Magic Leapの新CEOに前マイクロソフト副社長のペギー・ジョンソン氏

Magic Leap(マジック・リープ)は、Microsoft(マイクロソフト)の前事業開発担当上級副社長であるPeggy Johnson(ペギー・ジョンソン)氏が新CEOに指名されたと声明で明らかにした。

2020年8月1日付でMagic LeapのCEOに就任するジョンソン氏はテック業界で30年のキャリアを持つ。

Magic Leapにとって2020年は何かと騒がしい年となっている。資金難で倒産に直面し、4月に従業員の大半を解雇した。そして社を何とか存続させるために救済投資家を探し回った。The New York Timesによるとフロリダ拠点のParadiseがMagic Leapが必要とする3億7500万ドル(約400億円)の資金を確保したが、Rony Abovitz(ロニー・アボビッツ)氏のCEO退任が条件だった。

資金調達で10億ドル(約1080億円)超をかき集めた空間コンピューティングの未来に対するビジョンを有していたアボビッツ氏は、約束した通りにプロダクトをリリースすることができなかった誇大宣伝の人物だった。

Magic Leapが今回得たジョンソン氏は、2014年にマイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏がQualcomm(クアルコム)から幹部として引き抜いた人物だ。マイクロソフトで同氏は事業開発を担当し、同社の数多くの買収や提携を手がけた。ここには262億ドル(約2兆8000億円)のLinkedIn買収も含まれる。58才の同氏はまた、マイクロソフトのベンチャーキャピタルファンド(M12として知られる)も立ち上げた。

ジョンソン氏は、フォーカスを消費者から法人へと移したMagic Leapを引き継ぐ。この戦略は、マイクロソフトの拡張現実プロダクトであるHoloLensと、ウェアラブルテックの先駆者Google Glassが取ったアプローチと同じだ。

「2011年の創業以来、Magic Leapは空間コンピューティング分野のパイニアであり続けた。この優れたチームの絶え間ない努力と成し遂げたものに私は感心し続けてきた。Magic Leapのテック面の基礎は申し分のないものであり、XRとコンピューティングの未来を形作る可能性を持つことは明らかだ」とジョンソン氏は述べた。

マイクロソフトに移る前、ジョンソン氏はQualcommに24年間在籍した。そこではさまざまな重役を担い、執行役員会のメンバーでもあった。

「コンピューティングの次代への変遷におけるリーダー企業として、我々は幸いにもCEO職に関心を示した極めて優秀な候補者を数多く持てた。しかし、ペギーが挙手するやいなや、彼女がMagic Leapを未来へと率いるのに最適の人物であることに私そして役員会も疑問はまったくなかった」とアボビッツ氏は声明で述べた。「Magic Leapが空間コンピューティングを企業向けに商業化するとき、このミッションを前に進めるのにペギー・ジョンソン氏以外に最適の人物は思い浮かばない」。

画像クレジット:Getty Images under a Stephen McCarthy/Sportsfile license.

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(翻訳:Mizoguchi

Magic Leapが新たに約377億円を調達、4月下旬に通知した大量解雇を中止か

Magic Leap(マジック・リープ)は1カ月前に従業員1000名を解雇して、消費者事業から撤退したが、報道によると最近また3億5000万ドル(約377億円)の救援資金を調達したようだ。Business Insiderが報じ、The Informationが確認したところによると、CEOのRony Abovitz(ロニー・アボビッツ)氏はスタッフに送ったメモでその投資を発表し「現在および新規の匿名の投資家たちのおかげである」と述べている。

一体誰が、そしてなぜ、そんな投資をしたのだろうか。某ヘルスケア企業かもしれない。いずれにしても同社は、4月下旬にスタッフに送付したWARN通知(大規模な人員削減のための60日間の通知)を取り下げようとしている。この動きは、同社が以前に発表した大規模な解雇を明らかに覆すものだ。

解雇がなくなったとしても、これまで大金を投資されたこの拡張現実企業が、前にも発表したように、フォーカスを全面的にエンタープライズに向ける計画であることは変わらない。そしてその結果、Microsoft(マイクロソフト)のHoloLensなどと直接競合することになる。

関連記事:Magic Leap reportedly slashes 1,000 jobs and steps away from consumer plan(Magic Leapが1000人解雇して消費者ビジネスから撤退、未訳)

アボビッツ氏は 「ヘルスケアとエンタープライズと国防関連の契約が順調に進んでいる。契約が完了したら発表できるだろう」と説明する。

Magic Leapは、COVID-19を4月のニュースの主因として挙げている。でもその閉鎖の前の同社は、消費者向けハードウェアで成功している企業とはとても言えない姿だった。9回のラウンドで26億ドル(約2800億円)という巨額を調達した同社は、開発が順調に進んでいるというよりも、ど派手な詐欺という言葉のほうが似合った。デモビデオは数年間発表し続けたが、その最初のデバイスはかなり期待外れだった。

TechCrunchではMagic Leapにコメントを求めている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Magic Leapに投じられた26億ドルはいったい何だったのか

【編集部注】本稿はJosh Evans氏による寄稿記事である。同氏は、HappyFunCorpエンジニアリング担当CTOだ。グラフィックノベル、紀行本など6作品を発表し、受賞歴もある著述家でもある。2010年よりTechCrunchの週末コラムを担当。

筆者は2年前、Industrial Light & Magicが開催した「Innovation in Immersive Storytelling」というイベントに参加した。そのイベントでは、Magic LeapのChief Game Wizardが紹介されていた。魔法のような製品であるというイメージを植え付けようとするイベントの題名を見た時に、この製品の終焉が不可避であることに気づくべきだった。しかし実際は、イベントに出席する前はMagic Leapに対して半信半疑だったのに、イベントが終わった頃にはその疑念が半減していたのである。

Magic Leapは数年の間に多くの信奉者を引き付け、26億ドル相当の資金を集めた。Andreessen Horowitz(a16z)、Kleiner Perkins、Google(Google VenturesではなくGoogle本体)をはじめ、多数の企業が出資に加わった。また、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの取締役会に名を連ねた。そして、これらの出資者たちはMagic Leapを大絶賛したのである。ベンチャーキャピタルが自社の出資先を絶賛するのはよくあることだが、Magic Leapの場合はそれとは違った。

これは画期的だ。ピクセル数やフレームレートが桁違いになったではなく、センサー、光学機能、モバイル機器側のボリューム、さらには飛躍的に向上したコンピュータビジョンなど、常々私が夢見ていた機能がすべて搭載されている。この製品は驚くほど素晴らしく、他の製品と一線を画している。

Kleiner PerkinsBing Gordon

没入感が信じられないほど自然で、部屋の中にいるのに、自分の周りを本当にドラゴンが飛び回っているようだった。開いた口がふさがらないほど驚いて、顔がニヤけて仕方がなかったよ。
— Legendary PicturesのCEO、Thomas Tull

Legendary Picturesとa16zは、Magic Leapに出資する前に、Oculus Riftに出資していたことがある。Tull(タル)氏は「Magic Leapのアプローチは他社とはまったく異なっている」とTechCrunchに語ったことがあるほどだ。この発言は興味深い。というのは、Magic Leapが5年の歳月と16億ドルの資金を注ぎ込んでやっとリリースしたMagic Leap Oneという製品について、OculusのPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏が手厳しく批判するレビューを発表したからだ。確かに同氏の批判は想定の範囲内だった。しかし、その詳細は非常に印象的だった。

その製品は「Lightwear」と呼ばれている。Magic Leapが主に「フォトニック明視野チップ」、「ファイバ走査型レーザーディスプレイ」、「デジタル明視野をユーザーの目に投影」、さらにはヘッドマウントディスプレイ開発者を何十年にもわたって悩ませてきた輻輳調節矛盾を解決するという夢のような話について延々と語ることで注目を集めてきたのが、このLightwearである。(長いので中略)「フォトニック明視野チップ」とやらは単にシーケンシャルカラー反射型液晶ディスプレイやLED照明を導波管と組み合わせたものにすぎない。Microsoftの最新世代のHoloLensをはじめ、他社がこれまで何年も使ってきた技術と同じものだ。Magic Leap Oneは、一般的に受け入れられているどんな定義に照らしても「明視野プロジェクター」や「明視野ディスプレイ」とは言えない。

