Oculus GoにYouTube VRアプリが登場

本日(米国時間11/12)YouTube VRアプリが199ドルのOculus Goに登場した。これでウェブ最大のVRコンテンツライブラリーがFacebookの入門用VRデバイスで使えるようになった。

YouTubeは、通常のビデオでも没頭的ビデオのタイプでも大量のコンテンツを提供している。ここが360度コンテンツやVR180などのネイティブフォーマットを提供する最大のハブであることは間違いない。しかし、Oculusプラットフォームにとっては、ライブラリー全体を自由にアクセスできることの方がずっと重要だろう。

Oculus Goの戦略で興味深いのは、ゲームでの利用はメディア消費と比べて少数派であることだ。そんなに多くの人たちが360度ビデオを大量消費しているとは信じられない、と思うかもしれないが、実際そうではない。多くのユーザーはこのデバイスの能力の一部のみを利用して、通常の映画やテレビを見る装置として使っている。NetflixやHuluのアプリもあるほか、FacebookはOculus TVというApple TV風の環境を提供するアプリを提供しており、ソーシャルメディアにある大量の2Dコンテンツを見ることができる。

今年のOculus ConnectカンファレンスでCTO John Carmackは、ユーザーがGoで消費した時間の約70%はビデオの視聴で、30%がゲームだと話した。これまでOculusは自らをゲーム会社と位置づけてきたので、モバイルプラットフォームを成長させることによって、VRビジネスのビデオ利用をいかに魅力的にしていけるのかが注目される。

YouTubeによって、Oculusは大量のコンテンツを揃える容易な手段を手に入れた。YouTubeはOculus TVにとっても偉大なパートナーとなる可能性をもっているが、専用アプリはユーザーに多くのものをもたらすだすう。Googleは自社のVRハードウェアDaydreamが伸び悩んでいることから、スタンドアロンのYouTubeアプリをDaydreamにのみ提供するのではないかとも思われた。しかし、どうやらいまのところは外部プラットフォームに力を注ぐつもりのようだ。

YouTube VRアプリはここでダウンロードできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国では生体認証による決済が当たり前になった…11月11日のショッピングフィーバーがそれを証明

中国の消費者はデジタル決済を採用するのが早くて、最近のショッピングブームを見るとその次のステップへの用意ができているようだ。それは、生体認証(バイオメトリックス, biometrics)による決済だ。

11月11日にAlibabaは、世界最大のショッピングイベント「独身の日」に大勝利し、308億ドルの売上を記録した。それはCyber MondayBlack Fridayを合わせたよりも大きい、驚異的な売上高だ。

中国のユーザーたちは、特売を逃すまいとあせってパスワードを入力する代わりに、一瞬で買い物が完了する新しい技術に飛びついた。今年、独身の日の顧客の60.3%が、指紋または自撮り写真の撮影で決済を行った。

そのデータを見せてくれたAlipayにとっても、そんな集計をするのは今回が初めてだった。同社はAlibaba系列のデジタルウォレット企業だが、全世界で8億7000万人のユーザーのオンラインおよびオフラインの商取引を処理し、ライバルのWeChat Payと肩を並べている。後者はTencentの人気の高いチャットアプリWeChatの決済方式で、ユーザー数(MAU)は同じく8億を超えている

そしてこの二社は共に、シームレスな決済に向かって競走している。Alipayは2014年9月に指紋認証による決済を開始した。それから1年足らずで、WeChat Payがそれに続いた。中国の買い物客は徐々にバイオメトリックな自己証明に慣れて、それによりスマートフォンをアンロックしたり、オフィスビルへ入館したりするようになった。2016年にもなると、Chinese Payment and Clearing Association(中国決済手形交換協会, CPCA)がアンケート調査をした人たちの約95%が、指紋認証を“知っている”と答えた。

次に来たのが、自撮りというやや高度な方法だ。昨年Alipayは、AlibabaとAlipayの本拠地杭州のKFCのお店で、にっこりお支払い(smile-to-pay)と名付けた決済方式を展開し、その後、配達の受け取りなどもっと多方面で顔認識による認証をローンチした。

alipay alibaba face recognition

Alipayの親会社Ant Financialは、配達された荷物をユーザーが受け取るとき顔をスキャンして認証する。/出典: Alibaba

政府はいち早く、顔認識の別の用途に目をつけた。そのよく知られている例は、世界で時価総額がいちばん大きいAI企業SenseTimeとの提携により、国民監視システムを開発していることだ。それによりたとえば、路上の犯罪者を追うことができる。

中国人は、身体的特徴による認証に、急速に慣れつつある。前出CPCAの調査によると、2016年には、70%よりやや多い人びとが、自分のバイオメトリックな情報による決済を平気と答えたが、2017年にはその比率が85%に急増した。

この急速な普及には、問題もある。2016年には調査回答者の半分が、生体認証による決済はセキュリティが心配だ、と答えた。しかし翌2017年には、70%が心配だと答えた。その同じ年に77.1%が、もうひとつの心配としてプライバシーを挙げたが、それは前年には70%弱だった。

画像クレジット: Alibaba

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

オウチーノ運営のくふうカンパニー、家計簿アプリZaimを子会社化へ

オウチーノとみんなのウェディングとの共同持株会社として10月に設立された、くふうカンパニー。同グループに今後、家計簿サービス「Zaim」運営元のZaimも加わることになるようだ。

くふうカンパニーは11月13日、Zaimの株式取得に関する基本合意書を締結する決議をしたことを明らかにした。Zaimの発行済株式920株のうち470株を既存株主から取得する計画で、これによってZaimはくふうカンパニーの子会社となる。取得金額に関しては非公開だ。

くふうカンパニーではZaimの件とは別に、生命保険および損害保険の募集代理を行う子会社「保険のくふう」を設立したことも発表。これを機に今までサービスを展開してきた不動産領域と結婚領域に加え、新たに金融領域にも進出する(なお結婚式プロデュース事業を運営するアールキューブの完全子会社化、グループ内の独立したテクノロジー・デザイン組織Da Vinci Studioの設立も本日発表)。

くふうカンパニーグループの事業方針説明会資料より

Zaimはもともと閑歳孝子氏(現Zaim代表取締役)の個人プロジェクトとしてスタートした家計簿アプリだ。サービスのグロースに伴い2012年9月に会社化。現在Zaimとくふうカンパニーの双方で取締役を務める穐田誉輝氏がクックパッドの代表執行役兼取締役だったころに、同社から資金調達も実施していた。

開示されている資料によると2018年8月期の売上が2億5500万円、営業利益が4200万円。またZaim側の発表によると現在のダウンロード数は800万件を突破しているという。

VR/AR用触覚デバイス「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラムが開始

VR/AR用触覚デバイス「EXOS」シリーズを開発・販売するexiiiは11月13日、手首装着型の「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラム「EXOS for Hackers」を開始した。

exiiiはEXOS Wrist DK2の販売を2018年10月に開始したが、販売先が“一定以上の規模の企業”に限定されてしまったという。原因は何といってもその値段で、通常販売では片手60万円(税別)、サブスクでは月額で片手5万円と確かに高額かもしれない。なので、今回のプロジェクトは予算が限られている個人開発者やスタートアップを対象としている。ユースケースの拡大やデベロッパーコミュニティの形成がその狙いだ。

応募の条件は以下のとおり。

対象:個人もしくはスタートアップのVR/ARコンテンツデベロッパー

地域:日本もしくは米国での使用を前提

期間:原則1ヶ月とし、希望の場合はexiiiと相談の上で最大6ヶ月まで延長

EXOS Wrist DK2はVR/AR内でバーチャルオブジェクトに触れることを可能とする、触覚ウェアラブルデバイス。手首の前後方向と左右方向の二方向へ力を加えることで、さまざまな触覚を提示する。Vive ControllerやOculus Touch等のコントローラと組み合わせて使用することもでき、これにより既存のVRコンテンツに触覚を付与するような拡張にも対応可能だ。

exiiiに関しては2018年4月に8000万円を資金調達した際にも記事を出しているのでそちらも参考にしていただきたい。あと、僕は今月中にも同社を取材する予定なので記事化を楽しみに待っていてほしい。

