携帯電話の通信設備を屋内に設置するスタートアップ、JTOWERが10億円の資金調達を実施

JTOWERは携帯電話事業者などの通信キャリアに基地局を設置するためのアンテナやケーブルといったインフラ設備を提供するスタートアップである。具体的には商業施設やオフィスビル、マンションなどで、JTOWERが設置するインフラ設備を複数の携帯電話事業者に共有してもらう事業をスタートさせようとしている。米国では同種の事業はAmerican Towerなどがあり上場も果たしていて、大きな企業に成長している。このJTOWERが産業革新機構JA三井リースアイティーファームを引受先とした総額10億円を上限とする第三者割当増資を実施した。

JTOWERのビジネスは、通信企業のインフラコストを抑えようというものだ。携帯電話などでは電波が確実に端末に届くことが重要になるが、屋内では電波の遮蔽が起こり、電波が届きにくいところがある。このために各通信キャリアは商業施設やオフィスビルなどの屋内に自前でアンテナや基地局を設置する必要があるが、それにはそれなりのコストがかかっている。たとえば、大きなビルでは数億円程度の設置費用がかかるのだという。このコストは通信キャリアだけでなく、商業施設やビルを所有する不動産事業者も負担を強いられることもあった。そこでJTOWERがその設備を敷設し、通信キャリアはその設備を複数社で利用することで、そのコストを抑えようというわけである(下記、産業革新機構の資料参照)。

通信業界のような大型の設備投資が必要な業界に新たな事業にチャレンジするスタートアップが登場するのはとても興味深いことだ。このアイデアを実現したJTOWERの代表取締役の田中敦史氏は、イー・アクセスの創業メンバーでイー・モバイルのCFOなどを務めていた人物である。通信業界に深く関わってきたからこそ、こういったビジネスの可能性が存在していたことに気がついたのだろう。田中氏は「この事業はこれまでの通信業界の枠組みに変化をもたらす可能性があると考えているが、実績がない中で大型の増資を実現するのには相当の努力をした」と語っている。今後は各通信事業者との継続的な調整を重ね、不動産会社各社と協業していく予定だとしている。また設備投資もさることながら、人員拡充、特に通信技術者を採用していく予定だという。


惜しみなくFacebookは奪う?! モバイルウェブ利用者向けにトレンド・トピックの提供をテスト中

Facebookがハッシュタグを導入してしばらくになる。また、プレスイベントなどでも「リアルタイム・コンテンツ」ということを強調している。いずれももともとはTwitterで使われた表現だが、他にも「Twitter風」の仕組みを試しているようだ。

何の話かといえば「トレンド」(trending topics)だ。TechCrunchからの問い合わせに対し、確かにトレンド・トピックを一部の利用者に対して表示しているとの回答があった。本件を最初に報じたのはAllThingsDだ。

新機能についてのFacebookからの説明を掲載しておこう。

Facebook上でトレンド・トピックを表示する実験を開始しました。アメリカ国内のごくわずかの利用者のみを対象に行なっているものです。またモバイルサイトのみで提供しています(m.facebook.com)。これはあくまでもテスト目的のものであり、細かな仕様などの定まったものではありません。より広範囲に公開することになれば、改めて発表を行いたいと思います。

Facebookが言うように、ごく限られた範囲に提供しているベータ的機能なので、一般公開されるにしても、細かい部分は変わる可能性が高い。ただ現状では、多くのコメントがついているものが「トレンド」としてピックアップされているようだ。表示されるトピックをタップすると、友だちの投稿はもちろん、該当トピックスについて一般公開にて意見を寄せている人の投稿もみることができる。

トレンド・トピックはTwitterでは2008年夏に導入された。そして2010年には有料のPromoted Trendsが導入された。このPromoted Trendsの費用は、現段階で1日あたり20万ドルにもなっているとのことだった。企業・ブランドからの収入はもちろん売り上げの小さからぬ部分を占めるようになっている。Facebookも、閉じた人間関係の中だけでなく、よりパブリックな情報を扱うようにして、リアルタイムの情報を入手する場所としての価値をあげようとしている。トレンド・トピックもその一環で、利用者により魅力的なコンテンツを提供してマネタイズのための要素としたい考えだ。

但し、トレンド・トピックは、フィード上でのノイズともなり得る。モバイル環境では、既にプロモート・ポストや広告なので、友人やネットワークからの情報が見づらい状態になってしまっている。そういう不満の声がありそうだという予想もあって、まずはごく小さな利用者層を対象にテストを行なっているのだろう。友だちや家族からの投稿と、そしてリアルタイムニュースやエンタテインメント情報の表示量バランスを探ろうとしているわけだ。トレンド・トピックが全利用者向けに公開されることになるかどうかはまだわからない。しかしFacebookは変わり続けており、今後はいったい何をTwitterから奪いとろうとするのか、興味深いところだ。

掲載したスクリーンショットはAllThingsDに掲載されたものを拝借している。

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(翻訳:Maeda, H)


現場ジャーナリストの常備武器となったVideolicious, Washington Postらが$2.25Mを投資

携帯上で簡単に(作品として完成した)ビデオを作れるアプリVideoliciousが、企業利用の拡大をねらっている。たとえばこれまでは不動産企業の社員教育に利用されていたが、まだまだいろんな業界でお役に立つはずだ。

新たな成長に活を入れるためにVideoliciousはこのほど、Washington Post Company、Amazon.com、Knight Foundationなどから225万ドルの資金を調達した。この投資ラウンドを仕切ったのはVenture51 とSocial Leverageで、既存の投資家Joanne Wilson、Trestle Ventures、それにQuotidian Venturesらも参加した。同社の資金調達総額は、これで400万ドルあまりになる。

Washington Postなどが投資者として名を連ねているのは、このところジャーナリストがVideoliciousを利用する例が増えているからだ。そのことが同社の今後の業績に大きく貢献するだろう。過去数か月で100社を超える新聞、雑誌、テレビ局などが登録会員となり、彼らが抱えるジャーナリストたちに現場で手早く“ビデオ記事”を作らせている。初期のユーザの一例であるWashington Postでは今、30名の記者がこのアプリを使っている。

このアプリでは、写真やビデオを縫い合わせる作業や、その上に音声を重ね録りする作業が、とても簡単にできる。だから記者たちは、印刷媒体のジャーナリストでも、フォトジャーナリストでも、あるいはビデオジャーナリストでも、速報ニュースに関するビデオを迅速かつ効率的に社に送れる。もはや、重い機材を担いだビデオクルーや、ビデオ編集スタッフは要らない。

Videoliciousがマスメディアの現場で広く使われるようになった理由は、それだけではない。同社が最近リリースしたいくつかのプロ級のツールにより、既存のCMSの上でVideoliciousおよびその上で作ったビデオをシームレスに扱えるようになったのだ。つまり、ビデオを迅速に作れるだけでなく、メディア企業は現場で作られたビデオを、今後いろんなコンテンツで多面的に利用し、お金を稼げるようにもなったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


編集済みビデオの投稿ができるようになったInstagram。素人ビデオ投稿者はどこへ行く?

