Voicyとスタディプラスが「大学に特化した」音声配信サービス開始、新潟医療福祉大学が導入

Voicyとスタディプラスが「大学に特化した」音声配信サービス開始、初期導入大学として新潟医療福祉大学が決定

日本初の音声プラットフォーム「Voicy」(ボイシー)を提供するVoicyは6月17日、学習管理SNS「Studyplus」(スタディプラス)などを提供するスタディプラスと提携して大学に特化した音声配信サービスを6月1日から提供開始したと発表した。

Voicyは、2016年にサービスを開始した音声プラットフォーム。著名人による「声のブログ」、4大マスメディアの記事が声で聞ける「メディアチャンネル」、企業の社外報「オウンドメディア」など500以上のチャンネルがあり、ラジオともポッドキャストとも違う音声体験が楽しめる。

これを活かし、スタディプラスと提携することで、大学が発信する音声コンテンツの企画・制作・編集・配信・分析までを統合的に行うというのが、この大学向けプラットフォームだ。管理はVoicyとスタディプラスが行うので、大学側は人的リソースを確保することなく、リスナーの確保やコミュニティー形成といった支援が受けられる。

また新潟医療福祉大学が導入を決定し、「新潟医療福祉大学健康ラジオ617」として大学教員による「健康になれる話」や「ちょっとした健康雑学」といったコンテンツの配信を6月17日から始めている。

Voicyとスタディプラスが「大学に特化した」音声配信サービス開始、初期導入大学として新潟医療福祉大学が決定

今後は、高校生や高校教員、保護者に向けた「大学のブランディング、興味関心の向上、長期的な関係構築を目的とした音声配信」を可能にしてゆくという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:音声(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)スタディプラス(企業・サービス)Voicy(企業・サービス)メディア(用語)日本(国・地域)

マーク・アンドリーセンやナイチンゲールから学ぶ「真空状態に何かを作ること」

建築工学のエンジニアを喜ばせたければ、宇宙でどんな建物が作れるかを聞いてみるといい。重力と空気力学の制約から解放されれば、一人の人間でも超高層ビルをレゴのように動かせる。地球の重力から逃れるのに必要なロケット燃料のほんの数分の一で、大量の物を動かせるようになる。真空の世界では、ダイソン球のような超現実的なものまで作れてしまう。

問題は、それを地上に持ち帰ろうとしたときに、大気圏の突入でバラバラになり、着地すれば自重で潰れてしまうことだ。

米国の名門VCであるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者の一人、Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が書いた、「IT’S TIME TO BUILD」(つくる時間が来た)という記事を読んで、私はそんなことを考えた。同世代で最も印象に残る起業家であり投資家であるマークは武器を手に取って、技術コミュニティーに対してクリーンエネルギー、教育、効率的な医療といった難題を何かを作ることで解決しようと訴えた。これは正しい提案だ。だがもし、2008年の経済危機の最中に銀行の重鎮が世界情勢を見渡して「今こそ金融だ!」と持論を著したとしたら、即座に笑いものにされていただろう。それと同じことをさらに強く訴えたところで、今も賛同は得られない。

ソフトウェア業界には、そうした危機には見舞われなかった。それはソフトウェアの社会基盤のおかげでもある。盤石なコードの基礎と、たゆまないエンジニアの努力により、経済が止まった中でも私たちは機能していられる。しかし今は作る好機であるのと同時に、これらの難題がなぜ今まで解決できなかったのかを聞いて理解する好機でもある。なぜなら真空状態では作ることを継続できないからだ。

間違いなく技術系企業や起業家の間には、政治家、政策団体、市民団体など、実際にユーザーや顧客になる可能性がない人たちを、商売繁盛のための仕事を邪魔するものと見なす習慣がある。今の世界で大成功を享受しているハイテク企業は、そうした真空地帯から生まれてきた。

だが、新しいエネルギーシステムを構築しようとすれば、どうしても政治や政策と深く関わることになる。終わりのない医療の課題を解決するには、あらゆる特殊ケースに対処しなければならない。教育と技能訓練を拡充しようと思えば、そもそも多くのコミュニティーがそれらのサービスを利用できないでいる社会の構造的問題を理解する必要がある。これらの課題に取り組む際には、それぞれに対応した考え方、行政と関わろうとする意欲、それを作った影響で二次的に引き起こされる物事を考える工学上の習慣、信用と法的責任を超えて社会的責任を考える取締役会が求められる。

危機の際に何かを作る方法を知りたい方は、以前から複雑な問題に取り組んできたイノベーターや起業家に学ぶといい。私の場合は、Florence Nightingale(フローレンス・ナイチンゲール)だ。

2020年5月12日はナイチンゲールの生誕200年の記念日。さまざまな功績が知られているが、中でもクリミア戦争での従軍看護に与えた影響が大きい。

最前線から帰還した負傷兵のひどい状態を見た彼女は、死因の調査に乗り出した。データの収集と活用による新しい方法を考案して実践し、当時の偉大なるイノベーターであったIsambard Kingdom Brunel(イザムバード・キングダム・ブルネル)とEdmund Alexander Parkes(エドモンド・アレクサンダー・パイクス)博士とともにまったく新しい看護方法を開発し展開した。さらに、新しいタイプの病院をレンキオイに建設した。彼女はその過程で、戦争と医療と女性としてのルールを破った。彼女は、疲労困憊した実践家としてではなく、変革に意欲を燃やす起業家として、あらゆる問題に取り組んだ。一部の調査によれば、レンキオイ病院の死亡率は9割減少したという。

だが、ナイチンゲールがもたらした最も大きな影響は、これではない。英国に帰国した彼女は、医療のいちばんの課題は、大きな技術的問題ではなく、行動と政治の問題であることに気がついた。そこで彼女は、人材を集め、看護の機構そのものの改革に取り組んだ。ナイチンゲール財団を設立して看護師を養成し、新しい看護方法を広めるために、米国、インド、日本に何度も看護師を派遣した。また彼女はさまざまな政府に掛け合って、家庭の衛生に関する法律の改定にも取り組んだ。わかりやすい言葉での執筆も数多くこなし、近代看護の基礎となる教科書も制作している。それから200年。英国政府は完全装備のICU病院をロンドンの中心部にわずか9日間で作り上げた。今そこは、ナイチンゲール病院と呼ばれている。

この危機に際して、ルールが破られようとしている。そこから生まれのは、通常のものではない。私たちが望めば、またそうすべきなのだが、私たちに強い回復力を与え、強い影響力で多くの人生を変革するものが作れる。フローレンス・ナイチンゲールが発見したように、もっとも難しい課題は、エンジニアだけで解決できる技術的な問題ではなく、社会の問題だ。

実際それがどのような形をしているかはいろいろだ。手始めに自社の企業内文化について考えてみよう。Doteveryonのconsequence scanningのようなツールを使って、最初のユーザーの先に自分が作るもののインパクトを考えてみることだ。Govtech FundPublic.ioといったファンドの活動を通して、企業内の新しい世代が政策問題とどう関わるを見ることから始めてもよいだろう。The Good Webプロジェクトなど、今回の危機で表面化したウェブの本質的な弱点への対処に取り組むプロジェクトに参加することから始めるのもよい。取締役会の運営を改善に興味があるなら、BaldertonのGood Governanceプロジェクトに参加するのもよいだろう。その場合は私たちに連絡して欲しい。

いみじくもマークが言っていたように、今は作るときだ。ただし、持続可能な形で作るときでもある。

【編集部注】著者のJames Wise(ジェームズ・ワイズ)はBalderton Capitalのパートナー、シンクタンクDemosの理事であり、元英国議会の社会的企業に関する専門家顧問。

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(翻訳:金井哲夫)

好調の外国語eラーニングサービス「Duolingo」が10億円超を調達した理由

SEC(米証券取引委員会)への提出書類によれば、外国語のeラーニングを提供するユニコーン企業(10億ドル企業)であるDuolingo(デュオリンゴ)は2020年4月初めにベンチャーキャピタルのGeneral Atlanticから1000万ドル(約10億7000万円)の資金を調達している。好調を伝えられるオンライン言語学習プラットフォームとしては、ほぼ3年ぶりの外部投資の受け入れとなった。これにともないGeneral AtlanticはDuolingoに取締役の席を1名分確保した。

Duolingoの最近の会社評価額は15億ドル(約1605億3000万円)だったが、「今回のラウンドにより評価が増加した」と述べている。ただし具体的な額についてはコメントを避けた。

General AtlanticはOpenClassroomsRuangguruUnacademyなど世界で多数エドテック企業に投資している。Duolingoは「General Atlanticのグローバルなプラットフォーム、アジアでのオンライン教育の経験は、特にこの地域におけるDuolingoの英語試験を拡大する計画に大いに役立ち、同社の成長を加速させる」と述べた。

Duolingoは2019年12月に15億ドルの会社評価額で3000万ドル(約32億1000万円)を調達している。こうした資金調達の数カ月後にそれより小さい額の資金調達を行うのは異例だ。 過去の例をみると、そうした資金調達は次のようないくつかの理由で起きている。1つは後の投資が同じ資金調達ラウンドの一部だった場合だ。もう1つの可能性はなんらかの理由で企業がさらに現金を必要とする事情があり、単にそれを調達した場合だ。あるいは新しいラウンドでも多額の資金を調達しようとしたそれができなかった場合もある。

ではDuolingoはどれだったのか?

Duolingoは、新しい投資家を獲得したかったが、多額の資金は必要なかったため1000万ドルとなったとしている。同社はキャッシュフローには余裕があると述べている。

過去数週間で、Duolingoは子供たちが読み書きを教えるアプリをリリースした。このDuolingo Plusの有料サブスクリプションは100万を超え、収入は通年換算で1億4000万ドル(約149億8000万円)となったとしている。また同社は最近、最初の最高財務責任者と顧問弁護士を採用した。

DuolingoはTechCrunchの取材に対して次にようにコメントしている。

「我々のビジネスはとても急速に成長しており、資金も十分以上にある。自己資本を拡大するために資金調達を行う必要性は少なかった。しかし、我々は2019年にGeneral Atlanticとの提携関係を強化してきた」。

他方でGeneral AtlanticのマネージングディレクターのTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は「Duolingoは外国語学習では市場リーダーだ。急速な成長を維持しながら事業は利益を上げており、ビジネスモデルも効果的だ」と述べている。

もう1つの興味深い事実は、1000万ドルの調達と同時に二次市場における発行済株式の売買があったことだ。こうした取引は株主が持ち株を売却したり、会社が自社株買いを実施した場合などに起きる。

Duolingoの場合は、General Atlanticの所有率を押し上げるために既存投資家が持ち株の一部を同社に売却した。General Atlanticはこの取引の詳細を明かすことを避けている。

この情報に照らしてみると、常に大量の英語学習者を抱える有望市場であるアジア地域へのDuolingoの進出をGeneral Atlantiは歓迎しており、他の投資家は株式売却によって負担を減らしたようだ。

つまり公開株式市場が厳しさを増し、未公開株の市場も事実上停止している状況でDuolingoの既存投資家の一部は株式の現金化を図ったのだろう。現在、スタートアップが未公開のまま留まる期間がこれまで以上に長期化しているため、二次市場における取引はまったく普通のことになっている。

二次市場における売却は既存株主が投資先企業の方向性に対して懸念を抱いていることを示す場合ももちろんある。

しかしDuolingoはこの分野の世界制覇という大きな目標に向けて全力で前進しており、金庫にキャッシュを加え、取締役会にこの提携先の代表も加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

東南アジアでオンライン学習サービスを手がけるManabieが約5.2億円調達、今後は「学校のオンライン化」支援も

「東南アジアではスマホの普及に伴って、これまで質の高い学習へアクセスできなかった子どもたちに良質な学習コンテンツを届けるスタートアップが台頭し始めている。今後求められるようになるのは単に学習機会を提供するだけでなく、オンライン上でもしっかりと学習を継続できる仕組み。その仕組み作りに向けて、もう一度起業をして本気チャレンジしたいという思いが強かった」

そう話すのは教育系スタートアップManabieの代表取締役を務める本間拓也氏だ。

本間氏はイギリス発のEdTechスタートアップ「Quipper」の共同創業メンバーの1人で、同社が2015年にリクルートに買収されて以降も含めて約9年間に渡ってオンライン教育に携わってきた人物。現在は2019年4月にシンガポールで創業したManabieを通じて、ベトナムを中心にオンライン学習アプリやオフラインの学習塾を展開している。

そのManabieは4月22日、さらなる事業拡大に向けて総額約5.2億円(480万ドル)の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社によると今回の資金調達額はエンジェルラウンドとシードラウンドを合わせたものとのこと。日本のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルを中心に、国内外の投資家から出資を受けているという。主な投資家リストは以下の通りだ。

  • 本田圭佑氏
  • 梅田望夫氏
  • 有安伸宏氏
  • 松本恭攝氏
  • 福島良典氏
  • 渡辺雅之氏
  • 大湯俊介氏
  • ジェネシア・ベンチャーズ
  • そのほか東南アジアのVCや個人投資家など

Manabieでは今回調達した資金を活用し既存サービスの開発体制の強化を進めるほか、コロナウイルスの影響で「学校のオンライン化」が迫られる教育機関の支援にも取り組む計画だ。

動画レッスン+人によるサポートで継続的な学習を支援

Manabieが手がける「Manabie Basic」や「Manabie Prime」は動画授業をベースとした学習アプリだ。ユーザーはスマホなどを使って動画レッスンを見ながらインプットをし、クイズ形式の演習問題を解くことで知識を定着させていく。人間の先生ではなくバーチャル(アニメーション)のキャラクターによるレッスンという違いはあるものの、仕組み自体は「スタディサプリ」などに近いイメージだ。

今は高校生向けの数学/化学/物理/生物/英語に対応していて、約1000種類の動画レッスンコンテンツ、2万問の問題を提供。今後は中学生向けのコンテンツへの拡張やベトナム以外の東南アジアへの展開も見据えている。

年間50ドル(約5000円)で使えるManabie Basicが質の高い教育コンテンツをリーズナブルな価格で多くの子どもに届けることを目指したものだとすれば、年間250ドルのManabie Primeはそこに人力のサポートを加えることで、オンライン上での継続的な学習を強力に後押しするものだと言えるだろう。

このプランではManabie Basicのコンテンツにプラスして、オンラインコーチとメンターによる支援がついてくる。コーチはユーザーの心のケアや個々に合わせた学習計画の作成などが主な役割で、各生徒が途中で離脱してしまわないようにオンライン上で声かけをしたり相談に乗ったりする。一方のメンターはユーザーがわからない問題に直面した際に家庭教師のような形で質問に答えるのがミッションだ。

「現地の子どもたちは学ぶ意欲が高く学習塾などに通っている子も増えているが、そこに教材や塾のクオリティが追いついておらず、いろいろな負があるのが現状。まずはオンライン上で質の高いコンテンツにアクセスできるようになるだけでも、その状況を大きく変えられる」

「一方でオンライン学習サービスに共通するのが、全体の8割ほどのユーザーは学習が続かないということ。そのユーザーをいかにサポートしていくかが鍵になる。Manabie Primeではコーチやメンターによるサポートを取り入れ『教育版のライザップ』のような形で支援する仕組みを作った。各ユーザーにはコーチから自分用に設定された今日のToDoが送られてきて、コーチやメンターのサポートも受けながら課題に取り組む」(本間氏)

Manabie Primeでは裏側のオペレーションなどにもかなりこだわっているそう。コーチングカリキュラムはスタンフォード大学でコーチング領域を学んだメンバーが開発。それに加えてコーチ用に生徒ごとの進捗状況などが見れるシステムを開発し、どの生徒にどのタイミングで声かけをするのがいいか、サジェストするような仕組みも入れている。

学習アプリを使ったオフラインの学習塾も展開

また同社では学習を継続する仕組みとして、学習アプリだけでなくリアルな学習塾「Manabie Hub」も手がける。ここでは集団学習塾のような形で講師が授業をするのではなく、各生徒がスマホやタブレットからManabieの学習アプリを開き、自分に最適化された課題を自分のペースで黙々と進めていく。

最近は日本でもタブレット学習アプリを取り入れた学習塾が増えてきているが、まさにそれと同じ仕組みだ。教室では1人の講師の代わりにコーチがいるので、何か課題にぶつかった際は彼ら彼女らにサポートを求めることができる。

本間氏によるとベトナムではまだまだ集団型の学習塾が主流で、授業についていけない生徒が学習を継続するのが難しいという課題が残っているそう。Manabie Hubはその解決策として機能していて、昨年12月以降でホーチミンに5つの教室を開いたところ、200人ほどの生徒が集まった(現在はコロナウイルスの影響で開校していない)。

冒頭でも触れた通り、近年はスマホの普及もあって中国や東南アジアでオンライン教育サービスが広がり始めている段階。本間氏の前職であるQuipperも東南アジアで事業を拡大しているほか、現地発のスタートアップも生まれ業界の変革が進む。

とはいえManabieが取り組むベトナムなどの国では強力なEdTechプレイヤーは生まれていない状況で、テクノロジーに強みを持つスタートアップには大きなチャンスがあるというのが本間氏の見解だ。

かつて本間氏がQuipperを創業したのもそういった未来を見据えてのこと。東京大学を中退後、英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンに通っていた際にDeNAの創業メンバーでもある渡辺雅之氏らと出会い、「全く同じようなことを考えていた」ため共に会社を作った。

それからは約9年間に渡ってQuipperの商品開発やグローバル展開、事業開発などを幅広く担当。 フィリピンやインドネシアなどにも滞在し、カントリーマネージャーとして現地チームの立ち上げや東南アジアでのサービス拡大にも取り組んできた。

東南アジアの教育市場が新たなフェーズに差し掛かるタイミングを迎える中で、自らもう一度大きなチャレンジをするなら今やるべきだと考えManabieの創業を決断したという。

コロナの影響受け「学校のオンライン化」支援強化も

本間氏によると既存事業が軌道に乗りつつあり、事業拡大のスピードを上げるべく今回の資金調達を実施したそう。当初は中学生向けなど対象を拡大するほか、ベトナム以外の国への事業展開を予定していたが、コロナウイルスの影響を受けて方向性を少しシフトすることになるようだ。

「ベトナムでも1月後半から学校が休校し、いつから再開できるかわからない状態。日本も含めて学校継続のために『学校のオンライン化』が大きな課題になっている。現場がかなり混乱している上に、このような状況は今まで誰も経験していないため解決策を手探りで探していかなければならない状態。自分たちとしてもこの課題解決に取り組んでいきたい」(本間氏)

それこそスタディサプリやQuipperも含めて学校向けに展開しているサービスもあるが、今まではあくまで授業の補助教材として使われるケースが一般的だった。学校が休校になるとそもそも従来のやり方では授業ができなくなり、前提条件自体も変わる。当然新しい課題も生まれてくるだろう。

「今はZoomなどを使ってオンラインの授業をしたり、宿題などの課題を配信したりすることで対応を始めている学校も出てきている。ただZoomで複数人を相手に授業をするとなると、どうしてもリアルな授業に比べてインタラクティブ性にかけてしまうし、生徒の反応も見えづらく、先生にとっては悩ましい問題になっている」(本間氏)

Manabieでは学校のオンライン移行をサポートするべく自社でガイドブックを公開したところ、様々な教育機関から問い合わせがきているそう。今後はそういった現場の声も踏まえながら、学校向けのラーニングマネジメントシステムの開発にも取り組む方針だ。

これについてはまだ詳細は明かせないとのことだが、もともと同社ではtoC向けのプロダクトと並行して教育機関向けのプロダクトの開発にも着手していたとのこと。まずは自社で展開する塾などでの活用を考えたいたそうだが、今の教育現場の状況を受け、現場で使えるような形で機能面をブラッシュアップしてリリースする計画だという。

「toC向けの事業は、まずは良質な学習環境にオンライン上でアクセスできる仕組みと学習がしっかり継続できるシステムを作り込むフェーズ。ただ本来は受験勉強以外にも学ぶべき大切なことがあると考えているので、中長期的には受験に限らず、今の時代を生きるにあたって必要なことが学べるようなサービスにしていきたいと考えている」

「その一方で足元ではコロナウイルスの影響で学校のあり方自体が変わり始めている。withコロナ時代の学校のあり方とはどんなものなのか、自分たちでもそれを考えながら学校現場をサポートするためにできることをやっていく」(本間氏)

フランスの配信サービスMolotovが教育用ビデオを提供

フランスでは3月に学校が休校になった。そこでフランスのスタートアップのMolotovは、自社のテレビ配信サービスを利用して幅広い年齢の子供向けコンテンツを提供する。特に、ビデオや演習などのコンテンツを提供するSchoolMouvと提携する。

Molotov for School」と名付けた新しいセクションから、子供向けのビデオを視聴できる。France 4、Arte、TF1、M6といったフランスのテレビ局の教育関連コンテンツが集められている。

このようなキュレーションの取り組みに加え、ユーザーはSchoolMouvのビデオもアプリから見ることができる。中学と高校のあらゆる科目をカバーする約1000本のレッスンがある。SchoolMouvの利用料金は通常は30ユーロ(約3500円)で、現在は15ユーロ(約1750円)に割引されている。

MolotovはSchoolMouvのビデオを5月15日まで無料で提供する。インタラクティブな演習は利用できないが、SchoolMouvのビデオを2020年5月まですべて視聴できる。クレジットカード情報を入力する必要はない。

さらにMolotovは、歴史上の出来事や科学の話題に関するドキュメンタリーも提供する。保護者は子供が学習についていけるように多くの時間をかけて教員と連絡を取り合っているが、Molotovは忙しい保護者の役に立つかもしれない。

Molotovはこの機に、現在1000万人の登録ユーザーがいることを公表した。2019年、通信・メディア企業のAlticeがMolotovの過半数の株式を取得すると発表した際、Molotovの登録ユーザー数は700万人だった。Alticeは過半数の株式を取得したが、Molotovは独立した企業として事業を継続している。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

パンデミックで浮き彫りになるリモートラーニングビジネスのチャンスと課題

バーチャル科学実験室を提供するエデュテック企業であるLabsterは、米国時間4月14日、カリフォルニア州のコミュニティカレッジネットワークと提携して、そのソフトウェアを210万人の学生が利用できるようにすることを発表した。

California Community Colleges は、国内で最大の高等教育システムであるといわれている。Labsterとの提携は生物学、化学、物理学、および一般科学に向けの130種類のバーチャルシミュレーションを115の学校に提供するというものだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が学校の閉鎖を余儀なくしているために、多くのエデュテック企業たちは、自社のソフトウェアを無料で提供したり、無料トライアル期間を延長したりすることで対応をしてきた。4月14日に発表されたLabsterの提携の中で、新しくて注目に値するのは、現在の情勢がビジネス上の取引にどのようにつながるかを示す、いくつかの最初の兆候を示している点だ。

コペンハーゲンを拠点とするLabsterは、バーチャルSTEM実験室を教育機関に販売している。Crunchbaseのデータによれば、Labsterはこれまでにベンチャーキャピタルから、知られている限り3470万ドル(約37億3000万円)を調達している。Labsterの顧客にはカリフォルニア州立大学、ハーバード大学、グウィネットテクニカルカレッジ、MIT、トリニティカレッジ、そしてスタンフォード大学などが名を連ねている。

実験装置は大変高価であり、予算の制約により各学校は最新のテクノロジーを導入するのに苦労している。従ってこれまでLabsterの提案してきた価値は、より安価な代替案であるということだった(学生がバーチャル実験室で試薬をこぼしても、掃除の手間が省けるが)。

だが、新型コロナウイルスによるパンデミックの拡大を制限するために、世界中の学校が閉鎖を余儀なくされている中で、その訴求ポイントは少々変化した。現在それは科学実験室に代わる唯一実行可能な手段として、自分自身を売り込んでいるのだ。

多くのエデュテック企業にとって、リモート学習の急増は大規模な実験となった。学校がその運営を完全にデジタル化するために奮闘する中で、エデュテック企業たちは、しばしば自社の製品とテクノロジーを無料で提供している。

例えば先週、セルフサービスの学習プラットフォームであるCodecademy、Duolingo、Quizlet、Skillshare、そしてBrainlyは、生徒と教師のためにLearn From Home Club(在宅学習クラブ)を立ち上げた。それに先立ち、Wizeは同社の試験コンテンツと宿題サービスを無料で利用できるようにしている。また、ZoomはK-12スクール(高校以下の学校)にビデオ会議ソフトウェアを無料で提供したが、その結果は功罪の入り交じるものとなった

Labster自身は、全国の学校に500万ドル(約5億3700万円)分のLabsterクレジットを無償で提供した。こうしたリストは枚挙にいとまがない。

Labsterの今回の新しい取引は、今ならエデュテック企業が大きな費用をかけることなく、新しい顧客を確保できることを示している。

LabsterのCEOで共同創業者であるMichael Bodekaer(マイケル・ボデカー)氏は、この取り引きの価格についての詳細は明かさなかった。彼はLabsterが各々の学校と協力して、それぞれが教師のトレーニングとウェブセミナーのサポートにどれだけ投資できるか、または投資したいかの理解に努めたことを明かした。彼はまた、Labsterがこの取り引きから利益を得ていることは認めている。

「私たちはパートナーをサポートするための準備をしっかり整えたいと思いますが、同時に営利組織としてのLabsterが自分たちに給与を支払えることも確実にしたいのです」とボデカー氏は語る。「しかし、繰り返しになりますが、私たちのコストをカバーできる程度までの大幅な割引を提供します」。

他の多くのエデュテック企業と同様に、Labsterにとっての長期戦略は今回のような短期的な措置が長期的な関係へと発展していくように、学校に彼らのプラットフォームを気に入ってもらうことだ。

「会社として維持できる限り、これらの割引を維持するつもりです」と彼は語る。「当初は8月まで割引を行うつもりでしたが、現在は年末まで延長する予定です。状況によっては、さらに延長する可能性があります」。

価格設定はさておき、Labsterそして実際のところリモートラーニングに焦点を合わせたいかなるエデュテック企業にとっても、本当の実現上の困難はデジタル格差(digital divide)だ。ビデオ会議用のコンピューターや、演習用のインターネット接続さえも利用できない学生もいるのだ。

新型コロナウイルスのパンデミックは、リモート学習に必要なテクノロジーへのアクセスが、アメリカ全土でどれだけ不足しているのかを浮き彫りにした。カリフォルニア州では、Googleは支援を必要としている学生たちに、無料のChromebookと10万箇所のWi-Fiアクセスポイントへの無料アクセス権を提供した。

ボデカー氏によれば、Labsterは現在、モバイルデバイス上でのソフトウェアの提供に取り組んでおり、またGoogleと協力して、自社の製品がChromebooksなどのローエンドコンピューターで動作することを確認している最中だ。

「私たちは、ハードウェアにとらわれず、学生がすでに持っているシステムやプラットフォームをサポートしたいと考えているのです」と彼は言う。「持っているハードウェアが障壁にならないようにしたいのです」。

今回の提携によって、210万人の学生がLabsterのテクノロジーにアクセスできるようにはなったものの、その集団の中でコンピューターにアクセスできない可能性がある学生の割合については直接把握されていない。エデュテックにとっての試練そしておそらくその成功は、ハードウェアとソフトウェアの、どちらにも偏らない真のハイブリッドに依存したものになるだろう。

画像クレジット:doyata / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:sako)

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

ニューヨーク市は学校でのZoom禁止、セキュリティ上の懸念からMS Teamsに移行へ

休校が続いても生徒たちは学習を続けねばならない。このほど米国ニューヨーク市の学校当局は、リモート教育にビデオ会議サービスのZoomを使用することを許可しないと発表した。セキュリティ上の懸念が理由に挙げられている。

ニューヨーク市教育庁の広報担当者、Danielle Filson(ダニエル・フィルソン)氏は「リモート学習を生徒に提供するにあたって安全性と信頼性の確保は不可欠だ。セキュリティ上の懸念をさらに検討したところ、学校はできるだけ早くZoomの使用をやめるべきだという結論となった。リモート教育に多くの新しいサービスがあり、われわれは(その採用に関しては)教職員、生徒の利益のを最優先してリアルタイムで意思決定を行っていく」と述べた。

同氏によれば、市教育庁は学校をMicrosoft Teamsに移行させているという。こちらは「適切なセキュリティ対策が講じられており、機能も同等」だとしている。

この禁止によって、市内の5つの区の1800校以上の学校の約110万人の生徒が影響を受ける。2018年に創設されたニューヨーク市のコンピュータ・セキュリティーを担当する組織であるNYC Cyber Commandはすでに学校でのZoomの使用を一部禁止している。

Zoomからはまだコメントがない。

新型コロナウイルスの流行拡大のために世界では何億人もの人々がビデオチャットのプラットフォームを利用することを余儀なくされている。このためZoomのユーザー数も急拡大していたが、同社のセキュリティとプライバシーに対する方針と行動に多数の欠陥が発見され、批判の嵐が起きていた。そこにこの禁止が発表された。

セキュリティ専門家がZoomのシステムは中国当局による傍受の危険にさらされていると強く批判した後、4月4 日に同社のCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏は、ルーティングの一部が中国を通じていたのは「設定のミスによるもの」だとして謝罪した。 同時にZoomは、このサービスがエンドツーエンドで暗号化されていなかったにもかかわらずそうしていると主張していたことについても謝罪した。

Zoomはまたデフォルト設定を「パスワードを有効する」に変更した。これはパスワードなしで行われているZoomのビデオチャットに部外者が乱入して妨害するZoombombingが多発したことによるものだ。

しかし一部の学校では他のサービスへの移行に困難を感じている。 Chalkbeatが最初に報じたが、3月16日にニューヨーク市の市立学校が休校となった後、Zoomはすぐにビデオチャットサービスの一番人気となった。ブルックリン区の校長の一人は、Microsoft Teamsの「使いにくい」を挙げて、「Zoomの禁止はリモート学習に困難さを加えるもの」とChalkbeatに答えている。

ニューヨーク市の広報担当者は、「学校に対してはすでに数週間前からMicrosoft Teamsの操作を訓練してきた」語った。同時に、将来(学校が)Zoomに戻ることを許可する可能性を除外しなかった。

ニューヨーク市は「Zoomの開発の状況をモニターし、引き続き詳しくレビューしていく。なんらかの進展があればすぐに学校にもアップデートを通知する」予定だという。

画像:ニューヨーク市の公立学校教室内部 Michael Loccisano/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ユネスコが学校が閉鎖された全世界7億7670万人の子供たち用遠隔学習ガイドを公開

世界中の学校がCOVID-19の流行を緩和するために閉鎖されたり、オンラインのクラスに移行するなか、多くの保護者や教育者が良いアイディアを求めてもがいている。ユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)は、遠隔学習アプリや、その他のリソースへのリンクを掲載したオンラインガイドを作成した

ユネスコによると「COVID-19によって、前例のない数の子供、若者、大人が学校や大学に通えなくなっています」という。実際、100カ国の政府が学校の閉鎖を発表し、あるいはすでに実施している。全国すべての学校が閉鎖された85カ国では、合計で7億7670万人以上の子供たちが影響を受けている。

ユネスコは、各国の国営学習ポータルのリストに加えて、デジタル教育ツールのリストも更新している。その中には、ClassDojoGoogle Classroomといったデジタル学習管理システム、KaiOSというガラケーでスマホ的なアプリを利用できるようにするソフトウェア、Can’t Wait to LearnKolibriRumieUstad Mobileといったオフラインでも十分使える機能を備えたソフトウェアなどが含まれている。

このリストでは自己学習プラットフォームのMOOC、モバイル読書アプリ、教育用ソフトウェア開発ツールそしてDingtalkHangouts MeetZoomといったライブビデオのプラットフォームも紹介されている。

関連記事:Lawmakers look to bridge ‘homework gap’ with subsidized Wi-Fi hotspots for students

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

大学における顔認識技術の導入をUCLAが中止

大学構内の防犯カメラの映像を顔認識のソフトウェアで処理することを検討していたUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が計画を撤回した。

デジタルプライバシーの活動団体であるFight for the FutureのEvan Greer(エヴァン・グリーア)氏に宛てた書簡で、UCLA学長のMichael Beck氏(マイケル・ベック)氏は「すべての学生が反対しているので計画を放棄する」と発表した。

「得られる利益も限られていると判断したし、学内コミュニティの懸念が圧倒的に大きい」とベック氏は書いている。

今回の決定はプライバシー擁護者たちの「大きな勝利」と見なされ、学生たちがFight for the Futureとパートナーして全国抗議集会を3月2日に予定していた矢先だった。UCLAが顔認識による監視技術の導入を検討ていたことは、MIT、ブラウン大学、ニューヨーク大学などの多くのエリート大学から批判されていた。

UCLAの学生新聞「Daily Bruin」の先月の報道によると、大学は防犯カメラのポリシーの改訂の一環として顔認識ソフトウェアを加えることを提案した。同紙によると、その技術はキャンパスの出入り制限のある区域で接近禁止とされている個人を特定し、大学の敷地から排除することが目的とされた。1月のタウンホールミーティングでその提案は200名の出席者から批判を浴び、監視技術に反対する運動がそこから育っていった。

UCLAの学生で学内安全同盟の副議長を務めるMatthew William Richard(マシュー・ウィリアム・リチャード)氏は、大学の決定について「他の大学もこんなポリシーを許さないでほしい。連帯によって、大学の非軍事化と民主化を実現できるのだ」とコメントしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドのInterviewBitがGAFA就職を可能にする高度なコンピューターサイエンスコースをオンライン提供

インド南部、バンガロールのInterviewBitは、一般の大学卒業者や若いプロフェッショナルの技術者に高度なコンピューターサイエンスコースをオンラインで提供している。同社がこのほどシリーズAのラウンドで調達した2000万ドル(約22億円)は、インドにおける教育系スタートアップへの投資としては最大の部類となる。

創業5年のスタートアップのシリーズAをリードしたのは、Sequoia IndiaとTiger GlobalおよびGlobal Founders Capitalらだ。同社はこれを機に、オンラインプログラミングコースの名前を InterviewBit AcademyからScaler Academyに変える。

InterviewBitは9カ月前に、収益モデルを所得分配方式に変えた。これにより学生は、授業料の多くの部分を就職後に払えるようになった。この方式は人間資本契約(human capital contract)と呼ばれており、何十年も前から存在するが、最近また見直されている

現在まで、同社の6カ月のコースを受講した者は2000名を超えている。これまで7回期を開講し、その1つはアメリカでの開講になり20万人を超える応募者があった。そして卒業者のうち数百名が、GoogleやAmazon、Microsoftなどのテクノロジー企業に就職した。

Scaler Academyに入学した学生にはメンターが付き、先輩技術者や現在、実際にGoogleやFacebook、Twitter、Netflixなどで仕事をしている各分野のエキスパートが教える。協力企業は600社以上ある。

同社は今もSequoia Indiaのアクセラレーター事業、Surgeに参加しており、今回の資金は入学者数の増員と新市場の開拓に充てられる。同社のカリキュラムやライブの授業のノウハウをプロダクトにする計画もある。

このラウンドはインドの新聞であるTimes of Indiaが2019年初めて報道し、その際のInterviewBitの評価額は1億ドル(約110億円)以上だ、と書いていた。

InterviewBitの共同創業者Abhimanyu Saxena(アブヒマニュ・サクセナ)氏は、「Scaler Academyは短期間で学生たちの能力を大幅に向上させた。彼らはオンラインとライブの授業を1日に4〜5時間受けている。実際に我々の仕事は、学生たちのキャリアアップに大きく貢献している。そのことが、特に喜ばしい。コースの名前をScaler Academyと変えたのも、プログラミングのより上のスキルを目指すという意味合いからだ」と語る。

最近発表された報告書、National Employability Report Engineers 2019(エンジニアの雇用状況)によると、インドの技術者の被雇用率は各年20%と横ばいで低迷している。「そのことを念頭に置いたScaler Academyの細部まで配慮が行き届いた6カ月のオンラインコースは、最新技術に触れることを中心とする今日的なカリキュラムによって、プロフェッショナルたちのコーディングスキルの強化、向上を目指している」と同社はいっている。

画像クレジット: Sattish Bate/Hindustan Times/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Wikipediaの英語バージョンの記事数が600万超え

米国時間1月23日、Wikipediaが重要なマイルストーンを超えた。この世界最大のオンライン百科事典の英語バージョンの記事が今や600万本以上になったのだ。

この偉業は、このウェブサイトの創設から約19年後に達成され、Wikimediaの主席顧問であるRyan Merkley(ライアン・マークリー)氏によると、「人間が力を合わせればできること」の証(あかし)だ。なおWikimediaは、この遍在的なオンライン百科事典を運営している非営利団体だ。

600万番目は、19世紀のカナダの学校教師で紀行作家でフィクションのライターでもあったMaria Elise Turner Lauder(マリア・エリーゼ・ターナー・ローダー)氏に関する記事だ。この記事は、Wikipediaの長年のエディターであるRosie Stephenson-Goodknight(ロージー・スティーブンソンーグッドナイト)氏が執筆した。

Wikipediaは数十か国語で利用できるが、最も記事数が多いのは英語バージョンだ。英語エディションは2015年後期に500万記事を超え、第2位はおよそ230万記事のドイツ語バージョン、第3位が約210万記事のフランス語バージョンだ。

ウェブサイトとしてビジター数がいちばん多いのも英語エディションで、公表されている数字によると英語バージョンのウェブサイトは1日の平均ページビュー数が2億5500万PVだ。SimilarWebのウェブアナリティクスによると、Wikipedia全体はビジター数が8番目に多いウェブサイトだ。

ここ数年Wikipediaは各国でセミナーを開き、それぞれの国の言葉による寄稿者(コントリビューター)を育成してきた。またツールを改良して、執筆や公開、他からの引用などがやりやすいようにした。

今日600万記事を達成した英語版Wikipedia、おめでとう! @WikiWomenInRedの@Rosiestepが作ったその記念すべきページは、19世紀の旅行好きで博愛主義者のライターMarie “Toofie” Lauderの略歴だ。

Jimmy Wales(ジミー・ウェールズ)がWikipediaを創設したとき彼は、目標は「人類のすべての知識へのフリーなアクセスだ」と言った。一部の推計によると、人類のすべての知識は1億400万記事を必要とする。そしてその達成には、あと20年かかる。

画像クレジット: Simon Dawson/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

関連記事: HackerRank raises $30M to match developers with jobs…HackerRankはデベロッパーと職をマッチさせる(未訳)

関連記事: HackerRank Launches A New Social Platform For Coders Based Around Puzzles And Real-World Problems…HackerRankがプログラマーのためのソーシャルプラットホームを立ち上げ(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

数学嫌いはゲームアプリで克服できるのか?

銀行の入出金明細書を見て、いったい何が起こっているのかを理解しようとしたときの、独特の感覚というものがあるだろう。あるいは、税金の申告書類を書いているときにも似たような感覚に襲われるかもしれない。実はそうした感覚は、単になんとも言えない感覚というようなものではなく、科学的に認知された不安神経症のようなものだということが分かってきた。それは、MA(Mathematics Anxiety=数学不安症)であると、研究論文によって定義されている。日常生活だけでなく、教育現場でも、数学に対して抱かれる懸念、緊張、不安といったものだ。

そしてこれは、実際に世界中に広まっている問題であり、生涯にわたって悪影響を及ぼす可能性さえある。もし多くの人が、足し算や引き算をすることに怯えていれば、経済にもかなりの害が及ぶだろう。英国の約1700万人の成人(労働人工の49%)の計算能力は、小学生と同等のレベルだという。ある調査によれば、これにより英国経済に1年間で200億ポンド(約2兆8573億円)の損失が生じていると言われる。英国だけでもそれなら、他の国も合わせれば、いったいどんな数字になってしまうのか?

人の数学に対する不安感がこれほどのものでなれば、おそらくもっと多くの技術系の労働者がいるはずだ。算数に対する不安が大きい子どもの4分の3以上(77%)は、テストでは、履修課程の算数テストで、平均より上の成績を収めている。つまり、本当はSTEM(科学・技術・工学・数学)分野でもうまくやっていけるはずの生徒でも、このような不安が、そうした分野を選ぶことを妨げているのだ。

この問題は、恐怖に反応するのと同じ脳の部位、扁桃体にまで及ぶ。算数に対する不安が大きい子どもは、物理的な危険に対するのと同じようにストレスが高まり、攻撃・逃避反応さえ引き起こす

数学不安症の起源は、ほぼ6歳ころまでに蓄積された、否定的な数学学習体験の連続に根ざしている。したがって、子供たちを6歳までに数学に親しませることができれば、結局のところ経済や社会活動を促進することになるはずだ。

そこで、この問題に対処するため、数学が得意な2人の若い母親が、Funexpectedというスタートアップを共同設立し、この世界的な課題に取り組もうとしている。

彼女らが示した解決策は、学習に対する新たなアプローチを提供する「多感覚応用」のiOSアプリ。初期段階として大きな成功を収めている。リリースした最初の月に、Appleは、これを英国の「2019年9月のベストAppとゲーム」と「おすすめの新着App」として選んだ。さらに60を超える国々で、App Storeの子ども向けカテゴリの「おすすめApp」と「Awesome Kids Apps」に掲載されている。

今年の10月下旬には、このスタートアップはロンドン大学教育研究所(UCL Institute of Education)が主催するEDUCATEプログラムの教育技術イノベーターに選ばれた。同研究所は、教育技術に関して、英国における第1級の研究アクセラレーターであると広く認められている。また、先週の時点で、Apple Storesの実店舗のデモ機にも、Funexpectedのアプリが、Prisma、Alterlight、Headspace、その他の有名なアプリと並んで、インストールされる予定となっている。

さらに来年には、カリフォルニア大学バークレー校教育学部の認知と発達の教授、ドル・アブラハムソン(Dor Abrahamson)氏が、このアプリ用のゲームを作成することを計画している。

この自力で起業したスタートアップは、以前は投資銀行に勤めていたナタリア・ペレルディク(Natalia Pereldik)氏と、その友人のアレクサンドラ・カジロ(Alexandra Kazilo)氏が、共同で設立した。このアプリは、リリースから4週間で、世界50カ国以上で、3万5000以上のダウンロードを記録している。

それはどのようなアプリなのか?

アプリ自体は、日本、エジプト、グリーンランドなどの景色を背景にした、全部で11種のゲームを集めたもの。子どもは、画面にアニメーション表示されるオブジェクトをタップし、カットし、スライドさせ、つかみ、移動させて、ストーリーを先に進める。たとえば、あちこちの枝から取ってきたおいしそうな果物を、適切な量だけ猿に食べさせたり、正しい種類の魚を網で捕らえて、池に移すことで、論理的な思考を学ぶ。親も子どもといっしょに遊べる。このアプリはサブスク方式で、月額3.99ポンド(約570円)または年額31.99ポンド(約4560円)の料金が設定されている。

同社は大きな市場に取り組んでいる。世界のモバイル学習市場は、2016年に1093億ドルと評価され、2025年までに1792億ドル規模に達すると予測されている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルのプログラミング体験集会「Everyone Can Code」が大幅拡張

Apple(アップル)は米国時間11月20日、児童生徒たちにプログラミングを教える事業の拡張を発表した。その「Everyone Can Code」事業のカリキュラムは、小中学生向けのプログラミング入門の部分がより強調され、教師のためのリソースが増え、新たに学習ガイドが加わり、Swift Coding Clubの素材が一新された。それらに加えて12月にはアップル直営店で無料のプログラミング体験会が何千回も開かれて、類似の非営利事業であるComputer Science Education Weekを祝う。

同社によると、カリキュラムのアップデートは日常的な話題を多く取り上げてプログラミングに親近感を持ってもらうことが狙いだ。またSwift Playgroundsの新しいガイド「Everyone Can Code Puzzles」があり、児童生徒たちは40時間の活動を通じてコンセプトを実験し、自分が理解したことを実践してみる。

そのガイドには教師のための手引書があり、問題の答や評価の方法、障害者等向けのアクセシビリティーリソースなどがある。カリキュラムはVoiceOver向けに最適化され、クローズドキャプションのあるビデオや手話のビデオが用意されている。

もう1つの拡張としてアップルは、Everyone Can Create(誰でもクリエイターになれる)のプロジェクトガイドをカリキュラムに統合した。昨年Apple BooksでローンチしたEveryone Can Createにより、教師はアップルの技術を使って授業に音楽や映画の制作、写真撮影などの過程を加えることができる。

さらに同社は、2019年12月1日から15日までプログラミング体験集会であるToday at Appleの回数を増やし、Computer Science Education Weekを盛り上げる。その無料で対話的な体験会は、幼いプログラマーたちにロボットを使うブロック方式のプログラミングを教え、また年長者はSwift Playgroundsを使ってプログラミングのコンセプトやARプロジェクトの制作を学べる。

一部のストアでは学齢期前の児童のためのプログラミング体験会を、小さなお助けモンスターのHelpstersが登場するCoding Labで行う。モンスターはApple TV+の番組のスターで、セサミストリートの作者が制作している。

そのほかの体験会にはApple Distinguished EducatorsやApple Entrepreneur Campのイノベーター、デベロッパー、そしてアーチストも参加する。Develop in Swiftのカリキュラムは、今後も高校や大学の学生が利用できる。

また、今年で7年目を迎えるHour of Code事業への協賛としてAppleは、Hour of Code Facilitator Guideにより、教師や親がSwift Playgroundsを使って体験会を主催できるようにする。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

名門VC・a16zが暗号通貨スタートアップのための無料スクールを開校

先月、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)のジェネラルパートナーであるChris Dixon(クリス・ディクソン)氏がTechCrunch Disruptで、ベンチャーキャピタル企業である同社が暗号通貨を扱うスタートアップを育てる無料のスクールを開くと発表した。そして米国時間11月8日に同社は、そのスクールを公式に立ち上げた。すでに願書を受け付けており、受付期間は4週間だ。

この事業でa16zは、暗号通貨を大衆的に普及させたいと願っている。ディクソン氏とa16zのチームは暗号通貨とブロックチェーンに7年間関わっており、これからはその間に学んだことを起業家たちと共有したいと考えている。

これによって暗号通貨のコミュニティが育ち、今後のa16zの投資機会も創出されるだろう。ただしa16zは「暗号通貨のスタートアップスクールに参加したことはa16zからの投資を受けることを意味しない」と言っている。暗号通貨スタートアップへの投資に関してはa16zは思慮深い投資家であり、暗号通貨スタートアップスクールに参加した者だけを対象とせず、暗号通貨のコミュニティ全体が対象だ、と言っている。

そのa16zのCrypto Startup Schoolは7週間の課程を2020年2月21に開始する。授業料は無料であり、a16zは何ら所有権を有しない。

授業はメンローパークで行われるので、シリコンバレー周辺に住んでいない人はおよそ2カ月あまり下宿する必要があるだろう。「それでは大変すぎる」という人たちのためにa16zはすべての授業を録画する。そして誰もがそのビデオを見たり、スクールのカリキュラムや教材をダウンロードできる。

以下がコースの概要だ。

  • 暗号通貨のネットワーク(クリプトネットワーク)とは何か、なぜそれが重要なのか?
  • ブロックチェーンコンピューティングの基礎: 暗号技術とコンセンサス
  • アプリケーション開発ツールの概要
  • アプリケーションの現状と2025年
  • 暗号通貨のビジネスモデル
  • 暗号通貨の経済学
  • ユーザー体験、製品開発、セキュリティ
  • マーケティングとデベロッパーリレーション
  • コミュニティと参加と統治
  • 規制の現況と配慮
  • 資金調達ガイド

ご覧のようにこれらは、暗号通貨にフォーカスした授業と、資金調達やマーケティングなど一般的なスタートアップ入門のミックスだ。スクールが対象とするのは20から25ぐらいのチームで、40名前後の参加者総数を想定している。ソフトウェア開発の経験者であることが条件だが、暗号通貨のエキスパートである必要はない。授業内容は一週間に12〜15時間の講義とワークショップ、個人指導、そしてネットワーキングの実技だ。

最後に参加者は、プロジェクトのアイデアやプロトタイプのデモをを披露しなければならない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

韓国の生徒の3分の1が使っている数学と科学の個人指導サービス「Qanda」がアジア進出

ソウルのエドテックスタートアップであるMathpresso(マスプレッソ)は米国時間10月14日、シリーズBで1450万ドル(15億7810万円)を調達したことを発表した。同社の主力アプリQanda(クァンダ)は、生徒たちに数学と科学の支援と個人指導を提供する。このラウンドの投資家は、Legend Capital、InterVest、NP Investments、そしてMirae Asset Venture Investmentだ。

これでMathpressoの総調達額は2100万ドル(約22億8553万円)になる。昨年終わりに発表されたシリーズAでは530万ドルを調達した。

Mathpressoによると、名前を「Q and A」に由来するQandaは、韓国の生徒の3分の1が使っている。昨年は日本、ベトナム、インドネシア、シンガポールの各市場でもアプリをローンチして、今やユーザーは50カ国あまりにいる。QandaはAIを利用するOCR(光学式文字読み取り)システムで数学の問題をスキャンする。生徒が問題の写真を撮ってアップロードすると、アプリまたは先生が解き方を教えてくれる。

Legend CapitalのマネージングディレクターであるJoon Sung Park(ジュン・ソン・パーク)氏は「弊社は中国の優れた教育企業であるZuoyebang(ゾイエバン)やOnion Math(オニオン・マス)に初期から投資してきたので、中国のモバイル教育市場の強力な成長をよく見ている。そんな我々が確信するところによれば、Mathpressoには海外に進出して教育のデジタル化から生まれつつある新しい機会をつかむ技術的および経営的能力がある。例えば今後は、一人ひとりの生徒に個人化された学習を提供していけるだろう」とコメントしている。

画像クレジット: Mathpresso

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Udacityがテクノロジー職業教育を最下層からテコ入れし10万名に無料のプログラミングクラスを提供

【抄訳】
Sebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏が創業したオンライン教育企業のUdacity(ユダシティ)が、ドナルド・トランプ大統領の政権下で行われている職業訓練事業Pledge to America’s Workers(米国労働者への誓い)の一環として、新たな奨学制度を立ち上げる。

CEO Gabe Dalporto(ゲイブ・ダルポート)氏のリーダーシップのもとでUdacityは、毎年2万名に初等テクノロジー教育訓練クラスを無料で提供する。

この教育事業は、ウェブのフロントエンドとモバイルアプリの開発、およびデータ分析がメインになる。応募者に必要条件はないが、奨学制度なので対象はプログラミングのスキルを学びたいと思っている低所得の個人だ。彼らを需要の多い高給の職種に就けることによって、キャリアの高度化を目指す。

関連記事:Udacity names former LendingTree executive to CEO post(Udacityが元LendingTreeの役員をCEOに指名、未訳)

今は、米国の労働者にテクノロジー教育を提供する絶好の機会だ。コンサル大手マッキンゼーによると、同国では2030年までに3860万人が解職され、新たな雇用を必要とする。一方、調査会社のGartnerガートナー)によると、多くの企業が人材不足を最上位の懸念としている。

Udacityの事業は2段階に分かれている。最初の1年は10万名を対象に、現状のスキルレベルに関わりなく同社の入門クラスを提供し、週に数時間の授業を2〜3か月受けさせる。

次の段階として、これらの生徒はUdacityのメンターとコミュニティマネージャーにアクセスして、Udacityの科目別学位取得事業ナノディグリー(Nanodegree)を最後まで完全に受けられる。学業とコミュニティ活動の両面で成果を上げた上位の生徒1万名が、これを無料で受講できる。

Udacityのナノディグリーは普通に受けると1カ月399ドルで、通常は5カ月で卒業する。同社のデータによると、Udacityの事業経由で職を得た者の約半分が、それまでよりも38%多い給与を得ている。

Man coding on computer at night.

画像提供: Getty Images/DeanDrobot

【中略】

Udacity自身にとっての大きな変化は、入門クラスを別立ての事業にしたことだ。これまでUdacityは入門コースを、もっと本格的なナノディグリーコースの冒頭に置いていた。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

誰でも30日で何かのエキスパートになれるオンラインクラスMonthly

Month to MasterのMax Deutsch(マックス・ドイチュ)氏を、あなたもご存知かもしれない。彼の1年という短寿命だった自己改良プログラムは、誰もが1カ月で何かの分野のエキスパートになることを目指した。例えば、ルービックキューブを20秒で解けるようになったり、外国語で30分会話できたり、あるいはチェスで世界チャンピオンのMagnus Carlsen(マグヌス・カールセン)氏に勝てるようになる。最後のチェスではドイチュ氏側が負けた。

今回、ドイチュ氏と共同創業者Valentin Perez(バレンティン・ペレス)氏が立ち上げたMonthlyは、ドイチュ氏によると「テクノロジーの力を借りてもっと多くの人びとが短期間でエキスパートになれることを目指す」とのこと。

Monthlyは、エキスパートや各分野のセレブが教える30日のクラスを提供する。その先生はYouTubeのチャンネル登録者が数十万以上という人が多い。例えば、Andrew Huangは(アンドリュー・ファン)氏は音楽プロデュースのクラスを教える。Daria Callie(ダリア・カーリー)氏は写実的肖像画の描き方を教える。そしてStevie Mackey(スティービー・マッキー)氏は歌のクラスを教える。

クラスに入学すると毎日課題が出る。実技指導ビデオを1日中見るという課題もあれば、次の日は実際に何かの実技を練習するなど。クラスはオンラインだが、入学日と受講期間は厳格に決まっている。今入学を受け付けているクラスはファン氏のクラスだけだ。

Monthlyのやり方がいつでも好きなときに受講できるオンライン学習の利点に反していることをドイチュ氏は認めるが、でも彼によると、学習者の自由度が大きいと「また今度にしよう」と受講を先に延ばして中途挫折することが多いそうだ。

音楽プロデュースのクラス

クラスの開講日と終了日をはっきり決めることによって「自分に対するコミットメントをもっとまじめに見るようになり、その結果、より真剣に学習して、自分の憧れを実現しようという意欲を持つようになる」そうだ。

20名ぐらいの同級生グループがあり受講者はその一員になる。そこでは課題を共有したり、フィードバックの発信や受信ができる。ドイチュ氏によると「そして最後には人に自慢でき、社会に対して誇れるような具体的な何かが作り出されている」。それは、録音した声かもしれないし、撮影したムービー、描いた絵画、などなど、さまざまな具体的なものだ。

料金はクラスによって179ドルから279ドルまで。先生の取り分は生徒がMonthlyからサインアップしたか、先生の宣伝からかで異なる。いずれにしてもドイチュ氏によるとコースの作者が十分満足する額の取り分だそうだ。

資金に関してMonthlyは、FloodgateのAnn Miura-Ko(アン・ミウラ・コー)氏や前にドイチュ氏がプロダクトマネージャーだったIntuitの創業者のScott Cook(スコット・クック)氏、そしてOVO FundのEric Chen(エリック。チェン)氏らからすでに調達している。金額は非公開だ。

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画像クレジット: Monthly

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google検索が米国の大学に関する情報をさらに拡充

Googleは米国時間8月15日、米国の大学に関する情報を探している学生のために、いくつかの新しい機能を発表した。昨年、Googleの検索には、4年制の大学に関する情報を載せたウィジェットが新たに導入されたが、今日はそれが2年制のカレッジにも拡張された。

大学に関する検索は願書の受付が始まる前の8月から秋にかけて急上昇するが、Googleによると特に最近の2年間では「家から近い地域の大学」の検索が120%(2倍強)増えている。

今回のアップデートで高校生たちは、大学の学費や倍率などを4年制と2年制の両方に関して比較できる。4年制の大学については、その大学で人気の高い資格授与事業やアソシエイト(准学士制)事業を調べられる。また、特定分野に強い大学のリストを作って、それを距離でソートすることもできる。これは、地域のカレッジなどに在宅通学したい人にとって便利だろう。また、大学を規模でソートすることもできる。

nm mi

これまでと同様、今回の拡張されたデータも教育省の一般公開データがベースだ。

Googleは今日の発表で「私たちは教育の研究者や専門家、非営利団体、高校のカウンセラー、選抜試験の専門家などと協働して、生徒たちのニーズに合った有益な情報体験を構築した。そしてこれからも、情報がもっと容易に入手できる方法の発見に努め、ユーザーの未来の教育機会を見つける努力をお手伝いしたい」とコメントしている。

sb cc

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