都心にシェア型ウェットラボ開設、スタートアップ育成にかけるBeyond Next伊藤氏の思い

Beyond Next Ventures 代表取締役社長 伊藤毅氏

去る10月30日、三井不動産ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)は共同で、東京・日本橋にシェア型ウェットラボを開設することを発表した。2者と協力し、このシェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」を運営するのは、独立系アクセラレーターとして2つのファンドを運用するBeyond Next Ventures(以下BNV)。ラボ開設は2019年2月を予定している。

彼らのライフサイエンス領域におけるスタートアップ支援の取り組みと、開設されるラボとはどのようなものなのか。またBNVがライフサイエンス領域に密に関わるようになった経緯や、今後のスタートアップ支援への思いについても、BNV代表取締役社長の伊藤毅氏に詳しく話を聞いたので紹介したい。

三井不動産、LINK-JとBeyond Next Venturesの協業体制

LINK-Jは、ライフサイエンス領域でのオープンイノベーション促進、新産業創造支援を目的として、三井不動産と産学の有志が中心となって設立した一般社団法人だ。イノベーションの「場の整備」に取り組む三井不動産とともに、国内外のアカデミアや海外団体との連携による「コミュニティ構築」に取り組んでいる。

LINK-Jでは、カンファレンスルームやラウンジ、オフィスなどの各種スペースを日本橋を拠点に提供し、シンポジウムやセミナーなどの交流イベントも開催する。また、BNVが運営する先端技術系のアクセラレーションプログラム「BRAVE」や、同じくBNVが東京都から委託を受けて運営する創薬系ベンチャー育成プログラム「Blockbuster TOKYO(ブロックバスタートーキョー)」への支援なども行っている。

LINK-J設立から2年半で国内外の15大学が参加し、うち8大学は関連施設内にオフィスを開設。そのほか、ライフサイエンス領域のスタートアップやこれらを支援する企業、VC、団体などとも協業している。

今回のシェアラボ開設発表と同時に三井不動産は、BNVが10月に組成した2号ファンドへ出資したことも明らかにした。資金面でもライフサイエンス領域のスタートアップ支援を進める姿勢を明確にしている。

都心にシェア型ウェットラボ開設へ

さて、日本橋はデパートや老舗など、商業の中心地のイメージが強いが、実は江戸時代から薬種問屋が軒を連ね、現代でも医薬関連企業が集積する地域だ。その地で三井不動産がスペースを提供し、LINK-Jも入居する日本橋ライフサイエンスビルディングの地下にシェア型ウェットラボ、Beyond BioLAB TOKYOがオープンする。ラボは三井不動産からBNVヘフロアを賃貸し、BNVが整備してライフサイエンス領域のスタートアップと契約する形で運営される。

ラボの周辺はコレド室町や三越本店などの商業ビルや、オフィスビルが立ち並ぶ都心のど真ん中。そこへ生化学実験や細胞培養実験などが可能なウェットラボが、しかも共用で利用できる設備として登場する。となると「安全性は確保できるのか」「本当に有効な実験ができる施設になるのか」という両面で懸念が出そうだ。

米国では、既にシェアラボ施設が多数あり、多くのバイオ系スタートアップが輩出されている。先に米国の事情を見てみよう。

2017年1月にBNVと業務提携したIndieBioは、年間30のスタートアップを支援するアクセラレーターだ。サンフランシスコのダウンタウンに位置するIndeiBioは、バイオセーフティレベル1および2の設備を持つラボを24時間・365日提供。物理的な施設に加え、4カ月間のアクセラレーションプログラムと25万ドルのシード資金で、バイオテック関連のスタートアップをサポートする。

ニューヨークやノースカロライナ、サンディエゴなど、米国7カ所に拠点を持ち、2009年から累計230社の企業を支援してきたBioLabsも、ライフサイエンス系スタートアップにシェアラボとオフィス設備を提供する。例えばニューヨークのラボであれば、マンハッタンのダウンタウンに位置しており、ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンターと提携、ライフサイエンス領域のスタートアップの成長を支援している。

米国のこうしたシェアラボやアクセラレーターは、いずれも物理的施設に加え、アクセラレーションプログラム、場合によっては資金の提供により、バイオ系スタートアップを支援している。また、ラボの周りに起業家や研究者のほか、投資家や事業会社、公的機関が集積することで、事業化が進めやすい環境となっている。

こうした先行事例を踏まえて東京の都心に誕生するシェア型ウェットラボ、Beyond BioLAB TOKYOは、どのような環境を提供するのかを見てみよう。

日本橋ライフサイエンスビルディング地下1階のワンフロア、実験スペース、オフィススペースに事務所エリアも含めて、約445平方メートルを占めるBeyond BioLAB TOKYO。研究開発支援エリアは、ベンチ(実験台)を共有して使えるオープンエリアと個室の実験室に分かれている。共有エリアは基本的にはバイオセーフティレベル1(P1)の実験が可能。個室とオープンエリア内で隔離されたP2実験室ではレベル2(P2)の実験も行える(ただし感染症法で特定される病原体の取り扱いはできない)。

実験室共有機器には、安全キャビネット、オートクレーブ、CO2インキュベーター、超純水製造機、ヒュームフード、PCRシステム、フロア型冷却遠心機、超低温フリーザー、コールドルーム、エアバリアブースなどがあり、生化学・細胞培養実験などに必要なベーシックな機器は一通り備え付けられている。

実験素材のコンタミネーションや取り違えを防ぐため、チームごとに専用の鍵つき冷蔵庫も用意されており、試薬保管庫、廃液保管庫なども整備されている。

ラボの設備ももちろんだが、米国で展開されるシェアラボと同様、アクセラレーションプログラムBlockbuster TOKYOとの連動や、ラボ周辺への起業家、研究者、投資家などの関係者の集積ももくろんでおり、三井不動産・LINK-Jとのコラボレーションによる、ネットワーキングやイベント連携も行っていくということだ。

ラボの入居対象は創業前〜起業直後、そして起業後初期までのスタートアップ。料金は10月30日現在の仮の設定だが、1チーム当たり月額20万円前後を予定している。

BNV代表の伊藤氏によれば、ラボ全体で「1〜2名のチームで10〜15チーム、プラス個室を利用する数チーム、合計20チーム弱ぐらい」の入居を想定しているという。ラボのグランドオープン前の約1カ月をプレオープン期間とし、その時点から、2018年度のBlockbuster TOKYOで採択された21チームのうちの約半数の利用を見込んでいる。

医療・ライフサイエンス領域に注力するBeyond Next Ventures

伊藤氏は「日本では、大学などに対する研究資金は米国の約半分強。米国で年間6.3兆円のところ、日本では3.7兆円だ。一方、大学のライセンス収入は、米国の3050億円に対して日本が約27億円と桁が2つ違う、極端に少ない状態」と説明し、「研究によって得た技術が循環していない。大学の技術シーズを実用化し、社会還元することが急務」と述べる。

BNVは2014年の設立後、大学発の研究開発型ベンチャーを対象として1号ファンドを立ち上げ、2016年にクローズ。ファンド総額は55億円を超える規模となった。そして今年の10月には1号ファンドを超える規模の2号ファンドを設立している。

2号ファンドでは先端技術のなかでも特に、医療・ライフサイエンス領域に注力する、とBNVはコメント。伊藤氏は「日米のライセンス収入の差が100倍あるような状況で、スタートアップ支援のエコシステムを確立するためには、お金が必要なことも事実」といい、「資金調達をひとつのきっかけ、起業の第1歩として活用してもらえれば」とファンドの役割に言及。「3桁億円(100億円〜)規模のファンドを目指す」としている。

ファンドによる資金面での支援に加えて、2016年には技術系アクセラレーションプログラムのBRAVE、2018年には創薬系ベンチャー育成プログラムのBlockbuster TOKYOと、BNVはソフト面でもスタートアップを支援してきた。人材面でもサポートを行い、多角的にアカデミア発スタートアップを支えている。今回のシェアラボ開設により、設備・インフラ面でもこの領域の支援が強化されることになる。

BNVが医療・ライフサイエンス領域にフォーカスした理由のひとつには、地縁ともいうべきつながりもあったようだ。「そもそも2年前、BNVのオフィスを日本橋に移したとき、建物のオーナーが三井不動産で。そこから縁が始まった」と伊藤氏は3者の連携が生まれたきっかけについて話している。医薬の街・日本橋を舞台に、大学発のライフサイエンス系スタートアップが集うLINK-Jに、BNVは会員・サポーターとして参加。LINK-Jのほうも、BRAVEの第1回プログラムからスポンサーとして参画し、現在も公式アクセラレーションプログラムとして取り扱っている。