「他社とはまったく異なっている」と言われたMagic Leapのアプローチに何が起きたのだろうか。

ほとんど見かけ倒しのテクノロジーに投資家の関心を何とかつなぎとめようと策が講じられたことは注目に値する。Magic Leapは「当社の社員が今まさにオフィスでプレイしているゲームの映像です」と言って、動画付きのメールをプレス関係者に配信した。しかし後に、その動画はすべてWeda Digitalが制作した特殊効果映像だったことがThe Informationによって暴露された

Magic Leapは次に、「Magic Leapのヘッドセットを通して見た映像を直接撮影したものです。撮影日は2015年10月14日。特殊効果や合成は一切使用していません」と言って、別の動画を公開した。信じていいのか。前回の動画の件を考えると、疑うのは当然だ。しかし、総合的に考えてみると「おそらく大丈夫」という答えになりそうだ。Kevin Kelly氏が、2016年にWired誌でMagic Leapの目玉機能についてあまり詳細に触れていないことにも注目してほしい。

主な3つのMR(複合現実)ヘッドセットのいずれにおいても、半透明の物体(大抵はナノスケールのリッジ加工が施されたガラス)に対して斜めに投影される画像が使用されている。ユーザーが、そのガラスを通して外の世界を見ると、バーチャルな物体はガラス部分の横にある光源から投影され、ガラスに施されたビーム分割ナノリッジ加工によって反射されて、目に届く。Magic Leapは、光線を目に届けるこの方法は自社独自の技術だと話しているが、その詳細については現時点で説明することを拒否している。

このことが、Magic Leapの超目玉である「Lightwear」テクノロジーはまったく特別なものではないとするLuckey氏の報告(筆者の知る限り反論は出ていない)とどのように整合するのか。投資家やジャーナリストを歓喜、熱狂させた社内デモ版のような手ごたえが感じられる製品をリリースできなかったという点については言うまでもない。

答えは簡単だ。「The Beast」である。

ザ・インフォメーションのReed Albergotti(リード・アルベルゴッティ)氏が3年以上前に報じたように、The BeastというのはMagic Leapの最初のデモ機だった。これは注目の的になった。驚くほど素晴らしく、夢のような、画期的なテクノロジーだった。そして、重さは100kg以上もあった

The Beastの後継モデルである「The Cheesehead」は人間の頭部にフィットする大きさで、「Magic Leapが発明した明視野発信機を小型化できる可能性を示した」モデルだと言われた。しかし、依然として重さは10kg以上あり、実用化するには明らかに重量オーバーだった(この2つのモデルの写真はCNETのリンク記事で見ることができる)。

The BeastとThe Cheeseheadを見れば、複数回にわたって多額のベンチャー投資が行われたことにも納得がいく。しかし重要なのは、Magic Leapがその後、自社の画期的テクノロジーを実用化可能なレベルまで小型化できたのかということである。

明らかにできなかった。そして、それこそが問題の核心、つまり、Magic Leapが26億ドル(約2800億円)の資金を集め、従業員の半数をリストラしながら7年間ほとんど何の製品もリリースしてこなかった理由である。Vanity Fair誌はMagic LeapのCEOであるRony Abovits(ロニー・アボビッツ)氏がThe Informationに語った言葉を引用し、こう書いている。

アボビッツ氏はThe Informationに対し、The Beastに使われているテクノロジーは「当社が最終的に実用製品として発表するものではない」と語った。また、プロトタイプは投資家をはじめとする関係者に、製品の「長所と短所」を紹介するためだけのものであるとも語った。

悪意があったかどうかにかかわらず(筆者は、悪意があったとは考えていない)、Magic Leapは26億ドルの見かけ倒しプロジェクトとなってしまった。この先どうなるかは明白だ。

TechCrunchライターのLucas Matney(ルーカス・マトニー)は、1年前に「なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?」という記事を書いている。Magic Leapのデバイスの売上は散々だ。同社は先月、100億ドルという金額で身売り先を探したが、TechCrunchライターのJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)がこれを「馬鹿げている」と評したのも当然である。その後、同社は従業員の半数をリストラして会社を守った。こうなると、次の問題は「Magic Leapが倒産したらどうなるのか」ということである。

「The Beast」のテクノロジーがいつか実用化されて、一般家庭、学校、オフィスなどで使用されるようになる可能性はあるのだろうか。ないとは言えない。2014年から6年間かけて26億ドルを注ぎ込む価値はあったのか。やはり、なかったとは言えない。しかし、投資に見合う利益をあげることはできなかった。結局のところ、Magic Leapの一件で、ハードウェアの開発、さらには人間の感覚(特に視覚)を操るプラットフォームの開発は困難だと投資家が嘆くことはあっても、彼らがMagic Leapに対して激怒したり腹を立てたりすることはないだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

ARヘッドセットメーカーMagic Leapが身売りを熱望、売却希望価格は約1兆円

AR(拡張現実)ヘッドセットメーカーのMagic Leap(マジック・リープ)は物理法則と格闘し、商品の展開に失敗した。そしていま身売り先を探しているが、BloombergのEd Hammond(エド・ハモンド)氏の記事によると、Facebook(フェイスブック)そしてJohnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)との話し合いは実を結ばなかった。

Magic Leapはこれまでに20億ドル(約2100億円)を調達し、バリュエーションは一時60億〜80億ドル(約6300〜8400億円)あったが、「もし商品の発売を追求したら100億ドル(約1兆円)超のバリュエーションになっていたかもしれない」とハモンド氏は買いている。この額は馬鹿げている。「プライドの高い企業が、たとえ実際の買収額がこれより低いものになるとしても、買収への関心を引き寄せるという望みをかけて戦略的にリークしたのかもしれない」というような数字だ。

スタートアップは上場する時に、バリュエーションを「細切れ」にされる。そして経済全体が新型コロナウイルスっで弱っている。ARは公共の場を避ける人々にとってVRよりもそう面白くは映っていないようだ。中古のARヘッドセットをデモで人々の顔に装着してもらうのは、未来が見通せない中で難しいことだろう。

高価で装着するのが奇妙なガジェットであるARアイウェア。消費者を引きつけるような使用方法を誰も考えついていない。スマホですでにARを利用でき、しかもスマホではARヘッドセットができないセルフィー撮影やビデオチャットができる。私は昨年Sundance Film Festival(サンダンス映画祭)でMagic Leapを試したが、かさばるハードウェアにぼんやりとした投影、狭い視野と、笑えるほどにひどい体験だった。

Apple(アップル)とFacebookがiPhone販売とNews Feedの売上を、より良いコンシューマーヘッドセット開発につぎ込んでいる。ARヘッドセットが広く受け入れられるようになるまで10年かかるとSnapchat(スナップチャット)のCEO、Evan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は考え、同社はそれまでのつなぎとなるメガネをつくった。Microsoft(マイクロソフト)のようなARライバルの製品ではより良いエンタープライズ体験ができ、接続もよく流通もいい。企業向けARスタートアップのDaqriは廃業した。

Magic LeapのCEOは初年に2300ドル(約24万円)のヘッドセットを100万台売ろうと考えていたが、その後販売予想を10万台に修正した。しかしThe InformationのAlex Heath(アレックス・ヒース)氏の記事によると、最初の6カ月で売れたのはたったの6000台だった。2014年のMagic Leapの1400万ドルの資金調達をGoogleがリードしたにもかかわらず、AlphabetのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの役員を降りた。Business InsiderのSteven Tweedie(スティーブン・トゥウィーディー)氏とKevin Webb(ケビン・ウェブ)氏は、CFOのScott Henry(スコット・ヘンリー)氏とクリエイティブ戦略のSVP、John Gaeta(ジョン・ガエタ)氏がMagic Leapを去ったと報道した。そして同社は従業員を何十人も解雇した。同社はまた昨年Microsoftとの5億ドル(約530億円)の契約も失った。Apple、Google、そしてFacebookのCEOたちは買収について話し合うために2016年にMagic Leapの本部に足を運んだが、いずれも交渉には至らなかった。

