新型コロナウイルス陽性者をどう扱うか?

血液検査が始まる。ついにその時がやってきた。血清抗体調査(Serosurveys)は、すでに新型コロナウイルスに感染した人の割合を調べるために行われる。そして各個人については、すでに感染したが症状が軽かった、あるいはまったく感染していないかがわかる。

米国内だけで、まもなく100万人が新型コロナ感染から回復する。私自身を含め、知り合いの半数はここ数カ月間、「シュレディンガーの呼吸器感染症」を患っていて、果たして自分が新型コロナウイルス抗体陽性かどうかを何としても知りたがっている。

ただし、(大多数がそうではないが)仮に陽性だったとして何ができるのか?抗体が少なくとも一時的に免疫を意味するとしよう。それはある程度正しいと科学者は慎重に言っている。その検査は信頼するに足るほど精度が高いとしよう。だとしたら社会としてその情報をどう扱えばいいのだろうか。

抗体陽性、すなわち免疫を持つ人は、それ以外の陰性の人たちとは違って直ちに再感染する恐れなく比較的平常な生活に戻れる可能性がある。我々はそんな二階層の社会を作りたいのだろうか?老人ホームのようなリスクの高い現場で陰性の人々を陽性の人々に置き換える努力をするのだろうか?みんなの検査結果は公表されるべきなのか、それとも政府の要求によってのみ提供されるべきなのか?雇用者には?医療保険会社には?

どれも難しい質問であり、簡単に答えはでない。そして、最も害の少ない選択肢はどれかついて誰もがそれなりに強い意見を持っているだろうが、一方でこれは、まともな人間なら意見が分かれる問題であると私は思っている。総合的意見がなんであれ、その検査が最大限のプライバシーの下で実施されるべきだということには、誰もが賛成するだろう。今こそテクノロジーの出番だ

ちなみに、免疫を証明することは決して新しい問題ではない。私が訪れた多くの国々では、入国するために黄熱ワクチンを接種したことの証明が必要だった。接種を強制する国もある。解決方法は伝統的かつシンプルで分散的、日付と医師の署名が入った紙1枚だ。

この方式は比較的プライバシーが守られる。当局は個人の黄熱病記録の提出を要求することはできない。なぜなら、国境でしか必要ないからだ。正しさの検証は非常に困難であり比較的容易に偽造できるが、目的のためには「十分」だ。狙いは感染リスクを100%取り除くことではなく、対処可能な水準まで引き下げることだからだ。

同じことが新型コロナウイルスにも言える。ハーバード大学の疫学者であるBill Hanage(ビル・ハナゲ)氏とMarc Lipsitch(マーク・リプシッチ)氏がこの2月に書いていたように、何かが「一度でも」起きることと、何かが「問題となる頻度で」起きていることの区別」は重要だ。極端なケースを心配する必要はない。99%効果的なソリューションで十分だ。

では何がそのソリューションなのか?シンプルで分散的でそれなりの効果があり、プライバシーが守られるもの。例えば、検査を受けるために診療所へ行き、そこで顔写真を撮り、パスワードを選ぶ。そして検査結果と一緒にQRコードの書かれたリストバンドのようなものを受け取る。結果を証明する必要が生じたら、QRコードをスキャンし、パスワードを入力すると、顔写真が表示されて個人の識別と検査結果が確認できる(提示を拒否したり、都合よく偽装するかもしれない)。

これが完璧なソリューションだというふりをするつもりはない。本職の暗号技術者ならもっと違った良い方法を思いつくに違いない(たとえば、個々の検査結果を可能な限り匿名化し、中央データベースの管理者がいたとして、そこのデータを復号化できないようにする)。上の例で言いたかったポイントは、

・本人が認めた相手に限り結果を見ることができる
・検査結果が本人のものであることを、顔写真などの識別方法によって検証可能である

のふたつだ。

では、そんなシステムを使って何ができるのか?やがて感染拡大が落ち着いて解消した後、レストランはテーブルを一つおきに空けておく、店舗は3m四方に客が一人(マスク着用)だけ、という条件で再開することを考えるかもしれない。その代わりに、レストランや店舗は陽性の(免疫のある)客だけを受け入れるという方法があるかもしれない。つまり、店内での制限はないが、新型コロナウイルス陽性であることを証明しないと入店できない。バーに入る前に年齢を確認するのと同じように。

これは望ましい方法だろうか? 議論の紛糾は必至だ。誰かがシステムをハッキングするかもしれない(未成年者が偽IDを使うように)。それは「問題になるような頻度」で起きるのだろうか? その可能性は低い。起きる可能性の高いところでは、もっと厳重なルールが適用されるはずだ。。

テクノロジーを何に適用すべきかを考える上で重要なのは、シンプルかつ直感的、効果的でプライバシーを守れる上で、社会全体のゴールと一致していることだ。人々がどんな目的で使うことに合意するにせよ、すでに感染した人に免疫が授けられるのだとすれば、果たしなく続くパンデミックの影の中で、抗体陽性の人たちはわれわれの生活を再開する上で重要な役割を担うことになるだろう。

画像クレジット:NeedPix under a Public Domain license.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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