「こうした縁で、医療・創薬系スタートアップのネットワークを3者で培ってきた」という伊藤氏。「IndieBioの事例なども参考に、アクセスが良い場所に設備を提供し、ネットワークも提供することで、バイオ系スタートアップが起業できる場を作れないか、と考えてきた。Blockbuster TOKYOの運営が決まって、育成環境も整ったので、後は実験できる場所だけ。三井不動産、LINK-Jとの連携により、今日、シェアラボという形が実現した」(伊藤氏)

写真左からBeyond Next Ventures 代表取締役社長 伊藤毅氏、三井不動産 常務執行役員/LINK-J理事 植田俊氏、LINK-J理事/事務局長 曽山明彦氏

VCからアクセラレーターへ

ベンチャーキャピタルといえば、ファンドとしてスタートアップの資金面をサポートするもの、というイメージが強い。だが伊藤氏は「確かにお金には価値がある。だが、技術シーズが社会実装できないのは、資金だけでは事業の形にならないから。そうしたシーズはアカデミアにいっぱい埋もれている」として、BNVの立場について「最近、VCからアクセラレーターへと呼び方を意識的に変えた」と話している。

「すばらしい技術があれば、それに興味を持ってもらわなければ。技術だけでは、ビジネスの人には(その先進性が)理解してもらえない。ビジネスの人が『面白い』と思ってくれるようなプランに作り変えるのも、アクセラレーターとしての仕事」(伊藤氏)

BNVでは、技術シーズを事業計画へ落とし込むサポートも行う。伊藤氏は「起業家がリスクを負ってチャレンジをするなら、支援者のほうも同じようにチャレンジをしないと」と語る。

2017年には社内にヘッドハンターを採用した。実はアカデミア発の技術系スタートアップで事業化が難しいのには、「社長がいない、見つからない」という理由も大きい。この課題を解決すべく、BNVでは1500名の社長候補者をプールして、スタートアップとのマッチングも行っている。また、起業家育成もあわせて行う。

ファンドから環境整備へ。伊藤氏は「とにかく、目の前にある課題を解決していくことだ。そうすることで、新しいことをやる人を、チャレンジを増やしたい」と語る。「自分たちも2014年に始まったばかりのベンチャー。だから枠組みにとらわれずに、できることをやっていきたい」(伊藤氏)

TC Tokyo 2018にAIが解析するスマートフットウェアプラットフォーム「ORPHE TRACK」の展示が決定

11月15日(木)、16日(金)に開催される日本最大級のスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。そのフューチャーラウンジに新たな企業の出展が決まった。スマートフットウェアを開発するスタートアップ企業であるno new folk studioの「ORPHE TRACK」が展示されるのだ。ORPHE TRACKはすべての靴をAI搭載のIoTシューズにするためのプラットフォーム。

ORPHE TRACKの核となるモジュールである「ORPHE CORE」は、6軸モーションセンサー、気圧センサー、振動モーターのほか、STマイクロエレクトロニクス社の最先端のマイクロコンピューター「STM32L4+」シリーズを内蔵。リアルタイムで高精度の運動解析とフィードバックを低消費電力かつ高速処理で可能にしたという。また、ORPHE COREに搭載されるAI「ORPHE AI」は、足の動きのデータを機械学習して、ランニングフォームのコーチングや健康状態のアドバイスを行うそうだ。運動能力や健康状態と密接な関係にある「歩き」や「走り」を精密に記録して解析することで生活を変革していきたい、と同社は語っている。

また同社は、「ORPHE TRACK」プラットフォームに適合する靴をデザインするためのフレームワーク「ORPHE FRAMEWORKS」を靴メーカー向けに用意している。このフレームワークに沿って「ORPHE CORE」を内蔵できるようにデザインすることで、あらゆる靴が「ORPHE TRACK」プラットフォーム対応になるそうだ。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

チケット購入はこちらから

LINE上で収支管理ができる「LINE家計簿」がローンチ

最近は保険や資産運用など“お金”に関するサービスに次々と着手しているLINE。その同社が次に取り組むのは家庭の資産管理、つまり“家計簿”だ。

LINE Payは11月13日、「LINE」アプリ上から利用できる家計簿・資産管理サービス「LINE家計簿」をローンチしたことを明らかにした(ローンチ日は12日)。

同サービスは「楽しくつづける。楽しくたまる。」をコンセプトとした、完全無料の個人向け家計簿サービス。以前紹介した「LINEほけん」や「LINEスマート投資」のようにLINEの“ウォレット”タブからアクセスできるLINE版と、独立したアプリ版(iOSAndroidに対応)の2つの形式で提供する。

アプリ版では銀行やクレジットカード、電子マネーなどの金融サービスや「LINEポイント」を始めとする各種ポイントサービス、ECサービスと連携が可能。それらの情報を一括で管理して、自動で家計簿を作成できるのが特徴だ。「LINE Pay」での送金や支払い、チャージなどの利用履歴、残高確認を自動で取り込み家計簿に反映する機能も備える。

一方のLINE版はLINEアプリ上からすぐに起動できるのがウリだ。収支の記録や連携した金融サービスの情報をチェックすることが可能。ただし現時点では一部の機能には制限があり、すべての機能を使うにはアプリ版のインストールが必要だという(この辺りは公式のリリースに詳しい)。

そのほかアプリ版では手入力のほか、レシートを撮影すると品目や金額を読み取り自動入力する仕組みも構築。入力された収支をもとに“今日使えるお金”の上限を自動計算してくれる機能や、過去の支出をグラフ化した1週間や1ヶ月単位のレポートを無料で閲覧できる機能なども備える。

LINE Payでは「『LINE家計簿』は、LINEのさまざまな金融サービスのハブとなり、お金の流れを可視化し、決済や収支の管理はもとより、賢く効率的な貯蓄を可能にし、資産形成、資産運用をサポートする家計簿・資産管理サービスを目指します」とコメント。

今後はLINE上の友だちと貯金や収支・資産が共有できるグループ機能の搭載も予定しているという。

家計簿アプリと言えばマネーフォワードZaim、スマートアイデア(お金レコ)、 BearTail X (Dr.Wallet)など複数のスタートアップがサービスを展開している領域でもある。そこにLINEが加わることでどのような変化が起こるのか、今後の動向が気になるところだ。

WOWOWはなぜV字回復できたのか|顧客構造を筋肉質化させ、サブスクリプションビジネスを成功に導く方法

こんにちは。バズ部の川添です。 今回は、4年連続顧客減から12年連続顧客増へと導き、WOWOWの経営危機を救った、マーケティングコンサルタントの大坂祐希枝さんに、なぜそんな偉業を達成することができたのかをお尋ねしました。 […]

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CloudflareのプライバシーとスピードをアップしたDNSサービス1.1.1.1がモバイルアプリに

多面的なセキュリティ/Web最適化サービスを提供するCloudflareが、その、プライバシーにフォーカスしたDNSサービス1.1.1.1を今日(米国時間11/12)からモバイルユーザーにも提供する。

スマートフォンやタブレットで1.1.1.1を使うことは、これまでも可能だったが、これからは専用アプリをiOSとAndroidの両方のデバイスで使えるから、その無料の消費者向けDNSサービスを誰もが容易に利用できるようになった。

そのアプリは、ボタン一つ押すだけでon/offを切り替えられる。やることは、たったそれだけだ。

Cloudflareは1.1.1.1を、、まさに今年のエイプリルフールの日に展開したが、このサンフランシスコの大きなネットワーキング企業にとってプライバシーはジョークではない。このサービスを利用すると、ユーザーのDNS情報…インターネットに接続した時間、タイプしたWebアドレスなど…をCloudflareが処理することになる。DNSデータが1.1.1.1へ行くようになると、インターネットプロバイダーは、そのユーザーが訪ねているWebサイトを知ることが困難になり、ユーザーは検閲やハイジャックのおそれなく、サイトにアクセスできるようになる。