ARアイウェアは未来の一部なのだろうか? おそらくそうだろう。そしてMagic Leapは価値があるのか? おそらく、幾分そうだろう。効率に執着するマーケットに何億ドルもの金をつぎ込むというのは同社にとって早すぎた。そして額としては少なすぎた。100億ドルという売却価格をつけるには、遠い将来の成功につながる、他社が真似できないような才能とテクノロジーをMagic Leapが持っていると、世界でも有数の大企業に確信させる必要がある。

巨額の買収に馴染みのあるFacebookがMagic Leapを買収しようとはしなかったという事実は何かを物語っている。これは何億ものユーザーのためのプロダクトでもなければ、急速に売上高を押し上げるものでもない。サイコロ博打のようなビジョンとタイミングによるギャンブルだ。Magic Leapが人々に使ってみたいと思わせるような、飛んでいるクジラや部屋の中の恐竜といったレンダリングをいつ現実のものにできるのかは不透明だ。

どんなことができるのかを示す、Magic Leapの初期のレンダリングの1つ

金額的なもの、そしてARヘッドセット実現のための幅広い需要が出てくるまでにまだ時間があることから、人材の獲得や開発時間の短縮を目的とした買収が考えられる。もし誰かがMagic Leapをかなりの額で買収するなら、すぐ帳消しにするかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

Magic Leapの最初の製品は売れ行きがあまりにも不振

Magic Leapがさきほど、シリーズEの資金調達ラウンドをもうすぐ完了すると発表したが、でも同社はその投資に、市場における同社の唯一のデバイスの売れ行き不振を組み合わせることになりそうだ。

The InformationのAlex Heath氏の記事によると、Magic Leapは同社の2300ドルのヘッドセットMagic Leap Oneを発売後6か月で6000台売ることはできたが、その数字の与える印象は、CEOのRony Abovitz氏が初年度の売上目標として言っていた100万台に比べてあまりにも微小すぎる。Abovitz氏自身もその後考えを変えざるをえなくなり、初年度の目標を10万台に修正した。

今本誌は、同社にコメントを求めている。

Magic Leap Oneのリリースまでの同社の道のりが派手な評価と期待に彩られていただけに、これほど低い出だしの売上は、Apple(アップル)やMicrosoft(マイクロソフト)に負けない拡張現実グラスを作るという同社の究極の目標に水を差すことになるだろう。そのほかのARヘッドセットも売上を明言しているものは少ないが、でもMagic Leapは、最初の製品のリリースまでに調達し費消した金額ではどの他社よりも多い。

同社はこれまでに、GoogleやAlibabaを初め多数の投資家からおよそ26億ドルを調達している。Heath氏の記事は、Googleの、そして今やAlphabetのCEO Sundar Pichai氏がMagic Leapの取締役会を降りて、Googleの他の役員に入れ替えられた、と報じている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Magic Leapがホログラム遠隔会議システム開発のベルギーのスタートアップを買収

レイア姫からオビ=ワンへのホログラムメッセージが、現実になりそうだ。少なくとも、拡張現実に。

Magic Leapは米国時間5月16日、ベルギーのスタートアップであるMimesysの買収で合意に達したことを発表した。そのチームはこれまで、スター・ウォーズのような立体ビデオ(Volumetric Video)通話をMagic Leapのプラットホームで実現しようとしていた。そして買い手であるフロリダのARスタートアップMagic Leapは、彼らがやってることを気に入ったようだ。まだ、その取引の詳細は得られていない。

Mimesysのウェブサイトによると、チームはMagic Leapに加わるがBNP ParibasやOrangeなどのエンタープライズクライアントへのサービスは継続する。同社のビデオ会議技術は、今年のCESで初めて紹介された。そのビデオ通話では、Magic Leapのヘッドセットに通話相手の3D表現が視覚化される。

立体ビデオの技術には、まだかなり欠陥がある。Mimesysが研究開発してきたソリューションはIntel(インテル)の奥行きカメラであるRealSenseを使って映像をPC上で収集編集し、それをユーザーのヘッドセットへストリーミングする。今の立体ビデオ映像のほとんどがそうだが、Mimesysの初期の成果もノイズを排除できない。でもMagic Leapが買収したということは、同社はもしかして、エンタープライズの顧客にアピールする独自の外付け奥行きカメラを作ったのかもしれない。

今は、ビデオ通話に革命をもたらすと称するプラットホームがとても多いけど、どこも問題を抱えている。要求する帯域が、これまでの通常のネット利用に比べて桁外れに大きいからだ。人間のリアルタイムの3D映像を送るARでは、なお一層難しいだろう。Magic Leapが約束している技術の多くがそうであるように、この立体映像によるビデオ通話も、実現の鍵を握るのは5Gの普及ではないか。

関連記事: なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?

もしもMagic Leapがコケても、同社を疑っていた人たちは少なくとも、その巨額の資本を調達する目ざとい能力だけは賞賛せざるをえないだろう。

同社は米国時間4月26日、日本最大のモバイル事業者NTTドコモと新たに2億8000万ドル(約312億円)の契約を締結したことを発表した。これにより、同社の絶えず増え続けている総調達額は26億ドルに達する。この契約は昨年のAT&Tからの、同じくクラウド指向の投資に続くものだ。

ドコモの吉澤和弘社長は、プレスリリースでこう述べている。「ドコモは高度なMRサービスの共同開発とオープンなイノベーションによるXRマーケットの拡張を志向しており、そのために、Magic Leapが提供するSpatial Computingのような革新的な技術と、5Gネットワークや7000万人の会員ベースといったドコモの強みを結びつけていきたい」。

この新しいお金がやってきたタイミングは、同社がMagicverseにさらに注力していこうとしている時期と一致する。それは空間にマップされるデジタルインフラストラクチャの層で、クラウドから提供されるAR体験の基礎となるものだ。最近の市場の動向を見てMagic Leapは、ハードウェアよりもクラウドプラットホームに傾注する気になったらしいが、でもクラウドはMicrosoftやAmazon、Googleなど多くの先輩たちがやはりAR/VRにフォーカスしているから、その中でのMagic Leapのアドバンテージはまだよくわからない。

確かに、5Gがあるからこそ世界の通信大手とのパートナーシップもあるわけだけど、でもそのハードウェアへの期待(とその大きな市場)が5Gに比べてはるかに実現性が危ういとしたら、これら有名大企業との結びつきは今後どうなるのか。

同社はこれまでハードウェアに大金を投じているが、そのビジネスは、同社が消費者企業としての意欲を継続するかぎり、FacebookのOculus(すなわち歩みののろい金食い虫)と大差ないのかもしれない。同社の唯一の製品Magic Leap Oneは、小売定価が2295ドルだ。

関連記事: Magic Leap and other AR startups have a rough 2019 ahead of them(2019年はARスタートアップにとって厳しい、未訳)

最初のころは、Magic Leapが追究していたハードウェアは前例のないものだったが、やがて現実が追いついてきた。今では、同社が作ったものとMicrosoftなどのコンペティターが作ったものとの違いはとても小さい。ただしHoloLensはMicrosoftのAzureクラウドサービスを利用する先進的な企業のためのツールという位置づけであり、一方Magic LeapはVRゲームのデベロッパーに忠誠を誓っている。彼らが時間とお金を投じて作る芸術的なミニゲームのプラットホームは、それ自身すでにニッチである仮想現実の市場よりもさらに、ユーザー数が乏しい。

Magic Leapは4億8000万ドルの軍用ARの契約に入札したが、それはMicrosoftに行った

Facebookはゲームの開発に数億ドルを投じている。たしかにMagic Leapには、投資家のお金を注ぎ込む場所として、コンテンツの開発に直接ではなく、もっといい場所がある。でも全面的な消費者向けリリースを大規模展開するためには、そのためのインフラストラクチャがまずないと近道はあまりない。

ところで、そのツケはどこが払うのだろうか?ドコモだろう、今回は。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドコモが米Magic Leapに約300億円出資へ、MR領域の取り組み強化

NTTドコモは4月26日、米Magic Leapとの資本業務提携について本日合意したことを明らかにした。空間コンピューティングを利用したMR領域の取り組みを強化することが主な目的で、同社へ2.8億ドル(約300億円)を出資する。