Instagramを使って、上手に写真を撮れる人はかなりいるようだ。ただ、面白い動画を撮るとなると、また別の話になる。しかしこれまでは、誰もがInstagramを使って動画撮影をする必要があった。そのおかげで動画はみなお遊びレベルのものであるという前提もあったわけだ。ところが先日公開されたInstagram 4.1からは、ビデオのアップロードができるようになった。つまり、プロフェッショナルが高性能カメラで撮影して、高価格な機材を用いて編集し、それを投稿するということもできるようになったわけだ。「お遊び」で許される時代は終りを迎えることになる。

リリースされたのはiOS版およびAndroid版で、Android 4.0 Ice Cream Sandwichに対応したり、ビデオの傾きを修正したりする機能が追加された。しかし多くの人の興味をひいたのは、やはりビデオアップロード機能だろう。競合サービスを展開しているVineでは一部ブランドなどに編集ビデオのアップロードを許可してはいるようだが、一般利用者はVineを使ってビデオを作成する必要がある。

アップロード機能の提供により、Instagram Videoには面白みだけではなく、完成度が求められるようになるかもしれない。これまではInstagramでもVineでも、さまざまな編集技法を駆使した思い通りの作品をアップロードするということはできなかった。しかしこれからは、秒数さえ15秒以下であるならば、思う存分に編集作業を加えたものを投稿できるようになる。過去の作品から良いところを抜き出すというのもありだろうし、またプロモーションビデオのようなものを作ることもできるだろうし、またYouTubeビデオのリミックスなども作成できる。

また、編集作品をアップロードできるようになったことで、ブランドの参入も増加していくだろう。多くの場合、手をあまりかけていないチープな感じのするビデオで、ブランド紹介をすることは忌避される傾向にあるからだ。これからはInstagram用のブランドビデオでも大手エージェンシーに作成を依頼するようなこともできる。15秒という時間は、短いテレビコマーシャルと同じ時間であり、双方で流用するような動きも生まれるかもしれない。つまりInstagramやFacebookの広告プログラムを利用せずとも、Instagram上でテレビCMを流したりもできるわけだ。

広告はともかく、Instagram上で美しいビデオ作品を見ることができるようになるのだろうか。それは間違いなかろう。それは良いことかもしれないが、そうした「高品質」ビデオが増える中で、アマチュアは従来のような「素人ビデオ」の投稿を続けるだろうか。投稿をやめてしまう人も出てくるかもしれない。

Instagramはもともと「簡単さ」(simplicity)を強調してサービスの提供を行なってきた。しかし決して「シンプル」ではない各種編集作業を受け入れることにより、築き上げてきたコミュニティを2つに割ってしまうことになり、そして素人衆をVine世界に追いやってしまうという危険性もあるかもしれない。

[Image Credit: AP Photo/Marcio Jose Sanchez]

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(翻訳:Maeda, H)


YouTubeの共同ファウンダーが作ったMixBitは多数のクリップをつないでストーリーが作れるモバイル・ビデオ・プラットフォーム

YouTubeの共同ファウンダーの2人が作ったMixBitはまったく新しいビデオ・プラットフォームだ。最近の他のビデオ・アプリとは異なり、MixBitの目的は複数のビデオ・クリップを編集して中くらいの長さのビデオ作品を作るところにある。

MixBitではユーザーは最長16秒のビデオを撮影してデバイスに保存できる。編集後のビデオは最長68分までとなる。さらにユーザーは他のユーザーのビデオを再利用して自分自身のビデオを新たに編集することもできる。

MixBitでは撮影した短いビデオ・クリップを並べ替え、つなぎ合わせて意味のあるビデオ作品が作れる。最大256本のクリップが処理できる。完成した作品はTwitter、Facebook、GooglePlus、MixBitで共有できる。

ビデオの下にはタイムラインに添って素材に使ったビデオ・クリップが並べられ、クリックすると単独で再生できる。また他のユーザーが素材を再利用できるのも大きな特徴だ。このリミックス機能が広く受け入れられるかどうかはもう少し様子を見ないとわからない。

MixBitはVineや Instagramとはタイプが全く異なるプラットフォームだ

MixBitはVineやInstagramとは全く異なる。共通点といえばモバイル・アプリだという点くらいだ。VineやInstagramのユーザーはなにか興味のあるシーンを撮影するや否や公開ボタンを押す。それで終わりだ。しかしMixBitではこれと違い、意味のあるストーリーになるように編集してから公開することになる。

スタート画面もInstagram、Vineとは違う。ビデオの自動再生はない。ほとんどのビデオは1分以上の長さだ。もっとずっと長い作品も珍しくない。雰囲気としてYouTubeアプリに近い。タイトルとサムネールがタイル状に表示されるので、興味を引かれたビデオをクリックして再生する。YouTubeとの違いは、こちらは100%がユーザー撮影のビデオだという点だ。

MixBitは現在iOS版が公開されているが、数週間後にはAndroid版も完成するという。

開発元のAVOSはYouTubeの共同ファウンダー、Chad HurleyとSteve Chenの会社だ。同社はブックマーク・サービスのDeliciousを2011年にYahooから買収して運営している。

〔日本版:こちらは寝転がってごろごろいっている大きなクロネコ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スマートフォンを高度なDNA検査機器に変えるBiomeme, へき地でも正確な疾病診断が可能に

スマートフォンのアクセサリは今ではものすごく種類が多いが、でもそのほとんどが、第一世界の…ぜいたくな、どうでもよい…問題を解決するものばかりだ(栓抜きのついたスマホケースとか)。でもたまには、取り残された世界に変化をもたらそうとするものもある。Dreamit Venturesが資金を提供しているBiomemeの連中はこのほど、iPhoneやiPod touchをDNA複製マシンに変えて、病気の診断や治療を都市から遠い僻地にも提供できるデバイスを開発した。