完璧なプライバシーを約束する万能薬ではないが、何もないよりはましである。

このサービスはしかも、もーれつに速い。ページのロードに何秒も浪費しない。世界の中の、これまで遅かった地域ではとくに効果が著しい。

CloudflareのCEO Matthew Princeはこう言う: “1.1.1.1を立ち上げたのは、世界中の消費者に、速くてしかもプライバシーの堅固なインターネットの閲覧を提供するためだ。とくにモバイル上では、1.1.1.1がアプリになったことによって、自分のスマートフォンの上で高速で暗号化されたDNSを利用することが、さらに容易になった”。

アプリのダウンロードは、AppleのApp StoreGoogle Playから。

[↓Cloudflareのプライバシーを強化したDNSサービス(未訳)]

画像クレジット: Cloudflare

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ゲイ専用デートアプリChappy、中傷と闘うNGOとパートナーシップ

ゲイの男性向けデートアプリChappyは今日、GLAAD(編集部注:米国の中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)とのパートナーシップを発表した。パートナーシップの一環として、Chappyは今日から2019年までの間、アプリで会話が行われるごとにGLAADに寄付を行う。

寄付の額についてChappyは明らかにしない意向だが、“何十万ドル”か寄付できれば、としている。

Chappyはゲイの男性が互いに連絡を取り合うのに、差別のない信頼できる手段を提供しようと2017年に始まった。このアプリでは、“キュート”から“セクシー”に至るまで、どのような関係を求めているかをユーザーが示せるスライディングスケールを活用している。アプリのこれまでの登録ユーザーは65万人で、10億回以上のスワイプがあった。

ChappyはBumbleがサポートしているアプリで、Bumbleの株主によりコントロールされ、デートアプリBadooの傘下にある。先月Bumbleは公式のゲイ専用アプリをChappyと命名した。提携の一環として、BumbleとChappyは互いのアプリを促進することになる。

Chappyの最高業務責任者Adam Cohen-Aslateiは、GLAADへの寄付は用途が制限されておらず、GLAADがふさわしいと考えることに使われることになる、と語っている。Cohen-Aslateiはまた、GLAADの研究プロジェクトへの貢献も望んでいて、Chappyのコミュニティが研究向けに有用なデータを提供する機会があると考えている。

Cohen-Aslateiは、マーケティング担当の副社長を務めていたJunグループからChappyに移ってきた。現在の役職には先月就任した。

「デートアプリはそこらじゅうにあり、それぞれ工夫も多くみられる」とCohen-Aslateiは話す。「我々はゲイの人たちが互いに会ったり、関係を考えたりする手段の改善、そして地域社会への責任についての考え方の改善に取り組んでいる。Chappyは関係と啓発を目的としたアプリであり、ゲイについて理解促進を行なっている正しい団体のパートナーでありたい」と語っている。

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(翻訳:Mizoguchi)

 

分散ストレージCephが独自のオープンソースファウンデーションを設立しLinux Foundationに参加

まだあまり有名ではないオープンソースの分散ストレージCephは、実際にはすでに全世界的に、大規模なコンテナプロジェクトやOpenStackのプロジェクトで利用されている。ユーザーはたとえば、金融のBloombergやFidelity, クラウドサービスプロバイダーのRackspaceやLinode, 通信大手のDeutsche Telekom, 自動車のBMW, ソフトウェアのSAPやSalesforceなどだ。

今日のオープンソースプロジェクトは、その多様な関心を一手に引き受けて処理し管理する管理組織、ファウンデーションが背後にないと、成功を維持し今後の発展を築くことも難しい。そこで当然ながらCephも、自分専用のファウンデーションCeph Foundationを作った。そしてこれまでのオープンソースプロジェクトのファウンデーションの多くに倣い、それをLinux Foundationの下に置いた。

Cephの共作者で、プロジェクトリーダー、そしてRed Hat for CephのチーフアーキテクトでもあるSage Weilはこう述べる: “パブリッククラウドの初期のプロバイダーたちがセルフサービス型のストレージインフラストラクチャを流行(はや)らせ、そしてCephはそれを一般企業や個人、そしていろんなサービスブロバイダーたちに提供している。今では強力で堅固なデベロッパーコミュニティとユーザーコミュニティが育ち、ストレージの分野における未来のイノベーションを推進している。本日のCeph Foundationの立ち上げは、さまざまなオープンソースのコミュニティが協力し合えばデータストレージとデータサービスの爆発的な成長を強力に支えていけることの、証(あかし)になるだろう”。

Cephはすでに多方面で使われているから、ファウンデーションの創設メンバーもすごい顔ぶれだ: Amihan Global, Canonical, CERN, China Mobile, Digital Ocean, Intel, ProphetStor Data Service, OVH Hosting Red Hat, SoftIron, SUSE, Western Digital, XSKY Data Technology, そしてZTEなど。創設メンバーの多くがすでに、非公式団体Ceph Community Advisory Board(顧問団)のメンバーだ。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinはこう言う: “企業の高い成長率の維持管理を効果的に助け、彼らのデータストレージの需要を拡大してきたことに関して、Cephには長年の成功の実績がある。Linux Foundationの下でCeph Foundationは、より幅広いグループからの投資を活用して、Cephのエコシステムの成功と安定の継続に必要なインフラストラクチャをサポートできるだろう”。

cepha and linux foundation logo

Cephは、OpenStackとコンテナをベースとするプラットホームを構築するベンダーにとって重要なビルディングブロックだ。実はOpenStackのユーザーの2/3がCephをメインで使っており、またCephはRookの中核的な部分でもある。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)傘下のRookは、Kubernetesベースのアプリケーションのためのストレージサービスを、より容易に構築できるためのプロジェクトだ。このように、今や多様な世界に対応しているCephだから、ニュートラルな管理機関としてのファウンデーションを持つことは理にかなっている。でも、ぼくの山勘では、OpenStack Foundationもこのプロジェクトをホストしたかったのではないかな。

今日(米国時間11/12)のこの発表のわずか数日前にLinux Foundationは、FacebookのGraphQLのファウンデーションGraphQL Foundationをホストすることを発表した

[↓Facebookのクエリ言語GraphQLが独自のオープンソースファウンデーションを設立(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

チャージカードスタートアップのBrexは、ユニコーン(10億ドル)ならぬデカコーン(100億ドル)の成功を目指す

【編集部注】著者のGregg SchoenbergはThe Financial Revolutionistの編集長兼共同創業者である。

企業のクレジットならびにチャージカードを再発明しようとしている若いスタートアップのBrexは、いまではシリコンバレーではよく知られた存在だ。まだ若い同社の共同創業者であるHenrique DubugrasとPedro Franceschi、著名な支援者たち、先月発表された1億2500万ドルのシリーズC,サンフランシスコでの積極的な広告宣伝、そして同社の猛烈な成長が、注目を大いに引き寄せる効果を発揮している。しかしもちろん、Brexをフィンテックユニコーンクラブに参加させたのは、リストのトップに躍り出た、最後のラウンドの評価額だった。

最近Brexは、Brexの成功に追いつくことを熱望する起業家たち専用の、新しいお得な報酬プログラムを発表したために、さまざまな発言の機会が増えている。しかし話題の中心は、DubugrasとFranceschiが、どのようにペイメントスタートアップの構築への困難な挑戦に取り組んだかの、具体的な方法である。

そうしたことに向けてのより良い理解を促すために、CEOのDubugrasが、彼とFranceschiが手がけた以前のスタートアップPagar.me(Pager.meは新しく公開されたブラジルのクレジットカード会社StoneCoによって買収された)や、すばやく成長する上での課題、Brexカードと従来の企業カード製品の違い、そしてビジネスサイクルの変動を乗り切る同社の計画、などについて打ち明けた。最後にDubugrasは、誰もが注目している、現在同社が直面するかなりのプレッシャーについて、率直かつ自信を持って語っている。

Gregg Schoenberg(以下GS):また会えて幸いです、Henrique。ご存知のように、Brexは短期間でゼロから素晴らしいものへと変化したために、多くの報道が行われています。しかし、これまでのBrexの話題をフォローしていなかった人のためにあえて質問しますが、このスタートアップで解決したかった問題とは何でしょう?

Henrique Dubugras(以下HD):FICOスコアを持っていなかったり、個人保証を提供できないために、創業者がクレジットカードを取得できない場合がその1つです。また別のケースとしては、創業者はカードを取得できるものの、個人保証を提供したくない場合です。

GS:よくわかります。

HD:そうですね、とてもスマートなアイデアだとは思っていません。Brexはこの問題を解決できるわけですが、それは個人保証なしに彼らにカードを発行することができるからです。また最後に、個人保証を気にしない創業者もいますが、クレジットカードを持っている体験に関連したもっと素晴らしいことが他にもあるのです。私たちはそれも解決しました。

GS:最初の2つは、これまでとは異なる融資引受アプローチですが、最後の課題は特に難しそうに思えます。

HD:はい。融資引受に際しては、現金残高と投資に参加しているVCを考慮に入れます。ゼロから利用可能なカードを手にするまでに、5分ほどしかかからないのが、シリコンバレー流の融資引受です。しかし、3番目のユースケースに関して言えば、沢山の人たちに「君たち、クレジットカードシステムをゼロから再構築することなんて不可能だよ。過去20年間で誰もそれをやっていないんだから」と言われました。

GS:それこそが、Pager.meについてお話を聞かせて欲しい理由なのです。なぜならそうすれば、あなたが疑念を払拭することが可能だという証拠を提供してくれると思うからです。

HD:そうですね、これまでは決済会社を構築していたので、やり方はある意味理解していました。そこで、単にすべてをゼロから再構築することにしたのです。StoneのIPOはご覧になったのですよね?

GS:はい。そして報告書に深く埋もれていましたが、2016年の残りにPager.meにどれほど費用がかかったかが指摘されていました。そのため、あなたとPedroは、成功したものを作り出してはいましたが、その収益で島を買うというわけにはいかなかったのですね。

HD:IPOに含まれない他の部分もありましたが、はい、わたしたちは今でも島を買うことはできません。

GS:そしてあなたとPedroがブラジルからここに来ることができた、この短期間のうちに驚くべき資金調達をできたという物語を、あなた方が巨額のエグジットを達成できたからだ、と説明するのは正確ではないのですね。そうではなくて、極めて官僚的な金融システムを泳ぎ渡った2人の姿が見えるのですが…。

HD:はいその通りです。

私たちは、米国の決済会社や、他のあらゆる場所のものと比べても、かなりユニークな経験を持っていました。

GS:…そして成功できるものを作り出す方法を考え出したのですね。

HD:そうです。ただ留意しておいて欲しいのですが、私たちは単なる製品以上のものを作り上げたのです。組織を作ったのです。100人以上の人たちを雇い、利益をあげ、十分な市場シェアを獲得し、そして買収されました。

GS:私の目から見た場合、大きな特徴は、あなたがたがそれをブラジルのフィンテックのブートキャンプで行ったことです。決済会社をそこで、あの規模で、あの時期に生み出すことはとても難しかったと思います。

HD:本当に難しかったです。そして、量的に見ると、Pagar.meは今日Stoneの大きな部分を占めています。

GS:規制当局とも相当交渉をする必要があったのでは?

HD:はい。中央銀行は、私たちがPagar.meを始めたころに、金融事業に対する規制を開始することを決定しました。

GS:Pagar.meはオンラインでビジネスを行っているすべての加盟店に、短期融資を提供しました。そうですよね?

HD:はい。市場では前払いが大きな部分を占めていましたので、商店に売掛金をすぐに渡すために、ブラジルの中で借金をしなければなりませんでした。私たちはまた、自分たち自身で持つのではなく、ライセンスを借りていました。そうしたことから、私たちは、米国の決済会社や、他のあらゆる場所のものと比べても、かなりユニークな経験を持っていたのです。

GS:米国のペイメントエコシステムの中から誰かが、そのような多様な挑戦に直面し、表に出てくることは非常に困難だったと思います。それこそが、Max Levchinのような早期投資家たちに「君たちが何を作ろうとも、それに投資したい。君たちの才能が大好きなんだ」と言わせて、心を掴んだ大きな理由なのですね。

HD:そうです。そしてMaxは、決済というものをとても良く理解していたので、私たちが自分たちの領域で何をしているかを知っていることを、きちんと理解できたのです。Pagar.meについて知っていたRibbit Capitalも同様です。

GS:Maxが決済会社への投資をすることは、Maxがヤワなスタートアップに投資することとは違います。決済のような世界では、彼が早い段階からあなたがたの後ろにぴったりくっついていたことが大きいと思うのですが。

HD:正しいですね。

GS:さてBrexのことに戻りましょう。発表したばかりの報酬プログラムに興味を持っています。これはパラダイムシフトですよね。このプログラムでは、報酬は蓄積されるのではなく、継続的に使用されるようにデザインされていますよね?

HD:その通りです。毎日最良の経験をしていただけるように、報酬の全てを利用していただきたいのです。そして、他のクレジットカードにはよく読むと「但し、この上限、制限、そして限度額内で使うことができます」といった脚注が書かれています。

GS:人びとが最適化しないようにしようとしていますね。

HD:はい。私たちは、とても変わったアプローチを採用しています。私たちは「ただ1つのクレジットカードを使う、優良顧客や利用者に対しては、こうした制限や限度を課すことで、不自由を強いることはしたくない」のです。

GS:Brexに特徴的なコンセプトは何ですか?

HD:コンセプトは、もしBrexがあなたの唯一のカードであれば、全ての報酬を制限なく受け取ることができるというものです。しかし、それがあなたの唯一のカードでないならば、その場合でもBrexは使うことができますが、報酬は制限されます。

GS:Amex、Chase、またはCapital Oneがそうした報酬プログラムを気にしないとは主張できないのでは?これはロボアドバイザーの初期段階に似ています。しかし、あなたがたが大きくなって、より広がり目障りになってきたときに、Chaseに多額の報酬を伴ったカードを投入させないための要素とは何でしょう。

HD:その1つは、彼らの従来の技術に及ぼす影響です。おそらく皆さんは「どうして彼らは単に、自分たちの技術を変えないの?」と言いたいですよね?実のところ、彼らに対しては「いや、全部のテクノロジーシステムを変えることはできない。なにしろ君たちが混乱したら、米国全体の金融システムが影響を受けてしまうからだ」といって止めに入る規制機関がいるのです。

GS:これがどのように展開していくかの具体例を挙げることができますか?

HD:信用限度額について考えてみましょう。こうした全ての企業は、現時点で設定される静的なカード限度額を提供するようになっています。そしてそれは2,3,6ヶ月…の間見直されることはありません。

私たちは、多額のお金を調達して、馬鹿げたことを始める、馬鹿げた企業にはなりたくありません。

GS:そうですね。しかしその話は、チャージカードとチャージカードを比較しているのですか、それともチャージカードとクレジットカードを比較しているのでしょうか?

HD:Brexはチャージカードですが、ここで説明しているコンセプトには影響しません、なぜなら私のポイントは、リアルタイムデータに基いて毎日限度額を見直す技術と、彼らが現在使っているシステムの対比だからです。リアルタイムシステムを実装することは、彼らにとって本質的な転換となります。

GS:伝統的なカードに比べて10倍のクレジット限度額を与えるというアイデアについてはどうでしょう。それは素晴らしいことですが、あなた方は多くの分析やデータにアクセスできるので、実際にそれほど大きなリスクを受けることはないと思いますが。

HD:そのとおりですね。そのおかげで今日(today)の損失はゼロです。

GS:今日(today)?

HD:これまでのところ(to date)ですね。

GS:素晴らしい。それではVisaネットワークにアクセスするために必要な、イシュア銀行であるSutton Bankについてお話ししましょう。もし他のイシュア銀行が「あなた方のしていることを気に入りました、私たちもイシュア銀行として使ってもらえませんか?」とアプローチしてきた場合はどうなさいますか?

HD:そうなれば検討することになるでしょう。しかしそれは現段階で私たちが集中したいものではありません。私たちは発行(イシュー)のために彼らのライセンスを利用していますが、基本的に全てを行っています。私たちは融資引受を行い、技術も、その他全ても行います。

GS:スタートアップの世界からさらに広い世界へと成長したいとお考えであることは、よく知られています。次はどうなさるのですか?

HD:従来型のビジネスをより多く相手にしたいと思っています。もう少し成熟していてテクノロジーの外側にある世界へ。それはおそらく来年の間には取り組むことになると思いますが、私たちの引受モデルとプロダクトを適応させなければなりません。

GS:報酬プログラムもですよね?私にはAWSのクレジット提供を気にするような、従来型のビジネスはあまり思いつかないのですが。

HD:そうした企業にとっては、関心のあるものはキャッシュバック以外にはありません。私たちがそれを適応するのは、彼らがもっと気にしているものだからです。

GS:ブリッツスケーリング(劇的成長)の精神をどう考えますか?

HD:私はその本を実際に今読んでいますが、まだ結論を下していません。この本に挙げられているすべての例は、多くのネットワーク効果と、勝者総取りの、2極化した市場のように見えます。それは私たちの目指すものではありません。

GS:モデルにかかわらず、あなた方は騒ぎは起きるに任せてそれを無視するという…私はそれが2018年のフィンテックもしくはファイナンシャルサービスの世界で通用するのかどうかはわかりません。

HD:はい、フィンテックにはまた別の側面があるのです。なぜならそれは人びとのお金を扱うからです。買い手に損をさせるわけにはいきません。しかし、私はそれには他の側面があると思っています。私たちは成功のための計画に向かうのでしょうか、それとも失敗に備えるのでしょうか?私たちは、よりはやく雇用するのでしょうか、それともよりゆっくりと雇用するのでしょうか?

GS:あなた方のように多くな資金調達を行った人たちはみな、採用モードになります。その若さ故に、採用の苦労に遭遇しましたか?

HD:米国ではありませんが、ブラジルでは感じました。とても若い人たちによって創業された、成功企業の例はたくさんあります。まあ、私たちは本当に凄いことをした他の人よりも、1歳くらい若いかもしれませんけどね。

GS:あなたの名刺のインクはある意味まだ濡れていて(まだ組織が若いという比喩)、多くの人たちを急速に雇っている最中ですが、共通の文化を構築するという考えはどうでしょう?

HD:どのような文化を作りたいかという課題については、沢山考えています。GoogleやAirbnbのような文化の企業もあります、つまり「ヘイ、私たちは家族だね」という具合。よりプロフェッショナルなスポーツチームのようにみえる、NetflixやAppleのような企業もあります。私たちは、明らかにGoogleやAirbnbよりも、NetflixやAppleのほうに向かっていますね。

100億〜200億ドルのビジネスを構築することは難しいです。本当に、本当に難しいです。

GS:「よりプロフェッショナル」とはどういう意味ですか?

HD:より仕事中心で、特権的なものを与えないということです。また、シリコンバレーの多くの人たちが株式を信じていないので、株の提供は抑えて、より高い給与を支払うことが好きです。私たちは「はい、もっと多くの現金を支払います」と言って来ました、そしてもっとも交渉上手の人ではなく、歳月を経てもっとも良い働きをした人のために株はとってあります。

GS:あなたの考えは?

HD:一般に、リスクに与えられるスーパープレミアムがありますよね?それは私たちが何者でもなく、私たちを信じる人が誰もいなかったときに、私たちに加わってくれた人たちに与えられるものです。しかしそうしたプレミアムは、この先長期にわたってこの会社で働いてくれるひとに与えられるものに比べると大きすぎると考えています。より多くのプレミアムが、この先6年、7年、8年とこの会社で成長を支えてくれる人たちに渡るべきだと思います。

GS:ではそうした人たちをどこに置くつもりなのかについてお聞きしましょう。ブラジルですか?それともアトランタの”Transaction Alley”(トランザクション通り)でしょうか?

HD:それについては考えている最中ですが、個人的にはバンクーバーが主要な候補地だと思っています。

GS:どうしてバンクーバーなのですか?

HD:ビザを本当に迅速に取得できるからです。

GS:スピードへの要求を考えれば、迅速な成長を狙いながらも支出のコントロールに不安を感じたりしませんか?

HD:正直なところ、私たちは逆の問題を抱えています。Pagar.meが30万ドルで立ち上げられたことを考えてみて下さい。調達された資金はそれだけでした。

GS:本当ですか?

HD:はい。私たちにとっては、お金を使わないことがデフォルトなのです。それなのに今、私たちにはたくさんのお金があって、速く成長するために投資する必要があるのです。そこで私たちは常に、より多くのお金を使う方法を積極的に考えています。

GS:その点では苦労しているようですね。

私たちは、多額のお金を調達して、馬鹿げたことを始める、馬鹿げた企業にはなりたくありません。しかし、私たちはまた、より速く成長するために投資する必要があるので、そのバランスを見つけることが…

GS:…顧客獲得には費用がかかる可能性があります。

HD:はい、しかし私たちにとってはあまり問題にはなりません。私たちの市場はとてもニッチなので、Googleに数十万ドルを使うことはできないのです。私たちはとてもニッチなので、単にそうできないのです。

GS:そうですね。

HS: しかし、私たちは確かに、どのように資金を投じればよいのか、そしてどのように投じないようにすればよいのかについての課題を抱えています。

GS:まあ、もっと多くの広告媒体に広告を掲載することはできると思いますよ。

HS:実際のところそれは安いんですよ!それについての記事がありましたが、私たちはサンフランシスコ全域で3ヶ月のうちに30万ドルを使いました。

GS:最後に、ベイエリアで一番ホットな若いスタートアップになることが何を意味するのかを話し合ってみたいのですが。そしていつかは、景気後退が来るという事実について。まず最初の話題ですが、最近の注目度の上昇を受けて、皆に見られているせいで、失敗を人目から隠すことができないことが気になりますか?

HD:はい。もちろんそのプレッシャーを感じています。しかし、私たちが知っている市場ですし、これをやるのは2度目ですから、ある程度の自信は持っています。それに私は幹部チームが本当に好きです。さらに、Pagar.meの経験を通して、マネジメントやカルチャー、そしてスケール問題がどのようなものかも、かなり習得しています。

景気後退にどう対処すれば良いかを知っている人がいたとしたら、それは間違いだと思っています。

GS:それでも、あなた方の会社の評価額とそれに伴う期待を考えると、それは大きなプレッシャーでしょう。

HD:そうですね。その責任の重さを考えると、本当に恐ろしくなります。そして私は投資家の皆さんに10から20倍のリターンをお返しできなければ、Brexが成功したとは思えないのです。100億〜200億ドルのビジネスを構築することは難しいことです。本当に、本当に難しいです。

GS:あなた方は次のStripeにならなければなりませんからね…ではビジネスサイクルを話すことで終わりましょう。多くのCEOの方々と話をすると、よく聞かされるのが「実際は、景気後退の中で私たちは偉大な存在になるだろう。景気後退のときのほうがむしろ良くなるのだ」という言い回しです。まあこれが真実の場合もありますが、ほとんどの場合は間違っていますよね。

HD:はい。

GS:ビジネスサイクルが変わったときには何が起きるのでしょう、VCの活動があまりなくなって、それでも成長の方法を見出さなければならないのですよ?

HD:景気後退にどう対処すれば良いかを知っている人がいたとしたら、それは間違いだと思っています。なぜならそれぞれの景気後退は、お互いに非常に異なっているからです。2008年は2001年とは完全に異なっていました。それらが互いにとても異なっているのですから、すべてに対処できる方法を知っている1人の人間はいません。

GS:そうですね。

HD:私たちにできることは、大きな構想の下に動くことだけです。1つ目は必要額以上の資金を調達すること、これはできました。そして2つ目はすぐにカットできる支出方法を持つことです。

GS:おそらくあなたのブラジルの血筋が役に立つのはこういうときでしょうね。なにしろ経済的に不安定な国で育ったのですから。

HD:全くその通りです。

GS:朝と夕方では店頭で物の値段が変わるのですよね。

HD:私たちはその時は生まれていませんでしたが、両親がそれについて話すのを聞いたことがあります。

GS:ああそうですね。うっかりしました。

HD:私たちがそこから最も学んだことは、何事も成し遂げ終わるまでは、成し遂げられたことにはならないということです。ブラジルから来て、この事実指向の文化は私たちの体に染み込みました。実際に資金が振り込まれるまで、ラウンドの終了を祝うことさえしませんでした。

GS:最後の質問です。最終的にあなた方の分野で正面からぶつかる競争相手がいるとしたら、それは第2のHenriqueとPedroなのでしょうか?それとも、もっと大きな企業が立ちふさがるのでしょうか?

HD:このプロダクトに続くとしたらフィンテック企業でしょうね。私は、それがAmexやChaseだとは思いません。おそらくPayPal、Square、Adyen、Cyber​​Sourceのような企業がやってくるのではないでしょうか。彼らはレガシー企業ではないので、銀行が抱えているような問題を持っていません。

GS:了解です。

HD:しかし正直なところ、第2のHenriqueとPedroが登場するとは思っていません。なので…

GS:そうですね、おふたりの幸運を祈りましょう。

このインタビューは、内容、長さ、および明快さのために編集されている。

(訳注:米国におけるチャージカードとは、クレジットカードの一種だが、分割支払機能がなく一括払いのみが許されるカードのこと)

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(翻訳:sako)

TC Tokyo 2018のフューチャーラウンジにWEAR SPACEが展示されるぞ!

Shiftallが、パナソニックのデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」と共同で開発した「WEAR SPACE」(ウェアスペース)をご存じだろうか。独創的なフォルムで集中力を高めるウェアラブル端末で、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループが運営する「GREEN FUNDING」を通じて現在クラウドファンディング中だ。

WEAR SPACEは、ノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォンと視界を調整できるパーティションで構成されている。この機能とデザインにより、周囲の雑音を低減して不要な視覚情報を排除することで、オープンな空間にいながらも瞬時に周囲との境界を作り出し、心理的なパーソナル空間を生み出すという。

WEAR SPACEの試作品は、これまで国内外のさまざまな展示会やイベントなどにを出展。2017年には、国際的なプロダクトデザイン賞のひとつである「Red Dot Design Award(レッド・ドット・デザイン賞)」のデザインコンセプト部門において「Best of the Best Award(ベスト・オブ・ザ・ベスト賞)」を受賞している。

TechCrunch Tokyo 2018では、このWEAR SPACEをフューチャーラウンジに展示してもらうことが決まった。しかも、TechCrunch Tokyo 2018初日となる11月15日には、渋谷ヒカリエのBホールに設置されるTC LoungeでWEAR SPACEの開発担当者によるプレゼンテーションも予定されている。

TechCrunch Tokyo 2018では現在、一般チケット(4万円)、5人以上の一括申し込みが条件の「団体チケット」(2万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を販売中だ。

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伝説のアメコミ原作者、スタン・リー亡くなる――スパイダーマン、ハルク、X-MEN、アイアンの産みの親だった

アメリカン・コミックの原作者としてもっとも影響力が高く、おそらくはもっとも愛された人物が亡くなった。スタン・リーは95歳だった。

ディズニーのCEO、ボブ・アイガーは声明で「スタン・リーの作り出したキャラクターはいずれも途方もないものだ。世界中のマーベル・コミックのファンにとって彼自身がスーパーヒーローだった。スタンは人々にインスピレーションを与え、楽しませ、結束させる素晴らしい能力があった。スタンの想像力は彼のハートと同様に巨大だった」と述べた

スタン・リーは本名をスタンリー・マーティン・リーバーといい、ニューヨークでユダヤ系移民の家に生まれた。リーは後に「本名は真面目な著作のために取っておいたのだ」と語っている。しかし結局のところスタン・リーとして記憶されることとなった。

アーティストのJack KirbySteve Ditkoの協力を得て、リーは1960年代にマーベル・コミックスの原動力となった。リーが創造したキャラクターのリストは驚くべきものだ。スパイダーマン、ファンタスティック・フォー、アイアンマン、超人ハルク、マイティー・ソー、X-MEN、ブラックパンサー等々。

マーベル・コミックスに登場した頃のオリジナルを見ると、いかにも素朴で古典的な感じがする。特に後年コミックのキャラクターをベースに製作された超大作映画シリーズと比べるとそうだ。しかし主人公を現実の都市(やはりニューヨークが強い影響を与えている)の中に置き、さまざま弱点をもつリアルな存在として造形したこと、また個々のヒーローが単独で存在するのではなく一つの世界を共有することなどはコミックの世界に大きなブレークスルーをもたらした。リーのエネルギーに溢れた作品は今でも人々に読まれ続けている。

こうしたスーパーヒーローの造形を通じてリーはマーベル・コミックスの顔になった。ユーモアを交えた編集後記、マスコミのインタビュー、またコミック内へのカメオでの登場などにより、リーは文字通りアメリカン・コミックのリーダーとなり、伝説となった。

最近ではリーの後年の法律上、経済上の紛争などを含め、リーの自己顕示癖がDitkoやKirbyなどの貢献を覆い隠してきたとして一部の批評家からは再評価を求める動きもあった。 そうではあっても、スタン・リーはコミックのファンにとってマーベルそのものであり、マーベル・フィルムへのカメオ出演でそのイメージはますます強くなっていた。

またわれわれはリーが90代に入ってもなおチャーミングでありユーモアと活力を失わないことに驚かされた。もしかするとリーは創造したスーパーヒーローたちと同じくらい長く生き続けるのではないかと思わせた。そうではなかったのは悲しいことだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

SONYがPS用タッチスクリーン付きコントローラーの特許を出願

2017年に出願され最近公開された継続特許によると、Sonyはタッチスクリーン付きのプレイステーションコントローラーを作る試案をもっているかもしれない。

コントローラー自身にタッチスクリーンを付けることがコストアップに値するかどうかは不明だ。

現在プレイステーションのコントローラーにはタッチ対応のセンターボタンがあり、ユーザーはメニューその他のアクティビティーをタッチ方式で操作できる。このセンターボタンは、クリックするとゲーマーがゲームデータなどの追加情報を見ることもできる。

この特許出願は、いったいどんなタイプのコンテンツがタッチスクリーン上に表示されるのかというわれわれの想像もかきたてる。コントローラー向けコンテンツとしては、通常はメイン画面に表示されているゲーム内情報などが考えられる。

しかし、タッチスクリーン付きプレイステーションコントローラーが、ビデオの発信や友達申請の対応といった新しいインターフェースを提供することは考えにくい。

ちなみにNintendoによるタッチスクリーン対応コントローラーの実験は悲惨な結果に終わった。Wii Uを覚えているだろうか? Nintendoはその後誤りを正してSwitchを発売した。Switchはカジュアルゲーマーの間にハイブリッドコンソールとしての居場所を見つけ発売以来2000万台以上売れている。

もちろんSonyのタッチスクリーンコントローラーはまだ特許出願以上の何ものでもないので、次世代プレイステーションがわれわれの慣れ親しんだのと同じコントローラーと共に出荷される可能性は十分にある。しかし、万が一Sonyの誰かが創造性を発揮したときは、会社がタッチスクリーンコントローラーを考えるための特許は取得済みだ。

記事によると、次世代Sonyゲーム機の登場は、早ければ2019年、遅くて2021年とのこと。

[via DualShockers]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Firefoxの実験部門Test Pilotから価格追跡とリンクをメールでさっと送れる実験プロジェクトがローンチ

Firefoxのさまざまな新しいアイデアを実験しR&Dしている部門Test Pilotが今日(米国時間11/12)、二つの新しいプロジェクトを発表した。それらは、オンラインストアのアイテムの価格を追跡するPrice Wiseと、友だちなどにリンクを簡単にメールで送れるEmail Tabsだ。

Price Wiseはその名のとおりのサービスで、Best BuyやeBay, Amazon, Walmart, Home Depotなどにおける価格の変化をFirefoxを使いながら調べられる。そういうエクステンションは前からいろいろあるが、今回のはひもつきでないことが、すばらしい。Mozillaによると、すべての処理がどっかのサーバーではなくユーザーのマシン上で行われ、サードパーティのツールは使わない。またアフィリエイトなどを通じてMozillaが収益を得ることもない。

ちょっとおもしろそうなのは、Price Wiseが機械学習を使っていることだ。Mozillaのスポークスパーソンは曰く、“機械学習は個々のエクステンションの中にあるのではなく、今後いろんな仕事をプライバシーを犠牲にせずにやらせるために、汎用ツールのような形でエクステンションの外にある”。

一方Email TabsはPrice Wiseと違って新しいコンセプトだ。家族や友だちなどとリンクの共有をメールでやってる人は今でも多いが、そのためのコピペという作業はあまりエレガントではない。そこでEmail Tabsのボタンを押すと、共有したいタブと、そのリンクと一緒に送りたいわずかなコンテンツを指定して送信できる。つまり、リンクだけでも送れるし、ページのスクリーンショットやテキストの全文コピーなども送れる。

そのために使うメールアプリケーションは目下Gmailだけだが、すべての情報をクリップボードへコピーしてどこかへペーストしてもよい。

これら二つの実験的プロジェクトは、Test Pilotにサインアップして誰でも利用できる。

Firefox Email Tabs

Mozillaはさらに今日、実験から本番に昇格した三つのプロジェクトを発表した。まず、最大1GBまでのファイルを暗号化してシェアできるSendは、年内にアップデートして再ローンチする。そしてFirefoxのルックスをカスタマイズできるColorは、エクステンションとして独立する。そしてさらに、二つのブラウザーウィンドウを一つのFirefoxウィンドウの中に横並びにできるSide Viewも、独立のエクステンションになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

マクロン大統領「Paris Call」でサイバー犯罪抑止を提唱

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はパリのUNESCOで行われたインターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)で講演した。IGFは設立されてからしばらくたつが、一部で期待されたほどの活動がなかった。

フランス政府がサイバーセキュリティーに関する3ページの文書、Paris Callを発表したのはそれが理由だ。マクロン大統領はIGFを活性化し、各国(および企業)が集まってサイバーセキュリティー問題について意見を一致させるためのサブグループを作りたいと考えている。

「まず、インターネットは今ここで機能している。そしてニュースはサイバー問題で溢れているにも関わらず、われわれはITのツールを盲信している」とマクロン氏は言った。

しかし、彼によると、もし国際コミュニティーが適切な規制に同意できなければ、民主的プロセスの整合性にリスクをもたらす。現在状況は2種類ある、と彼は考えている。独裁的政府はインターネットのリクエストにフィルターをかけ、ウェブをインターネットのサブセットに制限している。一方民主的国家では、誰もが(ほとんど)フィルターされていないウェブを閲覧できる。

「最近のサイバー攻撃は医療システムに侵入することもできる。もしわれわれが、常にシステムがセキュアである確信を持てなければ、システムは空中分解してしまう」

言い換えるとサイバー攻撃は、民主主義国家がネットワークを守るために中国を模倣し、さまざまなウェブサービスをブロックする事態を招きかねない。

「だから私は今日ここへ来て、新しい合議制度を提案する。このフォーラムは議論や講演以上の何かを生み出すべきだ。具体的な決断に役立つ新しい場になるべきだ」とマクロン氏は言った。

彼はIGFを国連事務総長直轄にすることを提案している。さらに彼は、世界の国々と企業、NGOらの間が合意した”Paris Call” も支持している。

すでに数百の組織がParis Callに署名している。ほとんどのEU加盟国、Microsoft、Cisco、Samsung、Seamens、Facebook、Google、ICANN、インターネットソサエティなどだ。しかし、中国と米国はまだ署名していない。

Paris Callの全文はここで読める。Paris Callのメンバーは、あらゆる種類のサイバー攻撃を防止することに概ね一致している——これは和平提案だ。

その内容に関してマクロン氏はウェブに反対ではない。ウェブが民主主義の春を可能にし、気候変動や女性の権利に対する活動を活発化したことに彼は言及した。しかし、今やウェブが過激派のヘイトスピーチ発信に利用されていることも話した。

「巨大プラットフォームはゲートウェイになるだけではなくゲートの番人にもなるべきだ」とマクロン氏は言った。

テロリストのコンテンツやヘイトスピーチを削除することについては過去にもいくつか取り組みがあった。しかしマクロン氏は、さらに一歩踏み込むべきだと考えている。

コンテンツの監視に関するFacebookの取り組みで、Facebookとフランス政府が協力体制を取ろうとしているのはそれが理由だ。

最後にマクロン氏はこの機会を利用して、フランスのデジタル化への取り組みについて再度話した。フランス政府は欧州のIT巨人らに公正に課税する新しい方法の制定に力を入れている。マクロンはこれを小さい企業を不公平な競争から保護するためだと説明した。しかし交渉は今のところ停滞している。

さらにマクロン氏は、人工知能の投資とイノベーションに関する第三の考えも擁護した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

飲食店と厳選農家をつなぐ食材コンシェルジュ「食べチョクPro」がローンチ

オーガニック農家と消費者をつなぐC2Cマーケットプレイス「食べチョク」を運営するビビットガーデン。同社はこれまで培ったネットワークや基盤を活用して、11月13日より飲食店向けの新サービス「食べチョクPro」を始める。

食べチョクProは飲食店からの要望に合わせて適切な農家を提案する、コンシェルジュ型の仕入れサービスだ。特徴は要望を伝えるだけで簡単に“農家直送”のこだわり食材を手に入れられること。飲食店の担当者は自らサイト上で生産者や食材を探す手間なくスムーズに仕入れができる。

飲食店が生産者から直接仕入れをできるサービス自体は以前紹介したプラネットテーブルの「SEND」などいくつか存在するけれど、まだコンシェルジュ型のサービスは多くない。ビビッドガーデン代表取締役CEOの秋元里奈氏いわく食べチョクProは「コンシェルジュが買い付け代行をするようなイメージに近い」そうで、「サラダに使えそうな野菜が欲しい」といったアバウトな注文にも対応できるのがウリだという。

食べチョクProには食べチョク同様に厳選されたオーガニック農家が参画(Proでは一部オーガニック以外の食材にも対応するとのこと)。農家直送であるからこそ、少量しか生産していない珍しい食材も並ぶ。

秋元氏によると、これまでは飲食店がこだわりの食材を産地直送で仕入れようと思った場合、自ら農家を見つけてきて直接やりとりすることも多かったそう。その際に農家側が急に出荷できなくなってしまうリスクがあったり、仕入れに関するコミュニケーションに毎回がかかったり、いくつかネックがあった。

食べチョクProの場合は運営が双方の間に入り、一連のフローを円滑に進めて“ギャップ”を解消する役割も担う。

サービスの流れとしてはまず飲食店が食材のリクエストを送る。その要望に基づいてコンシェルジュから農家と食材が提案されるので、あとは買いたい食材と個数を選択するだけ。注文後に農家からお店へ食材が直送され、決済フローに沿って代金を支払う。

もともと食べチョクでは2018年2月より一般消費者向けに「食べチョクコンシェルジュ」を提供している。このサービスが好調で翌月の継続率も95%と高いこともあり、今回の食べチョクProはこの食べチョクコンシェルジュの仕組みを飲食店向けに改良して提供する。

これまでは特に一般消費者向けと飲食店向けとで区別することなくサービスを展開していたため、実は現時点でも数十件の飲食店が食べチョクを通じてオーガニック農作物を仕入れている状況。すでに月間で25万円の注文が入るような飲食店もあるという。

主に「こだわりの食材を扱っている単価が高めの飲食店」「サラダバーなどをウリにしているオーガニックカフェ」「ジュース専門店」などで利用されていて、今後も利用店舗の拡大が見込めるそう。それも踏まえて飲食店向けにサービスを切り出し、システムも活用しながらニーズに合った形で農家とのマッチングを促進することを選択した。

2~3ヶ月ほど前からはLINE@を活用したスモールテストも実施。結果的には自分たちが当初想定していたよりも幅広い飲食店で使ってもらえそうな感触を得たそうで、今回のローンチを機にさらにサービスを拡大していく方針だ。

コンシェルジュの部分に関しては人力の要素も多いが、ゆくゆくは機械的にレコメンドする仕組みを検討中とのこと。人がサポートする場合は別プランにするなどの計画もあるという。

TechCrunchで食べチョクを紹介するのは同社が資金調達をした2月以来、約半年ぶり。現在食べチョクに登録する農家は約200軒まで増加している。この半年は継続率や月の購入頻度を高めるための施策に取り組んできた中で、ユーザー当たりの月間購入頻度も1.1回から約2回にまで成長しているようだ。

今回の食べチョクProは飲食店にとっての使い勝手を向上するためだけでなく、飲食店に購入してもらえる仕組みができることで、より多くの農家が参画してくることも見込んだ取り組み。秋元氏も「相乗効果が見込める。飲食店のニーズに応えるのはもちろん、C向けのサービスを加速させるためのB向けサービスでもある」と話す。

まずは1年後、2000店舗に使われることがひとつの目標。飲食店とのマッチングを通じて、農家のさらなる販路拡大を支援していきたいという。