Magic Leapと言えばプロダクトローンチ前から多額の資金調達を実施し、謎のVR企業として紹介されることも多かった米国のスタートアップ。現在は自分の身の回りの世界とデジタルコンテンツを結び付けて、見て触れることができるMRヘッドセット「Magic Leap One」を手がける。

ドコモではMR領域の今後の大きな成長を見込み、Magic Leapとの提携を通じて「5Gの持つ高速・大容量・低遅延といった特長や、dアカウントをはじめとしたドコモのアセットとの連携を行うことで、日本国内における空間コンピューティングを利用したMRサービスの創出と市場の拡大をめざします」としている。

業務提携の概要としては以下の3点が中心になるようだ。

  • Magic Leapが今後日本国内向けに提供を予定しているMRコンテンツの配信プラットフォームにおける、dアカウント連携などの日本版対応を共同で推進
  • ドコモが提供するサービスの空間コンピューティングを利用したMR対応や、ドコモの5Gパートナーなどとの連携により、日本市場におけるMRコンテンツの開発および普及を共同で促進
  • Magic Leapが今後日本国内向けに提供を予定している空間コンピューティングデバイスのドコモによる販売権の取得

空間コンピューティングを利用したサービスイメージ

謎のVR企業、Magic LeapのヘッドセットがAT&Tストアの一部で売り出される

Magicfirst(マジックファースト)の最初の一般向けVR(仮想現実)ヘッドセットは、同社がこれまで宣伝してきたような画期的なものではなかった。それでも同社はデバイスがさらに広くコンシューマーの目に触れるようにするため大企業との提携を勝ち取った。来週、2295ドル(約25万円)のヘッドセットがボストン、サンフランシスコ、シカゴのAT&Tのフラグシップ店舗にお目見えする。

これまで通販だけに限定されていた販売チャンネルを広げることができたのはMagic Leapにとってひとつの成果であることは間違いない。AT&Tにとっても最新のテクノロジーの普及に力を入れている企業というイメージを作るのに役立つだろう。しかしMagic Leap Oneはデベロッパー向けの初期モデルであり、それ以外の消費者でこの高価なプロダクトに関心を持つ人間がどれだけいるかは疑問だ。

最新のテクノロジーを実地に試すという興味はあるだろうが、それ以外に消費者がこの製品を買う理由は考えにくい。

VRプラットフォームについて、OculusとValveはすでに店舗における販売チャンネルを確立しており、後発のMagic Leapが独力で戦うのは厳しくなっていた。Magic Leapは短いデモ映像こそ多数公開していたものの、実際にプレイできる有力なゲームはほとんどない。Magic Leap One以外に同社からコンシューマー向けの画期的製品が出るというのも望み薄だった。AT&Tのストアにおけるデモでは大ヒット中のHBOのドラマ、「ゲーム・オブ・スローンズ」のVRが体験できるという。

Magic Leapにとっては今のところ企業ユースが現実的なターゲットだろう。「ゲーム・オブ・スローンズ」のVRでMagic Leap Oneを消費者に広く体験してもらい理解を得ることができれば将来の販売にも追い風になるかもしれない。

画像:agsandrew (opens in a new window) / Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スマートフォンを葬り去る新しいVRスクリーン

スマートフォンの画面は驚異の世界だ。明るく、カラフル、シャープなだけではない。ある意味、それは人間の生体に匹敵するほどのものだ。小さな面積に、あれほど多くのピクセルを詰め込んであり、これ以上増やしても認識が追いつかないだろう。画面自体を大きくすることはできない。片手で持てなくなるからだ。スマートフォンの画面から、より多くの情報を得るための唯一の方法は、ピクセルをもっと目に近づけること。手で持つのではなく、何らかの方法で頭にデバイスを取り付ければいい。われわれが普通に思い浮かべる電話機ではなく、メガネのようなものになるだろう。

ありそうもないって? 実のところ、多くの進んだCE企業(Apple、Microsoft、Google、HTCなど)は、すでにこの新しいスクリーンに取り組んでいる。実現すれば、映画の中でしか見られなかったような体験が、日常のものになるはずだ。

人間の目の「回折限界」

小さな穴を通して見ると、反対側のものはぼやけて見える。これは、光線が網膜に届くまでの間に穴を通過すると、わずかながら拡散するからだ。海の波が、狭い開口部を持つ防波堤に当たるのを観察しているところを思い浮かべてみよう。直線的な波が、防波堤を抜けるとさざ波に変化して反対側に拡がる様子は、光線が穴を通過するときに起こるのと同じなのだ。

「針穴写真機」を作って、遠くにある文字を見てみれば、これを実際に試すことができる。穴が小さいほど、ぼけはひどくなる。そして人間の目の虹彩は、もちろん穴なのだ。

GettyIMagesのCarmelo Geraci/ EyeEmから

われわれの目の大きさを考えると、このことは細部を見る能力に限界があることを意味している。人間の瞳孔は、直径が約5ミリメートルだ。これによる限界を1度あたりのピクセル数で表すと、約60となる。つまり、たとえば、25セント硬貨を目から腕の長さほど離れたところに掲げたとすると、視界の中の約2.5度を占めることになる。これは、それを表示するのに縦横150ピクセル程度のディスプレイがあれば、人間の目にはちょうどいいということになる。それ以上のピクセルがあっても無駄。なぜなら、もうそれを識別することはできないからだ。

2010年頃から、スマートフォンのディスプレイは、そのレベルの品質に達した。その段階では、めいっぱい顔に近づけても、個々のピクセルを見ることができなくなった。Appleが、適切にも、それをRetina(網膜)ディスプレイというブランド名で呼ぶことにしたのは記憶に新しい。大画面のテレビも、今同じ限界に達してしまった。実は4Kを超えるものは、みんなお金の無駄だ。画面が発する熱を肌で感じるほど近くに座らなければ、違いは分からないのだから。

つまり、手に持った6×3インチの携帯電話の画面は、われわれの視野のほんの一部を占めるに過ぎないのだから、それによって数十行を超えるようなテキストを読むことは不可能なのだ。

とどまるところを知らない食欲

それでも、視覚からの情報を吸収することに対する人間の食欲と能力には、いずれも恐るべきものがある。われわれは画面が大好きで、大きいほど好まれる。たとえば、ラップトップを拡げると、1つではなく、4つの画面が魔法のように現れたら、誰でも気にいるはずだ(映画Westworldに登場する超クールな折りたたみ式デバイスのように)。

理想的なのは、すべての方向に画面が見えていて、現実世界に集中したいときだけ、画面をオフにすることができる、というものだ。それはGoogle Glassのような、初期のプロトタイプとはまったく異なったものになるはずだ。そうした初期のものは、現在のスマートフォンの画面と比べても、より小さな視野しかなく、テキストを含む情報表示能力も劣っていた。

可能な最大サイズの画面

それこそが、今がまさに開発中のものだ。画面は眼の前に固定され、レンズによって見やすく表示される。頭の回転を正確に検出することによって、あなたを取り囲む、魔法のような新しい「スクリーン」を作り出す。もちろん、ピクセルは十分に細かくて識別することはできない。頭の向きを変えると、視線の向いた方にあるものが見えるように、目の前にあるピクセルが変化して仮想画面の部分を映し出す。

この新しいスクリーンは、非常に広大なものとして表示される。16台の4Kモニターと同等で、約2億画素を表示できる。想像してみよう。指をパチンと鳴らしただけで、いつでも16台のモニターが現れ、電子メール、テキストメッセージ、ウェブブラウザ、ビデオ、その他確認したい情報など、どんなコンテンツでも表示できるのだ。その画面は、あなた以外の誰にも見えない。そして、現在のスマートフォンのように、どこにでも持っていくことができる。

1兆ドル市場

もし、16台の4Kモニターが魔法のようにあなたの周りを取り囲み、重さもなにも感じることなく、他の誰からも見られないようなヘッドセットが500ドルで発売されたら、Appleストアの列に並んで待つだろうか。もちろん、あなたはそうしたいだろうし、そうすることになるだろう。ちなみに、キーボードとマウスは、そのまま古い机の上に置いて利用できる。もはやモニターは不要となるのだ。