(聞かれる前に言っておこう。Androidのサポートも今準備中だ。)

そのデバイスの高度な技術はもっぱら、qPCR thermocycler(定量PCRサーモサイクラー)と呼ばれるDNA複製増幅法に依存している。その装置を使うと、少量の細胞からでも詳細なDNA情報を知ることができる。疾病の診断には理想的だが、使用技術が難しい、値段が高い、などのため、利用できる医療機関/研究機関は限られている。そしてそこが、Biomemeの出番となる。

同社の5人のチームは、1年足らずで、精度が高価な装置並でお値段は格安というサイクラーを作り上げた。お安いのは、頭脳の部分をBluetoothで接続されたスマートフォンが担当するからだ。では、その仕組みを見よう。

まず、ユーザのスマートフォンを同社のモバイルPCRマシンにBluetoothで接続する。次に別売のテストキットを取り出して、そこにごく少量のサンプルを取り出す…テストキットは使い捨てなのでこれが同社の収益源になる。サンプルテストのための簡単な準備を行い、サンプルをマシンの上部にロードし、結果を待つ(協同ファウンダで事業開発を担当するMax Perelmanによると、以上一連の作業は手の不器用なVCたちですら間違えないだろう、と言う)。

このプロトタイプの、3Dプリントで作った筐体中にはArduinoが鎮座してかんじんのお仕事をする。ヒーターとファンを制御してマシンの温度を調節、励起光源のコントロール、スマートフォンとのワイヤレス通信、などなど。一方、スマホ側ではカメラが活躍してDNA配列の発光状態をアプリに伝える。そしてその専用アプリが、DNAの状態を疾病の特徴と対照する。このハードウェアの今のバージョンは、まだかなり荒削りで、しかも大量のオープンソースコードをセキュリティ的に無防備で使っている。でも協同ファウンダのMarc DeJohnは、当面はこれでよい、と考えている。

この、スマートフォンを電脳として使うPCRマシンは、予価が1000ドルだが、今後医療世界で需要が増えれば、興味を抱(いだ)いた消費者が気軽に買えるぐらいの値段にはなるだろう、という。そうなると、DNA検査の民主化という、たいへんな事態が訪れる。

しかしPerelmanによると、スマートフォンを利用する医療検査機器に対して合衆国の規制はまだ寛容でない。サラダ菜の葉っぱのDNAを調べるぐらいしか、できない。そこでBiomemeは、南アメリカやアフリカに進出して分散検査システムを構築することを考えている。そして各地の小さなラボが、リアルタイムで疾病の検査を行い、結果を専門医に送るようにしたい、と。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スマートフォンの世界市場でAndroidのシェアは80%―iOSとBlackBerryは減少(IDC調べ)

IDCの最新のレポートによれば、2013年第2四半期のAndroidスマートフォンの出荷数は対前年同期比で73.5%と急増し、1億8740万台となったという。これにともなってAndroid携帯のスマートフォン市場におけるシェアは79.3%になった。

2位はiOSで、3120万台が出荷され、シェアは13.2%だった。それでもAppleのiOSは、第3位を大きく引き離しているし、対前年比の出荷台数で 20%の増加だ。

Windows Phoneは870万台の出荷、3.7%のシェアだった。しかしWindowsPhoneも対前年比で77.6%増と成長率はAndroidなみだった。これに対してBlackBerryは予想どおり、主要プラットフォーム中で最大の打撃を被り、2012年第2四半期の4.9%から今期の2.9%へと大きくシェアを減らした。出荷台数は1170万台にとどまった。

IDCによれば、Androidの急増の大きな要因はSamsungのGalaxy S4の好調ぶりにあるという。しかしLG、Huawei、Lenovo、ZTEも同様に2桁成長の好調だった。参加者のほぼ全員にAndroidプラットフォームは満足をもたらしている。低価格のニッチ市場を狙うメーカーも途上国で大いに成功している。

Windows Phoneの成長はこのOSで81.6%のシェアを占めるNokiaの努力に全面的に依存している。BlackBerryはIDCがこの種の調査を始めて以来、最低の水準に落ちこんだ。IDCは「まだBB10に注目する必要がある」としているが、一時スマートフォンのキングだったこのカナダのメーカーの将来への見通しは暗い。

今回の大見出しははっきりしている。Androidの圧勝、だ。製品の選択肢の広さと、特に現在フィーチャーフォンからスマートフォンへの転換が進んでいる途上国で、予算が限られたユーザーでも手の届く価格が優勢の原因だろう。この秋にもリリースが噂されているiPhone 5をベースにしてプラスティック筐体を採用した低価格のiPhoneの重要性がますます高まった。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Glassを究極の観光ガイドに変えるプロジェクト、Tourism RadioがKickstarterに登場

Google Glassのもっとも本質的な能力は外出先でいちいちポケットからスマートフォンを取り出さずにユーザーが置かれたコンテクストに応じた適切な情報を提供できるところにある。南アメリカの旅行ソフトウェア開発のスタートアップ、Tourism Radioが、Glassのこの特長を生かしたプロダクトをKickstarterプロジェクトに登録している。これは観光のポケットガイドをポケットから取り出してGlassに移植しようというもので、大いに理にかなっている。

Tourism RadioはすでにiOSとAndroidデバイス向けにいくつもの観光案内アプリをリリースしている。対象は南アフリカを中心とする世界の20都市で、多数の言語がサポートされている。このスタートアップはルノーとランドローバーと提携し、音声で観光案内をする車載のデバイスも提供している。つまりTourism Radioは位置情報と連動した観光案内作成については十分な経験を積んでおり、コンテンツの蓄積もあるわけだ。そのコンテンツをGoogle Glassに適したアプリケーションにするのが技術的な課題だ。

Tourism Radioのプロジェクト・リーダーのChris Goldswainはイギリスで15年のIT系プロジェクト・マネジメントの経験を積んでいる。 ファウンダー、CEO Mark Allewellは元ジャーナリストだ。2人ともGlassには旅行、観光業への応用に大きな可能性があると信じている。

現在、Kickstarterで3万5000ドルの資金調達を試みており、支援者は20都市の案内アプリを得られる。リリース時期は2014年4月を予定しているが、これはもちろんGlassそのものの発売開始時期によって変わる可能性がある。

私自身はGoogle Glassがマス市場を捉えられるかまだいささか懐疑的だが、少なくとも観光情報の提供というシチュエーションでは独自の価値があることは認めないわけにいかない。

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Apple、iOS 7 Beta 5をリリース―設定アイコン全面更新、機能面ではバグ修正

AppleのiOS 7 Beta 4の公開から1週間たって、Beta 5がデベロッパー向けに公開された。iOS 7の一般向けリリースはこの秋に予定されているが、どうやら安定版に近づきつつあるようだ。

ここ数回のアップデートはパフォーマンスの向上や全面的なデザイン変更などの伴うマイナーなバグの修正が主だった。。当初ロックスクリーの解除や通知画面の表示方法がわかりにくいと一部から不評だった。この点がBeta 4で改善され、どちらにスワイプすればいいか分かるようにテキストと矢印が表示された。この改良はAppleがユーザーの声に注意深く耳を傾けている証拠だ。いずれにせよ、iOS 7はiOS史上もっともドラマティックなインタフェースのアップデートとなる。

上の「設定」画面のスクリーンショットでは、新しいデザインのアイコンに加えて数々の細部の改良が確認できる。機能面では大きな変化はなくバグ修正にとどまったことは、製品版に近づいていることを示すものだろう。情報提供者によると、リリース・ノートには「iPhone4がApp Storeからコンテンツをダウンロードできない不具合が修正された」とあるという。またアプリ内からコントロール・センターの呼び出しを一時的に無効にする機能が追加された。これは頻繁に下から上へのスワイプ動作が必要なゲームなどで誤ってコントロール・センターを呼び出してしまわないためだという。

おそらく今後も毎週のようにベータ版のアップデートが続くだろう。iOS史上、ベータ版でもっともアップデートを重ねたプロダクトになりそうだ。iOS 7はメジャー・アップデートであり、それだけに消費者の手元に製品版を届けるまでにはまだまだ細部の改良が必要になるはずだ。

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モバイル決済のSquare、カードリーダーを全国のローソン約1万店舗で販売開始

モバイル決済のSquareが日本でのサービス提供を開始したのは2カ月程前のことだ。競合サービスよりも圧倒的に安い決済手数料3.25%という発表で話題となった。そのSquareが本日から全国のローソンでSquareリーダー(カードリーダー)の販売を開始したことを発表している。

これまではオンライン上でSquareに申請した後にカードリーダーを郵送で受け取るか、国内のApple Store7店舗で購入できたのだが、今日からはコンビニでも手に取ることができる。ローソンは全国に約1万店舗あるというから、多くの人の目に触れることになるだろう。

Squareリーダーの料金は980円(税込)だが、Apple Storeでの販売と同様に、商品パッケージ内に記載されているコードを入力すると銀行口座に1,000円が振り込まれるため、実質無料となっている。

さて、ここで競合サービスとの比較を簡単におさらいしておこう。ソフトバンクと組んだPayPal Hereは7月1日から決済手数料を3.24%へ変更し、リアル店舗での販売はソフトバンクショップ・ソフトバンク取扱い店を合わせて約2,700店舗で展開しているそうだ。

楽天のスマートペイもPayPal Hereと同様に決済手数料を3.24%に変更し、初期費用が無料になるキャンペーンを開始したりと奮闘している。最後にクレディセゾンと提携したCoineyだが、今のところ決済手数料は4%のままである(8月21日から3.24%に変更予定)。この2つのサービスに関してはオンラインのみでの申し込みとなっているようだ。

その他、口座振込までの時間や入金手数料といった様々な条件が人気を左右することになるが、Squareが決済手数料を除いては全てリードしている印象だ。


携帯電波、Wi-Fi、GPS電波をすべてシャットアウトして、電脳世界で「消える」ことのできるスマートフォンケースのOFF Pocket

スパイ目的のドローンに補足されることを防ぐためにステルス・パーカーを作った人物がいた。この人物が、新たなプライバシー保護ツールを世に問うている。そのプロダクトとは、防水加工の施されたメタル素材のスマートフォンケースだ。このケースはあらゆる無線信号を防御することができるようになっている。

携帯電話の電波はもちろん、Wi-Fi、GPSなども通じなくする。ポケットに潜む自動備考装置(スマートフォンのことだが、スマートフォンがそうした機能を持っていることはもう少し意識した方が良いように思う)の「いつでも追尾機能」をオフにすることができるのだ。この種のプロダクトによくあるように、Kickstarterで支援を集めようとしているものだ。これはタイミング的にも素晴らしいのではないだろうか。と、いうのも政府による怪しげな動きが衆目を集めているからだ。但し、厳しさをましている、空港のセキュリティチェックではケースから取り出すことを強要されるかもしれない。

ニューヨークで活動するこのクリエイターによると、このスマートフォンケースは、電波をシャットアウトするための他の方法よりも遥かに優れている。もう(エドワード・スノーデンのように)スマートフォンを冷蔵庫に入れる必要もない。あるいはカクテルシェーカーの中に詰め込んでおく必要もないのだ。遮蔽対象は800MHzから2.4GHzで、100dB以上の能力があるのだとのこと。携帯電話は電源を切っても全ての電波をオフにするというわけではなく、また電池を抜いても完全に追跡不能とはならない機種もある。完全なプライバシーを求めるなら、やはり紹介しているプロダクトを利用するのが便利だ。もし電源OFFや電池の取り外しで完全に電波をクリアできるタイプであっても、手間暇を考えると、やはりこのOFF Pocketに軍配が上がることとなろう。

実は、このOFF Pocketは第二世代プロトタイプとなっている。第一世代版は1月にデビューしたところ売り上げとなっている。今回の第二世代版はデザイン面を見直し、またさらなるフィールドテストも行なってきたのだそうだ。今回のクラウドファンディングにより調達を目指す金額は3万5000ドル。調達申込みの期限は8月27日に設定されている。75ドルの早期割引の予定申し込み数は完了してしまったので、現在はOFF Pocketの入手には85ドル以上を支払う必要がある。申込者に対しては9月後半からの出荷が予定されているようだ。

ところで先にも記したように、ますます強力になるテックパワーを用いた監視活動に対抗しようとするプロダクトは他にも存在する。たとえば顔認証防止グラスというものもある。また、冒頭に記したように、監視目的ドローンの使う熱放射スキャナから隠れるためのステルスパーカーといったものも存在する。

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(翻訳:Maeda, H)


鉄道ストもなんのその―Uberの「ボートで通勤」を試してみた

Uberはあらゆる交通手段に革命を起こそうとしている。BART〔ベイエリア高速鉄道〕が月曜日にストに突入しそうだと聞いてUberはBoatboundというサービスと提携し、Boat To Work〔ボートで通勤〕というオプションを新設した。今朝、私はこのサービスを利用してオークランドからサンフランシスコまで渡ってみた。

Uberは30億ドルの会社評価額で1億5000万ドル以上の巨額の資金調達を計画しているという情報が流れている。つまりUberは「より便利なタクシー」以上のものを目指しているわけだ。Uberの本質は、人間であろうと物品であろうと行きたいところへ移動するのを容易にすることだ。現在は自動車が対象だが、他の輸送手段にも巨大な可能性が広がっている。

たとえば、Uberはオンデマンドのアイスクリーム販売、マリアッチ楽団の派遣、シドニーでは水上タクシー、オースティンでは人力車、ニューヨークではハンプトンの別荘地へのヘリコプター飛行などを提供してきた。もっともこれらはビジネスというより話題づくりのマーケティング・キャンペーンだった。

BoatboundというAirbnbのボート版のレンタルのスタートアップのファウンダー、CEOのAaron Hallがストライキが差し迫っているというニュースを聞いて、「通勤客をボートでサンフランシスコ湾を横断させるというサービスにUberが協力してくれないだろうか?」と思いついた。HallはUberの投資家ShervinPishevarに連絡し、PishevarがUberに話をつないでくれたのだという。 その結果、「ボートで通勤」プロジェクトが動き出した。

HallのBoatboudは、P2Pネットワークでボートを貸し出すことによってオーナーの高額な維持費の軽減を図ろうというサービスだ。“BoatTo Work”はBoatboundの利用者のコミュニティーを広げるためのPR活動としてうってつけというわけだ。”BARTのストは直前でジェリー・ブラウン知事の介入で回避されたが、今朝はたまたまベイブリッジでトラックが火災を起こしたために通勤は大混乱している。

錨を上げろ!

6:30am: Uberアプリを開くと、‘Boat’という新しいオプションが表示された。30ドルでUberは自宅に車を差し向け、オークランド・ドックでボートに乗り換えてサンフランシスコ湾を渡り、また車でTechCrunchのオフィスまで送ってくれるという。私はドックで気さくなScott船長に会った。Boatboundを利用するのはこれが初めてだそうだ。

7:00am: “われわれのボートはRollercoaster”号という44フィートのレース用ヨットだ。手回しよくコーヒー、オレンジ・ジュース、デニッシュが用意されていた。私はキャプテン帽をかぶって水面に脚をぶらぶらさせながらこれを書いている。

7:40am: 同乗者のEricaは本当に通勤客で、われわれも紹介したことがあるZaarlyというモバイル・eコマースのスタートアップのUXデザイナーだ。「船で通勤するのはBARTより遅いけど、面白そうだから試してみたの」だそうだ。

7:50am: 寒い。さいわいUberが毛布を用意してくれた。曇り空の下で海が泡だっている。しかしベイブリッジの下をくぐると、トラック火災のおかげで車の長い行列が立ち往生しているのが見えた。これなら海も悪くない。

8am: 上陸! オークランドを出港してから1時間でサンフランシスコのフェリービルディングに着いた。本船の引き波に何度か揺すられたものの、誰も船酔いにはならなかった。通勤客は出迎えのUberXリムジンに乗り込んでそれぞれの職場に向かった。

たしかにこの旅行はBARTに比べればだいぶ高いし、時間もかかった。しかし印象に残る体験だった。Boat To Workは大ビジネスにはならないだろうが、新しいサービスをあっという間に立ち上げたスピードには驚かされる。Uberは大規模なイベントや災害などの突発的な事態に対応して即座に臨時の輸送手段を提供できることを実証した。.

Uberのコミュニティ・マネージャーのMatt Hernsにドックでインタビューしたが、Hernsは「われわれのフレームワークを使って何ができるか、ときおりテストする必要がある。それに面白い体験になるしね」と語った。

実際、特別な体験を提供できることがUberの本質的強みの一部だろう。 UberのリムジンはちょっとしたVIPになった気分を味あわせてくれるし、BoatTo WorkはBARTでぎゅう詰めの日常を一瞬忘れさせてくれる。目的地に着くことも大事だが、旅自体も重要なのだ。そこにUberの成功の秘密があるのではないか?

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LinkedInのモバイル・アプリから直接求人に応募できるようになった―履歴書はプロフィールで代用

先月、LinkedInはiOSとAndroidアプリから求人を検索できるようにした。これに続いて、今日(米国時間8/5)、ユーザーは関心ある求人に対してモバイル・アプリから実際に応募ができるようになった。この場合、LinkedInのプロフィールを履歴書代わりに使うことができる。LinkedInではこの新機能は今日から全世界に公開されるという(ただし現在は英語版のみ)。

個別に履歴書を作成せずに求人に応募できるというのは興味ある進展だ。LinkedInのモバイル・プロダクト・マネージャー、Vaibhav Goelは「これまでモバイル・デバイスから応募しようとすると、小さなスクリーンで履歴書を編集してアップロードする手間が面倒だった」と語った。

LinkedInの新しい求人応募サービスにはいくつかの役割がある。ひとつはLinkedInの既存のプロフィールを履歴書に利用できることだ。しかしさらに重要な側面は、プロフィールがより魅力的な履歴書になるよう、ユーザーがLinkedInのプロフィールに自分に関する情報をあらいざらい掲載するよう動機づけられることかもしれない。LinkedInで求人する企業は従来どおり、応募のための企業自身の専用ページを訪問するようリンクを張ることもできる。しかしモバイル・アプリから直接応募ができる機能を追加したことで、今後はLinkedInプラットフォーム上での求職活動が増えることは間違いないだろう。

LinkedInのモバイル・アプリの中で求職機能が最近、ごく短期間で大きな人気を集めるようになった。そのためLinkedInでは4月にメジャー・アップデートをリリースした。すでに求人検索はモバイル・アプリの全トラフィックの30%を占めている(ちなみにLinkedInの全トラフィックのうち、モバイル・アプリからのものがやはり30%)だという。「デスクトップからは一切アクセスせず、もっぱらモバイル・アプリで求人を検索するメンバーも増えている」とGoelは言う。

LinkedInではモバイル・アプリからの求人への応募方法を紹介するページを公開している。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


モバイルアプリを”Web化”, ディープリンクの導入でQuixeyが標準技術AppURLを提唱

【抄訳】

モバイルアプリを検索するQuixeyが今日(米国時間8/2)、モバイルアプリにWebサイトのような機能を持たせるためのAppURLという規格を提唱した。個々のアプリがスタンドアローンで孤立するのではなく、あるアプリから別のアプリやコンテンツにナビゲートできる、という仕組みだ。ニュースアプリなら別の記事へ行けたり、Yelpのレストランリストなら関心あるレストランのアプリをインストール/立ち上げたり、ソーシャルアプリなら友だちのプロフィールに飛べたり…。

このようなコンセプトはディープリンク/ディープリンキングと呼ばれていて、かなり前からある。ディープリンクURLを作るCellogicのDeeplink.meのようなサービスも最近はある(モバイルアプリのディープリンクのためのbit.lyのようなサービスだ)。さらにその前には、iOSアプリのそれぞれ独自のURL方式をオープンソース化しようとするデータベースOneMillionAppSchemes.com(本当に100万種類もあるか!)や、アプリをリンクして複数の写真編集アプリを一か所で使っちゃおうというPhotoAppLinkなんかもあった(ちなみに私も個人的には、アプリのディープリンクには大賛成である)。

Quixeyの協同ファウンダでCEOのTomer Kaganも、“ディープリンクという考え方は必ずしも新しくはない”、と認める。“たとえばTwitterにはカードがある”。つまりTwitterが今力を入れているのは、一つのツイートを多面的なメディアにするための追加的なHTMLをWebページに置かせる、という方式だ。“ほかにも、いろんなサイトが独自の方式でディープリンクの拡大をねらっているが、モバイルアプリ上のそれは、やり方が統一・標準化されてもよいのではないか。この際、アプリ間に妙な格差ができないためにも”。

デベロッパコミュニティの取り組みに任せずにQuixeyという一企業が乗り出してきた理由についてKaganは、これまで誰も取り組まなかったし、放置されていた時間がもはや長すぎる、と言った。

“うちのCTOのLiron Shapiraと一緒に3年あまり前にQuixeyを始めたとき、すでにAppURLのようなコンセプトが二人の間で話題になっていた。‘そういうものがあればいいのにね’と二人で言っていた”。Kaganはそう説明するが、その実現のために動き出すことはなかった。そのうちできる、と考えていたからだ。“うちがやらなきゃ、ほかの誰もしない、とは当時は考えなかった”。

CelllogicのDeeplink.meの場合がそうだったように、AppURLの発想も、ほかの仕事がきっかけで生まれた。それは、同社のアプリ検索だ。今ではパートナーのAsk.comやMicrosoft、Sprint、NokiaなどがQuixeyをもとにそれぞれ独自のアプリ検索を提供しているが、Deeplink.meの場合と違ってQuixeyは、AppURLを自社のビジネスにする気はなかった。

“ディープリンクはモバイルアプリのエコシステム全体にとって重要だ。私企業が保有して収益源とすべきものではない”、とKaganは言う。そこでQuixeyは、AppURLがやっていることを一般公開して、デベロッパたちから今後寄せられるモアベターなアイデアに期待することにした。そうすれば、コミュニティの全員が同意する標準規格が出来上がるだろう。

そのやり方

AppURLのやり方は、三段階から成る:

1)アプリのデベロッパは自分のアプリ用のURL形式を選ぶ。

2)アプリがURLを扱う部分を書く。

3)appurl.jsonファイルをパブリッシュする(機械可読なドキュメンテーションで、アプリからHTTP Webへの接続方式を記述)。

それによって、システムがディープリンクを有効にし、検索エンジンがアプリ内リンクをクロールできるようになる。アプリ内にあるURLへのリクエストを検索エンジンからできたり、そこからの情報をインデクシングしたりする。(したがって、AppURLがスタンダートとして広く採用されれば、アプリ検索をメインのビジネスとするQuixeyにとっても、より良い検索ができることになる。)

【後略】
—-以下、リダイレクトの方法など—-

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、Retinaディスプレイ装備の新iPad Miniを11月にも発売か

Wall Street Journalによれば、AppleはPad mini用にRetinaディスプレイの調達計画を立てたという。 7.9インチの小型iPadの次世代版にはSamsungを始めLG、Sharpが供給する高精細度モニタが搭載される。この記事によれば、当初AppleはSamsungを切る予定だったが、十分な供給量の確保のために契約を続けることにしたようだ。

AppleがRetina搭載iPad miniの量産を今年の第4四半期に開始するというこのニュースの前、つい昨日、Appleは次世代のiPad miniにRetinaディスプレイを搭載するのを諦め、その代わりにCPUを強化することにしたという情報が流れた。

9to5MacはRetina非搭載、A6チップ搭載のiPad miniの存在を初めて報告したが、「ただしAppleがこれを製品として出荷するかどうかは未知数だ」と釘を刺すのを忘れなかった。Appleはこれまでも製品版のリリース前にさまざまなバージョンのハードウェアを試験的に作ってきた。だからRetina非搭載版とRetina搭載版が並行的に作られた可能性は十分にある。Appleは当然、市場動向を注意深く観察していたはずであり、Nexus 7のウルトラ・ハイレゾ・ディスプレイ(Kindle Fire HDの次世代版もそうなるという噂がある)がAppleの決断に影響を与えた可能性がある。

WSJも「Appleはさまざまなバージョンをテストするのが通例だ」としてRetina iPad miniが市場に出るかどうかはわからないと認めている。しかしこの情報が現れたタイミングとWSJという舞台を考えると、Appleからの統制されたリークである可能性が強い。Appleウォッチャーやアナリストが口々にAppleが次世代iPad miniにRetinaを搭載しない可能性を批判し始めたとたんに、それを打ち消すような有力情報が現れたのは少々出来すぎだ。

WSJによれば、Appleは当初、Samsungに部品供給を頼るのを嫌った。両者は知的所有権をめぐって法廷で争っているだけでなく、今やスマートフォンの2大メーカーとして世界で激しく競争している。しかしSamsungはディスプレイだけでなく多くの重要部品でも主要な供給者であり、その製造能力からして結局はiPad mini向けRetinaディスプレイの供給者にも名を連ねることになったという。またWSJは「新しいiPad miniのケースはiPod touch同様、多数の色が選べるようになるだろう」と述べている。

Appleが第4四半期に大量生産を開始するというのが事実なら出荷は11月頃になるだろう。Retina iPad miniがクリスマス商戦に間に合えば、Appleの第4四半期決算に大いに好影響を与えるに違いない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


なんとしても今すぐGoogle Glassが手に入れたい? ―友だちの実験参加者に招待してもらおう(ただし枠は1人だけ)

GoogleはGoogleお得意のやり方でGlassの実験参加者を拡大しようとしている。つまり既存の参加者に友だちを招待させるというものだ。 インターネットのベテラン・ユーザーはGmailが当初「招待のみ」でスタートしたことを覚えているだろう。

Glassのオーナーは友だちを1人だけ実験に招待することができるようになった。Zaggのコミュニティ・ブログによれば、現行オーナーには友だちの招待の手順を詳しく説明したメールが届いている。

招待を受けられるのは18歳以上でアメリカに住所があり、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスのGoogleオフィスに本人が受取に出向ける者に限られる。この点は最初の実験の参加資格と同じだ。.

Glassは依然1500ドルと高価だが、こうして実験範囲が拡大されるというのは、一般公開に向けて一歩進んだというサインと考えてよいだろう。いずれにせよ一般公開は早くても2014中ということだ。今回の実験範囲拡大はGoogleがベータテスターからのフィードバックをさらに広く収集しようとする努力なのだろう。

接続するスマートフォンとは独立にGlassデバイス上で作動するネーティブ・アプリ開発のためのSDKもさきごろ発表された。いわゆるGlass Development Kit (GDK)はまだ一般公開されていないが、Android SDKをベースにした環境だという。Googleは待ちきれないデベロッパーのためにアイディアをここで試すよう勧めている。Glassの実験参加者は近く多数の刺激的なアプリを試すことができるようになりそうだ。

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やっぱりAndroidはモバイル時代のWindowsか?

柔軟で拡張性の高いOSがサードパーティーのハードウェア・メーカーに開放されて市場に独占的地位を築いた。どこかで聞いた話? デジャヴ?

実際、AndroidとWindowsの並行関係は驚くほどだ。ではAndroidはMicrosoftがWindowsで陥っているような落とし穴を避けられるだろうか?

ともあれまず現在のAndroidと95年のWindows 95の類似点をおさらいしてみよう。

  • Androidはほぼ無数のフォームファクターのハードウェアによって断片化(多様化といいたければそうも言える)されている。 サードパーティーのメーカーのAndroidサポートは(Windows同様)、きわえめて広範囲で、根強い。
  • Androidの柔軟性と自由性はありとあらゆる種類のアプリケーションが爆発的に生まれることを可能にしたが、アプリ市場にマルウェアや屑アプリが蔓延するなど無法状態も招いている。インターネット初期のWindowsも同様の無法時代を経てきた。
  • AndroidはAppleがパイオニアとして切り開いた市場に後発で参入した。その際にサードパーティーのハードウェア・メーカーを味方につける戦略を採用し、Appleのハードウェア製造、販売能力を凌駕することに成功した。世界市場でAndroidタブレットのシェアははiPadを2対1で上回っている。Windowsもよく似た道筋を通ってAppleを圧倒した。
  • サードパーティー・メーカーはデバイスごとの利益を最大にしようとして、Android OSに過剰なカスタマイズを行い互換性の障害となっている。またくだらない独自開発のアプリをプレインストールしてユーザー体験を損なっている。ハード・メーカーの過剰なカスタマイズとプレインストール独自アプリがユーザーを苛立たせているのは現在のWindowsも同じだ。
  • Androidデバイスは全体としてはiOSデバイスより安価だ。最小限の業務ができればよいというならWindowsノートはMacbookよりずっと安価だが、一方でおそろしく複雑なグラフィックス処理をリアルタイムで実行したいというゲームマニアは大金を投じてスーパー・ゲーム・マシンを買うことができる。Macにはそういう自由はない。iOSデバイスと巨大スクリーンのハイエンドAndroidデバイスの関係はこれに似ている。.

ただし、AndroidとWindowsを比較する上でもっとも重要な点は製品寿命だろう。 Windowsは1985年以来市場に君臨し続けている。ハードウェアで優位に立ったOSは驚くほど寿命が長い

1985年以来コンピュータは大きく姿を変えてきたが、Windowsも同様だった。スマートフォンとタブレットもこれから大きく変貌していくだろう。またモバイル時代が到来してもわれわれが依然としてPCを使っているのと同様、今後どのような新しいコンピューティングの波が押し寄せようと、10年後もわれわれがスマートフォンとタブレットを使っていることは間違いない。AndroidはMicrosoftのWindows戦略にならってハードウェアとソフトウェアのもっとも重要な2つのセグメントに支配権を打ちたてようとしているようだ。

「いやAndroidはシェアが大きいだけで、iOSこそユーザーに愛され、もっとも利益を上げているOSだ」という声も聞こえてきそうだ。しかし歴史が教訓となるならば、スマートフォン戦争は短期の利益率やアプリの数の競争ではなく、スマートフォンというプラットフォームを5年、10年、15年に渡って支配するのは誰かという戦いになる。その誰かは日増しにAndroidであるらしく思えてくる。

ここで決定的に皮肉なのは、Microsoftの過去の戦略をそのまま採用して大成功を収めたAndroidに対してMicrosoft自身が苦戦を強いられていることだ。Microsoftが早期にモバイル分野で自分自身のWindows戦略を採用することに気づいていれば状況は大きく変わっていただろう。 

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Samsungの圧倒的AndroidシェアをOpenSignalがビジュアル化―デバイスの細分化は1年で3倍に加速

クラウドソースで携帯電話の電波の状態を分析、表示するスタートアップ、OpenSignal〔日本もサポート〕が、このアプリを利用している68万2000のモバイル・デバイスから得た情報をベースにAndroidのエコシステムをビジュアル化した。

その結果は、デバイスの多様化(断片化と考える向きもあるだろう)が急速に進んでいる一方で、Samsungの市場支配が依然として続いていることを強く印象付ける上の図となった。SamsungはOpenSignalのアプリを利用しているAndroidデバイスのほぼ半数(47.5%)を占めている。上の図の巨大な黄緑の部分がそれだ。

OpenSignalのデータでは今や消滅したSony-Ericssonのジョイントベンチャー(SEMC)が6.5%で2位を占めている。Samsungの6分の1のボリュームに過ぎず、しかも残念ながら先のない2位だ。Sonyはモバイル事業に単独で取り組むことにした。

Samsungの優位が続く一方で、OpenSignalのデータからは、Androidエコシステムの多様化、断片化がさらに進行していることが読み取れる。Samsung自身もあらゆるユーザーニーズに対応すべく製品の多様化に努力しているからこの結果は驚くには当たらないだろう。OpenSignalのデータでは区別しうるAndroidデバイスは、昨年7月に3997週類だったのに対し、今年7月には1万1868種類と3倍に増加している。

Samsungのフラグシップ・モデルの位置

SamsungのデバイスはGalaxy SIII、Note 2など複数のフラグシップ・モデルで成功を収めたが、自社製品ライン内でGalaxySIIのときほどの大きなシェアは達成していない〔左上隅の大きなエリアがGalaxy SII〕。

2013年のデータによると、現行のフラグシップ機、 Galaxy SIII、SIVもやはりSIIのときほどのシェアを再現できていない〔左上隅がGalaxySIII、その右側がSII、その右側列のトップがGlaxy Y、その下の黄緑がSIV〕。Samsungの製品多様化路線からすると同社にとって悪いことではないのだろうが、興味あるトレンドだ。Androidデベロッパーは以前にも増して複数のSamsung/Androidフラグシップに対応しなければならないことを意味する。

Android OSの断片化状況

〔日本版〕下の図はOpenSignalの元レポートから再掲。2010年から現在までのAndroid OSの世代別のシェアをビジュアル化したもの。白い線はその時々での最大シェアのOSのパーセンテージを表している。こちらも2012年夏以降断片化が進行する傾向にある。

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Windows Phone、アメリカにおける市場シェアの伸びは、年間で僅か1.1%

Microsoftはスマートフォン市場の活動を諦めるつもりはない。戦う武器として用意しているのがWindows Phoneだ。ただ、現状ではとても成功と呼べる状況にはなく、主戦場であるアメリカ国内においてもなかなか成長が見られずにいる。

Windows Phone 8をリリースし、そしてNokiaやHTCから発売されて、確かに販売台数の伸びは見られた。たとえば2012年の第2四半期にNokiaは、Windows Phone搭載のLumiaを400万台販売していた。それが2013年の第2四半期には740万台に伸びた。年間で見れば45%の伸びということになる。

この数字自体は悪いものではない。しかしNokiaは、他のOEMメーカーがWindows Phoneの世界から消えていく中、単一供給者となりつつあることも見逃してはならない。Nokia以外ではHTCがごくわずかなシェアを持っているに過ぎない。

Lumiaの販売台数の確認によりWindows Phoneも伸びを示したのではあるが、しかしアメリカ国内での市場シェアなどを見れば、決して喜ぶべき状況ではないことがわかる。最新のKantarレポートによれば、米国スマートフォン市場におけるWindows Phoneのシェアは4%に過ぎないのだそうだ。昨年比でも1.1%しか伸びていないことになる。

成長率の点から見ても、かなり問題があると言わざるを得まい。

1.1%の伸びというのが、昨年の伸び率との比較で言えば37%の伸びになるのだと言うようなことは可能だ。しかし、それももともとが非常に小さなものであるが故に達成している数値に過ぎないのだ。Windows Phoneの市場というのは、現在のところiOSやAndroidの十分の一の規模もない。

自らを第三勢力と位置づけてはいる。しかしWindows Phone 8が登場しても、Ballmerの「非常に小さな市場からスタートして、かなり小さな市場を獲得しつつある」というような冗談が、冗談にならないような状況にあるわけだ。

売れない理由がWindows PhoneがハードウェアやOS面にあるわけではないと思う。実際のところ、使ってみるとなかなか快適な機械だ。Nokiaはなかなか良い仕事をしていると言って良いだろう。しかしアプリケーションの面では先行他社に対して大きな遅れをとってしまっているのだ。WiredのAlexandra Changも指摘しているように、この状況には改善の兆しすら見られない。

そうした状況を招いている原因は何か。簡単に言ってしまえば市場シェアがあまりに小さく、開発者や企業にとってメリットのない環境になってしまっているということだろう。この面から見れば、4%の市場シェアはあまりに小さく、先行きはまだまだ険しいということになる。

WMPoweruserに面白い記事があった。「MicrosoftのWindows Phone部門のリーダーであるJoe Belfioreたちは、スプリント競技ではなく、マラソン方式でシェア拡大を狙っていくと言っている」というものだ。しかしマラソンとジョギングが別物であることもまた、意識しておいた方が良いと思うのだ。

Top Image Credit: Al Pavangkanan

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(翻訳:Maeda, H)


プラスティック・ケースの写真はAppleの低価格iPhoneのもの―情報源は労働条件を監視する秘密調査員

Appleの低価格iPhoneに関する確度の高い情報が思いがけぬ方向からもたらされた。 今朝(米国時間7/29)、China Labor Watchは労働者に身分を隠してAppleの部品供給会社の1社であるPegatronの労働条件を監視していた秘密調査員の報告を発表した。

秘密調査員の日記には、最初にComputerworldによって報じられたプラスティック製iPhoneの詳細が描写されている。関係箇所は以下のとおりだ。

今日の仕事はiPhoneのプラスティックのバックカバーに保護フィルムを貼ることだった。組立中に傷が付かないようにするためだ。このiPhoneは近くAppleによって市場に出される。 [...] 新iPhoneはまだ大量生産に入っていないので数量は重要ではない。

重要なのは新iPhoneにプラスティック・ケースが使われるという情報がおそらく事実だと分かった点だ。「近く発表される」というのも今までの情報と符合する。ただし今回の情報では発売がこの秋になるかどうかは分からない。

今回のChina Labor Watchの記事はiPhoneの秘密を報じることが目的ではない。Appleが自社サイトに公表して約束した部品供給会社の雇用責任を監視する調査の一環であり、Appleが約束を十分に果たしていないと結論している。この記事では、労働者は週6日、一日11時間の労働に対して、時給1.50ドル、月額にしてたった268ドルしか支払われていないとしている。この額は現地の給与の平均月額764ドルを大きく下回っているだけでなく、上海地区の最低生活費にも足りないとChinaLabor Watchでは述べている。

China Labor Watchその他のグループは中国の劣悪な労働条件に注意を喚起しようとさまざまな努力を続けている。その際、Appleは特に目立つ対象として調査の対象となることが多い。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+