「手のひらに象」の謎のスタートアップ、Magic Leapから拡張現実ゲームのデモビデオ

手のひらで小さな象がダンスするイメージビデオが印象的な謎のスタートアップ、Magic Leapが新しいデモ映像を公開した。同社の開発する拡張現実ハードウェアを利用すればこういうことができるという予告編だ。その中には「オフィスで拡張現実シューティング」の短いデモも含まれている。ビデオは最初にメールなどのオフィス・アプリの拡張現実インタフェースを紹介した後、そのオフィスの中でシューティング・ゲームを始めてみせる。

ゲームのアートワークは映画ロード・オブ・ザ・リングにも参加したスタジオ、Weta Workshopが担当した。

このビデオでは最初にYouTubeとGmailのアプリが登場し、OSレベルでのメニュー・システムがデモされる。デモ実演者はYouTubeとGmailアプリを片付けた後、空中に3Dメニューを呼び出し、シューティング・ゲームをタップして選択する。すると各種のバーチャル・リアリティー武器が表示される。武器を構えて待つうちにタワーディフェンスに似たかたちで怪物が襲ってくる。ビジュアルはよく出来ているが、さすがに際立った個性はない。.

このビデオにはMagic LeapがTEDに出席できなかったことのお詫びが付けられていた。CEOのRony Abovitzは今年バンクーバーで開催されたTEDカンファレンスで講演する予定だったが、直前にキャンセルされた。Magic Leapの主要なゲーム開発者の講演もキャンセルされている。

Magic Leapの投資家、パートナーにはKPCB、Andreessen Horowitz、Google、Legendary Entertainmentなどそうそうたる顔ぶれが揃っており、当然ながら業界の強い関心を集めている。

Magic Leapではこのビデオがコンセプトの紹介なのか、Magic Leapプラットフォーム上でのソフトウェアの実際の動作を記録したものなのか明らかにしていない(Wetaが参加していることからすると前者のようだ)。ともあれMagic Leapはわれわれの取材に対してYouTubeビデオをアップロードしたのは同社だと確認した。 もし彼らのプロダクトが実際にこのレベルになるのであれば、巨額の資金調達も納得がいくものとなる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


謎の「ウェアラブル拡張現実」スタートアップ、Magic LeapがGoogleなど著名VCから5億4200万ドルを調達

スタートアップが事業内容を秘密に保ったまま巨額の資金を集めるという例はめったにない。フロリダのスタートアップ、Magic Leapはまさにその例だ。今日(米国時間10/21)、CEOのRony Abovitzは、シリーズBのラウンドを完了し、5億4200万ドルの資金を調達したことを発表した。投資家には Google, Inc、KPCB、Andreessen Horowitz、Obvious Ventures、Qualcomm、Legendary Entertainmentが加わっている。

この投資家の顔ぶれは多様で、分野をまたいだトップクラスのベンチャーキャピタルの名簿のようだ。AbovitzはTechCrunchの取材に対して「われわれのテクノロジーが持つ可能性はひとつの分野にとどまらないからだ。このテクノロジーが関連するすべての市場の売上総額は年間1兆ドルにもなるだろう」と述べた。AbovitzによればMagic Leapの会社評価額は10億ドル以上であり、今回のラウンドで投資家が得た株式は過半数にみたないものだという。

それではMagic Leapとはそもそもどういう会社なのか? このスタートアップはまだその答えを明らかにしていない。しかし今回の資金調達を機にAbovitzは秘密のカーテンのごく一部を引き開けてみせた。

現在、モバイル・コンピューティングの進展は目覚ましいものがあるが、依然として「手」コンピューティング」だと私は考えている。つまり手を使ってデバイスを保持し、入力する限りでのコンピューティングだ。その間、「目」は置いてきぼりだ。目が参加していないというのは、つまりオフィスを出てサンフランシスコの町を見渡してみればよい。すばらしい景色が広がる。こうしてじかに世界を見たときにわれわれの脳が作り出すような感動と比較できる映画もテレビもその他どんなデバイスもまだ存在していない。

つまりMagic Leapはモバイル・コンピューティングに新たなレベルの視覚体験を導入しようとしているらしい。目で見る現実に限りなく近い視覚体験をモバイル・テクノロジーと高度なヘッドマウント・ディスプレイを使って作り出すということのようだ。Oculus Riftスタイルのヘッドセットらしいが、Abovitzは「軽量ウェアラブル」であることを強調した。ただしそれ以上の詳細については明らかにするのを避けた。しかしAbovitzのコメントその他から推測すると、Magic Leapのヘッドセットは、上に示した象のような限りなく現実に近い精密な映像をおそらくは網膜スキャンでユーザーに届けるdバイスのようだ。そうした推測が合っているかどうかはデバイスの公式発表を待たねばならない。

Abovitzは取材に対して「Magic Leapは『世界は新たなデスクトップ』と『世界は新たな銀幕』という2つのキャッチフレーズで表現できる」と語った。つまり既存のものとはまったく違う何か新しいメディアが誕生するのかもしれない。『銀幕』というキャッチフレーズを考えるとその影響はテクノロジー界にとどまらず、ビジュアル・エンターテインメントの世界にも及ぶのだろう。それが今回のラウンドでハリウッドの有力プロダクション、レジェンダリー・ピクチャーズだけでなく、CEO、Thomas Tull個人も投資している理由なのだろう。

TechCruchはTullにも別個に取材を行ったが、Tullは「私はOculus Riftにも投資している。あれもすばらしいデバイスだ。しかしMagic Leapのアプローチはまったく異なる。今のところ私が言えるのは1年ほど前から私はロニー[Abovitz]と意気投合し非常に親しくなったということだ。彼らの本社に行って半日ほどテクノロジーを体験させてもらったが、驚くべきものだった。私はその後しばらく自然に笑顔が浮かんでしまったぐらいだ」と語った。

一方、Abovitzは「Magic LeapはOculusのような(周囲を遮断する)完全な仮想現実(VR)ではない。かといって従来のようなレベルの拡張現実(AR)でもない。われわれははるかに高いレベルであたかも現実の物体であるかのように精密な3Dデジタル・オブジェクトを現実世界の中に置くことができる。これまでのARがライト兄弟が1903年に最初に飛ばした飛行機だとするならMagic Leapは現代のジェット旅客機だ」と述べた。

Googleはリード投資家であり、AndroidとChromeの責任者であるSundar Pichai上級副社長がMagic Leapの取締役に就任した。同時にQualcommの執行役会長、Paul JacobsとGoogleの事業開発担当副社長もオブザーバーとして取締役会に出席する。これによっても業界のMagic Leapに対する注目度の高さを知ることができる。なおAbovitzによれば、Magic LeapはGoogle Glassに新機能を加えるようなプロダクトではない―というより、Glassとはまったく無関係だという。

AbovitzによればMagic Leapのプロダクトの消費者へのローンチは「かなり近い」という。今回の資金は主としてプロダクトの量産準備に使われるようだ。ハードウェアの新製品開発には巨額の資金が必要とされるのは理解できる。AbovitzはOculus Riftの「オープンな開発過程」について「それはそれですばらしい戦略だ」としながらもMagic Leapは別の道を選んだとしている。つまりわれわれは公式の製品発表までMagic Leapプロダクトの詳細について知ることはできないらしい。いずれにせよテクノロジー業界とエンターテインメント業界のトップクラスの切れ者が揃った投資者の顔ぶれと投じられた金額を考えただけでもMagic Leapから何が出てくるのか注目する価値がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+