Hoxton/Paul Bradburyによる

それこそが、Apple、Microsoft、HTC、Googleといった優れた企業、そしてMagic Leap、Avegant、ODGなどのスタートアップが、このようなスクリーンを作ろうと努力している理由だ。スクリーンの世界市場は約1兆ドルなので、この新しいスクリーンをうまく製品化できれば、誰でも莫大な利益を得ることができる。

誰でも使えるものに

それらは自立的に動くので、コンピュータにはさほど負担をかけない。こうした新しいデバイスは、これまでの同類の製品よりも安価になるはずだ。だいたいスマートフォンと同じくらいだろう。そういうわけで、PCに対するスマートフォンのように、かなり多くの人が使えるようになる。今後10年以内に、何十億もの人の手に渡るだろう。

このような変化は、現在はシンプルなスマホの画面にしかアクセスできないような、世界中の多くの人々の力となることができるはずだ。それによって、現状では高価なデスクトップマシンや、裕福な家庭や会社のオフィスにしかない壁面ディスプレイを必要とする、高度な仕事や学習の機会が得られるようになる。これらの安価なデバイスによって、世界中のすべての人々に、巨大なBloombergターミナルと同等のものを提供することができるのだ。

VRとARは幸運なサポーターであり、キラーアプリではない

ここまでは、3D VRの世界や、現実の世界にスーパーインポーズするARオブジェクトについては取り上げてこなかった。なぜなら、新しいスクリーンが広く成功を収めるために、とりあえずそうしたものは必要ないからだ。スマートフォンにとってのカメラアプリのように、VRとARの応用は、新しいスクリーンの普及にとって幸運なサポーターにはなるだろう。このようなスクリーンを備えたデバイスを手に入れれば、3Dコンテンツを表示したり、それを現実の世界に重ねて映したり、仮想世界を旅したり、アバターとして世界中の人々とコミュニケーションをとることができるようになる。はるか遠くに離れていても、人と人とのつながりを体験できるようにする、信じられないようなVRアプリケーションが開発されつつある。しかし、あわててヘッドセットを買いに走る必要はない。まだ、ウェブブラウジングや電子メール用のものしか手に入らない。

今後の数年で、いくつかの会社がヘッドセットやメガネを発売するだろう。それらはコンピュータから視覚的な情報を取り出すための方法として、スマートフォンの画面を置き換えることになる。こうしたスクリーンの最初の用途は、現在のスマートフォンでは苦労しているようなことすべて、ということになるだろう。それに続いて、仮想世界、VRとARがそのスクリーンを利用し始める。それにより、現実世界を拡張したり、まったく置き換えてしまうことが可能となる。

みんながVRとAR用ヘッドセット用の新しい「キラーアプリ」を探している。しかし、この記事を読んだあなたは、すでにそれを目にしているはずだ。

画像クレジット:Jane_Kelly(画像は修正されています)

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ようやく登場したMagic Leapは荒削りな驚異――初のデベロッパー・カンファレンスでARゲーム公開

何年も噂と推測、ときにはライバルからの批判の的となってきた拡張現実システムの開発企業、Magic Leapのヘッドセットがついにデベロッパー、消費者向けに出荷される。最初プロダクトは荒削りだがある種の驚異だということが判明した。

Magic Leapは先月、予約の受付を開始することを正式発表していたが、いよいよ、長年謎に包まれていた魔法のタネ明かしがなされた。

現在開催中の最初のデベロッパー向けカンファレンス、L.E.A.P.のキーノートでは、23億ドルを調達したARヘッドセットの詳細が明かされただけでなく、パートナー企業からのVIPも多数登壇した(多数のプレスが招かれており、TechCrunchでもこの後、詳しく報告する)。

10年近く前からMagic Leapと協力してきた開発スタジオ、Weta WorkshopPeter Jackson創立のAR開発企業、Wingnut ARはそれぞれMagic Leap向けのARアクションゲームを発表した。Wetaのゲームはロボットを、Wingutのゲームは毒グモをそれぞれターゲットとする一人称ゲームだ。医療向けイメージング企業のBrainlab、家具を消費者に直接製品を販売するリテラー兼コンサルタントのWayfairもMagic LeapによるARユースケースを紹介する。昨日(米国時間10/9)は合計16社がデモした。

カンファレンスでWetaはARゲームのプレビュー版を披露したが、なかなか印象的な出来栄えだった。このDr. Grordbort’s Invadersというゲームではブラスター銃を撃ちまって異世界からワープしてくる無数のロボットを撃ち落とす。Magic LeapではこれらのゲームをショーケースとしてARプラットフォームの能力を強く訴えた。【略】

Magic Leapの原動力であるファウンダー、CEOのRony AbovitzやWetaスタジオのゲーム・ディレクターGreg Broadmoreによれば、AbovitzがSF的な没入的世界を構築するためにWetaに協力を求めたのは6年以上前になるという。

その最初の成果がDr. Grodbortだ。

もちろんこのプロダクトは視野が狭いことや焦点調節など明らかな欠点もある(ゲーム内でときおり感じた不具合は記者が不慣れだったせいかもしれない)が、Dr. GrordbortはMagic Leapのヘッドセットがゲームデバイスとして大きな可能性を持つことを証明できた。ただし、今回のデバイスは2295ドルと消費者向けとしては禁止的な価格だ。

ゲームをスタートさせる前に!ユーザーはヘッドセットを装着してプレイの舞台になる部屋の中を歩き回る必要がある(部屋のサイズによるが、最大で4分程度かかる)。システムが部屋を記憶した後、ナレーションが「地球はエイリアンのロボットの大群に侵略されている。きみたちが人類最後の砦だ」と世界観を説明する。プレイヤーは壁その他にワープホールを開いて次々に出現する敵ロボットを射って破壊する。

WetaのBrodmoreは「このゲームはMagic Leapプラットフォームを構築するために大いに役立った。 Dr. Grordbortという問題を解決するのがMagic Leapだ」と語った。

WetaほどMagice Leapと緊密な関係を得ていたわけではないためまだ欠点も目立つが、それでもWingnutの毒グモ退治ゲームも十分に面白い。

プレイヤーは架空の害虫駆除業者の見習いとなって奇怪な実地訓練に挑む。この会社が駆除するのはおよそグロテスクな虫だ。プレイヤーはさまざまな器具を使って自分の家のリビングに現れる害虫を退治する。マッピング・エンジンとグラフィックスは素晴らしく、Magic Leapの高度なサウンド・テクノロジーのおかげでプレイヤーにゲームを説明するナレーションも極めて効果的に聞こえる。

プレヤーが使える武器はバットから火炎放射器までさまざまだ。武器の使い方や害虫をおびき寄せるねばねばした餌の作り方はナレーションで解説される。正直私は一人称シューティングゲーム(というかゲーム全般)の熱心なファンではないが、それでもWingnutのゲームは非常に面白かった。

ただしMagic Leapはゲームだけではなく、ビジネスにもユースケースを広げようと努力している。

医療画像処理企業のBrainlabと提携し、内科、外科の医療の教育と現場でMagic Leapのツールキットが役立つことが示された。デモでは患者の脳のスキャン映像から、脳腫瘍を3Dで再現し、ヘッドセットを用いて観察するところがデモされた。これにより医師が手術に関して必要な情報を得ることを助け、術式の決定にも役立つという。

一方、通販のWayfairはヘッドセットを利用してバーチャル・ショールームから家具を選び、ユーザーが自分の家にそれを据え付けたときどう見えるか試せることをデモした。ロッキード社の秘密航空機開発工場のスカンクワークスを思わせるような開発プロジェクトでWayfairは現実のショールームなしで家具を販売するという難問に挑んできた。

こうしたデモを通じてMagic Leapに必要なのはまず優れたコンテンツだということが改めて紹介された。また小型化と使い勝手の改良も急務だったが、これについては予想以上の進歩が見られ、Magic Leapのもっとも懐疑的な人々も納得させる出来栄えとなった。

