開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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