感染に導く新型コロナのタンパク質をモデル化、免疫療法のImmunityBioとMicrosoft Azureが協力

大量のグラフィクス処理能力を結合する取り組みが、現在のパンデミックの背後にある新型コロナウイルス(COVID-19)の治療法や治療薬の開発に取り組んでいる研究者に鍵となる力を与えるかもしれない。

免疫療法のスタートアップであるImmunityBioが、Microsoftと協力し、合計24ペタフロップのGPUによるコンピューティングパワーを使って、新型コロナウイルの原因であるSARS-CoV-2ウイルスを人間の細胞に入らせる、いわゆる「突起タンパク質」(スパイクプロテイン、Spike Protein)の極めて詳細なモデルを作ろうとしている。

この新たなパートナーシップには、スパイクプロテインのモデルを、従来のように数か月ではなくわずか数日で作れるようになる、という意味がある。この時間節約によりモデルが、ワクチンや治療薬を開発している研究者や科学者の仮想的な手に早く入るようになり、そして彼らは自分たちの仕事を、人間のACE-2プロテインのレセプターにくっつくことを彼らが防ごうとしているまさにそのプロテインの、詳細な複製を作るところまで前進させることができる。ウイルスの感染とは、まさにスパイクプロテインのその働きのことだからである。

科学者が研究している治療法のメインは、体内のウイルスの拡散を防止または最小化して、ウイルスがそれらのプロテインにくっつくのをブロックすることだ。そしてそのためのもっとも単純な方法は、スパイクプロテインがターゲットのレセプターに接続できないようにすることだ。新型コロナウイルスから回復した患者に自然に生成される抗体は、まさにそれをやっている。現在開発中のワクチンも、同じことを先回りしてやらせようとしている。また多くの治療薬は、ウイルスが新しい細胞をつかまえて体内で自分を複製しようとする能力を、弱めようとしている。

両社のパートナーシップの具体的な中身は、Microsoft Azureのクラスターからの機械学習アプリケーションが使用する1250のNvidia V100 Tensor Core GPU群がImmunityBioの320 GPUのクラスターによる分子モデリングワークと協働するかたちになる。そのコラボレーションの結果を、COVID-19の治療や予防に取り組んでいる研究者たちに提供し、彼らの研究開発努力の迅速化と有効化を促進する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ発症の自己申告を促すOperation Covid-19がGitHubで協力を募る

カナダ首相のJustin Trudeau(ジャスティン・トルドー)氏の妻から新型コロナウイルス(COVID-19)を移されたカナダ人のスタートアップ創業者は、1つのイニシアティブを立ち上げた。誰でも自らの症状を自己申告して、公開できるようにするもの。関連当局がこのパンデミックを乗り越えられるよう助けるのが狙いだ。

Operation Covid-19は、新型コロナウイルスへの感染について、公式な発表と疑わしいケースの両方をデータリストと地図で可視化している。何よりも命を救い、世界的な公衆衛生システムを改善することを目的としたもの。匿名のアンケートに答えることで、症例を自己報告できるようになっている。このサイトでは、新型コロナウイルス感染の疑いがあるケースに対して、どれだけの公式な検査が行われたかを示すことを目指している。

「より多くの人が、自らの新型コロナウイルス体験を知らせてくれれば、このパンデミックの形勢を逆転させ、より多くの知を結集して命を救うことができるようになります」と、共同創立者のJillian Kowalchuk(ジュリアン・コワルチュク)氏は述べている。

コワルチュク氏は、路上の安全を確保するためのアプリ「Safe&The City」の共同創業者だ。同氏がInstagramに投稿したように、3月5日に英国ロンドンのカナダハウスで、カナダ首相婦人のSophie Trudeau(ソフィー・トルドー)氏に会った後、新型コロナウイルスを発症した。首相夫人も、後に新型コロナウイルスに対して陽性と診断されている。

その後コワルチェク氏は、英国の病院で新型コロナウイルスの検査を拒否され、落胆した。ただ家に帰って自己隔離するように言われたのだ。これによって同氏は、検査の数が足りないことと、この問題の大きさを人々が理解していないことを憂慮するようになった。

「私が直接経験したようなことが、世界中で普通のことになりつつあります。検査が拒否され、新型コロナウイルス発症の大部分が不明のままになり、問題の深刻さが過小評価され、予防策が取られず、必要な公衆衛生の監視システムへのリソース動員が制限されてしまうのです」とコワルチェク氏はTechCrunchに語った。

このイニシアティブは、新型コロナウイルスを発症した人々から洞察を収集し、医療および公衆衛生の当局にも提供する。そうすることで、新型コロナウイルスの発症、回復、および死亡について、公式な発表と自己申告の両方をマップによって可視化し、検査の数を増やすなど、世界的に最良の施策が取られるのを後押しする。

このプロジェクトのソフトウェア開発に貢献するには、ここからGitHubにアクセスすればいい。また、ボランティア活動に参加するには、operationcovid19@gmail.comに電子メールを送信するか、このFacebookグループのメンバーになることから始めよう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

5分で新型コロナの検査ができるAbbot Labsの検査装置をデトロイトが米で初めて利用

米国デトロイトのMike Duggan(マイク・ダガン)市長は4月1日、CNNのWolf Blitzer(ウルフ・ブリッツァー氏)の番組で、デトロイト市はAbbott Labsの5分で結果がわかる新型コロナウイルス(COVID-19)検査装置を使用する最初の都市になると発表した。市長によるとその装置は、ファーストレスポンダー(広義の救急対応要員)が利用する。目標は、自己隔離中でまだ検査で陽性ではないファーストレスポンダーを検査することだ。

デトロイト市はAbbott Labsの検査装置を今日すなわち4月1日に受け取った。24時間以内に使用可能になる、と市長は言っている。

このAbbottのシステムには、米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用免除が下りている。それは小さな台所用品ぐらいのサイズの検査装置で、小型で結果が早い点ではほかの方法より有利だ。

デトロイト市は新型コロナウイルスの被害が特にひどい。最近の数字では、デトロイト周辺の郡がミシガン州の7615名のコロナウイルス患者の81%を占めている。2500名強の警官の20%以上が、新型コロナウイルスの検疫を受けている。デトロイトの患者数がとても多いため、市長は行政の正規の調達ルート以外から誰よりも真っ先に検査装置を入手した。

The Washington Post紙によると、ダガン市長はAbbot Labsの会長で前CEOのMiles White(マイルス・ホワイト)氏の携帯電話の番号を入手して、米国時間3月29日の朝に彼を起こし、検査装置の提供を懇願したという。この早朝の電話によって市は、5台のマシンの入手と5000件の検査を可能にした。

本日のAbbot Labsのツイートによると、すでに同社の検査装置のある地域における緊急看護活動の一環として、システムを新型コロナウイルス向けに利用できるようにしていく。同社によると同社の製品はすでに米国において、最も多く利用されているポイントオブケア分子診断装置(現場で用いる分子生物学的診断装置)だ。そしてそれは、医師のオフィスや、緊急ケアクリニック、救急救命室などの医療施設で広く使われている。

Abbottの予測では、4月には500万件の検査を作り出せる。それは新しい高速検査と、3月18日にFDAの緊急時認可が下りた従来的な検査機関による高速検査を合わせた数字だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ不安の中、ゼロックスが3.7兆円のHP買収を断念