見た目はまださほど洗練されているとはいえないが、Magic Leapの装着感ははるかに向上し、能力もこうしたプロダクト中で最高クラスだろう。3時間でバッテリーが充電できるというのも大きなメリットだ。

ただし、ユーザー側である程度の作業は必要だ。目とヘッドセットの距離を適切に設定するために鼻梁にかけるノースブリッジのサイズを選ぶ必要がある。またメガネを使っている場合は別途処方箋を送り、ヘッドセット用の適切なレンズを添付してもらう必要がある。

パッケージに標準で同梱されるのはモーション・センサーを内蔵するコントローラー(ビデオゲームのコントローラーのようなタイプ)と腰に装着するコンピューティング・ユニットで、これはノート・パソコンなみの処理能力がある。

ヘッドセットはパソコンにテザー接続される必要はないが、作動は屋内のみとなる。

第一世代のハードウェアに特有な多少の欠点を別にすれば、Magic LeapはAR、VRを通じて私が体験した中で最高クラスのプロダクトだ。Magic Leapより 視野が広く軽いデバイスも発表されているが、コンテンツの質とユースケースの多様さでは遠く及ばない。当初から提携していた各社はそれぞれ十分にペイしそうだ。【略】

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滑川海彦@Facebook <A

Magic LeapがメッシュコンピューティングのComputesを買収、そのココロは?

Magic Leapが、分散メッシュコンピューティングのComputesの買収を発表した。契約の条件は公表されていない。

Magic Leapのブログ記事より:

Chris MatthieuとJade Meskillは最初から、次世代のコンピューティングをもたらす原理に基づいてComputes, Inc.を創業した。Magic Leapはこのビジョンを実現するための完璧な拠点だ、とわれわれは信じている。

なぜMagic Leapは、この企業を手にしたいのか? そう、言うまでもなく、現実の世界の上に“デジタルの層”を築くことは、単純に計算集約的という言葉で片付けられるゴールではない。メッシュコンピューティングは、複数のシステムの集まりがリソースを、それをもっとも必要とするデバイスに割り当てていくという、魅力的な未来を提供する。

同社のWebサイトにある説明は、あまり分かりやすいとは言えないが、ここでは同社のホワイトペーパーから引用してみよう:

Latticeプロトコルにより、有資格のコンピューターの群が自己をメッシュコンピューターへと編成する。メッシュの数はメンバーの数で決まり、その能力はコンピューター群のパワーで決まる。Latticeはワークを、そのタスクの要求に基づいて、メッシュのベストメンバーにインテリジェントに割り当てる。。

これは、ARヘッドセットのシステムにとって興味深いシステムだ。そこでは究極的に、それらの多くが平均的なスタンバイモードに居て、そのコンピューティングパワーを他のシステムに使わせるだろう。おそらくいちばんあり得るのは、強力なPCのグループがヘッドセットたちを駆動する、という構図だ。もっと地味な側面としては、スタートアップのシステムがバックエンドサービスの階層をドリルダウンしていく、というタスクも考えられる。

彼らがやってることに関心がある人や、その、控えめに言っても分かりにくい説明に関心を持たれた方は、このビデオで、ComputesのCEOのお話を聴くべきだ。ただしそれもまた、Dharma Initiativeのビデオに似ているけどね。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Oculusの共同創設者が競合他社製Magic Leapヘッドセットを「悲劇の誇大広告」と痛烈批判

企業の創業者が、競合他社の新製品をこき下ろすレビュー記事を書くというのは尋常なことではないが、Oculusの共同創設者Palmer Luckeyは、ずっと尋常ではない起業家で通ってきた。

昨日(アメリカ時間8月27日)、Luckeyは、自身の個人ブログに『Magic Leapは悲劇の誇大広告』と題したMagic Leapの開発者向けキットのレビュー記事を掲載した。その中で彼は、いくつかお世辞を述べてはいるものの、大部分は、その新製品の欠点の列挙と、同社の重役たちがAR技術のたわごとを並べていながら、結局は、彼が言うところの3年前のHoloLensに毛が生えたようなものに収まってしまった理由の説明に割いている。

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「Magic Leap ML 1に関する私のレビュー。メディアでは大きく取り上げられておらず、分析もされていない、いくつかの点に焦点を当てている」
「Magic Leapは悲劇的な誇大広告:このレビューのタイトルはよく考えて付けた。軽率な言葉ではない。私はVRにとって最高のものを、そして現実-仮想連続体のための最高の技術を求めているのだ」

 

彼は、いくつもの問題点をレビューの中で掘り下げている。おそらく、もっとも深い洞察が行われているのは、ヘッドセットとコントローラーに使われているトラッキング技術に関するものだろう。それがユーザーエクスペリエンスを後退させているという。Magic Leap Oneのコントローラーには、磁気トラッキング・システムが使われている。Oculusを含むほとんどのVRメーカーが採用している光学トラッキング・システムとは大幅に違うものであり、概して複雑な仕組みになっている。クリック式のトラックパッドがないことを批判している段落を読めば、それがLuckeyの単なる個人的な好みの問題ではないことがわかる。

Magic Leap One Lightwear

 

現在、LuckeyはVRの日々を卒業して、(ほぼ)転職を果している。彼の新しい会社Anduril Industriesは、国境警備のための技術開発に特化した企業だ。しかし、彼はまだハードコアなVR愛好家としての評判が高く、VR世界では大きな発言力を持ち続けている。

彼の不満の原因は明らかだ。Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、この数年間、多額の資金を調達して、秘密裏に技術開発を行い、公には既存の技術をこき下ろしていた。Luckeyは、それがARやVRの分野への投資意欲を削いでしまうと心配していた。目の前に非現実的な期待をぶら下げられた投資家は、比較的保守的なアプローチで売り込みをかける既存の企業への興味を失ってしまうからだ。

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Palmer Luckey「驚き!」
Fernando Serrano「悪いけど、こうするしかなかった」

 

もっとも辛辣な言葉は、Magic Leap Oneのディスプレイ技術のために残されていた。Luckeyは、他のメーカーの視野にあるものと、まったく変わらないと指摘している。Magic Leapの開発チームは、彼らが作っているものを説明するときに、独自の専門用語を作り出すほどだったのに、自分たちで言い出した技術を完成できなかったとLuckeyは言っている。

彼らはそれを「Lightware」と呼んでいる。長年にわたり、彼らの宣伝文句の中心的な存在だった。また彼らは、「フォトニック・ライトフィールド・チップ」、「ファイバースキャンイング・レーザーディスプレイ」、「デジタル・ライトフィールドをユーザーの目の中に投影する」技術、さらには、数十年間にわたってヘッドアップディスプレイの世界を悩ませ続けている「輻輳(ふくそう)調整不調和を解決」する方法、つまり、両方の目の焦点と「ふくそう」を常に一致させるための、「恒久的神経疾患」や脳障害を予防するために必須であるとMagic Leapも訴えてきた、この世界では聖杯とも言うべき技術について、繰り返し語ってきた。ふくそう調整不調和の解消技術は、VRよりも、デジタル要素と現実の要素との整合性を保たなければならないARにおいて重要になる。

要約:「フォトニック・ライトフィールド・チップ」は、反射型シーケンシャルカラーLCOSディスプレイとLED照明とを組み合わせた、単なる導波管に過ぎない。同じ技術は、もう何年も前から広く使われている。Microsoftの最終世代のHoloLensもそうだ。Magic Leap Oneは、「ライトフィールド・プロジェクター」ではない。または、広く認知された定義によるディスプレイでもない。「2焦点ディスプレイ」なので、ひとつかふたつの焦点面にすべてのUIと環境要素を配置した怪しいデモで、ふくそう調整不調和を解決したように見せかけている。それ以外の距離では、不調和が起きる。止まった時計でも、1日かならず2回は正確な時刻を示すというのと同じだ。

彼はまた、ヘッドセットの視野の狭さも指摘している。ただ正直なところ、彼は、もっと単純な光学システムを使った他社製のARヘッドセットと比較しているので、ちょっと不公平に思える。Magic Leapのディスプレイの視野範囲は、HoloLensのものよりも40パーセント大きいと見積もられているが、それでも人によっては狭いと感じるのかも知れない。

もしこれが、鳴り物入りで登場した製品に対する誰かさんの辛口批評に聞こえたなら、そのとおりかも知れない。Luckeyは、同社の注文番号のシステムから、売り上げを試算している。

Magic Leapの注文状況は、発売から数日の間は、じつに簡単に把握できた。私は友人から注文番号を見せてもらい、注文した時間と比べてみた。そこから、私は最初の1週間の売り上げを予測できると確信した。残念ながら、彼らは私がこのことをツイートした直後に、システムを変更してしまった。私が集めた情報を元に計算すると、最初の週で2000台が売れている。しかし、それは最初の48時間に大きく集中している。そこから推測するに、現時点での販売台数は、3000台を下回る。これは残念なことだが、確かな理由がある。私はMagic Leap Oneを持っている人を100人以上知っているが、彼らの中にAR開発者はわずかしかいない。ほとんどが、技術系企業の重役か、「インフルエンサー」か、初期のころに業界にいたが、ARアプリを開発しようという気がもうない人たちだ。黎明期のVR業界にとって、これは大問題だ。何千何万という開発者がいて、何千何万という開発キットが売れているにも関わらずだ。この問題の桁数が大きくなれば、Magic Leapにはとても厳しいことになる。

Luckeyは、このレビューの続編を書くつもりはないようだが、レビュー用にしばらく遊んだ後、彼は個人で買ったMagic Leap OneをiFixitに渡して分解を依頼している。

このレビュー記事が公開されると、Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、アニメ『アバター 伝説の少年アン』のキャラクターとLuckeyとを比較した、じつに奇妙なツイートをしている。それに続いてもうひとつ、さらに奇妙なツイートを出している。

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「この社会は不和に満ちてる。人々を団結させよう。私たちのデジタルとフィジカルの世界を統合しよう。創造しよう。そして、アーティストとなって作って遊ぼう」

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「Magic Leapの旅もパーティーも、これから面白くてクリエイティブで物凄いものになる。目標ははっきり見えている。誰でも歓迎する。ただし、どうかお行儀よく」

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(翻訳:金井哲夫)

Magic Leap One、開発者版リリース――謎のスタートアップのARヘッドセットの価格はiPhone Xの2倍

なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

このキットはメインストリームのコンシューマーを狙ったものではない。Magic Leapの戦略はかなり変化したように思える。Magic LeapのファウンダーはVergeのインタビューで「もうすぐ誰もが普通に使えるようになる」と力説していたのだが、どうやらまずデベロッパー向けヘッドセットを出荷し、コンテンツを充実させることで将来のコンシューマーを引き入れるという方向に舵を切ったようだ。

CNETによれば、余分の接続ケーブル、本体が故障した場合の迅速な交換サービスなどを含むプロキットにはさらに495ドル必要だ。(一部のデベロッパーには必須となる)処方箋によるメガネのレンズなどのエクストラはまた別に購入する必要がある。これらを合わせると価格はiPhone Xの3台分に近い。

われわれのCrunchbaseのデータによればこの拡張現実スタートアップは過去に少なくとも23億ドルの資金を調達している。投資家にはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitzといった著名な名前が並んでいるが、今回のクリエーター・バージョンが発売されるのは「アラスカ、ハワイを除くアメリカの特定の都市」だそうだ。

購入者希望者はウェブサイトのフォームにまず郵便番号を入力して自分が購入可能かどうかチェックする必要がある。ただし購入可能な都市は「急速に数を増やしている」そうだ。

われわれも郵便番号を入力したが、サンフランシスコは(当たり前だが)購入可能な地域だった。

CNETの報道では、現在購入可能なのはシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ(シリコンバレーを含む)、シアトルの6都市だという。

Magice Leapはデバイスは「直接配送される」ことを強調している。Magic Leapの専門家がパッケージを届けるだけでなく、自らセットアップも行う。高価な最初の製品がデベロッパーの期待を裏切らないよう努力していることがうかがえる。

Magic Leapではこの製品が「現在のコンピューティングのパラダイムを大きくシフトさせる」ことを狙っているが、これには熱心なデベロッパー、クリエーターによる「スペーシャル・コンピューティング」のコンテンツの創造が不可欠だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

コミック界の巨人、グラント・モリソンがARゴーグルのMagic Leapとコンテンツ契約

コミックライター、Grant MorrisonのSquare Slice StudiosがMagic Leapとコンテンツ契約を結んだ。過去20年間にコミック本を読んだことがある人なら、このニュースにかなり興奮している可能性が高い。Morrisonといえば、今日のコミックメディアで最もエキサイティングなライターの一人だ。

スコットランド出身のライターは、90年代のショッキングな作品、The Invisiblesで一躍有名になり、それ以前にもAll-Star SupermanからNew X-Menまで人気のスーパーヒーロー本の多くで指揮をとっていた。一方のMagic Leapは——少なくとも、実際に試したことのあるごくわずかな人たちは非常にクールだと言っている。

最近Morrisonはさまざまな物語メディアを試行している。同氏は人気のSyFyシリーズ、Happy! のほか、Brave New Worldの製作にもかかわっている。拡張現実にも少々手を染めていて、早い時期からMagic Leapのコンサルタントを務めている。

「ストーリーテリングは私の情熱であり、新しいプラットフォームは私の創造の限界を広げてくれる」とMorrisonはDeadlineに話した。同誌は今週のSan Diego Comic Conでこのニュースを報じた。「Magic Leapはストーリーテリングの新しい優れたプラットフォームであり、われわれの見果てぬ夢を近々実現するコンテンツを協力して作っていくのを楽しみにしている」

それは遅かれ早かれ実現しそうだ。Magic Leapは今月、ヘッドセット、Magic Leap Oneをこの夏ようやく出荷開始すると発表した。この発表にいたるまでに同社は、何年にもわたって驚くような金額を調達し、会社の評価額は63億ドルに達した。

Morrisonは2016年にSquare Sliceを共同設立し、RockstarのStewart Watersonらのゲーム業界のベテランたちも参加した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ARスタートアップのMagic Leapが開発者向けポータルサイトとSDKを公開

eng-logo-2015Googleなどから巨額の資金を集めていた謎のARスタートアップMagic Leap。2017年末にようやく初のプロダクトとなるMagic Leap Oneを発表しましたが、そのハードウェアの詳細については、あまり明かされず、結局何ができるのかは漠然としたままでした。

ARゴーグル Magic Leap One 初公開、2018年発売。透過型『デジタルライトフィールド』ディスプレイ採用

そんな中、同社はMagic Leap One発表時に予告していた開発者プラットフォームとソフトウェア開発キット(SDK)を開発者向けに公開しました。

開発者プラットフォームCreator Portalでは、Magic Leapについてのガイドやチュートリアルを確認可能です。

それによると、Magic Leapは、LinuxやAOSPなどのオープンソースコンポーネントから派生したカスタムOS、Lumin OSを採用しているとのこと。Androidなどの既存のOSから多くのオープンソースコンポーネントを借用しているものの、その多くは空間コンピューティング向けにカスタマイズしているとのことです。なお、SDKは3Dエンジンとして、Unreal Engine 4とUnityをネイティブサポート。開発したアプリは、独自のアプリストア Magic Leap Worldで配布可能になります。

チュートリアルはいまのところエミュレーターを起動し、UnityやUnreal Engine 4を利用し始めるところまでが説明されています。

結局のところ、ハードウェアの仕様については不明なままですが、今後チュートリアルの追加に伴い、徐々に詳細が明らかになるものと考えられます。

Engadget 日本版からの転載。

謎のARスタートアップ、Magic Leapがサウジから4.61億ドル調達

Magic Leap依然として何のプロダクトもリリースしていない。しかし多額の資金の調達は続けている。今日(米国時間3/7)、フロリダ州フォートマイヤーズに本拠を置くARスタートアップはサウジアラビア王国の国営投資機関、The Public Investment Fundを始めとする投資家から4億6100万ドルを調達したことを発表した。 同社によると、サウジのファンドが4億ドル、「新たな投資家」が6000万ドルを出資したという。

今回の投資はシリーズDを補完するもので、Magic Leapは昨年10月、Temasekのリードで5億200万ドルのシリーズDを実行している。今回の新たな投資でシリーズのDラウンドの総額は9億6300万ドルになったとMagic Leapは発表した。

Magic Leapが集めた資金の総額は23億ドルに達した。

しかしMagic Leapはなぜかくも多額の資金を必要とし続けるのだろう?  この疑問はだいぶ前から多くの人々が抱いているが、Magic
Leapが「全てを自前でやる」方針なのは確実だ。

Magic Leapが製作しようとしているプロダクトはこれまでに全く存在しなかったものなので、ハードウェアもゼロから開発しており、ディスプレイ・テクノロジーやセンサーの開発には途方もなく大規模なりソースを必要とする。このプロダクトはユーザーの周囲の環境を素早く効果的に認識できる。また同社はプロダクトに適合する独自のOSも開発している。従来のOSと似た部分もあるがユニークなアイディアを必要とする部分も多い、という。

この何もかも同時に「自前でやる」戦略は、Magic Leapのスケジュールに多大の遅延をもたらしている。しかしヘッドセットを1台も完成させていなくても巨額の資金を投ずる有名投資家が次々に現れるためMagic Leapは資金にこと欠く心配はないらしい。ヘッドセットといえば同社のMagic Leap OneのCreator Editionは今年、2018年にリリースが予定されている。ともあれ同社が広く信任を集めるためには、数多くの疑問に答える必要があるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Magic LeapがTurner SportsならびにNBAと提携し、試合をアプリにストリーミングで配信する

Magic LeapNational Basketball Association(NBA)はTurner Sportsと提携して、そのプラットフォーム上での試合の生中継を、Magic Leap Oneの”Creator Edition”に提供されるアプリを使って視聴できるようにする。

カリフォルニア州ハンティントンビーチで開催されたCode Mediaカンファレンスで発表されたこのパートナーシップは、非常に漠然として、非常に曖昧な、Magic Leapの(少なくとも私が聞いたことがあるものの中では)初めてのユースケースだ。

その体験はほぼバーチャルリアリティのように聞こえる。ファンたちは試合のコート脇にいるかのような体験を得ることができるのだ。

「Magic Leapと手を組む前の私たちの目標は、コート脇の体験を再現することでした」と語るのはNBAコミッショナーのAdam Silverである。Magic Leapを使うことで、より異なる体験を味わう機会が増える。

「普通のテレビで楽しめる要素は全て提供した上で、それが何倍にも膨らみます」と語るのはMagic LeapのCEOであるRony Abovitzだ。

Silverは、3社のパートナーシップを、人びとがTNT(テレビネットワーク)の上で観ている試合を、Magic Leapのクオリティで見せる方法だ、と説明した。

AbovitzはMagic Leapを、それなりに高価なプレミアムコンピューターと表現している。「必ずしも、すべての人がすぐに必要とするものではないのです」とAbovitzは語る。

謎は残されたままだ。SilverとAbovitzはこの技術を説明するために「ともかく私たちを信じて欲しい」作戦を採用している。2人は舞台上にMagic Leapを持参しなかったが、Shaquille O’Nealが技術を称賛するビデオは上映した。

「4つ、6つ、8つのスクリーンを呼び出すことができると想像してみて下さい。統計情報やデータのすべてが表示されています。素晴らしい瞬間や、うなりをあげてバックボードに当たるダンクシュートなどを、すぐに、間近で見ることができるのです」とAbovitzは語る。

O’NealはMagic Leapのレンズを通じて、世界を眺めた最初のバスケットボールのスター選手ではない。昨年Andre Iguodalaは、同社の技術の一部をうっかり漏らしている

私の同僚であるLucas Matneyは、Magic Leapヘッドセットについての説明を、最初に公開されたときに書いている。

ヘッドセットのデザインは、特許やリークによって以前から伝えられきたものに、かなり似ているが、ヘッドセットの前面のゴツさは少々驚きだ。しかしフレームのサイズは、Magic Leapがヘッドセットの視野をどの程度広げることができたのだろうか、という疑問を生じさせる。同社は”Digital Lightfield”(デジタル光照射野)テクノロジーを使用しているとは語っているものの、それが実際に何を意味しているのかを私たちは知らないし、真に光照射野テクノロジーを利用しているのか、それともそれを単純に模倣しているだけなのかということについても分かっていない。スタートアップは、コントローラ以外の入力として、ヘッドセットから、音声、ジェスチャ、頭部のポーズ、および視線追跡を取り込むと説明している。

Rolling Stoneとのインタビューで同社は、ユーザーは処方レンズを購入することができ、ヘッドセット自体は2つのサイズで提供されると述べている。

ソフトウェア側では、Magic Leapはプラットフォームの能力を強調している。2018年初頭にはCreator Portalが登場する予定で、開発者たちにはより多くの文書、ツール、リソースなどが提供される筈だ。

同社がコンシューマー向けリリースで目指していることはまだ不明な点が多いが、このデザインはMagic Leapが達成できると考えていることを基にしているということは間違いない。もちろん「製品は継続的に進化しており、出荷時には異なるものになる可能性があります」というアナウンスにも注意しておこう。

Magic Leapを見て、実際の試合に対して競争力のある経験を提供できると考えるNBAのオーナーもいると思うが、SilverはNBAチームの3人のオーナーたちが実際にMagic Leapへ投資を行っていることも明かした。

この話は継続している。可能な限り更新していく予定だ。

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(翻訳:sako)

AR/VRは空ブームが去って小休止、巨額な投資の大半は大物企業の底入れに向かう

拡張現実や仮想現実の技術に取り組んでいるテクノロジー企業は2017年に、30億ドルあまりのベンチャー資金を調達した。このニュースを報じたアナリティクス企業Digi-Capitalのデータによると、ARやVRをめぐる空騒ぎは下火になったものの、そこに注ぎ込まれるキャッシュの量は相変わらず増え続けている。

たしかに2017年の金額は2016年の投資額に比べて増えているが、しかしディールフローそのものは軽くて、わずか4つの案件が総額30億ドルの大半を占める:

億単位の資金を調達したNiantic, Improbabl, Unityなどの大物はAR/VR技術の将来性を投資家たちにうまく売り込んだと思われるが、それだけの資金量を獲得できた背景には、強力で伝統的なゲーム業界がある。

その中にあってMagic Leapは、業界の最大の一匹狼だ。彼らの最初の製品がどんなものか、そろそろわかりかけてきた今日では、彼らがだんだん、まともな企業に見えてきている。その製品がいつなんぼで出るのか、それはまだ不明だが、もっと分からないのは、彼らが企業市場と消費者市場のどっちに軸足を置くのか、という点だ。

2016年と2017年にVRのプロジェクトでシードラウンドを稼いだ小さめの企業は、Crunchbaseが示すように案件は徐々に減少し(右図)、泡沫企業の整理と、AR/VRスタートアップに対する継続投資の先細り、そして廃業が続くものと思われる。

2017年の後半はヘッドセットを使うVRからモバイルのARに焦点が移り、AppleのARKitやGoogleのARCoreなどが関心を集めた。しかし実際のアプリケーションは単なる視覚化があまりにも多く、平凡なものばかりだったので、受けはあまり良くなかった。消費者向けARヘッドセットは市場が大きく枯渇し、AppleやMicrosoft、Magic Leapなどが10年後の消費者に向けて今年以降何をやるか、様子見モードに入った。

今後伸びるであろう芽はいくつかあるが、AR/VRの空騒ぎは2017年で一掃され、勢いはなくなった。次の一歩は、Google, Apple, Facebook, Microsoftなどの大金持ちたちの動静次第だ。スタートアップのための資金は今年も潤沢と思われるが、AR/VRのような新興技術は、落ち込みがしばらくは続くだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投資家が14億ドルを投じたMagic Leapが今日までにリリースしたもののすべて

投資家たちから14億ドルを調達したMagic Leapが今日(米国時間20017/10/5)までにリリースしたもの:

Magic Leapは同社のまだリリースされていないプロダクトについて無限話すことには熱心だが、実際には何も言ってないに等しい。上のリストの落とし前は、いったいいつになるのか。

[Magic Leap、その始まり]

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))