Lyftが新型コロナ影響受けた団体向けに食料や医療品の配送開始

Lyftは米国時間4月15日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが進行する中、医療や政府機関、非営利団体のニーズに応えるためのプログラム「Essential Deliveries」を開始すると発表した。

本日から開始されるこのサービスでは、食料品や食事からクリーニングや医療用品に至るまで、さまざまな必需品をドライバーが配達する。Lyftによると、このプログラムはオプトイン方式で提供され、配達の内容はドライバーに通知され、完全に非接触で行われるという。

Lyftは以前、ウイルスと診断されたドライバーや隔離されたドライバーに資金を提供するプログラムも発表していた。

今回のプログラムは、アトランタやオースティン、ダラス、ヒューストン、インディアナポリス、オーランド、フェニックス、サンフランシスコ、サンディエゴ、サンアントニオ、シアトルなど、さまざまな地域で提供される。なお、新型コロナウイルスの症例数と死亡者数が最も多いニューヨーク市は、最初のリストには含まれていない。その他の地域として、ノース・カロライナとアトランタが含まれる。

Lyftはプレパック食品を提供するDole(ドール)のような、いくつかの大企業や地元の組織と提携している。このプログラムは、危機的な状況に対しどのように協力するかをドライバーに尋ねる、約12万人が署名したオプトインサービスのLyftUp Driver Community Task Forceのローンチに続くものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

工事現場で対人距離監視と接触者追跡をするウェアラブルデバイス

以前に電気工事従事者の安全を守る専用ガジェットを開発したスタートアップが、新たな脅威、新型コロナウイルスから工事現場を守るニーズに応えようとしている。バンクーバーを拠点とするProxxiは、手首につけるウェアラブルデバイスの「Halo」を発売した。適正な対人距離として推奨されている6フィート(約1.8m)以内に別のバンドが近づくと振動で知らせるデバイスだ。

Proxxiは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中でも現場での作業は不可欠であり、しかも通知システムがなければ従業員同士が適正な距離を保つのが難しい業務でガイドラインを守るために、このデバイスを設計したと説明している。

このバンドは低電力Bluetoothを使ってほかのバンドと通信する。また、新型コロナウイルスの陽性患者が発生した場合に現場内での接触者追跡ができるように、どのバンドが接近したかも記録する。Proxxiによれば、プライバシーを保護するためにバンドは位置情報を追跡しない。また情報はバンド間で共有、またはProxxiに送信され、身につけている従業員の個人を特定する情報とは紐づけられない。

Estimoteの職場用接触者追跡ウェアラブルなど、同様の取り組みはほかにもある。Proxxiのアプローチは、アクティブな監視や周囲との適正な距離の通知を主眼としている点で他社と異なる。Estimoteのウェアラブルは、接触した可能性のある人に関するアラートを視覚的に提供するシステムに力を入れている。

ProxxiのHaloシステムは、簡単にすぐセットアップし、使い始めることができるという。また、スマートフォンとの接続や、スマートフォン経由でのセットアップも不要だ。

バンドの価格は100ドル(約1万7000円)で、5月4日に出荷を開始する。接触者追跡、および現場での対人距離に関するコンプライアンスと有効性の監視のために、モバイルアプリとウェブベースのダッシュボードが提供される。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Airbnbが新型コロナ対応で1080億円の協調融資を確保

Airbnb(エアビーアンドビー)は機関投資家からの協調融資で10億ドル(約1080億円)を確保した、と発表した。

緊急のキャッシュ注入は、新型コロナウイルスによる移動制限でバケーションレンタルが無惨なものになっていることを受けての措置だ。人々は家に閉じこもり、海外旅行は禁止されたり公衆衛生上の懸念から控えるよう強く促されたりしている。

融資を引き受けた機関の名称や条件などは明らかにされていない。しかしロイターはこの件に詳しい情報筋の話として、プライベートエクイティファンドのSilver Lake、Apollo Global Management、Sixth Street Partners、Oaktree Capital Management、Owl Rockによるもので、なかでもSilver Lakeが「中心的な役割を担っている機関の1つ」とされている、と報じている。ただし全社ともコメントを拒否した。

ロイターの情報筋によると、融資期間は5年間で、金利はLiborベンチマークで750ベーシスポイント。投資家らは12%ほどのレートで稼ぎ、ローンの額面は少しディスカウントされているという。協調融資の条件は第一順位担保で、もしAirbnbが債務不履行に陥った場合、リストにある債権者が最初に支払われるという。

我々はAirbnbにコメントを求めている。

今月初めAirbnbは前述のプライベートエクイティファンド、Silver LakeとSixth Street Partnersから債権と株式で10億ドルを調達したことを発表していた。その際、Airbnbは苦難の時期を乗り越えるのに使うのではなく、現在進行形の長期的戦略にあてられると話していた。

10億ドルの協調融資は明らかに、COVID-19による足元の影響に対処するためのものだ。しかし、Airbnbは声明の中で、パンデミック後の将来について旅行が活発になるという上向きの予想図を描こうとしている。ただ、それがいつになるのかは具体的に示せていない。

「旅行業界のあらゆる部門がパンデミックという嵐の渦中にあるにもかかわらず、多くの機関が当社に対して示してくれた自信や信頼に深く感謝する。人々が再び旅行するようになるのはわかっている。支援により当社はしゃがみこむのではなく、コミュニティに投資しながら前進を続けることができる」とAirbnbの共同創設者でCEOのBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は声明で述べた。「ここ数週間取ってきた措置で、パンデミックという嵐がどれくらい長く続こうとも当社はさらに強くなって嵐から抜け出すだろう」。

現金の注入は「Airbnbが引き続き世界220カ国・地域にまたがるホストやゲストの企業やコミュニティに引き続き投資できることを確かなものにする」と同社は述べた。

同社は先月、ゲストがコロナ禍の予約の全額返金を受けられるようポリシーを変更したが、その後同社はキャンセルや返金に直面したホストから怒りをぶつけたられていた。そして同社は新型コロナによるキャンセルで影響を受けたホストを支援するために2億5000万ドル(約280億円)を拠出した。

英国を含む一部の国は新型コロナパンデミック中のホリデーレンタルを全面禁止している。英国は最近、「隔離の隠れ家」と広告していたホストを見つけて取り締まった。

また、Airbnbのようなプラットフォームでレンタルを提供しているプロの貸主が、現状コストがかかるばかりとなっている空室物件で収入を得ようと模索していて、ロンドンのような一部のマーケットで長期貸し物件が増えているというレポートもある。

住居賃貸契約は5年以上延ばすことができる。レンタル物件がそうしたマーケットに流れ込めば、レンタルプラットフォームが今まで金儲け手段として利用してきたバケーションレンタルの多くの物件が使えなくなるかもしれない。

1つ確かなことがある。グローバルの旅行危機はAirbnbのIPO計画に大きな影を落としている。昨年9月、同社は投資家、従業員、そして世界に対し2020年に上場すると明言した。その数カ月後にコロナウイルスが発生し、2019年にピーク時は350億ドル(約3兆7000億円)あったバリュエーションが激減した。

ロイターによると、先週プライベートエクイティファンド2社との10億ドルの債権ディールには保証が含まれていて、これはバリュエーション180億ドル(約1兆9000億円)という数字で計算されるかもしれない。3月初めに同社が内部で使用したバリュエーション260億ドル(約2兆8000億円)をもずいぶん下回っている。

画像クレジット: TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

参考:Airbnbが新型コロナ禍の中、未公開株式投資会社から1000億円超を調達

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(翻訳:Mizoguchi

ポケモンGOにリモートレイドバトル機能が加わる、集合しなくても100ポケコインでプレイ可能

ポケモンGOは外でプレイするようデザインされたゲームだ。しかし残念ながら友達と町に出たり観光スポットの回りに大勢で集まったりするのは「最もしてはならない行為」となってしまった。

開発元のNiantic(ナイアンティック)ではポケモンGOをリビングのソファからプレイできるようリモート化に努力してきた(ポケモン閉じ籠もり?)。4月15日、レイドバトルについてのアップデートの内容が発表された。

レイドバトルは2017年に導入された仕組みで、プレイヤーは協力して協力で珍しいポケモン(ボスポケモンと呼ばれる)を倒す。チームが勝てばポスポケモンを入手するチャンスが得られる。

