インドではロックダウンの影響でTinderやNetflixなど人気アプリが苦境に

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により世界中で多くの人が在宅を余儀なくされている中、米国などではコンシューマ向け、エンタープライズ向けの一部のアプリで新規ダウンロード数が急増している。しかし世界最大のオープンマーケットであるインドでは、状況が少し異なる。

調査会社のApptopiaから得た数値を基にTechCrunchが分析したところ、TikTok、WhatsApp、Truecaller、Helo、Vmate、Facebook、Google Pay、Paytmといった人気アプリの1日あたりのダウンロード数は、過去3カ月間と変わらないか減少している。

インド国内のほとんどの企業に在宅勤務が要請され、インド政府が当初は3月25日からの21日間、その後延長されて5月3日まで全土封鎖の措置をとっている現状で、アプリ内購入を提供している人気アプリの一部ではこの4週間で売上が急落した。

インド国内で、TikTokは1月の1カ月間で2160万回ダウンロードされたが、4月12日までの31日間では2020万回と減少している。同じ期間で見てみると、WhatsAppは1700万回から1200万回に、ストリーミングプラットフォームのHotstarは980万回から300万回に、 ByteDanceのHeloは1050万回から750万回に減少している。

Apptopiaによると、TikTokは2月のほとんどの日で70万回以上ダウンロードされ、89万1000回を記録する日もあった。それがこの1週間では、1日あたり45万回を下回っている。WhatsAppの1日あたりのダウンロードは、65万回から25万回を下回るところまで落ち込んだ。

新型コロナウイルスの検査で陽性と診断された人の近くにいたことを知らせるアプリで、インド政府が公開したAarogya Setuは、現在もインド国内チャートのトップで、1日に78万回以上ダウンロードされている。

インドのApp StoreとGoogle Play Storeで、マッチングアプリのTinderのアプリ内売上は、1月は54万7103ドル(約5900万円)だったが、3月13日から4月12日までの期間では31万9102ドル(約3440万円)に減少した。Netflixのアプリ内売上は、同じ期間の比較で28万5562ドル(約3080万円)から19万2154ドル(約2070万円)に減少した。LinkedInとYouTubeも同様の減少となっている。

アプリ内売上の増加で注目されるのがHotstarだ。17万3253ドル(約1870万円)から32万9675ドル(約3560万円)に増えている。ディズニーが4月はじめに、Hotstar上でDisney+のサービスを開始していた。

マーケティング調査会社のSimilarWebによると、食料品配送アプリで先週6000万ドル(約64億6000万円)を調達したBigBasketと、同じく食料品配送アプリのGrofersは大幅に成長している。Amazon、Flipkart、Snapdealは、ここ数週間で急ぎでない注文を停止したため、インドではAndroidのダウンロード数とアクティブユーザー数が減っている。

人気ビデオチャットアプリのZoomは、2月前半の1日あたりダウンロード数は9000回程度だったが、ここ数週間では50万回以上と急増した。アジア市場で人気のゲーム、Ludo Kingは、2月前半は15万回程度だったのに対し、ここ数日では45万回と大幅に増えた。

インドはスマートフォンユーザーが5億人近くいるモバイルファーストの国だが、人々が家にいるようになってデスクトップの使用も増加している。

SimilarWebの担当者はTechCrunchに対し、「インドではデスクトップではなくモバイルでウェブをブラウズするアカウントが常に圧倒的多数を占めている。しかし2月から3月にかけてデスクトップの使用が増え、トップ100のサイトの合計訪問数に対してデスクトップのシェアは1.6%増えた。1.6%というと小さいように聞こえるが、313億2000万の訪問数の1.6%であり、重要な意味がある」と述べた。

トップ画像:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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