Xerox(ゼロックス)は、 HP敵対的買収提案を取り下げると発表した。このドラマは昨年秋、両社の怒りが増していく書面の交換と、Xeroxの対立的行動に始まり、Xeroxは買収に反対したHP取締役会を乗っ取ろうとまでした。

そのすべてが米国時間3月31日に消滅し、Xeroxは新型コロナによる世界経済の不安定性を理由に買収提案を取り下げることを正式に発表した。

「新型コロナによる現在の世界的健康危機とそれに伴うマクロ経済と市場の混乱は、XeroxがHP(NYSE:HPQ)買収を追求し続けるべきではない状況を作り出した。このため当社はHPを買収するための公開買付を取り下げ、当社が選出した極めて有能なHP取締役候補らの推薦も行わないことにした」と同社が声明で語った。

これに対してHPは、財務状況は良好であり、この結果にかかわらず今後も株主の持つ価値を上げていくつもりだと語った。

我々は今後もHP株主の価値推進に全力をつくす。HPはパーソナルシステム、プリンター、および3Dプリンティングとデジタル製造の各部門で業界をリードしている会社だ。健全な現金持ち高とバランスシートのおかげで、世界的パンデミックという予想していなかった事態に直面しても、将来への戦略選択性を維持することが可能だった。

そもそもこの提案は理解が困難だった。Xeroxは時価総額が40億ドルほどであり、250億ドル近い時価総額のHPよりずっと小さな会社だ。まさしく小物が大物を食おうという話だ。

しかしXeroxは本日も、敗北を認めながらも両社は1つになったほうがよかったと言い張った。それをHPが現実と感じたことはない。HPはXeroxにそんな大金をそろえることができるのか、仮にできたとして、このような取引をやり遂げるほど財務状況が安定しているのかと疑問を呈していたた。

関連記事:HP買収を諦めないゼロックスが提示額を1株24ドルに引き上げ

しかしつい先月にも、Xeroxは1株22ドルから24ドルへと提案金額増やし、株主を取り込もうとした。以前取締役を総入れ替えしようとする前には、取締役会を飛び越し株主と直接交渉すると脅したこともある。

HPは、この提案に内在する敵対心も、取引を強制しようとするXeroxの行動も気に入らなかった。先月HPは、株主にXeroxの提案を拒否させる努力の一環として、数十億ドル規模の配当を提示した。しかし、結局ドラマは世界規模の危機の中でたち消えることになった。

関連記事:HPがXeroxによる敵対的買収回避のために数千億円規模の配当を株主に提案

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Audibleがハリー・ポッターのオーディオブックをストリーミングで無料公開

ハリー・ポッターのオーディオブックを買おうとしたことのある人なら、気を付けなくてはいけないことがあることに気づいただろう。まったく異なる2つのバージョンが存在する。米国で最もよく聞かれているバージョンは俳優のJim Dale(ジム・デール)氏が朗読している。英国バージョンはStephen Fry(スティーブン・フライ)氏だ。

どちらがよいか?そこには立ち入らない。それはすでにインターネットで10年以上議論が戦わされれていることだ。しかし私は、米国でスティーブン・フライ版を(合法的に)入手するのは非常に苦労するということは言っておきたい。国が異なると、販売権やライセンスも異なるからだ。

4月1日に、ルールが少し緩和された。ただし第1巻だけだ。Audible(オーディブル)は、スティーブン・フライ版の「ハリー・ポッターと賢者の石」をネットで無料公開した。別途通知があるまで継続される。

Audibleはこれについて、 J・K・ローリング氏の「#HarryPotterAtHome プログラム」の一環として行っていると言っている。このプログラムで著者は、新型コロナ蔓延で家に閉じこもっているであろう多くの子供たちにこの物語を伝えるために「著作権許諾を緩和」している。同じプログラムは、教師が自分でシリーズを生徒に朗読しているビデオを、著作権争いに巻き込まれることなく公開することも許している。ただし、教育用の閉じたプラットフォームに限られ、YouTubeなど該当しない。

なお、細かい注意点がいくつかある。

  • 北米に住んでいる人がフライ氏の朗読にはまった場合、別の巻のフライ版を見つけて輸入することは本人次第。Audibleのアカウント登録をしている場合でも、シリーズの他の巻はジム・デール氏が読んでいる。念の為に言うと、デール氏のバージョンは素晴らしい!2つは違うだけだということを知ってほしい。
  • このオーディオブックはノートパソコン、スマートフォン、タブレットなどで利用できるが、ストリーミング再生のみなので、インターネットのあるところで聴かなくてはいけない。

ハリー・ポッターのストリーム版やAudibleの無料ストーリープログラムで公開されている家族向けオーディオブックは山ほどある

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナによる外出禁止が続く中、Uber Eatsがグローサリー配達を強化

Uber Eats(ウーバー・イーツ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響が深刻な3つのマーケットでグローサリー配達オプションを強化している。

Uberのフードデリバリー部門は4月1日、パリ市民に毎日の食材やトイレ用品、掃除用品などを30分で家庭に届けるために、フランスのスーパー大手であるCarrefour(カルフール)と提携したと発表した。まずはパリ市内15店舗でサービスを開始するが、Uber Eatsは「数週間内に」全国展開する計画だ。

スペインではグローサリー配達サービスを提供するのに、Galp(ガルプ)サービスステーションと提携した。バダホス、バルセロナ、カディス、コルドバ、マドリッド、マラガ、パルマ、バレンシアの8地方の15都市で、基本的な食材や処方薬、飲料、掃除用品などを配達する。

まずはGalpのコンビニ25店舗が参加する。このサービスはUber Eatsアプリからだけでなく、スマートフォンやインターネットへのアクセスがない人も電話で利用できる。

3つめのマーケットはブラジルだ。同国でUber Eatsはサンパウロのさまざなま薬局やコンビニ、ペットショップと提携し、必需品を家庭に届ける。

「処方薬はPague Menosの薬局チェーンで、グローサリーはShell Selectコンビニで、ペット用品はブラジルで最大のペットショップチェーンの1つであるCobasiで入手できる」としている。「数週間以内に他の州や都市でもサービスを立ち上げる計画で、新サービスはUber Eatsアプリで展開される」。

グローサリーストアとのタイアップはUber Eatsにとってこれが初めてではない。同社はすでにオーストラリアのスーパーであるColes(コールス)や、英国のCostcutter(コストカッター)ブランドと提携し、英国では独立系コンビニ600店がUber Eatsのアプリを通じて利用できるようになっている。

Uber Eatsはまた、世界中の独立系コンビニが自分たちでUber Eatsアプリにリストアップできるようにしている。しかし最新のタイアップは、さらに多くのブランドを取り込むもので、これは欧州やラテンアメリカでグローサリーをより広く提供することを意味する。フランスのCarrefourとのパートナーシップは、欧州における初の大手スーパーとの提携だ。

スペインでのフードデリバリーのライバルGlovo(グロボ)は、スペインを含むいくつかのマーケットでCarrefourとグローサリー配達の提携を結んでいることは記すに値するだろう。このためにUber Eatsはスペインで異なるパートナーと提携したと思われる。