これまでレイドバトルに参加するには特定の時間に特定の場所に行き、自分以外に19人のプレイヤーが集まるのを待つ必要があった。パンデミック後はもちろんどれも不可能だ。そこでリモートレイドが必要となったわけだ。

リモートレイドのプレイ方法(アップデートは「すぐに」実施される)

  • プレイヤーは「付近のようす」に表示されているレイドに参加できる。実際にその場所にGOする必要はない。ディスプレイにレイドが表示される距離にいさえすればいい(都会の場合は数ブロック圏内)。
  • タスク達成の度合い、報酬などについては従来のレイドバトルと同様の扱いになる。
  • 参加には新しく設けられたリモートレイドパスが必要。これはレイドパスと同様プレミアムアイテムで1枚が100ポケコイン(米国だと約1ドル)。
  • リモートレイドのプレイヤーは現実のレイドのプレイヤーと同じ能力がある。ただし移動制限や外出禁止令が終了した後は、リモートレイドプレイヤーもレイドに参加できるものの、現場のプレイヤーに比べて強さが制限されるかもしれない。
  • Nianticの発表によれば、やがてプレイヤーは場所を問わず、遠隔地にいる友だちもリモートレイドに招待できるようにするという。遠くにいる友だちに援助を頼みたい場合は、先にレイドに参加している必要がある。

Read a deep dive of Niantic on Extra Crunch

Nianticによれば、プレイヤーは每日午前零時にリモートで「フィールリサーチ」を1個受け取ることができるようになるという。また「相棒」のポケモンが近くのポケストップからギフトを持ってきてくれるらしい。自分でポケストップに出向く必要がなくなる。アイテムは有効期間中、複数をまとめて使えるという。個数分だけ効果時間が延長される。ポケモンを引き寄せるアイテムを4つ持っているが、30分ごとに使うのは面倒だったら最初に4つ発射しておくと次の2時間有効となる。

Nianticはリモートレイドを「近くリリース予定」と発表したが、正確な日時はまだ不明だ

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ流行下の注目テクノロジー、現場作業者向けテキストや危機回避ホットラインなど

暖房装置フィルター、ロボット工学、そして建築分野で活躍するスタートアップに共通することは? 通常なら何もない。だが新型コロナウイルス(COVID-19)が世界で大流行し、数百万人もの命が脅かされている現在、企業は医療従事者用のN95マスクや人工呼吸器の生産に注力し始めている。

スタートアップ企業が提案するイノベーションは目を見張るものがあり、正直に言うとついていくのがやっとである。AmazonやGoogleのような潤沢な資金がなくても、シリコンバレー内外のあらゆる企業が困難に立ち向かおうとしているようだ。

そこで、新型コロナウイルスの影響と戦うスタートアップ企業の努力をまとめて、ちょっとしたいいお知らせとささやかな希望をお届けする。ちなみにこれは治療案に取り組むスタートアップ企業を分析するものではない(それについてはDarrellの精力的な作業結果を参照して欲しい)。その代わりにこの記事では、私たちの孤独を和らげようとスタートアップたちが考え出したユニークなアイデアや、この状況下で浮かび上がった課題をテクノロジーがどのように解決しようとしているのかを紹介しよう。

Stopcovid.co

Managed by Q創業者のDan Teran(ダン・テラン)氏は、 現場作業者向けに新型コロナウイルスの最新情報をまとめたテキストメッセージをリアルタイムに提供するために、社員教育サービスのスタートアップ企業ESLWorksと提携した。Stopcovid.coイニシアチブは、大きな機関からの保障などは受けてはいないものの、CDC(米疾病管理予防センター)が掲げる衛生上の推奨事項を確認したいと考える社会人を対象にしたサービスだ。メッセージはWhatsAppとテキストメッセージで送信されるため、デジタル環境が整っていないユーザーでも簡単にアクセスできる。テラン氏と話す機会があったとき、彼は「私たちが対象にする人々をひとくくりにするつもりはないが、もし自分が生活のために毎日12~14時間働く配送ドライバーだったら、おそらく新型コロナウイルスとその拡散状況の最新情報は把握できないと思う」と話していた。

Cornell Tech Clinic

Cornell Tech Clinicは、室内で過ごすことを強制され、バーチャルコミュニティだけが頼りのときに、DV被害者がサポートを得られるように支援する。同社は通話もしくはチャットの監視など、テクノロジーを利用した虐待の被害者に対してアドバイスを提供するリモートプログラムを開始した。この新しいプログラムでは、遠隔でケースワーカーと連絡を取る最適な方法、自立に向けたハウツーガイド、そしてそのようなテクノロジーを利用した虐待への対処方法などを提供している。

S’MoreとHopeline

ルックス以外の要素でユーザーを結ぶマッチングアプリを提供するS’Moreは、メンタルヘルスに関するホットラインを提供するHopelineと提携し、募金活動を行っている。「社会的距離は感情的な距離ではない」と名付けられたこのキャンペーンでは、新たにS’Moreに登録したユーザー1人につき1ドル(約107円)をHopelineに寄付する。

Procore(施工管理)

施工管理ソフトウェアデベロッパーのProcoreでは、新型コロナウイルスに関連する建設プロジェクトに対し、無償で同社のソフトウェアを提供している。ホテルやコンベンションセンターなどを緊急医療施設に変える際のソフトウェアのコスト負担をなくし、建設業界を支えることを目的としている。

Wize(個別指導プログラム)

Wizeは数多くのエドテック企業が提供する無料サービスに便乗するかたちで、学年度末まで無料の個別指導プログラムを提供する。このプログラムでは、学校閉鎖の影響を受けた学生が、試験や試験準備資料のライブラリーにアクセスできる。

Springboard(就職指導)

エドテックスタートアップのSpringboardは、就職指導セミナーを毎週無料で開催し、「パンデミック後の経済」に備え、求職者をサポートする。質問セッションは太平洋標準時の4月1日から毎週水曜日の12:30~13:30に開催される。

Voxel51

Voxel51は、設置済みで稼働中のカメラを利用して、世界中で予防対策が順守されているかどうか追跡している。AIを使って人出の多い公共の場における社会活動を把握し、社会行動に基づき各エリアの「スコア付け」を行っている。この方法でどれだけの人々が公共衛生の推奨事項に耳を傾けているかを追跡している

Tech Manitoba / Computers for Schools

カナダの非営利団体Tech Manitobaは、これまでの活動で、コンピューターを持たない150世帯に対して、たった8台のコンピューターしか提供できず、大きな解決策を要していた。そこで彼らはComputers for Schoolsと提携し、消毒済みの整備再生品コンピューター200台を必要な家庭に届けることができた。

One Planet(祈りの輪)

ベンチャー企業One Planetは世界規模の「祈りの輪」をスタートさせた。LightUpTheWorld.orgでは、世界中の人々が健康と希望への願いを込めた祈りと思いを投稿できる。サイトを開くと、リアルタイムで投稿した祈りの言葉が表示される。

Stilt(低金利ローン)

テック系スタートアップのStiltは、移民が社会保障番号や信用情報以外の資格に基づいて低金利ローンを組めるようにし、彼らの信用構築を支援する。時給で働き、年収4万5000ドル(約483万円)未満の顧客に対し、利息の即時凍結と2カ月間の支払猶予(担保差し押さえの延期)を提供する。

画像クレジット: PeterSnow / Getty Images

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(翻訳: Dragonfly)

フランスの裁判所がアマゾンは必需品以外の注文を制限すべきと判決

フランス・ナンテールの裁判所は、Amazon(アマゾン)が今後数週間のうちに、フランス国内での注文を大幅に制限すべきだとの判決を下した。AFPある労働組合が入手した判決によると、アマゾンは食料品や衛生、健康関連商品の注文のみ受け付けられるという。

アマゾンは24時間以内に判決に従わなければ、1日あたり100万ユーロ(約1億2000万円)の罰金がかせられる。

フランスでは新型コロナウイルスによる大規模なロックダウンが始まって以来、アマゾンは既に非必需品よりも必需品を優先している。つまり、アマゾンでビデオゲームを注文した場合、自宅に届くまでに1週間以上かかる可能性があるということだ。

しかし、フランスにある6カ所のフルフィルメントセンターはすべて、米国時間4月14日現在も通常通り運営されている。3月にMediapartは、アマゾンの幹部が倉庫労働者を守るために十分なことをしていないと発言している音声記録を共有した。例えばソーシャルディスタンス(社会的距離)を尊重するのは特に難しい、といったものだ。

これまで、フランスでは少なくとも1人のアマゾンの従業員が、新型コロナウイルスに感染していると診断された。労働組合のSud Solidairesは裁判所命令に触れ、従業員を保護するために倉庫を完全に閉鎖するようアマゾンに求めた。

裁判所は、このような状況下ではアマゾンは通常通りの運営を続けることはできないと判断した。しかし、同社はまだ必需品の注文を受けつけることができる。今後さらに受注を増やすのであれば、業務の見直しが必要となる。

Le Parisienによると、この判決は新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するリスク審査が終わるまで、最長1カ月間有効であるという。また、裁判所は制限の延長を決定することができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

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画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナによるレイオフはスタートアップのサテライトオフィスに大きな影響を与えている

レイオフがスタートアップの世界を急速に襲っている。サービス業や旅行関係、人材採用、そしてスクーター企業もだ。新型コロナウイルスの影響によるレイオフの最新情報を見ると、サテライトキャンパスへの打撃が特に大きいようだ。

サテライトオフィスは、当然のことながらスタートアップの本社に対して二次的な存在だ。企業が新しいラウンドで資金を調達したり新しい市場に進出したりする際に、規模の小さいオフィスを開設するのは戦略的な動きだ。これまでポートランド、フェニックス、そしてApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、Oracle(オラクル)がサテライトオフィスを構えるオースティンなどの都市に、スタートアップのサテライトオフィスが出現してきた。

Y Combinator(Yコンビネータ)の卒業生であるRoger Lee(ロジャー・リー)氏が作成した追跡ツールのLayoffs.fyiによると、起業家の重要なハブとなっているベイエリアやニューヨークに本社を持つ企業がレイオフに踏み切っているが、実際にはサテライトの都市にいるスタッフがレイオフされているケースが多い。

サンフランシスコにあるロジスティック企業のEasyPostは、ソルトレイクシティとルイヴィルにいる従業員のほぼ全員にあたる75人をレイオフした。英国のチャレンジャーバックのMonzoは、ラスベガスにいる165人のカスタマーサポート要員をレイオフした。

ボストンに拠点を置くレストラン管理プラットフォームのToastは、全従業員の50%にあたる1300人をレイオフした。Layoffs.fyiのデータによると、レイオフされたうちの12%はオマハ、10%はシカゴにいる従業員だった。

サンフランシスコに拠点を置き、最新の評価額が12億5000万ドル(約1340億円)だった輸送用トラック管理のKeepTruckinは、約350人をレイオフした。そのうち33%はナッシュビルとシカゴにいる従業員だった。

Layoffs.fyiで扱っているのは公開された情報のみなので、これらの数字は米国全体で発生しているレイオフを断片的に見たものにすぎない。しかしサンプリングであるとしても、注目すべき重要なデータだ。

こうしたデータの持つ意味は

経済がニューノーマル、つまり前とは違う新しい常識で再生したときに、本社所在地とサテライトのどちらが立ち直りに適した場所になるかはわからない。最近レイオフの嵐に直面しているスタートアップのハブであるボストンの投資家たちに話を聞いた。

ボストンに拠点を置くベンチャーキャピタル、UnderscoreのパートナーであるLily Lyman(リリー・ライマン)氏によれば、サテライトオフィスにはセールス、カスタマーサクセス、事業開発のスタッフが勤務していることが多い。事業として考えれば、こうした役割は消費者の活動が低下することで最も大きな影響を受ける。多くの企業には、今なすべきセールスや取引がない。

ライマン氏は「企業が売上の減速を予測しているため、(これらの役割は人員の削減に関して)より大きな影響を受けている。手持ちのキャッシュで持ちこたえる期間を伸ばすためには理にかなった決定だが、顧客との間に回復が難しいダメージを与えるリスクもある」と語った。

人員削減がサテライトオフィスに集中するとは見ていない人もいる。同じくUnderscoreのパートナーであるMichael Skok(マイケル・スコック)氏は「サテライトオフィスがコストがあまりかからない新しい市場で地位を確立するケースも見てきた。そのため、サテライトオフィスはこの事態の中で実は守られるかもしれない」と述べた。どういうことかというと、コストを減らそうとする場合、サンフランシスコの従業員はデンバーの従業員よりコストがかさむ可能性がある。サンフランシスコのほうが、生活費がとてつもなくかかるからだ。新興テックシーンのスタートアップに投資しているRevolution Venturesは、投資先のサテライトオフィスのレイオフは最近聞いていないという。

最後にやっかいな話として、資金調達が難しくなりそうだという悲観的な兆候があり、創業者やベンチャーキャピタリストはこれを懸命に避けようとしているが、本社以外の都市でのレイオフはこの兆候を抑えるかもしれない。新型コロナウイルスの感染は広がり続けているため、事業のスリム化は受け身の戦略ではなく事前の対策になりつつある。

レイオフが単独で実施されることはめったにない。また、人員削減はあまり堅牢でないテックのエコシステムに、より深刻な影響を与えるようだ。現在の状況はこうしたことを示している。

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画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナ対策の外出自粛要請の中で名古屋がワースト、アップルの移動データ解析サイトから判明

既報のとおり、アップルはiPhoneなどが合法的に記録している各ユーザーの位置情報のデータを匿名化して「Mobility Trends Reports」として毎日更新している。日本はiPhoneのシェアが他国に比べて非常に高いことを考慮すると、実際の人の移動に近いデータと言える。

関連記事:アップルがユーザーの移動データを公開、新型コロナで変化する都市をひと目で確認可能に

現在のところ日本語のページは準備されていないが、都市名をローマ字で入力することで日本国内の移動データを参照することが可能だ。具体的には、東京(Tokyo)、大阪(Osaka)、名古屋(Nagoya)、福岡(Fukuoka)などの人の移動状況を調べられる。

  1. apple-covid199

    東京
  2. apple-covid198

    大阪
  3. apple-covid196

    福岡
  4. apple-covid1910

    日本全体

具体的には、2020年1月13日(月)と比較すると、

東京
自動車:マイナス28%
徒歩:マイナス43%
公共交通機関:マイナス45%

大阪
自動車:マイナス27%
徒歩:マイナス44%
公共交通機関:マイナス44%

福岡
自動車:マイナス29%
徒歩:マイナス42%
公共交通機関:マイナス43%

日本全体
自動車:マイナス26%
徒歩:マイナス36%
公共交通機関:マイナス38%

名古屋

現在調べられる日本の都市の中で減少率が最も低いのは名古屋だ。特に徒歩での移動がほかの都市と比べて突出して多く、外出自粛要請があまり効力を発揮していないことがわかる。

名古屋
自動車:マイナス24%
徒歩:マイナス28%
公共交通機関:マイナス33%

なお、本稿執筆時点では、横浜(Yokohama)や仙台(Sendai)、札幌(Sapporo)、神戸(Kobe)、京都(Kyoto)などのデータは参照できなかった。

とはいえ、諸外国と比べると日本の都市の減少率はまだまだ低い。

  1. apple-covid194

    米国・ニューヨーク市
  2. apple-covid195

    米国・サンフランシスコ(ベイエリア)
  3. apple-covid193

    フランス・パリ
  4. apple-covid192

    イタリア
  5. apple-covid191

    ドイツ・ベルリン

ニューヨーク市
自動車:マイナス64%
徒歩:マイナス81%
公共交通機関:マイナス87%

サンフランシスコ(ベイエリア)
自動車:マイナス61%
徒歩:マイナス74%
公共交通機関:マイナス80%

イタリア
自動車:マイナス85%
徒歩:マイナス88%
公共交通機関:マイナス90%

医療保険や医療体制、国民性、高齢化率が異なるので諸外国の数字とは一概には比較できないが、アップルのデータを見る限り新型コロナウイルス蔓延を食い止めるには日本国民一人ひとりのさらなる努力が必要だ。

なお同社は、Google(グーグル)と共同でOSレベルの匿名接触者追跡システムも開発している。

関連記事:アップルとグーグルが新型コロナ感染チェック用モバイルアプリを共同開発、プライバシー保護も確約

ソニーが新型コロナで影響を受けるゲーム開発者の救済基金に11億円拠出

多くの人が外出禁止のために家にこもってPCやゲーミングコンソールを手にしているが、インディーゲームデベロッパーにとっては厳しい状況だ。彼らは往々にして、タイトルの宣伝や投資の呼び込み、契約の発表などをゲームカンファレンスに頼っている。

Sony(ソニー)は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで影響を受けているインディーゲームデベロッパーをサポートするための基金に1000万ドル(約11億円)を拠出したと発表した。2020年4月初めソニーは新型コロナウイルス救済のための1億ドル(約107億円)の基金を立ち上げたと明らかにしていたが、その基金はどちらかというとヘルスケアワーカーや遠隔教育にフォーカスしたものだった。

ソニーは基金の詳細について、間もなく発表するとしか述べていない。また今回の発表ではPlayStationユーザーに自宅に留まってもらうように、2つの「UNCHARTED: The Nathan Drake Collection(アンチャーテッド コレクション PlayStation Hits)」と「Journey(風ノ旅ビト)」をデジタルストアで無料ダウンロードできるようにしたことも明らかにした。この2つの小さなニュースはPlayStationが提唱する「Play at Home」イニシアチブのベースとなっている。

2つのタイトルは4月15日から5月5日まで無料でダウンロードできる。

画像クレジット: Kevork Djansezian / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、Amazon(アマゾン)の倉庫の状況を公に批判していた2人の従業員が、同社によって解雇された。UXデザイナーのEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏とMaren Costa(マレン・コスタ)氏はともに「我々のビジネスモデルが気候危機に貢献しないようにすることが、我々の責任であると信じている」をモットーとするAmazon Employees for Climate Justiceのメンバーでもあった。

解雇を最初に報じたのは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が所有するThe Washington Post(ワシントン・ポスト)で、同社の倉庫や配送センターに勤務する少なくとも74人の従業員が、この新型コロナウイルスの陽性反応を示したことによる。少なくとも、アマゾンが広範囲におよぶ都市閉鎖の中で配送サービスの維持に苦慮している中、世論は同社に批判的だ。

一方アマゾンは、従業員がパンデミック中の従業員の待遇を批判したために解雇されたという考えに反論している。「我々は、雇用者の労働条件を批判するすべての従業員の権利を支持する」と、同社の広報担当者はTechCrunchに語っている。「しかしそれには、あらゆる内部活動に対する包括的な免責が伴うわけではない。(2人の従業員が)繰り返し社内規定を違反したために、彼らを解雇した」。

アマゾンは違反行為を明示していないが、同社には同時に経営陣の承認なしに商習慣について公の場で議論することを禁止するポリシーがある。カニンガム氏とコスタ氏はThe Washington Postに対し、企業慣行に対する公の批判を理由に解雇されたと考えていると述べた。

今回の解雇は、Staten Islandの配送センターの従業員で、かつ労働条件にも批判的だったChris Smalls(クリス・モールズ)氏の解雇から半月後に実施された。この出来事を受けて、民主党の議員たちはベゾス氏に公開書簡を送っている。議員たちは書簡で「団結する権利は我々の経済の基盤である。何世代にもわたって労働者が成し遂げてきた数多くの大いな進歩に対する責任がある」と記している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

英国テック業界の求人は新型コロナ影響で3月に31%減

新型コロナウイルス危機が続く中、英国テック業界の複雑な状況を示す雇用データが明らかになりつつある。これまで何カ月も何年も雇用は成長軌道にあったが、それがほぼ一夜にして変わったようだ。

TechCrunchが独自に共有された仕事サイトAdzuna(英国政府の「Find a job」サービスも運営している)とWorkinStartupsの数字によると、英国のテック分野トップ100社の雇用活動は3月に31%減少した。加えて、テック部門全体で2万5000人分の新規雇用が3月と4月で失われた。

また、いくつかのユニコーン企業が従業員を一時帰休とした一方で、テック分野トップ100社の50%以上が雇用を停止している。その結果、求人1件に対する応募者数は平均38人となった。これは英国のテック業界においては2008年の金融危機以来、最も激しい競争となる。

「私がこのデータで最もインパクトを受けたのは、欧州全体のテック企業の大半が現在の経済状況を非常に憂慮していて、VCからの『軍資金』があった企業やユニコーンステータスの企業ですら従業員を解雇・一時帰休としたり、あるいは新規採用をしていないという事実だ」とAdzunaの共同創業者Andrew Hunter(アンドルー・ハンター)氏は話す。

今後変わるであろう雇用のスピードに関しては、ハンター氏はVladimir Lenin(ウラジーミル・レーニン)の言葉「何十年も平穏な時間が流れ、それが数週間で崩れる」を引用し、世界が「現在時速500マイル(約804km/h)で動いている」と話す。

「雇用マーケットがここ数週間で急変しているのに驚いている」とハンター氏は語る。「英国の失業は今月倍増するだろうが、求人数は半分になっている。この相乗作用で痛々しいものになる」

調査ではまた、企業によって雇用活動に大きな差があることも示されている。例えばデータによるとAirbnb、GoogleそしてFacebookは明らかに欧州での採用を縮小している。Habito、Treatwell、Carwowなどは不動産テックやモビリティが現在直面している困難を反映して採用活動を全面的に一時停止しているようだ。

フィンテックユニコーンでは、現在TransferWiseが45人の求人を、Revolutは324人の求人を出しているが、新型コロナ危機前は2社の採用状況は同レベルだった。驚くことではないが、サブスク型のデリバリーサービスGousto、Hellofresh、Oddboxはいずれもかなりの需要増を受けて新規採用を拡大している。Amazonは1000人超、Deliverooも100人超を募集するなど雇用を増やしている。

「Monzoのような大企業は、今後数カ月後にわたって何千人も解雇するという苦しみを味わったり、夏にもっと思い切った対応策をとることを余儀なくされるよりも今、行動を起こした方が良いという考えのもとに従業員を一時帰休としたのだろう」とハンター氏は話す。

「トップ100社の次にくるテック企業の大半はかなり異なった状況にある。彼らにとっては生きるか死ぬかの状況であり、採用凍結や一時帰休は予防策ではなく必須の措置だ。基本的に現在の状況がどのくらい続くのか皆目検討がつかないというのは、スタートアップが今後6〜12カ月の資金調達で間違いなく苦労するということを意味している。危機に備え、コアではないイノベーションを一時停止するというのは現状では最善策のようだ」。

調査によると、テック企業のマーケティング、ソーシャルメディア、ITセールスの雇用が最も影響を受けており、募集は対前月比で60%超落ち込んでいる。想像できることではあるが、観光・旅行部門のテック企業ほぼすべてが採用活動を中止していることがデータで示されている。

それとは対照的にエンジニアリング求人は善戦しており、C++、Java、Ruby、PHPのデベロッパー採用は20%減にとどまっている。

「いくつかの異なる要素が雇用に作用していると考えている。現在のキャッシュランウェイ(キャッシュフローが赤字の間、手元資金で乗り切れる期間)でバーンレートをコントロールし、今後3〜6カ月で立ち直れるかどうか、などだ。そのため資金調達やキャッシュディシプリンがものをいう。もし私が旅行予約スタートアップを現在経営しているとしたら、例え銀行預金残高が健全なものだったとしても、最悪の事態に備えるだろう」

その一方でハンター氏は、VCやCEO、創業者たちは今回の危機により可能な限りの「ヘッジ」を余儀なくされ、回復や危機の後にくる上向き局面を描こうとしているが、実際のところこの危機がいつ終わるのか誰もわかっていないと指摘する。

「V字型経済回復とはならないだろう。しかし景気回復が始まるときにいい位置につけることができる企業が最も速く成長し、最大のマーケットシェアを握るはずだ。だからこそ差し当たって1、2年の計画にさほど大きな変更を加えず、活用できそうな機会をつかんでものにしようとしている企業がいる。これはAyrton Senna(アイルトン・セナ)の言葉にある通りだろう。『晴れた日には車15台を追い抜かすことはできないが、雨の日だったらできる』」

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スタンフォード大とグーグルが埋め込み可能な新型コロナマップを地元ジャーナリストに提供

米国時間4月14日、スタンフォード大学のBig Local NewsとPitch InteractiveプロジェクトはGoogle News Initiativeと共同で、米国における新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大に関するカスタマイズされた最新マップを地元のジャーナリストが記事やウェブサイトに埋め込むことができる新しいツールを発表した。

COVID-19 Case Mapperは非常に基本的なツールのように見えるかもしれないが、Google Data EditorのSimon Rogers(サイモン・ロジャー)氏は、このようなツールが以前から存在しているべきだったことを認めている。

地元のジャーナリストは新型コロナウイルスの最新動向を読者に知らせようと最善を尽くしているが、ロジャー氏によれば、異なるデータソースを正規化し、独自のマップを作成するツールはなかったかもしれないと述べている。

「既に起きてしまっていたローカルニュースの危機は、新型コロナウイルスによりより悪化した」と、ロジャー氏は語る。

さらに既存の新型コロナウイルスのケースマップの多くは、ジャーナリストが簡単に情報を埋め込む方法を提供していないとロジャー氏はいう。「情報を広く発信するのに重要なのは、どこにでも埋め込めて、どこでも使えることだ」。

現在、米国のジャーナリストは、COVID-19 Case Mapperにアクセスして地図を作成したい地域を選択し、埋め込みコードをコピーするだけで、記事やウェブサイトに地図を埋める。地図はThe New York Timesの新型コロナウイルスのカウントデータを使用しており、10万人あたりの患者数に基づいて色分けされているので、人口に対する感染拡大の深刻さがひと目でわかる。

これは新型コロナウイルスに関する誤報と対峙するため、グーグルが650万ドル(約7億円)を投じて行っているより広範な取り組みの一環である。地図は最初はアメリカ限定だが、すぐにグローバル版をローンチする計画があるとロジャー氏という。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インドではロックダウンの影響でTinderやNetflixなど人気アプリが苦境に

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により世界中で多くの人が在宅を余儀なくされている中、米国などではコンシューマ向け、エンタープライズ向けの一部のアプリで新規ダウンロード数が急増している。しかし世界最大のオープンマーケットであるインドでは、状況が少し異なる。

調査会社のApptopiaから得た数値を基にTechCrunchが分析したところ、TikTok、WhatsApp、Truecaller、Helo、Vmate、Facebook、Google Pay、Paytmといった人気アプリの1日あたりのダウンロード数は、過去3カ月間と変わらないか減少している。

インド国内のほとんどの企業に在宅勤務が要請され、インド政府が当初は3月25日からの21日間、その後延長されて5月3日まで全土封鎖の措置をとっている現状で、アプリ内購入を提供している人気アプリの一部ではこの4週間で売上が急落した。

インド国内で、TikTokは1月の1カ月間で2160万回ダウンロードされたが、4月12日までの31日間では2020万回と減少している。同じ期間で見てみると、WhatsAppは1700万回から1200万回に、ストリーミングプラットフォームのHotstarは980万回から300万回に、 ByteDanceのHeloは1050万回から750万回に減少している。

Apptopiaによると、TikTokは2月のほとんどの日で70万回以上ダウンロードされ、89万1000回を記録する日もあった。それがこの1週間では、1日あたり45万回を下回っている。WhatsAppの1日あたりのダウンロードは、65万回から25万回を下回るところまで落ち込んだ。

新型コロナウイルスの検査で陽性と診断された人の近くにいたことを知らせるアプリで、インド政府が公開したAarogya Setuは、現在もインド国内チャートのトップで、1日に78万回以上ダウンロードされている。

インドのApp StoreとGoogle Play Storeで、マッチングアプリのTinderのアプリ内売上は、1月は54万7103ドル(約5900万円)だったが、3月13日から4月12日までの期間では31万9102ドル(約3440万円)に減少した。Netflixのアプリ内売上は、同じ期間の比較で28万5562ドル(約3080万円)から19万2154ドル(約2070万円)に減少した。LinkedInとYouTubeも同様の減少となっている。

アプリ内売上の増加で注目されるのがHotstarだ。17万3253ドル(約1870万円)から32万9675ドル(約3560万円)に増えている。ディズニーが4月はじめに、Hotstar上でDisney+のサービスを開始していた。

マーケティング調査会社のSimilarWebによると、食料品配送アプリで先週6000万ドル(約64億6000万円)を調達したBigBasketと、同じく食料品配送アプリのGrofersは大幅に成長している。Amazon、Flipkart、Snapdealは、ここ数週間で急ぎでない注文を停止したため、インドではAndroidのダウンロード数とアクティブユーザー数が減っている。

人気ビデオチャットアプリのZoomは、2月前半の1日あたりダウンロード数は9000回程度だったが、ここ数週間では50万回以上と急増した。アジア市場で人気のゲーム、Ludo Kingは、2月前半は15万回程度だったのに対し、ここ数日では45万回と大幅に増えた。

インドはスマートフォンユーザーが5億人近くいるモバイルファーストの国だが、人々が家にいるようになってデスクトップの使用も増加している。

SimilarWebの担当者はTechCrunchに対し、「インドではデスクトップではなくモバイルでウェブをブラウズするアカウントが常に圧倒的多数を占めている。しかし2月から3月にかけてデスクトップの使用が増え、トップ100のサイトの合計訪問数に対してデスクトップのシェアは1.6%増えた。1.6%というと小さいように聞こえるが、313億2000万の訪問数の1.6%であり、重要な意味がある」と述べた。

トップ画像:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

自宅学習のニーズに応えるコンテンツハブ「NatGeo@Home」をナショジオが開設

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新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって全米のほとんどで学校が閉鎖となり、その結果現在5500万人以上の生徒が自宅での学習を余儀なくされている。このため、ホームスクール向けのリソースへの需要が高まっていた。現在ナショナルジオグラフィックは新たなオンラインハブ、NatGeo@Homeを開設することでこのニーズに対応している。これはナショナルジオグラフィックのファミリー向け教育コンテンツをすべてまとめた、保護者や教師のためのワンストップショップである。

無料のデジタルリソースは、ナショナルジオグラフィック協会の教育コンテンツとナショナルジオグラフィックキッズおよび他のツールやサービスの教育コンテンツを組み合わせたものだ。これには、読み物、授業、ビデオ、その他のオインラインアクティビティなどの教育コンテンツを利用できるナショナルジオグラフィック協会のLearn at Homeポータルへのアクセスが含まれている。

幼稚園生から高校3年生を対象にしたコンテンツは学年ごとにまとめられ、読み物なのか、ビデオなのか、アクティビティなのかに応じて「読む」「見る」「遊ぶ」のいずれかがタグ付けされている。サインインすれば、保護者や教師は自らのライブラリに気に入った授業プランを保存できる。

この新たなサイトは、環境保護活動家、科学者、映画製作者、探検家、その他の専門家のライブビデオトークが提供されるExplorer Classroomのホームでもある。これは、北米東部夏時間(EDT)の平日午後2時から放送される。これらの専門家によるトークでは野生動物、海洋保護、写真、宇宙探査などのトピックが取り上げられる。

教育的リソースに加え、同ポータルは家族向けに、オンライン学習の進め方や新型コロナウイルスについてどのように子供に話すべきかなどの情報やアドバイスを提供している。最近の読み物には、子供とともに過ごしながら在宅勤務する方法や、子供たちからの質問に答えるためにまず自分自身が複雑な健康危機を理解する必要がある保護者向けの「コロナウイルス101」という解説コンテンツもある。

また同ポータルは、ディズニー、ピクサー、スターウォーズ、マーベル、ナショナルジオグラフィックなど、ディズニーの全資産から、物語、ビデオ、アクティビティを集めたディズニーの新しいファミリー向けウェブサイト、#DisneyMagicMomentsの一部としても注目されている。

NatGeo@Homeの設立声明の中で、ナショナルジオグラフィックキッズの編集長兼副社長であるRachel Buchholz(レイチェル・バックホルツ)氏は「仕事と子供の学校生活を両立させるのはとても大変です。大変多くの家族が経験していることですが、この2つの世界が衝突した時、いくつもの問題が積み重なります。そのため、私達の目標は全ての年齢の子どもたちの教育を継続させ、楽しませ、鼓舞して、将来彼らが世界を担う人物になるのを支援することです」 と、述べている。

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最近ホームスクール向けのリソースを立ち上げた組織は、ディズニーだけではない。子供向けメディアの非営利団体であるCommon Senseは、先週、年齢に即した教育的アクティビティや日課表を含む保護者や教師向けの包括的リソースを集めた、Wide Open Schoolを開始したばかりだ。ナショナルジオグラフィックはパートナーの1人として、この取り組みの一端を担っている。

Wide Open SchoolのパートナーであるAppleも、学校や教師がAppleデバイスを用いたリモート学習を最大限利用できるよう設計されたビデオコレクション、Apple Education Learning Seriesを開設した。ComcastもCommon Senseと連携し、Xfinity登録者向けに約2000時間におよぶ教育プログラムを利用できるようにした。

ナショナルジオグラフィックの場合は、COVID-19が大流行する前から、その教育コンテンツが教室での学習を補足するものとして全米の多数の教師にすでに活用されていた。そのため、同組織がホームスクールカリキュラムのギャップを埋めるために取り組むことは理にかなっている 。

将来学校が再開したらどこかの時点で無料ではなくなる可能性はあるが、NatGeo@Homeは現在無料で利用可能だ。

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(翻訳: Dragonfly)

Googleは偽情報の多いインドで主要アプリ総動員の正しい新型コロナ情報を提供

Googleの月曜日(米国時間4/13)の発表によると、同社はインドで、コロナウイルス関連のアップデートをまとめたWebサイトを立ち上げ、また検索とYouTubeでは、インド厚生省などの権威ある機関からの情報とユーザーの地元の詳細情報を目立たせることになった。

またGoogle Mapsと検索では、インドの30あまりの都市の1500以上の食事とベッドが提供されるシェルターをガイドする。Googleによると、インドに何百万人もいる出稼ぎ労働者は、政府が疫病対策として都市の3週間のロックダウンを命じたため仕事を失い、帰郷を始めている。

これらのシェルターは、Google Assistantに英語かヒンズー語で“food shelters”と尋ねても見つかる。Assistantはスマートフォンや、KaiOSを使っているフィーチャーフォン、あるいはVodafone-Ideaの電話回線から利用できる(インドのそのほかの言語もサポートを準備している)。

Googleはカリフォルニア州マウンテンビューに本社のあるアメリカの大企業だが、同社にとってインドは重要な海外市場のひとつだ。同社は各国の保健医療行政の意思決定を助けるために、COVID-19 Community Mobility Reports(各地の人の移動に関する情報)を発行している(日本版)。このレポートは、公園、駅、食料品店などの公共的な場所における交通や人の移動の、最近数週間の変化を、グラフで報告している。

Mapsでは、Nearby Spotという案内表示により、食料品や生活必需品を売っているインド各地のお店を見つけやすくしている。

YouTubeと検索は、重要なニュースやインド厚生省からの情報、および症状と予防と治療に関するそのほかの権威あるコンテンツを一箇所にまとめて見せている。またYouTubeがそのホームページにローンチした「Coronavirus News Shelf」(コロナウイルスのニュース集)は、このアウトブレークに関する権威あるメディアからの最新ニュースを集めている。

最近の数週間でGoogle Pay、Walmart PhonePe、Paytmなどの決済サービスは、コロナウイルスと戦うインドの首相ナレンドラ・モディ氏のファンドに簡単に寄付できるようになった。Googleによると、同社の決済サービスからの寄付の総額は1300万ドルを超えた。

以上のようなさまざまな措置により、インドを何年も苦しめているもう一つのアウトブレーク、すなわち偽情報の封じ込めができるだろう。メッセージングサービスには、政府がやっていることに対する、勝手な想像に基づく嘘の情報や、この疫病を広めている犯人、昔からある民間療法など、いい加減な情報が溢れている。しかも、こういった出鱈目を、一部のテレビニュースが真実として報じ、それがインドの数億の人びとに伝わっている。

しかし中でもインドでいちばん人気のあるメッセージングサービスWhatsAppは、この感染症に関する情報を一層充実させようしている

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Price.comが新型コロナで品薄の商品在庫を表示する機能を追加

商品比較ウェブサイトPrice.comと、関連するブラウザエクステンションを展開しているPrice Technologies(プライス・テクノロジーズ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)により米国で供給が不足しているいくつかの必需品の在庫を表示する機能を追加する。

アスピリン(消炎鎮痛剤)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)、ティッシュ、手指消毒剤、イブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)、お米、石けん、スープ、トイレットペーパー、その他のアイテムのオンライン店舗の在庫がPrice Technologiesのウェブサイトに表示されるようになる。

「我々は、新型コロナウイルス関連必需品がいかにオンラインで入手しにくくなっているのかを追跡してきた」と同社はブログに書いている。「そして今、そうした必需品の在庫状況をリアルタイムでアップデートする。この機能の初期バージョンを立ち上げていて、今後数週間で機能を拡大・洗練する計画だ」。

2016年に始まったPrice.comは、PayPalに2019年買収されたオンラインディスカウントショッピングHoneyのようなサービスと競合する。

Crunchbaseによると、Price.comは500 Startupsの創業者Dave McClure(デイブ・マクルーア)氏、Plug and Play Ventures、Social Capital、VentureSouqなど多くのアーリーステージ投資家の支援を受けている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi

イタリアの都市で家に閉じ込められた人びとがクラウドソーシングによる光害調査に参加

多くの人びとが家に閉じ込められている今の事態が、奇妙な幸運を招いている。イタリアでは住民たちがバルコニーに出て歌を歌っていたが、その同じバルコニーを、ちょっとした市民科学の機会ととらえた研究者たちがいる。

イタリア学術会議が始めたこのプロジェクトは、この国の光害の広範囲な標本を取ることをねらっている。家の外の光がどれだけ家の中に入ってくるかを表す「光侵害」(light trespass)の問題は通常、それらの家にアクセスしないと計測できない。そこで今回彼らは、その情報を家の住民に集めてもらうことにした。

大量のデータポイントだ!

2週間前にはおよそ7000名のイタリア人が、自分のスマートフォンとアプリを使って、この実験の初回に参加した。彼らがやるべきことは、自分の家の明かりをすべて消し、窓またはバルコニーへ行き、そこから見えるいちばん明るい光源にスマートフォンを向けることだった。

得られた結果によると、イタリアの都市の平均的光侵害の大きさは、田舎のほぼ倍だった。意外とは言えないけど、こんな当たり前のような結論でも、ちゃんと定量化でき、証拠が得られたことは重要だ。明るいといっても、どれくらい明るいのか?それはどんな明かりか?…今後もっとデータが集まればこんな基本的な疑問にも具体的な答が得られるだろう。

この実験を組織したグループの一人、Alessandro Farini氏が、Nature誌にこう語っている: 「この実験で私たちは、計測技術を一般市民に身近なものにしたかった。市民が計測の複雑な過程を知り、ものごとの科学的なやり方に参加できるようにしたかった」。今、研究者たちにさらなる情報を求めているので、得られ次第ご報告したい。

関連記事: 衛星コンステレーションによる夜空の光汚染を天文学者たちが懸念

この実験が大成功だったので、#scienzasulbalcone(バルコニー上の科学)の人びとはアンコールをやった。彼らは先週新しい計測をして、さらに最後の計測を明日(米国時間4/14)の夜やる予定だ。参加者へのインストラクションも改訂して、彼らが送るデータの性格を表せるようにした。

参加者は、ワット数が分かる電球を見つけるよう求められる。そして、その電球だけが点いている場所でスマートフォンの周辺光センサーに光量を計測させ、スマートフォンの光計測機能を調整する。すると各スマートフォンの性能にばらつきがあっても、均一に光量を計測し報告できるようになる。そして窓やバルコニーへ行って外の光量を計測し、結果を報告できる。

もっと詳しく知りたい人のために、イタリア語のインストラクションがここにある。英語版もあるが、まだそれはグローバルな取り組みではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

加熱するインドのモバイル決済市場で奮闘するスタートアップ

インドで最も収益のあるスタートアップ企業はPaytm(ペイティーエム)である。その創業者でありCEOのVijay Shekhar Sharma(ヴィジェイ・シェカール・シャルマ)氏は、最近の記者会見で以下の現実的な質問を投げかけた。

「デジタルモバイル決済対応の商業モデルについてどう考えるか。どのように収益を上げるか?」シャルマ氏が問いかけた相手は、国内でデジタル決済の革命をもたらしたUnified Payments Interface(UPI、統合決済インタフェース)の主要設計者の一人であるNandan Nilekani(ナンダン・ニレカニ)氏だ。

これは、多数の地元のスタートアップ企業および国際的な大手企業が答えを求める何十億ドルもの価値のある質問である。そのうち多くの企業は積極的に、小売業者へのサービス提供、融資商品やその他の金融サービス構築に焦点を移している。

2016年後半、現金に支配されていたこの国でニューデリー当局が多くの紙幣を無効にした。この突然の動きは、何億もの人々を数カ月にわたりATMに向かわせた。

PaytmMobiKwik(モビクイック)といった少数のスタートアップ企業にとって、この現金危機は、たった数ヶ月間で何千万ものユーザーを獲得できることを意味していた。

PaytmやMobiKwikの初期のシステムとは異なり、インドは銀行間での決済インフラを整備するために銀行と協力し、利用者と銀行間の仲介者としての「モバイルウォレット」の役割を果たすのではなく、ユーザーの銀行口座間で直接取引が行えるように働いた。

シリコンバレーの各社はすぐこれに注目した。何年にもわたって、Googleやその手の企業は、何億ものユーザーを擁する多くのアジアやアフリカ市場での決済行動を変えるように試行を重ねてきた。

例えば、パキスタンでは、ほとんどの人が電話通話やインターネットにアクセスするためのクレジット額を増やしたいとき、いまだに近所の店に駆けつける

中国は外資系企業に対して門戸を閉ざしているが、インドでは多くの米国大手企業が数十億ドルを投入して、さらなる数十億のユーザーを探している。これはほぼ自明なニーズだった。

「中国とは異なり、私達は国内外の中小企業と大手企業に均等な機会を提供してきた」とUPIの背後にある決済機関であるNPCIのCEOであるDilip Asbe(ディリップ・アスベ)氏は語った。

それゆえ、インドでの大いなる実験への参加レースが始まったのだ。投資家もこれに追従している。CBInsightsという調査会社によると、インドのフィンテックスタートアップ企業は昨年、27億4000万ドル(約2959億円)を調達した。ライバルの中国での調達額は36億6000万ドル(約3950億円)だった。

また、5億人以上のインターネットユーザーを擁する市場における賭けは、すでに成功し始めた。

非営利団体でボランティアとして決済インフラの開発支援を行ったことのあるNikhil Kumar(ニキール・クマール)氏は、あるインタビューで、「UPIをプラットホームとして見た場合、この種の成長はかつて見たことがない」と語った。

創設からちょうど3年後となる10月、UPIは1億人のユーザーを集めて、10億件を超える取引を処理した。それは、先月に国の最大の銀行が破綻したにもかかわらず、3月において12億5000万件の取引に達した以来、その成長が持続している。

「それはすべて、それが解決しつつある問題に行き着く。欧米市場を見ると、デジタル決済は主に個人が加盟店に送金することに焦点を合わせている。UPIはそれを実現するだけでなく、P2P決済や、幅広いアプリ間での決済も可能にしている。相互運用が可能なのだ」と、クマール氏は語った。彼は現在、中小企業が容易にデジタル決済を受け入れやすくするためのAPIを開発する、Setu(セツ)と呼ばれるスタートアップ企業で働いている。

2017年9月18日、GoogleのNext Billion Users担当副社長のCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏はGoogleのデジタル決済用モバイルアプリ「Tez」をニューデリーでリリース発表(写真:Getty Images via AFP PHOTO / SAJJAD HUSSAIN)

Google Payアプリは、6700万人を上回る月間アクティブユーザーを擁している。同社はUPIパイプラインが大変魅力的であることに気付き、米国でも同様のインフラを構築するよう推奨している。

8月、連邦準備銀行(FRB)は国内におけるより高速の支払に対応する、新たな24時間体制の銀行間即時グロス決済サービスの開発を提案した。11月、Googleは米国FRBにUPIのような即時決済プラットホームを導入するよう推奨した

「たった3年間で、UPIを通して流れる取引の年間ランレートは、約190億ドル(約2兆530億円)と見積もられた8億件の月間取引を含めて、インドの国内総生産の約19%になった」と、GoogleのGovernment Affairs and Public Policy担当副社長のMark Isakowitz(マーク・イサコヴィッツ)氏は書いた。

Paytm自身は、毎年Paytmを使って取引をする1億5000万人を超えるユーザーを集めた。当プラットホームは全体的に3億のモバイルウォレットアカウントおよび5500万の銀行アカウントを擁しているとシャルマは語った。

ビジネスモデルの追求

しかし、1億人を超えるユーザーが設置しているにもかかわらず、決済会社は、利益を上げるどころか損失を減らすために奮闘している。

昨年末のベンガルールのイベントにおいて、Google PayおよびNext Billion User Initiativesの責任者およびビジネスチーフであるSajith Sivanandan(サジット・シヴァナンダン)氏は、現在のインドでの国内規則では、Google Payはクリアなビジネスモデルなしで運営することを余儀なくされていると語った。

モバイル決済会社は、国内で版図を拡張する戦略として、ユーザーからはいかなる料金も取り立てなかった。政府からの最近の指令は、ユーザーと業者の間でUPI取引を利用することを促進するための決済会社への優待を終らせた。

Googleのシヴァナンダンは、すべての利害関係者に対して運営によるインセンティブを保証するために、「決済業者が利益を上げる方法を見つけること」を地元の決済機関に強く要請した。

今までに30億ドル以上を集めPaytmは、2019年3月末の会計年度に5億4900万ドル(約590億)の損失を報告した。

ソフトバンクとAlibaba(アリババ)によって支援された同社は近年、Paytm Mall、eコマースベンチャー、ソーシャルコマース、金融サービスツールであるPaytm Money、および映画・チケット発売のカテゴリーを含むいくつかの新しいビジネスへと拡張した。

今年、Paytmは加盟店へのサービスを拡充し、電卓とバッテリーパック装備のQRチェックアウト・コード表示スタンド、音声確認機能で取引を行えるポータブルスピーカー、およびスキャナ・プリンタ内蔵のPOSマシンなど新しいガジェットを発表した。

TechCrunchとのインタビューにおいて、シャルマはこれらの機器はすでに加盟店から相当な需要を獲得していると語った。同社は、これらのガジェットをサブスクリプションサービスの一環として提供しており、安定した収益の確保に貢献している。

賃貸、保険、および投資サービスを提供する同社のMoneyツールは300万人を超えるユーザーを集めた。この件に詳しい、今週会社を退職したPaytm Moneyのチーフ、Pravin Jadhav(プラヴィン・ジャダヴ)氏は語った。Paytmのスポークスマンはコメントを控えている(インドのニュース元であるEntrackrはその後の展開を初めて報告している)。

インドの決済市場の別の主要なプレーヤーであるFlipkart(フリップカート)のモバイル決済サービスPhonePe(フォンペ)は、現在1億7500万人を超えるユーザーと800万人を超える業者にサービスを提供している。同社の共同設立者およびCTOであるRahul Chari(ラウール・チャリ)氏は、「このアプリは、他のビジネスがユーザーにリーチするプラットフォームとして役立つ」とTechCrunchとのインタビューで説明した。そのアプリの不動産対象部分は削減されていないと彼は付け加えた。

しかし、スタートアップ企業が新しいカテゴリーへ拡大することは、現在、いっそうより多くのライバルに直面し、しっかりした足場を得るにはより多くの金銭が必要とされることを意味している。例えば、ソーシャルコマース分野において、PaytmはNaspers(ナスパーズ)の支援するMeesho(ミーショー)数社の新規参入企業が競合しており、強力な支援を受けているOkCredit(オーケークレディット)とKhataBook(カタブック)が現在の簿記市場をリードしている。

2カ月前に7500万ドル(約80億円)を集めたBharatPe(バラットペ)は、家族経営の店舗をデジタル化し、運営資金を提供している。そして、すでにユニコーン企業となったPineLabs(パインラブス)、そしてMSwipe(エムスワイプ)はそれぞれのPOSマシンで市場を満たした。

2017年2月4日土曜日、インドのベンガルールの道端にある屋台で、その店主がM-Swipe Technologies Pvt提供のMswipe端末を持って写真に納まっている(撮影:Dhiraj Singh/Bloomberg via Getty Images)

「彼らには選択肢がない。支払いは、現金化できるe-コマースや賃貸などのビジネスへのゲートウェイだ。Paytmの場合、同社の初期の賭けはPaytm Mallだった」とConvergence Catalystという調査会社の創立者かつチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コーラ)氏は語った。

しかし、Paytm MallはAmazon IndiaおよびWalmartのFlipkartという巨人との競争で奮闘した。昨年、Mallはオフラインからオンラインおよびオンラインからオフラインというモデルに転向し、顧客による発注は地元のストアからサービスを受けるようにした。また、会社は昨年eBayから約1億6000万ドル(約170億円)を獲得した。

以前に、Paytm Mallで働いていた上層管理者は、「そのゴールポストが長年の間に常に移動しているので、ベンチャーが成長すべく奮闘している」と語った。最近は車の所有者が高速道路料金を素早く決済できるFASTag(ファスタグ)というシステム販売に力を入れ始めている。事情に詳しい関係者は、企業の少なくともあと2人の上層部が離れようとしていると語った。

コーラは、現在100を超える企業が同じ観衆を追っている、インドのモバイル決済市場の力関係は、10年以上前からの国内通信事業市場を彷彿させると語った。

「テレコム市場に4〜5人のプレーヤーしかいなかった時は、高収益になるという彼らの期待はずっと高いものだった。彼らはものすごい勢いでスケーリングしていた。それらは世界で最低のARPU(約2ドル、約200円)とともに成長し、それでも高収益だった」

「しかし、参入者が一夜にして十数まで増加し、新しいプレーヤーがより手頃なプランを加入者に提供し始めた瞬間、収益性が不確定になり始めたのだ」と彼は語った。

それをしめくくるものとして、インドで最も富裕な人物によって経営されたテレコムオペレータであるReliance Jioが2016年に参入、世界で最安価の関税計画が実施された国内で、再度市場をひっくり返し、何人かのプレーヤーに市場を去るか、破産を宣言するか、資本を強化することを余儀なくさせた。

インドのモバイル決済市場は現在同様な経過をたどっているとコーラ氏は語った。

クレディ・スイスの試算では2023年までに1兆ドル(約108兆円)に成長するとされるインドのモバイル決済市場で、そのシェアを争う十分な数のプレーヤーがいなかったならば、インド国内で4億人を超えるユーザーを擁する最も人気のあるアプリWhatsAppが、数カ月以内にインドでモバイル決済サービスを展開することになる。

関連記事:WhatsAppの世界最大のマーケットであるインドのユーザー数は4億人

前述の記者会見では、ニレカニ氏はシャルマ氏およびその他プレーヤーに賃貸のような財務サービスに焦点を合わせるよう助言している。

不幸なことに、ニューデリーで先月から3週間のロックダウンが命じられることとなった新型コロナウイルスの感染拡大は、何百万人もの人々がこうしたサービスを利用する能力に影響を与えることになりそうである。

「インドは、1億を超えるマイクロファイナンス口座があり、街角で野菜の行商をしたり、モールで売られているサリーに刺繍をしたりするような、ギグエコノミーの労働者が毎週現金でサービスを提供している。労働者の4人に3人が、他人のため、または家族経営の会社や農場で気軽に働くことで生計を立てている。「長期のシャットダウンは、2兆1000億ルピー(285億ドル、約3兆750億円)の負債を返済する彼らの能力を損い、世界最大のマイクロファイナンス産業を危険な状態に追いやるだろう」とBloombergコラムニストであるAndy Mukherjee(アンディ・ムケルジー)氏は記している

画像クレジット: Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

新型コロナウイルス陽性者をどう扱うか?

血液検査が始まる。ついにその時がやってきた。血清抗体調査(Serosurveys)は、すでに新型コロナウイルスに感染した人の割合を調べるために行われる。そして各個人については、すでに感染したが症状が軽かった、あるいはまったく感染していないかがわかる。

米国内だけで、まもなく100万人が新型コロナ感染から回復する。私自身を含め、知り合いの半数はここ数カ月間、「シュレディンガーの呼吸器感染症」を患っていて、果たして自分が新型コロナウイルス抗体陽性かどうかを何としても知りたがっている。

ただし、(大多数がそうではないが)仮に陽性だったとして何ができるのか?抗体が少なくとも一時的に免疫を意味するとしよう。それはある程度正しいと科学者は慎重に言っている。その検査は信頼するに足るほど精度が高いとしよう。だとしたら社会としてその情報をどう扱えばいいのだろうか。

抗体陽性、すなわち免疫を持つ人は、それ以外の陰性の人たちとは違って直ちに再感染する恐れなく比較的平常な生活に戻れる可能性がある。我々はそんな二階層の社会を作りたいのだろうか?老人ホームのようなリスクの高い現場で陰性の人々を陽性の人々に置き換える努力をするのだろうか?みんなの検査結果は公表されるべきなのか、それとも政府の要求によってのみ提供されるべきなのか?雇用者には?医療保険会社には?

どれも難しい質問であり、簡単に答えはでない。そして、最も害の少ない選択肢はどれかついて誰もがそれなりに強い意見を持っているだろうが、一方でこれは、まともな人間なら意見が分かれる問題であると私は思っている。総合的意見がなんであれ、その検査が最大限のプライバシーの下で実施されるべきだということには、誰もが賛成するだろう。今こそテクノロジーの出番だ

ちなみに、免疫を証明することは決して新しい問題ではない。私が訪れた多くの国々では、入国するために黄熱ワクチンを接種したことの証明が必要だった。接種を強制する国もある。解決方法は伝統的かつシンプルで分散的、日付と医師の署名が入った紙1枚だ。

この方式は比較的プライバシーが守られる。当局は個人の黄熱病記録の提出を要求することはできない。なぜなら、国境でしか必要ないからだ。正しさの検証は非常に困難であり比較的容易に偽造できるが、目的のためには「十分」だ。狙いは感染リスクを100%取り除くことではなく、対処可能な水準まで引き下げることだからだ。

同じことが新型コロナウイルスにも言える。ハーバード大学の疫学者であるBill Hanage(ビル・ハナゲ)氏とMarc Lipsitch(マーク・リプシッチ)氏がこの2月に書いていたように、何かが「一度でも」起きることと、何かが「問題となる頻度で」起きていることの区別」は重要だ。極端なケースを心配する必要はない。99%効果的なソリューションで十分だ。

では何がそのソリューションなのか?シンプルで分散的でそれなりの効果があり、プライバシーが守られるもの。例えば、検査を受けるために診療所へ行き、そこで顔写真を撮り、パスワードを選ぶ。そして検査結果と一緒にQRコードの書かれたリストバンドのようなものを受け取る。結果を証明する必要が生じたら、QRコードをスキャンし、パスワードを入力すると、顔写真が表示されて個人の識別と検査結果が確認できる(提示を拒否したり、都合よく偽装するかもしれない)。

これが完璧なソリューションだというふりをするつもりはない。本職の暗号技術者ならもっと違った良い方法を思いつくに違いない(たとえば、個々の検査結果を可能な限り匿名化し、中央データベースの管理者がいたとして、そこのデータを復号化できないようにする)。上の例で言いたかったポイントは、

・本人が認めた相手に限り結果を見ることができる
・検査結果が本人のものであることを、顔写真などの識別方法によって検証可能である

のふたつだ。

では、そんなシステムを使って何ができるのか?やがて感染拡大が落ち着いて解消した後、レストランはテーブルを一つおきに空けておく、店舗は3m四方に客が一人(マスク着用)だけ、という条件で再開することを考えるかもしれない。その代わりに、レストランや店舗は陽性の(免疫のある)客だけを受け入れるという方法があるかもしれない。つまり、店内での制限はないが、新型コロナウイルス陽性であることを証明しないと入店できない。バーに入る前に年齢を確認するのと同じように。

これは望ましい方法だろうか? 議論の紛糾は必至だ。誰かがシステムをハッキングするかもしれない(未成年者が偽IDを使うように)。それは「問題になるような頻度」で起きるのだろうか? その可能性は低い。起きる可能性の高いところでは、もっと厳重なルールが適用されるはずだ。。

テクノロジーを何に適用すべきかを考える上で重要なのは、シンプルかつ直感的、効果的でプライバシーを守れる上で、社会全体のゴールと一致していることだ。人々がどんな目的で使うことに合意するにせよ、すでに感染した人に免疫が授けられるのだとすれば、果たしなく続くパンデミックの影の中で、抗体陽性の人たちはわれわれの生活を再開する上で重要な役割を担うことになるだろう。

画像クレジット:NeedPix under a Public Domain license.

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook