるなどの原因をデプロイに先立って容易に同定することができる。

Google Cloud Buildでは一日あたり120分までのビルド時間が無料で提供される。これを超える部分の料金は毎分0.0034ドルだ。

〔日本版〕日本のGoogleでは9 月 19、20 日にCloud Buildを体験できるイベントを予定している。

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Snowball EdgeでEC2を現場で動かせるようになった――AWS、エッジ・コンピューティングをさらに強化

AWSのエッジコンピューティング・デバイス、Snowball Edgeはすでに広く使われている。しかし今日(米国時間7/17)、AWSはきわめて役立つ新機能を追加した。これまで、このデバイスは大量データの保管、転送、GreengrassサービスとLambdaを利用したある種のタスクの実行などに使われていた。しかしAWSはさらに一歩を進め、フラグシップ・コンピューティング・サービス、EC2をSnowball Edge上で利用できるようにした。

これにより、たとえば、工場内にデバイスを設置してそれまで使ってきたAmazon Machine Imagesを実行することができる。これによりまず帯域幅が大きく節減できる。ユーザーはEdgeデバイスですべてのコンピューティングを実行するか、プリプロセッサとして利用し、処理済みのデータをAWSに転送することができる。操作には従来のAWSのマネジメント・コンソール(ないしコマンドライン)を使える。Snowball Edgeは1.8 GHzのIntel Xeonプロセッサを内蔵しており、最大32GBのメモリで24のvCPUまで作動させることができる(メモリサイズ、vCPU個数の組み合わせは自由に設定できる)。

従来どおりの単一のマネジメント・コンソールから管理できるサーバーの中にSnowball Edgeが含まれるようになった、つまり他のAWSのクラウド上のマシンとまったく同様に扱えるようになったというのがAmazonが強調するメリットだ。念のために付け加えれば、OpenStackのエッジ・コンピューティングの基礎をなすアイディアだ(ただしSnowballはOpenStackより設定がはるかに簡単)。またMicrosoftのAzure Stackや各種のエッジ・コンピューティング・サービスが目指すのも同じ方向だ。

デバイスをレンタルする必要があるためSnowball Edgeのコストは決して安くはない。しかしオンデマンドによるコンピューティングのコストの大半はデータ転送費用で、これは500ドルからスタートする。Snowball Edgeを1台、1年間使うと少なくとも1万5330ドルかかる。しかし企業がエッジ・コンピューティングで処理を完了する前に、 AWSとデータをやり取りする必要が起きるケースはめったにないだろう。 また公平に言って、1万5330ドルという価格は同種のライバルに比べてはるかに安い。

〔日本版〕AWS日本語ページのSnowball Edgeの説明はこちら(EC2の利用に関してはまだ説明がない)。

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GitHub Enterpriseと〜Business Cloudのユーザーがオープンソースのリポジトリにアクセスできる

Microsoftが最近買収したコードホスティングサービスGitHubが今日(米国時間7/13)ローンチした新しい機能により、企業ユーザーがこのサービス上のパブリックなリポジトリに容易にアクセスできるようになった。

GitHubの企業ユーザー向けバージョン、GitHubがホストするGitHub Business Cloudと、企業自身がホストするGitHub Enterpriseのユーザーは従来、このサービスの上に何百万もあるパブリックでオープンソースなリポジトリに直接アクセスできなかった。それが今回変わり、企業ユーザーは彼らのファイヤーウォールを越えてGitHubのコミュニティのすべてに直接関与し、コラボレーションできることになった。

そのためにGitHubが今回企業ユーザーとエンタープライズユーザーに提供することになった総合検索機能は、内部のリポジトリだけだなくオープンソースのリポジトリも検索できる。

最新のEnterpriseに導入されたそのほかの機能として、コードの変化を調べるときホワイトスペースを無視する指定ができる。また、コードの変更に対して複数のレビュワーの関与を必須とする指定や、サポートチケットの自動化などもある。アップデートの全貌は、ここで分かる。

Microsoftによる買収はそれほど意外でもなかったし、しかもまだ完了していないが、でもMicrosoftと、GitHubを拠り所とするオープンソースコミュニティという無理婚は、今だに議論を喚んでいる。両者はこれまで、目を合わせたことすらなかったのだ。でもぼく個人の考えとしては、それほど心配する必要はないし、現時点ではすでに一件落着して、Microsoftがこのサービスをこれからどうするのか、みんなが見守っている段階だと思う。

関連記事: MicrosoftがGitHubを75億ドルで買収(未訳)
    : MicrosoftがGitHubの運営の独立性を約束      

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次のビッグウェーブはサーバーレスだ――新たなスタートアップ・エコシステム構築のチャンス

サーバーレス・コンピューティングというのは特に新しいコンセプトというわけではない。しかしテクノロジーの進歩によって興味ある地位を占めるまでに成長してきた。デベロッパーはサーバーレス・アーキテクチャの価値を認めるようになり、全く新しいスタートアップ・エコシステムが構築される可能性が出てきた。

もちろんサーバーレスといってもどこかにサーバーは存在する。しかしデベロッパーはイベントのトリガーをセットするだけでインフラに関してはすべてクラウド任せにできる。クラウドのベンダーはコンピューティングパワー、ストレージ、メモリー等々をデベロッパーが必要とするまさにその量だけ提供する。デベロッパーはインフラについて考える(あるいはそのためにコーディングする)必要がない。

なるほどこれは理想的な環境に思える。しかしあらゆる新しいテクノロジーに言えることだが、何かが解決されればその裏側で新しい課題が生じている。そしてこの新しい課題こそ野心的な起業家に道を開く。今後数年の間にサーバーレス・コンピューティングを助け、セキュリティーを確保するために必要なツール、ライブラリ、API、ダッシュボード、その他あらゆるユーティリティーの作成が大きなビジネスチャンスとなるはずだ。

抽象化のレイヤーを構築する

当初われわれはサーバーを物理的にまるごと所有していた。しかしこれは非常に能力の無駄が多かった。そこでバーチャルマシンが開発され、物理的には単一のサーバーが複数のバーチャルマシンに分割された。これは当時として驚くべきブレークスルーであり、VMware始め数多くのスタートアップが生まれた。またこのテクノロジーがクラウド・コンピューティングを可能にした。しかしこれはほんの手始めに過ぎなかった。

続いてコンテナが登場し、DockerKubernetesという2つのオープンソース・プラットフォームによって大きな意味を持つ存在となった。 デベロッパーは一枚岩的な巨大システムを多数の独立した部分に分割して作動させることが可能になり、コンピューティングの効率が大きくアップした。そしてさらに最近ではサーバーレス、イベント・ドリブンなどと呼ばれるコンピューティングのパラダイムが登場した。これはインフラを抽象化し、ひとつのレイヤーとするコンセプトだ。

写真: shutterjack/Getty Images

プログラムを実行するためにはどこかにCPU、メモリー、ストレージが存在しなければならないのだから物理的にいえば「サーバーレス」ではない。しかしサーバーレス・コンピューティングはデベロッパーがサーバーを使うための手間を省く。現在大きなプログラムを動かそうとすれば、それを動かそうとするコンピューター(バーチャルマシンであれ物理的マシンであれ)とプログラムの各部分とを適切に結びつけるために膨大なコーディングが必要だ。サーバーレスの場合ならこれをクラウドのベンダーがすべて肩代わりしてくれる。

主要なクラウド・ベンダーはそれぞれサーバーレス・プロダクトを提供している。、AWS Lambda、Google Cloud Functions、Microsoft Azure Functionsなど、すべて似たようなアプローチを取っている。しかしいずれも目新しいコーディングの方法という以上の可能性を秘めている。サーバーレス・コンピューティングはプログラムとそれを作動させるインフラとの関係についてのわれわれの概念を一変させることになるだろう。

ただし、まだわれわれはそういった場所まで到達していない。サーバーレス・コンピューティングが一般的な現実となるまでには数多くの作業が必要だ。しかしこの分野には近い将来、多数のスタートアップを生むに足る巨大なポテンシャルがある。次の「ビッグな波」を探している投資家の注目を集めていることはもちろんだ。

参入障壁がさらに下がる

AWS Lambdaのジェネラル・マネージャー、Tim Wagnerは「サーバーレス・コンピューティングの最大のメリットはデベロッパーがサーバーを管理することに伴う負担をすべて取り除くところにある」と言う。「サーバーを利用するときに、プロビジョニング、デプロイング、パッチング、モニタリング等々、OSレベルでの煩わしい作業は必要なくなる」とWagnerは説明する。

Wagnerによれば、デベロッパーはプログラムの実際の機能の実現にコーディングの努力を集中できる。プログラマーがイベントや関数を定義すればクラウド・プロバイダーがそれを実行するために必要なインフラの容量を正確に見積もり、必要な作業をすべて引き受ける。これはプログラムがたった1行のコードに過ぎない場合でも同じだ。

Greylock Partnersでアーリーステージのスタートアップに投資を行っているパートナー、Sarah Guoはサーバーレス・コンピューティングはインフラの処理をプロバイダーに任せることによりデベロッパーを機能の開発に専念させる効果があると考えている。【略】

Blocks of servers in cloud data center.

写真:Colin Anderson/Getty Images

調査によれば…

クラウド・コンピューティング企業のDigital Oceanは最近、4800人のIT専門職を対象とする調査を行った。これによれば、55%のITのプロが自分たちをデベロッパーだと考えていたが、サーバーレスについてどう考えるかという質問に移ると、約半数がコンセプトを十分に理解していないことが判明した。しかし81%の人々は重要性を認識しており、これについて今年さらに研究するつもりだと答えている。

このような状況を考えれば、この1年間にサーバーレスでアプリケーションを開発したことがあるかという質問に3分の2が「ない」と答えたのは驚くにあたらない。この率は世界各国ともほぼ同一だった(インドだけがサーバーレスの採用で43%と他地域よりやや高い率を示している)。

グラフ: Digital Ocean

Digital Oceanの調査では、サーバーレス・モデルを利用しているユーザーの中ではAWSが他を大きく引きはなしたトップだった。回答者の58%がAWS Lambdaをツールとして使っていると回答している。Google Cloud Functionsが23%、Microsoft Azure Functionsが10%で続いている。

サーバーレスを採用することに抵抗がある層はその理由としてツールの欠如を挙げている点は興味深い。Digital Oceanのレポートは「サーバーレス・モデルでデベロッパーが直面するもっとも大きな困難の一つはモニタリングとデバッギングだ」と述べている。つまりサーバーレスの可視性を高めるツールの開発ができればスタートアップにとっては大きなチャンスとなる。

エコシステムを創造する

インフラをカバーする抽象化レイヤーは同時に別のニーズを生み出す。これには当初から予測できるものと、実際にプログラミンするなかで浮上する予想外のニーズとがある。現在まだツールが不足していることはサーバーレスの普及を妨げる要素ではあるが、必要は発明の母という言葉のとおり、あらたなツールを生み出す強力な要因ともなる。

これがGrelockのGuoが投資家として重視する点だ。「デベロッパーがサーバーレス開発にアクセスしやすくなるよう、さまざまな側面を改善していかねばならない。ここに大きなチャンスがある。ユースケースの拡大と同時に、可視性やセキュリティーの改善が重要な課題となる。これらの問題はインフラのコントロールをベンダーなど外部に預ける場合に非常に重要性を持ってくる点だ」という。

写真: shylendrahoode/Getty Images

Accelのジェネラル・パートナー、 Ping Liもサーバーレス化は投資家にとって大きなチャンスだ考えている。「デベロッパーがアプリケーションを開発する手法にシフトが起きれば、それを助けるためのツール・セットの開発に大きなチャンスが生まれるというのが現実だ」Liは述べている。

Liはまたチャンスは大きいがサーバーレス化がメインストリームになるためにはこの手法を採用するデベロッパーの数が臨界量を超える必要があるみている。「サーバーレスには強い関心をもって注視している。将来のアプリケーション開発で中心的な位置を占めることになると思う。しかし現在はまだごく初期段階にあることも事実だと言いたい」という。

Madrona Venturesのマネージング・ディレクター、 S. Somasgearはサーバーレスはインフラまわりの煩雑さを大いに軽減すると同時に新しい課題を生み出し、これがスタートアップにとってのチャンスとなると主張する。「この問題は複雑だ。インフラストラクチャーを抽象化したレイヤーを構築し、このレイヤーを使えばインフラに煩わされることがないとデベロッパーに利用を勧めたとする。しかしデベロッパーが本当にそのレイヤーを使いこなせるようになるためには数多くのツールが提供されなければならない。それは開発ツールかもしれないし、デバッギング、デプロイメント、モニタリングのツールかもしれない。サーバーレスの世界でアプリケーションを開発するデベロッパーに実際に何が起きているのか正確に知らせるツールが必要だ」という

ツール整備を超えて

可視性の確保も重要な課題となるだろうが、可能性はそこにとどまらない。TwilioやStripeのような会社が提供しているのは通信や決済代行サービスについて深い知識がなくてもAPIを通じたライブラリの呼び出しや利用などでこうした機能が利用できるようにするサービスだが、サーバーレスの世界でも同種のニーズは大きいはずだ。

企業はサーバーレス・コンピューティングの採用によってさまざまな問題を解決する新たな方法を見出しつつある。今後、このアプローチは勢いを増し、それと共にツールも拡充されていくだろう。

サーバーレスはまだ初期の段階にあるが、Guoも言っているとおり、デベロッパーの仕事はインフラを稼働させることではない。これはやむを得ずやっているに過ぎない。「面白くなってくると思う。エコシステムはまだきわめて初期の段階にある。それでも大きな可能性があることは明白だ。そのためには必要なツールが整備され、プログラマーがサーバーレス方式で開発を行うことに勢いがつけば、その周囲にスタートアップのエコシステムが形成されていくはずだ」とGuoは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

プログラマーのための即席ファイル共有ツールTransfer.shはコマンドラインで使う

今日このごろファイル共有ツールはあまりにもありふれている。Dropboxがあり、Google Driveがあり、iCloudがある。でも、コマンドラインで迅速容易にシェアしたい、と思ったらどうだろう? そこでプログラマーのRemco Verhoefは、Transfer.shを作った。

このサービスは要するにファイルダンプで、curlでtransfer.shにファイルを送ると14日間保存されて、その後自動的に削除される。たとえばぼくは、この画像を、自分の.bashrcにちょっとコードを加えることによってアップロードした。

このシステムは、よくある、必要な仕事だけをしてくれる小さくて巧妙なツールの例だ。Verhoefは、仕事中に簡単にファイルをアップロードしたいから、これを作った。

彼曰く: “ぼくがこのアプリケーションを作ったのは、sshシェルの中から誰かにログのデータをシェアする必要があったからだ。そこでぼくは、コマンドラインを使ってcurlでファイルを簡単にアップロードしたり変えたりできるWebアプリケーションを作った。コンテンツを暗号化したり、それらに対してgrepなどを使ったりもできる。curlは、ほとんど、どんなプラットホームにもあるからね。アプリケーションはオープンソースにしたから、ほかの人たちも使えるし、みんなぜひ、自分のサーバーを動かして使ってほしい”。

“ビジネスモデルなんか、ないよ。今でもサイトを動かしているのは、一種の礼儀だな。でも人気が出てきてユーザーが増えてるから、このまま動かすのは難しい”、とも言っている。彼には自分のデベロッパーショップがあって、ICOのセキュリティなど、いろんなプロダクトを売っている。

Verhoefは、彼のプラットホームのセキュリティは約束していない。単純に便利なツールであるだけだ。彼は、ファイルをgpgにパイプしてアップロードすることを勧めている。

このプロダクトが、善いことだけに使われていないことが、彼のチームの不満だ。

“たくさんの人たちが使っている。ログファイルをアップロードするために使っている人もいれば、隠し撮りビデオを全部エクスポートするやつもいる。マルウェアやボットネットなどの配布に悪用されることもある。でもそれらは、なるべく早く見つけてやめさせている。ポルノサイトがポルノ写真のサーバーとして使ったこともあるが、それを見つけたときは、写真を全部、犬と子猫の写真にリプレースしたよ”。

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学校単位でGitHubを無料で使えるようになった

Microsoftが買収したオープンソースのコード共有プラットフォーム、GitHubが、昨日(米国時間6/19)、GitHub Educationという新しいサービスを発表した。学校でプログラミングを教える場合、このサービスを無料で利用できる。

これまで一部の学校を対象にGitHub Educationのテストが続けられていたが、今後はすべての学校が使えるようになる。

もちろん従来も個々の学生や教師が教室でGitHubを利用するのは無料だった。GitHub Educationはこれをさらに一歩進めたもので、学校単位でGitHub EnterpriseまたはBusiness Hostedのアカウントが得られる。学校単位で無料で利用できるだけでなく、IT部門の責任者やCTOがサポートを受けられる。それに記念品もプレゼントされる。

このプログラムの一環として、学生がStudent Developer Packに加入すれば無料で各種ツール、Datadog、Travis CI、DigitalOceanが使えるようになった。

GitHub Educationに参加するにあたって、学校は関係者全員にGitHubへのアクセスを確保し、教職員と学生全員がGitHubからの通知を常時受け取れるようにしなければならない。また各部門の代表1名は Campus Advisorsのトレーニング・コースを受講する必要がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

継続的インテグレーション(CI)による開発自動化プラットホームCircleCIが初の海外オフィスを日本に

CircleCIの、継続的インテグレーションとデプロイメントをベースとするビルドプラットホームは、今や世界中の数十万のデベロッパーが利用している。同社はこれまで5900万ドルのVC資金を調達しているが、うち3100万ドルは、今年初めのシリーズCのラウンドだ。

グローバル化によって成長を維持したい同社はこのほど初めて、サンフランシスコの本社の外、日本の東京にオフィスを開いた。最初はそのオフィスの社員を4〜5名とし、地元企業とのパートナーシップで事業を展開するつもりだ。

同社にとって日本は初体験ではない。すでに数名のリモートワーカーがいるし、またCyberAgentやDeNAとの仕事を通じて、日本はアメリカとイギリスに次ぐ同社の世界第三位の市場だ。

CEOのJim Roseはこう説明する: “日本やグローバル市場で活躍できることは、本当にすばらしい。日本はこれまでも、うちにとって成長市場だったし、最近では成長のスピードが上がっている”。Roseは2014年にCircleCIがDistillerを買収したとき同社のCOOになり、2015年にCEOになった。

CircleCIは世界のどこにいて、どんなインフラを使っているデベロッパーでも簡単にインストールして使えるため、同社の売上はボトムアップ的(口コミ的)に伸びている。今や同社の知名度は高く、売上の35〜40%はすでにグローバル市場からだ。

しかしCircleCIのプロダクトは、ワンクリックでインストールできる簡便さが売りではない。むしろCircleCIは、クラウドネイティブな環境でソフトウェアを管理するためのまったく新しい方法であり、デベロッパーと管理職との密接な協働を支えることにより、レガシーのコードベースをクラウドとGitから成る環境へ移行させる過程を助ける。Roseは曰く、“最近の6四半期ぐらいの傾向としては、大企業でもそんなやり方が根付きつつある”。

でも。そのための教育訓練や企業文化の変化は、日本のような非英語圏では容易でないだろう。Roseによると、企業がCircleCIのシステムをインストールするという導入の第一歩をクリアしたら、“今度はそれを社内に周知する仕事があり、それにはローカルな知識が必要だ”。そこで地元雇用の社員たちや地元企業とのパートナーシップが、CircleCIを顧客企業のワークフローに接着していくことを、同社は期待している。

イギリスは同社の二番目に大きな市場だが、新たにオフィスを置くという形での国際展開の端緒として日本を選んだのは、同社の英語のリソースが日本では十分に通用することが実証されたからであり、そしてイギリスはBrexitによってヨーロッパにおける戦略立案が難しくなっているためだ。

“BrexitとGDPRをめぐっては、大量の可動部品があり、単一市場としてアプローチできるのかも、はっきりしない。とりあえずイギリスは、EUとは別の単独市場としてアプローチすべきだろう”、とRoseは説明する。ドイツ、フランス、北欧など、ヨーロッパのそのほかの部分に対する国際展開は、その正しいやり方を目下思案中だ。

Roseの構想では、アメリカ以外の売上を売上全体の50%にもっていきたい。日本は今後国際展開に力を入れていくための、いわばスタート地点だ。

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Google、単一テナント・クラウドのベータ版開始――ユーザーは物理的マシンを専有できる

クラウド・コンピューティングではユーザーがバーチャル・マシンを立ち上げた場合、実際の処理はデータセンターの運営者が効率が最適となるよう多数のサーバーに分散される。しかしユーザーが他のユーザーとサーバーを共有することを望まず、物理的にマシンを専有したい場合もある。

こうした要求に応えるべく、GoogleはGoogle Compute EngineでSole Tenant Nodesのベータ版をスタートさせた。これは法規に定められた場合やコンプライアンス上の必要からユーザーが物理的マシンを全面的にコントロール下に置かねばならず、他のユーザーと共有することが不適切なユースケースに対応するサービスだ。

Googleのブログによれば「あるバーチャル・マシンのインスタンスを実行する物理的サーバーは多数のユーザーと共有されるのが普通だ。しかしソール・テナント・ノードでは物理的マシンを自分だけで使える」という。

図:Google

Googleではサービスに柔軟性を持たせ、カスタマーが必要に応じて適切にCPUとメモリを構成できるようにしている。 ユーザーはどのマシンを専有するかをGoogleに任せることもできる。この場合はGoogleがその時点でもっとも効率が高いと認めたマシンにタスクが割り振られる。さらに高度なコントロールを必要とする場合は、ユーザーがマニュアルで特定のマシンを選択することも可能だ。いずれのケースでも処理を実行するマシンが他のユーザーと共有されることはない。

このサービスを利用したい場合、トライアル用の無料プランがある。その後はコンピューティングの必要性に応じて各種の有料プランが用意される。Googleによれば、すべてのプランは秒単位(最低1分)の課金となる」という。

現在はベータ版であるためSLA(サービス・レベル契約)は用意されない。MicrosoftとAmazonも同様のプランを提供している。

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GitLabのハイエンドの利用プランがオープンソースのプロジェクトと教育機関に無償提供

GitHubがMicrosoftに買収されたことに多くのデベロッパーが深い不安をいだき、その多くはGitHubに代わるものを探している。候補の一つがGitLabで、同社も鉄は熱いうちに打つことに決めたようだ。今後より多くのデベロッパーが同プラットホームに集まりやすいようにGitLabは今日(米国時間6/5)、セルフホスティング・タイプのGitLab Ultimateプランと、そのGitLabがホストするGoldプランを、オープンソースのプロジェクトと教育機関向けに無料にした。

GitLabのCEO Sid Sijbrandijはこう語る: “教育機関やオープンソースのプロジェクトは、自分たちのソフトウェアプロジェクトのセキュリティやパフォーマンス管理が完備していない場合が多い。幸いにも今のGitLabは業績も良く、多少の余裕があるので、これらの重要なコミュニティにGitLab UltimateとGitLab Goldの両プランの完全な機能集合を無償でご提供できる”。

GitLabに移行することへの関心は今とても強くて、きのうのGitHubのニュースが流れて以降同プラットホームには14300あまりのユニークビジターがあり、そのデベロッパーたちはGitLab.com上に10万以上の新たなリポジトリをオープンした。その多くがGitLabの無料で制約のあるCoreプランで登録したが、それは基本機能はすべて揃っているものの、大型のプロジェクトには向いていない。

しかしGoldとUltimateは、通常一人あたり月額99ドルの有料制だが、コードリポジトリとしての基本機能のほかに、ロードマップの公開や、依存性とコンテナのスキャン、Kubernetesクラスターのモニタリング、そして近い将来、ライセンスポートフォリオの管理が加わる。

ただしGoldとUltimateプランを無料で利用する場合はサポートが含まれない。サポートを必要とするデベロッパーやオープンソースプロジェクトは、別途一人あたり月額4ドル95セントを払えばよい。

もうひとつの制約は、教育機関(学校、大学)はOKでも個々の学生には適用されないこと。その理由をGitLabは、GitLab側の管理の負担を軽減したいため、と言っている。“あなたが学生であなたの教育機関がGitLabに登録していない場合は、GitLab.com上の公開されているプロジェクトのすべての機能や、プライベートなプロジェクトの無料機能を利用できる。それ以外は有料になる”、ということだ。

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Apple App Store登録デベロッパーは2000万名、累積売上1000億ドル、毎週のビジター数5億

Microsoftがデベロッパーに大人気のコードリポジトリGitHubを買収したばかりだが、現時点で多くのデベロッパーがお金を稼いでいる場所はAppleだ。今日のWWDCでAppleのCEO Tim Cookは、iOSの登録デベロッパーが2000万名、そしてApp Storeにおける彼らのこれまでの累積売上が約1000億ドル、App Storeの1週間のビジターは5億名、と発表した。

これらの数字は、Appleの一貫した、デベロッパーとアプリのマーケットプレース重視の姿勢を表している。スマートフォンのハードウェアの売上が先進国を中心に鈍化しているだけに、このようなデベロッパー/アプリの重視の姿勢は今後ますます、重要な収益源になるだろう。

Cookによると、Appleが開発したプログラミング言語Swiftも、このような、ハードウェア経済からソフトウェア経済への移行を反映して、ユーザー数が伸びている。

彼曰く、“Swiftはもっとも急速に成長しているプログラミング言語だ。Appleのデベロッパーはこの言語を大々的に使用しており、App Storeの35万以上のアプリがSwiftで書かれている。プログラミングは必須のスキルであり、世界中の学校で教えるべき、と信じている。プログラミングを学ぶことの利益は多く、問題解決の能力や重要な思考力を育てる”。

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Microsoft、GitHubを75億ドルで買収へ――将来も独立の運営を約束、新CEOはXamrinの共同ファウンダー

今日(米国時間5/4)、MicrosoftはGitHubを75億ドル相当の株式で買収する計画を発表した。予想どおり、この発表は依然としてMicrosoftに対して反感を抱くメンバーが残るデベロッパー・コミュニティーに衝撃を与えている。今朝のカンファレンス・コールにはMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、XamarinファウンダーでGitHubのCEOに就任するNat Friedman、GitHubの共同ファウンダーでCEOを離任する予定のChris Wanstrathが出席し、Microsoftグループの一員となってからのGitHubの未来像を説明した。

ここで出席者全員が特に強調したのは、GitHubは今後も独立の企業として運営されるという点だ。これはMicrosoftがこれまでにLinkedInを買収したときのアプローチであり、順当といえる。しかしMicrosoftとしてはGitHubを本拠と考えるデベロッパーの多くが同社にネガティブなイメージを抱いていることを暗に認めたものとも考えられる。GitHubは今後ともオープンプラットフォームであり、いかなるデベロッパーであろうと自由に利用できることをMicrosoftは約束した。GitHubはあらゆるクラウド、あらゆるデバイスをサポートしていく。

GitHubの本質はまったく変わらないとした上で、当然ながら、MicrosoftはGitHubのエンタープライズ向けサービスを拡張し、自身やパートナー企業のセールスチャンネルに乗せていくことを発表した。ナデラは「GitHubはMicrosoftのデベロッパー向けツールとサービスを新しいオーディエンスに紹介していく」と述べた。

Nat FriedmanがGitHubの CEOに就任することで、同社は尊敬されているテクノロジー専門家をリーダーに迎えることができた。Friedmanが共同ファウンダーであるXamarinのMicrosoftによる買収は(少なくともわれわれの目から見て)成功を収めている。実際、私がFriedmanと話した感触では、XamarinがNovellからMicrosoftに移った結果について好感を抱いているように思えた。GitHubの将来についてもポジティブな見通しなのだと思う。

Microsoftの買収後、Friedmanはこのデベロッパー・サービスのチームの責任者となっている。Wanstrathは前任者がハラスメント・スキャンダルで失脚した後、CEOに就いたが、1年近く前から経営者のポジションを離れてもっと直接にプロダクトを開発する仕事をしたいと語っていた。Microsoftの買収でこれが実現したことになる。WanstrathはMicrosoftのテクニカル・フェローに就任し、「戦略的ソフトウェア・イニシアティブ」に携わるという。

今日の電話記者会見でFriedmanはMicrosoftがGitHubをオープンにしておくと約束したことを強調すると同時に、「われわれはさらに多くのデベロッパーとさらに多様な機能をGitHubにもたらしたい」と述べ、GitHubのサービスとコミュニティーを拡大していく計画を発表した。

私はカンファレンス・コールの後、Friedmanにインタビューした。Friedmanは「デベロッパー・コミュニティーには常に健全な懐疑の念があるものだ。しかし、ここ数年のMicrosoftの行動を詳しく検討すれば、本当の意味でオープンソース・コミュニティーの一員に変身したことが理解できるだろう」と述べ、デベロッパーがMicrosoftをそうした事実に基づいて評価するよう求めた。もちろん本当に重要な点はMicrosoftが今日の約束をどのように守るのかにある。

プロダクトそのものに関してFriedmanは。GitHubの本質はすべてデベロッパーの努力を助けるところにあるべきだと述べた。その手始めとして、クラウドの利用をさらに容易にすることに取り組むという。【略】

もうひとつ力を入れていく分野はGitHubのマーケットプレイスだ。Microsoftは同社のすべてのデベロッパー・ツールやサービスをGitHub Marketplaceに登録する。また当然ながらMicrosoftのオープンソースのエディター、Visual Studio CodeがGitHubに統合される。【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、GitHubを買収か?

この週末、レッドモンドではMicrosoftが大手コード共有サイト、GitHubを買収するという情報が流れた。 Bloombergによれば、「事情に通じた筋」から得た情報だとし、早ければ明日にも正式な発表があると予想している。

先週、Business Insiderは、両社の間で買収の話し合いが進められているという記事を掲載した。これはデベロッパーのコミュニティーをビジネス上の非常に重要な要素するMicrosoftとしては理にかなった動きだ。伝えられるところでは、GitHub側もサティヤ・ナデラに「強い印象を受けた」ということだ。ナデラは2014年にMicrosoftのCEOに就任して以来、プログラマー、デベロッパーを積極的に応援してきた。

ナデラは昨年のBuildカンファレンスのキーノートで「デベロッパーが社会のあらゆる要素に深い影響を与えることができるチャンスがこれほど広がった例は過去にない。しかしチャンスには同時に巨大な責任が伴う」と述べている

これはやや劇的な表現だったが、GitHub買収はMicrosoftに2700万人のソフトウェア・デベロッパーにアクセスする道を開く。もちろんデベロッパーのすべてがMicrosoftによるGitHub買収を歓迎しているわけでない

一方GitHubは共同ファウンダーのChris WanstrathがCEOを辞める予定だと発表して以来1年近く後任探しに苦労している。WanstrathがCEOに就任したのはその3年前だった。.

また今年に入ってGitHub史上最大規模のDDoS攻撃を受けた。GitHubはダウンしたものの、10分程度で復帰した。

買収交渉の詳細やこの買収がGitHubの熱心なユーザーのコミュニティーに与える影響などについてはまだ情報がない。われわれはMicrosoftにコメントを求めている。

アップデート:Microsoftのコミュニケーション担当コーポレート・バイスプレジデント、Frank X. Shawは「ノーコメント。この種の噂にわれわれがコメントしたことがないのは皆さんもよく知っているだろう」と述べた。

画像:TechCrunch

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GoogleとCoursera、機械学習の特別クラスをスタート――ITプロフェッショナルが実戦的能力を得られる

この数年、Googleと Courseraは共同でデベロッパーやITプロフェッショナル向けのオンライン学習コースを多数開催してきた。この中には機械学習の速習コースも含まれ、学習者に機械学習の基礎的知識を提供している。Google、Courseraはこれをベースとして機械学習特別クラスをCourseraでスタートさせる。新しい特別クラスは5つのコースからなり、実戦的能力の獲得に焦点を合わせている。

特別クラスは「Google CloudプラットフォームでTensorFlowを利用する機械学習」と名付けられ、学習者は現実の機械学習モデルの作成を体験する。これには環境の設定から始まって、データベースの構築、データのノイズ除去、TensorFlowによる分散機械学習モデル、モデルの精度向上のための、パラメーターの調整、各種のチューニングなどが含まれる。

Googleにおけるビッグデータと機械学習テクノロジー責任者、Lak Lakshmananは私の取材に対して「われわれのチームは学習者や企業から『〔オリジナルの機械学習コースは〕素晴らしいが、さらに突っ込んだ内容が欲しい』という要望が強いと聞いた。学習者は機械学習モデルの構築の基礎だけでなく、クラウド上で作動させる方法、データを供給するパイプラインの構築、チューニングの方法などモデルを現に運用して効果を上げるためのさまざまなノウハウを知りたいということだった」と語った。

Courseraのエンタープライズ開発担当バイス・プレジデント、Leah Belskyは、これに関連して、「こうした実際的な能力を学習者が身につけることは所属企業にとっても非常に価値がある」と説明した。

今やテクノロジーのあらゆる分野で機械学習の実戦的能力が求められている。新しい特別クラスのターゲットはこうした知識と技能を身に着けたいデベロッパーだ。機械学習の人材は払底しており、企業が外部から専門家をスカウトすることは不可能に近い。内部のデベロッパーに機械学習について学ばせる以外にない現状ではこのクラスへの企業の期待は大きい。

Lakshmananが語ったところでは、機械学習のユースケースは多岐にわたるものの、このクラスが重点を置くのは「日常業務を機械学習化する能力」だという。つまり既存のプロダクトの価値を機械学習によっていっそう高めることが目標だ。既存の課題の解決が主眼であるため、このコースは機械学習の最新理論をすでに学んだ大学新卒者にとっても有益だという。

Lakshmananによれば、こうしたクラスをスタートさせるのは数年前だったら不可能に近かっただろうという。専用GPUを備えた強力なハードウェアが用意できなければ意味のある機械学習の実験はできなかったからだ。しかし現在ではGPUにアクセスできる強力なクラウドプラットフォームが多数登場している。ことにGoogleのクラウドであれば機械学習のためのTensorFlow Unit(TPU)が利用でき、ハードルは大幅に下がった。

こうしたコースでは参加者はプログラミングに関してすでに一定の能力を持っていることを前提にしている。TensorFlowフレームワークの利用などにより機械学習の習得は以前よりずっと容易になったとはいえ上級分野であることには変わりない。「機械学習モデルの構築でPythonを学ぼう」というコースが登場するのはまだ先の話のようだ。

将来といえば、Lakshmananはすでに次のコースの構想を温めている。これは現在のコースの続編となるもので、非構造的データを取り扱う方法を学ぶ。これはまった異なるレベルのチャレンジになる。また現在の機械学習コースの内容を十分に身に着けている必要があるという。

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ベアメタルでプライベートクラウドを提供するPacketがPlatform 9やDateraとパートナーして構成を充実

ベアメタルのクラウドプロバイダーPacketが今日(米国時間5/22)、オープンソースのハイブリッドクラウドスペシャリストPlatform9およびストレージとデータ管理サービスDateraとパートナーして、新しいプライベートクラウドソリューションをローンチした。それは、自分のプラットホームをもっと強力かつ広範にコントロールしたいと願う企業をターゲットとする。しかもPacketによると、この新しいソリューションはパブリッククラウドのソリューションを使う場合に比べて50%の費用節約を実現する。

PacketのCEO Zac Smithはこう述べる: “パブリッククラウドのような洗練されたユーザー体験を提供するとともに、それらよりもずっと多い選択肢と大きなパフォーマンスを提供したい。Packetのマネージドベアメタルに、DateraやPlatform9のような強力なマーケットリーダーが組み合わされば、これまでのパブリックやプライベートのクラウドソリューションの数分の一のコストでサービスを提供できる”。

Packetがとくに注目してほしいと言うのは、Platform9自身が最近AWSからマイグレートしたことだ。同社によると、パブリッククラウドというモデルには制約が多く、またその課金とデリバリのモデルも複雑なため、Platform9はもっと緑の多い草原を求めたのだ、という。

ここ数か月で二件の例があったが、小さなクラウドプロバイダーたちがチームを組んで独自のソリューションを提供し、AWSやAzure、Google Cloudなどと互角に競合しようとしている。先月PacketはBackblazeおよびServer Centralとパートナーして、BackblazeのクラウドストレージサービスB2〔低コストなバックアップストレージが売り〕をそのメニューに加えた。

Packetによると、この新しいソリューションは全世界18箇所で可利用となる。同社のOpenStackおよびKubernetesプロダクトも、同様である。

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ParabolaはExcelで苦闘している人々を救う――簡単プログラミング・アプリが220万ドルを調達

最近いわゆる知識労働者の仕事はますます複雑、困難になっている。そうしたタスクの多くはPythonでスクリプトを書けば簡単に実行できる場合が多い。しかし知識労働者の誰もがプログラミング言語を習得しているわけではない。Alex Yaseenはコンピューター言語の知識なしで複雑なタスクが実行できるツールを提供していこうと考えている。

Yaseenは自分が開発しているParabolaのようなツールがプログラミング言語を習得していない知識労働者と複雑なタスクとの間のギャップを埋める役にたつと信じている。 プログラミングせずにこうした課題を処理しようとすれば、従来は巨大なExcelシートを作成する必要があった。これに対してParabolaはプログラミングの技能を必要とせずに表計算アプリで複雑な作業する場合に必要となる単調でミスを犯しやすい繰り返しを自動的に実行してくれる。このほど同社はMatrix Partnersがリードする新しいラウンドで220万ドルを調達したと発表した。

YaseenはParabolaについてこう説明している。

理屈からいって将来誰もがPythonその他のプログラミング言語を使うようになるとは思えない。これは間違いないだろう。それと同時に、多くの投資家と話をして、知識労働者間の競争はますます激しくなり、ますます高い効率性を求められるようになるだろうという点で意見が一致した。われわれはこのギャップを埋めるために何ができるかを考え、高度な技術的知識がなくても扱えるツールを提供しようと考えている。いわばエンジニアリングの知識なしにエンジニアになれるようなツールだ。

簡単にいえば Parabolaは複雑なタスクをビジュアルなワークフローに分解し、フローチャートをレゴブロック式に組み立てれば、その内容を実行してくれるようなツールだ。その部品は通常の表計算アプリ、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどが持つのと同様の機能だが、Parabolaの場合、ツールは実行の繰り返しや分岐を簡単に設定できる。また作業をモデル化して全体を見通すことが容易であり、修正にも部品のドラグ・アンド・ドロップで柔軟に対応できる。

Parabolaが想定しているのは財務や販売の専門家で、Excelのシートを数十枚開き、数百ステップのマクロを実行しなければならないような作業を日常行っているユーザーだ。Parabola上で作業をモデル化すれば、あとは表計算シートの仕様による細部の修正などに煩わされることなく、処理が実行できるという。同時にParabolaのユーザー・インターフェイスは表計算をベースにしているので、多くのユーザーに抵抗が少ない。Yaseenによれば、表計算アプリがポピュラーなのは簡単に再計算ができるところが大きいという。

Yassenによれば表計算アプリは大量データの複雑な処理にはもともと向いていない。それでも多くのユーザーが表計算でタスクを実行しようとするのは、一部を修正した後、ワンクリックで即座に結果を見ることができるからだという。「エンジニアでない人々のマインドセットはエンジニアとは異なる。処理の効率性より、試行錯誤してその結果をすぐに見られることを優先する傾向が強い。プログラミング言語はこうした使い方に向いておらず、それが非エンジニア系の人々が表計算アプリを使い続ける理由だ」という。

〔日本版〕トップのGIFビデオにParabolaを利用した作業の流れが例示されている。これによればデータソースとしてDropboxとSalesforceのファイルを選び、テーブル結合、カラム分離、グループ化などの部品で処理した後、結果をGoogleスプレッドシートに出力すると同時にSalesforceに書き戻している。それぞれの部品を追加するときに作動条件を指定している。Parabolaのサイトには各種の実例が掲載されている。

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Amazonがセラーのビジネスの合理化/自動化を助けるアプリ専門のアプリストアを立ち上げ

Amazonが新しいタイプのアプリストアを立ち上げ、とくにそこには、セラーの在庫管理や受注管理などを助けるツールが並ぶことになった。その新しいアプリストアはMarketplace Appstoreと呼ばれ、AmazonとAmazonの審査を通ったサードパーティデベロッパーがAmazon MarketplaceのAPI、Amazon Marketplace Web Service(Amazon MWS)を使って作ったアプリを揃えている。CNETの報道によると、このMarketplace Appstoreは今日(米国時間5/21)、セラー向けにローンチされた。

現在Amazon上のセラーは約200万社いて、そのうち100万あまりがアメリカの中小企業だ。Amazon MWSは、セラーが自分の在庫と受注とロジスティクスに関するデータをAmazonと共有して、さまざまなタスクを自動化するための総合的なWebサービスAPIだ。セラーが自分のアカウントや他のセラーのためのアプリを作ることもできる。

AmazonはCNETに次のように語っている: “たくさんのデベロッパーがうちが提供しているツールを補うようなアプリケーションを作って、それらを弊社(Amazon)のサービスに統合している。今回Marketplace Appstoreを作ったのは、そういうアプリケーションを見つけやすくし、彼らのビジネスのオペレーションを合理化し、結果的に今よりも良い顧客体験を作りだすためだ”。

Marketplace Appstoreへのデベロッパーの参加や利用は無料だが、当面はAmazonに申込書を提出して、審査に通らなければならない。

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