公衆衛生の危機に見舞われている他のマーケットでグローサリーデリバリーの拡張を検討するのか尋ねたところ、Uber Eatsは世界中のスーパーやコンビニ、その他の小売などと提携する機会を模索している、とのことだった。

また、新型コロナウイルスパンデミックへの対応策の一環として、同社は全てのデリバリーをコンタクトレス(非接触)に切り替えた。注文の商品は玄関先かユーザーが指定した場所に置かれる。

Uber Eatsはまた、手指消毒薬や手袋、消毒手拭きが入手出来次第、ドライバーや配達員に提供していると話した。加えて、アプリユーザーには衛生を保つための最善の方法やウイルスの拡大抑制についてのガイダンスを案内しているとも述べた。

Uber Eatsはこれより前に、新型コロナウイルスに感染したり、感染拡大リスクのために公衆衛生当局によって自宅隔離となったドライバーや配達員に対し、14日分の経済援助を提供すると発表している。援助額は過去6カ月の平均収入に基づく。

このポリシーは4月6日に見直される。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Cue Healthが現場で使用する携帯型新型コロナ検査器の開発で米政府と契約

バイオテックのスタートアップCue Healthが、米保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)の生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority, BARDA)と1300万ドル(約14億円)の契約を結んだ。この契約金は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起こしている新型コロナウイルスSARS-CoV-2の存在を検出する、片手で持てる分子検査器の開発と迅速化に使用される。

Cueは2014年に、家庭でも検査などができるインターネットに接続された超小型実験室(ミニラボ)で起業し、これまで750万ドル(約8億円)を調達している。同社が現在開発しているプロダクトは、カートリッジのような検査キットとインターネットに接続されたミニラボデバイスを結びつけて、結果をパーソナライズされたアプリベースの健康ダッシュボードに送信する。

同社は2018年にBARDAと3000万ドル(約32億円)の契約を結んでおり、インフルエンザと多重呼吸器病原体の現場および家庭用簡易検査器の開発と検証を任されていた。この既存の関係や作業は新型検査器の開発に向けた努力を早急に始めるのに役立つだろう、と同社は言っている。

CEOのAyub Khattak(アユブ・カタック)氏は、声明で「過去2年間、家庭や治療現場でインフルエンザの分子検査を20分でできる検査器をBARDAと共同開発してきた。我々のインターネットに接続するプラットフォームは、SARS-CoV-2ウイルスの検査に関しても重要なツールとして役に立つだろう」と述べている。

同社はまた同年のシリーズBで4500万ドル(約48億円)を調達し、初めてのFDA認可の臨床製品を開発する資金にした。それらは同社にとって初めての消費者向け診断ツールの評価に使われる製品でもあった。

Cueが提案している検査ソリューションは、綿棒で採取した鼻水を検体として、25分間以内に結果が出る。検体を検査専門機関などへ送らなくても治療の現場で検査することができる。

FDAの緊急時使用認可(Emergency Use Authorization)で認められた、現場使用型高速検査器はCueの製品だけではない。利用可能になる具体的なスケジュールはないが、検査器が足りない現状では、効果がある製品がなるべく多くあった方がよい。このCueの仕事は、グローバルな危機や未来のパンデミックで役に立つ、長期的な意義を持つだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

D-Waveが新型コロナ対策用に量子コンピューターへのアクセスを無料提供

D-Waveは、カナダにある量子コンピューティング企業だ。米国時間3月31日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応に取り組んでいる人なら誰にでも、Leap 2と呼ばれる量子コンピューティングのクラウドサービスへのアクセスを無料で提供すると発表した。これは新薬の開発に取り組んでいる人たちだけのものではなく、現在の危機を解決するために働いている研究者、チームなら誰にでも提供される。例えばロジスティクス、ウイルス蔓延のモデル化、あるいは新しい診断方法の開発など、分野は問わない。

D-Waveのプログラムをユニークなものにしているのは、すでに同社と他のプロジェクトで仕事をしている多くのパートナーを巻き込んだことだ。そこにはVolkswagen(フォルクスワーゲン)、デンソー、Jülich Supercomputing Centre、MDR、Menten AI、Sigma-i/東北大学、Ludwig Maximilian大学、OTI Lumionicsが含まれている。こうしたパートナーは、Leap 2を使って新型コロナウイルス危機の解決策を開発しようというチームに、エンジニアリングの専門知識を提供する。

D-WaveのCEOであるAlan Baratz(アラン・バラッツ)氏が私に語ったところによれば、このプロジェクトは約1週間半前に具体化し始めたばかりだという。その会話で同氏は、Leap 2を使用するチームは商用ライセンスを取得することになるので、開発したソリューションをオープンソース化する必要はないという点を強調した。また、通常D-Waveクラウドサービスを利用する際に標準的な、1月あたり1分という制限も課されることがないという。

「Leap 2はハイブリッドのソルバーサービスによって2月26日から利用可能となっています。これはかなり大きな問題を解くことができる量子コンピューティング機能です。現実世界における生産上の問題を解決する規模で、大きな課題を解くことができます」とバラッツ氏は述べた。「そこで私たちは、他に方法がなければ、これはパンデミックへの対応策を考え出そうとしている人たちの役に立つツールとなる可能性があると考えました。そして、これを利用可能にすべきだと考えたのです」。

同氏も、このシステムにアクセスすることになったチームが、実行可能なソリューションを考え出せる保証はないことも承知している。「それでも私たちは、このツールを公開しないのは、怠慢にあたると判断したのです」と述べた。

Leapは現在、米国、カナダ、日本そしてヨーロッパの32カ国から利用可能となっている。それらの国々では、D-Waveのパートナーも活動しており、研究者は同システムを無料で利用できるようになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フェイスブックは新型コロナの感染爆発に対応してコミュニティヘルプ機能をグローバルに拡大

Facebook(フェイスブック)が「コミュニティヘルプ」を開始したのは2017年。危機的事件の影響下にある人たちに、利用者が支援を提供したり、または援助を探したり受けたりできるようにする機能だ。以来これは、テロ攻撃や気象災害など、人為的、偶発的または天然の災厄の後にフェイスブック利用者を結び付けてきた。そして3月31日、フェイスブックはコミュニティヘルプを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応して機能を拡大する。新設された「COVID-19コミュニティヘルプハブ」は、新型コロナウイルスのアウトブレイクで被害を受けた人々が助けを求めたり、支援を申し出たりできるようになる。非営利の資金調達活動への寄付もできる。

フェイスブックが世界規模でコミュニティヘルプを展開するのは、今回が初めてだ。伝染病のパンデミックに使われるのも初めてとなる。

この機能はまず米国、カナダ、フランス、英国、オーストラリアで開始されるとFacebookは話している。

これと似たような機能は、フェイスブックのライバルである地域型SNSのNextdoor(ネクストドア)が、Help Map(ヘルプマップ)という形で最近導入しているが、まだ広く受け入れられてはいない。その原因にNextdoorがこの新機能を目立たせようとしていない点がある。現在それは「More」タブの中に埋もれていて、アプリの重要な機能としての扱いを受けていない。しかもHelp Mapは、支援を提供できる、または支援を必要としていることを利用者がリストに記入するだけのものだ。

それに対してフェイスブックのコミュニティヘルプハブは、フェイスブックが以前から取り組んでいる「クライシスレスポンス」の上に構築されていて、さまざまなツールが1箇所で使えるようになっている。

COVID-19コミュニティヘルプ機能は、Facebookで30カ国以上に展開されている「新型コロナウイルス(COVID-19)情報センター」の中にある。

3月初めに登場した新型コロナウイルス情報センターは、現在ニュースフィードのトップに表示され、世界の医療専門機関からの信頼できる医療情報にアクセスできるようになっている。また政治家、ジャーナリスト、その他の公的な人々の精査された投稿も読める。

提供開始以来、10億人を超える人たちが情報センターでシェアされた医療専門家の情報にアクセスし、フェイスブックやInstagramの教育的ポップアップを見ているとFacebookは話している。情報源の詳しい情報を学びたいと1億人以上の人がクリックスルーしたという。

本日の公式発表に先立って、新型コロナウイルス情報センターは、アメリカの一部の州でコミュニティヘルプの試験を行った。そこでは、各地域の利用者からの援助の要求があった。例えば病院でマスクを求めている、または食料品を配達するボランティアを募集しているなどだ。また、無償支援を申し出る人もいた。仕事を失ったパートタイマーに無料で食事を届けたい、ジムに通えなくなった人たちにバーチャル・ワークアウトを無料で指導したい、などといった内容だ。

これが今、対象市場全体にコミュニティーハブとして継続されるようになった。だが、今後はFacebookが主体的な目的を示す存在となる。資金調達がそのひとつだ。また食料品、赤ちゃん用品、洗面化粧品、事業支援といったカテゴリーも追加される。事業支援では各地域の企業が助けを求めたり、支援の申し出に対応できるようになる。

フェイスブックでは利用者は支援の申し出に関する投稿に対して、個人利用者として、あるいはフェイスブックページとして、投稿したりコメントしたりできると約束している。また個人でもフェイスブックページでも、助けを求める投稿をシェアして広めることができる。

さらに、COVID-19コミュニティヘルプハブは、国連財団とWHOによるCOVID-19 Solidarity Response Fund(COVID-19連帯対応資金)と、疾病管理予防センターによるCombat CoronavirusキャンペーンのためのFacebook募金という2つの新型コロナウイルス感染症のための募金活動を開始する(どちらも米国内のみ)。フェイスブックはそこで、それぞれ最大1000万ドル(約10億8000万円)の寄付金のマッチングを行う。まだスタートしていないが、間もなく、各地の非営利の募金活動を探して募金できるようになるとフェイスブックは話している。

フェイスブックによれば、今後数週間以内により多くの国々で新型コロナウイルスコミュニティヘルプハブが利用できるようになるという。まずは、リスクの高いヨーロッパとアジア太平洋地域の国々だ。

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(翻訳:金井哲夫)

オンデマンドシャトルのViaが森ビルなどから資金調達しバリュエーションは約2420億円に

オンデマンドシャトルViaのバリュエーションが、Exor(エクソール)がリードしたシリーズE投資ラウンド後に22億5000万ドル(約2420億円)になった。ExorはAgnelli(アニェッリ)家の持ち株会社で、PartnerRe(パートナー・リー)やFerrari(フェラーリ)、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービル)の株式を保有する。

Exor以外にいくつかの投資家も参加したシリーズE投資ラウンドは、この件に詳しい情報筋によると、4億ドル(約430億円)だった。Exorが2億ドル(約215億円)投資したとViaとExorが発表している。Exorのアーリーステージ投資部門を率いるNoam Ohana(ノーム・オハラ)氏がViaの役員会に加わる。

新規投資家としてMacquarie Capital、森ビル、Shellが、既存投資家からは83North、Broadscale Group、Ervington Investments、Hearst Ventures、Planven Ventures、Pitango、RiverPark Venturesが今回のラウンドに参加した。

約700人を雇用するViaは今回調達した資金の大半を、事業のソフトウェアサービスの「提携」拡大にあてる計画だ。同社はシカゴ、ワシントンD.C.、ニューヨークで消費者向けのシャトルを運行している。しかし実際のところ、事業の中核はソフトウェアプラットフォームだ。同社はこのプラットフォームを、自前のシャトルバスを展開する自治体や運輸当局に販売する。

Viaの創業者でCEOのDaniel Ramot(ダニエル・ラモット)氏によると、Viaが2012年に創業されたとき、自治体はソフトウェアプラットフォームにほとんど関心を示さなかった。同社は消費者向けのシャトルにフォーカスして始まった。その後、サービスを通じて集めた膨大な量のデータを使ってダイナミックなオンデマンドルート決めのアルゴリズムを改善した。このアルゴリズムではシャトルが最も必要とされている場所を通るようにするためにリアルタイムデータを用いている。

Viaはオースティンの交通当局にプラットフォームを無料で提供し、その後2017年後半にオースティンと初の自治体との提携を結んだ。この提携によってViaはケーススタディを進めることができ、また他の自治体にも同社のサービス購入を促すものとなった。2019年に事業提携部門が立ち上がった、とラモート氏は最近のインタビューで語り、新型コロナウイルス(COVID-19 )が拡大する前は、週に2、3の自治体と提携を結んでいたとも述べた。

今日では、Viaのプラットフォームはカリフォルニア州のロサンゼルスやクパチーノといった都市、Arriva  Bus UKなど100以上のパートナーに使用されている。Arriva Bus UKはドイツ鉄道のサービスで、通勤客を英国のケントにある高速鉄道駅に運ぶのにViaのプラットフォームを活用している。

パンデミックの中での資金調達

スタートアップにとって、今は新型コロナウイルスパンデミックのために資金確保が極めて厳しい。そうした不運な状況でViaはなんとか資金調達ラウンドをクローズした。新型コロナウイルスは製造から運輸、エネルギー、不動産に至るまであらゆる産業や事業セクターのマーケットを滅茶苦茶にした。

クレジットの厳格化や不透明さにもかかわらず、Viaはかなりの規模の資金を調達できた。ラモット氏はラウンドがずれ込むかもしれないと心配していたとき、ExorがViaと同じビジョンを共有する長期的かつ辛抱強い投資家であることに気づかされたとTechCrunchに語っている。

公共交通や配車、シェア用マイクロモビリティ、航空を含む運輸のあらゆるカテゴリーが利用減やサービス停止に直面している今ですら、ラモット氏とオハラ氏は約束された未来を描いている。

低いユニットエコノミクスや定かではない収益化への道のりといったハードル、つまりライドシェアの限界をマーケットは理解し始めているとオハラ氏は述べた。「一方で、オンデマンドのダイナミックなシャトルバスサービスのマーケット規模は大きく、現在は過小評価されている」とも話している。「今日の公共交通機関に目を向けると、Viaにとって大きなチャンスがある。当社はすでに、世界中の自治体や公共交通パートナーと協業し、かなりの経験を持っている」。

だからといってViaが広がりつつあるパンデミックの影響を受けないわけではない。Viaの消費者向け事業は、感染拡大のために乗車が落ち込むなどしてマイナスの影響を受けている。

しかしパートナーシップの事業はいくぶん約束されている、とラモット氏は話した。

すでに提携しているパートナーとしては、ドイツのベルリンやオハイオ、マルタの交通当局が含まれ、これらはViaとともにパンデミックの間の新たな需要に対応するソフトウェアに変更したり導入したりしている。自治体は商品や必要不可欠の業務に従事する人たちを輸送するのにシャトルサービスを使うかもしれない。例えばベルリンは120台のシャトル車両を、ヘルスケアワーカーの通勤向けの無料夜間サービスにあてている。

「緊急サービス分野が真の関心を寄せている」とラモット氏は話し、パンデミックが広がるにつれてソフトウェアプラットフォームや同社が提供するフレキシビリティに対するさらなる需要が出てくると予想している、と付け加えた。

画像クレジット:Via

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(翻訳:Mizoguchi

スタートアップのグループが新型コロナと戦う医療従事者にフラットパックの防護ボックスを提供

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対処する医療機関を支援できないかと、スタートアップ企業や起業家たちがいろいろな取り組みをしている。その中に、個人用防護具の需要に応えるCOVIDボックスプロジェクトがある。トロントのボランティアが立ち上げた活動で、スタートアップの創設者やその従業員、さらに医師や医療の専門家も参加している。

このグループが作っている新型コロナウイルス感染症患者の挿管に使う箱は、ポリカーボネート製で、輸送しやすいようにフラットパックになる(平らに折り畳める)。受け取った先で即座に組み立てができ、医療機関などの医師が患者に挿管するときに使用できる。挿管とは、患者の気管にプラスティック製の管を挿入して気道を確保することをいう。特人工呼吸器を使わなければならない人には欠かせない処置だ。新型コロナウイルス感染症が重症化すると、通常は人工呼吸器による治療が必要となる。

挿管ボックスは、医療従事者を守るもう1つの防護層になる。透明プラスティックが使われているので、処置に支障はない。デザインは世界中の新型コロナウイルス感染症患者の挿管をできる限り医療従事者の安全を守りながら行うというグローバルな課題に対処するために、台湾の賴賢勇(ライ・シェンヤン)医師が考案しオープンソース化したものをベースにしている。

COVIDボックスプロジェクトでは、必要な材料がある場合に自作できる手順も公開しているが、もっと大量に配布できるように彼らは大量生産の道を探っている。まずはカナダの病院から開始して、全世界の医療機関の需要にも応じていく予定だ。Taplytics(タプリティクス)の共同創設者でCTOでもあるプロジェクトの共同創始者のJonathan Norris(ジョナサン・ノリス)氏は、チームは1週間かけてプロトタイプの作ったと話している。

「先週の初めに、Taplyticsの財務責任者Gloria Cheung(グロリア・チャン)が私たちのところへやって来て、新型コロナウイルス感染症の患者に挿管するときに医療従事者を守るための簡単なプラスティックの箱を医師たちが欲しがっていると教えてくれました」と彼はメッセージで話してくれた。「私たちは医師グループと、Taplyticsのエンジニアたち、そしてFIRSTロボティクスプログラムで指導をしてくれた私の知人たちとを引き合わせ、その目的に適ったフラットパックにできる箱のデザインを行い、いくつものプロトタイプを作ることができました。私たちはEventscape(イベントスケープ)と協力して、急いでプロトタイプを作り、最終バージョンを仕上げ、昨日、トリリアム・ヘルス・ネットワークでの使用許可をもらったところです」

グループでは、大量生産のための寄付製造を手伝ってくれる仲間を募っている。特にCNCルーターを持っているところが望ましい。むしろ、基本的にCNCルーターさえあれば作ることができるものだ。また、1/4インチ(6ミリ)厚ポリカーボネート板の提供者も探している。

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(翻訳:金井哲夫)

GMは新型コロナで需給逼迫するマスクを1日5万枚生産へ

GM(ゼネラル・モーターズ)は3月31日、需給が逼迫している医療用フェイスマスクの生産についての詳細を発表した。同社のプレスリリースによると、実際にマスク生産にこぎつけるまでに7日もかからない。同社は発表の中で、4月8日にマスク2万枚の納入を予定し、その後生産ラインが本格稼働すれば1日に5万枚生産できることを明らかにしている。

これらのマスクは現場で働くヘルスケアスタッフが、患者の咳やくしゃみで拡散する飛沫に含まれるウイルスから身を守るのに使われる、必須の個人用保護具(PPE)だ。

GMはマスク生産ラインを1週間で整えるためにグローバルのパートナーに協力を求めた。材料はGMの既存のサプライチェーンから確保し、生産設備はミシガン州ホランドのJR Automationと、同じくミシガン州オーバーンヒルズのEsys Automationから入手した。プレスリリースにある通り、ISOクラス8に相当するクリーンルームも同社のウォレン製造プラントに設置した。GMとUAW(全米自動車労働組合)はこの新しい組立ラインを動かすボランティア数十人を募ることにしている。

「我々が最初に声をかけたのはファブリックの車両部品を扱ったことがある人だった」とGMプラントディレクターでグローバルの生産前オペレーションを担当するKarsten Garbe(カーステン・ガルべ)氏は述べた。「数日のうちに、GMのシートベルトやインテリアトリムの専門家らはフェイスマスク生産の専門家になる」

このチームがフェイスマスク生産ラインに従事する間、他のGM従業員は人工呼吸器の製造に取り組む。3月27日にDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領はGMに人工呼吸器の製造と国との契約の優先を命じる大統領令に署名した。この数時間前にはGMは新型コロナウイルス(COVID-19)に苦しむ患者が必要とする重要な医療備品を製造する計画を発表していた。

新型コロナ対応に関しては、他の車メーカーも取り組んでいる。Ford(フォード)とGEヘルスケアは人工呼吸器デザインをAiron Corpからライセンス取得し、ミシガンの工場で7月までに最大5万台を製造する計画だ。これはCOVID-19患者の治療に使われる重要な医療機器を提供するための取り組みだ。この提携のもとで、フォードはAiron人工呼吸器を4月末までに1500台、5月末までに1万2000台、7月までに5万台製造する見込みだと話している。

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(翻訳:Mizoguchi

Colorが新型コロナ大量検査テクノロジーをオープンソース化、自社ラボも稼働へ

ヘルス・遺伝子テクノロジーのスタートアップColorは、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に対処するために重要な役割を果たそうとしている。3月31日に公開されたCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏の書簡で、新型コロナウイルスの検査を大幅に拡充するためのColorの支援内容が詳しく説明されている

稼働が計画されている高スループットの検査ラボでは、結果を病院に報告するまでのターンアラウンドタイムを24時間以内として1日あたり最大1万件の検査を処理できるという。Colorは新型コロナウイルス拡大防止に最大限に役立てるために、この検査ラボの設計や検査プロトコルを含むテクノロジーの詳細をオープンソース化し、誰でも利用できるようにするという。これにより高速、大容量の検査施設が世界各地にオープンされることを期待している。

Color自身のラボはすでに準備をほぼ完了しており、ララキ氏によれば「ここ数週間で稼働を開始」できるという。Colorのチームは、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が運営するBroad Institute、コーネル大学のWeill Cornell Medicineと協力して、現在標準的に利用されている手法よりも高効率で結果が得られるテクノロジーを開発した。

Colorの重要な強みは、自動化と必要な資材をすばやく調達するテクノロジーにある。 例えば検査に必要な試薬は多数のサプライチェーンから入手可能だ。これは米国だけでなく世界的に大規模な検査体制を構築する上で極めて重要な要素となる。つまり全員が同じテクノロジー、同じ処理プロセスを利用していれば早い段階で試薬などの供給においてボトルネックに直面することになるからだ。1日に数万の検査を処理できるテクノロジーがあっても、必須試薬の1つが他のすべてのラボでも必要とされている場合、たちまち入手困難に陥ってしまうだろう。

Colorは、他の2つの重要な分野でも新型コロナウイルス対策に取り組んでいる。 最前線で仕事をしている人々のための検査と結果判明後のフォローアップ処理だ。こうした人々は社会を機能させるために必須であるが高いリスクに直面しているため検査の必要性が高い。Colorでは政府や雇用主と連携し、病院内の検査、検査ラボのロジスティクス、患者と医師のコミュニケーションなどの改善に注力するために全社的に人員を再配置した。

多くの医師や医療関係者から検査後のワークフローに関する問題が報告されている。つまり検査結果を有効かつ効率的に利用する一貫したフォローアップ体制を構築することが非常に難しいという問題だ。Colorはこの解決にも取り組んでいる。例えば同社はこれまでの経験を活かして構築した独自のワークフローのプラットフォームを開放し、他の新型コロナウイルス検査ラボが無料で利用できるようにしている。

無料で利用できるリソースには、検査結果報告書、患者向けのガイドラインと指示、接触履歴アンケート、陽性と判定された患者に接触しウイルスに暴露された可能性がある人々に連絡する方法などが含まれている。

Colorの新型コロナウイルス対策事業の一部は個人及び組織の寄付によって支えられてきたという。同社では、新型コロナウイルス対策のプロジェクトやリソースに関連して有用な貢献ないしビジネスができると考えるならcovid-response@color.comに直接メールするよう呼びかけている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フェイスブックは自らの規定に反してブラジル大統領の新型コロナに関する誤報を削除

Facebook(フェイスブック)は、ブラジルのJair Bolsonaro(ジャイール・ボルソナーロ)大統領による新型コロナウイルスに関する有害と思われる誤報の拡散を防ぐために、政治家の発言の虚偽をチェックしないという自らの方針に反した。Facebookが行なった断固たる選択は、米国時間3月29日にボルソナーロ氏がシェアしたビデオを削除することであり、そのビデオの中で彼は「ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)がどこでも効くんだよ」と主張している。その薬は新型コロナウイルスへの治療効果を試験されているが、研究者や保健医療機関はその効果を確認していない。

フェイスブックのスポークスパーソンはTechCrunchに対して次のように語っている。「フェイスブックとInstagramにおける弊社のコミュニティ規定に違反しているコンテンツは削除している。身体に害を及ぼす可能性のある誤報もそのひとつだ」。治癒や治療法、必要不可欠なサービスの利用可能性そして感染症の発生場所やその程度に関する虚偽の主張を特に禁じている。

BBC News Brazilが、ポルトガル語で最初に報じている。その削除されたビデオの中でボルソナーロ氏は路上商と話をしており、WHOが社会的距離を推奨しているにもかかわらず「彼らは仕事をしたいんだよ」と話していた。そして「あの薬、ヒドロキシクロロキンならどこでも効くんだよ」と口にしている。

誰にでも効く新型コロナウイルスの薬があると間違って信じると、外出や仕事、隔離状態の拒否も平気でできるようになり、ウイルスの拡散を強めるばかりかその抑止努力を無意味にし、医療システムを崩壊させる恐れもある。

そこでTwitterは謝った情報が広がるのを止めるために、日曜日にボルソナーロ氏のツイートを2つ、そして元ニューヨーク市長であるRudy Giuliani(ルドルフ・ジュリアーニ)氏のツイートを1つ削除した。しかし3月30日までFacebookは、政治家の主張の真実性をめぐる裁定役を基本的に避けてきた。それは悪名高く、Donald Trump(ドナルド・トランプ)をはじめとした政治広告の中にある露骨な誤報も、ファクトチェッカーに送ることを拒否してきた。

関連記事:トランプのコロナウイルス「デマ」発言を巡ってFacebookでファクトチェック抗争が勃発

しかし先週、Facebookは「差し迫った身体的危害を助長する可能性のある」新型コロナウイルスに関する誤報は、2018年以来のその他の案件に対して行ったように、直接かつ直ちに削除すると発表した。それに対してさほど緊急性がなく、身体的危害に直結しない陰謀説などはFacebookでのリーチを下げることができるファクトチェッカーへ送られる。

問題は、感染の深刻さや治療法の可能性、人びとを仕事に復帰させることに関する危険性などについて誤報をばらまいて批判されてきたトランプにも、このような削除やファクトチェックは適用されるのかということだ。Facebookは、自分たちの投稿を差別したり、検閲したりしているという虚偽の話による保守的な政治家や一般市民から反発を恐れていることで知られている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

J&Jが新型コロナのワクチン開発基金に米政府機関と共同で約1070億円出資

製薬大手のJohnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)は30日、米国保健・福祉部門の生物医学先端研究開発局(BARDA)と提携して新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンと抗ウイルス治療研究開発に10億ドル(約1070億円)超を拠出すると発表した。

この提携は、BARDAとJ&JのJanssen Pharmaceutical (ヤンセンファーマ)の部門がすでに結んでいる合意を拡大させたものだ。

合意では、同社はワクチン10億人分超を提供することを目標としている。遅くとも2020年9月までにワクチンの臨床試験を行う予定で、初回出荷分のワクチンは2021年初めまでに緊急使用目的で提供される見込みとしている。

BARDAのJ&Jとの提携は、現在行われているワクチンの開発に加え、可能性のある抗ウイルス治療の研究・開発も含んでいる。これらの取り組みの中には、ベルギーの科学機関Rega Institute for Medical Researchと行っている開発もある。

J&Jはまた、グローバルの製造能力を拡大するとも述べた。追加の生産能力により、緊急パンデミック使用のための収益目的ではない安価なワクチンを一般に提供することが可能になる、と同社は説明している。

ハーバード大学医学部附属病院のひとつベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センターのチームとの協業でJanssen Pharmaceuticalは1月に可能性のあるワクチン候補の研究を始めた。そうした候補はいくつかの学術機関でのテストを経て主要な新型コロナウイルスのワクチン候補となり、またこれとは別に2つのバックアップもあるとのことだ。

先週、 ワクチンに取り組んでいる別の製薬会社であるModerna Health(モデルナ・ヘルス)は、早ければ今秋にも、ヘルスケアワーカー向けに実験治療を行うことができるかもしれないと明らかにした。

Modernaのワクチンは、この病気の予防のために少量の新型コロナウイルスそのものではなくメッセンジャーRNAを使っている。mRNAの使用は予防接種を受ける人を病気にさらさないということであり、病気にかかるリスクはない。

Modernaは3月23日にワシントン州で行われた第1段階の臨床試験の一環として、ボランティア参加者にワクチンを提供した。

画像クレジット:zhangshuang / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックが新型コロナ被害を受ける地元報道機関に約110億円を支援

Facebook(フェイスブック)は米国時間3月30日の朝、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックについて報道を行いながらも、収益においても大きな打撃を受けている地元の報道機関に対して、さらに1億ドル(約110億円)相当の支援を行うことを発表した。

フェイスブックによると今回の資金調達の内訳は、地元の報道機関に対する2500万ドル(約27億円)の補助金と、世界中の報道機関に対する7500万ドル(約81億円)のマーケティング費用だという。

フェイスブックのグローバルニュースパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるCampbell Brown(キャンベル・ブラウン)氏はブログ投稿の中で「ローカルジャーナリズムが重要な公共サービスであることを示す証拠がより必要なことを、まさに人々は今実感している」と述べた。さらに「ほとんどすべての企業が今回の危機による財政的な悪影響に直面しているが、我々はほとんどの企業よりも恵まれた立場にあることを認識しており、他社を支援したいと考えている」と記している。

フェイスブックは3月初めに、パンデミックに関する報道に対する助成金の最初の100万ドル(約1億1000万円)を発表し、現在は米国とカナダの50の報道機関を支援している。サウスカロライナ州のPost and Courier(この資金により農村部への取材を拡大するために必要な旅費と、リモートワークを支援)、Southeastern Missourian(高齢の読者にニュースを配信するためのリモートワークと、緊急対応のために資金を利用)、El Paso Matters(フリーランスの記者と翻訳者を雇用)などへの支援がその例となる。

今回の資金調達は、フェイスブックが2019年ローカルニュースに投じた3億ドル(約320億円)と、3月初めに発表した新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業への1億ドル(約110億円)の補助金に続くものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フォードとGE Healthcareが小さな企業が設計した人工呼吸器を7月までに5万台生産

Ford(フォード)とGE Healthcareが、Airon Corpの人工呼吸器の設計をライセンスを取得して、2020年7月までにミシガン州の工場で5万台生産する。それは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に必要不可欠な医療機器を提供する同社の幅広い取り組みの一環だ。

フォードはまず、エンジニアのチームをAironのフロリダの工場に送って、人工呼吸器の増産を手伝う。現状ではその工場でAiron Model Aの人工呼吸器を1日に3台しか作っていない。フォードはまた、ミシガン州イプシランティの部品工場で4月20日より、Airon Model A-E人工呼吸器の量産を開始する。その工場では全米自動車労組の500名の従業員がボランティアで働き、その給与をフォードが払う。フォードは自動車の生産をパンデミックの間中断する。

米国時間3月30日のフォードの発表によると、同社はAironの人工呼吸器を4月中に1500台、5月には1万2000台、7月までには計5万台を生産する。月産能力は最終的に3万台にまで拡大する。

フォードとGE Healthcareはまた、GE Healthcareが設計した簡易人工呼吸器を量産にも取り組んでいる。

3月30日に行われた以上の発表は、自動車メーカーと医療機器メーカーの協力により新型コロナウイルス治療のための人工呼吸器不足を緩和しようとする最新の取り組みとなる。新型コロナウイルスは肺を侵して急性呼吸促迫症候群と肺炎をもたらす。まだ臨床的に実証された治療法がないので、患者の呼吸を助け病気と戦うためには人工呼吸器に頼るしかない。The New York Timesの記事によると、米国には約16万台の人工呼吸器があり、他には国家戦略備品(National Strategic Supply)として1万2700台がある。

GMは先週、インディアナ州ココモのエンジン工場で1000人のワーカーによりVentec Life Systemsの人工呼吸器の生産を開始すると発表した。生産開始は7〜14日後で、4月中にはFDA(米国食品医薬品局)が認可した人工呼吸器を出荷される計画だ。Ventecはまた、ワシントン州ボセルの工場で増産に努めている。

フォードとGE Healthcareの提携により、Airon Corpにも注目が集まっている。小さく非上場の同社は、ハイテク空気圧式ライフサポート製品を専門にしている。GE Healthcareがフォードに導入したAiron Model A-E人工呼吸器は、同社によると気圧で動作し電気を使わない。Aironはこの人工呼吸器を2004年から製造している。

Aironの設計が選ばれたのは、シンプルな設計のためフォードが迅速に生産規模を拡大できると想定されたためだ。FDAが認可し、医師も認めるその設計は、呼吸不全や呼吸困難になった多くの新型コロナウイルス患者のニーズに応えるとGE Healthcareの副社長兼最高品質責任のTom Westrick(トム・ウェストリック)氏はいう。

今回の提携では、フォードは製造資源を提供し、GE HealthcareはAironから人工呼吸器の設計をライセンス供与し、臨床における専門的な知識を提供する。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Medtronicは定評のあるポータブル人工呼吸器の完全な設計仕様とコードを無料公開

医療および生物医学工学系企業のMedtronic(メドトロニック)が、話題になっている。それというのもTesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOが、新型コロナウイルス(COVID-19)危機に対処するために人工呼吸器を生産したいと同社に相談を持ちかけたからだ。3月30日、Medtronicは、それよりもずっとインパクトのある取り組みを発表した。同社はPuritan Bennett(PB) 560ポータブル人工呼吸器の完全な設計仕様、製造マニュアル、設計資料そして将来的にソフトウェアのコードも一般公開する。

PB560にはいろいろな利点があるが、1つは比較的コンパクトで軽量なため、簡単に持ち運びができて、いろいろな医療機関や医療現場に設置して使えることだ。さらにこの機種は2010年に発売されているため10年間、安全に患者の治療を行ってきた医療機器としての実績もある。

現在、人工呼吸器の製造や、Dyson(ダイソン)のような畑違いの製造業者にも作ることができる新しい人工呼吸器の開発などのさまざまな取り組みが行われており、より多くの患者に行き渡るように、既存のハードウェアに改良を加えようとする企業もある。だがMedtronicは、世界中の製造業者が新たな生産ラインを設備できるように、費用も手数料も取らずにすべてを無料公開するという方法をとった。

それでも、現在の生産ラインを作り変えて別のものを製造するのは、どのような設計仕様を手に入れたそしても、現実には大変な仕事になる。だがMedtronicの取り組みは、今何が作れるかを模索している人たちに必要なリソースを与えることを意図している。それが、新しい画期的なアイデアの青写真になるからだ。製造業者は、Medtronicの実績ある設計を見ることで、自分たちでも比較的早期に製造可能なそれと同じ、または近い性能を有する機器を開発できるかも知れない。

Medtronicではその設計は、短期間で製造に入れて、それぞれの状況に適した設計を開発しようと試みている「発明家、スタートアップ、学術機関」に特に適していると話している。

「私たちはPB560の設計仕様を公開することで、業界の壁を越えて参加を望む企業が、早急に人工呼吸器を製造できる方法を考え、新型コロナウイルスと戦う医師と患者の役に立てるように手助けします」と、MedtronicのMinimally Invasive Therapies Group(低侵襲性治療グループ)対外コミュニケーション責任者John Jordan(ジョン・ジョーダン)氏は言う。

その一方でMedtronicは、PB980やPB840などのより高度な人工呼吸器の製造を続けるが、それらはさまざまな専門メーカーから集めた「1500点以上の部品」が必要で、「専門性の高い熟練した人材」と「相互接続されたグローバルなサプライチェーン」に依存しているためだと彼は話す。PB560でも、ある程度まで同じことがいえるだろうが、小型でシンプルなデザインのために、医療分野に初めて参入し、ほとんどあるいはまったく経験を持たずに人工呼吸器の製造に舵を切ろうと考える企業には最適の候補となる。

注意すべきは、Medtronicは厳密にはPB560の設計仕様をオープンソース化するわけではないということだ。同社は、新型コロナウイルスの世界的パンデミックに対処する場合に限って、特別な「パーミッシブ・ライセンス」を発行する。そして、ライセンスが失効するのは、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の公式な終息宣言を行ったとき、または2024年10月1日のいずれか早い時点となる。

限られた期間であれ、Medtronicのような営利目的の企業が、独自開発したコード技術を一般公開するところまで考えるというのは、新型コロナウイルス危機がいまだ拡大傾向にあり、深刻化を増している証ともいえる。

PB560の設計仕様を見て、それを元に独自の機器を製造したいと考えるスタートアップや製造業者の皆さんは、こちらでライセンスの内容に同意して登録すれば、ファイルにアクセスできるようになる。

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(翻訳:金井哲夫)

ビデオ会議アプリのダウンロードが新型コロナ需要で過去最多の週6200万回

在宅勤務の推奨やソーシャルディスタンス(社会的距離)の励行、政府によるロックダウンなどにより、ビデオ会議アプリの需要が業務使用、個人使用のどちらでも増えている。その結果、30日に発表されたApp Annieの最新レポートによると、ビジネス会議アプリは3月に過去最多の伸びをみせている。3月14〜21日の週にはダウンロード数は6200万回を記録した。また、ソーシャルネットワーキングのビデオアプリHousepartyは、ロックダウンや自宅隔離が広がる欧州で空前の伸びとなった。

そうした成長は予想されていたが、App Annieのレポートではこうしたアプリがどれほど多くの新規顧客を新型コロナウイルスの影響を受けている期間に獲得しているのかを具体的に示している。

たとえば、iOS、Google Playでのビジネスアプリの3月上旬のダウンロード数は6200万回だったが、この数字は前週から45%増だった。また、アプリストア全体の中でその週に最も成長したカテゴリーだった、とレポートにはある。2019年のビジネスアプリダウンロード数の週平均からは90%増だった。

こうした成長の大半は、GoogleのHangouts Meet、Microsoft TeamsそしてZoom Cloud Meetingsなどによるものだ。

2月と3月に世界で最もダウンロードされたのはZoomで、特に米国、英国、欧州では引き続きかなりダウンロードされている。

記録的なダウンロード数となった週の数字は、米国における2019年第4四半期の週平均の14倍だった。英国においては第4四半期の週平均の20倍超がダウンロードされ、フランスでは22倍、ドイツでは17倍、スペインでは27倍そしてイタリアではさらに多い55倍だった。

アプリストア調査会社のSensor Towerのレポートでは、米国でのZoomのダウンロード回数は3月中旬に増えているが、3月9日の週以前に米国App Storeでの検索ワードトップ100の中に「Zoom」は入っていないと指摘している。つまり多くの新規ユーザーに、おそらく仕事メールでのリンクシェアやカレンダーでの招待、イントラネットサイトなどっでアプリのインストールページが直接送られたことを示している。

また3月には、GoogleのHangouts Meetも特に英国や米国、スペイン、イタリアで多くダウンロードされ、Q4の週平均ダウンロード数との比較ではそれぞれ24倍、30倍、64倍、140倍だった。

Microsoft Teamsもそこまでではないもののダウンロード数は増加し、Q4の週平均との比較ではスペイン15倍、フランス16倍、イタリア30倍だった。

消費者アプリをみると、 Z世代の間で人気のソーシャルビデオ会議アプリのHousepartyが欧州などで急成長した。これにはネットワーク効果が貢献したようだ。友達や家族がHousepartyを利用するようになるほど、このアプリはより役に立つ。そうして使用の輪はさらに広がる。イタリアでは3月21日までの1週間で、Housepartyのダウンロード数は2019年第4四半期週平均ダウンロード数の423倍にものぼった。

スペインではHousepartyの成長はより顕著で、3月21日までの1週間のダウロード数は2019年Q4の2360倍だった。それまではスペインではHousepartyはさほど浸透していなかったことも記すに値するだろう。COVID-19流行がなければ足掛かりを築くことはなかったはずだ。

ビジネス会議アプリと異なり、Housepartyはビッデオチャットをより個人的でソーシャルな体験にすることを目的としている。アプリを立ち上げると、あなたが話せる状態であること、誰がオンラインなのかが表示される。これは他のメッセージアプリと似ている。しかし参加できるライブのパーティや遊べるアプリ内ゲームが用意されていて、つまりこのアプリはバーチャルオフィス会議のためのものではない。

もちろんこの時期、ビジネスアプリだけがブームになっているわけではない。

Google ClassroomやABCmouseといった教育アプリ、それからInstacartのようなグローサリー配達アプリの使用も3月に急増している。

「社会的隔離の期間がどれくらいになるのか見通せない状況に直面し、ビデオ会議アプリは我々の毎日の習慣にかなりの影響力を及ぼす可能性を持っている。地理的バリアをなくし、かなりシームレスに働いたり社会的つながりを維持したりできる能力を持つ」とはApp Annieはレポートに記している。そして「世界にとって前代未聞の状況であり、モバイルにとってかなりダイナミックな時だ。我々は文字通り全部門で消費者行動の変化を目の当たりにしている」と結んでいる。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

AirbnbがCOVID-19で予約をキャンセルされたホストのために270億円の救援金を準備

Airbnbは、COVID-19の影響を受けたホストへの2億5000万ドル(約272億円)の支援を発表した。3月14日から5月31日までチェックインを予約していたゲストがキャンセルした場合、Airbnbが通常のポリシーにより受け取るはずだった金額の25%をホストに支払う。Airbnbによるとこのポリシーは、その期間のすべてのキャンセルに対して遡及的に適用される。

これは、ホストに対するAirbnbの救済策で、ゲストがキャンセル料を全額受け取ることができるというAirbnbのポリシーに打撃を受けているホストが対象となっている。そのポリシーは現在も有効で、3月14日以前から5月31日までの間に予約を入れていたゲストは、キャンセルすると通常の返金や旅行のクレジットを受け取る。

AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、3月30日のホスト宛書簡で次のように述べている。「キャンセルしたゲストは、全額返金されなければならないと私たちは決定しました。この決定はビジネス上のものではなく、公衆衛生の保護に基づいていることをご理解ください。ただし、私たちは健康と安全を優先する正しいことをしたと信じています。しかしパートナーであるホストとの皆さんに相談せず、その決定をゲストに直接伝えたことにお詫び申し上げます。皆さんのご不満は承りましたし、もっと良いパートナーであるべきだったと反省しています」。

このほかAirbnbは、スーパーホストと体験ホストのための1000万ドル(約11億円)のファンドを作っている。内100万ドル(約1億1000万円)は社員が寄付し、残る900万ドル(約9億8000万円)をAirbnbの共同創業者であるJoe Gebbia(ジョー・ゲビア)氏とブライアン・チェスキー氏、Nate Blecharczyk(ネイサン・ブレハルチク)氏が個人的に拠出する。4月以降、ホストは最大5000ドル(約54万円)の助成金を申請できる。そしてその間にホストへのサポートを表明したいゲストは、ホストに直接支払うことができるようになる。

チェスキー氏は現在、ホストのためのビデオQ&Aを行っている。それはここで観ることができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa